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嘆きと願いの果てに

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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 始まりは嘆きだった。死者の嘆き。
 ――ナンデ。ドウシテ。
 どうして死んだのか。その答えを、セイジャの自分は持っていない。ただ受け止めることしか出来ない。
 だけど、そうじゃなかった。
 ――ナゼシンダハズナノニ。
 ――コンナトコロニイルノ。
 ――アソコニイルノハダレ?
 ――オカアサン/オトウサン。
 ――ムスメ/ムスコ。
 ――オニイチャン/オネエチャン。
 ――オトウト/イモウト。
 ――トモダチ/シンユウ。
 ――タスケテニゲテタスケテニゲロワタシハココダヨ。
 ――タスコタスタスタニスロニゲタスニシゲロロケロテ。
 最後に見た光景は、ぐちゃぐちゃに入り混じった人の魂が、それでも己の親しい人を求めて手当たり次第に殺していく地獄の有様だった。
 助けを求めて呪い殺し、こっちに来てはいけないと追い払おうとした手が命を奪い、自分を認めて貰おうと無理やりにこちらに向かせれば首がとれ、救いを求めて死体を積み上げながら走り回る。そんな地獄。

 俺は、そんな未来を見たんだ。そうこれは近い未来に起こりうる出来事。なのに、最後に全員が俺を見たのは偶然だったのだろうか。


「近いうちに、ダークセイヴァーで住民の大量虐殺が起こる。これは確実だ」
 予知で見た夢の話をラ・メルブリューが話し出す。
「理由は過去に殺された人の魂が集まって害を成すからだ。発生源はヴァンパイアが住んでいる城。そして被害に会う場所はそこの城下町。その全てだ。その城下町の人間は全滅する」
 いつもとは違って言葉少なく。ただただ必要な情報だけを簡潔に伝えるように。
「頼みたいのは、ヴァンパイアの城の調査。そこに溜め込まれている人の魂の……」
 解放、と言いかけた言葉を飲み込む。言葉を飾るなと言い聞かせるように。
「……全ての消滅。そして元凶であるヴァンパイアの打倒だ。城内の見取り図はない。だが入ってさえしまえば、魂もヴァンパイアも見つけることは簡単なはずだ」
 一枚の資料を広げる。上から見た城と堀、そして本来の入り口に架けられているはずの橋が描かれてある。
「簡単ですまないが、それが城や堀の外観になっている。作戦の足しにでもしてくれ。それと橋は上げられてしまっているから使えない。何か質問とかはあるか?」
 窓の位置、堀の深さ、堀の幅、などの質問がいくつか上がり、それらを新たに資料に書き込んでいく。
「現場までの移動は任せてくれ。だから、そこから先は皆に頼む」
 そう締めくくった。


FOF
 今回はダークセイヴァーとの戦いになります。
 皆様の冒険の一助になれれば幸いです。

 恐らくですが2章を一番力を入れて書きます。

 オープニング内には入れないようにしましたが、もしも失敗した場合どのようなことが起きるかを知っていても大丈夫です(質疑応答のときに個別に答えたことにします)

●合わせプレイングについて
「特定の誰かと」「見知らぬ誰かと」「同じ旅団の人と」「フレンド同士」など、不特定の相手を指定してプレイングを書くことも可能です。

●複数
 プレイング確認時からリプレイ執筆中に届いていたプレイングで、プレイング内容が近い人たちはある程度グループで書かせていただきます(必ずではありません)

●単独
 一人がいい!という方は明記お願いします(採用された場合、単独で書きます)
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第1章 冒険 『不夜城に攻め入れ!』

POW   :    力づくで侵入する。

SPD   :    隠密に侵入する。

WIZ   :    侵入の経路を探す。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アーレイラ・モンクスフード
ソロなど特に拘りは無いので、
合わせやアドリブは可です。

うぅん、魂の解放と町を護る。
優先すべきは後者で、その為には前者を敵として抹消が合理ではありますが………。

両方と欲をかいてみましょう。

「しくじったのなら、また悪神が町を滅ぼすだけです。」
誰にも聞こえないように呟いた後、信仰する神に祈り決意を固めます。

「黎明の者よ、加持を。」

まずは、侵入経路の調査で、ユーベルコードでの召喚。
散開させ数での調査を。

あと、窓は基本叩き割りましょう。魂を天に還すのなら、出口は作っておくべきかなと。

調査は数任せですが、城って脱出路があると思うので、攻められたときの逆側、城門や町の門の反対方向を重点的に探してみます。



 アーレイラ・モンクスフード(真昼の白夜・f02061)は少し悩んでいた。
(うぅん、魂の解放と町を護る。優先すべきは後者で、その為には前者を敵として抹消が合理ではありますが……)
 でもその迷いはすぐに、
「欲深く両方と行きましょう」
 と決意を新たにすることで霧散する。
「しくじってしまったそのときは」
――悪神によって滅ぼされる街が一つ増えるだけのこと
 誰にも聞こえない声で呟く。それでもなるべくなら、そうならないほうがいい。
「黎明の者よ、加持を」
 そんな思い信仰する神へと祈り、動き始める。

