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星空に届く祭歌

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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「説明、聞く?」
 白く美しい手でグリモアを回しながら、彩・黒月(白雨・f12109)は周りの猟兵たちに声を掛けた。
 特に自己紹介もなく、またそこに対する興味もないようだ。
「今回予知した世界はダークセイヴァー。辺境の森に囲まれた小さな村で、事件が起きるらしいよ」
 切れ長の目をごしごし擦って続ける。
「起きるらしいと言うか……村人が毎晩ひとりずつ殺される事件が、既に起きてるね」
 毎晩、という言葉に顔をしかめた猟兵たちを眺めつつ、黒月は続ける。
「この村では、空が晴れた夜にお祭りをやるんだって。ダークセイヴァーだから晴れるなんて滅多にないけど、みんなそれを楽しみにしてる。
 ……いいよねぇ、星空の下でお祭りとか」
 黒月はふふっと笑ったが、すぐに表情は消えた。

「数年前、お祭りの日の夜更けに女性がひとり殺された。次のお祭りでまたひとり。
 この辺りを領有してるオブリビオンがやったみたいだね……」

 予知の中に出てきた青年が叫んでいた。
 祭りさえしなければ、慎ましく過ごしていれば、誰も殺されなかっただろうにと。
 そんなことはないと黒月は思う。
 オブリビオンの奴隷として生きる限り、いつだって死の危険はあるのだ。
 しかし……ささやかな幸せを恐怖で塗り潰すことは、奴等にとって極上のスイーツといったところか。
 そういった意味では、確かに祭りをしていなければ、毎日ひとりずつ殺されることはなかったかも知れない。

 黒月は頭をぶるぶると振って思考を中断した。
 そして、猟兵たちに向けて説明を続ける。
「村人はお祭りをやめた。だけど、次の空が晴れた夜に、結局ひとり殺されたわけです」
 猟兵たちは誰も驚かなかった。
 皆一様に思っていたのだ。祭りをやめても殺戮は止まらないと。
「その日から毎晩誰かが殺されてる。お祭りをやらなくなった村人に飽きて、恐怖を与えるスパンを短くすることに楽しみを見出だしたんだろうね」
 胸くそ悪いわーと付け加えながら、黒月はグリモアを消して両腕を組んだ。
「このまま何もしなければ村は滅びます。ま、そうならないように君たちを呼んだわけなんだけどね!」

 さあ仕事だと言いながら、黒月は大きなディスプレイに地図を映した。
「ここが滅ぼされようとしている村ですねー、狭いね! で、この森の中央にあるこいつが領主館。ここに今回の黒幕オブリビオンが住んでます」
 村から館までは徒歩で2時間程の距離だ。
 猟兵のひとりが、この距離ならすぐに攻め込めるのではと質問したが、黒月は首を左右に振って無理だねと言った。
 「森にはオブリビオンの配下が大量に闊歩してるから、まずはこいつらを倒さないと館には近付けないよ? つまり君たちが最初にやるべきことは、こいつらの掃討だね」
 猟兵たちは武器や拳を掲げて、いつでも出発OKのサインを見せる。
 黒月は満足そうに頷くと、再びグリモアを空中に出現させて言った。
「おーけー、じゃあ転送しちゃうぞー。健闘を祈る!」


霧雨りあ
 はじめまして。霧雨りあです。
 初のマスターなので不慣れなところもありますが、みなさまと楽しみながら書いていきたいと思っています。

 さて、今回のお話はダークセイヴァーが舞台となります。
 まずは森で獣を蹴散らし、その先に待つオブリビオンを葬ってください。
 脅威が去った後は、運が良ければ星空の下でお祭りが開催されるかも知れません。
 その時は是非、素敵なお祭りにして頂ければと思っております!

 それでは、みなさまの冒険が良きものとなりますように。
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第1章 集団戦 『暗闇の獣』

POW   :    魔獣の一撃
単純で重い【血塗られた爪】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    暗闇の咆哮
【血に餓えた叫び】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    見えざる狩猟者
自身と自身の装備、【自身と接触している】対象1体が透明になる。ただし解除するまで毎秒疲労する。物音や体温は消せない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ヴェル・ラルフ
ほんと、気分が悪くなる所業だね。
あいつらの血が半分自分にも流れてるなんて思いたくもないや…
ま、その分殲滅していけばいいか。難しいことはなしだ、ただ邪魔なやつら消していこう。

まずは、敵方に悟られる前に[暗視][早業][ダッシュ][暗殺]を使って【明けの鈴】で密やかに倒していこう。

敵が気づいて集まってきたら、【残照回転脚】で一気に無差別攻撃かな。

こんな雑魚さんたちに構ってる暇はないよ、ちょっと、五月蝿いしね。
星が美しい村に、無粋な雄叫びは似合わないでしょ。


曽我部・律
集団戦…ですか、あまり気が進みませんね
本来、私みたいなはみ出し者が他の猟兵さんと肩を並べてってのが
そもそも間違ってると思うのですが…
(ミーティングで皆さんが盛り上がってる時も、ノリについていけませんでしたし…)

何も矢面に立つばかりが仕事じゃありません。私は皆さんの眼に入らないところでサポートに回らせて頂きましょうか。敵は潜むのも得意そうですから、他の猟兵さんが不意打ちされないように全体を見渡す役も必要でしょう。私の【リザレクト・オブリビオン】なら戦場全体をカバーできるはず。

