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夜明けのアリス

#アリスラビリンス

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#アリスラビリンス


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 茨の森の眠り姫を護るもの。
 それはきっと大きなお城の大きなベッド。
 それはきっとお城を護る守護者たち。
 それはきっとお城を囲む森の木々。

 少年……アリスは駆ける。この先に、きっと、今度こそ、僕の扉があるはずと。理由?それはわからない。でも、本能が、この体が、魂が、この先だって言っているんだ。
 でも、どうしてだろう。この森はちっとも終わらない。さっきは右が行き止まり。それなら、左にいけば……行き止まり。戻ってみたら、行き止まりが消えて……。
 わからない。どうして、この先にあるのに。どうして、僕は迷子の迷子なの?

 季節は冬へ。年は新しい。新年のお祝いが、まだまだ盛んに行われている頃。
「みんなはどんな、新しい1年を願ったのかな。」
 明けましておめでとうございます。そう挨拶をしたグリモア猟兵のフルール・ラファラン(森に住まう人・f00467)は、その表情を真面目の色に変える。
「お正月休みのところごめんね。でも、ルーからみんなにお願いがあったの。“けいきづけ”にぱーっとやってきて欲しいのよ。」

 その世界の名前は『アリスラビリンス』。
 人肉喰らうオウガの支配する不思議の国が、迷路のように繋がって出来た不思議の国。そこに召喚された人々はアリスと呼ばれているそうだ。

「アリスの男の子がね、一生懸命自分の元いた世界に戻ろうと、自分の扉を探して旅をしているのだけど……。」
 踏み込んだ森は、ただの森ではなかった。それは歪んで生きる迷路の森。普通の迷路なら、いつかは“出口”へと辿りつく。普通なら。
「その森は、オウガの森。あ、えっと、森にオウガがいるんじゃなくて、森自体がオウガってことなの。」
 フルールはわたわたと、誤解を解くように説明する。
 森の木々一つ一つがオウガで、足を踏み入れたアリスが、一生出られないように道を塞いだり、繋げたり、はたまた木がアリスを攻撃するそうだ。
「この森の木々は、獲物……アリスが死ぬことでしか迷路は消えない。あとは……。」
 “みんなが、この森の木々オウガを倒すこと”。
「アリスもユーベルコードは使えるけど、皆と比べたら本当に小さいから、なんとか皆でアリスを導いて欲しいの。新年に光あれ、って!よろしくお願いします。」

 アリスの行く道に光あれ。その光が猟兵のもたらす希望であれ、と。


ありす
 明けましておめでとうございます。
 初めまして。または、お久しぶりです。こんにちは、ありすです!
 昨年は色々ありすぎたので、今年は穏やかに過ごしたいものです。

 では、本日のシナリオのご案内です。

 第一章:迷路の森”と”集団戦。

 第二章:森の先で集団戦。誰だろう。

 第三章:ボス戦。いや、誰ですかね。

 と、なります。戦闘メインです。てか、戦闘しかないですね。
 どの章から参加でも受け付けますので、お気軽にお越しください。
 今回は、タンタンっと短期間でやっていきたいと思います。

●執筆速度
 特殊です。書ける時に書きます。マスターページに締め切りを記載していこうと思いますので、ご面倒ではありますが、見ていただけたらと思います。

●プレイング再送について
 プレイングを失効でお返ししてしまった場合、お心変わりがなければ、また送っていただけたら幸いです。

●お任せプレイングについて
 今のところ此方は不採用の方向で考えております。期間的に受け付けたいとなりましたら、受け付けるかもしれません。

 皆さんのプレイング、楽しみに待っています。
 今年もよろしくお願いいたします。
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第1章 集団戦 『迷わせの森』

POW   :    絡まった枝の迷路
戦場全体に、【互いの枝を絡ませて作った壁】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
SPD   :    絡まった枝の迷路
戦場全体に、【互いの枝を絡ませて作った壁】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
WIZ   :    絡まった枝の迷路
戦場全体に、【互いの枝を絡ませて作った壁】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 僕は、息が切れるのも構わずに走る。ハッ、ハッと息が短く熱いのを感じる。でも、それよりも、早く、早くこの可笑しく不思議な世界から出たかった。
「この森の先にきっと……!」
 地面を這う大きく太い根っこは、運動会の障害物競争のように。空を覆う葉は夜のように空を覆い隠して薄暗い。木の枝からは道標のようにランタンが吊り下げられていて、目印のようにトランプが下がっていて。
「さっき右手にこの木の模様と、トランプがあったから……あれ、これ、何度目だろ?」
 一度戻ろう。振り向いた僕の目の前には、さっきまでなかった木が、通せんぼをしていた。
オルヒディ・アーデルハイド
※絡み・アドリブ・連携歓迎

フワリンを呼び出して少年(アリス)と一緒にフワリンに騎乗して移動

扉の方向はこっちだよね
ボクもアリスだから召喚された世界のラビリンスの扉の方向が感覚でわかる事を知ってるから、だから、その感覚に間違いはないよ

この先は森に阻まれて進めそうにないね
でも、一見そう思えるけど、そうじゃないかも
ボクの知ってるラビリンスはほとんどが未開発
森林や荒れ地などを切り開いて未知を拓かないと進めない
扉までは真っ直ぐに突き進もう

立ち塞がる森林をホフヌングランツェで突き進む

1人じゃ辛くてもみんなもついてる

道を進む限り道はいつまでも続いているの
明けない夜がないようにね



 どれくらい。どのくらい。何回。何度。この道を通っただろうか、いや、通ってないかもしれない。
 少年……アリスが不安と恐怖に押しつぶされそうになる。自然と目が潤んだ。
 ポン……と優しく背中に触れたのは、オルヒディ・アーデルハイド(アリス適合者のプリンセスナイト・f19667)。
「キミもアリスなんだね。ボクもアリスだから、わかるよ。」
 少年は突然現れた、自分とさほど変わらないだろう少女(アリスにはそう見えた)に、驚きの表情を見せる。僕以外にもアリスがいた、初めての出会いだ。
 突然の出会い、驚きもあった。しかし、不安の闇の中で、オルヒディの存在は光だった。
 ペロリと少年アリスの頬を優しく舐めたのは、不思議な生き物だ。しかし、敵意は微塵も感じられない。その存在は、薄桃色は母のように柔らかく、垂れた耳はウサギのようで、しかし手足はヒレのようで、なにより浮かんでいる。
「こ、これは……。」
「フワリンだよ。さあ、乗って、一緒に森を抜けよう。キミの扉に向けて。」
 キミの感じている感覚、それは間違いじゃないよ。と、アリスであるオルヒディには、少年が感じる“自分の扉”の感覚が、よくわかった。嘘なんかじゃない、これは、導かれているのだ、と