『巡り廻る星の子ら、数多にして独りなる者よ、その一握を我が前へ』
 100体近い星界精霊を召喚する。数は力だ。とくに何かを探すときは。
 それらを城の周囲へと放ち、抜け道などがないかを探らせる。
 そして自分は城の裏手側、襲われたときに逃げるための道がないかを調べる。
「……どういうことなんでしょうか」
 城の裏手の門は、完全に封鎖されていた。わざわざ作ったものを完璧に、執拗なまでに封鎖させる。意味がわからない。これでは城の中の人間は逃げることが出来ないではないか。
 そのとき、星界精霊の一匹がやってくる。たまたま城壁の一部が脆くなっている部分を見つけたらしい。あとはそこを壊せば入れそうだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リンネ・ロート
WIZ:侵入経路を探す

こういうお城って万が一のための隠し通路があるんですよね
それを逆に利用できないか探してみます

資料を見て、お堀の深さが他の部分より浅い場所か幅が狭い場所の近くを探します
どちらもその下に通路が造ってあるような気がします
他の部分と同じ深さ、幅で造っていたら労力がかかりますから

怪しい場所を確認していきます
具体的には不自然な場所に建っている小屋や倉庫、ある程度の大きさの岩が置いてある場所
あとは近くの森林、茂みなどでしょうか
特に森林と茂みにある一つだけポツンと置いてあるような岩は調べます
地面との隙間があれば空気の通り道になってないか見ます
隙間がなければ銃床で軽く掘ってみて確認します



 リンネ・ロート(多重人格者のサイキッカー・f00364)は城の周辺を探していた。
 堀にある不自然に浅い場所、狭い場所、そんな場所があればそこの下には通路があるはずだと思って。
「おかしいですね」
 堀のどこにも、浅くなっている場所も狭くなっている場所もないのだ。
 多大な労力をかけてでも解りにくいようにしたのだろうか。
「出口のほうから探していきますか」
 城から離れたところにある岩、小屋、倉庫、逃げるための隠し通路の出口となるようなものを片っ端から調査していく。
 空気の流れ、わずかな歪み、微かな音、それらを一つたりとも逃すまいと極限まで集中して城から螺旋を広げるようにしてくまなく探す。
 だが、
「一つも、ない……?」
 どこをどう探しても見つからないのだ。
 城の出入り口はただ一つ。正面の門のみ。裏門が封鎖されていることは聞いている。
 もうこれ以上探しても無意味な距離まで来ている。
 隠し通路はなかったが、それは敵がどこにも逃げられないことを意味している。普通では考えられないことだ。
 どうしようかと思案しているとき、城の方から轟音が聞こえてくる。
 慌てて振り返れば、どういった手段か上げられていた橋が架けられているのが見える。
 あれを使えば城の中に入れるだろう。そうして城のほうへと踵を返した。

成功 🔵​🔵​🔴​

護堂・結城
クロウ(f06194)と参加

助けを求めて伸ばした手が命を奪う、かぁ……やるせねぇな
侵入したら役に立つがそれまでは人に頼るしかないのが情けないぜ

クロウの手を借りて堀を渡る。
【動物と話す】でクロウのマガホコと作戦の共有。緊急の合図くらいは決めておくか

最悪泳いででも行くしかないわな

橋が上がってて使えないなら、釣り上げてるところをぶっ壊しておろせばいいよな?
元より使えないものが壊れても大して変わりはねぇだろ

【怪力】【衝撃波】【属性攻撃】【2回攻撃】を組み合わせた『雪見九尾の闘気の尾』の炎風の巨人で
橋を釣り上げている部分の破壊を狙う
届かないときは【槍投げ】で対応だ

ダメなときは大人しく城に侵入しよう


クロウ・タツガミ
護堂(f00944)と参加

ここが吸血鬼の根城か、少々悪趣味だな

【POW】

【情報収集】し【地形の利用】の容易な場所=堀の幅の狭い場所で翼を出し飛んで渡るつもりだ。【怪力】には自信がある、手に持ったマガホコ(縄)に捕まってもらうことで1人ぐらいは猟兵を連れて渡れるのではないかな

