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絡繰忍奇譚

#サムライエンパイア

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●廃村の絡繰屋敷
 近江国の山中に打ち捨てられた武家屋敷がある。
 村民が去って久しい廃村に残された、破れ屋敷である。
 草木も眠る丑三つ時。
 放棄されたはずのその武家屋敷に、忍装束を纏った忍者が這入り込んだ。床板の落とし穴を見破り、壁から飛び出してくる槍を跳んで避ける。板の間や畳の間の柱には、火の灯された蝋燭が掛けられていて、ここが廃墟ではないことを示していた。
 ――この屋敷にはやはり、何かがある。
 忍は、仕掛けられた罠を潜り抜けて小さく頷く。
 最近になって、近隣の村々で行方不明者が相次いでいた。若い男女から子供までが無差別に誘拐されているのだ。
 この屋敷に連れ去られた可能性が高いとの情報は、既に得ていた。
 それが一体、何を示しているのか……。
 壁に囲まれた板の間に足を踏み入れた時、不意に子供の笑い声が響き渡った。
 天井がぎしりと鳴り、忍者が振り向きざまにクナイを投げる。それは確かに敵に突き立ったはずだった。
「これは……なんという……」
 目を見開いた直後、飛んできた何かに首が刎ね飛ばされる。
「外道が」
 それが彼の最期の言葉だった。

●序章
「サムライエンパイアの世界でオブリビオンの暗躍を掴みました。皆さんに事件の解決をお願いしたく存じます」
 グリモアベースに集った猟兵達に化野・那由他(書物のヤドリガミ・f01201)は真剣な面持ちで語り出した。
 那由他が背にしているのは夜闇に包まれた廃村に佇む武家屋敷だ。
「あちらの屋敷に、近隣の村々から誘拐されてきた方々が連れ込まれたようなのです。内部がオブリビオンの巣窟になっているのは間違いありません」
 先刻、或る忍者が屋敷に忍び込んだらしいが、返り討ちに遭ったという。
「屋敷は幾重にも罠が張り巡らされた特殊な構造になっているようです。吊り天井や隠し扉、落とし穴、ギロチン、床から刃が飛び出す仕掛け、呪術に基づいて近付いた者に電撃を与える魔法陣……他にも様々な罠が施されているものと見られます」
 首魁であるオブリビオンのもとにたどり着くまでには、まず屋敷に侵入し、仕掛けられた罠を掻い潜り、内部を攻略しなければならない。何処かに階段や梯子が隠されているはずだ。呪術法力が施された屋敷であるため、建物を大々的に破壊する攻略方法は却って危険であり、推奨されない。
「罠の他にも、何ものかが襲ってくることが考えられます。忍者と思われますが、詳細は不明です。そして……」
 那由他はそこで少し難しい顔をした。
「屋敷の何処かに、まだ連れてこられた方々が監禁されているようなのです。もし可能でしたら救出して頂ければと……」
 こちらは危険が間近に迫っているようだ。助けるならば急ぐべきだが、場合によっては間に合わない可能性もある。
「ともあれ最大の目的は、この屋敷に巣食うオブリビオンの頭目の撃破です。これ以上の暴挙を阻止する為にも、皆さんの力で討ち取って下さい。どうぞ宜しくお願いします」


相馬燈
 マスターの相馬燈です。サムライエンパイアのとある廃村の武家屋敷にオブリビオンが巣食い、人々を誘拐して連れ込むという事件が発生しました。今回の最終目的は首魁であるオブリビオンの撃破です。

●第一章の目的
 武家屋敷に侵入して罠を突破し、内部を攻略しましょう。何処かに隠し階段や地下へと続く梯子などがあるようです。オブリビオンの首魁に近付ければ新たな動きがあるでしょう。

●武家屋敷
 見た目は塀に囲まれた広い邸宅ですが、中は侵入者を排除する様々な仕掛けが施されたいわゆる絡繰(カラクリ)屋敷となっています。あちこちに照明が灯されているので、特段、明かりを用意する必要はありません(持っていけば有利になる可能性はあります。暗視技能等も同様です)。

●屋敷内の罠について
 定番の落とし穴や吊り天井のほか、壁から矢が飛んでくる、槍が飛び出してくる、天井からギロチンの刃が降ってくるなどの仕掛けのほか、呪術により雷撃を放つ魔法陣が描かれていたりもします。

 ※POW、SPD、WIZの項目に示されていることは参考(一例)なので、屋敷攻略の範囲内かつそれぞれの能力値に基づく内容であれば他の行動を取っても大丈夫です。

●その他
 屋敷の何処かに連れ去られた人々が監禁されているようですが、第一章冒頭の時点で既に窮地に陥っています。救出の成否は全体の成功条件には絡みません。

 以上です。
 皆様のご参加をお待ちしております。
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第1章 冒険 『絡繰屋敷の謎』

POW   :    怪しい壁を手当たり次第に叩く

SPD   :    逃げる白装束の子どもを追う

WIZ   :    前に屋敷に踏み入った捜索者のメモを見つける

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

フーカ・フダラク
ここがサムライの世界か。
記念すべき初手柄になると良いのだがな。
第一目標は分かった!だが救出を諦める訳にも行かん。

急ぐためにも壁の破壊は非常に私好みだが…
呪術の力とやらがどこまで及んでいるか分からんし
屋敷内や罠に関して把握する為にも、まずは歩き、周囲を見て、
情報収集から入るとしよう。
〔WIZ 前に屋敷に踏み入った捜索者のメモを見つける〕

可能ならば〔UC 影の追跡者の召喚〕を使い
追跡者にも探索を手伝わせたい。それができなくとも、
先に屋敷に入った忍者が不意打ちのようにやられていたが
私を狙う者を見つけ出し先手を打てるように構える。
さあ、鬼が出るか蛇が出るか…



「ここがサムライの世界か」
 フーカ・フダラク(幽霊戦闘機・f11950)はぐるりと室内を見渡して呟いた。拠点とするUDCアースでも映像や資料として見ることの出来る光景ではあるが、屋敷を包む濃密な闇といい、呪術の気配といい、やはり別世界なのだという所感をフーカは抱く。
 夜陰に乗じて忍び込んだのは、十畳ほどの一間だった。火を灯された行灯が、まるで侵入者を歓迎するかのように室内を照らしている。
 一方は入ってきた板戸、もう一方が閉ざされた破れ襖となっていて、後は板壁だった。
「余り時間はないのであろうが、救出を諦める訳にも行かんな」
 壁の破壊はフーカ好みの攻略法ではあるが、呪術の影響がどこまで及んでいるかも分からない。襖の破れ目から奥を覗けば、その先は長い廊下になっているらしい。
 まずは情報収集が肝心と、周囲を一通り調べた後、フーカは襖を開けて燭台が等間隔に掛けられている廊下に出た。
 床にも壁にも異常はなかったが、天井を見て足を止める。
「これは分かりやすい部類であろうな」
 軽く足を前に出すと、天井に空いた複数の穴から槍が降ってきた。鎖に引き上げられていく槍が、上がりきるまで落ちてこないことを確認すると、フーカはその下を素早く潜って、廊下の先を目指す。
 行き止まりと思われたが、隠し扉になっていた。
 押し開けて部屋に入るなり、血の匂いが鼻をつく。
「……例の忍か」
 首を切断された亡骸が倒れ伏していた。
(「さあ、鬼が出るか蛇が出るか……」)
 軽く忍装束を調べると、果たして、一枚の紙片が見つかった。
「これは……この屋敷の見取り図か? 少々不明瞭ではあるが」
 背後の天板が開かれたのは、まさに言い終えた直後のこと。
「――!!」
 予期していたフーカが即座に回避行動を取る。
 古びた柱に突き刺さる忍者刀。それを投げた襲撃者――黒い装束を纏った忍者と、一瞬、目が合った。
 濁ったその瞳には、ただ殺意が渦巻いていた。まるで人間的な感情がまるごと削ぎ落とされたかのように。
 仕留め損ねた忍者が、忍者刀を抜き取ってフーカが入ってきたものとは別方向の隠し扉から遁走する。
「逃さん」
 フーカはすかさずユーベルコードを発動。影の追跡者にその後を追跡させる。屋敷を駆け抜ける忍者。五感を共有する影の追手が次々に情報をもたらす中、
「座敷牢か」
 どうやらこの階にあるらしい。
「手柄となれば良いのだがな」
 フーカは影の追手から得た情報と、手に入れた見取り図を照合しながら、探索を継続する。

