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泉に落ちたのは……

#アリスラビリンス

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#アリスラビリンス


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 辺りを杉や桧に囲まれた湖畔に、斧を振り下ろす音が響く。
「ガンバレ、ガンバレ~!」
「モウスコシダヨ、りた!」
 その中で斧を振り下ろしているのは、粗末な麻の服を着た一人の少女、リタ。
 斧を持った木でできた人形のようなゆかいな仲間たちも、周りで木を片付けながら声援を送っている。
「これで……さい、ご!」
 ガン! ……ミシ、ミシミシ……ずずん!
 倒れた木の陰に、簡素に木で組まれた扉があった。
「ヤッタネ!」
「コレデ、カエレルヨ!」
 喜びの声をあげる仲間たちだったが、
「あ……あ、あぁ……。」
 それを見たリタの顔が、喜びから悲しみへと変わっていく。
 リタの家の扉だったのだ……その扉から押し入ってきた吸血鬼の配下に襲われ、家族は殺され、少女は吸血鬼に捕らわれた。
 この先へ行けば、そこへ戻ることになる……。
「や、やだ……。」
 とぷり……手にした斧が湖へと落ち、その場にうずくまってしまったリタ。
「ド、ドウシタノ?」
「ウレシク、ナイ?」
 心配そうに見る仲間たち……その後ろの泉から、様々な斧を持つ女性が浮かび上がってきた。
「あなたが落としたのは……なんだ、あなたたちですか。まったく、」
「チ、チガ」
 スコーン!
 口を開いた仲間の一人に、投げられた斧が突き刺さる。
「……チガウッテ、イッタノニ。」
「次やったら薪にしますよ。……おや?」
 斧を投擲した女性はようやく、うずくまるリタに気が付いた。
 その傷だらけの手を見て、
「もしかして、あなたが落としたのかしら?」
「……。」
「ふむ、返事をしてくれないと困るのだけれど……そうね。」
 女性はリタの前に、新品の鉄の斧を置いた。
「あなたの手になじむと思うの。それを手に取るなら、ここでずっと暮らしてみない?」
「……ずっと?」
 虚ろな目で斧を見つめるリタ。
「あなたが『 』を斬りたくなった時、それが必要でしょう?」
 女性は笑顔で語り掛けている。
 その笑顔の前で、仲間たちは『ソレハだめダ』という言葉を発せずに……ただ、震えていた。

「……あいつら、本当に嫌い。」
 事情を説明していた編堵が心底嫌そうに吐き捨てていた。
「そういうわけで、帰る扉を前にして色々思い出しちゃったアリスがいるから、何とかしてほしいの。
 まずは、その……泉の精? を倒して、そいつが居たら何もできないから。
 その間はアリスもうずくまってるだけだし、オウガもその子を殺す気はない……はず。」
 そう言って自分の首輪に手を翳してゲートを開くと、鬱蒼とした針葉樹の森が広がっている。
「一緒にいる木の人形みたいなゆかいな仲間だけど、彼らは元々その世界にいた住人達で、悪い人たちじゃないよ。
 さっき話したときに斧が突き刺さったりしてたけど、木を接いであげればすぐに元通りになるくらい頑丈だから。
 ……あの子が帰りたくないなら、あの仲間たちと暮らすのも、悪くはないと思う。
 どっちにしろ、オウガたちを倒してね。」


ヨグ
 ヨグです、アリスラビリンスの物語をお届けします。
 ここに現れる泉の精霊は、思ったより武闘派のようです。

 なお、今回登場するアリスであるリタですが、年のころは15歳程度で扉絵の子と同じような服装をしています。
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第1章 ボス戦 『泉の女神』

POW   :    あなたが落としたのは、この金の斧ですか?
【距離を無視して首に迫る一撃】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【金の斧】で攻撃する。
SPD   :    それとも、銀の斧ですか?
【亜空間】から【銀の斧】を放ち、【四肢を斬りつけること】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    それとも…
自身が装備する【あらゆる斧】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。

イラスト:ヤマトイヌル

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はニィ・ハンブルビーです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

有栖河・鏡
はーん…開けてみたら元の世界は地獄だったっつー訳かい、そりゃ確かに帰らねーのもアリかもな
俺なんかも帰らねーでフラフラしてる口だしよ

ま、とにかくあのヤベー美人をぶっ倒さねぇとな…ンじゃ、行くかァ!

とにかく俺の間合いに入れる為に距離を詰める、距離無視で飛んで来る斧は何とか見切って咄嗟の一撃で切り払うぜ

キャハハ!近くで見るとマジで美人だなァ!たまんねぇ!

動きを見切りながら十重二十重に斬撃を繰り出して腕や脚を部位破壊、隙を突いて懐に入り込んだら奥義【鬼崩し】を腹にブチ込んでやるぜ

そらよ、キツいのブチ込んでやるぜぇぇ!

●アドリブ大歓迎


ティエル・ティエリエル
SPDで判定

こらー!アリスに変なこと吹き込むなー!
アリスと一緒にいたゆかいな仲間も困ってるもんね!
アリスを悪いことに誘うなんてそんなことさせないぞ☆

背中の翅を羽ばたいて「空中浮遊」、「空中戦」で泉の女神の周りを飛び回って攻撃するよ!
亜空間から飛んでくる銀の斧を「見切り」で回避しながら、ヒット&アウェイで戦うね♪
大きな隙を見つけたら【妖精の一刺し】で一気に大ダメージを与えちゃうぞ☆

※アドリブや他の方との連携も大歓迎です



「はーん……開けてみたら元の世界は地獄だったっつー訳かい、そりゃ確かに帰らねーのもアリかもな。」
 俺なんかも帰らねーでフラフラしてる口だしよ……と口に出さずに考える、有栖河・鏡(悪に咲く狂刃・f22059)。
「ま、とにかくあのヤベー美人をぶっ倒さねぇとな。」
「こらー! アリスに変なこと吹き込むなー!」
 湖畔にティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)の声が響く。
 その小さい身体からとは思えない大きな声に、女性とゆかいな仲間たちが一斉に振り向いた。
「アリスと一緒にいたその子たちも、困ってるじゃない!」
 びしっ! と仲間たちを指さしながら言うティエルに、女性は微笑み返し、
「ふふ、何を言うかと思えば……どこが困っているのです?」
 笑みは変わらない……しかし、仲間たちの震えも止まらない。
 その口が開けないほどの恐怖。
「あなたがやっているのは、怖くて喋れなくしてるだけだよ!」
「美人の笑みに力があるのは解るけどなァ。」
 有栖河は腰の愛刀、無明に手をかけ、
「てめぇのは暴力と変わらねぇぜ?」
「そうやって言う事をきかせて、アリスを悪いことに誘うなんて、そんなことさせないぞ☆」
 ふわりとティエルも羽で飛びながら、レイピアを構える。
 そんな二人の様子に、女性も周囲に浮かぶ様々な斧から金と銀の斧を掴み、
「いいでしょう……本物の暴力というものを見せてあげますよ。」
 言い終えた途端、2本の斧は姿を消した。

