「貴殿らは『なまはげ』という、羽後国・男鹿半島の行事をご存じであろうか?」
月殿山・鬼照(不動明王の守護有れかし・f03371)が言った『なまはげ』とは、現在でいう秋田県・男鹿市を中心とした伝統的な民俗行事である。大晦日の夜、村の若い衆が鬼の仮面と蓑で来訪神の仮装をして、家々を巡って厄払いをしたり、怠け者を諭したりするのだ。
『なぐ子はいねが~』
『なまけものはいねが~』
等ど叫びながら鉈を振り上げ、家々に押し入る姿を報道映像などで見たことのある者も多いだろう。
「この祭祀に猟兵も参加しないかと、とある村で誘われましてな」
現在、サムライエンパイアではレディ・オーシャンが出没している。そんな中での神が村に降りてくるという設定の祭祀であるから、村人も少々不安になったらしい。猟兵に参加してもらえば、村人も安心ということだろう。
「参加を請われている村は、男鹿半島の中でも海辺にあり、漁業を主産業としてござる」
海が近いので雪はそれほど多くないが、日本海から吹き付けてくる風は、それはそれは冷たい。
「なまはげへの参加方法は、二種類ございます」
ひとつめは、もちろんなまはげ役。村の若い衆と共に村の家々を回り、厄払いをしたり、人々を諭したりする。なまはげ役は、村の奥にある神社に集合し、そこでお参りをして衣装をつけ、神へと変身する。行く先々の家で、お酒やごちそうを勧められるので、それを食べてもよい。
ふたつめの方法は、庄屋さんの家にお邪魔して宴会に加わり、なまはげの来訪を待つ側になることだ。郷土料理の『石焼鍋』を出してくれるそうだ。暖かい囲炉裏端でごちそうや酒を頂きながら、村人と交流できる。
「伝統のある祭祀に参加しつつ、村人へ安心感を与える。これぞ猟兵にふさわしい新年の迎え方と存じますが、いかがでござろうか?」
ちなみに鬼照は、もちろんなまはげ役に加わる予定だ……何しろ素でやれるので。
小鳥遊ちどり
猟兵の皆様、今年もご愛顧いただきまして、誠にありがとうございました。
新年というよりは年末企画ですが、『なまはげ』はいかかですか?
●参加方法:どちらかを選んでください。
1)なまはげ役。村の若い衆と共になまはげになって村の家々を回ってください。
お面と衣装、小道具は貸してもらえます。
村の若い衆は5人います。人数にもよりますが、何チームかに手分けして回ることになるかと思います。
2)庄屋さんの家で宴会しつつ、村人と共になまはげを待つ係。
食べたいもの等があれば書いてみてください。
※どちらもお酒は二十歳になってから。
●複数人で参加の場合は、お仲間の名前やID、グループ名を明記のこと。
●ちなみにレディ・オーシャンは出ませんので、安心してなまはげを楽しんでください。
●鬼照はなまはげ役で参加します。ご用命の際はお気軽にお声がけください。絡まなくても全然構いません。
大晦日の行事なのにギリギリスタートで申し訳ありませんが、小正月にやる地域もあるそうなので、ゆっくり出してくださって構いません。どうぞよろしくお願い致します。
第1章 日常
『サムライエンパイアの冬を楽しもう』
|
POW : 体力の限りを尽くし、力いっぱい、サムライエンパイアの冬を楽しむ
SPD : 遊びに参加したり、料理や作品を作ったり、クリエイティブに冬を楽しむ
WIZ : 恋人や友達と一緒に、サムライエンパイアの冬を幸せに過ごす
👑5
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
香神乃・饗
誉人f02030と
月殿山さんがなまはげっすか!行くっす!
はいはい!ここに悪い子が居るっす!(両手ぶんぶん振り目を輝かせ
なまなまはげっす!(きら
かっこ…ど迫力っす!(きら
にゃー!怖いっすー!(楽しそう、誉人の後ろに隠れよう
へへへ、これからも宜しくっす!(握手
月殿山さんとも一緒に鍋
石狩鍋ってどんな鍋っすか?
鮭っすか美味しそうっす!(きら
ほわ、あったまるっす!(ほくほく
楽しい一年だったっすか?
誉人と一緒に色んな物を食べたっす
色んな人と出会ってご縁を繋いだっす月殿山さんとも繋いだっす!
