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サクラ舞う聖夜のいちごフェア

#サクラミラージュ #お祭り2019 #クリスマス #挿絵

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 ひらひら、ひらひら。
 花の帝都では、今日も変わらず桜の花びらが舞っている。
 けれど、いつもとすこし違ったのは、街を往くひとたちがいつもよりめかし込んでいたり、足取りはどこか楽しそうだったりすることだった。
 そう、サクラミラージュにも、等しくクリスマスは訪れるのである。


「サクラミラージュのカフェーで、クリスマス限定いちごフェアをやっていましてね」
 九十九里・トヲル(救済パレヱド・f22911)は、いちごの絵が描かれたチラシを見せて笑う。
 どうやら、サクラミラージュのカフェーのひとつで、いちごをめいっぱい使ったクリスマス限定メニューが振舞われるらしい。
 クリスマスらしくケーキはもちろん、ゼリーにアイスクリームにフルーツポンチ。ジュースにカクテル。いちご大福からマカロンまで。
 ジャンルを問わず様々なスイーツがいちごで彩られるらしい。
 どのスイーツも美味しいことは間違いないが、今回の目玉は"ちょこふぉんでゅ"らしい。
「果物なんかをチョコレイトにつけて食べる"ちょこふぉんでゅ"なるものがここのカフェーにあると聞きましてね……」
 どうやら、まだあまり知名度が高くないため、ここのカフェーくらいでしかまだ食べられないらしい。
 トヲルの表情からは、食べてみたいという感情が見え隠れしている。
 実は彼、こっそりスイーツが好きなのだ。隠しきれてないけど。
「ひとりで行くよりふたり。ふたりよりさんにん! あたしと一緒にどうだろう?」
 すこし照れくさそうに告げたトヲルは、にかっと笑顔を浮かべるのだった。


あまのいろは
 果物はなんでも好きですが、特にいちご推しのあまのいろはです。

 サクラミラージュでいちごいっぱいなクリスマスは如何でしょうか。
 カフェーでスイーツやお話を楽しんでくだされば幸いです。
 カフェーで出来ること、出そうなメニューはだいたいあると思って頂いてOKですが、アルコールカクテルは未成年の方はごめんなさい。

 オープニングが公開され次第、プレイング受付を開始します。
 グループやお友達と参加する場合は、上記の番号の他に【グループ名】か【お相手のID】の記載をお願いします。

 皆様がすてきなクリスマスが過ごせますように。
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第1章 日常 『サクラミラージュでクリスマス』

POW   :    カフェー特製のクリスマスメニューに舌鼓を打つ

SPD   :    カフェーのメイドさんやボーイさんと楽しく過ごす

WIZ   :    恋人や家族と共に、クリスマスパーティーの趣向を楽しむ

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

薄荷・千夜子
【雅藤花】
澪君、清史郎さんと

いちごの甘味がいっぱい…!(目を輝かせて)
ふふ、これがサンタさんのプレゼントという感じですね
全部食べたい…わぁ、澪君ナイスアイディア!
皆で頼んで分け合いましょうか
チョコフォンデュは必須で!これが食べたかったのです!!
あとは、まずはいちご大福と…パフェ頼んで皆で食べましょうか
清史郎さん、甘味好きとはお伺いしてましたが…え、もう初手から全部頼んじゃいます!?強い…!

チョコフォンデュにいちごやマシュマロをつけて
素晴らしい…こんな素敵な食べ物があるなんて!と感動しつつ
パフェが届けば澪君とも交換であーん、と
楽しい時間と美味しい甘味で素敵な時間ですね
甘い物は正義です!と頷き


栗花落・澪
【雅藤花】

わぁ…ほんとにいちごがいっぱいだ…!

