⏰三種三度の見切り~繰り返す最善手~
●誰にもわからない
蒼白い肌に赤い瞳の男が項垂れて歩いている。
『…………』
ぼそぼそと何事かを呟いている。木の葉揺らす風の音に反応し両手に持つ直剣を振るった。剣閃の直線状はすべて断ち切られている。
『……ぃ、何故……』
同族殺し、というものを知っているだろうか。ダークセイヴァーにおける一種のオブリビオンの状態異常とでも言うべきか、どういう理由か『狂って』しまい、どういう理由か『オブリビオンを殺して』しまう現象である。
此度の標的の『十字皇シュラウディス』もその一人である。まともな思考は持っておらず、譫言を呟きながらただただ標的のオブリビオンを定め、暴虐の果てに討伐を繰り返す。もしくは、返り討ちに合い骸の海に還るか。どちらにしろ危機が跋扈する状況は到底看過しておけるものではない。
『我は……間違ってはいない……正しいと言ったのは……貴様らだ……』
一方、会話も行えないような精神状態であるにも関わらず耳を傾ける事例もあるという。理由を正しく理解し、錯乱した心を静め天に返したという。ただし、どういう理由で狂っているのかその原因は誰にもわからない。もしかすると意味の不確かなうめき声、行為、行動にそれを明かす鍵が眠っているかもしれないが、それでも部の悪い賭けにすぎないだろう。
『見切り……正しく……効率を……確実性を……何故、何故話を聞かない……』
繰り返すが、どういう理由で狂っているのかその原因はわからない。わからないものはわからない。誰にもわからないのである。
ともかく、『十字皇シュラウディス』は同族殺しであり、領主である『善人ジョナサン・ランバート・オルソレグ』の屋敷に侵入する。強大なオブリビオン同士の衝突、天災が同時に発生するようなものだが利用しない手はない。
●心と魂で感じ取って
「喋る……こと、まったく、わからない、わ」
舌っ足らずな声で喋るのはグリモア猟兵のアブソルゥネツプロ・ファーレンハイト(氷点下の火蜥蜴・f24453)である。その表情は明らかに困っていた。
「貴方達、知ってる言葉、ある?」
見切り、効率、確実性、何か共通項がありそうな言葉たちに首を傾げる。というか去年も何かしら似たような事件があった気もする。
「有効戦術……連打、基本。置いとく、本題、ね。オブリビオンの討伐、目標」
アブソルゥネツプロは淡々と説明を続けていく。
「今回、『同族殺し』、いるわ。屋敷に、入り込む、から、追いかけて。そして、中で戦う」
補足すると、同族殺しと呼ばれる発狂オブリビオンが領主オブリビオンの屋敷に入るのでそこに便乗し領主及び同族殺しを排除せよ、という話である。
「第一、同族殺し、便乗。護衛の、排除。注意。同族殺しに、攻撃しない」
曰く、そもそもが同族殺しの便乗なため、鏖殺に乗らないと潜入が厳しいらしい。利用できるうちに利用しなければ厳重な警備は突破できない。
「第二、領主と同族殺しと私達、三つ巴。注意は同じ。領主、優先」
曰く、領主になれるような強大なオブリビオンには同様に上手く同族殺しをぶつけなければいけない。
「第三。同族殺し、討伐。お互い、消耗、勝機……よ」
曰く、ここにきてようやく手が届く位置にいるのだという。お互いに邪魔なく戦い、決着までたどり着くであろうと。
「特記事項、数点。似た技の連続を、推奨。……ちょっと、言い直す、わ」
そこで彼女はううんと悩み始める。なんといったらよいか、という具合に首を傾げ、ゆっくりと口を開いた。
「……技の、属性?有効なら、継続。対応、される……ことはない。別の挟む、多分……警戒。まんべんなく、バラける、駄目。次。発狂原因の、解決。敵対、しないで、説得。芯に響けば、無血解決。ただ、至難、の道」
「――無事、帰って。救いを」
属性――心当たりはないわけではない。得意技と言い換えるのもありだろう。人によっては代名詞と呼べるものかもしれない。説得というのもそこに関連する事情が見え隠れした。
彼女の忠告は必ず意味がある、脳裏に思い浮かぶ見切りという単語を反芻しながら猟兵たちは現場に向かった。
紫芋
お世話になります紫芋です。魂のバトルしましょう。
※注意※メタネタ系シナリオとなります。見切りなるものがよくわからない、知らないという時は優しそうな前作経験者などに聞いてみましょう。紫芋に聞くのもありです。
●一章について
集団戦『その地に縛り付けられた亡霊』です。同族殺しの侵入に便乗して屋敷へ乗り込み、護衛の敵性存在を排除してください。その際、同族殺しを攻撃するような行為を行うと著しく成功率が下がることがあります。ちょっといい感じに得意技系の列とかやってみると後々有利かもしれません。
●二章について
ボス戦『善人ジョナサン・ランバート・オルソレグ』です。同族殺しについての注意は一章と同様です。立ち回りを重視するといい結果を出しやすくなります。
●三章について
ボス戦『十字皇シュラウディス』です。強大な相手ですがここまでの戦闘で大分消耗しており、撃破できる唯一のチャンスです。また大変危険ですが、「敵対行為を示さない」「狂った原因を理解した」上で説得を行えば戦いになることなくシュラウディスの撃破に到達する可能性があります。
それでは、よろしくお願いします。
第1章 集団戦
『その地に縛り付けられた亡霊』
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POW : 頭に鳴り響く止まない悲鳴
対象の攻撃を軽減する【霞のような身体が、呪いそのもの】に変身しつつ、【壁や床から突如現れ、取り憑くこと】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
SPD : 呪われた言葉と過去
【呪詛のような呟き声を聞き入ってしまった】【対象に、亡霊自らが体験した凄惨な過去を】【幻覚にて体験させる精神攻撃】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ : 繰り返される怨嗟
自身が戦闘で瀕死になると【姿が消え、再び同じ亡霊】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
イラスト:善知鳥アスカ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】
見切り?
