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幻影騒乱~舞い散る桜~

#サクラミラージュ #幻朧戦線 #グラッジ弾

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●響く銃音に気づく者は無く
 月夜の光も届かぬ煉瓦の倉庫、人気も無い筈の中で男は息荒く血塊をえずき、首に巻かれた黒い鉄の首輪を撫でながら壁に寄りかかっていた。
 目の前には見覚えの無い軍服姿の集団。構えるは旧型の小銃。撃たれた、撃たれた、何をしたというのだ。買った怨みは全て隠蔽してきた。表沙汰になる事なんてある筈…………まさか、まさかまさかまさかっ!裏切ったのか!!切り捨てたというのか私を!!!グラッジ弾が手に入ったのは研究所職員である私のお陰だと言うのに!
 激しい感情の吐露と共に体温が奪われていく。血液が流れ、石床に赤い池が広がるのを男は見ているしかなかった。瞼が重い、死にたくないと叫ぶ事も叶わず、胡乱気な瞳から僅かに残っていた生気さえ抜けていく。
 正面を見れば、影から現れる軍服の集団であり怨恨に喚ばれたヒトの形を取った化生「影朧」
 無残にも男の命はここで閉じられる。向けられる無数の銃口。弾丸に飲まれる寸前、無意識に男は唇を動かす、震えながら、絶え絶えに。

 ―――幻朧……戦線……ばんざい…………。

●グリモアベースにて
「あなた達は『グラッジ弾』という兵器を知っているかしら?」
 グリモアベースで猟兵たちを出迎えた英・操(スタアライト・f22936)が開口一番に問いかけたのはそんな質問。
「知らない人もいるだろうし説明するわね。サクラミラージュと呼ばれる世界では結構大きな戦争が何回かあったの。その時に使われたのが『影朧兵器』って呼ばれてる最低の兵器よ。もちろんいろんな理由で今は使うのを禁止されてるわ」
 非人道的な兵器故戦争が終われば使われることもなくなった。平和になった世界にそんな物は必要ないのだ。
「でも―――それが今回見つかったの。影朧兵器の中の一つ、グラッジ弾が、ね」

 操は説明を続ける。

 グラッジ弾。それは人間の『恨み』を凝縮した弾丸。この銃弾を浴びた被害者は、通常の負傷だけではなく、強い『恨み』を浴びて周囲に影朧を呼び寄せる存在と成り果てる。それは敵側の医療施設を破壊する目的で作られた非人道的な影朧兵器だった。

「こんなものを使われたら一大事よ。だからあなた達にはこれを見つけて回収して欲しいの」
 とはいえなんの手掛かりも無ければ探しようが無い。帝都を隅々まで探していては時間も無い。
「私の予知で見えたのは桜と温泉、それと黒い鉄の首輪ね。きっとそこを探せばなにか情報が出る筈よ。ついでに温泉でも楽しみながら探せばいいんじゃないかしら? お料理も美味しいらしいし」

 戦争の遺物『グラッジ弾』。平和が訪れた世界にそんな物は必要ない。

「誰も笑顔にできない兵器なんていらないわ。さぁ、行きなさい。行って妄執の産物を見つけ出すのよ!」

 星の煌めきが猟兵たちを包み込み、猟兵たちの転移が開始された。


灰色幽霊
 どうも灰色幽霊です。

 今回はグラサンマンMSの【幻影騒乱〜怨恨の彼方〜】との合わせシナリオです。
 2つの依頼に同じキャラクターでの同時参加は遠慮下さるよう御願い致します。

 その他の注意事項はいつも通りです。追加の情報はリプレイで公開いたします。
 まずは温泉でグラッジ弾の持ち主について情報収集をしてください。
 ヒントは『黒い鉄の首輪』です。温泉ですし探しやすいかもしれません。皆様思い思いの方法で情報を集めてみてください。

 シナリオの状況や注意事項がMSページにございますので一読よろしくお願いします。

 それでは皆様の素敵なプレイングをお待ちしております。
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第1章 日常 『花見温泉』

POW   :    湯の暖かさと桜を堪能する

SPD   :    湯の効能と桜を堪能する

WIZ   :    飲食物と桜を堪能する

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●桜舞う名湯

 予知に出てきたそこは帝都の一角にあるとある温泉宿。
 露天風呂からは幻朧桜が一望でき、温泉も料理も評判の老舗の宿。

 グラッジ弾との因果関係は不明だが予知に出たということは無関係とは言い切れない。ここを探れば何かしらの手掛かりはつかめるだろう。

 温泉に入りながら客を調べてもいい。
 宿を見て回りながら怪しいものがないか調べてもいい。
 料理を堪能しながら従業員達に話を聞いてもいい。

 まずはどんなに小さなものでもいい。グラッジ弾へと繋がる切っ掛けを掴むのだ。
ルキ・マーシトロン
絡み・アドリブ歓迎

(WIZ使用)

医療施設を破壊する目的で作られた兵器なんて許しておけないよね。
なんとしても兵器を探し出すよ。

温泉旅館といえば指圧師だよね。
僕の【医術】で按摩マッサージ師として働いて、情報収集するよ。
鉄の首輪なんてつけてる患者さんがいればすぐ分かるし、温泉に入ってる時に首輪をつけてる人を見てたかも。
情報をくれた人にはお礼に肉体改造して悪いところを治してあげよう。
……ふふふ。



●桜舞う名湯とゾンビ按摩師

「お客さん凝ってるね」
「そうかい? いだだだだだ!」

 ルキ・マーシトロン(🧟‍♂️・f24589)は宿の女将に話を通し、按摩師として温泉宿へと潜り込んだ。自分の身体すらバラバラにしてデッドマンと化したルキの医術知識をもってすれば素人相手に按摩師の真似事をするくらい朝飯前だった。

(痕もなし……この人もシロ)

 患者の首元を見れば鉄の首輪をしているかどうかもすぐにわかる。

「風の噂で聞いたんだけど最近は首輪が流行ってるんだって?」
「首輪ぁ? 聞いたことねぇなぁ。先生はどこでそんなこと聞いたんだ?」
「どこだったかな……お客さんが言っていたんだったか……」

 施術中の雑談で情報収集も欠かさない。が、今のところそれらしき情報は手に入っていなかった。

「首輪なんてしてたら風呂に入るとき邪魔でしょうがねぇよ」
「その時だけ外すとか?」
「俺ならそこまでして風呂にはいらないててててててっ! 腰っ! 腰が!」

 確かにそこまでして温泉に入る方が珍しいだろう。逆に言えばここにいるということはそれ相応の理由があるということかもしれない。

「関節バキバキだよ」
「座り仕事だからなぁ……あ、そういえば」
「そういえば?」
「首輪は見てないけど首を隠してる?奴なら……」

 首を隠す、となると包帯を巻いたりマフラーを巻いたりあれこれあるが普通は首を隠す必要はない。ここは温泉宿なのだからそれこそ薄着も多い。そんな中で首を隠しているとなると何らかの理由があるのだろう。本当に首を怪我しているのかもしれないがそれでも何の手掛かりもなく探し回るよりは幾分かはましになる。

「怪我でもしてるのかな」
「そうかもしれないたたたたたたたた!」

 情報のお礼にルキは患者の身体が海老反りになるほど関節を極める。

「……ふふふ」

 多少の痛みは伴うがこの肉体改造により患者はしばらく腰痛とおさらばできるハズ。多分。

「じっとしててね。動けなくなってもしらないよ」
「いてぇー!」


 こうして按摩師に扮したルキにより新たな情報が転がり込んできた。

成功 🔵​🔵​🔴​

アルビレオ・ゴードン
さて、どこの世も平和になるとこういう阿呆が顔を出すものなんだね……。
うん、知ったからには放っておけない。僕にできることなら協力しよう。
今ある情報は、黒い鉄の首輪、か。温泉街でそんなものを付けていたら目立つと思うけれど。
……うん、苦手だけれど聞き込みするのが一番かな。
普段この街にいる人の方が、異常には敏感だろう。温泉街の出店や、土産物屋の店員に話を聞こう。
一応、観光客を装っておこうかな。
何か分かれば僥倖なんだけれど。



●桜舞う名湯と観光客?

