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フライト トゥ ドゥームズデイ

#ヒーローズアース #戦後

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#戦後


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●銀幕の中で
“ハロー、プレジデント! ご機嫌いかがかな?”
 ホワイトハウスの執務室、アメリカ大統領のSNSに送られた陽気なメッセージに、大統領は何気なく返信を返す。
“絶好調だね、近頃はヴィラン達もおとなしい”
“絶好調! それは良かった、実は俺もご機嫌でね!
 なあプレジデント、ドゥームズデイクロック――終末時計を知ってるかい?
 核戦争で世界が滅ぶまでの時間を刻むっていうアレさ”
“ああ、知っているとも。そしてその日を遠ざけるべく、我々アメリカは努力している”
“そうだ、その努力は上手くいっている。――もう待ちくたびれた。
 だから俺達は、俺達の手で終末時計の針を進めることにした。この新兵器でだ!”
 不穏な言葉と共に送り付けられた一本の動画。大統領は、戸惑いながらもそれを再生する。
 動画の中、映しだされたのは、戦闘機のコックピットだろうか。無数の計器とキャノピ。青空の中、後方に流れる雲の合間、地上に小さく自由の女神が見えた。どうやらアメリカ上空を高速で飛行しているようだ。
 入電、警告――アメリカ空軍の戦闘機が領空侵犯を訴えながら接近。パイロットはその警告を笑い飛ばすと、彼らに向けてミサイルを発射。爆発と轟音。墜落する空軍機を背にパイロットは機体を急旋回、別の空軍機へと標的を変える。
「なんという事だ……」
 動画の中、空軍が次々と撃墜されていく姿に大統領が歯噛みをする。 
 不意に執務室の電話が鳴った。
『大変です大統領! 空軍が所属不明機の攻撃を受けています!』
「落とされたのはF-15が3機、F-35が1機。その後、不明機はF-22の包囲網を抜けて脱出した。そうだな?」
「……。大統領、なぜ、それを?」
「今、その動画を見せられている――おい、止せ、やめろ!」
 動画の中、戦闘機はペンタゴンの一角をロックオン、ミサイルの発射準備に入る。今、その施設が攻撃を受ければ――自動報復装置は周辺国へと核ミサイルをばらまくだろう。そして核攻撃を受けたロシアや中国も自動報復を行い、核の炎は連鎖的に世界を焼く。つまりそれは、終末時計の針の進んだ先。
「核戦争の引き金を、引くつもりか!」
 動画の中パイロットがミサイル発射のボタンを押して――『弾切れ』のアラームがコックピットに映し出された。
 見計らったように新たなメッセージが送られる。
“アーーッハッハッ! 俺としたことがはしゃぎ過ぎちまった! 『弾切れ』だってよ! ざまあねぇな、アッハハ!
 ――笑えよ大統領、世界の終末はまだ先だ。俺様の次のフライトまで、だがな。
 せいぜい震えながら待っててくれよ、アッハハハ!”
 そのメッセージを読み終え、大統領は震える声で電話口に命令を下す。
「すぐに全ヒーローに通達を。強大な飛行戦力を持つテロリストが、核戦争の勃発を狙っている。決してヤツに空を飛ばせるな!」

●イェーガーズ ムービースタジオ
「ようこそ! 君達が今回主役を演じてくれる猟兵だね。会えて嬉しいよ、イェーガー!」
 グリモアベースから転送された先の撮影スタジオ。監督は自己紹介もそこそこに、映画の内容の説明をはじめる。
「敵は核戦争をたくらむ悪のテロリスト! 彼らの秘密基地を君たちが暴き、潜入。テロリストの新兵器を破壊して世界を救うというものでね。
 撮影は、大まかに三つのパートに分かれる」
 監督は三本の指を立てて見せる。
「まずは、テロリストの基地の捜索場面――これは君たち猟兵の紹介も兼ねたシーンだ。君たちがどんなイェーガーなのか、一発で観客に伝わるようにしたい」
 君たちのスピリットを教えてほしいと、監督は強調する。 
「次は、アジト内でのテロリストとの戦闘だ。火薬はたっぷり用意した。集めたスタントマンも一流揃い、もちろん君たちの活躍に花を添えるためだ、遠慮なく大暴れしてくれ!」
 監督の言葉に応えるように、スタジオの奥で、オブリビオンソルジャーの姿をしたメンバーがぐっとサムズアップを掲げて見せた。
「最後は、テロリストの首領が乗った秘密兵器との戦闘だ。盛り上げるためにある程度ピンチに陥るシーンが欲しい。ヒーローの危機! そして逆転、勝利というわけさ」
 言って、監督はにこやかな笑みを浮かべる。
「撮影でのユーベルコードは自前で頼むよ。それじゃ早速クランクインと言いたいところだが、その前に。――サインをもらえるかな? 娘が君たちのファンなんだ」


雲鶴
 主演俳優募集! 雲鶴です。
 今回はヒーローズアースで、世界滅亡をたくらむ悪のテロリストとの対決! ……という設定の映画に出演していただきます。全体的に経験値などが少なめになる代わりに、判定の難易度は低下しています。
 なおリプレイは、撮影された映画の内容がメインとなります。ファンとの交流などは基本的にありません。格好良さ&活躍重点です。

 以下、各章の補足となります。
●第一章
 プレイングボーナス:「どんなヒーローなのか」が分かるように撮影をこなす。
 なおそれ以外はおおむね自由です。アジトの捜査以外の行動を撮影しても構いません。また舞台をヒーローズアース以外の世界にしてもOKです。

●第二章:アジトに潜入し、オブリビオンソルジャーを相手に戦闘するシーンです。
「格好良く敵と戦闘」すればボーナスとなります。

●第三章:テロリストの戦闘機「黒龍」との戦闘シーンです。
「ピンチからの逆転劇」を演出することでプレイングボーナスとなります。
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第1章 冒険 『ショーまでのカウントダウン』

POW   :    体力が続く限り探す

SPD   :    素早く走って探す

WIZ   :    頭を使って探す

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

シャルロット・シフファート
交流描写深め希望。

「OK、こういうのは久しぶりだから楽しみよ」
クランクイン前に電脳精霊術を軽く行使してどういうイェーガーなのかスタッフたちに理解を深めさせた上で撮影に入るわ。

「大統領、こちらはペンタゴンにてテロリストの潜入施設を割り出しているところよ。ええ、割り出し終わったら私も殲滅作戦に参加するわ」
私の背後で動いているのは人型機械や特殊なドローン、その意匠はヒーローズアースの住人が想起する精霊術にサイバーな趣で構築されており、それらが駆動してテロリストの居場所を突き止めようとするわ。

「ふう、こんなものでいいかしら」
私の撮影が終わったら電脳魔術師として裏方にも回るわ。
結構凝り性だからね、私。



●第一幕:時計仕掛けのフェアリーテール
「なるほど、状況は分かったわ。この映像を送り付けてきたのが、今回のテロリストね」
 アメリカ国防省ペンタゴン、巨大なモニターを前に考え込むのは、シャルロット・シフファート(ツンデレの国のアリス・f23708)。
 煌めく金髪を縦ロールに巻き上げた髪型に上質なドレス。気品に満ちた物腰は、この美少女が由緒正しい血筋を引いている事を見る者に確信させた。
「そうだ、そして奴らはこの地球の敵でもある。――それで、君は電気工学の専門家だと聞いている。何か必要な機材はあるかね?」
 大統領の言葉にシャルロットはにっこりとほほ笑む。
「お気遣いなく。必要な機材は全て持ってきてあります」
 言うや否や、シャルロットは空中に立体映像の端末を展開。操作ボードに触れれば、画面に聖杯の図案と『グレイルバース・ユニバーサルマシン』の文字が映し出される。同時にシャルロットの周りに実体化する無数のマシン。モーターから伸びたケーブルがエネルギーコアに繋がり、直動機構がカムと繋がってスライドを開始。滑らかな外装が、内部構造を包み込み鋼鉄の翼を羽ばたかせる。
 その姿はさながらおとぎ話のフェアリー、全長50cmほどの機械仕掛けの風の精霊たち。
「この子達に探索に当たらせてテロリストの施設を割り出すわ。勿論、割り出しが終わったら私も殲滅作戦に参加するけど……出来れば敵の姿の情報が欲しいわね」
「ああ。今、生き残ったパイロットたちから証言を集めている」
 大統領の言葉にシャルロットは再び端末を操作。同時にスピーカーから流れる男の声。
『あれは塗装こそ黒かったが、中国の戦闘機“白龍”によく似た機体だった。動きは違っていたが、翼の形が――』
 ペンタゴン内部で行われている目撃情報の聞き取り音声、それを聞きながらシャルロットは悪戯気に笑った。
「彼らの証言、一緒に聞かせてもらうわ。時間が命でしょ、大統領」
 こともなげペンタゴンのセキュリティを破ったシャルロットに大統領は苦笑と共に頷いた。

●撮影終了後
「ふう、こんなものでいいかしら。こういうのは久しぶりなのよね」
 無事に撮影を終えて休憩に入るシャルロット。クランクインの前にあらかじめ自身の扱う電脳精霊術を見せていたお陰で、撮影自体はスムーズに終わっていた。もっとも、電脳精霊術に監督が食いつき、召喚のシーンをじっくりと撮影することになってしまったが。
 今も監督はシャルロットが呼び出したドローンを手に乗せてまじまじとその姿を観察していた。
「それにしてもすごいね。こんなに小型で自由に動けるドローンなんて初めて見たよ。これ、カメラもついているみたいだけど撮影もできるのかい?」
「もちろんよ、せっかくだからこの先の撮影の手伝いもしてあげましょうか?」
「本当かい!? ありがたいよ。空撮用のカメラが足りなくて困っていたんだ。これでもっと火薬が増やせるよ!」
「――そ、そう。それは良かったわ」
 ちょっぴり引き気味のシャルロット。彼女がこの監督に負けず劣らずの凝り性ぶりを発揮して、映画全体のカメラワークやCGを数段引き上げるのはこれから数時間後の話である。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フィランサ・ロセウス
「奴にまで要請を!?一応49ersとは言え危険です!」
「核戦争に比べれば遥かにマシさ」
みたいな会話を挟み、シーンはあるナイトクラブへ