マガホコ今日は、お前に活躍してもらう

護堂さんが橋を下ろすのを【怪力】で手伝ったあと、城内への侵入を試みる。

これで後続も多少は進みやすくなるか

【力を溜め】【祟神ノ縁】を放つ狙うは窓だ。窓が割れればマガホコ(縄)を【投擲】し【ロープワーク】で窓から城内に侵入するつもりだ

侵入するなら正面よりはこちらか

窓から侵入に失敗時は正面突破



 護堂・結城(雪見九尾・f00944)とクロウ・タツガミ(昼行灯・f06194)はクロウのマガホコも混じえた合図などの確認を終えて、城を見上げる。
「しかしやるせないもんだな。助けを求めて伸ばした手が命を奪うなんてのは」
「失敗したらどうなるのか、結局聞いたのか」
 護堂はそれに応えることなく立ち上がる。
「よし、いくか。堀は頼んだぞ相棒」
「任せろ」
 クロウがマガホコを縄へと変化させ翼を広げる。生憎と堀の間が狭い場所は見つからなかったが、自身の怪力を持ってすれば人一人を運ぶぐらいわけがない距離だ。
 護堂がしっかりとマガホコの縄を握ったのを確認し一気に飛び立つ。そうしてしまえば後は一瞬だ。
 クロウは護堂を引き連れたまま、上げられた橋に乗った。橋自体の頑丈さのためにそれぐらいの厚みがあることは地形の情報を集めていたときにわかったことだ。
「ここからのほうが壊しやすい」
 二人が狙ったのは、巻き上げている鎖を壊すことで橋を降ろすことだった。こうしておけば、他の猟兵も入りやすくなるだろう。
 運ぶのはクロウの仕事。そして壊すのは
「後は俺の仕事だな」
 護堂が己が武器を構える。
『我が身、闘気を纏いて、この敵意抑えること許さず』
 力ある言葉をつぶやけば、護堂の背後に炎と風で織り成された巨人が浮かび上がる。巨人は護堂の動きを正確になぞり、その巨大化された武器の一撃で鎖を破壊した。
 クロウがすぐさま飛び上がり、護堂もマガホコの縄に捕まる。彼らの足場であった橋は、轟音をたてながらその身を垂直から水平にした。
 降り立つ二人。さて、どの窓から侵入しようかともう一度城を見上げる。
 そのとき、城の全ての窓が悲鳴のような甲高い音をたてて割れた。城の周囲を飛び回っていた精霊のようななにかが一斉に窓に体当たりしたのを見た。
「一緒に来ていたやつが召喚してた精霊だ」
「これで侵入しやすくなったし、ちょうどいいだろ」
手頃な窓に向かってマガホコの縄を投げ入れる。たくみなロープ捌きの結果を引っ張って確認し、するりするりと登っていき城への侵入を果たした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​


 全員が城に侵入し手分けして探索していく。城の中は単純な作りで、ほどなくして全員が最後の大広間の扉の前にたっていた。他のところには何もいなかったことを考えれば、この先に魂の集団とヴァンパイアがいるのだろう。
 全員で行こうかと身構えたとき、大広間への扉が勝手に開いていく。
「中々派手な訪問だったな猟兵諸君」
 その先にいたのは、玉座にいる青白い肌をしたヴァンパイア。そしてその手前には魂の集団がいた。
「だが待たせ過ぎだ。お前らが音をたててからここに来るまでどれぐらいかかったと思っている」
 言っている意味がわからない。何故コイツはこんなにも余裕があるんだ。逃げ道なんてどこにもない。隠し通路やら秘密の出入り口なども全てなかった。
「何故王たる俺がお前らごときから逃げねばならんのだ。ああ、お前らが逃げるための道探しだったのか。無論そんなものはないが。お前らはここで死ぬ」
 だが、と言葉を続け
「先程もいったがお前らは待たせ過ぎだ。せめてこの俺を楽しませてみろ。ちょうどそこに道具もあることだしな」
 魂の集団を指差す。何ら音もなく、ただそこを漂っているだけの大量の魂。
「別の目的に使うつもりだったが、材料はそれこそ腐るほどあるからな。余興としてはちょうどいい。それにそこの魂共はこの城を作ったやつらだ。事もあろうに王の俺に城に逃げ道を作るなどという世迷い言を言い出したバカどもだ。城を壊しながらやってきたお前らにふさわしい」
 堀の間が等間隔なのも、隠し通路などがなかったのも、それが理由だった。どれだけの労力が掛かろうとも関係ない。逃げ道など必要ない。
「お前らを縊り殺したあとで、別の人間にもう一度この城を作り直させるか。そしてソイツらはまた道具となる。お前らの言葉ではリサイクルというのだったか」
 このヴァンパイアにとっては人間は全て餌であり道具であり奴隷。ほぼ全域をオブリビオンに支配されているダークセイヴァーの実情。
「魂共。そいつらがお前たちを、助けてくれるそうだぞ?」
 その言葉に漂っていた全ての魂が震え、悲鳴を、哀願を、謝罪を、それらが混じり合ったものを、叫びながら襲いかかってくる。
 いや、彼らには襲いかかっているという認識ではない。助けてもらおうとしているのだ。ただ、それが、こちらに害を成すというだけで。
「踊れ。猟兵」


第2章 集団戦 『残影』

POW   :    怨恨の炎
レベル×1個の【復讐に燃える炎の魂】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
SPD   :    同化への意思
【憐憫】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【異形の肉塊】から、高命中力の【絡みつく傷だらけの手】を飛ばす。
WIZ   :    潰えた希望の果て
【悲観に満ちた絶叫】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アーレイラ・モンクスフード
吸血鬼などどれもあんなモノですね。先ずは魂達の安寧を祈りましょう。シスターたる勤めを果たしましょう。

「来なさい、迷える者達よ。光は救いはここにあります。」

大鎌床に突き立て跪き、魔道書たる聖典を開き全力魔法での詠唱を行います。

魂達よ、嘆き呪いますか?生者である私を?

どうぞ、存分に。
「この身は既に呪われております」

ユーベルコードによる星属性の上昇気流を発生させ、魂達を吸血鬼の呪縛から引き離し、天へ天へと昇らせます。

「救われよ、黎明も薄暮も汝等を許す。天へと昇れ星の世界へ」

二回攻撃での再詠唱、高速詠唱も含め私の力の及ぶ範囲は救う!

「上れ昇れ、空は遍く受け容れる」
叩き壊した窓に、出入り口に星よ流れよ!