甘いものは作るのも食べるのも大好きだから
見た目も香りも甘い雰囲気に瞳を輝かせ

全制覇目指してみたいけど、小食なのがなぁ…
僕2人と被らないように注文するからさ
良かったらわけっこしない?(お願いポーズ

許可を貰えたらやったー!とぴょんぴょん
やっぱりメインはチョコフォンデュだよね
いちごに限らずマシュマロとか…!
他は相談しながら、僕は紅茶もセットで

んん、美味しい~♪
甘酸っぱさを閉じ込めたゼリーの爽やかな風味に
クリームの甘さと苺のほのかな酸味の相性抜群なサクサクタルト
くどいものが無くて食欲が進むね
2人にもおすそ分け!(あーん

わっ、ありがとう…!
えへへ、美味しい♪


筧・清史郎
【雅藤花】

俺は甘い物が好きだ
とても好きだ
二人と共に、雅やかににこにこ

クリスマスは箱で在った俺には馴染み薄かったが
この様な沢山の甘味をいただけるとは…
折角の機会、存分に満喫しよう

俺は勿論、全ての甘味をいただこう
分けっこか、それは良い案だな、澪
皆とかぶらぬよう、頼める甘味を全て注文
飲物は苺マシュマロ浮かべた甘いココアに
確かにゼリーは喉越しも良いな、澪

ちょこふぉんでゅ…ほう、その様に苺を浸すのか
千夜子に倣い、やってみようか
…これは良いな(気に入った
苺は勿論、大福やマカロンを浸せば一等甘くなるのでは
…ふむ、これも非常に良い(超甘党
甘い物はとても好きだが、嗜む程度の別腹だ(微笑み
やはり、甘い物は正義だな




 窓の向こうでは、今日も変わらず桜の花びらがひらひら舞っている。
 いつもと変わらない日のようにも見えるが、街を行き交うひとびとは、いつもと違って少しだけ華やかだった。
 だって、今日はクリスマスだから。

 サクラミラージュのとあるカフェー。
 おおきな丸いテーブルには、薄荷・千夜子(鷹匠・f17474)、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)、それから筧・清史郎(ヤドリガミの剣豪・f00502)の姿。
「いちごの甘味がいっぱい……!」
「わぁ……ほんとにいちごがいっぱいだ…!」
 これがサンタさんのプレゼントのようだと千夜子が笑う。
 行ったり来たりを繰り返すメイドとボーイが持つ盆の上には、いつ見てもいちごが使われたスイーツが並んでいて。
 いちごたっぷりのスイーツはもちろん、あまい香りと雰囲気に千夜子も澪もきらきらと瞳を輝かせた。どれもこれも美味しそうで、思わず目移りしてしまう。
「全部食べたい……」
「うんうん。全制覇目指してみたいけど、小食なのがなぁ……」
 たっぷりいちごのタルトは一切れ食べたらお腹いっぱいになってしまいそうなボリュームだった。でも、さっきのボーイさんが持っていたいちごクリームのドーナツも美味しそう。セットの紅茶も飲みたいし……。
 とてもひとりでは食べきれない。けれど、折角だからいっぱいのいちごスイーツを楽しみたい。
 メニューと睨めっこしながらむむむと考えていた澪は、メニューを置くと。
「僕ふたりと被らないように注文するからさ、良かったらわけっこしない?」
 両手を口元で併せると、こてりと僅かに首を傾げてお願いポーズ。
「……わぁ、澪君ナイスアイディア! 皆で頼んで分け合いましょうか」
 もちろん、断る理由なんてなかった。いろんなスイーツを楽しみたいのは、千夜子も同じだったのだから。
「チョコフォンデュは必須で! これが食べたかったのです!! それからー……」
 嬉しそうに笑った澪と一緒に、もう一度メニューを覗き込んでいた千夜子が、あ!と、もうひとりの友人へ目を向ける。
「清史郎さんは?」
 問い掛けられれば、楽しそうなふたりの様子を眺めていた清史郎が、にこにこと雅やかな笑みを浮かべたまま告げた。
「分けっこか、それは良い案だな、澪」
 清史郎もふたりと同じ気持ちで。彼の言葉を聞いて、やったー!と思わず跳ねた澪の髪が右に左に嬉しそうに揺れていた。