VIP席にいる男を訪ねてくる少女
彼女は下卑た笑いを浮かべながら迫る取り巻きの手を掴むと、
こちらも笑顔のままその指をへし折る!
何を隠そう彼女こそ前述の危険人物、フィランサであった
「この人達の居場所、知ってるよね?よかったら教えてほしいな?」
蛇の道は蛇
今はテロリストと繋がりがあるとされる人物を訪ねては、
こうして“聞き込み”をしているのだ
「言いたくないなら無理に言わなくてもいいよ?
その分、私もながーく楽しめるから♥」
そう言って心底楽しそうに、拷問を続けるのであった



●第二幕:ヴィランより愛をこめて
「大統領! 私は反対です。奴は確かに49ersの一員ですが危険過ぎる。今回は協力の要請を見送るべきです!」
「もう決めたことだ。危険性も暴力性も良くわかっている。だがそれでも、核戦争に比べれば遥かにマシだ」
 大統領の言葉と同時に画面が暗転。高らかに鳴り響くダンスミュージック。きらびやかなミラーボールの輝きが室内を照らし、その下で若者たちが腰を揺らして躍り続ける。
 ナイトクラブの片隅のVIP席で派手なサングラスの男が、隣に座っていた女性を殴り飛ばした。男の取り巻きは止めもせずにげらげら笑い、歩み寄った店員も女性には眼もくれない、――慣れているのだろう、ただサングラスの男へ話しかけるだけだった。
「大統領の使いという方がいらっしゃいました」
 店員が示したのは、フリフリとしたドレスに身を包んだ年若い少女。ピンクの髪を二つにまとめて、ニコニコと笑みを浮かべているが、その笑顔はどこかタガが外れているようだ。
 取り巻きの男が品定めをするように少女の体を見回し、下卑た笑みで彼女の肩へ手を伸ばした。その瞬間、ボキリと少女がその指を折った。
 悲鳴を上げる男の脇をすり抜けて、少女はサングラスの男の手を取り目の前のテーブルへと投げ飛ばす。そのまま後ろ手に抑え込み、引き抜いたハンティングナイフをサングラスの下の目へ突き付けると、取り巻き達が逃げるのも構わずに尋問を始めた。
「わたしね大統領からの要請で、テロリストたちを探しているんだ。 居場所を知っているよね? 中国系とつながりのある連中。良かったら教えてほしいな?」
 ――彼女こそ、大統領が苦渋の決断で協力を要請した元ヴィラン、フィランサ・ロセウス(危険な好意・f16445)だった。
「知らねぇっ! オレは何も知らねぇよっ!」
「うんうん、そう言うのは君で6人目だけど、みんな最後にはちゃんと教えてくれるんだ。だから、言いたくないなら無理に言わなくもいいよ? 私は他の人に聞くだけだし、その分だけ私も長ーく楽しめるから♥」
 そう言って、フィロンサはナイフの切っ先を男のまぶたの上で滑らせる。短い悲鳴、女の声だ。先ほど殴り飛ばされた女性が腰を抜かしたようにへたり込んだままだった。
 フィロンサは無造作に、近くに転がっていた財布を店員へと放ると女性を視線で示す。
「手当て出来ますか? その財布はチップ代わりです――顔に傷痕を残さないように」
 フィロンサの言葉に店員はがくがくと首を縦に振り、女性の手を引いて走り去る。その姿を笑顔で見送って、フィロンサは再びサングラスの男へナイフを向けた。
「わたし、女の子に暴力ふるう男、大好きだよ! 切り刻みたくなっちゃう! だからいっぱい楽しませてね♥」
 フィロンサの笑い声と、男の悲鳴がナイトクラブに響き渡った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヘスティア・イクテュス
あっ、なるほど…映画撮影のオファーね
本当かと思ったわ(サイン書き書き)

まぁ戦争も終わって一段落着いたし
フォーティナイナーズの一人として参加させてもらおうかしら


ティターニアで空を飛んでアジトを探すわ

飛行戦力をもつテロリストね…
いいわ、こっちの空中戦技能の方が優れてるって思い知らせてあげる
空にわたしがいる限り核戦争なんて起こさせないわよ!

さて、飛行機を飛ばすならそれなりに広い場所のはず
隠れて作ったならそれなりの電気設備もいるわよね?

わたしが目視で、アベルは電気の使用量等から不審な場所の特定【情報収集・ハッキング】

見つけたら、ブースト!【ダッシュ】その場所まで一直線よ!


ハヤト・ノーフィアライツ
SPD分野で行くかね。
アドリブ連携は歓迎で。

とりあえず力と技のアームドヒーローってことで自己紹介はしとこう。
バイクアクションとかメカアクションは任せてくれ。

とりあえず、勝手に通信を傍受して動き始める。
「ふぅん。なるほどな。好き勝手な事言ってやがるぜ」
指定UCを使用、スクランブルを掛けた72機の小型ヴィークルロボ達と操作開始だ。
ヴィークルロボ達は飛行型を主としておく。

【戦闘知識】でロボ達の統率を取りつつ、各所に展開して【情報収集】と洒落込む。
自身もその情報を受けながら、宇宙バイクに乗ってやっこさんの【追跡】を
するぜ。

「そうか。大体わかったぜ。んじゃ、行こうか。せいぜい派手にな。」



●第三幕:Defenders of mother earth
 ニューヨーク、リバティ島。自由の女神像を一人の少女が見上げていた。艶やかな青髪を腰まで伸ばし、ブレザーのような服を身に纏う、49ersの一人ヘスティア・イクテュス(SkyFish団船長・f04572)だ。
「飛行能力を持つテロリストね。映像にはこの自由の女神像が映っていたから、北東方向にありそうなんだけれど……。あら?」
 不意に青い空に光が走った。
「流星? 違う、何かが飛んでる!」
 ヘスティアは背中のジェットパックを展開、蝶が羽を広げるように白い翼が広がり推進器が解放される。噴射口とスラスターから炎が吹き出し、ヘスティアの体が中へ浮き上がった。衝撃波を残して一気に加速。地上の人々が見あげる中、上昇を続けるヘスティアの姿は見る間に小さくなっていく。途中、自由の女神像の展望台と高速ですれ違いながら、ヘスティアは上空の飛行体へ向けて飛翔する。
 ――飛行戦力をもつテロリストね……。いいわ、こっちの空中戦技能の方が優れてるって思い知らせてあげる。
「この星を滅ぼすなんて許さない。空にわたしがいる限り核戦争なんて起こさせないわよ!」
 地上からは点にしか見えなかった飛行体。それは一台のバイクだった。タイヤは空を捉えて宙を駆ける、そのシートには中折れ帽をかぶった男がまたがりハンドルを握っていた。不意に男が、ヘスティアを見た。咄嗟に彼女はジェットパックにマウントしていたビームライフルを構えて加速。一気にバイクへと接近する。
 ヘスティアがビームライフルの銃口を男の額へ突き付けた瞬間、彼女の額にもまた、男が抜いたブラスター銃の銃口が当てられていた。
 一瞬の膠着の後、男がゴーグルの下の目で自分の額に突き付けられたビームライフルを見据える。
「懐かしい銃だな。この地球でそのタイプの銃を見るとは思わなかった。あんたもテロリストを追っているんだろう――宇宙生まれのお嬢さん?」
「あなたもヒーロー? ペンタゴンでのブリーフィングの時にいなかったじゃない」
「ははっ、悪い悪い。正規の要請は受けてないんだ、勝手に通信を傍受してたのさ」
 その言葉を合図に二人は銃を下ろした。フッと張りつめていた空気が消える。
 男がゴーグルを上げると、その下の紫の瞳が露になった。苦み走った顔に人を食ったような笑み。かすかに機械音が響いた。彼の名はハヤト・ノーフィアライツ(Knight Falcon・f02564)。
「見ての通り、バイク乗りのアームドヒーローさ」
「私はヘスティア、宇宙海賊SkyFish団の船長よ」
「ほう。それで何か探すための手掛かりはあるかい、お嬢ちゃん」
「二つあるわ。一つはあれだけの戦闘機が離陸するためには相応の大きさの滑走路が必要になる。上空からでも十分見つけられるはずよ。そしてもう一つは――これよ」
 そう言ってヘスティアが示したのはAI端末上のアメリカ地図。
「電気使用量が重ねてあるわ。隠れて作ったならそれなりの電気設備も必要なはず。異常な電気を使っている場所はある程度絞り込めているわ」
「なるほど、そいつは良い。俺も一口噛ませてもらえるかい?」
 言ってハヤトは宇宙バイクからスクランブル信号を発信。それを受信したヴィークルロボットたちが二人の周囲へ次々に転送されてくる。
「敵アジトの候補地データを送ってくれ。こいつらで手分けして探りを入れよう」
「そうね。一人で探すにも限界があるし……手を借りるわ」
 データをやり取りし別れる二人。周囲のロボットたちも、散り散りになってテロリストのアジトを探しに飛び立っていく。
 ロボットやヘスティアを見送って、ハヤトは再び宇宙バイクを加速させて走り出す。
「あのテロリストども、この星を核戦争で焼き尽くすだと?」
 ハヤトは地上を見下ろす。スターシップワールドにはもはや存在しない青い星。
「好き勝手なことを言ってやがる。待ってろよ、せいぜい派手に行かせてもらうぜ」