 フワリンに乗り森を進む。この先も、あの先も、木々に阻まれて、思うように進めない。
「行き止まりばかりだ……。」
「でも、一見そう思えるけど、そうじゃないかも。」
 森林や荒れ地は、開拓をしていかないと、道は拓かないと……。
「進めないからね!」
 オルヒディはくるりと、頭上で、軽い棒を回すように、希望の流れ星のような銀槍『ホフヌングランツェ』を振るう。軌跡が頭上近くの枝を切り裂く。そうしてそのまま、突き出す!
 パキバキっと音がして、木々の一部が切り開かれる。
「すごい……道が出来た。」
「道は進む限りいつまでも続いてるの。さ、方角はどっち?」
「あ、えっと、たぶん、こっちの方。」
 少年を励ますように、ナイトのように、木々を切り開く。しかし、木々もただ切り倒されるわけではなかった。
 ざわめき、伸ばし、無理矢理に作られた道を閉ざそうとする。つまり、この木が意図的に迷路を作っていることを物語る。
「大丈夫、一人じゃ辛くてもみんなついてる。」
 オルヒディが、少年アリスににこりと光を向けて、仲間たちの方を見て、ほら、と。
 一筋の光が、少年アリスの旅に落ちてきた。

成功 🔵​🔵​🔴​

シル・ウィンディア
アリスラビリンスは初めてだけど…
でも、困っている人がいるなら、わたし達の出番だよね

わたし達が来たから、もう大丈夫だよ
声をかけて安心してもらってから…
さて、どうしよ?いつものように飛び回るわけにはいかない、か

アリスへ【オーラ防御】を展開
【属性攻撃】で敵の攻撃を逸らすことができるよう嵐を付与
怖いかも知れないけど、ちょっと待ってね
道は、わたしが切り開くっ!

敵攻撃は【第六感】を信じて【見切り】で回避
避けたらアリスへ攻撃が行きそうな時は【盾受け】で防御
盾には【属性攻撃】で炎を付与して【シールドバッシュ】で押し戻すよ

光刃剣で敵を牽制しつつ
【高速詠唱】を行ってエレメンタル・ファランクスっ!
真正面を撃ち抜くっ


麻海・リィフ
アドリブ、即興連携歓迎

私は、いじめが嫌いだ
私は、意地悪が嫌いだ
私は、いじめっこが大嫌いだ…!

良かろう!阻むというなら押し通るまで!
覚悟しろ、得意分野だ…(笑み)

低く浮遊し、高速で突撃
念動衝撃波UCを以て範囲ごと一気に串刺しチャージ
二回攻撃で突きを薙ぎ払いに派生、そのまま突破する

アリスに
色々分からない、怖いわよね…
だけど、立ち向かっていかないといけない、怖いを消したいんなら
そういう時、必要なのが「勇気」
怖いけど、それでも踏み出す、自分の中から絞り出す気持ち
知ってる?怖さをにらみつけると、怖さが怖がるのよ?(微笑)

見切り第六感拠点防御を応用
隠し方を見て
そう…こっちに行って欲しくないのね?(ニヤリ)



あちらがアリスラビリンスになれていれば、此方は初めてのアリスラビリンス。シル・ウィンディア(光刃の精霊術士・f03964)は、おかしな世界に少々戸惑っていた。オウガの森の中、上を見ても葉と枝が茂り、うす暗い。そのはずなのに、誰が灯したのか光るランプ。更に面白可笑しくトランプが吊り下げられている。戸惑って当たり前だろう。
「でも、困っている人がいるなら、わたし達の出番だよね。」
「そうだとも!私は、いじわるが嫌いだ。」
麻海・リィフ(晴嵐騎士・f23910)が戸惑うシルの肩を力強く、しかしそれは仲間の背中を押すひと叩きする。
「私は、いじめが嫌いだ。いじめっこが大嫌いだ……!」
リィフは、森の隅々まで言い聞かせるように、声を大にして宣言する。アリスをずっとこの森にトドメさせるために、正々堂々の迷路ではなく、意地悪い細工をするオウガに宣戦布告だ。
わたしが不安になっちゃだめだよね。と、首を大きく振って不安を振り切ったシルは、ぐっと拳を作って、気合いをいれる。
「わたし達が来たから、もう大丈夫だよ。一緒に森を抜けようね。」
 シルは自分だけじゃなく、アリスの少年を安心させようと声をかける。少年アリスも、独りぼっちの迷子から、多くの仲間がかけつけてくれた事に安心を覚える。
「怖いかも知れないけど、ちょっと待ってね。」
「ありがとうございます!」

さて、どうしよう。シルはいつものように飛び回るわけにはいかないと判断。まずは落ち着いて、アリスへとオーラ防御を展開。これで、アリスへと攻撃が向いても多少は防げるだろうか。
シルがアリスの防御をしている間。リィフは森の木々の動きを見ていた。地は起伏激しく根を張り、絡み合って、ひどいところでは、子供の背丈以上にも高低差ができ。上をみれば、日の光を喰らうように枝木が伸び、まだ伸びている。少し武器でつついたところで、傷すらつかなかった。木の壁、木の天井は頑丈で強固。ならば……。
「良かろう!阻むというなら押し通るまで!」
得意分野だ、とリィフはにやりと不敵にも見える笑みを浮かべ、ぐっと姿勢を低くして、獲物を構える。バサリと翼を広げ、飛び出す。勢いそのままに枝の壁へと突撃。
「合わせるよ!」
高速詠唱で、炎を、水を、風を、土を弾をとして、その力を集結させたシル。リィフが突撃した一点に向けて、砲撃!厚く硬い壁を脆くする。
その一瞬の脆さをリィフは見逃さず、突きを起点に薙ぎ払う。バキバキバキっと大きな音を立てて、壁が二つに裂ける。
その音にアリスがビクリと体を震わせた。
「色々と分からない、怖いよね……だけど」
キィンっと高い音を出しつつ、アリスへと飛んできた葉の刃をはじき、リィフが言う。
「怖いを消すには、立ち向かっていかないといけない、“勇気”を翳して!」
ガキンっと、アリスへと伸びた枝の突撃を、炎を付与したシールドバッシュで防いだシルは、にこっと笑いかける。
「道は、わたしが、わたし達が切り開くっ!」
「怖さを睨みつけると、怖さが怖がるのよ?」
シルとリィフの言葉を、アリスは口の中で繰り返す。何度も、何回も。そうして、飲み込んだ言葉が、新たな光へと変わる。
森を切り拓き、突き進み、背中を押して、怖さを睨み、前へ進む。

「この隠し方……そう、こっちに行ってほしくないのね?」
ニヤリと、森の癖を見抜いたリィフが言う。この先だ、と。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

舘林・祀
(アドリブはご自由にどうぞ)

へぇ、ここが『アリスラビリンス』。初めてくるわね。
森が相手なんてなかなか経験できることじゃないしワクワクしちゃう。

森全体が敵だっていうなら、手当たり次第殴りつけて反応をみてましょうか。
≪一撃必殺≫
助走をつけて、えいやっと!
一撃で壊れないなら二撃、三撃と。
新手のサンドバッグみたい。
足元が悪いみたいだし、足捌きのいい訓練にもなるかな?
うんうん、いい修行場所みーつけた。

アリス?だっけ。ついてくるなら勝手についてきなさい。
自分の身は自分で守る。根性見せなさいよ、帰りたいんでしょ?
アタシはアタシがぶっ倒したい相手を勝手に倒して進むから。


雷陣・通
とりあえず、あれか
オウガ自体が森ってことだな?
じゃあ、簡単だ「切り開こう」

『手刀』で木の弱いところを切断し、切り開き道を作る。
お前達は森になりきってるからな
意思があっても、お前は「役割」がある、それに縛られている以上、こっちに手出しできねえ……そうだな?

