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クリスマス・スカイ・フェアリー

#キマイラフューチャー #お祭り2019 #クリスマス #挿絵

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#クリスマス
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●Fairys ferris Wheel
 まるでサンタのソリのような形をしたゴンドラ。
 腰掛けたソファは、ふかふかの座り心地の良いもの。
 備え付けのテーブルの上に立ち並ぶのは、目にも鮮やかなご馳走だ。
 ふと窓の外を見やれば、きらびやかに光に彩られた街が美しく輝いている。
 巨大なツリー、踊るサンタのホログラム。
 遠く響く美しい調べは、聖歌だろうか。
 今日、この日。
 聖なる日を彩る、イルミネーションを見下ろして。
 空の旅は続く。

●キマイラフューチャー観光業者の回し者じゃない人
 ――キマイラフューチャー。
 人類の遺したポップなサイバーパンク都市に、なんでか生き残ったキマイラ達が楽しく暮らしている、惑星全てが都市リゾート化した愉快な惑星。
 この世界の流行の移り変わりは著しく、愉快なキマイラ達はせわしなく流行を作り続けている。
 そして今年の流行の一つは――『妖精』の名を関した、観覧車であった。
 この観覧車はポップでサイバーパンクな都市に相応しく、空を飛ぶゴンドラが車輪にも繋がれず、ぷかぷかと決まったコースを回ってくれる。
 つまり。
 自動操縦の小型航空機に乗って街並みを見下ろせるという、全く観覧車でも何でも無いものだが、キマイラ達が観覧車と呼んでいるのだから仕方があるまい。
 観覧車ったら観覧車なのだ。

「と、言う訳で。キマイラフューチャーの観覧車に乗ってみないっスか?」
 今はクリスマスバージョンでゴンドラがソリの形をしているそうっスよ、と言葉を次いで。
 パンフレットを片手に小日向・いすゞ(妖狐の陰陽師・f09058)が、首を傾ぐ。
 その資料によれば。
 『美しきイルミネーション、綺麗街並みや凄い自然を楽しむ、ゴージャスなクリスマスの空の旅』。
 『至極最適なコースで回ってくれる観覧車の車内にて、一流ホテルに負けず劣らずのごちそうもご提供!』。
 やや日本語が怪しげだが、そういう事だそうだ。

「他の世界じゃ味わえないクリスマスが、きっとそこにはあるっスよォ」
 なんて、いすゞは狐のように微笑んだ。


絲上ゆいこ
 こんにちは、絲上ゆいこ(しじょう・-)です。
 クリスマスですね! パーティですね!
 この度は、キマイラフューチャーの空の旅のご案内に参りました!

●できること
 キマイラフューチャーのクリスマスっぽい風景だと思って教えてくれれば、きっとそういう光景が見えるに違い有りません。
 フラグメントに縛られず、色々書いてみて下さい!

 ・昼と夜をお選び頂けます。
 ・机とふかふかソファのあるソリのような乗り物に乗って、キマイラフューチャーのクリスマスを空から見下ろして楽しめます。
 ・ゴンドラは自動運転。最大4人乗り、決められた観光コースを回ります。
 ・暴れると落ちるので、落ちないで下さい。
 ・イルミネーションや自然を眺めたり、星空を見上げたりするのも良いでしょう。
 ・コンコンコンすると、ご馳走が机の上に出てきます。

●迷子防止のおまじない
 ・冒頭に「お相手のキャラクター名(または愛称)とID」または「共通のグループ名」の明記をお願いします。
 ・グループ名等は文字数が苦しい場合、無理に括弧で囲わなくても大丈夫ですよ!

●その他
 ・プレイングが白紙、迷惑行為、指定が一方通行、同行者のID(共通のグループ名)が書かれていない場合は描写できない場合があります。

 それでは、よろしくお願い致します!
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第1章 日常 『キマイラフューチャーでクリスマス』

POW   :    次々現れるご馳走を食べ尽くすぞ!

SPD   :    クリスマスソングに合わせてダンスを踊るぞ!