「っ……ちィ!」
 首筋に悪寒を感じ、刀を抜き打つ有栖河。
 確かな手ごたえに弾かれたのは、先ほどまで女性の手にあった金色の斧だった。
「ヤベーヤベー、危うく首が飛ぶところだったぜ。」
「ちょっと! こっちはしつこくない!?」
 見れば、ティエルは高速で飛びながら、飛び交う銀の斧を躱していた。
「もう、こうなったらー!」
 避けても亜空間から現れる斧に、そのままティエルは女性の方へと飛ぶ。
「まったく、的が小さいと当たりませんね。」
「いっくぞーーー!!」
「くっ!」
 風鳴りの音と共に放たれる、全速力での体当たりを躱しきれず、女性の左腕をレイピアが貫く。
「……油断しましたね、」
「俺を忘れちゃ困るぜェ!」
「くっ、いつの間に!」
 気が付けば、すぐ横には抜刀した有栖河。
「キャハハ! 近くで見るとマジで美人だなァ! たまんねぇ!」
 狂気めいた笑いと共に刃が煌めき、女性の手足を狙う斬撃……その一閃が亜空間から飛び交う銀の斧を捉え、弾き飛ばす。
「ありがと! よーし!」
 レイピアを改めて構え、ティエルも飛び回りながら斬りかかる。
 高速の斬撃と空中からの斬りかかりに、女性の手足は切り傷が増えていく……。
「さぁ、いくよ!」
「させません!」
 ティエルの声に視線が向いた一瞬の隙に、有栖河は全力で飛び掛かる。
「そらよ、キツいのブチ込んでやるぜぇぇ!」
「ぐぅ! ……く、あぁ……!」
 膝蹴りが女性の腹へと突き刺さった。
「全力全開の一撃だよ!」
 さらに、悶え苦しむ女性の背中に、ティエルのレイピアが突き刺さる。
 その様子に、有栖河は刀を振り上げ、
「介錯といこうかねぇ?」
「……危ないよ!」
 ティエルの声に見れば、周囲に浮かぶ様々な斧が二人に襲い掛かってきた。
「……まだ力を残してやがるか。」
 跳び退りながら見れば、女性はゆっくりと立ち上がっていた。
 その腕を、赤く血に濡らしながら、
「ふふふ……油断しました。しかし、まだ倒れるつもりはありませんよ。」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ミア・ミュラー
ん、帰りたくないなら、別にいい。そのままここで暮らすのも、いい。けど、オウガがそこにいるのは、だめ。
ゆかいな仲間も平気で傷つけるし、どうせ悪いことを考えてる、はず。だから、ここで倒す。

斧が、たくさん。ならわたしも【火剣】で炎の剣を作って戦う、ね。剣で斧を受け止めて、炎で溶かして燃やしちゃう、よ。わたしは斧、落としてないから、全部いらない。あっ、ゆかいな仲間たちは燃やさないように気をつけないと、ね。
斧が減ったら余ってる剣を合体させたのを持って、走って近づいて攻撃する、よ。オウガの動きをよく見て、最大火力で斬りつける、から。



「ん……帰りたくないなら、別にいい。そのままここで暮らすのも、いい。けど、」
 少しテンションの低い声でリタに囁きかけていたミア・ミュラー(アリスの恩返し・f20357)が、視線を女性へ向ける。
「オウガがそこにいるのは、だめ。ゆかいな仲間も平気で傷つけるし、どうせ悪いことを考えてる、はず。」
「……なかなか、言うじゃない?」
 怒りの様相でミアを見る女性。
 その周囲に様々な斧が浮かびあがるのを見て、ミアも自身の周囲に剣状の炎を浮かべ、
「だから、ここで倒す。」
「出来るものなら、やってみなさい。」
 ゆかいな仲間たちが見ている前で、大量の斧が乱れ飛んだ。

「あなたが落とした斧は、これかしら?」
「……わたしは斧、落としてないから、」
 念動力で浮かび、襲いくる大量の斧。
 それらをミアは炎の剣で受け止め、
「全部、いらない。」
 炎に焼かれ、斧は溶け落ちていく。
 何本も何本も……ミアが丁寧に焼き落としていると、女性が苛立っていくのが見てとれた。
「いい加減、当たりなさいよ!」
「そうはいかない、よ。」
 周りに浮かせた斧を一斉に飛ばす女性。
 その瞬間、ミアは炎の剣を1つに集めて手にし、女性に向けて一気に距離を詰めた。
 向かいくる斧のうち、邪魔になるものだけを切り払えば……女性を守る斧は、存在しない。
「……焼けなさい。」
「ぐあああぁ!」
 袈裟斬りに炎の剣を振るうと、女性が炎に包まれていった。
「ワ、ワワ!」
 ゆかいな仲間の慌てた声に振り向くと、火の粉が飛んできたのを避けていた。
「そう、火には弱いのね。」
 気を付けなきゃ……そうミアが呟くと、火の粉は一瞬で消え去っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ドゥルール・ブラッドティアーズ
共闘NG
過度なグロNG
POW

綺麗な女神様♪
私の落とし物を受け取りに来たわ

斧で首を切られて「オーノー!」ってなるけど
直前に攻撃を【見切り】『芳しき熱愛』で汚泥と化していたの。
今の私に物理攻撃は無効。どんなに切られても再生するわ

泉に逃げたりしないでね?
今の私が【水泳】なんてしたら
泉全体に 毒の【属性攻撃】するのと同じだから❤

忠告しつつも【念動力】で彼女を引き寄せ
汚泥の体で包み込み【生命力吸収】
猛毒と【呪詛】そして【誘惑・催眠術】で
彼女の身も心も蕩けさせ、快楽に染め上げる。
やがては五感も狂い、悪臭すら甘美な蜜の香りに