成功 🔵​🔵​🔴​

ガイ・レックウ
(SPD)で判定
「おい1なんで逃げるんだ?」
【忍び足】と【見切り】で罠を見極め、ふまないように避けつつ、自慢の【逃げ足】技能でのスピードとフック付きワイヤーを利用した多角的な軌道で白装束の子供を追いかけるぜ。呪術のトラップには【オーラ防御】で対処しつつ行くぜ



 
 高くそびえる土塀を飛び越え、屋敷に潜入を果たしたガイ・レックウ(流浪の剣士・f01997)は、卓越した技能を駆使して早くも幾つかの罠を看破、順調に内部の攻略を進めていた。
 天井から降ってくる槍の罠は壁に張り付くようにして発動を防ぎ、壁に描かれた雷撃を放つ魔法陣はオーラを身に纏わせながら強制的に突破して、廊下から広間へと走り出る。
 そこは戦時ともなれば武者溜りにもできそうな、板張りの間である。
 足を踏み入れた途端、笑い声が聞こえてきた。
 奥に見える廊下に、口元以外を白装束で覆い隠した子供が立っていたのだ。
「おい」
 呼びかけ、近付こうとしたガイを誘うように、白装束の矮躯が奇妙な摺り足で通路を曲がって姿を消す。
「待て! なんで逃げるんだ?」
 追いかけようとしたその時、目の前の壁に掛けられた般若面の口から矢が放たれた。
 瞬時に見切り、横に跳んで避けるガイ。
 即座に駆け出して廊下に出る。
 突き当りを左に折れた先にも、まだ通路が続いていた。
 ガイは高い天井をちらと仰ぐと、軋む床板を蹴って再び駆け出した。
 直後、異変が訪れた。
 廊下の板張りの床が、奥の方から音を立てて崩れていくのだ。
「なるほどな。こいつは良く出来た仕掛けだ」
 絶体絶命の窮地の中、ガイは懐から取り出した道具を天井に向けた。
 それこそは屋敷の土塀を越える際にも使用したフックシューターである。
 鈎付きのワイヤーが射出され、天井の梁に絡みつき引っかかる。
 ガイは振り子のようにして勢いをつけて跳び、廊下の先に転がり込んだ。
 四方を板壁に囲まれたどん詰まりの畳の間である。
 白装束の子供が手を突き出して、壁の隠し扉を押し開けた瞬間、遂に追いついたガイがその小さな肩を掴んだ。
「おい、お前」
 白装束の子供が途端に動きを止め、そして。
『ケタケタケタケタケタケタケタケタ――!!』
 異様な笑い声、否、奇音をたてるモノを前に、咄嗟にガイが飛び退いた。
 目の前で矮躯が爆散する。
 それは如何なる業によるものか――飛び散ったのは、絡繰り仕掛けの内部機構だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ベルベナ・ラウンドディー
【POW】
つまり罠の発動が前提覚悟です
回避手段はある(見切り・武器受け)が、何が起きるかは解らない
だが踏破した道が安全、という前提が成立するなら、そちらに戻れば安全ということ(ダッシュ・地形の利用)
ひとまずそれを対策にしましょう

多少離れた位置から(念動力)であれこれ作動を確かめてから叩いてみるのがいいかもしれません
いざ叩くというなら罠ごと壊す自信はあります(破壊活動)
…が、迂闊な行動は避けたいので試しにユーベルコードを活用しましょう

【竜紋即居付け】:宣告する。貴方は…「私への殺傷行為を封じられる」

罠なら封印効果は期待してもいいかもしれません
…いっそ隠し扉か何かであることを望むものですがね



「囲炉裏の灰に矢とは、凝ったことをするものですね」
 ベルベナ・ラウンドディー(ドラゴニアンのバイク乗り・f07708)は囲炉裏の間に入る前に不自然さに気付き、念動力を以て灰の中の絡繰を障害。見当違いの方向に矢を放たせて後、直刀で無力化した。
 それは持てる技能を駆使した必要最小限の破壊工作だ。
 他に何もないことを確認すると、ベルベナは大きな障子戸を引き開けた。
 その先は長い廊下になっている。
 武者が列をなしてすれ違える程の横幅があった。
「……不測の時には今の部屋に戻ればいいでしょうが」
 ここまでの経験から言って、何も仕掛けられていないということは有り得ない。
「罠の発動は覚悟の上」
 小さく頷いて、ベルベナは廊下へと駆け出した。
 見立て通りに、天板が次々に反転して絡繰仕掛けの矢が放たれる。
 俊足で駆け抜けるベルベナ。
 今度は前方の天板までが裏返る。
「ここまで来れば突破するまで……!」
 ベルベナは駆けながら抜刀、襲い来る矢を鋭い爪と刀で払い、刀身で受けて防ぐ。
 そのまま廊下を抜けた。
 奥座敷のような一室だ。
(「退くにも、いまの矢が再装填されるかが問題だが……」)
 座敷の中程まで入った瞬間だった。
 周囲の板壁が一度に反転し、忍者が現れる。
「やはり来ましたね」
 攻撃されるより早くベルベナが直刀を振るって縦横に弧を描き、忍者の体躯に斬撃を刻み込む。それは竜言語で綴られた竜紋であり、 
「宣告する。貴方がたは……『私への殺傷行為を封じられる』」
 宣言、そして念動力によって紋が起動、忍の動きを止める。
(「これは……絡繰か」)
 斬った感覚で、それは察せられた。
 板戸に括り付けられる形で固定され、手だけではなく体からも手裏剣を射出する機巧となっていたようだ。特に手がかりになりそうなものは見受けられないが、生き人形のように精巧な絡繰忍者である。
「さて、叩き壊す手間が省けましたね」
 反転した板戸の一つが、隠し扉になっていた。
 今まで辿ってきた経路を思い描きながら、ベルベナはその先に足を踏み入れる。

成功 🔵​🔵​🔴​

御剣・刀也
めんどくせぇなぁ
こそこそと。剣士なら堂々と正面から来いってんだ
ま、愚痴ったって始まらねぇ。とりあえず、怪しい壁はとにかくぶった斬るか

「たく、めんどくせぇ。音楽の一つでも聞きながら片づけてぇや」
とぶつくさ言いながら手近な壁を調べる
第六感で嫌な予感を感じたら壁の前から離れて破壊はしない
怪しいような感じを受けたら壁を斬り捨てる
「剣術の修行ばっかりしてたからな。こういう勘は自然とだいぶ鍛えられた」
と、外れなかったら呟きつつ、外れたら
「こんな時もあるか」
と、次の壁を斬りに行く