戦闘が終わった後は…
絶(別人格)にはくれぐれも他の猟兵さんの前で食事をするんじゃないぞと注意しておかないといけませんね…。


ガルディエ・ワールレイド
何から何まで間違ってやがる
今、この世界で生きている人間はオブリビオンの玩具じゃねぇんだ
当然の筈の平穏を取り戻さねぇとな

◆戦闘
基本的に前衛
戦闘スタイルは【怪力】【2回攻撃】を活かすハルバードと長剣の二刀流
近接攻撃が決まれば【生命力吸収】

味方がいれば連携を重視するぜ
【武器受け】を駆使して立ち回るし、味方に通ってヤバそうな攻撃は【かばう】
攻撃は【竜神の裁き】が主
敵を各個撃破出来るならそうするし、集まってれば武器の【なぎ払い】も併用して、対多数戦を意識だ

【見えざる狩猟者】で敵が消えた場合、場所の見当が付くなら【なぎ払い】で探る。
ダメなら、最悪【捨て身の一撃】で相打ち狙い。攻撃してくれば位置はわかるだろ


ペイン・フィン
祭り、か・・・・・・。
それは、良いことなんだろうね。
それを止めさせ、なお人を虐げるものは、
・・・・・・うん。許せないね。

コードを使用。
獣どもを行動不能にしていく。
足りない分の拷問具は更に複製、召喚する。

・・・・・・邪魔だよ。


ノワール・コルネイユ
この空の下で起きる事件は何時も仄暗く、陰惨なものだ
これまでもずっと。そして…きっと、これからもな

主に辿り着くにはまず庭を越えなければな
躾の悪い犬どもを片付けながら行くとしよう

派手に目立つつもりは無い
確実に1匹ずつ闇討ちを狙って行こう
【第六感】で索敵しながら、なるべく音を立てない様に慎重に進み
獣の痕跡を見つけたらそれを元に【追跡】も試す
敵を発見したらこちらに気付かれる前に背後や頭上から仕掛けよう

攻撃を仕掛ける時は魔を祓う銀の剣を攻撃力重視で発動し
【2回攻撃】も使い、少しでも多く相手の体力を削ろう
生憎、小者に構っている時間はあまりないんでな

主人の躾が良ければ、貴様らももう少し利口だっただろうに



 彼らが転送されたのは、森の中の少し開けた場所だった。
「ああ、今日は晴れてるね。星があんなに綺麗だ」
 満天……とまではいかないにしろ、ダークセイヴァーとしては申し分ない星空を見上げ、ヴェル・ラルフ(茜に染まる・f05027)は微笑んだ。
 本来であれば村で祭りが行われていたであろうその星空を、やるせない気持ちで見つめる。
 そんな彼の背後で、風に黒衣をはためかせながらノワール・コルネイユ(Le Chasseur・f11323)はそっと呟いた。
「この空の下で起きる事件は何時も仄暗く、陰惨なものだ。これまでもずっと。そして… …きっと、これからもな」

 少し離れた位置で、その黒い瞳に何も映さないままペイン・フィン(“指潰し”のヤドリガミ・f04450)は考える。
「祭り、か……」
 村人のささやかな幸せであったという祭りは、きっと良いことなんだろう。
 それをやめさせ、それでも尚虐げることをやめないオブリビオンは。
「……うん。許せないね」
 ペインの瞳に森が映った。

 様々な思いを胸に、猟兵たちが森へ立ち入ろうとしたその時。
 低い獣たちの唸り声が不協和音となって、森中に響き渡る。

「来やがったか……」
 ガルディエ・ワールレイド(黒竜の騎士・f11085)は吐き捨てるように言いながら、両手に武器を構える。
 前衛として最初に森へ入ろうと地を蹴る瞬間――隣に人が立つ気配。
「こんな雑魚さんたちに構ってる暇はないよ」
 人懐っこい笑みを浮かべて、隣に並んだヴェルが言った。
「難しいことはなしだ。ただ邪魔な奴らを消していこう」
 そう告げて来るヴェルの技量を測っていたガルディエは、連携するに十分と判断する。
「ああ、当然の筈の平穏を取り戻さねぇとな」
 二人は頷き合うと、一気に地を蹴った。

「集団戦……ですか。あまり気が進みませんね」
 曽我部・律(UDC喰いの多重人格者・f11298)は、ヴェルたちの後は追わずに別の方角へ進んで行く。
 森に潜む暗闇の獣から、他の猟兵が不意打ちされないようにカバーするつもりだ。
(この辺りの茂みから……ああ、奴らが見えますね)
 ヴェルたちの後方から忍び寄ろうとしていた獣を見つけると、彼は素早くユーベルコードを展開し、召喚した死霊を操って攻撃する。
 姿を消すという特徴を持つ暗闇の獣だが、不意打ちされることで静かに屠られていった。
「このまま皆さんの眼に入らないところで、サポートに回らせて頂きましょうかね」
 律はそう言うと、再び茂みに身を潜めて森を進んだ。

