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タランチュア教団~このどうしようもない世界に救いを~

#アポカリプスヘル

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#アポカリプスヘル


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●元アメリカ合衆国・拠点「ロスベルト」
 アポカリプスヘルの世界は、オブリビオン・ストームによってアメリカ合衆国という国はおろか、世界中の国は崩壊した。だが崩壊した中でも人は何とか生き続けている。
 その中でもこの拠点「ロスベルト」は比較的平和な場所と言える。略奪にきたレイダー達を軒並み返り討ちにしている「タランチュア教団」と呼ばれる宗教集団がいるからだ。その圧倒的力に魅了され、その教義に改宗した者は多い。そして今やロスベルトに住んでいる人々でタランチュア教団に入信していない者はいない。
 だが人々が幸福な顔をしているかといえば、そうでもない。その教義と戒律は厳しく、人々は忙しなく働き、収益を教団に収めている。自分達に残るのは最低限生活できる分だけ。そしてまた限界まで働き続けている。
「くそっ、今日もこれだけしか飲めないのか」
「もう少しお布施が少なけりゃな」
 そう言ってロスベルトの街中を歩く男が二人。教団本部にお布施を収めて、家路につく頃だった。だがそこに冷徹な瞳をしたタランチュア教団員が、お布施に文句を言っていた男の前に立つ。
「今、教義に異を唱えたのはお前か?」
「い、いえ、そんなことは……」
 そう言い訳するが早いか、タランチュア教団の者の武器が男の首を切り裂く。男の口内は血によって満たされ、赤い味は舌を満たす。そして命の温もりは急激に失われていき、地面へと倒れ込んだ男。そこには生暖かい血の水たまりと冷たい死体だけが残される。
「我がタランチュア教団に逆らう者は、死罪。お前達は意見や疑問を持つ必要はない。ただ我々の神を信じ、我々の教義を信じ、我々の教団を信じよ。お前達の幸せはその先にこそあるのだ」
 もう一人の男は無言に頭を縦に振る。そして周囲の人々も非難の声を上げることはない。その圧倒的な暴力を前に人々は従う他ない。実際、略奪しにきたレイダー達は軒並み返り討ちにしている。外敵に搾取される恐怖からは逃れることができるのだから。そう自分達に言い聞かせて。
 だが人々は知らない。それはすでに支配されていることに。思考も許さないその在り様は奴隷も同然だということに。死の恐怖と圧倒的な力による支配は、もはや逃れられない蜘蛛の糸となって人々の心を捕らえようとしていた。

●グリモアベース・ブリーフィングルーム
「実はこのタランチュア教団、オブリビオンじゃけー、実質マッチポンプみたいなものじゃのー」
 ロスベルトの光景を電脳ウィンドウで見せ、壮大にネタ晴らしするグリモア猟兵のメイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)。このロスベルトを支配する為にレイダーを殺し、その教団の力を見せつけて教義を押し付け、信者が増えてきた頃に強引に支配へと舵を切って、今やロスベルトの人々は教団の奴隷と化している。
「それに逆らった者・教義に反発する者・信仰を捨てない者は容赦なく殺されておるのー。もう遠慮する必要はないけど、まずはロスベルトの人々を勇気づけて欲しいんじゃ」
 今のままタランチュア教団を排除しただけでは、負け犬根性が治らず、完全に奴隷から脱却できずまた新しい支配集団にとって代わられる可能性があるからだ。猟兵達が何らかしらの方法で、その心を奮い立たせる必要があるだろう。
「ということで、教団の支配を完全に排除して、ロスベルトに幸福を届けてくれのー」
 そういってメイスンは転移術式を発動させて見送る。強硬的な支配を続くロスベルト開放は猟兵達に委ねられた。


ライラ.hack
 神は人を救うと言いますが、果たしてそれはどこまででしょうか?
 どうも皆様、新年あけましておめでとうございます、ライラ.hackです。
 今年もどうぞよろしくお願い致します。

 このたびの目標は拠点「ロスベルト」を支配するタランチュア教団の排除です。
 第一章ではタランチュア教団に縛られた人々を奮い立たせてください。奴隷根性から脱却しないと教団を排除した後でもまた新しい集団にとって代わられるだけですので。
 第二・三章ではタランチュア教団員と元締めである教祖との戦いです。全員がオブリビオンですので遠慮なく倒してください。

 難しいことは考えず、立ち回って頂ければ幸いです。
 それでは皆様の素晴らしいプレイングをお待ちしております。
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第1章 日常 『奴隷達に勇気を!』

POW   :    自らの力を誇示・先導し、戦う勇気を与える

SPD   :    戦いの術を教えて、戦う勇気を与える

WIZ   :    武器や知恵を与えて、戦う勇気を与える

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●蜘蛛に絡めとられた拠点「ロスベルト」
 人々は死んだ目で奉仕を続けている。オブリビオンが構成員の「タランチュア教団」に騙され、今やその奴隷と化したロスベルトの人々は様々な仕事に従事しながら、教団にお布施を収めている。その額は膨大で、人々の手元には雀の涙しか残らない。
 だが強大な暴力を背景に人々は反発の声をあげることはできない。少しの反論をあげようものならすぐに殺されてしまうからだ。
 しかし人々はまだ完全な奴隷に堕ちたわけではない。少なくとも奴隷でいいという思考になっているわけではない。
 猟兵達はわずかに残った反骨心を呼び覚ます為に行動を開始した。
アレク・アドレーヌ
【選択:SPD】
希望の光…まぁ戦う術を与えるのが一番だろう
なら鍛錬しかあるまい…とはいえただの鍛錬をしただけではいっぱしの戦士になれん。

this is Sparta… つまり今ここでおのれの限界を突破しろ!じゃないと死にゆくだけだぞと言わんばかりの鬼教官の如き実戦訓練でもってして若者どもをいっぱしの戦士に短時間で鍛え上げてやろうじゃないか。

という訳で、だ。100人組み手はするのはともかくとしてもっと実戦寄りにUC使ったうえでガチの戦闘を実戦形式として行います
速い話が『圧政から解き放たれるためにも今は己を鍛えて叛逆に備えよ。』

今はまだ耐え忍ぶ時であれ、その時には各々戦士の雄叫びを上げろってな


鎧坂・灯理
負け犬根性が染みついているな
これは確かに「勇気づけ」なければどうにもなるまい

『蒲牢』を使い、声量を上げる
【説得】を使用し、聞くもの全てに「共感させる」

聞け!
我々は、貴様らを理不尽で横暴な支配から解放しに来た
だが、貴様らがそのように腑抜けていては、幾ら解放したところで新たな「ご主人様」にとっ捕まるだけだろう
「どうせ勝てない」だの「いつか誰かがなんとかしてくれる」だの
そういう情けない考えはクソの役にも立たんから捨てろ!
言っておくがどれだけ堪えていても事態は好転せんぞ!
大人しい家畜をわざわざ解放するか?しないだろう!
今の貴様らは家畜だ!貪られるだけの存在だ!
いいならそのまま死ね
嫌ならば立ち上がれ!


クトゥルティア・ドラグノフ
※アドリブ共闘大歓迎

力で捩じ伏せ支配する。しかもマッチポンプで。
そんな無茶苦茶な行動なんて許せるわけないよ!

だからこそ、私たちが代わりに護ってあげられるということを示せば、わざわざ続々暴君の下で暮らす必要はないよね?
奴らを倒せるだけの力があるということをしめすよ!

【優しさ】と【コミュ力】で人々に本音をまず聞き出すよ。
それで不満があることが聞けたのなら、オーシャン・ドラゴンの出番!
周辺にある一番大きく固そうな物体を、数発殴ってもらって完全に泡にするよ。
この力なら、どれだけ敵が頑丈でも倒せるという証明になると思うんだ。

大丈夫、私たちは奴らみたいに支配しない。
だから、一緒に戦ってほしいんだ!



 タランチュア教団。その支配構成は三階層に分かれている。まずは拠点「ロスベルト」から入信した一般教団員(拠点の人々すべてが所属)。その上にロスベルト入植前に教団構成員だった中枢教団員。最後に頂点にタランチュア教団の長となる教祖が君臨している。
 その教団が支配する拠点「ロスベルト」。一般教団員の中でも完全にタランチュア教団に屈し奴隷に成り下がった者(奴隷教団員)は、積極的に不穏分子がいないかロスベルトの人々を見張っている。そして少しでも不満を言おうものなら密告され、圧倒的武力を持つ中枢教団員に粛清されるというわけだ。
 そんな奴隷教団員や中枢教団員に染まっていない場所もある。ロスベルトはかなり広い拠点である。それだけの場所はあるにはあるのだ。愚痴を言い合ったり、不安や不満をこぼしたりしたりできる酒場もあるのだ。
 その酒場の前にクトゥルティア・ドラグノフ(無垢なる月光・f14438)は立っている。その心は義憤に満ちていた。
「力で捩じ伏せ支配する。しかもマッチポンプで。そんな無茶苦茶な行動なんて許せるわけないよ!」
 正義の心を持って行動するクトゥルティア。その活動は早く、さっそく酒場に入り、不満や愚痴をこぼしている男達に交じり酒を酌み交わす。酒を飲んでいるからか、それとも教団関係者がいないからか、口も気分も軽くなってしまう。
「だいたいお布施が高すぎるんだよなぁ」
「あと少しでも逆らったら死罪ってやりすぎだろ?」
「そりゃあのクソッタレレイダー共よりはマシだけどよ、これじゃ俺等が干上がっちまうぜ」
「そうなんだ。やっぱりそうなるよねー!」
 そういって優しい笑顔で頷くクトゥルティア。その大らかで人に話をさせるような態度はロスベルトの人々のよそ者への警戒心を解いていく。
「じゃあさ、私たちが代わりに護ってあげられるということを示せば、わざわざ続々暴君の下で暮らす必要はないよね?」
「あ? そりゃあまあそうだが……」
「アンタみたいな嬢ちゃんが、ねえ」
 ぱっと見てクトゥルティアは単なる少女である。男達が懐疑的な目を向けるのも仕方ないことではある。だがその言葉にクトゥルティアはにっこりと笑顔を作る。
「それじゃ、奴らを倒せるだけの力があるということをしめすよ!」
 そう言って能力「蒼海に住まう竜神(オーシャン・ドラゴン)」を発動させて、龍人が現れる。突然に出来事に絶句してビール瓶を落とした男達。そしてその龍人はそれに殴り、その拳に触れた瓶を泡にする。
「な、なんだこりゃ……!」
「アンタ、奪還者(ブリンガー)か?」
「なんならもっと硬いものでも泡にできるよ。試してあげようか?」
 その言葉に男達は首を縦に振る。クトゥルティアの表情を見ればそれは事実であるということは見て明らかだからだ。この力なら、どれだけ敵が頑丈でも倒せるという証明になる。その思惑は成功していた。
「大丈夫、私たちは奴らみたいに支配しない。だから、一緒に戦ってほしいんだ!」
 現状への不満と、タランチュア教団に勝てるかもしれない力。それを目の当たりにして、希望を抱くなというのが無理かもしれない。そういったクトゥルティアの説得に応じ、数十人規模のロスベルトの人々が戦う決意を表明したのだ。

 そしてクトゥルティアの勧誘に乗った人々は、ある場所に集められた。廃墟となった施設の一角、もちろんタランチュア教団の監視の目は届いていない場所である。そこにアレク・アドレーヌ(仮面の英雄・f17347)と鎧坂・灯理(不死鳥・f14037)が堂々とした振る舞いで立っていた。
「これは……負け犬根性が染みついているな。これは確かに勇気づけなければどうにもなるまい」
「希望の光……まぁ戦う術を与えるのが一番だろう。なら鍛錬しかあるまい」
 灯理はその隻眼から集められたロスベルトの民を鋭く観察し、アレクの両眼は光輝いたのが見えた。それはまるで、新入りを訓練する前の鬼教官といった感じだ。
「とはいえただの鍛錬をしただけではいっぱしの戦士になれん。this is Sparta…」
「ならば、鍛え上げてやろう。教団の支配から解放されるようにな!」
 そして鬼の如き猛訓練が始まった。とはいっても一から鍛え上げていては時間がかかりすぎる上に、タランチュア教団にも察知される危険性もある。つまり鬼教官の如き実戦訓練でもってして若者どもをいっぱしの戦士に短時間で鍛え上げる必要がある。
「今ここでおのれの限界を突破しろ!」
「じゃないと死にゆくだけだぞ!」
 そうして始まった100人組み手よろしく、もっと実戦寄りのガチ戦闘を実施。ロスベルトの人々が100人相手で、対するは二人のアレク。一人は本物でもう一人は能力「羽化分裂(ダブルアタック)」で生み出したもう一人のアレクである。戦闘能力を分散させるとはいえ、猟兵としての実力のあるアレクが二人。もはや一般人が束になっても敵わないのは明白で次々と倒し組み倒されていく。
 だがそういった戦いの中でも経験を蓄積されていく。そして闘志も育っていく。まさしくアレクの『圧政から解き放たれるためにも今は己を鍛えて叛逆に備えよ』の意志が伝わっている証拠でもあった。
 しかしもちろん、すべての人々がその訓練についていけるはずもない。中には負け犬根性から脱却できずに早々に諦めてしまうものも出てくる。
「どうせ、俺なんか……」
「どっちみち、あいつらに勝てるはずなんか……」
「そうやってすべて諦めていくのか、負け犬め」
 そんな人々を冷たく見据えるのが、もう一人の教官である灯理だ。竜哮面頬『蒲牢』を使い、声量を上げて地に伏す負け犬達に吠える。
「聞け! 我々は、貴様らを理不尽で横暴な支配から解放しに来た。だが、貴様らがそのように腑抜けていては、幾ら解放したところで新たな『ご主人様』にとっ捕まるだけだろう」
 その声はそこにいるロスベルトの人々すべてに聞こえ、そして心に浸透していた。なぜか抵抗なく、その言葉を受け入れることができる。どんなに否定しようとしている事実であってもだ。
「『どうせ勝てない』だの『いつか誰かがなんとかしてくれる』だの、そういう情けない考えはクソの役にも立たんから捨てろ! 言っておくがどれだけ堪えていても事態は好転せんぞ!」
 耳を塞ぎたい事実。逃げ出したい現実。だがそれと向き合わなければ、立ち向かわなければどうにもならない。そんな気持ちを沸き立てる、灯理の言葉。
「大人しい家畜をわざわざ解放するか?しないだろう! 今の貴様らは家畜だ! 貪られるだけの存在だ! いいならそのまま死ね。嫌ならば立ち上がれ!」
 もちろん灯理のこの演説はただの演説ではない。能力「心術:説得(ピースメイカー)」により、己に対する強いシンパシーを植え付けることに成功し、より言葉が浸透しやすい状態を作っているのだ。その効果は劇的であった。
「俺等は、家畜じゃない!」
「このまま死んでたまるか! やるぞ!」
 そう言って雄たけびを上げた人々は再び訓練へと挑む。見送る灯理は腕を組み、満足そうに笑う。アレクはその後も、強烈な稽古を続けたが、灯理の言葉に火のついた人々が音を上げることはなかったという。

 アレクの実践訓練が終わった後、人々は地に伏せて息をしている。その表情は負け犬のそれではない。戦う者の意志が現れていた。
「今はまだ耐え忍ぶ時であれ、その時には各々戦士の雄叫びを上げろってな」
「みなさーん! 一旦休憩にしましょう!」
 アレクは肩で息をする一人に手を置き、そう激励する。そして差し入れを持ってきたクトゥルティアの声が響き、疲れた身体を引きずってそれにありつく。こうして人々は徐々に戦士へと変わっていき、タランチュア教団の支配に綻びが生まれようとしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ガロウ・サンチェス
【三匹】で行動。
車を走らせながら、街の様子をじっと眺めるぜ。
まだ世界が竜巻に呑まれる前の話だ。俺の住む国は、宗教によって統治されていた。
俺もそこそこの大きさの寺院にいて、僧兵を仕切ってさ
この街を見てると、あの頃を思い出すぜ。

【POW】
車を降りて人の多い場所に移動。パブなんかがあればいいかな
労役をサボるチンピラを装い、大っぴらにギャンブルをしたり
酒を飲んで騒ぎだす。衛兵がホイホイ来たらこちらのもの
イキってる教団員をUCで手当たり次第殴り倒していくぞ

(銅像や石碑など、教団の権威的な建造物に立小便)
弱者を救い、幸福を追求するための宗教を力の誇示に利用する…
みっともないったらありゃしないぜ!