「卑怯者の考えそうなことだ」
 板の間の古びた箪笥の上から、首を切断された日本人形が転がり落ちた。
 口から射出されたのは恐らく毒針だろう。煌めく日本刀を手に、御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)は苦虫を噛み潰したような顔をする。
「めんどくせぇなぁ、こそこそと。堂々と正面から来いってんだ」
 既に幾つかの部屋を調べ、罠にも遭遇していたが、全てを無傷で潜り抜けていた。他の猟兵の手によるものか、無力化されていた罠も目についた。
「ま、愚痴ったって始まらねぇ。怪しい壁はぶった斬るだけだ」
 ここに至るまでもそうしてきた。研ぎ澄まされた第六感は、罠の気配を逃さない。
「……こいつは危ねぇな」
 一方の板壁から、邪気のようなものを感じ取って刀也は距離を取る。
 呪術の類だろうか。つくづく陰険な敵のやり方に刀也は舌打ちした。
「たく、めんどくせぇ。音楽の一つでも聞きながら片づけてぇや」
 襖があり、それを開けると、奥は納戸になっていた。
 短檠に火が灯されている。
 殺気を感じ、踏み入る前に、刀也は愛刀の柄に軽く力を込めた。
「剣術の修行ばっかりしてたからな。こういう勘は自然とだいぶ鍛えられた」
 突入した直後に刀也は左の壁を斬り、返す刀で逆方向の壁も斬り下げた。
 隠し戸だ。両の戸に括り付けられていた絡繰仕掛けの忍が、反転する間もなく両断される。
「馬鹿が、こういうのは一気に来るもんだろうが」
 続いて正面、そして背後の天板が開いて忍者が落ちてくる。
 まず前方、手裏剣を投げようとした襲撃者を逆袈裟に斬った。
 これは絡繰りではない――斬った手応えから直覚し、刀也は背後から頭部めがけて投げられた棒手裏剣を軽々と避けて、
「こんなもんで俺を仕留めようってのか。笑わせるなよ」
 天井から降ってきたそれは、操り人形じみた絡繰忍者だった。
 カタカタと再び手裏剣を投げようとするそれを刀也が十字に斬った。
 内部機構を飛び散らせながら崩れ落ちる絡繰忍者。
「つくづくめんどくせぇ奴らだ」
 溜息を吐いた刀也が納戸を一通り調べ、絡繰忍者が現れた壁の向こうに通路があるのを発見した。奥に上階へと続く梯子が見える。
 神経を集中させながら刀也は通路の先へと足を踏み入れる。

成功 🔵​🔵​🔴​

木目・一葉
仕事に取り掛かろう
「一筋縄ではいかないだろう
できれば屋敷の設計図がほしいな」
とにかく屋敷内では慎重にならないと

【SPD】逃げる白装束の子供を追う

「迂闊には追いかけられない」
あの子が今死んだら攫った意味がないので、何が起こるとは考えにくいが
あの子には【影の追跡者】を使用
もし罠にかかりそうなら、その影の追跡者から【影の蹂躙舞踏】を発動させて罠を破壊して子供を守る
またその子が罠にかかるまでの経路を確認
僕はその経路を辿る
自身と子供とは体重と身長に差があるので、その差で発動する罠があるかも
【第六感】と【地形の利用】、【失せ物探し】で警戒だ
できるなら子供を保護し、【コミュ力】と【情報収集】で情報を得たい


フーカ・フダラク
座敷牢か…。見張りが居るかもしれんな、慎重に様子を見に行こう。
救出が事の成否に関わらないとはいえ、捨て置くのは寝覚めが悪い。
屋敷を破壊するにしても首魁と戦うにしても、心置きがないだろう。

見張りがいたら戦うしかあるまい。
「追跡者よ、私に続け」
〔UC 影の追跡者の召還〕を発動し、私は正面から、追跡者には影の中を移動させ敵の背後へ。
〔衝撃波〕で相手を後方へ吹き飛ばし、背中から追跡者に攻撃させる。
近くの敵には〔なぎ払い〕だ。
「貴様らの思い通りにはさせんぞ!」



(「とにかく屋敷内では慎重にならないと」)
 ロングコートを纏い、フードを被ったままの姿で、木目・一葉(生真面目すぎる平凡な戦士・f04853)は行灯に照らされた座敷を調べていた。
 破れかけた屏風がある。
 それに手をかけ、後ろを覗いた時、不意に背後の床が軋んだ。
 振り返る。
 白装束の子供がこちらを覗いていた。
 呼び止める間もなく、廊下の方へ逃げていく。
「迂闊には追いかけられない、が」
 一葉はすかさず影の追跡者を召喚。子供を追いかけさせ、自らも後を追う。
「待て、話がしたい」
 バタバタと駆ける子供は足を止める気配もない。
 一葉は五感を共有する影の追跡者の情報から、廊下の側面に人為的な切れ目があるのを認識した。ちょうど大人の肩や首辺りの位置だ。
 察した一葉は一旦、立ち止まらざるを得なかった。
 妖刀を抜いて振るって見ると、亀裂から鋭利な刃が飛び出す。
「面倒なことを」
 一葉は落ち着いて身を屈め、罠を抜けた。
 僅かに足止めを喰ったが、影の追跡者は子供を捕捉したままだ。一葉は再び走り出すと、直感して左の襖を開けた。部屋を横切り、先回りをして廊下に出る。向こうからやってきた子供が勢い余って一葉にぶつかり、尻餅をついた。
 顔を覆っていた白装束がはだける。幼い男の子だ。
「大丈夫だ。取って食いやしない」
 一葉は屈んで目線を同じ高さにすると、優しく声を掛けた。
 怯えさせないよう、言葉を選んで的確に情報を引き出していく。
 少年の名は弥助と言った。
 わけもわからずこの屋敷に連れてこられて、座敷牢に押し込められたのだという。そしてつい先程、僧服の若い男が現れ、自分だけが解放されて白装束を着せられた。
「それで、侵入者を罠に誘い込めと言われたのか」
 少年が頷く。
 それができれば自分を含め、全員が家に帰してもらえると。
「真意が分からないな。しかし」
 まるで人の命を弄ぶようなやり方だ。
 一葉はひとまず少年から得た情報を元に今後の方針を考える。


「救出せずとも目的は達成できるが……捨て置くのも寝覚めが悪い」
 フーカは手に入れた見取り図を頼りに、座敷牢のある場所に向かった。
 少々入り組んでいたが、影の追跡者を用いて忍者を追わせた甲斐もあり、迷うことも罠にもかかることもなかった。
「この辺りだろうが」
 何の変哲もないと思われた廊下の壁が、隠し戸になっていた。
 静かに開くと、先は狭い通路になっていて、奥の障子戸が灯りに照らされていた。障子紙の破れかけた箇所があり、忍び足で近づいたフーカが破れ目から中を覗いた。
 忍者が二人。座敷牢の方を向き、殺気を満々と漲らせている。
 慄く数人の震えた声と息遣いが聞こえてきた。
(「見張りか。……戦うしかあるまい」)
 フーカは再び影の追跡者を召還。勢いよく障子戸を開け放った。
 咄嗟に反応し武器を投げようとした忍が、フーカの放った衝撃波で吹っ飛ばされる。
「追跡者よ、私に続け」
 押し入り、もう一人が投げてきた忍者刀を薙刀で弾き落とす。そのまま一気に接近し、弧を描いて薙ぎ払う。
 両断される忍者。
 態勢を立て直した残る忍者を影の追跡者が撹乱。
 忍者が気流を纏い、恐るべき速さでフーカに斬りかかってくる。
 しかし影の追跡者との五感共有によって感覚を増幅強化させたフーカには、敵の動きが手に取るように分かった。
 風切りの音をたてて耳元をクナイが飛んでいく。
「遅いッ!」
 見切っていたフーカは深く踏み込み、薙刀を一閃。
 背後でクナイを手にした忍者が胴を断ち割られ、そのまま崩折れた。
「これで片付いたか」
 念のため影の追跡者に周囲を警戒させながら、フーカは座敷牢の中を見遣った。女が二人、男が一人だ。酷く怯えている。
「誘拐された者達だな。下がっていろ」
 木材で作られた格子など、断ち切るのは容易い。フーカが薙刀を振るうだけで格子がバラバラと崩れ落ち、人が潜れるほどの間隔ができる。
「貴女は」
 恐れ慄いていた男が、それでも何とか声を絞り出す。
「なに、この屋敷の主に用があってな。これはそのついでだ」
 状況が状況だ。演技をすることもない。
 話を聞けば、他の者達は連れ出され、それきり帰ってきていないという。
「このまま外へ逃してやりたいところではあるが」
 フーカは見取り図を取り出して確認する。ここに至るまでに、幾つかの罠を抜けてきた。何処に何があるのかも大体は把握できている。猟兵達の活躍により、相当数の罠が無力化されているのも確認済みだった。
 思案していると、隠し戸が開く物音と足音が聞こえてきた。
「忍、ではない……」
 入ってきたのは幼い少年だ。後ろから続くのは一葉である。
「弥助!」
 捕われていた女の一人が言った。子供が女に駆け寄る。
「ああ、僕は猟兵だ。探索の途中であの子を見つけてね」
 一葉が走り来て説明すると、フーカは頷き、見取り図に視線を落とした。
「生き残りは四人か。恐らく敵は上の階にいるのであろうな。……さて、この者達を如何にするか、だが」
 安全と思われる場所に留めるか、見取り図に従い避難経路を教えて逃がすか――幾つかの方法が考えられる。いずれにせよ、捕われていた人々の発見と解放は、完遂することができたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『妖魔忍者』

