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さらば優しき友よ

#アポカリプスヘル #ナカタさん

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#アポカリプスヘル
#ナカタさん


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●もう、戻れない
『へえ、キミは戦車に乗るのが得意な動物なんだ』
 凄いね、と女は言う。何が凄い――それが出来る奴なんて、幾らでも居るだろうに。
『ストームブレイド用の支援衛星だって。何か知ってるかな?』
 戦車乗りの俺にどうしてそんな事を聞くんだ? 怪訝な顔をしていると女は笑った。
『だってキミが隊長でしょ。ねえ――』
 止めてくれ。俺はもう、そういうのから足を洗った――逃げ出したんだ。

「集まってくれてアリガト。早速始めるわね」
 ジュリア・レネゲード(叛逆者・f24378)はグリモアベースに集った猟兵達に告げる。背後のスクリーンにはどこかの沿岸部の拡大マップが映し出され、それぞれの区画に『戦車駐機場』『兵器開発棟』等と、物騒な単語が並んでいた。
「今回の作戦はアポカリプスヘル、マイハマ・エリアの旧遊園施設の防衛よ」
 遊園施設? その割には随分と危なげな内容だが、と誰かが尋ねる。
「遊園施設と言っても昔の話。今は賢い動物たちの国って呼ばれているわ」
 つまりオブリビオン・ストームの影響で無人となった遊園施設に、賢い動物たちが入り込み自分達の拠点にしたという訳だ。その際に大規模軍事基地に改築されたのだ。
「ここの賢い動物たちは色々な事情で、動物以外は信用出来ないって賢い動物たちだけで閉じこもり自ら軍備を整えてるのよ」
 将軍のカリスマは凄まじく、イルカを含む生き延びたの哺乳類――賢い動物たちを一堂に集めて、このエリアに一大拠点を築き上げたのだ。だが今回の目的はその鼠ではない。
「それを何処からか聞きつけたオブリビオンが拠点ごと乗っ取って、あわよくば自分達の新たな戦略拠点にしようって考えてるわ。これを完全に打倒するのが作戦目標ね。その為に先ず、この国に入り込んだオブリビオンのスパイを抹殺して欲しいの」
 スパイの抹殺か。やる事は分かったが、簡単にスパイが分かるのか? と質問が飛ぶ。
「スパイはね、猟兵が見ればすぐに分かるわ。転移先も間近に送り込めるから、そこは心配しないで。ただ私の予知だと他に内通者がいるみたい――その子は何も知らずに利用されているだけ。見つけたら守ってあげて欲しいわ」
 内通者――不穏な響きだが誰だか分からなければその護衛も難しい。だがそれは心配には及ばない……続けてスクリーンに、内通者らしき猿の近影が映し出された。
「名前はナカタというお猿よ。実は凄腕の二足歩行戦車乗り――かつて賢い動物の切り札とまで呼ばれていた傑物らしいの。ただ今は引退してるみたいだけどね」

「話が逸れちゃったけど、スパイの抹殺が終わったら続いて襲撃してくる敵の迎撃を、ここにいる賢い動物たちとやって欲しいの。敵はオブリビオン、流石に種族がどうのこうの言ったりはしないでしょう。一個戦車師団に海洋戦力、それ以外にも特別な訓練を受けた犬達がいるわ。各エリアに展開するだろうから、協力して戦って頂戴」
 続けて映された敵の見た目は人類そのもの――世界に緑を取り戻さんという高い志と弱い心に付け込まれた、哀れなオブリビオンの群だ。オブリビオンの種を蒔き、破滅を加速させる連中がこの基地を苗床に選んだというのは、あながちおかしな話では無いだろう。
「最後には敵の首魁……拠点を襲っては管理社会を無理矢理作るパラノイアよ。流石に強敵だから、これは猟兵の皆で対処してね」
 映されたのは狂科学者の複製体――そのオブリビオンだ。歪んだ管理社会の構築を目指すその妄執は、彼等と非常に相性が良いのだろう。つまり、手加減無用だ。
「詳しい情報は時々更新するから。それじゃ――どうか無事で」
 グリモアが煌き、繋がった先はシェルターだ。
 余り時間は残されていない。早くスパイを見つけなければ……。


ブラツ
 ブラツです。
 新年あけましておめでとうございます。
 本年もよろしくお願い致します。

●作戦目的
 第1章ボス戦は基地内部の敵スパイ抹殺が目的です。転移後直ぐにスパイは見つけられます。戦闘前後でお猿のナカタに声を掛けられます。スパイはナカタを通じてこの基地内に混乱を齎そうとしていたので、可能な限り彼の安全を確保して下さい。

 第2章集団戦は基地を取り囲んだ敵軍団との直接戦闘です。ただ余りにも数が多い為、交戦ポイントを指定して下さい。その際交戦ポイント毎に賢い動物たちの支援を得る事が出来ます(支援内容の指定は必須ではありません)。

 第3章ボス戦は基地の外で指示を出していた首魁との直接対決です。猟兵との正面対決になりますので、全力を賭して立ち向かって下さい。

 以上になります。
 恐れ入りますが、各章幕間提出後の定められた期間にプレイングをお願いします。
 アドリブや連携希望の方は文頭に●とご記載下さい。
 単独描写を希望の方は文頭に△とご記載下さい。
 同時描写希望時は何がしかの識別子の記載をお願いします。

 それでは、よろしくお願い致します。
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第1章 ボス戦 『アルテミシア・アビス』

POW   :    願い星
【兄に会いたい】【もとの姿に戻りたい】という願いを【骸の海の存在達】に呼びかけ、「賛同人数÷願いの荒唐無稽さ」の度合いに応じた範囲で実現する。
SPD   :    想い花火
自身の【兄との記憶】を代償に、【超高速かつ、大質量の火薬】を籠めた一撃を放つ。自分にとって兄との記憶を失う代償が大きい程、威力は上昇する。
WIZ   :    ま だ で す ! !
【やせ我慢・ド根性・気合い】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、やせ我慢・ド根性・気合いから何度でも発動できる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はアポリオン・アビスです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●いつの日かと恐れていた
『――やっぱり、お前はスパイだったのか』
 どうして、と男が、猿の老兵が女に問う。
『どうして? ロートルに飽きもせずに話しかけた理由かしら……そんなの』
 ああ、止めてくれ。お前だけは、俺の話を聞いてくれたお前だけは……。
『……止めだわ。もうお喋りしている余裕なんて無さそうだし』
 女は、猫の賢い動物に見えたそれは――オブリビオンだった。
『来なさいよ猟兵、私が目当てなのでしょう?』
 幼い見た目とは裏腹に語気を強く荒げる少女。
 老兵を引き金とした混乱は辛くも防ぐ事が出来た。
 後は急いで、このオブリビオンを始末しなければ。

※恐れ入りますが、プレイングは1/5(日)8:31より募集致します
バレッタ・カノン
殺せばいいんだな
分かりやすくて助かる

今回は【SPD】で押し通す
次の戦闘もあるようだしな

転移後に奴を見下ろして射線が開けている高所を探してそこに位置取る
足場がしっかりしているところがいいだろう
【地形の利用】だな
ばれない様にこっそりだ

「荷車」の菓子パンを食べて糖分を十分に補給をする
味方に当たらない射線が確保できたらUCバレッタ砲
しっかり踏み込んで【怪力】で「対戦車徹甲弾」を【投擲】

撃ってからのことは知らん、脱出だ
当たればダメージは入るだろう
「マント」の【火炎耐性】で何とかなればいいのだが

裏切者には死を
お互いに仕事だ
私の食事代くらいにはなってくれよ

アドリブ大歓迎


ピウ・アーヌストイト
WIZ

おお……初依頼であります!なにやら、複雑そうであります……。
聞き上手のスパイ……!うっかり、内通者になってしまったでありますか。まだ……まだ、間に合うであります!

指定UCで6倍にした能力で、先手をいただき、ナカタ殿の元へ駆けつけるであります!たったの数秒後には昏睡……。
だからこそ、必死にアサルトライフルで敵を寄せ付けないように頑張るであります!!

未熟者で申し訳ないのでありますが……。後はお仲間に任せるでありますよ。孤独ではありませんからな。
……できるなら、気合いで私も起き上がりたいでありますよぉ!無念であります!



●開戦
「まだ……まだ、間に合うであります!」
『間に合うかどうか……やってみようか!』
 アビスの手より玩具のロケットみたいな爆弾が投げつけられる。可愛らしい見た目に反して威力は本物――転移されて一番に現れた色白の美少女、ピウ・アーヌストイト(ちんまい大家・f24841)は爆弾の魔の手からナカタを庇いつつ、必死そうな表情でその場から連れ出した。
『――おい、もしかして初陣か?』
「……初依頼であります!」
 初々しくも勇ましい返事を上げるピウ。真っ赤な瞳には僅かに涙が滲んでいた。フラスコチャイルド特有の可愛らしい容姿に武骨な銃火器を手にして、ナカタを救わんと馳せ参じたピウ――なにやら複雑な背景があるらしいが、彼の事は大体聞いている。その手を取って駆けずり回りながら、ピウは大きく頭を振ってナカタに聞いた。
「聞き上手のスパイ……! うっかり、内通者になってしまったでありますか」
『内通者って、おいおい……うん。まあ、そんな所か』
 歴戦の勇士が内通者、か。ある事ない事あの子には伝えた気がするが、だがそんなつもりじゃ無い――思いのままあの子の、アビスへの想いをナカタは吐露した。
『それでも俺じゃ、あいつの兄にはなってやれなかったのさ』
 兄、でありますか。不思議そうな表情をするピウ、一体それは――浮かんだ疑問を口にした瞬間、可愛らしい爆弾が目の前で炸裂した。
『見つけたよ――』
「ナカタ殿、逃げるであります!」
 ピコリと両耳をレーダーの様に動かすアビスを睨む様に突撃銃を構え、ナカタに撤退を促す。そして。
「未熟者で申し訳ないのでありますが……。後はお仲間に任せるでありますよ」
 孤独ではありませんからな――ニコリと笑みを見せてピウは疾る。投げ付けられた爆弾を超常で研ぎ澄ませた感覚で避けて、返す弾幕が色取り取りの花火を描く。
『ハ――孤独じゃない、か』
 その身を犠牲に背をピウの姿を後にして、ナカタは駆け出した。孤独――少なくともあの子といる時、俺はそれを感じて無かったのだ。

「……できるなら、気合いで私も起き上がりたいでありますよぉ!」
「分かった――殺せばいいんだな。分かりやすくて助かる」
 大声を上げて、超常の効果が切れて倒れ伏せるピウ。無念であります、と意識を失ったピウを遠くから眺めていた色黒の美少女は、静かに大きく息を吸って、手にした物騒な得物をアビス目掛けて思い投げ切り放つ。
「裏切者には死を。お互いに仕事だ」
 バレッタ・カノン(バレットガール・f11818)の視線の先には、ナカタを視界から失っていらだつアビスの姿が。転移後にピウの奮戦を尻目に高所へと陣取って優位な状態を確保していたバレッタは、己が超常を最大限に発揮すべくじっくりと仕込みを済ませていたのだ。
『さっきから、小さいくせに……』
 投げられた物は対戦車徹甲弾――本来であれば巨大な砲を以って放つそれを、超常の威力で己が五体を大砲にして挑むのだ。
「態度ばかりデカくても、何の役にも立たんよ」
 煽るアビスを煽る様に返して、続々と砲弾を投げ放つ。位置取りも補給も十分、しっかりと踏み込んで大きく振り被れば、正確かつ強烈な一撃が続々とアビスを穿たんと放たれる。返す刃と爆弾を投げつけるも、高所に陣取るバレッタには思いの他有効打となりえない。
「精々、私の食事代くらいにはなってくれ」
 情け無用、容赦無用の攻撃が続々とアビスの下へ――しかし埒が明かない状況に対し、意を決したアビスが特大の爆弾をバレッタへと投げつけた。
『ごめんね――お兄ちゃん』
 兄だと? 怪訝な表情を浮かべるバレッタの前で炸裂したのは超常の大花火……先程までとは比べ物にならない威力の一撃だ。間一髪発動した障壁術式と耐熱マントがその攻撃を受け流すも、重い一撃は地形ごと抉ってバレッタを地面へと叩き落とす。
「…………奴め、逃げたか」
 足跡だけ残しアビスがいた場所には何も無くなった。それでも幸い、倒れていたピウに崩れた地形のダメージは全く無い。
「しかし、兄とは」
 奴は兄なるものに対して異常に執着を見せていた。それがこの件と何の関係があるのだ――倒れたピウを掬い上げて、バレッタはアビスが消えた方を望んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フローラ・ソイレント
WIZ判定

・行動
自身にUCを使用して安全を確かめさせてからナカタを治療
増強した戦闘力で自分の身の安全を確保させる

敵に対してUCを使用していないのでコピーされずに戦闘可能
増強した戦闘力で敵を討つ

・セリフ
(自分のこめかみのツボに針を打ってからナカタに対して)
この通り危険な事ではないの
あなたの治療をさせてほしいだけ

動けるようになったら逃げてこの事を皆に知らせて
すぐに軍勢がやって来るわ

(兄を探す敵に)
おい、失ったものは二度と戻らないんだぜ
これ以上失う前にオレがアンタに引導を渡してやるよ

業を断ち、因果を正す磁極流の拳を受けて見な!
(磁場により弾をよけながら電撃を纏った一撃を叩き込む)



●癒手
『追いついたよ、さあ』
 今度こそ終いだ。シェルターの薄暗い通路で爆ぜた威力がナカタを襲う。幾ら逃げてもアビスの魔手から逃れる事は叶わないのか――脳裏を過った彼女の笑顔が、目の前で妖しげな笑みを浮かべた彼女と重なる。
『どうして……お前は』
「させないよ!」
 爆風が影に遮られる。凛とした声と共に立ち塞がったそれはフローラ・ソイレント(デッドマンズナース・f24473)、傷だらけの紫の肌を赤い筋がなぞって、それがアビスの本気さを一層際立たせた。
「……何があったかはどうでもいい。私はただ護るだけだから」
 こめかみに電磁鍼を当てて――見る見るうちに傷が引いていく。それこそがフローラの超常、肉体の治癒力を活性化させて一時的に戦闘力を増強する代物だ。
「――この通り危険な事ではないの。あなたの治療をさせてほしい」
 その姿を見せつけてナカタへと手を伸ばすフローラ。老兵ながら流石の勇士、鍛えられた肉体は触ればどれだけの鉄火場を潜り抜けてきたのか、すぐに感じ取れた。
『分かった。分かったから……早く済ませてくれるとありがたい』
 何より戦闘中だし、やっぱり怖いから。しかし有無を言わさず伸ばされた一手を受けたナカタも、爆弾で受けた傷が癒されてその身に活力が宿る事を感じる。
『一体、何故……』
「動けるようになったら逃げてこの事を皆に知らせて」
 恐らく、すぐに軍勢がやって来るわ。予知の通りならばこの後に控えるのは大規模戦闘。その準備は僅かでも早い方がいいと。アビスに対峙したフローラを見やり、再びナカタは駆け出してその場を後にした。
『……邪魔をしないで』
「邪魔? 何の邪魔だよ」
 白髪を振りかざし啖呵を切ったフローラが紫電を纏って飛び掛かる。超常で威力を上げた拳が、足刀が、風を切ってアビスに迫る。
「失ったものは二度と戻らないんだぜ、おい」
『あなたに何が分かると!』
 その一撃を翳した杖で受けて、反撃の一閃が空を切る。
「兄だか何だか知らないが、これ以上失う前にオレがアンタに引導を渡してやるよ」
『やってごらんなさい……猟兵!』
 アビスの手が己がこめかみを強く突いて、フローラと同じ様に威力を発揮する。忍耐を代償に対象の技をコピーする超常――超常が乗せられた攻撃を受けた時点で、その条件は満たされた。
『ここで終わりだなんて、認めない!』
「終わりさ。業を断ち、因果を正す磁極流の拳を受けて見な!」
 それでも、所詮は複製――フローラの紫電を纏った拳には程遠い。稲妻がぶつかり合い、空間が破裂した。衝撃がコンクリートを粉砕して、辺りに砂埃が巻き上がる。
「中々やるじゃないか……!」
 遮られた視界の奥で影が躍る。四つ、五つと投げられたのはアビスの爆弾。回し受けと体捌きで難なくそれを躱すも、続く爆音の後に彼女の姿は消えていた。
「また逃げたか。だが――」
 先に逃げたナカタが上手くやるだろう。何せこちらは一人じゃない。
「妄執ごときで戦士の誇りを乗り越えられると思うな」
 フローラがナカタへ治療を施した時に感じたそれは、決して偽りなどでは無い。
 あの男はまだ、戦う事を諦めてはいないのだ……後は信じるだけだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヴェスター・アーベント
対話/ナカタへの言葉
ナカタ!お前は何の為に戦う、何の為に死ぬ?それを自分に問い続けろ!
世界は優しさを失い俺達を苛む、それでも俺達は戦う力がある、その力の向かう先を決めるのは誰でもない自分だ!

戦術/UC【暗黒剣】で攻撃
「貴様の真実、俺が断ち斬る」
基本戦術は右手の聖剣と空中に浮遊し『念動力』で操る魔剣による攻防一体の剣技。
敵の動きを『見切り』魔剣を操って『武器受け』や『薙ぎ払い』で攻撃を防ぎながら『カウンター』の【暗黒剣】を繰り出し、その本質を斬り捨てる。
傷を受けたら鋭く聖剣で斬りつけ、暗黒の力で生気や魔力を『吸血』し『生命力を奪い』受けた傷を癒し『継戦能力』に長けた立ち回りで戦う。

アドリブ歓迎



●断罪
『ハァ……ハァ……』
 息を切らせて走るナカタ。先程の治療の効果も徐々に薄れ、やけに身体が重い。
『そうだ……奴らは……』
 アビスが漏らしていた言葉。こちらの軍備が整う前にここを奪い取る。だがそんな荒唐無稽な事を誰が信じるというのだ? 再び鎌首をもたげた疑念が己の中で膨れ上がり、遂にナカタは足を止めた。
「止まるな!」
 不意に背後から檄が飛ぶ。それはヴェスター・アーベント(孤独な剣士・f09560)
 ――闇色の騎士は凛とした佇まいでナカタに言葉を続けた。
「ナカタ! お前は何の為に戦う、何の為に死ぬ?」
『何の、為に……」
「それを自分に問い続けろ!」
 ヴェスターの手には一対の剣が。白と黒の対照的なそれらが鈍い光を放って、更にその背後からアビスが姿を見せる。
『また邪魔をするつもり、猟兵』
「如何にも……ナカタよ!」
 踵を返してアビスと対峙するヴェスター。その眼には些かの曇りも無い。敵を倒す、ただその一点のみを見据えて磨き上げた超常の剣技は、戦いの中で晴らした己が狂気と表裏一体。強き心が己を支え、世界を取り戻す。そう信じて進んできた我が道の連なりだ。
「世界は優しさを失い俺達を苛む、それでも俺達は戦う力がある、その力の向かう先を決めるのは誰でもない自分だ!」
 だから行け。強く言い放つヴェスターは魔剣を飛ばし、アビスの行く手を遮った。
『……ああ』
 短く返事をして再びナカタは駆け出す。己が戦う理由、これまで戦ってきた思いを胸に――皆を守る為に。
『あの人にこれ以上、余計な事を吹き込まないで!』
 アビスの姿が揺らめく。その願いは超常――祈りは骸の海へと届き、僅かな奇跡をその場に発現した。
「人をかどわかす化物が、そんな見せかけに脅されると思うな!」
 蠢く異形を魔剣が封じて、飛翔したヴェスターの一撃がアビスの肩口を斬り裂く。
『そんナ、もので…………!』
 刹那、偽りの月光がヴェスターを貫く。しかしそれすら熟練の前では児戯にも等しい――滑る様に懐に入った漆黒は、偽りの光を断たんと超常の暗黒を呼び起こして。
「貴様の魂を斬る……暗黒剣《ダークブレイド》!」
 鋭い一撃が再びアビスを襲う。それは肉体ではない、本質を斬り裂く超常の一撃。発現した異形を吸い取る様に、ヴェスターの一撃は偽りのヴェールを引き剥がす。
『そんな、馬鹿ナ……!』
 一瞬、眩い光が空間を埋め尽くす。その輝きに紛れてアビスは再び姿を消した――歪んだ残滓をその場に残して。
「それが、歪んだ貴様の願いか……!」
 ならば切り刻むだけ。変質した『もとの姿に戻りたい』という願いは、邪な抜け殻を残した。だが抜け殻と言えど人に害を成すものに変りは無い――聖剣を握る手に力が籠る。悪しきを断たんと、ヴェスターは再び空を舞った。

成功 🔵​🔵​🔴​

クロト・ラトキエ


ナカタ氏の身の安全が真っ先。
彼女に、誰も傷付けさせぬ為に来ました。
等と言葉は選び、介入を防ぐ。
どうあろうと疵は遺る。ならば少しでも優しいものを。

鋼糸に通すUCは攻撃力強化の魔力。
戦さ場にかける情など無いですよ。
敵へ駆け間合い詰めつつ、
願いの体現ごと広げ巡らせた鋼糸に絡げ、
範囲攻撃にて纏めて断ちたく。

ひとの心の柔らかい場所へ、
触れて溶け込み信じさせて、
破滅を撒く。
それは、よく識った…身に覚えが有り過ぎる其れだ。

打倒後、時があるならナカタ氏の話を聞きたい。
あの猫との事、とか。

全ては都合の良い偽り、優しく甘やかな毒の様であっても…
ふとした瞬間懐いた想いは、嘘じゃない事もある。

なんて、独り言ですけど


リインルイン・ミュール

まずはナカタさんの安全確保に注力します
一番良いのはこの場を少し離れて頂く事です、彼が納得するなら庇いつつ離れましょう
色々なことが受け入れ難いでしょう。しかし、利用されていたという事実からは逃げないで下サイ

ユーベルコードは、基本的には防御や補助、妨害で使用。材料は地面や金属、沢山ありますネ
壁を創って攻撃を防いだり。硬いけれど軽い鎧を創って装着して頂くのも良さそうです
敵の足元だけ地面を粘着質に創り変えたり、火薬の攻撃には空気中に多くの水分を創り、見え難い棘を配置し刺さって貰うなり、妨害方法は色々
直接の攻撃は変形する黒剣での中〜遠距離攻撃、エナジーの電撃纏わせた拳で殴る至近戦を必要に応じて行いマス



●救済
 薄暗い廊下を走るナカタの前に二つの影が現れる。突然だ――先程と同じ猟兵だろうか。彼等はどうしてここまで、俺の前に現れるのだろうか。
『今度は、何だ?』
「彼女に、誰も傷付けさせぬ為に来ました」
「なので、一番良いのはこの場を少し離れて頂く事です」
 疲れた身体がつい思いを口走らせる。答えたのはクロト・ラトキエ(TTX・f00472)とリインルイン・ミュール(紡黒のケモノ・f03536)――優男に獣の組み合わせ。いや、獣の方はそう見せているだけで違うらしい。僅かな明かりが纏う漆黒をぬめりと照らせば、面を思わせるその顔が微動だにしていない事を悟らせた。
『離れる、か』
「受け入れて下さるならば、手伝いますよ」
 漆黒が、リインルインが静かに告げる。戦う事が目的ではない。だとしても、迫る追手はその手を休める事は無い。矢張り、空を揺らして現れたアビスの姿を目に納めて、ナカタは再び嘆息した。
『逃げないで、キミは……ううん』
 少し困ったような、僅かに恥ずかしそうな表情を見せてアビスが告げた。ああそうだ、この子はそういう子なのだ。本当は……。
『お兄ちゃん、今ならば間に合うから』
「ひとの心の柔らかい場所へ、触れて溶け込み信じさせて、破滅を撒く――」
 それは、よく識った……身に覚えが有り過ぎる其れだ。優男が一歩前に出る。一時の甘い邂逅もクロトにしてみれば偽りの逢瀬。奴等はそういう輩なのだ――故に、どうあろうと疵は遺る。ならば少しでも優しいものを。せめて抱いた思いだけは本物であったと、ナカタ氏の身の安全も、心の安息も守る為に。
「終わったら、話を聞かせてください」
 あの猫の事とか。クロトが一言告げて、はらりと銀光が地に落ちる。その姿を見てリインルインとナカタはその場を駆け出した。
『終わったら? 何も終わらないよ! 終わらせない!』
 その姿を見て激高するアビスを静かに見据え、音も無くクロトは間合いを詰めた。影が重なる、踊る様に。その結末が如何なるものであろうと――ただ護るという一点を心に秘めて、再び空間が爆ぜた。
「あなたの相手は私です」
『邪魔よ!』
 ずぶずぶと漆黒が銀光を飲み尽くす。変容したアビスの五体が音と共に全てを闇に包み込んだ。だが、それが偽りの殻である事はクロトの目には明白だった。
「全ては都合の良い偽り、優しく甘やかな毒の様であっても……」
『止めて!』
 ひゅんと手首を返す。瞬間、銀光が煌いて、地に伏せた鋼糸が断った闇から夥しい量の汚泥が飛び散る。ショウダウン――超常の魔力を込めた必殺の一撃が、虚ろなそれらを骸へと還したのだ。
「ふとした瞬間懐いた想いは、嘘じゃない事もある」
 嘘偽りの中にそれぞれが秘めた思いをせめて掬えればと、高く掲げた両の手を広げるクロトの姿は、まるで荘厳な指揮者の様であった。
「なんて、独り言ですけど」
 最早、跡形も無い。既に仕込みは済んでいた。願いはとうに、断たれていたのだ。

「――色々なことが受け入れ難いでしょう。しかし、利用されていたという事実からは逃げないで下サイ」
『分かってる。分かってるつもりだ……でも』
 互いがそれぞれを利用し合う間柄だったというだけ。それでも、ナカタはあの時の語らいが全て偽物だったとは信じたくは無かった。僅かな時でも分かり合えた、通じ合えたのは本当だったと――それまで否定する事は出来なかったのだから。
 クロトが稼いだ時を使って逃げる二人。それでも闇が、骸が再びその道を塞がんと猛威を振りかざす。
「変形したと。私と同じ……いいや」
 違う。あれは超常の残滓だ。放たれた暴力の残りカスだ――地を這って迫るそれを止めるべく、リインルインは己が超常を発現した。周辺の無機物を自在に変形させたその力は、瞬く間に新たな壁となって変貌したアビスの道を塞ぎ返す。しかし。
「コピーとは。流石に力だけは本物ですか」
 その壁にぽっかりと大穴が――更には長大な道と化して、二人の下へと一直線に伸びていく。リインルインの超常をコピーして、己が存在を賭けて放ったアビスの超常が、無機物の形を変えて迫るのだ。
「ですが所詮、紛い物に過ぎまセン」
 念の為にとナカタの周囲に無機物の鎧を形作り、自身はその場で立ち止まる。右腕に電撃を纏った拳を、伸びた尾には鋭い黒銀の刃を生やして、二足で立ち上がった姿は最早獣ではない、雄々しき戦士の其れだった。
『なあ、どうして』
 迫るコンクリートの道を拳が砕き、飛散した破片を刃が払う。ここから先へは一歩たりとも進ませない――リインルインの強き意志を体現する様に、漆黒の巨体は二足で立ち上がりアビスと対峙する。
『どうしてそこまでするんだ?』
 その姿を見てナカタが叫ぶ。何故見ず知らずの俺をそこまで護ろうとするんだと。
「あなたも、ソウだったのでしょう」
 知る知らぬも関係無く、多くの仲間を護って来たのでしょうと返すリインルイン。
「さて、ここはお任せくだサイ。あなたは早く、仲間の下へ」
 その為に私達は来たのですから。だから振り返る事は無い――徐々に小さくなる足音を耳にして、リインルインは迫る悪意に立ち向かった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ガロウ・サンチェス
【三匹】で行動。
へぇ、賢い動物だけのベースね。ゼロよ、お前も仲間に入ってきたらどうだ?
と……冗談はさておき、動物相手ならウチのゼロが折衝役に適任だろうし、ここはあいつの
指示に従うぜ。…?なんでえ、あのお嬢ちゃんは。あれがスパイか?

