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オンボロシップの真実の宝

#スペースシップワールド

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#スペースシップワールド


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●ロングコートの男
「素直にこちらの要求に従えば良いものを!」
 クローン騎兵は捕らえた住民に見せびらかすように爆弾を仕掛けていく。
「それは……できない相談じゃ」
 鎖に繋がれた老人が首を横に振った。他にも、その場所には縛り上げられた住民が数名、無造作に転がされているようだ。
 両側をクローン騎兵に守られていたロングコートの男がずいと前へ出て老人へ顔を近づける。
「もう一度聞く。お前たちが隠している宝とは? それはどこにある?」
 しかし、住民たちはただ黙り込むばかりだった。
「老人は頑固で困るな。しかし、死にたくはないだろう。この部屋には時限爆弾を仕掛けさせてもらった。当然だが、部屋の内部だけではない。部屋の外には、居住区を吹き飛ばす量の爆弾の設置が完了している」
 居住区を吹き飛ばすと言うのは、この船の住民を皆殺しにすることに等しい。
 青ざめる住民たちを見て、ロングコートの男は時限爆弾のカウントダウンスイッチをオンにした。
「時間をやろう。カウントがゼロになる前に、再び質問に来てやる。それまでにお前たちの気持ちが変わっているといいのだがな」
 男はそう言い捨てて、クローン騎兵と共に部屋から出ていった。
 わざと見張りを置かないことで、住民たちを話し合わせ揺さぶりをかけるつもりなのかもしれない。
 帝国軍の兵士がいなくなったことを確認し、みすぼらしい衣服に身を包んだ老女が顔を上げた。
「良いんです。もう良いの。私が名乗り出ましょう」
「いいや! それはいけない。ここまで守ってきた秘密じゃ」
「そうじゃそうじゃ。なぁに、どうせ老い先短いこの命。今更惜しくもない」
「それにワシらは楽しかった。こんな最後でも、何を後悔することがあろうか」
 老女を取り囲む老人たちは、そう言って和やかに笑いあう。
 めっきり若者がいなくなり、過疎化の進んだスペースシップ――通称『オンボロシップ』が、銀河帝国に制圧された日の午後の出来事だった。

●オンボロシップの真実の宝
「スペースシップワールドの宇宙船の一つが銀河帝国の部隊に制圧されちゃったんだよ」
 ルビナ・ベイビーブルー(スペースノイドの電脳魔術士・f01646)は、沈痛な面持ちで猟兵たちに呼びかけを行った。
 過疎化の進んだスペースシップが銀河帝国の部隊に制圧されてしまったこと。そして、高齢の住民たちが捕らえられ、今にも時限爆弾で吹き飛ばされようとしていることなどが説明された。
「どうやら、その船に宝が隠されているっていう情報があったみたい。その宝を狙って帝国が攻めてきたんだね。でも、住民の皆さんは、宝について黙秘しているようなんだよ」
 そこで、脅しも兼ねて時限爆弾を仕掛けているというのだ。
「もし爆弾で住民を吹き飛ばしたら、帝国軍は人海戦術で船をくまなく探すだけだよね。住民たちが脅しに負けて宝のことをしゃべったらラッキーくらいの作戦みたい」
 つまり、帝国側は躊躇なく爆弾を爆発させることだろう。
「宝の件もそうだし、帝国のクローン騎兵を従えたロングコートの男も気になるよね。でも、まずは時限爆弾の解除だよ! 住民の皆さんがいる部屋や、部屋の前に爆弾が仕掛けられているの。皆には、この爆弾の処理をお願いするね」
 多少強引な方法で爆弾を排除するか、時限爆弾の構造を考えて技術的に解決して爆破を止めるか、それともシステムに働きかけたり魔法的な効果で止めるか。方法は任せるとルビナは言う。
「もしうまく爆弾を止めることができたら、住民の皆さんに宝についての話を聞いても良いかもしれないよ。でも、それはあくまでオマケに考えて。第一に爆弾を止めることに専念してね。お願い! 住民の皆さんを守れるよう、力を貸して」
 捕らわれた住民を救うため、帝国の野望をくじくため、猟兵たちはスペースシップワールドへと向かった。


陵かなめ
 こんにちは、よろしくお願いします。
 1章冒険パートは主に爆弾の処理になります。
 部屋の内外に仕掛けられた時限爆弾を排除してください。うまくいけば、住民たちに話を聞くこともできるはずです。時間になればクローン騎兵が様子をうかがいにやってきますので、その点も考慮に入れてみてください。
 次章から先は、集団戦やボス戦などが予想されます。

 それでは、プレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『時限爆弾を阻止せよ!』

POW   :    力づくで爆弾を止める

SPD   :    導線を切るなどの技術で爆弾を止める

WIZ   :    ハッキングや魔法で爆弾を止める

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ガーネット・グレイローズ
【spd】で行動。〈メカニック〉〈戦闘知識〉で爆弾の構造を調べる。解除作業は他の猟兵と協力して行い、一人で判断しない。爆弾の処理に必要な工具は船内で調達するが、その時には船の住民にも協力してもらおう。私たちの狙いが船の宝ではないことは、事前にハッキリと伝えておかねばなるまい。クローン兵がやって来たら、私に知らせてくれ。殺してもいいのだが、まずは叩き伏せて拘束。爆弾の解除方法を聞き出してみるか。


ハンドレッド・コール
オルタナティヴ・ダブルで、オレが住民のいる部屋、フローラは部屋の前にある爆弾を、手分けして止めるぞ!

…宝も人も、大事なモンだ
宇宙冒険家の名にかけて、簡単に散らさせねえから安心しな!
オレのメカニックで時限爆弾を鳩時計に変えてやるぜ!
上手く行ったらお宝のこと、教えてくれよ!

…ハンドレッド、気合い、入ってるね
病気で死んだパパとママ、目の前でオブリビオンに殺された僧侶さん達のこと、思い出したから…?
…わたし、オルタナティヴ・ダブルの効果が切れない範囲で、なるべく多くの爆弾に雷の属性攻撃でショックをあたえてみるわ
…もし敵が近づいてきたら、わざと効果を切らせてハンドレッドの所に戻り、隠れるように伝えとく