POW   :    忍法瞬断
【忍者刀】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    忍法鎌鼬
自身に【特殊な気流】をまとい、高速移動と【斬撃による衝撃波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    忍法鬼火
レベル×1個の【鬼火】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 
 猟兵達がそれぞれに見つけ出した通路の先には、上階へと続く階段や梯子があった。登って行き、襖を開けると、そこは畳敷きの大広間だ。
 まるで大名の謁見の間。或いは大宴会でも開けそうな広さがある。
 ここにも柱のあちこちに燭台が掛けられ、その不気味な明るさの中に、赤髪を頭巾で覆った異相の青年が待ち構えていた。
「よもやあれだけの罠を掻い潜り、此処まで至るとは」
 上半身を半ば晒した異様な袈裟を纏った男は、威圧的な邪気を放っていた。彼こそがこの屋敷に巣食う首魁なのだと容易く感じ取れるほどに。
「やはり絡繰忍者は使えない。人体を素体に用いればより精度を増すなどと吐かしていましたが……この程度の侵入者さえ排除できぬとは」
 ひとり語りに呟くと、首魁は手にした錫杖を床に突いた。
「忍とはやはりこうあるべきもの」
 天井から数え切れぬほどの忍者が降りてくる。
 いずれも目には生気がなく、ただ殺気を満々と漲らせていた。
「人間性を徹底的に破壊された生粋の殺人人形。さて、この数の暴威を突破できるものでしょうか」
 僧服の首魁が襖の奥へと歩き去る。
 再び錫杖が鳴らされたのを合図に、妖魔忍者が猟兵達に襲いかかる。
ガイ・レックウ
(POW)で判定
「邪魔だ!どけぇぇ!!」
【怪力】を生かした【なぎ払い】とアサルトウェポンによる【2回攻撃】でとにかく蹴散らし、近づいてきた相手はランスで【串刺し】だぜ!!
相手の攻撃を【見切り】と【武器受け】で避けたり、防いだりして凌ぎ、相手がまとまったところで【範囲攻撃】の技能を使用したユーベルコード【紅蓮開放『ヴリトラ』】の炎で焼き尽くすぜ!!
屋敷に延焼しないように気を付けるがな!!


御剣・刀也
人間性を徹底的に破壊した?
殺意が残ってる時点で破壊できてねぇだろうが。殺意なんて人間でなきゃ持てねぇ感情だ。ま、言っても無駄なんだろうがな

瞬断は相手の間合いに入ることを注意し、自分の間合いで戦うことを心掛ける。入ってしまったと感じたら第六感で避けようと試みる
鎌鼬は遠距離攻撃が可能になるので使われたらなるべく距離を離さない。高速移動の上に遠距離から攻撃されては捕まるものも捕まらないので注意する
鬼火は邪魔になる物は刀で振り払うが特に邪魔にならないなら気にせず突っ込む
「お前らに人間としての感情が残ってるとは思わねぇ。そんなお前らと生きてる時に戦いたかったと思う俺は、甘いんだろうな」


木目・一葉
人体を材料にするから攫っていたか
誰が考えたかはおいて、今は彼らを排除する
「お前達、自分を人形と言いながら殺気がダダ漏れだ
しかもこれみよがしに忍者の数を見せ付けるとはね
だから絡繰忍者が必要と思われたのではないか?」

・戦闘
首魁が忍者達をわざわざ降ろさせたこと、殺気だたせていること自体が問題だ
おそらく大広間に今いる忍者は全てではない
他にも潜ませてるだろう
常に【第六感】で広間の天井や閉まっている襖など忍者が潜めるような場所には警戒をする
前衛に立ち、斧で【武器受け】で攻撃を凌ぎ、敵が数人集まった箇所にはグラウンドクラッシャーの地形破壊で足場を崩して、動きにくくし、仲間に今だと声をかける
この行動を繰り返す



「侮るなよ。このくらいの攻撃、幾ら来たところで!」
 燭台の火に照らされた広間に火花が散り、剣戟の音が響き渡る。
 恐るべき速さで繰り出される忍者刀を、一葉は手にした巨大戦斧――グリューアンクルの長い柄で受ける。
 猛攻の隙を突いて振り回すと、その威力に敵が断ち割られ、重囲が崩れた。
 ロングコートを靡かせながら一葉が振るう斧の下、忍者達が無残な姿を晒して倒れ伏す。
「お前達、人形なんて呼ばれた割には殺気がダダ漏れだな」
 妖魔忍者は味方の欠損にも構わず、じりじりと一葉への包囲を狭める。
 斧を握る手に力を込めながら、一葉は目だけで敵を見渡し、威圧する。
 そして軽く笑って見せた。
「しかもこれ見よがしに数を見せ付けるとはね。だから絡繰忍者が必要と思われたのではないか?」
 投げかける言葉も届いてはいないだろう。
 耳があっても心には届かない。その心そのものが既に壊されているからだ。
(「人体を材料にする為に攫っていたか――誰が考えたかはおいて、今は彼らを排除しないと」)
 再び敵の猛攻が始まった。斧を振るい、一葉は遠心力を加えて迫りくる忍者の胴を纏めて分断。敵集団の中で間合いを見極めながら立ち回る。
「これでも――喰らええッ!!」
 気合一声。
 隙を見出して振り落とした斧が、忍者集団を纏めて爆砕し、床を破って大穴を空けた。
 これにはさしもの妖魔忍者も蜻蛉返りを打って退かざるを得ない。
(「おそらくいま大広間にいる忍者が全てではない――他にも潜ませてるだろう」)
 高速で印を結んで風を纏い、忍者が鎌鼬じみた斬撃を飛ばしてくる。広間を駆けて距離を取った一葉は天井や閉ざされたままの襖などに注意を向けた。
 溢れ出る殺気までは隠しきれない。
「そこッ!」
 気配を感じ取った一葉が襖ごとその奥に隠れていた忍者を両断する。
「やはりそうか。気をつけろ、敵はあちこちに隠れているぞ!」
 言った直後、天井から多くの忍が降りてきた。
「これは……絡繰仕掛けか!」
 そのうちの幾つかは絡繰忍者だった。妖魔忍者と比べれば囮程度の意味しかなく、脅威にはなり得ないが、邪魔であることには変わりない。
 小細工を、と一葉が歯噛みし、接近と同時に連続攻撃を仕掛けてくる忍者達の刀を斧で受け続ける。