●撮影終了後
「ふう、終わった終わった。まあバイクアクションやロボアクションは次のシーンかね」
 体を解すようにストレッチをするハヤト。近くの机でヘスティアが何やら書き物をしていた。
「これ? 監督の娘さんにあげるサインよ。まあ頼まれちゃったからね」
「撮影の時も思ったけど、お嬢ちゃんって真面目だよな」
 そうかしら、と首をかしげるヘスティアを見て、ハヤトはくつくつと笑っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

紅月・美亜
「誰を敵に回したか、分らせる必要があるな」
 相手は戦闘機を犯行に使っている。アレが本物の戦闘機かどうかは分からんが……少なくとも電子戦を挑める相手ではある。
「馬鹿めが、もう少しマシな秘匿通信を使うんだな。ほら、本拠地の場所だ。これが施設内部の見取り図、トラップの配置、関係者のSNSアカウントリスト。それでこれが……」
 作った動画を再生する。
「新作映画のPVだ。テロなんて起きていない。ただの映画撮影……と、言う事にしておいた方が好都合だろう?」
 私は、始祖の末裔にして世界を改竄するスーパーハッカーだ。この程度は造作も無し。


鈴木・志乃
アド連歓迎

右手を代償にUC発動
犯行動画をじっと見つめて、UCで読み取る、演技。サイコメトラー……では無いけど、それに近い類いの行動をする猟兵だね。

「あくまで私が読み取れるのは思念までですので。お役にたてると良いのですが。」

敵の思念が読み取れそうなものは片っ端からUCして行く。情報の欠片を残さず、全て拾い上げるように。

生存者さんからも話を聞けたら聞きたいかな。体に触れても良いのなら、当時のことをもっと細かに読み取らせてもらうよ。

戦争が起きたら世界が終わってもおかしくないような現代だもの。絶対に回避してみせる。
(役に没頭するタイプの役者)


六条寺・瑠璃緒
終末時計を進める?
人の身で最期の審判を招こうだなんて不遜だね

画面の外で、UCにより強化した誘惑と催眠術で周りの人に自身の素性を語り刷り込む

「プレジデント、災難だったね。悪を滅ぼす下準備が出来たら声を掛けてくれる?」
僕は表舞台しか興味ないんだ

僕がどんなヒーローかって?
それは彼らの口から語ってもらう方が良いだろう
大統領や周りの側近たちから褒め称えさせて傅かせて、悠然と振る舞いながら自身はカメラに目線も遣らず
疲弊している人員が居たら労いの声を
「お疲れ様。おや、君は疲れていないか。……まだまだやれるよね?」
催眠術でドーピングさせて働かせる
一瞬カメラに目を遣り、口元に人差し指をあててウインクを



●第四幕:超越者たち
「やあプレジデント、今回の件は災難だったね」
 大統領へ親し気に声をかけたのは黒髪の少年、六条寺・瑠璃緒(常夜に沈む・f22979)。絵画から抜け出したかのような中性的な美貌。あわただしいペンタゴンの騒音さえ、彼の纏う静謐な雰囲気に息をひそめるようであった。
「Mr.ロクジョウジ! 来てくれたのですね、あなたが来てくれたのならばもう安心だ。しかし驚きました、あなたは全然変わっていない」
 恭しく頭を下げる大統領と瑠璃緒は軽く握手を交わす。
「ありがとう、そう言ってもらえると嬉しいよ。悪を滅ぼす下準備ができたら声をかけてくれるかい?」
 華々しい表舞台のほかは興味がないとばかりに踵を返し歩み去る瑠璃緒。
「大統領、先ほどの方と面識が?」
「いいや。だがホワイトハウスに写真が残っている――フランクリン=ルーズベルトと握手をしている彼の写真が。彼は50年以上、あるいはもっと昔からあの姿のままなのだ」

 悠然とペンタゴンを歩き回る瑠璃緒。彼の二百年前のレコォドのファンだという連絡員をあしらい、あるいは疲弊している人員を労いながら歩むうち、奇妙な光が彼の顔を照らした。
 巨大なモニターの前、映し出された犯人の動画を真剣な面持ちで見つめる一人の女性。鈴木・志乃(ブラック・f12101)だ。美人ではあるが現代的な服装、一般人と言われても信じられることだろう。ただ一点、朝焼けの空のように光を放つ彼女の右手を除けば。
「このパイロットが抱いているのは強い怒りの感情――誰も彼も全てを憎んでいる。嘲笑も、軽蔑も、同情も、優しささえも。そしてこれは、喜び? 誰かを裏切り傷つける事への――」
 そこまで言って志乃は頭を抑えた。その顔色がひどく悪い。そこへ瑠璃緒が声をかけた。
「大丈夫かい、君? おや、そう疲れてはいないか。……まだまだやれるよね?」
「ええ、ちょっと悪意に当てられただけですので。まだ大丈夫です。――あら?」
 志乃が驚いたように自分の手を見る。彼女の顔色に血色が戻っていた。志乃に背を向けて歩み去る瑠璃緒。彼の灰色の瞳が初めてカメラを射貫き、宝石のようにあやしく煌めく。揶揄うような笑みと共にウインク。彼の瞳による催眠術が志乃の疲弊した心を癒していた。

「――ふう、パイロットの思考がなんとなくわかってきたかな」
 志乃の言葉に、近くのデスクで作業していた少女が立ち上がった。紫の髪に赤い瞳、不自然なまでに白い肌。紅月・美亜(厨二系姉キャラSTG狂・f03431)だ。美亜はつかつかと志乃のところへ歩み寄ると、彼女の目の前でPCを開く。
「パイロットの思考が分かってきた、と言ったな。ならば手伝ってもらおう」
 PCの画面にずらりと並ぶのは無数のSNSのアカウント、やけにファンシーな物や強面の男の顔写真の物などが並んでいる。
「敵組織の関係者のSNSアカウントリストだ。敵組織の本拠地の場所は分かった。施設内部の見取り図も、トラップの配置もだ。だが……、パイロットが誰なのか、それが分からない。その思考と、目的が見えない。調べてもらえるか?」
「分かりました。あくまで私が読み取れるのは思念までですので。お役にたてると良いのですが」
 美亜の言葉にうなずき、志乃は再びその右手を光らせて、PCへと手をかざす。まず一人目のアカウント。
――お金、権力、酒。暴力。偉くなりたい。のし上がりたい。あのパイロットの様などす黒さがない。この男は違う。
 次のアカウントへ手をかざした瞬間、志乃の視界が歪んだ。叩きつけるような悪意と憎悪。全身を総毛だたせながら、しのは画面へと指を突き付ける。
「この男、こいつがパイロットです。目的は復讐。ヒーローとヴィラン、この世の全てを巻き込んだ破局」
 志乃の言葉に頷き、美亜はスピーカーモードで大統領へコール。

「大統領か。敵の正体が割れた。……ふん、私は誇りある始祖の末裔にして世界を改ざんするスパーハッカーだぞ。この程度の秘匿通信を暴くなど造作もない。勿論、他のヒーローが候補地を潰したり、情報を送ってくれたのもあるがな」
 と、美亜は他人の手柄を褒めることを忘れない。
「今回のテロ、犯行グループはマングラノ派閥のエイトジェネシスというマフィアだ。中国三合会とのつながりがある。戦闘機はそちらの伝手で手に入れたのだろう」
 志乃が言葉を継いで話し始める。
「組織のトップは戦争を利用してのし上がる事だけを考えています。でも今回のテロに係わったパイロットは違います。この男は世界が滅びるまで止まらない。マフィアのナンバーツー、クライングジェネシス、彼は自分のボスさえ裏切っている」
 志乃の真剣な声に気おされて、電話の向こうの大統領達が絶句する。そこへ瑠璃緒の涼しげな声が割って入った。
『なるほど。本気で終末時計を進めて、人の身で最期の審判を招こうというわけだ。そんな不遜な相手は放ってはおけないね』
 その言葉に美亜がニヤリと笑う。その口元に始祖から受け継いだ、吸血鬼の如き牙が覗いた。
「当然だ。一体誰を敵に回したのか、奴らに分らせる必要がある。――大統領、今回の犯行の動画はSNSで広まってしまったが、新作映画のPVにカモフラージュしておいた。すべてはただの映画撮影……ということにしておいた方が好都合だろう? ああ、礼は良い、それより他のヒーローへ情報共有を頼む」
 言い置いて、美亜は電話を切ると誘う様に志乃へ視線を向ける。力強い眼差しで見返して頷く志乃。
「行きましょう。戦争が起きたら世界が終わってもおかしくないような現代だもの。核戦争は絶対に回避してみせる」

 数分後に、ヒーローたちを乗せた輸送ヘリがペンタゴンを飛び立った。目的地はエイトジェネシスのアジト、カナダべネック州カップ=オー=ムル島。
 そこが、戦いの舞台であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『オブリビオンソルジャー』