●猟兵と老人たち
 オンボロシップに到着した猟兵たちは、さっそく行動を開始した。
 ガーネット・グレイローズ(灰色の薔薇の血族・f01964)は、繋がれている老人たちの正面に膝をつき、話を切り出した。
「私たちの狙いは、船の宝ではない」
「それは、本当かのぅ?」
 老人がおずおずと尋ねる。
「ああ、本当だ」
 ガーネットはきっぱりと言い切った。老人たちがその言葉を聞いて、表情を和らげる。ある者は鎖に繋がれ、ある者は縄で縛られているが、どうやらパニックにはなっていない様子だ。
 宝も人も、大事なものだとハンドレッド・コール(双縁銃士・f00371)は思う。
「宇宙冒険家の名にかけて、簡単に散らさせねえから安心しな!」
「お、おお。頼んだぞ」
「オレのメカニックで時限爆弾を鳩時計に変えてやるぜ!」
 堂々とした言葉に、「頼もしい」「期待している」と、老人たちから声が上がった。
「上手く行ったらお宝のこと、教えてくれよ!」
「ふむ。まずは爆弾じゃ」
 住民たちはまだ気力を失っていないようだ。ガーネットは部屋に設置されている爆弾を見ながら老人たちに声をかけた。
「クローン兵がやって来たら、私に知らせてくれ」
 殺してもいいのだが、叩き伏せて拘束したら爆弾の解除方法を聞き出せるかもしれないと。
 ともあれ、まずは目の前の爆弾を何とかしなければ話が進まない。ガーネットとハンドレッドは頷き合い、爆弾の処理を開始する。
 オルタナティブ・ダブルを発動させたハンドレッドは、現れたフローラに部屋の外の爆弾を任せた。
「……ハンドレッド、気合い、入ってるね」
 病気で死んだ両親のことや目の前でオブリビオンに殺された僧侶達のことを思い出したからであろうか? いや、今は目の前の爆弾だ。
 すでに制圧してしまったスペースシップ。油断かそれとも見つかることなどどうでもいいのか。爆弾は分かりやすい場所に並べて置いてあった。
「……この爆弾を、止めれば、いいのね」
 まずは見えている爆弾に雷の属性攻撃を与えてみる。しかし攻撃は爆弾に弾かれたようだ。意外にしっかりとした造りのもののようだ。
 一方、部屋のいる二人も見えている爆弾の処理を始めていた。
「確かに、意外と複雑な構造だな。簡単に爆発しないが、起動すれば威力は計り知れないところがある」
 爆弾の構造を調べたガーネットが唸る。
「ああ、だが解体できないわけじゃなさそうだぜ」
 ハンドレッドはそう言って、慎重に爆弾の蓋に手を伸ばした。彼の持つメカニックの知識を使えば、爆弾は解除できそうだ。ガーネットもメカニックの腕は確かなようだ。
「そうだな。さっそく処理に取り掛かろう。工具は……」
 きょろきょろと辺りを見回したガーネットに老人の一人が声をかける。
「そこのダストボックスの裏側を調べてみるがいい」
 なるほど、ダストボックスの裏側に、工具が巧妙に隠してあった。老人に礼を言い、ガーネットは爆弾内部の導線を器用に調べていく。
 ハンドレッドとガーネットは持っている知識を活用し、それぞれ爆弾を解体した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

心象創造・空蝉
WIZを選択
あまり派手に動くわけにはいかんな。ユーベルコードで敵、及び爆弾の位置を確認し、念のため流体に姿を変えながら現場に向かおう。発見した爆弾は、アイテム:ドミネイトツールで支配権を奪い、カウントダウンを停止させ回収する。


バーソロミュー・スケルトン
ガハハハッ、宝と聞いたらどうしても気になるのが海賊の性じゃが、まずは銀河帝国をどうにかしてからじゃな。

海賊たるもの発破の扱いぐらい楽勝じゃ。
起爆せんように技術で解除を試みるぞい。

また、念のため止める前に構造を調べて、
爆弾から帝国の奴らに情報を発信するような機能があれば
うまいこと偽の信号を送れるように小細工してやりたいところじゃな。
さすれば相手の油断も誘えるってぇもんじゃろう。



●カウントダウン停止せよ
 現場に到着した心象創造・空蝉(接触者・f05647)は、確認しておいた敵と爆弾の位置を思い起こした。敵は広い区画を陣取り一か所に集まっている。巡回している見張りの兵士の数は少ない。制圧が完了して、この船はすでに自分たちのものだと主張しているかのようだった。
 また、爆弾は分かりやすい場所に設置されていた。船の住民たちが閉じ込められている部屋には、明らかに見せつけるような場所に置かれていたし、部屋の外に置かれた爆弾も隠そうともしていなかった。
 室内にはバーソロミュー・スケルトン(ウォーマシンの宇宙海賊・f03437)の姿もある。
「ガハハハッ、宝と聞いたらどうしても気になるのが海賊の性じゃが、まずは銀河帝国をどうにかしてからじゃな」
 バーソロミューも部屋に置かれた爆弾を見つけて解除に取り掛かろうとしているようだ。
「この構造、帝国の奴らに情報を発信するような機能はあるじゃろうか?」
 どうやら何かしら偽の情報を流し、敵の油断を誘おうとしているらしい。だが、見たところ、特に情報を送る機能はないようだ。
「残念じゃ。もっと情報のやり取りできる高性能のモノを期待したんがじゃのう」
 と、言いながら、爆弾の解体に着手した。
 空蝉も作業を開始する。爆弾から伸びている線を辿り、カウントダウンのスイッチを手に取った。
「ドミネイトツールなら支配権を奪えるはずだ」
 その言葉通り、ハッキングツールを使いスイッチの支配権を奪い取る。
 空蝉の目の前でカウントダウンが停止した。
「なるほどのう。その方法なら安全に爆弾を取り外せるというわけじゃな」
 バーソロミューは感心したように空蝉が解除した爆弾を見る。
「アンタは……一つずつ解体していくのか」
 カウントダウンを解除して取り外した爆弾を回収しながら、空蝉がバーソロミューに向かって言った。部屋にはまだまだ爆弾が仕掛けられている。一つでも多くの爆弾を処理し、船の住民の安全を確保しなければならない。
 バーソロミューがガハハと笑った。
「海賊たるもの発破の扱いぐらい楽勝じゃ」
 敵に偽の情報を送ることこそできなかったが、爆弾を解除すれば敵の目論見は外れるはず。戦闘知識を生かしながら、決して爆弾を起爆させないように慎重に解除する。
 カウントダウンを停止させながら安全に爆弾を回収する空蝉と、技術で爆破を解除するバーソロミューの手によって、更にいくつかの爆弾が解除された。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

神酒坂・恭二郎
・POW
帝国の連中の大雑把さにも困ったもんだ。
大味過ぎるにも程がある。
だが、こいつを止めないとよろしくないな。

・まずは目を閉じて【力を溜め】てフォースを練り、瞑想にて【失せ物探し】。心のざわめく場所に向け、青い光のフォースの【誘導弾】を放ち案内させる。
 爆弾を見つければ念動力で押さえ込んで起爆させ、そこに居合い抜きで【クイックドロー】でフォースの【衝撃波】を【カウンター】で叩き込んで爆圧を相殺し、強引に撤去作業だ。
 正直、不確実かつ強引なやり方だが今は仕方ない。
 他の猟兵と情報共有やノウハウの擦り合せが出来れば、この作業ももっと上手くやれるんだがな……。

※アドリブ、連携歓迎


オル・クブナス
爆弾とは…穏やかではないですねえ。あいかわらず銀河帝国は非情な手がお好きなようだ。さてと、ここは少々強引に処理させていただきましょうか。

爆弾をひょいと体内に取り込み、【バウンドボディ】とナノマシンアーマーによって衝撃を抑え込みつつ押し潰すなりして体内で爆弾を処理したいです


東郷・三笠
POWで判定

我には爆弾を解体するなどの技術はないが何も問題はない
爆弾を周囲ごと切り取ってそのまま宇宙に捨てればいいのだからな!