ゼロ・クロニクル
【三匹】で参加

拙者は<動物と話す>技術を使い、街の動物たちとコミュニケーションを図ろう
野良の犬猫やカラス、商店の看板動物などにこっそりと話しかけてみる
拙者は旅の者……名をゼロと申す。お主、この街の現状をどう思う? 暗く、息苦しいとは思わんか?あの法衣の人間達が、この街を変えてしまったのではないか?
街の平穏を取り返したければ、牙を剥いて立ち上がれ! お主に、我が奥義を伝授しよう
『智慧ある獣の牙』!
今この瞬間から、お主はただの獣ではなくなった
我らとヒトは共存関係…ヒトの暮らしが豊かであれば、我らもその恩恵を受けられる
現状に甘んじて餌を漁るだけでなく、街をよりよい姿に変えていけるよう自ら考えるのだ


アモン・スメラギ
【三匹】で行動
さあてお仕事の時間だ。俺は同世代の若者が集まる場所を探ってみるかね
学校の近くの、繁華街なんかはどうだろう
<コミュ力>を発揮して、警戒させないように接触するぜ
「俺はさすらいのソーシャルディーヴァ。この街は息苦しいだろう。
外の世界と繋がってみたいと思わないか……思うよね?
俺、大人達にバレない秘密の遊び場を知ってるんだ」
瑠璃色の蝶から小型端末を取り出し、一人ずつ手渡していくよ
俺が彼らに与える武器は銃ではなく、ソーシャルメディアという「世界と繋がる力」さ
「これが、『聖王国』の鍵。さて、この街に自由を取り戻すために、いけ好かない奴らをぶっ倒そうぜ。どうだい、最高の退屈しのぎじゃないか?」



 拠点「ロストベルト」の街は比較的道路も無事なところも多く、車が往来することも珍しくない。
 そんなロスベルトにひと際珍しいクラシックセダンが走っている。運転しているのは元僧侶のブリンガーであるガロウ・サンチェス(人間のゴッドハンド・f24634)。その後部座席には忍犬のゼロ・クロニクル(賢い動物のストームブレイド・f24669)とフラスコチャイルドの少年、アモン・スメラギ(フラスコチャイルドのソーシャルディーヴァ・f24679)が座っている。ハンドルを握って車を運転しながらも、街の様子をじっと眺めるガロウ。
「まだ世界が竜巻に呑まれる前の話だ。俺の住む国は、宗教によって統治されていた」
 ガロウ自身もそこそこの大きさの寺院に所属しており、僧兵達がその国の軍事はおろか、政を仕切っていた。その空気を知っているガロウだからこそ、このロスベルトは鼻についた。
「この街を見てると、あの頃を思い出すぜ」
「あまりいい雰囲気ではござらんな」
「それじゃ、ちゃちゃっとぶっ潰しますか」
 ガロウの話を聞いていたゼロとアモンの目が鋭くなる。この教団に支配された空気を切り裂くために、行動を開始する。クラシックセダンを適当なところに駐車すると、ガロン達は車から降りる。
「それじゃ行動開始だ。じゃあ、また後でな」
 そう言って手を上げたガロン・ゼロ・アモンはそれぞれバラバラになり、行動を開始する。それぞれやり方が違うが、目的は一緒だ。だが各々最適な方法というものがある。そのうち、ガロンは目についたパブへと向かう。店に入ると一般教団員であるロスベルトの人々が酒を飲んでいる。その表情は往々にして明るい物ではない。
「いいところじゃないか。とりあえず酒貰おうか!」
 ガロンはさっそく一杯頼むと、そこからは派手な酒盛りを始める。その様子はまるでチンピラそのものであり、同じ客にギャンブルを吹っ掛けたり、酒が入って騒ぎ出すなどちょっとした迷惑な客になりつつある。
 だがこんなところでよそ者が派手にやっていれば教団の目につく。近づいてきたのは奴隷教団員と呼ばれるタランチュア教団に完全に屈したロスベルトの人達である。銃などで武装してそれを突き付けるようにして声をかける。
「おい、よそ者。教団の秩序を乱すならとっととここから出ていけ。さもないと……」
「さもないと? イキってる奴隷野郎が俺に口だしているんじゃねえ!」
 そして銃を構えていた奴隷教団員にガロウの拳が突き刺さる。その拳の破壊力はとてつもなく、そのままパブの外まで吹き飛ばされる。拳がめり込んだ男は身体をぴくぴくさせながらも何とか生きている。そして殴られて茫然としている奴隷教団員をガロウの拳が襲う。まさしく虚をつく形となった強襲で、囲っていた奴隷教団員を手当たり次第殴り倒していく。
「弱者を救い、幸福を追求するための宗教を力の誇示に利用する……みっともないったらありゃしないぜ!」
 猟兵でもあるガロウに銃で武装した一般教団員で敵うはずもなく、苦も無く制圧する。そして倒れている教団員から教団聖書を取り上げ、酒で濡らし、そのまま火をつけて燃やしてやる。それを街頭に放り投げる暴挙。まさしくタランチュア教団に真っ向な喧嘩を売る行為だ。だがその力の誇示にパブの人達は内心喝采を送り、その行動に乾杯をしていた。

「さて、それでは拙者も仕事をするとしよう」
 一方、ガロウから別行動のゼロは賢い動物という特性を生かし、街の動物たちとコミュニケーションを図ろうとしていた。相手は路地裏にたむろしている野良の犬猫やカラスだ。
「拙者は旅の者……名をゼロと申す。お主、この街の現状をどう思う?」
 本能によって従っている動物達。だが餌の状況や生活風景からこのロスベルトを取り巻く環境は悪化しているのは理解できているようだ。その様子を察し、ゼロは言葉を続ける。
「暗く、息苦しいとは思わんか? あの法衣の人間達が、この街を変えてしまったのではないか?」
 それがタランチュア教団のことなのはわかった。動物達といえどもあのよそ者の対応は悪いのはわかっていた。餌をくれるどころか、自身を駆除対象とみなしている風に見受けられたからだ。
「街の平穏を取り返したければ、牙を剥いて立ち上がれ!」
 そうしてゼロは動物達に噛み付き、そこから智慧を流し込む。それは戦闘技術と生存技術といった情報の波であった。賢い動物であるが故とユーベルコードという超常の技があっての技であろう。
 噛まれた当初は動揺もあった動物達ではあるが、今は驚きと共に力に満ちた表情をしている。
「今この瞬間から、お主はただの獣ではなくなった。我らとヒトは共存関係…ヒトの暮らしが豊かであれば、我らもその恩恵を受けられる。現状に甘んじて餌を漁るだけでなく、街をよりよい姿に変えていけるよう自ら考えるのだ」
 それはつまり現状を悪くしている存在、タランチュア教団に対しての戦いを意味していた。だが動物達も理解している。それを成しえない限り、自分達の生活がよくなることはないと。こうしてゼロは町の野良生物達の影からの支援を得ることに成功したのだ。

「さあてお仕事の時間だ」
 そう繁華街に足を運んだ最後の一人、アモンが呟く。彼のターゲットは同年代の若者達だ。若いエネルギーは抑圧されるほど強い反発心を生む。それを期待して、アモンはわざわざ学校など学生連中が集まりやすい繁華街を選んでここに来ていたのだ。
 幸いにして夕暮れ前の街角でそれらしい若い学生年齢のグループを見つけることができたアモン。彼は持ち前のコミュニケーション能力を生かして、他所から来たという強みを生かして話題を提供。それを元に、そのグループと仲良くなっていく。
「アンタ、面白いな。この街の外から来たってことはもしかして、奪還者か?」
「ああ、俺はさすらいのソーシャルディーヴァさ。ところで、この街は息苦しいだろう。外の世界と繋がってみたいと思わないか?」
 そのアモンの言葉に若者達は息を飲む。タランチュア教団がロスベルトを支配して以降、他の拠点との交流もなくなった。いや、そんなことをしている暇すらないというのが実情だろう。青年に近い若者は教団の学業と労働が半々くらいで遊ぶ時間すらない。もっと若い連中は洗脳に近い教育を受けていると聞く。そんな中で、アモンの申し出は若者達の好奇心を刺激した。
「……思うよね?  俺、大人達にバレない秘密の遊び場を知ってるんだ」
 そう言ってアモンは瑠璃色の蝶から小型端末を取り出し、一人ずつ手渡していく。それはアモンの力の源、プロジェクト・ディーヴァの力となる世界と繋がるツールだ。
「これが、『聖王国』の鍵。さて、この街に自由を取り戻すために、いけ好かない奴らをぶっ倒そうぜ。どうだい、最高の退屈しのぎじゃないか?」
 ソーシャルディーヴァにとってSNSに繋がる人数というのは大きな力となる。何も銃を持って戦うのが戦いではない。アモンは自身のソーシャルメディア『聖王国』の賛同者として彼等を迎え入れることで、ロスベルト解放の力としようとしたのだ。
 この勧誘は若者の歓心と賛同を集め、大いに加入者を増やすこととなる。アモンのコミュ力もあるが、現状の閉塞感が新たなる世界の可能性が魅力的に見えたのだろう。それがこれからの戦いで大いなる力になるとは若者達は想像もしていなかったが。

 こうして一人が大いに注目を集め、人心を焚きつけている間に、一人が人ならざる小さな協力者を生み出し、一人が力を結集するための賛同者を集めた。
 三人はバラバラに動いたつもりでもそれぞれが力を集め、ロスベルト解放の力の一端を集めようとしていた。それはまさにチームワークとも言えるかもしれない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リルファ・ルシーズ
【HH】で参加、アドリブ歓迎

こんな時代で藁にも縋るっていうのは理解出来るけど、その藁が面倒そうな教団なんてね

【WIZ】

教団と戦うための希望の種でも植えるかね。それがたとえ儚くても、
希望がない状態じゃ立ち上がることも難しいだろうからね

戦い?死?不具になって生きる?全てが怖い?
でも、このままだと死んだように生きてる状態だよ、どうせなら抗ってみないかい

扇動しつつ、医療用のこぎりを自身の左手に当て【部位破壊】で一気に搔き切る

うちの他の2人は強いし、幸い怖いことの1つは、うちがどうにかしてみせるよ、生きてる限りはだけどね

【高速詠唱】で【指定UC】を使い治療を実演し、自身の血で血まみれの顔に笑みを浮かべる


無限・虚数
【HH】で参戦
アドリブ〇

はぁん、なんちゅうか…教団いうてもやることは搾取やもんなぁ
古い時代の価値観のまんま、ぜーんぶ真っ新になったっちゅーのに、ご苦労さんや

ひとまず、勝ち目を見せたるんが一番えぇかな。非常式で身体を巨大化、ちうてまぁデカイ人くらいやけど、してみせるかな
なんにせよ腕力は解かりやすいチカラやもんね。
あとは、うーん、建物にいくらか仕掛けしとくかねぇ(破壊工作)
あとは普段の配置を遠くからでも確認しとくかな(視力)
「ま、言うてアンタらもせめて恥ずかしないようにしなや。子供らに胸張って後は任せた、くらい言えんと……生きる甲斐がないいうもんやろ。ウチにえぇとこみせてや」
くらいは言うとこかな…


尖晶・十紀
【HH】アドリブ歓迎
恩を押し付け、徹底的に、牙を抜く……教団のやり方には、虫唾が、走るよ。

UCを使い出た血を焼却、松明のようにかかげ煽りを交えた演説を。すらすら話すの、苦手だけど…頑張ろう。

今の、君達は、牙を抜かれて偽りの安寧に縋る腰抜け…。あの大災害を生き残ったときの気概は、どこに消えたの?
もういちど思い、出して。この世界は、自分の力で生きなきゃ、戦わなきゃ、生きていけないんだって。
立ち上がって。団結して。どんな手でも使って。下剋上は、今だよ。

(煽りにのってきたら)
ちゃんと、怒れるんじゃん。……だったらもう、やるべきことは…分かる、はず。(更に火力を上げる)



 拠点「ロスベルト」の街中を歩くと、明るい表情をしている人達は誰一人としていない。一般教団員達はもちろん、奴隷教団員達も厳しい目で監視をしたり労役に従事していて、とても余裕はない。そして中枢教団員達もまた、無表情で幽鬼のような目で教団員達を見張っている感じである。この空気があるからこそ、今のロスベルトは淀んでいると言えるのかもしれない。
 そんな希望はなく、絶望しかない表情を見つめている三人の少女達。彼女達は表情をあまり動かさないように観察していたが、呆れたように呟く。
「こんな時代で藁にも縋るっていうのは理解出来るけど、その藁が面倒そうな教団なんてね」
「はぁん、なんちゅうか…教団いうてもやることは搾取やもんなぁ。古い時代の価値観のまんま、ぜーんぶ真っ新になったっちゅーのに、ご苦労さんや」
「恩を押し付け、徹底的に、牙を抜く……教団のやり方には、虫唾が、走るよ」
 哀れな表情を浮かべているのが、紫の髪のフラスコチャイルド、リルファ・ルシーズ(Re-R・f24384)。呆れた表情をしてため息をついているのが、黒髪のフラスコチャイルド、無限・虚数(無限残機の非人道性少女・f24500)。クールに見せて怒りを露わにしている表情をしているのが、銀髪のフラスコチャイルド、尖晶・十紀(紅華・f24470)だ。そう、彼女達はフラスコチャイルドでチームを組んでここにやってきたのだ。

