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ゆきもさくらも

#サクラミラージュ #お祭り2019 #クリスマス

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 帝都の外れにある小高い丘の上には、一本の大きな幻朧桜がある。
 奔放に伸ばされた枝は風に吹かれるままに、ひらひらとほころぶ花々のかけらを雪片のごとく零しゆく。

「丘の上に『花癸館』っていうはいから可愛いかふぇーがあるんだけど、今ちょうどくりすます限定の催しをしているんだって」
 内緒話をするように、葵絲・ふるる(フェアリーのシンフォニア・f02234)は人差し指を口元に押し当てる。
「その日だけは特別に予約制で、少人数だけでゆっくり静かに過ごせるらしいんだよね。
 くりすますの特別な一日に、ひっそりかふぇーで過ごしてみない?」

 ――喫茶・花癸館。
 幻朧桜の大樹を中央に囲うように作られたカフェーは、建物自体は木製の素朴な造りながらも、もっふりと覆い被さる幻朧桜の天蓋が華やかに彩っている。
 ひらひらと店内を好き勝手に舞い飛ぶ花びらは、時に琥珀色に満たされたカップの中に落ちることもあるだろう。
 無論、時には雨や雪風が舞い込むことも――そのため、今時期は北側に備え付けられた暖炉の炎が、皆を暖かく迎えてくれる。

「ますたーが淹れるこーひーは絶品だし、紅茶が好きなら一人娘のりんちゃんがこだわり抜いた茶葉で美味しいのを淹れてくれるよ」
 小腹が空けばサンドイッチや温かいクリームシチューもあるし、暖炉で暖まりながらイチゴのパフェーやくりぃむあんみつを楽しむのもいい。
「そしてそして! くりすますのその日だけ、限定で出されるさんたさんのいちごけーきすぺしゃる!!
 この日のためにますたーと看板娘のりんちゃんが考案したすぺしゃるおいしいけーきが食べられるんだって!!!」
 ふるるは両頬を手のひらで包み込み、既に美味しそうな顔をしてふるふると羽根を震わせている。

 ――というわけで。
「ひとりでゆっくり本を読みながら過ごすのもいいし、大切な人と特別な一日を過ごすのもいいんじゃないかな?
 よかったら、くりすますは喫茶・花癸館でゆっくりと過ごそうよ」


珠樹聖
 めりーくりすます♪
 こんにちは、珠樹聖(たまき・ひじり)です。

 クリスマスはカフェーでまったり過ごしませんか。
 おひとりでも、お友達や恋人と一緒でも歓迎いたします。

●施設案内
 訪れる時間は夜。
 中央に幻朧桜の大きな幹があり、周囲をぐるりと囲うようにお席があります。
 天井は幻朧桜の枝と数多の花弁、時折夜空が見えます。

 当日は雪が舞い込むこともありますし、多少寒さを感じる方もいらっしゃるかもしれません。
 風でお席にありますランプの炎が消えることもございます。その際は気軽に店の者にお声がけ下さい。無論そのままでも構いません。
 寒い方は北側にある暖炉前へ移動しても構いません。椅子やテーブルはございませんが、代わりに足を伸ばして座れるよう毛足の長い真っ白ふくふくな絨毯を敷いております。
 靴を脱いでお上がりください。

 客数は少なくほぼ貸し切り状態です。
 マスターはカウンターにて珈琲を、一人娘は紅茶を入れつつ各席へ料理を運びます。
 マスターは気難しいですが、看板娘は明るく気さくです。話しかけてみるのも良いでしょう。

●注意事項
 お友達と合わせての描写をご希望の方、お相手様の呼称とキャラクターID、或いは【チーム名】をご記載ください。
 プレイングの自動キャンセル期限は『三日』となっております。極力タイミングを合わせてご参加ください。

●その他
 PSWはお気になさらず、好きなようにお過ごしください。
 お声掛けいただければ、ふるるもご一緒させて頂きます。
 ふるるはスイーツ制覇に勤しむつもりのようです。