誉人、この鮭いけてるっす!取り分ける
っす!まだまだ食べるっす!
鍋は良いっす!色々話して笑顔になるっす!
楽しいっす!
鳴北・誉人
饗f00169と
鬼照サンがなまはげ?見に行くしかねえ!
ハイ!ココ!ワルイ子いるー!(両手ぶんぶん振ってアピール
なまはげ鬼照サン!かっけえ!(きら
俺に隠れる饗と笑い
これからもよろしくねェ!(めっちゃゴキゲン
鬼照サン、鍋食おう!
石狩鍋…?石焼鍋?石川鍋?ん?どんなのなン?
興味津津に鍋の様子を観察
「ねえ鬼照サン、どんな一年だったァ?
俺はねェ、めっちゃ楽しかったよォ
饗と一緒にいろいろ回れたし
今だって、鬼照サンと一緒に鍋食えてる!
大事な友と飯を食うというのは、本当に幸せなことだと改めて感じることが出来た
すげえ幸せだった
饗から鍋の具を取り分けてもらって食う
これからもいっぱい美味いもん食いにでかけよォな!
森永・吟路
(2)
お嬢様(森永蝶子・f22947)と参加
お嬢様、こちらがこの地方の名物、石焼鍋でございますぞ!
しかしここは暑いですなぁ……(溶けだす)
まぁ溶けても≪原点回帰(チョコレートモード)≫で復活するのですが……
途中からお酒飲みだす、冷酒を飲みまくる
熱燗を進められると美味しいと飲みつつ内部から溶ける
なまはげが来たら敵だと思ってお嬢様を護る
「お嬢様、御下がり下さい! 鬼はこの吾輩が! わがはいがぁぁぁ……」
鍋の上に立ってたので、そのまま溶けて鍋の中へ、チョコレートフォンデュと化す
あと、なんかちどりMSが思い付くボケをやらせてやって下さい
溶けても復活するので身体張ったボケも大歓迎
アドリブももちろん大歓迎
森永・蝶子
2
キョロ(森永吟路・f22948)と
暖かい囲炉裏端でいただく美味しいお食事とお酒!
これは…いつ殺人事件が起きてもおかしくない展開ですわ!
油断大敵
しっかりと気を引き締めて…で、このお鍋は何といいますの?
キョロ
今度、うちの夕食でも作って…
あら?返事がないですわ
まさか…
やはり!溶けてますわ!
貴方お鍋から離れなさい!チョコ鍋にする気ですか!
なまはげが来たら犯人だと思いこんで成敗する気満々
わたくしの目が黒いうちは事件など起こさせま…
ちょっと、キョロ!邪魔です!
きゃぁぁぁ!美味しいお鍋がチョコフォンデュに…!
キョロ!貴方の命をもってお詫びなさい!
(なまはげに向かって投げる
アドリブ歓迎
酒も飲めます
「石狩鍋……? 石焼鍋? 石川鍋? ん? どんなのなン?」
「え、鍋? 鍋作るんっすよね? これ、桶っすよね?」
香神乃・饗(東風・f00169)と鳴北・誉人(荒寥の刃・f02030)は、土間に運ばれてきた桶を見て首を傾げた。大き目の湯桶くらいの大きさだ。
「まぁ見てなさいよ」
庄屋は笑って秋田杉で作った桶の中に、サケに貝類や名物のハタハタなどの魚介、冬に美味しい根菜や芹などの野菜をどんどん入れていった。そして最後にたっぷりと冷たい味噌味の出汁を注いだ。
「え? 冷たい出汁? これを火にかけるンか?」
「桶を火にかけたら燃えちゃうんじゃ……?」
ふたりの頭が???でいっぱいになった時、
「ほーい、石が焼けたで~」
ガラリと戸を開けて、庄屋の息子が外から入ってきた。その手には火ばさみで挟んだこぶし大の石。
「ほう、こりゃよく焼けとる」
「丁度雪が弱まってくれとったから、熱々だぁ」
「な、なんすか、この石?」
「真っ赤に焼けてんじゃねーか!」
息子が持ってきた石は、外の焚火でまっかっかに焼いてきたものなのだ。
「さあ、いくど」
目をまん丸くしている猟兵男子2人の前で、息子は庄屋が用意していた桶に、石を突っ込んだ。
じゅわああああぁぁぁぁ……。
桶からは白い湯気が一気に立ち上り、味噌出汁がぐつぐつと煮えたぎった。
「え、何これ、何!? とりあえずすげーいい匂いするンだけど!」