私の落とし物は貴女よ、女神様♪
今から落ちるの。
共に、底なし沼のような 深い恋に……❤



「……酷い目にあったわ。」
 炎を振り払い、起き上がる女性。
 いつの間にかその背後には、ドゥルール・ブラッドティアーズ(狂愛の吸血姫・f10671)が立っていた。
「綺麗な女神様♪ 私の落とし物を受け取りに来たわ!」
「っ!?」
 声を上げる間もなく金の斧を掴み、刃がドゥルールの首を捉え……あっけなく、その首を斬り飛ばした。
「オーノー……ってね!」
「……何!?」
 手ごたえは確かにあった、なのに元気そうな返事。
 恐る恐る振り返ると……ドゥルールの身体はどろりとした毒の汚泥と化していた。

「ふふ……そんなに驚かなくてもいいじゃない?」
 ズルリ、ズルリと這い寄るドゥルール。
 目の痛くなるような臭気を放つ体に女性は距離をとろうとするが……気が付けば、ドゥルールの念動力に捕らわれていた。
「ひっ、やめ……!」
「捕まえた♪」
 ベシャリ……ズルズルと這いあがってくるドゥルールに、女性の身体は取り込まれていく。
 気が付けば、その感触から嫌悪は消え……臭気もいつしか、甘い蜜の香りに変わっていた。
「私の落とし物は貴女よ、女神様♪」
「わ、私は、落とし物なんかじゃ……。」
「今から落ちるの、共に……底なし沼のような 深い恋に……❤」
「あ、あぁ……!」
 ……しばらくの間、森には泥ののたうつような水音が響いていた。

 一方……。
「アワワ……。」
「見チャだめダヨ、りた。」
 ゆかいな仲間たちによって、その場面は少女の目に映ることなく終えたという。

成功 🔵​🔵​🔴​

カイム・クローバー
くれるのは斧だけかい?例えば…銅貨を放り込めば金貨になって帰ってくるとか。正直者は得するんだろ?

…なんて、美味い話ねぇか。
魔剣を顕現させ、距離を詰める。どうせ距離は無視なんだろ?首狙い、なんて分かってるなら【見切り】は容易い。女神様に首を断罪されるなんざ、そこまで悪い事した覚えはねぇんだけどな?【挑発】交じりにUC。
斧の質は悪くねぇが、腕は良くねぇな。それだと一撃で首は落とせないぜ?
魔剣を使っての【二回攻撃】、紫雷を刀身に纏わせて【属性攻撃】。…どうやら水も多少纏ってるようで。好都合だ。
水に対して紫雷を奔らせる【範囲攻撃】と切っ先を突き出す【串刺し】。
どうやらまだ俺の首は落ちてねぇみたいだぜ?



「うぅ……ひどい目にあいました。」
「あんたがくれるのは斧だけかい?」
 その声に女性が顔をあげれば、にこやかに話しかけてくるカイム・クローバー(UDCの便利屋・f08018)の姿があった。
「例えば……銅貨を放り込めば金貨になって帰ってくるとか。正直者は得するんだろ?」
「ふ、ふふふ……何を言うのかと思えば。」
「おっと。」
 女性が金の斧を手にとったのを見て取ったカイムが身をよじると、首のあった場所を刃が通り過ぎていた。
「……なんて、美味い話ねぇか。」
「当たり前です、何故私の斧をあげなくてはいけないのですか?」
「はっはは、そりゃそうだ。」
 カイムは笑いながら、自身の持つ魔剣を顕現させていた。
 そのまま一気に距離を詰めていく。

「あんたがその斧を持っているなら、」
 首元に走る殺気に身を躱し、言葉を続けるカイム。
「距離を無視してただ首を狙うだけ、分かってりゃなんてことはねぇな。」
「くっ! この!」
「おお、こわ。……女神様に首を断罪されるなんざ、そこまで悪い事した覚えはねぇんだけどな?」
 あまりにも軽くかわされるためか、女性はムキになって金の斧を振るう。
 瞬間、カイムの身体に紫電が走り、
「斧の質は悪くねぇが、腕は良くねぇな。それだと、」
「っくあああ!」
 言葉だけを残し、瞬時に女性の脇を飛び抜け……魔剣が女性の体を捉えていた。
「……一撃で首は落とせないぜ?」
「おだまりなさい!」
 斧を再び振るうが、その場にはすでにカイムの姿はなく……背後から突き刺された魔剣が、紫電を纏いながら貫いた。
「あああああ!」
「どうやら……まだ、俺の首は落ちてねぇみたいだぜ?」
 感電する女性を背後から蹴りつけて魔剣を引き抜き、距離をとるカイム。
 ……倒れた女性の周囲を斧が浮かんでいる。
「それだけ傷ついてもまだやる気かよ。さすがだねぇ、女神様。」

成功 🔵​🔵​🔴​

霧島・絶奈
◆心情
「真実が幸福だとは限らない」好例ですね
…とはいえ、今も決して良い状況ではありませんが

◆行動
確かに脅威的な攻撃ですが…明確過ぎる弱点ですね

「白燐発煙弾」による煙幕を展開

加えて『二つの三日月』を召喚し囮とします
二つの三日月自身も小型の二つの三日月を目隠しとして活用させます

私自身は巨人の陰と煙幕に紛れ【目立たない】様に強襲
自身の視界は白燐の煙幕を透過出来る「赤外線カメラ」で確保

【罠使い】の技能を活かし「魔法で敵を識別するサーメート」を複数設置
範囲の狭さもこう言った状況では利点です

設置を進めつつ【範囲攻撃】する【マヒ攻撃】の【衝撃波】で【二回攻撃】

負傷は【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復



「真実が幸福だとは限らない……その好例ですね。その子にとっては。」
 その声に女性が振り返れば、白いフードを被った霧島・絶奈(暗き獣・f20096)がゆかいな仲間たちに話しかけていた。
「ウン、ドウシタライインダロウ?」
「そうですね……道は示せそうですが、今はあちらをなんとかしましょう。」
「ふふ……あなたにできるかしら?」
 女性がその手の金の斧を振るおうとした瞬間、霧島の足元から白い煙が上がる。
 いつの間にか設置された発煙筒の煙幕に紛れて見失い、空振る金の斧。
「く、」
「やはり、そうですか。」
 視界を遮れば首を狙えない、それを確認した霧島は煙幕の中で巨人を召喚する。
 二つの三日月と名付けられた光の巨人は、自身のミニチュアのような小人を纏いながら現れた。