 以上、皆様が素敵なクリスマスを過ごせますように。
30




第1章 日常 『サクラミラージュでクリスマス』

POW   :    カフェー特製のクリスマスメニューに舌鼓を打つ

SPD   :    カフェーのメイドさんやボーイさんと楽しく過ごす

WIZ   :    恋人や家族と共に、クリスマスパーティーの趣向を楽しむ

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 零れんばかりの星の瞬く夜空を、桜の花びらがひらりひらひらと泳いでゆく。
 目映い帝都の明かりを背に、小高い丘へと続く薄暗い道を進んでゆく人人の影がぽつりぽつりと見えていた。
 続く道の先には大きな幻朧桜の帽子をかぶった、古めかしくも愛らしいカフェーがある。
 つり下げられた木札には『商い中』の文字の他に、『本日ご予約のお客様のみ』と達筆な文字で書かれていた。
アース・ゼノビア
【花蝶】
連れの姫様に暖炉側を譲って、灯りの風除けに外側の席へ
羽をたたんでもこの図体だ、少しは役に立つだろう。

ウルスラがテーブルを派手に飾るって意気込んでるけど
半分以上は俺のノルマになりそうだから、珈琲だけ頂こうかな

――やぁ、ふるる。こんばんは。メリークリスマス。
素敵なお店をご紹介ありがとうね。…少し助けてくれないか?
あいつ甘いもの全部頼むつもりらしいんだ
余らせてしまうのは忍びないから。
(よければ頼むよと微笑って)

ゆっくりするたび不思議に思うよ
あんなに戦ったのにこんなに平和で、でもまた必死で戦って
そう変わらない明日を祈ってさ
散り惜しみ続ける、此処の桜みたいだ。

…そうだな。また来年、祝いに来ようか


ウルスラ・クライスト
【花蝶】
郷に入ってはなんとやら
重たい髪をなんとか結い上げて、茜色の袴姿。

この星には初めて来たけど、冬にお花見なんて素敵ね
え、一年中咲いているの。そう…忘れ難い春があったのかしら?
(揺らめくランプの灯を守るアースを眺めて、意地悪気に)

今日は私、選ぶつもりは毛頭ないの。
おすすめいただいた甘味一式、ぜんぶ食べるつもりで来たわ(にこ~)
飲み物?そうね…温かい紅茶がいいと思うわ。

こうして机いっぱい並べて戴くとさすがに壮観ね、ふるるちゃん?
私達からクリスマスのお祝いよ。
どれでも好きなの、どうぞ召し上がってちょうだいな。

変わらないことなんてないのよ、アース
だから約束するのよ。また来年祝いましょうね、ってね。




 古びた木製の扉に手をかけると、キィと軋んだ音がする。
 からころんと来客を告げる鈴が鳴り、看板娘がはつらつとした笑顔でアース・ゼノビア(蒼翼の楯・f14634)とウルスラ・クライスト(バタフライエフェクト・f03499)を出迎えた。
「お待ちしておりました、ご予約のお客様ですね!
 喫茶・花癸館へようこそいらっしゃいました。
 どうぞお気に召した席へおかけください」
 促されるまま、二人ははらはらと花びらの舞い落ちるカフェー中を歩き、暖炉に近い席に着く。
「この星には初めて来たけど、冬にお花見なんて素敵ね」
 羽をたたんだアースはウルスラに暖炉側の席を譲り、風に揺らめくランプの灯を守るようにそっと隣に腰を下ろす。
「幻朧桜は一年中、こうして変わらず咲いているそうだよ」
「あら、一年中咲いているの。
 そう……忘れ難い春があったのかしら?」
 自ら風除けの役を買ったアースを眺めながら、ウルスラはからからかうように薄く笑む。苦労して結い上げた赤い髪の先が、色素の薄い頬を擽っている。
 郷に入っては何とやらと茜色の袴に身を包んだ彼女は、どこかしっとりとした美しさを湛えていた。
「さてお姫様、ご注文は?」
「今日は私、選ぶつもりは毛頭ないの。
 おすすめいただいた甘味一式、ぜんぶ食べるつもりで来たわ」
 にこ~っといい笑みを浮かべるウルスラに、アースもまたそれに応えるように穏やかな笑みを浮かべる。
「飲み物は何にしようか?」
「そうね……温かい紅茶がいいと思うわ。
 あなたは?」
「俺は珈琲だけ頂こうかな」
「あらそう?」
 品書きを軽く指先でなぞりながら、ウルスラは注文を聞きにきた看板娘に次々甘味の名を告げていく。
 ――この分だと半分以上は俺のノルマになりそうだな。
 そんなことを考えながらアースがふと店内を見やれば、品書きを眺めながら足をぱたぱたさせるご機嫌なフェアリーの姿がある。
「やぁ、ふるる。こんばんは。メリークリスマス」
「はっ! おお……ここここんばんはです。めりーくりすます」
 何故かキリッと凛々しげな表情を作りつつ、ふるるはこくりと頷くように顎を引く。
「素敵なお店をご紹介ありがとうね。
 ……少し助けてくれないか?」
「助ける? 何かあったんですか?」
 アースがちらりと視線を向けた先には、にこりと麗しげな笑みを浮かべ看板娘に注文をしまくるウルスラの姿がある。
「ふわあ……長いです。注文が長いです。めちゃくちゃ頼んでますね?」
「あいつ甘いもの全部頼むつもりらしいんだ。
 余らせてしまうのは忍びないから、よければ頼むよ」
「なんと! 同士でしたか!」
「え?」
 小首を傾げるアースに、ふるるは再びキリッとした表情で頷いてみせる。
「任せてください、微力ながらお手伝いします! でもさんたさんのいちごけーきすぺしゃるだけは二つ頼みますよ!」
「……ええ?」
 笑顔のまま時を止めるアースをよそに、ふるるはぱたぱたとウルスラの元へ飛んでいった。