WIZ   :    クリスマスの街角を散策して、雰囲気を満喫する

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

六波・サリカ
【Aster】
これが観覧車というものですか
食事を取りながらジンジャーエールを飲める乗り物だなんて素晴らしい
乗るのは初めてですがUDCアースに帰ったらまた乗ってみましょう
と、織愛の発言に対し見当違いな返答をしつつ乗り込みます

クリスマスと言えばやはりジンジャーエールですね
コンコンしてジンジャーエールを出しましょう

UDCアースでは人気なイベントですから勿論詳しいです
サンタのフリをした親が子供にバレないようにプレゼントを枕元に置いてゆく
一年間の鍛錬の成果を試す場としても最適です

シオン、織愛にジンジャーエールを渡し
机にある食べ物を綺麗な動作で素早く消費します

はい、景色も見ています。電飾が光っていますね


三咲・織愛
【Aster】

きゃーっ!!
すごいすごい、イルミネーションがとーっても綺麗ですよ!
という訳で折角ですから空から見たいですよね!
ごーごー! ……と言いながら、サリカさんとシオンくんの背をぐぐいと押してゴンドラに乗り込みます!

クリスマスと言えばやっぱりチキンですよね
コンコンしてチキンを出しましょう
サリカさんはクリスマスには詳しいですか?
シオンくんはこの機会にばっちり知っていってください!
良い子はサンタさんからプレゼントが貰えるんですよー

あっ、サリカさんジンジャーエール私にもください!
シオンくんへはチキンを渡しつつ
えへへ、みんなで食べるととっても美味しいですね!

……はっ。食べるのに夢中になっていました


シオン・ミウル
【Aster】
へぇー。観覧車か
話には聞いたことあるけど乗ってみるのは初めてだなぁ
空に行きたかったら飛べちゃうから、乗り物ってあんま乗らないんだよね
あ、食事摂れるってのはいいね
最初は押されつつ、楽しそうだなっと乗り込んで

二人ともクリスマス詳しいんだね
良い子はプレゼント…サンタって人は大変そうだな
子供のためのイベントなのかな?

お腹は空いてるから俺も一緒にいただきますしよっと
綺麗な景色を眺めながら食事出来るってだけでクリスマス様様だねー
織愛、俺もチキン食べていい?
サリカはいつでもジンジャーエール飲んでる気がするんだけど…まっ、いっか
俺にもちょーだい

っていうか二人とも景色見てる?
ほら、あのへん綺麗だよ



●おいしいじかん
 白に黄色、青に赤。沢山、沢山の色の瞬き。
「きゃーっ!! すごいすごい、イルミネーションがとーっても綺麗ですよ!」
 いつ来たって賑々しくピカピカに輝いているキマイラフューチャーの街並みが、今日は一段とおめかしをしているようで。
 三咲・織愛(綾綴・f01585)の瞳に、街を彩りどこまでも続く光の海が映り込む。
「へぇ、観覧車ってこんな感じかぁ」
 空を飛びたければ自前の翼で飛べてしまうもので、普段はあまり乗り物に乗る機会も無い。
 大きな窓、座り心地の良いソファの真ん中に横たわる机。
 外というよりも空を翔ぶソリの形をしたゴンドラの内側を見渡したシオン・ミウル(絡繰の花・f09324)にとっては、これが初めて乗る観覧車だ。
 その前に腰掛けた六波・サリカ(六波羅蜜・f01259)は、ソリの適切な場所を適切なタイミングでコンコンコン。
「そうですね、食事を取りながらジンジャーエールを飲める乗り物だなんて素晴らしい」
 ささっと机上に現れた金色の炭酸飲料に納得した様子で、瞳と同じ色の液体に一つ頷くサリカ。
「クリスマスと言えば、やはりジンジャーエールですからね」
 誰が呼んだかジンジャーエール狂い。
 冬どころか、春も夏も秋も同じ事をおっしゃっていた気がしますけれども。クリスマスといえばやはりジンジャーエールなのです。
「サリカはいつでもジンジャーエール飲んでる気がするんだけど……」
 シオンの鋭い指摘。あっ、やっぱりそうですよね??
「あっ、サリカさん。ジンジャーエール私にもください!」
 挙手をした織愛も、適切な場所を適切なタイミングでコンコンコン。
 飲み物にぴったりなお食事、でてこーいっ。
「……ふふ。こちらもクリスマスと言えば、のメニューですね」
 そうして暖かな湯気を纏って現れたのは、甘辛く味付けされたローストチキンレッグであった。
 美味しそうですと、長い耳を揺らした織愛はおっとりと微笑んで、チキンを小皿に取り分け。
「へー、クリスマスってこんな感じなんだ。俺詳しくないからさ」
 その子皿を受け取ったシオンは、乗り物の中で食事が摂れるのは良いね、と紅瞳を瞬かせた。
「はい、UDCアースでも人気のイベントですよ」
 当然のように二人の前へとジンジャーエールを配膳したサリカが相槌一つ。
「良い子はサンタさんからプレゼントが貰えるんですよー」
 シオンくんはこの機会にばっちり知っていってください! と意気込みつつ。
 織愛は手を合わせて、いただきます。
「それって世界中の良い子にプレゼントをあげるって事? ……サンタって人は大変そうだなあ」
 いただきます、と。織愛に合わせて手を重ねたシオンが、感心したような声を零した。
 子どものためのイベントなのだろうか?
「ええ。サンタのフリをした親が子どもにバレないようにプレゼントを枕元に置いてゆく、一年間の鍛錬の成果を試す場としても最適です」
 二人の言葉にジンジャーエールを素早く飲み終えたので、おかわりをコンコンコンするサリカが、少しズレ偏った注釈を加えてくれる。
「へえ……、親がサンタのフリをするって事はサンタが来ない子もいるんだなあ。……まあでも。綺麗な景色を眺めながら食事出来るってだけでクリスマス様様だねー」
 取り分けてもらった甘辛い味付けのチキンをシオンが一口齧れば、ぶわっと口の中にジューシーな肉汁が溢れ出した。
 それにしたって骨付き肉を食べる時は、無心になってしまうもの。
 少し静かになったソリを見やれば、幸せそうにお肉を頬張る織愛。
 もう何杯めだか解らないけれど、ジンジャーエールのおかわりを重ねるサリカ。
 ミニチュアのように小さく見える、ぴかぴか輝く建物の群れ。
 そんな二人の様子に、シオンは瞬きを重ねて。
「っていうか二人とも景色見てる?」
「――はっ!?」
 ほら、あのへん綺麗だよ、なんて言うシオンの言葉に、ぴゃっと肩を跳ねる織愛。
「……た、食べるのに夢中になっていました。……えへへ、みんなで食べるととっても美味しいですね!」
 少しだけ恥ずかしそうに口元を隠して、織愛ははにかみ。
「はい、景色も見ています。電飾が輝き、ホログラムのサンタが踊っていますね」
「へぇー、どれ、どれ? あれがサンタ?」
「個体差はあるでしょうけれど、標準的なサンタと言えるでしょう」
「わ、トナカイさんも出てきましたよ!」
 足元で展開されるホログラムショー。
 美味しいご馳走に、大好きな飲み物。
 それに談笑があれば、それはもうパーティだろう。
「しかし、観覧車というのはジンジャーエールが飲める乗り物だったのですね。すばらしい。……UDCアースに帰ったらまた乗ってみましょう」
 あと、少しばかりの勘違いも乗せて。
 遠く瞬く、星々の下。
 三人を乗せたソリは、クリスマスの夜空を駆けて往く。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