 ノワールは、律のサポートに敬意を払いつつ、第六感を駆使して獣を探っていた。
 ヴェルたちが向かった先が最も大きい群れ。
 しかしそれ以外にも、いくつか群れの気配を感じる。
 ひとつは律が潰し、もうひとつにはペインが向かっているようだ。
「では、この前方の気配は私が屠ろう」
 彼女の手には二振りの銀の剣が握られていた。
 群れにそっと近づき、木の上に身を隠す。
 獣は数体――こちらには気付いていない。
「捉えた獲物を逃しはしない……!」
 ノワールは獣たちの頭上に向けて、ミスリル・エッジで斬りかかった。
 発動したユーベルコードは的確に獣を捉え、瞬時に沈黙させる。
「主人の躾が良ければ、貴様らももう少し利口だっただろうに……」
 骸を前にして、ノワールはそっと呟いた。

 ヴェルとガルディエは見事な連携を披露していた。
 獣の攻撃をガルディエが受け流し、入れ替わってヴェルが愛剣『明けの鈴』で素早く斬りかかる。
 流れるような連撃は、確実に暗闇の獣を減らしていった。
 ――しかし、森の奥から倍近くの獣が合流し、屠った数を軽く超える群れが出来上がる。
 ヴェルとガルディエは立ち止まり、互いの顔を見て不敵に笑った。
 ヴェルの脚が地獄の黒い炎に包まれ、ガルディエの全身は赤い雷に包まれる。
 そして彼らは叫んだ。
「この雷は半端じゃねぇぜ。覚悟しな!」
「染まる緋、灰と化せ!」

 迸る赤と黒――赤い雷と黒い爆風は獣の群れを穿ち、奴らを一瞬で塵芥と化した。

「この世界で生きている人間は、オブリビオンの玩具じゃねぇんだよ……」
 獣がいた場所を見つめて、ガルディエがぽつりと呟く。
 ヴェルはそうだねと頷きながら自嘲気味に言った。
「ほんと、気分が悪くなる所業だよね。あいつらの血が半分、自分にも流れてるなんて思いたくもないや… …」
 笑みは絶やさずとも、ダンピールである二人は今回の事件を起こしたヴァンパイアへの嫌悪を露わにした。

 そんな二人の後方で別の獣たちと戦っていたペインは、横から忍び寄る殺気を捉えていた。
「……邪魔だよ」
 素早い一撃が獣の首を落とす。
 そして、更に増えつつある殺気へ向かって静かに告げた。
「……もう、お前は何も言わなくて良い」
 発動したユーベルコードは暗闇の獣の咆哮を封じ、無力化する。
 次々と拷問具を召喚しながら、ペインはちらりと後方へ目配せした。

「星が美しいこの地に、無粋な雄叫びは似合わないでしょ」
 静かに告げながらペインの後ろから躍り出たヴェルは、攻撃を封じられた獣たちを滑らかな動作で斬り倒していく。
 同時に茂みから現れた律の死霊たちも、次々に獣を屠っていった。

 こうして暗闇の獣は、見事猟兵たちによって殲滅されたのだ。 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『不服従の賢王』

POW   :    贄の叫び
自身が戦闘で瀕死になると【墓場の亡者 】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
SPD   :    闇の嘆き
自身の装備武器を無数の【黒百合 】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ   :    葬られる孤独
【死の恐怖 】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【有象無象の蛇のかたまり】から、高命中力の【恐れを喰らう蛇】を飛ばす。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠揺歌語・なびきです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


指定された場所に辿り着くと、そこには黒く大きな建物があった。
まるで巨木のような不気味な佇まいに、猟兵たちは息を呑む。
どうやらこれが領主館のようだ。

元々は墓地だったのだろう。
ところどころに崩れた墓石が残っている。

ここに住まうオブリビオンは、亡者を操り空を渡る翼を持った賢者。

猟兵たちが一歩踏み出すと、館の中から不気味な鳴き声が聞こえた。
恐怖を呼ぶその声の主に、猟兵たちはどう立ち向かっていくのだろうか。
曽我部・律
この鳴き声、首魁のおでましってわけですか。
「おい律…、うまそうな匂いがするじゃないか。変われよ。」
ぐ…ぅっ…、凶悪なオブリビオンに反応して、絶のやつが表に出たがっていますね。

とにかく、さっさと先程森で倒した暗闇の獣を取り込んで猟兵の皆さんに追いつきましょうか。
ユーベルコード【暴食の泥牙】を発動。
味の質は保証できませんが、あいつには量で満足してもらうしかありませんね…。

これで体が強化された状態なら、ある程度の攻撃を被弾したとしても、怯むことなく敵への突破口を作ることができるでしょう。…他の猟兵さんが私の姿を見て敵だと勘違いしなければいいんですが。

ムシャ…ビリッ…ボリ…「ブハァ…喰い足りねぇな…」



 猟兵たちが領主館へ攻め入る中、曽我部・律(UDC喰いの多重人格者・f11298)は森の出口にひとり、立っていた。
 オブリビオンの鳴き声が再度響き渡ると、彼の中で何かが蠢く。

(おい律……うまそうな匂いがするじゃないか。変われよ)

「ぐ……ぅっ……凶悪なオブリビオンに反応して、絶のやつが表に出たがっていますね……」
 律は呻きながら自分の体を抱いた。
 彼の中には別人格の自分――『絶』がいる。

 律は領主館に背を向け、森へ入って行った。
 先程倒した獣の死体が転がる場所まで来ると、そっと囁く。
「喰っていいぞ、絶」
 瞬間、律はまるで人を忘れたかのように――獣を喰らった。