POW   :    バトル・アクション
【準備しておいた集団での連携攻撃作戦】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
SPD   :    デンジャラス・スローイング
【仲間達に全力で投げてもらう】事で【特攻モード】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    サポート・リクエスト
戦闘力のない【情報伝達用撮影ドローン】を召喚する。自身が活躍や苦戦をする度、【後方部隊から届く援助物資】によって武器や防具がパワーアップする。
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●第五幕:悪魔は笑う
 カップ=オー=ムル島、アジト内部。ボスの部屋に打撃音が響いた。倒れた男の胸ぐらをつかみ、エイトジェネシスのトップ――ヴィンセントはさらに問い詰める。
「なぜ、ペンタゴンを破壊しなかった! 貴様のおかげでヒーローたちに反撃の機会を与えてしまった!」
「だから、動画の中でも言ったでしょう。包囲網を抜けるために全部の弾薬を使わなくちゃいけなかった」
 殴られ詰問されながらもパイロットの男は余裕ありげに飄々と答える。
「あの動画もそうだ。貴様の勝手な行動のおかげで、計画がめちゃくちゃだ!」
「計画? 計画って何です、ボス?」
「貴様が提案した物だろう! ペンタゴンを破壊し核ミサイルを撃墜、防衛力が落ちた所で、中国軍が侵攻を開始する。そして中国による実効支配の暁には、俺達がこの国の支配者になると!」
「あーあれね、あの計画。あれはな――真っ赤な嘘だよバァァァァ―カッ!」
 銃声、ヴィンセントの体が吹き飛ばされる。銃を構えたままパイロットの男が楽しげに笑う。
「大体な、それじゃアメリカは壊滅しても中国が生き残っちまうだろ? 挙句、中国の犬になる? 反吐が出るね、自分でも虫唾の走る計画だった。だが、あんたは良く踊ってくれたよ、お陰で俺の機体も完成した。こいつはお礼だ、とっといてくれよ、ボス」
 逃れようとするヴィンセントの口へ銃口を突き入れ、トリガー。赤い血が舞った。それと同時に、遠くから響く爆発音。アジト全体が揺れたようだ。
「ヒーローの攻撃か。このアジトに辿り着いたな。良いね、そうじゃなきゃ面白くねぇ」
 手早くアジト内への放送スイッチを入れ、パイロットがマイクを握る。
『全構成員に告ぐ。こちらはクライングジェネシス。このアジトは現在ヒーローたちの攻撃を受けている。また我々の敬愛するボス、ヴィンセントもまたヒーローの凶弾に倒れた。これはボスの弔い合戦だ、総員、死ぬ気で戦え!』
 放送を終えてマイクをオフ。同時にクライングジェネシスはあざけるように舌を出す。
「ま、オレ様は死ぬ気なんかこれっぽちもねぇけどなぁ! さあ、来いよヒーロー。フライトの時間だ! お前らの大好きなこの世界を、目の前で滅ぼしてやるぜ。アーッハハハッ!」
 高笑いと共に部屋を出るクライングジェネシス。向かう先はアジト内の飛行場、破滅の飛行のために歩き出す。
紅月・美亜
「配置は丸裸にしたとは言え、実際に敵を排除するのは現場の仕事だ」
 デスクでコーヒーを嗜みながら、通信で味方猟兵達をナビゲートする。
「5秒待て、側面に回り込める……今だ」
 私自身は複数のUNCHAINEDによる情報収集を行い現地へは行かない。あくまで後方支援だ、今はな。
「この先の休憩所に敵が3体。警報装置は切った、手早く片付けろ」
 無論、トラップの無効化も行う。
「使うならシンプルなブービートラップにするんだったな。一切の電子機器が使われてなければ私もどうにもできないが」
 物音を立てて注意を逸らした隙に罠を起動させて巻き込む。
「これでは私に使って下さいと言わんがばかりだ」


シャルロット・シフファート
「さぁ、突撃よ!!」
見栄えするように槍の形をした軍旗の絶対四元軍旗で自身の魔力を身体能力に還元して高い運動能力を【属性攻撃】と【オーラ防御】で以てソルジャーを薙ぎ払って行くわ。

「とっておきのを見せてあげる!!」
と、五行属性の純粋属性魔術武装がそれぞれ一行属性ごとに82本顕現し、ソルジャーを殲滅すべく自立稼働して射出される。

【撮影終了後】
「お疲れ様。後でカメラの光学調整を行うから私の所へ一旦預けて頂戴」
「それと、今回のラストバトルは空中戦という事でいいかしら?」
と、良いことを思いついたかのように笑う。



●第六幕:魔法の武器と科学の武器
 カナダ、カップ=オー=ムル島の森の中、石造りの塀に囲まれた巨大な建物があった。窓は極端に少なく、隣には武装ヘリや貨物機が止められた飛行場があり、そこかしこで武装した兵士たちが銃を構え哨戒に当たっていた。
「入り口のゲートの警備体制もばっちり――まるで米軍基地みたいね」
 木の陰に身を潜め、シャルロット・シフファート(ツンデレの国のアリス・f23708)が呟くと、彼女の耳元、通信機から返答が返った。
『実際、似たようなものだ。配置は丸裸にしたとは言え、実際に敵を排除するのは現場の仕事だ。油断するなよ』
 声の主は紅月・美亜(厨二系姉キャラSTG狂・f03431)。ペンタゴンのデスクでコーヒーを啜りながらPCへコマンドを入力。ネットワーク越しの支援だ。
「分かってるわ。さぁ、突撃よ!!」
 言うや否やシャルロットは槍のついた軍旗を掲げその秘められた四代元素の魔力を開放。、自らの体に循環させる。軍旗を突撃槍の如く構え、シャルロットが一気に加速、あくびをしていた門番が彼女に気付くが、遅い。軍旗の突撃がゲートを歪ませ叩き潰した。勢いを駆ってシャルロットがアジトの敷地へ飛び込む。
『あと2秒待っていれば、こちらからゲートを開けたのに――。警報装置の停止に掛かる、建屋への侵入は少し待て』
「了解、それじゃ先にこいつらを片付けましょうか!」
 四方から駆け寄るオブリビオンソルジャーへと視線を走らせ、シャルロットは不敵な笑みを浮かべる。前方、ナイフを構えた敵へ踏み込んで一突きに倒すと、後方から切りかかる敵のナイフを石突で弾き飛ばし、くるりと反転、軍旗の穂先で薙ぎ払う。遠巻きに銃を構えるオブリビオンソルジャーたちに向けて軍旗をバトンのように高速回転。その軌跡に重なるように空中に魔方陣が浮かび上がると、ソルジャーが撃ち込んだ銃弾をはじき返した。たじろぐ敵、その隙を逃さずシャルロットが疾走、再び軍旗を旋回させ固まっていたオブリビオンソルジャーたちをまとめて吹き飛ばす。
 シャルロットが軽く息をついた所へ、美亜が入電。
『よし警報装置は切った。この先の休憩所、侵入できるように外部扉を開放済みだ。中の敵は3体、位置データを送る――私が送り込んだ警戒機の位置もな。熱光学迷彩付きで見えないだろうが、敵と間違えて壊してくれるなよ?』
 大丈夫よ、と気楽に応えるシャルロットに、美亜の顔に不安げな表情が浮かんだ。そしてシャルロットは、自宅にでも入るように気軽に休憩所の扉を開けて、侵入と同時に軍旗を一閃、中にいた二人のオブリビオンソルジャーを切り倒す。休憩所内、残りの敵は一人。
 シャルロットの攻撃を免れたオブリビオンソルジャーは壁面のスイッチをオン。天井の一部が開きセントリーガン――無人式自動機関銃が姿を現す。その銃口が自動でシャルロットを射線に捕らえる。同時に美亜がキーボードをたたいた。コントロールを奪い取る。
『使うならシンプルなブービートラップにするんだったな。単なるワイヤーや、一切の電子機器が使われてなければ私にもどうにもできなかったが』
 銃座が反転、銃口の先にオブリビオンソルジャーへと向ける。慌てて銃口から逃れようと駆けだす。しかし。
『遅い』
 放たれた銃弾がオブリビオンソルジャーへ襲い掛かり、一瞬にしてその体をハチの巣に変えた。
『どれもこれも、私に使ってくださいと言わんばかりだ』
 言い捨てて美亜はコーヒーを一口。そして香りを楽しむように深く息を吸い込む。そうする合間にも彼女の攻勢は止まらない。彼女がキーボードをたたくたびに、アジトの一室でPCが次々に機能を停止、また武器庫入口のドアが閉ざされ兵士たちへ渡る武器が封じ込められる。
「なんだこれは? 部屋がロックされた?」
 開かない扉に困惑するオブリビオンソルジャーズ。彼らの前に、通路の奥からシャルロットが姿を現す。
「やるわね美亜、それじゃ私もとっておきのを見せてあげる!」
 シャルロットが手を掲げた瞬間、空中に無数の武具が浮かび上がった。ある剣は炎を纏い、ある矢は水を纏う――陰陽五行の理を示す400を超える武具、それらが一斉にオブリビオンソルジャーたちへと襲い掛かり、爆音と共に彼らを打ち倒していく。
 直後、美亜がアジト内の放送音声を捉えた。
『なんだ、全体への放送? この声は例のパイロット、クライングジェネシスか。……ボスが死んだ? 弔い合戦? 馬鹿な、まだ攻撃ははじめたばかりだぞ。いや、そういう事か。シャルロット!』
「なによ、そんな大声ださなくても聞こえてるわ」
『敵のパイロットが動いた。おそらく例の戦闘機を飛ばす気だ。誘導する、雑魚に構わず、奴を止めるぞ』
「りょーかいっ!」
 無数の武具を従者の様に引き連れながら、シャルロットはアジトの内部を駆け出していった。

●幕間
 撮影終了後、シャルロットはスタッフたちからカメラを集めていく。
「お疲れ様。後でカメラの光学調整を行うから私の所へ一旦預けて頂戴」
「折角だ、私も少し手伝ってやろう」
 と美亜がCGや特撮用のPCを触り始める。想定監督からもカメラを受け取りながら、何気ない様子でシャルロットが訊ねる。
「それと、今回のラストバトルは空中戦という事でいいかしら?」
「ああ空中戦と地上戦という形かな? 基本的にはみんなのバトルスタイルに合わせる形になるね」
 監督のその言葉にシャルロットは何かを思いついたように、笑って見せた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

六条寺・瑠璃緒
格好良く戦闘を…ね、どうしよう
派手なアクションを求められているのかな
僕は、彼らみたいな三下は相手にしないのが格好良いと思うかなぁ

ふらりと戦場の真ん中へ
敵の攻撃には構う素振りも見せず
見向きもしないままSerenadeによるオーラ防御を展開
攻撃を防ぐと共にカウンターを
「何か用?」
漸く彼らに目を向けて、UCを発動
自傷に走る敵を奇怪なモノでも見る様に首を傾げる
そんなに構って欲しいんだね

つと向けた指先でRequiemの血刃を駆って吸血と生命力吸収を
こんな彼らの血でも刃の足しにはなるし
後はそのまま弱るなり狂い死ぬなりご自由に

嗚呼、少し構ってあげ過ぎたかな
ところで君たち何がしたかったの?