 次々運ばれてきた甘味が盛り盛りに並べられ、三人の目の前できらきらと輝いている。
「こうして机いっぱい並べて戴くとさすがに壮観ね、ふるるちゃん?」
「ふわわ~、すごく美味しそう! 眺めてるだけでも至福だね~」
「ふふ、私達からクリスマスのお祝いよ。
 どれでも好きなの、どうぞ召し上がってちょうだいな」
「わ~い、めりーくりすます!
 うるすらちゃん、あーすさん、いっぱい食べよ!」
「ええ、食べましょう」
「うーん……なんだかかえって大変なことになってしまったような」
 甘味をつついてきゃっきゃし始める二人を眺めながら、アースは笑って珈琲を口にする。
「こうしてのんびり過ごすたび不思議に思うよ。
 ……あんなに戦ったのにこんなに平和で、でもまた必死で戦って」
 薫り高い珈琲の風味にほっと吐息をつく。
 アースは視界を掠め落ちた桜の花びらに導かれるように、幻朧桜に覆われた天井を仰いだ。
「変わらない明日を祈ってさ、散り惜しみ続ける、此処の桜みたいだ」
「変わらないことなんてないのよ、アース。
 だから約束するのよ。また来年祝いましょうね、ってね」
 ウルスラの言葉に、アースはゆるりと大きく金の瞳を瞬かせる。
「……そうだな。
 また来年、祝いに来ようか」
 差し出された真っ白いクリームのついたいちごを、ぱくりと口にする。
 ふわりとした甘さと甘酸っぱいいちごの風味が、口の中いっぱいに広がっていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

九十九里・トヲル
読みかけの文庫本を片手に
適当な、出来るだけ端っこの、そう目立たない席で
頼みたいメニューは決まってるけれど、メニューは一通り見て
「珈琲と、………さんたさんのいちごけーきすぺしゃるを、ひとつ」
こっそりと小声で注文

ええ、ええ! あたしは好きなんですよスイーツが!
でも、ほら、ひとりで
しかもこんな大の男がスイーツが好きだなんて、ねえ
ちょっと恥ずかしいじゃないですか……(文庫本で顔を隠し)
ま!ケーキが来たら気にせず楽しみますけれど
頼むのは勇気が居るんですよね

ケーキを頬張ればおいしい、と幸せそうに笑って
食べ終わってもまだ食べられそうなら、他のスイーツを堪能したいところ
「……次はくりぃむあんみつ、かねえ…」




「お待ちしておりました、ご予約のお客様ですね!
 喫茶・花癸館へようこそいらっしゃいました。
 どうぞお気に召した席へおかけください」
 読みかけの文庫本を片手に花癸館を訪れた九十九里・トヲル(救済パレヱド・f22911)を、看板娘の朗らかな笑みが出迎える。
 店内に視線を巡らせれば、暖炉傍にちらりと客の姿が見えた。
 トヲルは適当な――出来るだけ隅っこの目立たない席に腰を下ろすと、周囲の様子を窺いながらメニューを一通り眺める。
「珈琲と、………さんたさんのいちごけーきすぺしゃるを、ひとつ」
「はぁい、珈琲と……さんたさんのいちごけえきすぺしゃるですね!」
「え、ええ」
 看板娘は二つ目の品を、トヲルに倣うように声を潜めながら復唱する。よくできた看板娘だ。
 若干挙動不審になりながら頷くトヲルに、メッチェンは心得たようににっこりと笑う。
 ――実を言えば、メニューを見る前からすでに注文は決まっていた。
 クリスマス限定の特別メニュー・さんたさんのいちごけーきすぺしゃるは、その名を耳にした瞬間から食べると心に決めていた、魅惑のスイーツだ。
(ええ、ええ! あたしは好きなんですよスイーツが!
 でも、ほら、ひとりで、しかもこんな大の男がスイーツが好きだなんて、ねえ……ちょっと恥ずかしいじゃないですか……)
 羞恥に乱れる心と赤らんだ頬を隠さんと、文庫本を開きそうっと顔を埋める。
 スイーツは頼むまでが一番勇気が要る。それが風変わりな名前であれば、尚更だ。

