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救世猟兵譚~欲望と解放~

#ダークセイヴァー #異端の神々

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●汝、胸に秘めし欲望を解放せよ
 金だ! 金が欲しい!
 ―――そう願った者には抱えきれんばかりの金銀財宝。

 永遠の美貌を頂戴!
 ―――そう願った者は時間の流れから解き放たれた。

 誰よりも強い力を!
 ―――そう願った者を負かす者はどこにもおらず。

「さぁ、願え。願エ。ねがえ。ネガe。その総テを妾ガ叶えてヤろう」

 誰もいないはずの辺境に集うモノたちがいる。
 灯りに集う蛾の如く、狂気に魅かれ集うモノ。
 自身の抱いた欲望を叶えるべく神に祈るモノ。

「―――さァ、おマえno欲望ヲ解き放テ」

●グリモアベースにて
「皆様はダークセイヴァーの辺境についてどれくらいご存知でしょうか?」
 グリモアベースで猟兵たちを待っていたのはいつものメイド服に身を包んだアマータ・プリムス(人形遣いの人形・f03768)だった。

「ダークセイヴァーの辺境にはかつて数多の神々が存在したようです。が、その神々もオブリビオンの軍勢を引き連れたヴァンパイアにより討伐されてしまいました。しかし神々は死してなおオブリビオンに憑依し魂と肉体を奪い取りました。その結果としてヴァンパイアたちは辺境の支配を断念したそうです」

 というのがかつてのダークセイヴァーで起こった事象であり、現在に至るまで辺境が手つかずになっている理由である。

「辺境にはヴァンパイアの支配が及んでいないということはつまり、辺境にいるであろう異端の神々、現在は狂えるオブリビオンと呼ばれる存在を退治することができればヴァンパイアの支配下にない居住区を創り出すことができるのです。危険ですがやってみる価値はあるでしょう」

 猟兵たちの活躍により確かにヴァンパイアの支配から逃れることができた領地もある。しかし次のオブリビオンが領主として派遣されれば元の木阿弥。ならばそもそもオブリビオンが知らない居住区を創り出せば支配から逃れることができる。

「今回皆様に調べていただきたいのはとある山岳地帯。ここに人が住める場所があるか調べてほしいのです」

 今回アマータの予知に出てきたのは辺境にある山岳地帯。大まかな場所はわかっているがそこが本当に人が住むに適している場所なのかは実際に調査をしてみなければわからない。

「皆様に一つ注意点が。恐らく皆様が山岳地帯に足を踏み入れれば狂えるオブリビオンの声が聞こえるでしょう。その声にお気をつけください。その声は皆様をも狂気に飲み込もうとするはずです。無防備に聞き続ければ狂気に魂を支配されてしまうかもしれません」

 つまり山岳地帯の調査をしながら聞こえ続ける声に対抗する術も編み出さなければいけないということらしい。

「今回も難しい依頼だとは重々承知しております。しかし皆様ならば成し遂げられるとも当機は信じております。どうかご武運を」

 ―――こうしてカーテシーと共に猟兵たちの転移が開始された。


灰色幽霊
 どうも、灰色幽霊です。
 今回は久しぶりのダークセイヴァー、開拓?シナリオです。
 辺境を探索して人が住めそうな場所を探していただきます。それと同時に聞こえてくる『声』にも対抗してください。ダイスロールはなしです。

 注意事項などは特にございません。
 いつもの如くOPで開示される情報は1章のもののみとなります。以後の情報はリプレイ内で開示されますので皆様どうか思い思いのプレイングを投げてくださいませ。

 シナリオの状況や注意事項がMSページにございますので一読よろしくお願いします。

 それでは皆様の素晴らしいプレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『未明の山岳地』

POW   :    岩壁を登り体力頼みの最短ルートで向かう

SPD   :    足場の崩れにくいルートを目視で探す

WIZ   :    天気や地形情報から安全なルートを割り出す

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●響き渡る狂気の声

『欲しいものはなんだ?』

『なりたいものはなんだ?』

『願え、統て妾が叶えてやろう。その欲望を解放しろ』

 そんな声が、誘惑が、山に足を踏み入れた猟兵たちの頭の中で鳴り響く。
 これが狂えるオブリビオンの声。
 ふと気を抜けば転がり落ちてしまいそうな甘美な誘惑。本当に叶うかどうかはわからない。しかしこの声に身を委ねたくなる。

 ―――猟兵よ、狂気の声を振り払いこの山を踏破せよ。
クルス・グリムリーパー
【アドリブOK】
私は最短ルートを選ばせてもらいます。
私自身はそういうのが得意ですからね。

しかし…見世物のような装備のおかげで私は正気をどうにか保つことができそうです。
狂気耐性を持ってこちらにかけられる甘い声を振り切って見せましょう。

まぁ、私がこのような体になったのは
忌まわしいあの街での無限の処刑という罰が原因なのですが。

どうせ無理だと分かってますよ。
私に安息の死を与えるなどということはどうせ無理なのでしょう?
あの忌まわしい処刑を思えばそのようなことなどありえないとわかりますよ。



●死に続け生き続ける処刑人

「さて、最短ルートで行きましょう」

 辺境の山岳地域にやって来たクルス・グリムリーパー(永遠の死神・f24385)は脇道には目もくれず最短経路で山を登っていく。道なき道も壁を登り上へ上へと昇り続ける。

『お前の願いはなんだ?』
「そうですね。私は安らかな死が欲しいです」

 この聞こえ続ける声の主が誰であれ無理だとわかっている願いで答える。クルスが猟兵とはいえ少々露出の多い見世物のよう装備を身に着けているのにも理由がある。
 クルスはデッドマン。つまり死から蘇生した者。それはかつて忌まわしい犯罪都市で行われた無限惨殺刑により死と復活を永遠に繰り返すことになった。見世物のような装備も刑の一環であり人目を引くために露出が増やされている。


 この装備がある限りクルスに安息の死が訪れることはない。


『いいだろう……妾の元へ来るがいい。お前に安息の死を与えよう』
「さっきのは言ってみただけなのでお構いなく」

 かつての忌まわしい処刑を思えば自身に安息の死など訪れないことはクルスが一番よくわかっている。響き渡る甘い声による狂気もその身に纏う刑罰用の衣『無限惨殺刑執行囚の獄衣』が遮断しクルス自身の正気が奪われることはない。

 崖を駆けあがり、山を走り抜ける。

『死にたいのだろう?』

 もはやクルスが声に答えることはない。死という安らぎに釣られ甘言に惑わされることもない。
今のクルスは骸の海の悪魔を滅ぼす死神。
 最期のその時まで死に続け、生き続けオブリビオンを狩り続ける。

「私の死はもう少し先の様なので今はできることをします」
『死にたいのだろう?』
「きっと死ぬのは私ではなくそちらです。待っていてくださいね」

 クルスの今の役目はこの山を探索すること。最短距離で駆けあがってきたが人が住めそうな場所はまだ見つからない。


 頂上にたどり着いた死神はまた別の道を進み人々の安息の地を探す。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エウトティア・ナトゥア
※アドリブ・連携歓迎

願いを叶えてくれるとは気前がよいのう。では、わしも叶えて貰うかの。
耳障りじゃ、少し黙るがよいぞ!
【魂石のブレスレット】の力を借り、【破魔】の【祈り】を【浄化の風】にのせて声を吹き払うのじゃ。
まあ、大元を断たぬと一時しのぎにしかならないじゃろうが、何もしないよりはマシじゃろう。
さて、今のうちに周囲を探索するかの。
【秘伝の篠笛】を吹き鳴らし、狼の群れを呼び出して周囲を調査するのじゃ。
周囲の地形と植生や生態を調べてくるのじゃよ。特に水場の情報は必須じゃぞ。
わしの勘があちらに何かあるとささやいておるのじゃ。わしも【巨狼マニトゥ】に【騎乗】し、【野生の勘】の赴くまま探索するかのう。



●巨狼と共に在りし巫女

「願いを叶えてくれるとは気前がよいのう」
『お前の願いはなんだ?』

 巨大な白狼『巨狼マニトゥ』に跨り山へとやって来たエウトティア・ナトゥア(緋色線条の巫女姫・f04161)。そんなエウトティアにも狂えるオブリビオンの声は語り掛ける。

「では、わしも叶えて貰おうかの」
『さぁ、願いを言うがいい』

 エウトティアはその手首につけた死者を鎮める青い石で自作したブレスレット『魂石のブレスレット』を握りしめ声に向かい声高に叫ぶ。

「耳障りじゃ、少し黙るがよいぞ!」

 破魔の祈りを【浄化の風】にのせ、エウトティアは周囲一帯を吹き払う。これまで山に足を踏み入れてから絶え間なく響き渡っていた声がその風にかき消され聞こえなくなる。大元を断たねば再び声は復活するだろうがこれで忌々しい声は聞こえなくなり探索に集中できる。

「さて、今のうちに周囲を探索するかの」

 エウトティアは『秘伝の篠笛』を懐から取り出し吹き鳴らす。呼び出された狼の群れと共に山の探索を開始する。主に調べるのは地形、植生、そして生態。

「お前たちはそっちの森じゃ。お前はこっち、他はわしとマニトゥについてくるのじゃ!」

 エウトティアはその方向に何かがあると囁く自身の野生の勘に従い道を進む。
今最も求めるのは水場の情報。生き物が生きていく上で必要不可欠なもの。住める場所を見つけたとしても生活を続けることができなければ意味がない。


 耳障りな声が聞こえぬ今のうちに狼とエウトティアの探索は進む。狼たちが集めてきた情報を聞きながらエウトティア自身は水の気配を感じる方へ。
人の手も手付かずだった山は想像以上に自然に溢れ、多種多様な動植物たちが過ごしていた。ここならばきっとより良い住処になるだろう。


 そんなことを考えながら巨狼と共に巫女は水を求めて山を進む。

大成功 🔵​🔵​🔵​

宮落・ライア
・・・・・。
声が響いてるわけじゃない?
そっかー。鼓膜破いても意味なさそうだなー。
まぁこれくらいなら問題ないかな。

アイテム『英雄に至る為の狂信者の心』と
【自己証明】で頭の中に鳴り響く声を塗りつぶす。
叶えて欲しい願いなんて無いよ。叶えなきゃならない願いしかない。

で、山岳地帯が人が住めるのかの調査だっけ?
うーん…とりあえず普通の人でも楽に動ける動線探すか作るかして~。
あとは農耕できそうな場所とか探す感じかなー?
一般人だから猟兵基準で出来るかどうか考えちゃダメだよねー。