後は簡単だ、道を切り開けば出口まで一直線だ!

殺さないとだめ?
なら、死ぬまで切り裂いてやる!!



「へぇ、これが“アリスラビリンス”。初めてくる人に、大変なおもてなしよ。」
「とりあえず、あれか。オウガ自体が森だってことだな?よくわかった。」
 猟兵達が着々とオウガである木々が作る森の迷路を攻撃し、アリスを守りながら、歩を進めていった。それに焦りを感じたのは、森の方であった。
 反撃。オウガも森になりきっているが、倒されるだけの静かな森ではなかった。拳を構えて、舘林・祀(一拳十殺・f24918)と雷陣・通(ライトニングキッド・f03680)は背中合わせに呼吸を激しくし、辺りをみる。
 最初の森は、ただ、進む道を険しく、または悪戯に塞いだり、開いたりしていた。しかし、奥へと近づくほど、ただで通してくれなくなってきた。
 最初は、木の葉の刃。次に、木の壁。それから、枝の鞭。森全体が牙を剥き、猟兵の後ろのアリスを狙う。それら森オウガから守るように祀と通は前線に出て切り拓いていた。
 それが、しんどく、辛いかというと、否。
「森が相手なんてなかなか経験できることじゃないしワクワクしちゃう。」
 ニッと笑い、祀は額を流れる汗を心地よく感じる。
「次の手だってあるんだな。簡単だ。“切り開こう”。」
 通もぐっと足腰に力を入れなおし、構える。

 再度動いたのはどちらだろう。どちらともいえない、同時だと言える。木々が延ばす枝は素早く、獣が唸るような音と共に通と祀の“いた”場所へと、鞭打つ。バシンっと音を立て、地面が陥没する。
 祀は、木々の一番太いところめがけ、助走していた。
「えいやっと!」
 掛け声と共に、右の拳を叩きつける。ガンっと音がする。鉄の壁に拳を打ち付けた時の音が響く。
 硬い……。右手の拳に電流が流れたように痺れを訴える。痛い、痺れる、そんな感想を振り払うように、左の拳を入れ替え放つ。一撃で壊れないのなら、二撃、それでだめなら、三撃だ!
 新手のサンドバックのようには、ならない。枝がゴゴゴと地を這って、地面を盛り上げ、足元から突き抜ける。
「うわっ!?」
 追撃をかけようとした祀は、土にまみれながら吹き飛ばされる。足捌きの練習には、良すぎたかもしれない。
「任せろ!死ぬまで切り裂いてやる!!」
 ダンッと地面を蹴り、突き上げてきた木の根を更に踏みつけ、通は木々の葉茂る空へと跳ぶ。空中で一回転。そうして、そのまま自由落下速度を活かして、祀が殴打を続けた箇所をめがけて、極めた手刀を突き出す。
 鉄の壁だって、何度も同じところを打たれれば、消耗する。薄くなる。ここだ。
 バキンっと音を立て、大きく太い木が割れる。森がざわつく。葉が涙のように刃となって、通めがけて降り注ぐ。
「こっちに手出し出来るのは、予想外だぜ。」
 最小限の動きの繰り返しで、木の刃を叩き落とすも、肌へと細かな傷が出来る。ピン、ピシュっと音を立て、血が噴き出す。
「僕だって……やれることが。」
 そう呟いた声が耳に微かに入る。通の傷の幾らかを、柔らかな朝陽のように温かな光が煌めいて、僅かに出血を止める。アリスが、手のひらを通にむけて、自身のためにと行動する猟兵へと小さな恩返し。
「ありがとな!」
 負けられないぜ、と通は更に森へと挑む。道を切り開けば、出口まで一直線だ!
「アリス?だっけ。ついてくるなら勝手についてきなさい。根性見せなさいよ。」
 帰りたいんでしょ?と、アリスに背中を向けて、木々の攻撃を受け止める祀の姿。少年にはその背が登り始めた朝陽のように眩しく見えた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ミカエラ・マリット
道は自分の手で切り開くものって聞いたことあります。
アリスの…お兄ちゃんでいいのかなぁ?
ミカエラ、おてつだいします。
よくわかんない目印、きっとワナですよね。
めんどーなんで真っ直ぐ進みましょー。

こーげきは、ぼーぎょです。
ミカエラは細かいこと考えるの苦手なんで。
アリスのお兄ちゃんの代わりに、うねうねうごく木の相手します。
おそってくる枝はハンマーで防いで、なぐりかえします。
ミカエラはイタいのへっちゃらです!
こっちいじめよーったってそうはいかないんだから。
ハンマーでどーんって殴って蹂躙して道を開きます。
じゃまする木のまねっこさんはどっか行けーっ!
森を割るくらい、まだまだジョノクチですよ。



「道は自分の手で切り開くものって聞いたことあります。」
 皆の開拓精神とその言葉聞いて、小柄で華奢な少女ミカエラ・マリット(撲殺少女・f23163)は、同意をするように言う。
「アリスの…お兄ちゃんでいいのかなぁ?ミカエラ、おてつだいします。」
「あ、ありがとう……っ。ぼ、僕も頑張る。」
 最初は心細くて、夜の星よりも細くか弱い光だった少年アリス。それが、猟兵の声かけ、行動で、もう少し頑張ろうという色が、瞳に戻った。それをちらりと見たミカエラ。コクリとアリスに頷いて。
「アリスのお兄ちゃんの代わりに、ミカエラは、うねうねうごく木の相手します。」
 側面に描かれたネコが可愛らしい、しかし、華奢な少女がもつには、大変に大きく無骨なその大槌【にゃんこあくすはんまー】を軽々と担いで構えたミカエラ。作戦は……ない!
 その小さな体から危険な大槌を取り上げようと、四方八方から枝がビュンっと伸びてきた。
「こーげきは、ぼーぎょです。」
 ブンっと、風を切って、大槌がミカエラを起点に一回転。バキバキっと音を立てて、枝が粉々に、その圧力で吹き飛ばされる。その勢いによって出来た木の枝の欠片が飛来し、ミカエラの頬を軽く切る。
「……ミカエラはイタいのへっちゃらです!」
 そういうと、今度は、地を思い切り踏みつけ、跳躍。ひらりと縦に一回転してから、勢いそのままに、木を叩き潰す。ドンっと勢いよく、地面すらも陥没させる。
 その勢い任せともいえる、これぞ正々堂々ともいえるくらいの重い攻撃を連発するミカエラを見て、アリスは唖然としていた。自分と同年代くらいと思われる華奢な子が……と。