技能って訳でもなさそうだけど、
まぁやってみるかねぇ!
侵入に乗じて、なら
更に陽動を増やしてみるかい?
カブに『騎乗』して、
エンジン音も高らかに乱入、
幽霊どもの注意を『おびき寄せ』る!
相乗り上等さ、盛大にかき回してやるよ!
『衝撃波』で吹き散らせればいいんだけどね、そうは問屋が卸さないだろ。
けどね、続けて放つ【魂削ぐ刃】ならどうかな?
怨嗟ごと、断ち切ってやるよ!
●騒々しくは轟きなりて
亡霊は怨念を原動力に蠢くのみ。上位の力に虐げられればただただ目の前の敵を駆逐する脅威の門番だ。
だがその妄執も二振りの剣に切り払われる。既に館の中は暴力と災いの渦中であった。肉体のない幽霊の身にも痛みはあるのか、悲痛な叫びがホールを染める。
――突如爆音が空を切り裂いた。不気味な静かさと枯葉の揺れる音に染められるダークセイヴァーでは聞かない音、轟き噴かす、地を這うような重低の怒号。腹の底を揺らすほどのそれは一人の女性に、女性が駆るマシンによって奏でられていた。
「さぁさぁ、相乗り上等さ!盛大に掻き乱してやるよ!」
改造カブを乗り回し、屋敷のホールに焼け付くゴムのタイヤ痕を描き残すのは数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)だ。壁際ギリギリで華麗なターンを決め、踊るようにその車体を叩きつけていく。弾けるような衝撃波と共に亡霊は引き裂かれるもまだその総数は計り知れない。
「……ま、そう簡単には終わらないとは思ってたけどね」
彼女が睥睨する先には未だ多くの死霊が蔓延る。一角では同族殺しも暴れてはいるが多勢に無勢……むしろ迫る波を押し返す勢いであるが優勢には程遠く。
己自信を鼓舞する如くアクセルを捻ればエンジンが応える。この音が自分を鼓舞する。この響きが相手を引き付ける。その共鳴は勇気の一助となり、終末を忘れた者共を蹴散らすための一手になる!
「駄賃はいらないよ、三途の川の舟渡にはちょっと騒がしいから我慢しな!」
轟くマシンは加速を続け、いつしかホールを取り囲むように円の軌道を描き始める。速度の暴風に抗う多喜の手が光り輝く。最初はおぼろげだったそれが、だんだんと煌き照り始めた。
「見えたよ、本当のアンタってやつが……!」
一閃。彼女の手刀が振るわれれば一瞬世界が絶ち分かれたように二分した。やがて景色は元に戻り、超常的存在――守護亡霊のみが解けるように消えてなくなる。
戦いはまだ始まったばかりだ。この響きも序章にすぎない。未来へと繋ぐ確かな一撃の序章に。
大成功
🔵🔵🔵
レフティ・リトルキャット
■詠唱省略やアドリブOK
うにゃ?う、うーん。得意技と言われてもレフティのは結構バラけてるからにゃあ。特殊なのもあるし、3代毎のUCでにゃんとかなるかな?。兎に角挑戦するだけ挑戦してみるにゃん。……にゃはは、状況にもよるけど僕のシリアス戦闘力期待しないで(ふぃっ)
ふんふん。先ずは護衛の排除だね?亡霊…それならレフティは子猫に変身し10代目様の縁で【癒しの聖獣】を召喚。聖なるオーラ防御を展開しつつ聖獣様のキャットキッスで憑りついた亡霊を浄化し、味方を治療していくにゃあ。聖獣様の力で子猫化の呪いは解けなかったけど、その浄化の力は本物にゃん。
●在るべき場所に在らざるを
「にゃあ」
剣戟が鳴り響く洋館にて、不釣り合いな声が流れた。
亡霊が振り向く、十字皇が振り向く。そこには一匹の真白い子猫がいた。
「うにゃ?」
ぴょんこぴょんこと跳ねる彼はレフティ・リトルキャット(フェアリーのリトルキャット・f15935)その人、いやその猫である。
一瞬亡霊たちは戸惑いを見せた。目の前には敵性存在の同族殺し、それ以外に猟兵も確認している。目の前の小柄で非力な存在にかかずらっている暇はあるのかと。
逡巡の後、亡霊らの一匹だけが子猫の対処に向かい、他はそのまま継戦を選択する。ダークセイヴァーに不釣り合いな純白の獣、されど見た目は幼きそれならばと思ったのだろうか。這うように振り上げられる爪は間違いなく頭蓋を砕いていただろう。
「みゃあ」
一声の下に彼は光り輝いた。正確には彼の目の前に出現した聖なる猫が。煌々と輝く猫はその身で爪を受け吹き飛ばされる。そのまま空中で霧散し、続け様の拳が降りかか――らなかった。
亡霊は苦悶の声を上げ淡い光に包まれ空へと浮き上がる。だんだんと薄く消えていく自らの身体を信じられないとでも言うように見渡しながら。
「みゃあ」
レフティは繰り返す。光り輝く猫が再度現れ、亡霊たちに向かって歩み出す。頭突きにも見える行為をすれば一体、また一体と亡霊は天に帰っていった。
――ようやく十字皇と切り結んでいた者たちが異常に気付く。あれは危険だ、あれはいけない。あれは不浄を清めるもの。地に留まる我らを天へ連れ去るもの。
亡霊たちの感じた危機はまさにその通りのものだった。短く呟かれた猫の鳴き声、それこそがいと尊き祝詞。
――聖なる祈りを捧げましょう 美しく魅惑的な、光り輝く聖猫よ 私はあなたの優しいキスを望みます 全ては愛しきものの為に――。
大成功
🔵🔵🔵
リーヴァルディ・カーライル
■
…ん。見切りに効率、確実性…属性ね?