超電磁単分子ブレイド『布都御魂』と鎧無視攻撃8、東郷流電磁抜刀術『閃雷』を用いて爆弾を周囲の物ごと切り取りそれを宇宙に投げ捨てる
または爆弾を止められそうな仲間に渡す

もし爆発してしまったら盾受け7と装備のアサルトシールドフィールドを用いて爆発から周囲と自分を守る

アドリブや他の方との絡み歓迎



●連携処理
「爆弾とは……穏やかではないですねえ」
 オル・クブナス(殴られ屋・f00691)はそう言ってざっと室内を見渡した。仲間によって爆弾は解除され始めている。しかし、老人たちは繋がれたままだ。見えるような位置にわざと爆弾を配置して揺さぶりをかけるなど、相変わらず銀河帝国は非常な手段が好きなようだと思う。
 緻密なやり方ではないが、そのまま救いの手がなければ住民たちの心は参ってしまったかもしれない。
「帝国の連中の大雑把さにも困ったもんだ。大味過ぎるにも程がある」
 神酒坂・恭二郎(スペース剣豪・f09970)も、部屋の様子を見て頷いた。
「だが、こいつを止めないとよろしくないな」
 老人たちが捕らわれている部屋にやってきた東郷・三笠(第六六宇宙艦隊所属大将・f02302)も同意を示す。
「その通りだ。さて、爆弾の処理の方法だが」
 三笠には爆弾を解体するような技術はない。しかし、何も問題はないと考える。
「爆弾を周囲ごと切り取ってそのまま宇宙に捨てればいいのだからな!」
 堂々たる態度で、そう宣言した。
 その言葉を聞いて、オルが三笠に話しかける。
「ふむ。しかし宇宙に捨てるには、少々時間が足りないような気もいたします」
「なるほど。窓から投げ捨てるわけにはいかないようだ。何か策がありそうだな」
 三笠に言われ、オルは仰々しく頷いた。
「バウンドボディとナノマシンアーマーを使い、私の体内で処理いたしましょう」
「ほう」
 三笠が腕を組む。確かに、その方法なら、爆弾を切り取りさえすれば、すぐに処理ですることが可能だ。
「そのやり方。俺も一口乗らせてもらおう」
 恭二郎も二人に向かって手を挙げた。
 多少強引な方法だが、起爆させて撤去するのが一番早い。三人はその点において、同じ考えを持っていた。
「しかし、お前さんの体は大丈夫なのか?」
「私のことならば心配には及びません。少々強引な方法ですが、処理してしまいましょう」
 恭二郎に問われ、オルが穏やかに答える。
「よし。それならば信用させてもらう」
 さっそく、三笠が超電磁単分子ブレイド『布都御魂』の柄に手をかけた。
「雷剣神の妙技を見よ! 東郷流電磁抜刀術―――『閃雷』」
 そして、素早い抜刀術で見えている爆弾を周辺の物ごと斬り離す。異常を検知し、爆弾が光った。だが、爆発の前にオルへと爆弾を投げつける。
 オルは落ち着いて爆弾を体内に取り込み、バウンドボディを発動させた。
 それと同時に爆発の音が響く。
 オルの体の一部が一瞬膨らんだが、周囲への被害や老人たちへの影響はなかった。
「見事だ」
「恐れ入ります。三笠様の斬り様も素晴らしく思います」
 二人が頷き合う。周囲に影響がないことが実証され、三人はすぐさま残った爆弾の処理にかかった。
 恭二郎は目の前の爆弾を念動力で抑え込む。
「お次はこっちの爆弾を頼んだ」
 爆発寸前まで圧力を加え、オルに渡した。今まさに爆発しようとしている爆弾を体内に取り込み、オルはまた一つ処理に成功する。
「良い感じだ。これなら、俺が爆圧まで心配する必要はなさそうだ」
 体内に取り込んだ爆弾の爆発をうまく処理しているオルに、恭二郎は信頼のまなざしを向ける。もし仲間がいなければ、自ら爆圧などの処理もしなければならないと思っていたが、その必要はなさそうだ。
(「しかも、この方法なら、かなり効率よく爆弾をさばけるな」)
 起爆して被害を抑え込むという方法は少々強引なようにも感じていたが、頼もしい仲間のおかげで確実なものになったと恭二郎は思う。
 三笠と恭二郎が次々に爆弾をオルに渡した。オルは衝撃を押しつぶしながら爆弾の爆発を処理する。
 三人の作業により、残っていた爆弾はすべて処理された。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『クローン騎兵』

POW   :    ジェノサイダー
【自身の寿命】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【ジェノサイドモード】に変化させ、殺傷力を増す。
SPD   :    インペリアル・インテリジェンス
【銀河帝国式戦術ドローン】を召喚し、自身を操らせる事で戦闘力が向上する。
WIZ   :    ブラスターレイン
【熱線銃(ブラスター)】を向けた対象に、【連続射撃】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●クローン騎兵出撃
「ありがとうございます。いやあ、助かったなぁ」
 鎖や縄から解放された住民たちが猟兵に頭を下げる。老人ばかりだが、それゆえ皆落ち着いているようにも思われた。
「居住区を吹き飛ばすと言われた時には、ひやひやしたんじゃが」
「良かった良かった。これでワシらの宝は守られたのぉ」
 老人たちは嬉しそうに頷き合う。
 ところがその時、部屋の扉が開いてクローン騎兵がなだれ込んできた。
「これは何事だ? なぜ老いぼれどもが解放されている?」
 クローン騎兵の後ろから、ロングコートの男が出てくる。
「痛い目を見たくないのなら、両手を上げてその場に膝をつけ!」
 男が手を上げると、クローン騎兵たちが銃口を住民へ向けた。乱れぬ動きで隊列を組み、命令に従う様は、彼らが兵士であることを物語っている。
「何をしても無駄じゃ。貴様には何も教えてやらぬよ。たとえ、死んだとしてもな!」
 老人が声を上げた。
「構わないさ。そう言うのならもう老人に用はない。まず皆殺しにして、それから宝を探し尽くせばよいだけのこと!」
 男が上げた手を下した。一斉に射撃の構え。
 ロングコートの男が帝国兵を取り仕切っているのは分かる。あの男を何とかしなければ、この船に平和はない。そうするためにも、まずは目の前のクローン騎兵たちだ。
 猟兵たちはクローン騎兵を殲滅せんと戦いの場へと駆ける。
「助けてくれるのか! ありがたい!」
「ワシらは何とか邪魔にならぬよう身を潜めておく!」
 老人たちはそう言って、身を隠せそうな所へ逃げ出した。
 多数のクローン騎兵と猟兵たちとの戦いが始まった。
心象創造・空蝉
SPDを選択
このままでは住民が危ないな。やむを得ん、少し力を解放しよう。まず魔弾拳銃(氷属性)で足元を狙い牽制し、注意をこちらに向ける。うまくいけば足が凍るだろうが、期待薄だな。しかしこれで、こちらに攻撃が向く筈だ。敵が攻撃(ドローンを召喚)した瞬間、ドミネイトツールでドローンの支配権を奪い、クローン騎兵達の動きを止める。これにより、ロングコートの男が逃走を図るだろう。ユーベルコードで体を鞭のようにし、捕縛を試みる。逃げられた場合は、クローン騎兵達に回収した爆弾を取り付け、離れた場所で起爆させよう。これも愛と平和のためだ。その障害となるオブリビオンには、容赦などしない。


ハンドレッド・コール
アンタら、宝探しを舐めてんじゃねえか?
原住民を拷問して、答え無かったらすぐ殺すような連中が見つけられるとは思えねえ。見つけられるのなら、オレ達が先に見つけてやる…つーわけで、アンタらはここでレストしてろ!

オレはクイックドロウで多くの騎兵を一気に撃ち落とす!
撃ち漏らしがいれば、敵との距離を合わせたスナイパー技能での射撃や零距離射撃で畳み掛けるぞ。
フローラには全力魔法、属性攻撃での範囲攻撃で騎兵…いたら銀河帝国式戦術ドローンに攻撃して戦力を削いでもらおう。
必要なら援護射撃で味方のフォローをしておく!