 ミカエラをはじめとした猟兵の猛攻は、止まることを知らず。木々の反撃も止まず。しかし、その勢いは、猟兵優勢のままに進む。
 ミカエラが、大きな音も気にせず、片っ端からハンマーでドーンっと道を開く。それは、既に開拓を超え、蹂躙と言えた。
「じゃまする木のまねっこさんはどっか行けーっ!」
 その紛い物の森に響く声と共に、最後の木々が悲鳴をあげて横薙ぎに分断される。

 ドォンと音がして、木が倒れ、迷路が粉砕され、唐突に差し込んできた光にミカエラとアリスは、目を細める。
「やった……迷子じゃなくなった。」
「森を割るくらい、まだまだジョノクチですよ。」
 くしくしと目を擦りながら、アリスに言うミカエラ。
 光に目が慣れてくると、そこには、もう動く木々の迷路の森はなく、開けた場所へと変わった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『影縫い・シャッテンドルヒ』

POW   :    これは君を飲み込む影の群れ
【紐付きのナイフ】が命中した対象に対し、高威力高命中の【レベル×1の自身の影】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    僕らは影、君の命を刈り取る影
【漆黒の影】に変形し、自身の【意思や心情】を代償に、自身の【攻撃力と影に溶け込み影伝に移動する能力】を強化する。
WIZ   :    僕らの狩場、君の墓場
戦場全体に、【影に覆われた暗い街】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 動くオウガの森を抜けた猟兵達が辿り着いたのは、森とはうって変わって、大変開けた草原。いや、この手入れのされ具合、それから置かれたオブジェクトたち。その向こうに見える、大きな大きな、立派な茨に頂かれたお城。そう、ここはきっとお城のお庭。
 お空にはキラキラ温かな、眩しい太陽。これは午後のお茶の時間のぬくもり。


「……!この先だ。この先に、僕の探している物がある気がするんだ。」
 アリスの少年が指差す先はお城の方向。もう何も怖くない、こんなに強い人達が一緒にいるのだから。
 ダッとアリスは走り出す。帰れる、きっと、この先だ。その思いが強くなる。

 しかし、猟兵達の耳に聞こえた言葉。それは背筋をぞっと震わせる音。

「ここは僕らの庭で、君たちの墓場。さようなら……。」

 アリスの背後に伸びる影。そこから飛び出してきたのは、紐付きの、数多のナイフだった。
イフ・プリューシュ
POW/アドリブ歓迎

「あぶないっ!」
アリスとナイフの間に滑り込んで、かわりにナイフを受けて【かばう】わ
【激痛耐性】があるから痛いのは平気よ
怪我もいとわずアリスの壁になるわ!
かわりにナイフを紐ごと引っ張って
敵を引きずりだせないかしら

アリス、ここはイフたちに任せて
あなたは少しでも遠くへ逃げて

さて、影縫さん
どこにいても逃がしはしないわ
紐付きのナイフ、っていうことは射程がある程度限られるはず
さっき捕まえたナイフを引っ張ってとらえたまま
UCで花弁の嵐を起こして広範囲を攻撃するわ
どうか、届いて!



「あぶないっ!」
 その声と、漸く気づいた殺気に、アリスはぴたりと歩を止めて振り向く。アリスの瞳に写ったのは、雪のように、空の雲のように真っ白な髪を躍らせ、間に滑り込んできたイフ・プリューシュ(Myosotis Serenade・f25344)。咄嗟に飛び出したイフの肩にナイフが突き刺さり、陶器のような白い肌に赤い花を咲かせる。
「……っ!」
 痛い。
「ううん、平気。痛いのは平気よ。」
 と、イフはにこりと笑って。小さい背を大きな壁にしてアリスを隠す。グッと肩に刺さったナイフを鷲掴み、勢いよく紐ごと引っ張り上げる。その小さな体に似合わないくらいに、それは勢いよく。そうすれば、影から引き揚げられたのは、ナイフの先の主……影縫い・シャッテンドルヒ。舌打ちをしそうな表情で言い捨てる。
「邪魔をしないでくれますか。」
「乱暴する“お人形さん“がいけないのよ。」
 イフたちに任せて。と、背に庇うアリスに逃げるように目配せ。お人形さんの相手はイフがする。
「もう一度言います。ここは僕らの狩場で、君の棺です。さようなら。」
 影縫いが告げると同時に、彼に影が伸び、影縫いを包み込む。掴まれたナイフの先の相手に次の一手を与える為、強化という駒を進めようとする。
「させないのよ。どうか、届いて!」
 黒い影とは対照的な、弔いの香り纏う白い花弁がふわりひらりとイフを包み込む。逃がさない様に掴んだナイフの紐を手繰り、イフは影縫いへと高速で射程を詰める。
 その速さは、影縫いが回避をするより、なお早い。あまりの速さに影縫いの手が一瞬止まる。
「白いお花はあなたに、その嘆きはわたしに……!」
 それは、死の香りと安らぎの香り運ぶ花の刃。ひとひらだった花びらは、瞬く間に嵐となりて。ヒュッと音を立て、影縫いを切り刻む。その範囲は単体にとどまらず、未だに影に潜んでいた他の影縫いをも切り刻む。
「く……っ!?」
 不意を突き返された影縫いたちの態勢が崩れる音がした。猟兵と影縫いの戦いの始まりだ。
「わ……こんなに悪い“お人形さん”がいたのね。イフ、わすれられないように、頑張るね。」
 手向けの花をまた、イフは纏う。手のひらをそっと差し出して、小さく吐息をこぼせば、また白い弔いを影縫いへと運ぶ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オルヒディ・アーデルハイド
※絡み・アドリブ・連携歓迎

あれ?さっきまでキラキラ温かな眩しい太陽が照らす草原にいたと思ってたんだけど真っ暗になっちゃったね
フワリンの加護を受けて華麗なる姫騎士でプリンセスナイトに変身
影に覆われた暗い街を光の粒子で輝いて照らす
太陽が遮られ闇に覆われてもボクが太陽になればいい
希望を照らす太陽に
迷路を超えたかと思ったらまた迷路か
影の迷路を白銀の槍で突いてみる
今回は突き進めそうはないみたい
道はどこかに繋がっている
立ち止まらない限り先には進める
明けない夜がないように出られない迷宮はないんだよ
影に覆われて心細くない様に
右手を差しだし〔手をつなぐ〕で一緒に先に進む
もう何も怖くない、キミはひとりじゃないから


