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ハック・アンド・クラッシュ!

#アポカリプスヘル

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#アポカリプスヘル


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「まーた絵に描いたような野盗どもがいるもんねぇ、アポカリプスヘルって……」
 グリモア猟兵、白鐘・耀はうんざりとした顔で言い、頭を振った。
 予知の光景がよほど"らしい"ものだったのだろう。ため息をつきつつ説明する。
「てなわけで、あんたたちにはアポカリプスヘルの盗賊どもを退治してほしいわ。
 あの世界の流儀に倣うなら"レイダーズ"ね。人たちをさらって奴隷にしてるみたいね」
 さらに限りある物資を略奪し、私腹を肥やす。まさに後先考えない野盗の群れだ。
 しかし耀が予知した連中は、辺り一帯を締めるだけの規模を誇っているらしい。
「不敗無敵団(アンブレイカブルズ)とか、かなりIQ低い名を名乗ってるみたい。
 ま、所詮は奪って殺すしか能のないオブリビオンどもよ。さっさと始末するに限るわ」

 ただし、と耀は前置きした上で、こう続けた。
「連中の拠点はいくつもあって、どこが本拠地なのかまではわからなかったの。
 怪しいところは何個かリストアップ出来たから、まずはそれを偵察してほしいわ」
 アンブレイカブルズはアポカリプスヘルのとある地方に拠点を構えており、
 ダミーやセーフハウスを兼ねた小規模なアジトをそこら中に用意しているのだ。
 転移した猟兵たちの最初の仕事は、手分けしてのアジト群の強行偵察となる。
「禍根を断つためにも、巣穴は徹底的に潰したほうがいいでしょうね。
 とにかく本拠地を見つけたら、あとは連中を根こそぎ始末すればいい……ん、だけど」
 耀は片目を瞑り、思案する。気になるのは囚われた人々……奴隷とされた人たちだ。
「今後あの世界を復興するには、現地の人たちは出来るだけ無事に助け出したいわ。
 雑魚相手には、奴隷にされた人達をある程度かばいながら戦わないとでしょうね」
 敵はそこを突いてくるだろう。本拠地ということで地の利もあちらにある。
 しかし、徒党を組んで悪事を働く連中など、猟兵にかかれば鎧袖一触だろう。
 完膚なきなまでに叩き潰せば、奴隷となった人々も武器を執り戦ってくれるはずだ。
「そうなったら、あとはなんとか団の頭をぶっ潰して仕事は終わりよ。
 こうやって少しずつオブリビオンを倒してくことで、あの世界も何かが変わるかもね」
 巨視的に見れば小さな悪。それでも、人々を苦しめる存在には変わりない。

 めぼしい拠点の候補座標を一同に伝え、耀は火打ち石を取り出した。
「年末で休みたいとは思うけど、後腐れないようにかっちりしっかり頼むわよ?
 ま、あんたたちならやれるわ。私が言うんだから間違いないわよ。頑張んなさい」
 そう言って、カッカッと火打ち石を鳴らす。
 それが、転移の合図となった。


唐揚げ
 餅です。年の瀬ですがとりあえずモヒカンぶっとばしましょう。
 なお、今回のシナリオはプレ採用についてちょっと特記があります。
 以下のシナリオまとめと詳細を、忘れずにご一読ください。

●シナリオの目的
『レイダー"不敗無敵団"のアジトを探し出し、殲滅する』

●各章の概要
 1章:『強行偵察任務』(冒険)
 アポカリプスヘルのとある地方に点在する、レイダーのアジトを強行偵察する。
 アジト候補はいくつも存在するため、それぞれ手分けして当たることになる。
(章移行時点で本拠地が見つかった、という扱いになります)
 2章:『レイダー』(集団戦)
 おおよそモヒカン。周辺住民を誘拐して奴隷として酷使している。
 敵は奴隷に構わず攻撃してくるため、かばわなければ奴隷は余波で死亡する。
(奴隷は拘束されているため、戦闘には参加できません)
 3章:『サイバーレイダー』(ボス戦)
 自称・アンブレイカブルズのボス。雑魚を召喚したり強化外骨格で戦闘を行う。
 2章で奴隷たちをカバー出来ていれば、地の利を得て判定が有利になる。
(この章では奴隷たちも自己防衛出来るので、かばう必要はありません)

●プレイング採用について
 頂いた時点で在席していれば、リアルタイムでリプレイを執筆します。
(当方の電池が切れてたり急な用件があったりした場合は、都度断章で告知します)
 頂くタイミング次第ですが、普段より章移行は早くなります。ご了承ください。

 とまあそんな感じで、スピード重視なこと以外はオーソドックスなシナリオです。
 悪党ぶちのめしましょう。どうぞよろしくおねがいします。
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第1章 冒険 『強行偵察任務』

POW   :    実力行使で敵を力づくで排除し、調査する

SPD   :    スピードで攪乱したり、卓越した技術で敵を翻弄し、調査する

WIZ   :    科学技術や魔術などで敵を無力化し、調査する

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●アポカリプスヘル:アンブレイカブルズ・テリトリー
 遠く彼方にオブリビオンストームが巻き起こす、岩がちな荒野。
 起伏の激しい地形にはいくつもの洞窟や廃墟が存在し、潜伏にはうってつけだ。
 近辺に存在する拠点からは、男女を問わず若い人手が攫われているという。
 それがレイダーどもの仕業であることは間違いない。襲撃が必要だ。
 しかしそのためには、手分けしてひとつずつ拠点の候補地を強行偵察し、
 奴らの本拠地を見つけ出す必要があるだろう……。

 仮に本拠地でなかったとしても、そこにはレイダーが少数潜伏しているはずだ。
 また、略奪された物資などが保管されている可能性も高い。
 完全に壊滅させるためにも、小規模な隠れ家を潰すことには意義がある。
 はたして、猟兵たちは無事に本拠地を発見できるだろうか?
メイスン・ドットハック
【WIZ】
まずはその頭の悪い集団を見つけねばのー
虱潰しじゃけど、何とか見るかるじゃろーて

候補の拠点地に対して、離れたところから空間【ハッキング】して【情報収集】位置取り・敵の把握、物資や奴隷の把握などを務める
情報把握が完了したら、UC「月夜に跳梁跋扈せし銀狼」の人狼部隊にステルス状態で潜入して貰い、敵がいるところに【罠使い・破壊工作】を駆使した爆薬をセット
さらに物資や奴隷がいた場合は安全な場所に避難させる
そしてすべての準備が完了したら、設置した爆薬を起爆して一網打尽にする
万が一撃ち漏らしていても、電脳魔術によるミサイル【一斉射撃】や電脳レーザー砲ユニット「MIYOSHI」の浮遊砲撃で攻撃する



●強行偵察:担当者、メイスン・ドットハック
 メイスンが選んだのは、険しい山脈のふもとにある洞窟地帯であった。
 傍目から見てもわからないが、どうやらこのあたりの洞窟は地下で繋がっており、
 予想より大きなトンネル網を持つようだ。潜伏拠点には最適だろう。
「ふーむ……」
 岩陰に身を隠したメイスンは、電脳ゴーグルを装着し付近のスキャンを開始する。
 空間そのものに電脳魔術によるハッキングを行うことで、地形情報を収集。
 過去にこの付近を通過した生物がいれば(程度の差はあれど)探査も可能だ。
 もちろん、誰にでも出来ることではない。痕跡を探るには相応の技量が必須。
 しかし一流の電脳魔術士であるメイスンからしてみれば、朝飯前である。
「……なるほどのー」
 電脳ゴーグル越しの視界には、いくつもの人影の痕跡が浮かんでいた。
 明らかに武装した身なりの男性集団が複数名。レイダーと見て間違いない。
 メイスンは現実空間に痕跡をシルエットとしてAR投影、データ追跡を開始する。
 レイダーたちはなにやら会話しながら洞窟へ移動していたらしい。
 歩行速度から見て、かなり大型の荷物を運搬していたようだ。
 土地勘がなければ遭難必至の洞窟トンネルも、スキャンデータが導いてくれる。
 はじめは手つかずの天然洞窟が続いているが、しばらく下っていくと、
 やがて明らかに人の手が入った形跡。もはや電脳魔術に頼るまでもない。
「当たりだと楽なんじゃがのー」
 呟きつつ、メイスンは新たな電脳プログラムの調整に着手した。

 ……洞窟トンネルに密かに用意された、隠し扉の先。
「ヒヒヒッ! まったくラクなもんだよなぁ!」
「あいつらがどんだけ武装しても無駄だよ。なにせ俺らは――」
「「「不敗の無敵団なんだから、な!」」」
 ロウソクが照らす暗い岩窟のなか、うだつのあがらぬ野盗どもが嗤笑した。
 奴らの視線の先には、拠点から略奪されてきたであろう食料の山。
 なんたる悪辣。これでは人々は餓死を避けられないだろう……!
「どうせこれだけあるんだ、本部に運ぶ前に少しくらいつまんでもいいよな?」
「おいおい、親分にバレたら殺されるぜぇ?」
「とか言いつつ、アルコールをくすねてんじゃねえか。食えないやつだぜ!」
 げらげらと笑う野盗ども――奴らは、とんと気付かない。
 実は岩窟にはすでに、ステルス状態の人狼工兵部隊が潜入していることを。
(敵はこれだけかのー。当たりではなかったようじゃが、まあ吹き飛ばしとくけー)
 遠く別地点。工兵部隊から送られてくる映像を確かめたメイスンは、
 躊躇なく爆薬のスイッチを入れた。……トンネルが揺れる。爆音と悲鳴!
 食料を傷つけないよう威力を抑えられた爆薬は、何知らぬ野盗どもを吹き飛ばし、
 密かに築かれつつあったトンネル内の拠点を木っ端微塵に吹き飛ばした。
 電脳工兵部隊に運搬を任せれば、食料のほうも問題ないだろう。
「さて、それじゃあ次の拠点に行くかのー。めんどいが仕方ないのー」
 さっさと仕事を片付けることがサボるための最適手段である。
 メイスンは次なるアジト候補に向かうため、その場を離れるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルトリウス・セレスタイト
速やかに発見してしまうべきだろう

界離で全知の原理の端末召喚。魔力を溜めた体内に召喚し自身の端末機能を強化
「戦う」相手はアポカリプスヘルという世界
情報を直に拾い上げ未知を既知とし本拠地を特定する

より精度を高めるため『天光』も併用
候補の地点を速やかに走査
内部の構造や人員、装備備蓄その他必要な情報を集め味方猟兵へ伝達
どうせなら全て潰し禍根を断つ道もありだろう

特定したら手近な拠点を速やかに襲撃
『絶理』『刻真』で自身を異なる時間に置き敵からの攻撃を無視
界離の機能を時の原理に切り替えての固有時加速から打撃で速やかに制圧する

適度に潰したら本拠地に

※アドリブ歓迎



●強行偵察:担当者、アルトリウス・セレスタイト
「……世界が変わろうと、クズのやることは代わり映えしないな」
 周辺地形の走査を終えたアルトリウスは、無表情のまま呟いた。
 呆れることすら勿体ない。オブリビオンというのはどこまで度し難いものだ。
 ゆえに、徹底的に叩き潰す。ただの一つも拠点を残しはしない。
 ……彼が担当したのは、相当昔に打ち捨てられた廃墟であった。
 なんらかの研究施設だったと思しきその建物は、地下施設が建造されており、
 連中はそれを利用して略奪した物資を溜め込んでいるらしい。
 厄介なことに、施設の警備システムはいまだに生きている。
 どうやったかは知らないが、レイダーどもはシステムすら利用しているのだ。
「他の奪還者ならばともかく――俺を、この程度のセキュリティでは止められん」
 アルトリウスは呟き、周囲に展開していた原理を自己に収束させる。
 見た目には何も変化はない、せいぜい彼の双眸の青い輝きが強まった程度か。
 しかし直後、その姿が一瞬にしてかき消えた。
 自らを異なる時間軸に置くことで、物理法則を凌駕したスピードを獲得したのだ!
 ガコン――展開した機銃タレットを燐光の魔弾で無音のままに破壊。
 一歩、二歩。思考速度で駆けるアルトリウスを隔壁で妨げることはできない。
「な、なんだ!? 敵襲――ぐわっ!?」
 目ざとく彼の襲来に気付いた見張りを一撃で昏倒させる。
 術式を使ってやる必要すらない。武装していようが徒手空拳で十分だ。
 騒ぎを聞きつけ、錆びた警備ロボットとともにレイダーどもが現れる……が!
「あいにくだが、お前たちと遊んでいる暇はない。一気に片付けさせてもらう」
「ほざきやがれぇ! おい野郎ども、やっちま……ぐぇっ!?」
 SMASH!! 一瞬にして間合いを詰めたアルトリウスの蹴りが野盗を文字通り一蹴!
 回転速度を載せた拳で周囲の敵三体を叩きのめし、警備ロボットをストンプ破壊!
「……ありきたりな台詞を吐いてる暇があるなら、さっさと構えればいいものを」
 埃を払い、アルトリウスは言った。周囲の敵はすべて倒れている。
 ここにはどうやら、拠点から略奪された武器弾薬が集められていたようだ。
 本拠地を制圧する際、奴隷たちに手渡すための物資となるだろう。
 ここは当たりの場所ではなかったが、奪取したことは大きな利を生むはずだ……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フローラ・ソイレント
WIZ判定

・行動
アジトの一つを急襲して敵の動きを止め
連絡や逃走される前に無力化
本拠地の手掛かりを探る


・セリフ
「急襲時」
ノウマク サンマンダ バザラダン、カーン!
(真言を唱えながら地面に引き寄せる気とはじく気の両方を叩き込む)

両極の異なる気の相克によりお前たちは動くことはできない
これが磁極流、不動金縛(アチャラナータ)だ

「調査時」
誰も彼もが簡単に簡単に奪い貪る……
力による支配の構造を変えらると良いのですが
そう簡単に冴えたやり方は見つからないですね
今は一つ一つ私たちにもできることをやっていきましょうか



●強襲偵察:担当者、フローラ・ソイレント
 ……SMAAAAASH!!
「ぐえっ!!」
 顔を腫らしたレイダーが地面と平行に吹っ飛び、岩壁に激突しうなだれた。
 吹っ飛んだ速度と轟音から見て、全身の骨がバラバラに砕けただろう。即死だ。
「な、なんだこの女……でたらめに強ぇ!?」
 ここは拠点候補のひとつ、山間に築き上げられた急ごしらえのアジトだ。
 自然に溶け込むようにして巧妙に隠された、中規模の隠れ家……"だった"。
 もはやそれは過去の話だ。なにせ、たったひとりの襲撃者が全てを破壊している。
 それこそが、フローラ……謎めいた活殺拳を操る黄泉還りし戦士なのだ!
「くそっ、おい逃げるぞ! 親分にこのことを報告――」
「……ノウマク・サンマンダ・バザラダン、カーン!」
「ぐっ……!?」
 不利を悟ったレイダーズは、踵を返してアジトから退却しようとした。
 しかし、動けない! あの女……フローラによるなんらかの能力か?
 当の彼女は、その場で謎めいた真言を唱え、地面を殴りつけただけである。
 ただのそれだけで、周囲の敵は足を上げることすら出来なくなってしまった!
「そうはいかん。オレがここに来た以上、お前たちは誰ひとりとして逃さない」
 恐怖に顔をこわばらせるレイダーズに対し、フローラははっきりと言った。
「な、なんだ? お前、一体何をしやがった!?」
「両極の異なる気の相克。引き寄せる気と弾く気の両方を叩き込んだのだ。
 ……これが磁極流、不動金縛(アチャラナータ)だ。冥土の土産に憶えていけ」
 身構えたフローラの肩から陽炎めいたオーラが立ち上り、筋肉が緊張した。
 そう、人々は知っている。彼女の名を。その恐るべき活殺拳の名を。
「悪も病もブッ飛ばす! それがこのオレの力――磁極流活殺拳の真髄だっ!!」
 再び両掌から電磁場が迸る。レイダーズの絶叫と轟音が響き渡り……。

 ……がらがらと音を立て、巨大なアジトが崩れ落ちていく。
 ここは奴らの本拠地ではなかった。だが、大きな痛手になるだろう。
 予知では把握されていなかったいくつかの座標を、フローラは入手している。
「誰も彼もが簡単に奪い、貪る。力による支配の構造そのものを変えねば……」
 土煙をあげる残骸をみやり、フローラは静かに呟いた。
「……いまはひとつひとつ、出来ることをやっていくしかありませんね」
 そしてゴッドハンドは次なる戦場へ向かう。悪党どもをぶちのめすために!