 ほどなく薫り高い珈琲と、たくさんのイチゴをあしらった真っ白もふもふなクリスマススイーツがトヲルの席へと運ばれてきた。
「お待たせしました。ゆっくりしていってくださいね」
 微かな音を立てランプの炎が揺れる。
 ひらりと舞い降りた幻朧桜の花びらが、白いクリームと赤いイチゴの仏蘭西風ショートケーキに新たな色を添え、より華やかなスイーツに仕上げてくれた。
「これは美味しそうだねえ」
 本の影でこそりと笑んでから、桜の花弁の栞を挟んだ文庫本をテーブルの端に置く。
 早速フォークを手にすると、トヲルは一口大に切り割ったケーキを口へと運ぶ。
 ふんわりとした柔らかな生地に、ほんのりヨーグルトの風味をまとった軽やかなクリームが、とろけるように消えてゆく。
 じゅわりと溢れ出したイチゴの果汁が口の中をさっぱりとさせて、どれだけ食べても飽きなさそうだ。
「……おいしい」
 思わず漏れた言葉と共に、ゆるゆると頬がゆるんでしまう。
 黙々とケーキを頬張っていると、あっという間になくなってしまった。
「……次はくりぃむあんみつ、かねえ……」
 トヲルはのんびり珈琲を飲みながら、再びメニューへと手を伸ばした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

新堂・ゆき
いちごケーキが外せないのはもちろんとして。
いちごケーキもぐもぐしつつ、
あのー、そこのスイーツ制覇に忙しいふるるさん。
お邪魔してすみませんが、私におすすめスイーツを教えてくれませんか?
小さい頃からこんな素敵なものがあるとは知っていたのですが、ずっと
戦闘訓練と人形繰りに明け暮れてしまいまして。
気がつけばこんなに年月が。
何か色々思い出してぷるぷる。
おすすめされたスイーツに紅茶をお店の娘さんにお願いします。
カップに舞い降りた花びらを見て、綺麗ですね。
きっと儚いものだから余計に。
スイーツとか世の中の乙女ちっくなものを理解出来ておりません。
ふるるさんに弟子入りしたいです(まがおで)