プロメテ・アールステット
五劫殿(f14941)と

・夜
観覧車…面白い形だ
私のマリアと五劫殿が連れている玄殿とも一緒に乗りたいな
彼等と一緒なら暖かいだろうから
ふむ?マリアは五劫殿の傍へ行くのか
寒いのが苦手だったな、そういえば

今日は一緒に来てくれてありがとう、五劫殿
クリスマスは、友人や家族と過ごすものと聞いたから…お誘いしたんだ

それにしても、この世界は面白いものが色々あるな
あ!五劫殿見てくれ!光る雪だるまが宙に浮いているぞ!
本当だ、サンタもいるな…あれ?消えた?
ホログラム、面白い技術だ

不思議だな
こんな風に誰かと何かを楽しめる時がくるなんて
今まで私には関係のないものだと思っていたから
こんなに楽しくて、温かい気持ちになるんだな


火神・五劫
プロメテ(f12927)と

玄→黒柴
マリア→黒猫

・夜

ほう、ソリの形なのか
サンタが乗ってくるというあれだな

よし、皆で乗ってみるか
玄、大人しく座っているんだぞ
マリアは高い場所も平気か?
何なら俺の外套の胸元にでも入るか?

俺の方こそ
誘ってくれてありがとうなプロメテ
家族で時を過ごす
俺にとって、こんなに嬉しいことはないんだ

どうした?何か珍しいものでも
おお、本当だ…ん、浮く上に光る?
この世界の雪だるまとはそういうものなのか?
む?サンタがこちらに手を振って、姿を消したぞ!?
なるほど、ほろぐらむ
幻影のようなものなのだな