心当たりが無い訳ではないけど…私は私のやり方を貫くだけ。
第六感が同族殺しの殺気を感じない限り警戒するに留め、
闇に紛れた目立たない霊達の存在感や呪詛属性攻撃を、
魔力を溜めた両眼に残像として暗視して見切り、
吸血鬼化した自身の生命力を吸収してUCを発動
…闇の娘が光の精霊に請い願う。
この地に縛られた哀れな亡霊達に救済の光を…!
両掌を魔力のオーラで防御して“光の暴風”球を形成
限界突破しないよう戦闘知識を頼りに術を維持しつつ、
怪力の踏み込みから接近して光球の先制攻撃でなぎ払い、
心の中で祈りを捧げていく
…貴方達の弔いは後で必ず。
今はこの地の解放を優先させてもらうわ。
●祖は高くより見ておられる
戦闘が始まって暫く、この亡霊たちに変わった動きが見え始めた。一撃で消滅したものを除き、前線と後衛を入れ替えるような動作が増えている。その行動をよくよく観察すれば、後ろに下がったものの姿が消え、まったく同じ姿の亡霊が何処かより湧き出しているのだ。観察を続ければ消えていた亡霊たちも失った部位を修復し撃退のため前線へ躍り出たことも理解するはずだ。
「(原理はわからないけど、動きは見える。見えるなら、やれないことはない)」
魔力が揺蕩いアメジストのように煌く瞳の彼女はいち早くその事実に気付く。リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)の研ぎ澄まされた感覚は十字皇の暴走と消える亡霊の捕捉にすべてのリソースを注いでいた。
敵対しないうちは指向性のある暴力、だがその矛先がこちらに向かないとも限らない。なるべく早急に優位にすべく彼女は決心を固める。
「……闇の娘が光の精霊に請い願う。この地に縛られた哀れな亡霊達に救済の光を……!」
ダンピール。吸血鬼と人間の合いの子にしてどちらの種族からも疎まれる悲しき種族。だがデイウォーカーであること、人の身でありながら人外たる権能の一部を行使することができるなど多くの利が彼女にはある。邪気と精気を織り込むように混ぜ、瞬間的な能力のブーストが可能となる。
「限定解放、テンカウント――!」
たった、たった十を数える間だけの能力強化。二種の力を一つに形成する術式、継ぎ接ぎのそれをどうにか制御するための技量。生半ではない彼女の経験が垣間見える。
残り九。眼には見えない魔力で両手を覆い、その上で光と暴風の二種現象を融合する。
残り八と七。荒れ狂い暴れ出す術式を積み重ねた知識で球の形に収め固定する。
残り六。大きく踏み出し、剛力揮う健脚で亡霊の集団に飛び込んだ。
残り五。振り抜いた腕と球が最も近い場所にいた亡霊を千々に引き裂く。
残り四と三。制御を失った球は吸い込まれるように亡霊集団の中央に転がった。
残り二。姿を消したものも、そうでないものも御天道の如き光に炙り出される。
残り一。そこには『天災』があった。
残り零。リーヴァルディは心の中で十字を切る。
――必ず。必ず弔うと。その気持ちを胸にこの地の解放を進めるのだ。
大成功
🔵🔵🔵
ガーネット・グレイローズ
さて、今回の標的は同族殺し……オブリビオンから稀に発生するというアレか。精神修養は妖剣士の基本、狂気に耐えて敵を斬るのみだよ。
まずは屋敷内に乗り込み、暗い室内ににわとり型ドローン『メカたまこEX』を放ち、<暗視>と<撮影>技術を駆使して内部の構造を把握しよう。
<第六感>で敵の出現を知覚したら、鋼糸スラッシュストリングを【念動武闘法】で66本複製。それらを<念動力>で操作し、亡霊に目掛けて高速で振るい攻撃。
糸には赤い光の流体ブラッドエーテルを流し、サイキックエナジーで<武器改造>を施して霊体への攻撃力と命中精度を増強。一切の感情に流されることなく、<呪詛耐性>で作業的に敵を刻むことに専念するぞ。
●宙より降す
今日はよく動物が紛れ込む日である。
先程までの戦いを上から覗き込むものがあった。もっともそれは違和感の塊ではあったのだが。
空から戦況を見下ろしているのは機械仕掛けの鶏――『メカたまこEX』である。飛べない鳥が空を飛び、主にありのままの視界を送る。受け取る側の真紅の女性は二、三度頷き計画を立てる。
潜むガーネット・グレイローズ(灰色の薔薇の血族・f01964)はその服に仕込む一本の鋼糸を引き抜いた。『スラッシュストリング』と呼ばれるそれは超常未知の怪物でも切り裂ける程の鋭さを有する彼女の武具。それを両手で引き延ばすと――
「神殺しの力の一端をお見せしよう」
一瞬鋼糸が震え、気づけば束になった。彼女が装備する武装、それを今まで練り上げてきた力と経験だけ増幅する技法。若輩と呼ばれてもその身は戦果の渦中に飛び込む猟兵、齢は百を超す。彼女の戦闘経験値は並ではない。
手より滑り落ちたスラッシュストリングは独りでに張り、浮き、彼女の腕の延長の如く振舞う。軽く指を曲げ、動作が正しく動くことを確認し、続いて彼女は己が力の源泉、赫に光る奔流を流し込む。するとどうだろう、巨体の獣すらも易々切り裂く鋼糸に確固足らぬものどもを締め上げる力を加え入れた。
武具は揃い、状況は既に頭に入っている。亡霊の側に躍り出たガーネットは諸手を振るい――鮮烈な赤い残光がまるで血飛沫の如く――死しているはずの亡霊を斬り殺す。
「疾ッ!」
反応されるよりも早く、彼女はマントのように翻った。真っ赤な痕跡だけを残し、次の怨霊を縊り殺す。ただただ光の奔流だけが流れていた。