 当然のごとくさんたさんのいちごけーきすぺしゃるをもぐもぐしていた新堂・ゆき(月雪花・f06077)は、同じくとろけた幸せ顔でいちごケーキをもぐもぐするふるるの姿を見つけて声をかけた。
「あのー、そこのスイーツ制覇に忙しいふるるさん」
「もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ……はっ、ゆきちゃんいつの間に! 楽しんでる?」
「はい、いいお店ですね。スイーツはおいしいですし、雰囲気もとても素敵です。
 思い切って来てみてよかったです」
「うんうん、控えめに言って最高だよね!」
 頬にクリームをつけたふるるが、子どものように屈託のない笑みを浮かべる。
 ゆきはさりげなくハンカチを取り出しながら、ふるるの隣りへ席を移した。
「お邪魔してすみませんが、私におすすめスイーツを教えてくれませんか?」
「おすすめ? けーき食べた?」
「はい、もちろん頂きました。
 とっても美味しかったです……」
 ケーキの味を思い出すようにうっとりと目を閉じるゆきの隣で、ふるるはいちごに抱きつきかぶりついている。
「さっぱりふわふわのけーきといちごの組み合わせ最高だよね。すいーつはふぇありーのぱわーの源なんだよ。ゆきちゃんもいっぱい食べたらお肌つやつや元気いっぱいになるよ」
「え、そうなのですか!?」
「うんうん」
 衝撃を受けたゆきが、よよと口元を手で覆う。
「……小さい頃からこんな素敵なものがあるとは知っていたのですが、ずっと戦闘訓練と人形繰りに明け暮れてしまいまして。
 気がつけばこんなに年月が……そうでしたか……スイーツにはそのような力が……」
 色々と何かを思い出したらしいゆきが、ぷるぷると小刻みに震えている。
 いちごにかぶりついていたふるるは、はっとしたようにゆきを見た。
「え、ゆきちゃん今まですいーつ食べたことなかったの!?
 それじゃあ今までの分も取り戻さないと!! めにゅー全部制覇しないと!!!」
「え、全部ですか?」
「ゆきちゃんはおっきいからいっぱい食べれるもん。
 りんちゃん、りんちゃ~ん!」
「はいはあい♪」
 戸惑うゆきを後目に、看板娘が次々スイーツを運んでくる。
 添えるように置かれた淹れたての紅茶から、ふわりと湯気が立ち昇る。
 甘くて美味しそうなスイーツ達が彩るテーブルに、ゆきの瞳がきらきらと輝き始めた。
「なんと可愛らしい……これが乙女ちっくというものなのですね」
 ひらり花びらが舞い落ちる。
 紅茶の上でくるくると泳ぐ桜の花びらに、ゆきはほうっと吐息をついた。
「綺麗ですね。
 儚いものだから、余計そう感じるのでしょうか」
「かわいいは正義だから、すいーつは最強なんだよ。
 そして美味しいはのんかろりー! さあ、食べよ~♪」
「はい」
 盛り盛りに飾られたいちごパフェーをスプーンで掬い、口の中へ。
 ひんやり濃厚なあいすくりいむの味に、ゆきはふわふわと頬をゆるめる。
「私はまだまだスイーツや世の中の乙女ちっくなものを理解出来ておりません。
 ……ふるるさんに弟子入りしたいです」
 デザートスプーンを握り締めて真顔でそんなことを言い出すゆきに、ふるるも姿勢を正しキリッとした顔で頷く。
「ふふふ、同士が増えるのは大歓迎だよ。
 美味しくて可愛いもの、一緒にいっぱい探そうね!」
 幸せそうに笑うゆきに、様子を窺っていた看板娘も嬉しそうな笑みをこぼす。
 この後二人がスイーツの山に音を上げるのは、また別の話だ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

白咲・朝乃
幻朧桜見ながら軽食と紅茶でも。
優雅に楽しもう。ぷいぷい呼ぼかな。

桜、綺麗だなー……。
(上品に紅茶とシチュー一口。)
!?
美味しい…!
優雅やめよう。全メニュー食べよう。
りんちゃん!サンドイッチください!紅茶もおかわり!
これ淹れ方拘ってるね!?砂糖無しで飲んで大正解だったよー!良い風味!

スイーツ食べてるふるるちゃん(f02234)を見たら、
ふるるん!一緒に食べようよ。
その体じゃ食べきれないでしょ?手伝うよ。
苺ケーキスペシャルも頼もう!
ふるるん食べきれないでしょ?苺は任せて!

はー満腹…。
カウンターで食後の珈琲ももらおうかな。
ふぁー…いい香り。
マスター、拘り方がりんちゃんと似てますね。
(にっこり話かけ)