基本は<グラップル>による格闘戦。
「とりあえず、あの小型ロケットは俺に任せろ!」
【灰燼拳】を使い、前に出て飛来するロケット弾を黙々と殴り倒していくぞ。
発生する爆炎を利用してネコ娘に接近し、そのみょうちくりんな杖を奪い取ってやるぜ。
おイタが過ぎるぜ、お嬢ちゃんッ!
…あれ、なんか俺の方が悪役っぽくね?(重度の強面)


ゼロ・クロニクル
【三匹】で参加

賢い動物だけで構成される要塞か。あとでその指揮官殿とやらにぜひ会ってみたいものだな
…そしてナカタよ、己の説明責任は必ず果たされよ。部外者の拙者らに口出しする権限はござらん、
処分はベースの者たちで決めるがよい(一瞥し戦場へ)

戦闘ではアニマルアーマーに仕込んだ忍者手裏剣を飛ばし、味方を援護。
隙を突いて【降魔化身法】を使い、大型の狗の妖怪へと身を変える。
偽神兵器の太刀を抜き、柄を口で噛んで敵に斬りかかるぞ。
ユーベルコードの代償は<呪詛耐性>で耐え、攻撃ヒットと同時に
<捕食>でオブリビオンの細胞を喰い取って自身を強化していこう。


アモン・スメラギ
【三匹】で行動。

へえ、ここがマイハマエリアか~。
昔は楽しいテーマパークだったんだろうね、ハハッ!

さて、まずはあの猫娘を倒せばいいんだね? ちょっと待ってね…
瑠璃色の蝶を呼び出し、『聖王国』の鍵となるチップを体内にインプラント。
『わが聖王国の民よ、聞こえるか? 来たる聖戦に備えよ。そしてマイハマ・サーバーに【マナ】を結集するのだ!!(エコー)』
【プロジェクト・ディーヴァ】を発動、俺は『聖王国』の王としてソーシャルメディアに降臨。
<コミュ力>を使い、マイハマ・エリアに向けてエネルギーを送信するように呼びかけるぞ。充分に補給できたら、光線銃を手に戦場へ。猫娘に向けてビームを<乱れ撃ち>するぜ!



●三体
「へえ、ここがマイハマエリアか~」
 曇り空の下、三つの影が大仰な門の下に現れる。転移座標を誤った――訳ではない。彼等は望んで、ここへと降り立ったのだ。
「昔は楽しいテーマパークだったんだろうね、ハハッ!」
「賢い動物だけで構成される要塞か。あとでその指揮官殿とやらにぜひ会ってみたいものだな」
 二人の人間と一匹の犬……否、賢い動物は嬌声を上げてかつて世界に名を馳せたテーマパークの面影をなぞった。入口には係員の代わりに武装したアライグマが。モノレールには対空機銃が、荘厳な中世の城めいた建物は基地中枢部だろうか、かつて掲げられていた旗の替わりに、魚の骨の様な雑多なレーダーセンサがチカチカと明滅していた。正に前線基地の様相……迂闊に入場しようものなら問答無用で夢の国へと送還されるだろう。但し悪夢だが。
「ゼロよ、お前も仲間に入ってきたらどうだ?」
「待遇が良ければ考えようか。だが今はそれ所ではあるまい」
 一際ガタイの良い男が動物へと尋ねる。そんな戯れ言を意にも介さずという風に、犬はすたすたと入口のゲートをくぐった。幸い猟兵は送還対象ではないらしい。
「拗ねるなよ……分かってる分かってる」
 諸手を上げておどける男、その後ろには小柄な少女――ではない。フラスコチャイルドの中性的な少年だった。三人は当然のようにゲートをくぐって、マイハマ・エリアの動物の根城の中へと進んでいった。ここから先は戦場、もう油断は出来ない。

『……まだ追い掛けて来るか』
『言ったでしょ、お兄ちゃん。終わらせないって』
 明かりが明滅する通路を進んで、ナカタは再びアビスに襲われる。己が身を変えてまでも執拗に追いかける執念深さに、されどここで膝を折る訳にはいかないと、老兵は瞳に勇気を湛えてアビスと対峙した。
 やるしかないのか……腰に下げた拳銃に手を駆けた刹那、一陣の風がナカタの前を通り過ぎる。ギラリと煌くのは咥えた忍刀。それは紛れも無く先程の猟兵だった。
「ナカタよ、己の説明責任は必ず果たされよ」
『……誰よ。ここの子じゃないわね』
 忍犬のゼロ・クロニクル(賢い動物のストームブレイド・f24669)は悠々と歩を進めながら慎重にアビスの前に陣取る。
「部外者の拙者らに口出しする権限はござらん、お主の処分はベースの者たちで決めるがよい。だが」
 だが、こ奴の息の根はここで止める。ふらりと影がもう二つ――ゼロの左右を囲む様に現れて、背後のナカタを隠す様に足を揃えた。
「お嬢ちゃんがスパイか。悪いがここから先は通行止めだ」
「あの猫娘を倒せばいいんだね? ちょっと待ってね……」
 僧服のガロウ・サンチェス(人間のゴッドハンド・f24634)、少女みたいなアモン・スメラギ(フラスコチャイルドのソーシャルディーヴァ・f24679)、三人はアポカリプスヘルを共に駆ける家族の様な【三匹】だ。アモンは瑠璃色の蝶をインプラント――超常の鍵は聖王国の門を開き、仮想世界の万民に遍くその声を届ける。ソーシャルディーヴァの神髄、体内のサーバを起点とした双方向ネットワークから数多の情報を吸い上げるのだ。そして。
「行け、ナカタ。ここは拙者達に任せて――」
「それじゃあお仕置きの時間だ。行くぞ!」
 アクセスの間、アビスのロケット爆弾から彼を護るべくガロウが前に出る。三人の雄姿を見届けたナカタは再び駆け出し、その道を護らんとゼロがアビスに飛び掛かる。三位一体の鉄壁の布陣に、アビスはイラついた表情で吼えた。
『冗談――こんな所で!』
「遅いぞ猫娘、その程度で!」
 杖を振るい放たれた無数のロケットが三人を狙い空を飛ぶ。当たれば相応のダメージを喰らいかねない――故に、ゼロは鎧に仕込んだ忍者手裏剣をすかさず放ち、射線上のロケットを起爆、巻き込まれた多数の爆弾が凄まじい爆炎を巻き起こし、一進一退の攻防が続いた。

「わが聖王国の民よ、聞こえるか? 来たる聖戦に備えよ。そしてマイハマ・サーバーに【マナ】を結集するのだ!!」
 するのだ! するのだ。するのだ…………。
 響き渡るアモンの声が、ネットワークを介して奇跡を起こす。何も無い地下通路へ莫大なエネルギーの奔流がアモンに注がれて、手にした光線銃に力が漲る。
『ディーヴァか、厄介な』
「お前さんも大概だよ。そらっ!」
 爆炎の中、続々と飛来するロケットを拳で打ち返すガロウ。一歩、一歩と間合いを詰めて、狙いはアビスが手にする超常の杖。
「とりあえず、あの小型ロケットは俺に任せろ!」
「心得た。いざ参る――!」
 攻守が交代する。ロケットをガロウが受ければ、今度はゼロが忍刀を――その正体は超常の偽神兵器、宿した超常が力と引き換えに己を蝕めば、その威力が巨大な狗の妖怪へとその身を変化させた。
『本っ当に……しつこいッ!』
「やるな。だがここまで近付けば――」
 爆炎を潜り抜けて必殺の一閃――膂力を増したゼロが一太刀振るうと共に、烈風がロケットが続々と爆散。最早アビスは目と鼻の先、爛々と目を輝かせる狗の妖怪は焼けた肌を物ともせず、一刀を引っ提げてその足下に辿り着いた。
『近付いたから、何?』
「どいてゼロ! 乱れ撃つよッ!」
 通り抜ける様な刹那の一撃が、オブリビオンの血を撒き散らす。骸の血肉を己に取り込み、ダメージ与えると共に回復を果たしたゼロが抜けた後に、今度はアモンが必殺の爆光を放ち続ける。
『それが……どうしたッ!』
 縛光に晒され徐々にこそぎ落ちるアビスの肉体。変容していくその姿を見てガロウは一早く異変に勘付いた。こいつの超常はロケットとコピー、そして。
「エネルギーが……いかん、一旦引けッ!」
 今やアビスを取り囲む様に陣取った三人の中、最も至近に辿り着いたガロウが超常の一撃を喰らわさんとその拳を強く握る。
「ガロウッ!?」
「まだまだ……零距離、獲ったぜ!」
 爆炎に焼かれ煤だらけの全身を顧みず、前へ、前へと。そして突き出した拳が――灰塵拳が遂にアビスの胸元に突き刺さった。
『アアァァァァァァッ!!!!!!』
 バラバラと身体が崩れ落ちていくアビス。まるで石炭の様に脆く崩れ去ったその姿は凄まじき爆炎を背後に、正に骸の使者と呼べる悍ましき正体を晒していた。
「やったか!?」
「あ、それは……」
「やってない……だろうな」
 その一撃はガロウにも多大なダメージを与えていた。ここに至るまでの険しい道のりが多大な負荷を身体に与えていたのだ。ゼロも己を蝕む超常を解いて、鋒鋩の体で辺りを見渡す。大丈夫だ、敵の姿は無い――だが。
『アァ……アァ……オニイ……チャン……』
 声が聞こえる。アビスの切なる祈りが。それは通路の闇に混ざって徐々に遠のいて、そして消えた。
「歪んだ願い……記憶の欠落……か」
 ダメージを押して前に出たガロウはその場に腰を下ろし、もうここに敵はいない事を感じ取る。敵の能力は記憶を代償に超常を発するモノ。更にアモンの超常を複製しエネルギーを溜め込んで、記憶を糧にばら撒いた爆炎に紛れ、願いを込めて漆黒と化した己の五体を闇へと同化させて消える。その代償か、鳴き声のようなアビスの声を聞いてガロウは嘆息した。
 戦いは佳境だ。アビスに残された力も最早僅か。
 しかし逃げ切ったナカタが役目を果たすまで、状況は終わらない。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

塚杜・無焔




彼女と共に行こうとするのならば『楽になれる』かもしれんが、
より深く傷つく事になる。それは、『死ぬ』ことも同義な程にな。

――悠長に呼びかける暇が有るのか。
戻りたいと本当に願って実現するのならば、私はとうにしている。
【属性攻撃】【マヒ攻撃】の赫雷を【早業】で撃ち込み、
動きを阻害し態勢を崩させていこう。

一瞬でも隙を見せたのならば、拳に赫雷を纏わせ――
【鎧無視攻撃】として直接身体に電撃を『撃ち込んで』やろう。
これこそが、【一撃必殺】という物なのだから。

――話を聞いてくれる奴が、善人とは限らんのだ。
そうやって、人を食い物にする者が居るから、お前達は。
……信じられなく、なってしまったんだろう?



●守人
 幾何かの死線を乗り越えて司令部への直通経路だ――だがその前に大柄な男が一人、まるでナカタを待ち伏せるかの様に一人で佇んでいた。
「――彼女と共に行こうとするのならば『楽になれる』かもしれんが、より深く傷つく事になる。それは、『死ぬ』ことも同義な程にな」
『まさかデッドマンに死を説かれるとはな。だが彼女だけだったんだ……』
 男は――塚杜・無焔(無縁塚の守り人・f24583)はナカタに滔々と言葉を紡ぐ。まるで己に言い聞かす様に。その言葉にナカタは、ただ一つ信じられた記憶を無焔へ告げた。それこそが己が唯一生きる意味だったとして。
『彼女だけが、俺の話を聞いてくれた』
「話を聞いてくれる奴が、善人とは限らんのだ」
 静かに目を閉じ再び口を開く無焔。言いたい事も気持ちも分かる。だからこそ、それに縋ってしまう弱さを咎める事は出来ないと知っているから。
「そうやって、人を食い物にする者が居るから、お前達は」
 ナカタだけではない、ここにいる賢い動物達は皆、頑なに人間との接触を拒む。その理由はたった一つ。極めてシンプルで哀しい事実。
「……信じられなく、なってしまったんだろう?」
『…………』
 人間を。自分達賢い動物以外の存在全てを、信じられなくなった。だがその中ですら、不信や軋轢はある――ナカタはその環より外れた、故に甘言を受け入れてしまったのだ、と。
『おにい、ちゃん』
『アビス、俺は』
「――悠長に呼びかける暇が有るのか」
 闇を纏って奴が、アビスが再び姿を現す。だが今、無焔がやるべき事はただ一つ――それは決して、ナカタへの断罪などでは無い。
「成すべきを成せ。私は私の成すべきを成す……それだけだ」
 ずいと一歩前に出て、無焔はアビスと対峙した。煤けた身体、襤褸の様に傷だらけの衣服がアビスの激戦を物語る。だからと言って手加減出来る相手では無い。
『……ならば俺は、先に地獄で待っているぞ』
 ナカタが背を向ける。やるべき事はただ一つ――将軍に改めて事態を告げる事だ。例え自らを貶める事だとしても、やらなければ。決意を背に扉の向こうへと消えたナカタを見やり、再び無焔がアビスを睨みつける。
「子細は問わん。だがこれ以上、世界を破壊させる訳にはいかんのだ」
『じゃま、しないで』
 炎が――紫電を纏った烈風が巻き起こる。対峙した二人も後に引く事は出来ない。それぞれの存在を賭けて、骸と猟兵の戦いが始まった。

「退くものか――フン!」
 無数の漆黒が乱舞して、されどそれらを帯電した無焔の剛腕が叩き落せば、再び闇は寄り集まってアビスの――猫めいたキマイラの形を取る。
「幾ら姿形を変えようと……お前はお前だ」
 歪な祈りが例え奇跡を起こそうと、何度だって覆す。それがこの世界に生を受けた無焔の使命。続けざまにロケットが乱舞して無焔を狙うも、回す拳がその尽くを退ける。そして電光石火――紫電を纏って間を詰めた神速の一打がアビスの態勢を大きく崩した。
「潔く散れ。これこそが一撃必殺――」
 ぐらりと揺れたアビスは無焔の放つ電撃を受けて、体勢を変える事もままならない。がら空きの胸元に圧倒的な体格差を以て放つのは必殺の超常――心臓打ち。生身ならば二度と立ち上がる事も叶わない。バリバリと荒れ狂う電撃が拳を伝い、撃ち放たれたその一撃がアビスを絶命させたかに見えた。しかし。
「…………逃げたか。だが」
 もう彼女は動かない。まるで女神像の様に――それは紛れも無くそこに居たアビスの命を奪っただろう。だがアビスの超常は、異形と化したアビスの半身は地を這いナカタを追い続ける。恐るべき妄執を秘めて、破滅の使徒は偽りの我欲に身を委ねたまま突き進む。
「これ以上は無い」
 無言で佇む骸がさらさらと零れ落ちて消える。
 それは終局を暗示する様な、ほんの少し悲しげな表情をしていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

メルノ・ネッケル

ナカタさん、やったな。
気に病まんでええよ、話聞いて貰えるんは嬉しいもんな……だから、後でうちにも話聞かせてくれへん?この辺りの流儀とか、ベテランに教わりたい事色々あるもんでな!

さて、言われた通り目当てはアンタや、猫。
行くで、先に仕掛ける!【先制攻撃】や!
【クイックドロウ】……拳銃抜き撃ちの『旋風連射』!全弾きっちり浴びるとええ!

……うちの技、覚えたか?そんじゃ、ガンファイトと洒落こもか。

この技は、銃口を相手に向けんと碌に撃てへん。
銃ごとコピーか、何かを銃に見立てるのかは分からんけど……銃口相当のもんさえ向けられなきゃ、撃たれはせぇへん!
銃口を注視して動きを【見切り】、制限時間まで凌ぎ切るっ!


リア・ファル

SPD

周辺および敵の情報を『ハローワールド』と『ディープアイズ』でサーチ、
演算開始(情報収集)

『ライブラリデッキ』から風の属性を読み込み、風圧結界弾を精製
相手の花火との間や演算した結果の効果的な場所へ打ち込み威力の相殺を狙う
更に結界が相手の位置取りを制限し、狙った位置へ追い込むだろう
(戦闘知識、属性攻撃、拠点防御、罠使い)

追い込んだ位置で逃げ場の無い相手に外す道理もない
「花火が終われば、夜空が見えるってね」
反撃はUC【必滅を穿つ北斗七星】で射撃

(戦後)
ナカタさん、彼女がスパイだと薄々感ずいていたのかな?
……でも、その優しき日々を捨てられずにいた。
でも転機は訪れた。もう戻れない

じゃあどうする?



●光牙
 闇の中、息を切らして走るナカタの前に再び影が二つ――だが、敵意がある風には見えない。またも通路で待ち伏せしているかの様に。徐々に二つの影の輪郭が形を成して――それは二人の少女だった。
「ナカタさん、やったな」
『……猟兵、か。悪いが先を急いでいる』
 その内の一人、メルノ・ネッケル(火器狐・f09332)がゆっくりと口を開く。明るい妖狐の少女はナカタを見るなり、心配そうに尋ねてきた。その様子を見て幾分安堵したのか、ナカタの方も優しく言葉を返した。
「ああ、気に病まんでええよ、話聞いて貰えるんは嬉しいもんな……だから、後でうちにも話聞かせてくれへん?」
『話、か……』
 あのアビスの様に――そうだ。別に戦の話がしたいって訳じゃない。こんな時じゃなきゃ腰を下ろしてゆっくり話をするのも有りだったろう。だが。
「この辺りの流儀とか、ベテランに教わりたい事色々あるもんでな!」
「――来るよ。会敵まであと十五秒」
 軍服めいた姿の少女が割って入る。ずっと周囲を索敵していたリア・ファル(三界の魔術師/トライオーシャン・ナビゲーター・f04685)はそこまで言うと、ホロデータの呪符をスラリと取り出して空間にそれを配した。鮮やかな手つきだ。おそらくこちらの妖狐の少女も相応なのだろう……だったら、悪いがここは任せよう。再び先を見据えて駆け出す様子を見せるナカタ。
「おっと、それじゃあ……後でな。約束やで?」
 その姿を見てニコリと歯を見せるメルノ。いつの間にかその手には古式ゆかしいリボルバー式の拳銃が握られていた。片手を上げて返礼し再びナカタは姿を消して――しばらくすると影が、闇がアビスを形作る。
『……また、邪魔をするつもりか?』
「そうだね、悪いけど――」
 スッと腰だめに半身の姿勢でリボルバーを構えるメルノ。今は余り見られないスタンス――シングルアクション特有の静謐な殺気が、場を支配する。
「元より目当てはアンタや、猫」
 どすの利いた声で静かに挑発するメルノ。視線の先にはアビスが――その様子を見て、アビスが大仰な杖を構えた直後。狭い空間に炸裂音が鳴り響いた。
「覚悟しいや」
『…………!』
 一発の銃声で複数の弾丸が空を裂く。見えなかった――僅かにぶれた銃口がアビスの脇腹を広く穿ち、さながら散弾銃の様な跡が鮮血と共に残る。
「……うちの技、覚えたか?」
 熟練のファニングショット――メルノが放った超高速の連弾は、最早超常の域まで達していた。肉眼で見切れる様な柔な技じゃない。流れるような手つきで次弾を装填し終えたメルノが再び構えた時――それは起こった。
「そんじゃ、ガンファイトと洒落こもか――って!」
 円周状にロケットを展開したアビスが手元でくるりと杖を回す。その動きに沿って多数のロケットが順を追い――されど目にも止まらぬ速さで次々と放たれた。それはまるで、メルノが放ったファニングの様に、一度の発射音でぐるりとそれらが一斉に発射された。
「ファニングをコピーした……いや」
 しかし慌てる様な事ではない。僅かに手首を傾けて、迫るロケットの尽くを撃ち返したメルノ。銃声が爆音をかき消して、眼前に火の手が上がる。
「……成程、随分と器用な真似を」
 敵の超常をコピーする技――銃口が無くても弾丸はある。ならば仕組みを理解すれば似た事は出来る、と。だが付け焼刃の複製が、熟練の技にかなう道理は無い。
「だけど、花火が終われば――夜空が見えるってね」
 両者の間、ごうごうと音を立てて炎が上がる。それすらも解析しきったリアにしてみれば、それを止める事など造作も無い事だった。風が、炎を吹き飛ばす。
『ロケットが、飛ばない――!』
「これがさだめだよ、オブリビオン」
 続けざまにロケットを放とうとしたアビスが焦燥を浮かべる。どのロケットも飛ばない――あるいは、まっすぐ進まない。全てリアの布石が、展開したライブラリデッキから風を操るコードを放ち、全ての軌道を逸らしたのだ。点火する前に僅かでも行先をずらしてやれば、直進しか出来ないロケット自体を防ぐ事は容易い。そして。
「……さらば、だ」
 リアが手にしたマグナムが火を噴いた。一視六識、七星を穿つ――超常の連撃が北斗七星の跡をアビスに刻み、不意を打たれたままアビスの姿は空間に掻き消えた。

「もう少し……五体が健在だったら、分からなかった」
「何かちっさかった気がするわ……まさか」
 先の戦いでその半分を失ったアビスは、確かにその威を失っていたかに見えた。それでも発する超常はいずれも本物、僅かな時の撃ち合いだったとはいえ達人の戦いにはままある事。彼女が消えた跡を覗き込み、メルノが小さく溜め息を上げた。
「残りが千切れて飛んでったりせえへんやろなあ」
 見る限り、ここに居たアビスが逃げた風には見えなかった。それでもここに現れた時――奴は影の中から現れたのだ。まあ、これ以上は悩んでも仕方がないし、何より敵も虫の息だ。何とかなるやろ、と頭の後ろで手を組んでリアの方に向き直る。
「ナカタさん、彼女がスパイだと薄々感ずいていたのかな?」
 一方、リアは神妙な面持ちで事態を慮っていた。胸の前で腕を組み、顎に手を当てて考え込む様に。それはナカタの事――先に相対した様子だと、こうなる事を察していた感じがしたのだ。
「……でも、その優しき日々を捨てられずにいた。そして」
 それでも、忘れる事など出来なかった。かつてを、二人で過ごした数々の時間を。
「――転機は訪れた。もう戻れない。もう帰れないんだ、その日々には」
 だが相容れない運命はここで残酷な答えを導く。どちらかが滅びる他無い――そういう関係なのだ、それがオブリビオンなのだから。沈痛な面持ちでナカタが消えた方を見やるリア。その姿を見て、励ます様にメルノが返した。
「うーん。せやろか」
 同じく遠くを見据えて――されど表情は幾何か明るい。
「きっとな、きっとやけど……あのお猿さん」
 思い返すのはナカタの表情。少なくともメルノの目には、彼が思い悩んでいる風には見えなかった。あの目は覚悟を決めた、戦士の目だ。
「勝手に己を縛ってただけとちゃうかな。でも今はちゃうで」
 今のナカタはそう――これまで自分が何度も目にしてきた、戦士の顔だったと。
「それじゃあ今は、分かったのかな――目指すべき場所が」
 だから心配する事は無い、という事か。だったら……。
「心を決めたなら、そっとしておこう」
 微笑んでリアが答える。きっとそれが、明日に繋がると信じて。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