「来なさい、迷える者達よ。光は救いはここにあります」
 大鎌を地面に突き立て、アーレイラ・モンクスフード(真昼の白夜・f02061)は宣言する。
 奇しくもヴァンパイアの言ったとおり、ここに救いはある。
「この身は既に呪われております」
 なれば存分に嘆き、この身を呪え。その魂に纏わりついた重しをここに置いていけ。これより先にそれは必要ない。
 身を軽くせよ。私が代わりに背負おう。未来に確定していた罪過を譲り受けよう。心を安らげよ。私の背中は遍く空。
「救われよ。黎明も薄暮も汝等を許す。天へと昇れ星の世界へ」
 あなた達も星となれ。薄暮に輝く星となれ。黎明に微睡む星となれ。私の背中から親しき人たちの安らぎを見よ。
 
 それは不思議な光景だった。アーレイラに殺到していた魂たちが、その重さを無くしたしように空中に浮かんでいくのだ。
 そしてハっとしたように一瞬身動ぎしたあと、城のいたるところにある割れた窓から飛び出ていく。そして夜空へと舞い上がり……溶けるように消えていく。
 その光景は城の外からも見えていて。住民の誰かが叫んだ。「おかあさん!」と。それをかわぎりに誰もが口々に叫ぶ。父の名を。夫の名を。母の名を。妻の名を。子の名を。友の名を。兄の名を。弟の名を。姉の名を。妹の名を。
 それは消えゆく魂の数だけ続き、誰一人として空から目を離すことはなかった。そこに誰かを見て。

 アーレイラは繰り返す。身体に呪いを受け続けてもなお淀むことなく滞ることなく。
「上れ昇れ、空は遍く受け容れる」
 時折、背負わせることが嫌だと言うような魂もあった。それでも幾度も幾度も繰り返すうちにやがてその魂も登っていった。登ってゆく最中に街を見て安らぐもアーレイラを心配そうに見る。
 背負わせてごめんなさい。ありがとう。
 そんな思いが載せられた視線をアーレイラは背中で受ける。受け入れる。大丈夫。
 
 数えきれないぐらいに繰り返した祈りと昇華の果てに。アーレイラに向かった魂はすべて空へと消えた。

 救われてあれ。
 救われてあれ。
 救われてあれ。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

護堂・結城
クロウ(f06194)と参加。
【POW】
俺達は神様じゃない、もう戻れない君達にできることは…
1秒でも早く、塵すら残さずに…殺してやる事だけだ

向かってくる怨恨の炎を【なぎ払い+武器受け+オーラ防御+火炎耐性】で弾きながら突進

「俺達はお前を殺しに来た、だから傷つけても気に病まなくていい。ただ…一人残らず眠れ」

『雪見九尾の落涙葬送』で封印を解いた氷牙(ドラゴンランス)を振るい
その牙で噛み砕いてやる【怪力+範囲攻撃+衝撃波+生命力吸収+破魔】

せめて、子守歌【歌唱】でも聞きながら、安らかに眠ってくれ
君達の無念は俺達がまとめてアイツに叩きつけてやるから。
…それだけが、俺にできる【優しさ】だから。


クロウ・タツガミ
護堂・結城(f00944)と連携

【POW】

死者は終われ、終わる事は義務ではないが、嘗て生きていたものの権利だからな。それも強制されたものなら尚の事だ

三位龍装で攻撃力を強化して戦う予定だ。
まずは【地形を利用】し【先制攻撃】としてレプリカを【力を溜め】て【投擲】する予定だ

愁嘆場を見せて吸血鬼を愉しませるつもりはない。自分が成すのは只の殺戮だ

武器はマガホコ(ハルバート)で戦う、【戦闘知識】には覚えがある基本は【怪力】を利用し【2回攻撃】だな。炎の攻撃は【火炎耐性】で耐え、他の猟兵への攻撃はガンドレットを使って【盾受け】で可能ならば【かばう】つもりだ。

好きに叫び、好きに恨め、だが、容赦するつもりはない



 護堂・結城(雪見九尾・f00944)とクロウ・タツガミ(昼行灯・f06194)の考えは一致していた。
「俺達はお前を殺しに来た、だから傷つけても気に病まなくていい。ただ…一人残らず眠れ」
「死者は終われ、終わる事は義務ではないが、嘗て生きていたものの権利だからな。それも強制されたものなら尚の事だ」
 即ち、俺たちにお前らを救ってやることは出来ない。ただ眠って終われ。
 そして、俺たちを好きに傷つければいい。俺たちは容赦しない。
 戦いの火蓋が切って落とされようとしたその出鼻を挫くように、クロウから目にうつりにくい大量のナイフが投げ放たれる。
 ただ複製品(レプリカ)とだけ呼ばれるそれらは、溜められた力によって驚異的な速度で魂に殺到し、何体かを消滅させた。
 しかし他の魂達はそれに何ら臆することなく。むしろ喜び勇んで突撃していく。二人は知るよしもないが、そこの魂たちは現世に何の縁もない、もしくは縁がとても薄いもの達だった。見守るものもなく、ただ「誰でもいいから助けてくれ」の嘆きをもったものたち。アーレイラの救いではなく、彼らの終わりを求めたものたちだ。
 『死は君の名を呼んでいる。どうか、どうか…安らかに』
 突撃に応じて、護堂が呟く。その静かな声はそれでも必滅の決意が満ちており、そこからの変化は劇的だった。
 ドラゴンランスが顎を開くように巨大化し、殺到してきた魂たちを飲み込む。それだけでは終わらず、生じた衝撃波が他の魂も削っていく。それらを力に変えて護堂は魂たちの中へとその身を踊らせる。
 クロウもそれを見ているだけのはずもなく
『酒は飲ませる、サカホコ、マガホコ、力を寄越せ』
 いってサカホコの力を引き出していく。そしてこちらも魂たちの中に突っ込んでいく。口数も最低限に。ヴァンパイアは余興と言っていたが、楽しませてやる意味もない。ただ殺す。殺戮だ。
 そうして二人は魂たちの真っ只中で暴れ狂う。魂たちの炎を持ち前の火炎に対する耐性の高さでやり過ごし、殺到してくる手はクロウがガントレットで打ち払う。
 嘆きの絶叫は護堂の破魔によって打ち消され……それに紛れて微かに子守唄が聞こえる。
 護堂がその優しさでもって歌う子守唄。眠れ。心安らかに。その嘆きはすべて俺たちがアイツに叩き込んでやるから。
 吹き荒れる暴力の嵐を伴奏に子守唄が歌われていく。
 一秒でも速く終わらせるように。少しでも速く魂が眠れるように。
 伴奏が止まり、子守唄も終わる。
 その静けさの後に残るのは、二人の息遣いだけだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リンネ・ロート
(人格、口調:リンネ)
そんな……いや……私に近寄らないで!
そんな風に声を上げないで!
私にはあなたたちを助けることなんてできない!
私なんて何もできないの!