「人間性を徹底的に破壊した? 殺意が残ってる時点で破壊できてねぇだろうが」
 血飛沫をあげて倒れる妖魔忍者を前に、血刀を携えた刀也が吐き捨てた。
 獅子吼と銘打たれた輝く日本刀が振るわれるたび、忍者の屍が増えていく。
 畳の上は瞬く間に斬り捨てられた亡骸で埋め尽くされていった。
 それでも敵の数は未だ多く、天井からも立て続けに増援が降ってくる。
 広間に満ちる殺気。
 襖を蹴破って忍刀を振りかぶった一人を、刀也が軽々と斬り伏せて舌打ちした。
「殺意なんて人間でなきゃ持てねぇ感情だ。ま、ここで言っても届かんだろうがな」
 敵の瞳は虚ろだが、目標を仕留めるという一点において明確な意志を放っていた。
 刀也を取り囲み、四方八方から仕掛けてくる妖魔忍者。
 忍刀を手に接近戦に出る者。
 風を纏って周囲を駆ける者。
 印を切り鬼火を招来する者。
 変幻自在のその連携は、拙い絡繰忍者では到達成し得ぬ妙技である。
「お前らに人間としての感情が残ってるとは思わねぇ」
 包囲の中で刀也は獅子吼を構えて迎え撃った。
「そんなお前らと生きてる時に戦いたかったと思う俺は、甘いんだろうな」
 一尺の距離まで近付かれれば超高速の斬撃が飛んでくる。
 刀也は縦横無尽に刀を振るい、接近してきた者から斬り捨てる。
 轟々と飛来する無数の鬼火。
 斬り払い、跳んできた忍を空中で両断。
 背後から迫る敵を振り向きもせず刀で貫き通し、抜いた勢いで一閃、弧を描いた斬撃が左手から踏み込んできた忍者の胴を断ち割る。逆方向から振るわれた忍刀を刀身で受け流して上段から斬り伏せ、斬撃による衝撃波さえ紙一重で躱して適切な間合いを取る。
 流れるようなその体捌き、太刀筋は実戦の中で磨かれてきたものだ。
「……何だ?」
 と、周囲を取り囲む者達が僅かに動きを止めたかと思うと、狂的に震え出した。
 おぞましい音をたてて忍者達の腕が弾け飛ぶ。
 人体改造の成れの果て。鞭さながらとなった骨が皮膚を割って飛び出したのだ。
『シィィィィィィイイイイ!!』
 これこそ非人道的修行と人体改造により作り出された人間兵器の真骨頂。
 血しぶきをあげながら振るわれる骨の鞭を、刀也は冷静に斬り捨てながら、前衛の奥で印を結ぶ忍者達めがけて突っ込んだ。
 防刃性のある軽量ベストや腕に巻いた鉄のように硬質な包帯が、重囲を突破せんとする刀也を守る。飛来する鬼火を掻い潜り、切り払い、尚駆ける。
「させねぇよ。お前達の手は見えた」
 斬撃による衝撃波を飛ばす前に、風を纏った妖魔忍者が構えた忍刀ごと断ち割られ、薙ぎ倒されていく。 
 

 妖魔忍者の腕から骨が飛び出し、伸縮自在の鞭と化した。忍法と呼ばれるユーベルコードの類でこそないが、人体改造された忍者は人の枠を越えた攻撃を仕掛けてくる。
「ハッ、仕留められるもんならやってみな!」
 命令を遂行する為だけに『調整』された忍は、虚ろな目をしたままガイを取り巻き、波状攻撃を開始した。
 骨の鞭をしならせて回転、独楽のように振るう妖魔忍者。その頭上から別の忍者達が飛び込んでくる。
 ガイは骨の鞭を妖刀ヴァジュラの威力で切断――否、爆砕すると、上から迫る忍者を炎刀『鬼刃丸』で斬り捨てる。
 二刀流だ。
「邪魔だ! どけぇぇええ!!」
 四方から忍刀を振り被って襲い来る妖魔忍者達を、ガイは二刀の柄に力を込めて円を描く斬撃で薙ぎ払った。恐るべき怪力により繰り出された一撃に胴を断たれて吹っ飛び、畳に転がり、襖を破って息絶える忍者達。尚も様々な方向・角度から振るわれる忍者刀をガイは見切り、避けられるものは避け、妖刀・炎刀の二刀で弾き、反撃するたびに屍を増やしながら広間の隅にまで駆ける。
 敵が背を低くして走り、また跳躍して迫るのを前に、ガイは突撃銃型アサルトウェポン――AW01-2カスタムを構えてトリガーを引いた。
 耳を聾する銃声が響き渡る。
 フルオートで弾丸がばら撒かれ、妖魔忍者達が四肢を飛び散らせながらバタバタと倒れていく。これだけの集団が相手であれば、命中させるのは容易い。
 凄惨な状況下でも忍者達は顔色一つ変えずに突っ込んでくる。
「恐れを知らないってのも考えものだな!」
 空中で列になり今にも分散しようとした忍者達を、ガイの懐から現れた小型ドラゴンが槍と化して纏めて串刺しにした。
 不敵に笑って二刀を構えたガイを半円状に囲み、対峙する忍者達。
 恐れからではなく、出るに出られないのだ。
 その一瞬の間隙こそが仇となる。
 一葉が巨大戦斧を大きく振り被って気合を放ち、ガイの周囲に密集した妖魔忍者の後方から全力で斧を振り落とした。忍者達が纏めて吹き飛ばされ、畳はおろか床までをも破壊して大穴を穿つ。
 轟音と共に屋敷が揺れ、床が崩れ落ちる。
「今だ!」
「我が刀に封じられし、炎よ!!」
 ガイが妖刀ヴァジュラを掲げて気を込める。
 使い手の命を縮める程の怨嗟を秘めた呪剣――その身に封じられていた炎が迸り、ガイを中心に、轟、と渦を巻く。
「紅蓮の竜となりて、すべてを焼き尽くせ!!」
 獄炎の竜と化した炎が周囲の妖魔忍者に喰らいつき、焼き尽くした。
 建物ごと包み込むかと思われた火焔も、ガイの意思によりたちまち掻き消える。
 多くの忍者を業火に巻き込み、獄炎は敵集団もろとも消え去った。
「――まだだ。油断するな」
 刀也が天井から降ってきた忍者を斬り捨て、敵群を前に正眼の構えを取る。
 これでおよそ半数。
 妖魔忍者は、課せられた命令を遂行するべく、最後の一人が倒れるまで戦い続ける。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

木目・一葉
ある程度数は減ったと思うが、それでも多いな
「確実に一人ずつ削っていくとしよう」

・戦闘
引き続き戦闘を行う
今度は中衛に立ち、仲間の戦う姿に気をとられている妖魔忍者に対し、影の追跡者の召喚から繰り出す『影の蹂躙舞踏』を仕掛ける
これで確実に妖魔忍者を一人ずつ倒していく
もしも自分に近づいた敵が居た場合は、敵の繰り出す攻撃を斧で【武器受け】し、そこから懐の妖の小太刀で【カウンター】を仕掛けて対応する
また潜んでいる忍者がいることも考えて常に【第六感】を働かせ、警戒はしておこう

「しかしこのためだけの人生など、残酷だな
いくら感情を殺すといっても、殺気ばかりが残ってしまうのは、当然だろう」



 
 大広間は修羅の巷と化していた。
 猟兵達が武器を振るうところ、屍が山と積まれ、討たれた忍は数知れない。
(「ある程度減ったと思うが、それでも多いな」)
 戦斧を構えながら一葉は周囲を見渡し、冷静に戦況を見定める。半数以上の忍を倒した筈だが、それでもまだ戦える敵の数は多かった。
 彼等に撤退はない。全滅させるまで戦えと命じられたが最後、結末は対象を鏖殺するか、或いは自分達が殲滅させられるか―。
 一葉は一抹の哀れみを覚えながら小さく吐息して、影の追跡者を召喚した。
「確実に一人ずつ削っていくとしよう」
 猟兵と妖魔忍者が戦う広間の只中を、戦斧を手に駆ける。
「影よ、踊れ」
 襲いかかってきた周囲の忍者達は、一葉に攻撃するより前に、何ものかによって串刺しにされ、血飛沫をあげてバタバタと倒れた。
 異変を察した忍者が宙返りを打ち――空中で貫かれる。
 印を結んだ忍者が衝撃波を放とうとして――背後から穿たれ崩折れた。
 五感を強化された妖魔忍者にも、その攻撃は捉えることができない。
 影の蹂躙舞踏。
 駆け跳ぶ影の追跡者が敵に迫り、影から生じさせた剣山で刺し貫いて回っているのだ。
「潜んでいた者ももう打ち止めか。後は周りの敵を全滅させるだけだな」
 言った直後、混乱に陥っていた妖魔忍者達が一葉に狙いを定めて跳んだ。
 攻撃が見えぬのならば、身を捨てて目前の敵の首を獲るまで。
 それは心を破壊された忍者達が見せた明確な意志だった。
「感情を殺した挙げ句、残ったのは殺意ばかりか」
 影に穿たれて多くの忍者が倒れていく中、幾人かが一葉に迫る。
 迎え撃つ一葉は一文字に掲げた戦斧で振り下ろされる忍刀を受けて押し返し、直後、懐から抜いた妖の小太刀で突き通した。横合いから迫る刃も斧の柄で防ぎ、使い手の命をも削るその呪われた刀で首元を一閃する。
「このためだけの人生など、残酷だな。殺気を隠せないのはある意味当然か」
 舞い踊る影の追跡者に蹂躙される哀れな妖魔忍者達の最期を、一葉は見届ける。