大成功 🔵​🔵​🔵​

鳴宮・匡
廃墟のあたりを調査しよう
少し離れた場所からまずは外観を調査
同時に物音を聞き分けて近辺に留まる敵の人数を把握

まずは中心から離れた相手――浮いた駒から殺っていくよ
単独~二名程度で行動しているやつから狙って数を減らす
十分な距離を取って狙撃が一番面倒がないな
丁度それに適した武器もある

初動で十分に数を減らせるか
あるいは相手がこちらの存在に気付くか
いずれかの状況に至ったら強襲に移行するよ
やることはさして変わらない
いつもの得物でいつも通りに殺すだけだ
反撃されるかどうかの違いくらいだな
当たってやるつもりもないけどさ

奪ったやつは奪われるのが道理だぜ
死にたくないなら大人しくしてるべきだったな?
……ま、もう遅いけど



●強行偵察:担当者、鳴宮・匡
 匡がやってきたのは、元は医療施設だったと思しき廃墟であった。
 この手の建物はアポカリプスヘルのあちこちに存在する。
 ほぼ確実に略奪に遭っており、薬品の類は遺っていないのが常だが……。
(……東棟に五人。西側に三人……正面に四人。そこそこの規模だな)
 廃墟全体を見下ろすことのできる丘の上、匡は閉じていた目を開いた。
 施設までは数百メートル以上の距離がある。だが、匡にはそれで十分だ。
 彼はその研ぎ澄まされた聴覚によって建物内の物音から敵の存在を確認した。
 足音、心音、話し声、あるいは装備の物音……推測する材料はいくらでもある。
 いまの匡は、敵がどんな装備で武装しているかすらも把握しているのだ。
「……西から攻めるか」
 呟き、必要最低限の銃火器を点検した上で、匡は注意深く身を潜めた。
 彼が丘に潜伏していたことすら、周囲に誰かいたとしても気付かないだろう……。

 ……ややあと、医療施設廃墟・西棟。
「待たせたな。交代の時間だぜ」
「遅すぎじゃねえか? 一体何をしてやがった?」
「何、ちょっとばかし賭けが盛り上がってよ。奢るから勘弁してくれ」
 アサルトライフルを携帯した見張りのレイダーたちが、何気ない会話を交わす。
 士気は低い。なにせ、奪うことしか出来ない悪党どもである。
 使命感や義務感で結束できるなら、そもそも徒党など組んではいまい。
「それで? 何か異常はなかったか?」
「あぁ? そんなのあるわけねえだろ。ここに来るようなやつなんか――」
 言いかけたレイダーの頭部が、パカン、とふざけた音を立てて吹き飛んだ。
 こめかみに大穴が開き、脳漿と血を撒き散らしながらどさりと倒れ伏す。
「……は?」
 相手をしていたレイダーは、あまりにも突然のことに呆けたような声を漏らした。
 そして理解する。どこかから、誰かが狙撃を――つまり、敵襲!
「て」
 言葉はそれで途絶えた。後頭部から眉間に弾丸が突き抜け、絶命したのだ。
 影から滲み出るようにして、拳銃を携えた匡が姿を表した。
 手早い動作で血痕を消し去り、物陰に屍体を放り込む。慣れた手際だ。
「奪ったやつは奪われるのが道理だぜ……なんて言っても、もう遅いか」
 今の手管で知れた。敵の練度は匡の見立てよりも下回っている。
 ここは本拠地ではないようだが、この様子ではかなりの物資を保管しているだろう。
「死にたくないならおとなしくしてるべきだぜ、どんな世界でもそれは同じさ」
 誰に言うでもなく呟いて、影から影を伝うように廃墟の中へと忍び込む。
 ……この拠点に配置されたレイダーが全滅するまで、五分とかからなかった。
 悲鳴のひとつも、銃声すらもなく。強襲は、密かに成し遂げられたのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カイム・クローバー
攫って奴隷を使役するだけのモヒカンモンキーにしちゃ、ダミーの拠点を用意するなんざ考えてるじゃねぇか。リーダーは只のボス猿じゃなくて、多少悪知恵が働くってトコか。

UCを使用して見付からないように【忍び足】を活用、レイダーを見付けたら隠れたまま【追跡】を使用して情報が欲しい。こういう場じゃ気が緩むモンだろ?何かしら役立つ話をしてくれりゃ良いんだが。
ついでに懐から鍵開けツールで【早業】で【鍵開け】。多少強固に鍵かけていようとこんなモン、俺の前じゃ無いのと同じ。
略奪された物資は残らず回収…してぇトコだが俺のポケットにも限度があるんでね。続きは攫われた連中を助けてからにするか。
此処はハズレか。次だ、次



●強行偵察:担当者、カイム・クローバー
 便利屋Black Jackを名乗る彼としては、敵地への潜入もお手の物だ。
 あらゆる状況に対応し、タフにこなしてこその便利屋というものである。
「しかし、人をさらって奴隷にするようなモヒカンモンキーにしちゃ……」
 いくつものダミー拠点。物資を分散して保管するという知略。
 力任せの野盗としてはずいぶん知恵が回る。だからこそ地域を締めているのか。
(ま、悪知恵が働こうがなんだろうが、今日までの話だがな)
 カイムが潜入したのは、渓谷の奥深くに建造された天然の城砦である。
 複雑な地形は拠点の存在を隠し、さらに敵の襲撃に対する強固な要害となるのだ。
 おそらく、奪還者による襲撃に慣れているのだろう。賢しらなことだ。
(――が、部下のほうはそうもいかない、ってか?)
 カイムは息を殺し、曲がり角の向こう側を密かに覗き込む。
 視線の先には見回りと思しきレイダー。欠伸を噛み殺し油断し放題だ。
(組織の規模を大きくすりゃ、それだけ末端のレベルは低下していく。
 ましてや一山いくらのモヒカンじゃこんなもんか。敵ながら同情するね)
 部下に恵まれない頭目というのも、なかなか世知辛い話である。
 しかし、容赦してやる理由はない。カイムは……しかし、すぐには手をかけない。
「あーあ、こんな僻地で見張りなんざ退屈だぜ。眠くなっちまう」
「ぼやくなよ。まあ、奴隷もいねえんじゃ飽き飽きするのは確かだがな……」
 見張りたちの世間話に耳をそば立て、カイムは情報を探ろうとする。
 そのためにあえて不意打ちをやめ、敵の様子を探っているというわけだ。
「こっちにも奴隷をよこしてくれりゃいいのになあ。ボスもケチじゃねえか?」
「俺たちも好き勝手してえよなあ。運ぶのが面倒ではあるがよぉ……」
(ふうん。つまりここから離れた拠点、ってことか。手がかりまずひとつ、だな)
 カイムはこれ以上の情報が引き出せないと判断し、滑るように躍り出た。
 そしてレイダーたちが振り返るより早く、音なき斬撃で首を刎ね飛ばす。
「おい、どうし――あ?」
「痛みはなかっただろ? ……なあんて、言ってももう聞こえてねえか」
 驚愕の表情のままごとりと転がった生首を見下ろし、カイムはうそぶいた。
 ここはハズレだ。しかし、レイダーどもは本拠地の座標を知っている。
 尋問するには時間が足りない……それ以外にも、手がかりはあるはず。
「いただけるもんは頂いてくぜ? これでも元盗賊なもんだからよ」
 薄く笑う便利屋にとって、拠点の錠前などあってないようなものだった。
 彼が要害を離れたその時には、そこは物音一つ立たない、そして物資の一つも残されていないもぬけの殻に変わっていたという……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フェーリ・アイ
(一切言葉を発しません。霊のトーンの声は他者にも聞こえます)

はいはいはーいっ!ノロイに行かせて!
アジトの偵察♪かくれんぼみたいで楽しそう♪
見つからないように、オニを殺せばいいんでしょ?(にこにこ)

トーンは姿が見えないでしょ?中の様子を見てきてよっ
『アイはひと使いが荒いんだ。楽しそうなら、自分で行ったら?』
もちろん私も入るわよ!

足下の人が通った後や、掘り起こした跡なんかはないかなっ
木の上や岩陰に監視カメラやレーザーなんかがあったら楽しそうだよねっ
罠に引っ掛ったら死んじゃうんだよ?警戒するに決まってるでしょ。
『アイはビビりでつまんないやつさ。壊していいなら、代わりに暴れてあげるよ。アハハハ!!』



●強行偵察:担当者、フェーリ・アイ
「な、なんなんだ……お前」
「…………?」
 怯えるレイダーを見下ろすのは、にこにこと笑みを浮かべる女であった。
 何を言っているんだろう、という様子で首を傾げる。笑んだ口は決して開かない。
『アイはアイだよ。キミたちをやっつけに来た正義の味方なのさ!』
 どこからか声が響く。されど、声の主の姿はいくら見渡しても存在しない。
 つまり、幽霊だ。彼女に――アイ『ら』に憑きまとう正体不明の霊らしきナニか。
 それがより一層、レイダーの恐怖を煽る。この女は一体、なんなんだ?
 彼らは拠点のひとつである、洞窟内に築かれた隠れ家に詰めていた野盗どもだ。
 武装用の資材を保管していただけあって、彼らの装備は上等なものだった。
 洞窟の周囲には無数のトラップを仕掛け襲撃に備えていた……はずだ。
 なのに、なぜだ? どうして、俺以外の奴らは全員死んでいる?
 まるで粘土細工をちぎるように、四肢をバラバラに引き裂かれ、あるいは折られ。
 突然のことだった……嘲笑めいた謎の声が響き渡った直後、
 アジト内にある様々なものが浮かび上がり、嵐のように乱舞したのである。
 気がつけば、こうなっていた。生き延びたレイダーも重い傷を負っている。
「なんなんだ、お前は」
 レイダーは壊れたおもちゃのように、答えの得られない問いを再度発した。
 女は傾げた首を逆のほうにこてんと傾げ、きょとんとした表情になる。
 ……会話が通じない。いや、そもそも、この女は一言も言葉を発していない。
『バカだなぁ。せっかく教えてあげたのにわかんないの? 頭が足りないヤツ!』
 見えない霊がレイダーを嘲笑う。底知れぬ恐怖に心臓を鷲掴みにされた気分。
 この女と……おそらく存在しているのだろう……霊は、どうやってここを探り当てた。
 そして罠をかいくぐり、あんな方法で自分たちを襲ったのだ?
 疑問は尽きない。だが、レイダーが正しい答えを得られることはない。
 "トーン"は何一つ真実を言わないし、そもそも勝手に振る舞う存在だ。
 そしてフェーリは……今の人格に倣うなら"ノロイ"は……決して言葉を発しない。
 敵であろうと、味方であろうと、言葉を使わないのである。
『それで? アイ、こいつどうするの? 壊していいの?』
(駄目だよっ。もしかしたら大事なことを知ってるかもでしょ? だから――)
 心のなかで"ノロイ"が制するが、それより先にべきべきという音が響いた。
 視線を戻せば、レイダーは首をあべこべに曲げられて絶命している。
(……もう、トーンったら!)
『あははははっ! アイがビビリでつまんないやつだからやってあげたのさ!』
 嘲笑を遺して霊の気配は消える。"ノロイ"は不満げに頬を膨らませた。
 レイダーは同情の必要もない悪党とはいえ、不憫であったのはたしかだろう。
 ここにやってきたのは、気まぐれな霊と言葉をなくした女だったのだから……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アララギ・イチイ
こういう捜索任務は物量こそ大正義だわぁ

【選択UC】発動よぉ
合計650体の小型多脚戦車を召喚して、幾つかの10体1組の分隊に分け、各アジトに均一に分配して向かわせるわぁ
障害物があれば戦車に搭載された大型削岩ドリルで【早業】で障害物を破壊、又は【スナイパー】の技能で補正したレールガンの一撃で排除するわぁ

強行偵察だから敵のアジトに攻撃も仕掛ける場合も想定よぉ(攻撃を仕掛けて敵数やアジトの配置・出入口など確認
この場合は上記の武装を活用、ドリルは近接時の【部位破壊】に使用する感じねぇ
どうせ物量戦の戦車だから【捨て身の一撃】でも問題ないわねぇ

ちなみに私は戦車から発信されたデータを【情報収集】しておくわぁ


虹結・廿
【POW】(単独行動)
教えられた拠点情報をしらみ潰しにしていきます。

目的地に接近し、身を隠せる場所に「複製義体β」に「オメガデリンジャー」を設置させ待機。

残りの複製義体と共に拠点に突入し、……従わないでしょうが降伏勧告を行います。

受け入れるならば、不敗無敵団に関する情報を聞き出した後に射殺。

受け入れないのなら、そのまま交戦開始。(援護射撃、制圧射撃)
同時に、待機させたβに思考リンクによって位置情報を共有し、榴弾砲による砲撃にて拠点ごと破壊します。(ふき飛ばし)

制圧後は、簡単な調査とこの世界の住民に渡す為に物資収集を行い、次の拠点へ。

……ああ、遺体が残っていたならば血液を頂いておきましょう。


オニバス・ビロウ
委細承知!
ならば疾く行動に移らねばなるまいて
…とにかく潰せば良いのだから悩む必要はないな、うむ

攫われた人間が残したものを…最悪は血痕を、失せ物探しの要領で探して後を追う
もしその際にれいだー…敵の姿を見かけたらそちらを優先して追跡する
あと出来れば敵には花冠を気付かれぬ様に背中に貼り付ける…花桃の念動力で
緩く編んだ花冠ゆえに途中で花が少しずつ落ちるだろう、それを目印に敵を追う

それで潜伏場所を見つけたら、吶喊する
…あと本日二つ目の花冠を全力で敵にぶち当てる
強い衝撃を与えたら更に強く光る花(ありすらびりんす製)故、存外目晦ましになるのだ
混乱に乗じて敵は倒す、潰す

(アドリブ連携等歓迎にて


狭筵・桜人
オブリビオンストームから逃れるには地下でしょうね。
バカは高いところを好みますが
悪党は地下を好みがちだったりします。
建物の痕跡、廃墟を調べるとしましょう。

強行突入?いやいやまさか。
ゆっくりと悪者集団の前に出ていってですね

大人しく奴隷になるので暴力だけは勘弁してください!!!
何でも言うこと聞きますから!!!