「うーん……どうしようか」

 グラッジ弾。アルビレオ・ゴードン(Nostallgia・f16391)はヒーローとしてそんなものを見過ごすことはできない。せっかく平和になったこの世界で再び争いを起こそうとする輩を放っておいてはヒーローとしての名が廃る。何ができるかはわからないが自身にできることをしようとこの温泉宿までやって来たアルビレオだったが……。

「困ったな……」

 苦手な聞き込み調査にあと一歩が踏み出せず温泉街の出店の前でうろうろしていた。聞き込みをしなければいけないのは重々承知しているがアルビレオが覚悟を決めるにはもう少し時間が必要だった。

(温泉街で黒い鉄の首輪なんてしていたら目立つと思うけど……よし)

 うろうろすること数分。出店の店先にいたお客がいなくなったタイミングを見計らい、アルビレオは出店の店員に声をかける。
 グラッジ弾という特大の異常。普段この街にいる者ならば些細な異常にも気がついているかもしれない。

「……ちょっといいですか?」
「あ、やっと決まったのお客さん。さっきからずっと店の前をうろちょろして」

 どうやら店員の方もアルビレオに気がついていたらしい。と言っても買い物に悩む観光客だと思っているようだが。

「あ、うん。ずっと悩んでいたんだけどね。これをもらおうかな」

 しかしお客と思われてしまってはアルビレオも何も買わないわけにはいかない。とりあえず目についたお守りを一つ買っておく。

「まいどありー」
「そういえば最近この辺りでなにか変わったことはないかな?」
「最近? んー……」

 お守りを紙袋に詰めながら店員は数日間の記憶をたどっていく。

「いつも通りかな? この時期は湯治客で賑わう稼ぎ時だしね。あ、でも」
「でも?」

 お守りの入った包みを受け取りながら何かを思い出した店員の言葉を待つアルビレオ。

「今年は首に包帯を巻いてる人が多いような……寝違えたのかな?」
「はは、そうかもしれないね」

 おそらくその首に包帯を巻いた者たちの中に関係者がいるのだろう。その情報が手に入っただけでも十分である。
 次なる情報を求めアルビレオは出店を後にした。


 こうして観光客に扮したアルビレオにより新たな情報が転がり込んできた。

成功 🔵​🔵​🔴​

夢咲・向日葵
WIZ
●心情
・黒い鉄の首輪ねぇ…。変わったファッションなのかな?たぶん、誰かしらがつけてるんだろうね。まあ気を付けて見ておくことにするの
・お風呂は…入ると眠たくなっちゃうのよね。うち(神社)に万年咲いてる桜も温泉もあるし、ミラージュグルメを楽しもうかな
●探索
・プリンセスチェインで大地から情報収集。何か怪しいものを持ち込んだり、首輪をつけた人が何かしてないか。土地の記憶を見て見るのよ
・後はお料理を食べながら、店員さんからお話を聞こうかな
「首元に鉄の首輪をした人か、室内なのにマフラーぐるぐるで絶対に首元を見せないようにしている人達は見なかったの?」って
・後は何か隠せるような所はないか聞いてみるのよ



●桜舞う名湯と舌鼓

「うーん、迷うの」

 温泉宿に転移した夢咲・向日葵(魔法王女・シャイニーソレイユ・f20016)は何をしようかと頭を悩ませる。周囲を見渡しても黒い鉄の首輪のような奇抜なファッションは見当たらない。
 首輪についてはひとまず頭の片隅に置いておくとしてせっかくの温泉宿。桜が見えるという謳い文句の温泉だが生憎と向日葵が今住んでいる神社もいつでも桜が咲いているし温泉もあり真新しさがない。それならもう一つのおすすめである料理を楽しむことにした。

「そうと決まれば早速行こうかな」


 食堂へと足を運んだ向日葵はとりあえずおすすめの料理を一通り注文する。
流石の帝都、出てくるのは海の幸も山の幸もふんだんに使われた品々。天麩羅、刺身、すき焼き等々テーブルに所狭しと料理が運ばれてくる。

「どれも美味しそうなの。あ、これも忘れないうちに……」

 母なる大地の力である重力を宿した『プリンセスチェイン』。それを向日葵は袖から伸ばし、大地へ突き刺す。鎖を伝い流れ込んでくる土地の記憶を紐解くことで向日葵はこの宿の宿を把握する。

「んー……まだ動いてないみたい」

 怪しいものが持ち込まれた形跡はなく、誰かが何かを仕掛けた様子もない。つまりまだ事件は未然に防げるということだ。
これ以上の情報を大地から得られずとも情報は他からも手に入る。山菜の天麩羅に山葵塩を振りかけながら向日葵は近くを通った店員に声をかける。

「あ、お姉さん。首元に鉄の首輪をした人か、室内なのにマフラーぐるぐるで絶対に首元を見せないようにしている人達は見なかったの?」
「え? うーん……見てないかな。首に包帯を巻いている人なら何人か見たけど」

 マフラーではなく包帯。やはり湯治客に紛れているのだろう。それはそれで調査の対象が絞られる。

「あと何か隠せるような場所ってない?」
「隠す? それはもういっぱいあるわよ。この建物も古いし部屋もいっぱいあるしね」
「ありがとなのー」

 やはりこの場所が選ばれたのは偶然などではないようだ。
 次は隠し部屋でも探してみようと考えながら向日葵は割下が熱せられた鍋へと肉を投入した。


 こうして向日葵が料理に舌鼓を打っていると新たな情報が転がり込んできた。

成功 🔵​🔵​🔴​

黒木・摩那
【SPD】
グラッジ弾なんてひどい兵器があったものです。
これは再び世に出すわけにはいきませんね。

まずは持ち主を特定しないといけません。
しかし、居場所が温泉?
非道兵器と温泉の関係がよくわかりませんが、首謀者も湯治するということでしょうか。
ともかく早く突き止めないと。

関係者は黒い鉄の首輪を付けているということは、それを包帯やカラーで隠していると考えられます。
まずは、自分も首周りの痛みがひどいが、ここのお湯は効くのか、というネタ振りで、同じような人がいるか、宿の人や客達に聞きこんでみます【情報収集】。

特定できたならば、UC【影の追跡者】を放って、監視します。



●桜舞う名湯とその効能

「どうして温泉なのでしょう?」

 黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)の疑問は尤もな物。兵器と温泉がどう考えても結びつかない。つまり関係があるのは兵器の方ではなくその持ち主と考えるのが自然だろう。

「早く突き止めないと」

 こうして摩那は行動を開始した。


 関係者が黒い鉄の首輪をつけていて未だ見つかってないということはそれを何かしらの方法で隠している可能性が高い。

「あのー……ちょっと私首が痛いんですがここの温泉ってどんな効能なんですか?」
「はい? ああ、ここの温泉ですか。ここのお湯は筋肉痛や打ち身、関節痛なんかにもよく効きますよ」

 摩那は湯治客を装い従業員に聞き込み調査。もしも関係者が首輪を隠しているというのならそれを誰か目撃しているはず。ならば見た目は湯治客を装っていると考えるのが自然だろう。

「そうなんですね。ならやっぱり私みたいな湯治客も多かったりするんですか?」
「はい、ありがたいことで贔屓にさせてもらっています。今日も何名かいらしている様ですね」

 ビンゴ、首を隠しているかはわからないが摩那の読み通り湯治客は何名かここに訪れているらしい。ならばその中から首を隠している者を探せば関係者へと近づける。

「私みたいに首を痛めている人も多そうですね」
「そうですねぇ……この時期は特に多い気がします」

(特に多い……そうか、逆でしたか)

 湯治客が多いということはそれだけ身体を痛めている人が多いということ。つまり首を包帯などで隠しても怪しまれる可能性が格段に減る。故に関係者たちはここを選んだということだろう。

(とはいえ首を隠している人を探せばいいのは変わりませんね)

 いる、ということがわかればそれで十分。聞き込みを続ければ関係者へと辿り着けるはず。

「いろいろありがとうございました。温泉を楽しもうと思います」
「はい、ゆっくりしていってくださいね」


 こうして効能を聞き出した摩那により新たな情報が転がり込んできた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ダビング・レコーズ
旧時代の非人道的兵器ですか
影朧が関わるならば危険性は一層増加します
速やかに発見し適切に処理しなければなりません
任務を開始します

【POW・アドリブ連携歓迎】

温泉宿内で黒い鉄の首輪を着用している人物を捜索
捜索時には隠密モードを使用
忍者化します
通風口や収納などあらゆる狭い隙間を潜伏場所として利用し調査を開始
機体サイズの都合上本来ならば物理的に不可能ですが忍者となれば問題は無いでしょう
更に忍者特有の鋭敏な視覚機能で観察力を強化
着衣で隠蔽されている可能性も鑑み不自然な膨らみ等も注視します
発見に成功した場合は斥候能力を駆使し悟られないよう追跡
聴覚機能を活用し会話や独り言を記録しつつ様子を伺います