シュタルカー・ヴィント、グレンツェンド、お願い……私に力を貸して……
ほんの少しだけでいい、勇気を……私に……!

炎よ!せめてあの方達を浄化してあげて……

きっとみなさん沢山の方を愛して、愛されて……
でも仕方ないの……
こうすることしか知らないの……
う……うぅ……ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい……


アドリブ歓迎



 リンネ・ロート(多重人格者のサイキッカー・f00364)は身を震わせながら愛銃シュタルカー・ヴィントを胸に掻き抱く。
「来ないで!」
 魂に向かって叫ぶ。
「助けてなんて言わないで!!私には、私には助けることなんて出来ない!!何も出来ないの!!私にはどうしようもないのよ!!」
 それはともすれば侮蔑の言葉を投げられても仕方のない叫びだった。どうにかしようとしたからこそ来たはずなのだ。
 けれどそれを責めるのは誰もいない。彼女の前に立った魂たちは、小さいのだ。圧倒的に。彼らは助けてなんて言わない。言えない。まだ、言葉を喋れるような大きさですらない。ただその行動だけが雄弁に訴えかけてくるだけだ。
 (愛されていたはずなのに!!これから誰かを愛していくはずだったのに!!)
 変われるのならもう一人の自分と変わりたい!!こんな辛いことを自分ではしたくない!!
「変わって!!お願い!!変わって!!」
 そんな思いも虚しく、人格が変わることもない。自分が、この手で、魂たちを浄化しなければいけない。
 愛銃と愛剣にすがるように立ちながら。
「ごめん……なさい……」
 涙をボロボロと流しながら。
「ごめん、なさい」
 浄化していくたびにこみ上げる吐き気を抑えながら。
「ごめんなさい!!」
 炎の矢で魂たちを昇華させていく。
 仕方ないの。こうすることしか私には出来ないの。

 ……ごめんなさい。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『ヴァンパイア』

POW   :    クルーエルオーダー
【血で書いた誓約書】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
SPD   :    マサクゥルブレイド
自身が装備する【豪奢な刀剣】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    サモンシャドウバット
【影の蝙蝠】を召喚する。それは極めて発見され難く、自身と五感を共有し、指定した対象を追跡する。
👑17
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ヴァンパイアは喜色を滲ませながら猟犬が魂たちと戦うのを見ていた。魂たちがどうなると興味はない。どんな材料でも作れ、材料もそこらへんに大量にある。
 このような座興には便利な道具だ。とくにそんな道具に対してなにか特別な感情を持っている愚かな連中が、それと戦っているときなど心が躍る。
 笑い声はあげないものの、口元をニヤつかせながら魂が全滅するまで待つ。
 この王が、俺が、あんな雑霊と肩を並べて戦うことなどない。

「ご苦労だった猟兵諸君。なかなか楽しませてくれた」
 玉座から立ち上がる。こちらに向けられた視線に含まれるは怒りか敵意か殺意か。まあどれでも関係などない。どんな感情であろうとそれを踏み潰すときの快感に変わりはない。
「褒美として死を与えよう。むせび泣きながら受け取れ」
 最も、今度はお前らの魂が城下に住み着く人間を材料へと変えることになるのだが
アーレイラ・モンクスフード
「あら、まだ居たのですか?」
メインの仕事を終え、伸び身体を解しながら。