元人を切り刻むガーネット・グレイローズの感情は揺れ動かない。情け容赦なく、淡々と殲滅を繰り返す。何故ならこれは彼女の修行であるからだ。慣れ親しんだ行為で、いちいち感情が震えようか?
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『善人ジョナサン・ランバート・オルソレグ』
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POW : これでも昔はやんちゃをしていてね。
【拳闘を主とした総合格闘技】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : 前途ある君達を断ちたくはないのだよ。
【杖に仕込まれた剣】が命中した対象を切断する。
WIZ : 君もまた、救われるべき未来なのだ。
自身が【哀れみ】を感じると、レベル×1体の【自身に殺害された者達】が召喚される。自身に殺害された者達は哀れみを与えた対象を追跡し、攻撃する。
イラスト:のはずく
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠バオ・バーンソリッド」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●偽善
『ふゥむ、騒がしい。貴殿らはこのオルソレグの屋敷に何用かね?』
斬り破られる館主室の扉。招かれざる客共の訪問に館の主、人外となり果てた領主『善人ジョナサン・ランバート・オルソレグ』は煙を燻らせながら応じる。
『表にいた亡霊のフットマンは……ああ、貴殿らが排したか。まったく、集めるにもひと手間なのだがね』
老紳士はゆっくりと立ち上がり、十字皇は獣のような目つきで領主を睨みつける。その間もぶつぶつと、よくわからない譫言を言いながら。
「なっていない……我らは、正しく討伐のあるべき形を……」
『生憎ともう歳でね、大きな声で喋っていただきたい。まぁ、すぐに絶叫だけになるだろうがね』
レフティ・リトルキャット
■詠唱省略やアドリブOK
折角だから領主と同族殺しの戦いぶりをみてみたいところだね。後の参考になるし子猫との戦いよりは歯応えがあると思うのにゃ。
…という訳で僕は隻眼の子猫に変身し、同族殺しをガーディアンに指定して【スカード】を発動。(但し状況次第では味方の猟兵に指定を変えます。)
これでレフティとガーディアンに指定された人は、ほぼ無敵になるのにゃん。代わりにレフティは全く動けないけど、剣でもあるガーディアンにはその縛りはないのにゃあ。
アブソ……グリモア猟兵の話を考えるならUCは多分これでも大丈夫の筈。多種多様でもUCに色が視える人曰く、赤青緑三色の気配。先の聖獣様もこのUCも赤の系列らしいにゃん。
●在るべき形に在らざるを
レフティ・リトルキャット(フェアリーのリトルキャット・f15935)の選択肢は見だった。片や領主となるほどの強大なオブリビオン、片や狂気に塗れ命の限り同族を殺すオブリビオン。子猫が割り込むよりは参考にはなるし、興味もあるというのも間違いではない。次の戦いのために待つのが彼の意思である。
彼の視線の先で 『善人ジョナサン・ランバート・オルソレグ』と『十字皇シュラウディス』はにらみ合い、互いに動かない。機を計らい、隙とも呼べないような意識の切れ間を狙う。だが実情は違う。獣のような低い姿勢で吐息に殺意を滲ませる十字皇に対し、ジョナサンはゆったりとパイプを吹かし煙を吐く。
『まるで野獣の一種だな……死後にすら歪みに囚われるとは、何とも憐れだ。来たまえ、屠って差し上げよう』
散歩に出かけるような気軽さで、老紳士は歩を進める。警戒範囲に侵入された十字皇は二振りの剣で斜めに交差するように敵の身体を切り裂――けない。交差する瞬間、ジョナサンはパイプを軽く薙いだ。その程度で、凶悪な刃を弾いたのだ。体勢を立て直すまでの僅かな硬直、目にも止まらぬ速さで両腕を叩き込まれる。それは拳が彼の身体を爆ぜた音だったのか、吹き飛ばされた十字皇が壁に激突した音だったのか。時間にして十秒足らずの出来事にレフティは援護の必要性を悟る。
「にゃぉう」
一つ鳴き声をあげればレフティの片眼は閉ざされ、シュラウディスの身体が淡く光る。自らの体の変化に反応し術者である子猫へと攻撃目標を変更、剣がレフティを襲う。
だが無意味かな、これは祝福であって呪術ではない。剣は振り抜かれることなく子猫の身体に触れる前に弾かれる。再度の硬直にジョナサンの攻撃が迫るもまたもやそれも弾かれる。
これなるは不屈の権能。自らを揺るがぬ盾とすることで、誰かを貫く矛とする。まだ十字皇に負けてもらうわけにはいかないのだ。
大成功
🔵🔵🔵
リーヴァルディ・カーライル
■
…ん。彼らをこの地に縛り付けたのはお前だったのね。
死者を弄んだ罪はお前自身の生命で償ってもらうわ。
同族殺しは殺気を感じるまで警戒するに止め、
今までの戦闘知識から敵群の行動を暗視して見切り、
残像が生じる早業のカウンターで迎撃する
…哀れなのはお前の方よ、オルソレグ。
光射す世界にお前の居場所は存在しないと知れ。
第六感が好機を捉えたら吸血鬼化した自身の生命力を吸収しUCを発動
呪力を溜めた大鎌に形成した“闇の結晶”刃を怪力任せになぎ払い、
限界突破し砕けた結晶の呪詛を解放する闇属性の2回攻撃を放つ
…この一撃で骸の海まで葬送してあげるわ。
…見切り、効率、確実性。
お前の言いたいことはこういう事、十字皇?