たまにはこうしてはしゃぐのも悪くない
久しく忘れていた
家族で過ごす温もりは、今確かにここにある



●クリスマスの過ごしかた
 冬の空を駆けるソリの中は、多少の暖房は入っているが冷えるもの。
 ほかほか湯気の立つココアのカップが机の上に2つ。
 ふかふかのソファに腰掛けたプロメテ・アールステット(彷徨う天火・f12927)の向かい側。火神・五劫(送り火・f14941)の横には雄の黒柴――と五劫は思い込んでいる玄が賢くおすわり。
 そして彼の外套の胸元から顔だけひょっこりと出している、ふさふさの長毛を蓄えた黒猫の猫――マリア。
「五劫殿と一緒なら暖かいだろう、マリア」
 寒いは苦手だものな、と。
 プロメテの言葉にマリアはまんまるな紫の瞳でじっと彼女を見て、低く鳴いて応じ。
「お前は高い場所も平気そうだな」
 重ねられた五劫の言葉に、マリアはぴぴっと耳を揺らした。
「あ! 五劫殿!」
 そこに窓の外を指差して声を上げた、プロメテ。
 彼女の常。感情表現の薄い表情は崩れこそしていないが、大きなまんまるな金の瞳が気持ち輝いたようにも見える。
「ん、どうした?」
 掛けられた声に五劫とマリアは顔を上げ。玄も窓の外を覗き込む。
「向こう、向こうだ! 光る雪だるまが宙に浮いているぞ!」
 彼女の言葉どおり、ゆっくりと空中を回転する雪だるま。
 その首に巻かれたマフラーは、プロメテの髪のように真っ赤だ。
「……ほう? 光る雪だるまが宙に……、おお、本当だ」
 五劫が相槌をうちながら、はた、と一瞬動きを止める。
 ――はて。
 雪だるまとは浮いたり光ったりするものだっただろうか。
「……この世界の雪だるまとはそういうものなのか? ……む、しかし。それにしても大きな……」
 五劫が難しげに声を零していると、その上に現れたのは――。
「む? サンタが手を振って……」
「本当だ、見えているのか?」
 こちらと同じようにソリに乗ったサンタが大きく手を振るものだから、手を振り返すプロメテ。
 刹那。
 サンタの姿は掻き消え――。
「姿を消した……?」
「あれ、消えた……。……ふむ。あれがホログラムという奴だろうか。面白い技術だ」
「なるほど……、ほろぐらむ」
 幻影のようなものなのだな、なんて五劫は頷き。
「この世界は、面白いものが色々あるな」
 プロメテが言葉を紡いで、改めて五劫の顔を真っ直ぐに見やる。
「ああ、空を飛ぶソリに乗ったのは俺もはじめてだな」
 五劫は大きく飛び跳ねた雪だるまが玉になり転がって往く姿を目で追っていたが、彼女の視線に気がつくとそちらへと顔を向け。
「……今日は一緒に来てくれてありがとう、五劫殿。……その、クリスマスは、友人や家族と過ごすものと聞いたから」
「そうか」
 プロメテの言葉に短く相槌を打った五劫は小さく頷いて、姿勢を正した。
 そうして向けられた金色の瞳へと、しっかりと視線を交わし返し。
「俺の方こそ誘ってくれてありがとうと言わねばないんだ。――家族で時を過ごす俺にとって、こんなに嬉しいことはないのだから」
 そう。
 今日この場には、久しく忘れていた家族で過ごす温もりが確かに在るのだから。
「……そうか、それは、良かった」
 ココアのカップをきゅっと掌で包んだプロメテは、一口啜る。
 あまい、あまい、あたたかなココア。
 ああ、不思議だな。
 ――こんな風に誰かと何かを楽しめる時がくるなんて。
 そんな感情、自分とは関係のないものだと思っていた。
 きっとこのあたたかさは、ココアのせいじゃなくて。
 ――気持ちのあたたかさなのだろう。
 カップを机に置くと、プロメテはふと胸に掌を当ててから。
「そうだ、五劫殿。食べ物も出せるらしいぞ」
「そういえばそう言っていたな、玄とマリアの食事も出せるのだろうか……?」
「試してみよう」
 五劫とプロメテの言葉にわふ、と返事をした玄に、マリアも五劫の外套の中で尾をゆらゆら。
 コンコンコン。適切な場所を適切なタイミングで鳴らせば、ほかほかの丸焼きチキンが机の上に現れる。
 身をほぐせば、動物だって内側の肉は食べられるはずだ。

 それはさむくて、あたたかい冬の夜の事。
 ――たまにはこうやって、家族ではしゃいで過ごす時間も、悪くはない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ラナ・スピラエア
蒼汰さん(f16730)と夜のゴンドラに

空の旅が出来るなんて、観覧車ってすごいですね
ふかふかが心地良くて
まるでお部屋が空を飛んでいるみたいです

色々出てくる不思議な光景に驚きつつ
綺麗に飾り付けされたケーキやチキンも気になるけれど
まずは乾杯を、ノンアルコールのカクテルで
ふふ、お酒じゃないのに
ちょっぴり大人な気分です