●望まれ、託され、選ばれた者

「……」
『お前の願いはなんだ?』

 山へ足を踏み入れた宮落・ライア(ノゾム者・f05053)にも例外なくどこからか声が鳴り響く。しかし鳴り響くといっても実際に音が発せられているわけではなくライアの頭に直接響いているに過ぎない。そのことに気がついたライアは鼓膜を破ろうと自身耳に突き立てようとした手をそっと下す。

「そっかー。鼓膜破いても意味なさそうだなー」
『お前の願いはなんだ?』
「まぁこれくらいなら問題ないかな」

 頭に響いているだけなら対処のしようは如何様にもある。ライアの内に宿る英雄になると言う些細な事では揺るがない『英雄に至る為の狂信者の心』がある限りライアの心がブレることはない。そして、違えられぬ期待、狂気に満ちた声とは別に自身の内に響き続ける祈り、心に秘めた強く狂気に近い決意。その【浸食加速:自己証明】がライアに宿り頭の中に鳴り響く声を塗りつぶす。

 狂気に満ちた声はより大きな狂気によって塗りつぶされかき消される。

「叶えて欲しい願いなんて無いよ。叶えなきゃならない願いしかない」

 他者の手で叶えられるのではなくライア自身の願いはライア自身が叶えなければならない。その強く固い狂気にも似た決意を抱きライアは山を上へ上へと登っていく。


「で、人が住めるかの調査だっけ? うーん……」
 そう、ライアがここに来たのは未開拓の山岳地帯の調査のため。とはいえ専門的なことは門外漢である。
 とりあえず猟兵としてではなく一般人、つまりただの人がこの山を登り降りできるルートを探す。探してないなら作り出す。今ここに来ている猟兵たちが難なくこの山を登れたからと言ってここが人が住める場所だとは限らないのだ。良くも悪くも猟兵は埒外の存在なのだから。

「あとは農耕ができそうなところかなー」


 後に続く人々のため、これからの道を作りながら望まれ、託され、選ばれた者は山を進む。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メンカル・プルモーサ
……これ、取りあえずこの声をどうにかしないと住むどころでは無い奴では……?
…まあ私は叶えて欲しい願い事ないと言うか…欲はあるけど…それは自分で掴むのが矜恃だしね…
…アルダワの学生に代々伝わる退屈な授業聞き流し術で聞き流しながら探索を続けよう…
…ひとまず【夜飛び唄うは虎鶫】により索敵・探索用ガジェットを多数召喚…
…山岳地帯を飛ばして気候と地形データを揃えるとしようか…
家を建てるに適して場所と…あとはこの声の主のオブリビオンが居そうな場所を探そう…
四六時中語りかけられたら鬱陶しくて仕方ないし…さっさと見つけて倒してしまうに尽きるね…



●未知を追い求める灰色の魔女

『お前の願いはなんだ?』
「……」

 山岳地帯へ足を踏み入れたメンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)の頭の内に鳴り響く狂気に満ちた声。この未開の地を切り開き新たな住処にするのはいいがこの声が鳴り響いたままでは住むところではないのでは? メンカルはそう訝しがった。まぁ、山を調べるついでに声の主も片付ければいいだろうというのがメンカルの出した結論。

『お前の願いはなんだ?』
「……」

 しかし声の主をどうにかするまでこの声は延々と頭の内に鳴り響く。そこでメンカルのとった対策は……。

『お前の願いはなんだ?』
「我が従僕よ、集え、出でよ。汝は軍勢、汝は猟団。魔女が望むは到来告げる七つ笛」

 それはただ単純に聞き流すこと。現役アルダワ学生のメンカルにとって退屈な授業を聞き流すことなど日常茶飯事。聞こえているが聴いてはない。意識から声をシャットアウトして【夜飛び唄うは虎鶫】を唱える。授業中の内職が必須技能である一部のアルダワ学生ならばこの程度はお茶の子さいさい。召喚された索敵・探索用ガジェットたちを山岳地帯へ飛ばし、気候と地形のデータを収集する。

『お前の願いはなんだ?』

 メンカル自身にこれといって今叶えて欲しい願いはない。したいことや欲しいものといった欲はあれどそれはメンカル自身の手で掴むもの。誰かにもらって手に入れるのはメンカルの矜持に反することだった。

「…………」

 しかし無視をしていると言っても四六時中語り掛けられるのは鬱陶しい。ガジェットから報告される地形データから家を建てるに適した場所をマッピングしながらメンカルはついでにオブリビオンが潜伏していそうな場所も同時に目星をつけていく。
 もし、この声に従う者たちもいるのだとすればそこそこの人数がいるかもしれない。ならばそこをそっくりそのままいただけば声の主の討伐も住処の確保もできて一石二鳥。


 そんなことを考えながら未知を追い求める灰色の魔女は山を探る。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ナインチェ・アンサング
「これが、件の誘惑の声ですか…」
かつてあった神々。堕ちたりとて、信仰を求めた末の方法がこれとは…
「聊か、即物的に過ぎます、ね」
願いは自分の力で叶えるべき。なんて私が云える義理でもありませんけれど。
「姿なき“声”では、私には届きません――」
聖剣を抜き放ち、『邪念』を斬り祓う
【精神攻撃】を付与したユーベルコード。黙らせるには丁度よいかもです。

「…これで、暫くは落ち着けるはずです。なにせ――」
…この小さな身では、どちらかというと登山の方が強敵ですから。
お弁当のベーグルサンドを食べつつ、小さな体でも昇れるルートをえっちら、おっちら
意外な【怪力】と【勇気】で登っていきましょう

※アドリブその他歓迎。にて。



●かつて聖餐の器だった少女

『お前の願いはなんだ?』
「これが件の誘惑の声ですか……」

 山へ足を踏み入れたナインチェ・アンサング(瀉と献のカリス・f24188)にも問答無用で語り掛ける声。この声の主が誰なのかはわからないがその背景は少しばかり説明を受けたが故に考察できる。
 かつてあった神々。それが堕ちてなお信仰を求めた末の方法がこの声なのだろう。

「聊か、即物的に過ぎます、ね」

 願いは自分の力で叶えるべき。神ならば願いを叶える手助けをしてくれるだけでいいのだ。
 などというのは自身も過去に血を湛え、与えられた聖杯であるナインチェが云えた義理ではない……のかもしれない。しかし過去がどうであれ正しくないことを正しくないという権利は誰にでもあるはずである。

「姿なき“声”では、私には届きません――」

 響き渡る声に対し、ナインチェは蒼水晶の刃を持つ聖剣『フェガロフォト』を抜き放ち周囲に満ちる邪念を斬り祓う。刃からあふれる蒼い燐光は月の光と同種であり月の涙と呼ばれるモノ。その光が込められた一撃は目に見えぬ邪念そのものを斬り捨てる。堕ちた神の声を黙らせるにはちょうどいいものだった。

 ナインチェが聖剣を鞘に戻すころには声はすでに聞こえてはいなかった。

「…これで、暫くは落ち着けるはずです。なにせ――」

 そう、ナインチェの真の戦いはこれからだった。その小さな体では登山のほうが狂気に満ちた声よりも強敵。気合を入れなおし目の前に広がる未開の山岳地帯へ足を踏み入れていく。
 時折小休止を挟みお弁当の『もちもちベーグルサンド』に齧りつき英気を養う。そしてその小さな体でも登れるルートを身体に似合わぬ怪力とその胸に秘めた勇気をもって登っていく。

 この山が新たにこの世界に住む人々の住む場所になると信じて。


 小さな体でえっちらおっちらかつて聖餐の器だった少女は山を登る。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ガルディエ・ワールレイド
【POW】
欲しいものは平和な世の中。特に故郷であるダークセイヴァーの平穏。
なりたいものは、そんな世の中の為に戦う理想の騎士。
そして、その願いを叶えるのは……。当然、俺自身であるべきだ!

【存在証明】で精神的な防御力を上昇
揺るがぬ意思を以て、俺は俺の道を行くと誓った。
今更、他の誰かに任せてられねぇんだよ!

狂気を振り払いながら体力任せに山道を行くぜ
危険度の高い場所では、フック付きのワイヤーを《念動力》で先のポイントに固定し命綱に使うぜ
魔槍斧ジレイザの槍部分(ドラゴンランス相当のアイテム)を小型ドラゴンにして偵察させ、人の住めそうな場所を探す

先ずは俺の望みの一歩として、この先の地を解放しねぇとな



●理想を目指す黒竜の騎士

『お前の願いはなんだ?』

 山を進むガルディエ・ワールレイド(黒竜の騎士・f11085)にも狂気に満ちた声は否応なしに語り掛ける。しかしそんなものは意に介さずガルディエは山道を進んでいく。

 ガルディエの欲しいものは平和な世の中。それも特に自身の故郷であるここ、ダークセイヴァーの平穏。
 ガルディエのなりたいものはそんな世の中の為に戦う理想の騎士。
 そして、その願いを叶えるのは……。当然ガルディエ自身でなければならない。誰かの手を借りて成し遂げるのではなく、自分自身の手で成し遂げねばならい。そうあってこその理想の騎士。それでこそ意味のある平和な世界。

 ヴァンパイアの血脈としての魔力と内に宿る異端神の力を持とうが揺るがぬ人間としての意思を以てガルディエは自分の道を行くと誓った。それこそがガルディエの【存在証明】である。

「揺るがぬ意思を以て、俺は俺の道を行くと誓った。今更、他の誰かに任せてられねぇんだよ!」

 その意思がある限りガルディエは狂気に満ちた声の甘言などに惑わされない。狂気を振り払いながらガルディエはさらに上へ上へと進んでいく。持ち前の体力で休むことなく山を登り続け、たとえ目の前に崖が聳え立とうとフック付きのワイヤーを器用に持ち前の念動力で操作。崖の上のポイントに固定し命綱にする。そのまま反り立つ崖を自身の手足を使って命綱便りに上っていく。
 それと同時に自身の『魔槍斧ジレイザ』の槍部分を小型ドラゴンとして呼び出し周囲を偵察させる。山を登り、小型ドラゴンとともにガルディエは人の住める場所を探す。

 まずはガルディエの望み。平和な世の中を目指す一歩としてこの山を開放し人々が住めるようにするのだ。ヴァンパイアの支配から逃れた人々の住処を作る。今はそうして少しずつこの世界を平和へと導いていく。


 一歩ずつではあるが確かに理想を目指し、黒竜の騎士は山を登る。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…ん。人が住める場所ね。
思い付くのは水場の有無ぐらいだけど…さて。

事前に自我の存在感を増幅する“調律の呪詛”を付与
誓いの言葉を祈りのように心の中で捧げて精神力を溜め、
精神攻撃耐性を強化して狂気を防御し、
“精霊石の宝石飾り”に祈りを捧げ水場のある場所を調べる

…水の精霊、大気の精。私の声に応えて。
この山にある川や湖のある場所を私に教えて?