 まずはロスベルトの人達の戦う意志を呼び起こさなければならない。その為に3人はロスベルトでも屈指の工場へと来ていた。リルファは少し緊張しているのか、少し息を吸う。
「教団と戦うための希望の種でも植えるかね。それがたとえ儚くても、希望がない状態じゃ立ち上がることも難しいだろうからね」
「すらすら話すの、苦手だけど…頑張ろう」
 そういって十紀も気合十分なポーズを取る。それを見て虚数が少し笑う。
「それじゃウチは邪魔されんようにしとるさかい、一発かましたるとええ」
 そう言って工場の闇へとへ消えていく虚数。彼女の役目は演説ではなく、ある意味力に訴えるものである。言葉で響かせるのはリルファと十紀に任せたと言わんばかりに、その足取りは軽やかだった。それは二人への信頼の証でもある。
 そして働き続ける人々が見渡せる場所へと上がった二人。よほど疲れているのか、生気がないのか。少女二人が歩いていてもまったく気に止めるようなこともなく、労役に従事する人々。
 そんな生気のない人々に目を向けさせる為に十紀が行ったこと。それは自身の血「灼血」と呼ばれる特殊な血を用いること。能力「ブラッド・ガイスト」を使って派手に出血した後、その血を燃焼させ、松明のようにかかげる。
「な、なんだありゃ!」
「血が、燃えている? 手品か?」
 さすがの派手なパフォーマンスに人々の目が十紀に集まる。そして十紀が言葉を紡ぐ。
「今の、君達は、牙を抜かれて偽りの安寧に縋る腰抜け…。あの大災害を生き残ったときの気概は、どこに消えたの?」
 それは人々の心を煽る演説。確かに気持ちのいい言葉ではないが、何も感じないのであれば希望はない。だからこそ十紀は炎を掲げて存分に煽る。
「こんな目をして、働いて、もう死んでいるも同然。なら、死んだ方が楽じゃない? 大災害で死んだ人に、顔向けできる?」
「なんだと……!」
「何も知らない癖に……」
 煽りを受けた人々からは感情の籠った言葉が零れ出す。もう少しだ、と思った十紀は押しの言葉を放つ。
「もういちど思い、出して。この世界は、自分の力で生きなきゃ、戦わなきゃ、生きていけないんだって」
 戦う。それを考えなかったことはなかったか。タランチュア教団に立ち向かわなかったことはなかったか。それを思い出し、人々の心は弾ける。
「ふざけるな! 俺たちだって……俺達だって戦ったさ!」
「でも勝てないんだよ、あいつらには! あいつらを知らない癖に偉そうに言うな!」
 怒号の声が大きくなり、その感情はうねりとなって工場全体を包む。まさしくその感情は今までになかった怒り、生への狂おしき燃焼の感情であった。
「ちゃんと、怒れるんじゃん。……だったらもう、やるべきことは…分かる、はず」
 人々の怒りなど受けても平然な顔をしていた十紀は、燃やしていた血をさらに火力を上げて燃焼させる。炎はゴゥッという音を上げて燃え盛る。それを見ていた聴衆は強大な力を目の当たりにして、声が止まる。
「戦い? 死? 不具になって生きる? 全てが怖い?」
 そして隣で十紀の炎を眺めていたリルファの口が開く。それは淡々としていて、それでいてよく聞こえる声であった。
「でも、このままだと死んだように生きてる状態だよ、どうせなら抗ってみないかい」
 澄んだ瞳で絶望に沈む人々の瞳を見つめるリルファ。その言葉は正しい。その姿は眩しい。だからこそ、人々は憧れ、怯んでしまう。だがその眩い少女は医療用のこぎりを自身の左手に当て一気に搔き切る。ギザギザの刃が肉を削ぎ取り、鮮血が顔まで飛び散り苦痛で顔が歪むリルファ。
「な、なにを……」
「……ッ! うちの他の2人は強いし、幸い怖いことの1つは、うちがどうにかしてみせるよ、生きてる限りはだけどね」
 そして痛みに堪えながら、能力「ReSummon・Slime(リサモン・スライム)」を発動し、極彩色のスライムを召喚する。そのスライムは傷口に取りつき、瞬く間に傷を修復していく。そして血を失ったはずの顔から血色の良さが戻っていく。まさしく神業、それを実演したリルファの表情は自身の血で血まみれになっているにも関わらず、優しい笑顔をしていた。
「立ち上がって。団結して。どんな手でも使って。下剋上は、今だよ」
 さらに炎を再燃させて十紀は宣言する。それは人を焚きつける言葉。そして自身の力の象徴である炎と、治癒の奇跡の力。これを見せられて希望を見た人々からは、表情から光が戻っていく。

「おい、お前ら! 何をしている!」
「こんなことをしていて、教団に報告するぞ! ……うわあああああああ!」
 そんな派手な演説をしていて教団が動かないはずもない。奴隷教団員達が武器を持ってなだれ込んでくる。だがそこに入ろうとした瞬間、爆発が起こり衝撃で吹き飛ばされる奴隷教団員。物陰には別行動していた虚数が立っていた。今のは邪魔が入らないように張り巡らしていたブービートラップである。
「ハァ……、身も心も奴隷に堕ちてからに。ひとまず、黙らせるには勝ち目を見せたるんが一番えぇかな」
 そうして虚数の能力「非常式(デイ・ブレイク)」が発動する。その力は到って単純である。巨大化、まさしく巨人となった虚数が目の前に立ち塞がる。奴隷教団員達はおろか、演説を聞いていた人達も茫然と見上げて、開いた口が塞がらない。
「ちうてまぁデカイ人くらいやけどな。ま、なんにせよ腕力は解かりやすいチカラやもんね」
 そして近くのコンテナを容易く叩き潰す虚数。その力が張りぼてではないことを目の前で確認できた奴隷教団員達はあえなく銃を捨てて降伏してしまう。
「ま、言うてアンタらもせめて恥ずかしないようにしなや。子供らに胸張って後は任せた、くらい言えんと……生きる甲斐がないいうもんやろ。ウチにえぇとこみせてや」
 それは演説を聞いていた一般教団員達だけではない、奴隷教団員達にも向けた虚数の言葉であった。諦めかけた思いが、圧倒的な力を目の当たりにして、呼び覚まされる。武器を手に取り、人々は戦いの意志を示す。それを見て虚数はリルファに言葉をかける。
「ほな、リルファ。言ったれや」
 そして十紀も頷いて、リルファの言葉を待つ。そして行動の原動力となる言葉をリルファが放ち、教団への抵抗が幕を開ける。
「さあ、うち達と一緒に戦おう! 自由のために!」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ティノ・ミラーリア
【楽園教団】
こんな、ただ使われて死んでいくような生き方が…蔓延っていいはずない。
城にいた頃の自分と似たものを感じてあまり良い気のしない敵だね。

精神的な後押しは玉恵とナターシャで十分にできるだろうし、
外の世界に出て間もない僕が他人の心を掴んで勇気づけるなんて思いもつかない。
だから僕は、わかりやすい方法で行こうと思う…。
まだ迷う者もいるかもしれないので【夜魔の宴】を発動。
周囲を囲む眷属の群れで奴隷になりかけた人々に助勢する力を見せつける。

少なくとも僕らが、この力が君たちを解放する…。
すぐに安全な世界は約束できないけれど、大切なものを守らず、
ただ奴隷として死んでいくなら…いっそ、ここで死んでみる…?


ナターシャ・フォーサイス
WIZ
【楽園教団】
教義に異を唱える者を殺し、ですか。
…その信仰を、私は使徒として否定します。
逆らえば殺されるなど、それで作られた救済など紛い物。
それは、否定されねばなりません。

それよりも、我々と共に楽園へ至りましょう。
苦しみも悲しみも痛みもない、幸福の約束された理想郷へ。
生けるものはそこへ至るため、祈り歩むのです。
主は必ずや、受け入れてくださるのですから。

…ですので。歩むためにまず、天使達を呼び皆様へ加護を授けます。
皆様は楽園へ至る新たな使徒として、無力な奴隷ではなく未来を取り戻す使徒として、皆を導くのです。
さぁ、我々と共に征きましょう。
偽りの信仰を、偽りの救済を打ち倒しましょう。


大崎・玉恵
【楽園教団】
立ち向かう心が必要か。
任せよ、人心を掌握する術を以て神とされた身じゃ。

【傾国・酔生夢死】による幻術で「敵を打ち破り、解放され希望ある未来へ向かう己の姿」を虐げられておる者達に見せ【誘惑】する。
……どうじゃ?一歩踏み出せば、お主らはこの未来を手に入れることができる。わしらにはそれを成す力があるのじゃ。

酔生夢死の力で、この光景に心震わせた者はわしに全て委ねたくなる。
期待しておるぞ、等と軽く焚き付ければ沸き立つじゃろう。

いかな力を持とうが、全てを定めるは心の力よ。烏合の衆も束ねれば、万の軍を打ち破ろう。……わしは、少し背中を押すだけじゃ。



 ロスベルト聖堂。今は崩壊する前はカトリック系の教会であったが、今は改修され様々な宗教の祈りの場として利用されていた。だが今やタランチュア教団により、他宗教の信仰は弾圧され、今やタランチュア教団の神の祈り場と化している。
 そうして普段の労働から疲労しながらも、人々はタランチュア教団への信仰を示すために聖堂に足を運んでいる。そうしなければ中枢教団員の制裁が待っているからだ。
 だがそんな完全なる一神教のロスベルトにて、一石を投じる者達が現れる。彼女達は自らを「楽園教団」と名乗り、この聖堂で教えを説き始めたのだ。
「あ、アンタ達。ここで布教なんてやめておいた方がいい。タランチュア教団は他の宗教を許さない。教義に逆らったら……」
 聖堂に祈りに来ていた親切そうなロスベルトに住む男が声をかける。それに対して、楽園教団の一人、ナターシャ・フォーサイス(楽園への導き手・f03983)は優しく微笑む。
「教義に異を唱える者を殺し、ですか。……その信仰を、私は使徒として否定します」
 その言葉にごくりっと唾を飲み込む音が聞こえた。この拠点を支配するタランチュア教団、それに真っ向から喧嘩を売る発言であることは明白だからだ。
「逆らえば殺されるなど、それで作られた救済など紛い物。それは、否定されねばなりません」
「そう。こんな、ただ使われて死んでいくような生き方が…蔓延っていいはずない」
 そう言ってナターシャの傍で首を縦に振っているのは、ティノ・ミラーリア(夜闇を伴い・f01828)。ダンピールであり、あまり表情を顔に出さない彼女ではあるが、今回は不快を露わにしている。このタランチュア教団のやり方が、ヴァンパイアの城にいた頃の自分と似たものを感じてあまり良い気のしないからだ。
 そしてナターシャは再びロスベルトの人々の元へとゆっくりと歩み寄っていく。その足取りは自然で、それでいて荘厳な雰囲気を醸し出している。彼女を見ると平伏したくなる気持ちになるのだ。
「それよりも、我々と共に楽園へ至りましょう。苦しみも悲しみも痛みもない、幸福の約束された理想郷へ」
「そのためには、立ち向かう心が必要か。任せよ、人心を掌握する術を以て神とされた身じゃ」
 優しく語り掛けるナターシャとは別に、それに懐疑的な視線を向けている集団を見かけた妖狐の大崎・玉恵(白面金毛・艶美空狐・f18343)は一計、というか秘術を弄する。
 それは能力「傾国・酔生夢死(ケイコク・スイセイムシ)」による幻術で、それにかかった半信半疑の集団達は幻に誘われていく中で確かに見てしまったのだ。『敵を打ち破り、解放され希望ある未来へ向かう己の姿』を。しかも夢ではない、現実の姿として体験するといった高度な疑似体験を伴う幻術である。
「い、今のは……?」
「……どうじゃ?一歩踏み出せば、お主らはこの未来を手に入れることができる。わしらにはそれを成す力があるのじゃ」
 妖艶な笑みで玉恵は誘う。そしてその反応を見てさらに笑みが深く刻まれる。
 その心は大きく揺れていた。あの希望に満ちた姿が忘れられない。酔生夢死の力で、この光景に心震わせた者は玉恵に全て委ねたくなる。そういう効果だからこそ、後は一押し。
「期待しておるぞ」
 軽く焚きつけられただけで、心は踊り身体は沸き立つ。あの見た理想の光景を現実のものにできるという確信と共に戦いの意志を持った雄たけびを上げる集団。それを見ていたナターシャは玉恵に賛辞を贈る。
「さすがです、玉恵さん」
「なに、いかな力を持とうが、全てを定めるは心の力よ。烏合の衆も束ねれば、万の軍を打ち破ろう。……わしは、少し背中を押すだけじゃ。それに次はおぬしじゃぞ?」
 そう玉恵がウィンクすると、ナターシャは軽くお辞儀をして、玉恵の幻術で鼓舞された人々を見て戸惑っている人々に対して語り掛ける。
「生けるものは理想郷へ至るため、祈り歩むのです。主は必ずや、受け入れてくださるのですから。…ですので。歩むためにまず、天使達を呼び皆様へ加護を授けます」
 そしてナターシャは能力「限定解放:大天使の翼(アンロック・エンジェリックフェザー)」を発動し、自らも機械天使に変化し、天使を喚び出す。それはまさしく大天使が天使を従え、降臨した一枚絵にも見えた。
「おお、これは……」
「天使、様?」
 そして光が溢れ、その天使の加護を授かった人達に力が溢れてくる。それどころか、疲労は回復し、仕事で得た傷は治癒し、逆に力が漲ってくるのだ。
「皆様は楽園へ至る新たな使徒として、無力な奴隷ではなく未来を取り戻す使徒として、皆を導くのです」
 使徒様、天使様、という言葉がそこらかしらから聞こえてくる。もはや神託を授けられた使徒のような気分が人々を包んでいた。もはや絶望はなく、使命感が人々を支配している。そして使命とは時に恐怖を凌駕するのだ。
「さぁ、我々と共に征きましょう。偽りの信仰を、偽りの救済を打ち倒しましょう」
 そのナターシャの言葉に、力を与えられた人々は歓声を上げる。もはや彼等は奴隷ではない。抑圧を開放するために戦う使徒となったのだ。

「さすが玉恵とナターシャだね。外の世界に出て間もない僕が他人の心を掴んで勇気づけるなんて思いもつかない」
 方法は違えど人心を掴んだ二人をみてティノは感心している。見事な精神的な後押しは彼が参考しようとしてもできるものではない。
 だが神聖的な風景を見ても、熱狂する人々を見ても、まだ動けない人達もいる。とても臆病で、現状に無理やり満足してしまおうとする、奴隷根性が染みついてしまった人。それを見たティノは影を纏い始める。
「だから僕は、わかりやすい方法で行こうと思う…」
 見せるは、能力「夜魔の宴(ヴァンパイア・フェスト)」による眷属の展開。無数に出現した眷属達はどれも自身を容易く屠れる存在であるのは目に見ても明らかだった。そんな臆病な人々は眷属達を隣に置かれて、その主たるティノに視線を向ける。
「少なくとも僕らが、この力が君たちを解放する…」
 そう言いながらも、夜の眷属、ダンピールとしての魔性を露わにしてティノは人々に顔を近づける。
「すぐに安全な世界は約束できないけれど、大切なものを守らず、ただ奴隷として死んでいくなら…いっそ、ここで死んでみる…?」
「い、いえ!」
「死、死にたくないです! 戦います! 戦わせて頂きます!」
 軽く脅したつもりだったが、思った以上に怖がらせてしまったようだ。だが効果は抜群なようで、すでにタランチュア教団に戦う意志を見せている人達を見て、ティノはため息をつく。自分なりの方法がうまくいってよかったと内心安堵するのだった。