成功 🔵​🔵​🔴​

ハヤト・ノーフィアライツ
「おおっと、なんだこりゃ、アレがNINJAってヤツか!」(宇宙バイクで乗りつけ
「同じような格好で、またゾロゾロいるねこりゃ。それじゃま、派手に振り切るぜ!」

暗いのは【暗視】【視力】でどうにかなる!
【早業】【ダッシュ】【ジャンプ】【グラップル】【怪力】【範囲攻撃】【踏みつけ】【空中戦】【吹き飛ばし】を駆使して、ユーベルコード【アクセレイト・ファルコン・スマッシュ】を発動。
超加速して忍者共に片っ端から飛び蹴りを叩き込むぜ。

向こうからの攻撃には【武器受け】【カウンター】【見切り】あたりを駆使して手を打つかね。
「数を揃えるだけでなんとかなると思ったら、大間違いだぜ!」



 
 爆音を響かせながら転移してきた宇宙バイクが忍者達を吹っ飛ばした。
 グランドファルコン――ハヤト・ノーフィアライツ(Knight Falcon・f02564)の愛機だ。
「おおっと、なんだこりゃ、コレがNINJAってヤツか!」
 ハヤトはバイクをドリフトさせて敵の群れを弾き飛ばし、軽やかに飛び降りた。
「同じような格好で、またゾロゾロいるねこりゃ」
 中折れ帽に手をやって、周囲を取り囲み始めた妖魔忍者に軽く笑う。
「それじゃま、派手に振り切るとするかね!」
「シィッ!!」
 忍者達が跳躍するのと、ハヤトが跳ぶのは同時だった。
 空中で飛び蹴りを喰らった一人が襖を破って息絶える。
 ハヤトは足下の忍者の肩を踏み台にして更に跳び、包囲を抜けて畳の上に降り立った。
「少々暗いが、この目を騙せるとは思わんことだな」
 周囲の情報を識別するその瞳は特別製だ。獲物を逃さぬ鷹の如き鋭敏さに加えて夜目まで効くとなれば、妖魔忍者と言えど薄闇に紛れて翻弄するのは至難。
「数を揃えるだけでなんとかなると思ったら、大間違いだぜ!」
 ハヤトは正面の忍に接近して横蹴りを喰らわせると、左から迫る忍刀を見切って避け、右から来る忍者の腕を取って組み付いた。限界まで肉体強化された忍者にさえ競り勝つ膂力は、彼がサイボーグである故か。そのまま敵の腹部に金属板入りの頑強なフルメタル・ブーツを叩き込む。
 構わず仕掛けてくる妖魔忍者達。
「さぁて、一気に振り切るぜ! 『-accellater on-』『-charge up-』」
 掛け声と共に全身の感覚が賦活、高速化する。
 ハヤトには忍刀を手に襲いかかる敵がスローモーションに見えた。
 目の前を跳んでくる忍者のうち、最も近いものに飛び蹴りを食らわせる。
 体を捻って別の忍者を蹴り飛ばした後に着地。
 正面から迫る忍刀を身を反らして紙一重で回避。
 後ろ蹴りで背後に迫る忍を倒し、回し蹴りで周囲を一掃した。
 それは十秒間限定の超加速。
 効果が切れた時、ハヤトの周囲に立つ忍者はいなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

上月・衒之丞
ほう、絡繰屋敷に忍者でありんすか。
……あまり質はようありんせんなあ。
ま、あちきも忍びとしては異質者ではありんすが。
それでも……忍び云いなんしが如何なるものか、見せささんすよ。

鋼糸を手繰り、「視線を切る」事で視認を不可能にする。
透明化とはただ周囲に溶け込むのみに在らず。
「無明弦月流、神無月。忍ぶとは斯くありんせ」
そのまま死角から糸で首を刎ねる。
派手な忍術など必要ない。如何に目立たないかが大事なのだ。

一人ずつ確実に首を刎ねて行こう。
首だけで死なないものは四肢も削ぎ落としていく。
「無明弦月流、文月。今宵も良い血牡丹が咲きなんしや」
返り血を浴びながら嫣然と微笑もう。

さあ、主は何処に居りんすか?



 
 風を切る音と共に、妖魔忍者の首が胴から離れて転がり落ちた。
 拍動と共に吹き出す鮮血が畳を染める。
「絡繰屋敷に忍者でありんすか。……あまり質はようありんせんなあ」
 鏖戦の只中に、鋼糸を手繰りながら上月・衒之丞(泡沫の遊女・f11255)は踏み入っていた。
 妖艶な足取りで。
 感覚を強化された妖魔忍者にさえ認識されずに。
「ま、あちきも忍びとしては異質者ではありんすが。それでも……忍び云いなんが如何なるものか、見せささんすよ」
 蝋燭に照らされた薄明かりの中、微かな衣擦れの音を立てながら血塗られた畳の上を歩く。見落とされる筈のないその姿を、忍者は如何しても視認することができない。
 また空を切る音。
 虚ろな目を動かして辺りを探る忍者の首が切り飛ばされ、咄嗟に飛び退いた一人が首と両脚を殆ど同時に切断されて文字通り崩れ落ちた。
「無明弦月流、神無月。忍ぶとは斯くありんせ」
 透明化しているのは衒之丞の姿だけではない。彼が自在に操る極細の鋼線までもが不可視の糸となり、妖魔忍者の死角から迫ってその命脈を断っているのだ。
 敵の命を取るのに派手な忍術は不要。
 如何に目立たず、気付かれぬ内に始末を着けるか――それが忍の肝心だとばかりに。
 首を切り飛ばされた忍者達が、ふらふらと数歩だけ歩いて前のめりに倒れる。
 無残な亡骸を晒した同胞を一顧だにせず、大きめの包囲を作って印を切り、鬼火を漂わせる妖魔忍者達。
 飛ばされた焔の塊が足元に落ちて爆ぜ、血に濡れた衒之丞の頬を照らして消える。
 別の妖魔忍者は片腕から骨の鞭を飛び出させると、滅多矢鱈に振り回して衒之丞の位置を特定しようと試みた。
「野暮な手技はいりんせん。一思いに散りなんせ」
 血に塗れた骨の鞭を避けようともせず、衒之丞は鋼糸を舞い踊らせる。
「無明弦月流、文月。今宵も良い血牡丹が咲きなんしや」
 骨が断たれて散乱し、忍者の首が一人また一人と胴から離れて飛び、血の花が環となって咲く。
 血煙が舞う中、衒之丞は朱に染まりながら嫣然と微笑んだ。
「さあ、主は何処に居りんすか?」