情報を得たら空中戦を行う“血の翼”を広げ、
目的地の方向を見切りUCを使用して移動するわ


…人類に今一度の繁栄を。そして、この世界に救済を。
それが私が彼女達から受け継いだ誓い。
大切な人が支えてくれると言ってくれた願い。
…それを無責任に誰かに投げ渡したりなんてしないわ。



●救済を願う吸血鬼狩りの少女

「……ん。人が住める場所ね。思いつくのは水場の有無ぐらいだけど……さて」

 リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)が山で探すのは人が生きていく上で必要不可欠な水を確保できる場所。

『お前の願いはなんだ?』

 もちろん山に足を踏み入れたことでリーヴァルディにも狂気に満ちた声は語り掛ける。だがここに来る前に施した『調律の呪詛』による自我の増幅、そして誓いの言葉を心の中で捧げることで高めた精神力でリーヴァルディは狂気を防ぐ。どれだけ狂気に満ちた声が甘い言葉を囁き誘おうともリーヴァルディは曲がらない。

「……水の精霊、大気の精。私の声に応えて」

 そして狂気を跳ね除けたのなら本来の目的である水場を探さねばならない。虹色の光を放つ『精霊石の宝石飾り』に祈りを捧げ、リーヴァルディはここにいる精霊たちに語り掛ける。

「この山にある川や湖のある場所を私に教えて?」
『あっちー』
『こっちー』
『かわー』
「……ありがとう」

 人との関りがなかったせいか精霊たちの言葉は少々わかりづらいがそれでもリーヴァルディに伝わった。限定的に吸血鬼化することで背中に現れる血色の魔力で形作られた『限定解放・血の翼』。その双翼を広げてリーヴァルディは水場へと飛翔する。
 空を飛んでも少々遠い距離。しかしリーヴァルディにとってはそれすらも障害と成り得ない。

「……限定解放。駆けぬけろ、血の疾走」

 『限定開放・血の疾走』により召喚された常夜の鍵。その力を引き出し左目の魔法陣で空間転移を繰り返し距離をショートカットする。これならばどれだけ距離が離れていようとリーヴァルディの魔力が尽きぬ限りすぐにたどり着ける。

「……人類に人類に今一度の繁栄を。そして、この世界に救済を。それが私が彼女達から受け継いだ誓い。大切な人が支えてくれると言ってくれた願い。……それを無責任に誰かに投げ渡したりなんてしないわ」


 この暗き世界を救うため、救済を願う吸血鬼狩りの少女は水場を探す。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『異端の神を崇拝する教徒』

POW   :    未来を捨てよ。さすれば力を与えられん。
自身の【正気を捨て、血に濡れた短剣】が輝く間、【狂気を含まれる短剣】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
SPD   :    命を捨てよ。異端の神々は我らを救うであろう。
【攻撃、そして死を受け入れ】【死こそ神に近づけるという】【教団の教えを信じ込む事】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
WIZ   :    崇めよ。讃えよ。吸血鬼すらも屠るは神々の力のみ。
【狂った信仰】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●狂気に集いて神を崇める者たち

 山を探索していた猟兵たちが見つけたのは風化した大きな建物。湖の畔にあるそれはきっとかつては神殿だったであろう場所。

 しかし今そこにいるのは狂気に満ちた声に賛同し集まったオブリビオンたち。

『お前の願いはなんだ?』
「神のお声が聞こえる……」
「お前たちも神を崇めるのだ」
「讃えるのだ」
「さぁ、我々とともに」

 水場も見つかり、この建物の周囲は人が住むにもちょうどいい場所だろう。しかしオブリビオンがいればヴァンパイアがいなくとも人が住むことはできない。場所を見つけた猟兵たちの次なる役目はオブリビオンの一掃。


 ―――猟兵よ、狂気の声に集いしオブリビオンを掃討し声の主の元へとたどり着け。
エウトティア・ナトゥア
※アドリブ・連携歓迎

ふむ、ここは住むに適していそうじゃな。
あの大きな建物も当座の雨露をしのぐのに良さそうじゃ。

では、次の願いじゃ。この場を明け渡して貰おうかのう?

【秘伝の篠笛】を吹き狼の群れを召喚。【巨狼マニトゥ】を先頭に『異端の神を崇拝する教徒』共を追い散らすのじゃ。
わしも【ノアの長杖】の力を借りて精霊術で【援護射撃】して狼達を支援するかの。
(崇めよ。讃えよ。~に対して【疾風の凱歌】で対抗)
おっと、信仰により力を引き出したか。じゃがこちらも負けておらぬぞ、風の精霊よ我等に力を!
お主らの信仰も異端の神も、わしが精霊に還してやろう。大いなる意思の元、安寧の眠りにつくがよい。



●信仰するは神に非ず

『お前の願いはなんだ?』

「おお……神の声だ」
「願えば何でも叶えてくれる……」

 神殿の跡地へと足を踏み入れたエウトティア・ナトゥア(緋色線条の巫女姫・f04161)を待っていたのは未だ鳴り響く声とその声に従い集まった信者たち。
 信者たちもかつては只の人としてこの世界で生きていたのだろう。しかしここにいる信者たちは既に過去。つまりオブリビオンに他ならない。そうなってもなお信者たちは救いを求めここに集ったのだ。

「次の願いじゃ。この場を明け渡して貰おうかのう?」

 『秘伝の篠笛』の音色と共に狼の群れを呼び出すエウトティア。その先頭にいるのは巨大な白狼『巨狼マニトゥ』。狼たちはエウトティアの言葉を待ち戦闘態勢で指示を待つ。

「ここは神が住まう場所……」
「願いのためにもここは譲れない」
「ここにいれば吸血鬼に怯えることもない!」

 狼の群れを目の当たりにしても信者たちが臆することはない。自分たちには神がついていると信じているが故の行動。その狂った信仰は信者たちを恐怖という感情から遠ざける。

「……なんとも言えぬな。さっさと眠らせてやるのがよかろう」

 胡桃の霊木より作られた『ノアの長杖』を手に取りエウトティアは狼たちに指示を出す。標的は信者たち。もはや信者たちへの救いはこの世界から解放することでしか訪れない。

「行け!」

 マニトゥを先頭に狼たちが信者に迫る。腕に噛みつき、引きずり回し、信者たちを蹂躙する。しかし信者たちも周囲から聞こえるその狂信に身を委ね、神を信じることで痛みを無視して狼に立ち向かう。

「おっと、信仰により力を引き出したか。じゃがこちらも負けておらぬぞ、風の精霊よ我等に力を!」

 それに対抗しエウトティアも杖を振り、支援の精霊術を放ちながら【疾風の凱歌】により響き渡る風精霊の唄で狼たちを強化して対抗する。双方が強化されていれば狼たちがオブリビオンとはいえ只の人であった信者たちに負ける道理はない。

「お主らの信仰も異端の神も、わしが精霊に還してやろう。大いなる意思の元、安寧の眠りにつくがよい」


 巫女姫の指示と風精霊の唄が響き渡る戦場で狼たちは狂信に満ちた信者たちを蹂躙する。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…ん。異端の神の狂信者、ね。
お前達を見ていると、嫌な相手を思い出してしまうわ。

“調律の呪詛”を維持して(存在感、精神攻撃)
聖痕に魂(生命力)が吸収される激痛を耐性と気合いで耐えUCを発動

今までの戦闘知識から不可視の手を繋ぐように黒刃を連携させて、
残像が生じる早業で空中戦を行う先制攻撃を放つ

…行きなさい、私の刃達…!

自身は目立たないように闇に紛れて殺気を隠し、
敵の第六感や暗視から逃れて行動を見切り、
大鎌をなぎ払うカウンターを行った後、
黒刃を操り傷口を抉る2回攻撃を行う

…未来を捨てたその先に繁栄はない。
…生命の尊さを忘れた信仰に救済はない。

…そんな事も分からなくなったお前達に引導を渡してあげる。



●裁きを下すのは神に非ず

「……ん。異端の神の狂信者、ね」

 木の影でその姿を隠し、リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は神殿の跡地に集う狂信者たちを観察していたが、ふと思い出したくない相手のことを思い出していた。
 神を崇め、奉る狂信者たちはリーヴァルディが知っている者たちとよく似ている。それは忌々しい過去の記憶。

 しかしそれとは関係なしにこの狂信者たちはここで倒さねばならない。
 ここを新たな居住区にするためにも。
 何より甘言に惑わされここに集った者たちに思い出させなければならないことがある。

 『調律の呪詛』の維持はそのままに、これより自身の身に降り注ぐであろう痛みに耐えるべく自我を増幅する。【代行者の羈束・生と死を分かつもの】の発動の代償により左眼の聖痕がリーヴァルディの魂を喰らう。身を引き裂くような激痛を澄ました顔で耐え凌ぎ顕現するのは三対六刃の黒刃外装。
 それは宙を自由に飛びまわり、リーヴァルディの意のままに標的を狙う漆黒の刃。

 相手が戦闘に秀でていないことはこれまで培ってきたリーヴァルディの経験が教えてくれる。そしてこの手の相手にはできうる限り最高の先制攻撃が最大の戦果を発揮するということもリーヴァルディは識っている。