「首を守ればいい、そう考えているようですが、」
 女性が金の斧を振るうと、巨人に纏わりつく小人たちの首が断たれていく。
 巨人の拳が振り上げられた時には小人はすべて落とされていた。
「人の姿をとるなら、何とでもできますよ。」
 金の斧を振るいながら巨人の拳から跳び退り……女性が足を付けた瞬間、テルミットの炎にまかれていった。
「ぐあああああ!」
「……単純な方で助かりましたよ。」
 首を落とされた巨人の影から霧島が歩み出る。
 煙幕の中で視界を確保する赤外線カメラを仕舞いつつ、炎の中へ黒剣を突き刺す。
「しかし、タフですね。そろそろ倒れてもいい頃でしょうに。」
 確かな手ごたえを感じつつ、炎が消えるまで貫き続けていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

サンディ・ノックス
故郷のダークセイヴァーで愛用している黒いローブ姿で現地へ
穏やかな表情で敵意を女神に伝える

動揺している相手に自分の考えを刷り込むなんて手馴れてるね、女神様
もしかしたら悪気はないのかもしれないけど、オウガを誕生させるわけにはいかないから死んでもらうよ

敵が斧を多数作り出すなら俺は解放・夜陰で水晶を多数作って対抗
水晶で斧を喰らいたいけど斧が多すぎるなら単純にぶつけて勢いを殺す
そのうちに俺は女神に接敵、怪力任せに斬りかかる
集中できなければ斧の操作もできなくなるかも

黒剣での斬りをメインにUCで敵の死角を攻める
それだけと思わせた頃に小刀を投げつけて隙を作り
朔を投げ転倒や束縛で動きを封じて黒剣で急所を狙いたい



「はぁ……はぁ……。」
「動揺している相手に自分の考えを刷り込むなんて、手馴れてるね……女神様。」
「くっ、またか!」
 肩で息をついていた女性に、黒いローブを着たサンディ・ノックス(調和した白黒・f03274)が声をかける。
 線の細い、優し気ともとれる声色だが……言葉に混じる敵意を感じ取った女性は、周囲に浮かぶ斧を次々とサンディへと飛ばしてきた。
「……もしかしたら悪気はないのかもしれないけど、オウガを誕生させるわけにはいかないから、」
 しかし斧は、サンディが周囲に生みだした黒い水晶に阻まれて止まり、そのまま闇の魔力に呑まれていく。
「死んでもらうよ。」
「ふん、できるならやってみなさい!」
 周囲に飛ぶ斧の一振りを掴み、女性はサンディへと斬りかかってきた。

 女性の手の斧以外にも、念動力で周囲に浮かぶ斧も同時に襲い掛かってくる。
「……さすがに多いね。」
 手にした黒剣で受け止め、周囲の斧も黒い水晶を放って弾き、勢いを殺す。
 同時に黒い水晶を横から飛ばし、女性の手足を狙うが……周囲に浮かぶ斧に弾かれる。
「斧をいったい、いくつ持ってるのかな?」
 次は生み出した黒水晶を横から撃ち込む……幾度目かのその仕草に隠れ、小刀を抜くサンディ。
「……そんなこと聞いて、どうするつもり?」
「それはもちろん、」
 周囲の斧が黒水晶へ向いた瞬間、手にした小刀を女性の足へ投げ、地面に縫い付ける。
「ぐ、あああ!」
 すかさず懐から、朔と呼ぶ黒いワイヤーフックを投げつけて女性を絡めとり……サンディは黒剣を手に歩み寄る。
「や、やめ……!」
「……あなたを殺すためさ。」
 ぞぶり……正確に、その刃は心臓を貫く。
 そのまま女性の身体は水へと変わり、大地へと染み込んで消えていった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 冒険 『花粉はびこる迷路を踏破せよ!』

POW   :    兎に角気合で耐えてアリスを探す!き、気合で・・・

SPD   :    兎に角、早くアリスを探し出して此処を脱出してやる!

WIZ   :    マスク等の対策をしっかりした上で確実に調べ尽くして探し出す・・・!

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「ヤッター!」
「コレデ安全ニナッタネ!」
 斧を持つオウガが倒れ、ゆかいな仲間たちは喜んでいる。
「……。」
 しかし、リタは目の前に置かれた斧へ視線を落とし、考え込んでいる。
 近くにある扉から背を向けたまま座り込んで……、
 と、辺りの杉や桧の木々の間を風が通り抜け……黄色い煙のような花粉が舞い降りてきた。
「……クシュン!」
 ……花粉症でなくても咳き込みかねない状況だ。
有栖河・鏡
ふぅー…はぁ……くしゅん…チッ…呼吸法で多少は防げるがこの花粉は面倒だな
まぁいい、それでもこのアリスにちょいとお話してやるくらいは出来るだろ……

よぉアリスちゃん、ちぃとばかし俺の話を聞いてくれよ
俺はさぁ、アンタと同じアリスなんだよ…ご多分に漏れず記憶も曖昧でね
でもよ、大事なのは今までより今この瞬間と感じてる衝動だろ?
俺は…あんまアンタには言えないような衝動が身体を突き動かしてる、だから別に元の世界なんて戻らずにフラフラして好き勝手やってんだ
アンタはあの愉快な連中とここにいるのが楽しい、心地いいんだろ?
ならそれでいいじゃねぇか…邪魔する奴は俺が同じアリスの誼でぶっ殺してやるよ

●アドリブ歓迎


カイム・クローバー
随分と熱心に斧を見てるようだが…何か気になる事でもあるのかい?(リタにUCを使いつつ、ゆかいな仲間に刺さった斧を引き抜く)流石にこんな物騒なモン、刺さったままじゃあ…な。誰かこいつの手当てを頼むぜ。

此処には毎回、酷い花粉が舞うのか?時期的なモンであれば、まだマシだが…ずっとだってんなら、人間のリタには此処で過ごすのは厳しいかも知れねぇな。
とはいえ、奴隷だったのは姿を見りゃ明白だ。『帰った方が良い』なんざ、俺には言えねぇよ。…自分で選ぶべきだろうな。どうするのか。
扉が消える訳じゃねぇなら、暫くこっちで暮らして、時間が経ってから元の世界に戻るか?そんな都合の良い事で出来るかどうかは分からねぇが…


霧島・絶奈
◆心情
ある意味、形ある敵以上に厄介ですね
まあ出来る事をしましょう

◆行動
…さて、取り合えずこの状況をどうにかしなくては話も出来ませんね
アリスを避難させるわけにもいきませんし、此処は花粉を迎撃すべきでしょうか

アリスとゆかいな仲間たちを背に庇いつつ花粉を迎撃
…ゆかいな仲間たちにはアリスが斧を手に取らない様にだけ注意しておいて貰いましょう

先ず『涅槃寂静』にて「水」属性の「暴風」を行使
風に風をぶつけて守りを固めつつ、水の気で花粉の飛散を防いで行きましょう

其れでも尚向かってくる花粉に対しては【範囲攻撃】する【衝撃波】で【二回攻撃】し相殺

負傷…に入るのかは判りませんが、自分自身への花粉は【オーラ防御】で軽減


ティエル・ティエリエル
SPDで判定

わわわっ、花粉だー!花粉症になっちゃうー!
花粉症になっちゃうとかわいいのが台無しになっちゃうんだよ!