ナイ・デス
隠れると、いっても。流れ弾とか、心配、ですね
気を引いて、ブラスター、全部受けましょう

いくら撃たれても、仮初の肉体。再生するので気にせず
激痛耐性で、撃たれても痛み気にせず
私を無視できないように、コートの男へ向かって、突き進みます
常に【生まれながらの光】を自身へあてて、高速再生もしながら
不死身の、化け物のように
恐怖を与える

そんな捨て身で、間合いに入った兵士にはカウンター
鎧無視、暗殺技能で刃を突き立て、生命力吸収で疲労回復しながら命を奪い

私と敵以外の誰かが傷ついたり、敵意識が老人達に向いたら
光を戦いの場全てを照らすようひろげ
光に触れた敵以外は全員治療
光に触れた敵からは生命力吸収で命を奪う、です



●クローン騎兵たち
 老人たちが逃げていく。クローン騎兵たちは、真っ先に老人の背に銃口を向けた。
「このままでは住民が危ないな」
 住民たちの危険を感じ、空蝉が騎兵たちの前へ躍り出る。やむを得ない事態である。魔弾拳銃に氷属性の弾を込め、騎兵たちの足元を狙って撃ち出した。
「敵襲!」「敵襲!」「敵襲!」
 騎兵たちが一斉に空蝉へ目を向ける。
 同時に、猟兵たちも次々に戦いの場へ降りてきた。
「アンタら、宝探しを舐めてんじゃねえか?」
 ブラスターを構えたハンドレッドは、フローラと共に敵との距離を取りながら狙いを定める。原住民を拷問して、答えを引き出せないようなら殺してしまう。そんな連中が宝を見つけられるなど到底思えない。ならば、自分たちが先に見つけてやると思うのだ。
「つーわけで、アンタらはここでレストしてろ!」
 ハンドレッドの言葉に反応するかのように、クローン騎兵たちが攻撃態勢を取った。
「射撃開始!」
 敵の銃口から一斉に熱線が放たれる。
 ナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)は、その射線軸に身を投げ出した。チラリと背後の老人たちを見る。
「隠れると、いっても。流れ弾とか、心配、ですね」
 本人たちは逃げているつもりかもしれない。しかし、これからますます戦いが激しくなる中で、安全を保障できるものなど何もないのだから。
 ナイは敵の攻撃を一身に受け止めた。
「おい! 大丈夫か?! 無茶をするなよ」
 背後からハンドレッドの声が聞こえる。
「いくら撃たれても、仮初の肉体。再生します、ので」
 ナイは自身に生まれながらの光を発動させ、受けた傷を高速で治療した。
「わかった。でも無理するな」
 それならば、と、ハンドレッドはクイックドロウで騎兵たちを狙う。熱線を何度も発射し、隊列を組んでいるクローン騎兵を倒していく。
 その間に、ナイはロングコートの男に向かって走り出した。
「撃て撃て!」
「何だこいつは!」
 ハンドレッドを狙うのか、それともまっすぐ進むナイを狙うのか、騎兵たちの行動が乱れる。撃たれる熱線は不揃いになり、怒号が飛んだ。
「落ち着け、訓練通りにやればいい!」
 ロングコートの男が、後方から声を上げる。クローン騎兵たちは、号令に従い銀河帝国式戦術ドローンを召喚した。
 それを見て、空蝉がドミネイトツールを取り出した。
「待っていた。支配権を奪い取るぞ」
 召喚されたドローンが飛んでいる。その中でも、届く範囲のものを支配し、クローン騎兵の動きを封じた。遠くにロングコートの男が見える。続けてバウンドボディを発動させ、自身をしなやかに伸ばして捕縛を試みた。
「はは。それはいくら何でも無理だろうな」
 ところが、それはクローン騎兵に阻まれる。やはり、まずはクローン騎兵を何とかしなければならないのだろう。空蝉は元の姿に戻り、先ほど解除した爆弾をいくつか取り出した。
 同じくドローンを見たハンドレッドはフローラに魔法攻撃を仕掛けてもらう。
「……戦力を、削げばいいのね」
 フローラの魔法の届く範囲で銀河帝国式戦術ドローンを打ち落とした。続けてハンドレッドが熱線銃を使い、クローン騎兵を倒していく。
 敵の攻撃はコートの男を目指して走るナイに集中し始めた。
「やはり、必死の、ようです」
 受けた傷は聖なる光で癒し続けている。指揮官を守るように、クローン騎兵たちの攻撃が苛烈になってきた。だが、ナイはまだ進み続ける。
 その時、敵の隊列の中から爆発が起こった。
「クローン騎兵たちに爆弾を取り付けた。これも愛と平和のためだ」
 空蝉がドローンを通じてコントロールを奪った騎兵に爆弾を取り付け、爆発させたのだ。
「その障害となるオブリビオンには、容赦などしない」
 クローン騎兵たちは、それでも銃を構える。
 戦いは更に激化していった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

バーソロミュー・スケルトン
ガハハハッ、やっと暴れられるようじゃな。
雑魚はさっさと片づけて、親玉をぶっ潰してくれるわい。

まずは派手に打ち合いながらクローン騎兵の注意を引き付けるぞい。
ジジイ共が逃げる時間を稼いだり、他の猟兵が動きやすくなったりすれば儲けもんじゃな。

ある程度クローン騎兵が集まってきたら一気に距離を詰めて、至近距離のフルバースト・マキシマムで一掃してやるのじゃ。

最後は生き残ったやつを各個撃破じゃな。


マリア・フランサスカッチ
人様のお家(コロニー)に押し入って、大事な財産を奪うヤツを『泥棒』っていうんだって帝国の初等スクールで習わなかったかな?
随分と図々しいじゃないか、少しくらい悪びれたらどうだい?

ご老人達にはちょっぴり過激で喧しいかもしれないが、少しの辛抱だよ!

クローン騎兵を〈踏みつけ〉て機敏な〈空中戦〉を行いながら、敵の熱線を避けつつ、【フルバースト・マキシマム】を奴らに〈一斉射撃〉するのだ
少々コロニーを傷つけてしまうかもしれないが、下手に戦いを長引かせるよりは効率的だろう?

(アドリブ・絡み大歓迎)


神酒坂・恭二郎
【POW指定】
やれやれタフな爺様たちだ
ありゃあ俺より長生きするな
軽く肩をすくめ頭をかく
あの分だと放っておいても大丈夫だろう。
後は悪党どもを蹴散らすだけだ。

やる事は簡単。
連中の前でこれ見よがしに【力をため】て【おびき寄せ】。銃口が剥いたら【クイックドロウ】の【ロープワーク】でスペース手拭いにフォースを込めて大きく伸ばし【カウンター】を狙う。手拭いと侮るなかれ【サイコキネシス】を添えれば【衝撃波】を叩き込む凶器になる。
後はスナップで手拭いを横薙いで【範囲攻撃】で牽制で敵陣を崩す。
またマメに【残像】で位置取りを変えながら、敵の手足に絡めて味方のチャンスメイクをしよう。

※連携、アドリブ歓迎


ガーネット・グレイローズ
敵の数が多いな。ここは【SPD】で対抗だ。仲間の猟兵と連携して立ち向かおう。ユーベルコードは【妖剣解放】。スピードを上げて、〈2回攻撃〉に〈フェイント〉を織り交ぜ、 斬撃と〈衝撃波〉でクローンを次々に斬り倒していこう。複数の敵に対処する場合は鋼糸を〈念動力〉で操り、〈範囲攻撃〉でまとめて〈なぎ払う〉。敵の攻撃は〈第六感〉で察知し、回避を試みるか〈武器落とし〉で直接切り払って迎撃するぞ。状況によっては〈敵を盾にして〉切り抜けよう。//暴力に屈しない、コロニーの老人達の勇気に私も報いよう。コートの男はどこへ行った? 見つけ出して、叩き斬ってやろう。


オル・クブナス
あのような野蛮な方々をこの先へ行かせるわけには行きませんね

防御はお任せください。バウンドボディに変化し、大きく広がる事で相手の攻撃から味方を【かばう】事にいたしましょう


東郷・三笠
POWで判定

その心意気やよし
後は我らに任せるがよい
数だけの有象無象など敵ではないわ!