「……行きなさい、私の刃達……!」

 闇に紛れ、その身を隠すリーヴァルディの手から放たれた六刃。それぞれが銀色の軌跡を残しながら狂信者たちの首を狙う。

「な、なんだ!?」
「誰かいるのか!」
「おお、神よ!」

 狂信者たちの視界はリーヴァルディを捉えることはなく、唯々飛来する刃に斬りつけられるのみ。
 狂信者の一部が襲撃だと勘づいて飛ぶ刃へ応戦を試みるがその手もリーヴァルディの振るう大鎌『過去を刻むもの』に斬り落とされる。そこへ間髪入れず迫る黒刃が狂信者の首を撥ね飛ばし、主のいなくなった身体は力らなく倒れ込む。

「……未来を捨てたその先に繁栄はない」

 繁栄とは未来を目指して進むもの。

「……生命の尊さを忘れた信仰に救済はない」

 信仰とは命を尊み救いを求めるもの。

「…そんな事も分からなくなったお前達に引導を渡してあげる」


 今宵、在り方を忘れた狂信者たちの元へ一人の狩人が訪れる。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クルス・グリムリーパー
フッ、この騒がしい神様があなた達の崇める神ですか。
正直うるさいので神様のもとにはあなた達だけが行ってください。送りますよ。

【アドリブOK】

【戦闘】
正気を捨てて勝てるほど私は甘くないですよ。
ユーベルコードで全身にまとう外套を炎と変えて
向かってくるものに対して全力で攻撃しましょう。

相変わらずうるさい声にはそろそろ相手をしないことにしましょうかね。
そのうるさい声ごとこの周囲を焼き払います。

あちらの聞こえる声には呪詛を込めたユーベルコードの炎で対抗します。
遠距離には呪殺弾を込めた炎で対応し、多くの敵を倒すつもりです。



●送り届けるのは神に非ず

『お前の願いはなんだ?』

「神の声が聞こえる……」
「貴女も共に……」

「フッ、この騒がしい神様があなた達の崇める神ですか。正直うるさいので神様のもとにはあなた達だけが行ってください。送りますよ」

 そう言いながら『グリムリーパー』を構えるクルス・グリムリーパー(永遠の死神・f24385)。今もなお絶え間なく響き渡る自称神の声はクルスにとっては鬱陶しくてたまらない。それをありがたがりこちらを誘ってくる信者たちも迷惑でしかない。

「共に在らねば敵……」
「敵は殺す」
「神に従わぬ者に死を……」

 信者たちが正気を手放してからどれほどの時間が経ったのだろう。信者たちの言動からは理性らしい理性は感じられない。聞こえてくる神の声に従うだけの存在と成り果てた者たちにクルスは容赦をしないし手加減もしない。
 怨念が憑依することで発火する死神の外套。その炎こそが【森羅万象業火の炎】であり、放たれた死者たちの怨念の炎はクルスの意に従い周囲を燃やす。

 正気を捨て、敵味方諸共斬り付ける信者たちの血に濡れた短剣。鈍い光を放つそれがクルスへと迫るが身に纏う炎に近づくだけで信者の腕ごと焼け焦げる。狂気に呑まれた信者はそれでは止まらぬが燃え尽きた腕では何もできずクルスの振るう鎌の一撃で塵へと還る。

『お前の願いはなんだ?』
「相変わらずうるさい声にはそろそろ相手をしないことにしましょうかね」

 もとより無視をしていたがそろそろそれも面倒になってきた。声の聞こえてくる方向に外套から呪詛を込めた炎を放ち、声をかき消す。炎をいくら繰り出そうと声が止まることはないが周囲にいる信者たちは炎により確実に数を減らしていく。

「っと、燃やし過ぎるのもよくないですね」

 ここはこの後居住区となる予定の場所。あまり燃やし過ぎるのもよろしくない。クルスは燃え広がる炎を集約させ、信者たちを囲い込む。

「あとでこの声の主も送ってあげますよ」

 信者たちを囲い込む炎が勢いを増し、内部に存在するモノ全てを焼き尽くす。


 炎を纏いし死神がその身に纏う炎で狂気に落ちた者たちを葬送する。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メンカル・プルモーサ
(まだ声が聞こえるなら聞き流し継続中)
ふむ、建物は手を加えて修繕すればいけそう、水場もある…問題は…
……まあ、神がいるなら信者が居てもおかしくはないか……
取り合えずそう言うのは間に合っているので……
…まずは信者達に向けて【鳴り止まぬ万雷の拍手】を発動…閃光と轟音によって視覚と『聴覚』を潰して動きを封じるよ…
これで狂った信仰を語っても本人はともかく周囲が『聞く』事が困難になるから…強化の手が遅れる…

…その隙に動きを封じた所に【空より降りたる静謐の魔剣】で剣の雨を降らせて攻撃をしていくよ…
…それにしても、今なおここまで影響力を残す神、ね……一筋縄ではいかないかも知れないな…



●聞こえるのは神に非ず

「ふむ、建物は手を加えて修繕すればいけそう、水場もある…問題は……」

「神よ……」
「私の願いを叶えたまえ……」

「……まあ、神がいるなら信者が居てもおかしくはないか……」

 神殿の跡地へたどり着いたメンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)はひとまず身を隠し様子を伺う。その前にいるのは神にすがる信者たち。その瞳は狂気に染まり、もはや正常とは言い難い。

「取り合えずそう言うのは間に合っているので……」

 そう言ってメンカルが取り出したのは身の丈ほどある愛用の杖『シルバームーン』。メンカルにとって神は興味の対象でこそあるが信じ、すがるべきものではない。何かを成すのであればそれは自分自身の手で行われるべきことだと信じている。

 しかし相手はそこそこの数。そして神を信奉するものということはおそらく多少の無茶も平気でしてくるだろう。つまりまずは動きを止めるのが得策。そう判断したメンカルが選んだ術式は【鳴り止まぬ万雷の拍手】。

「観測せし虚像よ、沸け、轟け。汝は観客、汝は賞賛」

 対象は視界内にいる信者全て。この術式で目と耳を潰してしまえばいくら信仰を唱えようと周囲には聞こえない。聞こえなければ誰にも届くことはない。誰にも届かなければ共感のしようもない。

「魔女が望むは舞台を止めし大喝采」

 詠唱が終わると同時に信者たちを飲み込む一瞬の閃光と喝采に似た轟音の幻覚。メンカルの目論見通り、目と耳を潰された信者たちは知覚の負荷に耐え切れずその場にうずくまってしまう。
 動きさえ止まってしまえば多少の数の多さなど誤差の範囲。続けざまに唱えられる【空より降りたる静謐の魔剣】により宙に現れる氷の剣。天より降り注ぐ氷の剣は信者たちに有無を言わさず貫き、凍結させ、塵へと返していく。

「…それにしても、今なおここまで影響力を残す神、ね……一筋縄ではいかないかも知れないな…」

 メンカルの警戒はすでに信者たちから彼らの崇める神へと移っていた。たとえ今は狂気に堕ちようとかつては吸血鬼たちを退けた神。それが今もこうして力を固持しているならそれは信者たちを遥かに凌ぐ脅威に他ならない。


 万雷の拍手の元、氷剣が宙を舞う。灰色の魔女の視線の先にあるのは堕ちた神。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ガルディエ・ワールレイド
そんなに異端の神の声が聞きてぇなら、俺が伝えてやるよ。
異端の神は言ってるぜ。「裁きの時間だ」ってな。

◆戦闘
武装は《怪力/2回攻撃》を活かす魔槍斧ジレイザと魔剣レギアの二刀流

【竜神の裁き】と近接戦闘を織り交ぜるぜ
近接戦では、《見切り/武器受け》で牽制を兼ねた防御を行い、複数の敵を巻き込むように《なぎ払い》

【未来を捨てよ〜】対策
攻撃回数は厄介だが、あくまで短剣だ。
武器のリーチと、【竜神の裁き】の射程を活かして間合いに近づけさせない方向で立ち回るぜ。

(戦闘に区切りが付いたら)
完全に滅んでオブリビオンになろうが……魂が人と混ざり生命体の埒外……猟兵になろうが……。もう、異端の神の時代じゃ無いんだろうさ



●時代を担うのは神に非ず

「神……」
「神の声が聞こえる……」

「そんなに異端の神の声が聞きてぇなら、俺が伝えてやるよ」

 狂信者たちの前に現れたガルディエ・ワールレイド(黒竜の騎士・f11085)は『複合魔槍斧ジレイザ』と『複合魔剣レギア』を両手にそれぞれ持ち刃を狂信者たちへと向ける。

「異端の神は言ってるぜ。「裁きの時間だ」ってな」

「異端者……」
「異端者……」
「異端者……」

 ガルディエの言葉を聞いて狂信者たちの動きが変わる。すでに捨て去られた正気ではあるが狂気の矛先がガルディエへと向く。自身たちがすがる神の言葉を否定されることはあってはならない。狂信者たちは血塗られた短剣を手に異端者を狩るべく動き出す。

「オラァ!」

 数の上では圧倒的に狂信者たちが有利。瞬く間に囲まれてしまうガルディエだがそんなことは問題にはならない。元より戦闘における経験値が違い過ぎるのだ。
 囲まれたとしてもリーチが違う、速さが違う、巧さが違う。
 逆に周囲全てが敵ならばガルディエの攻撃は多少狙いが甘くとも問題ない。

「お望みの神様の力だぜ!」

 振るわれる短剣をジレイザで弾き、狂信者たちの体勢が崩れたところで【竜神の裁き】による赤い雷が放たれる。赤雷に身体を貫かれ、肉の焼け焦げる臭いを発しながら動きの止まる狂信者の身体をガルディエは容赦なく斬り捨てる。断末魔の悲鳴すら上げずに狂信者たちはそのまま塵となり骸の海へと還っていく。

 しかし狂信者たちは周囲の誰が犠牲になろうと止まらない。それどころか狂気に染まり過ぎた弊害なのか敵と味方の区別なく短剣を振るう。

「……」

 そんな姿を見てガルディエは湧き上がる想いに蓋をしてその手に握る刃を振るう。


 数刻が経過した頃にガルディエはここにいる狂信者を全員骸の海へと送り還すことに成功した。ひとまずの戦闘が終了したことを確認したガルディエは斧槍と剣を地面へと突き立て一呼吸。

「完全に滅んでオブリビオンになろうが……魂が人と混ざり生命体の埒外……猟兵になろうが……。もう、異端の神の時代じゃ無いんだろうさ」

 その言葉は自身に向けてか気がついたら聞こえなくなっていた狂気に満ちた声に向けてか。
 その答えを知るのはガルディエだけ。


 戦いを終えた黒竜の騎士はこれからの未来を想う。まずはその礎の一歩をここに。

大成功 🔵​🔵​🔵​

宮落・ライア
えーい。
情け容赦も慈悲も無い大剣の全力ぶん投げ。

攻撃と死を受け入れるって…いやまぁ玉砕覚悟はボクもやるけどさぁ。
それってある程度攻撃を受けても耐えきれる自信があるからやる事でっさ?
君たちにそんな耐久力あるの?
それともそれでも数がいれば玉砕覚悟で倒せるって舐められたりしてる?