 ムシャ……ビリッ……ボリ……

 厭な音がこだまし、その度に律の体が変化していく。
 ユーベルコード【暴食の泥牙】によって、律は絶に入れ替わっていった。
(これで……ある程度の攻撃を被弾したとしても、怯むことなく敵への突破口を作ることが出来るでしょう。……他の猟兵さんが私の姿を見て敵だと勘違いしなければいいんですが)
 白濁する意識の中、彼はそっと思った。

「ブハァ……喰い足りねぇな……」
 物の数分で辺りの獣は食い尽くした絶は、次なる食糧を求めて領主館へ向けて歩き出す。
 強化されたその体は、不服従の賢王と十分渡り合えるだろう。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヴェル・ラルフ
鳴き声…鳥かな。
夜目が利く鳥っていったら梟だよね。森の賢者の姿をしていても、中身はただの暴虐の領主、か。

空を飛ばれると厄介だよね。
後方で誰か捕らえてくれそうならお任せしよう。
そして、鳥と言えば風切り羽根を切っちゃえば飛べないはず。捕まえるのに成功したら、[明けの鈴]でまずは羽根から狙おう。

もし捕らえる人がいないか失敗したら、【ブレイズフレイム】で狙うかな。
または攻撃で近づいてきたら[手を繋ぐ]でやつの足でも掴んで、そこから[明けの鈴]で風切り羽根狙ってもいい。

なるべく地に堕としてやりたいけど。
飛べるからって星を独り占めしないでほしいよね。空は誰のものでもないもの。


ガルディエ・ワールレイド
あの村に似合うのは恐怖の声なんじゃねぇ。
そんな事もわからねぇのに賢者なんてのたまう奴はお呼びじゃねぇんだよ。地獄に帰りな!

◆戦闘
攻撃は【竜神気】を主軸にするぜ
敵が空を飛んでいる場合は竜神気で下に引きずり降ろせないか試す

武装は【2回攻撃】【怪力】を活かすハルバードと長剣の二刀流
間合いに入るなら、近接攻撃も仕掛けるぜ
特に武器の間合いギリギリを飛ぶ時は【串刺し】を狙う
攻撃が当たれば【生命力吸収】

防御では【武器受け】【オーラ防御】を駆使
味方に通ってヤバそうな攻撃は【かばう】

(贄の叫び対策)基本は近接戦闘の流れと同様
(葬られる孤独対策)恐怖心には【気合】だし、蛇が来たら【なぎ払い】だ



 領主館の内部は、巨木のような外観とは裏腹に、荒れ果てた墓地そのものだった。
 四方を真紅の壁に囲まれ、吹き抜けになった天井からは星の瞬きが降り注ぐ。
 青白い光を浴びて点在する崩れた墓石。
 そして――こだまする不気味な鳴き声。

 それはとても異様な光景だった。

「あの村に似合うのは恐怖の声なんかじゃねぇ」
 真っ先に館内へ突入したガルディエ・ワールレイド(黒竜の騎士・f11085)は、ハルバードと長剣を油断なく構えて頭上を睨み付ける。

 星灯りを背に、音もなく急降下する黒い影がひとつ。
 数メートル上空で翼を大きく広げたそれは、空中に静止してガルディエを見つめる。
 亡者を操り空を渡るオブリビオン――不服従の賢王。

「森の賢者の姿をしていても、中身はただの暴虐の領主、か」
 ガルディエに続いて館内にやって来たヴェル・ラルフ(茜に染まる・f05027)はそっと呟いた。
 周りの壁の色は、血の紅だ。
 攫われた村人たちはどんな末路を辿ったのだろう――冷静に考え、そっと首を左右に振った。
 彼らのためにも早く空を取り戻そう。空は誰のものでもないのだから。
 ――しかし、どうやって空中にいるあいつを地に堕とそうか。
 ヴェルが数瞬考えた、その時。

「悪ぃな。そこも俺の間合いだ!」

 突如としてガルディエが叫ぶと、彼の体内から異端の神の力が湧き出した。
 そのまま腕を振るうと、不服従の賢王がぐらりと傾き――轟音を上げて地面に激突する。
 ユーベルコード【竜神気】による遠隔操作だ。

 ガルディエの動きに合わせて軽く地を蹴ったヴェルは、愛剣『明けの鈴』で不服従の賢王の羽を狙って斬りかかる。
「風切羽を落とせば飛べないでしょ」
 澄んだ音の軌跡を残した一撃は、見事に羽を斬り落とした。

 しかし……羽を斬られたことをまるで気にしていないかのように、不服従の賢王は静かに身を起こした。
 そして恐怖を呼び覚ますような低い声で鳴くと――ガルディエの周りの土がぼこっと盛り上がり、その中から亡者たちが這い出て来る。

 ガルディエは舌打ちすると、ヴェルが立つ位置まで跳び下がった。
 厄介だな、と声を掛けつつ武器を構え直す。
 二人は森の中の共闘によって、互いの戦い方を知っている。

 平然と空へ飛び上がった不服従の賢王を見上げ、互いに頷き合う。
 彼らは王を堕とすため、再び地を蹴った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ペイン・フィン
・・・・・・賢者ね。
あいにくだけど、自分は賢さにも愚かさにも興味が無いんだ。
・・・・・・だから、お前の頭にも興味は無い。

コードを使用。
召喚されるのは頭蓋骨粉砕機。
実際のものでは、そうそうは割れないけど・・・・・・。
これは、割るよ。


レガルタ・シャトーモーグ
これが賢者だと?
笑わせるな、化物め…

崩れた墓石を盾にしながら、一箇所に留まらないようにしながら間合いを詰める
飛んで避けようとするなら此方も羽ばたいて追いかけるまで
ただし、深追いは禁物
一撃離脱を心がけ、咎力封じで徐々に相手の戦力を削いでいく