これがドゲザです。
一流のエージェントは皆これ出来ますからね。ホントホント。

自分たちの優位を確信して油断したところを
後出ししたエレクトロレギオンをガッとぶつけてですね。
気絶させて縛っておきましょう。

じゃ私は忙しいので!
後々の処遇は奴隷として捕まった人たちに任せまーす。
人間同士きっと和解できますよ!



●強襲偵察:本拠地、発見
「暴力だけは勘弁してくださいっ!!!!!!!」
「「「はぁ?」」」
 レイダーたちはいきなりのことに面食らった。無理もない話である。
 突然目の前に現れた妙な若者が、いきなり土下座して懇願してきたのだから。
 ……ここは、かつて軍事基地だったと思しき地下の大規模な廃墟。
 猟兵たちの捜索によって突き止められた、アンブレイカブルズの本拠地だ。
 そして今、悪党どもの前で完璧な土下座フォームをキメているのは、
 強行偵察のために本拠地に忍び込んだ……はずの……狭筵・桜人であった。
「てめぇこのガキ! 一体どこでここのことを嗅ぎつけやがった!?」
「ひぃ! 奴隷になるので勘弁してください! なんでも言うこと聞きますから!」
「会話にならねぇ! 遠回しに黙秘貫くつもりだなこいつ!?」
 レイダーとしては、桜人がどこでこのアジトを知ったか突き止めたいところだ。
 しかし桜人は情けない顔でぺこぺこと土下座するばかり。話にならない。
「妙な野郎だ、しかしここを嗅ぎつけてきたってことは只者じゃねえ」
「親分のところへ連れて行こうぜ! 拷問してやりゃいい!」
 苛立つレイダーたちは殺気混じりに喧々諤々と意見をぶつけあった。
 どこの誰かもわからない輩をほいほいと奴隷として受け入れるほど、
 奴らも甘くはないし間抜けではない、というわけだ。……しかし!
「血の気多いですねぇ……でもまぁ、悩んでる時点でアウトじゃないですか?」
「「「!?」」」
 顔を上げた桜人の表情は……笑みである。不敵な嘲るような笑み!
 その意味を悟るよりも早く……アジトの隠し扉が外側から蹴破られた!
「隙ありだな! これでも喰らっておけっ!!」
 叫びながら飛び込んできたオニバス・ビロウは、素早く何かを投擲した。
 それは……花冠? いや、猟兵の擲つものが"ただの"花冠であるはずもなし!
 花冠はレイダーに激突した瞬間、スタングレネードめいて閃光を放ったのである!
「「「ぐ、ぐああああっ!?」」」
 突然のことに悪党どもは両目を抑え、衝撃に身を丸めてのたうち回った。
 その隙を見逃すオニバスではない。刀を抜き放ち、足元へ容赦なく振り下ろす!
「もう土下座の必要はないぞ、立て!」
「いや、待ってください、私も目がちょっと……」
「どうして俯いておかんのだ!? ええい、まあいい!」
 桜人の言葉に嘆息しつつも、オニバスは悪党を蹴飛ばし奥へと吶喊した。
 ……そう、桜人は囮だ。猟兵たちは事前捜査で本拠地を突き止めていたのである。
 必要なのは一瞬の隙だった。そして突撃したのはふたりだけではない……!

「て、敵襲だ! 猟兵どもが攻め込んできやがったー!!」
 突然の襲撃をかろうじて逃れたレイダーが、詰所にこけつまろびつ飛び込む。
 待機していた悪党どもがそれに驚き、がたりと椅子を蹴飛ばして立ち上がる。
「ここが割れたのか!? チッ、めざといやつらだ!」
「なぁに、こっちは数がいるんだ! 襲撃なんざ軽くひねり」
 KRA-TOOOOOM!! 突如として轟音が響き渡り、詰所の天井が落盤した!
 ガリガリガリガリ……! と岩盤を砕いて顔を覗かせたのは……ど、ドリル!?
「「「なんだぁ!?」」」
 驚愕している暇があるならば、レイダーどもはさっさと退避するべきだった。
 頭上から現れたドリルはそのままギュルギュルと音を立てて穿孔し、
 周囲の岩盤を巻き添えにしながら崩落させ、詰所ごと敵を圧潰したのである。
「ヒットねぇ。アリの巣みたいに広がってて、よくやったもんだわぁ」
 地上。アララギ・イチイは、多脚戦車が穿った大穴を覗き込み、笑った。
 先のドリルは、彼女がユーベルコードで召喚した多脚戦車によるものである。
 しかも一機二機ではない。大量の多脚戦車がアジトを包囲している!
「さ、どんどん行ってちょうだぁい。ここが本拠地なら先手必勝よぉ」
 アララギの号令のもと、大穴に次々と多脚戦車が飛び込んでいく。
 強襲戦においては物量こそが正義。障害物など破壊して進めばいいのだ。
 奴隷らの存在するエリアでは周囲の破壊に注意する必要があるだろうが、
 アジトの外縁部ならば話は別。逃げ場を塞ぎ、袋のネズミにしてやればいい!
 同じ頃、別方角の隠し出入り口……KA-BOOOM!! そこが、榴弾により崩落した!
「こちらβ。"オメガデリンジャー"射撃開始。南部通路を破壊します」
 状況を静観していた虹結・廿……の、複製義体による破壊工作である。
《こちらα、了解です。脱出しようとする敵がいれば射殺してください》
「了解しました。β、外縁で待機し逃走要員を監視します」
 姿形も同じ廿"たち"は、それゆえに極めて高い連携を可能とする。
 同じ頃、さきほど崩落した通路からアジト内部へ潜入した廿の小隊は、
 浮足立っていたレイダーどもを突撃とともに制圧射撃で殲滅、イニシアチブを握っていた。
 ズン、ズズウン……という断続的な揺れは、地上での破壊工作によるものだろう。
 まさに蜂の巣をつついたような大騒ぎである。もはや敵に逃げ場はない。
「いやー、派手になってきましたねぇ。まるで映画ですよ映画」
 そして桜人はようやく立ち上がり、指を鳴らしてエレクトロレギオンを召喚。
 通路から飛び出してきたレイダーのみぞおちに激突させ、強制的に昏倒させた。
「じゃ、私も仕事にとりかかるとしますかね! ……面倒ですけど!」
 戦闘はここからが本番だ。相手もただやられているばかりではないだろう。
 奴隷たちを救い出すために、地下施設内での激闘が始まる……!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『レイダー』

POW   :    レイダーズウェポン
【手に持ったチェーンソーや銃火器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    レイダーバイク
自身の身長の2倍の【全長を持つ大型武装バイク】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ   :    レイダーズデザイア
【危険薬物によって身体機能】を一時的に増強し、全ての能力を6倍にする。ただし、レベル秒後に1分間の昏睡状態に陥る。

イラスト:あなQ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●アポカリプスヘル:巨大地下軍事基地内部
「て、敵襲! 敵襲ーっ!!」
「くそったれ! やってくれやがったな猟兵ども!」
「アンブレイカブルズを舐めるんじゃねえ! 目にもの見せてやるぜぇ!」
 猟兵たちの偵察と強襲により、レイダーの本拠地は蜂の巣をつついた大騒ぎだ。
 武装したレイダーが奥から次から次へと殺到し、猟兵たちを迎撃しようとする。
「な、なんだ? 何が起きたんだ、まさか助けが来たのか!?」
「こっ、殺される! 頼む、助けてくれぇ!」
 混乱のなか逃げ惑うのは、手枷足枷で自由を奪われた奴隷たちである。
 憔悴した彼らには、閉鎖空間内での戦闘を逃れるような余力は残っていない。
 怒り狂ったレイダーどもの攻撃から彼らを守り、速やかに殲滅する必要がある。
 元軍事基地であるこの地下廃墟は、そこそこ広いとはいえ入り組んだ地下空間だ。
 閉ざされた環境で、いかにして非戦闘員をかばいながら立ち回るか。
 ただ破壊するだけでは足りない、クローズドコンバットの技量が重要となるだろう……!
大崎・玉恵
【神魔】
この荒れ具合を数年でとはのう。
……賊どもか。少し、撹乱してやるかのう。

【傾国・酔生夢死】を使用、幻術で賊どもの望む幻覚を放ち【誘惑】する。
金か?水か?食事か?はたまた女か?なんでもよい、全て見せてやろう。全てと引き換えにのう。
幻術を見せる間に、てぃのが眷属で奴等を吸血し倒してゆく。幻術を見ている間は、実際の人間を襲うことはなかろう。幻術が効きにくい者には薙刀の【薙ぎ払い】【2回攻撃】や符による【焼却】の【呪詛】でご退場願おうかのう。
生き残った者がおれば……その者の全てをわしがいただく。
具体的には、薙刀で心の臓を一突きじゃ。
夢幻のうちに、夢幻の如く無為な生を終わらせるがよい。


ティノ・ミラーリア
【神魔】
アポカリプスヘル…話には聞いていたけど、想像以上の荒廃ぶりだ…

この手合いが隠れる場所には影が多い……ありがたいね…
【夜魔の宴】を発動。周囲の影を支配下に、『眷属』を展開して敵や人質の「情報収集」。
人質を『眷属』や『纏影』を盾にして「かばう」しながら、敵へ殺到する『眷属』による「先制攻撃・捕食・範囲攻撃」。
自身は『纏影』で「闇に紛れる」ながら戦う敵の横から、待ち伏せる敵の足元から、影を槍のように伸ばして「串刺し」。
玉恵の幻術に囚われている合間に「蹂躙」してしまいながら「吸血・生命力吸収」の強化で一層勢いを強めよう。

余裕の無さそうな世界だし、敵は早く片付けるに越したことはないよね…



●闇より来たる夢幻
「行け行け行け! 侵入者どもを皆殺しにしちまえぇ!」
「奴隷なんざ構うこたぁねえ! 新しい奴らは誘ってくりゃいいんだ!」
 悪党どもにもみみっちいプライドというものがある。
 猟兵たちの華麗な強襲は、どうやらレイダーの自負をいたく損じたらしい。
 次から次へと現れた悪党どもが、チェーンソーを唸らせてツバを吐き捨てる。
 奴隷など、奴らにとっては拾ってきた石ころのようなものでしかない!
「出てきやがれ猟兵どもぉ!! バラバラに引き裂いてやるぜぇ!!」
 特に恐ろしいのは、おそらくは危険な薬物を過剰摂取したと思しき連中だ。
 顔には血管がいくつも浮かび、二回り近くパンプアップした巨体で暴れ回る。
 遠からずオーバードーズの後遺症によって動けなくなるだろうが、
 それまでに奴隷たちにどれほどの犠牲が出るか、推測するまでもない……!
「ずいぶんと殺気立っておるのう。どら、わしと遊ばぬか?」
「!! そこかァ、ぶっ殺してやるぜぇ……!!」
 甘やかな声に誘われるように、目を血走らせたレイダーどもが駆け込んでくる。
 暗く長い通路の向こう、そこに佇むのは薄く微笑んだ妖狐の少女であった。
「そう急くでない。わしは逃げたりはせぬぞ? さあ、来るがよい……」
「死ぃいいねぇえええええっ!!」
 ギャルギャルギャルギャルッ!! チェーンソーが少女を袈裟懸けに引き裂く!
 すさまじい量の血が飛び散り、苦痛にもだえた悲痛な絶叫がこだました。
 レイダーは殺戮の高揚に涎を垂らし、げらげらと笑いながら少女を解体する……。

「……やれやれ。金でも飯でも女でもなく、ただ殺したいだけとは呆れたものよ」
 昏い通路。ひとりでへらへらとチェーンソーを振り回すレイダーを眺めて、
 妖狐の少女……大崎・玉恵が、やれやれといった様子で頭を振った。
 はて、さきほどチェーンソーで斬り裂かれたのは分身か何かだったのだろうか。
 そうではない。そもそも、先の光景はレイダーの主観から見たものである。
 すなわち、幻術のユーベルコード。獲物が望む幻を見せる"傾国・酔生夢死"だ。
「しかしいかなるものであろうが、わしの夢幻はただでは見れぬのでな。
 望むものは全て見せてやる、ゆえにわしは、おぬしの全てをいただこう……」
 玉恵が指を差し向けると、彼女の背後からずるりと人影が滑り出た。
 闇から滲み出たようなそれは、ダンピールの少年……ティノ・ミラーリアだ。
「眷属を呼び出すのに困らなくて済むよ、この手合いの隠れ家は……」
 影を支配し纏う夜魔にとって、この地下空間は端から端まで得意な戦場だ。
 すぐそこの影に手を浸せば、闇は彼の肌に張り付き鎧にも武器にもなる。
 タールのように粘ついた闇はぱたぱたと羽ばたくコウモリの群れへと変じ、
 幻に囚われてへらへらと笑うレイダーたちに群がり、血を啜って生命を奪う。
 偽りの殺戮に酔いしれたクズどもは、陶酔のなかで死を自覚しないまま倒れた。
「こ、こいつら、侵入者だ! おい、応援をよこせ!」
「――新手か、面倒くさい……」
 新たにやってきたレイダーを一瞥し、ティノは敵の足元を指差した。
 照明によって床に伸びた影法師がぐにゃりと歪み、槍のように鋭く突き立つ。
 あるじであるレイダーを背後から斜めに貫き、串刺しにしてしまうのだ……!
「世界も荒廃しておるならオブリビオンも大概じゃの。賊にしても卑しすぎる」
「……誰も彼も余裕がなさそうだし、敵は早く片付けるに越したことはないね……」
 震える奴隷たちを一瞥し、妖狐と夜魔はそぞろ歩くように移動した。
 行く先々の闇が刃となって獲物を貫き、あるいは幻で絡め取ってしまう。
 運悪く夢幻を跳ね除けてしまった者は、玉恵に手ずから殺され悲鳴をあげた。
 神を自称する少女は全てを求める――すなわち、生命。心の臓腑の暖かさを。
 闇と刃によって獲物を仕留めていく様は、命を収穫する死神の行進めいていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

エリス・フリーウインド
優希斗殿(f02283)同行。他の方との連携も可
如何にもな世紀末な世界ですね
私の出身地も大概ですが、此方はある意味でそれ以上に荒廃している様に思われます
畏まりました、優希斗殿
では、私があの奴隷の皆様を御守り致しましょう
優希斗殿の指示で比較的安全と思われる場所に辿り着いた奴隷の皆様に、大丈夫あなた方は私達が必ず守り抜きますと誓いを立てて、UC発動
敵のUCで危険なのは攻撃回数の増加でしょうが、我が防御の前には無力
奴隷の皆様に対する攻撃を庇いつつ破邪の結界を拠点防御+盾受け+武器受けで強化、絶対に攻撃を通らせない覚悟で皆様を御守り致します
もし可能であればランス・オブ・ダークで優希斗殿の援護射撃を