●第七幕:魔性の瞳
 アジトのそこかしこで銃声と破壊音が響き渡る。オブリビオンソルジャーたちは混乱のさなかにあった。
「くそっヒーローどもどうやってここを嗅ぎつけやがった!?」
 怒声を上げながら通路を見回すオブリビオンソルジャーたちのもとに響く足音。その足音はゆっくりと、まるで散歩でもするように落ち着いた足取りで、彼らの方へと近づいてくる。やがてT字路を曲がって暗闇から足音の主が姿を現した。暗闇に輝くような白い肌、朧げな白い翼――Serenade、六条寺・瑠璃緒(常夜に沈む・f22979)だ。
 瑠璃緒に向けてオブリビオンソルジャーたちがマシンガンを連射。無数の銃弾が瑠璃緒の背負う白い翼に打ち込まれ、流れ弾が壁を抉り天井で跳ねた。10秒も経たずに全ての銃弾を撃ちきって、オブリビオンソルジャーたちは銃を下ろし、立ちこめる煙の向こうへと目を凝らす。
 やがて、煙が晴れた後の通路には、無傷の瑠璃緒が背を向けたまま立っていた。その姿に、オブリビオンソルジャーたちが悲鳴のように喉を鳴らす。そこで初めて気が付いたかのようにゆっくりと瑠璃緒が振り向き涼し気に問いかける。
「何か用?」
 彼らは見た。見てしまった。瑠璃緒の灰色の瞳に自分たちの姿が映っているのを。
 オブリビオンソルジャーたちは素早く銃を捨てナイフを抜き放つと、その切っ先を自らの体に突き立てた。不思議そうに首を傾げる瑠璃緒の前で、オブリビオンソルジャー達は己の喉を腹を腕をナイフで切り裂き、血を噴き上げる。その光景に瑠璃緒はふと息をついた。
「わざわざ自分で体を傷つけて、そんなに構って欲しいんだね」
 瑠璃緒がつぅっと白い指をオブリビオンソルジャーたちへ向ける。その指先に赤い珠のように血が滲み、直後、血がRequiemの刃と変じて大きく伸びる。血の切先が貫いたのはオブリビオンソルジャーの胸、その傷口から一瞬だけ血が噴き出し、すぐに止まる。瑠璃緒の血の刃がオブリビオンソルジャーの血と生命力を吸い上げていた。握力を失い、ナイフを取り落として倒れ伏すオブリビオンソルジャー。続けて一人また一人と、ぞの場にいた全員から血を吸い上げると瑠璃緒はRequiemの刃を指へと戻す。その人差し指に一滴分だけ血が残っていた。指先を唇に触れさせて放す――それだけで指先の赤い染みは消えていた。
 そうして瑠璃緒は倒れ伏したオブリビオンソルジャーたちへ目を向ける。
「嗚呼、君たちの血でも刃の足しになると言って少し構ってあげ過ぎたかな。……ところで君たち、一体何がしたかったの?」
 返答はない。かすかに身じろぐオブリビオンソルジャーたちへ興味を失ったように背を向けて、瑠璃緒はアジトの奥へと歩き出す。
 ゆっくりと、何事もなかったかのように。

成功 🔵​🔵​🔴​

ハヤト・ノーフィアライツ
アドリブ連携歓迎っと。

お約束ってやつか。わかりやすくて助かるね。
さあ来な、雑兵共!まとめて相手になってやるぜ!
指定UCを使用、【騎乗】中の宇宙バイクを強化。

まず挨拶代わりに【誘導弾】の【一斉発射】をぶちかまして。
【戦闘知識】で連中の団体行動の予測を立てつつ、【早業】で回避しながら立ち回る。
とはいえ、数の利を活かすなら包囲殲滅とかになる可能性が高そうなんだが。
【ダッシュ、ジャンプ、クライミング、空中浮遊】を駆使して、場合により壁だの空だの走りながら【ランスチャージ、踏み付け、グラップル、鎧無視攻撃】を駆使して立ち回る。
まぁ、映画なんでね。なるべく派手なアクションにさせて貰うぜ。


フィランサ・ロセウス
基地に突入したヒーロー達を取り囲む大量のオブリビオンソルジャー!
と、その内の一人が突然持っていた銃を乱射!
あろうことか味方の頭を吹き飛ばし始めたではないか!
味方の突然の凶行を止めようと放たれる銃弾を、
その兵士はまだ息のある同僚を盾にしたり、
隠し持っていたワイヤーガンで跳び回りながら巧みにかわしつつ銃撃
弾が切れたら銃床を鈍器代わりに、あるいはナイフ、時に素手で1人また1人と味方を手に掛けていく……

うふふ、私だよ!
テロリストの手下のフリをして紛れ込んでいたの!(服と銃は親切な兵士さんから「譲ってもらった」)
予定より早いけれど、お客さんの数は充分ね
さあさあ!みんなで刺激的なダンスを踊りましょ♥️



●スピードスターズ
 森に囲まれたアジト、破壊音は未だに響いているが、オブリビオンソルジャーたちは徐々に落ち着きと統制を取り戻しつつあった。詰め所から隊列を組んで迎撃に向かうオブリビオンソルジャー達、そしてそれを空中から見下ろす一つの人影――宇宙バイクにまたがったハヤト・ノーフィアライツ(Knight Falcon・f02564)だ。
「アジトの中の武装集団、お約束ってやつか。わかりやすくて助かるね。それじゃあ一つ、引っ掻き回してやる!」
 アクセルレバーを握りこみ、ハヤトは宇宙バイクを加速。エンジン音が響かせ、空に排煙を棚引かせながらハヤトは手近な集団へ向けて急降下。その音に気付いたオブリビオンソルジャーの一体が見上げた時には宇宙バイクのタイヤが視界一杯に広がり。衝突。
 敵の頭部を跳躍台代わりにジャンプして、ハヤトを乗せた宇宙バイクがオブリビオンソルジャーたちの前方に着地、横滑りに車体を止める。
「好き勝手やってくれてるようだな。だがそれもここまでだ。さあ来な、雑兵共!まとめて相手になってやるぜ!」
 ハヤトの言葉と同時、宇宙バイクに積まれていたブラストユニットが開き、内部から十数個のミサイルを発射。それらは空中でさらに小型のマイクロミサイルに分裂し、周囲のオブリオンソルジャーたちを追尾。立て続けに爆発し標的を吹き飛ばした。
「たわいない連中だな」
 ハヤトがそう独りごちた瞬間、三十人ほどのオブリビオンソルジャーたちが彼を包囲するように姿を現し、一斉に彼に銃口を向けた。
「動くな、これだけの銃を受ければいくらヒーローと言えどただではすむまい」
「さあてそいつはどうかな?」
 言いながら、ハヤトはレーザーブレードの発振機を握り、壁を背にするように少しずつ移動する。銃声、オブリビオンソルジャーの銃が火を噴き、仲間であるはずの別のソルジャーの頭を撃ち抜いた。咄嗟にハヤトは壁を足場に高く跳躍。空中にいる彼をオブリビオンソルジャーたちがハヤトを撃とうとするが、引き金を引くより早く、先ほど仲間を殺したオブリビオンソルジャーに頭を撃ち抜かれていく。
「ええい何をやっている! その裏切り者とヒーロー、二人ともハチの巣にしてやれ!」
 放たれる銃弾をハヤトは空中を浮遊するように回避。仲間殺しのオブリビオンソルジャーは撃たれる寸前、近くの仲間の手首を極めて体勢を崩し、放たれた銃弾をその体で受け止めさせる。続けざまに向けられる銃弾から逃れるようにワイヤーガンを射出。ワイヤーを捲き上げて高速で空中に飛び上がり、眼下のオブリビオンソルジャーたち目掛けて銃を乱射。入れ替わるようにハヤトが地上へと飛び込み、青く輝く双刃のレーザーブレードでオブリビオンソルジャーたちを切り捨てる。仲間殺しのオブリビオンソルジャーがワイヤーガンを分離して、ハヤトの背後に降り立つ。思わず体を固くするハヤトへ彼女は声をかけた。
「うふふ、大丈夫。私だよ! 手下のフリをして紛れ込んでいたの!」
 オブリビオンソルジャーの服を手早く脱ぎ捨て、中から現れたのはフィランサ・ロセウス(危険な好意・f16445)。
「貴様もヒーローかっ! 我々の戦闘服をどうやって手に入れた!?」
「私が潜入して最初にあった兵士さんが親切でね。譲ってもらえたんだよ☆」
 そう言って笑うフィロンサの顔には所々に返り血がこびり付いていた。
「ふふっ、予定より早いけれど、お客さんの数は充分ね。さあさあ! みんなで刺激的なダンスを踊りましょ♥️」
 そう言ってフィロンサが指を鳴らした。同時に銃声、幾つもの銃弾が一斉に彼女に向かう、その軌跡からフィロンサの姿が掻き消えた。一瞬後、一人のオブリビオンソルジャーの目の前に姿を現したかと思えば、瞬きより早くその喉を切り裂いている。
 思わず後ずさるオブリビオンソルジャーたち、そこへ宇宙バイクでハヤトが突進。
「おっと、オレのことも忘れるなよ?」
 言ってハヤトは竜槍を構えて突撃、包囲網を破ると一気に加速。そしてそのまま一人、また一人とオブリビオンソルジャーを轢き飛ばす。
 もはや完全に形勢は逆転していた。次々に倒れる部下を尻目に不利を悟った小隊長が、二人に背を向けて逃げ出す。その背中に向けてハヤトが残ったミサイルを発射。その弾頭が逃げる小隊長に直撃し爆発。同時に、フィロンサが倒れたオブリビオンソルジャーの頭を叩き潰した。
 周囲の敵を全滅させて、軽く息をつくハヤト。
「さっきは助かったぜ。礼を言う」
「うんうん、私ちゃんとお礼を言える人、大好きだよ。でもまだまだ踊り足りないし、今度はあそこの皆に付き合ってもらおっか♥️」
 言ってフィロンサは笑顔で次のオブリビオンソルジャーたちを指さすのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

鈴木・志乃
アド連歓迎
私あんまり攻撃的な技持たないからさ、他猟兵の補助をやらせてもらえると有難いな?

