Now let's go beat big one!!
#アポカリプスヘル
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荒野に、黒煙が立ち上っていた。
辺りに散らばるのは、ひしゃげた車体フレームの欠片や火花を散らす電装部品。
何れもつい先程までトラック、だったのであろう残骸の山だ。
まだ回転すら止まっていないタイヤが漏れ出たガソリンの火に焙られ、焦げ臭い薬品臭を辺りに振りまいている。
「ヒャッホー!! とんだ土産物が出来ちまったぜ!」
「おおよ! これで俺たちBEHEMOTHは当分飯も! オンナにも困らねぇ! お頭も大喜び間違いなしだぜ!」
「でも良かったのか兄弟! さっきの死に損ないに止めを刺さなくてよ!」
「良いんだよ細けぇ事ぁ! 野郎一人放っといたってくたばんだろ!?」
そして、そこから爆音と砂煙を巻き上げながら高速で離脱していく車両の一団があった。
距離にして既に数百メートルは離れているのだが、それでも尚、横倒しになったビルが動いているのかと錯覚する程の威容が地平線の彼方へと消えていく。
チロチロと炎が燻る残骸の間で、一人の男が起き上がった。
爆発に巻き込まれたのであろう。
服の彼方此方が焼け焦げ、満身創痍の様相だ。
激痛に震える身体を何とか起こし、男は地平線の彼方へ消えようとしている略奪者達を、いつまでも睨み付けていた。
「クソッ……みんな……待ってろ……トランスポーターにケンカ売ったことを後悔させてやる…絶対にだ」
「で、このオッサン達はこの後大急ぎでトラックを修理して単身追いかけようとしてるみたいだけど……どうなると思う?」
ホログラムウインドウに予知映像を映し終えたミアは、気怠げな表情で真っ黄色なデザインの缶コーヒーのプルタブを開けた。
「そりゃね、武装を万全整えて決死の救出作戦を敢行! 派手なカーチェイスとアクションスタントを繰り広げながらギリギリのタイミングで見事人質の救出に成功! 夕日をバックに情熱的なキスをしてハッピーエンド!……ってなれば良いけどさ。まぁ無理よね、ハリウッド映画じゃないんだから。このまま行くとフツーに返り討ちに合って終わるわ」
物資を積み込んだトラックの編隊が野盗の襲撃を受け壊滅。
積荷は奪われ、乗組員も連れ去られた。
これは、言ってみればそれだけの話だ。
死と暴力が蔓延し、略奪が横行するこの世界にとっては、数えるのも面倒になる程ありふれた出来事。
「でも、この連れ去られた人達をみんなが助け出すってなったら話は別よね?」
まぁ、厳密には彼らが人質を助け出す為の手助けをして欲しいのだが。
そう付け加えると、ミアは新たなウインドウに現地の地図を映し出した。
次いで地図上に赤と青のポイントマーカーが表示される。
微動だにしない青に対し、赤はゆっくりと青から遠ざかり、画面端へと消えようとしている。
「じゃ、流れを簡単に説明するけど、この青い点が今回襲撃を受けた拠点(ベース)、トランスポーターよ。この拠点って少し特殊でね、建造物じゃなくて大型トラックの集団がそのまま拠点として機能してるんですって。今回の襲撃で殆どの車が大破したから、今はさっきのオッサン達が車両の修理をしてるみたい。まずはみんなを此処に転送するから、修理を手伝ってあげて」
勿論、只の輸送トラックで完全武装の荒くれ集団に突撃しようと言うのだ。
此方もそれなりの武装なり装甲の強化を施す必要がある。
「で、この移動してる赤い点が野盗の方ね。名前はBEHEMOTH(ベヒーモス)。改造が完了したらオッサン達と一緒にコイツらを追いかけてもらう事になるわ。トラックに乗せてもらってもいいけど、自力で移動手段が確保できる人は、そっちの方が小回りが効いて良いかもしれないわね」
次いで新たなホログラムウインドウが次々開き、多種多様な車の図面が表示される。
「後、肝心の敵の構成。こっちはバカデカイ戦車を母艦にして、中型から小型の武装車両で構成されてるみたい。連れ去られた人達は戦車の中に収容されてるみたいだから、周りの雑魚を片づけないとちょっと近寄るのが難しいかも。でも、あれだけの図体してる割に中にはほぼ人がいないわ。近付いて入り込めさえすれば、救出は難しくないでしょうね」
ミアの天球儀型グリモアが回転を始める。
「まぁ要するに車を作って、野盗を追いかけてぶっ殺せば良いって事よ! 周りにはなーんにも無いから思う存分走って壊してストレス解消してらっしゃい!」
龍眼智
直訳すると「今からあのデカブツを殴りに行こうぜ!」です。
YEARーー!YEARーYEARー!
龍眼智です。
今回は野盗軍団の追撃戦になります。
では以下構成。
作戦目標:逃走中の野盗集団に追い付き、母艦戦車を破壊する。
第一章:日常『荒野のトラック野郎』
第二章:集団戦『レイダー』
第三章:ボス戦『超重戦車』
第一章では残骸の散らばる襲撃現場からスタートになります。
トランスポーターの人は、損傷の少ない車体フレームや部品を見繕ってどうにか走れる状態にまで漕ぎ着けるつもりのようです。
みんなで手伝って最強の魔改造トラックに仕立て上げましょう。
「こんな事もあろうかと!」的なビックリ機能を仕込んでおくのも面白いと思います。
勿論、トラックとは関係ないサポートメカ的な物を自分で組み上げるのも有りです。クリエイティブに行きましょう。
第二章からは追撃戦フェイズになります。
敵は猟兵達の存在に気付いても速度を緩める事はありません。文字通り走りながら戦闘に突入します。
自分で高速移動が出来ない人はトラックの荷台に乗った状態からスタートになります。
車の運転に使える技能があれば野盗から車を奪い取る事も出来るでしょう。
何にしても、必ず何かしらの「足になるもの」が必要です。
第三章は母艦戦車との一騎討ちになります。
囚われた人達の救出はトランスポーターの人達がやるので其方は気にする事はありません。
(成功度が半分に到達した時点で自動的に救出完了になります)
最後に、今作よりアドリブに対し新たなシステムを用意しました。
MSページに記載が御座いますので、是非ご一読下さい。
それでは、エンジンキーをどうぞ!
good luck!
第1章 日常
『荒野のトラック野郎』
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POW : 荷運び等を手伝ったり、溝にはまったトラックを助け出したりする
SPD : 移動するトラックを探したり、周囲の危険を察知したりする
WIZ : トラック野郎から話を聞いたり、交渉を持ちかけたりする
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
襲撃現場を血塗れの男が数人、ヨタヨタと歩き回っている。
トラック運転手ビル・バクスターは、数少ない生き残りである仲間の一人、ゲイリー・ムーアに呼びかけた。
何れも横転したトラックの中に閉じ込められていたり、爆発の際、運良く車体の陰に吹き飛ばされ、野盗の目を逃れた者達だ。
「ゲイリー、そっちぁどうだ」
「あぁ……ひでぇもんだ。こりゃもう一度走らせるにはエンジンをバラす必要があるぞ」
「クソッ! こうしてる間にも奴らはどんどん逃げちまうんだぞ!……イテテテ」
ゲイリーの言葉に癇癪を起こしたビルは、足元に転がっていたバンバーを蹴飛ばし、直後に脇腹を押さえてうずくまった。
「よせビル……お前さんアバラが逝ってるんだろう? 車の修理どころかテメェの身体の修理が必要じゃねぇか」
「ハァ…ウルセェってんだ。それどころじゃねぇだろ今は…」
震える膝を手で押さえ、何とか立ち上がるビルはひしゃげた荷台の下から修理用の工具キットを取り出す。
その時であった。
悲壮感すら漂う男達の背後から、救いの手が差し伸べられたのは
高砂・オリフィス
【Lv3】
SPD判定*アドリブ歓迎
いよっし! 大体話はわかったよ
まずはこの車を直せばいいってわけだね
僕に任せて手伝わせて! うんうん腕が鳴るねっ
ちょっとーテンション下がってなーいー?