北条・優希斗
エリス(f10650)同行。他の方との連携もOK。
…アポカリプスヘル、か。
要塞は崩壊しているとは言え奴隷達を守らないと余計な犠牲者が出る、か。
エリスさん、あの奴隷達の護衛は任せたよ。
情報収集でこの地下廃墟の状況を索敵、どの辺りに逃がせば奴隷達の被害が最小限になるかを判断し、エリスや他の猟兵達に其方に奴隷達を誘導し守る様に伝える。
自分自身はUCを発動、敵がどう動くかの未来を読み、ダッシュ、ジャンプ、先制攻撃で都度敵の先手を見切って、敵の動きを妨害し、敵に範囲攻撃+二回攻撃+薙ぎ払いで纏めて斬り捨てる
自分への攻撃はUCで動きを読んで地形を利用しながら残像で回避、オーラ防御で攻撃を受け止めるよ



●前門の虎、後門の狼
 アポカリプスヘル。恐るべきオブリビオンストームに引き裂かれた世界。
 荒廃した世界では誰もが疲れていた。オブリビオンも、人々も、生きることに。
 だからこんな無法がまかり通るのか。人が人を奴隷として飼いならすなど。
 レイダーどもはオブリビオンではある……しかし、これがこの世界の姿なのだ。
(ダークセイヴァーとは異なる荒廃の世界、いかにも世紀末ですね……)
 オラトリオであるエリス・フリーウインドは、心のなかでそうひとりごちた。
 闇に堕ちかけたダークセイヴァーは、ヴァンパイアによって支配されているが、
 このアポカリプスヘルはあの世界とまた違った形で滅亡に貧しているのだ。
 だからこそ、自分たち猟兵が戦わねばならない。命を救い、敵を倒さねば……。
「エリスさん、あの奴隷たちの護衛は任せたよ。俺は――」
 同行者である北条・優希斗は、言葉とともに通路の奥を一瞥する。
 怒号、足音、そしてチェーンソーか何かと思しきけたたましいエンジン音。
「……あいつらの相手をするよ。敵を倒さないと状況を打開できないからね」
「わかりました。……皆様、突然のことですがどうか落ち着いてください」
 奴隷たちの枷を外してやりながら、エリスは柔らかな声音で語りかける。
「あ、あんたたちは奪還者……なのか?」
「ええ、そのようなものです。皆様を助けるために参りました」
 エリスは猟兵という立場についての説明を避けた。不要な混乱を招くからだ。
「どうか私たちのそばを離れずに。何があろうとも、皆様は必ず守り抜きます」
 それは誓いだ。エリスの誓約は、ユーベルコードを起動するためのトリガー。
 はたして彼女の体は光に包まれ、漆黒の鎧と神聖なる結界に覆われていた。
 そんなエリスと背中合わせに立つ優希斗は、刀の柄に手をやり腰を深く落とした。
 直後――闇から飛び出してきたのは、怒り狂ったレイダーの群れである!
「ぶっ殺してやらぁああああっ!!」
「させないよ。三下にくれてやる命は持ち合わせてないんでねっ!」
 優希斗は言うとともに床を蹴り、振り下ろされたチェーンソーを刃で受ける。
 ガギンッ!! ギャリ、ギ、ギギギギッ……甲高い異音が響き渡った。
 予想以上の膂力。優希斗は顔を顰めつつも、しなやかにその威力を受け流す。
 そしてくるくると回転しながら敵の側面を取り、流れるような一閃を放った。
 疾い。まず一体――だが倒れ伏した屍体を乗り越え、二体目三体目が襲来!
「隙だらけだぜダボがぁ! 死にさらせぇ!!」
(まずは背後から振り下ろし。時間差で回避地点に敵の待ち伏せ――)
 紙一重でチェーンソーを避ける優希斗の双眸が、深い蒼穹に瞬いた。
 彼の瞳は数秒先の未来を垣間見る。それが、避けるべき最適な軌道を告げる。
 きりきりまいで連携攻撃をかいくぐり、跳躍。そして天井を蹴って鋭い兜割り!
「がぼっ!?」
「――次だ。まとめて斬り捨てさせてもらう……!」
 両断されたレイダーを蹴り飛ばし、優希斗はぐるりと体を一回転させた。
 鋭い斬撃は一つと見えて実際は二重。目にも留まらぬ神速の範囲斬撃である。
 薙ぎ払われた剣風は周囲の敵の膝を切り裂き、斃れたところへダメ押しの刺突!
「く、くそがぁ! 女ぁ、てめえも死ねぇえええっ!!」
 優希斗に敵わないと見たレイダーが、奴隷たちを守るエリスの前に!
 危険なショットガンを突き出し、容赦なくトリガを引く――BLAMN!! しかし!
「なっ!? だ、弾丸を弾き飛ばしただとぉ!?」
「私は皆様を守ると誓いました。それがある限り、誰であろうと通しません。
 守るべき人々を傷つけさせもしない。退きなさい、邪悪なる者よ――!」
 破邪の結界を盾めいて展開し、エリスは怯んだレイダーに突き進んだ。
 そして闇の力を秘めた槍を力強く振るい、不埒な悪党を串刺しに仕留める!
「優希斗殿、こちらはご心配なく! 問題ありません!」
「無事でなによりだよ。それじゃあ、掃除の続きといこうか」
 新たに駆け込んできた連中を振り返り、優希斗は血を払って刃を構える。
 荒廃の世界に猟兵あり。もはや、悪党の好きにできる時間は終わったのだ!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鳴宮・匡
被害が出ようが知ったことじゃない
……と、昔の自分なら言うんだろうな

今は、そういうのが嫌いなやつが周りに多いんでね
柄じゃないが、“綺麗な”戦い方をするさ

出来る限り【闇に紛れる】ようにして
自分の位置を掴ませないように立ち回る
民間人へ向いた攻撃は銃撃で応戦、軌道を逸らす
こちらからの攻撃も必ず“民間人に当たらない”ように撃つよ

ただ、場が混迷して乱戦になるのは巧くない
幾らか相手の数を減らしたら敢えて姿を晒す
まあ、隠れていようがいまいがやることは変わらないしな

身体を張って庇うとか
そういう自己犠牲的なことは言えないし
何が何でも無傷で救ってやろうってほど正義感もないが
そういうオーダーだからな、しっかりこなすさ



●バイ・オーダー・オブ……
 チュンッ! と、跳弾がコンクリートの壁をこすり、火花を散らした。
 闇の中に鳴宮・匡の姿が束の間浮かび上がり、そしてまた影に溶けていく。
 今しがたのそれすらも、敵の目を眩ませるためのフェイントである。
 チュン、チュンッ! 四方八方から響く跳弾音、飛び交う弾丸の気配。
 チェーンソーを振り上げたレイダーは、迫る弾丸を警戒して動きを止めた。
 止めさせられた、というのが正しい――そこまで含めて匡の手の内。
 閉鎖空間には閉鎖空間での戦い方がある。たとえばこの跳弾だ。
 射撃による跳弾軌道を計算、予測して撃つことなど赤子の手をひねるより容易い。
 どこから来るかわからない弾丸……それを無視して戦えるほど、
 奴らは無謀なわけでもないらしい。だから、足を止めてしまうのだ。
(動いたほうが避けられるんだがな)
 他人事めいて思いながら、匡はさらにトリガを引いて弾丸を放つ。
 さながら跳弾結界。暗闇に火花が散るたび、昏い瞳が光を受けて蒼く瞬いた。
「くそっ! めちゃくちゃに撃ちやがって、危なっかしくて近づけねぇ!」
「俺に任せろ! あんな野郎、弾丸の一発二発喰らおうがぶっ殺してやる!!」
 言うや否やレイダーはなにやら液体入りの無痛注射器を取り出すと、
 それを無造作に首筋に突き刺した。目が血走り、巨体が一回り以上パンプアップ。
「コンバットドラッグか? 忠告しておくけど、それ、無理してるだろ」
「うるせぇえ……!! 挽き肉にしてやるぜ、猟兵ぁあああああっ!!」
 危険薬物によって痛覚と恐れを消し去ったレイダーが戦車めいて猛進する。
 跳弾が脚部を貫く。だが、丸太めいて膨張したふくらはぎの動きは止まらない。
 あれは相当"無理をしている"。オーバードーズは二分もかかるまい。
 しかし、それまで逃げ回っていては……民間人に被害が出るだろう。
 匡は瞬時に状況判断し、あえて自らの姿を晒すことで敵の攻撃を誘った。
 怯える奴隷もろとも暗闇を薙ぎ払うと見えたチェーンソーが角度を変えて、
 匡へ襲いかかる。バックステップ。コンクリート壁が抉れて配線が爆発した。
「避けんじゃねぇええ!! 死にやがれぇええ!!」
(いまの装備じゃ足止めは難しい、か。なら――)
 射撃が止んだことで、足止めされていた敵もすぐに追いすがってくるはず。
 ならばどうする。姿を消すか? 否。迎え撃つか? それも否。
 匡は嘆息し――逆に突っ込んだ。拍子を外した突然のスプリント!
「何っ!?」
「柄じゃないんだよ、こういうのはさ」
 匡は嘆息混じりに言って、タックルと見せかけて巨体の脇をすり抜けた。
 そのまま前転して敵の攻撃を回避し、立ち上がりざま背後を狙い撃つ。
 BLAMN! 筋肉が肥大化して貫けないならば、より致命的な急所を突けばいい。
 すなわち、延髄。振り返ろうとしたレイダーはそのまま痙攣して転倒、絶命。
「や、野郎ぉっ!!」
「逃さないよ、悪いけど」
 銃を水平に薙ぎ払いながらのマズルフラッシュ。弾丸は眉間に吸い込まれた。
 薬莢がKILL-IN……と床に跳ねた直後、レイダーどもはどう、と仰向けに倒れる。
 奴隷たちのすすり泣きが暗闇に響く。一瞥して、匡は立ち上がった。
「そこでじっとしてなよ。じきに誰かが来て保護してくれる」
 匡はただそう言って影に体を滑り込ませた。安全確保した時点で仕事は終わりだ。
(……こんな"綺麗"な戦い方、非合理的なんだけどな)
 それでも、知ったことじゃないと斬り捨てて見捨てることはしない。
 人でなしを自認する彼にとって、その事実が数少ない寄す処と言えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フローラ・ソイレント
POW判定

・行動
出会い頭に磁気を込めた針を投擲してUC発動
電磁気の鎖を引っ張りながら敵の動きをコントロール
引き寄せて電撃付きのカウンターを急所に決める

一撃で無力化することを念頭に置いて
自分は体勢を崩さないように迎撃の構えで拳法の技を叩き込む
(八極拳風味の体当たりと同時に一撃入れる感じ)

・セリフ
オッラァ!
人質なんかとってんじゃねえぞ
お前らも腕に覚えがあるんだったら掛かって来いよ

コソコソ奪うしか能がねぇのかアンブレイカブルズってぇのは!



●活殺拳、悪を討つ!
「猟兵がいやがったぞ! 殺せ殺せぇええ!!」
「――チッ」
 対面に現れたレイダーにめがけ、フローラ・ソイレントは片手を振るった。
 残像を生じさせるほどの速度である。指先から擲たれたのは一本の針だ。
 脅威的な速度だが、武装したレイダーを殺傷するには威力が足らない!
「ぐおっ! ……なんだぁ? 針一本だとぉ?」
「オッラァ!!」
「うおおおおっ!?」
 見よ! 見えない鎖を掴むような仕草をフローラがした瞬間、
 レイダーの巨体が空中に浮かんだ。勢いよく引き上げられたように!
 当然のように天井に激突し、悶絶したところで地面に叩きつけられる。
「ぐ、ぐええ……て、てめ……おぐっ!?」
「人質なんか取ってんじゃねえぞ、卑怯者がッ!!」
 SMAAAASH!! ボールめいて引き戻されたレイダーの顔面に痛烈なストレート!
 衝突点にバチンッ! と火花が飛び散り、レイダーは毬めいて転がっていった。
 フローラは苛立ち混じりに呼気を吐き出し、周囲に現れた新たな気配を睨む。
「女ごときが調子に乗りやがってぇ……!」
「女ごときにしてやられといて吐く台詞か? 男のくせに情けねぇな。
 お前らも腕に覚えがあるんだったらかかってこいよ。それとも怖いのか? あ?」
「てめぇえ……!!」
 額に青筋を浮かべて怒りを顕にするレイダーを、フローラは鼻で笑う。
 そして腰を落とし、カウンターに特化した構えで敵を挑発するのだ。
「コソコソ奪うしか能がねぇアンブレイカブルズども、かかってこいよ!
 ひとり残らずブッ飛ばしてやる! オレの磁極流でなぁ!」
「野郎ども、やっちまえ!!」
「「「うおおおおーっ!!」」」
 前後左右、逃げ場を塞いだレイダーどもが同時に飛びかかる!
「陰陽両極の気を以て、互いを繋ぐ鎖となす。磁極流――陰陽縛鎖(パーシャ)!」
「「「!?!?」」」
 しかし見よ! フローラの投げた針がレイダーどもの体に突き刺さる。
 それを支点として繋がった磁性の鎖……引き合う力がもたらす結果はなんだ?
「「「う、うおおおおっ!?」」」
 ぐしゃんっ!! ……と、すさまじい速度で引き合ったレイダーどもが激突した。
 一種の交通事故だ。見るも無残な悪党どもを一瞥もせずフローラは踏み出した。
 最後の一体、前方から引き寄せられてきた敵に、痛烈な体当たりと一撃!
「人質を取ったって雑魚は雑魚だよ。あの世で悔やんどきな」
 磁極流ここにあり。不可視の力を操る活殺拳に死角はない!