無手になったら最前列にいる敵を掴んでそれを振り回す。
壊れるたびにそれを繰り返す。

狂信者には意味無いかもしれないけれど、死を受け入れた結果が
こんなのなら少しは堪えてくれないかなー。
ま、ここはキミたちとは正反対の生きようとする人たちの為に
明け渡してもらうよ。



●信ずるのは神に非ず

「えーい」

 そんな気の抜けた声と共に投げつけられたのは宮落・ライア(ノゾム者・f05053)が背負っていた白く、どこか触りがたい大剣『骨肉の剣』。それが情け容赦なく狂信者たちへと全力で投擲される。

 全力で投げられたそれは前方に位置していた狂信者の身体を貫き、尚勢いを保ち狂信者数人の身体を串刺しにしてようやく止まる。確かに速くはあるが避けようと思えば避けられたはず。しかしそれをしなかったのは偏に教団の教えを遵守していたから。

 ―――死こそが神に近づけるという教団の教え。

「……いやまぁ玉砕覚悟はボクもやるけどさ」

 投げた大剣を回収することなくライアは狂信者たちへと近づいていく。

「それってある程度攻撃を受けても耐えきれる自信があるからやる事でっさ?」

 そして最前列に位置する狂信者の腕を掴む。

「君たちにそんな耐久力あるの?」

 攻撃を受けることが教義である狂信者はその手を拒まない。

「それともそれでも数がいれば玉砕覚悟で倒せるって舐められたりしてる?」

 大剣を失い無手になったライア。
 掴んだ狂信者の腕。
 こちらの攻撃を拒まないのであれば―――ライアは掴んだ腕を力任せに振り回す。情け容赦なく、狂信者の身体がどうなろうと構わず、失った武器の代わりに振り回す。

 死を受け入れるということがどういうことなのかをわからせるために。
 狂信者には意味がないかもしれないがそれでも繰り返す。

 掴んだ身体が壊れればまた次の誰かの身体を掴み振り回す。

 狂信者の身体を使い周囲の狂信者を潰していく。
 迫る攻撃も狂信者の身体を盾に防ぎきる。
 壊れたらまた次を。次を。次を。次を。

「これだけやったら少しは堪えてくれないかなー」

 幾度狂信者の身体を振り回しただろう。いくつ身体を壊しただろう。
 気がつけばライアの周囲にいた狂信者は数えるほどしか残っていなかった。

「ま、ここはキミたちとは正反対の生きようとする人たちの為に明け渡してもらうよ」

 この場所は死を受け入れた者のためでなく、これから先の生を求める者のために。
 まだ見ぬ彼らの為にライアは持てる力の総てを振るう。


 ノゾム者は望む者のために受け入れる者を完膚なきまでに破壊する。その間違いを正すために。

大成功 🔵​🔵​🔵​

響・夜姫
連携・アドリブ・苦戦OK


こいつ、頭の中に直接ー。
…ここは。由緒正しき、願いを訊かれた時の返し方。
「お前を消す方法」
たぶん【呪詛耐性/傷口をえぐる】技能が仕事する筈。
まぁ。あとでまとめて殲滅するけど。

終始マイペース。

「神なら私だけど。響・夜姫神」
新響・夜姫編はスキップ。
私を崇めるなら、安らかに火葬。崇めないなら、地獄の業火で火葬。
答えを聞いたら「では、ふぁいやー」
【2回攻撃/範囲攻撃/制圧射撃/一斉発射/乱れ撃ち】で華焔を乱れ撃つ、ぜー。
敵の攻撃は、それを狙って攻撃(迎撃)したり【オーラ防御/武器受け】で防御。
死を受け入れるのに防御力強化はしないだろうし。
「ではー、死ぬがよいー」(棒読み)



●願うものは神に非ず

『お前の願いはなんだ?』

 合流した響・夜姫(真冬の月の夢・f11389)の元にも例外なく鳴り響く狂気に満ちた声。

(こいつ、頭の中に直接ー)

 などと考えているが実際間違ってはいない。間違いがあるとすればこの声は聞こえてくるだけで双方向の会話にはなっていないということだろう。故に夜姫が願うのは由緒正しき願いを訊かれたときの返し方。

「お前を消す方法」


 …………


『お前の願いはなんだ?』

「神を消す……」
「異端者め……」
「異端者……」

 もちろんそんな願いが叶うわけはない。いわゆる言ってみただけと言うやつだ。ここで消えなくても何の問題もない。どうせこの後にまとめて殲滅するのだから。
 信者たちが動き出そうと夜姫は終始マイペース。黒と白の聖女の名を関した拳銃『AUDC-046R スコルカスタム【ジャンヌ・ダルク】』と『AUDC-046L ハティカスタム【ジャンヌ・マガツ】』を取り出し銃口をこちらへ向かってくる信者たちへと向ける。

「神なら私だけど。響・夜姫神」

 夜姫がどうして神と成り得たのか。神となって何を成したのか。その辺りの新響・夜姫編は残念ながらここでは割愛する。

「私を崇めるなら、安らかに火葬。崇めないなら、地獄の業火で火葬」
「お前など神ではない……」
「願いを叶えてみろ……」
「私たちの願いを……」
「では、ふぁいあー」

 信者たちの答えは聞いたが聞き届ける気などさらさらない夜姫は焔の華を纏った弾丸を一斉掃射。信者たちがこちらへたどり着く前に釣瓶撃ちにする。
 たどり着くことのない信者たちが何かをこちらへ投げてこようと放たれた舞い散る華の様な炎がそれが夜姫の元へ届くことを許さない。

 数の勝っている信者たちならば防御に徹すれば弾丸の嵐を超えることはできたかもしれない。しかし信者たちにとって攻撃も死も受け入れるものであり防ぐという考え自体が存在しない。

 つまり、信者たちは夜姫の放つ弾丸を受け入れ炎に抱かれて塵となるしかない。

「ではー、死ぬがよいー」


 信者が何を信じようと関係ない。邪魔をするならただ燃やすだけ……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ナインチェ・アンサング
誘惑に打ち勝てる人間は、そうは多くはないです
それも、この世界であれば尚更。ですが…
「残念ですが、その願いは叶いません」
恐らく、私がここで阻まぬとも。です

見敵したならば。再度、聖剣を抜き放ち…その逆の手に、黒槍を構えます
敵の存在が信仰に寄っているのであれば、UCにてその見えざる信仰の心を断ち斬り、【傷跡をえぐる】ように怯むさまに槍にて打ち崩し【蹂躙】致します

「憐れみはしません。せめて心は神などに囚われぬままにいってください」
…元はどういった過去のモノだったのか、今となってはわかりません
救済等もできませんが…せめてその最後に【祈る】ものが一人いても、悪くないでしょう



※アドリブその他歓迎。にて。



●救済するのは神に非ず

「神……」
「お声を聴かせてください……」

 誘惑に打ち勝てる人間、というのはそう多くはない。この救いのない世界なら尚更だろう。

「残念ですが、その願いは叶いません」

 狂信者たちとナインチェ・アンサング(瀉と献のカリス・f24188)が相対するとナインチェはそう言い放った。今回狂信者たちの願いを打ち砕くのはナインチェに他ならないが恐らくナインチェがここで阻まぬとも別の誰かが止めるだろう。

 ナインチェは蒼水晶の刃を持つ長剣『フェガロフォト』を抜き放ち、空いた逆の手に禍々しい黒槍『ヴェルサス』を呼び寄せる。聖者として、かつて願いを叶えるモノであったモノとして目の前の彼らを止めなければならない。

 願うことは罪ではない。
 信仰することは悪ではない。
 祈りを捧げてはいけない理由はない。

 しかしそれは他者を脅かしていいわけではない。歪んでしまった信仰を斬り祓い、見えざる信仰の心を断ち斬るためにナインチェは聖剣と黒槍を振るう。

 斬りつけるのは身体ではなくその心。

 月の涙と蒼い燐光が込められた聖剣の一撃は狂信者たちの堕ちた心を斬り捨てる。
 そのまま怯めば黒槍により薙ぎ払われ蹂躙される。

「哀れみはしません。せめて心は神などに囚われぬままにいってください」

 狂信者たちは信仰するために存在しているオブリビオン。元はどんな過去を持っていたのかはもうわからない。しかし信仰の心を正された信者は安らかな顔で塵となり骸の海へと還っていく。
 彼らを真に救済することができる者がいるかはわからない。だが今こうして出会ったしまったのだから最後に彼らのことを祈る者が一人くらいいても悪くない。

 祈りとは自身の心に従うことなのだから。

 だからナインチェは祈りを捧げ、聖剣と黒槍を振るう。今だけで彼らの心に安らぎがあれば……そう信じて。


 神は人を救わない。人が神により救われる。しかしそれを救おうとする者がいてもいい。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『虚栄の女神メルトゴルド』

POW   :    虚栄の生贄
【スライム状の肉体】に取り込んだ【犠牲者】の感情を爆発させる事により、感情の強さに比例して、自身の身体サイズと戦闘能力が増大する。
SPD   :    虚栄の黄金
自身の身体部位ひとつを【対象の 欲望を叶える魔法の道具、財宝】に変異させ、その特性を活かした様々な行動が可能となる。
WIZ   :    虚栄の神体
戦場全体に、【犠牲者】を捕らえる【自身の粘体状の肉体】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はリーヴァルディ・カーライルです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●かつて神で在ったモノ