●祖は深きより現れ出でる
「……ん、彼らをこの地に縛り付けたのはお前だったのね。死者を弄んだ罪はお前自身の生命で償ってもらうわ」
部屋を飛び交う神速の姿がある。陰に潜み、光を飛び、間隙を縫い好機を狙う襲撃者がある。
『やれやれ、君もまた意味不明だな。これは救いであるというのに。君も救われてみたらどうだ?』
コツン、とジョナサンは杖で床を叩く。床に伸びた影が光を吸い込む漆黒と化し、内より這い出るように出現するのは階下で見たものと同じ亡霊の群れ。数はいくらあるのだろう。早々にリーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は数えるのを止める。
彼女の心の底に蠢く感情は怒りである。また、それは同時に憐憫でもある。かつてはどれほどの人物であったかは彼女が知る由もないが、それでもその歪んだ理想を映す瞳の濁りは感じ取れた。
『嗚呼、君はだいぶ美しいな。正しく、善く在られればそれはいい人物になっただろう』
溢れ出る死霊に戦いを任せジョナサンはただ死者の門たる影を開くことだけに専念している。部屋を埋め尽くさんばかりの亡霊にだんだんとリーヴァルディは逃げ場を無くし、呪詛の山に呑まれていく。
「……哀れなのはお前の方よ、オルソレグ。光差す世界にお前の居場所は存在しないと知れ。――限定解放」
彼女はたったの十秒を繰り返す。あえて同じ術式を選択するのはその先を見据えているが故
。荒れ狂う程の暴風は要らない、奴を照らす光などアレにはもったいない。壁を突き抜け、あいつの首級を地獄に叩きつけるだけの力をここに!
形成されたのは闇、悍ましい紫の光を放つ漆黒の鎌。僅か少しの時間だけ、彼女は死神に成り代わる。剛腕に任せ力のみで鎌を振るい、同時に壁を蹴り飛ばす。自らを軸に回転し軌道上の全てを両断する様は正にギロチン。死霊も床も二分しながら叩き込むは致命の一撃。
吸血鬼狩りを生きがいにするヴォーパルは邪の命を危険地帯まで引き摺り込む。
大成功
🔵🔵🔵
ガーネット・グレイローズ
(十字皇にチラリと目をやり)
(まだ本格的な戦闘態勢ではないな。ひとまず屋敷の主を優先するか)
【妖刀の導き】を発動させ、屋敷に充満した<呪詛>を武具に集積させる。
冷たく息苦しい怨念を感じる。…そこの者たちよ、恨みを晴らしたいか?
ならばその怨念、私がこの刃に預かろう。
鋼糸を<念動力>で操り、増援を片っ端から<なぎ払い>ながらオルソレグ卿に接近。杖、拳の攻撃はブレイドウイングを展開させて<武器受け>、
アカツキと躯丸の二刀流による<2回攻撃>に<フェイント>を交えた乱撃を打ち込む。
混血が純血に劣ると誰が決めた? 御老人、私は時と共に歩み続けるぞ。
……生意気で可愛げのない小娘なのは自覚しているけれど。
●空より絆す
戦いの最中、彼女は横目で同族殺しを見ていた。味方の行動が何かしらの刺激を与えているのか同族殺しは一層苛烈な攻撃をジョナサンに浴びせている。その姿は酷く狂気に満ちていたが、こちらへの敵意は感じられないと警戒レベルは上げない。浮いた分の脳のリソースは目の前の領主に向けた。
『また不純物か。過去の吸血鬼どもは余程人形遊びにご執心だったらしい。まぁ、終わった後に良き心をしていればいいのだ』
確実に命を失う程の一撃を受けても平然としているのは一帯を治めれるほどに力をつけたオブリビオンだからだろうか。だがその身には確実に傷を負い、気丈に振舞おうとも隠せない損害の蓄積が見える。
「混血が純血に劣ると誰が決めた?御老人、私は時と共に歩み続けるぞ」
ガーネット・グレイローズ(灰色の薔薇の血族・f01964)は純白と赫灼の二振りの太刀を携える。次々に湧き出る亡霊を薙ぐ。念動力で操る鋼糸が家具や壁ごと切り刻む。振り被られた爪は液体金属『ブレイドウイング』が弾き飛ばした。
一歩、また一歩と前に出て刃を振るう度にジョナサンは異変に気付いた――少しずつ殲滅速度が上がっていることに。一振りは妖刀、曰く付きの朱く輝く刀。もう一振りは骸の海から出でた怪物の骨を研ぎあげた刀。邪悪を根源とする二振りにとってこの環境は最適だった。切れば切るほど、振るわれれば振るわれるほど亡霊の邪気が蓄積する。オイシイ上質な餌に塗れた空間、それが諸悪蔓延るダークセイヴァーとなれば格別であろう。
「生意気で可愛げのない小娘で悪かったな。……自覚しているが」
連撃の隙間に悪態をつきながらガーネットは老体を圧倒する。若輩はいつだって先に進めるのだ。
大成功
🔵🔵🔵
数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】
よう爺さん、
すまねぇな騒がしちまってよ!