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『黒幕の助言者』

POW   :    死灰復然(しかいふくねん)
【Lv体の武者】の霊を召喚する。これは【刀】や【弓矢】で攻撃する能力を持つ。
SPD   :    含沙射影(がんしゃせきえい)
【無数の影の刃】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    電光雷轟(でんこうらいごう)
【錫杖】を向けた対象に、【激しい雷光】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠犬憑・転助です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 
 畳を埋め尽くす程となった妖魔忍者の屍を越えて、猟兵達が広間の奥へと歩を進める。
 幾つかの襖を開け放った先は、大名が座するような奥の間だ。
 上段に胡座をかいていた僧衣の男が、猟兵達を前にして、薄く笑みを浮かべながら立ち上がった。
 掌に、生き人形じみた女の生首を載せながら、である。
「見事なものでしょう? 上手く用いれば暗殺にも向くと踏んだのですがね。絡繰がアレでは、まだまだ」
 笑みを浮かべたまま指に力を込めて生首を刳り、手を朱に染めると用済みとばかりに畳の上に投げ捨てた。
「あの人形師は自らを天才などと吹いていましたが、私の見立て違いだったようです。しかし殺すのはもう少し待つべきでしたね」
 僧衣の男が錫杖を打ち鳴らす。
「まあ、やり方は大方見て学びましたし……貴方がたであれば、なかなか面白い絡繰人形が出来そうです。やってみましょうか」
 禍々しい気を放ち、血に染まった手で片合掌する。
 絡繰屋敷を巡る最後の戦いが今、幕を開けようとしていた。
木目・一葉
「味方を殺めるとは、貴様は救いようがない人種だな」
だがこの技術は危険だ
この男を倒し、設計図も【失せ物探し】で見つかるなら燃やしておこう

・戦闘
予め気付かれにくいタイミングで影の追跡者を密かに飛ばしておく
敵の影の刃に対しては『妖刀解放』の衝撃波で迎撃する
雷光には【地形の利用】で畳を返して防御にし、それが破られても斧の【武器受け】で防ぐ
決定的な隙ができるまで耐え、その時がくるか、もしくは体力が危うい時に真の姿を解放する
敵のUCが封印されたり、動きを止められるなどの決定的な隙ができたら正面から『グラウンドクラッシャー』を、後方からは密かに追跡させてる影の追跡者で『影の蹂躙舞踏』を仕掛けて挟み撃ちにする


ハヤト・ノーフィアライツ
とんだクサレ坊主だな。ん、そもそも坊さんでいいのか? …ま、いいさ。
ちょいと大人しくしていて貰うぜ、オブリビオン!!
他の連中との連携を鑑みつつ、

隼型サポートメカに変形させた宇宙バイク【グランドファルコン】と共に、
【ロープワーク】【誘導弾】【一斉発射】【早業】【操縦】【クイックドロウ】を駆使してユーベルコード【ファルコン・チェイサー】を発動するぜ!
尚割り振りは、宇宙バイクからクローとバインドマーカー、本体からマイクロチェーン。

攻撃に対しては【見切り】【ジャンプ】【ダッシュ】【武器受け】【激痛耐性】等で対応。
「雁字搦めにしてやるぜ!…あとは、そっちでケリをつけな、ボーイ・ミーツ・ガール!」


ガイ・レックウ
(SPD)で判定
「そう簡単にいくかよ!!」
ユーベルコード【獄炎解放『爆心』】を使用した後【残像】と【フェイント】を織り交ぜながら【怪力】と【2回攻撃】の技能を使用して、連続して攻めるぜ
相手の攻撃には【見切り】と【オーラ防御】で堅実に対抗していくぜ



「味方を殺めるとは、貴様は救いようがない人種だな」
 戦斧を畳に突き立てた一葉が小太刀の切っ先を眼前の敵に向けた。
 ――この技術は危険だ。流出させるわけにはいかない。
 敗北することにでもなれば、更に多くの人々が悪逆なる魔の手にかかる。何としてもここで食い止めなければ。
「味方、と。それは見当違いというもの。もう少し有能でしたら、或いは違ったでしょうが」
 妖気を漂わせる一葉と対峙しながら、僧衣の青年は不気味なほど柔和な笑みを崩さない。
「何だと……人を道具としか考えていないのか」
 語気を強くした一葉に、男は鷹揚に頷いて見せた。
「あの人形師も手にかけた者をそう捉えていたでしょうね。然らば是、自業自得というもの」
 片合掌したまま僧衣の男が呪言を唱える。
 円形に広がった影から唸りを上げて黒々とした無数の刃が飛び出した。
「チッ――!」
 そうと見えた時には既に一葉は畳を蹴っている。
 常人を遥かに越えた反射神経と速さで、襲い来る影を避け、刃を以て切り払う。一葉の握る妖の小太刀が使い手の命を削るのと引き換えに超常の力を与えているのだ。
「なに、無残な肉塊にはしませんよ。部品は綺麗に切り取らなければ……」
「そう簡単にいくかよ!!」
 妖刀ヴァジュラから迸る焔を全身に纏いながら、ガイが炎刀『鬼刃丸』との二刀流で影を打ち払う。渦を巻く炎は忍者を殲滅した時より一層激しさを増していた。
「それは暴勇というもの」
 僧衣の男は烈火の如く迫るガイにも眉一つ動かさず、呪言を連ねて更に鎧兜を纏った武者の亡霊を召喚した。
 その数、四十を下らない。
「邪魔だ、退いてろっ!!」
 ガイの妖刀に鎧ごと両断され燃え上がって消える亡霊武者。炎刀が、防ごうとした刀ごと別の武者の首を吹き飛ばす。
「待たせたな、サポートさせて貰うぜ」
 激戦の只中に、排気音を響かせてバイクが猛進してきた。
 ハヤトの操縦下、隼型サポートメカに変形したグランドファルコンが猛然と駆け来る。亡霊武者が隊伍を組んで矢を放つが、ハヤトは蒼く輝く双刃のレーザーブレードを振るって払えるものは払い落とし、肩や脚に突き立った鏃の痛みも物ともせずに車体を跳躍させた。
 踏み潰された武者の霊が纏めて霧散する。
 飽くまで片合掌を解かない黒幕をハヤトは一瞥して、
「とんだクサレ坊主だな。ん、そもそも坊さんでいいのか? ……ま、いいさ」
「我が刀に封じられし、炎よ!! わが身を包み、すべてを焼き尽くせ!!」
 妖刀から溢れ出る呪詛の炎がその勢いを増し、猛り立つ獄炎に命を燃やしながらガイが僧衣の首魁に迫る。残像を描くほどの高速で駆け、振るわれる二刀から放出される衝撃波と炎が、放たれた矢を焼き尽くし、襲い来る影をも吹き飛ばした。
「こいつはなかなかのもんだな……!」
 ハヤトが影の刃に身を晒しながら駆け抜け、亡霊武者を弾き飛ばしながら首魁に迫る。
 僧衣の男は軽々と身を翻し、蒼い光刃を避けてみせた。薄笑みを浮かべながら錫杖をかざし、別方向から迫る一葉に激しい雷光を浴びせかける。
 直撃するかと思われたその直前、一葉はバイクに荒らされて捲れ上がった畳を返して盾にした。
 稲妻に貫かれ、粉々に吹き飛ぶ畳。
「そのような技で……いや、これは……」
 言いかけた僧衣の首魁の顔に驚きが差す。
 床に突き立てた戦斧グリューアンクルを避雷針にした一葉が、小太刀を手に飛び来る矢を払い、
「ちょいと大人しくしていて貰うぜ、オブリビオン!!」
 巧みな運転技術で愛機を操り広間を駆け回るハヤトが、周囲の鎧武者を弾き飛ばしながらドリフト。僧服の男を捕捉した。
 サポート形態を取ったグランドファルコンからバインドマーカーと電磁クローが射出される。掌から放たれるマイクロチェーンが絡みつけば、如何に強大なオブリビオンとは言え打つ手が封じられる――筈だったが。
「クッ……ははははははははは!!」
 歪んだ哄笑と共に影の刃が無数に出現し、マイクロチェーンの軌道が逸らされた。防御姿勢を取り、体を斬り裂かれながら敵の横を駆けるハヤト。
(「雁字搦めとは行かなかったか……だが!」)
 手応えはあった。ハヤトは激痛の中でも笑みを浮かべて、
「……あとはそっちでケリをつけな、ボーイ・アンド・ガール!」
「焼き尽くしてやるぜ!」
 獄炎纏うガイが二刀を振るうと、炎とともに弧を描く斬撃が僧衣の男を襲い、切り裂く。
「影よ、踊れ!」
 一葉の纏うコートが体の随所から噴き出す炎にはためく。その額に生じたのは焼け焦げた色のひび割れた角だ。戦斧を握る手に力を込めて敵に迫り、ここぞとばかりに命じる。
 影の追跡者――戦端が開かれる前の会話の最中に放たれていた俊敏なるシャドウチェイサーが影から剣山を伸ばして僧衣の男を挟撃した。
 背後から串刺しにされ、錫杖で防御に回るも畳を円形に拉げさせるほどの戦斧の威力を防ぎ切れず、深く胸を抉られる敵の首魁。
「これはしたり……然し肉斬骨断とは良く言ったもので……」
 大きなダメージを与えたのは確かだったが、鮮血の滴る口の端を笑みに歪めた僧衣の男は再び無数の影を発生させ、猟兵達を切り裂きながら遠ざけた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