「あんまり無理しないで下さいね、皆さん!」
高速詠唱で光輝くオーラ防御を味方猟兵に展開。
自身は第六感で攻撃を見切り、光の鎖(念動力操作)で早業武器受けからのカウンター捕縛

「おーおー、相手さんの支援ですか。悪いですけどさせませんよ?」
念動力で手持ちのハッキングマシンをドローンにピタッと張りつける。敵が味方に、味方が敵に見えるように情報を書き換えちゃうよ。物資こっちにおいで~。

何がしかの理由で狙いつけられた場合
「アホですね、貴方。」
UC発動捕縛。全力魔法でなぎ払い攻撃(フリ)
「能ある鷹は爪を隠す、ですよ?」


ヘスティア・イクテュス
マフィアが戦闘機…
どのルートで持ち込んだのか知らないけど…
海にしろ空にしろ流石に怠慢じゃないかしら?

まぁ、済んだことをあれこれ言っても無駄ね
今は目前のことね、破滅主義者に勝手に平和を奪われるのは癪だし
さっさと吶喊して片付けましょうか


狭い通路ならタロスで攻撃を『盾受け』して
そのままお返しのミスティルテインで撃ち抜き

数を減らしたらそのままティターニアで『ダッシュ』で接近
E.O.Sですれ違いざまに切り裂く

数を揃えたところで…
これ以上無駄死にしたくなかったら大人しく道を空けなさい



●第九幕:ガンファイト
 アジトには再び静寂が戻っていた。微かに響く足音、ヘスティア・イクテュス(SkyFish団船長・f04572)は曲がり角に背を預けるように立ち、鈴木・志乃(ブラック・f12101)に立ち止まるように手で示す。愛用のビームライフルを構え、曲がり角の先を覗き込むように顔を出す。瞬間、銃声が響いた。放たれた銃弾が壁に穴をあけ、硝煙の匂いをまき散らす。
 ヘスティアもまたビームライフルだけを曲がり角の先に突き出しトリガー。狙いも定めぬままに連射するが、手ごたえがない。一瞬銃撃が止み、代わりに何かが転がってきた。カーキ色の小型の球体。
「しまった、手榴弾っ!?」
 咄嗟に志乃が高速で呪文を唱え、光り輝く防壁で2人を包む。直後、手榴弾が爆発。爆炎が2人を包んだが、二人には届かない。ただ爆風が彼女たちの髪を揺らすだけであった。
「埒が明かないわね。こうなったらさっさと吶喊して片付けましょうか」
「ある程度の補助はできますけど、あんまり無理しないでくださいね?」
 大丈夫よ、と手を振ってヘスティアは一機のドローンを転送すると、ドローンを盾にしながら曲がり角を飛び出して一気に駆け出す。
 角の先にいたのは五人ほどのオブリビオンソルジャーたち。彼らがヘスティア目掛けて銃を連射。同時にヘスティアのドローンがバリアを形成、銃弾を空中で受け止める。
「お返しよっ!」
 再びヘスティアがビームライフルを発射、しっかりと体勢を整えて発射したビームが次々にオブリビオンソルジャーたちを捉え撃ち倒していった。
 最後の一体が倒れると同時、ヘスティアの背後から物音がした。曲がり角の向こう、志乃がいた場所だ。慌てて駆け戻り、角を曲がったヘスティアの目に飛び込んだのは、光り輝く鎖を自在に操り、オブリビオンソルジャーをがんじがらめにしている志乃の姿。
 彼女の足元には他にも数人のオブリビオンソルジャーが転がっていた。
「挟み撃ちのつもりで来たんでしょうけど、アホですね、貴方。私だって戦えます。能ある鷹は爪を隠す、ですよ?」
 オブリビオンソルジャーへ言い捨てて、志乃は戻ってきたヘスティアに視線を向ける。
「角の向こうは片付きましたか? それじゃあこのあたりの敵は一掃できましたね」
 志乃の言葉にうなずき一つ。ヘスティアたちは再びアジトの奥へと歩き始める。
「それにしても、マフィアが戦闘機を持つだなんて、どのルートで持ち込んだのか知らないけど……海にしろ空にしろ、流石に怠慢じゃないかしら? おかげで破滅主義者に勝手に平和を奪われそうだし」
「このあたりはカナダに入っていますからね。それぞれの連携の隙を上手くついたんでしょう」
「大掛かりな組織の限界ね。まぁ、済んだことをあれこれ言っても無駄ね。今は目前のこと――。ねぇ、さっきから敵が少なすぎない?」
「言われてみれば。逃げ出したのか、それとも……」
 志乃の言葉と同時、二人の背後で隔壁が閉まった。正面通路に並ぶ無数の銃口、数十のオブリビオンソルジャーたちが袋小路の二人へと銃を向けていた。
「これが狙いってわけね。でも、数を揃えたところで……私達には勝てないわ。これ以上無駄死にしたくなかったら大人しく道を空けなさい」
 返答は銃声。オブリビオンソルジャーたちが放った銃弾をヘスティアは盾型ドローンで防ぎ、ビームライフルで応戦。しかし敵の数が多く、なかなか弾幕が減らない。
 銃火の向こう、オブリビオンソルジャーたちの頭上にドローンが浮かんでいた。
「敵のドローン、この戦闘の映像を送っている? おーおー、相手さんの支援ですか。悪いですけどさせませんよ?」
 志乃は懐から小型ロボットを取り出し念動力で射出。狙いは敵頭上のドローン。命中した小型ロボットはドローンの可動部分の隙間から内部に潜り込んで、コントロールを奪取。
 ドローンは受け取ろうとしたオブリビオンソルジャーの手を逃れるように浮かびあがり、志乃たちのもとへ。
「は~い、いらっしゃい。物資こっちにおいで~」
 開いた箱に入っていたのはロケットランチャー。志乃は同梱の資料を見よう見まねで操作していき、敵目掛けてロケットを発射。慌てて逃げ出そうとするオブリビオンソルジャーたち。志乃が咄嗟に背を向け耳をふさぐ。爆発。放たれた爆炎がオブリビオンソルジャーたちを焼いた。
 ヘスティアがジェットパックを起動し一気に加速、立ち上る煙を突っ切るように切り込むと、光り輝くビーム剣を振りかざし。気合一閃、すれ違いざま残りのオブリビオンソルジャーを切り倒した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『黒龍』

POW   :    “黒雲翻墨既遮山”
【機体内部に格納していた鋼の四肢を解放する】事で【格闘戦形態】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
SPD   :    “灰雨跳珠亂入船”
【随伴ドローン機と翼下の副砲】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
WIZ   :    “卷地光來忽吹散”
【機首】を向けた対象に、【機首下の主砲から発射される緑色の光線】でダメージを与える。命中率が高い。
👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠フォルティナ・シエロです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●幕間
 撮影を終えた猟兵達へ差し入れを配りながら、監督が声をかける。
「みんな、撮影お疲れ様! みんなの協力のおかげで良い画が撮れてるよ!
 他のシーンの撮影なんかも進めたいから、次の撮影までは少し待ってね」

(MSより、第三章のプレイングは9月10日8:30~を予定しています)
シャルロット・シフファート
凶悪な期待性能を誇る黒龍の前に次々と殉職していく軍隊。
だが、そこにIFFに味方識別を告げる五体の機体とその僚機、AWACSからの通信が。

「こちらAWACS『ダアト』、アメリカ空軍及び国連加盟国空軍から選出された五名の伝説と歌われたパイロット『零騎士』、『冥府神』、『炎霊』、『守護天使』、『魔弾の射手』の五名及びその僚機部隊を召集に成功。私の星霊炉運用技術によって作られたそれぞれの搭乗者ユーベルコード発現機体に搭載して出撃した」
「五名は一人一人が単騎で空軍一個飛行隊に匹敵する実力を有し、それを私が作成した機体で各僚機部隊共々引き上げてる」
「十二分に勝算はあると断定。これより交戦を開始するわ!」


紅月・美亜
「最後は空中戦だな……空中格闘なら、私自らが出る!」
 FRONTIERを先頭に、BLACKと編隊を組み仕掛ける。
「最終平和兵器、僕らは引き返せない」
 BLACKのSAAMを一斉射撃してミサイル弾幕を張り牽制しながら散開。FRONTIERで機銃を撃ちながら突撃。当たらんだろうが、狙った位置に誘導できれば重畳。遠距離で包囲したBLACKの収束ビームを浴びせてやる。
「僕らはずっと、待っていたんだ!」
 急旋回で機首を黒龍に突き付けてリボルバー主砲六発、オマケにボムも直当てでくれてやる。
「Operation;GUN FRONTIER、とでも言った所か」

「待て、このカットは角度が悪い。修正してやる」


ヘスティア・イクテュス
ついに追い詰めたわねテロリストさん?
貴方の事を起こした理由とかはどうでもいいわ、どうせ理解できないし

世界の平和を奪わせないために、貴方の命を奪う
ただそれだけよ


ティターニアによる『空中戦』
ミスティルテインを威力重視モードこれで…

まさか!可変機…!?
哀れわたしは敵の攻撃を受け破裂……
と思わせてのダミーバルーンにホログラムを被せた囮【残像】

光学『迷彩』を解き
申し訳ないわね!本物のティターニアの出力はあんなもんじゃないわ!【ダッシュ】
マイクロミサイルとミスティルテインの『一斉発射』でトドメ

破滅したいなら自分一人で破滅することね



…ふぅ…流石に汗かいたわね
空中戦の機動はあんな感じで大丈夫だったかしら?