「もしかして、石の熱で具に火を通すんすか!?」
その通り、と庄屋親子は笑った。
石焼鍋は男鹿地方の漁師料理。元は漁から戻ってきた漁師たちが、砂浜で火を焚いて暖を取りながら作っていたという。400℃にも熱した石で一気に火を通すので、海鮮具材は鮮度が高いまま身が一気に引き締まるのだ。
「豪快な料理もあるもんだぜ」
「びっくりっす」
と、ふたりが感心しつつ、鍋の仕上がりを待っていると。
うお~、うお~。
なぐ子はいねが~。
なまけものはいねが~。
野太い叫びが遠くから聞こえてきた。こちらに向かっているようで、段々近づいてくる。
「あっ、なまはげが来たぜ!」
「自分ら、迎えに出てくるっす!」
饗と誉人は外へと飛び出した。
「おや、なまはげを迎えにいっちまうとは」
「寒いのにわざわざ。さすが猟兵さんは勇敢だなぁ」
庄屋親子は感心した様子で饗と誉人が飛び出していった木戸を見やった。
そこへ、
「この桶は吾輩が運びましょう」
申し出たのは執事っぽい黒のお仕着せを着たチョコボ……もとい、丸っこいチョコレートのペンギン、森永・吟路(愉快な仲間のフードファイター・f22948)であった。
吟路はぐつぐつ言っている桶をよっこいしょと持ち上げると、慎重に囲炉裏の傍へともっていく。
そこには、
「お嬢様、こちらがこの地方の名物、石焼鍋でございますぞ!」
「まぁ、美味しそうですわ!」
彼が仕える森永家の一人娘、森永・蝶子(ハイカラさんの猟奇探偵・f22947)が、庄屋の家で一番ふかふかの座布団に座って待っていた。
「なまはげが来るまで、もう少しかかりそうだがら先にやってっぺ」
庄屋も囲炉裏端にやってきて酒器を配り、石焼鍋の中身をよそいはじめた。
「さ、猟兵さんたちも遠慮せんで飲んで食ってくださいよ」
「おっとっと、ありがとう存じます。それではいただきます」
吟路も酒も宴会も嫌いな口ではない。というか、積極的にお好きな口である。大振りのぐい飲みに冷や酒を注がれて、まずはきゅっと。
「これは美味しいお酒ですな!」
「熱燗も旨いだよ」
「ほう、では熱燗も頂いてみるとしましょう……ほう、こちらも乙なものですな。しかしここは暑いですなぁ……」
囲炉裏に石焼鍋、おまけに熱燗であるから、そりゃ暑いだろう。
蝶子の方も、お酒に出来立ての鍋、いぶりがっこなどを勧められるまでに口に入れてご満悦……なのだが。
「暖かい囲炉裏端でいただく美味しいお食事とお酒! これは……いつ殺人事件が起きてもおかしくない展開ですわ! 油断大敵」
無駄に事件を求めてしまうのは、猟奇探偵のサガというものか。
「しっかりと気を引き締めて……それにしてもこのお鍋、美味しいですわね。キョロ 今度、うちの夕食でも作って……あら? 返事がないですわ」
見れば、吟路は囲炉裏と石焼鍋と熱燗の熱によりでろでろに溶けかけていた。
「まさか……やはり! 溶けてますわ! 貴方お鍋から離れなさい! チョコ鍋にする気ですか!」
溶かしチョコレートとなってしまった吟路は、鍋どころではなく、囲炉裏にまで流れ込みそう。
「(まぁ溶けても【原点回帰】で復活するのですが……)」
お嬢さまの命令には逆らえない。吟路はでろでろと温かな囲炉裏から離れ、冷たい土間へと降りた。
一方、庄屋の家の外で、なまはげの到着を待つ、饗と誉人の方は。
うお~、うお~。
悪い子はいねが~。
なまけものはいねが~。
弱まった吹雪の向こうから、鬼の集団が近づいてくるのを、今か今かと待っている。
「はーい、ここに悪い子が居るっす!」
「ハイ! ココ! ワルイ子いるー!」
饗と誉人は、両手をぶんぶん振って鬼に向けてアピールした。
「おおっ、すげっ、なまはげこえー……あっ、鬼照さん見つけたっす!」
「なまはげ鬼照サン! かっけえ!」
目をきらきらしてなまはげを出迎えたふたりに、鬼の集団に加わっていた鬼照は苦笑せずにはおれない。