死の恐怖なんて、俺には無い
そんなの、身近すぎて忘れてしまった
この世界は死が近すぎて、自分が生きてるのか死んでるのかすら、時折分からなくなる

だから、お前が死を弄ぶなら、俺がお前に死を運んでやる
死の恐怖を思い出すのは、俺かお前か、試してみようじゃないか



「これが賢者だと? 笑わせるな、化物め……」
 赤い瞳に暗い意思を滲ませ、レガルタ・シャトーモーグ(屍魂の亡影・f04534)は吐き捨てた。

 辺りに次々と湧き出す亡者を横目に見つつ、僅かに表情を曇らせる。
 この亡者は、あの村の住人かも知れない。
 死を弄ぶ賢者――そんなものが賢者と言えるはずがなかった。
「お前が死を弄ぶなら、俺がお前に死を運んでやる。死の恐怖を思い出すのは、俺かお前か、試してみようじゃないか」

 レガルタは武器を両手に構え、亡者たちを切り裂きながら駆け抜ける。
 不服従の賢王は彼に視線を向けると、自身から死の気配を纏った黒百合の花びらを撃ち出して来た。
 レガルタは臆することなく、しかし深追いもせず、あちこちに点在する墓石を盾にして攻撃の隙を伺う。
 しかし、黒い花びらは予想外の軌道を描き続け、遂にはレガルタを捉えた。
 レガルタは腕や脚を切り刻まれながらも、漆黒の翼を広げて不服従の賢王へと肉薄する。
「死の恐怖なんて、俺には無い」
 静かに呟いてユーベルコード【咎力封じ】を放った。

 レガルタの捨て身の攻撃により高度を落とした不服従の賢王を、ペイン・フィン(“指潰し”のヤドリガミ・f04450)は冷めた目で見つめていた。
「……賢者ね。生憎だけど、自分は賢さにも愚かさにも興味が無いんだ」
 感慨も――感情すらない声で呟いたペインは、ユーベルコードを展開すべく腕を広げる。
【沈黙は時に痛みより重く】によって召喚されたそれは――頭蓋骨粉砕機。

「……だから、お前の頭にも興味は無い」

 ぽつりと呟く。
 ペインの上空にいる不服従の賢王より、更に上空に出現した拷問器具は、はっきりとした意思を以て動いた。

 それは本当に呆気なく、コミカルとさえ言える音を立てて。
 王の頭上に頂く王冠を粉砕した。
 不服従の賢王の口から耳をつんざくような悲鳴が漏れ、そのままきりもみ降下して地面に追突する。
 王自身の頭部破壊には至らなかったが、王冠を破壊することで攻撃手段を封じることに成功したようだ。

 オブリビオン殲滅まであと一歩。
 猟兵たちは地に堕ちた王を前に、武器を構える手に力を込めた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

神元・眞白
終わらなくてもいい事に終わりを打とうとする。…無駄。無駄な事は嫌い。
先に行ってる人もいるし、追いつけるといいけど。

【WIZ】
符雨を主に見立てて、私と飛威は人形として変装。目立たない様に。
相手からの攻撃は飛威に任せて、こっちは隙を覗く様に。
符雨は主としてだけど適当に。……元々適当だからいいけど。

最後は符雨に攻撃の意識が向く様にして、できたタイミングを
こっちで受け持てばいいかな。飛威、お願い。


護堂・結城
不服従の賢王ねぇ…ただの命を弄ぶ外道じゃねぇか
まぁ、さんざん人の命を食い物にしてきたんだ
…今度はお前さんが食われるのも道理だよな?

【POW】

「行くぞ氷牙、もう十分喰ったな?」

この地に満ちた嘆きや怒りを喰って、報復する為の力を呼べ
覚悟しろよ?『賢王』様。
存分にその賢い頭に死の【恐怖を与えて】刻み込んでやるよ

『雪見九尾の劫火剣乱』発動

【範囲攻撃+衝撃波】と【地形の利用】で敵の逃げ道を潰しながら追い詰めていく
防御は【武器受け】と【オーラ防御】、隙あらば【カウンター】だ

大きな隙ができれば復讐の劫火、その剣群を全て氷牙の刃に集結させて
【怪力+属性攻撃】で斬り捨ててやる

「チェックメイト……なんてな」


シル・ウィンディア
亡霊を操る…
そんな、試射の眠りを妨げることなんて、許されることじゃないんだっ!
村の為、お祭りの為、ここで滅ぼさせてもらうからっ

光刃剣を二刀流に構えて、【空中戦】や【残像】、【フェイント】を使って
相手をかく乱させながら、【二回攻撃】で連撃をお見舞いするよ

この痛み、今まであなたがやってきた罪…
しっかりと、味わってっ!!

敵の攻撃は、【第六感】と【見切り】を使用して、察知して回避を行います。
被弾時は、【オーラ防御】でダメージ軽減

敵ユーベルコードは、心をしっかり持って対抗
そんなことで、くじけたりはしないからっ!!

【高速詠唱】【全力魔法】で、エレメンタル・ファランクスを使用
わたしの全力、受けてみてっ!