こういう時こそファイトっ! テンション上げてこーよ!
ここでユーベルコードをどん! ばん! さあ盛り上がって参りましょー!
歌って踊ってるうちになんだかいいアイディアまで降ってくる予感だねっ。確証はないけど。忘れる前に工程に付け加えようっと
あとは、BEHEMOTHについて聞いておこうかな
どんな構成、どんな武器、どんな性格? 思い出してくれそうなことなんでも聞いちゃおう
絡繰・ビリー
【Lv2】
オッケイ、つまりヒーローの時間だね?
最高のエンタメをお見せしよう!
・SPD行動
修理が必要?私に任せろーバリバリ!ってなわけで呼ばれてないけど参上!
助けに行くんでしょ?私も手伝わせて!これでも【メカニック】だし、(撮れ高もあるし)力になるよ!
さて、これだけ材料があればいろいろできるね
ガジェットギア起動、まずは修理して動くようにするよ
次に改造。まず装甲を施して、荷台は騎乗に備えて柵や手すりの追加、銃座も着ける
そして、ガジェットショータイム!
蒸気式ロケットブースターのガジェットを召喚して、後部に積むよ!スイッチは運転席に用意して、「いざという時は使ってね!」とだけ伝えよう
ふ、良い仕事した!
ケイオース・テネブラエ
【Lv3】
ふん、そのような賊などさっさと追いかけて闇の力で皆殺しにしてしまえばいいだろうに…
まぁよい、私もそのトラックの改造に付き合ってやる
●改造
我が【ゴッド・クリエイション】により硬度を極限まで増した暗黒物質で出来た装甲板を創りあげ、それをトラックの側面と前面に取り付けて魔改造する。
「神よりの賜りものだ、ありがたく思えよ人間ども」
取り付けが完了したらついでにトラックの上に我が玉座をこしらえ、そこに座して賊を追いかけるのだ。
「私の加護が必ず貴様らを守るだろう、さぁ…賊どもを皆殺しにするぞ!」
●一号車:スチーム・オブ・ゴッド
「いよっし! 大体話はわかったよ。まずはこの車を直せば良いってわけだね!」
「うおっ!?」
突如背後から響いた快活な声に、ビルは思わず持ち上げようとしていた工具キットを落としてしまった。
かん高い金属音と共に地面に工具が散らばる。
その先には、いつの間にか三人の男女が立っていた。
「な、なんだアンタら!? どこから湧いて出た!?」
「アハハハ! まぁ気にしない気にしない。通りすがりの奪還者だよ」
突然現れた猟兵達に目を剥くゲイリーに手をひらひらさせながら笑いかけるのは高砂・オリフィス(南の園のなんのその・f24667)。
「修理なら私に任せろーバリバリ! ってな訳で……助けに行くんでしょ?私達にも手伝わせて!」
「ふん…その様な賊の一つや二つ、さっさと追いかけて皆殺しにしてしまえばよかろうに…」
その後ろに控えていたのは絡繰・ビリー(スクラップギア・f04341)とケイオース・テネブラエ(混沌より生まれし無限の闇・f21797)だ。
まるで玩具の山を見るが如き、キラキラした視線をトラックの残骸に注ぐビリーとは対照的に、ケイオースはその場の全てに興味が無いかの様な、超然とした雰囲気を纏っていた。
「手伝うっつっても……トラックの修理とか解るのかい坊主」
訝しむゲイリーに、ビリーは器用な動きで足下のスパナを蹴り上げると、腕でキャッチした。
「ご心配なく。これでもメカニックだから力になるよ。最高のエンタメをお見せしよう!」
(取れ高もあるしね…)
ビシッとポーズをキメるビリーを横目に、ビルは集め終わった工具をケースに戻し立ち上がった。
「まぁ……そこまで言うならやってくれ。図面も何も焼けちまってありゃしねぇがな。今はガキだろうが何だろうが、とにかく手が足りねぇ」
「はいはーい! じゃあとりあえずモノを見せてもらうよー!」
喜び勇んで車体に飛び付くビリーと、それに続こうとするビルとゲイリー。
しかし、そこに待ったを掛けたのはオリフィスだ。
彼女は木製の弓の様な楽器の弦を棒で叩きながら、その先端で二人の進路を遮る。「ちょっとーテンション下がってなーい?」
悪戯っぽく笑うオリフィスを見つめる彼らは、文字通り鳩が豆鉄砲を食らった様な顔をしている。
「こういう時こそファイトでしょっ! オジサン達には修理の前にー、ちょっとぼくとジョゴでもしていってもらおうかな!」
「じょ…?何だって?」
「ぼくとカポエイラをしようって意味♪ じゃあ行くよー!」
南国の民族楽器を思わせる独特の低音とリズムに合わせて歌い出すオリフィス。
何処か遠い国の言語の様で意味は全く解らないが、不思議と腹の底から活力が湧いてくる。
彼女の使うカポエイラとは、音楽と非常に馴染みの深い格闘技だ。ホーダと呼ばれる円陣を組み、審判の奏でる楽器のリズムに乗って技を披露し合う。
音と、リズムと、ボディーランゲージで会話する。
それが彼女達カポエリスタなのだ。
「な、なんだこりゃ……痛みが消えていく」
「おぉ、なんだか知らねぇが気力が湧いてきたぜ!」
オリフィスにつられ、ぎこちないながらも身体を動かしていた二人の顔に、徐々に明るさが宿ってきた。
「いいねいいねー! 歌って踊ってもっともっと盛り上がれば良いアイディアも降ってくるよきっと! あ、ついでにBEHEMOTHだっけ? 敵の事も教えてもらっちゃおうかな」
リズムに合わせて、敵の情報交換が始まった。
「…………一体何をしているのだ、あやつは」
「さぁ? まぁ元気付けてあげるのは良いことじゃない?」
ケイオースはタイヤで作った即席の椅子に腰掛け、盛り上がるオリフィス達を眺めていた。
目の前では、ガジェットギアを展開したビリーが幾本ものマシンアームを操作して、凄まじい勢いでエンジンを修理していく。
「えーと、クランクシャフトの歪みは直したし、オルタネーターと点火プラグも取り替えたから……うん、これで動くはず!」
ビリーは機構部を覗き込んでいた顔を上げると、カウルを取り付けエンジンキーを回す。
果たして、先程までピクリともしなかったディーゼルエンジンは、見事逞しい唸りと共に息を吹き返した。改心の笑みでガッツポーズをするビリー。
「よしっ、修理完了! 後は改造だなぁ」
そう、これだけではまだ『元通りにした』だけである。これから野盗達と戦える様に強化していかねばならない。
「うーん、とりあえず荷台に柵と手すりは付けるとして……あぁ、銃座もあった方がいいよね」
ビリーは蒸気機械式タブレット【ギガフォン】を取り出すと、画面に改造案の図面を起こしていく。
しかし、ここで問題が一つ浮き上がる。
「……うーん」
考え込む様子を察してか、ケイオースが後ろから覗き込んできた。
「どうしたのだ小僧」
「装甲の強度が足りない気がするんだ。ここにある素材だと……どう強化しても、多分、銃弾以上の攻撃は防げない。相手がロケットランチャーとか持ち出してきたら、とても太刀打ちは出来ないね」
「ふむ……」
考え込む様子を見せていたケイオースだが、ふと彼の眼光に怪しい光が混じった。
「ふっ、良かろう、興が乗った。私もそのトラックの改造に付き合ってやる」
虚空に手をかざすと、見る間に漆黒のエネルギーが一点に集まり、アメーバの様に蠢き出した。
それは上下左右に伸び縮みしながらやがて三つに分裂し、シックで高級感溢れる装甲板となり、ゆっくりと地上に着地した。
「神よりの賜りものだ、ありがたく思えよ人間」
ビリーは直様ギガフォンを取り出すと、装甲をスキャンし、計算を始めた。
「凄い…! 凄いよこれ! 軽いのに硬度が段違いだ! これならミサイルでも傷一つ付かない!」
「当然だ。我が権能を持って極限まで硬度を高めた暗黒物質の結晶だぞ」
「これで改造プランの目処も立ったよ。早速取り掛かろう!」
ビリーは再びマシンアームを起動し、喜々として作業を始めた。
「おっとそうだ……アレも付けないとね」
やはりスーパーマシンに秘密ガジェットは欠かせない。
八重歯を剥き出し、ニヤリと笑ったビリーが召喚したものとは、果たして……。
「お、どうやら完成してみたいだねー」
踊りながら、ふとオリフィスがそう言った。
「ははは、馬鹿言っちゃいけねぇ。エンジンのオーバーホールが必要なんだぜ。そう簡単に終わる筈が……」
そこまで口にしてビルの表情が変わった。隣ではゲイリーが呆然と立ち尽くしている。
「こいつぁたまげたなぁ……」
何故なら背後で唸りを上げるのは聞き間違える筈のない愛車のエンジン音……!