●桜舞う名湯と忍者

「任務を開始します」

 過去の非人道的兵器、そこに影朧が関り生じた危険性をダビング・レコーズ(RS01・f12341)は見逃せずこの温泉宿へ純白の機体が舞い降りた。

 目標は温泉宿内にいるである黒い鉄の首輪を着用している人物。その人物を探すために隠密行動を開始しようと試みるがダビングの機体サイズではこの温泉宿は少々手狭である。

「【隠密モード】開始します」

 しかしそんなことはダビングにとって障害とはならなかった。自身の機体を忍者へと変異させる【隠密モード】へと移行することでダビングは忍者化し、本来の機体サイズであれば物理的に不可能なサイズの隙間を潜伏場所として利用することができる。

 ダビングは温泉宿に設置された通気口へするりと機体を滑り込ませると調査を開始した。


 先の猟兵の報告通りこの建物は歴史が古く多くの隠れ場所が存在した。忍者と化したダビングは誰にも使われていないであろう埃の積もった収納に身を隠し隙間から前を通る温泉宿の客たちを観察する。
 自身のセンサーに加え、忍者の鋭敏な視覚機能も付与し観察力を強化。何らかの方法で首輪が隠蔽されていたとしても看破できる。

「……」

 が、それらしき人物をここで発見することはできなかった。身体に包帯を巻いている客は確かに多かったが当たりを引くことはできなかった。

「次へいきましょう」

 幸いまだ調べていない場所は存在する。ダビングは再び通気口へと機体を潜り込ませ次なる潜伏場所へと移動開始。


「―――これは」

 ダビングが次なる潜伏場所へと辿り着いたとき、そこで違和感を察知する。
 今回も先ほどと同様に本来であれば使われていない隠された収納へと潜り込んだはず。しかしこの収納は先ほどの物とは違い埃が積もっていないのだ。つまりこの収納は前回使われてから埃が積もるほどの時間が経ってないということになる。

「目的の人物は見つかりませんでしたが手がかりを掴んだかもしれません」


 こうして潜伏した忍者により新たな情報が転がり込んできた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エルス・クロウディス
き ち ゃ っ た 。

とは申しますがね、とりあえずこれと言って何をっていうね。
んーま、変に気負っても仕方ないし、とりあえずは地道に情報収集ですね。
俺はー……料理でも食い倒しながら、<第六感>と<視力>頼りで行くかな。
何せ温泉と言えば浴衣ですよ。
確かにそれなら、首輪も探しやすかろーもん。
まぁ、正直鉄って時点で本当にそれ首輪なのかって気もするんだけど。
この辺は実物見てみないと何ともならんかんね。

堪能しつつ、目を皿のよーに。
なるだけ人の出入りなんかが見えるところに陣取って、見逃さないように気を付けよう。



●桜舞う名湯と食べ歩き

「さて、来てはみたが……」

 グラッジ弾の話を聞きつけやって来たエルス・クロウディス(昔日の残響・f11252)だったが関係者も見つからず肝心のグラッジ弾も見つかっていないこの状況でできることは限られていた。

「とりあえずは情報収集か。あ、お姉さん串焼き一つ」
「はーい!」
「あ、そうそう。最近不審者とか見てない?」
「見てないなー。はい、これ」
「そっかー。ん、どうも」

 今できるのは地道に情報を集めること。温泉街の屋台で売っていた串焼きを頬張りながらエルスは歩き出した。

 パっと周囲を見渡せば辺りにいるのは浴衣を着た人々。ここは宿もある温泉街なので当たり前の光景だろう。浴衣を着ているということはつまり服には首元を隠すような能力はないということだ。

(とは言え相手もそれは重々承知しているだろうし……)

 串焼きに噛り付きながらエルスは広場のベンチに腰掛け行き交う人々を観察する。首輪をしている人物は一向に見当たらないが湯治客であろう身体のどこかに包帯の類を巻いている人はよく見かける。

「ん?」

 そんな中エルスの目に飛び込んできたのは首に包帯を巻く青年。誰かと待ち合わせでもしているのかしきりに周囲を伺っている。その青年の首に巻かれた包帯は巧妙に隠してあるがその下にナニカがある、というのが見て取れる。

(あいつが関係者か?)

 当たりか外れか現状では判断しかねるがひとまず声を掛けてみようと立ち上がったエルスの目に飛び込んで来たのは想像もしていなかった展開。

 首に包帯を巻いた青年と合流したのは同じ様に首に包帯を巻いた青年だった。

 声を掛けるのは一旦やめ、観察を続けるエルス。どうやら2人は既知の様で2~3言葉を交わすと再び別々の方向へ行ってしまった。

「……まさかあいつらどっちも関係者か?」

 青年は2人とも首にあるナニカを包帯で隠していた。それを偶然で片付けるには出来過ぎているだろう。串焼きの残りを口の中に放り込み、ゴミをゴミ箱に放り込んだエルスは最初に見つけた青年の尾行を始めた。


 こうして食べ歩いていたエルスにより新たな情報が転がり込んできた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

緑川・小夜
[WIZ]

前の戦争の遺物…そんな物があれば、わたくしの仕事がやりづらくなるわ。絶対に回収しないと…

【選択UC】を発動。わたくしの部下達を呼び出し、部下とわたくし達で、地方の成金一族が温泉旅行に来たという形で【変装】して【演技】をしながら、「黒い鉄の首輪」に関して【情報収集】を行うわ。

所謂人海戦術というやつよ。わたくしは食事をするところでおはぎと緑茶を味わいながら捜索を。部下達にはそれ以外のところを調べてもらいましょう

…時間が大分経過したので、一旦部下達を寝泊まりする予定の部屋に集合させて、それぞれ報告を聞くわ
ふむふむ、なるほどね…

[アドリブ連携歓迎です]



●桜舞う名湯と黒き蝶

「お前たち、仕事の時間よ」

 宿に着く直前、緑川・小夜(蝶であり蜘蛛であり・f23337)は【蝶の崇拝者達】により呼び出した先代からの黒蝶の部下たちを呼び出して仕事を始める。先の戦争の遺物などがあっては小夜の本業が差し支える可能性がある。サクラミラージュで活動する盗賊『黒蝶』にとっても今回の一件は見過ごせなかった。

 部下たちに荷物を持たせ、まるで地方の成金が帝都に温泉旅行に来たかの様に振る舞い受付を通過する。どうやら今回の一件に必要なものは明晰な頭脳ではなく人手。グラッジ弾の関係者が複数人いる可能性がある以上人海戦術をとるのが最も効率がいいということになる。

「首になにかを巻いている人へ手当たり次第に声を掛けなさい。怪しい動きをしたら顔を覚えておくように。それと何かを隠せそうな場所があったらそこも調べなさい」

 食堂で御萩と緑茶を味わいながら小夜は部下へと指示を飛ばす。その言葉に従い部下たちは手当たり次第に宿の中を捜索する。


 小夜がいくつかの御萩と数杯の緑茶を飲み終わったころ。小夜は一旦部下たちを今夜の宿である部屋に集合させた。もちろんそれは部下たちからの報告を聞き届けるため。

「ふむふむ、なるほどね……」

 部下たちからの報告によれば
 他の猟兵たちの言う通り首のナニカを隠している者は数名確認された。
 宿の至る所にある隠し収納には以前に使用した形跡が見受けられるがここ数日は使われていない。

 「まだ準備中だったみたいね。これなら先手を打てそうだわ」

 恐らく青年たちはここでグラッジ弾の取引を行う予定だったのだろう。湯治客に紛れ込み宿の隠された収納で物のやり取りをする。店員たちの反応からして収納のことを知っているのも極一部だったようだ。

「さぁ、幕引きといきましょう」

 小夜は部下たちと共に関係者と思わしき青年たちの元へと足を運ぶ。



 しかし宿に青年たちの姿はなく、あったのは『幻朧戦線』そう刻印された一丁の拳銃だけだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『非人道的影朧研究施設の摘発』

POW   :    真正面から突入。片端から構成員を拘束し影朧達の居場所を聞き出す。

SPD   :    密やかに潜入し施設情報を入手。施設の運営目的を探る。

WIZ   :    突入時、一人も逃がさぬような工作を施す。解放した影朧達のケアも行う。

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●再び騒乱を願う者たち

 ―――『幻朧戦線』
 それが何なのかは調べればすぐに分かった。
 平和ではなく騒乱を求める者たち。個人の理由は様々だが彼らは共通して戦乱を求めていた。戦争こそが人の歩みを進める手段だと信じて……。


 宿に残された拳銃から彼らの足取りはすぐに終えた。おそらくはこちらの動きが想像以上に早く証拠を隠しきれなかったのだろう。

 首に黒い鉄の輪をはめた青年たちが逃げ込んだのは表向きはとある製薬会社の研究機関。しかしその実態は影朧たちを捕らえ、非人道的な研究を行っている幻朧戦線の施設の一つだった。