ヴェル・ラルフ
【真の姿】ヴァンパイアの姿に酷似し、肌はより白く、歯は武器に

仲間が堕としてくれた王は、飛べなくなった分、余りにも愚者そのもので…ちょっと失望するね。

[覚悟]を決め、仲間の作ってくれた時間で[力溜め]
そして[ダッシュ]で踏み込み、[暗殺][早業][傷口をえぐる]

敵に武器を弾く力があったとしても、今は真の姿だから、[吸血][生命力吸収]で力をもらうね。

隙を作る役でも、止めを刺す役でも、なんでもやるよ。

ね、誰かにやったことって、自分にも返ってくるんだってね。
賢者なら知ってるよね。因果応報、ってやつ?



 王冠を破壊された不服従の賢王は、殺意を瞳に湛えて空へと舞い上がった。
 若干衰えたとは言え、その恐怖を呼び覚ます死の気配は、変わらずプレッシャーとなって猟兵たちに降り注ぐ。

 暫しの膠着状態が続いたが――美しい人形たちの乱入が第二ラウンド開戦の合図となった。

(終わらなくてもいい事に終わりを打とうとする。……無駄。無駄な事は嫌い)
 ミレナリィドールでありながら人形遣いの神元・眞白(真白のキャンパス・f00949)は、自身を人形に見立て、人形を主として操りながら戦場を駆けた。
 あたかも人形の符雨が指示を出し、同じく人形である飛威と自分がその指示に従っているように、賢王の意識を誘導していく。

 大きく羽ばたいた賢王から放たれた刃を、飛威が丁寧に叩き落とした。
 符雨は隙だらけの様相だが、彼女が大きく腕を振るのに合わせて飛威が賢王との距離を詰める。
 しかし、賢王は飛威の攻撃を難なく躱すと、符雨に向かって目を見開いた。
 賢王から全力で放たれた【死の恐怖を与えるユーベルコード】は――しかし符雨が人形であるが故に失敗に終わる。
 一瞬戸惑いの表情を浮かべる賢王に、眞白が小さく呟いた。
「皆、行って」
 彼女のユーベルコード【百器大波乱】が発動し、人形たちが一斉に賢王に殺到する。
 人形の軍勢による激しい攻撃に、賢王は羽を散らしながら高く舞い上がった。

 そんな人形たちの乱舞を青く大きな瞳で追いながら、シル・ウィンディア(光刃の精霊術士・f03964)は愛剣『光刃剣』と『精霊剣』を両手に携え隙を伺っていた。
(亡霊を操る……そんな死者の眠りを妨げることなんて、許されることじゃないんだっ)
 怒りを胸に抱きつつ、賢王の攻撃が止んだその瞬間に強く床を蹴る。
 人形たちの影から空中に躍り出ると、愛剣による連撃が賢王を捉えた。
 賢王は羽を散らしながら距離を取ると、大きく羽ばたいて黒い刃を放つ。
 しかし、攻撃を察知できる彼女には当たらない。
 シルは賢王が次の攻撃に入るまでの隙を読み、高速で詠唱した。
「闇夜を照らす炎よ、命育む水よ、悠久を舞う風よ、母なる大地よ……。我が 手に集いて、全てを撃ち抜きし光となれっ!」
 彼女が放つユーベルコードは、100本の極彩色の光の筋となって賢王に殺到する。
 賢王を護るように蠢く蛇の群れが出現したが、光は容易く貫き、そのまま彼に直撃した。

 領主『不服従の賢王』は再び地に落ちる。
 もう空中へ逃れる力は残っていないようだ――もがきながら、それでも死の瞳には不気味な色が灯っていた。

 明らかな失望の色を浮かべたヴェル・ラルフ(茜に染まる・f05027)は、賢者ではなく愚者となった領主を見つめる。
 先の戦闘で消耗しているかと思えば、微塵もその気配を感じさせない。
 ヴェルはそっと息を吐き出した。
 彼の白い肌が白さを増し、その姿から『人らしさ』が一切消えていく。
 真の姿となった彼は――ヴァンパイアそのものだった。
「……誰かにやったことって、自分にも返ってくるんだってね」
 ぽつりと呟く。
 冷たい視線にただならぬ気配を感じ、領主は悲鳴にも近い鳴き声を上げて亡者たちを召喚した。
 彼らは領主の意思に従ってヴェルに襲い掛かる。
 しかし、今のヴェルには何の脅威にもならない。
 鋭く踏み込みつつ、その牙を武器に亡者を瞬殺していく。

 召喚された亡者たちをものの数十秒で殲滅したヴェルは、領主から離れた位置で虚ろな目を向けた。
「賢者なら知ってるよね。因果応報、ってやつ?」

 この瞬間、領主館にはあらゆる感情が満ちていた。
 怨み、怒り、嘆き――それは死んだ者と、今ここで争う領主と猟兵たちの感情。

「まぁ、さんざん人の命を食い物にしてきたんだ……今度はお前さんが食われるのも道理だよな?」
 時は満ちた――そんな表情で、護堂・結城(雪見九尾・f00944)はゆっくりとヴェルの横を通り抜けて領主の前に立つ。
 この場に満ちた感情は、まるで彼に向かって流れているようだった。
 ひとふりの剣『氷牙』をそっと指で撫でながら囁く。
「……行くぞ氷牙、もう十分喰ったな?」