 暫くして。
 次々と運ばれてくるいちごスイーツは、おおきなテーブルをすっかり埋め尽くすほどに。
 パフェにいちご大福、タルトにマカロン。ココアに浮かぶマシュマロまでもがいちご味。
 そして、テーブルのまんなかには、カフェー名物"ちょこふぉんでゅ"が置かれていた。
「すごい、いっぱいだね!」
「清史郎さん、甘味好きとはお伺いしてましたが……」
「俺は勿論、全ての甘味をいただこう、と言っただろう?」
 分けっこしようとは言ったけれど。視界に飛び込んでくるいちごの多いこと多いこと。
 このうちの大半は、清史郎がふたりと被らないようにと頼めるスイーツをすべて注文したものだった。つまり、メニューの殆どだ。
「甘い物はとても好きだが、嗜む程度の別腹だ」
「………強い……」
 嗜む程度というには多すぎる、いっぱいのスイーツを前に表情を崩すことなく微笑む清史郎を見て、千夜子がぽつりと呟いた。
「いっぱいありすぎて、どれから食べようか迷っちゃうね……」
 どうしようかな、と悩んでいた澪だったが、まずはスプーンを手に取って。ちいさないちごを閉じ込めた、ひんやりゼリーをひと掬い。
 ぱくんとひとくち頬張れば、口のなかにいちごの甘酸っぱさが広がっていく。
「んん、美味しい~♪」
 ふにゃりと澪の表情がゆるむ。いちごの甘酸っぱさと爽やかな風味は、次のひとくちを何度も誘う。
「スプーンが止まらなくなっちゃいそうだよ」
「こっちも美味しいですよ、澪君」
 千夜子が差し出すスプーンにはいちごパフェ。ゼリーもどうぞと澪もスプーンを差し出せば、ふたりのスプーンが交差して。
 スイーツがふたりの口のなかへと消えれば、ふたりとも同時に頬を抑えてへにゃりと微笑む。
「ふたりともいい笑顔だ」
 そんなふたりを眺めながら、いちごマシュマロの浮かぶココアを飲んでいた清史郎にもずずいっとスプーンが差し出される。
「清史郎さんもどうぞ!」
「おすそ分け! はい、あーんっ」
 清史郎はおや、と瞬いて。けれど差し出されたそれを拒むことはせず、ぱくりと頂くのだった。

 そして、さんにんの手はお待ちかねのちょこふぉんでゅに。
「これが食べたかったのです!!」
 さっそく千夜子がピックに刺したいちごをチョコレイトに潜らせる。
 とろけるチョコレイトが垂れないように、気を付けながら口のなか。
 チョコレイトはほんのすこしほろ苦く、あまいスイーツのいいアクセントになっている。ああ、いくらでも食べてしまえそう。
「ちょこふぉんでゅ……。ほう、その様に苺を浸すのか」
 それを見ていた清史郎も千夜子に倣って、たっぷりとチョコレイトを付けるとぱくりと頬張る。
 暫くちょこふぉんでゅの味を堪能していた清史郎だったが、誘われるようにいちごをもうひとつ。続いてカステイラにも手が伸びる。
「………これは良いな」
 ほう、と一息ついて。こっそり甘党の清史郎は、どうやらちょこふぉんでゅが大層お気に召したようである。
「苺は勿論、大福やマカロンを浸せば一等甘くなるのでは……」
 お気に召しすぎて、衝撃的な発言もぽろっと飛び出す。
 清史郎がいつも通りの落ち着いた口調で言うものだから、甘すぎるのでは?なんて疑問は消えて、それもいいかもなんて思ってしまう。
 清史郎は迷わずいちご大福をチョコに浸して、ぱくり。大丈夫? 甘すぎない?
 ちょっと心配になったりするけれど、清史郎は嫋やかにチョコレイトの付いた口元を拭いながら。
「………ふむ、これも非常に良い」
 心配がいらないほどの超甘党だったようだ。ひとは見かけによらないものなのだ。
 ヤドリガミである彼にとって、クリスマスは馴染みがあるイベントではなかった。
 今こうして友人たちとたくさんの甘味を味わうことが出来るのも、ひとの形を得たから。
 硯箱で在ったときを想えば、まるで、奇跡のようだと思う。だから。大切にしたいのだ。ひととひととの繋がりを。ひとつひとつの想い出を。
「澪君、あーん」
「わっ、ありがとう……! えへへ、ぜんぶ美味しい♪」
 そんなことを想う横で、千夜子と澪がちょこふぉんでゅとタルトを分け合っている。自然と微笑みがこぼれた。
「やはり、甘い物は正義だな」
「ええ、甘い物は正義です!」
 清史郎は新しく手にしたマカロンをチョコレイトに潜らせた。いつまでもいつまでも、この幸福が続けばいいと願いながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ミリィ・マルガリテス
お友達のセト様(f05912)と