ルテネス・エストレア
アリス、あなたはあなたの思うがまま前に進んで
あなたのことはわたし達が守りきってみせましょう
大丈夫、もう少しで帰れるわ
自分自身とわたし達を信じてね

それにしても狩り場という名の庭なんて
少々悪趣味が過ぎるのではないかしら?
それを言ったところで耳を貸すような人達ではないのでしょうけれど

いらっしゃい夜色の水晶剣
輝く星の加護をその身に纏わせ、敵へと一斉に放つわ
闇を振り払い、その先の物語へと導きましょう
綴る魔法はキラキラ輝く流れ星の如く

アリスの物語はまだ続きがあるの
けれど貴方達の物語はこれで御仕舞い



 影縫い達がヒュッと音を立て、素早く飛び退り態勢を整える。深く被ったフードの奥から覗く、殺気に煌めく視線で会話をする。と、数人が自身の影に手を当てて、引き伸ばすように手を動かすと、そこから瞬く間に影に覆われた、暗い昏い街が姿を現す。キラキラと温かな、眩しい太陽が照らしていた草原は、姿を瞬時に変えた。
「あれ?真っ暗になっちゃったね。」
 オルヒディ・アーデルハイド(アリス適合者のプリンセスナイト・f19667)は戦場の雰囲気が変わったことに首を傾げる。先ほどの昼は、夜に飲まれた。
「言っただろう?ここは僕らの“狩場”で、君の“墓場”だと。」
「それにしても狩場という名の庭なんて……少々悪趣味が過ぎるのではないかしら?」
 ルテネス・エストレア(Estrellita・f16335)が影縫いの言葉に、上品ではないと言いたげに返す。褒め言葉だよ、と返されれば、ルテネスは少々驚く。耳を貸すような人達ではないと思っていたから。

 戦場が変わったことに驚く猟兵。しかし、戦闘はゆっくりとお茶の時間を用意はしてくれない。
「フワリンの加護を……!」
 オルヒディはヒュッと真っすぐ天に向かって白銀の槍『ホフヌングランツェ』を構える。すると、小さく、しかし力強い光を放つ粒子がオルヒディを包み込む。闇の街の中で、それはランプよりも明るく、暖かい、新たな太陽のようだった。希望を照らす太陽から現れたのは、ユーベルコード『華麗なる姫騎士(スプレンディッドリッター)』でプリンセスナイトに変身したオルヒディ。その身に纏うのは青空のようなフリルのワンピース。
「闇に覆われても、ボクが太陽になればいい!」
 威力強化した白銀の槍で、影縫いの投擲したナイフを叩き落とし、流れるように影の迷路を鋭く突く……!
 カンッ!と、硬度のある物同士がぶつかった時の音を立て、オルヒディの槍は影に跳ね返される。
「硬い……。今回は突き進めそうにないみたい。」
「馬鹿ですね。光が強くなれば、更に影は濃く暗くなるのですよ。」
 オルヒディの纏う光が、影の建物を照らし、そうして出来た影はなお暗く。影に潜んだ彼らが複数人飛び出し、一斉にナイフで切りかかる。オルヒディは瞬時に槍を振るうも、影縫いの体捌きの方が上だ。
 ヒュと空気を裂く音と共にドレスが裂け、皮膚を裂く。痛みにオルヒディは顔を歪める。強すぎる光は、闇を深くすることを失念していた。
「オルヒディさん……!」
 その声と共に、星の加護を受けた夜色水晶剣が影縫いを追い払うように飛翔する。攻撃を避けるために、影縫いは一度オルヒディから離脱。

「大丈夫?……迷路の出口は、影縫いを倒すことみたいね。」
 ひらり踊るように、負傷したオルヒディの元に駆け寄ったルテネスは、影の街で影縫いに囲まれる。
「大丈夫、もう少しで帰れるわ。いらっしゃい、夜色の水晶剣。」
 夜空に瞬く星座を散りばめたような魔法陣を暗闇に描き、ルテネスはユーベルコード『星綴(メテオール)』を使用。輝く星の加護を身に纏う数多の水晶剣は、闇の中で優しく冷たく輝く。
 行って!と指示を呟けば、流れ星のように水晶剣は踊りだす。敵へと一斉に放たれたそれは、アリスの願いを叶える流れ星。闇を振り払い、その先の物語を導き綴る優しい魔法。

 水晶剣は縦横無尽に影縫いを仕留める。そうすれば、影縫いの攻撃に隙ができ、更にその数をグンと減らす。その隙をついて、必死に影縫いの攻撃から逃げていたアリスの手をオルヒディがとり、駆けだす。
「お姉さん……!」
「もう何も怖くない、キミは一人じゃないから。開けない夜がないように、出られない迷宮はないんだよ。」
 力強い右手の暖かさに、歩を緩めるのをやめ、駆けるアリス。
「アリスの物語はまだ続きがあるの。」
 アリスを護るように牽制しつつ、ルテネスは言う。一瞬有利になっていた影縫いの攻撃は、ルテネスの操る夜色の水晶剣の乱舞に形勢が変わる。ルテネスは夜の闇を照らす星々のように、優しく、冷たく、しかし温かい光を放つ。
「けれど……貴方達の物語はこれで御仕舞い。」
 夜の闇に数多の流れ星がまた光る。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

紬雁・紅葉
ぅふふ♪
心無きなら是非も無し
御鎮めします

羅刹紋を顕わに戦笑み
先制UC発動
闇の魔力を防御力に
空の魔力を攻撃力に
付与

自ら纏った闇に紛れる

九曜、巴、鳳翔を適宜使い分け
残像忍び足で正面からゆるゆると接敵

射程に入り次第破魔空属性衝撃波UCを以て回数に任せ範囲を薙ぎ払う

敵の攻撃は躱せるかを見切り
躱せるなら残像などで躱し
そうでなければ破魔衝撃波オーラ防御武器受けUC等で受ける
いずれもカウンター破魔空属性衝撃波UCを以て範囲ごと薙ぎ払う

窮地の仲間は積極的にかばう

闇に影無く
空に陰無し
心亡きモノに
色なき物は触れられず

影踏み鬼さん
その影踏んだ
決まり通りに
去り罷りませ♪

※アドリブ、緊急連携、とっさの絡み、大歓迎です※



「ぅふふ♪」
 影に覆われ暗い街。そこにできた数多の影から飛び出し、ナイフを投擲、または接近からの切りつけを狙う影縫い達の攻撃。
 それをまるで激しい舞を披露するように、遊戯を楽しむように翻し、弾き返す紬雁・紅葉(剣樹の貴女・f03588)。その白と赤の巫女装束が影の街では大変目立つ。