 席に着き注文を済ませた白咲・朝乃(キャストリンカー・f03412)は、こっそりぷいぷいを呼んだ。
「今日は優雅に軽食と紅茶で楽しもうね、ぷいぷい」
「もっきゅう!」
 しゅばっと手を挙げ賛同するぷいぷい。
 ほどなく運ばれてきたシチューと紅茶に笑顔で礼を言い、朝乃はティーカップを持ち上げた。
「はあ、桜、綺麗だなー……」
 カフェーの天井からひらりと舞い落ちる桜の花びらに、朝乃は柔らかく微笑みカップを傾ける。
「……!」
「……もきゅ?」
 カッと目を見開く朝乃に、ぷいぷいが小首を傾げる。
「な、なんでもない。
 美味しそうなシチューだよね。いい匂い……」
 朝乃はまるで上流階級のお嬢様のように優雅な手つきで、シチューを口元へ運び――、
「!? 美味しい……!」
「もっきゅう!?」
 衝撃のあまり、一瞬にして優雅がどこかへ吹き飛んでいった。
「もうだめだ、優雅やめよう。全メニュー食べる。
 りんちゃん! サンドイッチください! 紅茶もおかわり!」
「はあい♪」
「りんちゃん、これ淹れ方拘ってるね!? 砂糖無しで飲んで大正解だったよー! 良い風味!」
「ありがとうございます! 私、紅茶が大好きで大好きで、もうすっっっっっっごくこだわってるんです!!」
「やっぱり! 久々に本当に美味しいお店に巡り会ったよー」
「そう言っていただけて、とっても嬉しいです♪」
 ぷいぷいと一緒にサンドイッチをもふもふ頬張っていた朝乃は、さんたさんのいちごけーきすぺしゃるを幸せそうにまっふまっふと頬張るふるるの姿に目を留め、おもむろに席を立つ。
「ふるるん! 一緒に食べようよ。
 その体じゃ食べきれないでしょ? 手伝うよ」
 ひょいぱくっ!
「なっ……! あ、あーちゃぁあああ! いつのまにー!!
 だめだめ、ちゃんともういっこ頼んでーっ!」
「えー、一口ぐらいくれても……すっごく美味しいけど」
「うんうん、美味しいよね? 美味しいから頼も?
 このけーきね、なめらかで口に入れた途端に雪みたいにすっととけちゃうの! それでね~」
 いちごケーキへの溢れる愛を語るふるるの隣で、白いもふもふの毛玉がしゅしゅっと素早く手を伸ばしてはクリームやらいちごやらを頬いっぱいに詰め込んでいる。
「もっきゅもっきゅもっきゅもっきゅ」
「ああああああっ! ゆきぷーがわたしのけーき食べてるぅうううう!! いつのまにー!!!」
「ふるるん食べきれないでしょ? 苺は任せて!」
「た、食べれるもん! たぶん! あーちゃのいじわるー!」
「あはは。よし、それじゃあ苺ケーキスペシャルもうひとつ頼もう!」
 りんちゃんに再び声をかけると、二人と一匹のテーブルはより賑やかになっていった。

「はー満腹……」
「満腹満腹~」
「もきゅ~……もっきゅんもっきゅ~ん」
 カウンターへ移動した朝乃は、淹れたての香りにふにゃりと頬をゆるめて珈琲を啜る。
「ふぁー……いい香り。
 マスター、拘り方がりんちゃんと似てますね」
「…………」
 にっこりと微笑む朝乃へちらと視線を向けると、マスターは無言で食器を磨く。
 ますます笑みを深め、珈琲を一口。
 カウンターに置いたカップの傍らには、一人と一匹――否。二匹の小動物が、ぱんぱんに膨らませたおなかを擦り幸せそうな顔で寝転がっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

セロ・アルコイリス
リュカ(f02586)と

珈琲が美味しい、と聞いて
浮かんだのはリュカだったから
カップが来たら飲んでもない内から
美味しいです?ってわくわく
えっなんか期待してた答えと違うんですが
(でもたぶん嘘じゃねーんでしょう)

ミルクティも美味しいですよ、飲みます?

雪と桜が一緒に見れんの、贅沢ですねぇ
って視線ひと巡り
そういやこないだのハロウィンでも甘いもん喰ってましたよね
今回も食べます?
え。
……まあ。
クリスマスプレゼント? ってことなら

さて改めてなにを話そう
あ、じゃあ今年いちばん思い出深かった依頼は?
あっはは、いいことじゃねーですか
おれも、うん
いろんなひとと遊べたことがいちばんかな
リュカともね
(問いには答えず笑う


リュカ・エンキアンサス
セロお兄さん(f06061)と

珈琲がおいしいと聞いて
…って、早いよ
(ちょっと笑って
はいはい。おいしい美味しい
そっちはどう?
じゃあ一口貰う
ん、おいしい

ぼんやり雪と桜を眺めては
割としょうもない話ばかりしていると思う
甘いものかー
俺は甘いものが好きっていうよりただで食べるものが好きなんです
というわけで頼もう
お会計はよろしく
あ、いいんだ。やった儲けた
って、冗談言いながらお勧めの甘いものを貰ったりして


んー
思い出深い、と来ましたか
俺はあんまり、深いこと考えないからな…
好き勝手遊び散らかした自覚はあるけど
お兄さんは何かある?
そうだね。こうしてお兄さんと一緒に遊ぶのもなんか感慨深い
…なんか年寄りっぽくない?これ