 領主は、自分が知らない感情に突き動かされ、飛べない翼で空気を打って飛び退いた。
 そして残る魔力を振り絞り、結城に向けて黒い刃を撃ち出す。

「――頭を垂れよ、死はお前の名を呼んでいる」
 数瞬早くユーベルコード【雪見九尾の劫火剣乱】を展開した結城は、召喚された復讐の劫火の剣群を『氷牙』に集結させた。
 ゆらりと陽炎が出来るほどの力場を作り上げた結城の横を、ヴェルが風のように駆け抜け、迫り来る黒い刃を叩き落としていく。

 ヴェルが斬り開いた道を、結城は滑るように走る。
 領主を護るものは――もう何もない。

「チェックメイト……なんてな」
 ゆらめく『氷牙』が音もなく領主の体を両断する。
 断末魔を上げることすら出来ず、オブリビオン『不服従の賢王』は消滅した。

 ●

 領主館から外に出ると、辺りはまだ暗闇に包まれていた。
 夜明けまではもう少し時間がありそうだ。
 空は変わらず星が瞬き、月が青白い光を放っている。
「これでお祭りができるねっ」
 シルが嬉しそうに笑って言った。

 村人たちに脅威が去ったことを伝えれば、また祭りが再開されるだろう。
 彼らのささやかな楽しみだった祭りは、もうひっそりと行う必要もない。
 星空の下で楽しそうに笑う村人たちの姿を思い浮かべ、猟兵たちは森の来た道を戻って行った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​




第3章 日常 『失われた祭事の復活』

POW   :    櫓を建てる、祭りの資材を運ぶなど

SPD   :    祭りの準備をする、料理を作るなど

WIZ   :    祭りの企画をする、出し物を考えるなど

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵たちの活躍により、オブリビオンの脅威は去った。
 村人には笑顔が戻り、そろそろ祭りを再開しようという声も上がっている。

「星が出た夜にやるのは変えたくないよなぁ」
「そこは賛成なんだけどさ、もっと盛大にやりたくない?」
「盛大ったって……酒呑むくらいしか思いつかねーし」

 村人たちは今までと違った祭りをやろうとしているが、圧制の中で生きて来た彼らには新たな案を出すのが難しいようだ。
 次の祭りには猟兵たちも是非来てほしいと誘われている。
 さて、ここは腕の見せ所ではないだろうか。

 猟兵たちは、村人と一緒に祭りを考えることになった。
 彼らは一体どんな祭りを計画し、どんな夜を過ごすことになるのだろうか。
シル・ウィンディア
星空の下のお祭りかぁ~
とっても綺麗でロマンチックだよね

でも、それだけじゃ物足りないって言うのなら、どうしようかな?
折角、恐怖から解放されたんだし、何か希望を生み出せるものがいいなぁ

希望といえば、光…
わたし達猟兵が、人々の光となれるのなら
特徴である、ユーベルコードをうまく使えたらいいかな?

それならば…
わたしの出し物は決まったよー

【空中戦】で空を飛んで
【全力魔法】を使用して、星空に向かって
エレメンタル・ファランクスを撃ち放つよ
放つときは、横に移動しつつ、打ち上げ花火みたいに
そんな感じに流れて撃てればいいかなぁって

これをみて、村の人達が
きれいとか、そういうことを感じてくれたら
ほんとうれしいね


ペイン・フィン
真の姿は、出来れば解放したくないかな。
あまり好きじゃないし、見た目だけでも今のままに取り繕う。

自分は、祭りの準備をしようか。
飾り付けとか、必要だろうし。

コードを使用。
変化させるのは焼き鏝。
ヤドリガミ形態は、全身を顔まで包帯で包み、その上から執事服を着た青年。
自分は木を彫るから、焼き鏝の方には、うまく焼き印をつけてもらう。
作るのは、星をかたどった飾り。
星にまつわるお祭りだから、こういうのが良いかと思ったけど・・・・・・。
他にもリクエストがあるなら、焼き鏝と共に作ろうかな。


ガルディエ・ワールレイド
【POW】櫓を建てる、祭りの資材を運ぶなど

とりあえずデカイ櫓は必要だろ。
先ずは資材を調達するか。
既に資材のアテがあるなら、それを運ぶし、足りねぇなら【怪力】を活かして木を切るところからやるぜ。
我が「魔槍斧ジレイザ」の切れ味を(木材の切り出して)見よ、ってな。

木材は櫓以外にも必要そうな場所に運んで、そのあとは組み上げていく手伝いをするぜ。
櫓の上には太鼓か何かの楽器を置きてぇな。とにかく賑やかに行こうぜ。
あと、梯子はガキでも登りやすいように作っておくぜ。


(もし祭り中での描写が有るなら)
こういう光景が本当に大切なんだ。
……さて、しんみりしてても仕方ねぇ。俺も騒ぐか!