荒谷・つかさ
人の弱み……今回は孤独感辺りかしら。まあ、そういうものに着け込んでっていうのは基本よね。
貴方も歴戦の戦車兵、それも隊長だったのなら、そういうスパイのロジックくらいは理解しているでしょう?
ま、今どうこうしろとは言わないわ。
貴方にだって心があるんだから、躊躇いや戸惑いはあるでしょうし。

【荒谷流抜刀術・神薙の刃】発動
ナカタの護衛が必要なら、彼の傍で流れ弾等を切り払いつつ飛ぶ斬撃で攻撃
不要であれば敵に接近し、正面・側面・背後と動き回っての機動戦を挑んで切り刻む

……私は生憎、セラピストじゃないから。
気持ちを推し量れても、癒す事はできないの。
恨んでもいいわ。
私にできるのは、それを受け止める事だけだから。



●鬼望
(人の弱み……今回は孤独感辺りかしら。まあ、そういうものに着け込んでっていうのは基本よね)
 分厚い防火扉の前、荒谷・つかさ(『風剣』と『炎拳』の羅刹巫女・f02032)が仁王立ちでナカタを待ち受けていた。あと幾つか扉を越えれば司令部――その最後の関門をたった一人で守護していた。
『まるでマラソンだな、行く先々で出迎えがある』
「生憎走り回る趣味は無いわ。鍛えるなら別だけど」
 クスリともせず腕を組んでナカタへ返すつかさ。思う事は幾らでもある。事態は深刻だ――その引き金になったのが彼とは言え、今更責め立てる必要が無い事も知っていた。
「貴方も歴戦の戦車兵、それも隊長だったのなら分かっていたのでしょう?」
 だから一つだけ、つかさは見定める。目の前の男が果たして、何を思いここへ来たのかを。何が彼を突き動かして、ここへ駆り立てたのかを。
『そうさ。彼女はスパイ……だから、これは俺の失態でもある』
 自嘲気に語るナカタ。だから行かなければならないのだ。理解しているのならば話は早い。すっと道を開け前進を促す。走れ、と。
「ま、今どうこうしろとは言わないわ。貴方にだって心があるんだから、躊躇いや戸惑いはあるでしょうし」
『ご配慮痛み入るが……配慮ついでに、頼みたい事がある』
 分かってるわ。多くは語らず男を素通りさせた後、音も無くつかさは刀を抜き放っていた。

「ランナーの走行妨害は重罪よ、多分」
『どいて』
 突き上げた切っ先が天井を這う漆黒を貫いた。そのシミの様な黒が人の形を取って、つかさの前に落ちてくるのに時間は然程掛からなかった――異形と化したアビスだった。
『追わなければ……追わないと』
「……私は生憎、セラピストじゃないから」
 彼女もまた、何かを思いナカタを追いかけているのだろう。それは任務だからとかじゃない――任務ならば、別に彼を捨て置いてもいいのだから。
「気持ちを推し量れても、癒す事はできないの。恨んでもいいわ」
 きっと、彼女なりの仁義があるのだろう。だが、そうだとしても――見逃す道理は無い。白刃が煌いて、両者の間に静かな殺意の風が流れる。
「あなたがオブリビオンだとして……そうじゃなくても、私にできるのは」
 風の精霊が宿る刀身がゆっくりと姿を消す。そして。
「それを受け止める事だけだから」
 アビスが己を変容させて飛び掛かった。散弾の様に小間切れとなった漆黒がつかさの先へ進まんと。しかし鬼の一手に容赦の二文字は無い。舞う様に手首を返しながら、追いすがる漆黒が続々と地に落ちていく。不可視の切っ先がその闇を撫でる度、超常の斬撃が尽くを断ち切っているのだ。そして。
『もう……間に合わない』
 一閃――腰溜めにもう一刀を、悪魔をも切り伏せた暁の刃が、目にも止まらぬ居合と共に残ったアビスを真っ二つに切り伏せた。

(何か様子がおかしかった。先の戦いも)
 二刀を納めて場を一瞥するつかさ。通信で聞いていた状況通り、敵は力を失いつつあるらしい。だが――ならば何故、ここで戦略的撤退を選ばずにあの猿を追うのだ?
(追う事が目的だけど、それだけになっている……?)
 彼の者の超常は己が記憶を失うという。それはつまり、アビスは本能だけの存在に近付きつつあるのか……?
 だがこの先はもっと恐るべき者が待ち受けている。何も悩むことは無いだろう。
 不意に外から戦場の臭いが運ばれてきた気がした。終局は近い。

大成功 🔵​🔵​🔵​

白斑・物九郎




●対アビス(WIZ)
・【怪力】で振るう魔鍵でアビス相手の攻防に入る
・攻撃時は殴打(気絶攻撃+なぎ払い)と刺突(串刺し)、防御時は鍵の先端パターン部を活かし、受けざま敵武器を引っ掛け取り落とさせん(武器受け+武器落とし)

・【#ワイルドハント】発動(撮影)
・このコードはキマイラフューチャー民の応援によって成立するコード
・例え今この瞬間コピー使用された所で、ポッと出のアビスには応援者も居まい
・まして己には【野生の勘】により「魅せ時」と「撮影ドローンに対するクールなアングル」、その全てを網羅し動作する力がある!


●ナカタへ
「次のウェーブが来ますでよ
晩節。汚したくなきゃ、動物達の指揮を執って来なさいや」


火阿風・光毅
連携アドリブ歓迎

うん、長く戦っているとどうしても、こういう別れを何度も見てきたが・・・オブリビオンでなければ、なんていう感傷は捨てきれないな

色々あるだろうが・・・君にとって彼女と話し共に過ごす日々は喜ばしい物だったのかな?
だとしたら、それは彼女が何であれ本物で・・・今動かなければ後悔するんじゃないかい?

屋内という『地形を利用』し敵の攻撃を遮蔽物で防ぎナカタを拠点と見立て『拠点防御』の要領で流れ弾がいかない様に注意しつつ戦闘
又、敵の攻撃はUCによる攻撃で『吹き飛ばし』敵の新たな攻撃へ敵の攻撃という『敵を盾にする』様に『念動力』も用いて誘導

可能な限り戦闘中もナカタに声をかけ彼を『鼓舞』する様に戦う



●さらば優しき友よ
 暗がりでモニタやLEDが明滅を繰り返す。まるでミニチュアの夜景の様――だが、そこに人の気配は無い。
『やっと、追いついた』
「遅えっすよお前」
 気配は無い――だがそれは、突然現れた。指令室に辿り着いたアビスの目の前に現れたのは、色黒のキマイラ、白斑・物九郎(デッドリーナイン・f04631)と、一匹の――一人の賢い動物だった。
「野救検は十二救団が一つ、火阿風の頭領――」
 ぬらりと暗がりより厳めしいゴールデンレトリバーが顔を上げた。野生の者らしく気配を殺して、真っ赤な魂は狩りの時を待っていたのだ。
「そして『ワイルドハント』救助担当、火阿風・光毅」
「……『ワイルドハント』猟団長、白斑・物九郎」
 静かに火阿風・光毅(十二急弾・火阿風の野救犬・f24367)が名を告げると共に、物九郎が気だるげにアビスへ開戦の意を伝える。これ以上は進ませないと。
「悪いがここに猿はいねえっすよ。だからお前はここで去ね」

 時間は僅か前に遡る。指令室に辿り着いたナカタは、司令官席にふんぞり返る物九郎と傍らでしゃがむ光毅を見やり、必死の形相で迫った。
『――司令官は、将軍は!?』
「ああ、あの鼠ならさっさと地下のシェルターに潜ったっすよ」
 面倒そうに言葉を返す物九郎。その横にいる光毅がすっと立ち上がり、二人の間に割って入った。
「私が説明しました。ここはもうじき戦場になると。流石に……」
 同じ賢い動物として万が一の事があってはならない。何より対荒野緊急救助検査対策動物として、事態は既に見過ごせるものでは無くなっていたのだと。
「流石に賢い動物が一堂に暮らすこの界隈を、何もせずに放っておく訳にはいきませんので」
『伝える事があるんだ! 今すぐに!』
「まあ落ち着きなさいってば。水飲むっすか?」
 逸るナカタを制して物九郎が言葉を挟む。緊急事態だというのに、どうしてここまで余裕ぶっていられるのだと訝しみながら、ナカタは話を続けた。
『ここを制圧しようって連中が迫っている』
「知ってるっすよ、なあ」
 横にいる光毅に尋ねる物九郎。むしろ何故敵が襲ってくるのかと子細を尋ねる。
『……目的はここで開発している衛星兵器だ。あんなもの、本当に必要なものじゃ無い』
 ストームブレイド用の外殻侵攻支援装備――異世界のテクノロジーを解析して作られたそれは、完成すれば勢力図を一変するほどのモノだとナカタは宣う。
『一帯を掌握する為に開発した禁断の兵器。それがスパイを通じて外へ漏れた』
 だが、ここに居る者達は元々自らの身を守る為に寄り集まった者だ。外に打って出る為の兵器の開発を、警備隊長だったナカタは許せなかったのだ。
『……俺達は、戦争をする為に集まったんじゃない』
「まあ、それは分かったっすけど。だったら」
 戦争なんざとうに四つはこなしてきた。今更そんな事を言われても、戦場に身を置く者としてはピンとこない。まあ気持ちは多少分かるが……事態はそれほど生易しくないと、物九郎はゆっくりと立ち上がってナカタに現実を突きつけた。
「次のウェーブが来ますでよ」
 どすの利いた声でずいと顔を寄せる物九郎。その眼は真剣、先程までの気だるげな様子など皆無。同じ上に立つ者として、お前がやるべき事は何だときつく問う。
「――晩節。汚したくなきゃ、動物達の指揮を執って来なさいや」
『しかし!』
「色々あるだろうが……君にとって彼女と話し共に過ごす日々は喜ばしい物だったのかな?」
 張り詰めた空気を和らげんと光毅が助け舟を出して。この世界で色々なモノを見てきたからこそ、静かにナカタへ問う光毅。
「だとしたら、それは彼女が何であれ本物で……今動かなければ後悔するんじゃないかい?」
 動けず忸怩たる思いで臨みを断たれた者を幾度となく見てきた。だからこそ、今はまだ動く事が出来るナカタに、立ち上がって欲しいと願いを込めて。
「彼女が始めた戦争ならば、けじめをつけるのは君であるべきだ」
『彼女……アビスは』
 ゆっくりと、されど堰を割った様にナカタが語る。アビスとの出会い、日々の出来事。彼女が望んでいた事――そして。
『たった一人で、兄を探していると言った。俺も探した。そんな中で』
 同じ孤独の中にいた二人は打ち解けて、共に道を歩んだ。
『色々とな、喋っちまったんだ。ここの事、将軍の事、戦争の事』
 それはナカタより話を引き出す為の方便だったのかもしれない。でもそうだったとしても、話さずにはいられなかったのだ。
『……何でも聞いてくれた。だからな、俺は心から友達のつもりだった』
 誰にも言えない、聞いてもらえない……そんな内に秘めた思いを、互いで吐露しあいながら。
「まあのろけはどうでもいいっすけど」
「のろけじゃない気が」
 そんな話を聞いてあっけらかんと言い放つ物九郎に光毅が溜息を漏らす。それでも、今は過去に思いを馳せている場合では無い。
「……だったらどうする、友を討つか? それとも下るか?」
 再び強く問い質す物九郎――最早後に引ける状況ではない。であればやるべき事は一つだ。
「まあ、黙って見てなせぇ」
 ニヤリと口元を歪めて、黒いキマイラが指令室の入り口を見据えた。

『嫌よ、あの人を逃がさないと』
「アイツだけ逃がしてどうするつもりで?」
 だらりと腕を伸ばした物九郎。その手に大きな鍵状の鈍器を持って、漆黒の殺意を放ちアビスと対峙する。
『……死んで欲しくない。それだけ』
「随分と身勝手な……」
「まあいいっすよ。どっちにせよお前は終わりだ」
 そんな所か。オブリビオンにしては殊勝な……だからこそ、それ程の規模の戦いが迫っているのだとしたら……一刻も早くカタを付けなければ。闇の中、漆黒が風を纏って飛び出した。そこに一切の躊躇は無い。
「尽く散れ」
『何をッ!』
 横薙ぎに払う様に魔鍵が振り回される。杖で受け止めた衝撃がアビスの動きを止めて、その隙を反動で大振りになった鍵を逆手に持ち替え、突き刺す様に天から振りかざす。
「ジっとしていなせえ。すぐに終わるっすよ」
『黙れ、終わるのは……お前達だ!』
 その一撃を払う様に、アビスの周囲にロケットが顕現する。魔鍵の軌道を逸らして、大振りの隙を突かんと張り巡らせた爆弾の雨が物九郎に殺到した。
「させませんッ!」
 刹那、飛び込んだ光毅が物九郎の襟首を咥えてその場から引き離す。救助犬の矜持、目の前で人死になどさせるものかと。雑多に並んだデスクに隠れて体勢を整える二人は、周囲にロケットを飛び回らせるアビスを見やり舌を打った。
「も少し優しく救助してくだせぇ」
「死ぬよりマシでしょうに」
 でも、と物九郎が続ける。中々いい画が撮れた。完璧な魅せ時だった。炎の中、悪に対峙する勇士を救う救助犬。映画化したら興収ナンバーワンだって狙えると笑みを浮かべる。
「撮れ高クリアっすかね」
「動物モノは受けがいい。ましてや犬と猫が揃えば」
『ふざけてないで……出てこい!』
 爆炎が二人を追い立てる。指令室はこの様子じゃもう使い物にならないだろう。だがそんな事、戦場を駆ける猟兵には関係の無い事だ。そして物九郎の超常は遂に臨界を越える。魔鍵が輝き超常の力を宿し、五体に漲る力は最早アビスを寄せ付けない。
「それじゃあ反撃っす……よ!」
 光の速さで物九郎が飛び出す。手にした鍵が閃光を放ち、黒を更に際立たせる。
『そんな事で……!』
 そんな事……その認識がそもそもの間違い。異世界の民の声援を受けて奇跡の光を放つ物九郎は、単に輝度が増した訳ではない。その力も、技の冴えも。全てが格段に増しているのだから。
『何で、同じ技を使っているのに――』
 無理も無い。幾らアビスがこの技をコピーした所で、異世界からの声援が無ければこの技は成立しない。故に認識を違えて当然だ。一向に湧き出ない力はそして、アビスの動きを僅かに止める。
「隙だらけっす」
「お別れの時間だ――!」
 どうして……と嘆くアビスの杖を輝く魔鍵で絡め取り、その隙を光毅の超常が――必殺の一撃が脇腹を大きく穿つ。
『アビス!』
 密室に絶叫が響く。この戦いを隠れて見届けていたナカタが、恐るべき超常の連打を受けて吹き飛ばされたアビスの姿を見やり、遂に声を出してしまった。
『ああ……キミは……』
 駆け寄るナカタの姿がアビスの目に映る。しかし、もう駄目だ。
『早く、逃げて』
『いいや、もう逃げない』
 お仕舞いだ。ナカタの姿が掠れて見えて、声も段々と小さくなる。だけど最後に聞こえたその言葉は、ああ……やっぱりキミは。
『そう…………』
 キミは、戦うんだね。歪められた記憶と認識が明瞭になった時、全てを悟ったアビスはその姿を消した。まるで虚空に溶け込む様に。

「うん、長く戦っているとどうしても、こういう別れを何度も見てきたが……」
 目の前で消えゆくアビスを抱え項垂れるナカタを見て、光毅が寂しそうに呟く。
「オブリビオンでなければ、なんていう感傷は捨てきれないな」
「そこまでにしとくっすよ。戦は終わった」
 冷徹に物九郎が光毅を制す。確かにここでの戦いは終わった。
「そうですね。ではそうなれば……?」
 光毅が頭を上げて物九郎を見やる。地下へ逃げた人々、ボロボロになった指令室。このままではいけない――そう、幾度となく死地を経験した故の野生の勘が、光毅に警鐘を鳴らし始めた。
「知らんのか――」
 再びどっかりと指令官席に座り込んで、大きく脚を組んで物九郎が呟いた。
「次の戦が、始まる」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『明日を目指した人々』

POW   :    きっと実るよ。ここには俺たちが眠るのだから。
自身の【全ての生命力】を代償に、【収穫可能になるまで自衛する植物】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【外敵のエネルギーを吸収する触手】で戦う。
SPD   :    未来の為に逃げろ。そして何処かで芽吹くんだ。
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【安全地帯で成長を始める自走植物】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
WIZ   :    これが実れば、食べ物で争う事は無くなるんだ。
【飢えに苦しむ人々を助けたい】という願いを【この世界の未来を憂う人々】に呼びかけ、「賛同人数÷願いの荒唐無稽さ」の度合いに応じた範囲で実現する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●夢の跡
『……お前か』
『状況は、理解しているな』
 意外なほどにシェルター内は明るかった。電力をこちらに回しているからだろうか――その一角に設けられた臨時指令室内で、ナカタは遂に将軍と再会する。
『あんなモノを作ろうとしたから、こんな事に!』
『だがこれ以上同胞が増えてはここが持たんのだ。その位理解しているだろう!?』
 互いに一歩も引かず思いの丈をぶつけ合う。苛立ち気に――そしてやや悲しそうに、火の点かない葉巻を咥えたまま将軍が言葉を続けようとした時、耳をつんざく警報音が施設中に響き渡った。
『将軍! シンウラ・レイルロードとワンガン・ロードより敵の侵入を確認!』
 仮説の大型スクリーンにはこのエリア一帯の地図が。現在地の青い光点を中心に、その青を取り囲む様に赤い光点が続々と増殖している。
『対処はどうなっている?』
『はっ。現在特犬隊がワンガンに急行、レイルロードは対応班を編成中――』
『そんな事で間に合うか!』
 声を上げるナカタ――だが彼は現役では無い。この戦の切っ掛けではあろうが、立場が変われば最早当事者にすらなりえない可能性だってある。
『さ、更に敵の反応が増大……アイアン・アパルトメントに多数の部隊が、ドリーム・コーストにも不審な工作船が……』
『コーストはイルカさんチームを緊急出動、アイアン・アパルトメントは』
『俺が出る』
 だからと言って――黙っていられる性分ではない。役が無ければ奪い取れ。かつてもこれからもその根底は変わらないのだ。己に言い聞かせ前に出るナカタへ、将軍が静かに声を掛ける。
『……やれるのか?』
『俺はけじめを付けに来たんだ。機体さえあればだが』
『アレならいつでも出せますよ、隊長!』
 そういう奴だったな、と呆れ顔を見せた将軍の背後で歴戦の風格を醸し出す整備兵のゴリラが吼える。その後ろには続々と目をギラつかせた猿の勇士が続いて。
『お前ら……』
『リボルバーコンテナ全段積載完了。武装パターンは殲滅戦のCを選択、ですよね』
『整備も充電も部隊も万全でさぁ。かますなら行きますぜ』
 そうだ。俺は、俺達は――護る為に集った猿の軍団だ。例え離れていようと、戦場で育んだ絆は何一つ変わりはしない。
『……正体不明の反応がレイルロードとワンガンに出現! 数はそれぞれ一つ!』
『また敵か』
 そして状況は刻々と変わり続ける。新たに出現した光点は、それぞれが――赤い光点の集団へたった一人で向かっていった。
『違う、あれは……』
 あれは、紛れもなく――。
ノエル・フィッシャー(サポート)
『例え全ては救えずとも、誰一人として見捨てはしない』
 アリス適合者の王子様×アリスナイト、18歳。性別は見ての通りだよ。
 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用。【王子様は死せず】があるから雑に負傷・死亡させて構わないよ。他の猟兵に迷惑をかける行為、公序良俗に反する行動はしないよ。
 あとはお任せ。好きに使ってね。他の猟兵との絡みも歓迎だよ。


アメリア・イアハッター(サポート)
『あの空にいったい何があるんだろう』
 ヤドリガミのスカイダンサー×スターライダー、20歳の女です。
 普段の口調は「馴れ馴れしい(私、~くん、~ちゃん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、友達には「甘えたがり(私、相手の名前、なの、よ、なのね、なのよね?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!




●First Attack
『さあ、ここに撒こう』
 この土地なら十分に栄養がある。賢い動物達が地下に潜るならばむしろ好都合――そして我等も何れ、この大地と一つになろう。最早オブリビオンとなった『明日を目指した人々』の群れはその胸に異形の種子を抱き、偽りの希望を口にして淡々と駅を降りる。荒涼とした風景――既に鉄道が走っていないとはいえ、ある程度の道としての機能は残っているレイルウェイを渡って姿を現した彼等は、朽ちかけた幻想的なゲートを前に天を仰いだ。
「ゴミはゴミ箱に、って……」
 ふと、ノイズ混ざりの明るいメロディーと共に一陣の風が吹く。門の奥から人影が――その手には超常の光の剣を携えて。おかしい、ここには賢い動物しかいない筈……どうして、人の形をした者がいるのだ。
「知らないのかな? 特にここ、そういうのには五月蠅いんだ」
 一閃――衝撃波が人々が手にした麻袋を斬り裂いて、ぼろぼろと種が零れ落ちた。その姿を見て驚愕の表情を浮かべる人々。明日の為に蓄えた色とりどりの悪夢がばら撒かれて、辺りに歪な植物が一斉に生い茂る――それを見て男装の麗人は刃を正面にギラリと掲げた。
『何て事を……我等の希望が』
「違うね。それは絶望の種子さ」
 ノエル・フィッシャー(アリスの王子様・f19578)は巨大な中世の城を背景に、大仰な立ち回りで宣戦を布告した。その姿は正しく御伽の国の王子の様に凛々しく、美しい。
「ここを兵どもが夢の跡には……させないよ!」
『邪魔をしないで、ここを緑の楽園に……』
 されど人々は異形の種を飲み込んで、己の内よりそれらを発現させる。既に彼等は人ではないのだ……躊躇する必要は無い。衣服を破り現れた悍ましき巨大な緑は、やたらに太い蔦を這わせて一斉にノエルへと襲い掛かった。
「まだ来るかい。いいさ……」
 それでも所詮は雑兵の類――高貴な一撃は植物が纏わり付く隙すら与えず、輝く切っ先が躍る度に残骸が辺りにのたうち撒き散らかされるだけ。軽やかなステップが足元を這う蔦を避け、止めど無い斬撃の描く線が綺麗に両断していく――きらきらと輝きが尾を引いて悪夢を鎮める様に舞う姿は、さながら御伽の国の舞踏会の様だった。
「自分で楽園なんて言う奴が、楽園を作れた試しはないよ」
 背後にそびえるかつての夢の象徴を見やり、ノエルは薄く笑みを浮かべる。アリスたる自身にしてみれば、そんな甘言を受け入れた結末がどんなモノであるか……想像するだけで怒りが内より溢れてくる。だからこそ。
「夢の国を護るのは、王子様の役目ってね」
 王子様はたった一人で夢の国の跡を護る。これ以上悪夢が世界に広がらない様に。

 朽ちたワンガン・ロードに布陣した特別な訓練をした犬達、通称特犬隊は迫る人々の猛威に晒され、防衛戦を押されていた。このままでは突破されてしまう――スコープの様なARゴーグル越しに続々と増える敵を見て舌を打ったその時、にじり寄る敵の更に奥から迫るマシンの姿が目に入った。
「遅かったかな……いいや、まだ大丈夫!」
 そのマシンは烈風を纏い、道すがら人々を弾き飛ばして犬達の方へ――アスファルトに半円の黒い跡を刻み付けて犬達の面前で止まったマシンの主は、真っ赤な帽子をクイと上げ犬達へ視線を向ける。
「凄いワンコくんだね、でも重くないかなそれ?」
 そのライダー、アメリア・イアハッター(想空流・f01896)が目にした犬達は皆長大な砲を背負い布陣していた。
『ああ。だが近接装備に変えればまだ戦える……』
「成程、その時間が欲しいのね――任せなさい!」
 アクセルを開き快音が空に響く。この道路を死出の道にはさせない――アメリアは再び人々の前へと飛び出す。相棒のマシン――エアハートが青白い光を放てば、その名の如くアメリアをマシンごと宙へ浮かばせて。
「さあ、空を駆けるわ! エアハート!」
 光の尾を引いて飛び出した流線形が空を裂き、エアリアルドリフトが植物の群れを弾き飛ばす。動揺した敵の隙を突き犬達が背後のトレーラーで一斉に装備を換装を開始――この一時だけ戦線を支えて、押し切れるならば……。
「大丈夫よ、もっと」
 掛かって来なさい! 唸る機関が粒子を撒いて、漆黒の流線形が更に獰猛な風の様な流れる姿へ変わり――音より早く空を駆ける!
「こっちもひとっ走り、付き合ってもらおうかな!」
 衝撃が人々を高架の下へ続々と弾き落とす。人機一体、超常の風と化したアメリアのライディングは竜巻の様な暴風を巻き起こして、迫る人々と植物を薙ぎ倒す。
「それじゃあ止まって見えるわよ……って!」
 しかし数だけは尋常ではない植物は、倒れた人々を媒介に続々と道路に生い茂る。アスファルトを埋め尽くされては流石に足元を掬われかねない――僅かな焦りが脳裏を過った刹那、それは杞憂へと化した。
「……凄いワンコくんね、やっぱり」
 鬣の様に刃物を生やした犬の群が、地に繁る異形の草木をその刃で切り落とす。装備を換装した特犬隊が戦場に戻ってきたのだ。刃を備えた首輪の様なそれこそが特別な訓練――ストームブレイドの訓練をした犬達の切札たる偽神兵器だった。
「それじゃあ今度こそ……!」
 再び機関が唸りを上げて、エアハートが戦場を駆ける。
 それはまるで、開戦を告げるウォークライの様であった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​


●戦況報告
 戦場は広い。だが仲間も揃っている――ここで一方的にやられる訳にはいかない。
 
・シンウラ・レイルロード(基地正門):狂暴なアライグマの警備員ども
・ワンガン・ロード(高速道路):特別な訓練をした犬達
・アイアン・アパルトメント(倉庫街):二足歩行戦車の猿の軍団
・ドリーム・コースト(水上):イルカさんチーム

 四つの戦場に布陣した賢い動物達は迫る人々の魔手から同胞を護る為に戦う。
 しかし盤石な状態かと言えば、ギリギリの戦いを強いられているに過ぎない。
 だからこそどの戦場でもいい。
 彼等と協力して『明日を目指した人々』の侵攻を止めて欲しいのだ。

※戦場の指定は無くても問題ありません。こちらで適宜配分し対応いたします。
※現時点よりプレイングを募集致します。締切は初回失効数に合わせ策定致します。
ヴェスター・アーベント
戦場/屋外、或いは広い場所

心情/決意
くっ…あれは…人間…いや違う、彼らはもうオブリビオンだ!
倒すしかない、滅ぼさねばナカタや彼らが滅ぼされてしまう!