「ついでです。骸の海に還してあげましょう」
何の感情も無い愛想笑いだけ浮かべて向き直ります。

準備としてダッシュで距離を詰め、突出するようにして攻撃を誘います。

「数の優位を考慮に入れられないのですか?」

刀剣複製の攻撃を誘発するような挑発を口に出し、メイスと銃で攻撃を試みます。

想定通りの攻撃が来たら、
「くっ」と呻き、銃で撃ち落とすように見せ、油断を誘い
ユーベルコード発動

剣ごと本体を対象に攻撃します。

「フェイントですよ?道具でも手下でも居れば良かったのに。独りは辛いですね。」

こちらに意識向け、他の猟兵の方の行動のサポートになれば幸い



 ヴァンパイアの口上を聞いたアーレイラ・モンクスフード(真昼の白夜・f02061)は体を解すのをやめた。
 「ああ、まだいたんですか。そういえばあなたを倒すまでやらなければいけないのでしたね」
 自分の中でのメイン仕事を終えたため、もう終わったつもりだった。
「ついでです。骸の海に還してあげましょう」
 本当にどうでもいいように、うっすらとした愛想笑いを貼り付けただけの表情を浮かべて、出口からヴァンパイアへと向き直る。
 ヴァンパイアはあいも変わらずニヤニヤとした笑みを浮かべていた。
「今度はお前らが過去になる番だ猟犬よ」
 その言葉が終わる前に走り出す。
「過去から生まれた癖に、そこから学べないなんて」
 爪牙に合わせるようにメイスを巧みに操り、それらが通用しないことを印象づけていく。
 武器分の射程も合わせ、こちらが届き相手が届かない絶妙な距離も維持する。
「舐めるなよ猟犬。この距離が貴様だけのものだと思わんことだ」
 ヴァンパイアの周囲に豪奢な剣が浮かぶ。
 アーレイラの表情が驚きに歪む。
「くっ」
 漏れた吐息が音を生む。
「まずはお前からだ。死ね」
 剣が一斉に殺到するのに慌てて銃を構え……
『時知らず咲き誇れ、黎明たる者の名の花よ。日の眼見開き過去を切り裂け。汝の涙よ、衆生を救え!』
 解けて無数のデイジーの花弁となる。花弁は剣を圧し折りながらヴァンパイアへと身を舞わせ、浅くない傷を刻んでいく。
「フェイントですよ?道具でも手下でも居れば良かったのに。独りは辛いですね」
 予想よりもヴァンパイアの剣が脆く、折った際に砕けた破片によって傷を負う。だが消耗の度合いは比べるまでもない。そして
「数の有利すら分からないあなたは勝てませんよ」
 苦鳴をもらすヴァンパイア。他の猟犬がその隙を逃すはずがない。まさにその名前の通りに襲いかかっていく。

成功 🔵​🔵​🔴​

クロウ・タツガミ
狐の宿の猟兵と連携

褒美は死か、なら、お前の死を賜わろうか

【POW】

【戦闘知識】を用いてサカホコ(ハルバート)で戦うつもりだ。基本は近接、【怪力】を用いての【2回攻撃】で【武器落とし】と【串刺し】を狙う。物理攻撃はガントレットの【盾受け】で防ぎ、余裕があれば他猟兵を【かばう】つもりだ。敵が距離を取ろうとしたら【力を溜め】レプリカを【投擲】して追撃だな。

マサクゥルブレイドには、【黒帝九相】で無数の拷問用の車輪を放ち迎撃を試みよう

さて、名は問わぬし興味もない。お前がどう自己評価しているかは知らないが、自分にとっては何の特別な敵でもない。有象無象の只の敵に何か特別な感情を向けろと?


シン・ドレッドノート
結城(f00944)クロウ(f06194)の援護を行います。
離れた場所からスコープモードにした『怪盗の単眼鏡』で敵を確認、両手に構えた『スカーレット・ブラスター』で【異次元の狙撃手】による狙撃を行います。

「あれがターゲットですね。狙い撃ちます!」
前衛の方が突撃する前に最大出力で牽制の一撃を撃ち込み、その後は敵が攻撃したり、味方の攻撃を防御するタイミングを狙って妨害するように狙撃していきます。

「邪魔はさせません!」
マサクゥルブレイドやサモンシャドウバットが現れたら、速やかに撃ち落していきます。

接近されたらビームシールドで受け流しつつ、カウンターの零距離射撃を撃ち込んでやりますよ。


護堂・結城
クロウ(f06194)とシン(f05130)と参加

【POW】

死が褒美ねぇ…ならば返礼だ
この地の嘆き、全てを束ね貴様に返す

クロウ達に防御を任せ白竜の吹雪と青竜の氷牙と共に輪唱
【歌唱+生命力吸収】でこの地に溢れた嘆きや怒りを吸収して
『雪見九尾の劫火剣乱』を発動

劫火の剣が啼いている
吸血の王に復讐せよ
死さえ弄ぶ外道に応報せよ、と
「貴様が成した嘆きがその身を切り裂く剣と知れ」

発動後は氷牙を刀にかえ
【見切り+オーラ防御+カウンター】で攻撃的な防御をしながら劫火の剣群と共に突撃
シンの援護に合わせ【怪力+衝撃波+属性攻撃】を込めた剣群の【捨て身の一撃】