ええ、わたしは苺大好きよ
可愛くて甘酸っぱくて、そう
乙女のようだと思うわ

ふふ、わたしも楽しみよ
本物より甘かったり、濃かったり
セト様はどんな風に感じるのかしら

メイド様にお礼を
ケーキ、とても楽しみだわ
チョコフォンデュも楽しそうね!
マカロンもアイスクリームも好きなものばかりなの
セト様、クリスマスはきっと
ご自分の好きなものを食べると幸せになれるわ
だから、わたし…ふふ
今日は欲張りになってしまうわ
(たくさん選ぶドール)

クリスマスってふしぎ
キラキラして、静謐で
大切なお友達と過ごすととても暖かいのね

まあ、桜は本物を見たことがないの
美しいセカイは何よりの贈り物だわ
ありがとう、セト様


セト・ボールドウィン
友達のミリィ(f05912)と

ミリィは苺って好き?
俺、あまり菓子で食べたことなくて
だから、ちょっと楽しみ

苺が好きだと話すミリィは嬉しそうで
俺もつられて笑顔になる

メイドのお姉さんにお薦めの飲み物を訊いたら
…さて、どうしよう?

とりあえず、クリスマスケーキは絶対だよね
あとは…チョコフォンデュか
これ、食べておかないとダメなやつなんだろ?

こんな細い体のどこに消えていくんだろう
ミリィが次々選んでく様子に少しだけ驚いたりするけど

はは。そーだね、俺も今日は欲張りになっちゃおうかな
俺はタルトとフルーツサンドを追加しよう
ミリィ、こっち少し分ける?

食べ終わったらさ、桜でも見ていこうか
雪みたいできれーだよ。きっと




「ミリィは苺って好き?」
「ええ、わたしは苺大好きよ」
 セト・ボールドウィン(木洩れ陽の下で・f16751)が問えば、ミリィ・マルガリテス(静謐の籠・f05912)が微笑む。
「可愛くて甘酸っぱくて、そう、乙女のようだと思うわ」
 くすくすと笑う彼女の白くほそい指先が、メニューに描かれたいちごをそうっとなぞる。
 ふわりふわりと微笑みながら、いちごが好きだと語るミリィはなんだかとっても嬉しそうで、セトもつられて笑顔になる。
「俺、あまり菓子で食べたことなくて。だから、ちょっと楽しみ」
「ふふ、わたしも楽しみよ」
 本物より甘かったり、濃かったり。ねえ、セト様はどんな風に感じるのかしら。

「……さて、どうしよう? とりあえず、クリスマスケーキは絶対だよね」
「ええ! ケーキ、とても楽しみだわ」
「あとは……チョコフォンデュか。これ、食べておかないとダメなやつなんだろ?」
「チョコフォンデュも楽しそうね! このお店のお勧めなんでしょう?」
 スイーツをいくつか、それからメイドに聞いたお勧めの飲み物を注文を終えて暫く。ふたりが話に花を咲かせていると、メイドが注文のスイーツを持って現れた。
 おともなくテーブルへ並べられていくいちごのスイーツたち。テーブルの上がいちご畑のようねとミリィが笑う。
「ありがとう、メイド様」
 クリスマスケーキにちょこふぉんでゅ、マカロンとアイスクリームに、今日のお勧めいちごの紅茶。
 いっぱいのスイーツが並べば、ふわりと甘いかおりがふたりを包み込んで。ふたりともほうと笑みがこぼれた。
「マカロンもアイスクリームも好きなものばかりなの」
 ミリィはいただきますとまずはアイスクリームをひとくち。ひんやり冷たいいちごの味が、くちのなかで溶けていく。
 ミリィのいちごのような甘い瞳が幸せそうにとろけて。とっても美味しい、と微笑んだ。
 溶けきる前にいちごのアイスクリームをぺろりと食べ終えたミリィは、次はマカロンをひとつ摘む。
 幸せそうに次のスイーツへと手を伸ばすミリィを見ながら、セトもクリスマスケーキにフォークを入れた。
 ひとくちサイズになったクリスマスケーキを口へ運ぶセトの姿を見ながら、ミリィはいちど手を止めて。
「………え、どうしたの。クリームとかどこかに付いてる?」
「あら、ごめんなさい。苺の味はいかがかしらと思って」
 すこし不安げにセトを伺う姿を見て、セトはぱちくり瞬いてからとても美味しいと笑うのだった。 