「鬼神に向けて悪い子と名乗り出るとは、おふたりとも随分大胆でござるな」
面と蓑は一応つけているが、角は自前だ。
「あっ、しまった、鉈で削がれちゃう~……にゃー! 怖いっすー!」
饗は誉人の背中に隠れ、
「今更でござるな」
3人は陽気に笑う。
「鬼照サン、鍋食おう! ちょうど、石焼鍋っての作ってもらったとこなんだ。一緒に食おうぜ」
「それは良いですな。しかし、なまはげとしての役目を果たしてからでござる」
と、鬼照含むなまはげたちが、
うお~、うお~。
悪い子はいねが~。
なまけものはいねが~。
どかどかと庄屋の家に踏み込むと。
「わたくしの推理の通りですわ! 犯人が現れましたわね!」
囲炉裏の傍で赤い顔の蝶子がすくっと立ち上がり、なまはげたちを指さした。幾らか目が据わっているような。
すかさず忠実なる執事の吟路はお嬢様を守るべく、体を冷やしていた土間から小さな翼をぱたぱたさせて飛び上がった。
「お嬢様、御下がり下さい!」
「わたくしの目が黒いうちは事件など起こさせま…… ちょっと、キョロ! 邪魔です!」
「鬼はこの吾輩が! わがはいがぁぁぁ……」
じゃぽん。
吟路が着地したのは、よりによって石焼鍋の桶の中……!
「きゃぁぁぁ! 美味しいお鍋がチョコフォンデュに……! キョロ! 貴方の命をもってお詫びなさい……あつうっ!」
蝶子は執事のやらかした粗相に動転し、反射的に熱々の鍋に手を突っ込んでチョコレートゲル状態の吟路をつかみ上げ、なまはげに向かって投げた!
なまはげたちは、庄屋の家に入るなりの珍事にぽかーんとしている。
「あ……あぶねえっ!」
「なまはげが火傷するっす!」
ぶんなげられた熱々のチョコレートゲルを体を張って受け止めたのは、誉人と饗であった。
びったーーーーん!
「「あっちーーーー!」」
――カオス状態を何とか収集し、饗と誉人となまはげたちも、やっと石焼鍋にありつくことができた。
「ほわ、あったまるっす! ……誉人、この鮭いけてるっす! 取り分けるっす! まだまだ食べるっす!」
「食う食う!」
豪快に調理された魚介は、ぷりぷりでことの他旨い。庄屋の家のものも、なまはげたちも、何とか復活した蝶子と吟路の主従も、皆でひとつの鍋を分け合って美味しそうに食べている。
「鍋は良いっす! 色々話して笑顔になるっす! 楽しいっす!」
誉人はふとお椀から顔を上げて、鬼照の方を見た。
「ねえ鬼照サン、どんな一年だったァ?」
「色々あった一年だったでござるな……」
猟兵としての厳しさと喜びがやっとわかってきた気がする、と鬼照は答えた。
だよなぁ、と誉人は頷いて。
「でもねえ俺はねェ、めっちゃ楽しかったよォ 饗と一緒にいろいろ回れたし 今だって、鬼照サンと一緒に鍋食えてる!」
大事な友と飯を食うというのは、本当に幸せなことだと改めて感じることが出来、幸せをかみしめた一年だった。
「俺も誉人と一緒に色んな物を食べられて、めっちゃ楽しかったっす!」
饗も頷いた。
「色んな人と出会ってご縁を繋いだっす。月殿山さんとも繋いだっす!」
猟兵の仕事は、縁をも結ぶのだと、3人はしみじみと感じていた。サムライエンパイアの破滅を救っていなければ、今夜なまはげに招かれることも、こうしてにぎやかに村人たちと郷土鍋を囲むこともなかったのだから。
誉人は椀をおいて、笑顔満開の友の肩をゴキゲンで抱き寄せた。
「これからもいっぱい美味いもん食いにでかけよォな!」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ケイ・エルビス
アレンジ連携歓迎
鬼照となまはげ役
村の若い衆と神社に集合しお参りをしてなまはげに変装
鉈を振り上げ大声と鬼気迫る演技で家々を巡って
厄払いをして鼓舞したり
怠け者の子供を中心にコミュ力で