「くそっ、なんであんなに早く足がついたんだ……商談がパァになっちまった」
「だけど弾はまだ残ってる。次があるさ」

 恐らくグラッジ弾はここにあるのだろう。
 そしてここに捕らえられた影朧たちも放ってはおけない。このままここに捕らえられていてはいつ影朧兵器として利用されるかわからない。


 ―――猟兵よ、妄執の弾丸を回収し捕らえられし影朧を救うのだ。
緑川・小夜
[SPD]

なるほど。幻朧戦線とやらはよほどわたくしに仕事をさせたくないみたいね。ウフフ…

よし潰そう。徹底的に。

まずは【忍び足】と【地形の利用】で見つからないように施設に潜入、【情報収集】で影朧の皆様の監禁場所を探していくわ

幻朧戦線の者を見つけたら、【選択UC】で強化した【催眠術】と【誘惑】で、わたくしの下僕になってもらうわね。勿論情報は全部吐いてもらうから

影朧の皆様の監禁場所にたどり着けたら、すぐに全員解放するわ。そのすぐ後に、下僕にした連中に「他のメンバーの気を引く為に、人の多い所で暴れ回りなさい」と命令して、注意を逸らすわよ

まだまだ、これだけですむと思わないことね

[アドリブ連携歓迎です]


ルキ・マーシトロン
絡み・アドリブ歓迎

(WIZ使用)

こんな素敵な研究所を使ってやることがグラッジ弾の研究? ダメダメだなぁ。
さて、グラッジ弾はどこかなー?
探すのにジャマだから幻朧戦線と影朧にはみんな眠っといてもらおう。
これはオーバーテクノロジーの医療用ナノマシンだけどね、副作用ですっごく眠くなっちゃうのさ。
これを使ってゆっくりグラッジ弾を探させてもらうよ。


黒木・摩那
【SPD】
ここがクラッジ弾の在処でしょうか。
相手がクラッジ弾を売りさばいたり、猟兵を迎え撃つ態勢を整える前に速攻でいきましょう。

人気のない場所を選んで、研究施設の塀や壁をUC【胡蝶天翔】で黒蝶に変換して、
通り抜け、内部に潜入します。

潜入した後は、内部の人間をUC【影の追跡者】で尾行することで、幻朧戦線やクラッジ弾の手がかりを探ります【情報収集】。



●舞い踊る蝶々

「なるほど。幻朧戦線とやらはよほどわたくしに仕事をさせたくないみたいね。ウフフ……」
「仕事?」
「グラッジ弾の回収のことです」
「ええ、すぐにでも回収しないとね」

 まず幻朧戦線の影朧研究施設に潜入したのは緑川・小夜(蝶であり蜘蛛であり・f23337)と黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)、そして。

「こんな素敵な研究所を使ってやることがグラッジ弾の研究? ダメダメだなぁ」

 ルキ・マーシトロン(🧟‍♂️・f24589)の3人だった。他の猟兵たちは別ルートでこの研究施設を探る。そういう手はずになっていた。

「さて、グラッジ弾はどこかなー?」
「まだ潜入には気づかれていないようですし速攻でいきましょう」
「ではここからは手分けをして?」
「そうね。私はグラッジ弾の場所を探す」
「僕は影朧たちを眠らせて無力化しておこう」
「わたしは後に来る方々のために騒ぎを起こせばいいのですね」

 ここまで3人で来たのだからここからも共に行動した方が安全に思えるが、ここからはやることが多く手分けをした方が効率的。そして何より他の猟兵がいては小夜が黒蝶として行動しづらいのだ。故にここは多少の危険を承知で作業を分担し別れるという選択が選ばれた。

「では、ご武運を。天に漂いし精霊よ。物に宿りて我に従え。姿さずけよ」

 物陰に隠れていた3人の背後に位置する壁。そこに摩那が手をかざし【胡蝶天翔】の詠唱を唱える。すると瞬く間に壁は黒い蝶の群れとなり新たな道が生み出される。

「綺麗ですよね、黒い蝶」
「はい? ええ、そうですね」
「いくぞー」

 こうして3人はそれぞれの役目を果たすべく、新たな道を通り分かたれた。


「さーて、ジャマだからぐっすり寝ててねー」

 【デッドマンはゾンビ羊の夢を見るか?】を使い、ルキは周囲に医療用ナノマシンの霧を散布しながら研究所の中を進んでいく。他の2人と違いこういった潜入は得意ではないが対象を無効化するということならば得意分野である。
 この世界でもオーバーテクノロジーである医療用ナノマシン。対象を見つけるとどんな病や怪我も治療してくれるがその副作用で強烈な眠気に襲われる。

「ん? 煙か―――」

 例え通路の先に幻朧戦線の関係者がいようと医療用ナノマシンの霧は問答無用で眠らせる。

「あ、ここにいたんだね」

 そおうして進んだ先で一室に囚われていた影朧たちを発見したルキ。今ここで解放してもいいがこの影朧たちを守り切る術が今のルキにはない。場所がわかったのなら後は続いてくる猟兵たちに任せればいい。だから今は騒がず暴れぬように影朧たちもぐっすりと眠らせる。

 今度こそ誰かが解放しに来てくれるその時まで。


「……」
 摩那の役割はグラッジ弾の行方を突き止め、その場所を探り当てること。それにはまずグラッジ弾について知っている関係者を探り当てなければならない。
 ここまで通り壁を黒い蝶に変換し通り抜けてきた摩那だったが人の気配を感じとり、即座に蝶を壁へと戻して壁の向こう側に聞き耳を立てる。

「あの取引、失敗したみたいだな」
「ああ、なんでもどこからか情報が洩れて嗅ぎまわる奴らがいたらしい」
「だから金にするんじゃなくて俺たちで戦争のために使っちまえばよかったんだ」
「その通り。あの弾さえあればまた戦争を引き起こせる」
(微妙なところだけど一応……)

 話している内容から無関係ではなさそうな青年2人。その2人を尾行するため摩那は【影の追跡者の召喚】で呼び出した影の追跡者に後をつけさせる。これで五感を共有した影の追跡者が何かを見つければ摩那へ即座に共有される。

(当たりを引くまでもう何人か……)

 青年たちが通り過ぎたことを確認すると再び壁を黒い蝶へと変換し摩那は次なる関係者を探るべく奥へと進む。

 幻朧戦線、そしてグラッジ弾の手がかりを探して。


 「さて……」

 2人と別れたことで小夜が少女のフリをする必要もなくなった。

「よし潰そう。徹底的に」

 故に黒蝶の邪魔をする幻朧戦線相手に容赦をする必要もなくなった。
 摩那のサポートがなくとも警備の薄いこの研究施設程度なら小夜は問題なく隠密行動ができる。そのまま隠れて進み、探し出すのは蜘蛛の糸に絡めとられる哀れな獲物。

「そこのあなた」
「は?」

 小夜に見つかった通路を歩く青年という名の獲物は小夜と目を合わせたその瞬間に忠実な下僕となり下がる。獲物を絡めとる蜘蛛のごとく、対象の心を縛るその術こそ小夜が編み出した【女郎蜘蛛・改】。

「グラッジ弾はどこかしら?」
「……おれはしらない」
「ではあの温泉で何を?」
「……別の組織に弾を売りつけて活動資金に」
「あと幻朧戦線について知っていることを全部話しなさい」

 下僕となり下がった青年は何の抵抗もなく自身の知り得る情報を全て聞かれるがまま吐き出してしまう。ここまでもこれを繰り返し既に研究施設の中に小夜の下僕は両手の指で足りぬほどの人数に達していた。

「もう少し情報が欲しいところだけど……そろそろ時間かしら?」

 小夜のその言葉を待っていたかのように施設の中に鳴り響く警報の音。恐らくこれは潜入した3人の存在が感知されたのではなく後発の猟兵たちが辿り着いたということだろう。

「それじゃあ下僕。他のメンバーの気を引く為に、人の多い所で暴れ回りなさい。他の下僕にもそう伝えるのよ」
「……はい」

 これで騒ぎは大きくなり注意も引ける。あとは本命のグラッジ弾を回収すればいいだけなのだが……。

「まだまだ、これだけですむと思わないことね」

 黒蝶の仕事を邪魔しようとした幻朧戦線に下る罰はこれだけでは済まないようだ。


 自らの役目を終えた猟兵たちは合流とグラッジ弾を求め研究施設の奥へと向かう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

夢咲・向日葵
●心情
・ひまちゃんはあんまり搦め手が得意じゃないから真正面から行くのよ。
・影朧さんも助けてあげないといけないの。まあでも、空中に浮いているとかじゃなきゃ問題なく分かるかな。
・魔法王女の前で悪事は成功することはないよ。
●探査
・UCで変身。地属性魔法による地面操作で逃げらないように土壁で囲いつつ、プリンセスチェインを大量に創造して罠と地面への情報収集。
・後はソレイユシールドを正面に展開しつつ、正面突破で『幻朧戦線』のメンバーを、師匠ゆずりの武術で倒すわ。
・情報収集によって得た幻朧の位置情報を使って、どんどん施設の奥を目指して捕まった幻朧を助けるのよ。
・グラッジ弾も回収しないといけないの