出来る限り死への【恐怖を与えて】やる
自分の行いを思い知れ



「褒美は死か。ならばお前の死を賜わろうか」
「その返礼にはこの地の嘆き、全てを束ね貴様に返す」
 クロウ・タツガミ(昼行灯・f06194)、護堂・結城(雪見九尾・f00944)がそれぞれの武器を構えヴァンパイアへと襲いかかる。
 その直前に、二人の合間を縫ってシン・ドレッドノート(真紅の奇術師・f05130)の発射した紅い光弾がヴァンパイアへと着弾する。二人の攻撃に身構えていたヴァンパイアは思わぬタイミングでの攻撃に思わずタタラを踏む。
 体勢を崩した相手に対してクロウの怪力によって振るわれるハルバートの斬り下ろしとそこからの返しが武器を削ぎ落とし貫こうと牙を剥く。
 しかしそれは、ヴァンパイアが咄嗟に念力で操作した剣の破片によって防がれる。
「群れるしか能のない犬どもが!」
 追撃を行おうとしていた護堂に向かって契約書が放たれる。だが、それを見切っていたようにクロウがガントレットを盾のように割り込ませることでかばった。
『俺を傷つけることを禁ずる』
 ヴァンパイアの口元にまたニヤニヤとした笑いが戻る。
「これでお前が俺を傷つければ、お前は死ぬぞ?」
 簡単な条件なほど、それを破れば大きなダメージを受けるユーベルコード。傷つけるな、という至極単純なルールであるなら確かにその威力は跳ね上がるだろう。だが
「問題ない」
 クロウには焦りも動揺もない。
 それをヴァンパイアが訝しむ。思えば、最初の光弾もどこから飛んできたのか。自身から無数のコウモリを放ち、光弾の主を捜索しようとする。
 しかしそれらはまた別の場所から飛んできた光弾によって撃ち落とされたり、クロウによって飛び立つ前に握り潰されたりと効果を発揮することができない。
 そのとき、ヴァンパイアの耳に歌が聞こえてきた。

 劫火の剣が啼いている
 吸血の王に復讐せよ
 死さえ弄ぶ外道に応報せよ
 白竜の吹雪と青竜の氷牙が己が主である護道と共に歌う。それに合わせてこの地に溢れた嘆きと怒りが護堂を中心として渦巻いてゆく。

 ヴァンパイアもアレは危険だと判断し、攻撃を加えて阻止しようとする。が、クロウがかばうように割って入り、光弾が進む道の先に着弾する。
 ――邪魔はさせません。
 狙撃手であるシンのその言葉はヴァンパイアに届くことはなかったが、その意思は十二分に知らしめていく。
 歌が続く間、いくつもの光弾が次々と違う場所から到来し道を塞ぎ、何とかかぼそい道を渡りきろうとしてもその先にはクロウの鉄壁の守護によって目標である護堂までは届かない。
 そんな攻防を繰り返すこと5度。ヴァンパイアは結局一度たりとも護堂に触れることは叶わなかった。

『――頭を垂れよ、死はお前の名を呼んでいる』
ヴァンパイアが生み出した豪奢な剣とは数が違う。質が違う。思いが違う。大広間の天井を埋め尽くさんとする、嘆きと怒りによって織りなされた劫火の剣群。
「貴様が成した嘆きがその身を切り裂く剣と知れ」
 剣群の圧力に負けるまいと、ヴァンパイアは天井へと跳ぶ。降って来る前に叩き折る。もしかしたなら、自分がやられたことの意趣返しだったのかもしれない。
 跳び上がったそのとき、城下町の屋根の上に光る金色のなにかを見つけた。
 この瞬間、初めてヴァンパイアは自分を狙撃してきていたジンの姿を発見したのだった。
 スコープ越しに目と目があう。ヴァンパイアもこいつが紅の光弾で射撃してきていたのだと気づいた。
「貴様ぁっ!!」
 散々邪魔してきた相手を漸く見つけた。だが、既に時は遅く。
「狙い撃ちます!」
 光弾がまともにヴァンパイアの体を捉え、藪蚊のごとく地面に叩き落とした。

 それを待ち受けていたのは、刀に変えた氷牙を持つ護堂とそれに付き従う剣群。落ちてくるヴァンパイアに向かって己の身を顧みず、全力で攻撃を仕掛ける。
 氷牙の一撃がヴァンパイアの体を捉え、間髪いれず数多の劫火の剣群が降り注ぐ。その一発一発が当たる度、周囲に衝撃波が溢れ炎がその身を焼いていく。
 時間にして約15秒。しかし当事者にとっては永遠のような時間。ヴァンパイアの体は端々が千切れ、炎に侵されていない場所は存在しないほどとなっていた。
 このままでは死ぬ。それだけがヴァンパイアの思考を支配する。
 そしてその眼前には、新しい影があった。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

風雷堂・顕吉
【目立たない】ところから姿を現して話しかける

風雷堂顕吉だ。ヴァンパイアハンターを生業としている
ふむ……誇り高き血族が血族を前にその名すら名乗らぬとはな
百年も生きておらぬヴァンパイアなどそんなものか


鉄塊剣と【鎧砕き】で叩き切る

まだお前は手足を失っただけだぞ。シャドウバットになれば再生できるだろう。私のようにな。(ユーベルコードを使う)