戦術/UC【暗黒竜】を使用
「慈悲をかける訳にはいかない…躊躇いは捨てる!」
『見切り』を駆使して敵の迎撃を巧みに避けながら敵中に突入し【暗黒竜】へと変身。
強化された『念動力』で敵同士を衝突させ、『怪力』で爪を振るい敵を易々と両断し、暗黒のブレスを吐いて『なぎ払い』、敵の攻撃を暗黒の力で『生命力として吸収』し黒きレーザーとして放ち『カウンター』で攻撃。
『継戦能力』と強大な力を頼りに孤軍奮闘で敵軍に壊滅的打撃を与える。
「グォォォォォ!」

補足/アドリブ歓迎



●孤竜咆哮
「くっ、あれは……人間……」
 正門前、施設の入り口の広場にて人々と動物達の小競り合いが続いていた。一見すれば普通の人間だろう。だがその手にしたモノも、彼等の中身も、最早この世のモノではない。
「いや……違う!」
 わらわらと茂る奇怪な植物を聖剣で薙ぎ払い、道を切り拓きながらヴェスター・アーベント(孤独な剣士・f09560)が吼える。
「倒すしかない、滅ぼさねば――ナカタや彼らが滅ぼされてしまう!」
 彼等はオブリビオン、この世ならざるモノ達――姿形や思いが人の其れであったとしても、突き動かされる衝動が齎すのは破滅のみ。それはヴェスター自身が一番良く知っていた。この地をこれ以上、故郷の荒んだ大地の様にするわけにはいかないのだ――!
『あなたも、大地に還りましょう』
「いいや、慈悲をかける訳にはいかない……躊躇いは捨てる!」
 悍ましい植物を引き連れた人々の前に立ちはだかり、ヴェスターは頭上に二振りの剣で円を描く。その軌跡が魔法陣となって、溢れる光に包まれた孤独な剣士は閃光と共に烈風を巻き起こした。
『あなたは、一体……』
 吹き荒ぶ風を手で除けて、隙間からちらりとヴェスターの姿を伺った人々は、眼前の光景に言葉を失った。
『何て、禍々しい……』
(禍々しい――そんなモノを抱えて、どの口がほざくか)
 巨大な漆黒が迫る植物の群れをかき分けて、鋭い爪が枝葉を切り裂く。
(貴様らには何も……残させはしない!)
 心の奥底で怒気を孕んで叫ぶヴェスター。その姿は今や血の様に真っ赤な翼を広げる、巨大な暗黒竜と化していた。
「グゥゥオォォォォォッ!!!!」
 竜が吼える。巻き上がった風が――否、念動の不可視の腕が人々を掴み上げて、一纏めにぶつけて散らす。振るわれた尾が大地を揺らせば、浅く根を張った植物が大地ごと宙へと浮かび、竜の吐息が横薙ぎにそれらを焼き尽くす。
『恐れてはいけない……全てを緑溢れる自然に』
「ガァァァァァァッ!!!!」
 しかし竜はその巨体故、己の命も顧みずに足元で暴れる人々を全て振り払う事が叶わない。おもむろに取り付いた人々は懐から悍ましき種子を取り出して、竜の鱗の隙間へと捻じ込もうとした。
(その汚らわしい手で、我が身に触れようなどと!)
 再び竜が吼える。口元に溜めた吐息をぐっと飲みこんで、溢れるエネルギーの奔流が全身から迸った。全身に近寄るならば全身から攻撃すればよい――超常の暗黒竜と化したヴェスターに最早、隙は無かった。
 竜の進撃は止まらない。人々が大地に還るまで、怒れる孤独な剣士は戦い続ける。

大成功 🔵​🔵​🔵​

荒谷・つかさ


さて、今度は大群相手の防衛戦か。
私の任務は迎撃部隊が出撃するまでの時間稼ぎ……だけど。
別にアレを殲滅してしまっても、構わないのでしょう?

ドリーム・コーストへ出撃
【XGG00『機煌炎神』スルト】発動
機体及び装備は武器改造及び防具改造で海上・海中戦闘に対応済み

陸に止まらず、積極的に水中へと前進
各種センサーを最大限活用し、機関砲、キャノン砲、熱線砲、噴射式鉄拳とありとあらゆる搭載装備(捏造追加OK)でもって迎撃
無防備などてっ腹をぶち貫き、陸に接舷される前に沈める
植物も海水中じゃ、適性が無ければ塩で萎れるでしょう
それでも寄ってくるなら、近接兵装で切り刻むわ

イルカ達が出てきたら、連携して事に当るわね



●ドリーム・チェイサー
「さて、今度は大群相手の防衛戦か」
 荒波を前に両腕を組んで、迫る工作船を見据えるのは荒谷・つかさ(『風剣』と『炎拳』の羅刹巫女・f02032)ただ一人。端末からはノイズ混ざりの指令が乱れ飛び、自身が立つ基地外周沿岸部の迎撃準備が整いつつある事が分かる。
「私の任務は迎撃部隊が出撃するまでの時間稼ぎ……だけど」
 それでも爆装したイルカ部隊の展開にはまだ時間が掛かる。その前に一隻でも到達されてしまっては元も子もない――故に。
「別にアレを殲滅してしまっても、構わないのでしょう?」
 静かに笑みを湛えて、巫女は荒ぶる鬼神を召喚した。
 波を割りそそり立つ姿は異世界の鉄巨神。既に水上/水中専用のチューニングも済ませた愛機スルトに搭乗したつかさは、レーダー上の迫る光点を睨みつける。
『本当に、大丈夫なので?』
「水上戦は経験済みよ。任せなさい」
 かの戦争では神の複製とやりあったのだ。人擬きくらい物の数では無いと、スラスターが猛々しい炎を吐く。
『ご武運を!』
 管制のコールに出撃の爆音で応え、戦域へ到達したスルトは有無を言わさず全武装を展開――群がる工作船団へ花火の様な弾幕を炸裂させた。
「こんな事もあろうかとマシマシで来たのよ……覚悟はいいかしら?」
 全装備を入れて4m程の大きさだろうか、人型の機動兵器は肩部の実体弾と機関砲をばら撒いて工作船の進路を塞ぎ、慌てて舵を切った一隻に自慢の鉄拳を飛ばして吹き飛ばす。
「逃げようったって、そうは行かないわよ!」
 薙ぎ払う様に胸部から放たれた爆光が海面を舐める様に工作船団を焼き払い、背部から射出された無数のミサイルが逃げ惑う工作船の尽くを海の藻屑へと変えていく。
「これじゃあイルカ達が出てくるまでも無いわね……って!?」
 しかし敵も黙ってやられる訳ではない。沈んだ船から有象無象の緑の束が流れ出て、一塊になり海面に鎮座する。その姿は正に、植物の大怪獣。
「海藻の化け物って訳ね……」
 スロットルを開いて速力全開。それでも無数の触手がスルトの行く手を塞ぎ、中枢へ近寄る事もままならない。だがこちらも一人ではないのだ。不意に海中を十重二十重の物体が泡の尾を引き、一斉に植物へ殺到した。そしてイルカ達の声が届く。
『姐さん、お待たせしやした! 野郎ども!』
『オウヨ!』
 イルカ達が放ったそれは水中に気泡を作りその中を『飛行』する超高速の魚雷だった。続々と水柱を上げて、悲鳴のような怪音と共に植物が触手を散らす。
「ありがとう。これで――」
 斬れる。開けた進路を見据えてスラスターを全力噴射し、水飛沫を上げて怪獣へ向かうスルト――その手には巨大な出刃包丁の様な、必殺の一太刀が。
「この零式を、ただの刃物と思わない事ね!」
 火を噴いた大太刀が一閃、横薙ぎに断たれた怪獣が轟音を立てて海中へと沈む。異界の匠が鍛えた業物の拡張兵器だ――喰らえばただでは済まぬだろう。
「さて……次はどこからかしら?」
 スルトの背後に続々と姿を現すイルカ部隊。彼等を引き連れ鋼のマシンは大海に睨みを利かす。それは正に、荒ぶる戦神と呼ぶに相応しい姿だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

火阿風・光毅
アレンジ、連携歓迎

ふむ、防衛拠点が色々と別れている様だが・・・まあ、ナカタ氏はもう大丈夫そうだし俺は高速道路で同族との連携をした方が良さそうだね

・・・悪いが今の君達は多くの命を穢し苦しめる存在だ
その絶望を芽吹かせない為に嘗ての君達自身の為にも此処で駆逐する!

もう絶望の未来も誰かの涙も見るのは沢山でね!

高速道路という動き易く視界が開けた『地形を利用』し敵の逃走を警戒しつつ戦闘
『拠点防御』の為に侵攻も逃走も許さず犬達と『団体行動』を意識した連携

敵を『怪力』によるUCで『吹き飛ばし』犬達に向かう攻撃の目前に『念動力』も駆使し誘導し倒した『敵を盾に』したり決して彼等は一人じゃないと『鼓舞』する様に戦う


リア・ファル
WIZ
共闘アドリブ歓迎 

「今を生きる人々の明日の為に」そう在るボクには。
彼らの想い自体を、否定できない

ただ、彼らの願いは既に過去に流れて
目指した明日には繋がっていない故に。

今のボクには、止める事ぐらいしか出来ないけれど
――せめてその願いを受け止めよう!

彼らの願いを受けるのは、彼らの持つ種と植物のはず
(情報収集)

『イルダーナ』で接敵し、その種に注がれる想いを受け止める!
(かばう、武器受け、盾受け)

「ボクは神様じゃないけれど。その願いを――」
UC【光神の権能・百芸反撃】発動! 全力演算! 電子情報へと還す!
(優しさ、全力魔法)

「受け止めるから。後は他の人々に託して」
相手のUCを借用進化させ、使用!



●真っ赤な誓い
「『今を生きる人々の明日の為に』――そう在るボクには」
 白銀のマシンに跨って、ワンガン・ロードの入り口から戦場を眺めるリア・ファル(三界の魔術師/トライオーシャン・ナビゲーター・f04685)は独り言ちる。
「彼らの想い自体を、否定できない」
 それは自身の存在意義――機動戦艦ティル・ナ・ノーグのヒューマンインターフェースとして己に刻まれた使命と同じ、人々の切なる希望を無為にする事は出来ないという葛藤。だが、それでも自身と彼等には決定的に違う事がある。彼等の願いは既に過去に流れて、目指した明日には繋がっていない……。その先にあるのは本来の彼等が避けようとした、破滅そのものだから。故に。
「今のボクには、止める事ぐらいしか出来ないけれど――せめてその願いを受け止めよう!」
 目の前では見覚えのある漆黒の流線形が光の尾を棚引かせて、トレードマークの真紅を風に揺らしていた。あの場所へ――未来を護る為に。白銀の鼓動が徐々に大きくなっていく。いつの間にかリアは、愛機と共に一陣の風になっていた。

「ふむ、防衛拠点が色々と別れている様だが」
 ちゃかちゃかと足を鳴らして火阿風・光毅(十二急弾・火阿風の野救犬・f24367)がアスファルトの地面を駆け上がる。まあ、ナカタ氏はもう大丈夫そうだし――俺は高速道路で同族との連携をした方が良さそうだね。何よりここを落とされては、道なりに多数の敵の侵入を許してしまう。
「……さて」
 ワンガン・ロードの激戦区に辿り着いた光毅は察しの通り、全周に刃状の偽神兵器を張り巡らせた同族の奮闘を目の当たりにする。植物を刈るには適した装備だが、それでも如何せん手数が足りていない様であった。
『さあ君も、大地と一緒に……』
「断る」
 いつの間にか背後に近寄った人々の声に、にべも無く返す光毅。後ろ足で蹴りかかり、瞬く間に手首に噛み付いて無力化――野生の本能が知らせた危険を瞬く間に制圧する姿は、正しく対荒野緊急救助検査対策動物の名に相応しいプロの判断だ。
「……悪いが今の君達は多くの命を穢し苦しめる存在だ。その絶望を芽吹かせない為に嘗ての君達自身の為にも此処で駆逐する!」
『おお、あれは野救検!』
『知っているのか銀八!?』
 その声に、動きに感嘆の声を上げる特犬隊の面々。頼れる同胞の姿を前に続々と咆哮が戦場に響き渡る。
「――もう絶望の未来も誰かの涙も見るのは沢山でね!」
 開けた地形、荒れてるとは言え逃走に適した頑強なアスファルト。ならば先回りして動きを封じる。やるべきは決まった――特犬隊に合わせて光毅も大きな声を張り上げた。
「俺たち犬は人と共に生きてきた。どんな世界でも、な」
 それは人々と袂を分かった賢い動物達にとって、忘れたい記憶の筈――それでも、と光毅は続けて声を上げる。
「そして今は生きるべきだ。俺も、君達も」
 決して一人じゃない。色々あるだろうが、色々あるのが生きるという事。それを頭ごなしに否定するだけじゃあ……ここにいる過去と何も変わらないだろう。
「そういう事さ。未来を切り拓く――その思いはきっと同じ」
 光毅の背後にはいつの間にかリアが、白銀のマシンの心音を轟かせて方々の人々を見据えている。
「その願いは受け止める。そして繋げよう――約束だ!」
 光毅の、リアの言葉を前に特犬隊の面々が再び咆哮する。そうだ、この人だけじゃない――最初の人も同じだ。人だの動物だの、そんな風に区切る必要が何処にある。
「……ここの敵は蹴散らす。突っ込めるか?」
「勿論。それに――」
 顔も合わせず言葉を交わす二人。喋りながら光毅は己が装備を肥大化――超常が魂の真紅を輝かせて、巨大な流線型を形作った。まるでリアの『イルダーナ』みたいに大きな神速の徒と化した光毅をちらりと見て、リアが言葉を続ける。
「人々の希望を繋げるのが、ボクの使命だから」
 スロットル全開。その横で光毅が駆ける。白銀と真紅の弾丸と化した二人が、目の前に群がる人々を蹴散らして突き進んだ。
「ならば俺はそれに応えよう――さあ、俺はここだ!」
 眼前に立ち塞がる人々を吹き飛ばし、撒き散らかされる種子を念動が寄り集め、特犬隊の刃が粉々に打ち砕く。
「ありがとう――さあ、見えた!」
 スロットルを絞り急制動、同時に祈りを捧げる人々の群れに機体ごとぶち当たったリア。
「ボクは神様じゃないけれど。その願いを――」
 演算情報から敵がユーベルコードの発動を狙っている事は分かっていた。であればそれを止めるのが、今の自分の使命。そのユーベルコードは人々の願いそのもの。だからこそ、歪められたそれを叶えてはならない――絶対に。
「受け止めるから。後は他の人々に託して」
 ただその思いは、かつての彼等が願った生への渇望までも――否定する訳にはいかない。それこそが三界の魔術師としての自身の矜持。
「救いになるかは分からない。けれど」
 せめて最後は安らかに……。超常が反転する。リアの祈りは人々の願いを受け入れて、あるべき形にして返された。
『おお、これは……』
 実り多き黄金の秋、そんな幻想が彼等には見えているのだろうか。
『ああ、良かった。良かった……』
 空を手で掬い、満足げな表情を浮かべて人々が消えていく。歪められた願いを反転させて、本来の願いを叶えたのだ。もうここに、不毛な争いを望む人々はいない。
「未来は、きっと――」
 きっと獲り返す。幾度も胸に去来したこの思いを無きモノにしない為に。
 リアは、光毅は、消え行く人々を見据えて決意を新たに認めた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

メルノ・ネッケル

愛車「キツネビサイクル」に【騎乗】して、倉庫街に行くで!

まずは戦車乗りの皆に挨拶。他所者の狐やけど、肩並べさせてぇな。
それと、一つ提案を。二輪は機動力に優れるけど、火力には乏しい。
そこでや。うちが敵を釣ってくるから、そこに戦車の火力を叩き込んでくれへん?

OKが出たら行動開始!
敵陣まで二輪を走らせて、「コトダママイク」を通した挑発や!

「アンタらが導くのは緑化なんかやない、風化や!違うってんならかかってきぃや」
そして、軽く銃撃しながら戦車の方へ誘導!
……後は頼むで、ぶちかましてくれっ!!

次は仕留めた奴の対処や……植物化して復活とはなぁ。
悪いが逃がせへん、ここは『クイックドロウ』で手早く撃ち抜く!


ピウ・アーヌストイト
POW

アイアン・アパルトメント(倉庫街)に向かうであります!
二足歩行戦車に乗る猿の皆さん……ナカタ殿の後輩にあたるのでしょうか?

指定UCで倉庫街にある無機物(猿さんが乗る戦車除く)
と合体するであります。
更に、私のアイテム『バラックスクラップ』のガトリング砲と合体して、攻撃手段を追加。

野暮でありますが、あなた達はとうにオブリビオン。終わった過去であります。あなた達が許された事は、未来を育む者を害する事。だけでありますよ。
ガトリング砲を打ち続けて足止めするであります。でも、真横と後ろはガラ空き故、支援をお願いするであります!

私は前しか見てないでありまーす!!前向き者同士、ぶつかるであります!


エル・クーゴー




●POW
『躯体番号L-95_アポカリプスヘル、指定座標に現着』
『これより適宜支援を開始します』

・己の電脳魔術スキル、電脳世界運営リソースを移植したサーチドローン「マネギ」を臨時指令室に置いてって貸与
・戦況集約等、基地の情報管制の効率向上に貢献を


●戦闘
・【空中戦】用バーニア展開、【嵐の王・空中行軍】発動
・要支援と目される戦場へ己が身をカタパルトじみて【吹き飛ばし】赴く

・敵植物に対し高高度に布陣し旋回飛行
・触手が伸び掛かり来る時間を利して最大戦速まで加速し捉えさせず、またソニックブームで吹き飛ばす

・集団敵に対してはアームドフォート他射撃兵装フル展開、撃ち下ろし攻撃を断続的に実施(範囲攻撃+蹂躙)



●鋼鉄の軍勢
――『躯体番号L-95_アポカリプスヘル、指定座標に現着』
 その者は空間を割って、突如指令室に現れた。
『な、何者だ!?』
 上擦った声で闖入者に問う将軍の周りを、護衛の番犬が銃を手に囲う。事態は刻一刻と動いている。戦場は広く、全体の半分は概ね順調な戦果が上がってはいるが、それでも足りない状況だ。
「状況把握。これより適宜支援を開始します」
 指令室に現れた美しき巨躯は周囲を一瞥し淡々と言を告げる。そしてモフリとした端末らしき招き猫風のドローンを置いて、静かにその場を後にした。

「アイアン・アパルトメント(倉庫街)に向かうであります! 二足歩行戦車に乗る猿の皆さん……ナカタ殿の後輩にあたるのでしょうか?」
「あるいは部下かもなあ……しっかし随分とごっつい風景やね」
 愛車『キツネビサイクル』を転がして、メルノ・ネッケル(火器狐・f09332)は背後に掴まるピウ・アーヌストイト(ちんまい大家・f24841)にそっけなく返す。別に愛想が無い訳ではない。先程までの絢爛豪華だった遊園施設と打って変わって、目指す場所――アイアン・アパルトメントは想像以上に無味乾燥な倉庫街だったのだ。そしてその規模も、思った以上に大きい。
「さて、と。音も聞こえてきよるし、ここいらで一旦準備しとこか」
「はい!」
 単車を止めたメルノの背後で威勢よく返事を返したピウが飛び降りる。そしてそのまま周辺に転がる残骸を己の超常で引き寄せて、およそ3m程の巨大なロボットを作り上げた。
「何や、エエもん持っとるやないか!」
「今まで材料が……無かったので」
 見ればピウの築いたロボットはトレーラーやスポーツカーといった有象無象の残骸より構成されていた。自動車を使えばより強力に――だからこそ、捨て置かれた自動車の残骸が転がる倉庫街まで待つ必要があったのだ。
「でも、これで十分に戦えるであります!」
「ウンウン。そいじゃ行こか」
 こっから先は戦場や。静かに告げて再びスロットルを回すメルノの後を、大きな音を響かせてピウのロボットが続いた。

『三番リボルバーコンテナ残弾ゼロ! パージ!』
『右翼は喰い切れる! 正面、援護を!』
 怒声と砲声が響く真っただ中、ナカタ率いる二足歩行戦車の猿の軍団は迫る人々を相手に奮闘していた。
『奴らの植物に気を付けるんだ! 距離を取って燃やせ! 燃料が切れたらチェーンソーで千切れ!』
 しかし圧倒的な敵の数に対し、精鋭と言えど少数のナカタ達だけでは彼等の進軍を食い止めるだけで精一杯――戦線は膠着した状況のままだった。
『隊長――不明な音源が二つ! 後方より接近!』
『包囲されました、このままでは!』
『狼狽えるな! 総員武装を機関砲に切り替えろ、同士討ちを避ける!』
 歩行戦車のリボルバーコンテナが回転して武装が切り替わる。面制圧向けの銃火器から汎用機関銃へ。しかしこの装備では押し切られる――一人の猿が悲鳴を上げた刹那、背後より雷鳴の様な轟音と共に砲火の雨が正面の敵へと降り注いだ。
「私は前しか見てないでありまーす!! 前向き者同士、ぶつかるであります!」
 それはピウのロボットだ。手にした『バラックスクラップ』のガトリング砲を組み込んで肥大化。超常の重機関砲から無数の質量弾が放たれ続ける。
「――うちはメルノ、猟兵や。他所者の狐やけど、肩並べさせてぇな」
 その傍から狐火の単車が駆け寄って、騎乗の猿達へ挨拶を済ませる。敵ではない、味方だったのだ――それも規格外戦力、異世界からの来訪者達だったとは。
『今ここで話をってなら無理だぞ嬢ちゃん。敵の数が多すぎる』
「そないな事分かっとるわ! 提案があるんよ」
 通信機越しに声を交わすナカタとメルノ。既に知らない仲では無いし、戦いの経験も生半ではない。だからこそ必勝の策を――メルノの提案に頷いたナカタは、直ちに反撃の用意を整えた。倉庫街の戦いはようやく、分水嶺を迎えたのだ。