ハヤト・ノーフィアライツ
アドリブ連携歓迎っと。

とりあえず手始めに、建屋ごと戦闘機の攻撃を受けてそのまま埋まるぜ。
でもってお約束の生死不明っと。

…まぁちょっとくらい埋まろうが、幾らでも抜け出せるんだが、それはそれ。
【激痛耐性】でダメージを跳ね除け、真の姿を解放、瓦礫をブチ破りながら指定UCで巨大合体。そのまま飛び出す。

「一応聞いといてやるぜ。覚悟はいいか?俺は出来てる。俺の正義を貫く覚悟がな!」

【信じた正義を貫く心】によって【限界突破】パワーアップして金ピカに。
【戦闘知識】によって相手の動きの予測を立て、【空中戦、グラップル、怪力、ランスチャージ、カウンター】を駆使して殴り合いを。
【早業】で回避、【武器受け】で防御。



●第十幕:ラスト・フライト
 アジトに響き渡るエンジン音。床を通じて伝わる揺れ。窓際に駆け寄ったハヤト・ノーフィアライツ(Knight Falcon・f02564)が目にしたのは、アジトの敷地の一部が割れ、一機の戦闘機がせりあがってくる姿。
 ハヤトは三階の窓から宇宙バイクで飛び出し着地。戦闘機へとランスの矛先を向ける。異変に気付いたのはハヤトだけではない。
「あーもう、一歩遅かったわ!」
 地下階段からシャルロット・シフファート(ツンデレの国のアリス・f23708)が姿を現し、ヘスティア・イクテュス(SkyFish団船長・f04572)が背中のジェットパックで舞い降りた。
「これが、ペンタゴンを狙った戦闘機」
『黒龍だ。覚えておきなヒーロー、自分を叩き潰す兵器の名前をな』
 黒龍のスピーカーから響き渡るパイロット、クライング・ジェネシスの声。
『待ちかねたぜ、この時を。てめぇらヒーローには何度も何度も――』
「黙りなさい、テロリストさん。あなたが事を起こした理由とかはどうでもいいわ。どうせ聞いても理解できないし」
 クライング・ジェネシスの言葉を遮ってヘスティアがビームライフルの銃口を向ける。
「降伏しなさい。抵抗するなら、世界の平和を奪わせないために、貴方の命を奪う。ただそれだけよ」
『ハッ、何を勘違いしてやがる。――命乞いをするのはてめぇらの方なんだよっ!』
 黒龍のジェットエンジンがうなりを上げ、一気に加速。咄嗟にシャルロットたちは横へと飛びのき、彼らがいた場所をアフターバーナが焼いた。立ちこめるアスファルトの焼ける匂い。黒龍が空中で反転、そのまま機首を地上へ向け、緑色のビームを発射。
 頭上から降り注ぐ光が三人の目の前を焼き、さらには彼らの隣の建屋をも破壊していく。降り注ぐ破片、ひときわ巨大な鉄骨がヘスティアの頭上目掛けて落下する。
「危ないっ!」
 咄嗟にヘスティアを突き飛ばすシャルロット、彼女を庇う様に体で覆うハヤト。鉄骨が地に落ち轟音を上げる。そしてそこに降り積もるように無数の建材が落下し――ヘスティアが振り向いたときハヤトとシャルロットの姿は無かった。
「ちょっと! シャルロット! ハヤト! 返事をしてっ!」
 瓦礫の山をかき分け二人を掘り起こそうとするヘスティア。そこへ黒龍が急降下、地面スレスレの高度で、ヘスティアの頭上を越える。一瞬後、機体に伴ったソニックブームがヘスティアの体を宙に舞いあげた。ジェットパックを起動し姿勢を制御。彼女目掛けて突進してくる黒龍へと逆に加速。
「小回りだったら私が有利、後ろを取って格闘戦に持ちこむ!」
 黒龍との距離が瞬く間に縮まる。コクピットの中クライング・ジェネシスの口が大きくゆがむのが見えた気がした。すれ違う寸前、ヘスティアの目の前に黒い壁が生えた。それは五本の指で、回避行動をとろうとするヘスティアを捕まえる。モーターの駆動音と共に、黒龍の機体が二つに折れ、人形のロボットへと変形した。その手の中に捕らえられヘスティアは脱出しようとするが、びくともしない。
「しまった、まさか! 可変機だったなんて……!?」
『そぉーうだよ間抜けめ、切り札ってのは最後まで隠しておくものさ』
 腕部のアクチュエーターが駆動し、鋼の手に力がこもった。破裂音、とじ切った指の合間から赤い血が滴った。鼻歌交じりで、クライング・ジェネシスは黒龍を戦闘機形態へ再変形、空へと飛び立った。目標はアメリカ国防省、ペンタゴン。
『さあ終わりの時間だ。最終戦争を始めようぜ! 派手に燃える世界を見せてくれよ!』

「まずいな……。大統領、報告がある。時間がない、歩きながら話そう。悪い報告と最悪の報告だ。どちらを先に聞く?」
 ペンタゴン内部、紅月・美亜(厨二系姉キャラSTG狂・f03431)が大統領に声をかけた。大統領と長官が思わず顔を見合わせる。
「では、最悪の報告から頼む」
「アジトに潜入していたヒーローたちが敵戦闘機と交戦、全員が通信途絶。生死不明だ。悪い知らせの方は、敵戦闘機がここペンタゴンに向かってきている。到着まであと三十分だ」
「それは、二つとも最悪の報告だ」
「そうでもない。後者にはまだ手が打てる」
 絶望したような大統領の言葉に、美亜は決然と言葉を返し、中庭への扉を開けた。
「私自らが出る。私が奴を地上へと叩き落そう」
 扉を開けた先にあったのは、拳銃を象った一機の戦闘機、FRONTIER。
「奴が乗っているのが最終戦争兵器だというのなら、こちらは最終平和兵器だ。Operation;GUN FRONTIER――始めるとしよう」

 破壊されつくしたアジト。アスファルトに残った赤い染み、それが不意に掻き消えた。同時に何もなかったはずの空間に現れる人影。青い髪に妖精の羽の如きジェットパック、ヘスティアだ。
「咄嗟にダミーバルーンと入れ替わったけど、危なかったわね。ホログラムが無ければ誤魔化せなかったかも」
 息を吐くヘスティアのすぐそば。瓦礫の山が動き出し、その下から鋼の指が突き出した。瓦礫をかき分けて脱出してきたのは人型のサイボーグ、真の姿を開放したハヤトだ。彼の左腕に守られるようにシャルロットの姿があった。
「良かった、二人とも無事だったのね」
「ああ。それと本部とも情報は共有した。奴はペンタゴンに向かってるらしい。俺達も急いで向かいたいところだが……」
 そこまで言ってハヤトがシャルロットへと視線を向ける。
「足がないってわけね。多少遅くはなるけど私のティターニアならなんとか」
「あら、大丈夫よ。私の星霊炉を甘く見ないで頂戴」
 言って胸を張るシャルロットの頭上に六機の航空機が舞った。その内の一機、巨大レーダーを搭載したAWACS――早期警戒管制機が着陸しタラップを下す。
「これで敵を探しながら追いかけるわ。二人とも乗っていく? 体力は温存したいでしょう?」
 シャルロットの言葉にハヤトとヘスティアは一瞬顔を見合わせた後、頷いて見せた。

 飛行する黒龍のコックピットの中、クライング・ジェネシスが眉をひそめながらレーダーを見る。
「ちっ空軍共何のつもりだ? ヒーローが全滅して命懸けの攻撃を仕掛けてくるかと思ったが、威嚇射撃ばっかりで仕掛けてこねぇ。時間稼ぎ、アジトの連中を仕留めそこなったか? それとも――」
 言いかけた所で、レーダーに反応。前方に一つの光点が浮かんだ。
「別のヒーローが最後の希望ってか! ならその希望を叩き潰す!」
 黒龍がジェットエンジンをふかして加速。その機体を見据えながら美亜は本部へ通信。
『こちらブラボー・ワン、エンゲージ!』
 慣れた手つきで通信を切り美亜は自機の周辺に数百機に及ぶ小型戦闘機、BLACKを召喚。
「最終平和兵器、僕らは引き返せない――さあ行くぞ!」
 小型戦闘機達が突進してくる黒龍目掛けて一斉にミサイルを発射。黒龍がバーナーを緩めて減速、同時にフレアをばらまき、ミサイルの赤外線レーダーを撹乱。その隙にBLACK達が機首を曲げて旋回、黒龍を取り囲むように散開。唯一、美亜の駆るFRONTIERだけは、黒龍へ向けて加速、翼下機銃を連射しながら突っ込んでいく。機首を上げて機体を持ち上げ、射角から逃れようとする黒龍。高速ですれ違う二機、瞬間クライングジェネシスは黒龍下部の副砲でFRONTIERを狙うが、周囲を取り囲んだBLACKが反転、四方八方から黒龍へビームを浴びせかける。黒龍がバランスを崩し、放たれた副砲はFRONTIERの翼を掠めて宙を焼いた。
 ビームから逃れるように黒龍が加速、同時にFRONTIERが大きく機体を傾けて急旋回。黒龍の後ろにつく。
「僕らはずっと、待っていたんだ! ――全弾持っていけ!」
 黒龍が減速、しかし照準から逃れるより早く、美亜はFRONTIERの主砲を連射。放った一撃が命中するたび、黒龍の機体を衝撃が襲いその装甲に穴が開く。大きく減速する黒龍に対し、後方の美亜は機首を上げて腹下を見せ、すれ違いざまに格納していた爆弾を開放。落下した爆弾がキャノピ後方に命中し爆発。爆炎が黒龍の機体を包んだ。