エルス・クロウディス
事前情報があるのもでかいけど、よくこの分かり易いのを符丁にしたな……。
ともあれ、とりあえずは速度重視であちこち回るしかないな。

今回メインで使いますのは逆綴さん!
切り離して使える優れもの!
でとりあえず、施設っていう<地形の利用>はしないとな。
まずは出入り口に足取る罠作っといて、万が一にも逃げれないようにしたろ。
後は<ダッシュ>で施設内をめぐって、残ってる弾丸の確保と影朧の解放と。
一応<迷彩>を併用して、不意打ちの回避と、遭遇戦での有利を取れるように。

罠残してる間は、別の骸装には変えられないからな。
汎用性や削りには優位性があるけど、単体じゃ瞬間火力はちょい低いから気を付けないと。
援護、基本援護に。


アルビレオ・ゴードン
さて、突入は他の人達に任せて僕は援護に徹しようかな。
研究所を望める高台辺りに陣取って、味方の突入に合わせて援護射撃を行おう。
できるだけ、中の皆が行動しやすいようにね。あと、逃げ出そうとするやつがいれば狙って足を潰そう。

再びの騒乱。それも関係ないモノを巻き込んで、だなんて勝手なことを言うもんだよ。
他者を巻き込むくらいなら、君たちだけでやればいい。



●突き進む者たち

 時は警報が鳴る数分前に遡る。

「それじゃあ真正面から行くのよ」
「速度重視だな」
「うん、僕は援護に徹しよう」

 夢咲・向日葵(魔法王女・シャイニーソレイユ・f20016)、エルス・クロウディス(昔日の残響・f11252)、アルビレオ・ゴードン(Nostallgia・f16391)の3人の猟兵が研究施設の入り口に立っていた。
 本来いたはずの見張りは既に意識を失い壁に凭れ掛かるように座らされていた。この3人は先に潜入した猟兵たちとは違い、実力を以ってこの施設を蹂躙するためにここに来た。

「それじゃあ僕はあそこにいるから」

 そうアルビレオが指をさしたのは研究所から離れた位置にある百貨店の屋上。今日は定休日ということでお客がいないそこは絶好の狙撃場所だった。一流の狙撃手たるアルビレオにとっては。

「お任せするの」
「んで、俺たちはその援護を受けて中へ突入だな」
「うん、魔法王女の前で悪事は成功することはないよ。母なる大地に咲く、一輪の大花! 輝く大地の魔法王女! シャイニーソレイユ!」

 『グランドハート』が向日葵の心に共鳴し、眩き光と共に瞬く間に向日葵の姿が変わる。自分自身を信じ続けることで向日葵はただの女子中学生から【母なる大地の魔法王女】、シャイニーソレイユへ変身する。

「気合も十分だな……行くぞ!」

 入口を蹴破り警報が鳴り響く中、向日葵とエルスは研究所の中へ突入した。


「っと、一応やっておくか」
「何をしているの?」

 突入したエルスだったが扉を潜ると立ち止まり、そこで砂鉄に似た性質を持ち、自在に変形出来る特異な骸装『骸装:逆綴』を展開する。今回数ある骸装の中でこれを選んだのは切り離して運用することができるという利点が今回最も活躍できると判断したからである。
 逆綴の一部を切り離し。出入り口に踏んだ衝撃で棘を伸ばす罠を作っておく。これで研究所の中から逃げようとした者は足を取られこの研究所から出ることはできない。

「罠を張っといた。あの人がいれば多分いらないけど念のため」
「できることはしておいた方がいいわ。それに、逃がさないためならここまでしないと」

 向日葵の鳴らした指に従い隆起する床。瞬く間に2人が潜った出入口に出来上がる巨大な土壁。この壁を越えなければここからこの研究所の外には出られなくなったということだ。

「……お見事」
「さぁ、行きましょう」



「来たぞ! こっちだ!」
「くそっ! 撃て撃て!」

 警報が鳴り響く中、逃げだすこともできなくなった幻朧戦線の者たちは必死の抵抗を重ねていた。グラッジ弾でこそないが鉛の弾を盛大にバラ撒きこちらへ向かって来る侵入者たちを撃ち続ける。

「なんで効かないんだ!」
「あの花のせいだ!」

 しかしその弾丸が向日葵とエルスに届くことはなく、全て向日葵のかざした魔法陣から創り上げられた大きな黄色い向日葵の花『ソレイユ・シールド』に阻まれる。

「よっ、と」
「ぐぁぁあああ!」
「なに!?」

 その隙にエルスが逆綴を鞭状に伸ばし幻朧戦線の者たちが持つ銃を叩き落す。遠距離からの攻撃がなくなってしまえばあとは近づき制圧してしまえばいい。

「くそぉ!」
「―――はい」

 例え相手がナイフを持って斬りかかりに来ようと向日葵はその手を受け流し、手刀でナイフを叩き落とす。あとは周囲にいる関係者全員を『プリンセスチェイン』で一網打尽にすればこの一角の制圧は完了する。

「えーっと……影朧がいるのはこの先みたいだな」
「早く助けてあげないと」
「他のやつらはどうしたんだ……」

 他の関係者がどうなったのかというと先に潜入した猟兵の手により眠らされた者や洗脳されこの施設内を暴れまわっている者。そして出口が封鎖されたと知って尚逃げ出そうとした者がいた。

 この中で一番悲惨だったのは逃げようとした者たちだろう。
 逃げ出そうと施設の中を走る中で罠に足を貫かれ、伸びてきた鎖で絡めとられる。
 なんとか外へと繋がる窓へたどり着いてそこから外へ出ることができたとしても。

「いてぇ!」

そこに待っているのは魔弾の射手の放つ弾丸。足を貫かれ、歩くこともできなくなり痛みに藻掻きながら施設の庭に転がるしかない。

「再びの騒乱。それも関係ないモノを巻き込んで、だなんて勝手なことを言うもんだよ」

 そう呟きながらも白い羽飾りが括りついた黒いスナイパーライフルを構える姿は微動だにせず、ただ黙々と引き金を引く。この平和な世を護るために。それを脅かす者たちを逃がさぬために。

「他者を巻き込むくらいなら、君たちだけでやればいい」

 【魔弾の射手は影を踏む】。逃げ出そうとした臆病者は影を踏まれ立ち止まる。


「よし、これで影朧が捕まってる辺りは掃除完了っと」
「なら次は本命のアレね。場所は?」
「大体の目星はついてるが……ってとこだ」

 捕えられ、眠らされていた影朧たちを逃がすための準備も整った。しかし肝心のグラッジ弾がどこにあるかが未だつかめていない。潜入した猟兵たちからそれらしき情報をもらってはいるが確証がないという現状。

「……うん、そうみたい」

 向日葵が大地から直接聞いてもそれらしき場所はわからない。よほど巧妙に隠しているのだろう。
 とはいえこの研究施設にまだ残っている者はそう多くはない。このまま探し続ければいつかグラッジ弾には辿り着く。

「奥へ進むしかないってわけだ」
「急ぎましょう。早くグラッジ弾を回収しないといけないわ」


 もう逃げ出させる者も残ってはいない。帝都桜學府に連絡し幻朧戦線の関係者の回収を依頼。アルビレオも援護を終えて合流すると3人は研究施設のさらに奥へと進んでいく。


 研究施設の奥深くで眠る恨みの弾丸。再びの戦乱を起こさぬため猟兵たちはソレを求めてさらに奥へ

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 集団戦 『旧帝都軍突撃隊・桜花組隊員』

POW   :    疑似幻朧桜の鉄刃
自身の装備武器を無数の【自分の寿命を代償に起動する鋼鉄の桜】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    疑似幻朧桜の霊縛
【舞い散る桜の花びら】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    疑似幻朧桜の癒やし
【自分の生命力を分け与える桜吹雪】が命中した対象を高速治療するが、自身は疲労する。更に疲労すれば、複数同時の高速治療も可能。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●響く銃声に気づき集うモノ

 最奥の扉を突破し、研究施設の中枢へと辿り着いた猟兵たち。

 そこにあったのは素材として使われている影朧と創りかけの弾丸。

 状況から見てここがグラッジ弾の作成に関わっていたのは明らかである。ここで職員たちが影朧を利用しグラッジ弾を再現した。それも全てこの世界に再び戦乱を巻き起こすため。