 こうして聖堂から発生した熱狂的な反タランチュア教団勢力は、他の猟兵達が発生させた勢力達とも絡み合って、タランチュア教団支配についに反抗を開始しようしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『異端審問官』

POW   :    邪教徒は祝福の爪で切り裂きます
【強化筋肉化した右手に装備した超合金製の爪】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    邪教徒は聖なる炎で燃やします
【機械化した左手に内蔵の火炎放射器の炎】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    邪教徒に相応しい末路でしょう?
自身が【邪教徒に対する狂った憎しみ】を感じると、レベル×1体の【今まで殺した戦闘能力の高い異教徒】が召喚される。今まで殺した戦闘能力の高い異教徒は邪教徒に対する狂った憎しみを与えた対象を追跡し、攻撃する。

イラスト:純志

👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●タランチュア教団、その恐怖の源泉
 ガロウが発生させたパブの混乱から始まり、街はずれの廃墟からの武装集団、工場地帯の反乱デモ、聖堂の反タランチュア教団勢力、さらに小動物達の攪乱網、若者のソーシャルメディアによる情報網が絡み合い、拠点「ロスベルト」は混沌の渦に叩き込まれた。
 まさしく支配しているタランチュア教団を揺るがす事態で、奴隷教団員も鎮圧に当たろうとしているが、すでにかなりの勢力と武力を誇るようになり、彼らでは収拾が不可能はほど勢力は拡大していった。
 そして各勢力は合流を果たし、ついにタランチュア教団本部まで迫っていた。
「お前達! タランチュア教団に対しこんなことをしてただで済むと思っているのか!」
 そういうのは奴隷教団員の一人だ。だが反旗を翻したロスベルトの人々は怯まない。
「うるさい! もうタランチュア教団の支配はたくさんだ!」
「教義なんてくそくらえだ! 俺達は戦うぞ!」
 そのうねりはもはや止められるものではない。奴隷教団員が諦めたようした、その瞬間―――
「……はえっ? カハッ!」
 その首に一文字の傷が刻まれる。すでに半分ほど首を切断され、血が溢れ出し、呼吸すらままならなくなる。それをやったのは後ろに立っている中枢教団員。しかも、その中でもタランチュア教団殺戮部隊として悪名を馳せる異端審問官。その鋭利な爪が切り裂いたのだ。
「タランチュア教団に逆らう邪教徒は爪で八つ裂きにしましょう」
「いえ、この聖なる炎で焼き尽くしましょう」
「もしくは邪教徒同士で殺し合いますか? どちらにしても鏖(みなごろし)です」
 サイボーグ化した左腕から火炎放射器の炎が噴き出て、ロスベルトの民を燃やし尽くさんとする異端審問官。爪を構え、さらに殺した異教徒すら使役するこの殺戮部隊を相手にロスベルトの人々だけでは全滅は必至。
 猟兵達は前に出て戦おうとする。だがロスベルトの人々も武器を取って援護しようとしている。その姿に勇気を貰いつつも、凶悪な敵に対し戦いを挑む。タランチュア教団との本格戦闘が今、幕を開ける。
ガロウ・サンチェス
【三匹】で行動

ここが教団の施設か。あのコートの奴らが幹部かね?
教団への反乱分子は、あいつらが始末してるってわけだ

「ちわー、出前でーっす」
街の住民は、ここにお布施を納めに来ていたんだよな?
なら、中の構造は誰かに聞きゃある程度把握できる筈だ。
はぐれねえように三人一組で行動し、連携して仕留めてやるぜ

基本は前に出て<グラップル>による格闘戦。
これ見よがしに爪を見せびらかしやがって、フィニッシュはアレで来るのが
丸わかりじゃねえか。爪のリーチは長いが、殆ど上半身狙いだろ
身体を反らして回避、こちらは膝にローキックをバシバシ当てていくぞ
ふらついて体勢を崩したらこちらのもの、【一撃必殺】の拳を
ぶちこんでやらあ!


ゼロ・クロニクル
【三匹】で行動

戦う勇気を持った獣たちを甘く見るなよ、人間。
彼らはあくまでただの動物だが、人間に出来ない方法で助けてくれるだろう
彼らには身体の小ささを活かして施設内に忍び込んでもらい、
教団の設備を勝手に作動させたり
故障させたりして混乱を招いてもらおう。例えば、エレベーターを
止めておく程度の嫌がらせでも充分時間稼ぎになるだろうて。

【戦闘】
忍者手裏剣をアーマーから撃ち出して、前衛のガロウを援護する。
格闘中に敵の背後から忍び寄って<暗殺>で噛みつき攻撃。
【智慧ある獣の牙】で対象の習性と味を記憶したら、敵の急所を狙って
攻撃を継続。
「まったく、なんと不味い血の味だ。おそらく一生忘れることはござるまい」


アモン・スメラギ
【三匹】で継続参戦

さて、腐った街に住み着く毒蜘蛛を一掃しますか
『聖王国』を通じて集まった若者たちには、引き続き街で暴れてもらうぜ
写真や動画を撮ってどんどん拡散してくれよ、俺の力が増すからな
ただし、戦闘員に見つかったら絶対逃げろと警告。あれは俺たちの獲物だからな

この街で聖王国の民も増えたところで、ここらで助力を頼もうかね
【プロジェクト・ディーヴァ】を発動し、SNS空間に『王』のアバターで降臨だ
『これより聖戦(ホーリーウォー)を発動する……【マナ】の力を決戦の地、ロスベルトへと送るのだ!(エコー)』
我ながら大した演技だぜ、なあ?
ソーシャルレーザーのエネルギーをチャージしたら、光線を<乱れ撃つ>ぜ。


鎧坂・灯理
聖なる炎だ?ハッ!
生温いんだよ、カスが
本当の炎を見せてやる

保護指定、猟兵とロスベルト人員!
発動――【獄落】
一般人に襲いかかる審問官共を、灰も残さず蒸発させては
他へ移動しまた蒸発させてを繰り返す
これくらい派手にやってやれば、元奴隷共の気勢も上がるだろ
そのまま戦士になってくれれば安泰なんだがな

敵の炎?ああ、火炎放射器だったか
念動力で炎の方向をねじ曲げよう
自分でも焼いてろ


リルファ・ルシーズ
【HH】で参加、アドリブ歓迎

早速、狂信者のお出ましかい、ベースはともかくサイボークというは気に食わないね。
それじゃ、うちと同じじゃないかい

【WIZ】

予め【情報収集】し、敵を誘い込む場所の当たりをつけておくかね。

【指定UC】を使い、鴉とその使い魔として無数のコウモリを召喚するよ、命じるは牽制と【時間稼ぎ】、【吸血】と【部位破壊敵】で敵の目を狙いその憎しみが使い魔達に向いたら一網打尽にするために十紀さんと虚数さん、そして決起した者たちの方へと誘導するとするかね

お客さんのお出ましだよ。止めは任せるよ。うちの戦闘能力はしれているからね


無限・虚数
【HH】で参戦

「ん、ようやっとわかりようなってきたなぁ。やっぱ最後は暴力で解決が一番やわ
せやろ?」
UCを起動、エネルギーを奪う特性を用いて運動エネルギーや熱エネルギーを奪い周囲への被害を押さえながら戦闘を行う

「やっぱな、ウチらはこれでも人類の為に作られとるよってな、こーゆーことせなアカンのよ」
敵をUCで掴み、直接的に熱や生命力を奪う行動も狙う。出来るだけ凄惨に。

「ま、この世のもんでも無いんに何を言うても無駄やろなぁ。ほいでもまぁ…
正当化はおたくらの十八番とはいえ、ないでもかんでも聖なるなんやいうたらあかんよ。
命もなんでも、大事にしすぎたらイカンいうて昔からいうてはるやろ」


尖晶・十紀
【HH】アドリブ可
「……そうだね、虚数……教義だなんだと、言ってても……結局は、力が全て。」


UCで燃やし尽くそう。
十紀の役目は切り込み隊長&囮。兎に角派手に暴れ回って注意を惹き付け、場の流れを持っていく。【激痛耐性】があるから、足が止まることもない……むしろ、裂いてくれた方が、自分で切る手間が省けていい。…そうだ。その血、毒だから……気をつけて。

「十紀に、教義を説く、つもりなら……無駄だよ。元々、神様信じてるわけじゃ、ないし……
そうでなくても……教義を理由に、人を傷つけることを許すなんて……くそくらえ」


アレク・アドレーヌ
一応変装して様子を窺っていたが…ならば今こそ叛逆の狼煙を上げろ。旗を掲げよってな。扇動をおこす必要性は…なさそうだ

とは言えこいつの相手をして倒して置かねぇとまた同じことが起こり得るから…全力で相手をしようかね


おまけに相手が爪で攻撃してくるというし【見切り】で回避してても埒が明かんから…『猟兵』という武器でもってして文字通り『使って』攻撃してやるか。味方の猟兵からしたらたまったもんじゃないだろうがちょっと我慢してもらおう

何、痛みは一瞬だ


クトゥルティア・ドラグノフ
※アドリブ共闘大歓迎

出てきたね、オブリビオン。
君たちを倒して、この集落に平和を作らせてもらうよ!

引き続きオーシャン・ドラゴン。
【戦闘知識】を活用して、二人で一人に襲い掛かるように心がけるよ。
私本体は【怪力】を使った剣術メインで攻め、オーシャン・ドラゴンは泡化の拳でラッシュを行わせるよ。
無差別の炎は使わせない!
オーシャン・ドラゴン、地面を泡化させて滑らせ、火炎放射の向きをずらす!
そして、オーシャン・ドラゴンは触れることが出来るなら何でも泡にできる!
仮に発射されても泡にしてあげるよ!

十分拳と剣の間合いに入ったなら、二人同時のラッシュ攻撃だ。
「いくよオーシャン・ドラゴン!」『WSHYAAAAA!!』


ナターシャ・フォーサイス
【拠点】
信徒たる貴方がたが、同じ信徒を殺めるとは…
信仰心は否定しませんが、その行いは使徒として否定します。

ですが敬虔な信徒なのは事実。
【祈り】【誘惑】【催眠術】【精神攻撃】【範囲攻撃】で我々の教えを広め、改宗し同胞となって頂きましょう。
これより此処はまだ見ぬ楽園が一端。
天使達を呼び、皆様へ加護を授けます。
抵抗する彼らの力は封じます。
そして【高速詠唱】【全力魔法】【範囲攻撃】の聖なる光で、彼らを祓い道を示すのです。
新たな使徒達には天使をつけ、加勢し自信をもって頂きましょう。

あとは玉恵さんとティノさんが、貴方がたの罪を祓ってくださいます。
どうか貴方がたにも、楽園のご加護のあらんことを。


大崎・玉恵
【拠点】
異端、のう。
嵐に蹂躙されきった世界なのじゃ、そんな些事に拘らず助け合えばよかろうに。
まぁ、牙向くならば応えるまで。覚悟せよ。

てぃのの影よりの攻撃を起点とする。
奴は炎で敵味方区別なく焼くそうじゃな?……己も、区別はないのじゃろう?
影よりの杭を炎で照らしながら打ち消し攻撃をするはずじゃ。そこを狙い【御社・出雲八重垣】で多重結界を展開、炎を奴等の回りから拡散しないよう囲うぞ。

……逃げ場を無くした無差別に焼く炎。己の力を身を以て味わうがよい?
焼き尽くせなければ【焼却】の【呪詛】を結界内に放ってもよし、多重結界で締め付け痛打としてもよい。


ティノ・ミラーリア
【拠点】

どこを見ても、この世界は息苦しい所ばかりだね……
あれを斃したら…少しはましになるのかな?

ナターシャの援護ももらったところで、一息に畳みかけてしまおう。
【眷属の召喚】を発動し影の中から『眷属』のオオカミ・コウモリを召喚。
その群れでの「先制攻撃、範囲攻撃、捕食、吸血、蹂躙、生命力吸収」。
併せて、『狩猟銃』による「呪殺弾、援護射撃」と『纏影』の「串刺し、鎧砕き」で自身の眷属や味方の行動をサポートする。

敵の攻撃は続く玉恵が防いでくれるはずだけれど、
零れたものは手近な『眷属』か『纏影』で「かばう」。
最後の抵抗でも…傷つけさせはしないよ?



 タランチュア教団本部にて異端審問官達が反タランチュア教団勢力を制圧しようとしていた時、その殺戮部隊がいない間にロスベルトの街では混乱が続いていた。
 その背景にはアモン・スメラギが勧誘したソーシャルメディア『聖王国』の若者達にあった。アモンが直接勧誘したメンバーだけではなく、そのメンバーが勧誘することによってどんどん勢力は拡大していき、その力は侮れないものになってきている。メディアを通して写真や動画をアップロードすることで、同士を増やしていき、順調に賛同者を増やしていく『聖王国』
『ただし、戦闘員に見つかったら絶対逃げろ。あれは俺たちの獲物だからな』
 そう『聖王国』を通じて警告するのも忘れない。そして人類が叡智の結晶にて戦っている間、動物達も動く。
「戦う勇気を持った獣たちを甘く見るなよ、人間」
 そう言い放つのはゼロ・クロニクル。動物達はあくまでただの動物だが、人間に出来ない方法で助力してくれる。猫や犬などはその小さい身体を生かして、カラスは空から自由に教団施設内に忍び込む。教団関係者もこの暴徒が押し寄せてくる時、たかが小動物風情と警戒もしない。だが教団の設備を勝手に作動させたり、故障させたりして混乱を招けばその影響は軽微ではない。エレベーターの故障や警備装置の作動など各地に不具合やトラブルが起きれば、敵戦力の結集を防ぐことができるからだ。