親の日頃の労をねぎらい家族や村全体で助け合い支え合う大切さ
将来親御さんを支え楽をさせてやれる芯の強い人間になれるよう
厳しくも優しい声色や動きで一芝居うって若者たちと諭す
「なぐ子はいねが~!」「なまけものはいねが~!」
伝統のある祭祀に猟兵として参加し村人へ安心感を与えるぜ
家々で地元のお酒やご馳走を勧められるらしいから
オレには珍しく興味のあるものばかりだしありがたく頂こう
「猟兵のなまはげを退けたんだ。皆ガッツあるぜ♪」
夜が更けるにつれ吹雪が強まってきたが、鬼神の集団はそれをものともせずに村をのし歩いている。
「石焼き鍋、旨かったな」
「温まり申した。ありがたいことでござるな」
なまはげチームの中には、ケイ・エルビス(ミッドナイト・ラン・f06706)も混じっていた。彼も鬼照やなまはげ仲間と共に、庄屋の家で石焼き鍋をはじめとするご馳走と、少々の酒をいただいてきたところだ。
「地元のものはいいよな。オレには珍しく興味のあるものばかりだった」
鍋と酒のおかげでほどよく身体も温まっているし、テンションも上がっている。ここからのなまはげ活動も張り切ってやれるというものだ。
「猟兵さん方、次はあっこの多助さの家に行くでな」
なまはげリーダーの若い衆が、酷くなってきた吹雪越しに指した家は、庄屋の家ほどではないが大きな家だ。
「網元の家だすけ家族も多いし子供もいっぱいいるで、思う存分怖がらしてくれて構わねえ」
特に末の弟が甘ったれで困っているのだ、と言ったのは、なまはげチームの一員である多助宅の次男だ。
「遠慮なく気合い入れてやってくだせえ」
なまはげチームとは神社で準備をするところから一緒なので、大分気心が知れてきている。
「よっしゃ、引き受けた!」
ケイが威勢良く受けたのを合図に、なまはげチームは雄叫びを上げて多助宅に突進した。
うおおおおお~!
なぐ子はいねが~!
なまけものはいねが~!
乱暴に引き戸を開けるバーンという音も、どしどしと床を踏み鳴らす音も厄払いなのだが、子供たちにはそれすら恐ろしい。なまはげが家内に姿を表すなり、ぎゃーーーっ、と悲鳴を上げて逃げ惑ったり、大人の陰に隠れたり。
なるほど言われていた通り、子供が多い。赤児も入れれば6人もいる。
「(あの子が甘えん坊な末っ子だな)」
ケイは6、7歳くらいに見える男の子に目をつけた。母親らしき中年女性のふくよかな胸に顔を埋め、泣きわめいている。
「おい、泣き虫坊主!」
鉈を振り上げ、大声を張り上げて、鬼気迫る演技で少年に迫る。
「怠けないで、家の手伝いしてるか!」
してるしてる~! と少年は叫んだが、先ほどの兄貴の言い分からするとあまりしてはいないだろう。
「嘘吐け! 甘えてばっかりいるんだろう! 親や村の人と助け合えない怠け者は、ナモミ剥いでしまうぞ!」
『ナモミ』とは囲炉裏にばかり当たっている怠け者にできる、火ダコのこと。『ナモミ』を剥ぐ者が訛って、なまはげとなったと伝わっている。
うわあああ、ごめんなさあい、と少年は半狂乱で泣いた。
ケイはすかさず声色や話し方をソフトにし、持ち前のコミュ力を発揮して。
「これからは、甘えてばかりじゃなくて、家の手伝いをできるな?」
「する~! するから~! ごめんなさい~!!」
少年が充分反省した頃には、多助宅でも石焼き鍋や酒の準備ができていた。
ケイも鬼照も、鬼の面をつけたままお相伴にあずかる。彼らが猟兵であると見て、家長である多助がお酌にやってきた。
「猟兵さん方のお陰で、今年も無事になまはげが執り行えまして、ありがとさんでした。これで安心して新年が迎えられるっつーもんです」
ケイは大ぶりのぐい飲みに並々と酒を受けながら、ちょっとだけ鬼の面を持ち上げ、ニッ、と多助に笑いかけた。
「こんな時期でもなまはげを執り行うガッツがあるんですから、この村はきっと大丈夫ですよ♪」
大成功
🔵🔵🔵