「……邪魔、ですね。」
 自分たちのペースでの攻撃に持ち込めず、苛立ちを覚える影縫い。
「心無きなら是非も無し。……御鎮めします。」
 ふわりと微笑む紅葉。その微笑みは日向の暖かさにも見えたが、その本質は、真夜中の月の光のような冷たさもあった。静かに浮かび顕わになる羅刹紋を見た数人の影縫いが、その秘められた狂気に身震いしたようにも見える。
「零の式…来たれ。」
 影縫いの一瞬の隙をついて紅葉はユーベルコード『トリニティ・エンハンス零式』を発動。何もかもを抱き飲み込む闇の魔力を防御に、天高く透き通るほどに孤高な空の魔力を攻撃に付与する。
「怯むな。一気に……!」
 影縫いの一人の言葉に、周囲を囲んでいた影縫いが、一斉に紅葉へと襲い掛かる。ある者はナイフを逆手にもって超接近。ある者は紐付きのナイフを投擲しての遠距離攻撃。抑揚をつけた攻撃の波が紅葉を襲う。
「貰いましたよ……。」
 そう告げ、にやりと笑った影縫い。捕らえた。数多のナイフが紅葉へと刺さり、斬りつけた。
「闇に影無く……。」
 しかし、それは“影”。紅葉の纏った闇がナイフを飲み込む。その反応に影縫いが驚愕の色を浮かべる。
「空に陰無し。」
 トンと踏み込んだ紅葉が翻したのは薙刀「巴」。その刃は接近してきた影縫いを二つにする。その刃のみならず、生まれた空の属性の衝撃波で、遠距離の影縫いをも襲う。
「心亡きモノに、色なき物は触れられず。」
 影は闇に御帰りなさい、と。ひらり一振り薙刀払い、影縫いとの距離を作れば、次に構えるは、柄に特徴的な紋章が刻まれたルーンソード「九曜」。
「影踏み鬼さん。その影踏んだ……決まり通りに、去り罷りませ♪」
 新たな影縫いのナイフに切り傷を負わされても、なお、戦の舞をやめることなく。ひらりひらりと舞い踊り、羅刹巫女は影縫いを夜へと還す。

成功 🔵​🔵​🔴​

リゼ・フランメ
影を縫い、動き止め、思いを止める
それは決して許されざることで、求める心をこそ縫い付ける刃は、罪咎そのもの
ああ、貴方達の庭だというのなら

「ここにある全てを焼かせて貰うだけよ」

その先に、『アリス』の辿り着くべき光があるのならば
影の森を焼く炎の導きとすべく、刃に宿して

フェイントで隙が出来たように見せて攻撃誘い、紐付きナイフの投擲を見切って避けましょう
当たらなければ次はないから、まずはこれを避けること

蝶のようにひらりと
炎のようにふわりと
舞うように避けて、駆けるは早業

手元にナイフが引き戻されるより早く踏み込み

焼却、火の属性攻撃を乗せた烈火の一閃を
代償として流れる血も
溢れる赤き光と化すのならば、躊躇いなく



「困りますね、ここまで“僕たち”の庭を荒らすなんて。」
 勝勢覆り、劣勢に追い込まれた影縫い達はその数をますます減らしている。暗い黒い影の街で、陰火の如く輝く瞳で影を見るのはリゼ・フランメ(断罪の焔蝶・f27058)。ふわりと、夕日のように微笑むと、影縫いに語る。
「ああ、貴方達の庭だというのなら……。」
 飛んできた数本の紐付きのナイフを、高温の炎ように白い、純白の劫火剣「エリーゼ」で素早く捌き、叩き落す。
「ここにある全てを焼かせて貰うだけよ。」
 リゼは思う。アリスの帰りたい、その為に進みたい。と、願い走る姿の影を縫い、動きを止め、そうして思いまでをも止める影縫いの行い。それは、決してリゼにとっては許されざることで、求める心をこそ縫い付ける刃は……“罪咎”。そのものである、と。
「なら……私は、“アリス”を光へと導く為の、炎の導き手となるよ。」
「みちびきて……。」
 リゼの言葉の一部を繰り返し転がすアリス。恐れはばかる姿から、猟兵たちに、強烈な赤が陽のようなリゼに背中を守られ、勇気に抱かれた姿になる。
(ああ、こんなにも強い人達と一緒なら……)
 きっと帰れる。そう、アリスはリゼの傷をそっと治しつつ想う。

 幾度となく飛び交うナイフを、蝶のようにふわりと、炎のようにひらりと、舞うように、空を駆けるように見切る。このナイフの一手が当たらなければ、次の大きな一撃はないと見切って。
「……くそっ!」
 影縫い達は、形勢逆転に持ち込みたい一心の攻撃が当たらないことに焦燥感を抱く。
「遅いですよ。」
 ふっと影縫いの目の前に迫るリゼ。息遣いすら、瞳の中に写るモノすら見える近さと、そこまでに至った速度に影縫いは言葉を失う。
 流れる血潮よりもなお朱く。神霊の火焔を薔薇のように、血のようにその刃に纏わせる。
「溢れる赤き光と化すのならば。」
 痛みも代償も、躊躇なく、一閃――。

 影が、影の街が、一瞬の膨張をし、そうして、弾けるように消える。
 そこに影縫い・シャッテンドルヒは既になく。開けたそこは、広い広い茨の城の大きな庭に戻っていた。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『いばら姫』

POW   :    死体の森の眠れる美女
戦場全体に、【UCを無力化し、侵入者を攻撃する茨】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
SPD   :    千荊万棘フォレスト
【UCを無力化する広大な茨の森】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
WIZ   :    カニバリズムローズ
【周囲の地形が広大な茨の森】に変形し、自身の【森に侵入した者の生き血(敵へのダメージ)】を代償に、自身の【森の、UCを無力化し、侵入者を攻撃する茨】を強化する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はアララギ・イチイです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「やった……!?」
 アリスは影と共に脅威が去ったと、安堵の表情を顕わにする。そうして、既に日が傾く世界から出る為の一歩を踏み出す。
 と、進む先の前には茨の城。扉は固く閉ざされて……いや、内からゆっくりと開かれる。
「もう、だぁれ?うるさいなぁ……。」
 ふわぁ、と欠伸を小さな手で隠しながら現れたのはお姫様。茨に守られた城の主。
「私のお庭で大騒ぎ、とてもとてもうるさいなぁ。」
 ふわりと微笑み、手を差し出して。しゅるり、シュルリと延びる茨の棘は煌めいて。
「あ……おひめ、さま?」
 アリスの顔に戸惑いの色。落胆の色が溢れ出す。それは夜に怯える色にも似ていて。
「アリスも、煩くしている人も、みんなみんな……私の夢の糧になって?」

 だって、ここは、私のお庭で、私の寝床だから。
リゼ・フランメ
なんて我が儘な眠り姫もいたものね
城を閉ざし、道を塞ぎ、光ある盛りの先には行かせないのだと
此処は私の庭だから、全ては主が儘にあれと