●タランチュア教団本部・裏口
「ちわー、出前でーっす。……ここが教団の施設か」
 そんな混乱が続く教団本部に、ガロウ・サンチェスの軽快な声が響く。傍には合流したゼロとアモンの姿も見える。実はパブでの騒ぎの後、街の住民から教団本部について話を聞いていたのだ。中の構造は、お布施を収めている故にある程度把握できる情報を手に入れることができ、そして幸運にも裏口を知っている人物にも話を聞くことができた。そしてそこから突入し、さらに混乱を拡大しようという作戦だ。
「裏口から来ましたか。ですが無駄です」
「我ら、異端審問官は邪教徒に出し抜かれることなどあってはいけません」
 だがさすがに敵も馬鹿ではない。ここにも異端審問官は配置されてはいるが、明らかに数は少ない。ゼロやアモンの策は確実に敵の結集を防いでいる証拠であった。
「あのコートの奴らが幹部かね? 教団への反乱分子は、あいつらが始末してるってわけだ」
 そんな異端審問官の姿を確認してガロウは拳を鳴らす。それに対し、異端審問官は爪を構え、強化筋肉を動員して勢いよく敵を切り裂かんとしている。
「死ね、邪教徒」
 だがその鋭い爪の一撃はガロウは身体を揺らし、緩急を付けて回避する。その表情はすでに獰猛なものに変わっている。
「これ見よがしに爪を見せびらかしやがって、フィニッシュはアレで来るのが丸わかりじゃねえか!」
 確かに爪の攻撃はリーチは長い。だが狙いはほとんど上半身になるだろうと当たりをつけていたガロウの予測が当たっていたといえる。そして回避すると同時に下半身に向けてローキックをお見舞いする。膝を砕かんと放たれたその強烈な蹴りは、異端審問官の態勢を崩す。
「この程度で我が屈するとでも……」
「そうかよ、じゃあぶちこんでやらあ!」
 ふらついた異端審問官の顔面にガロウの一撃必殺の拳が炸裂する。ゴッドハンドとしての能力を注ぎ込んだ破壊拳は、クルミを砕くように頭部を破壊し、脳漿はおろか頭蓋骨すら跡形もなく吹き飛ばす。
「よっしゃ、次こいや!」
 だが一人が無残に頭部が吹き飛んだにも関わらず、仲間の異端審問官は顔色も変えず、左手をかざす。そこから飛び出てくるのはサイボーグ化した左手に収納した火炎放射器だ。爪の一撃なら回避もできるが、火炎放射器の範囲は広い。
 しかしその火炎放射器の左腕に襲い掛かってくる手裏剣。放射される前にサイボーグの腕で叩き落す異端審問官。それはゼロがアーマーから発射した忍者手裏剣であった。飛んできた方向を見る異端審問官だが、すでにゼロの姿はない。
「こっちだ、愚か者め」
 すでに動物の四つ足を生かして異端審問官の背後に回り込んでいたゼロ。その生身の肩に噛み付き、肉を抉る。噛み口から血が迸るが、異端審問官は痛みなど感じていないのか、冷酷な瞳をゼロに向ける。
「獣如きの攻撃など、我が信仰心の前には無力。聖なる炎で浄化されろ」
 そうして火炎放射器の炎がゼロに対して放たれる。だがゼロは被弾するどころか、それを見ずに回避した。「智慧ある獣の牙」により、相手の習性を理解し、炎の放射タイミングを完璧に理解したからである。そしてその機に一気に相手の死角へと飛んだのだ。
「ならば獣によって倒れてみるか、人間!」
 そして次にゼロが噛み砕くのは致命に至る首。その生肉を抉り取り、異端審問官の傍を通り過ぎる。首の半分を抉られた異端審問官は、シャワーのような血を吐き出した後、目が移ろになり地に伏す。それを見てゼロは異端審問官の首肉を吐き出して、踵を返す。
「まったく、なんと不味い血の味だ。おそらく一生忘れることはござるまい」
「ハッハァー! 御機嫌だなゼロ!」
 ゼロが息の根を止める間に、ガロウはまた一人異端審問官の顎に一撃必殺を叩き込み、その命を終わらせる。ゼロも負けじと手裏剣を飛ばしてガロウを援護する。しかし異端審問官もやられてばかりではない。
「忌まわしき邪教徒め。ならば邪教徒同士で殺しあうがいい」
 連携すら寸断するように数を求める。異端審問官が召喚するのは、今までタランチュア教団に盾突いた異教徒、それも戦闘能力の高い武装集団である。手にマシンガンやショットガンを構えてガロウやゼロに向けて一斉射撃をする。
「うおッ! 危ねえ!」
「厄介な術を使うでござるな」
 咄嗟に物陰に隠れた二人。その銃弾の雨にどうしようかと思案していると、今までソーシャルメディアに浸っていたアモンが動く。
「それじゃ僕の出番だね。聖王国の民も増えたところで、ここらで助力を頼もうかね」
 そういって再びSNS空間に接続し、「プロジェクト・ディーヴァ」を発動させる。その姿は自身の現身ではなく、まさしく聖王国を統べる『王』であった。威厳のあるアバターで降臨したアモンは宣言する。
『これより聖戦(ホーリーウォー)を発動する……【マナ】の力を決戦の地、ロスベルトへと送るのだ!』
 エコーした声ははっきりとSNS空間に響き渡り、拡張を続けるソーシャルメディア『聖王国』の賛同者達が願いを実現するためのエネルギーを流し込む。それに応じて、アモンの体内に膨大な力が溢れ出してくる。
「我ながら大した演技だぜ、なあ?」
 そしてその溢れるエネルギーを自身のソーシャルレーザーにチャージし、弾幕を張る召喚された異教徒に対し開放する。強烈なレーザー光線は一条の光だけで一人を蒸発させ、それがいくつにも乱れ撃たれる。そのレーザー雨に対して、異教徒はおろか異端審問官すら跡形もなく吹き飛ばされる。エネルギーがすべて使い切った後はもはや敵は消滅していた。
「派手だねえ。だがこれでもう障害はないな!」
「うむ、教団の中枢へ向かおう」
「他の皆とも合流しないとね」
 こうしてガロウ・ゼロ・アモンの三人によって裏口は制圧され、タランチュア教団本部制圧に一歩近づいたのであった。

●タランチュア教団本部・北門
 一方、ロスベルト工場地帯にてタランチュア教団本部に迫った反乱デモ隊には、リルファ・ルシーズ、無限・虚数、尖晶・十紀の三名がついており、教団本部北側にて、異端審問官達と対峙していた。
 その数は相当なもので鎮圧に本気なのが伺える。デモ隊だけではおそらく皆殺しになってしまうだろう。そんな中でリルファは一人ため息心地に呟く。
「早速、狂信者のお出ましかい。ベースはともかくサイボーグというのは気に食わないね。それじゃ、うちと同じじゃないかい」
 サイボーグ実験体とはいえ、同じサイボーグという一括りにしてほしくない気持ちで満たされる。『アレ』はもはやキリングマシーンに近い性質を持っている。そのことにリルファは本能に近い嫌悪感を抱いていた。
「同感ですね。邪教徒と同類など虫唾が走ります」
 そう言いながらも異端審問官達は顔色一つ変えない。ただ自身達の神以外を信じる輩を滅ぼすことしか頭にない、まさしく狂った信徒である。
「なら、やろうか。『召喚、座標固定、対象識別』」
 そして一呼吸の後、リルファは能力「Resummon・Malphas(リサモン・マルファス)」を発動させると同時に、虚数と十紀に目で合図を送る。二人はそれを感じ取り、デモ隊に指示を送る。
「ここは一旦引くで!」
「……リルファ、任せた」
 デモ隊と共に撤退の構えを見せた虚数と十紀を逃がすまいと異端審問官達も動こうとする。だがそこに鴉の悪魔が立ちふさがる。そしてその周囲に飛来する鴉の使い魔達の目、目、目……
「さ、仕事の時間だよ」
 元は無機物に過ぎない者達だが、リルファに掛かれば悪魔に化けさせることもできる。鴉の悪魔が異端審問官に飛び掛かりその血を啜り、鴉達が急降下して飛来し、嘴で肉や目を啄む。まさしく黒の軍勢の襲来に異端審問官達も足を止めざるをなくなる。
「悪魔を使役しますか、邪教徒め。ならば同じ邪教徒を当てるまで」
 そして呼び出すは武装した異端審問官達が葬った異教徒の軍勢。鴉にマシンガンの弾丸が突き刺さり、ショットガンの炸裂弾が鴉の悪魔の肉を吹き飛ばす。そして形を保てなくなった者達は再び無機物へと帰っていく。
「この悪魔達は弱いですね。所詮コケ脅しですか」
「ばれちゃったか。でもただではやられてあげないよ」
 リルファは能力を発動したまま、後方に撤退する。次々と鴉の悪魔や使い魔を創り出しては異端審問官と異教徒達に当てていく。それを猛烈な勢いで屠り、リルファを追撃する。少なからず被害は出るものの、数と戦力は異端審問官側に分があった。そしてついにリルファを袋小路の場所まで追い詰める。
「もう逃げられません。そしてここに悪魔を作る素材はない」
「そうだね、うちの戦闘能力はしれているから絶体絶命。だけど、それは事実かな?」
 異端審問官達が疑問を感じる前に、リルファは近くにあったマンホールを蹴飛ばし、その穴へと落ちる。そして合図と言わんばかりに大声で合図の言葉を言い放つ。
「お客さんのお出ましだよ。止めは任せるよ!」
 そして上から現れたのは武装化したデモ隊達。無数の銃口が異端審問官達に向けられている。そして360度から放たれる上からの容赦ない射撃が降り注ぐ。これには異端審問官も強烈なダメージを喰らうだけではなく、呼び出した異教徒達も肉片となっていき、行動不能に陥っていく。
 実はリルファは予め本部北側の市街地を偵察し、敵を誘い込む場所の当たりをつけていたのだ。そこに兵を配置し、敵を死地へと誘い込む為に。
「ん、ようやっとわかりようなってきたなぁ。やっぱ最後は暴力で解決が一番やわ。せやろ?」
「……そうだね、虚数……教義だなんだと、言ってても……結局は、力が全て」
 敵軍勢に大いなる打撃を与えたところで、満を持して現れた虚数と十紀。まず動いたの虚数だ。
「使うたんびに、ウチがバケモンになる気がして嫌いなんやけどなぁ」
 そう言いつつ能力「私に触れないで(フリーズ・コールド・タッチ・ミー)」を発動させる。そして虚数の身体から無数の亡霊の手が出現し、それを異端審問官に放つ。その異才の手が首を掴み、腕を握り、足を捕らえる。
「な、なんだ、これは……力が……!」
「やっぱな、ウチらはこれでも人類の為に作られとるよってな、こーゆーことせなアカンのよ」
 異端審問官達からエネルギーが失われていく。虚数の亡霊の手こそ、エネルギーの簒奪者。つまり異端審問官達の運動エネルギーや熱エネルギーを奪っていたのだ。それは熱を失い、力を失い、生命すら奪われる。まさしく死神が魂を嬲るがごとく、出来るだけ凄惨に敵からエネルギーを奪っていく。
 それでも力が完全に奪われる前に動こうとする異端審問官達に対し、十紀は血を持って迎え入れる。自身の身体から燃え盛る血を放出する「ブレイズフレイム」を発動させているが故に、その血は地獄の炎を宿す。血を浴びせては煉獄に堕とし、さらに傷を負わす相手にはその爪と手から地獄の炎が伝染していく。そうして彼らは神に祈る間もなく燃やし尽くされていく。
「な、ぜ、だ。お前等、邪教徒に、我等が……」
「十紀に、教義を説く、つもりなら……無駄だよ。元々、神様信じてるわけじゃ、ないし……」
 そうして最後に突撃してきた異端審問官に血を浴びせて骨まで焼き尽くす十紀。そしてその灰以下になった存在に言い捨てる。
「そうでなくても……教義を理由に、人を傷つけることを許すなんて……くそくらえ」
「ま、この世のもんでも無いんに何を言うても無駄やろなぁ。ほいでもまぁ…正当化はおたくらの十八番とはいえ、ないでもかんでも聖なるなんやいうたらあかんよ。命もなんでも、大事にしすぎたらイカンいうて昔からいうてはるやろ」
 そう言って、エネルギーのすべてを奪われ物言わぬ屍となった異端審問官達に虚数は無意味な説教をする。彼らは時期に骸の海へと帰ることになるだろう。
 リルファがマンホールから顔を出しすべてが終わったと悟った時、北側の完全勝利が確定した瞬間であった。

●タランチュア教団本部・西門
 教団本部の西門はすでに激戦となっていた。クトゥルティア・ドラグノフが勧誘し、鎧坂・灯理とアレク・アドレーヌが短期間で鍛え上げたロスベルト武装集団は、殺戮部隊と悪名高い異端審問官相手でも咄嗟に銃撃戦を始めたのだ。
「撃て撃て!撃ちまくれ!」
「相手を近づかせるな! 雨のように弾をばら撒け!」
 指導の賜物であるのか、ロスベルトの人々は逞しく成長し戦士として戦うようになっていた。だが異端審問官達は焦らない。すでに反撃の手は考えてある。
「聖なる炎で一気に燃やし尽くしてあげましょう。一斉放火です」
 そして銃撃の間隙をついて放たれる火炎放射の炎。さすが一般人が食らえばとてつもないダメージとなり、訓練を施した程度の集団では崩壊に向かったであろう。だが、その先には灯理がいる。
「聖なる炎だ? ハッ! 生温いんだよ、カスが」
 そしてその瞳に睨まれて方向を捻じ曲げられる炎。まるでモーセの十戒のように灯理を避ける炎。念動力によって無理やり炎を曲げたのだ。そして火炎放射を放った異端審問官を見据える。
「本当の炎を見せてやる。保護指定、猟兵とロスベルト人員!」
 そして発動するは、能力「技術:獄落(ゴクラク)」。圧倒的な熱量が戦場を包み込む。その炎は周囲に満ち、異端審問官達を焼く。だが味方である一般人、猟兵を焼くことはない敵のみを焼き尽くす炎。ただ敵のみを灰も残さず蒸発させる優しき炎によって、異端審問官の消滅を確認した後、灯理は別の味方の元へテレポートする。
「影まで燃えろ」
 敵の火炎放射器の炎を問答無用で捻じ曲げ、そして敵のみを容赦なく焼き尽くすことで、味方の士気は上がり戦士としての反撃も勢いがつく。
「出てきたね、オブリビオン。君たちを倒して、この集落に平和を作らせてもらうよ!」
 そして灯理とは別にクトゥルティアも火炎放射器に対して、立ち向かっていた。能力「蒼海に住まう竜神(オーシャン・ドラゴン)」を発動させ、触れたモノを泡にする龍人が現れる。そしてオーシャンドラゴンがその炎が一般人に触れる前に泡に変えてしまう。
「無差別の炎は使わせない!
 さらに追撃して広範囲な炎を放とうとする敵に対して、地面を泡化させて異端審問官達の足元を滑らせて、その方向をずらす。そしてバランスを崩した敵に二人一体の息の合った襲撃を仕掛けるクトゥルティア。
「いくよオーシャン・ドラゴン!」
『WSHYAAAAA!!』
 クトゥルティアの蒼き剣とオーシャン・ドラゴンの拳が異端審問官達に突き刺さる。超常的な力で振るわれるその刃は容赦なく異端審問官の身体を両断し、オーシャン・ドラゴンの拳は触れるたびに泡化させてサイボーグ化した身体ごと粉砕していく。息の合ったラッシュ攻撃に敵陣は大いに乱されることになる。
 そしてクトゥルティアと灯理が合流した時、異端審問官達も結集し、一発逆転の攻勢を掛けようとしていた。
「一応変装して様子を窺っていたが……」
 そんな中、一般人に混ざって戦っていたアレク。目的は味方に紛れて扇動するのが目的であったが、思った以上に仕上がった兵隊っぷりにそれをする必要もなくなった。
「とは言えこいつの相手をして倒して置かねぇとまた同じことが起こり得るから…全力で相手をしようかね」
 だがかなりの数が結集し、火炎放射器が効かないと判断した異端審問官は強化筋肉による爪の引き裂きで、しかも数に任せた突撃をしようとしている。犠牲すら惜しまない狂信者達の特攻。まともに対応していては間に合わない。
「……仕方ない。味方の猟兵からしたらたまったもんじゃないだろうがちょっと我慢してもらおう」
 そして近くにいた灯理とクトゥルティアの肩を叩き、能力「武装変幻(イェーガーフォームライド)」を発動させる。すると二人の身体が光に包まれる。驚きに動揺を隠せない二人。
「何、痛みは一瞬だ」
「えっ!」
「って、おい!」
 抗議の声を上げる間もなく、二人の姿は二振りの刀に変わる。その変形の具合はちょっとしたスプラッタではあったが、これこそアレクの能力である。
「じゃあ一気に薙ぎ払わせて貰う!」
 突撃してきた異端審問官の集団に対して、アレクは灯理が変化した赤い刀身の刀を振るう。大いなる炎を宿した刀は、衝撃波だけで凄まじい高温を発し、敵のサイボーグ化した肉体ごとバターのように切り裂く。
 そしてもう一振りの刀はクトゥルティアが変化した蒼い刀身の刀だ。こちらは母なる海の力を宿し、振るえば泡の津波を発生させ、敵を泡と化して無へと帰していく。
 味方の姿を武器に変える代わりに強力な武器へと変化させる能力。割と外道な能力ではあるが、効力は抜群であった。犠牲覚悟で突っ込んできた異端審問官達は何もできずに、両断・または泡化させられて消えていった。
 敵が倒れるのを確認すると、アレクは能力を説く。そして二振りの刀は二人の猟兵に戻るが、その表情はアレクに対して、般若の面をしていた。
「いったーい! ひどいですよー!」
「……貴様、後で覚えていろよ?」
「いや、まあ、ごめんなさい」
 強い眼光で二人に睨まれ、アレクは縮こまる。強力だったとはいえ、次は相手の了承を得てからこの能力を使おう。アレクはそう硬い決意をするのであった。
 とはいえ、強力な猟兵という武器は敵を灰燼と帰し、攻防戦はロスベルト側が勝利をもぎ取ったのである。