大成功 🔵​🔵​🔵​

アララギ・イチイ
この閉所じゃ戦車の運用は難しくて物量戦が封じられそうねぇ
……よし、この方法で物量戦を挑ませてもらうわぁ

【選択UC】発動ぉ
見えない蚊6500匹を召喚して敵に攻撃させるわぁ
蚊という小さな昆虫ならこの閉所でも物量戦で攻められるわねぇ

蚊の攻撃には【毒使い】と【医術】で効能を強化した【マヒ攻撃】の作用のある毒を敵の身体に流し込む様にして、敵の動きを封じて【時間稼ぎ】するわぁ

上記の蚊の攻撃は肌の露出部分、目や耳に中心的に攻撃して【部位破壊】実施、非戦闘員を狙ってくる連中を優先的に攻撃しておくわぁ

私も戦闘に参加、ナノワイヤーを【念動力】で操作して敵の身体に突き刺し超高圧放電で敵の身体を焼き切るわぁ



●閉所ならばこその物量戦
「あああああ! た、助けてくれぇ~!!」
「畜生、痒い! か、体が動かねぇ……!」
 おびただしい虫の群れに包まれたレイダーどもが、全身をかきむしり叫ぶ。
 大の男ですら悲鳴をあげるほどの猛毒。それは無数の蚊の大群であった。
 たかが蚊と侮ることなかれ。伝染病の感染源としてもっともポピュラーな存在だ。
 いわんやそれがユーベルコードで生み出された召喚体となれば、
 流し込まれる猛毒の強さたるや、自然界のあらゆる昆虫を凌駕するほどである!
「あらあらぁ、大の男が情けないわねぇ? 我慢できないのかしらぁ?」
 そんな阿鼻叫喚の有り様を見て、アララギ・イチイは他人事めいて言った。
 もちろん、この蚊の大群を召喚・使役しているのは他でもない彼女である。
「こういう狭い場所にはねぇ、狭い場所なりの戦い方があるのよぉ?
 どれだけおっかない武器を振り回していたってぇ、この数の虫は殺せないわぁ」
「ち、畜生……! 卑怯なことしやがって……!」
「へぇ~、あなたたちみたいな悪党が卑怯だなんて云うのねぇ?」
 ――なら、私が自ら相手してあげましょうかぁ。
 アララギがそう言ったとき、目元をかきむしっていたレイダーは戦慄した。
 これほどの力を持つ女が自ら戦う。その意味するところはひとつしかない……。
「ま、待て! 待ってくれ! た、頼む、見逃してくれ! 俺は」
「そんなこと言われてぇ、あなたは見逃してあげたことあるのかしらねぇ?」
「……!!」
 ヒュカッ、と見えない何かが――単分子サイズのナノワイヤーが煌めいた。
 直後、バチバチバチッ!! と、超高圧電流がレイダーの体を内側から灼く!
 すさまじい絶叫。ぶんぶんと唸る虫の群れの羽ばたきがそれをかき消す。
 凄絶な有り様である。床に転がっているのは黒焦げになった悪党の成れの果てだ。
「これだけ人を苦しめてきたんだからぁ、因果応報ってのがあるわよねぇ?
 覚悟してなかった、っていうなら御愁傷様だけどぉ、可哀想とは思わないわぁ」
 然り。人の道を外れた悪党に対し、くれてやる慈悲などない。
 アララギは猟兵である。ゆえに、人々をおびやかすオブリビオンは倒すのだ。
 もっとも、享楽的で快楽主義的なところのある彼女のやること、
 何もかもを楽しんでいるだけ、というのがおそらく思い過ごしではないだろうが……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フェーリ・アイ
(アイは言葉を話さず、トーンの声は周囲にも聞こえます)
ノロイが行く

やだ、やだやだやだ!!
なんで敵と人(守れと刷り込まれている)が一緒にいるの!?
どっちも邪魔!

(敵には殺意)さっさと死んでよ!
サバイバルナイフを振り回してがむしゃらに掃討
ダブルを出したり消したりして一撃で仕留める
ノロイは急所だけ外れれば怪我してもいい!

(人には涙)さっさとどいて!
拘束が解けるなら解く
最悪、盾になりつつ、物陰に押し込む
敵の意識が人に向けば、その敵に特攻して視線を引き付ける

ダブルか自分、確率の高い方が殺せればいい
痛いけど、誰がビビりよっ
弱くって「助けて」なんてバカみたい
バカみたいに、運のいい人たち…絶対生き残ってよ…っ



●少女は惑い、幽霊は嘲笑う
『アハハハハ! アッハハハハハ!』
 どこからともなく耳障りな笑い声が響く。姿なき霊"トーン"の嘲笑の声。
 それを浴びるフェーリ・アイ……いや、彼女の別人格である"ノロイ"は、
 心をかき乱すような隣人のその笑い声に、この状況に、髪をかきむしった。
(ああもう、うるさいうるさい! なんで、なんでなのよ……やだやだやだっ!!)
 視線の先には怯える奴隷たち。彼らから見ればノロイの振る舞いは奇矯だ。
 現れるなり愕然とした様子で自分たちを見渡し、いきなり苛立ち始めたのだから。
(なんで敵と人が一緒にいるの!? どっちも邪魔! どうしてどうしてっ!!)
『アイは人間が大好きだもんねぇ、みんなと仲良くしたいんだってさぁ!』
(余計なこと言わないでよ! もうやだ、あいつら殺してやるっ!!)
 勝手に内心を語るトーンの声を無視し、ノロイはサバイバルナイフを取り出した。
 そこへ現れるレイダーの群れ。血走った女の目に悪党すらも怯む。
「な、なんだこの女……うおっ!」
 ヒュンッ! 乱暴に振るわれるナイフ、それ自体はあまり脅威ではない。
 しかしノロイの体からは分身めいてもう独りの自分が現れてはまた消える。
 これが厄介だ。不規則でランダムだからこそ、攻撃の軌道が読めない。
「イカレ女が、さっさと死んじまえっ!!」
 BLAMN! 拳銃の弾丸が肩を貫く。灼けるような痛みを無視しノロイは走る。
『ほらほらアイ、どんどんみんな遊びに来てるよ? 遊んであげなよ!』
(うるさい、うるさい……! どいつもこいつも黙ってて、どいてっ!!)
 かろうじて急所を避けながらも、妄執じみた眼差しで敵を睨み、刃を振るう。
 人は殺……否、守らねばならぬ。それが使命。それが仕事。それが義務。
 後天的に与えられた心理的条件付が恐怖心とコンフリクトを起こし混乱を引き起こす。
 表層に出ていたのが特に幼い"ノロイ"であったのも、彼女にとっては不幸であった。
 涙を流しながら、姿なき霊に煽られてそれでもあがくように戦うさまは、
 奴隷たちの目には、ただ哀れで奇妙な振る舞いにしか見えない。
 敵を。殺す。敵を殺せばいい。そうすれば話は済む。殺してやる!
「こ、こいつ……ぐぇっ」
 レイダーの喉元を引き裂き、血まみれのノロイが次の敵を見据えた。
 ただ狂ったように楽しげな幽霊の笑い声が、暗い地下室に響き渡る……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メイスン・ドットハック
【SPD】
とにかく速攻で決着をつけないとのー
悪いがレイダー君、とっとと死んでくれのー

UC「汝は元素、その鎖を断ち切ろう」を発動し、敵の元素を解析する電脳領域を纏いつつ、高速移動でレイダーに接近
至近距離から浮遊追尾していた電脳レーザー砲ユニット「MIYOSHI」の【一斉射撃】を喰らわせる
さらに電脳魔術で【罠使い・ハッキング・破壊工作・地形の利用】を駆使して電脳地雷を埋め込み、武装バイクでうまく立ち回れないようにする
電脳領域で解析が完了したら、レイダーの細胞のみを融解させる特殊毒ガスを発射し、奴隷に危害を加える前にドロドロに溶かす

ま、奴隷なんて作る奴には天罰じゃろーのー

アドリブ絡みOK


銀山・昭平
こういう狭い場所なら、忍者の暗殺技が役立ちそうだべ。
物陰に隠れながら、一匹一匹レイダーの急所を狙って無力化していくべ。
おらの手裏剣は中くらいの距離で本領を発揮するべ。近接でもバールで一人ひとり殴って昏倒させてやればいいべな。

相手も危険なお薬で自身を強化するのであれば、おらも【降魔化身法】で身体能力を強化して、短期決戦に持ち込んでやるべ!

救助は錠前をバールで無理やり壊して逃げられるようにするべ。
完全にカギや鎖をほどいてもらうのは他の人に任せるべ。

※アドリブ・共闘歓迎です


カイム・クローバー
もうパーティは始まってんのか?こんだけ派手にやってりゃ、遠目から見ても分かるぜ。

俺も一暴れしてやりてぇトコだが――まずは人質の救助を急ぐか。
UCを使って視界に収めてる捕らわれの人質を安全な場所に運ぶ。銃撃の来ない後方だとか、まだ前線に現れていない猟兵とか?便利屋としちゃ連中に一泡吹かせてやりたいんでね。人質は全て!俺が頂いていくぜ?
群がる雑魚は二丁銃で【二回攻撃】、紫雷の【属性攻撃】、モンキー共を黙らせる【範囲攻撃】のオマケ付き。
耀が言ってたチーム名を腐敗霧笛団に改名してみちゃどうだ?腐敗ってのは性根が腐ってるから。霧笛ってのは…モンキーらしく口笛でも吹いて仲間を呼び寄せてみちゃどうだ?


狭筵・桜人
わあたくさん出てきた。

私は非戦闘員の保護と囮に徹しますね。
――『怪異具現』。浮遊する複数の『盾』を召喚。
非戦闘員を【かばう】盾型のUDCです。
戦闘能力はありませんが一撃で消滅する機械兵よりは
丈夫だと思いますよ。

盾型はレイダーに近い非戦闘員たちの元に。
私は敵の前へ立ちます。逃げ回るには速度で負けるでしょうし
いっそ非戦闘員から遠ざけるための囮にでもなろうかなって魂胆です。
でもほら、速いからこそバイクは急には曲がれませんよね。
ギリギリまで惹き付けてタイミングを【見切り】。
横に飛んで避けてみます。

避け際に拳銃で【クイックドロウ】。
普段が銃で撃っても死なない手合いばかりだと
人型が優しく見えますね!



●一挙両得、一網打尽
 BLAMBLAMBLAM! BLAMBLAMBLAMBLAMBLAM!!
 群がるレイダーどもを吹き飛ばす二丁拳銃のマズルフラッシュ!
 盛大な銃声が鳴り響き、砲声のたびに巨体が倒れて無様に転がった。
「まったく、モンキーどもが徒党を組んでご苦労なこったぜ!
 そんだけ数を揃えて何がしたいんだ? メス猿でも取り合うのかよ?」
「この野郎ぉおっ!! 言わせておけばぁああっ!!」
 グォオオオンッ!! とモンスターバイクのエンジンを吹かし、
 レイダーどもがカイム・クローバーを轢殺しようとスロットルを開いた。
 愛用の二丁拳銃・オルトロスで牽制しながら、カイムは軽やかにスプリント後退。
「悪いな。人暴れしてやりてぇトコだが、お前らの相手は別にいるみたいだぜ!」
「なんだと!? ……な、なんだこりゃあ!?」
 暗闇に飛び込んだカイムと入れ替わりに立ちはだかったのは、電脳の障壁だ。
 それはすなわち、メイスン・ドットハックが纏う空間ハッキング領域!
 滑るような高速移動で間合いを詰めたメイスンが指を差し向けると、
 背後に浮かぶレーザーユニットから極太の熱線が放たれレイダーを貫いた!
 KA-BOOOOM!! 横転したバイクが後続の味方を巻き込みながらスピン、爆発!
「そういうわけじゃけー、悪いがさっさと死んでくれのー」
 ZAP! ZAP!! 無数のレーザーユニット群による容赦なき一斉砲撃!
 さらに不可視の電脳トラップが地雷めいて床の至るところで牙を剥き、
 愚かにも踏み込んだレイダーどもを爆炎で包み込んで抹殺してしまう。
「落ち着け! 相手はガキひとりだぞ!? 数で圧せばいいんだよ!!」
「こっちは多勢なんだ! 取り囲んじまえば……あ?」
 暗闇の向こうに何かがいる。レイダーはその気配に気づき……そして、死んだ。
 断末魔すら残さずに、どうと仰向けに倒れる。喉に突き刺さっているのは、手裏剣!
「な、なんだぁ!? いつのまに、いや、どこから!?」
「まだ他の猟兵が潜んでやが……うげっ」
 そしてまたひとり。音もなく飛来した手裏剣に急所を貫かれて絶命する。
 影から影へ。けして姿を見せぬ凶手を恐れるように、レイダーどもは叫ぶ。
 そのさまを闇の中から見つめ、銀山・昭平はまた別の物陰へと滑るように移動。
(こういうときのための化身忍者だべ。暗殺技を見せつけてやるべな!)
 見た目はずんぐりむっくりとしたドワーフだが、昭平は立派な化身忍者である。
 その気になれば、こうして悪党どもの目を盗んで死角に潜み、
 鋭い手裏剣投擲によってひとりずつ暗殺していくことはわけないのだ!
 前門のメイスン、校門の昭平。レイダー部隊は前後を囲まれた形となっていた。
 閉鎖空間ゆえに左右に逃れることは出来ない。飛んで火に入る夏の虫とはこのことか!
「とにかく速攻で決着をつけたいからのー。さあ、いくんじゃぞー」
 そこへ再び、無慈悲な電脳レーザーの雨が降り注ぐ……!

 ……同時刻、奴隷たちが閉じ込められた巨大な牢屋の前!
「さて……これでよし。さあチェックアウトの時間だぜ、もううんざりだろう?」
 手際よく牢屋のロックを解除したカイムは、奴隷たちに笑いかけた。
 怯えていた人々は、ようやく自由を取り戻したことに涙ながらに喜ぶ。
「てめぇ! こんなところにいやがったのか!!」
「おっと。まったく、モンキーのくせに鼻が効きやがるな」
 そこへ現れたレイダーを見て、カイムはうんざりした様子で言った。
 仕方なくオルトロスを抜き放とうとするが……そこへ、意外な助け舟。
「あ、お待ち下さい」
「あん?」
「わざわざこんなタイミングで奴隷の皆さんを救助しにきたんですし、
 きっと安全に脱出するユーベルコードか何かあるんですよね? 多分」
 すいっと自然体で割り込んできた狭筵・桜人は、フレンドリーな声音で言った。
「ならここは私が受け持ちますよ。まあ、こういうの慣れてないんですが」
「へえ? なら返す言葉になるが、お前はどうにかできんのかい?」
「そうですねぇ……たとえばこういうのはどうでしょう?」
 そう言って桜人が生み出したのは、空中に浮遊するいくつかの"盾"である。
 しかしそれを見たとき、カイムは本能的にそれがなんであるかを理解した。
「――UDCか? 妙なモンを使役してるな、お前」
「これでもエージェントですからね。まあ、役には立ちますよ?」
 桜人は本心を悟らせぬ笑みで言うと、レイダーのほうに向き直った。
「まあそういうわけで、ここは通しません。どうぞお引取りください」
「ナメてんじゃあねえぞ! はいそうですかって頷くわけねぇだろうが!!」
「ですよねー、だから面倒くさいんだよなぁ」
 呆れた様子の桜人の背後で、怯え竦む奴隷たちと並んだカイムが云う。
「さてモンキーども! 俺はこれでも便利屋が生業なもんでね。
 お前らを蹴散らしてもいいが、どうせなら一泡吹かしてやりてぇとこだ!」
「なんだと? どういう意味だ、てめぇ!」
「――つまり、こういうことさ。さあ、皆、捕まりな!」
 カイムがそう言った直後。彼と周囲にいた奴隷たちが、忽然と姿を消した!
 ユーベルコードによる空間跳躍! レイダーどもはあっけにとられる!
「な――に、逃がすか、クソがぁ!!」
「だから、通しませんって」
 桜人は盾型UDCを全面に展開し、バイク突撃してきたレイダーを迎撃。
 しかし突破されて轢殺されそうになった瞬間、タイミングを見切り横っ飛び回避!
「一杯食わされといて悪あがきするの、見苦しいんですよ……っと!」
 BLAMN! 護身用の拳銃がタイヤを打ち抜き、バイクをスピンさせた! ……KRA-TOOOM!!
「へえ、いい狙いしてるじゃねえか! 筋があるぜ!」
 そこへパッ、と再転移したカイムが戻ってくるなり、笑いながら云う。
 そして彼もまたオルトロスを抜き放ち……BLAMBLAMBLAM! 小気味いい銃声!
「く、くそがぁ!! どこまでもバカにしやがってぇ!!」
「モンキーをモンキー扱いして何が悪いんだ? ……ああ、そうだ。
 どうせならお前らのチーム名も、"腐敗霧笛団"に改名しちゃどうだ? なんてな!」
 会心の笑みを浮かべ、脳天を撃ち抜く。これこそがBlack Jack流だ。
 ただぶちのめすだけでは芸がない。裏をかき手管を尽くしてかき乱し、
 屈辱を与えた上で引導を渡す。悪党どもには似合いの最期である!