(それにしても)
 クリスマスケーキを食べ終えて紅茶を飲みながら。いろいろなスイーツをどれも美味しそうに頬張るミリィの姿を眺める。
(こんな細い体のどこに消えていくんだろう)
 そんな彼の考えが伝わったのかは定かではないが、セトの視線にミリィが気付く。
「セト様、クリスマスはきっとご自分の好きなものを食べると幸せになれるわ」
 微笑みながら、ミリィはマカロンをひとつ摘んでセトへと差し出した。
「だから、わたし……。ふふ。今日は欲張りになってしまったの」
 そう告げると、くすくす笑う。紅茶に映った横顔が、可笑しそうに揺れていた。
 見抜かれたかな、とつられるように笑ったセトは、ちりりんとテーブルのベルを鳴らして。
「はは。そーだね、俺も今日は欲張りになっちゃおうかな」
 セトはメイドにいちごタルトとフルーツサンドを追加で注文。まあ、と驚いた顔をするミリィに笑いかけた。
「クリスマスだからね。ミリィ、こっち少し分ける?」
「いいのかしら。ありがとうセト様、嬉しいわ!」
 今日はステキなクリスマス。これくらいの欲張りは、許されるに違いない。
 すぐにテーブルへと届けられたいちごタルトとフルーツサンドもふたりでしっかり味わって。
「クリスマスってふしぎ。キラキラして、静謐で、大切なお友達と過ごすととても暖かいのね」
 鳥篭の中のセカイも、とてもとても優しかったけれど。
 あのとき、竦む足を動かして一歩を踏み出さなければ、今、この瞬間。この暖かな想いも。触れることがなかったセカイなのだ。
「食べ終わったらさ、桜でも見ていこうか。雪みたいできれーだよ。きっと」
「まあ、桜は本物を見たことがないの。美しいセカイは何よりの贈り物だわ」
 ありがとう、セト様。ミリィは花のようなかんばせを、より一層綻ばせた。
 窓の外ではひらひらひらひら、桜の花びらが舞っている。それは日々降り積もる、ちいさな幸せのようだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リドリー・ジーン
サクラミラージュのカフェ...雰囲気があってとても好きなのよね。
いちごがメインともあらば来ない理由はないわ

メインのチョコフォンデュを暫く楽しみながら、席について
窓の外、装飾された街を行き交う人々を見ながらほんのり過ごすわ
幸せな表情を見るだけで心温まるのよね。
大きな包みはプレゼントかしら? 手を繋いだカップル、指輪、あら微笑ましくて羨ましいわね

...お酒もあるの?イチゴのカクテルがあるなら是非頂くわ。
他にもあるならもう一杯...飲み過ぎかしら




 花の帝都を往くリドリー・ジーン(不変の影・f22332)の足取りは軽やかに。
(サクラミラージュのカフェ……雰囲気があってとても好きなのよね)
 彼女が足を止めたカフェーの前に置かれているメニューボードには『聖夜のいちごフェア』の文字。
「しかも、いちごがメインともあらば来ない理由はないわ」
 ふふふと期待に胸を膨らませドアノブに手を掛ける。からんころんと鳴るベルがリドリーを迎え入れた。
 カフェーを訪れた彼女は、通りの様子が伺える窓際の席に案内される。窓辺には、桜の枝が一輪。
 こんなところにも桜の花が、と。くすりと笑うリドリーのこころもほんのり桜色に染まるよう。
 ボーイに椅子を引かれ、促されるままに席に座る。彼女の注文は、もちろんクリスマス限定"ちょこふぉんでゅ"。