まずは扉から離して落ち着いてもらった方がいいよね!
そんなこんなで適当な理由をつけてリタの腕を引っ張って連れて行っちゃうぞ

リタがちょっと落ち着いたらお話を聞いてみるね
ゆかいな仲間たちも心配していることをきちんと伝えるね

※アドリブや他の方との連携も大歓迎です


サンディ・ノックス
この黄色いものは…花粉?
俺は花粉症じゃないけど、こんなたくさん浴びたら花粉症になっちゃいそう
そんなことより今はリタだ

まずはここから離れよう?
寒くない?寒いならこれを貸すよ(上着を示す)
斧が気になるなら…俺が移動先まで持っていくから動こう。ね?

移動しながら彼女が扉を拒否した理由を話しだすまで待つ
聞き出すのが好きな同業者なんていくらでもいるだろ

家族を殺され彼女は捕われた
…俺が守れなかった人々を思い出して苦い気持ちがこみ上げる

帰りたくない気持ちはよくわかる、俺もそこの生まれだから
でも斧を手に取らなくてもここで生きていいんだよ、きっと彼らだって喜んで一緒に居てくれる
そうでしょ?(愉快な仲間達に尋ねる)


ミア・ミュラー
【WIZ】
ん、花粉?何で、いきなり……?よくわからないけど、前も見づらいし、何とかしなきゃ、ね。

わたしはゆかいな仲間のみんなを助けながら、リタさんを探す、ね。杖でわたしの周りに風のバリアを作って、花粉を防ぐ、よ。森をしっかり調べながら、ゆかいな仲間たちを見つけたらバリアに入れてあげて、怪我?をしてたら、直してあげたい、な。ん、せっかくだからそのまま一緒に探すのを手伝って、もらおう。
わたしもアリスで、前に助けてもらったから、今度は私がリタさんを助けたい、の。手伝って、くれる?
やっと見つけた扉が絶望に繋がっちゃうなんて、すごく悲しいこと、ね。はやく助けてあげないと、いけない……!



「アレ、花粉ダ。」
「今年ハ多イネ。」
 ゆかいな仲間たちはあまり気にせず、黄色く染まる空を見上げている。
「わわわっ、花粉だー! 花粉症になっちゃうー!」
「そうだね。俺は花粉症じゃないけど、こんなたくさん浴びたらなっちゃいそう。」
 大騒ぎなティエルの横で、サンディは冷静に口元を覆って様子をみていた。
「ふぅー……はぁ……くしゅん! チッ……呼吸法で多少は防げるが、この花粉は面倒だな。」
 そんな中、有栖河は我流の呼吸法を試してみるが……まるで砂のように舞い散る花粉にまかれ、くしゃみが出てしまう。
「花粉症になっちゃうと、かわいいのが台無しになっちゃうんだよ!」
「ええ、この状況はよろしくありませんね。」
「ね、少しここを離れよう! ほら、リタの顔も涙でぐしゃぐしゃだよ!」
 口元を覆いながら霧島がリタの方を見れば、ティエルはうつむいているリタの顔を覗き込んで話しかけている。
「いや……クシュン!」
 だが、なかなか動こうとしないのを見て取り、
「……いきなりだったけど、これで。」
 近くに立ったミアが杖を振るい、リタや周囲のゆかいな仲間たちの周りに風のバリアを張って花粉を避ける。
「……取り合えず、この状況をどうにかしなくては話も出来ませんね。」
「手があるのかい?」
「ええ……多少濡れますが。」
 問いかけるカイムに応え、霧島が手を翳す。
 途端に周囲を湿気を含んだ風が吹き荒れ、飛び交う花粉を取り込んでいった。
 水気を含んで固まる花粉はじきに黄色い雫となって、辺りに生える木々の幹から流れ落ちていく。
「一時的なものであれば、これで収まるでしょう。」
「おお、助かったぜ。さて……、」
 リタの方へと視線を移すと、ティエルと一緒にゆかいな仲間たちも彼女を囲んでいるようだった。
「りた、ダイジョウブ?」
「ね、まずは顔洗おう? リタが悲しい顔してると、この子達も悲しくなっちゃうよ!」
「……。」
 ちらりと視線を上げると、真顔だが心配そうなミアの顔が目に入る。
「あなたを、助けたいの。」
「斧が気になるなら……俺が持ってくから、ね?」
 ずっと見ていた斧をサンディが拾うのを見て、
「……解った。」
 少し考えていたようだが、リタは泉の方へと歩き出した。

「アリガトウ!」
「ああ、それはいいが……大丈夫なのか?」
 ゆかいな仲間に刺さっていた斧を手にしたカイムだったが、明らかに突き刺さった痕が残る、木でできた顔に問い返していた。
「大丈夫! ソノウチ、クッ付クカラ。」
「そう、かもしれない、けど。」
 光を湛えた杖を持ったミア。
 その杖で仲間の顔を撫でるように動かすと、ひと撫でごとに傷が塞がっていき……すっかり元に戻っていた。
「これで、どう?」
「オオ、スゴイスゴイ!」
「良かったな。……ところで、」
 カイムは上を指しながら、
「此処には毎回、酷い花粉が舞うのか?」
「ウウン……イツモハ、コンナニ多クナイカナ。」
「……毎日?」
「タマーニ、ダヨ。次ハ来年、カナ?」
「あぁ、それなら安心したぜ。」
 カイムが指さす先へミアと仲間が視線を移すと、湖で顔を洗っているリタたちの姿。
「毎日だったら、人間のリタには此処で過ごすのは厳しいかも知れねぇと思ってな。」
「そう、ね。……ここにいても大丈夫、かも。」
「ウン……デモ、りた、悲シソウ。」
 心配そうな仲間に、ミアが言葉をかけていく。
「リタさんは、今少し戸惑ってる、の。帰れるけど、その先の事を思い出しちゃった、から。」
「ソウ、ナンダ。」
「あの服装だ、はっきり言ってまともな場所じゃねぇよ。ここの方がよっぽど過ごしやすいかもしれねぇ。」
 簡素に組み上げられた木の扉……リタが帰るための扉は、今もその場にある。
「……『帰った方が良い』なんざ、俺には言えねぇよ。」
「だから……今まで、あなた達と楽しく居られたリタさんが、残りたいって言ったら……一緒にいてほしい、な。」
「モチロン! りたハ仲間ダモン!」
「……ありがとう。」
 ドンと胸を叩く仲間。
 ミアとカイムはその頼もしげな様子に安心しつつ、リタの相手をしている猟兵達の様子を見ていた。