輝くブラックメタリックのバンパー。
荷台の上には外周沿いに柵と銃座が設けられ、階段状にせり上がった後部にはケイオースの座る玉座が備え付けられている。
更に特徴的なのは背面を覆うように取り付けられた円筒型のパーツ。
ビリー特性の魔導蒸気ブースターだ。
玉座から立ち上がったケイオースがビルとゲイリーを真っ直ぐ見つめた。
「さぁ乗るが良い人間ども! 私の加護が必ず貴様らを守るだろう、賊どもを皆殺しにするぞ!」
その声に二人の目にハッと焦りの表情が戻った。
どうやら状況を思い出したようだ。
「ビル…」
「あぁ……本当に行けるかもしれねぇ!」
急いで運転席に乗り込むと、そこにはビリーが待っていた。
彼はエンジンキーを投げてよこすと、
「あ、いざという時は使ってね!」
と言う意味深な言葉だけを残し、運転席を出ていくのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
白斑・物九郎
【Lv2】
急造のモンスター・マシンでヒャッハー共を追い立てろだァ?
随分とゴキゲンな狩りじゃニャーですか
おう、運び屋のオッサン方
俺めは人呼んで『砂嵐の王』
王が威を示すにゃ玉座が要る
そこらの材料、徴発しますからな
・オッサン達の所にエラそうに登場
・【ワイルドドライブⅡ】発動
・「対象物をモザイク状に崩して・複数重ね合わせたり向きをいじくったりしてから」力を解除することで、材料と材料を自由奔放に癒合&接合させまくってモンスターマシン開発
・エンジンにエンジンが生えてるエンジンを五・六発組み合わせて心臓部にしてみたり、外殻をやたらトゲトゲにしてみたり
・材料選定?
・完成予想図?
・そんなもん全部【野性の勘】だ!
●2号車:ジ・ストームライダー
「はぁ〜〜……何かどエラい事になってきたなぁ」
自らの乗っていたトラックの残骸を漁っていたアレックス・ブルームバーグは、ずり落ちた眼鏡を直すのも忘れ、生まれ変わったビル達の愛車を眺めていた。
あれほどの武装を積み込めば確かに野盗に対抗することも可能だろう。
(俺の車もどうにかならないかな……いやしかし、時間も材料も限られているこの状況では…)
幸いにして、自分の車は一番損傷率が少ない。荷台の上半分が衝突で吹き飛び、何とも風通しの良い塩梅になっているが……走るだけなら応急処置だけで何とかなりそうだ。
「まぁ、最悪ビル達の車を盾にすれば…うっ!」
そう結論付けようとしたアレックスを突然の突風が襲う。
「ハッ! 急造のモンスター・マシンでヒャッハー共を追い立てろだァ?随分とゴキゲンな狩りじゃニャーですか」
舞い上がる砂塵で遮られる視界の中、突如頭上から声が降ってくる。
愛車の上に―――いつの間にか一匹の黒猫が降り立っていた。
「君は……いや、君も奪還者なのか?」
問いかけるアレックスをヤンキー座りで見下ろすのは、白いマダラとヘアピンだらけの黒髪に甚平を纏ったキマイラの青年、白斑・物九郎(デッドリーナイン・f04631)だ。
「おう、運び屋のオッサン。俺めは人呼んで『砂嵐の王』。この名、よぉく覚えておきなさいや」
「砂嵐の……王……」
ゴクリと、アレックスが喉を鳴らす。
なるほど、ネコ科特有の切れ長の瞳孔から発せられる覇気とも言える威圧感は、確かに王者の風格と言われればその通りだろう。
だからだろうか。その後物九郎が出た行動への反応が一瞬遅れたのは。
「で、だ。王が威を示すにゃ玉座が要る。そこらの材料、徴発しますからな」
「へっ?」
「デッドリーナイン・ナンバーナイン・ダッシュ」
物九郎が腕を振るうと、ジッ…と言う軋む様な音と共にトラックの表面がブレる。
それは宛ら壊れたテレビ画面の様に徐々に振れ幅を広げて行くと、やがて黒白の小さなキューブに分解され、弾けた。
「っ!?」
腰を抜かしたアレックスを尻目に、キューブの大群は物九郎のハンドジェスチャーに合わせて不規則に離散集合を繰り返す。
やがて光と共に、動きが止まる。
霧が晴れる様に表面が剥がれ落ちて行き、その凶悪な外殻が徐々に姿を現して来た。
「アーハ……中々イカしたツラになっじゃにゃーですか」
荷台を完全に取り払った六輪仕様のモンスタートレーラー。
オフロード車特有の極太で長いシャフト。その先に取り付けられたスパイクタイヤの直径は少なくとも3mはあるだろう。
そして運転席のすぐ後ろには最早何気筒あるのかも定かでは無い巨大なエンジンが、これまたスパイクだらけの頑丈なフレームに包まれ蒸気を噴き出している。
正に、タイヤとエンジンの権化とでも言うべき車が、そこにあった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『レイダー』
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POW : レイダーズウェポン
【手に持ったチェーンソーや銃火器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : レイダーバイク
自身の身長の2倍の【全長を持つ大型武装バイク】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ : レイダーズデザイア
【危険薬物によって身体機能】を一時的に増強し、全ての能力を6倍にする。ただし、レベル秒後に1分間の昏睡状態に陥る。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
<追って第二章幕間を公開いたしますので少々お待ちくださいませ。プレイング受付は公開後からとなります>
「「「ヒャッホーーーー!!」」」
ガロロロロロロロロロ……
ウォン! ヴォンヴォンヴォンヴォン!
ヴォン! ヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォン! パー―! パッパー!
緑の乏しい、荒れ果てた丘陵地帯を大小様々な武装車両の大軍が爆走していく。
種類も大型バイクからキャデラックカー、四輪駆動のピックアップトラック等様々だが、一つだけ共通点があるとすれば、車体の何処かに黒い獣の横顔を模したエンブレムが描かれている事だ。
―BEHEMOTH―
辺り一帯を縄張りとする悪名高き荒野のギャング集団である。
ふと、最後尾集団の中の一人が、ミラーに映る妙な影を捉えた。
「あぁ……? んだありゃ?」
彼らの遥か後方から、砂煙を上げて猛烈な勢いで迫ってくる何かがいるのだ。
すかさずポケットから取り出した双眼鏡で確認するモヒカンヘッド。
スコープ越しに徐々に距離を詰めてくるそれは、どうやら4トントラックサイズの車両の集団らしい事が解る。
しかし、どれもこれも形状が異常だ。
否、異形と言うべきか。
今やフロントガラスから運転手の顔が確認出来るほどの距離になると、いぶかしげな表情だったモヒカンの口元に獰猛な笑みが宿った。
「ハハッ! マジかよあのオッサン達! おい、見てみろよ!」
思わず助手席でショットガンを磨いていた相方に双眼鏡を押し付ける。
「あぁ? んだよ…何かおもしれぇもんでも………いたわ」
「だろ?…どっから持ち出してきたかしらねぇが、運び屋風情がBEHEMOTHと戦争おっ始め様ってんだ。今度はケツの毛毟るぐらいじゃ済まさねぇぜ!」
直様ダッシュボードに備え付けられている信号弾を手に取り、窓から天高く放り投げる。
ダスキーレッドの狼煙と共に、時速100km下での合戦が始まった。
絡繰・ビリー
【Lv3】
さあ行くよマメタンク!