●タランチュア教団本部・南門
 そして教団本部の南では聖堂から行進し到達した反タランチュア教団勢力に異端審問官達が立ち塞がる。よりにもよって教義を否定し、他宗教「楽園教団」なる教えに傾倒する相手に、異端審問官達の敵意はこれまでの戦場より苛烈だった。
「邪教に染まる不届き者め。鏖、皆殺しだ」
 だがそれを守るようにナターシャ・フォーサイス。楽園教団の要たる人物である。その外道すら惜しまぬ行動に、哀れみを持った表情で接する。
「信徒たる貴方がたが、同じ信徒を殺めるとは……信仰心は否定しませんが、その行いは使徒として否定します」
「戯言を……ぐっ!」
 祈る所作と共にナターシャの能力は発動をしていた。「召喚:楽園の加護(サモン・ホーリーライト)」の力により、戦場に彼女の楽園の概念が満ちる。
「ですが、敬虔な信徒なのは事実」
 狂信者というのは自身の神を妄信する者達。つまりは自身の教えに対しては絶対なのである。ならばそのルールを変えることができたら、どうか。ナターシャを中心に放たれた聖なる光は、近くにいた者ほどその罪と闇を祓い、教義への改宗を迫る。
「まだ見ぬ楽園、その一端。仇成すのなら祓いましょう、歩むのならば導きましょう」
「……楽園ト、共、ニ、ニ!」
 さすがは狂信者たる異端審問官。ナターシャの近くにいた者以外は、その教え・誘惑から逃れることができたが、その行動は大いに制限されることとなる。そして最前列にいた異端審問官は踵を返して味方である異端審問官に牙を剥く。その隣には天使が侍っており、その力を増幅させていた。
「皆様へ加護を授けます。さあ、戦うのです」
 そして同士討ちと動きを鈍らせている異端審問官に対して、天使の加護に包まれた反タランチュア教団勢力、楽園教団の信徒達が襲い掛かる。殺戮部隊にも負けない、という自信をつけて貰うために彼らにも戦闘に参加させる。
「では玉恵さんとティノさん、あの方々の罪を祓ってくださいませ」
 その言葉に大崎・玉恵とティノ・ミラーリアが動く。狙いは楽園教団が襲っている最前列ではなく、ナターシャの楽園の加護範囲が遠い、後ろの敵だ。
「どこを見ても、この世界は息苦しい所ばかりだね……あれを斃したら…少しはましになるのかな?」
 ナターシャの加護を貰ったティノが一気に敵陣へと突っ込む。そして能力「眷属の召喚(サモン・シャドウ)」を発動させ、彼の影から『眷属』のオオカミ・コウモリが召喚される。その数は優に100体を超え、軍団と化した黒き眷属が動きが鈍い異端審問官に襲い掛かる。
 ある者は首を噛み付かれて血を吸われ、ある者は牙を身体に突き立てられ生命力を葬られる。またある者は爪で身体を引き裂かれ、ある者は臓物を引き出されて蹂躙される。影の眷属達はティノの静かな殺意を具現化し、純粋なまでの残虐性を発揮する。
「おのれ、邪教の僕め。我が聖炎で祓ってくれる!」
「邪教、のう。嵐に蹂躙されきった世界なのじゃ、そんな些事に拘らず助け合えばよかろうに」
 ティノの眷属達に対して、もはやこれ以上好き勝手はさせぬと異端審問官が火炎放射器を使おうとする。かなり広範囲な炎でこの密集体形では味方すら焼いてしまいそうだが、それすら厭わないという覚悟だ。だがそこに玉恵が立ち塞がる。
「まぁ、牙向くならば応えるまで。覚悟せよ」
 そして炎が放たれる瞬間を狙って、能力「御社・出雲八重垣(ミヤシロ・イズモヤエガキ)」を発動。火炎放射器を放った異端審問官達の周囲を強力な多重結界が展開される。その炎は玉恵の結界を破ることはなく、さらに包まれるように展開された結界はその炎で満たされる。
「……逃げ場を無くした無差別に焼く炎。己の力を身を以て味わうがよい」
 敵味方区別なく焼くということは己すらも区別なく焼くということ。自身が聖なる炎に包まれて、皮膚を焼かれ肉がただれる苦しみを与えられる異端審問官達。やがて重篤な火傷を負った者から倒れていき、なおも元気がある者は玉恵が舞扇を結界に向ける。すると結界に呪詛が蔓延し火傷を増殖させ、体力を奪う。そしてトドメと言わんばかりに結界を圧縮させて圧し潰す。もはや結界内はキリングフィールドと化し、生きて出られる者はいなかった。
 やがてティノの眷属は動きが鈍い者から食らいつくし、ティノ自身も狩猟銃による射撃や『纏影』による串刺しによるサポート攻撃もあって、後方部隊は壊滅されつつあった。残った者も玉恵が結界で圧し潰していった。前方は楽園教団の面々が動けない異端審問官達を圧倒し、ついに殺戮部隊は逆に殺戮の限りをもってこの地から消滅をしたのであった。
「これで終わったかのう?」
「邪教徒、死ね! ぐおぉッ!」
 玉恵がほっと一息ついたところで、死体に紛れていた異端審問官が最後の道連れと言わんばかりに襲い掛かって来た。だがそれを警戒していたティノが『纏影』で足を串刺し、眷属達が殺到しその肉を貪り食らう。あっという間に異端審問官は黒に塗りつぶされていく。
「最後の抵抗でも…傷つけさせはしないよ?」
「助かったぞ、ティノ。これで本当に終わりじゃな」
 本当ならば結界でどうにかなったかもしれないが、純粋な感謝をティノに告げる玉恵。その前方では勝利に沸く楽園教団の信徒達の姿があった。そして勝利を見届けたナターシャが神に祈りを捧げる。
「どうか貴方がたにも、楽園のご加護のあらんことを」
 こうして神の敵を神の信徒が倒した聖戦は終わりを告げることになる。それはつまり教団本部を守る戦力の排除に成功したことを意味していた。

 これにて教団本部を守る戦力はいなくなり、ついにタランチュア教団の元凶となる教祖への道が切り開けたのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『ダラキュリア・クローン』

POW   :    アタシの管理にケチつけんじゃねぇ!!
【自身が作り上げた管理社会を否定された怒り】の感情を爆発させる事により、感情の強さに比例して、自身の身体サイズと戦闘能力が増大する。
SPD   :    テロリスト共は速やかに撲滅しなきゃねぇ!!
【自身が装備する刀剣から放たれる斬撃】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
WIZ   :    噛み殺せ!!強襲兵ぇ!!
レベル×5体の、小型の戦闘用【に進化した森羅万象を噛砕できる羽虫】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。

イラスト:ぺいゆ

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠播州・クロリアです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●タランチュア教団本部・教祖の間
 猟兵達は進む。ロスベルトの人々を苦しめ、支配するタランチュア教団。それを支配する教祖の元に。そしてその部屋の扉が開かれ、教祖は隠れることもなく、堂々と姿を見せる。その人物に教祖かと問う。
「ああ、アタシが教祖のダラキュリアだ。よくもここまでタランチュア教をコケにしてくれたねぇ」
 少年か少女かはっきりしない体躯。こんな人物がよくもここまでの教団を率いることができたものだと猟兵達は思う。それほど神の力はすごいのか、と怪訝が口から零れる。
「あん? タランチュア教の神? んなもんいるわけねえだろ?」
 その言葉を聞いた瞬間、猟兵達に疑問が生まれる。ならば教団の意味とは? まさか……その答えに到達したことを表情で知ったダラキュリアは嘲笑する。
「アッハッハッ! そうだ、そうだよ! 支配! 管理! それだけの為にタランチュア教団を作ったのさ!」
 その声は教祖の間に響く。そしてダラキュリアは楽しそうに真相を語りだす。
「宗教ってのは便利なモンさ。神様っていうだけで人は信じたがる、従いたくなる。アタシの理想の管理社会を作るにはうってつけだったわけさ」
 ダラキュリアにとって、教団とは道具。支配に便利な道具だからこそ、最大限に利用したというわけだ。
「タランチュア教団なんて適当さ。本当はタランチュラっていう蜘蛛の名前にしようかと思ったけど間違えてね。ツッコミ入れる奴をぶっ殺しちまって、以来この名前で定着したからこんな名前さ! アハハハハハハッ、笑えるだろ!」
 腹を抱えて爆笑するダラキュリア。だがその愉快そうな顔もそれまでだった。豹変した表情にはありありとした怒りが込められていた。
「だけどさぁ……、そんなうまくいきかけたタランチュア教団をよぉ、滅茶苦茶にしてくれてさぁ……ぶっ殺されてえのかテメエ等アアアアアアアアァァァッ!」
 噴火した火山のように烈火の感情をさらけ出すダラキュリア。それに呼応するようにタランチュア教団殺戮部隊が姿を現す。教団に妄信する狂信者達は未だ教祖を守ろうと、教団の敵を排除しようとしている。
「いいさ、もうロスベルトは潰す! お前らもブチ殺す! それで次の拠点で今度こそ完璧なタランチュア教団を作って支配してやっからよおおおおおお!」
 腰の武器を抜き、殺戮部隊と共に猟兵を血祭にあげようと気勢を吐く教祖・ダラキュリア。ロスベルトを救うために逃れられない戦い。そしてこの狂った支配者を逃さないために、猟兵達は死力を振り絞り立ち向かう。

●特殊ルール
 教祖「ダラキュリア・クローン」の全ユーベルコードにタランチュア教団殺戮部隊(異端審問官)の攻撃が付随してきます。
 数に任せた連携攻撃を仕掛けてくるので、それに注意した上でプレイングをお願い致します。
ガロウ・サンチェス
【三匹】で行動

……思い出したぜ。確かオメェと似たようなことを
昔軍のお偉いさんが言ってたっけなぁ~。
人は支配され、管理されることで安心を得る生き物だってな。
だが、戒律と軍政でガチガチに支配されたウチの国は、新興国にガンガン追い抜かれてったけどな。
要するに、オメェのプランはダメのダメダメってことよ!

相手は多分強敵だし、手下も沢山引き連れている。ここは奥の手を使うぜ。
【チャクラドライブ】を発動し、瞑想と呼吸法で防御力を強化。
まずは生存能力を高めるぜ。<力溜め>で体内の気を周囲に放出し、<グラップル>でヘボ教祖と正面から殴り合いだ!


ゼロ・クロニクル
【三匹】で参戦

成る程、つまり全ては権力を掌握するための茶番だと認めたか。
しかしお主、随分回りくどいやり方を好むのだな。
一瞬でヒトの心を動かす言葉や、奇跡的な力を持たぬゆえか?
…フム、所詮は信念など持ち合わせぬただのチンピラか!

アニマルアーマーの<封印を解いて>【降魔化身法】を発動し、妖気を身に纏って巨大な狗の妖怪へと変化する。
<呪詛耐性>でユーベルコードの代償に耐えつつ、偽神兵器の大太刀を口に咥えて敵軍に突撃するぞ。
体格にモノをいわせて周囲の異端審問官を体当たりで<蹂躙>、そいつらの血肉は偽神兵器に<捕食>させていこう。
血路は拙者が切り開く。いけ、ガロウ!


アモン・スメラギ
【三匹】で行動。

うひゃー、派手にブチキレちゃって、おっかねえな。お兄…お姉さん? どっちよ? しょぼい自作自演がバレて顔真っ赤w ねぇ今どんな気持ち?