 リタは素直に渡されたハンカチで顔を拭い、
「ね、元の可愛い顔になったよ!」
「……ありがとう。」
 ティエルの笑顔につられて、その顔に笑顔も戻ってきていた。
「さて……じゃあアリスちゃん、ちぃとばかし俺の話を聞いてくれよ。」
 まずは、と有無を言わさぬ様子で語り掛ける有栖河。
「俺はさぁ、アンタと同じアリスなんだよ……ご多分に漏れず、記憶も曖昧でね。」
「そう……なんだ。」
「でもよ、大事なのは今までより、今この瞬間と感じてる衝動だろ? 俺は……あんまアンタには言えないような衝動が、身体を突き動かしてる。だから、別に元の世界なんて戻らずにフラフラして、好き勝手やってんだ。」
「ふふ、そういう先輩もいる、ということです。」
 霧島はチラリと扉の方へ視線を向け、言葉を続ける
「あなたは、どうしたいですか?」
「……どう、って?」
「元の世界へ帰れる扉を前にして、ですよ。」
「……。」
 再び口を閉じたリタ。
 その肩に手を乗せ、目を覗き込むようにして有栖河は言葉をかける。
「アンタはあの愉快な連中とここにいるのが楽しい、心地いいんだろ?」
「う、うん。」
「ならそれでいいじゃねぇか、無理に帰る事なんかねぇよ。邪魔する奴は、俺が同じアリスの誼でぶっ殺してやるよ。」
「……ありが、とう。」
 その顔に浮かぶ迷いは、少し晴れたようにも見えた。
 しかし、リタは視線を逸らし……目を向けたのは、サンディの持つ斧だった。
「そういや、さっきも随分と熱心に斧を見ていたようだが……何か気になる事でもあるのかい?」
 仲間と共に歩み寄ってきたカイムの問いに頷き、リタは言葉を続ける。
「その斧……家にあったのと、同じだった。」
「そう、だったのか。」
「薪割りにしか、使ってなかったの。襲われた時、近くにあったのに……私は、手に取ることもできなかった。」
 その独白に、ぎり……と奥歯をかむサンディ。
 サンディが守ることができなかった人々……彼らと重なる、リタの言葉。
「それで戦っていれば……。」
「……そんなことはないよ。」
 斧を手に、話かけるサンディ。
「これを言うのは酷なことだと思うけど……君が斧を手にしても、結果は変わらないよ。いや、それよりも……そのまま殺されていたかもしれない。」
「……。」
「俺も、そこの生まれだから……そういう話は、いくらか知ってる。」
「そっか……。」
 リタがうつむいた……かと思えば、空を見上げて、
「……吸血鬼に一人ずつ連れていかれて、私が最後に残ったんだ。その時に武器があれば、吸血鬼も殺せるかなって。」
「それは……。」
「今じゃなければ、無理じゃない、よ。」
 口を挟んだのは、元アリスのミア。
 切り倒された木を見つつ、
「木は、切り倒すくらいには使えるんだもの。いつかは、吸血鬼でも倒せる、よ。」
「……出来る、かな?」
「うん。」
「そっか。……ふふ、私にも出来るんだ。」
 リタが笑みを浮かべるのを見て、サンディは斧を差し出し、
「……斧を持たなくてもいいって言おうと思ってたけど、君には必要なみたいだね。」
「うん。」
「ははっ! 俺と同じになれとは言わねぇけどよ、殺し方なら教えてやるぜ!」
 そう笑いかける有栖河。
 そのままリタへ斧を渡して少し離れたサンディに、霧島が問いかけていた。
「……良かったのですか?」
「いいんだ、リタさんも生きていく目的があったほうがいいし。それに、」
 近くにいたゆかいな仲間たちに顔を向け、
「君たちと生きていくのにも、あの子に斧を持っててもらった方がいい。そうでしょ?」
「ソウダネ。」
「木ヲ切ルノハ楽シイシ、大事ナ仕事ダカラネ!」
「ふふ、それなら良かった。」
 笑みと共に頷く霧島の耳に、サンディの呟きが聞こえる。
「でも、可能なら……木を切るためだけに使って、生きてほしいな。」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 集団戦 『ジョーカー』

POW   :    ブラックレディ
【死神の大鎌】が命中した対象を切断する。
SPD   :    ドッペルコップ
自身が【食欲や怒り】を感じると、レベル×1体の【自身の魂を分割した分身体】が召喚される。自身の魂を分割した分身体は食欲や怒りを与えた対象を追跡し、攻撃する。
WIZ   :    レッドドッグ
【バラまかれたトランプから噴き出す灼熱の炎】が命中した対象を燃やす。放たれた【灼熱の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。

イラスト:しらゆき

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「……あっはは! ここは過ごしやすそうね!」
 と、枝の上から響く声。
 猟兵達が見上げると、大鎌を持った女の子たちが上にいた。
「決めた! あんた達を倒して、この場所を頂いちゃうよ!」
「……させない。」
 自分勝手な物言いに、リタの斧を握る手に力がこもる。
「私たちの場所で、好き勝手……させない!」
「あっはは! 足が震えてるよ、お嬢さん!」
 そう嗤いながら、女の子たちは木から降りてきた。
サンディ・ノックス
真の姿解放
赤い竜人と化す

リタさんの言った気持ち、よくわかる
俺もまさにそうだった
吸血鬼に殺される人々を前にして力を求めて、力が応えて…その結果が今の俺
それを象徴するのがこの姿
悪いけど、お前達は俺が思い入れを持った子の邪魔だから死んで?

『青風装甲』を発動
飛行速度を活かし敵の懐に飛び込み、勢いを活かした体当たりや黒剣で攻撃
地上と上空を不規則に動き回り1体ずつ減らしていこう

敵の攻撃は【見切】って当たってやるつもりはないし
食らっても【オーラ防御】で軽減して【激痛耐性】で痛みを誤魔化して
なにかやった?とでも笑ってやる

俺がリタさんに思う気持ちはさっき漏らしてしまったとおり
でも今は生きていてくれればそれでいい


有栖河・鏡
なぁリタ、世の中ってのはどこ行ってもこうさ…どうしようもねェ奴がいて、自分の居場所を守る為にゃ戦うしかねえ
腹を括りな、斧を手に取れ、奴らをぶっ殺して自分の居場所を今度こそ守り抜くんだよ!!