殺気2で相手を怯ませつつ空中戦1で移動、視力1で適切な位置取りできる場所を見極めつつ一斉発射11、範囲攻撃1、残像1、鎧無視攻撃8を用いて『タケミカヅチ』でなるべく多くの敵を巻き込むようにフルバースト・マキシマムを使用
纏めて消し飛ぶがよい
ヤマト型オーバーアームドフォート『タケミカヅチ』、起動!

敵の攻撃は見切り1、盾受け7を用いて装備のアサルトシールドフィールド
で防ぎ可能ならカウンター4で反撃する



●大乱戦
「ガハハハッ、やっと暴れられるようじゃな」
 バーソロミューは熱線が飛び交う戦場を眺め、大きく笑い声をあげた。
 部屋の隅では、老人たちが身を潜めてじっとしているのが見える。戦いになっても、悲鳴も上げずに大人しく物陰に納まっているようだ。
「やれやれタフな爺様たちだ。ありゃあ俺より長生きするな」
 恭二郎は軽く肩をすくめて、頭に手をやった。様子を見てみたが、放っておいても大丈夫だろう。
 三笠もクローン騎兵の前に降り立った。老人たちは、彼らなりにこの戦いを理解して耐えているのだろうと感じる。
「その心意気やよし。後は我らに任せるがよい」
 仲間の戦いで、クローン騎兵たちの隊列は乱れ始めていた。あとは、すべて殲滅し、親玉を引きずり出すだけだ。
「雑魚はさっさと片づけて、親玉をぶっ潰してくれるわい」
「同感だな。後は悪党どもを蹴散らすだけだ」
 バーソロミューと恭二郎が頷き合う。
 猟兵たちが見ているのは、目の前の敵クローン騎兵ではない。おそらくこの事件の首謀者。その背後に構えているロングコートの男だ。
 マリア・フランサスカッチ(パワー・イズ・ロジカル・f06733)は今回の帝国の行いについて、問うてみた。
「人様のお家に押し入って、大事な財産を奪うヤツを『泥棒』っていうんだって帝国の初等スクールで習わなかったかな?」
「笑わせるな。宝はわが帝国が有効に使ってこそだ」
「随分と図々しいじゃないか、少しくらい悪びれたらどうだい?」
 だが、ロングコートの男はうるさいと言わんばかりに手を振っただけだった。
 やはり敵を蹴散らすしかなさそうだ。
「あのような野蛮な方々をこの先へ行かせるわけには行きませんね」
 敵の様子を見てオルが言った言葉に、猟兵たちが頷く。
「敵の数が多いな」
 先に戦った仲間たちが倒したとはいえ、クローン騎兵の数はまだまだ多い。ガーネットはざっと敵の数を確認し仲間たちを見た。仲間と連携して立ち向かうのがよさそうだ。
「数だけの有象無象など敵ではないわ!」
 三笠が敵に向かって走り出す。
「なるほど、その通りだ。行こうか」
 ガーネットも床を蹴った。
「そうだな。ご老人達にはちょっぴり過激で喧しいかもしれないが、少しの辛抱だよ!」
 頷いて、マリアは近くのクローン騎兵までジャンプする。
「くっ、応戦する!」
 クローン騎兵が装備武器の封印を解いた。再び敵味方入り乱れての激しい闘いが始まる。殺傷力が増した銃でマリアを狙い、クローン騎兵が熱線を発射した。マリアはひらりと空中で攻撃を避け、体を回転させて力任せに頭から踏みつけ敵の体を粉々にする。
 崩れ去るクローン騎兵を見てバーソロミューが手を叩いた。
「やるのう。そら、わしからも銃弾のお見舞いじゃ!」
 そう言って、目の前に広がっているクローン騎兵に向かって一斉射撃する。広範囲に弾丸をまき散らし、敵の注意を引き付けた。敵の隊列が見る間に乱れる。
「いいタイミングだ」
 ガーネットはできた敵の穴に踏み込んで妖剣解放を発動させた。妖刀の怨念を纏い、斬撃と衝撃波で周囲の敵を一気に倒しにかかる。敵の銃口が自分を狙った。だが、敵が引き金を引く前に体を反転させ、奇麗になぎ払いをかけてやり過ごした。速く、もっと速くと自分に言い聞かせ、スピードを上げていく。
 クローン騎兵が次々に倒されていく様を見て、恭二郎も走った。
「派手にやってるな。さて、こっちも行動開始だ」
 敵の前に立ちはだかり、両の拳を握り締めて大きく息を吸い込んで見せる。
「はあぁっ」
 これ見よがしに気合をためる恭二郎を見て、敵の一部が銃口を向けてきた。
「ひるむな! 一斉射撃!」
 敵が熱線を発射する。
 その瞬間、オルが恭二郎の前に立った。
「防御はお任せください」
 バウンドボディを発動させ、大きく広がって敵の射撃を受け止める。彼のバウンドモードが爆発にも耐えることは、先の爆弾処理で知っている。
 恭二郎はオルの背後でスペース手拭いにフォースを込めて大きく伸ばした。いったん、敵の攻撃がやむ。その時を狙って前へ出た。
「助かったぜ。さあ、手拭いと侮るなかれ」
 敵が再び攻撃の姿勢を取る前に、伸ばした手拭いを叩き込む。同時にサイコキネシスを発動させると痛烈な衝撃波が敵を吹き飛ばした。
 更にスナップを利かせ手拭いを横薙ぎにすると、クローン騎兵たちは散り散りに逃げ惑う。
「お役に立てたのなら幸いです」
 敵が崩れる様子を見て、オルが静かに下がっていった。
 クローン騎兵たちは統率を失いつつある。あれほど整っていた隊列は今や乱れて戻る様子もない。
「撃て撃て、何をしている!」
「来るな!」
「ここか?! そこ?!」
 クローン騎兵たちは、それでも各自の判断で攻撃を続けていた。
「所詮は有象無象の集団だな」
 三笠はそんなクローン騎兵に向かって殺気を放つ。ビクリと、周辺の敵が肩を震わせた。その一瞬の隙を突き、跳びながら位置取りを決める。
 できるだけ多くの敵を巻き込むような射線軸を見極め、ヤマト型オーバーアームドフォート『タケミカヅチ』を起動させた。
 この場所ならば、かなり多くの敵を巻き込むことができるはずだ。
 全武装のセーフティを解除し、一気にロックオンする。
「纏めて消し飛ぶがよい」
 三笠のフルバースト・マキシマムにより、タケミカヅチからの一斉発射が行われた。狙った騎兵の体に弾丸が命中し、次々に吹き飛んでいく。かなり広範囲の攻撃と、敵の武装を無視した強力な火力で、一気に敵を殲滅する心づもりだ。
 マリアは一斉に崩れ去る敵の一群を見て、自分もフルバースト・マキシマムを構えた。
「少々この場所を傷つけてしまうかもしれないが、下手に戦いを長引かせるよりは効率的だろう?」
「こちらからもお見舞いしてやるのじゃ!」
 同時にバーソロミューも全武装を構え敵の近くへ踏み込んでいく。
「せっかくじゃ、同時に貫いてやろうかのう」
「了解だ」
 敵の真正面からバーソロミューが、その範囲の外を補うようにマリアが、全武装の一斉発射を行った。
 二人の攻撃に、敵が次々と沈んでいく。
 それでも、なお、範囲の外で逃げた騎兵もいる。
「生き残ったやつは、各個撃破じゃな!」
 バーソロミューは仲間に声をかけながら、すぐに近くの敵に飛び掛かった。
 相手をしていた敵を斬り捨て、ガーネットが返事をする。
「わかった。こちらは任せろ!」
 そう言って鋼糸を操り、まとめて敵をなぎ払った。
 クローン騎兵は吹き飛び、ある者は壁に体を激突させ、ある者は床に転がった。
「皆様、最後の仕上げをお願いいたします。守りは私にお任せください」
 オルは戦場を駆けながら、常に仲間を守ることを意識している。組織的な攻撃はないが、それでも敵の銃口からの攻撃が止むことはなかった。そのため、攻撃されると分かれば、積極的に前へ出て味方をかばい続けた。
「おかげで、我らは攻撃に専念できる」
 逃げる敵を追いながら三笠はオルを見る。彼がかばってくれるおかげで、こちらはほとんどダメージを受けていない。無論、助けがなくとも敵の攻撃を見切ることなど容易いのだが、仲間と連携したほうがより早く敵を殲滅できるはずだ。
「逃げても無駄だ。沈め!」
 気合を込めてタケミカヅチを起動させ、再びフルバースト・マキシマムを放つ。逃げていた敵、地に伏せて動けなくなっていた敵など、目につく敵を一掃した。
 恭二郎も残った敵の掃討に走っている。
「一匹残らず逃がさない。そら、俺はこちらだ」
 残像を利用して位置を変え、敵の死角から手拭いを伸ばした。敵は身動きが取れずその場でもがく。
「チャンスだぞ」
 近くを飛んでいたマリアに合図を送った。
「よし、そのまま抑え込んでいて」
 マリアは体を反転させ、空中から敵を踏みつけた。
 猟兵たちは手際よく残りのクローン騎兵も撃破していく。
 最後の一体を撃ち抜くと、部屋の中は再び静かになった。
「コートの男はどこへ行った? 叩き斬ってやろう」
 ガーネットが部屋の入り口を見る。
「やれやれ、やはり騎兵ならこの程度か」
 そこには、ロングコートの男が立っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『帝国エージェント』