どうした。恐怖の感情を抱くのは初めてか? 乗り越えろ。お前はまだ強くなる。【挑発】【恫喝】
お前はまだ戦えるぞ、この城の素材のように。簡単に諦めるな。


装備しているパイルバンカーの白木の杭で【串刺し】にし、【傷口をえぐる】。

忘れられた世界へと帰るがいい。オブリビオン。



 いつの間にか倒れたヴァンパイアを上から覗き込むような影がある。
「風雷堂顕吉だ。ヴァンパイアハンターを生業としている」
 そして何かを待つように少し言葉を止める。ヴァンパイアは焼ける痛みに気をとられ返事をすることはない。
「ふむ……誇り高き血族が血族を前にその名すら名乗らぬとはな。百年も生きておらぬヴァンパイアなどそんなものか」
 そこには譲れぬ何かがあったのか、風雷堂が紡いだ言葉にヴァンパイアが反応する。
「半端な混ざりモノ風情が……思い上がるなよ」
 再生した豪奢な剣が風雷堂の背後に浮かび上がり、四肢を両断する。血を吹き出し崩れ落ちようとする風雷堂を見て、ヴァンパイアは口元を笑みの形に歪める。
 しかし、断たれた手足がコウモリへと姿を変え再度風雷堂へと繋がっていく。
「どうした。お前が本当に血族だというのならこれぐらいできるだろう」
 今度は返事を待たず鉄塊剣を構える。地面に転がったままのヴァンパイアを先程自分がそうなったような達磨に変えようというのだ。
 ヴァンパイアは察知して逃げ出そうとするが、風雷堂の腕に装着されたパイルバンカーから白木の杭が撃たれ、地面に縫い付けて逃さない。
「ぐぅうううっっ!!」
「どうした。恐怖の感情を抱くのは初めてか?」
 ヴァンパイアはその状態でも逃れようと暴れ、かつ鉄塊剣では切れ味が足りず、何度も振り下ろす。振り下ろす。振り下ろす。
 だが切り離すことは出来ず、手足の関節を4、5個増やしたようなヴァンパイアがとうとう白木の軛から逃れ距離をとる。
 最初の高慢さや余裕は吹き飛んでいたが、まだその目から闘志は失われておらず、いまは敵意と殺意の炎で満ちていた。
 だがその眼前に、それを上回る熱量の劫火の巨人が立ち上がる。
 

苦戦 🔵​🔴​🔴​

クロウ・タツガミ
他猟兵と連携

【POW】

これ以上長引かせる理由もない、さて、止めと征くか

【戦闘知識】を用いて戦う。まずは、【力を溜め】て【先制攻撃】として【祟神ノ縁】を【投擲】しよう、命中すれば【怪力】と【ロープワーク】で【黒い縄】を引き、縄ごと【地形を利用】して地面に叩きつけるつもりだ

これからは、ただの殴り合いで十分だ

サカホコ(ハルバート)で【2回攻撃】で連戦で出来た【傷口をえるように】攻撃する。突いて、斬って、殴打してと容赦する理由もない。

さて、頭を潰せばヴァンパイアとて命はあるまい?


護堂・結城
強敵ってだけで不死でも不滅でもないんだ
…ここで終わらせてやる

【POW】

氷牙を両拳のガントレットに変更
尻尾(装備)も使った【グラップル】を仕掛ける

敵の契約書は【見切り+オーラ防御+衝撃波】で触れずに弾くのを狙う
命中させられても油断したところを雪見九尾の憤怒の尾で構わず強打
【呪詛耐性+激痛耐性+覚悟】

「傷を恐れて竦むなら始めから吸血鬼に挑むかよ」


一度目の攻防で散らした劫火の剣を集め『雪見九尾の闘気の尾』を発動
劫火の巨人を召喚
【2回攻撃+属性攻撃+怪力】を使った両拳で殴りつける

「言ったろ『全てを束ね』返すってな」

王だと偉そうな吸血鬼は民に反乱起こされて死ぬのも『らしい』だろ
死の恐怖、しっかり味わいな



「言ったろ『全てを束ね』返すってな」
 巨人の前にたつ護堂が氷牙の変じたガントレット同士を打ち付けて、まだ終わっていないと宣言する。
「お前たちは不死でも不滅でもない。頭を潰せばお前らでも死ぬだろう。『其は立ち有りて、即ち其は祟りなり、縁を戒めへと』」
 言うやいなやクロウがマガホコを投げる。風雷堂が戦っている間に蓄えた力による投擲は、既に一度穴が空いていたこともあって容易にヴァンパイアを貫通した。
「……!!」
 もはやヴァンパイアの口からは悲鳴も出ることはなく、虎落笛のような音をたてるだけだ。それでも慈悲をかけることなどしない。回復すればまた住民を糧としてこちらの害になる。
 ヴァンパイアとクロウの間を鎖が繋ぐ。両者がそれを握って引き合い、一瞬だけ拮抗するも両腕の壊れたヴァンパイアに抗う術はない。
 クロウの怪力により、軽々と宙に舞うヴァンパイア。そして空中で動きがとれないヴァンパイアを、巨人が殴り落とした。
 クロウと護堂の間に言葉はなかったが、そんなものいらないほどの以心伝心による完璧なコンビーネション。地面と巨人の拳の間に挟まれひしゃげる敵を、二人は見下す。まだ終わっていない、殺すまでやる。その意思を乗せて。
 そこからは、単純な作業だった。巨人が殴る。両の手を使って。打ち下ろす。
 そして巨人が次に殴るために腕を引いてる間にクロウがハルバードで穿ち、切り落とし、傷口を広げていく。
 単純ながら息の合っていないと出来ない戦い方。護堂の攻撃が少しでもずれれば、あるいはクロウが引くのが少しでも遅れれば、攻撃に巻き込まれて重大な怪我をするかヴァンパイアに反撃の隙を与えることになる。
 ひたすら地面とはさみ続け、土埃や破片などでヴァンパイアが見えなくなる。それでも手応えでそこにいることはわかっている。
 ひたすらに攻撃を続け、やがてその手応えがなくなった。と同時、二人がたっている周囲の大広間の床がついに耐えきれず、崩落する。
 
 その瓦礫の中には、もはや原型を留めていないヴァンパイアだったものしかいなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月28日


挿絵イラスト