 そして、レイダーの群れと戦闘していたメイスン。
「解析完了じゃけー。特殊毒ガス、噴霧開始じゃー!」
「ぐっ!? な、なんだこいつは……い、息、が……!」
 電脳解析によって生成された、オブリビオンだけを融解する特殊な毒ガス。
 閉鎖空間に満ちたそれがレイダーどもの息の根を止め、原型すら残さず溶け崩す。
「うーわ、これグロいべなぁ、ま、けどおらも見逃しはしないべよ」
 ガスを逃れてその場を飛び出そうとしたレイダーの背後に、昭平の手裏剣が命中。
 逆上して反撃してきた敵のチェーンソーは自前のバールで受け流し、
 返す刀とばかりに後頭部を叩きのめしたり、喉を抉ってとどめを刺すのだ。
 なんたる強力なユーベルコードの数々、そして極めて高い猟兵たちの戦闘能力!
 レイダーどもは次々に駆逐され、やがて奴隷たちの感謝の声が響き渡った――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『サイバーレイダー』

POW   :    パワーアシストアーマー
予め【パワーアシスト機能に充電しておく】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD   :    奪い尽くす者達
レベル×1体の、【タトゥーで額】に1と刻印された戦闘用【機械化レイダー軍団】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
WIZ   :    レイダーズシャウト
【略奪を宣言する叫び声】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。

イラスト:鋼鉄ヤロウ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ハック・アンド・クラッシュ!
 ガシュン、ガシュン、ガシュンッ!
『よくも好き勝手やってくれたな、てめぇら……!!』
 基地の奥から現れたのは、パワーアシストアーマーを装備したレイダーの頭目。
 身の丈を超える鋼鉄のハンマーを構えた姿は、実に威圧的であり危険だ。
『全員叩き潰してやるぜ! 覚悟しなぁ、猟兵!!』
 手下が倒れようと、己さえ生きていれば問題ないとばかりに戦意を剥き出す。
 一方、猟兵たちの活躍で無事に救助された奴隷たちは、手に手に武器を取り、
「少しくらいはお手伝いします、このアジトのことはよく知っているんです!」
 と言って、猟兵たちへの支援を決意した。地の利を得ることが出来るのだ。
 ここが悪党退治の大一番。凶暴野蛮なレイダーの親玉をぶちのめし、この地に平和を取り戻せ!

●業務連絡:2019-12-30 02:05
 マスターの電池が切れたので、プレイング採用は日が昇ってから行います。
 プレイングそのものは気にせずお送り頂いて問題ありませんので、お気軽にどうぞ。
(他シナリオ進行との兼ね合い上、頂いた数によっては却下が生じる場合があります)
エリス・フリーウインド
優希斗殿(f02283)同行。他の猟兵との連携可
ふむ…随分と得手勝手な事を申し上げる御仁ですね
あなたの様なオブリビオンでは、私達は愚か、あの方達にすら、指一本触れることなど出来はしないでしょう
「お任せ下さいませ、優希斗殿。あの方達は、私が必ず守り抜いてみましょう。皆様も、どうかお気兼ねなく戦い下さいませ」
 地の利を得た状態で、奴隷に貶められていた皆様を守る誓いを立ててUC発動
 自らを漆黒の聖鎧で覆いつつ、拠点防御+庇う+盾受け+武器受けで強化した無敵の破邪の結界で、戦う人々を御守り致します
 その上で私は呪詛剣黒羽と、ランス・オブ・ダークを射出して優希斗殿や他の方々の『援護射撃』を致しましょう


北条・優希斗
エリス(f10650)同行。他の猟兵との連携可。
地の利を得られるならば僥倖。
ただ、それを利用してあなた達が殺されてしまうのであれば本末転倒ですね。
エリス、その人達の護衛は頼む
「好き勝手やってくれた? 俺達が来るよりも前からずっと隙かってしていたのはどちらだろうな、お前」
と挑発した上で武器を抜く
それでこいつの配下共々俺に注意を引きつけられれたなら僥倖
UC発動後、エリスを一度だけ斬り、蒼月・月下美人・鏡花水月・月桂樹に戦神の呪詛を乗せ、更に二回攻撃、範囲攻撃、薙ぎ払い、串刺し、鎧貫通攻撃を合わせた36回連撃を放つ
「お前の動きは、もう見切っている」
防御は残像、見切り、地形の利用で攻撃は回避するよ



●因果応報の末路
『ぬうんっ!!』
 KRAAASH!! 鋼鉄ハンマーが強固なコンクリートを一撃で破壊する。
 パワーアシストアーマーによって増強された殴打は、喰らえば致命傷だろう。
 どうやら奴がおっとり刀で姿を表したのは、パワーを充填していたためのようだ。
『ちょこまかと逃げ回りやがってェ……おとなしく死にやがれェ!』
「そうはいかないな。死にたくはないし、お前みたいなヤツはなおさらごめんだ」
 立て続けの攻撃を持ち前の反射神経と運動能力で連続回避した北条・優希斗は、
 あくまでも挑発的に言ってみせる。その視線は敵の一挙一動から逸らされない。
「黙って聞いていれば、ずいぶんと得手勝手なことを申し上げる御仁ですね。
 部下が斃れたことに憤るならば、まずはご自分の所業を自戒するべきでは?」
 エリス・フリーウインドは決然と敵意の眼差しを向け、皮肉めいて言った。
 彼女の背後には武器を構えた奴隷たちがおり、いつでも支援できる状態だ。
「確かに。"好き勝手やってくれた"だって? 俺たちが来るよりも前からずっと、
 好き勝手していたのはどちらだろうな、お前。筋違いっていうものだ」
『ほざけえっ!! てめぇらを殺さないと気がすまないぜぇ……!!』
 優希斗の言葉に対し、返ってくるのは純然たる殺意と敵意のみ。
 オブリビオンとはそういうものだ――この荒廃した世界では、なおさらに。
「……話になりませんね。これがアポカリプスのオブリビオンですか……」
「やるしかないな。エリス、引き続きそちらの人たちは任せるよ」
 おまかせを、と頷くエリスを一瞥して奴隷たちを託し、優希斗は前に出た。
 両者の間で殺気が膨れ上がり、空気が張り詰めたかのような錯覚を起こす。
(伊達にリーダーを張ってないか。あのレイダーどもよりは"やる"な)
 慎重に間合いを図りながら、優希斗は斬り込むべきタイミングを探る……。

 と、そのとき!
『バラ肉になっちまいなぁああああっ!!』
 しびれを切らしたサイバーレイダーのほうが仕掛けた。すさまじい速度の踏み込み!
 強烈なパワーで踏みしめられた床がズシンッ!! と音を立てて砕け、
 粉塵を巻き上げる。パワーアシストアーマーの関節部から吹き出す蒸気!
(わかりやすい、だが……重いなッ!)
 優希斗は正面からの武器受けを放棄し、刃でいなして受け流した。
 ブオンッ、と振り抜かれたハンマーが壁を殴りつけ、地下施設が振動する。
『しゃらくせえ! だったらそっちの女を殺してやるぜぇ!』
「――出来るとお思いならば、うぬぼれが強いと申し上げておきましょう」
 ガギンッ!! エリスは続けざまの攻撃を真正面からランスで受けた!
 衝撃が足元を駆け巡りひび割れさせる。だが、結界で守られた彼女は無傷!
「相手はこっちだ、かかってこい!」
 優希斗はそこへ切りつけ、敵を挑発。しかし不可解なのはその斬撃だ。
 勢い余ったのか、剣閃は結界を展開するエリスの鎧とかち合い火花を散らした。
『ハッ!! お仲間を殺しかけてるじゃねえか、うらなり野郎が!
 おい野郎ども、やっちまえ! この野郎をバラバラにしろぉ!!』
 サイバーレイダーの声に応じ、物陰から新手のレイダーどもが出現する。
 しかし優希斗は不敵に笑い、こう言い放った。
「お前の動きはもう見切っている――!」
 直後、彼の姿がかき消えた。そして一瞬の間に超高速の多重斬撃!
「「「ぐわあっ!?」」」
『な、何――うおおおっ!!』
 雑魚どもを斬り伏せた勢いで、とどめの一撃がサイバーレイダーを襲う。
 真一文字の剣閃を受け、外骨格が火を吹いた。たたらを踏む巨体、ダメージは十分だ!
「因果応報という言葉を教えてやる。さあ、続きだ」
「――何があろうとも、人々は守ってみせます。あなたはここで終わりです」
『てめえらぁ……!!』
 決然たる猟兵たちの凝視に、サイバーレイダーは苦悶するように呻く……!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アルトリウス・セレスタイト
頭が足りんぞ

敵へは顕理輝光で対処
常時身に纏う故、準備不要
攻撃へは『絶理』『刻真』で異なる時間に自身を起き影響を回避
攻撃分含め必要な魔力は『超克』で“外”より汲み上げ、行う行動は全行程を『刻真』で無限加速し即座に終える

破天で掃討
高速詠唱を『再帰』で無限循環
『解放』を通じ全力の魔力を注ぎ、瞬く間もなく生成し続ける億の魔弾を嵐が如く叩き付ける
周囲への被害を鑑み魔弾の統合及び爆破はせず、純粋に数で圧倒

包囲するように誘導し回避の余地を与えず
攻撃の密度速度威力で反撃の機を与えず
物量で全て圧殺する

※アドリブ歓迎



●飽和爆撃の恐怖
 ズドドドドド……!!
 億万の星めいて降り注ぐ蒼き魔弾の雨が、サイバーレイダーを圧倒する。
 パワーアシストアーマーのバリア機能を全開にして防御しようとするが、
 それでもなお防ぎきれぬほどの猛威。これがアルトリウス・セレスタイトの力!
『な、なんて野郎だ……!! てめえは一体……!?』
「どうした。あれだけ粋がっていたくせに、圧されただけで心折れたか。
 足りないのは頭だけでなく、覚悟も意気も同じだったようだな」
『……!! ナメやがってぇ!!』
 なおも降り注ぐ魔弾。しかし、サイバーレイダーはブチギレた。
 鋼鉄ハンマーを振り回して乱暴に間隙をこじ開け、全力でチャージを仕掛ける。
『うおおおおおおっ!! ぶっ殺してやらぁああああっ!!』
 猿のごとき雄叫び! それはまるで原住民族の放つウォークライのようだ。
 超常の力すら有した絶叫は、サイバーレイダーの全身に不浄な力を満たした!
「怒りと殺気に飲まれ好き放題に暴れ回る。お前は獣同然だ」
 己のすべてを原理によって強化したアルトリウスは、魔弾を追加生成。
 雨を越えて嵐めいたその蒼き輝きを以て、重戦車めいたチャージを迎え撃つ。
 KRAAASH!! 鋼鉄ハンマーが壁を砕く。アルトリウスはそこにはいない!
 魔力強化によって得た超高速移動、背後に回り込んでの魔弾ゼロ距離射撃!
『ぐ、うおおおっ!!』
「お前はどれだけの人々から奪い、虐げ、踏みにじってきた?」
『ハッ、そんなこと憶えてるわけがねえだろうが……!!』
「――ならば、己をも忘れ去るほどの苦痛を味わって死に堕ちていけ。
 お前のような悪党にはそれが似合いだ。存在根源を砕かれる恐怖を味わわせてやる』
 魔力が膨れ上がる。あちこちから火花を発したサイバーレイダーは身構えた。
 天を破るような輝きが閉鎖空間を満たし、アルトリウスを逆光で照らす。
「俺は、そのために戦う者だ」
 超越者の眼差しは、悪党の心胆を寒からしめるには十分な威風を備えていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

大崎・玉恵
【神魔】
あの温厚で優しいてぃのが怒っておる……。
わしの為に怒っておるのか……驚きもあり、心強くもあり。……嬉しくもあるのう。

奴は雑兵を喚ぶらしい。
【式陣・朱天照】を発動、狐火を分割し、召喚された雑兵を【範囲攻撃】で【焼却】して回ろう。てぃのの邪魔が入らぬようにの。

……無論、親玉も放置という訳ではない。最愛の者故、てぃのの事は信じておるが。だからこそ、一人ではやらせぬよ。
雑兵どもがいなくなれば、わしの狐火を本格的に親玉へ回し連続攻撃にて【焼却】しよう。
それ以前でも、少数は親玉へ向かわせてぃのとの戦いに介入する腹積もりじゃ。


ティノ・ミラーリア
【神魔】
……レイダーがここまで酷いものだなんて…
世界を知るのは僕の楽しみだけど…後はもう、見る価値もないね…

道中に取り込んだ血液を代償に【断罪執行】を発動し武装を禍々しく強化します。
そもそも、幻影であれ玉恵を傷つけて笑った…その罪は断罪でも生温い……
『纏影』を槍に刃に変えながら「串刺し」し、影や刃に『操血』の「毒使い」を忍ばせ、
遠距離は『狩猟銃』の「呪殺弾」、近距離は『処刑人の剣』の「鎧砕き」。
回避できない敵の攻撃は盾状にした『纏影』で受け止めるか、『眷属』で「かばう」。