敵が多い、こういう時は【颯】だ
位置関係を完璧に見切り、次々に斬り抜け一刀一殺で片っ端から斬り捨てていくぜ

ハッ、遅すぎんだよカワイコちゃん…テメエらじゃ俺はヤれねぇぞ!

仕掛けてくる攻撃は野生の勘で見切って咄嗟の一撃で斬り返し、後の先で腕を斬り飛ばす部位破壊で対応、足も刀もこいつらを皆殺しにするまで止める気はねぇ

愉しめリタ!
心が負けちまえばアリスは終わりだ、俺達は終わるわけにはいかねぇ!そうだろリタ!

アドリブ歓迎


ミア・ミュラー
ん、リタさんが元気になったみたいで、よかった。大丈夫、あなたはひとりじゃない、よ。

わたしは刃物、使わないから、戦い方はあんまり教えられないし、リタさんのそばで戦うのは他の人に任せる、ね。
森だしゆかいな仲間たちは木だし、炎を出されると、やっかい。わたしは森に隠れて、敵を【プリンセス・バースト】で透視して倒していく、よ。いきなり周りが爆発したり、光れば周りの敵も混乱する、はず。敵が一人になったら、氷を纏ったプリンセスハートをぶつけて、凍らせる。
いろんな世界に、こんな風に優しくて強い猟兵さんたちが、いるんだよ。アリスラビリンスもリタさんがいた世界も、そのうち平和になるから……それまで頑張って、ね?


カイム・クローバー
『私たちの場所』…か。リタは自分の意志で生きる世界を決めた。
なら、手助けしてやらねぇとな。

悪ぃが、この場所はもう売約済みだぜ、死神のお嬢ちゃん。
二丁銃を構えて【二回攻撃】に紫雷の【属性攻撃】。
数の暴力が自慢か?数だけ揃えりゃ良いってモンでも無いと思うが?
あの大鎌ってのは近距離武器みてーだからな。距離がありゃ当たる事はねぇさ。…囲まれねぇ限りは。
背後や死角には【第六感】を巡らせ、【残像】で躱していく。ある程度まで一ヶ所に纏める事が出来りゃ、【クイックドロウ】に【範囲攻撃】を交えて、UC。

土地のご予約はお早めに、なんて礼でもしながらくしゃみを一つ。
……ヤベ。此処は花粉、酷ぇんだったな。忘れてたぜ


霧島・絶奈
◆心情
…きっと安住の地は遠いのでしょうね

ですがアリスよ、どうか嘆く勿れ
貴女の戦いがあったからこそ、此処に私達が居る
其の故に、この場の勝利は揺るがないのですから

◆行動
<真の姿を開放>し『666』を使用
一部の<私>はリタさんとゆかいな仲間たちを護衛
今はまだ、貴女が手を汚す時ではありません

一部の<私>は<私達>に紛れ【目立たない】様に行動
【罠使い】の技能を活かし「魔法で敵を識別する指向性散弾」を複数設置

設置を進めつつ<私達>全員で射線を調整し【範囲攻撃】する【マヒ攻撃】の【衝撃波】で其々が【二回攻撃】
徹底的に蹂躙し、侵略者に【恐怖を与える】としましょう

負傷は【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復


ティエル・ティエリエル
WIZで判定

むむむー、リタがここで頑張るって決めたんだから邪魔なんてさせないよ!
それに勇気を出したリタをバカにするなんて許さないぞ!

リタが頑張って自信を持てるようにサポートするよ♪
背中の翅で「空中浮遊」、リタの周りを飛び回りながら当たりそうなトランプを叩き落として回るよ♪
もしリタが怪我をしたらすぐさま【小さな妖精の輪舞】で治しちゃうぞ☆

ようし、ゆかいな仲間達もリタに続いて突撃だー☆
あんなやつらすぐにここから追い出してやるぞ☆

※アドリブや他の方との連携も大歓迎です



「う、うぅ……。」
 確かに、リタの足は震えていた。
 向かってくる相手の獲物は、身の丈ほどもある大鎌……それに対し、リタの手にあるのは薪割り用の小さな斧。
「むむむー! リタがここで頑張るって決めたんだから、邪魔なんてさせないよ!」
 そんな様子のリタの周りを飛び、レイピアを抜き放つティエル。
 捲し立てる勢いは、リタの折れかけた心を立て直す。
「それに、勇気を出したリタをバカにするなんて許さないぞ!」
「みな、さん……。」
「悪ぃが、この場所はもう売約済みだぜ、死神のお嬢ちゃん。」
 二丁銃を抜き、威嚇に撃ち放つカイム。
 前の少女が大鎌で弾くのを見つつ、挑発の言葉を放っていく。
「にしても、数の暴力が自慢か? 数だけ揃えりゃ良いってモンでも無いと思うが?」
「ふん、その言葉そっくり返すよ!」
 大鎌を振り上げて襲い来る少女達に対し、猟兵達も各々の武器を構えていった。

 少女の前に立つ青年は、見る間に赤い翼を生やした竜人へと姿を変えていく。
「吸血鬼に殺される人々を前にして力を求めて、力が応えて……その結果が、今の俺だよ。」
 かつてのサンディの渇望、それはリタのものとよく似ていた。
 違うとすれば、力を手に入れられたかどうかだけ。
「悪いけど、お前達は」
「……え?」
 呟いていると思えば、瑠璃色の旋風を纏って少女の目の前。
 そのままの勢いで、サンディは少女を黒剣で貫き、
「か、は……。」
「邪魔だから死んで?」
 絶命した少女を放り捨て、次を目指す。
 薄く笑みを浮かべたまま襲い来るサンディに恐怖を覚え、
「こ、こいつはまずそう……うわっぷ!」
 背中を見せた少女の目の前で爆発が起こる。
「わたしは、わたしの戦い方、で。」
 木々に隠れ、少女からは見えない位置に立つミア。
 不思議な力で木々を透視し、好きな場所で輝きを放つ爆発を起こす技。
「ちょ、ちょっと! どこにいるのよ!」
「……足を止めて、いいのかな?」
 光に眼がくらんだ少女の背に、襲い来るのは瑠璃色の旋風。
「お前達は、俺が思い入れを持った子の邪魔なんだ。」
「ぐ、あ……。」
 また一人、少女は倒されていった。