お兄さんたちも準備はオッケー?
エンタメの時間だよ!
・POW行動
カメラドローンはトラックに乗せて【撮影】させておくとして…
こっちはマメタンクをジグザグ【運転】して回避行動をしつつ、キャノンとガトリングを起動、【なぎ払い】つつ【援護射撃】!
距離を詰めてる間にガラクタバスターを【武器改造】!限界以上に出力調整!
どんな状況でも【メカニック】はミスらないよ!よしオッケィ
自動運転にして車上に立ち、見やがれ我が【パフォーマンス】
オーバーチャージ・バスターの【範囲攻撃】で道を切り開く!
イーーヤッハァーー!
ロマンが燃える!手が焼け熱いパージィ!
あちち…さあお兄さんたち、ゴーだよ!
猟兵達の超技術によって生まれ変わった新生トランスポーターの車両群がトップスピードで突撃を仕掛ける!
その先頭車両、漆黒の装甲パーツが特徴的なトラック【スチーム・オブ・ゴッド】の荷台から小型戦車に乗って飛び出したのは絡繰・ビリー(スクラップギア・f04341)だ。
「さあ行くよマメタンク! お兄さんたちも準備はオッケー?」
ハイテンションな号令に応えたのはヘッドセットから聞こえてくる雑音混じりのビル&ゲイリーの声だ。
「あぁ、奴ら完全に臨戦態勢に入ってやがる! おめえさん達が頼りだぜ!」
「よぉーしエンタメの時間だよ! 装填良し、機関出力最大! とつげーーき!」
ビリーは飛び立たせたカメラドローンがトラックの上に着陸した事を確認すると、トランスミッションを最大戦速に!
蒸気エンジンが唸りを上げ、爆発的な加速力を持って武装車両の群れに突っ込んだ!
「ハロー、ギャングのお兄さん達! コイツは軽いアイサツ代わりさ!」
最後尾を走っていた武装ジープに体当たりをぶちかまし、すかさずマメタンクキャンで零距離砲撃!
CLAAAAAAAAAAAAAAAAASH!!!
中から破裂するように爆炎と部品を撒き散らしながら、猛烈な勢いでジープが背後に転がっていく。
「野郎! 奪還者を雇いやがったのか!」
「慌てんなガキ一人だろ! 囲んでミンチにしてやれや!」
BLATATATATATATATATATA!!
先手を取られたレイダー達の武装車両がビリーを取り囲むように隊列を組み換え、機銃掃射を仕掛けてくる!
「当たらないねそんなの!」
しかしビリーはマメタンクを巧みに操り、左右のガトリングアームで応戦しながらジグザグ走行で鉄風雷火の只中を掻い潜っていく。
(これだけ大きな集団だ。どんな烏合の衆でも必ず隊長格はいる筈……ソイツを狙えば)
縦横無尽の激しいカーチェイスを繰り広げながら、やがてビリーは一台のダンプカーに目を留めた。他の車には無いミサイルポッドが備え付けられているのもそうだが、エンブレムに番号が印字されているのが決定的だ。
「よし、アイツだ」
マメタンクを自動操縦に切り替え、次に彼が取り出したのは何と工具だ。
そのまま激しく揺れる車上でガラクタバスターの改造を始めた。
リミッターを取り払い、出力限界を超えた威力が出るように調整!
「どんな状況でも【メカニック】はミスらないよ! よしオッケィ!」
改造したガラクタバスターを腕に装着し、ビリーは車上へと飛び出した!
「ヒャハハハハ!! 自分から的になりに来やがったぞ!」
その通り。この状況では正に格好の的である。
しかし彼は、押し寄せる弾幕の内、致命的な軌道の物だけを避けながらも、敢えて見せ付けるように三本指を立てた片手を掲げた。
3―――ビリーの頬を弾丸が掠めていく。
2―――足をしっかりと踏みしめ、ガラクタバスターを眼前に構える。
1―――下ろした片腕をガラクタバスターに添え。
0―――荒野を光の奔流が駆け抜けた。
車両を丸ごと飲み込む程の極太ビームが最後尾集団を一気に薙ぎ払った!
「イーーヤッハァーー! どうだ限界超えの、我が必殺の砲撃!」
快哉を上げたのも束の間、ビリーは腕に伝わる強烈な熱感で現実に引き戻される。見るとガラクタバスターの砲身が真っ赤に焼け付き、プスプスと焦げ臭い煙を発しているではないか。
「ってアッチ! ロマンが燃える! 手が焼け熱っつパージィ!」
どうにか砲身を取り外した所に、ヘッドセットから声が聞こえる。
「おぉい何だ今のは!? すげぇじゃねぇか!」
ゲイリーだ。余程今の光景が爽快だったのか興奮を隠しきれていない。
「あちち…さあお兄さんたち、ゴーだよ!」
火傷した手でサムズアップをするビリーの傍らを【スチーム・オブ・ゴッド】が追い抜いていった。
成功
🔵🔵🔴
白斑・物九郎
【Lv3】
●SPD
連中にイイようにされて業腹ですかよ?
なら、俺めの言う通りにハンドル切りなさいや
・アレックスのオッサンに「ジ・ストームライダー」での追走・操縦を依頼
・己は助手席でふんぞり返ってる
・レイダーバイクに横付けさせ、こちらの車体の脇腹をレイダーバイクの脇腹へちょっと当たりに行かせる
・レイダーが強めに当たり返して来る瞬間を【野生の勘】で読み、その瞬間にユーベルコードで仕掛ける
●【開門】発動
・爆走する「ジ・ストームライダー」の目前に瞬間移動門の入口を創出
・門の出口を「当たり返そうとして来たレイダーバイクの逆サイド」に設定、レイダーがハンドルを切っている方向を更に後押すよう車体でブチ当たる!
「おぅ、始まったみたいっすね」
白斑・物九郎(デッドリーナイン・f04631)は助手席から前方で派手に噴き上がる光の柱を眺めていた。
彼が乗るのは禍々しさ全開の超巨大モンスタートラック【ジ・ストームライダー】だ。
タイヤの直径が車体の2倍近くある為、【スチーム・オブ・ゴッド】よりも運転席からの視点はかなり高い。
それを真っ青な顔で運転しているのが、トランスポーター・アレックスである。
「こんなバカデカい車に乗ったのは初めてだよ……下が全く見えない」
しかし物九郎はスパルタだ。
「連中にイイようにされて業腹なんですよな? なら、俺めの言う通りにハンドル切りなさいや」
助手席に踏ん反り返り、手にした魔鍵の先端をアレックスの頬にグリグリと押し付ける。
「わ、わかった! 分かってるって! だからそれはやめてくれ前が見えなおわぁ!?」
魔鍵を振り払ったアレックスが眼鏡の位置を直そうとした瞬間、激音と共に運転席を激しい揺れが襲った。
「あぁ?」
物九郎が窓から下を覗き込むと、大型バイクの一団が周囲をサメの如く縦横無尽に走り回っていた。
その手にチェーンソーを持っているが見えた。恐らく、あれでシャフトを狙われたのだろう。
「お、こっちにも寄ってきましたかよ。よっしゃオッサン、こっちも体当たり!」
「えぇぇーー!?」
「まぁほら、ちょっと小突くだけで良いんスよ。後は俺めに任せなさいや」
「ハハハハハ………もうヤケクソだチクショウーーー!!」
グッとハンドルを握り直したアレックスが必死の形相でアクセルを全開にした。
GYAGYAGYAGYAGYA―――!!
スパイクタイヤが大地に轍を刻み運転席に強烈なGが掛かった。
「おい、逃がすな! あの車は中身を引き摺り出した後俺が貰うぜ!」
囲いを突破されたレイダー達もスピードを上げ、直線距離のデッドヒート状態にもつれ込む!
時速にして両者既に150kmを超えるトップスピードだ!
アレックスはバランスを崩さないギリギリのジグザグ走行で、どうにか追い縋るバイクに体当たりを仕掛けようとするが、相手の巧みなライン取りに阻まれ中々上手く行かない。
まるで大型の草食獣を狩ろうとするハイエナの群れだ。
―――物九郎のネコミミが、ピクリと動く。
車体に飛び移ろうとしたのか、二人乗りのバイクが横から幅を詰めてくる。
アレックスの体当たりをひらりと交わし、勢いを付けてもう一度当たりに来る瞬間!