残っている雑兵は玉恵が対応してくれる。だから僕は…目の前の敵に集中して、斃すことができる。



●許されざるもの
『野郎どもぉ! 来い! このゴミどもを始末しろぉ!!』
 サイバーレイダーの呼び声に応じるように、闇の奥からレイダーどもの鬨の声。
 それはユーベルコードによって骸の海から現れた、新たなオブリビオンどもだ。
 しかも先ほど相手にした生身のレイダーと違い、全身の至るところを機械化した、
 戦闘能力も段違いの敵集団。数で圧倒されては不利となってしまう!
「……酷い、醜い。それに、気持ちが悪い……」
 悪意の顕現たるオブリビオンに群れに、ティノ・ミラーリアは柳眉を顰めた。
 単純な過去の残骸に対する敵意……だけではない。大崎・玉恵を侮辱されたこと。
 たとえ幻影であれ、愛する彼女を傷つけ喜ぶ外道どもの下劣な品性は、
 少年にとっては逆鱗に触れるに足る蛮行だった、ということだ。
『『『ヒャハハハハ! ぶっ殺してやるぜぇ!!』』』
「――邪魔だよ。これ以上、僕を不快にさせないで……!」
 狩猟銃から呪殺弾頭をぶちまけ、殺到したレイダーどもの頭を吹き飛ばす。
 飛び散る脳漿すら厭うように影から影へと滑り、処刑剣での斬首攻撃。
 一切の容赦も慈悲もない、命を奪うための苛烈な攻撃であった。
「てぃの……もしや、わしのために……?」
 めったに見れないであろうティノの静かな怒りに、玉恵はぽつりと呟いた。
 驚愕。頼もしさ……そして、愛される者としての喜びが心に浮かび上がる。
 しかし、そんな甘やかな感情に浸るには、ここはいささか下卑た戦場だ。
「雑兵どもにはさっさとご退場願うかのう。狐火よ、来たれ――」
 ぽつ、ぽつと彼女の周囲に現れたのは、薪もなしに燃え上がる妖しの狐火。
 玉恵の意志によって自由自在に制御可能な60個以上の狐火が、強く燃え上がる。
 敵が数に任せて攻めてくるならば、こちらも範囲攻撃で灼き尽くせばよい。
『ぎ、ぎぎゃあああっ!!』
『あ、あついぃいい! 熱いぃいいっ!!』
 機械化レイダーどもは狐火を避けそこね、悲鳴をあげてのたうち回る。
 火だるまとなった屍を乗り越えて、妖狐とダンピールが敵を追い詰めつつあった。
『ちぃっ! 調子に乗ってんじゃねえぞぉっ!!』
「……それは、こっちの台詞……」
 痺れを切らせたサイバーレイダーが、鋼鉄ハンマーを振り上げ襲いかかる。
 ティノは己が纏う影を盾めいた板状に変形させ、真正面から槌の一撃を受けた。
 ズンッ!! と、予想以上の衝撃が浸透し、足元に蜘蛛の巣めいた日々を刻む。
 全身の骨が軋む。しかしその程度の痛みで、彼の怒りは止められない!
「……これ以上、そうやって下卑た笑みを僕に見せるな……!」
『ぐ、こいつ……がはっ!!』
 瞬時に盾から槍に変形した影の刺突が、鎧の上から敵の脇場を貫いた。
 手応えが浅い。しかし、たたらを踏んだサイバーレイダーに狐火が襲いかかる!
「てぃのや。わしのために怒ってくれるのは嬉しいが、無理は禁物じゃぞ?」
「……うん、大丈夫」
 横に並んだ玉恵を見下ろし、ティノはこくりと素直に頷いた。
 悪党どもに誅伐をくれてやるまで、この憤怒は止みそうにないだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フローラ・ソイレント
POW判定

・行動
相手のチャージ中に
パワーアシストアーマーの型式と武装などを観察
医術的な見地からサイバー部位もその可動範囲などを予想しておく

動き出したところを限界突破した怪力で一気に接近
武装を活かせない超接近戦で触れた所へ磁力によりマーキング

その後狙いすました一撃で電力を供給する体内のケーブル部を
UCで部位破壊する

・セリフ
やっと親玉のお出ましかい?
アンタはこれまでは強者だったんだろうけど
何時までもそれが続くとは思わないことだ

因果応報、アンタも罪を清算するときが来たってことさ

(奴隷にされていた人々に向かって)
お前らも見てな!この荒野にも救いの手はあると!
諦めずに足掻くものがつかめる未来はあると!


アララギ・イチイ
最後くらい物量戦に頼らず自分の身体で戦いましょうかぁ
運動しないと健康に悪いしねぇ

敵の攻撃は装備品のシールドシステムで敵の攻撃を【見切り】、【第六感】で補正した【早業】の【盾受け】防御で対応よぉ

上記の防御で【時間稼ぎ】している間に【念動力】で加速させた【ダッシュ】で敵の至近距離まで接近、身体の一部を敵の身体に軽く接触させて【選択UC】使用だわぁ
接触個所を爆弾に変換して起爆の【部位破壊】で敵にダメージを与えるわぁ(自分に被害が及ばない様に威力調整

間接攻撃として、周囲の砂とか廃材を手に取り爆弾に変換、起爆して爆風による【吹き飛ばし】の【範囲攻撃】とかもしてみようかしらぁ



●悪を討つ拳
 これまでの猟兵達の攻撃は、パワーアシストアーマーに大きなダメージを与えた。
 どうやらそのせいで、サイバーレイダーのアーマーはパワーダウンしたらしい。
 ギュウウン……と音を立てて敵の動きが鈍くなる。こうなれば鋼鉄の棺桶同然だ。
『クソッ、チャージの時間が必要だ! 野郎ども、時間を稼げぇ!!』
 慌てふためいたサイバーレイダーの呼び声に応じ、機械化レイダーが出現!
 攻め込もうと踏み込んだ猟兵らを、有り余るパワーで妨害する。
「見苦しいわねぇ。物量戦の正しいやり方ってのを教えてあげようかしらぁ?
 ……と思ったけれどぉ、逆にねじ伏せたほうが楽しそうねぇ……?」
 アララギ・イチイは新たな召喚体を呼び出そうと思案したがそれを止め、
 シールドシステムを伴として、あえて生身一つで敵陣のど真ん中に突っ込む。
『女ひとりに何が出来んだよギャハハ……ハバァーッ!?』
 その無謀な突撃を嘲笑った機械化レイダーは、アララギが触れた瞬間爆発!
 一体何が起きた? 常識で考えればありえない現象……つまり、ユーベルコード!
「敵を嘲笑うような三流じゃ、相手の力量なんて見抜けないかしらねぇ?」
 すなわちそれは、アララギが編み出した独自の格闘術によるものだ。
 彼女が触れた物体は、一瞬にして爆発物に変化してしまう……人体ですら!
『き、距離を取るんだ! 触られなけりゃ――』
「そうすることぐらいお見通しよぉ? だからこうするの」
 戦闘の余波で砕け散った瓦礫を蹴り上げると、アララギはそれをキャッチ。
 そして手首のスナップを効かせて投擲する……爆弾となった掌大の瓦礫を!
 KBAM!! 敵陣のど真ん中で、破壊力を増した瓦礫爆弾が炸裂した!
『『『こいつ……つ、強い!?』』』
「いまさらすぎるわねぇ? さあ、さっさとどいてもらおうかしらぁ!」
 KBAM!! KA-BOOM!! 情け容赦ないダイナマイトクイーンの攻撃に、敵は数を減らす。
 アララギがすべての機械化兵士を抹殺したのと、敵のチャージ完了はほぼ同時。
 身構えるアララギを押し潰そうと、力をためたサイバーレイダーが襲いかかる……が!

 ガァンッ!! と、振り下ろされた鋼鉄ハンマーを誰かが受け止めた。
 アララギの盾ではない。横合いから割って入った、フローラ・ソイレントだ。
「助太刀は要らなさそうだがねぇ、悪党はブッ飛ばさなきゃ気がすまないぜ」
『こ、このアマ……!?』
「アンタはこれまで強者だったんだろうけど、なぁ!」
 フローラはしなやかな筋肉をバネめいて躍動させ、ハンマーを押し返した。
 見た目にそぐわぬ膂力に押し負け、サイバーレイダーは思わずたたらを踏む。
「いつまでもそれが続くとは思わないことだッ!」
『な、なめやがってぇ!!』
 二、三歩よろけつつ後退したサイバーレイダーは体勢を取り直すと、
 チャージしたばかりの電力をフルバーストし、外骨格の力を最大限に引き出す。
 それを前にして、アララギは……しかし、腕組みし見物の姿勢に回った。
(ずいぶん自信がありそうだしぃ、観てみるのも楽しそうねぇ)
 然り……彼女の見たフローラの背中は、闘気と自信に満ち溢れていた。
 フルパワーを発揮した外骨格相手に、真正面から立ち向かうのは愚策である。
 それをあえてやろうというフローラの決意。義侠心の強さを感じさせる。
「捕まってた奴ら! お前らも見てな、オレたちの戦いを!」
 油断なき構えを取りながら、フローラは奴隷たちに言う。
「この荒野にも救いの手はあると! 諦めずにあがくものが掴める未来はあると!」
 決然たる眼差し。そこへ、威力を取り戻したサイバーレイダーが迫る!
『そんなものはありゃしねぇ! てめえらは全員死ぬんだよぉ~!!』
「――磁極流」
 フローラの踏みしめた床が、怪力により砕けて舞い散った。
 鋼鉄ハンマーのリーチの内側に一瞬にして踏み込み、そして!
「……空即是色(シューニャ)ッ!!」
 繰り出された一撃が……KRAAAAAASH!!
『ぐ、うおおおおおっ!?』
 サイバーレイダーの巨体を吹き飛ばし、あちこちから火花を生じさせた。
 その威力もさることながら、眼を見張るべきは内部へのダメージである。
『お、俺様のアーマーが……ショートしただと!?』
「この世全ては空なり、因果無くして色は存在せず――すなわち、因果応報」
 残心したフローラは、愕然とするサイバーレイダーに言い放った。
 状況を見守っていたアララギもまた、楽しげな笑みで彼女と肩を並べる。
「好き勝手やらかしたなら、そのツケも払わないとよねぇ?」
「……アンタも罪を清算するときが来たってことさ。悪党!」
 恐るべき女たちを前に、無敵を謳った悪党は思わず震え上がった!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フェーリ・アイ
(言葉は話しません。トーンの声は周囲にも聞こえます)

タロです。おや、交代ですか
(記憶は引き継ぎません。OP内容のみ共有
血を拭い、眼鏡を掛ける)

いてて…ハデにやられたようですね
またトーンがノロイをけしかけたんですか?
可哀想に…。強制交代する私の身にもなってください(にこにこ)

『アイはちっとも困ってない。どうせ丸投げするんだろ?』
ええ。トーンにお任せします。遊んできなさい
できれば穏便に、明かに危なそうなあれ(サイバーレイダー)以外は傷つけないで…

『アハハ!知らないね!』
そういうと思いました
ならば私自身は被害状況を把握しつつ、周囲の協力を得て有利な感じに敵を誘導して追い込みましょう
避けられなければ。



●不可視なるものの悪意
 血まみれで倒れていたフェーリ・アイの指が、ぴくりと震えた。
 そしてよろけながら立ち上がる……だが、様子は先ほどまでと一変していた。
「…………」
 無言なのは同じまま。生きているのか心配そうに見守っていた奴隷たちは、
 周囲を不思議そうに見渡すフェーリに対し、どう声をかけたものか思案する。
『やあ、おはよう! 無理やり引きずり出された気分はどうだい? アハハハ!』
 そこへ、姿の見えない悪霊の声が、嘲笑が響き渡った。
 途端に女はにこにこと笑みを浮かべ、あらぬほうを見やる。

 ……と、傍からは何が起きているのかまったくわからないことだろう。
 しかしいま、表出した人格はすでに"ノロイ"ではなくなっている。
(最悪ですよ。しかし、ずいぶんハデにやられたようですね)
 思念によってトーnと対話するのは、"ノロイ"よりは理知的に思える者。
 それは――"タロ"は胸元からメガネを取り出すと、血を拭って掛け直した。
(トーン。あなたも"ノロイ"をけしかけるもんじゃありませんよ)
『別にそんなことしてないよ~! だいたいキミだってそうじゃないか』
 叱るような"タロ"に対し、トーンはどこ吹く風だ。
『アイはちっとも困ってないし。どうせ丸投げするんだろ?』
(ええ。トーンにおまかせします。遊んできなさい)
 思念を受け、見えない幽霊はおそらくサイバーレイダーのほうへ向かった。
 たじろぐ悪漢の周囲、瓦礫がひとりでに浮かび上がり嵐のように渦巻く。
(できれば穏便に。あれ以外は傷つけては……)
『アハハ! 知らないね!』
 敵からすれば、姿の見えない幽霊の攻撃はかなり脅威だ。
『なんだ!? くそっ、どこから声がしやがる! 鬱陶しい!』
(あの様子ならば、おびき寄せるのは簡単そうですね……)
 "タロ"はメガネを掛け直しながら思案し、怯える奴隷たちを見た。
 にこりと人のいい笑みを浮かべる。協力を求めるかのように。
(せいぜい働いてもらうとしましょう。敵は殺さなければ、ですからね)
 謎めいた人格たちの心の裡を、幽霊以外が知ることはない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

銀山・昭平
捕まってたみんなは大丈夫だべ? おらたちに任せるべな!

というわけで早速、【銀山流即席絡繰術・弐式】でからくりを組み上げるべ。
機械に効く電波を発するからくりだべ。これで充電や雑魚も、ある程度無力化できると思うが……敵さん本人もなかなか強そうだべ。

あとはさっきのように隠れながら【暗殺】で急所、特にアーマーの関節部分や駆動部分を狙うように攻撃したり、雷の【属性攻撃】でちまちま削っていくべな。

しっかし、ここのからくりもまた不思議な感じだべなぁ。
戦いが終わったらちょっと構造とか動力とか色々と見てみたいべ。

※アドリブ・共闘歓迎です


虹結・廿
……流石猟兵の皆さんは手際が良い。逃走兵を見張る必要なんてなかったですね。

捕まっていた皆さんにアジトの構造を聞き出し、クロスファイアと砲撃に適した位置取りを算出し、行動開始。
ああ、支援は大丈夫です。砲撃に巻き込まれたくはないでしょう?

「複製義体β」に「オメガデリンジャー」の発射準備を整えさせ、

「複製義体ε」以外の2体義体を砲撃予定地に潜ませ待機。

自分自身はεと共に、目標を適度に射撃を加えながら目的地へ誘導してゆきます。

目的地へ到達後はγ、δ、εと共に制圧射撃と一斉発射を行い足止め。

βのオメガデリンジャーによる榴弾砲撃を行い対象に痛撃を与えます。

その後はβ除く4体にて制圧射撃を行い他猟兵を支援。


メイスン・ドットハック
【SPD】
奴隷達にも光が戻ったようじゃのー
それじゃちょっとばかし自由の為に頑張ってもらおうかのー

UC「未踏の領域に踏み込みし権能」のプログラムソフトウェアのリソース5割を使って奴隷達に電脳兵器を提供
レーザー銃やビーム機銃を使ってもらって機械化レイダーやボスへの牽制・攻撃を行ってもらう
そして残りリソース5割は機動強襲用二足歩行戦車「KIYOMORI」に使い、自身も搭乗して電脳兵器を持ってフルバースト【一斉射撃】を行う
撃ち尽くしたら跳躍してサイバーレイダーをその巨体で踏みつぶすようにスタンプ攻撃を持ってダメージを狙う

自分より圧倒的な力で蹂躙される気持ちはどうかのー?

アドリブ絡みOK


狭筵・桜人
おお出てきた出てきた。

なんかめっちゃ叫んでますけど……
お仲間はもういらっしゃらないのでは?
って捕まってた人たちも元気ですねえ!

その、自分が負けるはずないって自信をへし折ってやりますよ……
――他の猟兵たちが!