 村人が猟兵を交えて話し合う中、ガルディエ・ワールレイド(黒竜の騎士・f11085)は森の中にいた。
 取り敢えずデカイ櫓は必要だろ、と言ってひとり森へやってきたわけだが……。
 今日は生憎の雨。
 鬱蒼とした森の中は、足場も見通しも非常に悪い。
 しかしガルディエは何の苦労もなく、櫓に使えそうな木を探して森を進んでいった。

「ん……?」
 ふと、異変を感じて立ち止まる。
 後方に意識を集中し――やれやれと苦笑い。
「おいおい、転んで怪我でもされたら親さんにブッ飛ばされるのは俺だぜ?」
 彼の声に、茂みから泥だらけの子供たちが姿を現した。
 既に何度も転んだようだ。
 ガルディエの周りに集まると、僕たちも手伝うよと目を輝かせる。
 彼はどうしたものかと暫し思案し――ニヤリと笑った。
「よーしお前ら、少し下がってそこで見てな」
 子供たちを下がらせると『魔槍斧ジレイザ』を構える。
 複数の呪物を組み合わせたそれは、数々のオブリビオンを屠ってきた。
 辺りの気温がすっと下がった……そんな錯覚を覚えるほどの気を纏い、気合い一閃。
 激しい音が空気を震わし、彼の前にそびえ立つ巨木が鈍い音を立てながらゆっくり倒れる。
「我が魔槍斧ジレイザの切れ味を見よ、ってな」
 そう言いつつ子供たちを振り返ると、殊更に目を輝かせた少年少女が大歓声を上げながら駆け寄ってくる。
 今まで辛いことばかりだったであろう彼らの笑顔にサムズアップで応え、ガルディエは言った。
「さぁて、こいつを村まで運ぶぞ!」

 ガルディエと子供たちによって運び込まれた巨木を眺めつつ、ペイン・フィン(“指潰し”のヤドリガミ・f04450)は手元の木を黙々と彫っていた。
 器用な手先で削られた木材は、星を象ったオブジェクトへと姿を変えていく。
彼の周りには、既に数十個の星々が転がっていた。
 その星を、ペインの傍らに座る執事服を着た青年が手に取って、美しい焼き印を付けていく。
 青年は服から出ている素肌の全て――勿論顔までもが包帯で覆われていた。
 ペインのユーベルコードによって呼び出された、焼き鏝のヤドリガミだ。
「もう少し数を増やそうか……」
 ペインは独りごちるように呟き、執事服の青年も反応することなく――しかし上手く連携して作業を進めていく。
 そんな静かで穏やかな時間が過ぎる中、村人たちがやって来た。
「これは……また凄い飾りじゃないか」
 村人と猟兵の話し合いの折に『飾り付け担当』になったペインだったが、彼の作品のクオリティの高さに感嘆の声が上がる。
「星にまつわるお祭りだから、こういうのが良いかと思ったけど……」
 ペインがそう言うと、村人たちは微笑みながら強く頷いた。
「ああ、とても良いよ」

 彼らが話しているところへ、櫓を作り終えたガルディエがやって来た。
「なぁ、悪いがその星飾りの作業が終わったら、楽器を作ってくれねぇか?」
 櫓の上に太鼓か何かの楽器を置きてぇんだよと付け加えつつ、ペインに注文する。
「構わないよ。折角だから星型の楽器を作ろうか」
「お、それいいな。俺も手伝おうか?」
「ガルディエ君に細かい作業が出来るとは思わないけど?」
「……力馬鹿って言いたいのか?」
 彼らのやり取りに、村人たちが思わず吹き出す。

 少し前まではあり得なかった村の光景。
 猟兵たちは皆一様に『救えて良かった』と心から思った。


 そして――満天の星空の下、村人と猟兵で念入りに準備された祭りが遂に開催される。

 星明かりを浴びながら、シル・ウィンディア(光刃の精霊術士・f03964)は自分の出番が来るのを待っていた。
 村人との話し合いの場で、シルは自ら『出し物担当』に立候補した。
(せっかく恐怖から解放されたんだし、何か希望を生み出せるものがいいなぁ)
 そう考えていた彼女は、自分のユーベルコードがまさにぴったりであることに気付く。
(希望といえば、光。わたしたち猟兵が人々の光となれるのなら……)

 しん、と静まり返った広場に、ペインが作った楽器の音色が響き渡る。
 ――彼女の出番が来た。
 シルはガルディエが建てた櫓に登ると、深呼吸をひとつ。
 そして、櫓から身を踊らせた。
 村人たちが息を飲む中、彼女はふわりと空を駆けながら村人たちに笑顔を送る。
 彼等から歓声が上がると、シルは星空に向かって全力でユーベルコード【エレメンタル・ファランクス】を放った。
 溢れんばかりの極彩色の光の帯が、星空を駆けていく。
 それはまるで花火のように――流れる星のように。

(村の人達が、綺麗とか……そういうことを感じてくれたら、ほんと嬉しいね)

 シルの想いを映すかのように、光はいつまでも流れ、奔り、村人たちの心を温めた。
 死の恐怖に怯える生活は終わったのだと、誰もが実感し涙した。

(こういう光景が本当に大切なんだ……)
 ガルディエは、そんな村人たちを見つめながら思う。
 ちびちび飲む酒の味は、最早わからない。
「何?泣きそうになってない?」
 隣に座るペインが、星型の焼き菓子を食べながらそっと呟く。
 ガルディエは少し驚いた顔をしたが、ふんと鼻で笑うと、
「……さて、しんみりしてても仕方ねぇ。俺も騒ぐか!」
 言うが早いか、櫓の下に置いてあったシャラシャラ鳴る楽器を片手に、村人を巻き込んで踊り始める。
 ペインは半眼で見ていたが、シルが降らせる光に表情が再び緩んだ。
「……うん、悪くない」


 光と音が満ち溢れ、村人も猟兵も飲んで歌って踊った。
 星空まで届かんばかりの楽し気な声は、夜が更けても尚、止むことはなかった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年01月24日
宿敵 『不服従の賢王』 を撃破!


挿絵イラスト