 窓の外を眺めながら待てば、待つ時間もあっという間。
 チョコレイトと一緒に運ばれてきた、いちごを始めとした果物にカステイラ、それからマシュマロ。どれから食べるか迷ってしまう。
 でも、まずはいちごから。そう決めてチョコレイトを潜らせたいちごをひとつ、口に放れば。
「ん、美味しい」
 ほんのりあたたかいチョコレイトが優しい。
 ほんのすこしほろ苦いチョコレイトは何にでも合うのだろう。思わず食べ過ぎてしまいそう、とリドリーはちょっと困ったように笑う。
 マシュマロをチョコレイトに浸しながらふと窓の外に目を向ければ、仲睦まじく並んで歩く男女の姿。――恋人かしら。
「幸せな表情を見るだけで心温まるのよね」
 通りを往くひとは、恋人たちだけでなくて。大きな縫い包みを抱えた子供とその両親に、長いときを連れ添ってきたであろう老夫婦。
 いろんなひとがいたけれど、誰もがみんな、幸せそうだった。
(あそこの手を繋いだカップル、――……あら指輪、微笑ましくて羨ましいわね)
 どこか初々しい恋人たちを眺めながら、リドリーも自身の手に嵌められた指輪にそっと触れる。
 視線が落ちたことにより、リドリーが何かに気付く。彼女の視線の先にはメニュー表。
「……お酒もあるの? ボーイさん、イチゴのカクテルがあるかしら。あるなら是非頂くわ」
 お持ちしますと下がっていったボーイを見送って。もう一度、するりと指輪を撫でる。
 指輪をくれたひと。大切なものをたくさんくれたひと。
 下戸にも関わらずお酒を勧められていた彼女の代わりにお酒を拝借していたものだから、いつの間やら自分はこんなにお酒に強くなってしまった。
「他にもあるならもう一杯……飲み過ぎかしら」
 こんな日でも、ついあのひととの想い出を思い出す。なんだか可笑しくて、くすくす笑みがこぼれてしまう。
「…………なんだか今日も一緒に居るみたいね」
 届いたいちごのカクテルは、クラッシュされた氷がグラスのなかできらきらと輝いていて。
 彼女との想い出のようだと微笑むと、ついとグラスを傾けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ライラック・エアルオウルズ
メリー(f00481)さんと

メリークリスマス
舞う花弁に劣らぬ程の苺尽くしに、
燥ぐ内心を隠せずに綻びながら

凄いね、苺の甘味が選り取り見取りだ
どれもこれも味わってみたい所だけれど、
……メリーさんは何にする?
ああ、チョコフォンデュは欠かせないね
であれば、僕は苺大福にマカロンにしよう
ふふ。ほら、共に少しを分け合えば
色々と味わえるだろうしね?

チョコが蕩けるうちにと苺浸して
! これは、凄く美味しいね
言葉とする前に、口運ぶのも止まらない
愛らしい魔法には、思わず笑って
マシュマロ突いた銀匙の先を口許へ
一口に限らず、二口だって歓んで
サンタからの贈り物として、御裾分けだ
御返しも頂いたなら、良い夜だ、と心から


メリー・アールイー
ライラック(f01246)と

メリーメリークリスマース!
苺色の雪のように舞う聖夜の桜に心躍らせて

メニューも苺一色、こりゃすごい
苺の果実やマシュマロのフォンデュは絶対食べたいね
あれま、あたしが迷ってた大福もマカロンも注文してくれるのかい
それじゃあこちらの注文は、苺たっぷりのクリスマスショートケーキでっ

チョコのドレスを纏った苺を一口
んー!まさに言葉に出来ない美味しさだねっ
チョコとも生クリームとも相性抜群の苺に舌鼓
おねだり魔法「ひとくちちょうだい」を使っても、許してもらえるかい?
折角二人で来たんだ、と口を開けて
優しいサンタに感謝を込めて、お返しも
今宵ばかりは、見た目通りに子供っぽく燥いでしまうだろうね