「oまエ乃願いhaナんDa?」

 信者たちを払いのけ、神殿の中へとたどり着いた猟兵たちを待っていたのは玉座に座る少女の姿。少女が放った声はここに来るまで嫌というほど聞いたあの声とそっくりだった。実際に聞いた声はノイズ交じりで少々聞き取りづらかったが声の主が目の前の少女なら少女が信者たちの言う『神』なのだろう。その証拠に周囲には信者と思わしき者たちが縋っている。
 よく見れば少女の身体の一部は液状化しておりそこからなにか人の身体らしきものが時折顔を見せる。理由がどうなのかはわからない。おそらくは信者がその身を少女へと捧げたのだろう。

 ―――願いを叶える神への供物として。

「さァ、おマえno欲望ヲ解き放テ」

 神殿の周囲をよく観察してみれば壁が、床が、天井が独りでに蠢いている。これは神の肉体がこの神殿の内部に張り巡らされているということだろう。つまりここは神の身体の中も同然。
 逆に考えれば多少の無茶をしても問題はないということだ。

 後はこの神を倒し、この場所を確保できれば新たな住処として使えるだろう。


「さぁ、願え。願エ。ねがえ。ネガe。その総テを妾ガ叶えてヤろう」

 しかしここに来て一つ疑問が残る。

 『なぜこの神は狂気へと堕ちてしまったのか?』

 神にも狂気に堕ちる理由があったはず。理性がなくなりただ願いを叶えるだけの存在となる理由が。

「オMaヱの願IはNaンだ?」

 それがわかればこの堕ちた神に再び理性を取り戻すこともできるかもしれない。
 理性を取り戻しても何も変わらないかもしれない。
 例え理性を取り戻したととしても倒さなければいけない相手だということは変わらない。

 それでも神に語り掛けることに意味はあるのかもしれない。


 ―――猟兵よ、堕ちた神を解き放ち、この地に平穏を手に入れろ。
メンカル・プルモーサ
…ふむ…この周囲の物は神の肉体か…
…【尽きる事なき暴食の大火】を周囲に展開…粘体から身を守りつつ迷路の壁に穴を開けて神の元へと移動するよ…
…信者もオブリビオンだった…即ち『信者と神は共に滅んでいる』…
だとすれば…『信者の願いを叶えすぎたから』こうなったのかな?
…願いを叶える神だとして…その所為で信者が不幸になって…願いの拒否をしたら信者は贄を捧げてきた…だから『叶えるだけの存在』として理性も思考も感情も切り捨てたのかも知れない…
…だとしたら…滅んで蘇ってなお同じ事を繰り返すのは哀れが過ぎる…
…迷路を抜けて神に辿り着いたら信者諸共【尽きる事なき暴食の大火】で焼き尽くして骸の海へと還すとしよう…


エウトティア・ナトゥア
※アドリブ・連携歓迎

現れおったな、神ともあろう者が理性もなく哀れなものじゃ。
一方的なものじゃが、お主の信者達に約束してしまったでな、お主も精霊達の元へ送ってやるのじゃ。

(『虚栄の神体』に対処)
さて、まずはこの邪魔な壁をどうにかせぬといかんな。
迷路をさ迷うという回りくどい事はなしじゃ、UC【天穹貫く緋色の光条】で精霊光を弓につがえ砲撃で壁を破壊して一直線に行かせてもらおうか。
道が拓けたら【巨狼マニトゥ】に【騎乗】し一気に駆け抜けるかの。
『虚栄の女神メルトゴルド』を射程に収めた後、精霊光を再度弓へつがえ【破魔】の【祈り】を乗せて『メルトゴルド』を撃ち貫くのじゃ。
世界に遍く精霊よ。狂える神を討て!



かつて神で在ったモノへ

「願い、ねがい、ネガイ、NeGaiiiiiiii」

 戦闘開始と共に神殿の内部で隆起する粘体状の壁。それはメルトゴルド自身の肉体であり、戦場を分断する迷宮となる。
 確かに猟兵たちを分断すれば戦力を分散させることもできる。しかし、メルトゴルドはまだ猟兵たちを敵と認識してはいない。願いを叶えるべき相手だとしか認識していない。なのになぜ肉壁を生み出したのか。

 それは最早ただの発作の様な物。

 理性を失ったメルトゴルドは時折こうして自身の肉体の欠損を補うため肉体を求める。信者たちは喜んでその身を捧げるが猟兵たちはそうではない。

「…ふむ…この周囲の物は神の肉体か……」

 メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は【尽きる事なき暴食の大火】を唱え自身の周囲に如何なる存在も燃料にする白色の炎を展開し焼き払うことで肉壁との接触を断つ。肉壁がどんな効果を持っているかはわからないが積極的に障る必要もないだろう。

「…まずは進まないと……」

 炎の配置を前面に寄せ、メンカルは迷宮の壁に穴を作り先へと進む。迷路は確かに厄介ではあるが馬鹿正直に道なりに進む必要もない。中心へ向けて壁に穴をあけて進めばそれが最短距離。時間もこれが最もかからない上にもう一つ利点がある。


 時を同じくしてエウトティア・ナトゥア(緋色線条の巫女姫・f04161)もまた粘体の迷宮に囚われていた。エウトティアもまた迷宮を彷徨いメルトゴルドの元へたどり着くという回りくどい選択肢を選ぶつもりはなかった。
 選んだ方法自体はメンカルと同じだがエウトティアの選んだ方法はもう少々手荒だった。

 中心を目指し、壁に穴を開けるという選択自体は同じ。
 しかしメンカルが一枚ずつ壁を焼いて進むのに対し、エウトティアは一度で道を拓こうとしていた。

 エウトティアが取り出したる『手製の短弓』に集まる緋色の光。それこそがエウトティアのユーベルコード【天穹貫く緋色の光条】で集められた精霊光。短弓の引き絞られた弦がエウトティアの手を離れると同時に放たれる。
 ただ真っすぐに、障害物も何もかもを貫き通し緋色の極光が肉壁に穴を穿つ。阻むもののなくなった迷宮をエウトティアは呼び出した巨大な白狼『巨狼マニトゥ』に跨り、砲撃で大きく開いた穴を一気に駆け抜ける。


「……ん?」
「おお」

 メンカルとエウトティア。共に中心を目指す二人の進む道が迷宮の半ばで交わった。共に目指すものが同じ以上遅いか早いかの違いだろうがメルトゴルドと相対する前に合流できたのは幸運だった。

「考えることは一緒だったようじゃのう」
「……まぁ、これが一番早いし……」

 それもそうだとばかりに笑うエウトティアと対照的に迷宮を進む中でメンカルの中である一つの考えが纏まっていた。

「…ちょっとある仮説を聞いてほしい……」
「ん? なんじゃ?」

 メンカルの仮説。それは異端の神であるメルトゴルドが何故、理性を失い狂えるオブリビオンになってしまったのか、その理由だった。

 ここまでの情報から推察するにメルトゴルドはおそらく願いを叶える神。今もかつても誰かから願われた願いを叶え続けてきたのだろう。
 願われる願いをただ叶えるだけならば願いが叶った後の運命は願った者に依存する。願いが叶ったからと言って必ずしも幸せになれるとは限らない。願いを叶える神にできるのは願いを叶えることだけでその願いの先にある未来の保証まではできないのだから。

 信者は常に自分自身の思い描くモノを願い続けた。
 その結果、自分が望むとおりにならなければそれは願いを叶えた神のせい。
 願いを叶えることを拒否すれば贄を捧げられ神としての役目を強制される。

 そこにはもうメルトゴルドの意思は必要なかった。
 故に神は己の理性を捨て去りただ願いを叶えるための存在と成り果てた。

「なるほど……確かにそれなら神が理性を捨てる理由にもなりそうじゃ」
「……だから何だという話でもあるけど」
「神ともあろう者が理性もなく哀れなものだと思っておったが……早々に精霊達の元へ送ってやろう」
「…滅んで蘇ってなお同じ事を繰り返すのは哀れが過ぎる……」

 メンカルの仮説はおおよそ正解していた。しかしそこに加えメルトゴルド自身が記憶していない事実が存在する。

 神の成れの果ての最後の記憶は攻め入るオブリビオンを打倒してほしいという願い。
 その願いが叶ったのかどうかを神だったモノは覚えていない。いつからか気がつけばここで再びこうして誰かの願いを叶えていた。

 オブリビオンとしての肉体に己の魂を閉じ込めて。


 迷宮を最短距離で突破したメンカルとエウトティア。その視線の先で玉座に鎮座し続けるメルトゴルドは未だ戦闘を始めるそぶりすら見せない。
 ただそこにいて信者たちの願いを叶え続けているだけ。

「さっさと終わらせてやるとしよう」
「…あの信者たちも目障りだしね……」

 エウトティアは再び短弓に精霊光を番え、メンカルは周囲に展開していた白色の炎を一つに纏める。多少の距離はまだ離れているが十分に射程圏内に収まっている。

「世界に遍く精霊よ。狂える神を討て!」
「貪欲なる炎よ、灯れ、喰らえ。汝は焦熱、汝は劫火。魔女が望むは狂える神をも焼く終なる焔」

 収束する緋色と白色。

 放たれた焔は周囲の信者も、肉壁も、総てを呑み込み神すらも燃やし尽くさんと燃え広がる。
 放たれた光は只一点、神のみを目標にただ愚直に突き進む。

「あ———」


 かつて神殿であったその場所を紅と白に染まり遍く総てを消し飛ばす。
 残るのは建物とかつて神で在ったモノ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

クルス・グリムリーパー
【アドリブOKです】
願いになど興味がない…と思ってましたけど、一つ叶えてほしいことが出来ました。
なぜキミは人の願いを叶えようなんて考えようと思ったんですか?
え?死にたい?あれは冗談です。本気にしないでください。

【戦闘】
とりあえず話し合いができましたら戦闘を行いましょう。
スライム状の肉体は邪魔ですが、呪詛を込めた一撃までは防ぎきれないでしょう。
それを組み合わせて強烈な一撃を放ちましょう。