「五月蠅いというけれど、ここでは歌うことすらは許されないのかしら?」

喜び、祈り、光求めるそれを
許さず、茨の棘で絡め取るばかりというのなら、それは悪夢の薔薇園

ならば、躊躇う必要はないわね

劫火剣「エリーゼ」に破魔の力を乗せ、火の属性攻撃
更に焼却を重ね、周囲の茨の迷宮を斬り裂きながら走り続けるわ
例え茨で迎撃されても、それを灼き斬れば、炎は伝わり、迷宮をいずれ焼き尽くす筈

ゆらりと、小さく
けれど確かな、先導の灯火としてこの剣を

もし瞬間でもUCが可能になれば、即座に自己付与として



 一歩。勇気をだして踏み出したアリス。彼はただただ、この先にあるだろう自分の為だけの“扉”を見つけたい。たったそれだけ。
 しかし……。
「ダメよ?私のお庭で大騒ぎしたのだから、此処で“終わり”なの。」
 ふわぁ、と欠伸を噛み殺しきれないいばら姫は、足元に茨を幾重にも這わせる。
「なんて我が儘な眠り姫もいたものね。」
 呆れたように、フゥと息を吐くのはリゼ・フランメ(断罪の焔蝶・f27058)。くるり劫火剣“エリーゼ”を煌めかせ、軌跡を描いた白い炎の剣を構える。
 城を閉ざし、道を塞ぎ、光ある盛りの先には行かせないのだと。何故なら此処は、この茨の森と城は私の庭だから。
「だって、私が主だから、私が決めるのよ。」
 茨に抱かれて、ふわり微睡み呟くいばら姫。
「五月蠅いというけれど、ここでは歌うことすら許されないのかしら?」
「子守歌なら聞いてあげなくないよ?」
 茨に咲く花がケタケタ笑う。ケタケタケタケタ不気味に笑う。喜び、祈り、光求めるそれは許さずに。茨の棘で絡めとり、むしゃむしゃ食べる茨の姫。

(ああ、これは……悪夢の薔薇園。)

 リゼは一度瞳を伏せて、それからスッとアリスの前に出る。
「ならば……躊躇う必要はないわね。」
 剣を構えて、一振り。周囲に蔓延りだした茨を二つに分割。その傷口から、炎が生まれ、茨を燃やす。最初はゆらり小さく。それは、小さく、けれど確かな先導の灯火となって。
 茨も唯燃やされるばかりではなく、その灯火を茨の花が喰らいつくす。食って喰って喰い漁り。
 されど、リゼも一振り二振りと手ごたえのある茨を切り伏せる。棘が刺さっても、花に噛み千切られても止まらない。
 迎撃をされるのは知っていた事。それでよいのだ。ユーベルコードが上手く作用せず、普段より弱くても。手を止めることなく、徐々に焦らず炎の魔力を上乗せして。
 炎が伝わり、いずれ迷宮を焼き尽くす筈と信じて。
 この小さな灯火が、アリスの行く道を照らしていけるように……。

成功 🔵​🔵​🔴​

紬雁・紅葉
まぁまぁ♪
もう夜明けですよ?

羅刹紋を顕わに戦笑み
十握刃を顕現

残像忍び足で正面からゆるゆると接敵
射程に入り次第破魔火風属性衝撃波を以て回数に任せ範囲を薙ぎ払う
地形を利用し点いている火を煽り火勢を上げる

敵の攻撃は躱せるかを見切り
躱せるなら残像などで躱し
そうでなければ破魔衝撃波オーラ防御武器受け等で受ける
いずれもカウンター破魔火風属性衝撃波を以て範囲を薙ぎ払う

窮地の仲間は積極的にかばい援護射撃

ぅふふ♪
ユーベルコードは変革の力…そんなに変化が嫌い?
でももう無理
猟兵は過去を猟する者
陽は沈み、また日は昇る

我等夜明けなる者
墨染に幕を引く鬼

微睡より
去り罷りませ

※アドリブ、緊急連携、とっさの絡み、大歓迎です※


メルステラ・セレスティアラ
絶望するにはまだ早いわ、アリス
最後まで希望を持ち続けて
貴方にはきっと明るい未来が待っているから

いばらのお姫さま、煩くしてごめんなさい
けれどアリスを無事に返すためには必要なこと
その為に私は此処に来たのだから
貴方を骸の海へと還してアリスの未来を守るのよ

あの茨がUCを無力化させるのね……!
それならば【全力魔法】で風の魔法を自身とアリスの周囲に展開しましょう
【多重詠唱】で効果を更に広げるわ
茨が私達を傷付けることがないように、茨を切り裂いていくわ

UCが使えるタイミングで氷の竜巻を放ちましょう
UCを無力化させる茨を全て凍結させて無効化するわ
いばらのお姫さまには【全力魔法】の風の魔法を続けて放ちましょう



 羅刹紋“ムラクモ”をゆらり浮かび上がらせて、紬雁・紅葉(剣樹の貴女・f03588)はふわり微笑む。それは恍惚にも似た戦笑み。
「まぁまぁ♪もう夜明けですよ?」
「まだ夜よ?私はまだまだ眠たいのだから。」
 欠伸を一つ二つ数えていばら姫は、ゆるりと手を動かして、侵入者である猟兵を喰らおうとする茨の迷路を更に広げる。空気を裂く音を発しつつ、それが狙う対象に例外はない。
「いばらのお姫さま、煩くしてごめんなさい。」
 全力魔法で張ったシールドで、アリスを守護するメルステラ・セレスティアラ(夢結星・f28228)。
「けれどアリスを無事に返すためには必要なこと。その為に、私は此処に来たのだから。」
 呆然と立ち尽くすアリスの傍に寄り添い、メルステラは手を添えて、更に言葉を添える。
「絶望するにはまだ早いわ、アリス。最後まで希望を持ち続けて。だって……。」
 貴方にはきっと明るい未来が待っているから。淡いピンク色の瞳を細めて微笑み。
「明るい未来……。」
 アリスは口の中でメルステラの言葉を復唱し、かみ砕き、ゆっくりと飲み込めば、ぼんやりと胸が暖かくなるのを感じる。

 天羽々斬・十握刃を顕現させた紅葉は笑みを絶やさない。こんなに楽しいことはないのだ、とでも言いたげに、幾重にも這う茨を迎え撃つ。
 するりと足音を立てずに、ゆらりゆるゆると、静かにふわりと音を刻むように茨をいなし、向かってくる茨を火の属性を載せた衝撃波を幾重にも重ね打つ。
「ぅふふ♪ユーベルコードは変革の力……そんなに変化が嫌い?」
 いばら姫は指揮をするように、舞踏を披露するように、茨を操り答える。
「夢のように、変化もなく、微睡むことがとても心地良いのが、なんでわからないかなぁ。」
 衝撃波と薙ぎ払いで延焼を広げ勢いを増す炎を喰らい、変化を否定する迷路が崩れだすことに焦りを感じるいばら姫。