「野暮でありますが、あなた達はとうにオブリビオン。終わった過去であります!」
 ピウのロボットが巨体を揺らして扇状に砲弾をばら撒く。只の機関砲ではない、肥大化したそれは最早回転式擲弾銃と言っても過言ではない。しかもその弾丸はスクラップを加工して作る――倉庫街においては実質無限と言っても良い。
「あなた達がされた事は、未来を育む者を害する事。だけでありますよ! それを!」
 巨体が地面を揺らして鋼鉄の塊が続々と放たれる。せっかく茂った植物を根元から爆砕し、前に出ようとする人々もその威力の前に下がる他無い。
「見過ごす訳にはいかないのであります! さあ、撃ちまくるでありますよーッ!」
 そしてその横から猿の歩行戦車が徒党を組んで、人々を追い立てる。正面から更に奥へ――押し上げられた戦線は徐々に、動物達の方へ優位に傾いて来ていた。
「ウラァァァァ! 主ら完全に包囲されとるで、ええか、死にとう無かったらさっさとケツまくってこっから帰れェェェェ!」
 一方、未だ敵が密集している左翼の方ではメルノが単車から『コトダママイク』で大声を張り上げて人々を挑発していた。無論、こんな事で帰るような連中では無い事は承知している。だからこそ、その心理を逆手に取ってやるのだ。
(うちの二輪は機動力に優れるけど、火力には乏しい。そこでや。うちが敵を釣ってくるから、そこに戦車の火力を叩き込んでくれへん?)
『あの嬢ちゃん、相当修羅場潜ってんな……』
 威勢良く飛び出したメルノを見やり、ナカタが呟く。大言壮語なんかじゃない、やれる事とやる事を見抜きそれを実行する度胸――中途半端な戦場じゃあ身につかない、ホンモノの狐の化かし方だ。
「っと、種投げんといてぇな危ないなあもう……大体なあ、アンタらが導くのは緑化なんかやない、風化や! 違うってんならかかってきぃや!」
 爆音を響かせて更に挑発するメルノ。その姿を見やり植物を伴った人々が、メルノを囲む様に続々と集い始めた。
「あぁー嫌やなぁ。嫌になるわ」
 その囲いが徐々に狭まって中央で踊る様に単車を転がすメルノは、爆音を響かせながら人々を見やり言葉を続ける。
「嫌になるわうちのセンス――完璧やないか」
 条件はクリアした。さあブチかませッ! メルノが心で念じると共に、人々の囲いが突如燃え始める。焼夷弾が囲いの外から、ナカタの号令一下一斉に放たれたのだ。
「さてと、うちはお暇させてもらうで」
 失礼、とスロットルを全開にして炎の中を突き抜けるメルノ。一瞬くらいならこの火器狐――お熱いのには慣れてるからなと舌鼓を打ち、不意に背後へ熱線銃を抜き放つ。超常の一撃――漆黒の熱線銃の赤い一撃が、背後より迫った植物を一薙ぎにして地に還したのだ。
『これで終わりか。しかし右翼が静か過ぎる――まさか』
「ご心配には及びません」
 銃声が鳴り止んだ戦場に澄んだ声が響く。一瞬の沈黙の後それは再び言葉を紡ぐ。
「右翼側敵部隊は全て対応、殲滅済みです。並びに指令室より通信――」
 その声は硝煙が吹き上がる天より――エル・クーゴー(躯体番号L-95・f04770)が発していた。地上へと舞い降りて、加熱した銃火器が空間を歪ませながら滔々と状況を報告するエル。そして何よりも、指令室に置いた端末経由で将軍の声までもがここに届いていた。
『遂に宗旨替えか、将軍』
『こんなものを見せられては……認めるしかあるまい』
 それは自ら強大な武力を持とうとした過ちについてか。続けて淡々と戦況を語るエルの言葉に、将軍の絶句を深く理解する事になる。
「当機は凡そ現時刻より五分前に当該空域へ到達。使用兵装は空戦装備並びにアームドフォート他射撃兵装――」
 エルの声に合わせて、目の前に先の戦いの映像が映し出される。

 右翼側の敵集団は一旦後退したと見せかけて挟撃を狙いその準備を進めていた。
『大丈夫、きっと皆理解してくれる……』
 大地へ還るという崇高な目的を。その認識を歪められている事に気付く事無く、人々はそろり、そろりと這い出る様に倉庫街を横断していた。しかし。
『ほら、天使が見えるだろう……あれは』
 あれは、そう――破壊の天使だ。太陽を背に凄まじき速度で近付いてきたそれは、全身の銃火器を一斉に展開して銃弾の雨を人々の頭上に降らせた。
「――作戦区域に到達。状況を開始します」
 システム音声の様な淡々とした口調で、エルは己が発揮した超常の空戦装備を纏って右翼側を縦横無尽に飛び回る。地面擦れ擦れに近付いては展開したアームドフォートの銃口から火線を散らして、追い縋った人々の尽くを地に還す。
「マネギと基地司令室のリンク完了。リアルタイム通信開始」
 第一の目的は戦況を知らしめる事。こちらの倉庫街はまだ戦闘継続中、そして子細な状況が判明していない。
「データアップロード……完了。周辺制圧率八割、現空域の制圧まで想定60秒」
 中央と左翼は友軍が押さえている。残る右翼を制圧すれば作戦は完了だ。ブラスターが火花を散らして、逃げ惑う人々を一文字に叩き割れば、風化したオブリビオンの残滓が空間に溶け、消えていく。
「残敵部隊の配置確認――砲撃開始」
 地面を滑りながら折りたたまれた対物ライフルがその威容を見せ付ける様に開いて、号砲一閃――倉庫越しに布陣していた人々を瓦礫ごと飲み込んで無力化する。
「自衛植物の群生を確認。弾種ナパーム――発射」
 最後に放たれたのはサイドアームからの焼夷弾。わらわらと生い茂り偽装していた敵を直ちに焼き焦がして、想定通り右翼側の制圧を完了する。
「フェイズオーバー。友軍の戦闘も完了した模様、合流する」
 静かに言い放ちスラスターを点火するエル。その姿は正しく戦場の天使――破壊の天使の様であった。

「へぇ……凄いでありますな」
 圧倒的な戦果を前に絶句するピウ。だがこれも中央の布陣を叩き潰した自身と、左翼を壊滅せしめたメルノの力があってこそ。
「それじゃ、ここいらは任務終了って事かいな?」
「現状、残存戦力は見当たりません」
『成程な……確かに将軍も宗旨替えせざるを得んだろう』
 それはナカタ自身がよく知っていた。彼等の埒外の能力を一番目の当たりにしてきたのだから。
『そしたら各戦線に合流して――この国を護り切るぞ』
 ナカタの号令に皆が続く。かくして最大の戦場は猟兵達の勝利に終わった。
 それは同時に、賢い動物達の国が変わった瞬間でもあったのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フローラ・ソイレント
※アドリブ歓迎、共闘可

WIZ判定

・行動:味方の援護
彼らが種を撒いたり
生まれた植物が逃げたり戦っているところをUCで止め
その隙に味方や賢い動物たちに攻撃を当ててもらう

・セリフ

哀れな……
彼方此方にあるグリーン・ヘル地帯は彼らの仕業なのかもしれませんね
特定外来植物の駆除も猟兵の仕事ってことに成るのでしょうか


(地に手をつきながら敵に掌を向け)
ノウマク・サンマンダ・バザラ・ダン、カーン!+UC詠唱

(味方に)
今だ、オレが敵の動きは抑えておくから
アンタらは全力で攻撃を叩き込め!


塚杜・無焔
希望:シンウラ>アイアン位で。合わせやすい場所に。


お前らの信ずるものは最早潰えているのだ。
それに――植物はお前らの意志を汲み取る事は一切無いのだから。

『ガソリン』を空中に少量撒いてからそこを通るように
【空を裂く赫雷】を当てさせよう。
攻撃対象は無論、出現した全ての植物。
電気火災の指向性を与えつつ、
味方に接触する前に【焼却】しよう。
無論味方や街を燃すつもりは無いのでな。
燃えながらも突貫してくるようであれば、
【属性攻撃】【マヒ攻撃】【鎧無視攻撃】の拳で処分しよう。

……私自身はとうに死んでいるからな、
【火炎耐性】【激痛耐性】【オーラ防御】で炎も問題なかろう。

※アドリブ連携可



●デッドマンズ・ワンダーランド
 正門周辺は麗しき王子と暗黒竜が敵を蹂躙していた。しかし正門に通ずる道はそこだけでは無い。
「哀れな……」
 漆黒のナースキャップを手で押さえて薄く目を瞑るフローラ・ソイレント(デッドマンズナース・f24473)。目に映った光景は正に緑の地獄――恐らく駐車場だったのであろうだだっ広い空間で人々が異形の種を植え、偽りの微笑みを浮かべながらその世話を甲斐甲斐しく進めている。辺りに賢い動物達はいない――拠点の入り口の方へ回されたのだろうか。だからこそ、誰もいないこの地が野放図にされているのか。足元で悍ましき牙を研がれている事も知らずに、あるいはそれでも手を出せずに――放っておけば、間違い無く被害は拡大してしまう。
「彼方此方にあるグリーン・ヘル地帯は彼らの仕業なのかもしれませんね」
「そうかも知れん。だがな、一つだけ分かっている事がある」
 腕を組みその様子を眺める塚杜・無焔(無縁塚の守り人・f24583)が重い声色でぼそりと呟く。我等は猟兵にしてこの世界に住まう者。やるべき事は決まっていると。
「危険な外来種は駆除しなければならん」
「――特定外来植物の駆除も猟兵の仕事ってことに成るのでしょうか」
 軽くおどけてフローラが返す。漆黒のナース服を揺らして悠然と歩む姿は、可憐さと勇ましさを図らずも醸し出す。その様子を見て無焔は心底頼もしく思った。祝福の時はお仕舞いだ、ここから先は――黙示録の地獄だと。

「ノウマク・サンマンダ・バザラ・ダン、カーン! すべての諸金剛に礼拝する。磁極流、不動金縛(アチャラナータ)!」
 植物の育成に勤しむ人々に向けて、有無を言わさずフローラの超常が炸裂した。先手必勝――地に手をつきながら敵に向けた掌から強大な電磁場が放たれて、帯電した空間から発生した引力が人々の動きを縫い付ける様に止めれば、斥力が浅く埋まった植物を次々と空中へ放り出す。
「今だ、オレが敵の動きは抑えておくから――」
 全身から発される『電磁覇気』が空間すら歪ませて、青白い雷光が大地を裂きながらフローラは絶えず超常を発し続ける。
「アンタは全力で攻撃を叩き込め!」
「無論、そうさせて貰う!」
 バチバチと空を裂く音を被せて、帰還者同士が顔を合わせる。刹那、その巨体で脱兎の如く駆け出した無焔が体内のヴォルテックエンジンを臨界まで稼働させた。闘気が電撃と化して、火花が爆光を伴い空間を彩る。目の前には成す術無く立ち尽くす人々が――しかし慈悲は無い。
「お前らの信ずるものは最早潰えているのだ」
 滾らせた覇気が空間を更に歪ませる。その覇気がゆらりと群生する植物を覆う様に広がって、無焔が足を止めると共に大地を炎で包み込んだ。
「それに――植物はお前らの意志を汲み取る事は一切無いのだから」
 ガソリンだ。フローラの超常で直ちに引火せぬ様、且つ確実に全ての植物を焼き尽くす為に、練り上げた覇気で静かに空間へガソリンを浸透させたのだ。その炎を更に無焔の超常が――『空を裂く赫雷』が大地を舐める様に広がりながら、植物を焼き焦がす火の手を更に広げていく。宙を舞う植物は粉々に打ち砕かれ、赫雷が続々と人々を天より穿っていった。
『そんな……酷い……』
『あなた達も、このままでは焼かれてしまう……!』
 だから今すぐ、火の手と雷を止めてくれと哀願する人々。しかしその言葉の裏には破滅を望むオブリビオンの本能がある――故に容易く、その手を止める訳にはいかないのだ。
「……私達はとうに死んでいるからな」
「気持ちだけ受け取っておこうか――じゃあな!」
 彼等は帰還者、死の淵より蘇りしデッドマンだ。この程度の地獄など、既に通り過ぎた過去に過ぎない。だが過去に縛られることを良しとしなかったからこそ――今、彼等はここに立っている。
「祈りは絶えた。植物も燃え尽きた。これ以上何を望む?」
 揺らめく炎を意にも介さず無焔が問う。大人しく骸の海へ還れと祈りを込めて。
『それは、それでも……』
「これ以上、苦しまなくてもいいんですよ」
 不意に背後から電磁鍼を一突き――せめてこれ以上、痛み無く安らかに逝ける様にとフローラが静かに手を下した。
「歪んだ思い、か……」
 消えゆく人々と植物。そして陽炎が立ち昇る一帯を見やり、無焔が呟く。
 あと何度、この地獄を繰り返せば全てが終わるのだろうかと思いを秘めて。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

リインルイン・ミュール
●戦場:可能な限り視界の開けた場所を選択
士気が高いですネ。滅びに抗う気持ち、護るという気持ちがあるのは良い事で、尊いものです
では、ワタシもお手伝い致しまショウ!

戦場が広いので、力場を拡げるのには時間がかかりマス
その間に戦えないわけではありません、ダッシュで動き回りつる黒剣や拳、増幅した声音の衝撃波で攻撃
敵の攻撃は念動力で逸らしたり見切るなどして、大きな怪我は負わないよう注意

充分拡がったら、顕れ舞う赤雷を力場全域に使用し範囲攻撃
逃げる者には軌道操作でフェイント織り交ぜ、逃れ切ったと油断させて騙し討ち、敵UC発動妨害の意味も込め、形も残らぬよう二回攻撃
歪んだ人々も植物も、雷の熱量で灼き払いましょう



●電撃稲妻烈風
 正門の入り口は何も一つだけではない。本来の遊園施設の入場ゲート以外にも、緊急時の出入り口が分散して配置されていた。
『オラァ! ここから先は一歩も通すんじゃねえ!』
『って隊長! 何かまた増えてっぞ!』
 短機関銃から鉛玉をばら撒きながら、簡易バリケードに後退して緊急出入り口で防戦を続ける凶暴なアライグマの警備兵達。かろうじで敵の侵入を食い止めてはいるものの徐々に銃声はまばらになり、迫る緑の数が増えつつある状況が見て伺えた。
『ビビるな! ここを破られたらそれこそ……俺達は仕舞いだぞ!』
「士気が高いですネ。滅びに抗う気持ち、護るという気持ちがあるのは良い事で、尊いものです」
 不意に、凛とした声と共に人々の隊列が乱れる。整然と並んでいた人々と植物の群れをかき分けて、衝撃を纏った高速の物体が彼等を蹴散らしていったのだ。
「では、ワタシもお手伝い致しまショウ!」
『何だ、仲間か!?』
 銃を片手に怒声を上げる警備兵。視線の先には一人の獣――いや、ケモノの姿をしたリインルイン・ミュール(紡黒のケモノ・f03536)が、不可視の念動をばら撒きながら奇襲を仕掛けたのだ。
(戦場は広いですが要所は限られている――駆け回ってココへ辿り着いたのは僥倖)
 その正体は異世界の種族ブラックタール。無限に可変する肉体を誇り高き獣の姿に押し留め、剣と拳と衝撃を振るいながら密集する敵の陣形を崩していった。
「隊列が崩れましタ。各個撃破のチャンスです」
『野郎共、アンコールの時間だ!』
『待ってたんだぜ……この時をなァ!』
 再び轟音と共に警備兵が鉛玉のオーケストラを奏でる。一糸乱れぬ統率は流石の元軍人達か、逸れた人々や植物を続々と打ちのめす連弾が、悲鳴と奇声のシュプレヒコールを続々と巻き起こしていく。
(さて――そろそろでしょうカ)
 隊列を崩された人々らは後退しながら、再び固まって陣形を整える。これで警備兵と彼等の間に距離が出来た……ならば、本気を出しても問題あるまい。稲妻の様に戦場を駆け抜けるリインルインは一瞬、その足を止めて人々の方へ向き直った。
「力場の展開も十分――何、これまでの戦に比べれば」
 この程度、物の数では無い。瞬間、赤雷が轟音と共に戦場を――人々と蘇った植物を包み込んだ。それこそがリインルインの超常――徒に走り回った訳ではない。軌跡が力場を押し広げ、その力場に必殺の赤雷を続々と叩き落としたのだ。
『な、何だありゃあ……』
 無理も無い。至近距離でこれほどの超常を目の当たりにした事など警備兵には無かったから。焼け焦げた臭いとイオン臭が戦場に充満して、逃げる者は道を塞ぐように重なって放たれた雷が身を引き裂き、外周から退路を塞ぐように重ねて放たれた雷の束が徐々にその輪を縮めていく。そして炎が、戦場を覆った。
「形も残しませんヨ……全て、灼き払いましょう」
 全て――敵にこれ以上異能も使わせない。理を歪める暇すら与えない。漆黒の勇者は雄々しく立ち、蹂躙した戦場を遍く見渡す。
「その歪んだ命に滅びの祝福を――」
 さあ、ドウゾ。黒き獣は静かに吼える。
 立ち塞がるモノはもう、何も無い。

成功 🔵​🔵​🔴​

クロト・ラトキエ


賢い動物たちの国防衛――
オーダーを、果たしましょう。

ポイントは何処でも。
戦況不利な地点でもあらば。
雇われ兵は戦さ場を選ばず、です。
皆様の動きは何卒、皆様の思う様に。

負傷者、戦線の厚薄、互助の可不可等、動物達の戦況把握。
加えて、視線、投擲や散布動作、植物の標的等、敵方の挙動を見切り、
情報を知識に照らして。
鋼糸を戦場へ舞わせ拡げ
――UC。但し一撃は己へ。
数に埒開かぬなら更に複数本、急所狙いの2回攻撃に範囲攻撃併せ、
敵植物が対象者を得るより先に、使用者ごと、絶やします。

只の、ひとだったもの。
明日に縋り、絶望に抗い、懸命に生き
――終わった者達。
同情も感慨も無い。
己の動く理由たるは唯、今を生きる者だけ


バレッタ・カノン



高速道路を突破されてはまずいな
更に増援を許しかねない

【pow】で前線を維持する

お前たちにも大事なものが有る
この動物たちにもある
私にもある、ただそれだけだ
命を賭すならわかるな?

射撃に自信はないが『機関銃』で弾幕を張る
当たらなくても敵を食い止めるくらいできるだろう
接近されたら『弾帯鉄鞭』で【なぎ払う】までだ

そして、あの草は危険だ
直撃しそうなら『術式障壁』の【オーラ防御】で自分と味方共に【かばう】
…連続使用は消耗が激しいが仕方ない

仕事を完遂せずに倒れるわけにはいかない
『PP-P1』を注射して「力」を使う
UC地獄門
召喚した手足と尾を使い更なる【怪力】で叩き潰す

無理矢理でも働いてもらうぞ化け物
代ワレ…



●めぐりあい
 吹き荒ぶ風の中、高くそびえる古城の様な尖塔の上で、クロト・ラトキエ(TTX・f00472)が戦場を睥睨する。充満する硝煙が方々の苛烈な戦闘を想起させ、そこかしこで上がる火の手が徐々に静まりつつある今、大勢は猟兵達の優位に傾きつつあった。しかし。
「賢い動物たちの国防衛――オーダーを、果たしましょう」
 それでも、戦場は広い。倉庫街、沿岸部、共に制圧は成っただろう。正門周辺の外郭部、徐々に人々の数が減りつつある。ここも時間の問題だろう。
「――雇われ兵は戦さ場を選ばず、です」
 残るは高速道路、ここだけは未だ敵の増援が途切れる事は無い。片方の入り口は兎も角、もう片方はかろうじで押さえてはいるが、残る戦力の全てを投じてきたか、徐々に押されつつある様に見える。
「戦況不利な地点、いいでしょう」
 皆様の動きは何卒、皆様の思う様に。ゆらりと尖塔から飛び降りたクロトはその足で戦況不利な地点と見なした高速道路へと向かった。最後の戦いが、始まる。

「高速道路を突破されてはまずいな。更に増援を許しかねない」
 武装を切り替え飛び出る特犬隊の背後で、バレッタ・カノン(バレットガール・f11818)は更に弾幕を張り続ける。事実、反対側は既にワンサイドゲームだが、こちら側は戦力が足りてはいない。前線をかろうじで維持してはいるものの、少しでも崩れればそこから破綻するのは明白――煙を上げて加熱したバレルを手早く交換して、13mmの牙を再び突き立てるバレッタ。
『嬢ちゃん、もうここはいい! 一旦下がれ!』
『休んでないだろう、こんな所で』
「――お前たちにも大事なものが有る。あの連中にもある」
 老練な犬の悲鳴にも似た叫びに淡々と返すバレッタ。分かっている、戦況は幾分も好転していない。にも拘らず部外者のお前がなぜ戦うのだ、と。
「私にもある、ただそれだけだ。命を賭すならわかるな?」
 十代の少女とは思えない悲壮な決意、一体猟兵とはどれほどの戦場を潜り抜けてきたのだ。その決意を耳にして改めて奮起する犬達。兵としてこんな所で、ましてやこんな幼い子供を置いてなどいけるか……たとえ人だったとしても、それが命である事に変わりはない。不退転の覚悟を見せ付けられ、再び刃を展開した犬達――その背後に、ふらりと長身の男が寄ってくる。
「状況は、あまり良くないですか」
 男は煌く鋼糸を両腕に束ねて、そっとバレッタに尋ねた。
「見て分かるだろう。突撃と後退の繰返し、もう七度目だ」
「承知しました。では次で終わらせましょう」
 長身の男は――クロトは優し気な口調でバレッタに返し、そのまま戦場に躍り出た。

(負傷者、戦線の厚薄、互助の可不可等、動物達の戦況把握――)
 重傷は幸い無し、戦線は最終防衛線まで後退、互助は――可能か。動物達は近接装備で植物の侵食をかろうじで押さえてる……。溜め息一つ漏らさず、一直線に掛けながら子細な状況を把握したクロトは、そのまま犬達に声を掛けて作戦を伝える。
「遅くなりましたが、まだ慌てる時間じゃない。後退した要員の武装を中距離仕様に、弾幕を張りつつ敵の接近を押さえてください」
『何だ……猟兵って奴か。しかしそれでは植物が』
 すっと人差し指を口元に当てて、クロトが傍らの犬に微笑んだ。
「大丈夫です。雑草刈りは任せてください」
 そして光が弾む。腕に纏わりつかせた鋼糸が広がって、銀色の川の様になる。
「友軍を下げて、一気に行きますよ」
『全軍後退!』
 ありがとう。心の中で呟いてクロトは疾駆した。
(数に埒開かぬなら――纏めていくか)
 犬達と入れ替わる様に前線へ躍り出たクロトは、そのまま散らばる人々目掛けて、己が得物を投網の様に投げ広げた。
『ああ、君も一緒に大地へ還ろう』
(只の、ひとだったもの)
 ブンと腕が振るわれれば、アスファルトごと根こそぎ植物が抉り取られる。亀裂から滑り込ませる様に放たれた神業の超常は、鋼糸を意志持つ殺戮兵器の様に操って。
『もう争いはやめるんだ。これ以上何の意味も無い』
(明日に縋り、絶望に抗い、懸命に生き――終わった者達)
 空中に跳ねた諸々が解体されれば、風に飲まれて骸と化す。己が身に血を滲ませながら冷静に、淡々と、外科手術の様に患部をこそぎ落とす。
『さあ、もうすぐあの方がこちらへお見えになる』
(……同情も感慨も無い)
 言葉も風に消えて、思いがただ戦場を埋め尽くす。どちらが滅びを齎すのか……最後に立っている方は、更に意志が強き者だから。
『その前に、この地を緑で埋め尽くそう』
「己の動く理由たるは唯、今を生きる者だけ」
 死者の帝国を築かせてはならない。駆けながら指揮者の様に鋼糸を振るうクロトの瞳は、深く輝きを灯していた。その背後にある希望を見据えて。

(正直、射撃に自身は無いが……)
 クロトと入れ替わる様に戻って来た特犬隊は武装を機関砲に切り替えて、バレッタの目の前で猛烈に弾幕を張り始めた。
(これだけ数がいれば――!)
 その弾幕を潜り抜けて、一際太い植物がバレッタ達へ襲い掛かる。迂闊だった……僅かなほころびを見せれば、そこから破綻する状況は変わっていない。
(矢張り、あの草は危険だ!)
 有無を言わさず障壁を展開して飛び掛かるバレッタ。鞭の様に『弾帯鉄鞭』を振り回して植物の接近を振り払おうも、触手の様に伸びた茎がバレッタに絡みついて締め上げる。
『嬢ちゃん!』
 大丈夫だ、こっちへ来い……引き金を引いて一斉に弾帯が炸裂する。その衝撃で僅かに緩んだ拘束をバレッタは逃さない。
「無理矢理でも働いてもらうぞ、化け物」
 取り出したのは悪魔の薬――己の腕に『PP-P1』を注射すれば、一瞬視界が反転して、そして。
『嬢…………!?』
 そこにはもう、人の姿は無かった。
「代 ワ レ ……」
 百足の如き異形と化した四肢が植物に食らいつく。溶解液が緑を腐食させ、ギチギチと蠢く脚がその茎を細切れに切り刻んだ。
『まさか、アンタも……』
 研究の名の元に弄繰り回された異形を見やり、自身らの境遇をふと思い返す犬達。そうだ……俺達だけじゃ、無いんだ。
『……お前ら嬢ちゃんの援護だ! ドス持ってこい!』
 犬達が刃を加え植物に殺到する。装備を交換している時間など無い――今はただ、仲間を救う。ただそれだけの為に全力を賭す。そしてバレッタの怪力が絡みつく茎を引き千切り、犬達の一閃が止めを刺した。
「…………」
『俺達も、似た様なもんだ。さあ』
 あの兄ちゃんを助けるぞ。再び銃砲を構え、炸裂音が戦場を埋め尽くした。
 もう誰も、一人ではない。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ガロウ・サンチェス
【三匹】で行動
クルマを飛ばして、ワンガン・ロードを突っ走り援護に向かうぜ。
おっ、おめぇのお仲間達がいるぜゼロよ。
ここはいっちょ、俺達の力を見せねえとな。

あの植物の蔓は、成長しながら攻撃してくるってワケか。
ならよ、その成長を上回るスピードで潰しゃいい!
【チェーンコンボ】で次々と攻撃を繋ぎ、攻撃力重視の連続技で
ちぎって、殴り潰して、蹴散らしてやらぁ!
ここは俺様のボーナスステージだぜっ!
おう見てるか先輩方! この世界はクソみてえな地獄だけどよ、
俺達はまだ希望を捨ててなんかいないぜ? このマイハマを夢の国にしなきゃいけねえからなぁ!
最後は<グラップル>で掴みかかり、バックドロップでフィニッシュだ!