御剣・刀也
は、ははは
久しぶりだよ。久しぶりだ。此処まで胸糞悪いのわ
おい、人はてめぇの掌の上で踊るようにできてねぇんだよ

死灰復然で武者の霊が召喚されたら量によるが、弓矢で一斉に攻撃されると流石に厄介なので弓矢を持った霊が召喚されたら出来れば撃たれる前に潰す
含沙射影は発動しようとしたら高威力故予備動作があると思うのでそれらしいのを見たら撃たれる前に潰す
電光雷轟は実質光なので避けるのは至難と思って撃たれたらくらうのを覚悟で突っ込む
「久しぶりにブチ切れたぜ。てめぇが何者かはどうでもいい。てめぇが今まで人形と思ってた人間に、てめぇはぶち殺される。それが全てだ。てめぇに辞世の句は入らねぇ。ただただぶち殺されろ!!」


上月・衒之丞
ふん、絡繰屋敷に絡繰忍者、最後は絡繰使いなんしか。
芸がありんせんなぁ。
それに……主程度であちきを手繰れると思いなんしは塩次郎にも程がありんすな。
痛い目見んとわかりせんか。ようざんしょ。

鋼線を伸ばし、周囲に張り巡らせてから、四肢と首を絡め取って拘束する。
身動き一つ取らせるつもりはない。
「その動き、封じいす。無明弦月流、文月、如月。これが『手繰る』という事なんし」
自身が操り人形にされる気分はどうだ?

このまま仲間がトドメを刺すというのならそれでも構わない。
が、生き長らえらせるつもりも無いので必要なら首を刎ねよう。
「疾く散りなんせ。主にはもう、興味もありんせん」
そのまま踵を返して立ち去ろう。



「ふん、絡繰屋敷に絡繰忍者、最後は絡繰使いなんしか。芸がありんせんなぁ」
 衒之丞がつと左右に視線を流して溜め息混じりに言った。にじり寄る亡霊武者は眼中にもない。
「それに……主程度であちきを手繰れると思いなんしは塩次郎にも程がありんすな」
「いやいや、生憎ですが、そちらの道には興味がなく」
 鼻で笑った衒之丞が、錫杖を向けられる前に畳を蹴る。今立っていたところに雷光が迸り、舞うように駆ける衒之丞は両手を動かして極細の見えざる鋼糸を彼方此方に巡らせる。美しい装束をはためかせて踏んだ畳に、亡霊の弓兵が放つ幾筋もの矢がつき立った。
「痛い目見んとわかりせんか。ようざんしょ」
 軽やかに舞う衒之丞の表情にあるのは冷蔑か。
「は、ははは……久しぶりだよ。久しぶりだ。此処まで胸糞悪いのは」
 転がされた人形の首が虚ろな瞳で天井を見ている。
 僧服の首魁、唾棄すべき害悪を前に、刀也は知らず乾いた笑いを口にしていた。
 怒りが極点に達すると、その有様は寧ろ静かなものとなる。
 揺らめく燭台の炎を照り返す刀――獅子吼を提げ、敵の首魁に歩み寄る刀也。その総身から迸る闘気は、並みの使い手であれば対峙した瞬間に戦意を失う程のものだ。
「なに、長逝の暁には左様な心持ちも失われるでしょう。残るは空蝉となり果てたその五体のみにて……」
 ギリと歯噛みする刀也。振るわれた錫杖を合図に弓兵が一斉に矢を射掛ける。
「久しぶりにブチ切れたぜ。てめぇが何者かはどうでもいい」
 襲い来る一矢一矢を斬り捨てながら刀也が燃え立つ両の瞳で討つべき悪を睨み据える。
「てめぇが今まで人形と思ってた人間に、てめぇはぶち殺される。それが全てだ!」
 目前に立ち塞がる亡霊武者の集団に突っ込んだ。
 刀を振り下ろしてきた武者の首を刃ごと斬り飛ばす。
 正眼につけた亡霊が攻撃に出る前に兜ごと断ち割った。
 怒声を放つ刀也。
 否、それは亡霊達さえたじろがせる獅子吼だ。
 一合も交えず、或いはただの一合で斬って捨てられる鎧武者。
「成る程、大した暴剣振りですが」
 僧衣の首魁が自らを中心として黒い月さながらの影を展開。
「遅ぇ!」
 大威力の一撃故に、放出には僅かな間が生じる――その隙を刀也は見逃さなかった。立て続けに行使されたその術理を見抜き、刀也は遂に敵の懐に飛び込んだ。
 剣刃一閃。
 縦に構えられた錫杖を弾き、そのままの勢いで僧衣を斬り裂き朱に染める。そのまま追撃し首を斬ろうと踏み込む刀也に、錫杖が目も眩むばかりの光を放った。
「――!!」
 激しい雷光が稲妻となって奔り、刀也の五体を貫くかと思われたが。
「人はてめぇの掌の上で踊るようにできてねぇんだよ」
 咄嗟に回避行動を取った刀也が敵に迫る。
「馬鹿な……なんだ、これは……!」
 僧衣の首魁は四肢をぎしりと不自然に動かし、その頭が抗うように震えた。
 精度の高い雷槌が外れたことこそ不思議。
 しかし事の絡繰りさえ判ればそれは当然のこと。
 頭巾の下の顔が歪み、錫杖を取り落とす。まるで何かに引っ張られるように、である。
「その動き、封じいす。無明弦月流、文月、如月。これが『手繰る』という事なんし」
 しゅるりと衣擦れの音をたてて、詠うように言う衒之丞。
「き……貴様……!」
 血走ったオブリビオンの目には、衒之丞が妖艶に笑んだかのように見えた。
 ――自身が操り人形にされる気分はどうだ?
 両腕が釣り上げらる。首が傾ぐ。ぎりぎりと締め上げられ血混じりの泡を吹きながら抗おうとする男が滑稽な絡繰人形のような動きを取る。
 最早、僅かな間でさえ生かす価値はない。
 冷め切った目で一瞥した衒之丞が、踵を返して鋼糸を指で弾く。
「疾く散りなんせ。主にはもう、興味もありんせん」
 目を剥いた男の瞳が、獅子吼を振り被る刀也を映した。
「てめぇに辞世の句はいらねぇ。ただただぶち殺されろ!!」
 一閃、袈裟に斬り下げられた男が醜い屍となって吊り上げられ、そして畳に落ちる。
 衒之丞はただの一度も振り返ることなく、さらりとその場を後にした。


 かくして戦いは終わりを告げた。
 黒幕のオブリビオンによる奇怪なる策動は潰え去り、数少ない生存者達も無事に救出されて麓の村へと下りていく。
 猟兵達の手によってここにまた一つの事件が解決を見たのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月30日


挿絵イラスト