POW   :    ゴールドアイ
【金色の瞳】に覚醒して【歴戦の白兵戦型ウォーマシン】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD   :    仕込み帽子
自身が装備する【鋭利な刃を仕込んだ帽子】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    ハッキング
対象のユーベルコードに対し【電脳魔術のハッキング】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠グロリア・グルッグです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ロングコートの男
「やれやれ、帝国エージェントの俺が戦うことになろうとは」
 ロングコートの男は静かに一歩ずつ前進してくる。猟兵たちの戦いぶりを見ても、特にひるむ様子もなかった。
 スーツにコートと、身なりは戦闘からは程遠いようだが、当然そんな見かけに惑わされる猟兵たちではない。クローン騎兵とは違う強さを感じながら、男を見る。
「さて。こうなってしまったからには仕方がない。素早くこの場を処理して、お宝をいただこう」
 ロングコートの男はそう言って、かぶっている帽子を手で押さえてみせた。
 宝のことは気になるが、何より背後にいる老人たちも助けなければならない。
 ロングコートの男を倒さなければならないだろう。猟兵たちは注意しながら武器を構えた。
オル・クブナス
貴方が銀河帝国のエージェント、でございますか。
宝が何かは知りませんが、そのためにか弱き方々を武力にて制圧しようとするとは…
まったく、紳士的ではないですねえ。

※連携アドリブ大歓迎
一筋縄でいく手合いではなさそうでございますね、このような輩は少しずつ力を削いでいくのがよいでしょうな。
アサルトウェポンで牽制しつつ、隙をついて【咎力封じ】にて能力を封じにかかります。


バーソロミュー・スケルトン
ガハハハッ、親玉のお出ましじゃな。てめぇらなんぞに宝はもったいないわい。

まずは、厄介な帽子をどうにかしてやるかのう。
バラバラに動かれてジジィ共に向かわれも面倒じゃ。

クイックドロウで帽子を打ち抜いてやるぞい。
仕込み帽子を複製するってぇことは、元の帽子がなくなるか、
全部なくなっちまえば使えなくなるんじゃないかのう。

使えなくすることができなくても、ひたすら帽子を撃ち抜いて妨害してやれば、他の奴らも動きやすいじゃろう。



●銀河帝国エージェント
「ガハハハッ、親玉のお出ましじゃな」
 猟兵たちの前に立ったロングコートの男をバーソロミューが見据えた。生憎とその表情は読めないが、猟兵たちを前にして慌てないと言うことは、それなりに腕もたつのだろう。
 その隣で、オルもロングコートの男をじっと見ていた。
「貴方が銀河帝国のエージェント、でございますか」
 自分は宝が何なのかは分からない。しかし、そのためにか弱い老人たちを武力で制圧しようとするとは。
「まったく、紳士的ではないですねえ」
「ふん。お前たちが邪魔をしていたのか。小賢しい真似を」
 銀河帝国エージェントは、帽子に手をかけゆらりと動く。すると、帽子がいくつも複製され四方に散らばっていった。先ほどの戦闘で物陰に隠れたとはいえ、老人たちはまだ部屋の中だ。彼らを狙わせるわけにはいかない。
 バーソロミューは瞬時に判断し、熱線銃を構え床を蹴った。
「てめぇらなんぞに宝はもったいないわい」
 クイックドロウを発動させ、飛んでいる帽子を狙う。帽子は各個バラバラに飛び、同時に撃破されないよう距離を取った。
「一筋縄でいく手合いではなさそうでございますね」
 オルもアサルトウェポンでけん制するように帽子に弾丸を飛ばす。
 二人の重火器がそれぞれ帽子を撃ち抜いた。
「二つ落とされたくらいで揺らぐものか!」
 銀河帝国のエージェントは、落ち着いた様子で残りの帽子を飛ばし、二人に襲い掛からせる。見ると、迫る帽子から刃が見えていた。
「やはり、能力そのものを封じたほうが良いのでございましょう」
 オルは帽子の攻撃を避けながらバーソロミューに言う。
「おめぇ、何かやりたいことがありそうじゃのう」
 迫る帽子を撃ち抜いたバーソロミューがオルを見返した。
 瞬時に二人は、合わせて敵に立ち向かうと決める。
 バーソロミューの熱線銃が続けざまに発射され、飛んでいる帽子を撃ち落とす。とにかく帽子を狙い攻撃を続けていれば、全部なくなるはずだ。完全に使い物にならないようにするのは難しいかもしれないが、仲間が敵に迫るチャンスを作ることは十分できるだろう。
「っ、しつこいな」
 エージェントが舌打ちをする。帽子の動きを妨害され、イラつているようだ。
 敵がバーソロミューと向かい合っている間に、オルは走った。
 帽子を押さえる手や、オリジナルの帽子そのものめがけて拘束具を放つ。
「これでしばし自由に動くことはできないはずでございます」
 オルの咎力封じだ。
 命中した拘束具が、敵の腕と帽子を縛り上げた。
「狙い通りじゃ!」
 最後の帽子を撃ち落としたバーソロミューが手を叩く。
 猿轡をかまされ言葉を発することのできない敵は、いら立ちを隠そうともせず大きな音を立てて床を蹴りつけた。
 これで、敵の動きを一部封じることができたはず。
 二人は後続の仲間のために、攻撃の道筋を開いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