「メリーメリークリスマース!」
「うん、メリークリスマス」
 クリスマスの挨拶は元気よく。
 ぱっと笑顔のメリー・アールイー(リメイクドール・f00481)に、ライラック・エアルオウルズ(机上の友人・f01246)も微笑みで返す。
 楽しい気持ちをいっぱいに表現するメリーの姿に、ライラックもはしゃぐ内心を隠せず微笑みがこぼれてしまう。
 花の帝都に舞い散る桜の花びらは、まるでいちご色の雪のよう。
 いちごのような淡い色に包まれた世界は、これから食べるいちごスイーツへの期待をぐんと高めてくれる。
 ふたりが店に着くころには、カフェーは随分と賑わっていて。
 テーブルの上にも、メイドやボーイの持つ盆の上にも、ふわりとあまい香りを漂わせたいちごスイーツがいっぱいに溢れていた。
 メニューを眺めていたふたりの、凄いねという声が思わず揃ったものだから、ふたりはくすくす笑いあう。
「どれもこれも味わってみたい所だけれど、……メリーさんは何にする?」
「苺の果実やマシュマロのフォンデュは絶対食べたいね」
「ああ、チョコフォンデュは欠かせないね」
 お勧めのちょこふぉんでゅは外せないから、まずはひとつ決まり。さて他はどうしよう?
「……であれば、僕は苺大福にマカロンにしよう」
 ライラックの言葉に、メリーは思わずぱちくり瞬き。だって、迷っていたスイーツの名前が彼の口から出てきたのだから。
「あれま、あたしが迷ってた大福もマカロンも注文してくれるのかい」
「ふふ。ほら、共に少しを分け合えば、色々と味わえるだろうしね?」
 ぱたりとメニューを閉じながら、ライラックが悪戯っぽく微笑む。メリーはやっぱりぱちぱち瞬いてから、ぱっと笑ってベルを鳴らした。
「それじゃあこちらの注文は、苺たっぷりのクリスマスショートケーキでっ」
 メニューを告げて去っていくメイドを見送ってから、その方が色々味わえるだろう? とメリーも悪戯っぽく笑ってみせた。 

 暫くして届けられたいちごスイーツは、メニューで見るより華やかで。
 どれも美味しそうだけれど、まずちょこふぉんでゅをあたたかいうちに。
 とろけるチョコレイトに浸されたいちごは、まるでドレスを纏ったようだった。チョコレイトが垂れないように気を付けながら、ふたりは同時にぱくり。
「! これは、」
「んー! まさに言葉に出来ない美味しさだねっ」
 凄く美味しいね、と言葉を続けながらライラックが次のいちごをチョコレイトに浸す。ひとつ食べれば、もうひとつ。口に運ぶ手はなかなか止まらない。
 メリーはいちどピックをフォークに持ち替えて。クリスマスショートケーキに舌鼓。
「チョコも美味しいけれど、ケーキも流石美味しいね」
 甘酸っぱいいちごは、チョコレイトだけでなく生クリームとも相性抜群。
 甘すぎず、重すぎない生クリームとふわふわのスポンジのショートケーキは、気付けばぺろりと平らげてしまいそう。
 そうしていちごスイーツを楽しんでいたふたりだったが、ピックにマシュマロを突いたライラックとメリーの視線がぱちりぶつかる。
「おねだり魔法『ひとくちちょうだい』を使っても、許してもらえるかい?」
 折角ふたりで来たんだ、とメリーが続ければ、今度はライラックがぱちぱち瞬き。彼女らしい愛らしい魔法に思わず笑みがこぼれた。
 チョコレイトを潜らせたマシュマロをメリーの口許へ差し出せば、メリーが口を開けてそれを頬張る。
「一口に限らず、二口だって歓んで。サンタからの贈り物として、御裾分けだ」
 マシュマロを味わったメリーは唇の端についたチョコレイトをぺろりと舐めると、チョコレイトをたっぷり浸したいちごをライラックの口許へ。
「ありがとう、優しいサンタさん。お返しはいるかい?」
 ライラックは返事の変わりに差し出されたいちごをぱくりと口で受け取った。
 そして彼は笑顔で告げるのだ、ああ、ほんとうに良い夜だ、と。

 花の帝都のクリスマス。
 今夜くらいは、降り積もる桜のようなしあわせが、誰のもとにも訪れることだろう。
 ――――そう、きっときっと、貴方にも。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年12月30日


挿絵イラスト