「開門<オープン・ザ・ゲート>」
助手席でポツリと物九郎が呟いた。
それだけだった。
しかし、それだけで十分だった。
その瞬間、果たして事態を正確に認識できた者はいただろうか。
粉々になった車体ごと宙を舞うレイダー達は勿論、アレックスでさえも目の錯覚か何かかと思っている様な様子だ。
―――スローモーションで、今の場面をもう一度見てみよう。
バイクが体当たりを仕掛けようとした瞬間、【ジ・ストームライダー】が目の前に開いた魔法陣が複雑に折り重なった門のような物に突入している。
忽然と姿を消した相手を前に体当たりが空振りするバイク。
そして次の瞬間、体勢を崩したバイクの側面に猛スピードの【ジ・ストームライダー】が突撃してくるのだ。
スローモーションでバイクがひしゃげ、粉砕されたパーツと共にレイダー達が吹き飛んでいく。
狐につままれた様な顔をしているアレックスに、物九郎は歯を剥き出して笑い、応えた。
「出来たじゃねぇっすか」
成功
🔵🔵🔴
ギージスレーヴ・メーベルナッハ
ハハハハ!然様、此れはまさに戦争である!
尤も…狩られるのは貴様らであるがな!略奪者共よ!
改造した車両には運び屋達に乗って貰う。その上で深追いを避けるよう指示。
余は自前のヤークト・ドラッヘに【騎乗】し出撃。
敵を確認次第、前に出て交戦開始。バイクや小型車に対しては搭載火器による【制圧射撃】、ミサイル(【誘導弾】)で一掃していく。
トラックなど大型の目標に対しては機甲武装・殲滅火砲を発動。攻撃力重視で大口径のレーザー砲を呼び出し此れで以て吹き飛ばしてくれよう。
いずれの場合でも、運び屋へ攻撃を仕掛けるものが最優先目標である。
―――戦争を始める。そう言ったか?
重機甲戦闘車「ヤークト・ドラッヘ」を狩る銀髪隻眼の少女、ギージスレーヴ・メーベルナッハ(AlleineBataillon・f21866)は、風に乗って聞こえてきた野盗の啖呵に亀裂の様な笑みを浮かべた。
「フフフ……ハハハハ! 然様、此れはまさに戦争である!
尤も…狩られるのは貴様らであるがな! 略奪者共よ!」
哄笑と共にヤークト・ドラッヘの機殻が展開し、数々の物々しい武装が顔を出す。
傭兵組織『黄昏大隊(アーベントロート・バタイロン)』を率いる彼女は生粋の職業軍人だ。如何に武装しているとは言え、単なる荒野の喧嘩自慢とはワケが違う。
だが―――そんな事は関係ない。
何故ならここは戦場で、互いに武器を持って向かい合っている。
ならばそれが素人だろうと、否、玄人でも男でも女でも老人でも子供でも動物でも、極論、生物でなかったとしても殺して殺して殺すだけだ。
ギージスレーヴの背後を追従する亜空間ゲートから電磁加速砲が射出され、ヤークト・ドラッヘとドッキングが完了。
「兵装転送、接続完了。過剰火力の殲滅兵装、塵芥と化すまで味わうが良い!」
光が荒野を貫き、一台のピックアップトラックに直撃した。
まるで見えない壁と正面衝突でもしたかの様に前後に圧縮されると、溶けた飴の様に車体がひしゃげ両断、爆発する。
「イヤッッホォォォオオウ!! ざまぁみやがれってんだチンピラ共め!」
その様子にドレッドヘアーを振り乱しながら快哉を上げたのはトランスポーター・ボブ・タッカーだ。
出発前、猟兵達によって改造された彼の愛車【グラスホッパー】は、4トントラックでありながらその名に相応しいスーパーマシンへと変貌を遂げている。
最大の特徴は車体フレーム底面のほぼ全面を使用して設置されたジャンピング機構だ。運転席を覆う頑強な衝角は、突撃する際の武器であると同時に身を守る盾でもあり、空中ではバランサーの役割も果たす。
炎を噴き上げるながら転がってくるピックアップトラックの半身をヒラリとジャンプで交わすと、着地の衝撃を活かして進路上にいたキャデラックカーを踏み潰す。
「おい! 余り前に出すぎるなよ! 貴様らの本番はまだ先なのだからな!」
(まぁ……新しい玩具にはしゃいで羽目を外しすぎてしまうのは新兵の常。分からない事もないがな……)
ギージスレーヴは爆走するグラスホッパーをたしなめながらも、彼を狙って群がってくる武装車両達を次々と重火器の乱射で沈めていくのであった。
成功
🔵🔵🔴
高砂・オリフィス
【Lv3】
SPD判定*アドリブ歓迎
聞いてた通り、ちょっと困ったさんな雰囲気がひしひしと!
止まれっていっても聞いてくれなさそう。実力行使だ! えーと……
び……へー……? びひもち! あっアレがチームネームね、BEHEMOTH、ぶっ飛ばす!!
よしよしもーっと近づけちゃってー!
ユーベルコード《やがて来たる過去》の射程に入ったらこれで攻撃するよ
体ごと飛び込んだり声の衝撃だったり戦況に応じてね
味方から離れたら連続攻撃を狙うけど、そうでなければ連携重視で単発攻撃かな!
風の中で舞うのは気持ちがいーね!
なんだかクセになりそうっ! あははっ!
ケイオース・テネブラエ
【Lv3】
フン、あれが賊とやらか…骨のある連中には見えんな。
まぁよい、我らの力を見せつけるには丁度よかろう。
●殲滅
私は一号車スチーム・オブ・ゴッドの玉座に腰掛けたまま戦う、主役はあくまでこの地に生きる人間どもだ。
「愚かな連中に思い知らせてやれ…ビル、ゲイリーよ」
もちろん助力もしてやる、我が【魔将キュクレイン】を呼び出して賊の一部を相手させよう、キュクレインならばこの高速戦闘にも耐えられるはずだ。
「キュクレイン、人間どもに絶望を与えろ」
私自身も【デスシールド】の【盾受け】で身を守りながら【高速詠唱】の【全力魔法】で【鎧無視攻撃】の【シャドウランス】を放ち、近づいてきた賊達を始末する。
一方、最後尾集団を突破した【スチーム・オブ・ゴッド】は、本隊を視界に捉えるところまで距離を詰めていた。
ケイオース・テネブラエ(混沌より生まれし無限の闇・f21797)は荷台の上に拵えた玉座の肘掛けに頬杖を付き、目の前に広がる大軍勢を睥睨する。
数にして先程の5・6倍はいるであろう武装車両軍団の中心を、要塞かと見紛う程の巨大戦車が悠然と進んでいる。
「フン、あれが賊とやらか……骨のある連中には見えんな」
そこは流石に神と言ったところか。事も無げにそう切り捨てるケイオースに高砂・オリフィス(南の園のなんのその・f24667)も難しそうな顔で顎に手を当てる。
「うーん、聞いてた通りちょっと困ったさんな雰囲気がひしひしと! 止まれっていっても聞いてくれなさそうだし、もうこれは実力行使だ! えーと……び……へー……? びひもち! ぶっ飛ばす!!」
「ベヒーモスだ」
「要するにそれがチームネームね、BEHEMOTH、ぶっ飛ばす!!」
「…………まぁよい、我らの力を見せつけるには丁度よかろう。ビル、ゲイリーよ、準備は良いな」
ややげんなりした様子でケイオースは運転席へと呼びかけた。
「あぁ、ここまで来て手ぶらで変えるわけにぁ行かねぇからな!」
「しかしすげぇ数だ……流石に全部相手にしてる余裕はねぇぞ」
気炎を上げるビルに対し、ゲイリーは冷静に戦力差を分析する。
「案ずるな、もちろん助力はしてやる。しかし主役はあくまでこの地に生きる貴様らだ」
「解った、頼りにしてるぜ奪還者さんよ!」
そう締め括ると、【スチーム・オブ・ゴッド】は更にスピードを上げた。
目指す先は唯一つ、中心部の超巨大戦車一択である!