「なぁリタ、世の中ってのはどこ行ってもこうさ……どうしようもねェ奴がいて、自分の居場所を守る為にゃ戦うしかねえ。」
 刀を引き抜き、身を沈めながら言い聞かせるように呟く有栖河。
「腹を括りな、斧を手に取れ、奴らをぶっ殺して自分の居場所を今度こそ守り抜くんだよ!!」
「きゃああ!」
 鋭く言い切り、一歩で少女達の前へ踏み込み、斬りつける。
 瞬時に目の前に現れた有栖河に反応もできず、少女は斬り捨てられていく。
「……とはいえ、最初から戦えとはいいません。」
 リタの前に立つのは、霧島。
 異端の神々と化して一人、また一人と増えた霧島たちが、リタやゆかいな仲間たちを護るように立っていた。
「貴女に戦う意志があったからこそ、此処に私達が居るのです。」
「ボクらに任せてね!」
「は、はい!」
 黒剣を持つ霧島たち、そして周囲を飛ぶティエルも、ばらまかれたトランプを斬り払っていく。
 少女達の放つトランプは火の粉とかして消えていく……放っておけば、炎を吐く触媒となる物だった。
「く、何なのよあんたたちは!」
「通りすがりの猟兵だよ!」
「……余所見たぁ、いい度胸だなぁ!」
「ひあ!?」
 すぐ横に立つ有栖河の斬撃に斬り捨てられ……近くにいた少女が大鎌で斬りつける。
「ハッ、遅すぎんだよカワイコちゃん。」
「っつ!?」
 しかし、瞬時に有栖河が刀を斬り上げる。
 大鎌を振るった腕は斬り飛ばされ、返す刀で胴を斬り裂いていく。
「テメエらじゃ俺はヤれねぇぞ!」
「く……。」
「……あとは、君達だけだよ。」
 横から、別の少女を追い立ててきたサンディ。
 一か所に集められた少女達……じりじりと下がる足元から、仕掛けられた地雷が散弾を放つ。
「まぁ、ここに目を付けたのは……運が悪かったと、思う。」
 ミアの呟きと共に、氷を纏って飛び交うプリンセスハートが少女達にぶつかり、凍り付かせていた。
「や、やめ……。」
「そいつはできねぇ相談さ、雑魚は退場の時間だ。」
 二丁の銃を抜き撃つカイム。
 放たれる銀の弾丸は紫雷を纏い、正確に少女たちの眉間を貫いていき……黒い塵となって消えていった。

「土地のご予約はお早めに……ふぇっくしょん!」
 一礼しての決め台詞の途中でも、容赦なく放たれるくしゃみ。
 カイムは鼻をすすりつつ、
「……ヤベ。此処は花粉、酷ぇんだったな。忘れてたぜ。」
「ふふ、まだ少し残っていましたか。」
 一応は払ったのですけどね、と語り掛ける霧島。
「ですが、今度こそ邪魔者は滅びました。」
「うん! これでリタもみんなも、幸せに暮らせるよ!」
 笑顔でそう言ったティエルだったが……リタを見ると、少し沈んだ顔をしていた。
「あ、あれ……ごめん、うれしくなかった?」
「……ううん、うれしくないわけじゃない、の。」
 気が抜けたように、ぺたんと座ってしまったリタ。
「ごめん、なさい。やっぱり、戦うのは……怖い。」
「はは! そりゃあ、最初からうまくできるわけねぇさ!」
 そう笑いながら、しゃがんで顔を覗き込む有栖河。
「でもよ、リタ。お前さんは、その斧を持って立ち向かえたんだぜ?」
「うん。あの姿は、かっこよかった、よ。」
 ミアも隣に座り、ぽつぽつと語り掛けていく。
「みんな、リタさんの事を助けたかったの。私たちが居なくても、この子たちも戦ったと、思う。」
「ウン! 僕ラモ一緒ニ戦ウヨ!」
「ダッテ、りたハ仲間ダモン!」
「みんな……。」
 周りを囲むゆかいな仲間たちも、自然と励ましの言葉をかける。
 その様子に、リタの目に涙が浮かんできた。
「大丈夫、あなたはひとりじゃない、よ。」
「これだけ仲間がいるんだ、愉しめよリタ! 心が負けちまえばアリスは終わりだ、俺達は終わるわけにはいかねぇ! そうだろリタ!」
「はい……はい!」
 もちろん、流す涙は悲しみのものではない。
 頼れる仲間がたくさんいる、それを知ったうれしい涙だった。
「いろんな世界に、こんな風に優しくて強い猟兵さんたちが、いるんだよ。ここ、アリスラビリンスも、リタさんがいた世界も、そのうち平和になるから……それまで頑張って、ね?」
「はい……がんばる、私、頑張る!」
 静かに語り掛けるミアの言葉に何度も頷き、決意を新たにするリタ。
「よーし、その意気だよ! ……っと、それから、」
 ティエルはハンカチを取り出しながら、
「顔洗ってこよう? せっかく可愛いのが台無しだから。」
「……あはは、そうですね。」
 前とは違い、心から笑いを浮かべながら、リタは泉へとむかっていた。

「……こう言っては何ですが、きっと安住の地は遠いのでしょうね。」
「そうだね……これからも、同じようなことはあると思う。」
 そんな様子を遠巻きにみながら、霧島とサンディは語り合っていた。
「リタさんは、戦う力は持ってないし……強くなれるかはわからない。」
「ええ……おそらくは、難しいでしょう。」
「……でも、」
 霧島の同意に頷き……サンディは泉で顔を洗っているリタへ視線を移し、
「今は、生きていてくれればそれでいい。」
「ふふ……そうですね。それに、」
 周りを囲む、ゆかいな仲間たちや猟兵達を見渡し、
「これだけの仲間がいれば、大丈夫でしょう。」
「ああ……そうだね。」

「今日ハ、コレクライニシヨウ!」
「ええ、そうね。」
 リタはゆかいな仲間たちと共に、今日も木を伐っていた。
 泉の畔で木の実を齧りながら、ふと見渡せば……簡素な木の扉は今もそこにある。
 しかし、それを見る瞳に不安はない。
 仲間との生活、斧を使う生活にも慣れ……いつか、吸血鬼も倒す。
 そう心に決めたリタにとって、それは過去の不安ではなく、未来への目標へと変わっていた。
 いつか、その日が来るか、そのままこの世界にいるかは……また、別の物語で。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年01月30日


挿絵イラスト