「あの茨がユーベルコードを無力化させるのね……!ならっ!」
 風の魔法で襲い来る茨を切り裂き、防御に徹していたメルステラ。いばら姫が紅葉の動きに気を取られているのを察し、動く。
 一つそれは世界を渡る風への祈り。二つそれは心をも凍らせる氷への願い。素早く、しかし、確実に詠唱を重ねる。
「……いって!!」
 メルステラの解き放ったのは氷の竜巻。いばら姫の攻撃が自分に向いていない隙の攻撃は、ユーベルコードの無力化の範囲にいても効果が薄いようで。
 ザクザクと音を立てて茨を切り裂き、その傷口は氷の凍てつきで固まり。
「!?」
 思わぬ方向からの攻撃に、いばら姫は驚き言葉を失う。しかし、それから、俯いてわなわなと震える。
「どうして……どうして、私の眠りを邪魔するの?」
「それは、猟兵は過去を猟する者だからなの。」
 ぐんっと、怒りに震えるいばら姫に近づいた紅葉が言う。我らは夜明けなる者。紅葉は黒染に幕を引く鬼となり、茨の防御の中で微睡む姫の頬に傷をつける。
「微睡より、去り罷りませ。」
 夜明けの時間に立っているのは、どちらだろうか……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

麻海・リィフ
アドリブ、即興連携歓迎

おはよう御姫様!
今朝は良い天気よ♪

残像空中浮遊ダッシュジャンプスライディングで即座に接敵

剣を回し念動衝撃波串刺しチャージで範囲ごと薙ぎ払い一気に突撃

敵の攻撃は基本三種の盾で受け
念動衝撃波オーラ防御を乗せて防ぐ
カウンター念動衝撃波シールドバッシュで範囲ごと吹き飛ばす

窮地の仲間は積極的にかばう

煩くするなと言われても困るわ
鳥は夜明けを告げて囀るものでしょう?
況して私は青い鳥!
青い空にこそ羽ばたく者!
いつまでも夜の帳が開けないと
黒い空だと飛べないの♪

盛大に剣を回し
微睡が空を閉ざすか
囀りが夜を明かすか

貴方が眠ると言うのなら
鳥は貴方の目玉をつつく

限界突破した剣を振り回し薙ぎ払う
勝負!


リゼ・フランメ
茨は尽きず、悪夢はそのまま
この死の森の眠りの力は、全てを悲劇の間々に眠らせる
……ああ、でも、私はそういう決まった未来は嫌いなの

いばら姫という存在にこそ
赤く、赤く、夢のような眠り(おわり)を

迷宮自体はダッシュで切り込み、そのまま踏破
迫る茨は残像でひらりと蝶のように避け続けて、目指すは本体のいばら姫
どんな迷宮、悪夢にだって出口はあるのだから

「子守歌が欲しいのなら、この剣で唄ってあげましょう」

劫火剣エリーゼに破魔の力と、属性攻撃で火を宿し
神聖なる烈火の斬撃を、目にも留まらぬ早業で

破魔の力で茨による封印の綻びを作り出して隙を見切り、UCの斬撃と炎の蝶々を紡ぎ上げる
燃える剣と蝶の色彩にて、歌い上げるよう



「おはよう御姫様!今朝は良い天気よ♪」
「良い天気だから、貴方も私も眠りましょ?」
 麻海・リィフ(晴嵐騎士・f23910)がご挨拶と共に接敵してきたのを、寸でのところで、流れる足裁きのステップで背後を取るいばら姫。
 ぽかぽか気持ちのよい陽気、ゆったり流れる時間、しっとり降りる空気、どれも眠るのに丁度よいのに、あぁ、どうして猟兵もアリスもここで眠らないのかしら?
「……ああ、でも、私はそういう決まった未来は嫌いなの。」
 なぜなら、この死の森の眠りの力は、全ての悲劇の儘に眠らせるのだから。リゼ・フランメ(断罪の焔蝶・f27058)が、ステップ踏むいばら姫を狙う。庭を通り越して、迷宮と化した茨の庭を蝶のようにひらり、蜂のように鋭く駆け抜ける。

 リィフが全身の筋肉全てを使い、構え、回転剣ストヲムルゥラァを渾身の力で振るう。横一回転。チャージの隙を狙って上から覆いかぶさろうとしてきた茨を、一気に串刺し、勢いそのままに薙ぎ払う。ケタケタ笑う赤い薔薇がバサリと散り、赤色が舞う。
 いばら姫という存在にこそ、赤く、紅く、夢のような眠り(おわり)を。リィフの作った空間で劫火剣エリーゼを構える。わなわなと震えて、怒りに目を見開くいばら姫を捕らえる。
「うるさい、うるさい、うるさいのだわ!」
「煩くするなと言われても困るわ。」
「そう、私たちは……。」
 夜明け告げ囀る青い鳥……猟兵なのだから。

 いばら姫が全ての茨を少年アリスと、そして猟兵達へと差し向ける。
「もらった!!」
 リィフが少年アリスと猟兵の前に飛び出し、3種の盾を展開。機動浮遊攻防盾「雲霞」で上空からの茨をはじき返す。真正面からの茨の突撃を衝角機構盾「瑞雲」で。その衝撃をいばら姫へと返す。
「きゃっ!」
「そこよ!!」
 光学式衝点防盾「極光」で弾いて生まれた隙を、リィフはリゼに伝える。

「子守歌が欲しいのなら、この剣で唄ってあげましょう。」
 タンと地を蹴り、目と鼻の先のいばら姫へと告げる唄。劫火剣エリーゼが、火を宿し、夜明けの太陽よりなお紅く奏でる。目にも留まらぬ早業は、奏でる。神聖なる烈火の斬撃を。そして、数多の炎の蝶々を。
 破魔の劫火と斬撃に、いばら姫を守る茨は灰へと還り、貫く剣はいばら姫を永遠の眠りへと導いて……。

 思えば夜は更けて。佇む城の向こうから、朝陽が浮かぶ。鳥は囀り、夜明けを告げて。朝焼けから青空へと飛び立つは、青い鳥。青空にとける鳥。黒い空では飛べなくとも、夜の帳に終わりはあるから。
「ほら、行きなよ、アリス。探してるんだろ?」
 朝焼けに目を染める少年アリスの背を、トンと、リィフが押す。
「ぁ……ありがとう、皆!!いってきますっ!」
 駆けだすアリスの背を見送る猟兵。

 微睡が空を閉ざし、囀りが夜を明かし。茨は尽きて、悪夢は覚めて。
 いってきます、僕の扉へ向けて。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年09月30日


挿絵イラスト