もし私を殺しに来るのならユーベルコードを発動し、全力の捨て身の一撃を食らわせます。

まぁ戦闘でおとなしくなるなら詳しく話を聞かせてほしいものですけどね。


宮落・ライア
いやだから要らないから。
私がお前に願う願いは無いよ。

スライム状ね。まぁいいけれど。
大剣の薙ぎ払いで巨大化した足部分を飛び散らせて
頭部の位置を無理やり下げさせて【唯潰】
スライム状の肉体を強制的に形を固定させて、飛散させる事無く無理やり
ダメージを通す。

あー……そうだ。
お前の願いは何だ。お前に願いはあるのか?
こんな世界の神様ならただただ縋られるばかりだっただろう?
それがあるなら言ってみろ。
英雄として、聞こう。

無いなら別に
さようなら。それだけ。


響・夜姫
……んんー。よく考えると。
ただ無尽蔵に願いを叶える。そんなご都合主義な、システムなわけがなかった。
と、なるとー。
「響夜姫神が、願う。汝自身の事を語れ、メルトゴルト。汝の事を知ることが、我が願いー」
さぁ。願いを叶える魔法の口で、語れー。
語ってるうちに。理性を取り戻してくれないかなー、とか。
神を送るのと、敵を倒すのは。結果は同じでも、意味合いが違う。
興味も、一応ある。

…まぁ。それはさておき。
「この場所は、気持ち悪いし。神にふさわしくないので。燃やす」
【範囲攻撃/制圧射撃/一斉発射】でスライム状?の壁は更地にしとこ。
そもそも語ってくれなかったり、理性が戻らなかったら。そのまま本体もふぁいやー。



●かつて神だったモノへ問いかけるコト

「……」

 周囲の迷宮を吹き飛ばされたメルトゴルドはようやく侵入者を知覚した。とはいえ”いる”と認識したに過ぎずそれが何をしているかどうかまでは把握していない。どこまでいっても今のメルトゴルドは願いを叶える神で在りそれ以外に何もすることはない。しかし先ほどの攻撃を受け、メルトゴルドはこれまで呪詛のように呟いていた言葉を止め、動きを止めていた。

「なんだか知らないけどチャンス!」

 宮落・ライア(ノゾム者・f05053)は遮蔽物のなくなった神殿の中を駆け抜ける。相手の事情など知ったことではない。動きが止まったのなら追撃を加えるのが至極当たり前の発想。『骨肉の剣』を振りかぶり、そのまま玉座に座るメルトゴルドへフルスイング。玉座ごとメルトゴルドの身体を飛散させるが実体がスライムであるメルトゴルドにダメージらしいダメージは通らない。
 だがこれでいい。肉体が飛び散ったことで下がった頭部。そこを握りしめ、押し固めることで形を固定。

「私がお前に願うことはないよ」

 ライアはそのまま頭部を握りしめ、飛散することを許さず【力業『唯潰』】により地面へと叩きつけた。飛び散ることを許されず、その衝撃は全てダメージとしてメルトゴルドを襲う。

「……?」


 ここに来てようやくメルトゴルドは侵入者たちが自信を脅かすものなのだと認識した。

 しかし自身を脅かす相手であろうとメルトゴルドの行動は変わらない。

「お前no願イはなんダ?」

 目の前にいる存在の願いを叶える存在。ただそれだけでしかない。

「だからないって……あー……そうだ。お前の願いは何だ。お前に願いはあるのか?」
「私も願いに興味がない…と思ってましたけど、一つ叶えてほしいことが出来ました。なぜキミは人の願いを叶えようなんて考えようと思ったんですか?」

 ライアとクルス・グリムリーパー(永遠の死神・f24385)がメルトゴルドへ願ったのは問いへの答え。メルトゴルドがなぜ願いを叶えようと思い立ったのか。そして何を今願うのか。

「あれ? 死にたいんじゃなかったの?」
「え? 死にたい? あれは冗談です。本気にしないでください」

 ただ縋られるだけだった神。何か願ったことはあるのだろうか。あるというのならばそれを聞き届けるのが英雄足らんとする者の役目。

「ね、が、い―――」

 叩きつけられたダメージから回復し、再び人の形をとるメルトゴルドだが挙動がどこかおかしい。
 目の焦点はあっておらず、肉体の末端は再生しては形が崩れる繰り返し。

 つまるところメルトゴルドはバグっていた。願われた願いを叶えるには自身のことを話さねばならない。しかしそれを話すだけの理性は残っていない上に恐らくメルトゴルドに自分自身の願いを叶える機能は備わっていない。

「響夜姫神が、願う。汝自身の事を語れ、メルトゴルト。汝の事を知ることが、我が願いー」

 響・夜姫(真冬の月の夢・f11389)も重ねて願う。ただ無尽蔵に願いを叶える、そんなご都合主義なシステムが存在していればこの世界はこんな惨状になってはいない。なにかカラクリがあるはず。そのためにはまずメルトゴルドに口を開かせなばならない。

 そしてその機能が備わっていないなら願い、作らせればいい。それが叶えるべき願いなのだから。

「妾、の願、い……」

 そう呟いたメルトゴルドの身体からポロリと落ちる掌に乗る程度の大きさの水晶玉のようなもの。

『妾の願いは民に幸せになってほしいだけだった』

 そこから聞こえてくるのはメルトゴルドの物を思わしき声。これは自身のことを語れないメルトゴルドが語るために生み出した魔法の道具なのだろう。

『そもそも最初から願いを叶えるために作られた妾に自由意志はほとんどなかった。でも誰かの願いを叶えることはその人の為にもなるし喜んでもらえる。とても尊い行いなのだと信じていた』

 元よりそう在るべく作られた。しかしそう在ることが善いことなのだと知った。

『しかしいつからか喜ばれなくなった。その代わりに罵倒が増えた。妾が好きだった人間はいつしか好きではない人間になっていた』

 叶うのが当たり前になれば感謝の気持ちもなくなっていく。自分の思い通りにならなければ罵倒する。無償で願いを叶え続けられた人間は堕落する。

『それでもよかった。そこに民がいるのなら。だがそうはならなかった。妾に誰かの不幸を願うものが増えた。民の為に在るはずの妾が民を害するようになった。気づけば妾は私利私欲を満たすためだけの存在となり果てていた』

 すべて過去形。崇められていた神は利用するべきモノへと変わっていた。神を歪めたのは人が持つ欲。

『そして妾は自分の力で傷つく人を見るのが嫌で。それでも誰かの願いは叶えたくて。考えるのをやめた』

 そこから先はメルトゴルドも認識していないのだろう。ヴァンパイアたちが攻め込み討伐されたがオブリビオンの肉体を乗っ取り今に至る。

 なんの代償もなく無尽蔵に願いを叶え続ける。そんな夢のような存在がいるわけはない。もちろんメルトゴルドが願いを叶えるためにも代償は必要だった。
 それは願いを叶えた際に生じる強い感情から発せられるエネルギー。つまり叶えられるのが当たり前になり、なんの感情も抱かれなくなればメルトゴルドは自身の感情から生じるエネルギーを代価にしなければいけなかった。文字通り心をすり減らし願いを叶え続けた。そしてすり減った心が戻ることはなく神は考えることをやめた。

「ふーん」
「キミは逃げたんですね」
「んー……」

 メルトゴルドから話を聞きだした3人の反応は三者三様。
 ライアはま、そういうこともあるよねと思い。
 クルスは自分のしたことからこの神は逃げてしまったと考え。
 夜姫はなんだか少し哀しかった。

 願いを叶えるために生み出され、願いを叶える喜びを知り、願いを叶え続ける悲しみを味わった。
 そもそも喜びを知ってしまったのが最初のバグだったのだろう。何も感じずただ願いを叶え続けていれば後の悲しみを味わうことはなかった。理性を手放す必要もなかった。


 自身のことを語りこそしたがメルトゴルドに理性は未だ戻らない。

「……」

 しかしその目は確かに猟兵たちを捉えている。理性はなくともこちらを認識はしている。

「もう一発いっとくかー」
「そうですね。荒療治も必要です」
「しかたないー……」

 それぞれが武器を構えメルトゴルドへ狙いを定める。
 ただ倒すのであれば簡単だが今回はそれではよくないのかもしれない。
 敵を倒すということと神を送るということ、それは結果は同じでも意味合いが違う。故にまずは理性を取り戻してもらい願いを叶えるモノから願いを叶える神へと至ってもらわねばならない。


 三者三様の全力前回の攻撃がかつて神で在ったモノを揺さぶりその閉じた瞳をこじ開ける。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…ん。かつてラグナは…繁栄の聖女は私に教えてくれたわ。
…人は欲望を、願いを叶える方法を決める事ができる。
辛く苦しい道でも自らの意志で選ぶ事ができる生命だ…と。

…その選択肢を奪う貴女の優しさは、
彼らの願いの価値を貶め人類を獣に堕す毒と知れ。

精神攻撃耐性を強化する“調律の呪詛”を維持し、
自我の存在感を増幅して限界突破した精神力を溜め、
世界中の闇に紛れた精霊達に救世の祈りを捧げUCを発動

…闇の娘がこの世界の精霊達に願う。
この世界に…そして彼の神に救済を…。

第六感が捉えた精霊達から生命力を吸収して、
神体を浄化する光をなぎ払う光属性攻撃を放つ

…私は私の方法で願いを叶えてみせるわ。
眠りなさい、永遠に…。


メンカル・プルモーサ
…さて…仮にも神である以上そうそう簡単には倒れないと思うけど……
今までこっちを認識もしてなかったしここからが本番だよね…
【狩り立てる嵐の猟犬】で牽制をしながら……
……願いを叶える存在で、あれ(虚栄の黄金)も願いに連動する…それなら…
…一つ、願いを言おう…『あなたにはもう骸の海へと還り眠って欲しい』と…
……この欲望を叶える道具か武器か、そう言った物に変異したら
【撃ち貫く魔弾の射手】で叩き落として仲間に拾わせるか自分が拾うかして…
仲間に紛れて射し込むor射し込んで貰うよ…狂える神よ、骸の海へと還れ……
……全てが終わったらここが住む場所に適するか確認だね…