武装車両集団に紛れると、レイダー達が次々と銃座を此方に向ける。
「オルァアア! ちっとばかし数減らせたからって調子くれてんじゃねぇぞ! ハチの巣になるまでフクロにしてやんよぉぉ!」
集中砲火の洗礼が始まる中、動いたのはオリフィスだ。
身軽な動きで手摺の外側に降り立つと、レイダー達に向かって歌い出した。
―――Bem-te-vi vôou, vôou
―――Bem-te-vi vôou, vôou
―――Deixa voar
―――Lá lauê lauê lauê lauê
―――Lá lauê lauê lauê lauê
「「「「「グワッ!?」」」」
どうした事か、その歌声を諸に正面で浴びた数台の武装車両が急ハンドルを切り横転! 盛大な玉突き事故を起こし爆炎が上がった!
そう、歌と言っても、これはカポエリスタが舞う時に歌う戦いの歌。
彼らにとっての開戦の狼煙の合図なのである。
オリフィスはこれをユーベルコードの力で超音波兵器の域にまで高め放っているのだ。
「もーっと近づけちゃってー! そうすればぼくが乗り込んで片付けてくるよ!」
「ッ! よっしゃ任せろー!」
ビルはハンドルを切り、辛うじて玉突きに巻き込まれなかったオープンジープに体当たりを仕掛ける!
同時にオリフィスは手摺の上から勢いを付け、宙へと飛び出した。
時速100kmの空の中、鮮やかな宙返りから繰り出されたアウーセンマウォン(カポエイラ版サマーソルトキック)が運転席のレイダーへ突き刺ささった!
「ぬがっ!?」
そして着地の反動を活かして直様トラックへUターン!
「よーしドンドン行こう! ターゲットは任せるよー!」
さながら飛び石の上を渡るかの様に、彼女は車両の上を飛び回りながら次々と敵を蹴落としていく。
「風の中で舞うのは気持ちがいーね! なんだかクセになりそうっ! あははっ!」
「クソッ! オイ! アレ出せ!」
しかしレイダー達も只では終わらない。
誰が言ったか、号令と共に車両の合間を縫うように武装バイクの集団が現れた。
彼らは懐から謎のアンプルを取り出すと一斉に首筋に打ち込む。
レザージャケットに包まれた筋肉が盛り上がり、一回り近くそのシルエットが大きくなる。
驚異的なバランスでバイクの上に立ち上がった彼らは、バイクを捨て次々と【スチーム・オブ・ゴッド】の荷台に飛び移ってきた!
「ハッハー! 手こずらせやがって! 終わりだなもやし野郎」
荷台の上に上がってきたレイダー達が嗜虐の笑みを浮かべながら玉座に詰め寄る。
ケイオースは眉一つ動かさずその様子を眺めながら、誰ともなく言った。
「……キュクレイン」
「あぺ?」
瞬間、先頭を歩いていたレイダーの首が落ちた。
数秒の時間を開け、宙を走る斬撃の線と共に残りのレイダーも細切れになって荷台の上に散らばる。
朱の絨毯の上に、いつの間にか大鎌を携え、漆黒のドレスに身を包んだ美女が控えていた。
「はい猊下、ここに」
「人間どもに絶望を与えろ」
「仰せのままに―――」
悪魔のような翼を広げたヴィラン美女《魔将キュクレイン》が飛び立つ。
彼女は上空を旋回しながら猛禽類の如き動きでレイダー達に襲いかかり、次々と武装車両を沈めていく。
「さて……神の玉座を汚したのだ。罰として私からも一撃くれてやろう!」
ケイオースがクワッと目を見開くと、【スチーム・オブ・ゴッド】の行く手を阻む様に壁を作っていた大型ワゴンの一団を黒い霧が包み込んだ。
それは霧であるにも係わらず、ボコボコと表面を泡立たせ、次第にその体積を小さくしていく。
これは触れたモノを空間ごと腐食させる闇の瘴気。
文字通り車ごと闇に飲まれたレイダー達は、悲鳴も、骨すら残さず虚空へと消える。
道が―――開けた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『『超重戦車』スーパーモンスター』
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POW : ウルトラ・ザ・キャノン
【旧文明の国際条約の破棄】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【主砲の砲弾を大都市を一撃で消滅させる砲弾】に変化させ、殺傷力を増す。
SPD : 加農・ファランクス
レベル分の1秒で【全砲門に砲弾を再装填し、連続で砲弾】を発射できる。
WIZ : ゴールキーパー
【連続で射撃攻撃を行う、大口径の車載機銃】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「アララギ・イチイ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
<追って第三章幕間を公開いたしますので少々お待ちくださいませ。プレイング受付は公開後からとなります>
「よし抜けたぞ! 後は一直線だ!」
武装車両の密集地帯を突破し、遂に猟兵達を乗せたトランスポーター・トラック郡は超巨大戦車に手が掛かるところまで距離を詰めていた。
改めて見ても冗談の様なサイズ差である。
4トントラックと言えば一般的には大型車両に分類されるものではあるが、その全長を持ってしても、ようやく敵のキャタピラ一個分に届くかどうかと言うところ。
大音量のアラームが当たりに鳴り響き、重厚な駆動音を立てて砲身が起動していくのが見えた。どうやら戦闘態勢に入ったようだ。
トラックから降り立った猟兵達にトランスポーター・ビルが運転席から声をかける。
「ここからは別行動だ。アレが暴れてる間は手下共は巻き添えを恐れて近寄ってこねぇ。アンタらは派手に暴れてあのデカブツの気を引いてくれ。その間に俺達が中に入り込んで仲間を助け出してくる」
助手席からゲイリーが身を乗り出し信号弾をチラつかせた。
「救出が済んだらコイツを打ち上がるから、それが合図だ。ぶちかましてやってくれぃ!」
猟兵達が応じると、トランスポーターは次々とトラックを発進させ、巨大戦車へと突撃していった。
―――さぁ猟兵達よ。
―――ジャイアント・キリングといこうではないか。
――CAUTION――
・第三章ではトランスポーター達は救助に回る為、トラックを利用する事は出来ません。
・超重戦車は移動していますが、それほどスピードは出ないので猟兵達の足でも振り切られる事はないでしょう。
・成功度が半分に達すると、囚われた人達の救助が終了します。
ギージスレーヴ・メーベルナッハ
ハハハハ!ここまで来れば後は撃ち合うのみよな!その巨体、食い尽くしてくれようぞ!
引き続きヤークト・ドラッヘに【騎乗】の上で超巨大戦車と交戦。
最初は搭載火器の【制圧射撃】【誘導弾】を用いて敵の小型砲を破壊にかかる。運び屋達の脅威を減らすのと、次の攻撃の足がかりとしてな。
一通り小型砲を破壊したら機甲武装・重榴弾砲を発動、列車砲を呼び出しその砲撃を主砲や大型砲に叩き込んでゆく。流石に戦略級威力の主砲となれば早急に潰してしまいたいからな。
破壊前に発射されてしまうようであれば、発射前にできるだけ敵との距離を詰める形で射程範囲外に逃れ回避を試みる。
絡繰・ビリー
【Lv3】
本番はこっからだ
さあお兄さんたち、運転席のスイッチを押して。スチーム・オブ・ゴットの本気を見せてやるんだ!
・SPD行動
あれで当たりはしないでしょ
さあ行くぞマメタンク、アレをぶっ壊して、キミの新ボディにしてやるぞ!
後方から側面に回り込む。あ、乗りたい人乗っていいよ!
ブレーキとアクセルで緩急をつけて【運転】しつつ、スクラップビルド・ギアバット!アクロバット飛行の【パフォーマンス】で注意を惹く努力と、散開して【援護射撃】!
目算になるけど砲の旋回速度と射角を【情報収集】して計算、射線から逃れつつガトリング!
まるで映画みたいだ、賞の総取り間違いなし!
トドメはギアバット全機合体、砲身内に撃て!