ゼロ・クロニクル

【三匹】で参戦

事態は一刻を争うな、防衛線のどこか一角でも崩れれば、我々に勝機は無い
我が名はゼロ・クロニクル。仲間と共に貴殿らに助太刀いたす!

黒い竜巻で全身を覆って【真の姿】を解放し、黒装束に黒い鬼の覆面を被った忍者(人型)に変化する。
偽神兵器の太刀を抜き、【ストームランページ】で自走植物の群れをまとめて切り払う。一撃目は『明日を目指した人々』本体を、二撃目は敵が作り出した『自走植物』を攻撃。
そして三撃目は討ち漏らした残りの対象を狙って巨大化させた偽神兵器を振るう。
攻撃ヒット時は太刀に敵に血肉や細胞を<捕食>させ、<生命力吸収>して己の力に変えていこう。
この姿を見た者は、生かしては帰さない。


アモン・スメラギ
【三匹】で行動。

おっ、やってるねぇ。必死で頑張ってるゼロの仲間のためにも、ひと働きしてやるか。俺はアモン、新世界の王になる男だぜ。よろしくな?

基本はソーシャル・レーザーによる味方の支援
<援護射撃>でゼロのユーベルコードの隙を消すために弾幕を張ったり、
ガロウの動きを妨げようとする植物の蔓をレーザーで焼くなどして後衛からバックアップ。
レーザーの残りエネルギーが少なくなってきたら【クライシスゾーン】で瑠璃色の蝶を小型の竜巻に変換して操作し、植物の群れを一掃してやるぜ。

新しい世界を築くのは俺達だぜ。未来への鍵は俺がこの手に握ってる。
さあ、道を開けてもらおうか?



●一つの正義は
 厳めしいクラシックなセダンがワンガン・ロードを爆走する。目指すは敵の発生源――先行して迎撃に当たれなかった反対側は依然敵の侵攻を止められない。それを止めるには最早、元を断つ他無いのだ。ガタガタと揺れる車内で人間と動物とフラスコチャイルドの三人組は、視線の先に踊る煙を――戦場を見据えた。
「おっ、おめぇのお仲間達がいるぜゼロよ」
 車を運転するガロウ・サンチェス(人間のゴッドハンド・f24634)が嬉しそうに声を上げる。流石の中古、サスペンションがふにゃふにゃだ。余り飛ばせばジェットコースターどころでは無い絶叫マシンになりかねない走り心地を剛腕でねじ伏せて、荒れる路面を事も無げに通る様は流石と言った所。
「事態は一刻を争うな、防衛線のどこか一角でも崩れれば、我々に勝機は無い」
「ここはいっちょ、俺達の力を見せねえとな」
 ガロウに続いてゼロ・クロニクル(賢い動物のストームブレイド・f24669)が呟く。戦っているのは同族の賢い動物の犬達だ。背に様々な武装を施し、一進一退の攻防を繰り広げている姿が遠目に見える。その様子を見て強くアクセルを踏みしめるガロウ。一秒でも早く助けに行かねば――こんな所で仲間の悲しむ顔など、見たくないから。

「おっ、やってるねぇ」
 銃声と怒号が飛び交う戦場に、一際目立つ色白の小柄な少年が降り立った。そのアモン・スメラギ(フラスコチャイルドのソーシャルディーヴァ・f24679)傍らには黒と灰の忍犬が。共に戦場へ歩みを進めて名乗りを上げる。
「我が名はゼロ・クロニクル。仲間と共に貴殿らに助太刀いたす!」
「俺はアモン、新世界の王になる男だぜ。よろしくな?」
 そして俺は――ガロウが名乗りを上げようとした刹那、不意に足元から植物がうぞりと伸びて迫り来る。
「あの植物の蔓は、成長しながら攻撃してくるってワケか」
 しかし慌てる事では無い。こんな異常は日常茶飯事だ――這い寄る蔦を剛脚で踏み潰し、鍛え上げた達人の覇気はそのまま、彼方から刺客を伸ばした植物を丸ごと焼き尽くす。
「ならよ、その成長を上回るスピードで潰しゃいい!」
 挨拶代わりの一撃を見せ付けたガロウはそのまま戦場へと躍り出た。その背後からアモンがソーシャル・レーザーで支援を。幸い『イイね!』の貯蔵は足りている。全てはゼロの秘策を成就させる為に――背後では忍犬が黒い竜巻に覆われて、その身を変化させた。
「この姿を見た者は、生かしては帰さない」
 黒い風を払って現れ出でたのは、鬼面を被った漆黒の装甲忍者。それこそがゼロの真の姿。偽神兵器の忍刀を抜き疾走――賢い動物サイズから巨大化して太刀と化したそれは、ゼロの超常を以って凄まじき威力を発揮した。
「――つまり、ここで終わりにする!」
 風が人々を薙ぎ払う。振り上げた刃をそのまま下ろせば、地を這い逃げ惑う植物の群れを切り裂いて――そして。
「ゼロ!」
 アモンが叫ぶ。更にゼロの背後、神速の二太刀を躱した生き残りが仇討ちと言わんばかりに触手を広げて襲い掛かる。だがそれも、想定の内。
「誰がこれで、終わりと言ったか?」
 ゼロは、ストームブレイドはオブリビオン・ストームを喰らう者。つまりオブリビオン・ストームより出でたオブリビオンは、前菜の様なモノだ。ぬらりと刀身を染めた敵の血肉が音も無く取り込まれ、更に力を増大させたゼロは振り返る事も無く背後を一突き――僅かな間に周囲の尽くを蹂躙せしめたのだった。

「ここは俺様のボーナスステージだぜっ!」
 一方、ガロウは覇気を振りまいて群がる人々を蹴散らし進む。目の前では苦戦する特犬隊が――それを救わんとアスファルトを踏み鳴らし、烈風が戦場に巻き起こる。
「そして新しい世界を築くのは俺達だぜ。未来への鍵は俺が、この手に握ってる!」
 そしてアモンが後に続いて――超常が機械仕掛けの蝶達を鋭い刃を持つ竜巻に変貌せしめる。レーザーはほぼ撃ち尽くした。それでも、戦う力が失われた訳ではない。
「さあ、道を開けてもらおうか?」
 一斉に放たれた小型の竜巻が、ガロウに迫る植物の群れを尽く飲み込んで。超次元の渦が全てを無に還した。アモンの言う通り、道は今開かれたのだ。
「おう見てるか先輩方! 」
 苦戦する特犬隊の真横に、大柄な男が風を切って辿り着いた。その拳が植物を引き千切り、覇気が炎で包み込む。正に不動明王かくやと言わんばかりの無双ぶり。突出して援護も無く戦い続けていた犬が、救いを求める様な顔でガロウを見やる。
「この世界はクソみてえな地獄だけどよ、俺達はまだ希望を捨ててなんかいないぜ?」
 その視線に説法を――否、勇気ある言葉を掛けるガロウ。再び迫る植物を引き千切って、その発生源たる人々の元へ。相手の動きは所詮素人、滑らかな体捌きで背後を取れば、流れる様な手つきでその腰に掴み掛る。
「このマイハマを夢の国にしなきゃいけねえからなぁ!」
 そしてブリッジ――バックドロップが相手を骸と化して、その姿を空に溶かす。
「ゼロ! アモン! 仕上げだ!」
「――心得た」
「いつでも行けるよ、ガロウ!」
 返事と共に忍者が戦場を駆けて、アモンが放つ超常の竜巻が芝刈り機の様な轟音を立てて植物を尽く宙へと巻き上げる。
「これ以上命を奪わせたりは、しない!」
 がら空きになった路面を駆け抜けたゼロが、呆然と立ち尽くす人々をすれ違い様に続々と切り伏せる。そして。
「そしてお前らは……骸の国へサヨナラだ!」
 天高く拳を突き上げ、高く昇った覇気が舞い上がった植物を纏めて焼き尽くす。これならば路面に与えるダメージも最小だ。そして遂に、この地を覆った全ての明日を蝕む悪夢のような植物と人々は一掃された。

『ありがとう、本当に助かった』
「礼には及ばない。この世界に生きる同胞として当然の事をしたまで」
 戦いは終わり、残敵がいない事を確かめた特犬隊がゼロへと礼を述べる。それは勿論、いのちを救ってくれたガロウとアモンに対してもだ。
「な、もう動物だ人間だ言ってる場合じゃ無いだろう」
 金髪をかき上げて笑顔を見せるガロウ。人間と彼等は対立していたという――だが今、この瞬間彼等と俺達は一つになった。仲間同士となれたのだ。だからこそ明日の為にも、そのわだかまりを解いておきたい。そう願って、更にアモンが続く。
「そうそう。それにここにも俺のファンは沢山いるんだからね!」
 胸を張ってこのエリアにいる自身のフォロワー数を見せ付けるアモン。姿形ではない、魂が響き合えばきっと分かり合える。そうして集った三人だから。
『……君達の言う通りだ、これからは』
 その言葉に深く頷く特犬隊。共に歩もう――言葉を続けようとしたその時、血相を変えて犬の部下が割って入ってきた。
『指令室より入電! 正体不明の敵影が一つ……出現地点は』
 ここに現れた『明日を目指した人々』は全て排除した。ならば残る相手は恐らく最後の一人。さっさと囲って倒せばいいと息巻く面々に、沈痛な面持ちで部下が言い放った。最後の敵の出現地点、それは……。
『出現地点は……動物の国』

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『ダラキュリア・クローン』

POW   :    アタシの管理にケチつけんじゃねぇ!!
【自身が作り上げた管理社会を否定された怒り】の感情を爆発させる事により、感情の強さに比例して、自身の身体サイズと戦闘能力が増大する。
SPD   :    テロリスト共は速やかに撲滅しなきゃねぇ!!
【自身が装備する刀剣から放たれる斬撃】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
WIZ   :    噛み殺せ!!強襲兵ぇ!!
レベル×5体の、小型の戦闘用【に進化した森羅万象を噛砕できる羽虫】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は播州・クロリアです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●遥かな地平
『ったくよぉ……どいつもこいつもこんな使いすら出来ねえってのか』
 賢い動物たちの国を襲撃した大勢の人々も、日が沈み掛かった頃には尽くが猟兵と動物達の活躍により地に還った。しかし何者かが突然、戦火には晒されていない賢い動物たちの国の司令部――古城の正面に現れたのだ。
『こんだけ馬鹿みたいな広い土地にごまんと住んでるんだろう、え?』
 浅黒い肌の少年、あるいは少女か。甲高い声を上げて、漆黒の群を伴って悠然とその威を示す。ここまで人々の侵入は無かった筈。否――既にアビスが侵入していた。僅かな人数ならば侵入出来る余地があったのだろうか。悪意と害意を滾らせた表情で周囲を一瞥すると、そのオブリビオンは腰の蛮刀を抜き、高々と掲げた。
『――シカトかよ、まあいい。このままダンマリ決め込むってんなら』
 そのまま音よりも早く振り下ろす。巻き起こった烈風が古城を囲む城下街めいた施設を続々と薙ぎ倒し、飛散した瓦礫を見やり満足げな笑みを浮かべた。
『泣いたり笑ったり出来なくしてやるよ、アタシの下でなぁ!』
 全てはこの地を奪い、管理する為。人々との関わりを断っていたならば好都合、ここで何が起こっているか、外の連中は知る由も無いのだから。だが野望は既に潰えた。賢い動物たちは人間と手を取り合う事を選んだのだ。
『――あのメスガキとボンクラどもみたいに、まとめて徹底的に管理してやる!』
 数多の思いを犠牲にして傲慢に立ちはだかるその者はダラキュリア・クローン。これ以上、無法の跳梁を許してはならない。

※戦闘は夜、建造物に囲まれた遊園施設での戦いとなります。市街地戦相当です
※プレイングは戦闘に注力して貰えれば幸いです。場所はこちらで用意します
※賢い動物達は施設の全周警戒を継続する為、こちらの援護には来れません
※プレイングの募集は1/23(木)8:31より開始いたします
メルノ・ネッケル
歪んだ奴の管理なんざ、誰一人として望んどらへん。
……骸の海までお引き取り願おうか、イカレ科学者!

この辺りは遮蔽が多い、身を隠して機を伺おか。
とはいえ奴は虫使い。ただ隠れるだけじゃ、小回りの効く虫からは逃れられん。

そんなら、虫の特性を逆手に取る!
『フォックスファイア』、五十五の狐火を纏めて地面にぶつけ、思い切り燃やす!

……飛んで火に入る夏の虫、ってな。
暗い中燃える炎、近寄らずにゃおれんやろ?
森羅万象、恐らく火すら噛み砕く虫やけど……一発噛めばすぐ消える。明かりの確保にもなって一石二鳥や、
虫さえ片付きゃ、射程を活かして戦える。
奴の接近を待ち、迎撃の【2回攻撃】!詰められんようガンガン撃ちまくるで!



●送り火
「歪んだ奴の管理なんざ、誰一人として望んどらへん」
 外灯ごと瓦礫に埋もれ闇に包まれた古城前、闇の中に凛とした声が響く。その声の主は少しずつダラキュリアへと近付いて、崩れた建造物を背後に立ち止まった。
「……骸の海までお引き取り願おうか、イカレ科学者!」
『抜かせ、邪魔するってんなら……今すぐ駆除ッ!』
 二丁の愛銃を手にしたメルノ・ネッケル(火器狐・f09332)は夜風が紡ぐ音に隠れて、宣戦と共にその手から先制の銃撃を放つ。しかし同じく闇より現れたダラキュリアの眷属――超常の羽虫の群れが銃弾の行く手を遮った。
(やはり出しよったか虫使い――しかし、このまま遮蔽物に身を隠してても埒が明かんなあ)
 それでもメルノは怯まない。幾多の戦いの記憶が即座に自身を動かした。相手が虫ならその習性を利用する――すかさず放たれた超常の狐火が大地で爆ぜて、五十五の送り火となってダラキュリアの周囲を囲んだ。
『へッ、真っ暗闇は怖いってか――だがその程度!』
 不敵な笑みを浮かべたダラキュリアを炎が映し出す。距離はそう遠くは無いが、奴はまだ自身に気付いちゃいない。しかしその炎を、狐火を、森羅万象を喰らう羽虫の強襲が続々と潰していった。灯に群がる虫の習性を利用した奇策――焼け焦げた臭いを辺りに広げながら、徐々に暗がりがその支配を増していく。
『どうした、明かりがどんどん消えてくぜ……!』
 鮮明に捉えたダラキュリアの輪郭が徐々に闇に紛れて消えていく。羽虫が炎を食む度に数を減らし、その中心で威丈高に声を上げる姿は、足音と共に少しずつメルノの方へと近付いて来ている。だがその方位と速度と距離が分かれば十分。策は成った。
「どうもこうも無いわ、阿呆め」
『何ッ!』
 再びの発砲音。火薬とイオン臭が混じった戦場独特の気配が急速に広がっていく。
「この距離なら避けられへんやろ。ましてや」
 完全な奇襲――暗がりの残骸に身を隠し、狐火を囮として追い詰められたように演出し、必殺の機会を狙い、撃つ。ただ一つ二つの攻撃だけでは見切られて逃げられかねない。であれば確実に攻撃を届ける算段を整えればいい。
「自力じゃなーんも出来んお前が、うちに勝てる道理なんて……あらへんよッ!」
 硝煙が視界を覆い、熱線銃のバッテリーが尋常ならぬ速度で加熱していく。まだだ、止めない――トリガーを引き続けるメルノに一切の迷いは無かった。
『グウッ……!』
「どうした、もう終わりなんて言わんといてな!」
 広がった狐火の駆除で羽虫は傍には居ない。この瞬間に全てを――しかし幕切れは唐突に訪れる。
「っと、バッテリーが……」
 リボルバーと散弾銃を撃ち尽くし、最大出力で放たれた熱線が遂に電源を使い果たす。即座に再装填、銃口を向けダラキュリアを硝煙の奥に探すが、反撃も敵影も最早無くなった。
「逃げたか……でもなぁ」
 うちだけやない。お前を狙う者は幾らでもおるで。
 ここからは猟兵の時間だと心の底で呟いて、メルノは銃口を静かに下ろした。

成功 🔵​🔵​🔴​

バレッタ・カノン


消耗が激しいな
【POW】で食いしばる

『牙飾り』を触り、自分を保つ
ここからは気力と正気との戦いだ
力を貸してくれ

『PP-P1』を再度注射
真の姿UC悪鬼を開放
悪魔の本能が暴れるが私は戦う、負けない

忌まわしい姿
今は私の姿
私ヲ見ロ

4本の尾の【怪力】をバネに【ジャンプ】で突撃攻撃
体勢が崩れるのを狙って全ての武器を使い、何度も何度でも突撃する

危険な一撃は【なぎ払い】、【激痛耐性】で乗り切る
攻撃の手を緩めるわけにはいかない

チャンスを見て『徹甲弾』を渾身の【怪力】で杭のように打ち込み、雷管を叩いて追撃

ココロは悪魔にも奪わせはしない
ましてお前などが管理できるものじゃない
恐怖と力でどうにでもできると思うな、三下


フローラ・ソイレント
※アドリブ歓迎、共闘可

POW判定

・行動
真っ向から相手の管理を否定してこちらの主張を叩きつけ
敵UCで増大した身体と能力ごと思い上がりをひっくり返して見せる

・セリフ
はんっ、管理だ?
アンタがいくら管理しようが人は笑ったり泣いたりするし
動物だって頭ごなしに押さえつけられたら嫌がって噛みつくだろうさ

どんなに力があったって
他人の心までは自由に出来るはずがないだろう

なにせ死んでからでも怒りを叩きつけようって
バカがここに居るんだからねぇっ!

それを今からたっぷりと叩きこんでやるよ!

・UC演出
「~UC詠唱 応用の参、五鈷雷爪!」
発生させた厖大な電磁気を全て五指に集中させ
虎爪に構えて巨大化した敵の足元をえぐり取る



●凌駕
 煤けた衣服を手で払って、閑散とした西部劇の様なフィールドを歩むダラキュリア。先の戦いから辛くも逃げ果せたものの、人一人いない静かな暗がりを見やり、ぽつりと呟く。
『……結局、正しく管理しなければこうなっちまうんだよ』
 オブリビオン・ストームが全てを変えてしまった。適応しなければ、正しく導かねば何れ全てがこの様になる……歪んだ思いを胸に秘め、己が為すべきを果たさんと力を籠めた矢先、二つの影がその行く手を遮らんと立ち塞がった。
「はんっ、何が正しく管理だ?」
 一人はデッドマン。フローラ・ソイレント(デッドマンズナース・f24473)は怒りを顔に滲ませて声高々にダラキュリアの思いを正面から否定した。
「アンタがいくら管理しようが人は笑ったり泣いたりするし、動物だって頭ごなしに押さえつけられたら嫌がって噛みつくだろうさ」
『される側が何をほざくか、え?』
 闇に響き渡るフローラの声に苛立ちを見せたダラキュリア。こういう輩が秩序を乱し、誤った滅びを加速させたのだ。滅ぶならば己に正しく管理され、正しく滅ぶべき――そんな事も分からないのかと口元を歪ませて、それを正さんと威勢よく吼える。
「される、だって?」
 ざり、と一歩前に出るフローラ。ここはまだ灯りが残っている――己の影が秘めた闘志を示すかの様に大きく伸ばされて、まるで巨人の様な威容を示す。
「どんなに力があったって、他人の心までは自由に出来るはずがないだろう」
『出来るさ、これまでも、これからもなァ!』
「無理だ。たとえどんな事があろうと……ココロは悪魔にも奪わせはしない」
 そしてもう一人――バレッタ・カノン(バレットガール・f11818)がその後に続く。管理された破滅、そんなモノは絶対に許されるべきではない。そして何よりも心すら奪うという――人の意思を無視したダラキュリアの言に、地獄からの帰還者達は怒りを露わにした。
「ましてお前などが管理できるものじゃない。恐怖と力でどうにでもできると思うな、三下」
「そういう事だ。なにせ死んでからでも怒りを叩きつけようってバカが――ここに居るんだからねぇっ!」
 それはフローラも同じ。そういう手合いを心から許さない二人は、並んでダラキュリアに対峙した。
『だったらもう一度殺して教育して徹底的に管理してやる!』
「させるものか。それを今からたっぷりと叩きこんでやるよ!」
 早口でまくし立てるダラキュリアがずいと前に――否、その身体を巨大な暴力装置へと変貌させる。己の信念を否定された彼女もまた怒れる者。超常がダラキュリアを怒れる巨人へと変貌させた時、戦いの第二幕が開かれた。

『ハッ! どうした口だけかテメェら!』
 先制の一撃――ダラキュリアが振り下ろした拳がアスファルトの路面を砕き、飛散した欠片が礫となって二人を襲う。
(矢張り、消耗が激しいな――)
 礫を躱しながら迎撃の弾幕を張るバレッタ。しかし先の戦いの後遺症か、思う様に射線を維持出来ない。
(――力を貸してくれ)
 歯を食いしばり、耳の『牙飾り』を触り自分を保つ。油断すれば意識ごと内なる悪魔に乗っ取られそうだ。それ程までに剛腕を振り回すだけでもダラキュリアの攻撃は苛烈。ここからは気力と正気との戦いだ――ふらつくバレッタに狙いを定めたダラキュリアへ、突如影が疾風の様に迫る。
「余所見してんじゃねえッ!」
 帯電した拳を一撃、がら空きの脇腹へと叩き込むフローラ。それで倒れる程柔ではない――それも分かり切っていた事。
「金剛の雷は一切を貫く。磁極流、帝釈天(ヴァジュラ)!」
『そんなモノで、どうにか出来ると!?』
 紫電が渦を巻いて雷と化し、浮き上がった瓦礫が爆ぜる。その暴威がフローラの拳に白光を集めて――波打つ光が輝く五指へと変貌する。
「――応用の参、五鈷雷爪!」
 脇腹に入った拳を開いて、巨大な雷の手と化したフローラの超常がダラキュリアの半身を掴んで拘束する。ただの貧弱な手だった筈――その認識違いが、増長するダラキュリアへの必殺の機会を与えたのだ。
『馬鹿な、力を集中したとでも……!』
 巨体故にすり抜ける事も振り解く事も適わない。両腕を振り上げたまま焦った声色で悪態をつくダラキュリアの前に、もう一人の悪魔がゆらりと立ち塞がった。
(悪魔の本能が現れるだろう。だけど)
 手にした薬剤を己が身に再度注ぐ。途端に変貌するバレッタの四肢。
――忌まわしい姿
『変異体か、違う……これは!』
(だけど、私は戦う)
 のた打ち回る漆黒が尾の様に跳ねて、バレッタの全身をダラキュリアにも匹敵する巨体へと肥大化させて。
――今は私の姿
『貴様、自分が何をしているのか分かっているのか!』
 否、それはバレッタの影。己の影が、内なる悪魔がバレッタの影より出でて、それと重なる様に己が五体を変貌せしめたのだ。
――私ヲ見ロ
『化け物め!』
 お前もな。影が地を這いダラキュリアの巨体を締め付ける様に拘束する。雷電と影の二つの超常が合わさり、さしもの巨体も最早自由には動けない。駄々をこねる様に全身を揺らすも、その限り無い暴力を嘲笑うかのように、漆黒の影がギチギチと音を立てて驕れる狂人を封じ込めた。
「足元がお留守だぜ、三下ァ!」
『グウッ!』
 そしてフローラの超常は一つだけではない。もう片方の腕が――稲妻が肥大化させた超常の剛腕がダラキュリアの拘束された足元を大きく抉る。支えを失った巨体は真っ直ぐ立つ事もままならない。ふらついた瞬間、もう一つの影が――異形と化したバレッタの追い打ちがダラキュリアの全身を穿った。
「……これで決める」
 尾の様に伸びた四肢で飛び上がり上空から全身の武装を解き放つバレッタ。機関砲と鉄鞭の洗礼が狂人の胴体に無数の痕を刻んで、それを払わんとかろうじで振り上げられたダラキュリアの拳を受け止め、更に体勢を崩した隙に必殺の徹甲弾を投げつける。
「これで……終わりだ」
 徹甲弾は怪物を仕留める杭の様にダラキュリアの胸元へ突き刺さった。上空から被さる様に舞い降りたバレッタはそのまま徹甲弾の雷管を叩き、詰め込まれた火薬の衝撃がダラキュリアを声も無く木っ端微塵に爆ぜさせた。

「吹き飛んだか、だが……」
 フローラは闇医者、即座にダラキュリアの検死を始めるが肝心の本体が見当たらない。奴の首が、吹き飛んだ筈の巨大な顔面が何処にも見当たらないのだ。
「まだ、生きてる」
 ダラキュリアの本体は肥大化した五体を捨てて辛くも逃げた。痛みに耐えながら元の姿に戻ったバレッタが、その言を聞いて溜息をつく。
「それでもダメージは相当です。見て」
 この戦いで流された血の量は尋常では無い。暗がりにぬらりと光るダラキュリアだった痕跡は静かに戦いの激しさを物語る。
「……手ごたえは、会った」
「ええ、だから」
 奴は着実に追い詰められている。ならば何れ終わるだろう。
 狂える管理者はもう、逃げられないのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴェスター・アーベント
心情/敵首魁への怒り
管理社会という弾圧…貴様もダークセイヴァーの吸血鬼どもと同じだ、他者を見下す事しかしない!
ナカタ達動物のため、そして世界の為、貴様はここで斬る!