ガルディエ・ワールレイド
この世界で願いを叶える存在が居るならば、やはり平和を望むだろう
それが達成されず、従う民までオブリビオンとなったという事は……

◆戦闘
近接戦闘と【砕魂の咆哮】を織り交ぜて戦闘
武装は《怪力/2回攻撃》を活かす魔槍斧ジレイザと魔剣レギアの二刀流
《武器受け/見切り》での切り払いや《念動力》防御


【虚栄の生贄】対策
【砕魂の咆哮】を用い、身体サイズを無視して、メルトゴルドの魂を直接震わせ、その動きを制しようとするぜ
トドメは味方に任せよう
「理性を手放したままの方が幸せかもしれない。だが、この地の可能性を見届けたいならば目を覚ませ! この戦いを機に再び人はこの地に来る。そして、次こそ滅ぼさせはしないと誓おう!」



●かつて神だったモノへ問いかけるコト、その答えをココに

「妾…ハ……」

 この場所へ猟兵たちが足を踏み入れてからどれくらいの時間が経過しただろう。メルトゴルドの瞳は当初よりも幽かに光が宿る。しかしそれはまだ小さな灯。些細な切欠で消えてしまうだろう。

「妾はハHa葉―――」

 そして理性を僅かに取り戻したことでメルトゴルドは現状を把握する。目の前には敵と思わしき数人の影。今ここで自身がまた討たれてしまえば民の願いを叶えるモノがいなくなってしまう。それだけは絶対に避けなければならない。

 例えかつての民たちを犠牲にしても。

 体内に保存していたかつての民。その一部はオブリビオンとなったがそうでない者たち、そうであったが再び願いが成就し生きることを止めた者たちがメルトゴルドの体内にはごまんといる。その者たちが抱いた感情から発せられるエネルギーをメルトゴルドは体内に還元し、吸収することで自身の身体を爆発的に増大させる。

「かな、カナ、叶えるルるルるるるる!!!」

 真に狂える神となり果てたメルトゴルドが猟兵たちへと牙を剥く。


「民の為に平和を願ったんだろう? なら民を利用するんじゃねぇよ」
「…ここからが本番だよね……」
「……願いを叶える神なんて要らない。だからアレは今ここで終わらせる」

 ガルディエ・ワールレイド(黒竜の騎士・f11085)、メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)、リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)の3人が巨大化したメルトゴルドと対峙する。
 これまでのメルトゴルドはこちらを認識しておらず、敵対行動と呼べるものをとってはいなかった。しかし今はこちらを認識し排除しようと動き出している。

「さて、どうするよ。力押しか?」
「……私に考えがある」
「……ん、聞くわ」

 ここまでメルトゴルドを観察していたメンカルが考え出した作戦。

「面白れぇ! のった!」
「……いいと思うわ」
「……じゃあ役割分担は……」

 それに賛同した2人と共に神を鎮めるため動き出す。


「オラァ! でけぇ図体してっから攻撃が当てやすいぜ!」

 真っ先に飛び出しその手に持つ『複合魔槍斧ジレイザ』と『複合魔剣レギア』をメルトゴルドへ叩きつけるガルディエ。だがメルトゴルドの肉体はその刃を通さず衝撃を吸収され反動で逆に弾き飛ばされてしまう。

「チッ!」
「…サイズだけじゃなくて性能も格段に上がっているみたい……」

 粘性を持つスライムとしての肉体が強化され、物理的な攻撃は意味をなさなくなっていた。かろうじてメンカルの【狩り立てる嵐の魔犬】による魔弾の連射はダメージを与えられているがこちらは逆にサイズに見合わずダメージを与えることはできても即座に修復される。

「ならこうするだけよ!」

 その言葉と共に大きく息を吸い込んだガルディエ。
 振るわれるその刃と共に放たれたのは竜の意思が込められた咆哮【破魂の咆哮】。それは肉体ではなく対象の魂のみを攻撃する竜の御業。これならば相手の身体がいくら巨大であろうと関係ない。魂に直接振るわれる攻撃は神といえども容易に防ぐことはできない。

「理性を手放したままの方が幸せかもしれない。だが、この地の可能性を見届けたいならば目を覚ませ!」

 メルトゴルドの操る触腕による攻撃は両手の武器で斬り払い、手数が足りなければ不可視の念動力でその動きを一時止める。
 今回の作戦におけるガルディエの役割は壁となりメルトゴルドの攻撃を引き付けること。

 そしてもう一つ。

「この戦いを機に再び人はこの地に来る。そして、次こそ滅ぼさせはしないと誓おう!」
「な、ニ……?」

 魂を揺さぶられた衝撃と共に投げかけられたガルディエの言葉でメルトゴルドの動きが止まる。幽かに芽生え、巨大化により薄れていた理性が魂を揺さぶられ、心を震わされ再び瞳に宿る。つまり敵を屠るモノではなく願いを叶える神としての側面が再び顔を出した。

「…ここで一つ、願いを言おう……『あなたにはもう骸の海へと還り眠って欲しい』」

 メルトゴルドを敵として倒すのではなく、神として眠らせる。
 そのために必要だったここまでしてきた行動の数々。敵として倒すのであれば単純な力押しでよかっただろう。しかし神として送り、眠らせるのであればまずはその理性を取り戻してもらわねばならない。そのためにここまで荒療治が必要だったのだ。

 そしてそのための手段を用意するのもまたメルトゴルド自身。神に願われたのであればどんな願いも叶えるのがメルトゴルドという神。

「……よし」

 メンカルの願いを叶えてしまったメルトゴルド。その触腕の一つが形作った黄金の長剣こそがメルトゴルドを眠りにつかせるための道具。
 しかしその剣は生み出されこそしたが未だメルトゴルドの触腕の先端でありこちらが自由に使うことはできずただ在るだけでは意味がない。つまりメンカルの役目は道具を生み出させることだけではなくそれを確保することまで含まれる。

「駆け抜ける魔弾よ、穿て、貫け。汝は徹甲、汝は貫通。魔女が望むは阻める物無き魔の一閃」

 【狩り立てる嵐の猟犬】により放たれる魔弾の嵐に加え、追加で詠唱されるのは【撃ち貫く魔弾の射手】。魔弾による牽制もこのための布石。魔弾が命中しようと取るに足らないものだとメルトゴルドに認識させ、この千載一遇のチャンスを撃ち抜くため。

 魔弾の嵐の中を輝く一閃が駆け抜ける。

 一閃は寸分違わず黄金の剣を握る触腕を撃ち抜き、握る者のいなくなった剣は宙を舞う。

「おらよ!」

 その剣をガルディエが斬り弾き、剣は膝を折り瞼を閉じて祈りを捧げる少女の元へとたどり着く。

「……ありがとう。2人とも」

 飛来した剣を掴み取り、立ち上がるリーヴァルディ。

「…人は欲望を、願いを叶える方法を決める事ができる。辛く苦しい道でも自らの意志で選ぶ事ができる生命だ…と。私は教わった」

 それはかつてとある聖女から教えられたこと。

「…その選択肢を奪う貴女の優しさは、彼らの願いの価値を貶め人類を獣に堕す毒と知れ」

 黄金に輝く剣を持って少女は狂える神へと歩み寄る。


「では妾はどうすればよかったのだ! 願いを叶えれば皆喜んでいた! それは間違いだったのか!」
「間違いじゃねぇ。でもあんたはやり過ぎたんだ」

 剣の力なのか定かではないが既にメルトゴルドは理性をほぼ取り戻していた。だが、だからこそ猟兵たちの言葉と過去の己がしてきたことの正しさがわからず子どもの癇癪のように暴れまわる。

「……全部を叶える必要はなかった。何でも願いが叶ってしまえば人間は堕落する……」
「誰もそんなことは教えてくれなかった!」

 暴れまわるメルトゴルドの触腕だったがただ振るわれるだけのそれではガルディエとメンカルを超えられない。
 斬られ、止められ、撃ち抜かれ、誰にも当たることなく触腕は破壊と再生を繰り返す。

「…寄り添う誰かがいなかった。それがこうなってしまった理由」

 リーヴァルディの言葉通りメルトゴルドは幼過ぎた。神として作られたが故の不完全さを補う誰かがいればこうはならなかっただろう。独りで全ての願いを叶え続け、疲れ果て、理性を手放しオブリビオンとなり果てた。

 誰かが、心優しく寄り添う誰かが正しく導けば―――

 こんな結末にはならなかったかもしれない。

「…闇の娘がこの世界の精霊達に願う。この世界に…そして彼の神に救済を…」

 リーヴァルディが祈りを捧げていたのは世界中の闇に紛れた精霊たち。【限定解放・血の魔星】により届けられた祈りに賛同した精霊達がリーヴァルディの元へと馳せ参じる。
 この世界を、狂える幼き神を、救いたいというその願い。それを叶えるのは神ではなく精霊達に力を借りたリーヴァルディという一人の少女。

「…私は私の方法で願いを叶えてみせるわ」

 集いし精霊達から借り受けた生命の光。それを剣の刀身に収束させ、リーヴァルディは振りかぶる。

「眠りなさい、永遠に…」
「じゃあな」
「…狂える神よ、骸の海へと還れ……」

「あ―――」


 ―――輝ける光の奔流が神の巨体を呑み込み眩き極光と共に神を浄化した。


●願いは自分自身の手で

 メルトゴルドの浄化と共に残っていた信者たちも消滅していた。メルトゴルドの力が失われたことで存在を維持できなくなったのだろう。
 そこそこ大規模な戦闘をした神殿跡だったが幸い、さほど大きな傷はなく少しの修繕で問題なく住居としても使用できそうだった。水場も近くにあり周囲には森もある。動植物も豊富で人が住む場所の条件としては悪くない。

 つまりここはヴァンパイアの支配が及ばぬ居住区としての条件を十分満たしていた。


 こうして猟兵たちの手により狂える神に支配された土地は解放され、未来への礎となる土地が確保された。いづれ新たな住民たちがやってくるだろう。願いを叶える神がいなくとも欲望という名の自分の願いは自分で叶える、そんな志を持った者たちが。

 その未来はきっとそう遠くはない。


 ―――願いと神様の物語。救世猟兵譚~欲望と解放~End.

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年01月27日
宿敵 『虚栄の女神メルトゴルド』 を撃破!


挿絵イラスト