 ゆらゆらと揺れるランプの灯りを挟み、セロ・アルコイリス(花盗人・f06061)とリュカ・エンキアンサス(蒼炎の・f02586)は向かい合うように席に着いた。
 目の前にそれぞれが注文した温かな湯気の立ち昇るカップが置かれ、カフェーに入った時からほのかに漂っていた香りがより鮮明になる。
 店内のそこかしこから漂っていた甘いクリームやフルーツの香りも、やはり珈琲の香りには負ける。
 セロはわくわくしながら、珈琲カップに指をかけるリュカを見た。
「美味しいです?」
「……って、早いよ」
 飲んでもいない内からそう問われ、少しだけ笑いながら珈琲を口にする。
 少し強めの苦みを持った、香り高くコクのある美味しい珈琲だ。
「はいはい、おいしい美味しい。
 そっちはどう?」
「えっなんか期待してた答えと違うんですが。
 ミルクティも美味しいですよ、飲みます?」
「じゃあ一口貰う」
 セロが差し出したカップを受け取り、今度はミルクティをこくりと一口。ぱらりと零れ落ちた桜の花びら眺めながら、リュカはほっと紅茶の香りがする甘い吐息をつく。
「ん、おいしい」
「そりゃよかった」
 ざわりと大きく幻朧桜が揺れて、吹き込む風が冷たい外の空気を運んでくる。
 枝の合間から見える夜空の向こうから、ちらりと白い雪が舞い込んできた。
 カフェーにひらひらと降る雪は花びらと交じり合い、何とも不思議な景色を作り出している。
「雪と桜が一緒に見れんの、贅沢ですねぇ」
「店の中なのに、外みたいだ」
「おもしろいですよねぇ」
 ぐるりと店内を見回せば、甘いスイーツに舌鼓を打つ客の姿がちらほらとセロの目に留まる。
「そういやこないだのハロウィンでも甘いもん喰ってましたよね。
 今回も食べます?」
「甘いものかー。俺は甘いものが好きっていうより、ただで食べるものが好きなんです。
 というわけで頼もう。お会計はよろしく」
「え。
 ……まあ。クリスマスプレゼント? ってことなら」
「あ、いいんだ。やった儲けた。お勧めの甘いものってなんだろ」
「やっぱあれじゃねーですか? さんたさんのケーキがなんだかって」
「さんたさんのいちごけえきすぺしゃる?」
「ああ、それですそれ」
 看板娘に声をかければ、すぐにふわふわのクリームで飾られた美味しそうないちごのケーキが運ばれてくる。
 早速フォークを入れるリュカに、セロはくすりと笑みを漏らした。
「今年いちばん思い出深かった依頼って何です?」
「んー、思い出深い、と来ましたか。
 俺はあんまり、深いこと考えないからな……好き勝手遊び散らかした自覚はあるけど」
「あっはは、いいことじゃねーですか」
「お兄さんは何かある?」
「おれも、うん。
 いろんなひとと遊べたことがいちばんかな。
 リュカともね」
「そうだね。こうしてお兄さんと一緒に遊ぶのもなんか感慨深い……なんか年寄りっぽくない? これ」
 言ってから首を傾げるリュカに、セロは笑ってミルクティのカップを傾けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

メーリ・フルメヴァーラ
オズ(f01136)と

わぁ、わぁ、すごい!
冬に桜が見られるなんて思ってなかった!
感激を胸にオズと一緒に
ほにゃり笑顔で暖炉の傍の席へ

私もさんたさんのいちごけーきすぺしゃるがいいなっ
紅茶もお願いして声をひそめる
秘密をわけっこしてるみたい
特別な時間に思えて何だかしあわせ

頬にひらりと何かが落ちて
見上げれば桜と雪の幻想が降る
思わず目を見開いちゃう
きれいだね、って言葉になる前に
オズが教えてくれたら紅茶を見る
わ、桜だ!いらっしゃいっ

あれ?オズの紅茶にも桜がいるよ
耳打ちするような小さな声で言う

捕まえようと思えばするりと逃げるけど
待ってたら意外と来てくれるのかな?
ふふ、その子もオズのところに来られて嬉しそう!