戦術/UC【終焉ヲ齎ス黒】で攻撃
「管理など彼らは望んでいない、貴様のエゴを押し付けるな!」
基本戦術は右手の聖剣と空中に浮遊し『念動力』で操る魔剣による攻防一体の剣技。
敵の動きを『見切り』聖剣の『武器受け』で攻撃をいなしながら、『念動力』により操った魔剣を用いて【終焉ヲ齎ス黒】を『カウンター』で叩き込み敵を跡形も無く『なぎ払う』
「いくら巨大化しようと無駄だ、暗黒に飲まれて消え失せろ!」

補足/アドリブ歓迎



●憤怒
『何なんだ……あいつらは一体!』
 血塗れの五体を引き摺って密林めいたエリアに退避したダラキュリアは、先の戦いを思い返し怒りを露わにする。自身が管理すべき惰弱な連中の筈が――何故こうも抗えるというのだと。
「管理社会という弾圧……貴様もダークセイヴァーの吸血鬼どもと同じだ、他者を見下す事しかしない!」
 そして木立の影から怒気を含んだ苛烈な声が響き渡る。身構えるダラキュリアの前に現れたのは長身の美丈夫。手にした二振りの剣が照明を浴びゆらりと煌いて。
「その傲慢さ、最早見過ごす訳にはいかん!」
 ヴェスター・アーベント(孤独な剣士・f09560)はそのままダラキュリアの方へと駆ける。情け無用、容赦無用、あの様な悪鬼はこれまでごまんと見てきた。故にやるべきはただ一つ。
「ナカタ達動物のため、そして世界の為、貴様はここで斬る!」
 そして手にした魔剣が宙を舞う。まるで手練れの剣士の様に上空から飛び掛かったそれを払い、ダラキュリアは歯噛みした。
『斬るだと……ふざけるなよ、管理されるべき弱者が!』
「管理など彼らは望んでいない、貴様のエゴを押し付けるな!」
 弾かれた魔剣が宙を舞い、ダラキュリアの背後へ返す刃を突き立てる。正面からはヴェスターの聖剣が途切れる事無く斬撃を叩き込み、手にした蛮刀を振り回して辛くも追撃を躱しながら、ダラキュリアは怒りと共に五体を膨らませた。
『だったらよォ……証明してみろよ、テメェの力をなァ!』
「いくら巨大化しようと無駄だ、暗黒に飲まれて消え失せろ!」
 超常の巨人と化したダラキュリアは光と闇の剣を払いながら、大地を揺らしてヴェスターへの迎撃を試みる。しかし幾多の戦闘を超えたヴェスターにしてみれば児戯にも等しい、その浅はかな攻撃を見切ってはダラキュリアの体勢を崩さんと剣戟の手を休めない。
『ったく……しつこいんだよ!』
「ならば諦めて――潔く骸の海へと還れ!」
 蛮刀が飛び回る魔剣を上段から叩きつける。その猛烈な一撃が遂に魔剣の切っ先を地に沈めた。深々と突き刺さった魔剣は再び宙へと戻る事は叶わない。しかし。
『ああ還ってやるよ――この世界ごとな!』
「そんな事はさせん!」
 その大振りの一撃が迂闊にもダラキュリアに致命の隙を与えた。振り下ろした直後、間合いを詰めていたヴェスターが放つのは超常の一閃――振り下ろした蛮刀を聖剣で押さえつけ、地に刺さった魔剣を抜いたヴェスターが舞う様な動作でその懐に必殺の一撃を叩き込む。
『テメェ、最初から……』
「狙うものでは無い。戦場の流れは作るもの」
 それは管理などではない。最高の一撃を如何なる状況でも叩き込む為の修練が成した鍛錬の賜物だ。聖魔二刀流の玄妙なる技が冴え、空間を震わせた剣閃が鮮血を撒き散らし、ダラキュリアを彼方へと突き飛ばす。
「……そのまま沈め、永遠にな」
 密林の奥へと消えた影を見やり、血振りを済ませたヴェスターは二振りの剣を納めた。周囲に降り注いだ鮮血がダラキュリアへ刻んだ尋常ならぬダメージを物語る。
 幾ら逃げようと、何度でも止めてみせよう。真紅の大地はヴェスターの決意を静かに――雄弁に語るのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

マーシャ・ドラクロフ(サポート)
★サポートプレ
アドリブ連携大歓迎

■キャラ情報
皆の笑顔を力に替えて戦う魔法使い

王道の力、と思われるがこの娘一味違う。

笑顔といっても己の芸で他者を笑わせなければ真の力を発揮できないため、ふざけているようで命懸けである。


どんなネタでもいけます!
年齢的に規制がかかるお色気系じゃない限り!

マーシャです!
がんばります!

■特徴
一人称:私
呼び方:誰に対しても「ちゃん付け」
※おっちゃん呼びなども含む


■ユベコ
・我が祝詞は天を穿つ(ダ・ジャーレ・ウケルテ)

渾身のギャグで敵の急所を突く最強奥義。
ちなみに仲間も笑ってくれないとマーシャの寿命がばりばり減る。

・影が奉ずる賢者の知恵

己の影から使い魔や便利アイテムを召喚する。


カシム・ディーン(サポート)
口調
基本丁寧なですます唇を

一人称

二人称
呼び捨て、君、あなた、お前(敵には


女好きの盗賊少年だが
サポート参加の場合では基本戦闘やそれ以外の補助をメインとした立ち回りに従事する

本当はもう少し楽しい事をしたいんですけどね

【情報収集】
戦う場所や敵について
その他有用な情報を集め仲間に伝え

戦闘
【属性攻撃】で風を全身に纏いスピード強化
基本攻撃は【盗み攻撃】で敵の武装の強奪による戦力低下を狙う
敵集団には一度【溜め攻撃】で魔力を収束させウィザードミサイル

単体相手にはシーブズギャンビットで服を脱ぎつつ猛攻を仕掛ける

一人で行動はせずにメイン参加者と息を合わせて攻撃を行う

今日の僕は盗賊として少し頑張ってみるとしますよ


リインルイン・ミュール
●今を生きるものの、過去の歪んだもののそれであれ、想いを嗤うのは許されない
アナタの言う管理社会も、元は違ったのやもしれませんが。過去たるアナタに、好き勝手はさせまセン

可能な限り遠距離で、戦場を見渡せる高所があれば陣取ります
羽虫は一撃で沈むとなれば、纏うフォースオーラを少し拡張して電撃を通せば、ワタシ自身の防御には事足りますが
他の方が対処に苦慮しているなら補助に回り、ユーベルコードは常に羽虫の群に向けマス
空気ある限り広がる音の波、面で増幅も出来るので範囲攻撃には丁度良い

そうでなければ親玉に向けての呪歌を。歪んだ命への呪詛と祈りを込めて歌います
攻撃はダッシュと見切りで避け、その間も歌い続けまショウ



●絶唱
 密林を抜け出したダラキュリアは演劇用のステージめいた区画へと逃げ出した。照明に煌々と照らされて無人の観客席に包まれた風景は何処か物悲しい。ちりちりと頬を照らす熱波を手で遮りながら、痛めつけられた身体を癒そうと豪著な飾り椅子に腰掛けた時、スピーカーから冷たい声が辺りに響き渡った。
「今を生きるものの、過去の歪んだもののそれであれ、想いを嗤うのは許されない」
 何者かが音響設備から声を出している。であればここの動物か? その声の主は、リインルイン・ミュール(紡黒のケモノ・f03536)はダラキュリアの戸惑いを意にも介さず、ハッキングした機材を使って滔々と語り続ける。
「アナタの言う管理社会も、元は違ったのやもしれませんが。過去たるアナタに、好き勝手はさせまセン」
『違うも何もあるかよ動物風情が……いやテメェ、動物じゃねえな?』
「だったらどうする?」
 突如、観客席より静かな声が漏れた。いつの間に――それはカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)、不意に現れたその姿にダラキュリアは苛立ちをぶつけながら言葉を続ける。ここに現れてるのは動物以外、目の前の奴も……ならば奴等、猟兵か。
『チョロチョロと目障りなんだよ、雑魚共が!』
「雑魚じゃない!」
 そして場内に絶叫が轟く。カシムとは逆の列から現れたのはマーシャ・ドラクロフ(金鴉の唄・f01216)、段ボールを背負った姦しい少女は悠々と歩を進めて、佇むダラキュリアへと近付いた。
『何だ小っせえのが……やんのかコラ!』
「小っさくない!」
 その声と共にダンボールが輝いて――周囲に積まれた備品を包んだダンボールも何故か巻き込まれてマーシャの元へ。そして現れたるは超常の人型機動兵器(ダンボール戦士)。
「マーシャ、行っきまーす!」
「おや、冗談が形を成してるみたいだ」
「そこまでにしましょウ……来ますヨ!」
 ダラキュリアの怒りは臨界に達していた。休むこともままならぬ戦場に再び駆り出され、その怒りが全身を巨大にせしめる。それと同時に漆黒の強襲兵――羽虫の群れがステージより一斉に放たれた。
『馬鹿にしてんのかテメェら……いいぜ、まとめてすり潰してやんよ!』

「全力ですか。ならバ――」
「この羽虫が邪魔ですね……」
 リインルインは観客席背後の制御設備の暗がりにいた。目の前には漆黒の羽虫が観客席を覆いつくし、杖を振るって羽虫を叩き落とすカシムに対し、ダンボール戦士は早速顔を喰い破られていた。
「まだだ、たかがメイン――」
『それ以上喋るな!』
 巨人と化したダラキュリアが段ボール戦士に立ち向かう。振り下ろした蛮刀が観客席をズタズタに引き裂いて、足場を崩されたダンボール戦士が態勢を整えながらその中の人――マーシャがひょっこりと顔を覗かせて外を伺った。
「やってやる、やってやるぞぉ!」
 ダンボール戦士の手にはいつの間にか一振りの影の太刀が。ブンブンと振りまわして羽虫を叩き落としつつ、ダラキュリアを迎撃する。
「笑顔の無い管理なんて、無意味だよ!」
『笑顔なんていらねえ! 与えるのは恐怖!』
 斬り結んだ衝撃が羽虫を吹き飛ばして、その隙にカシムが一気に間合いを詰める。そしてリインルインは意を決し、逆襲の一手を打った。
「それをして、かつて世界を統べた帝国は、滅び去りましタ」
 スピーカーから再び流れる流麗な声色。歌う様なその音が響き渡れば、飛び交う羽虫がフラフラとその場に落ちていく。
「ワタシ達の手によって、ネ――!」
 それは前奏に過ぎない。逆襲の一手はリインルインが放つ呪歌。歪んだ命への呪詛と祈りを込めて、森羅万象を喰らう異形を滅ぼさんと漆黒の群れの尽くを潰していく。呪詛に蝕まれた羽虫は地に落ちる度に爆ぜて、ぶちぶちと何かを潰すような音が伴奏の様に響き渡れば、戦場を蹂躙せしめた猛威はその姿を徐々に消していったのだ。
『この野郎――五月蠅えんだよ!』
「がら空きですよ」
 怒り狂って蛮刀を振り回すダラキュリアの一撃がマーシャを吹き飛ばし、続く攻撃が足元を駆け回るカシムを捉えた。その一撃はカシムを吹き飛ばし――否、当てたのはカシムの革鎧。奴は何処か――焦って辺りを見渡すダラキュリアの左足に、突如激痛が走った。
「言ったでしょう、がら空きだって」
 超常の神業、己が装備を囮にして身軽になったカシムは、風より早くダラキュリアに近付いていたのだ。手にしたダガーがいつの間にか巨大な足を突き刺して、滴る血糊がその手を真紅に染めていく。
「嫌だなあ……こんな楽しくない事」
『こ、の――ガキャァァァァァ!!!!!!』
「取り乱すなんて、管理者失格ですヨ」
 蛮刀の攻撃は尽きて、眷属の羽虫は落とされて、巨体は成す術も無く一撃を突き立てられた。リインルインは攻撃の矛先をダラキュリア自身に変えて、呪歌の調べがその巨体を蝕んでいく。

『アアアアアア! 五月蠅エェェェェェ!!!!!』
 絶叫する巨体が近くに転がる椅子だったものを掴んで、リインルインが座する制御設備へ投げつけた。その一撃を見切って駆け出したリインルインは呪歌を止める事無く、その姿を晒してダラキュリアの方へと駆け寄る。
『どいつも、こいつもッ!』
 続けて蛮刀を振り上げ足元を穿つダラキュリア。その衝撃が瓦礫を――そして死に掛けた羽虫を浮かばせて、巻き上げて纏わりつく猟兵達を吹き飛ばした。
「流石ダンボールだ、何とも無い」
「何ともありますよ。しかし……」
 べこべこになったマーシャの段ボールを見やり、カイトが溜息をつく。
「羽虫封じを止めたのが仇となりましたカ。しかし」
 死に掛けの羽虫が視界を遮り、再びぼとりと地に落ちた時にはダラキュリアの姿が消えていた。
「あの状態です。長くは無いでしょウ」
 ダラキュリアの全ての攻撃を跳ねのけた三人は周囲を見渡してその影を探す。巻き起こった衝撃がそこら中に血の跡を残し、どこへ逃げたか見当もつかない。だが奴の攻撃は全て対抗せしめた。最早恐れる相手では無いのだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

火阿風・光毅
どうやら、今までのとは違って全力で打ち倒せる類の様だ
其れにまあ、二、三言葉を交わした程度とはいえ知人と因縁がある様だし、ね

お前にこれ以上誰かの笑顔を奪わせはしない
人を傷つけ自分の意の侭に管理、支配しようとする外道に汚されて良い命等在りはしない

恐怖心(テロル)を引き起こし己の政治的目的を達成する為暴力を行使する
貴様こそがテロリストだと自覚しな外道


周囲を見渡しにくい夜、建造物が多く猟兵との戦闘で生じた瓦礫や羽虫等が
沢山ある『地形を利用』
『暗視』も活かし敵の視界を避ける様にしつつ瓦礫や羽虫の残骸による豪雨を『念動力』で引き起こし意識を逸らす様に誘導
隙を『見切り』『怪力』によるUCの『二回攻撃』を放つ



●救う獣
『クソッ……どいつもこいつもアタシの管理を受け入れようとしない!』
 ダラキュリアは瓦礫と羽虫を目くらましにステージよりかろうじで逃げ切った。ダメージも酷く、このままあの野蛮人共と戦っても、最早理想の管理社会は作れない。諦観が彼女を向かわせた先、ここは古城周辺――最初の戦いの地であった。
(ここなら今更奴らはいないだろう。体勢を立て直して……クソッ!)
 心の中で悪態をつきながら、闇に紛れて賢い動物達の国から抜け出す。そうすればいずれ再起する事も適うだろう。しかしそんな安易な逃走をこの男が見逃す訳が無かった。
「お前にこれ以上、誰かの笑顔を奪わせはしない」
 ゆらりと赤い兜を被った賢い動物――火阿風・光毅(十二急弾・火阿風の野救犬・f24367)が敵意を剥き出しにダラキュリアの前に立ちはだかった。
「人を傷つけ自分の意の侭に管理、支配しようとする外道に汚されて良い命など――在りはしない」
 貴様の臭いは既に覚えた。ここから逃がす気も無ければ、逃げた所で地の果てまで追い詰める――固い決意を眼差しに秘め、瓦礫の上を器用に跳んで光毅が前に出る。
「恐怖心(テロル)を引き起こし、己の政治的目的を達成する為暴力を行使する」
『黙れよ! 力尽くでテメェらがアタシに何をしたか、忘れたとは言わさねえぞ!』
 蛮刀を片手に迎撃の構えを取るダラキュリア。幸い獣が一匹程度、如何様にも料理出来る。ニタリと唇を吊り上げて、じわりと光毅の方へ近寄った。
「笑止、貴様こそがテロリストだと自覚しな――外道」
 瞬間、光毅の姿が暗闇に消える。既に火の手は消えて手近な明かりは無い。それでも十分間合いに奴はいるのだ――星明りの下で闇雲に蛮刀を振りまわし、再び虚空に有象無象が飛び散らかる。しかしそんな虚仮脅しに動じる様な光毅では無い。
「更にはな、貴様が知人の因縁だという事も……故に」
 脳裏に過るは見知った顔――闇に紛れ、瓦礫に身を隠し、飛び散る有象無象を念動で僅かに躱す。暗がりだろうと救助犬の目は誤魔化せない。そしてむせ返る様な悪意の臭いが何処から放たれているのかも。
「今までとは違う。全力で打ち倒させてもらおうか」
 そして大地を蹴る凄まじい音と共に、必殺の牙が突き立てられた。ダラキュリアの右腕を食い千切らんと怪力が肉の筋目を断つ様に、超常の一撃は蛮刀を弄ぶ腕から鮮血を撒き散らす。
『グウッ! この……犬風情がッ!』
「貴様には分かるまい、命を弄ぶ輩には――」
 再び牙がダラキュリアの足に食らいつく。光毅を叩き落とさんと残る左腕を振るったダラキュリアは体勢を崩して、哀れ地面へへたり込んでしまった。
「この嘆きが聞こえはしないだろう……覚悟しろ」
 それは深き地下で祈りを上げる動物達の声、明日を夢見て散った人々の声、主を信じて果敢なく散った虫達の声。数多の祈りと怨嗟を受けて、光毅とダラキュリアはここにいるのだ。
『ふざけるな……アアアアアアッ!』
 刹那、ダラキュリアが何かのアンプルを己の口に注いだ。この世界で見かける所謂ドーピングの類だろうか。そのまま辛うじてまだ動く左腕が蛮刀を瓦礫に叩きつけると、爆発と粉塵が光毅を襲った。虫の死骸と煤けた空気が周囲を淀ませ、衝撃が僅かにダラキュリアとの距離を取らせる。
「――逃がすものか、俺達は一人じゃないんだぜ?」
 これに乗じて奴は逃げたか――だが、この国から出しはしない。必ず倒す。
 番犬の様に正門の方へ陣取った光毅は思いを籠めて、闇夜に力強く咆哮した。

成功 🔵​🔵​🔴​

ピウ・アーヌストイト
●WIZ
「一体、何者でありますか……?」
暗くなってきて戦い辛くなってしまったであります。少しの間、敵から姿を隠せる場所を探して、隠れたいであります。
UCで能力を6倍に強化した状態で、数秒目蓋を閉じて、暗闇に慣れる。これでなんとか……なるはずであります。
私の職業の能力で、アイテム【バラックスクラップ】――ハイエナ型の四足歩行ロボットを召喚・制作して、私と一緒に並走するでありますよ!

強化が切れる前に攻撃できる時間を計算し、強化された能力で攻撃を回避しながら、アサルトライフルで攻撃を仕掛けるであります。

能力が切れて反撃する前に、バラックスクラップの背中に倒れ込み、回収して貰うであります。



●暗闇の道
『アアアアッ!!!! クソ共がァァァァ!!!!』
 正に発狂した様子で暗き道を進むダラキュリア。先の戦いで欠損しかけた四肢を無理矢理にでも動かすべく投与した神経強化剤と細胞賦活剤の反動で、まともに思考する事も適わずフラフラと細長いトンネルの様な通路を歩んでいた。
「一体、何者でありますか……?」
 その様子を身を隠しながら覗き込むピウ・アーヌストイト(ちんまい大家・f24841)は、目の前の獣の様な自称管理者の豹変ぶりに恐れ、慄いた。
「ただでさえ暗くなってきて戦い辛いというのに……」
 少しの間敵から身を隠すだけのつもりだった。にも拘らずあのダラキュリアは何の迷いも無くこちらへ――この先は司令部への秘密通路だというのに――向かってくる。
「でも、止めなければならないのであります――!」
 絶対にこの先へ進ませるわけにはいかない。決心したピウは深く瞼を閉じて、己が超常を発現した。
『――アア? 何だこの臭いはァァァァ! どぶ臭ぇクローン共の臭いじゃねえかッ!』
 薬の所為か研ぎ澄まされた感覚が、不意にピウの存在を感知する。だがこの暗がりでは流石に見当が付かない……ならば。
『行けェ羽虫共ッ! クソガキを喰らい尽くせッ!』
 瞬間、闇に紛れて放たれた羽虫が竜巻めいた轟音を響かせて舞う。自身が駄目ならこいつらに任せればいい――放たれた漆黒の強襲兵達は羽音を轟かせて、即座にピウの元へと殺到した。しかし。

『――何だ、この音は』
 不意にダラキュリアの耳へ断続的な発砲音が届く。タタタン、タタタンとステップを踏む様に軽やかな音色は徐々にその間隔が短くなり――違う。音源が近付いているのだ。
『羽虫共! ガキ相手に何やって……』
 怒声を浴びせた瞬間、ダラキュリアの真横を風が通過した。いや、何者かがダラキュリアの側を横切ったのだ。
『一体何がどうなって……!』
 タタタン、タン、タン……音は徐々に短くなり、そして消えた。
『ハハ……やったか?』
 そして爆音と共に、鉛玉の雨がダラキュリアを貫いた。
(――ハァ、ハァ)
 全てはピウの策。超常で自身の脳の演算速度を増強、僅かな時の後に闇に慣らした双眸が捉えた羽虫を、手にしたアサルトライフルで撃ち落としながら相棒の鋼の獣達と共に前進していたのだ。
(まだ、弾も残っているであります――)
 そして強襲の間合いに入る頃には殆どの羽虫を撃ち落として、最後の一撃――獣達で退路を塞ぎ、十字砲火と直接攻撃で確実に息の根を止める。
(やった、でありますか……?)
 小さな赤い瞳はその場で倒れ込むダラキュリアの姿を確実に捉えていた。その様子に安堵したピウもそのまま倒れ込み、慌てて駆け付けた鋼の獣達がピウを抱えて即座に後退した。万が一奴が起き上ればただでは済まない。だがそれは奴も同じ。

 再びピウが通路で目を覚ました時、既にダラキュリアの姿はその場に無かった。
 たった一人の防衛線は見事、その役割を果たしたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ガロウ・サンチェス
【三匹】で行動

ん~? なんかオメェ、前にどっかで会った気がするだけどなぁ。
まあいいか、オメェを潰せばチームは壊滅だぜ。

とは言ったものの、あのアマはリーダー格だけあって隙がねえ
ここは<力溜め>て【チャクラドライブ】を使い、体内からオーラを引きずり出して<限界突破>することで防御力を上げるぜ。
で、守りを固めたら前に出て、<グラップル>で一歩も退かねえ殴り合いだ!
たとえぶん殴られて意識が飛びそうになっても、<激痛耐性>でどうにか持ちこたえて見せるぜ。
わかってるって、あと44秒だろ!? 落ちろオラッ!(首にチョークかましながら)
アモンがぶっ倒れるのが先か、俺のバックドロップが決まるのが先か、勝負だぜ!


ゼロ・クロニクル
【三匹】で参戦。

中距離から忍者手裏剣を投げて、ガロウを援護するように立ち回る。
敵の攻撃は偽神兵器の太刀でガードしつつ、ガロウの豪打に合わせるように
死角に回り込み、<早業>と<暗殺>技能を以て足の腱を斬りつけて動きを鈍らせる。攻撃がヒットしたら、<傷口をえぐる>ように刃を動かすことで
出血量を増やすことも忘れない。
アモンの【アルジャーノンエフェクト】発動に合わせ、拙者も【降魔化身法】を発動。
真の姿を解放し、人型黒装束の忍者となって黒い竜巻と共に顕現する。
「いくぞ凶賊。化身忍法の極意、その身でとくと味わうがいい!」
<呪詛耐性>で体を蝕む反動に耐えつつ、<捕食>で偽神兵器に敵の血肉を啜らせてやろう。


アモン・スメラギ

【三匹】で行動!

完全管理社会の実現……それがあんたの望み?
暴力で人を押さえつける、暴君タイプか。気に入らねー!