心象創造・空蝉
POWを選択
敵がウォーマシンになったのを確認し、俺はアイテム:ナノマシンドリンクボトルで再生力を向上させ、餓喰剣を持ち、マシンクラッシャーで奴に突撃する。恐らくやつの方が早いが、奴の攻撃が当たった瞬間ユーベルコードを発動し、クラッシャー、餓喰剣共々、奴の装甲部分を取り込み、ロボに変形する。お互い動けなくなるが、それでいい。奴のウォーマシン形態は、徐々に体力を削るタイプだ。ならば動けない状態を維持しつつ、餓喰剣でダメージを与える。こちらのダメージは瞬時に再生するから、問題はない。クラッシャーのエンジンを取り込み、真の姿を少し解放したこの俺を、そう簡単に振り払うことは出来ん。締めは猟兵達に託す。



●技の撃ち合い
 全ての帽子を落とされた銀河帝国のエージェントは、それでもなお、気力は落とさなかった。拘束されながらも、カッと目の部分を金色に光らせたのだ。
「愚か者ども。静かに殺されておけば良いものを!」
 男の姿が一変する。今までの、スーツにコートと言う服装を捨て、歴戦の白兵戦型ウォーマシンに変身したのだ。
 それを確認し、空蝉はマシンクラッシャーに飛び乗って敵へ真っすぐ突撃していく。
 ナノマシンドリンクボトルで再生力を上げ、手には餓喰剣。敵を追い詰める用意は完了していた。
「馬鹿な。自爆でもするつもりか!」
 敵はひらりと空蝉を避ける。
 帽子が封じられたとはいえ、戦う力を向上させた今の姿からは、増大した戦闘力をひしひしと感じた。
 突撃を躱され、空蝉の体が前のめりになる。
「そのまま地獄へ突っ込んでいくといい」
 帝国のエージェントが強力な蹴りを放ってきた。
「ここだ」
 しかし空蝉は落ち着いてカオス・スクラップビルダーを発動させる。素材を検索し、収集を適合させ、クラッシャーと餓喰剣をも取り込んで合体した。
「創造合体! カオス・スクラップビルダー!」
 空蝉が叫ぶ。
 身長の2倍ほどのロボットに変身し、空蝉は敵へ鍔無しの魔剣を振るった。
「くそ、力が!」
 餓喰剣は敵の体を斬り裂き、敵から生きる力を奪っていく。
 それでもエージェントが突きで反撃してきた。撃たれた部分は向上していた再生力で補い、空蝉が飛び退く。
「よし! 締めは任せた」
 待機している仲間に声をかけ、いったんその場を引いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ガーネット・グレイローズ
あのコートの男、かなり戦えると見た。油断はできないな。気になるのはヤツの正体だが…サイボーグか、それともアンドロイドか?
【Wiz】で行動。ユーベルコードは切り札ゆえ、安易に見せるわけにいかないな。ならばまずは〈念動力〉でブラックバングルから〈衝撃波〉を撃ち、牽制攻撃をしていこう。マントに〈迷彩〉を施し、狙われないように遠距離攻撃しつつ、〈メカニック〉で敵の動きや体の構造を分析。サイボーグならば、機械化されていない生身の部位があるはずだ。アンドロイドなら、機械の構造上脆い部位を狙うように味方にアドバイス。敵が攻撃ユーベルコードを使った直後に【サイキックブラスト】で〈マヒ攻撃〉だ!


ハンドレッド・コール
これ以上、オレの目の前で何もかも奪わせてたまるかよ
今のオレには猟兵の力と、フローラ達がいるんだから
…あと、エリートを気取るなら、その無骨な仮面をなんとかした方がいいぜ?
と、最初に煽って引き付けてみるか。

基本、【第六感】で回避に集中し、攻撃の隙を狙う
攻撃の手が迫ってきたら、【カウンター】で跳ね返す
銃で反撃に限界があるなら、フローラ、【属性攻撃】【範囲攻撃】で援護を頼む!

エージェントの動きが鈍ってきたら、ユーベルコードの【クイックドロウ】で攻めながら接近し、
顔面に銃口を突き付けて、【零距離射撃】で大ダメージを狙うぜ


東郷・三笠
POWで判定

ふん、宝か
こんな所からも略奪とは帝国も貧していると見える
だが、ここにある宝というのはお前が考えているものとは違うと思うぞ
我らにとっては命に替えても守るべき物だが
お前らにとっては価値のないものであろうよ

最初は相手の得意な距離では闘わない
空中戦1を用いながら距離をとり
遠距離から一斉発射11を用いてヤマト型オーバーアームドフォート『タケミカヅチ』で攻撃
相手が焦れて無理矢理接近戦に持ち込んできたら
残像1、鎧無視攻撃8、見切り1、殺気2、捨て身の一撃2、覚悟2、視力1、カウンター4、盾受け7を用いて
超電磁単分子ブレイド『布都御魂』で東郷流電磁抜刀術『閃雷』を放つ

アドリブで他の方の絡み歓迎


神酒坂・恭二郎
「まあ、中々上手くはいかねぇもんさ」
スペース手拭いを鞭のようにしならせ、青い光を帯びた攻撃。
ロープワークでインパクトに衝撃波を叩き込むことで強烈な武器とする。
仕込み帽子の攻撃に対し、手拭いを大きく伸ばして広げ横薙いで、オーラ防御で味方を庇う。
「カラクリは見えた……」
念力での操作を確認し、手を止め瞑想し力を溜め。
フォースを込めて抜刀して、味方に被害の出ない衝撃波。
念を篭めた風で帽子を動かす念力への妨害としたい。
「神酒坂風桜子一刀流・風早(かざはや)……てなもんか」
有効を確認したら、刀を床に突きたて風祓の【守護明神】を召喚。念動を乱す祓の風を吹き渡らせよう。
「急げよ。この効果は180秒だ!」


ナイ・デス
仮初の肉体完全再生。疲労も回復完了、です
残っているのは……コートの男だけ、ですね

生まれながらの光を自らに纏い。仮初の肉体、高速再生モードに入って
騎兵相手の時と同じように、突撃……とみせた、フェイント
ハッキングでの相殺を誘い
戦闘知識、第六感、見切り技能でタイミング計って、相殺される前に、自ら解除してすり抜ける
意表を突きながら、スライディング、忍び足ダッシュ、ジャンプ、空中戦技能を駆使して見失わせながら接近し
足か首へ、暗殺技能か、攻撃されても激痛耐性で痛み無視してのカウンターで黒剣を突き立てる
鎧無視攻撃で装甲を貫いて、生命力吸収しながら
接近したままの勢いか、攻撃された勢いで傷口をえぐり、もぎ取る