―――BEHEMOTH。
未だ人類が死の嵐を知らず、地上に満ち繁栄を謳歌していた頃。
それは神話に登場する、豊穣を司る巨大な獣として知られていた。
そして、神が地上を去ったこの世界においては、獣は鋼鉄の鎧を纏った破壊の権化として猛威を奮っている。
剣山の如く密集した砲塔が一斉に火を噴き、砲弾が雨あられとトランスポーター達に降り注ぐ。
「おいビルやべぇぞ! 砲撃が来る!!」
「解ってんだよんなこたぁ! 当たる前に懐に入れば良いんだろうが!」
遠目から見ると解りづらいが、撒き散らされる砲弾の一つ一つが一般的な戦車砲の十倍ぐらいは口径がある。クレーン重機用の鉄球が超高速で降ってくるような物である。
このまま彼らは目的地を目の前にして芥子粒の様にすり潰されてしまうのか。
―――否である。
KABOOOOOOOOOOOOM!!
【スチーム・オブ・ゴッド】の頭上に飛来する砲弾が空中で大爆発を起こす。
「ハハハハ!ここまで来れば後は撃ち合うのみよな!その巨体、食い尽くしてくれようぞ!」
高笑いと共に現れるのは重機甲戦闘車「ヤークト・ドラッヘ」に跨ったギージスレーヴ・メーベルナッハ(AlleineBataillon・f21866)。そして蒸気軽戦車マメタンクに乗った絡繰・ビリー(スクラップギア・f04341)だ。
「さあお兄さんたち、運転席のスイッチを押して。スチーム・オブ・ゴットの本気を見せてやるんだ!」
「ッ!? そうか、コイツがあった!」
ビリーの呼びかけにハッとするゲイリーは、セーフティーを外す暇すら惜しいとばかりに拳をビリーが増設したスイッチに叩き付けた。
背部の魔導蒸気ブースターが展開し【スチーム・オブ・ゴッド】は爆発的に加速!
一足飛びに超重戦車の懐に潜り込んだ。
「うん、良かったちゃんと動いてくれて。あれで当たりはしないでしょ……さて」
それを見届けた彼は、改めてマメタンクの操縦桿を握り直す。
「さあ行くぞマメタンク、アレをぶっ壊して、キミの新ボディにしてやるぞ!」
自らも超重戦車に突撃していった。
「後方から側面に回り込む!」
「良かろう、なら私は前からだ! 挟撃といこうではないか!」
巻き上がる粉塵と硝煙の中でバイクと戦車と戦車が踊る。
ギージスレーヴは機動力を活かして立ち回りながら、甲板に無数に設置されている機銃レベルの小型砲を次々と破壊していく。
「さあさあ出番だよ皆! スクラップ召喚! 飛べ、ギアバット!」
一方、後方から攻めるビリーは機銃を装備したコウモリ型魔導蒸気機械獣を召喚し宙に放った。
総勢47機のコウモリ達は縦横無尽に超重戦車の周囲を飛び回り、砲塔の狙いを分散させながらも機銃掃射を浴びせる。
ビリーはその様子を観察しながら目測で射角を計算!
最早絨毯爆撃と言っても過言ではない砲弾の雨を紙一重でかわしていく。
「ハハッ! 良いねぇまるで映画みたいだ、賞の総取り間違いなし!」
目を輝かせながら顔の砂埃を拭う彼の視線の先。超重戦車の前方で派手な爆発が起こった。
ギージスレーヴの放った誘導ミサイル郡が甲板上の機銃を一掃したのだ。
そして敵も遂に【主砲】を持ち出してくる。
超重戦車の天辺にそびえ立つ巨大極まる砲塔が、地鳴りの如き駆動音を上げ動き出す。
ウルトラ・ザ・キャノン。
かつての世界において、余りの威力に人道的観点から国際条約で使用を禁じられた禁忌の兵器である。その威力は一撃で都市一つを灰燼に帰すとすら言われている。
「撃たせるわけにはいかんな。斯様に物騒な代物等」
言うと同時、ギージスレーヴの背後の異空間が瞬く間に直径十mほどに広がった。
そこからレールが伸び、長大な砲塔を備えた貨物列車の様な機体が姿を表した。
列車砲―――と言う兵器が存在する。
陸上では運用が困難な大口径・大重量の火砲を列車に搭載し、鉄道レール上を走行させることによって移動を可能とした兵器の事を指す。
戦車の様に小回りは効かないが、その分威力は戦車砲の比ではない。
ウルトラ・ザ・キャノンの砲口にエネルギーが充填されていく中、ギージスレーヴも列車砲の発射準備に移る。
「仰角固定、重榴弾用意! 目標敵主砲! 区画諸共吹き飛ばしてくれよう!」
中天に向かって真っ直ぐ伸びる巨大砲塔から正に破壊の力が放たれようとしたその時。
「Feuer!」
砲身の真横から飛来した列車砲の一撃が、見事狙いを明後日の方向へずらすことに成功した。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ケイオース・テネブラエ
【Lv3】
フン、いかに巨大であろうと所詮は鉄の塊に過ぎん…神の前には無に等しい力だ
●滅
「物質的な攻撃など」
【高速詠唱】にて【デスシールド】を展開、戦車からの攻撃を全て【盾受け】して防ぐ。
「この程度か、ならば」
一度防いでしまえば無力化は容易い、より強固な守りである【デスペア】を展開して敵戦車の攻撃を全て無力化、私は悠々と【空中浮遊】しながら戦車に対して【鎧無視攻撃】の【シャドウランス】を四方八方から【全力魔法】で撃ち込み、砲塔を穿ち折り、装甲に穴を空け、一切の慈悲なく滅する。
「合図とやらか…ならば中に救うべき人間はいない、跡形も無く消え失せろ!」
荒野に爆炎の華が咲き、熱波が大地を舐め取っていく。
ケイオース・テネブラエ(混沌より生まれし無限の闇・f21797)は吹き荒れる風に髪を遊ばせながら巨獣と相対する。
黒煙の中から再び現れるその威容に、未だ陰りは見られない。
「フン、いかに巨大であろうと所詮は鉄の塊に過ぎん…神の前には無に等しい力だ」
事も無げにそう斬って捨てるケイオース。
その言葉が聞こえたのかどうかは定かではないが、試してみるかとばかりに超重戦車の至るところで装甲板が展開し、新たな機銃が姿を表す。
硝煙と薬莢を撒き散らしながら数十を超える機銃が、一斉に大量の弾丸を吐き出した。
鋼の滝とでも言おうか。人一人を屠る為と言うには余りにも過剰な量の弾幕だ。
しかし、それに対して黒衣の神の顔に浮かんだ表情は「呆れ」とも「憐憫」とも取れる物だった。
まるで『まだ解らないのか』とでも言うように。
見ると周囲の地形が降り注ぐ弾丸の雨によって削られていっているのに対し、ケイオースの周りだけ弾痕が欠片も見当たらない。
その秘密は彼が頭上に展開している闇魔法【デスシールド】にある。
触れたあらゆる存在を消滅させる攻勢防壁として機能する闇の膜が、弾丸を全て消し去っていたのだ。
「フン……この程度か。ならばこうしてくれる」
デスシールドの輪郭がぼやけ、ガスの様に地に闇が染み出していく。
それは風に乗って舞い上がり、降り注ぐ強烈な太陽光すら隠して辺り一帯を闇に染めていく。
風が止み、音が消え、光が消えた。
あらゆる物質、事象、魔法でさえも、この闇の中では存在を許されない。
超獣戦車の機銃が必死にブローバックを繰り返すが、最早弾が出ないどころか銃声すら響かない。
しかし―――次の瞬間、ケイオースは闇の中に一筋の光を感じた。
眼には見えないが、今確かに、超重戦車の側面から砲弾ではない光の弾が上がったのだ。トランスポーター達が救出に成功したのである。
「合図とやらか……本懐を果たしたな。褒めてやろう人間ども」
微かな笑みを浮かべたのも一瞬。ケイオースは頭上に手をかざすと、周囲の空に無数の漆黒の槍を生み出した。
「最早中に救うべき人間はいない、跡形も無く消え失せろ!」
これぞ因果応報。
如何に山の如き巨体を持っていたとしても、世界そのものを覆い尽くす闇が相手では分が悪かろう。
全方位から飛来する闇の槍の集中砲火を受け、超重戦車はその身を歪に歪めていった。
成功
🔵🔵🔴
―――【警報:火災発生】
―――【警報:火器管制装置通信Error:ports1〜7、9〜12……】
―――【警報:北区第2エンジン破損、第三エンジン出力異常】
「がぁあああああああうるっせえええええええ!!!」
無数の計器が次々と異常を吐き出し、レッドアラートで真っ赤に染まる超重戦車のコックピット。
操縦席に座る一際ガタイの良いモヒカンがコンソールパネルを拳で叩き割った。
野盗集団BEHEMOTHの首魁である彼は、そのまま頭を抱えるとその上に突っ伏す。
「クソッ! クソッ! 何なんだアイツら!! どうなってやがる!!」
全く持って意味がわからない。
この無敵の筈の巨大戦車が、何故生身の人間相手に手玉に取られているのだろう。
解らない。否、解りたくない。
「頭ァ! 大変だ!」
そこに血相を変えた手下が一人飛び込んでくる。
「バカ野郎! 今それどころじゃねぇのがわかんねぇのか!?」
「女供が……捕まえた人質達が一人もいねぇ!」
「なん…………だと?」
「それに……部屋の中に……これが……」
目を皿の様に見開いたモヒカンに手下が差し出したのは、スプレーで落書きされたバイクのフルフェイスヘルメットだ。
そこには荒々しい文字で【TRANSPORTER is Here】と書かれていた。
高砂・オリフィス
【Lv3】
POW判定*アドリブ歓迎
でっっっっっか!! 近づくとわかるこの大きさ……どうしよう?