とりあえず、あのブンブンうっさい小バエが邪魔臭いんだよね
露払いは俺に任せてよ!
「無機物無機物……あれを使うか」
<念動力>で簡易バリケードを築いて、殺戮部隊の銃撃をやり過ごすよ
撃ち込まれてくる弾丸に【クライシスゾーン】を発動。これを沢山の小型竜巻に変換して操り、羽虫を吹き飛ばしてやるぜ。多少は戦いやすくなったろう?
虫を無力化したら、ソーシャルレーザーを<乱れ撃ち>して二人を援護するぜ。

失敗したら他所でやり直す?ダメだな、あんた王の器じゃねえぜ。



 ついに姿を現した教祖・ダラキュリア。自身の教団精鋭たる殺戮部隊を連れてロスベルトを壊滅させ、次の拠点でまた新たなる管理構造を作ろうとするその野望というよりかは、本能というべきか。だがそれを阻止しようとする者達はいる。
「……思い出したぜ。確かオメェと似たようなことを、昔軍のお偉いさんが言ってたっけなぁ~。人は支配され、管理されることで安心を得る生き物だってな」
 そう言ってガロウ・サンチェスは拳を鳴らしながら、ダラキュリア達に立ち塞がる。傍には一緒に来た、ゼロ・クロニクルやアモン・スメラギも一緒だ。
「だが、戒律と軍政でガチガチに支配されたウチの国は、新興国にガンガン追い抜かれてったけどな。要するに、オメェのプランはダメのダメダメってことよ!」
「ハッ! アタシの管理をそんなお前の国と一緒にするんじゃねぇよ! アタシはもっと効率よく心を恐怖で縛り、より強い力で支配する! それこそ……」
 そう強がっているがガロウの言葉でダラキュリアの語気が強くなる。
「成る程、つまり全ては権力を掌握するための茶番だと認めたか。しかしお主、随分回りくどいやり方を好むのだな」
 強い言葉で否定するのは真実を付かれているからだ、と言うが、そんなダラキュリアの言葉をゼロが遮る。
「一瞬でヒトの心を動かす言葉や、奇跡的な力を持たぬゆえか? …フム、所詮は信念など持ち合わせぬただのチンピラか!」
「この……、犬コロ風情がぁあああ! 死にたいならテメエから殺してやる!」
 教祖ダラキュリアが殺戮部隊に対して指示を出す。鋭い爪を構えた精鋭がゼロの元に殺到する。だがゼロは冷静沈着にアニマルアーマーの封印制御を解除する。
「チンピラには過ぎた力だが、拙者の全力を持って相手しよう!」
 ゼロの目が妖しく光り、能力「降魔化身法」を発動し、強大な妖気を身に纏って殺戮部隊を大きく見下すほどの巨大な狗の妖怪へ変化する。この能力は強大な力は得ることはできるが、代償は大きい。特に妖気に対する呪詛は身体を蝕む。だがゼロは呪詛に対する耐性をいくばくか保持している。それ故に苦痛に耐え、偽神兵器の大太刀を加えてダラキュリアに突撃する。
「血路は拙者が切り開く。いけ、ガロウ!」
 ダラキュリアを守ろうと殺戮部隊が立ち塞がるが、巨大化した体格を生かして体当たりで隊列を崩し踏みつけで蹂躙し、その後大太刀を振るって敵を両断する。その血肉は偽神兵器への力となり、貪るように吸収されていく。
「犬畜生が! 死ね死ね死ねぇ!」
 対するダラキュリアも手に持った刀剣を巨大化してゼロを両断しようと猛烈な斬撃を振る舞う。殺戮部隊も巻き込む連続攻撃に、さすがのゼロも受けざるを得ない。一撃目は回避し、二撃目は殺戮部隊を盾にし、三撃目は大太刀で受けきる。一方、ガロウはゼロが時間を稼いでいる間に能力「チャクラドライブ」を発動し、瞑想と呼吸法で能力を高めていた。
「コォォォォ……」
 だがその無防備になっているところを狙わないダラキュリアではない。殺戮部隊がガロウを切り裂かんと殺到する。しかしそこはアモンのソーシャルレーザーが敵を射抜く。そしてダラキュリアに対し、過激な挑発をかます。
「うひゃー、派手にブチキレちゃって、おっかねえな。お兄…お姉さん? どっちよ? しょぼい自作自演がバレて顔真っ赤w ねぇ今どんな気持ち?」
 その挑発は大いにダラキュリアの感情を逆なでした。血管がブチ切れる音が聞こえるかの如く、その表情に憤怒が宿る。
「アタシは女だ、口だけは達者な糞野郎がァ! 死体にして永遠にその口を黙らせてやるぜ!」
 そして矛先をガロウからアモンへと向ける。殺戮部隊を突撃させた上に戦闘用小型羽虫を召喚して、その肉をかみ砕かんと殺到する。
「怖いねー、とりあえず、あのブンブンうっさい小バエが邪魔臭いんだよね」
 そう言って軽口を叩きながら、念動力で教祖の間の椅子や机などを集結させて簡易バリケードを作る。だがそんなものは関係ないと切り裂き、砕かんとする殺戮部隊。だがその舞う破片を見てアモンは思いつく。
「無機物無機物……あれを使うか」
 その破片に能力「クライシスゾーン」を発動させ、小型竜巻に変換。破片は大量にあったために大量に小竜巻が出現することになり、それを巧みに操る形でアモンは空中に殺到する羽虫を撃墜していく。
「これで多少は戦いやすくなったろう?」
 そして羽虫を撃墜したら、その竜巻を殺戮部隊に向けて肉を抉らせ、怯んだ隙にソーシャルレーザーの乱れ撃ちで迎撃する。それを見て舌打ちするダラキュリア。
「失敗したら他所でやり直す? ダメだな、あんた王の器じゃねえぜ」
「そうだな。ゼロ、アモン。時間稼ぎサンキューな」
 アモンが援護射撃をしている内に、ガロウが瞑想と呼吸法を終える。このチャクラドライブはまさしくガロウの奥の手ともいえる秘技であり、その肉体には生命力と力強さが溢れていた。もはや生半可なことでは傷をつけることすら能わない。
「見せてやるぜ! これが神秘の力、チャクラだ!」
 そしてそのまま殺戮部隊に向けて突撃するガロウ。ダラキュリアまでの邪魔をする敵を体内にため込んだチャクラを開放し、オーラで吹き飛ばす。一気にダラキュリアまで接近し、一対一の状況が作り出される。
「殴り合いだ、ヘボ教祖!」
「こんの、くそったれがああああああああああ!」
 感情を爆発させたダラキュリアは筋肉が肥大化し、ガロウと同じ体格まで変化する。そして力任せに刀剣を振るいガロウを引き裂かんとする。だがチャクラにより防御力を高めたガロウの肉体は金属の刃すら受けきる。腕で受けきり、勢いを削ぎ、その刀撃を流す。そして体が崩れたところに渾身の拳のラッシュを叩き込む。
「ぐほっ、この、がっ!」
 腹部に数発の打撃の後に、顎への振り抜く鉄拳。ガロウを上回る体躯になったにも関わらず吹っ飛ばされるダラキュリア。その強さに形勢の不利を悟った教祖は、殺戮部隊に目で指示を送って、立て直すために奥へと逃走を図る。
「尻尾を巻いて逃げるか。だが、逃がさねえよ」
 だがその肉体に刻まれたダメージと、殺戮部隊の損耗は確実にダラキュリアを追い詰めており、ガロウ・ゼロ・アモンの連携は今も被害を出し続けている。この勢いでいけば、教祖打倒も時間の問題であろうと、他の猟兵達の追撃を期待しつつ、三人は敵勢力の撃滅に専念するのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

クトゥルティア・ドラグノフ
※アドリブ共闘大歓迎

全ての元凶、あなたがここをこんなにしたのなら、絶対に逃がすわけには行かない!
必ず倒してみせる!

水色月光を即座に発動させて【先制攻撃】!
敵だけの動きを阻害する海流を起こす水球召喚!
これで異端審問官たちは無力化同然。
オーシャン・ドラゴンは継続したまま、共に奴へ突っ込むよ!
【戦闘知識】と【野生の勘】で隙を【見切り】、【怪力】の乗った斬撃と殴打。さらに刺突による【串刺し】を喰らえ!
水中は水性キマイラである私の独壇場。あなたには何もさせない!

「あなたさ、何になりたい?……なりたい魚料理を言いなよ。刺身?蒲鉾?殺された人達の分まで私たちが料理してあげるよッ!」


シフォン・メルヴェイユ(サポート)
『楽しい世界が待っていたらいいなぁ。』
 普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」
 怒った時は「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

のんびりとして、無邪気な性格をしています。
基本的に常に笑顔で人に接して、
敵以外なら誰に対しても友好的な性格です。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



 教祖の間の奥へと逃げるダラキュリア。その口内にはさきほどのガロウから負わされた傷から出た血によって満たされていた。満ちる鉄の味に、歯軋りするほどの屈辱を感じさせてくれる。だが猟兵達は敵に対して一切のインターバルを与えるつもりなどない。
「全ての元凶、あなたがここをこんなにしたのなら、絶対に逃がすわけには行かない! 必ず倒してみせる!」
 絶対に倒すという意志が表情に現れているクトゥルティア・ドラグノフ。チッと舌打ちをしてダラキュリアは傍に控えさせておいた殺戮部隊に指示を出し、足止めを狙う。だがそれを途中で合流したエルフの少女、シフォン・メルヴェイユ(夢見る少女・f19704)が遮る。
「ここはお任せを、クトゥルティアさん。全ての時と空間を、この手に!」
 そう言ってシフォンは能力「時と空間の先導」を発動。その姿はまるで天使の様な豪華絢爛な姿に変わり、その手に持つ時詠みのトライデントに光が宿る。そして周囲に浮かぶ時計の幻影が針を進め、そこから猛烈なスピードで飛翔するシフォンが迫る殺戮部隊の身体を引き裂く。
「教祖ダラキュリア! 神を騙るならこのくらいの奇蹟、見せてみなさい!」
「このガキが! 調子に乗りやがって!」
 ダラキュリアは縦横無尽に飛び回るシフォンを墜とそうと、戦闘用羽虫の集団を放つ。噛まれれば神羅万象すら砕くその牙を、シフォンは傷すら恐れない猛突撃で逆に切り落とす。殺戮部隊の爪に身体が引き裂かれようとも、逆に腕を切断しその勢いは止まらない。
「楽しい世界を作るために……行って、クトゥルティアさん!」
「任せて! 蒼き彗星にその涙あり。廻る星たちにその涙あり。冥暗に流れる白の流星に、母なる海の祝福を!」
 ダラキュリアが飛翔中のシフォンに視線をやっている間に、クトゥルティアの周囲には教祖の間を圧迫するような大水塊が発生していた。彼女の能力「水色月光(アクアブルー・ムーンライト)」の本領発揮であった。
「さあ、この水流に飲み込まれなさい!」
 そして解放される水は圧倒的なうねりを上げて部屋全体を飲み込む。飛んでいるシフォンを飲み込まないように、ダラキュリアと殺戮部隊のみをターゲットにした水の奔流は溺死は無理でも、着実に足を奪うことができる。そしてその荒れ狂う水流の中で自由自在の動けるのは、水性キマイラの彼女だけである。
「水中は私の独壇場。あなた達には何もさせない!」
 そして水に飲みこまれて空しく水を切る殺戮部隊の爪を水中遊泳をしながら躱し、横切る際に刀で急所を鮮やかに斬り刻む。首や手首など斬られ、水流に飲み込まれていく部下に苦々しい表情をするダラキュリア。
「役立たず共がァ! 舐めてんじゃねえ!」
 ダラキュリアの持つ刀剣が振るわれ、斬撃が巨大化されることによって水を切断し、クトゥルティアに迫る。だが彼女は自身の戦闘感覚のすべてと自分の力のすべて、そして水のアドバンテージを生かし、ダラキュリアと真っ向から斬り結ぶ。一撃、二撃と打ち合い、そして自身を守る殺戮部隊すら巻き込んだ三撃目も真正面から防ぐ。
「くそったれ! そんな馬鹿な!」
「あなたさ、何になりたい?……なりたい魚料理を言いなよ。刺身?蒲鉾?殺された人達の分まで私たちが料理してあげるよッ!」
 再び高速遊泳モードとなったクトゥルティアはあっという間にダラキュリアの背後を取る。そして放たれるは水流と自身の遊泳スピードを乗せた渾身の刺突である。ダラキュリアにそれを防げるはずもなく肩に被弾し、その勢いと水を叩きつけられたことによって壁に吹き飛ばされる。だが、ダラキュリアの目は死んでいない。
「ぐっ……くそくそ! アタシは死ねるか、こんなところで! 強襲兵ぇ!」
 羽虫が壁に殺到し、その圧倒的な数の牙でそのままかみ砕き破壊。その破壊した壁からダラキュリアは教祖の間を脱出し、本部外に逃げようとするダラキュリア。ダラキュリアは深手を負い、殺戮部隊の戦力も大幅に削られた。だがロスベルト市街に出られれば被害拡大は避けられない。猟兵達の決死の追撃戦は次の段階へと入ろうとしていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

リルファ・ルシーズ
【HHで参加】、アドリブ歓迎

【WIZ】

まったく数が多いね。少々の怪我ならうちがどうにかするから、思う存分に戦いな

【黒雀】を辺りに展開して、周囲の敵の様子を【情報収集】しながら戦うとしようか。
【羽虫】の羽と【異端審問官】の目を狙い、【メス】を【投擲・部位破壊】することで【時間稼ぎ】をするとしようかい

それぐらいの傷ならうちのスライムに任せな

【高速詠唱】により【指定UC】を唱え、呼び出したスライムを傷を追った仲間に【投擲】し治療をするかね

メスを手に異端審問官の首筋に当て

こっちの数だけ多いのはどうにかするよ、十紀さん達はは教祖を頼むよ


ナターシャ・フォーサイス
【拠点】
WIZ
信仰を騙り支配するのですか。
救済を騙り管理するのですか。
それは信仰に対する重大な冒涜。
使徒として赦しますが、それより先に怒りが来ます。

そこに直りなさい。
信仰が何たるかを示しましょう。
初手で天使を呼び、結界を張りその力を封じます。
動くならそれも天使達が封じます。
純粋な【祈り】を以て説きます。
信仰とは道標。己が歩みで見つけるもの。
支配として与えられるものではないのです。
救済とは幸福へ至る階梯。
管理による押し付けではないのです。

玉恵さんもティノさんも、使徒の皆様も我らが加護で護ります。
貴方がたは自らの力で滅びへ至るのです。
それは使徒として見過ごせぬもの。
貴方もまた、楽園へ導きましょう。


大崎・玉恵
【拠点】
「管理」のう。大層な言葉を使うものじゃ。
人の力の及ばぬ、運命を管理するものは、何と呼ばれるか知っておるか?……「神」じゃ。
堕ちし人間の分際で、神たるわしに敵うとでも思うておるのか!貴様ごときの矮小な管理に、人々の未来を潰させる訳にはいかぬのじゃ!