「何故邪魔をする! 人々には争いが必要なのだ!!!」

 部屋に残り証拠を隠滅し、資料をかき集めていた男は猟兵たちに向けて声高に叫ぶ。しかし彼ら幻朧戦線に言い分は勘違いも甚だしい。人の進化に争いなど必要はないのだ。

「こうなっては仕方がない……貴様らでこの弾の威力を証明してやるとしよう」

 そう言って男の懐から取り出された黒塗りの拳銃。その銃口が向いたのは猟兵たちがいる方向ではなく、男自身のこめかみ。

「幻朧戦線万ざぁぁぁぁぁぁい!!!」

 なんの躊躇もなく引き金が引かれ、拳銃から放たれた弾丸が男の頭を貫く


 ―――ことはなかった。


「何故だ!? 何故名誉の死を迎えられない!?」

 恐らくは整備不良による弾詰まり。男が何度引き金を引こうとただ撃鉄が動くのみで弾が放たれることはない。

「くそぉ!」

 怒り狂った男は拳銃を床へと叩きつける。
 叩きつけられた拳銃はバラバラになり、込められていた弾も床に転がる。

 その弾丸の回収に猟兵たちが動き出そうとしたその瞬間。猟兵たちはこの場に現れた新たな気配の存在に気づく。

 桜の花びらと共に現れたのは袴を着た少女の姿をした影朧。

「よ、よし、よく来た! あいつらを殺してしまえ!」

 何が起こったのか男には理解ができていなかったが影朧が現れたということだけは理解できた。ここに残っていた資料と弾は鞄に詰めた。猟兵たちと影朧が戦っている隙に鞄を持って自身は逃げてしまえばいい、そう考えていた。

「ええ、殺しましょう。この恨みに身を任せて」
「―――は?」

 影朧の少女が持つ鋼鉄の桜で形作られた刀が男の腹部を貫いた。

「な、なぜ……」
「私たちはただ恨みを晴らしたいだけ」

 男の身体が床へと倒れ込み血だまりを作る。

「さぁ、殺し合いましょう?」


 桜が舞う部屋の中で乙女は狂気に満ちた顔で笑う。
シェラティシア・インフィノート(サポート)
『精霊は友達ですよ!』
 フェアリーの精霊術士×シンフォニア、18歳の女です。
 普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、暗いところでは「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!




●桜吹雪と氷迷宮

「「「ふふふ……」」」

 グラッジ弾に呼ばれてか絶え間なく増え続ける影朧。このままこの部屋で戦い続けては数に圧倒されてしまうかもしれない。そしてなによりここから影朧を出せばどんな被害が出るかわからない。
 この影朧がかつて帝都軍として活躍した隊員ならばおそらく連携にも長けているはず。

 つまり現状はあまりいいとは言えない状況だということである。

「貴女たちに何があったのかは知りません……でも、これ以上被害は出させません!」

 そう、声高に宣言したのはシェラティシア・インフィノート(フェアリーの精霊術士・f16227)だった。今回シェラティシアが呼ばれたのは足りない一手を補うため。

「氷の精霊さん、お願いしますね!」

 シェラティシアが周囲に存在する氷の精霊に語り掛け、部屋の中に形成されていく氷壁。
 これにより影朧も猟兵も分断されてしまうがこれでいい。これこそがシェラティシアがここに呼ばれた理由。

 分断されてしまえば影朧の数の力も発揮されない。
 壁を創り出せばここから影朧が逃げることもない。
 各自離れ離れになれば影朧が連携することもない。

「どうせみんなみんな殺すのだから」
「私たちは散る桜……」
「殺し殺され散っていく」
「それは独りになっても変わらない」

 氷の迷宮に分断されてもなお影朧の乙女たちは止まらない。その身に宿る恨みを糧に散るまで戦い続けるのだろう。

「どうしてそこまでするんですか!」
「どうして?」
「そんなものは決まっています」
「戦争のために捧げたこの身」
「命すら削って国のために戦った」
「でも貴方たちはそれを否定した」

 影朧の少女たちが持つ幻朧桜を模した特殊な造花。それは持ち主に戦う力を与えるが同時に寿命を奪う性質を持つ。この造花もまたかつての戦争で創り上げられた影朧兵器の一つ。
 グラッジ弾と同じくその非人道的な兵器は戦争の終了と共に使用が禁止され部隊は解散となり少女たちは用済みとなった。

 もちろんその後の余生を幸せに過ごせた者もいるだろう。しかしここにいるのはそうでなかった者たち。戦いに囚われてしまった哀れな乙女である影朧。

「だから今度こそ戦いの中で散るの。桜の花のように……」

 故に影朧たちは自分たちから戦いを奪った世間を恨み、戦いを求める。

「悲しすぎる貴女たちの恨み……ここで晴らします!」


 桜吹雪の舞う氷の迷宮で世界を恨んでしまった影朧を救うため猟兵たちは武器を取る。

成功 🔵​🔵​🔴​

緑川・小夜
[WIZ]

刺された男に対しては、自業自得としか言い様がないわね…

さて、呼ばれた影朧達には早々にお引き取り願おうかしら

鈴を鳴らし、【選択UC】発動。わたくしの分身を16体作り出す。わたくしと分身全ては、剣鉈を構えて影朧に切り込んで行くわ

わたくし自身は【残像】【見切り】【第六感】で攻撃をかわし、分身が傷つけば、辺りに幻覚作用のある粉が撒き散らされる
見える幻は唯一つ…無数のわたくしの姿が見えるというモノ

勿論この粉はわたくしには効かないわよ

さあ、もう誰も彼もがわたくしに見えてきたことでしょう

混乱してお互いに傷つけあう影朧達の隙をつき、更に攻撃を加えるわ

[アドリブ連携歓迎です]


ルキ・マーシトロン
絡み・アドリブ歓迎

(WIZ選択)

考えてみれば影朧というのも哀れな存在だよね。
恨みを晴らしたい、かぁ……なら存分に殺させてあげるよ。
僕たちは、死んでも死なないゾンビだからね。
表向きは製薬会社な研究所なんて、パニックホラーにはうってつけの舞台なことだし。
さぁ、いくよゾンビダンサーズ達。

【行動】
ユーベルコードを発動し、大量のゾンビを呼び出して戦わせます。
ゾンビ達は肉の壁となってルキや味方を守ります。



●舞い踊る蝶と死体

 影朧たちの分断に成功した猟兵たちはそれぞれ数人に別れ、影朧たちと相対していた。

「考えてみれば影朧というのも哀れな存在だよね」
「ええ、そうですね。だから早々にお引き取り願いましょう」

 緑川・小夜(蝶であり蜘蛛であり・f23337)とルキ・マーシトロン(🧟‍♂️・f24589)の2人が相手取るのは10には満たない数の影朧の少女たち。

「分かたれはしましたが数の上ではまだこちらが有利」
「さぁ、殺し殺されましょう?」

 迷宮の分断により減ったとはいえ猟兵より影朧の方が数は多い。数の優位を利用し小夜とルキを囲むように位置取りながら造花の桜を構える影朧だが少々猟兵という存在を甘く見ていた。

「なら存分に殺させてあげるよ」
「数の優位などたやすく覆されるものですよ?」

 小夜の『手持ちの鈴』が静かに音色を奏でる。その音に合わせて現れる小夜と同じ姿をした16体の分身。そしてルキが呼び出した総勢48体のゾンビダンサーズ。本体も合わせ合計66体にも及ぶ一団がここに形成され、分身とゾンビたちは影朧たちを囲み返す。

「表向きは製薬会社な研究所なんて、パニックホラーにはうってつけの舞台なことだし。さぁ、いくよゾンビダンサーズ達」
「増えたのなら増えた分だけ殺しましょう」

 桜吹雪を舞い散らせ、影朧の少女たちは戦闘を開始する。


 造花を振るい、影朧はゾンビを斬り付ける。しかし、肉を斬ろうが骨を折ろうがゾンビたちの動きは止まらない。本来であれば致命傷になる傷であろうと既に死んでいるゾンビが死に至ることはない。
 少女たちがいくらゾンビを殺そうとゾンビは死なず、立ち上がる。

「ハァッ!」

 その隙をつき『特注の剣鉈』を振るう小夜の分身。しかし影朧もどれだけ自身が傷つこうと攻撃の手を緩めはしない。多少の傷であれば造花から放たれる桜吹雪で癒すことが可能であり、なにより今の少女たちは一人でも多くの敵を倒し戦場で果てることが目的なのだから。

「数の優位はそちらに移りましたが個々の力量はこちらが上のようですね」

 肩口から袈裟に斬られても影朧は造花を振るう。自身の身も厭わない反撃は小夜の分身を斬り付ける。ゾンビたちとは違い小夜の分身は傷を負えば動きも鈍る。だがそれと同時に傷口から粉を撒き散らす。