●守るべき宝
 銀河帝国エージェントに少しずつダメージが積み重なってきた。
 だが、エージェントはまだその場に立っている。
 ハンドレッドはフローラと共にエージェントの前に降り立った。
「これ以上、オレの目の前で何もかも奪わせてたまるかよ」
 今の自分には、猟兵の力もある。そして、フローラ達もいる。フローラも小さく頷いた。
「……あと、エリートを気取るなら、その無骨な仮面をなんとかした方がいいぜ?」
「これは、失礼」
 エージェントは肩をすくめ、再び帽子に手をかける。帽子が複製され、各個散り散りに飛び始めた。
 一度は仲間が封じた攻撃だったが、やはり余力を残していたのだろう。
「あのコートの男、かなり戦えると見た」
 ガーネットは衝撃波を放ち、近くの帽子を撃ち落とした。
 だが、油断はできない。
 慎重に敵との距離を測りながら、敵の動きを観察する。サイボーグかアンドロイドかは分からないが、どこかに脆い部分があるはずだ。
「フローラ、援護を頼む!」
 帽子の攻撃を躱しながら、ハンドレッドはフローラに声をかけた。フローラが広範囲に攻撃を放ち、行く道を確保する。
「ふん、宝か。こんな所からも略奪とは帝国も貧していると見える」
 三笠は敵との距離を取り、遠距離で攻撃を始めた。
「帝国が宝を有効活用してやろうというのだ。素直に差し出すのが筋だろう!」
 エージェントはステップしながらタケミカヅチの攻撃を避け、不敵に笑う。
「だが、ここにある宝というのはお前が考えているものとは違うと思うぞ」
「ふ。そんな言葉で揺れる俺ではない」
 三笠が一斉射撃で敵を狙った。無数の弾丸が敵の体を撃ち抜く。
「くっ」
 エージェントがたまらずその場から退いた。そして、更に帽子の数を増やす。
 迫る猟兵たちの勢いは増していた。出し惜しみをしている余裕はもう無いのだろう。帽子たちは見え隠れしている刃で猟兵たちに襲い掛かってきた。
 仲間に襲い掛かろうとする帽子を見て、恭二郎がスペース手拭いを大きく伸ばして広げる。
「おっと危ない」
 オーラ防御で仲間をかばい、敵の攻撃を妨げた。
 攻撃を受けなかった仲間たちが、次々に敵に向かって走り出した。
「仮初の肉体完全再生。疲労も回復完了、です」
 集団戦の折の疲労は癒えた。あとは残っている目の前のコートの男を倒すだけでいい。ナイはクローン騎兵の集団にそうしたように、生まれながらの光を自分自身に発動しながらエージェントに向かって突撃していった。
「ククク。その動きは先ほど見たぞ。馬鹿め」
 銀河帝国のエージェントは、自分に向かってくるナイに向けて電脳魔術のハッキングを仕掛けてくる。事前に生まれながらの光を目撃していることもあり、その攻撃は高性能だった。
「いま、です」
 しかしそれは当たれば、の話である。
 ナイは敵の攻撃タイミングを見切り、即座に生まれながらの光を解除した。
「なに?!」
 敵の攻撃はユーベルコードを相殺すること。解除済みなら意味がない。エージェントのハッキングが無効になった隙に、ナイは敵の足元に滑り込む。
 その動きに合わせるように、ガーネットがサイキックブラストを発動させた。
「露出している首を狙え! 動きを抑える!」
 両掌から放った高圧電流が、エージェントのマヒを誘う。
「こ、の!」
 エージェントが何とか逃れようと体を動かした。
「了解、です」
 だが、それより前にナイが黒剣をエージェントの首元へ突き立てる。鎧を無視した攻撃が、敵の内部まで深く食い込んだ。
「まだ、まだぁ!」
 エージェントが強引に引き抜こうと黒剣を握る。
 ナイは冷静に傷口を抉りながら、黒剣を引き抜き、敵との距離を取った。
 すぐに、敵の足元周辺に魔法が被弾する。
 ガーネットとナイの対応に夢中になっていたエージェントに向けてフローラが攻撃魔法を飛ばしたのだ。
「……ハンドレッド、合わせて」
「ああ! この距離なら十分だぜ」
 見ると、いつの間にかエージェントとの距離を詰めたハンドレッドが熱線銃を構えていた。
「いつの間に!」
 エージェントが身構える。もう、攻撃を避ける時間はないようだ。
「遅い!」
 気づけば、ハンドレッドの銃口が敵のすぐ目の前、顔面に付きつけられていた。エージェントは敵の次の動きを待たない。そのまま零距離射撃で敵の顔面を撃ち抜いた。
 火花が飛び散り、顔面の一部が吹き飛ぶ。
「あ、あああ!」
 敵は顔面に手を当てて転げるようにその場を逃げた。
 と、同時に、敵の周辺に複製された帽子が集まってくる。
 その様子をしっかりと見ていた恭二郎が、瞑想し力をため始めた。
「カラクリは見えた……」
 あれは敵の念動の操作で成り立つモノ。念を篭めた風なら、捜査の妨害ができるかもしれない。
 フォースが集まった瞬間、抜刀し、衝撃波を飛ばした。
 仲間には被害の出ないフォースによる衝撃波は、周辺の帽子にことごとく襲い掛かる。
「神酒坂風桜子一刀流・風早(かざはや)……てなもんか」
 恭二郎は刀を床に突き立て、うまく動かなくなった帽子を指さす。
「その帽子は念動によるもの。念力を妨害すれば、うまく動かせないだろう」
 その弱点を指摘し実証してみせたことで、達人の智慧を発動させた。
 風祓の守護明神が恭二郎により召喚される。
 守護明神は戦場に念動を乱す祓の風を吹き渡らせた。風が吹き、敵の帽子が動きを止める。首を抉られ、顔面を失い、エージェントは追い詰められている。それに加え、帽子もうまく動かない。
 叩くならば今しかない。
 猟兵たちは、エージェントに攻撃を集中させた。
 接近戦で決着をつける時だと判断し、三笠も敵の懐に飛び込んでいく。
「急げよ。この効果は180秒だ!」
 背後から恭二郎が声をかけた。
「了解だ」
 仲間がくれた攻撃の間をかみしめ、三笠は超電磁単分子ブレイド『布都御魂』に手を伸ばす。
「雷剣神の妙技を見よ!」
 エージェントがよろめく様に後ずさりした。
 三笠が一歩踏み込んで間合いを詰める。
「東郷流電磁抜刀術―――『閃雷』」
 一閃。
 三笠の放った東郷流電磁抜刀術『閃雷』が敵の体を斬り裂いて捨てた。
「そんな……帝国、の……宝、を」
「まだ、そんなことを言うのか」
 返す刀で、二撃目を命中させ、三笠は静かに首を振る。
 この船の宝は、おそらくだが――。
「我らにとっては命に替えても守るべき物だが、お前らにとっては価値のないものであろうよ」
 三笠の言葉は敵に届いただろうか。
 エージェントはその場で息絶えた。

「いやぁ、助かったぞい」
 危険がないことを確認し、物陰に隠れていた老人たちが顔を出した。
 皆、それぞれ感謝の言葉を猟兵に述べている。
 その中でも、ボロを身に纏った老女が静々と猟兵たちに頭を下げた。
「ありがとうございます。この船は、老いてはいますが、まだまだ生きます。私たちを守ってくださったお礼です。どうか、歌を聞いて行ってください」
 老人たちが拍手を送り、笑顔ではやし立てる。
 猟兵たちは、透き通った老女の歌声を、静かに聞いた。
 美しい歌声と、老人たちの笑顔と。
 守るべきものを守った、猟兵たちへの、何よりの贈り物だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月16日


挿絵イラスト