<念動力>で簡易バリケードを構築し、移動中チャージしたソーシャルレーザーを後方から撃って、<援護射撃>でガロウとゼロを支援する。
戦闘が長期化して、こちらが劣勢になってきたら【アルジャーノンエフェクト】を使わせてもらうよ。ガロウ、ゼロ、なんとしても44秒保たせてくれよ?
あのちっさい虫がさっきからウザイんだよね。瑠璃色の蝶に<情報収集>させて虫が湧くポイントを割り出したら、頭脳の演算速度を大幅に増強させてソーシャルレーザーを<乱れ撃ち>。
羽虫の大軍を一掃させて、総攻撃のチャンスを作るぜ。



●トリプル・ダウン
 ふらふらと無人の町をダラキュリアが歩く。正確には町を模した御伽の国のアトラクション。カラフルな古めかしい一軒家が軒を連ねて、愛くるしいキャラクターの表札がそれらを彩る。
『ああ……そうだ、そうだった……』
 調和した世界、完全なる社会、正しくダラキュリアが目指したモノの一端がそこにはあった。それこそが我が望み、完璧な色彩が包み込む永遠を目指していた、なのに。
『もう少しで完全なる管理が、世界が……』
「完全管理社会の実現……それがあんたの望み?」
 家屋からゆらりと三つの影が現れた。大男と犬と少年――ちぐはぐな組み合わせであるにも関わらず、何故かダラキュリアはそこに調和を見た気がした。
『何だ、今度はゾロゾロと……』
 そして三人――破戒僧のガロウ・サンチェス(人間のゴッドハンド・f24634)、化身忍者のゼロ・クロニクル(賢い動物のストームブレイド・f24669)、ソーシャルディーヴァのアモン・スメラギ(フラスコチャイルドのソーシャルディーヴァ・f24679)は、聞いていた暴力的な印象とは何かが違うダラキュリアの異変を感じ取った。それでも言動は同じ、身勝手で傲慢な管理社会の事。電脳社会を統べる者としてアモンが一歩前に、ダラキュリアへ物申さんと質問を投げかけた。
「暴力で人を押さえつける、暴君タイプ? 気に入らねー!」
「ん~? なんかオメェ、前にどっかで会った気がするだけどなぁ」
『…………』
 恐れを知らぬアモンの物言いを受け流すダラキュリアを見やり、ガロウが訝しげにその姿を見る。以前同型のオブリビオンと戦った――だがオブリビオンは全てが同一という訳ではない。そしてどちらにせよ、やる事はただ一つ。
「まあいいか、オメェを潰せばチームは壊滅だぜ」
 指をポキリと鳴らしてガロウが一歩前に出る。その後に続く二人がそれぞれの得物を構えて、一人と三人は対峙した。
『……やってみろよ』
 ぼそりと呟いたダラキュリアの言葉を端に、轟音と漆黒が両者の間を埋め尽くした。

『……全部、出してやる。いいな』
 先ずは先制の強襲兵――ダラキュリアが放つ漆黒の羽虫が三人の連携を断とうと、その間に割って入る。
「良かろう――それが我等に通じると思うなら!」
 それを物ともせずに駆け出したのはゼロ、風の様に大地を駆けて、器用に投げつけた手裏剣がガロウやアモンの盾となった。
『邪魔をするな、犬が……!』
 蛮刀を振りかざしたダラキュリアがゼロ目掛けて疾走――暴風を纏った強烈な一撃が、石畳の道ごとゼロを吹き飛ばさんと迫る。その噴煙を見やり、軌道を見切ったゼロが更に跳んでダラキュリアを囲む様に背後に付く。
「流石に隙が無えな……アモン!」
「分かったよ。一気に決めるからね!」
 飛び交う羽虫をアモンの念動力で拵えた即席のバリケードで封じ込め、ガロウの覇気が遠当てで順に羽虫を潰していく。見事な連携、しかし羽虫の群れは途切れる事無く迫り続けて、放っておけば何れ押し潰されてしまう。反撃の波が必要――それは三人とも感じていた事。故に取るべき行動はただ一つ――超常には超常だ。
「では拙者から参ろう……怨ッ!」
 ゼロの咆哮と共に黒い竜巻が巻き上がる。家屋を瓦礫に、道を荒れ地に作り替えて、恐るべき忍の業が戦場に轟いた。
『犬めが……いや、貴様!?』
「いくぞ凶賊。化身忍法の極意、その身でとくと味わうがいい!」
 その竜巻が晴れれば、現れ出ずるは漆黒の人の身をした忍者が一人。ダラキュリアがその威容にたじろいだ隙に、ガロウが静かに目を瞑り丹田に気を集中する。
「コォォォォ…………」
『どうしたデカいの、過呼吸か?』
 漆黒の忍者と化したゼロへ刃を向けながら、気を高めるガロウを見やり嘲る様に言葉を放つダラキュリア。しかしダラキュリアは気付いていた――この三人が自分を始末する為に、全ての力を解放するのだと。
「……それはお前が」
 目を見開いたガロウの全身を超常の闘気が覆って、群がる羽虫がそれに圧されて続々と落ちていく。
「これから味わう! アモン!」
「オッケー! ファイナルフェイズ突入だ、絶対に持たせてよ!」
 そして仕上げの超常――アモンの超集中が自身の演算速度を倍加させる。いつの間にか放たれた蝶型のドローンが収集した情報を光より早く再計算――撃つべき敵を見定めて、アモンはゆっくりと手にした銃口を宙へと向けた。
『クローンのガキが……お前も同じか』
 雰囲気が、先の戦いで見た奴と同じだ。つまりここから先が奴らの本気――じわりと嫌な汗が頬を伝って雫となる。それがしたたり落ちた時、ゼロの速攻がダラキュリアを襲った。
『犬擬きめ! 生意気な!』
「フッ――ハァァァッ!」
 縦横無尽に放たれる刃がダラキュリアの四肢を切りつけて、羽虫の群れはその尽くがアモンの射撃で落とされる。その中を悠々と進むガロウが遂にダラキュリアの前へと現れた時、最後の超常――怒りを糧に己の五体を肥大化させる大技がダラキュリアを変貌せしめた。
「おめぇもデカいな。だがこいつで決めるぜ。そうりゃあッ!」
 それも既に予測済み――大地を蹴り上げそのままダラキュリアの顔面へ殴り掛かったガロウの拳打は、しかしダラキュリアに片手で払い除けられて、お返しと言わんばかりに巨大な足が大鉈の様に振るわれた。その足に喰らい付いた――切り付けたのはゼロの忍刀。偽神兵器たる超常の太刀がその腱を切り裂いて、滴る血潮を魔物の様に取り込んだ。
「さあ勝負だ、さっさと落ちろオラッ!」
『グゥゥゥ……ハァァァァァッ!』
 そして幾ら巨大化しようと人体の構造は変わらない――であれば取り付いて意識を奪えばいい。密着して背後を取ったガロウが鈍器の様な痛打を身に受けながらも、それに耐えて丸太の様に太い首に腕を回して締め落としに掛かる。しかし。
「これじゃ、撃てない!」
「近過ぎる、だが……」
 襲われるダラキュリアを救わんと漆黒の羽虫が二人の方へと群がって、超速の演算で叩き出したその軌道をアモンの光線が続々とそれを焼き焦がす。巨大化したダラキュリアの足元はゼロが、手にした偽神兵器で樹を薙ぎ倒す様に全力の打ち込みを続けていた。
「ブッ潰す!」
 いつの間にか全身を覆った漆黒の虫がガロウの五体を埋め尽くして、そしてそのまま果てていく。覇気がかろうじでガロウを護るも、その数は最早圧倒的――つまり。
「な……虫が……」
『時間切れだ……デカいの』
 アモンの超常が、必殺の四十四秒が終りの時を迎えたのだ。それでも最後の力を振り絞り、ガロウはダラキュリアの五体をブリッジの姿勢で無理やり大地へと叩きつけて、意識を失った。しかし戦いが終わった訳ではない。彼等は三人、三人で一つの『三匹』なのだから。

「……不味いな」
 地面に叩きつけられたダラキュリアが身を起こした時、ようやく自身の異変に気付いた。
『お前、返せよ……』
「貴様が、奪った命に対して、どれだけの人々がそれを願ったか――」
 己を蝕む呪縛に耐えて、人の身のまま太刀を――偽神兵器を振るったゼロが、ダラキュリアの片足を喰らっていた。ゼロの果敢な打ち込みは遂に、悪鬼の力を奪い去ったのだ。怒りに震えるダラキュリアが蛮刀を杖にしてぞろりとゼロの元へ。最早許さぬという強い意志が空気を通して伝わってくる。しかし人の祈りを身に受けたゼロは――『三匹』は、こんな所で怯むわけにはいかなかった。
「その願いを、知らぬ訳でも……あるまい!」
『知った所で、そんな事ッ!』
 そして意識も朦朧とした二人が放つ最後の一撃が、色彩の町を粉々に吹き飛ばした。
「最早、これまでだ」
『お前も、な』
 残された意地が見届けたるは、横たわる悪鬼の姿。
 それでも、這ってでもこの街を抜け出そうとするダラキュリアの執念は凄まじく苛烈で、最後まで孤独だった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

白斑・物九郎




●POW
徹底管理だァ?
ニャるほど、おたくは差し詰めディストピアの『王』っスか

『砂嵐の王[ワイルドハント]』、白斑物九郎
王の覇の唱え方にゃ一家言ありますでよ

手下がロクに使いをこなせねえのはカシラの器量
否定されてすぐ檄するのは自信の無ェ証左
異論があるなら、そら
せいぜい安易な暴力で掛かって来なさいや


・敢えて怒らせるよう挑発
・敵巨大化が、敵当人の想定規模以上に起こることを見込んだ【だまし討ち】

・敵急所を【野生の勘】で探査
・【砂嵐の王と狩猟の魔眼】発動
・敵巨大化時、察した急所がせり出し来る箇所に魔鍵を配置しておくことでユーベルコード一撃目を命中させ、本命二撃目・エルの航空支援火力を送り込む(2回攻撃)


クロト・ラトキエ


部下に使いすらさせられず、
聞く価値の無い戯言を延々垂れ流し、
お粗末な顛末を徹底的な管理と仰る…
これはこれは、とても敵いそうにありませんねぇ!
無論、その愚かさにですが。

怒りを煽り、身体サイズ増大を促し。
UC起動、鋼糸の攻撃力強化。
暗視で周囲の構造物等状況把握、
鋼糸を掛け、風の魔力も利用し、空中も己の領域に。
敵がデカブツなら好都合。
体捌き、視線、武器の振り等見切り、次手を想定し回避に動き、
死角、或いは背後を取って。
武器持つ手、視覚、首など急所…
鋼糸複数本により引き断つ2回攻撃。

泣いたり笑ったり、ね…。
ナカタ氏の悲哀は余りあり、
貴方の笑いは不愉快極まりない。
終わらせて差し上げますとも。
皆の力で、ね



●骸の夢
 静かに水が揺蕩う屋内施設――小舟に揺られて、逃げ果せたダラキュリアは一時その身を隠していた。神経強化剤と細胞賦活剤はもう無い。注ぎ込んだ薬剤が無理矢理に自意識を揺すって、なけなしの力を使って肉体を再構築する。ユーベルコードの応用といえば聞こえはいいが、所詮は寿命の前借。それをしてでも尚、ダラキュリアは生きねばならぬと己に使命を課していた。その執念の出所が最早、歪み切った本能だったとしても。
「部下に使いすらさせられず、聞く価値の無い戯言を延々垂れ流し、お粗末な顛末を徹底的な管理と仰る……」
 不意に閉鎖された空間に声が響く。世界都市を模した賑やかな出し物の影に隠れて、クロト・ラトキエ(TTX・f00472)がゆるりとその姿を現した。まるでダラキュリアを煽る様に、クロトはわざとらしく声高に言葉を続ける。
「これはこれは、とても敵いそうにありませんねぇ!」
 仰々しく腕を上げて、慇懃無礼差を強調する様に。響き渡った哄笑がトンネルめいた施設を揺らして、最後に一言――静かに言葉を零す。
「――無論、その愚かさにですが」
『……言いたい事はそれだけか?』
 失った片足はかろうじで再構築された。意識は朦朧としているが信念までは揺らいじゃいない。煽るクロトに怒りの籠った視線を向けてゆっくりと起き上がるダラキュリアは、怒気を孕んで言葉を紡いだ。
『お前の様な者がいるから、徹底した管理が必要なんだよ』
「徹底管理だァ?」
 その言葉にもう一人、獣人めいた置物の横からするりと男が――白斑・物九郎(デッドリーナイン・f04631)が姿を現す。
「ニャるほど、おたくは差し詰めディストピアの『王』っスか」
 呵々と声を上げて管理者を蔑む物九郎は足元で揺れる小舟に飛び降りて、ダラキュリアと視線を合わせて言葉を続ける。
「『砂嵐の王[ワイルドハント]』、白斑物九郎――王の覇の唱え方にゃ一家言ありますでよ」
 重く言い放ったその言葉に、ダラキュリアは得も知れぬ気配を感じ取る。何故ならば正面の男こそ、自身が為しえていない本物の『王』ならば、と。
『人擬きが、何を――』
「手下がロクに使いをこなせねえのはカシラの器量」
 言い返すダラキュリアへ被せるように畳みかかる物九郎。それは頭を張る男の矜持。
「否定されてすぐ檄するのは自信の無ェ証左」
 それは頭を張る男の誇り。あるべきは何事も恐れぬ不動の心。
「異論があるなら、そら――」
 煽る様に問いかけられた時には既に、ダラキュリアは二人の術中に嵌っていた。
「せいぜい安易な暴力で掛かって来なさいや」
『言われるまでも…………無いッ!』
 そして最大限に高められた怒りは、ダラキュリアを尋常ならぬ巨大な暴力装置へと変貌させる。

「ほれ、始まった。さあどうする?」
「無論、いつも通りですよ」
 巨大化したダラキュリアに突き破られて、ガラガラと崩れる天井の瓦礫を躱しながら二人は跳ぶ。ビルの支柱みたいに巨大なダラキュリアの足が踏み込む度に揺れる水面を避けて、落ちた照明の所為で星明りが見える天を仰ぎながら物九郎は口元を歪めた。
「そうっすね。んじゃ――エル」
「了解、当該戦闘地域を検知。これより航空支援を開始します」
 チカチカと瞬くのは星だけではなかった。それは為された物九郎の策の賜物。ダラキュリアが巨大化する瞬間、見定めた奴の弱点を――左肩の痣に己の砂嵐が巻き上げた魔鍵が刺さる様に、あらかじめ印として刺していたのだ。刹那、モーターカノンの斉射音がダラキュリアの肩口を穿ち、外れた弾道が残る天井をバラバラと崩していく。それこそが物九郎の超常、砂嵐の王とその従者が織りなす百鬼夜行の空中行進だった。
「って先ずは外に出にゃ!」
「ではお先に」
 しかし状況が――余りにも早く戦場に到達したエルの猛烈な支援攻撃を避けなければ、この先へ進む事はままならない。つまり外に出れない。俄かに焦る物九郎に対しカイトは余裕の笑みを見せて、手にした鋼糸を手繰り寄せて颯爽と外界へと降り立った。
「最早正気も失いましたか。それにこのデカブツならば好都合――」
 ダラキュリアは施設から抜け出して古城の一角へと向かっていた。あそこを落とされては具合が悪い。だがあの図体、幾ら暗かろうと見失う訳が無い。
「これだけデカけりゃ急所も目立つっすよ。なあ」
「全武装リロード完了――攻撃を継続します」
 いつの間にかカイトの傍らに降り立った物九郎がエルへ指示を飛ばす。その様子を見やり再びカイトは宙を――地形を利用し鋼糸で足場無き空間を涼やかに飛ぶ。如何に暗がりであろうとカイトの夜目は的確に進路を把握して、魔力が起こした風に乗って滑るように進んでいった。
「ナカタ氏の悲哀は余りあり、貴方の笑いは不愉快極まりない」
 それはダラキュリアへの侮蔑。獣じみた絶叫を上げて歩を進めるその巨体を止めんと、己の内なる超常が全身に力を滾らせながら。我が侭威の侭にならぬと駄々をこねる様な巨大な子供の叫びは、多少の哀れみはあれど、必死に生きる者達への許しには到底なりえない。泣いたり笑ったり、ね……ぼそりと呟いてそのまま、カイトは迫る巨体の左腕へ鋭い鋼糸をするりと絡ませた。
「終わらせて差し上げますとも――皆の力で、ね」
 断続的に放たれるモーターカノンと対物ライフルの連撃、進路を遮る熱線銃の射線が檻の様に伸びて、足を止めた所にカイトの鋼糸が続々と巨体に巻き付けられる。
「では、仕舞いです」
 途端、バラバラに引き裂かれた肉塊を、天の裁きが全て粉々に撃ち砕いた。

「まっさか、これで終わりじゃあ無いでしょうな」
「終わってもらわねば……おや?」
 念の為とバラバラにしたダラキュリアの跡を検分していた二人は、異様に伸びた血の跡を見つけてしまう。辺りには焼け焦げた頭髪が――恐らく頭部だった箇所だろうか、まるでその中から生きた人間が這い出て、この場から逃げる様な形跡を残していたのだ。
「よもやまだ動けるとは。では早く――」
「問題ありません」
 不意に空から涼やかな電子音が――物九郎が呼び立てたエルが、既に状況を把握していたのだった。
「進行方向に友軍の反応を検知、対処は時間の問題でしょう」
 そしてエルが示した識別コードを見やり、物九郎は再び笑みを浮かべた。
「ああ、奴さん――こりゃ喰われなきゃ御の字だ」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リア・ファル
POW

アドリブ共闘歓迎

『イルダーナ』で立ち回りながら
建物や遮蔽物を利用してゲリラ戦を展開しよう
(逃げ足、空中戦、戦闘知識、地形の利用、拠点防御、罠使い)

身動きの取りにくい位置まで誘導したら、反撃開始

真っ向から彼女の管理を否定しつつ、彼女の能力を演算解析
(情報収集)

「他人を使い潰し、自らの意に沿わぬ者を排除する
それが管理社会などと烏滸がましいね!」

身体サイズが大きくなり、小回りが効かなくなったところで
動物たちと連携し罠や一斉攻撃を仕掛ける!

最後はUC【銀閃・概念分解】で斬撃
「ヌァザ、概念指定『怒り』……邪念、絶つべし!」

「ただの暴政、暴虐の徒よ
大人しく骸の海に戻るが良いよ」


荒谷・つかさ


強い支配欲と攻撃性に、自己中心的な性格。
……なんだ。蓋を開けてみれば出てきたのはただのパラノイア、偏執病患者じゃない。
まあ、何にせよあんたはオブリビオン……過去からの残滓、既に「終わった」モノ。
年寄りの冷や水は良くないわよ?

スルト装着状態で駆け付けて戦闘(演出のみ。マスタリング可)
主に大剣を使用し、大型化するであろう敵に大振りな一撃を叩き込んでいく
隙を見たら大剣を突き刺し或いは手放して右手で【鬼神爆炎掌】発動
直撃させたら左腕でボディへラッシュをかけて押し倒し
ドリルユニットを装着して地面ごと抉り、大地に沈めるわ

あなたはもう終わった存在なのよ。
大人しく躯の海に還りなさい。



●夢の果てには
 星明りの下、辺りには宇宙船を模したアトラクションが所狭しと並ぶ開放的な区画で、ダラキュリアと二人の猟兵が対峙していた。
「強い支配欲と攻撃性に、自己中心的な性格」
 鋒鋩の体で死地より抜け出したダラキュリアを待ち受けるのは最後の猟兵。銀の制宙戦闘機『イルダーナ』に騎乗するリア・ファル(三界の魔術師/トライオーシャン・ナビゲーター・f04685)と、その背後にはもう一人、巨大なマシンに搭乗した者がいた。
「……なんだ。蓋を開けてみれば出てきたのはただのパラノイア、偏執病患者じゃない」
「そして他人を使い潰し、自らの意に沿わぬ者を排除する――それが管理社会などと烏滸がましいね!」
 人型機動兵器スルト、異世界の奇跡を体現した巨大なマシンを操るのは荒谷・つかさ(『風剣』と『炎拳』の羅刹巫女・f02032)だ。鍛えた肉体をそのままフィードバック出来るマシンは正につかさそのものとも言えよう。
『お前達に……何が、分かる!』
 そして正義と正論を振りかざす二人の少女へ、最早一切の苛立ちを隠さずにダラキュリアが声を張り上げて思いを返した。こんな世界に産み落とされた身、だからこそ……だがそうだとしても、彼女達がダラキュリアを赦す理由には到底なりえない。
「少なくとも、ここより過酷な所にいたからね、ボクは」
「まあ、何にせよあんたはオブリビオン……過去からの残滓、既に「終わった」モノ」
 地獄に近い幾多の戦場を駆け抜けた彼女達にしてみれば、事が上手くいかない程度で騒ぎ立てるダラキュリアの思いなど甘えに過ぎない。滔々と言葉を返して、二人は戦闘準備を整える。
「年寄りの冷や水は良くないわよ?」
「そう。終焉は終焉に――ここで全て、終わらせる!」
 それぞれのマシンの鼓動が最高潮に達した時、最後の戦いの火蓋が切って落とされた。

『終わるのは……お前達だ!』
 静かに怒りを湛えたダラキュリアはその威をもって五体を巨大化――されど、薬剤の効果も切れて先の戦いの疲弊も蓄積し、その大きさは全盛時の半分にも満たない。それでも4m近い頭頂はつかさのスルトと同等、その姿を見やり、コクピットのつかさがニヤリと口端を歪める。
「威勢だけは上等ね……いいわ」
 スロットルを開いて加速。鋼鉄の巨体が滑る様に加速すると共に、足元をイルダーナが銀色の光跡を残し、不規則な軌道でダラキュリアへと向かう。
「つかささん!」
 リアが叫ぶ。皆まで言う必要は無い――既に幾度も共に死線を駆け抜けた二人、やる事は理解している。
 リアは既に敵の情報解析を始めていた。感情を揺さぶり力を発露した直後から――エネルギーの膨らみはもう無い。ただでさえ怪しかった理性も無いのだろうか、スルトの方へ手近なアトラクションを投げつけては、子供の癇癪の様にバタバタと暴れて大地を揺らす。
「やっぱり……もう、正気は無いね」
「つまり奴の勝機も……でしょう?」
 不敵に笑むつかさがリアへと返し更に加速。手にした重厚長大な斬艦刀を振りまわし――否、刀身のスラスターを加速させ、勢いよくそれを投げつけたのだ。
『――!』
 火を噴いて迫る巨大な剣をかろうじで躱した所を、今度は足元から銀色のマシンが弾丸を放って迫る。大口径銃特有の重苦しい発砲音が響いて、ダラキュリアの足首を穿ちながらリアは徐々に近付いていった。
「どうした、管理者を名乗るならもう少しやれると思ったけど――」
 宇宙戦艦の中央制御ユニットたるリアにしてみれば、名ばかりの管理など目に余る狼藉だ。放っておけば直ちに生命が断たれる真空の地獄を生き延びる為に存在を賭ける身としては、思い通りにならない程度で暴れ狂うなど無駄の極致。
「そうね。それじゃあそろそろ――終わりにしましょう」
 つかさが言うと共に、スルトの背後に後光の様な光の輪が広がっていく。両の腕にはエネルギーの奔流が爆炎の形を成して広がって、発した熱が地面を溶かしながら轍を刻んでいく。
(これまでの戦いで消耗しきったのならば……今度こそ終わらせなければ)
 ふと、イルダーナに何処からか通信が――先の戦いの情報が送られてきた。発信元は基地指令室、ここの地下で動物達は自分達の戦いを続けていたのだろうか。その思いを組んで、リアは必殺のマニューバを設定する。
「ヌァザ、概念指定『怒り』……邪念、絶つべし!」
「スルト、兵装展開『爆熱』……邪悪、討つべし!」
 ガコンとスルトの胸部が開いて、その全身を灼熱の炎が包み込む。イルダーナに提示された攻撃ポイントはダラキュリアの左肩――痣が残る部分。そこを撃てと声なき思いが届いて、リアの肩には可愛らしいホログラフの猫『ヌァザ』が降り立つ。
『お、前――らぁぁぁッ!!!!!!』
「ただの暴政、暴虐の徒よ――」
「あなたはもう終わった存在なのよ」
 更にスルトの両肩が展開し、右腕で合体し巨大な円錐状の回転式削岩機へと変形――超常の爆炎がその先端から竜巻の様に広がって、あたかも鳳凰の羽搏きの様に炎が燃え広がる。ヌァザがモザイク状のテクスチャに包まれたかと思えば、その姿は美しき銀剣と化してリアの手元へ。概念を断ち切る禁断の超常が光を帯びて、それらが交差する様にダラキュリアへと向かっていく。
「「大人しく骸の海に還るが良い!!」」
 怒りという概念を断ち切られれば、それを基に発現した超常は威力を失い、五体の賦活もそれを止める。そして超常の爆炎がダラキュリアを包んで――全てが、骸へと還ったのだ。
「――これならば二度と、再生は出来ないでしょう」
「盛大な火葬になったわね。まあ、遊園地らしい、かしら?」
 つかさの戯れ言へそれは流石に、とリアが返す。
「そうなるとこの世の戦は、須らくアトラクションになってしまう」
「フフ……冗談よ。ただ」
 炎を見やりつかさが呟く。
 抱いた理想が歪められなければ、分かり合えたかも分からない。だからこそ誰もが、生き足掻いて答えを探し続けるのだろう。失くした思いの答えと、生きていく理由を――どんな世界であろうと、いつまでも。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年01月27日
宿敵 『アルテミシア・アビス』 『ダラキュリア・クローン』 を撃破!


挿絵イラスト