「目晦ましなど効きません」

 そんな粉など意に介さないとばかりに桜吹雪と共に吹き飛ばす影朧。見た目では無効化できたように見えるが吸ってしまった粉まではどうしようもない。

「小細工は効かないというわけね」

 分身に紛れ攻撃を繰り出していた小夜の本体も桜吹雪に巻き込まれぬよう距離を取る。


 数の優位が逆転し、一人でゾンビと小夜の分身を相手取らなければいけなくなった影朧。とはいえゾンビはただの肉壁。数だけは多いが小夜の分身が持つ剣鉈だけに気をつけていればまだまだ戦闘は続行可能。

 そう判断していた影朧たちだったがここに来てある違和感に気づく。

「分身が増えている……?」
「さっきまでは16体だったはず」
「それにこちらの隊員もどこに……?」

 気がつけば桜花組の隊員とゾンビの数が減り、代わりに増えたのは小夜の分身。それも桜吹雪を放つ者やいくら斬っても倒れぬ者分身まで増えていた。

「さぁ、もう誰も彼もがわたくしに見えてきたことでしょう」
「えげつないなぁ」

 小夜の分身がその身から放った粉は単なる目晦ましのための粉ではなく幻覚作用を持つ特殊な粉。それを吸引した影朧には自分以外の存在が小夜に変換される幻が見せられている。

 この大勢が入り乱れる戦場でこの幻は多大な効果を発揮していた。

 影朧たちの癒しの桜吹雪も対象がわからねば使えず、そもそも味方が敵に見えているのだからそれどころではない。四面楚歌に追い詰められた影朧は周囲の小夜相手に手当たり次第斬りかかる。
 斬りかかった相手の正体が味方でも構わない。自分以外は全て敵。ならば最後まで自分が立っていればいい。影朧はそう考えていたのだがそこに誤算が生じていた。

 そもそもゾンビは呼吸をしておらず粉を吸引していない。
 故に幻覚は見ていない。
 そもそも自身も粉そのものである分身も粉を吸引しない。
 故に幻覚を見ていない。
 そして術者本人である小夜にこの粉は効果を発揮しない。
 故に幻覚を見ない。

 つまりこの粉の術中にはまるのは影朧のみ。


 味方が敵になり、混乱し、互いに傷つけあう影朧の元へ忍び寄る影。
 幻の中で誰かが倒れる音がする。それが敵か味方かはわからない。

「さようなら」

 首元に剣鉈を突きつけられた影朧の少女は漸く倒れた音とここにいた自分以外の隊員の数が同じことに気がついた。つまり倒れた誰かは自分たち。

「来世でお幸せに」


 この世界を恨んだ少女たちは幻の中、桜吹雪となり消え去った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

夢咲・向日葵
●心情
・身を焦がすような怨念に心が焼かれて、夢見る心を無くしてしまったのね。だけど、貴女は生き直せるのよ。だから、夢見る光の魔法王女として、思い出させてあげるよ。貴女の夢と希望を。そして、希望を持って転生するの。
●戦闘
・UCで大地から光の魔法王女にチェンジ。
・たくさん想像して創造したソレイユシールドからのソレイユビーム(光属性魔法)を連打しつつ、接近戦をしかけていくよ。
・相手の攻撃はソレイユシールドのオーラ防御盾受けとガントレットで受け流しつつ、光属性魔法を纏った鎧砕きの乗った打撃をメインにして戦っていくの
・周囲に展開したソレイユを足場に低空を高速で飛び回りつつ、高速戦闘をして敵を倒すよ。


黒木・摩那
クラッジ弾とクラッジ弾の材料にされていた影朧は確保しました。
あとはこのオブリビオンの抵抗を退ければ、ひとまずは事件解決ですね。

殺し合いがお望みならば受けて立つだけです。

ルーンソードで戦います。
UC【トリニティ・エンハンス】でソードに【風の魔力】を付与します【属性攻撃】【破魔】。
桜花組隊員達の桜吹雪を風で蹴散らしながら(防御力アップ)、【なぎ払い】ます。

防御はスマートグラスのセンサーと【第六感】で対応しつつ、飛び道具は【念動力】で軌道を逸らします。



●夢見る心を再び胸に

「あははははは!」
「殺し殺され斬り斬られ」
「逝きつく果ては何処かしら?」

 桜花組の少女たちにかつてあったであろう心はもうありはしない。影朧である少女たちに今あるのは自分たちの存在を認めなかった世間への恨み。
 もちろんそれが逆恨みであると本来の少女たちはわかっていたはず。平和になった世界に兵器などない方がいいに決まっている。それでも目の前の少女たちは恨みの炎で心を燃やす。

 それがグラッジ弾によるものなのかはわからない。

「殺し合いがお望みならば受けて立つだけです」

 黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)は愛刀『魔法剣『緋月絢爛』』を構え少女たちを迎え撃つ。相手にも事情があることは想像できる。しかし今優先すべきはこの事件の解決。もしここで事件を解決できなければもっと多くの被害が出てしまう。

 それだけは絶対に避けなければならない。

「哀しい人たち……でもまだ希望は無くならない」

 夢咲・向日葵(魔法王女・シャイニーソレイユ・f20016)が影朧の少女たちを見て抱いた感情は哀れ。少女たちもきっと本当ならば未来に夢見る心を持っていたはず。しかし影朧となり、身を焦がすような怨念に心を焼かれ、そんな心はもう無くなってしまった。
 だがまだ終わりではない。だから少女たちに思い出させる必要がある。

 夢と希望さえあればやり直せるのだということを。

 それこそが夢見る光の魔法王女である向日葵……否、シャイニーソレイユの役目なのだから。
 向日葵に宿る『グランドハート』が想いに応え光り輝く。それは大地を司る黄色ではなく、眩いほどの白。
 『グランドハート』の色に合わせ向日葵自身の姿もまた変わっていく。

「夢見る心を守る一輪の大花!白光の魔法王女・シャイニーソレイユブロンシュ!」

 向日葵の花のような黄色のドレスが純白へと変わる。それに伴い白く染まる瞳と髪。この姿こそ人々の夢見る心を守るシャイニーソレイユのもう一つの姿、シャイニーソレイユブロンシュである。

「例え姿が変わろうと!」
「舞え! 桜吹雪!」

 摩那と向日葵を囲うように展開した桜花組の少女たち。その手に握られた造花の桜を振るい巻き起こす鋼鉄の桜の花吹雪。それは桜色の津波となり2人を襲う。

「それは届かないよ」

 向日葵が手を翳すことで現れる無数の白い向日葵の花。それは魔法王女の想像から想像された無敵の盾『ソレイユ・シールド』。視界を埋め尽くす桜色の津波を白い向日葵の花が重なり合って受け止める。

「そして甘いッ!」

 突如として現れた摩那の一刀で斬り捨てられる一体の影朧。摩那は自身の刀に風の魔力を纏わせることで桜吹雪を蹴散らすことで桜色の津波の中を突き進んだ。

「貴女たちが転生を望むかは知りません。しかし殺し合いに負けるつもりも一切ありません」
「なっ———」

 摩那へ反撃の一撃を繰り出そうとした影朧の動きを止めたのは白色の光線。

「でも心だけは取り戻してもらうわ」

 それは向日葵の展開した『ソレイユ・シールド』から放たれたソレイユビーム。白い向日葵の花は攻撃を防ぐ盾であり、同時に悪しきモノを撃ち貫く矛でもあった。そして今はもう一つの役目もある。
 展開した向日葵の花を足場に向日葵は高速で飛翔する。盾であり、矛であり、足場である白い向日葵の花は影朧を囲うように咲き誇る。

「心なんて!」

 鋼鉄の桜吹雪が舞い散ろうと向日葵の花が受け止める。

「要らないの!」

 傷ついた仲間を癒す桜吹雪が巻き起ころうと摩那の紡ぐ風が吹き飛ばす。

「貴女たちにも理由はあったはずです。殺す理由ではなく戦う理由が」

 桜の花びらを吹き飛ばされ、無防備となった影朧へ風を纏う一太刀が斬り付ける。

「どうして戦おうと思ったのか思い出すのよ」

 近づいてきた相手へ鋼鉄の桜で創り上げた刀を振るおうとガントレットで受け流されカウンターの拳が叩き込まれる。

「そんな……」
「そんなものは……」

 こちらの攻撃が全て防がれることよりも。
 こちらの防御を上回る攻撃をされるよりも。

 語り掛けられる言葉が一番『痛い』理由が影朧たちにはわからない。

 斬られ、殴られ、刺され、蹴られ。
 もはやこの高速戦闘に影朧の少女たちはついていけていなかった。元より疑似幻朧桜の力を寿命を代償に引き出していただけの少女たち。影朧となろうと爆発的に身体能力が向上したわけでもない。