そう叫びつつカブに乗って突入するよ。
しかし耳が遠いってのは本当っぽいね。
さっきまでのドンパチでこんな余裕とはさ。
まあ、安心しとくれよ!なるべくすぐに何も聞こえなくしてやるよ!
エンジンも高らかに、【人機一体・雷】を発動。
カブを纏ってサイキックの力を増幅するよ!
そうやって中空をそれなりの速度で飛行してオルソレグに肉薄し、
『マヒ攻撃』の電撃を込めた『グラップル』で
殴りつけながら強化した『念動力』も併用して拘束にかかるよ!
そうしてアタシの目の前に羽交い絞めにして、
『敵を盾にする』ように犠牲者たちの攻撃を受けてもらおうじゃないのさ!
●荒々しくは嘶きなりて
「よう爺さん!すまねぇなぁ騒がしちまってよ!」
爆音鳴らすのはやはり彼女、数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)だ。壁を突き破ってカブで突っ込み亡霊を轢き潰す。
『全く、本当に本当に今日は騒々しい。無粋な騎手、いい加減目的を聞こうか』
「悪いね!耳悪い年寄りには大声って相場が決まってるからね。目的?んなもん一つだろう!」
言うが早いかエンジンを負荷し突撃する。加速の最中カブは分離を始め元の形状を保てなくなり、代わりに強化装甲として多喜の身体を覆う鎧と化した。それこそは『人機一体・雷(チャージアップバディ・ユピテルドライブ)』。文字通りの人馬一体ならぬ人機一体、技術結晶の推進力をその身に宿し、無二の攻撃力と防御力を有する短期決戦技能。神の権能の一部に手が届く科学のハイエンドである。
領主室を所狭しと飛行し、頭上という絶対の死角から強襲する、ただの振り抜かれる拳が爆発的な加速と刃すら受け止める鋼鉄に武装されているのだからその一撃は生半ではない。
「こういうのは興味ないかい!?」
多喜はそのまま組み付き、エンジンの推進力任せに強引に技を仕掛ける。技といっても技量の関係するものではない、ただ自分と相棒の出力にだけ信を置いた力任せのグラップル。空に舞い上がった二人は――勢いそのまま地面への自由落下へと移行する。
狙いは一つ、ジョナサンが呼び出した亡霊への突撃。ただ突撃するだけではない、敵対存在を利用してのシールドチャージ。つまりは、ジョナサン自らの技で彼を傷つけようというのだ。
『その程度――ッ』
羽交い絞めになりながらも暴れるジョナサン。本来ならばその膂力と培った体術でどうとでもなるが、強敵たる同族殺しに度重なる猟兵の襲来。その身には想像以上のダメージがたまっている。防ぐこと能わず、強敵は自らの罪に散った。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『十字皇シュラウディス』
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POW : 我を暴くことかなわず
全身を【漆黒の霧】で覆い、自身が敵から受けた【攻撃の威力】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
SPD : 堕天十字翔
【天空から双剣による衝撃波】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ : 我を欺くこと能わず
対象のユーベルコードの弱点を指摘し、実際に実証してみせると、【無数の光の鎖】が出現してそれを180秒封じる。
イラスト:純志
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠白石・明日香」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●見るもの
館の一帯には静寂が訪れていた。
諸悪の領主は滅び、彼に縛り付けられていた魂たちもあるべき場所へ召し上げられる。
であるというのに、緊張は続いていた。
原因は明白、十字皇が今までに見せなかった表情でこちらを見ているからだ。
微笑みのような、憐みのような、喜びのような、悲しみのような。なんとも言い切れない、言い表せない表情。
『貴殿等は……なんだ……?知らぬようで……知っているようで……』
虚ろな瞳が猟兵たちの姿を捕らえる。澄んでいるようでどこまでも濁った狂気の瞳が。
『あああああ……何故……何故……効率を……手段を択ばない……』
繰り返すように、初めて出会ったときのように狂気に苛まれる。狂った刃の矛先は、猟兵に向けられていた。
レフティ・リトルキャット
■詠唱省略やアドリブOK
歪みかぁ。この調子なら狂気に至った原因を視れそうかにゃ?。
レフティは、特別な首輪付きの子猫に変身し髭感知で動きを見切り、呪いのオーラ防御を纏った四肢で攻撃を受け捌いて懐に潜り込んだら。