【威厳】【存在感】を以て神として振る舞う。
【御社・出雲八重垣】を展開、手下と分断し攻め手を限定させる。
手下には先ほどように自ら燃えて貰ってもよい。
てぃのが前線に立つ。……あの者は絶対に倒させる訳にはいかぬ故、積極的に戦いに介入する。
敵の足元で結界を展開し足を掬う、符を【呪殺弾】とし【焼却】の【呪詛】を投げる等。なたーしゃの反射も適宜活用じゃ。


ティノ・ミラーリア
【拠点】
信仰、宗教……これも僕にはわからないけれど…嘘ばかりのこれはただ、邪魔だね…

【夜魔の宴】を発動。
数ばかり多そうだけれど…それは都合がいい…
影から湧き出て周囲を包囲する『眷属』と共に正面から全てを影に呑み込み夜に染め上げるように、
『眷属』の群れによる「範囲攻撃」で羽虫も殺戮部隊も「蹂躙、捕食」する。
貪り流れた血を「吸血、生命力吸収」し自身と群れを強化して相乗的に力を高めていく。

夥しい「闇に紛れる」ように『纏影』を鎧に「拠点防御」し、また槍のように「串刺し」。
至近では『処刑人の剣』で「鎧砕き」、距離があれば『狩猟銃』の「呪殺弾」を撃ち込む。
咎人には磔刑か斬首か銃殺か…


尖晶・十紀
【HH】アドリブ可
「雑魚の、お掃除は……任せた。……信じてるからね」

ヒット&アウェイの格闘戦をしかける

「うん、そうだよね……ありもしない力に……すがるなんて、馬鹿馬鹿しい。でも。十紀は……アンタみたいな……独裁者の、方がもっと嫌い……だから全身全霊、全力で……潰す。」

懐に飛び込み赫炉で【捨て身の一撃】
敵の攻撃は【野生の勘】でかわし【カウンター】で反撃
好機が来たら【UC】で【鎧砕き】の一撃
「人を…本当の意味で……救えるのは……神様でも、ましてや……アンタみたいな、怪物でも、……ない。同じ、人だけなのかも……しれない ね……」



●ロスベルト教団本部・出口 
 右肩を撃ち抜かれ、水に濡れた身体を奮い立たせて教団本部から出ようとするダラキュリア。猟兵も感知しない道はまだある。そう言わんばかりに支配者としての裏道を用意してあるのは彼女らしい手ではあった。だがそれもダラキュリアと殺戮部隊が教団本部外に出るまでの安心感であった。
「『管理』のう。大層な言葉を使う者が、無様な姿じゃのう」
「テメエ等、なぜここが!」
 そう舞扇を仰ぎながら大崎・玉恵は微笑む。隣には険しい顔をしたナターシャ・フォーサイスとティノ・ミラーリアもいる。信仰をダシに使った者に対し、ナターシャは鋭い視線を投げかける。
「信仰を騙り支配するのですか。救済を騙り管理するのですか。それは信仰に対する重大な冒涜です」
 ナターシャは信仰厚き使徒である。故に使徒として教義を騙る教祖ダラキュリアを赦すが、止めようがない怒りがこみ上げている。その剥き出しの感情に、ダラキュリアは嘲笑する。
「ハッ、信仰が人を救うってか? 救う必要なんてないね。ただアタシにすべてを委ねればいい。それがこんなクソッタレな世界での救いさ」
「それこそ笑止じゃな、エセ教祖。人の力の及ばぬ、運命を管理するものは、何と呼ばれるか知っておるか?……『神』じゃ」
 舞扇をピシャッと閉じて、玉恵がダラキュリアの言葉を遮る。そして溢れ出すは妖狐とは思えないほどの、神気。
「堕ちし人間の分際で、神たるわしに敵うとでも思うておるのか! 貴様ごときの矮小な管理に、人々の未来を潰させる訳にはいかぬのじゃ!」
「その通りです、信仰を騙る冒涜者よ。そこに直りなさい。信仰が何たるかを示しましょう」
 玉恵の気迫と、ナターシャの慄然した姿。そこには確かなる正義があった。もはやダラキュリアの威光では太刀打ちできないほど、瑞々しい気勢。それに一瞬でも圧倒されたダラキュリアは、そのことに強烈な怒りの炎を燃やす。
「この、小娘共がァ! 御託を囀ってんじゃねえ! 殺戮部隊!」
 そう言って殺戮部隊に突撃の命令を出そうとするが、その一部が黒き何かに埋め尽くされていた。そこにいた殺戮部隊は黒いコウモリやオオカミによって噛みつき食い破られており、生命力を失って茫然としている。
「信仰、宗教……これも僕にはわからないけれど…嘘ばかりのこれはただ、邪魔だね…」
 そしてそれを従えるは能力「夜魔の宴(ヴァンパイア・フェスト)」を発動させたティノだ。玉恵とナターシャが視線を集めている間に静かに移動し、奇襲を仕掛けたのだ。ただでさえ少なくなっている殺戮部隊にこの打撃はまさしく致命的な追い打ちである。
「この……糞餓鬼があああああ!」
 戦闘用羽虫を召喚し、殺戮部隊と共にティノを縊り殺そうとするダラキュリア。だがそれをさせぬと言わんばかりにナターシャと玉恵が動く。
「まだ見ぬ楽園、その一端。我らが同胞を救い誘うため、光を以て導きましょう」
「……あの者は絶対に倒させる訳にはいかぬ故、積極的にやらせて貰うぞ。八重垣作る、その八重垣を」
 ナターシャの「召喚:楽園の祝福(サモン・グレイス)」の天使達が結界を張って殺戮部隊の能力を封じ、玉恵の「御社・出雲八重垣」の結界がティノの護りとなって包み込む。そして同時に殺戮部隊を分断し、それを囲うように結界内で拘束していく。
「さすが、ナイス援護。それじゃ…宴を始めよう」
 玉恵の結界の防御能力、さらにナターシャの守護結界により加護が与えられる。これによってティノは防御を一切考えることなく、敵に突っ込むことができる。影を纏い、夜の眷属達を従え、殺戮と血が舞う蹂躙劇が幕を開ける。
「……まずいけど、我慢しよう」
 付き従った眷属達が暴れ狂い、殺戮部隊を殺し回る。そこで浴びた血はすべてティノの血肉となり、そして力となっていく。振るわれる処刑人の剣は鋭さを増し、敵を両断していく。その血を吸収し、さらなる力を得ていく。殺戮部隊の爪は防御や加護で防ぎ、影の槍が無数に枝分かれして体内で花開き串刺し刑に処し、遠距離では狩猟銃が容赦なく頭を砕き、黒いコウモリが其の血を啜る。
「咎人には磔刑か斬首か銃殺か…」
 その戦闘能力はダラキュリアに近づくたびに強くなっていく。放った羽虫達もティノの眷属達と当たり、五分の戦いを繰り広げている。何せティノの展開した影の領域と呼べるものから無数に出てくる眷属を相手にしているのだ。森羅万象をかみ砕く羽虫といえど、数で圧倒されれば脆い。
「くそっ、お前等何をしていやがる!」
「信仰とは道標。己が歩みで見つけるもの。支配として与えられるものではないのです。救済とは幸福へ至る階梯。管理による押し付けではないのです」
 そう言って今も天使達を従え、加護を与え続けているナターシャはダラキュリアを睥睨する。玉恵が結界で分断した殺戮部隊は、まずは結界と加護を何とかしようと二人の排除に向かったのだ。だが爪で切り裂こうと、炎で焼き尽くそうと、彼女に傷を与えることはできない。逆に攻撃反射の加護により、自分達にダメージが跳ね返り、自らを傷つける結果となっているのだ。
「貴方がたは自らの力で滅びへ至るのです。それは使徒として見過ごせぬもの。貴方もまた、楽園へ導きましょう」
「学習能力がない奴等じゃのう。ほれ、自ら燃えるがよい」
 玉恵は器用に結界を変化させ、火炎放射をする敵には結界を包囲して自らを焼かせる。そして向かってくる敵には足元に結界を展開して足を掬う。そして敵に呪殺の符を投擲し、呪いを脳に浸透させて効率よく屠っていく。
 次々とナターシャと玉恵によって減らされていく殺戮部隊。その有様にもはやダラキュリアの怒りは頂点に達した。
「ああああああああああああああああああ! この餓鬼ガキがき共があああああああ!」
「数ばかり多くて都合がよかった…ありがとう」
 そしてついに羽虫と殺戮部隊の包囲を抜けたティノがダラキュリアに迫る。処刑人の剣を構え、その首を取らんと振り下ろす。だがダラキュリアも負けてはおらず刀剣を抜いて打ち合う。ティノの斬撃を止め、もう片方の刀剣を抜いて、身体を切り裂く斬撃を放つ。ガラスが割れるような音が響く。だがその強烈な一撃も玉恵の防御結界によってギリギリ止められ、ナターシャの加護により力が反射。ダラキュリアの刀剣を撃ち砕き、その衝撃が右腕に甚大なダメージを与える。
「ぐおおおおお!」
「わしの結界を破るとはのう。じゃが行け、てぃの!」
 纏影によって打ち合った手の剣を拘束し、ティノは回転するように動き、処刑人の剣を振りぬく。無防備の右腕を切断し、その胴体にまで刃が食い込む。その斬撃にダラキュリアは血を盛大に吐く。
「ゴハッ……! 馬鹿な、このアタシ…が」
 ティノの刃から離れ、後ろに下がるダラキュリア。その先には川へと繋がる堀。そこに身を投げ出すように落下していくダラキュリア。川に水しぶきが舞い、その水が赤く染められていく。ティノが川の様子を見るが、先日まで大雨だった影響で、すでにダラキュリアの遺体は流されてしまったようだ。だが切り落とした腕は霧のように消滅している。
「…どうやら、勝ち」
「ええ、これでロスベルトの人達も救われます。この方々も楽園へと行けるといいのですが」
 ティノが安堵し、ナターシャは敗者となった殺戮部隊の死体に祈りを捧げている。その中で神気を纏う玉恵は二人の様子を見ながら、川に視線をやる。
「……まあよい。始末はあやつらがつけてくれるじゃろう」
 教祖ダラキュリアを排除し、タランチュア教団を壊滅させたといえ、ロスベルトの未来は必ずしも明るいというわけでもない。まだ奴隷教団員達の矯正や確執などもこれから取り除いていかなければならない問題もある。だが楽園教団の教えに感化された者達を信じるという三人の考えは変わらない。人の救い、希望は紡げたと思う他ないのだと玉恵は思うことにした。


●ロスベルト下流域
「ハァ……ハァ……くそ、あんな奴等にこのアタシが。だが、まだだ……まだ死ねないんだよ」
 ロスベルトの街の外につながる下流の川で教祖ダラキュリアは陸に身体を投げ出す。片腕の消滅を演出して死亡を偽装し、何とか猟兵の追撃を逃れようとした策は成功したようだと、彼女は安堵する。そして川下に待機させておいた数名の殺戮部隊が迎える。
「お待ちしておりました、教祖」
「ああ…まずは傷を癒す。そして次の拠点ではもっとうまく……」
「うちらから逃げ切れると思ったのかい?」
 だがそこには教祖を逃がすまいとリルファ・ルシーズと尖晶・十紀が待ち構えていた。数名の殺戮部隊が別行動をとっているのを怪しんだリルファの機転により彼等を尾行し、最後の離脱ポイントで待ち伏せすることができたのだ。
「……ああ、本当に。うぜえ小蠅共だ。しつけぇんだよ……!」
「十紀は……アンタみたいな……独裁者は嫌い……だから全身全霊、全力で……潰す」
 すでに独鈷杵型採血具:赫炉を構えて戦闘態勢の十紀。彼女自身は信仰なんてものは信じていない。それに縋る者達も馬鹿馬鹿しいと思っている。だがこの教祖を逃がすなんてことは絶対にできない。その気持ちに揺り動かされ、戦う。
「だけどまだ数が多いね。少々の怪我ならうちがどうにかするから、思う存分に戦いな」
「雑魚の、お掃除は……任せた。……信じてるからね」
 そうしてリルファが能力「ReSummon・Slime(リサモン・スライム)」でナノマシンで形成されたスライムを召喚し、情報収集用ナノマシン「黒雀」を展開する。そして十紀はそのままダラキュリアに向けて突撃する。
「強襲兵ぇ!」
 ダラキュリアも小型羽虫と殺戮部隊を十紀に殺到させる。まずは十紀を排除し、リルファを殺して退路を確保するつもりだ。だが黒雀がわずかな動きを読み取り、行動を先読みし的確な敵の位置を割り出し、リルファがメスをそのポイントに投擲する。狙うは殺戮部隊の目や、羽虫の羽部分だ。突き刺し、抉られた敵はわずかなりとも動きを止める。
「ナイス……サポート」
 赫炉を握り、動きを止めた相手から順番に殴り殺していく十紀。反撃の爪や羽虫のかみ砕きが肉を抉るが、それでも十紀が止まることはない。それはリルファの援護を信じているからだ。攻撃しながらも傷を負う十紀に、リルファはスライムを投げつける。
「それぐらいの傷ならうちのスライムに任せな」
 そのスライムが傷口に取りつくと、ナノマシンが傷口を再生・細胞を構築すると共に、さらに活性化まで促す。その分泌された成分がさらに十紀の動きを鋭く、機敏で力強いものにしてくれる。
 そして羽虫を数匹一気に叩き落した先に、片腕のなくなったダラキュリアを視界に捉える十紀。殺戮部隊の一人がその進撃を止めようとするが、飛び掛かったリルファに首にメスを当てられる。そして相棒にエールを送る。
「こっちの数だけ多いのはどうにかするよ、十紀さんは教祖を頼むよ」
 殺戮部隊の首をリルファが掻っ切ったと同時に、十紀がダラキュリアの元に飛び込む。片腕になったといえ、強烈な斬撃は健在だった。当たれば十紀の身体を引き裂く剣が振るわれる。だが持ち前の勘とリルファのスライムによって高めれた反射能力によって、それらをすべて捌き切り懐に入る。
「叩き……潰す」
 そして赫炉から血によって構成された赫き大剣から放たれるは「紅刃:天羽々斬(ブラッドブレイド・アメノハバキリ)」。まさしく十紀の渾身の破壊の一撃。ダラキュリアはその頭上に迫る一撃を受け止めるが、刀剣が持たずに粉砕。そのまま十紀は振りぬき、ダラキュリアの頭部半分を文字通り叩き潰した。
「こ、ん、な。アタシが……こん、なところ、で」
 もはや顔半分を失い、ダラキュリアは思考が回らなくなっている。だが自分の頭部を潰した十紀と、殺戮部隊を屠ったメスを握るリルファを見て気づく。
「テメエ、等、フラスコ、チャイルド、か、よ」
 その事実にダラキュリアは心底笑いが止まらなくなる。自身はクローン。まさか自分を葬る者が同族とは、たまらない皮肉である。
「ハハッ、テメエ等、も、所詮、アタシ、と同類。創られた、者、末路は、同じ、だ、ぜぇ?」
 そして最後の力を振り絞り、隠してあった刀剣を突き立てんと十紀に迫る。だがそれすらも予測していたリルファが、目にメスを投げつける。眼球にメスが刺さり、視界を失った攻撃を宙を切る。そして十紀の紅刃:天羽々斬が残った半分の頭部を叩き潰し、ついに頭と首を粉砕されたダラキュリアは地面へと沈む。そしてその肉体は崩壊し、骸へと帰っていく。
 それを見送った二人は、ダラキュリアの最後の言葉を聞きながらも、表情を変えることはない。
「人を…本当の意味で……救えるのは……神様でも、ましてや……アンタみたいな、怪物でも、……ない。同じ、人だけなのかも……しれない ね……」
「でもうち達は同じ道は辿らないよ、絶対に」
 そう言って消滅していくダラキュリアを見送り、リルファと十紀はロスベルトの方角を見る。今頃は解放の歓喜に包まれているのだろうか。だが自分達もほんの少し、勝利の余韻に浸るのもいいのだろうと、ダラキュリアの言葉を現実にしないという決意と共に彼女達は拳を合わせたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年01月18日
宿敵 『ダラキュリア・クローン』 を撃破!


挿絵イラスト