 少女たちは国を護るために自らの身を犠牲としたに過ぎないのだから。

 しかしその事実を覚えている者は最早いない。少女たちですら覚えてはいない。だからこそもう解放するのだ。
 新たなる生を少女たちへと贈るために。


 風を纏いし剣戟と光を纏いし拳が影朧の少女たちを撃ち貫く。
 桜の花びらとなり消えていく少女たち。消える刹那にその脳裏に浮かぶのは彼女たちの物であり彼女たちの物ではないナニカ。


 この世界を恨んだ少女たちは大切な何かを思い出し、桜吹雪となり消え去った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アルビレオ・ゴードン
これが、君たち見たかったものかい幻朧戦線。
まあ、今となっては答えようもないか。

さて、ここまで来たなら仕方が無い。
君たちはその若さと情熱を利用されて、使い潰されたりしたのかな。
それはきっと悲しいことだ、恨みつらみもあるだろう。

だけど僕は、一切同情してあげないよ。
過去がどうだったかは知らない。なにかそうせざる負えない理由があったのかもね。
でも自分で選んだんだ、それを今を生きる子達にぶつけるのは違うだろう。

変身。

さあ、頼むよ皆、我が栄光と敗北の第六小隊。
僕らで、過去の亡霊を撃ち抜こう。
狙撃曲射壁抜き武器撃ち、持つもの全てで君たちを否定する。

平和な世界には、僕らも君らも必要ないのさ。


エルス・クロウディス
うわぁい、あーりがちぃ。
……戦いに囚われた、か。昔の俺と真逆だな。
それじゃ、俺は止めにかからないとな。

【戎応無尽】をベースに、【骸驟佚式】を使用しての<範囲攻撃>。
持ち前の<視力>と<第六感>でもって攻撃を<見切り>、闇套を帯状に展開。
桜の花びらも、敵も、まとめて<なぎ払い>つつ、包んで拘束する。

最後に、【司纏軼尖】の特殊運用。
強化に用いる生体電流を限界まで引き上げ、拘束した帯に乗せての雷<属性攻撃>。

それを……戦いを手段ではなく、目的にしてはいけない。
それは、そうそうなくせるものではないけれど。
いつか必ず、終わるものでもあるのだから。



●戦いを憂う者たち

「これが、君たちが見たかったものかい幻朧戦線」

 氷の迷宮の中で木霊する戦いの音。迷宮の中、至る所で猟兵とグラッジ弾により集まった影朧の戦闘が繰り広げられている。

「こうなると思っちゃいなかったんだろうさ、きっと」

 アルビレオ・ゴードン(Nostallgia・f16391)とエルス・クロウディス(昔日の残響・f11252)はこうなってしまった現状を憂う。戦いなど自ら求めるものではない。ましてやそのために犠牲を払う必要など皆無だと2人は知っている。

「殺す」
「コロス」
「ころす」

 目の前にいる影朧の少女たちもそう。何かを護るために、何かを成し遂げるために始めた戦いだとしてもそれを目的にしてはいけないのだ。戦いはいつか終わる。時間は掛かるかもしれないがいつか必ず終わるものなのだから。

 少女たちの境遇も理解はできる。

 きっと戦いの中でその命を散らせたかったのだろう。
 そう覚悟を決めていた。
 自分たちが国を、大切な誰かを護りたかったのだろう。
 それが存在意義だった。

 しかし戦いは終わり、少女たちは不要になった。戦いに赴けなくなった。存在意義がなくなった。


「君たちの気持ちもわからなくはない。だけど僕は、一切同情してあげないよ」
「平和を目指して戦ったんだろ? なら平和になっても戦うのは違うだろ。あんたらはお役御免になったことを恨むんじゃなくて喜ぶべきだったんだ」
「君たちの恨みつらみ、それを今を生きる子達にぶつけるのは違うだろう」

 理由はどうであれかつては平和のために戦った少女たち。影朧になったとはいえその少女たちに平和を乱させてはならない。

「だからここで俺が止める」
「だからここで僕が止める」

 ———変身。
 アルビレオの一言と共に外される腕輪。若返りを抑制していた腕輪を外せば瞬く間にその姿はかつて仲間たち共に戦場を駆け抜けた時代の物へと変わる。

「さあ、頼むよ皆、我が【栄光と敗北の第六小隊】。僕らで、過去の亡霊を撃ち抜こう」

 若返ったその姿こそアルビレオのヒーローとしての姿。黒いスナイパーライフルを担ぎ、眼鏡を外し、現れるヒーローNostallgia。かつての仲間達の技術と共にヒーローは戦場へと舞い戻る。

「今ここであんたらを戦いから解放してやるよ」


 桜の舞う氷の迷宮で過去に囚われた乙女の最後の戦いが始まった。


 アルビレオとエルスの戦闘は自然と前に出るエルスと後方に位置するアルビレオという陣形になった。
 エルスが戦場を駆けまわり少女たちを翻弄。その間にアルビレオが少女たちを撃ち抜いていく。

「くっ!」

 もちろん少女たちも反撃を試みなかったわけではない。桜の花びらを操りアルビレオを捕縛しようとするが。

「おっと」

 エルスがその身に纏う黒い外套『涯装:闇套』を帯状に伸ばし桜吹雪をはたき落とす。これのせいで少女たちがアルビレオをいくら狙おうとその桜の花びらが届くことはなかった。

「ならば!」

 エルスが邪魔をするならば先にエルスを、と考えるのも自然だろう。しかし少女の振り上げた鋼鉄の桜の花びらで形成された刀はその刀身を弾丸で撃ち抜かれ、ただの桜の花びらと成り果てる。
 少女が狙ったのは背後から。それも射線を切るためにわざわざエルスの後ろへと回り込んだ。つまりここは射線が通ってないはず。しかしアルビレオは周囲の氷の壁による跳弾を利用し正確に少女の手元を狙い撃ったのだ。


 少女たちの攻撃は2人に阻まれ届かない。
 そして散開していた少女たちは自分たちの徐々に集められていることにも気づかない。動きの出足をあらゆる角度から狙撃され、反撃は総て黒い布により弾かれ、少女たちは体勢を立て直すためにも固まらざるを得なかった。

 それこそがエルスの狙い。
 帯状に展開した闇套とはいえ長さにも限りがある。つまりその長さに収まりきらなければ少女たちを纏めて拘束することはできない。エルスが今展開できる長さは約半径60m。

「———廻れ」

 その範囲に少女たちが入った瞬間に発動される【骸驟佚式】。展開された闇套が大きく開き、少女たちを包み込み拘束しようと縮みだす。
 少女たちも桜吹雪を放ち抵抗を試みるがその桜の花びらも纏めてエルスの闇套は拘束する。

「これで終わりだよ」
「まだ! まだ私たちは戦える!」

 頼みの綱の疑似幻朧桜の花びらも拘束され力を発揮することはできない。もうこの戦いの決着はついた。他の場所で行われていたはずの戦闘もいつからか音が聞こえなくなっていた。つまりこの戦場が最後となる。

「平和な世界には、僕らも君らも必要ないのさ」
「平和なんて!」
「思い出せよ。あんたたちはその平和のために戦ったはずだ。だから役目を奪われたんだじゃない。役目を果たしたんだ」
「役目を…果たした……?」

 そう、少女たちはその役目を全うしたからこそ戦争の終結と同時に解散された。少女たちの働きは無駄ではなかった。護りたかったものを護れたのだ。

「次はもうちょっと気楽にな」
「君たちの作り出した平和な世界を楽しむといいよ」

 エルスは震脚と共に【司纏軼尖】を発動。震脚の振動により身体のスイッチが切り替わり強大な生体電流を生成する。本来であれば自身の強化に用いるその電流を限界まで引き上げ、エルスは拘束した帯に乗せて流し込んだ。

 身を焦がすほどの電流を浴びた影朧の少女たちはその身を桜の花びらへ変え消滅する。


 この世界を恨んだ少女たちは雷と共に、桜吹雪となり消え去った。

 そして戦闘の終了と共に氷の迷宮は砕け散り、一陣の風が桜の花びらを風に乗せ運んでいった。


●桜散る帝都

 こうして猟兵たちの活躍によりグラッジ弾は回収され、今回発見された幻朧戦線の研究施設も捜査が入ることとなった。恐らく今回発見された研究施設は幻朧戦線が持っている物の一つに過ぎないだろう。

 今回の事件も始まりにであり帝都を脅かす悪意は未だ蠢いている。

 しかし過去から今に至るまで紡がれてきたモノも猟兵たちの活躍により護られた。
 悪を成そうとする者がいようとも、護る者がいる限り太平の世は続く。


 ———こうして今日もまた帝都の空に桜が舞う。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年01月23日


挿絵イラスト