 立ち上る爆煙の中、美亜は様子を探るようにFRONTIERを旋回させた。直後、煙の向こうから放たれた緑の光線が空中を薙ぎ払いBLACKを焼く。小爆発と共に機能停止するBLACK達。
薄れた爆煙の中から現れたのは、傷つき装甲をへこませながらもいまだ健在の黒龍。
「しぶといな。だが、それならばもう一度――なんだ、入電?」
『こちらアルファー・ワン、AWACS『ダアト』、エンゲージ! 待たせたわね騎兵隊の到着よ!!』
「アルファ―・ワン、シャルロット、生きていたのか! それで他の五機は何者だ!? なぜFw190が――ドイツ空軍が味方識別信号を送ってくる!」
『私が招集したのよ。過去を生きた五人の伝説のパイロットたち。まあルーデル――『冥府神』が愛機に乗りたいって騒いでくれたおかげで国籍も時代もばらばらになっちゃったけど。ともかく十二分に勝算はある。これより交戦を開始するわ!』
 彼女の言葉を皮切りに黒龍へと向かう五機の戦闘機。Fw190にメッサーシュミットが三機、やや外れ気味に飛ぶスピットファイア。その姿を見て、クライングジェネシスが笑う。
『どれこれも70年前の機体じゃねぇか。この黒龍の前じゃ、ガラクタ同然――そら後ろを取ったぜ!』
 最初に狙ったのは単独飛行気味だったスピットファイヤ。黒龍は目の前を飛ぶ機体へ照準を合わせ、副砲を発射。寸前、スピットファイヤが機体を傾けてわずかに照準を外した。放った副砲が宙を焼く。
「くそっ、運のいい野郎だ!」
 クライングジェネシスは次弾に向けて照準を合わせようとするが、きりもみの様に回るスピットファイヤはわずかずつ機体の芯をずらし、照準を合わせきれない。そのまま、打ちあぐねるうちに二機は続けざまに入道雲へと突入。キャノピの周りの光景が真っ白い雲に包まれた。前のスピットファイヤも見えず、レーダーからも反応が消えていた。速度を抑え、安定飛行へ入るクライング・ジェネシス。
 雲が途切れ視界が広がる。クライング・ジェネシスは周囲に素早く目を走らせ敵機がないことを確認。直後、レーダーに反応。黒龍の後方、入道雲からスピットファイヤが飛び出す。スピットファイヤの機銃が黒龍を捉え、装甲に無数の穴をあけていく。
「馬鹿な! あの雲の中で、何も見えない中で! オレ様の後ろに回ったのか!」
「――その黒い機体、雲の中では実に良い目印になった。もっとも、何も見えなくてもコックピットの計器があれば宙返りくらいたやすいがね」
 言い置いて、スピットファイヤのパイロット、零騎士がシャルロットの乗るAWACSへと通信を入れる。
『各機、相手は素人だ。正規の訓練は受けていない。たやすく追い込めるはずだ。それと――この機体、機銃の威力が異常だ。何か改造を?』
『ええ、さすがに昔のスペックのままじゃあの機体には通用しないから、ちょっと威力を上げさせてもらったわ。それじゃあ――冥府神、零騎士、炎霊、守護天使、魔弾の射手、あのテロリストに自分が狩られる側に回ったと教えてあげなさい』
『『『『『『イエス・マム!』』』』』
 シャルロットの言葉と同時に、メッサーシュミットとFw190が加速。単騎で空軍一個飛行隊に匹敵する実力を持つトップガンたちが、一斉に黒龍へと襲い掛かっていき、その機体をずたずたに撃ち抜いていく。
「流石に同情するね。しかしまあ、容赦はしないがね」
「そうね、もうあまり猶予はないしここで仕留めましょう」
 AWACS後部のキャリアからハヤトとヘスティアが飛び出す。二人の目には着実に近づきつつある地上のペンタゴンの姿が映っていた。

 戦闘機形態での戦闘が不利と悟って、クライングジェネシスが黒龍を人型へと変形させ迎撃を開始する。トップガンたちが攻めあぐねる中、突っ込んでいくのはハヤト。突進の勢いをのせたランスの一撃で装甲を引き裂き、旋回しかけた所へクライングジェネシスが反撃。ハヤトの体を左手で捕まえる。
『アジトにいたヒーロー生き延びてやがったか。残念だったな、俺様を負ってこなければ少しは寿命が延びたって言うのによ』
 言葉と同時、空中から放たれたビームが黒龍の頭部に命中、装甲を焼く。黒龍が胸部バルカンを空中へばら撒き、その背後の空間に滲むようにヘスティアの姿が現れる。
『まさか! 完全に透明化する光学迷彩だと!』
「切り札は最後まで隠しておくもの、だったかしら? 同感よ」
 エネルギーをフルチャージしてのビームライフルの一撃が、黒龍の右手を焼き切った。
『ぐっ、くそってめぇら。これ動くんじゃねぇ! 一歩でも動いたらこいつを握りつぶす!』
 クライング・ジェネシスの言葉にほかならぬハヤトが笑った。
『なんだ、何がおかしいっ!?』
「この期に及んで俺を人質にしようっていう貴様の頭のめでたさ具合さ。切り札は俺にもある。最大出力だ、腰を抜かすなよ!」
 言葉と当時にハヤトは全身に力を込めて、自らを捉える手を怪力でこじ開ける。掌を足場に大きく跳躍。空を舞ったハヤトの体に向けて巨大ロボットが飛翔。ロボットは内部にハヤトを取り込むように合体、頭部アイグラスに光がともり、機体全身が金色の輝きを放つ。いまやハヤトの大きさは人型となった黒龍に勝るとも劣らない。
「一応聞いておいてやるぜ、クライング・ジェネシス。覚悟はいいか? 俺はできてる。俺の正義を貫く覚悟がな!」
 人差し指を突き付け言い放つハヤトへ向けて、クライング・ジェネシスは黒龍をブーストし加速。勢いを乗せたローリングソバット、その一撃をハヤトは左腕でガード。押し込まれる勢いで体をねじり腹部への膝蹴り。双掌打で黒龍の機体を突き飛ばす。一旦距離は離れるが黒龍が再度加速、応じるようにハヤトもブーストを吹かし接近、二機は同時に拳を振り上げて叩きつけた。拳と拳が衝突、一瞬の膠着。すぐに黒龍の拳が歪み腕がひしゃげた。ハヤトの拳が黒龍の左腕をねじ伏せ黒龍の頭部――コックピットを殴りつける。機体制御を失い、吹き飛ばされる黒龍。そこへハヤトが加速、マウントしていたランスを構えて一直線に突進し、その穂先で黒龍の胸元を貫いた。

 勢いを失った黒龍に更に他の猟兵たちが追撃する。美亜の操るFRONTIERの主砲が黒龍の脚を撃ち抜き、シャルロットの呼び出したトップガンたちの射撃が黒龍の背面装甲を吹き飛ばした。
『クッハハッ、さすがヒーロー、この黒龍すら玩具扱いとはな。だが、勝つのは俺様だ! この機体にはまだ一発だけミサイルが残ってる。これを俺はどうすると思う? こうするんだよ!』
 わずかに残ったスラスターで黒龍は地表へ向かう。その落下先には五角形の建物――ペンタゴン。
『ヒャッハハッ! てめぇら全員俺様と道ずれだ!』
 追いかけようとする猟兵たちに向かい、黒龍は温存していたドローンを射出、同時に残った弾を打ち切るように機銃から銃弾をばらまいていく。
 その弾幕を抜けて加速していく小さな影、ヘスティアが背部のティターニアを最大出力。落下していく黒龍を追い抜いて反転。持っている限りのマイクロミサイルと手にしたビームライフルの照準を黒龍に合わせる。
「誰一人道ずれにはさせない、破滅したいなら自分一人で破滅することね」
『ち、くしょーーがぁーーーーーーーーっ!』
 トリガー、無数のミサイルと光線が黒龍に襲い掛かり爆発、内部のミサイルに誘爆し黒龍の機体が空中で爆ぜた。

 息をつくヘスティアの元へ、美亜やシャルロットが機体を寄せ、ハヤトが何かに気付いたように地上へと手を振って見せる。その視線の先はペンタゴンの入り口、猟兵たちへ向けて手を振る大統領たちの姿があった。
 着陸し、帰還した四人の一人一人と握手をしていく大統領。
「ありがとう、ありがとうヒーロー! 君たちのおかげでアメリカは、いやこの星は救われた。私は君たちの事を誇りに思う! 本当にありがとう!」

●終幕:エンドロール
 大統領の顔がセピア色に染まり画面が暗転。壮大なBGMと共にエンドロールが流れ始める。そして画面の4分の1ほどのサイズで、撮影中の猟兵たちの姿が流れ始める。
「待て、このカットは角度が悪い。少し待っていろ修正してやる」
 と、キーボードを叩いて編集を進める美亜。

「空撮はこんな感じかしら?」
 シャルロットがカメラ付きドローンをばらまき、静止している黒龍の模型をまるで飛んでいるような映像に仕立てていく。

「ふう。流石に汗かいたわね。空中戦の機動はあんな感じで大丈夫だったかしら?」
 タオルで汗をぬぐい水分補給をするのはヘスティア。

「また別角度からとるって? おいおい勘弁してくれ。オレはあと何回合体すればいいんだ?」
 ぼやきながら繰り返し巨大ロボットとの合体を繰り返すハヤト。

 ファンたちへ向けて手を振るシーンや、食事シーン。サインを書き連ねていくシーンなどが連なり――。最後に配給会社のロゴが画面いっぱいに移される。ナレーション。
「これは、かつて世界を救ったヒーロー達の闘いの記録である。彼らの気高き魂を未来永劫、語り継いでいくための――」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2020年09月14日


挿絵イラスト