暴け【ソウルアクセス】、首輪の力で精神世界に侵入し十字皇のトラウマを強く呼び起こすにゃあ。
見切り、効率、手段……決まるのは最初の一手だけ、最も確実な筈なのに当たらない、まるで性質を見切られているかの様な、そんな世界だったのかもしれないけど。それならこの世界は違うと、同質の気配(POW)でありながらも異なる特殊性を示すにゃあ。
……ゃ、最後まで剣に応えなくてごめんね。それでも知りたかったから。
●祖は中より見ておられた
「……にゃおう」
レフティ・リトルキャット(フェアリーのリトルキャット・f15935)のその声は謝罪だった。
最初から最後まで彼は剣を交えない、本来であれば武力でもって狂気を収めるはずも、心を覗き込むことで解決を試みている。
己が四肢に呪力を込め、特別な首輪を身に着ける。小さい身体は高く跳ねて十字皇の懐めがけて飛び込んだ。高速で振り抜かれる刃を呪力の補装で受け流し、勢い烈風に切りつけられながらも胸をその肉球でポン、と叩いた。
――ソウルコネクト、吸い込まれるようにレフティは彼の胸の中に入り込む。相互で心を繋ぎ感情と記憶を読み取る技。上下も不安定な精神世界で子猫は顔を上げた。
突如濁流のような爆音に押し流される。それは呪詛、溜まりに溜まった怨念と後悔が渦巻いた何か。頭がひび割れそうなほどの狂気の源泉に彼の精神は蝕まれ始めた。その中でもしかと聞く、しかと見る、しかと感じる。その源泉はなんなのかを。
それがわかったのかわからなかったのか、結局のところは誰も知らない。ただレフティの行為で十字皇の戦闘能力が大きく削られたのは間違いない。同族殺しの呟くところのものが何なのか、それまでは今までの戦いで彼はそれを世界として否定したのだ。
「……最後まで剣で応えなくてごめんね。それでも知りたかったから」
胸の内から弾けるように飛び出てきたレフティ。吹き飛ばされながら見たシュラウディスの顔はどこか澄んでいたような気がした。
大成功
🔵🔵🔵
リーヴァルディ・カーライル
■
…ん。かつてのお前がどんな存在で、
どんな過去があってそうなったかは知らない。
…だけど、ここは人が住む世界よ。
お前の存在を否定するわ、吸血鬼。
“写し身の呪詛”で殺気を放つ存在感のある残像を無数に展開後、
吸血鬼化した自身の生命力を吸収してUCを二重発動(2回攻撃)
両掌に闇属性の“過去を世界の外側に排出する力”を溜め、
両手を繋ぎ“闇の結晶”を形成後、怪力任せに腕を引き結晶弓にする
…これが最後の一撃よ。構えなさい十字皇。
お前の全てを私の全霊が撃ち貫く…!
今までの戦闘知識から敵の行動を暗視して見切り矢を発射
限界突破し砕けた結晶のオーラで防御を無視する闇属性攻撃を放つ
…消えなさい。この世界から永遠に…。
●祖はその心を尊ばれた
「……ん。かつてのお前がどんな存在で、どんな過去があってそうなったかは知らない」
声が二重三重と重なっていく。涼しげな輪唱は一つの円となり、悶える十字皇を取り囲んだ。
「だけど、ここは人が住む世界よ。お前の存在を否定するわ、吸血鬼」
それは呪詛を塗り固めた写し見の軍勢。敵意と殺意で行動するイミテーション。
彼女らすべてが両の手に理の排斥と漆黒の揺り籠たる闇を宿す。合わせれば奈落へと引き摺り落とす、いや、引き摺り戻す魔晶の大弓が形成された。
三度目、僅かたったの十秒間。その時間を惜しむことなく彼女はゆっくり構え、そして高らかに宣言した。
「これが最後の一撃よ。構えなさい十字皇。お前の全てを私の全霊が撃ち貫く……!」
『アアアアアアアアッ!!!!!!』
剣を振り回し突撃を行う十字皇に標準を定める。薄皮を切らせるだけのギリギリの回避術、今までの戦闘で太刀筋は既に把握していた。致命の一撃だけを分身を犠牲に切り抜ける。
狙いは必中放つは必殺、その闇水晶の鏃は軽く数えられる程度の数ではない。本体を断ち切ろうとその硬直に死角から叩き込まれる絶死の包囲。今まで彼も二度見て、また今三度目を見たその技。どういうわけか、対処し切れることはなかった。
放つ弓が砕け散るほどの衝撃は音速の壁を容易に破り捨て終焉を齎す。一本、二本、三本、四本――四方より放たれた矢は巨大な鈍器で叩きつけるように彼の身体を吹き飛ばす。だがまたそれが後ろから、前から、真空に磔にした如く。
「消えなさい。この世界から永遠に……」
これなるはただ一人の執行者の討伐事例。リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)その人の記録の一部である。
大成功
🔵🔵🔵
ガーネット・グレイローズ
その使い込まれた双剣、お前も戦いの中に存在価値を見出す人種か。
……オブリビオンになって尚、お前を戦いに駆り立てるものはなんだ?