オズ・ケストナー
メーリ(f01264)と

わあっ、すごいね
中にもさくらがある、きれい
暖炉に近い側にメーリをご案内

メーリはなににする?
ふふ、わたしもねえ、イチゴケーキスペシャルとこうちゃにするっ
静かな店内
おはなしするのはないしょ話みたいにささやき声で
それもなんだかたのしくて

空を見上げて
ゆきとさくらがいっしょにふってくるの、ふしぎ
あ、メーリのこうちゃにさくら

前にね、さくらをつかまえるあそびをしたんだけど
わたしね、ぜんぜんつかまえられなくて
でも、その子はメーリのところにきたかったんだね

え、ほんとう?
自分のカップ見て
わあ
思い出したように口元抑えて、そっと
いらっしゃい
おそろいのさくらこうちゃ
なんだかいいことありそうだねっ



 冷たい風の吹き付ける丘の上に、大きな桜の帽子をかぶった建物の影。
 ひらりひらりと舞う花びらの中、オズ・ケストナー(Ein Kinderspiel・f01136)とメーリ・フルメヴァーラ(人間のガジェッティア・f01264)は顔を見合わせると、冷たくなってしまった指先でキィと木製扉を押し開く。
「わあっ、すごいね。
 中にもさくらがある、きれい」
「わぁ、わぁ、すごい!
 冬に桜が見られるなんて思ってなかった!」
 カフェーの天井を覆い尽くす幻朧桜に、二人は感嘆の声を上げた。
 大きな暖炉と幾つものランプの灯りが、舞い落ちる雪片と桜の花びらを暖かな色に染めている。
 ことことと靴音を鳴らしカフェーの奥へ入っていくと、オズはメーリを暖炉側の席へ導いた。
「ありがとう」
 メーリがほにゃりとした笑顔を浮かべれば、オズもまたふにゃりと柔らかな笑みを浮かべる。
 席に着いた二人は、さっそく頭を寄せ合い仲良くメニューを覗き込む。
「メーリはなににする?」
「さんたさんのいちごけーきすぺしゃるがいいなっ」
「ふふ、わたしもねえ、イチゴケーキスペシャルとこうちゃにするっ」
 静かなカフェーの中、内緒話をするように囁き合う。
 ――まるで秘密をわけっこしているみたい。
 仲良しな二人だけの、秘密のクリスマス。
 揃いのメニューを選んだオズとメーリは、顔を見合わせくすくすと笑い合った。

 ほどなく運ばれてきた二つのいちごケーキと紅茶から、甘くて美味しい幸せの香りがふんわり漂ってくる。
「いいにおい……」
「とってもおいしそうだねっ」
 不意に柔らかな花びらが頬を撫で、視線を上げたメーリは大きく瞳を見開いた。
 ぱちりと弾ける薪の音色に青い瞳をふと細め、オズもまた空を見上げる。
 ふわりひらひらと絶えず舞い落ちる桜と雪の花びらに、二人は時を忘れて見惚れてしまう。
「ゆきとさくらがいっしょにふってくるの、ふしぎ」
 ――うん、きれいだね。
 そうメーリの唇が動きかけた瞬間に、隣から少し驚いたような、けれど柔らかなオズの声がする。
「あ、メーリのこうちゃにさくら」
「わ、桜だ! いらっしゃいっ」
 淡い湯気をたてる紅茶の上を、いつの間にやら桜の花びらがゆるりと泳いでいる。
「前にね、さくらをつかまえるあそびをしたんだけど、わたしね、ぜんぜんつかまえられなくて。
 でも、その子はメーリのところにきたかったんだね」
「捕まえようとすれば逃げるけど、待ってたら意外と来てくれるのかな?」
 ふとオズの紅茶へ視線を落としたメーリが、また目をまあるく見開いた。
 くすりと笑って、耳打ちするように小さな声で囁く。
「あれ? オズの紅茶にも桜がいるよ」
「え、ほんとう?
 わあ……」
 紅茶に映り込んだまあるい瞳が、ぱちぱちと嬉しそうに瞬いた。
 はっと思い出したように口元を手で覆い、オズがふっと柔らかく微笑む。
「いらっしゃい」
 そっと囁くその声に応えるように、紅茶の上の花びらがくるりくるりと回ってみせる。
「ふふ、その子もオズのところに来られて嬉しそう!」
「ふふ、そうだったらうれしいな」
 お揃いの桜紅茶を眺める二つの双眸が、夢見るようにふわりと和らいだ。
「なんだかいいことありそうだねっ」
「うんうんっ」
 静かなカフェーで、内緒話をするようにひそりと囁き合う。
 それは二人が密やかに過ごすクリスマスの、特別でしあわせな時間――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年12月31日


挿絵イラスト