……私?私は他の猟兵にボコボコにされたボス猿が
この俺がなんでどうしてって駄々こねたところでですね。
『謎を喰らう触手の群れ』。
コイツをガッてダメ押しでですね。

だって謎以外食いつかないんだもん。
それまで元奴隷さんたちが無茶しないように見張っときますって。
最強気取りのボス猿さんも私みたいに
美しい土下座芸を身に付けるべきでしたね。
いやまぁ謝っても許してくれそうな人いませんけど……。


カイム・クローバー
此処が見せ場って訳だ。頭の切れるボスモンキーだと思っていたが、中身は何てことねぇ、力押しの只の脳筋野郎か。

魔剣を顕現させてUCを発動。機械任せ、力任せに振り回すだけの攻撃なんざ当たるかよ。大体、その兜か仮面か知らねぇが、目、見えてんのか?
【挑発】しつつ、大振りな攻撃を【見切り】、【第六感】をもって躱す。
ギャラリー(解放した奴隷)も増えて来た所だ、俺もマトモにやるとするか。
【早業】で【残像】が残る速度の突きを見舞って【串刺し】にする。大振りな一撃を躱した瞬間なら狙い易いだろ?
そーいや、此処にも物資がゴロゴロしてんな。全部、頂いてくぜ。便利屋から此処の住民への少し遅れたクリスマスプレゼント代わりさ


オニバス・ビロウ
奪う事でしか生きられぬ者は哀れである
人はいかに道理の通らぬ乱世であろうと正道を、人道を行かねばならんのだ
自暴自棄になって勝手になってはならぬ

…聞くに堪えぬ叫びだ
まっこと哀れなものであるが…悪く思うな、その喉を潰す

相手を一度無力化させたいが花冠は種が割れている故、花札を投げる
面頬をつけているが顔…その中でも特に目を狙う
しかし刃を仕込んだ花札とは言え、甲冑に身を包んだ者には効くまい
故にこうして猟銃で撃つ…閉所での銃は面食らうであろう?
…うむ、俺も本当にやりたくない所業ではある

さて、相手が怯んだのであれば好都合
抵抗なぞ無意味である…首を喉を晒せ、潰してやる

(連携・アレンジ等歓迎にて



●アタック・アンド・ラッシュ
「しかし、盗賊のリーダーだけあってしぶといですねえ」
 なおも食い下がるサイバーレイダーを見下ろし、狭筵・桜人は言った。
『ハ、ハ……死ぬわけねぇだろ、俺様はなァ……!』
「なんとか団でしょ? どうでもいいですよそれ。だって負けるんですし」
 にべもなく言い、桜人は自信たっぷりの面持ちで人差し指を突きつける。
「その傲岸不遜な自信をへし折ってやりますよ! ――私以外の皆さんが!!」
「って、そこで俺ら頼りかよ!」
 状況を見守っていたカイム・クローバーも思わずツッコミを入れてしまった。
 桜人少年17歳、できるだけ労せず楽して勝ちたいお年頃である。
「ま、そいつはさておき……いい加減年貢の収め時だぜ? ボスモンキー」
『誰がサルだコラァ! あぁ!?』
 怒り狂うサイバーレイダーの剣幕に肩をすくめつつ、カイムは続ける。
「悪党ってのはどうしてこう引き際を理解しないかねぇ。ま、脳筋じゃ仕方ねえか」
「……奪うことでしか生きられぬ哀れな者ならば、これが限界であろう」
 そんなカイムの言葉に、オニバス・ビロウは頷いた。
「オブリビオンよ。人は如何に道理の通らぬ乱世であろうと、正しき道を征くもの。
 ……否、"征かねばならぬ"のだ。人道を踏み外した者に、未来はないのだから」
『ハッ! くだらねえおためごかしだ。そんな理屈関係ねえなあっ!!』
 サイバーレイダーが不意打ち気味に立ち上がり、オニバスに襲いかかった!
 しかし剣豪はその起こりをすでに捉えていた。彼の慧眼は鋭く、そして苛烈。
 素早いバックステップで鋼鉄ハンマーの振り下ろしを回避し、
 飛び退りながら何かを投擲――それは、刃を仕込んだ手製の花札だ。
 だが、パワーアシストアーマーは予想以上に強固。花札は弾かれてしまう。
「効かぬか。ふむ、ならばやり方を変えるか」
『余裕ぶってんじゃねえぞクソ野郎がぁっ!!』
「おいおい、お前こそ俺から目をそらしてるんじゃないぜ!?」
 さらに突進を仕掛けたサイバーレイダーの進路上に、カイムが割り込む。
 魔剣の刃でハンマーを受け止め、拮抗。足元が罅割れ、瓦礫が砕けた!
「せっかくギャラリーがいるんだ、派手に踊らせてくれよッ!!」
 ガギンッ!! カイムの鋭い剣戟が鋼鉄ハンマーとぶつかりあう。丁々発止!
 奴隷たちはそれを見守っているだけか? 否、彼らには武器がある!
「それじゃあ僕に合わせて一斉射撃じゃー、狙いはサポートするから安心じゃけー」
「「「う、ウオオオオーッ!」」」
 奴隷たちの手には、この世界に似つかわしくないサイバーな電脳兵器。
 すなわち、メイスン・ドットハックが電脳魔術で生み出したレーザー武器である。
 ZAPZAPZAPZAP!! オート補正された光線の雨は、サイバーレイダーに正確に命中!
『こ、こいつら!? うおおおおっ!!』
「おっと、まだ僕のとっておきもあるからのー? たっぷり受け取っとけー!」
 メイスンを包み込むように巨大な二足歩行戦車が現実化し、駆動。
 奴隷たちと並んでレーザーの雨を叩き込み、さらに跳躍からの強烈なストンプ!
 質量と速度を合わせた一撃が、サイバーレイダーを大地にめり込ませた!
「ほう! これはなかなか派手派手しい」
「いいねぇ、さんざん好き勝手やったクズにゃ似合いだぜ!」
 オニバス、カイムもその攻撃の衝撃力に感嘆し、目を見張った。
 サイバーレイダーは……おお、恐るべきことに健在。だが負傷は大きい。
『く、クソ……野郎どもぉ、出てこいっ!!』
 叫び声に応じて無数の機械化レイダーが現れ、猟兵たちに襲いかかった。
「あ! ちょっと皆さん、あいつ逃げましたよ! 追わないと!」
「気付いたんなら自分が最初に行くべきだと思うんじゃがのー」
 桜人はメイスンのツッコミを無視した。サイバーレイダーが逃げ出したからだ。
 図星という話はさておいて、奴は雑魚を捨て駒に逃走を図ろうとする……!

 だが!
「あなたの部下は皆逃げ出さずに戦ったというのに、見下げたものですね」
『!!』
 そんな逃走経路に立ちふさがったのは、虹結・廿と彼女の複製体たちであった。
「射撃用意。――ここで仕留めます。発射(ファイア)!」
『ぐぅうううっ!!』
 BRATATATATA!! 一糸乱れぬライフル射撃がサイバーレイダーを襲う。
 アーマーを貫く弾幕を受けながら、サイバーレイダーは別の通路に逃げ込んだ。
 だが、それも廿の作戦通り。彼女はすでに奴隷たちとコンタクトを済ませ、
 この地下基地の構造をおおよそ把握しているのだ。敵は袋のネズミと言えよう。
「β、オメガデリンジャーの準備はいいですね?」
《こちらβ、オールグリーン。γ、δも待機済みです》
「了解。ターゲットを目標ポイントに誘い込みます」
 廿は執拗に敵を追跡し、ルートを変えようとするたびに痛烈な射撃を浴びせた。
 敵はまんまと誘い込まれていく……義体たちが潜伏した大空洞に。
『こ、ここまで来れば……はっ!?』
「目標確認。オメガデリンジャー、発射します」
 SPAWN……KRA-TOOOOOOM!!
 狙いすました榴弾砲がサイバーレイダーを直撃し、爆炎を噴き上げる。
 ズズン……と地下基地が鳴動するほどの威力。これはひとたまりもあるまい。
 しかし廿は油断せず、爆煙の中に容赦ない一斉砲火を叩き込んだ!
『がああっ!! なんでだ、畜生、何が起きて……や、野郎ども! 来い!!』
「来ないっぺよ?」
『!?』
 サイバーレイダーは、いつの間にかずんぐりとしたドワーフが居ることに気付いた。
 いるから追跡していたのか。そして、いつから潜んでいたのか。
 銀山・昭平は、銃撃に苦しむサイバーレイダーの前でにかっと笑う。
 彼の懐には、なにやら妙な形の絡繰道具。……ジャミング装置だ。
「おめぇのユーベルコードは、これでもう使いようがないっぺ。
 どんだけ叫んでも助けを求めても、雑魚は現れないっぺよ!」
『て、てめぇえええっ!!』
 カツン! 激昂したサイバーレイダーの関節部に、昭平のクナイが突き刺さる。
 バチバチと音を立ててアーマーが爆裂し、ついにバリア機能すら失われた。
 BRATATATA! BRATATATATATA!! 弾幕のせいでもはや逃げることすら敵わない!
「うーん、味方ながら恐ろしいほどの集中攻撃。不憫ですねぇ」
 そこへ駆けつけた一同、桜人は他人事のように肩をすくめてみせた。
 そして、なぜだ、どうして、となおも悪あがきするサイバーレイダーを指差す。
「疑問ですか? なら教えてあげますよ――さあ、行きなさい」
『!? な、なんだこの化け物どもは……!?』
 ぞわりと地面から現れたのは、うねる無数の触手であった。
 "どうして自分が負けるのか。こんなことはありえない"。
 ……そんなサイバーレイダーの"謎"につられて集まった触手の群れ!
 鞭めいて叩きつけられた触手が、半壊したアーマーを完全粉砕してしまう。
「無残だな……せめて介錯はしてやりたい。首を晒すなら楽にしてやる」
 ボロボロの有り様となったサイバーレイダーに、オニバスが言った。
 彼の手には猟銃がひとつ。先の花札を弾丸として打ち出し斬首するというわけだ。
 だが、サイバーレイダーが選んだのは、叫びながらの槌の一撃であった。
 オニバスは首を振る。再び割り込んで攻撃を受け止めたのは――カイム。
「読めてんだよ、お前のような悪党のやり口なんざな」
『てめ……ッ!!!!』
 魔剣でハンマーを両断し、心臓めがけた鋭い刺突を繰り出す。
 オブリビオンは滂沱の血を吐き出して串刺しとなり、吹き飛ばされた。
 盗賊団アンブレイカブルズは、こうして崩壊の最期を迎えたのである……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鳴宮・匡
似たようなやつを相手にしたことがあるな
……あの時は山賊だっけ?
まあこいつらもあんまり変わらないか

出現した傍から【落滴の音】で機械化兵たちを撃ち殺していくよ
相手が軍勢を召喚する速度より
こちらがそれを殲滅する速度の方が速くなるよう
敵意や悪意を直感で感知し、無駄なく一射ずつで落としていく

配下の姿が途切れてから、次の召喚が行われるまで
その僅かな時間で、オブリビオン本体へ攻撃
この時ばかりは速度より精度重視だ
よく視て急所や致命的な部位を的確に狙うよう留意
死神の眼から逃れられるとは思わないほうがいい

今まで散々弱い人間から奪ってきたんだろ?
だったら、そのルールには従わないとな
死出の道案内くらいはつとめてやるよ



●語られぬ終焉、死神の仕事
 ……猟兵たちは勝利を収め、奴隷たちと物資を奪取し拠点へと凱旋した。
 もはや基地としてのていをなさなくなった地下施設は、いずれ風化するだろう。
『……ちく、しょう……』
 崩落した岩盤の合間から、血まみれの手がぬっと這い出した。
 驚くべきことに、それは心臓を貫かれ倒れたはずのサイバーレイダーである。
 なんらかの機械的処置により、どうやら体内も相当いじくっていたらしい。
 瀕死もいいところだが、しかし生き汚い悪党はいまだ現世にへばりついていた。
『まだ、だ……部下を増やして、また略奪してやる……殺してやる……!』
「そうだよな」
『!?』
 ざり、と砂を踏みしめ、サイバーレイダーの前に立ちはだかる男がいた。
 ……鳴宮・匡。這いずる敵を見下ろす双眸には、何の感情も宿らない。
『や、野ろ――』
 BLAMN。機械化レイダーを召喚しようとした瞬間、匡の銃が火を吹いた。
 骸の海から現れようとした敵の予兆そのものを魔弾で貫き、一蹴する。
 さらに弾丸は、もはや意味をなさなくなったレイダーの手足をも撃ち抜いていた。
「この期に及んで、反撃なんてやらせるわけないだろ。お前、詰んでるんだぜ」
『……ッ!!』
 匡に嗜虐の趣味はない。本来であればさっさと脳天をぶち抜いて終わりにする。
 だがなぜ彼は、あえて敵を生き長らえさせるような真似をしたのか。
「なあ。お前はそうやって、さんざん弱い人間から奪ってきたんだろ」
『……な、にを……』
「どういう気分だった? 他人の生を踏みにじって生きる気分は」
『…………』
 サイバーレイダーは……くつくつと肩を震わせ、やがて笑った。
『ハ、ハ、ハ! 最高だったぜ! どいつもこいつも悲鳴をあげて逃げやがる!
 どうか子供だけは、恋人は助けてほしい、そんなふうに懇願してくるのさ!』
「…………」
『だが仕方ねえよなぁ? 奪わなきゃ死ぬんだ。殺さなきゃやられちまうんだ。
 俺たちが殺してきた奴らだって、他の誰かから奪って生きてきたんだからよぉ!』
「……そうかもしれないな」
 オブリビオンと人という構図であればまだわかりやすい。
 だがこのレイダーも、生前は同じ人であったはずなのだ。
 生きるために。食料を、住処を、命を奪わねばならなかった。
 ここは、そういう世界だ。だからこそ"奪還者"たちがいるのだ。
「……この世界のルールはよくわかったよ」
 わからいでか。それは、匡が身を置いていた世界と同じなのだから。
 かつての己ならば、むしろああして蜂起する奴隷たちに首を傾げただろう。
 理解できない。どうでもいい。出来るのであればそうするのは当然だと考えて。
「死出の道案内ぐらいは務めてやるよ。――俺が、お前から奪ってやる」
『てめ』
 BLAMN――。
 薬莢がこぼれ落ちる。サイバーレイダーは、物言わぬ屍となった。
「…………もう、あの頃には戻らないさ」
 彼はそう呟き踵を返す。その面は、吹き荒ぶ渇いた風で分からない。
 "仕方ない"というお題目にすがることは、もう出来ない。
 "もうやめだ"と死の忘却にまどろむことも、彼は拒んだ。
 悔いはない。だがこの痛みと苦しさは、これからずっとついてまわるのだろう。
 あるいはこの世界を救ったとき、それは消えるのだろうか。

 人でなしの懊悩は、きっと終わらない。
 彼方で渦巻く嵐のように、おそらくはずっと、死ぬその時まで――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年12月31日


挿絵イラスト