あははっ、もしかしたら味方の攻撃で損傷箇所が見つかるかも!
ぼく一人で戦ってるわけじゃないしねっ
ここまで来れたのもみんなのおかげ、なら派手に最後まで突っ走る! やるぞー!
使うのはずばり《一撃必殺》!
ぐらついてたり歪んでたり、そういう箇所目掛けてー集中〜すーはー!
あっ掛け声とかあったら嬉しいなあ!
ハッピーエンド? ううん、これからもきっとサイッコーの未来が待ってるよね!
白斑・物九郎
【Lv3】
●POW
運転御苦労
そっちもそっちでキリキリ仕事しなさいや
(アレックスのオッサンを見送る)
さて、ココからは徒歩の行軍ですわな
せいぜい派手に暴れてやるとしましょっかや
・【獣撃身・黒】発動、でっかい化け猫に変化
・獲物を【追跡】するという狩猟本能(野生の勘)に基き【残像】を刻む程の【ダッシュ】と【ジャンプ】で機動し、超重戦車に並走
・【怪力】の四肢と咬合力、そして尾で【なぎ払い】戦う力で、さながら自走するオモチャを追っ掛けてひっぱたいてじゃれる猫の如く超重戦車相手に肉弾戦を挑む
・主砲身をブチ折りに行く
・地形破壊力を超重戦車の外装破壊に及ぼし、ちょっとでもトランスポーター達が乗り込み易くしてやる
地鳴りめいた轟音を上げ荒野を征く超重戦車。
白斑・物九郎(デッドリーナイン・f04631)は遠目に、その巨体からトラック郡が離脱していくのを見つけ、口角を上げた。
「運転御苦労。そっちもキッチリ仕事はしたみたいッスね」
ならば―――今度は此方が仕事をする番だろう。
物九郎は両手の指を鳴らし、改めて視界いっぱいに広がる巨獣の姿を見渡す。
「ベヒーモスだか何だか知らねぇが、こちとら百鬼夜行『ワイルドハント』ッスよ。獲物はデカい方が…………燃えるってもんですわ!」
クラウチングスタートの姿勢を取ると、大地を蹴り、超重戦車に向かって駆け出した。
二歩、三歩と進む度に物九郎の身体が肥大化し、そのシルエットが変わっていく。
NNNAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAGGGGGGG……!!
ズン……!! と重厚な音を立て、荒野に巨大な肉球の足跡が刻まれる。
全高にして数十メートルはあろうかと言う巨大な化け猫が顕現した。
突如目の前に出現した巨大生物に超重戦車の砲塔が一斉に火を噴く!
しかし、物九郎はその巨体に見合わぬ残像すら伴う俊敏さを見せ、一気に戦車の側面に追い付いた。
FUSYAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!
併走しながら前足を振り上げ、キャタピラの駆動部分に向かって猫パンチ! 猫パンチ!! 猫パンチ!!!
それはさながら猫が自走式の玩具を追いかけて引っ叩いてじゃれ付く様な光景。
本来ならば微笑ましいワンシーンなのだが、この場では互いのサイズ感も相まって怪獣映画の如し壮絶さしか演出できない。
一方―――その様子を戦車の甲板から見つめる者がいた。
「でっっっっっか!! 何あれ猫ちゃん!? あははっ! すごーい!」
高砂・オリフィス(南の園のなんのその・f24667)だ。
他の猟兵達の攻撃に紛れ、何とか敵に取り付く事には成功した彼女だが、先程まで敵の余りの巨大さに少々攻めあぐねていたところであった。
そんな彼女が天啓を得たのは、正に物九郎のキャタピラ攻撃の瞬間だったと言える。
「そっか……ぼく一人で戦ってるわけじゃないしねっ。もしかしたら味方の攻撃で損傷箇所が見つかるかも!」
未だ大破には至っていないものの、超重戦車も度重なる猟兵達の攻撃を受け、徐々に損壊率が上がってきている。
その一つ一つは、全体から見ればかすり傷の様な物だ。
しかし―――その傷口に手を突っ込み、広げることが出来ればどうだろう。
「ここまで来れたのもみんなのおかげ、なら派手に最後まで突っ走る! やるぞー! おー!」
オリフィスは手摺を乗り越え一つ上の階層へとよじ登ると、砲塔の駆動部分が歪んでいるのに目を止めた。
「よーし、まずはあそこかな?」
足を肩幅に。大地に根を張る様にしっかりと踏みしめ重心を落とす。
狙うは駆動部分。ギアが歪んで僅かに隙間が開いた箇所だ。
1 2 ぶっ殺せーー!!
「いくよ〜……um……dois……mattaaaaaaaaa!!」
KuRA-TOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOM!!!
渾身の正拳突きが肘まで内部にめり込み、砲塔が一瞬膨張したかと思うと、破片を撒き散らしながら大爆発を起こした!
それは連鎖爆発となって隣の区画へと延焼し、砲塔が次々と焼け落ちて倒れていく。
「やったぁー大成功ー! よーし他にもこういうところがあるはず!」
オリフィスは次なる弱点を探して甲板の奥へと消えた。
キャタピラがぐらつき、砲塔が倒されていく。
コックピットでは首魁のモヒカンが青褪めた顔で激を飛ばしていた。
「おい何とかならねぇのか!! 主砲は!?」
「だめです頭! 奴ら距離が近すぎて逆に当たらねぇ!」
「クソがぁ!! こうなったら直接やってやらァ!」
背後に立て掛けてあったロケットランチャーを手に取り、甲板へと飛び出したその時である。
目の前に聳え立つウルトラ・ザ・キャノンの砲身に何かが巻き付いた。
モザイク状の空間に覆われたそれは、何と巨大な猫の前足である。
何が起きているのかも理解できないまま、モヒカン達は呆然と空を見上げた。
何故なら、今日は快晴で、未だ太陽が照り付けている時間の筈なのに、急に辺り一帯が暗くなったから。
果たしてそこにいたのは―――巨大な猫であった。
片方の前足がゴムの様に伸び、砲身へと繋がっている。
「あ……あ……」
身体が逃げようとした時にはもう遅い。
重力加速度×巨大化した身体の質量×モザイク化した前足の戻るスピード=破壊力
猛スピードで迫る巨大な肉球が、モヒカン達諸共主砲の根本に突き刺さった!
閃光が荒野を灼き、巨大なキノコ雲が天高く上がる。
野盗集団BEHEMOTH、壊滅の瞬間であった。
大成功
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