こちらも双剣で挑ませてもらおう。
妖刀アカツキと呪剣躯丸の二刀流を以てお相手する。
頭をよぎるのは、かつて軍で学んだ<戦闘知識>。
状況に応じて、攻撃を使い分けろ。切り札は勝利を確信した時にのみ切れ。
手を変え品を変えても、人には必ずクセというものが残る。
気迫で負けてはならないが、刃に感情を乗せてもならない。
軌跡を目に焼き付け、殺意の本質を見抜く洞察力を養うべし。
殺気を乗せた斬撃に合わせ、<第六感>による回避。
両刀による<武器受け>の後、ブレイドウイングによる<カウンター>を。
●祖はその技を学ばれた
ガーネット・グレイローズ(灰色の薔薇の血族・f01964)と十字皇シュラウディスは鏡写しのような二刀流の構えで向き合う。張り詰めた空気を破ったのはガーネットの言葉だった。
「その使い込まれた双剣、お前も戦いの中に存在価値を見出す人種か」
二振りの妖刀、二振りの西洋直剣。似て非なる武具の使い手同士、何か通じるものがあったのかもしれない。最も、片方が狂気に陥ってる今は朧げにしかわからないのだろうが。
「……オブリビオンになって尚、お前を戦いに駆り立てるものはなんだ?」
返ってくる言葉はなく、ただ獣のような吐息が零れるだけ。その様子に彼女もなんら感情を動かすことはなく、互いに最も得意とする構えを取る。
ここから先に、言葉は要らない。狂える言葉とて刃で語ればいい。標的を見据え、その一閃をもって下すことだけが優先される。
動かない。軽くはない刀を掲げ、細腕で支える先端は僅かのブレもない。動かない。幾度の戦いを経て心身ともに削られようとも彼はただ前を見る。
時間の感覚すら消え去る集中力の中で緊張が容赦なく精神を削り取る。何分、もう何十分、もう何時間、もしくはまだたったの何秒の間――相手の隙を狙っているのか。
年の功、というべきか。若々しい見た目に反してガーネットの年齢は百を越える。長い時を生きる先達に比べればまだまだ小娘だが、どこかの狂った獣と我慢比べで負けるほどやんちゃではない。先手は同族殺しの高速の刺突、対する彼女は両の刀を上下に振るい受け止める。行ったのは真剣での白刃取り。鋼と鋼が叩きつけられた鈍い音が響くよりも早く、続けて反撃は仕込み金属の串刺しだった。
正しく後の先、今まで見てきた通りの十字皇の攻撃に冷静な彼女が対応できないことはない。投げかける言葉すらブラフ、切り札は決める場所でこそ切るのだと。
勝者、ダンピール、ガーネットグレイローズ。
成功
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数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】
……どうやらアタシは読み違えた、かな。
混乱させたなら謝るよ、多分アタシが原因だ。
他に原因があるとすれば、シュラウディス。
アンタ自身か、その呪い。
どちらかに「他の世界」の要素が混じってるんじゃないのかい……?
しかもアタシら以上の異邦人(エトランゼ)さ。
そいつもまた、アタシの勘違いかもしれない。
けど、一度そう読んだ以上は……
分が悪かろうとその原因、詳しく探らせてもらう!
攻撃は敢えてせずに、思念波でシュラウディスの魂を探る。
その中に潜む異質な「何か」に気付ければ、もう一息さ。
魂の底から叫びを上げて、呼びかけて。
救いを求めるのか、シュラウディスへ問い質すよ。
●祖はその意味を尋ねられた
「……どうやらアタシは読み違えた、かな」
相棒のカブを降り、数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)は苦い顔で頭を掻く。どうやら彼女が受け取った説明は、どこかで擦れ違いを起こしたらしい。
「混乱させたなら謝るよ、多分アタシが原因だ。でも一度そう読んだ以上は、分が悪かろうとその原因、詳しく探らせてもらう!」
もはや既に十字皇シュラウディスは瀕死の身。多喜の行動が害するものでもそうでないものでも回避できる余裕はない。そして同時に、抗い反抗することも。
彼女が放ったのは三種の思念波、それぞれが『深層心理』、『記憶と経験』、『発現する感情と脳波』を暴き読み取り、技の出かかりを潰す技能。それの応用は純粋に相手を理解するための技術である。
瞬間彼女に届くは歪みに歪んだ罅割れた思考。硝子を爪でひっかいたような、己の痛覚受容体を弦に不協和音を演奏されているような何とも言えない不快と激痛。狭間に感じる狂気のスパイスもまた彼女を苦しめる。
わからない、わからない、わからない。経験したことも無ければ、見て聞いて感じたことなど一切合切欠片も何も存在しない。狂気の波の中でも、それだけは理解できた。わからないことだけがわかった。
――わからないが故に、わかった。
ふらつく体と眩む視界でシュラウディスを見て、彼女は滔々と呟く。
「なぁ、アタシは骸の海がなんなのかまでは知らないし、過去のものってしか知らないけどさ……。アンタ自身か、その呪い。どちらかに『他の世界』の要素が混じってるんじゃないのかい……?しかもアタシら以上の異邦人(エトランゼ)さ」
●悪魔の証明の親友
有り得ない。それが彼女の結論だった。第一、彼が呟いていた言葉なんてまず尋常な使い方であれば理解しがたい。故に有り得ないからこそ狂うのではと。あるものがない、ないものがある。狂気の第一段階だ。
果たしてその解釈は正しいもので、言葉を受けた同族殺しは両の手から剣を取りこぼす。澄んだ瞳でそれを仰ぎ、白き灰へと変わりながら――。
成功
🔵🔵🔴