街がこんなにも強く煌めく光景が珍しく、思わず見惚れて
はい、とっても綺麗ですね!
お星様の光も素敵ですけど、街もこんなに綺麗に輝くんですね
私も、蒼汰さんとご一緒出来て嬉しいです

蒼汰さんと一緒だと、初めての景色ばっかりで
いつだって、ワクワクします
これからも、色んな新しい世界を教えて下さいね


月居・蒼汰
ラナさん(f06644)と夜のゴンドラに

さすがキマイラフューチャーだなあと
言葉にできない程のキラキラのイルミネーションに圧倒されつつ
試しにテーブルをコンコンしては出てくるご馳走には
この世界では当たり前のことだと知っていても驚くばかり
乾杯は俺も、ノンアルコールのカクテルで

地上はとても賑やかに輝いてて
空の星も負けないくらい輝いてるのが綺麗で
ふと見やれば、楽しげに外を見てるラナさんも綺麗で
思わず見惚れてしまった…のは、悟られないように誤魔化して笑う
…綺麗ですね、ラナさん
一緒に今日、この景色を見られて良かった

来年も、なんて約束はまだ早いけれど
これからもこんな風に、色んな景色を一緒に見られたら嬉しいです



●あたらしいこと、しらないこと
 窓の外は夜を覆い尽くさんばかりの、色鮮やかな光が世界を彩っている。
 ソリの中へと視線を移せば、柔らかく体を受け止めてくれるソファに、しっかりとした机。
 ふかふかで座り心地がとても良いソファに腰掛ければ、乗り物だと言うのに部屋で過ごしながら空を跳んでいるような居心地の良さだ。
「空の旅が出来るなんて、観覧車ってすごいですね」
 本来の観覧車とは、また違う物ではあるのだけれども。
 観覧する車なのだから、大義はきっと間違えて居ないのであろう。
 備え付けのクッションを抱いたラナ・スピラエア(苺色の魔法・f06644)がイチゴ色の瞳に隠しきれぬ好奇心を宿して、朗らかに言葉紡げば。
「流石キマイラフーチャーですね……」
 月居・蒼汰(泡沫メランコリー・f16730)は、溢れる光の輝きになんとなく気圧された様子。
 恐る恐る確かめるように、コンコンコンと机を叩いてみる。
「……わ」「わあ!」
 瞬間。
 机の上へと現れたのは、サンタの腰掛ける小さめのブッシュ・ド・ノエル。
 香ばしい香りの七面鳥のグリルに、目にも鮮やかな宝石のようなサラダ。
 ポテトのチーズ焼きに、やわらかそうなふかふかのパンにバターを添えて。
 そして。
 星の瞬き宿した青いカクテルと、イチゴに白雪が落ちる真っ赤なカクテルであった。
「こういうのキマイラフューチャーじゃ当たり前なのですけれど、やっぱり少し驚きますね……」
「ふふ、そうですね。見る度に驚いちゃいます」
 やっぱり少し圧倒された様子の蒼汰に、ラナはくすくすと楽しげな笑みを浮かべて。カクテルグラスに手を伸ばすと、そうっと覗き込む。
 きらきら光を照り返すカクテルからはどちらもお酒の匂いはしない、ノンアルコールカクテルだ。
 乾杯、なんて。ラナは赤いグラスを掲げてみせて。
「こうするとなんだか、お酒じゃないのにちょっぴり大人な気分ですね」
 彼がお酒を飲む姿を、以前は羨ましく思ったものだ。
 でも今日は、二人おそろい。
 蒼汰も青いグラスを手にして、合わせて擡げて。
「そうですね。こんな風に空を旅しながらご馳走を頂くのは、俺もなんだか背伸びした大人な気分です」
「蒼汰さんはもう、大人じゃないですか」
 くすくす笑ったラナは果実がたっぷり入ったあまーいカクテルを傾け、柔く微笑んだ蒼汰もぱちぱちと星が弾けるカクテルを一口。
 ふと。
 窓の外へと視線を移せば、普段よりもずっと近い空に瞬く星々。
 そのまま視線を下へ落とせば、宝石箱をひっくり返したかのように地上も輝いていた。
「……お星様の光も素敵ですけど、街もこんなに綺麗に輝くんですね」
 星と街の輝きをそっくり瞳に宿して、わくわくと揺れる好奇心を抑えきれぬ様子でラナは窓の外をじっと眺めながら呟き。
 ――その姿に、蒼汰は思わず息を呑んでしまう。
 瞬きを一つ、二つ。
 喉を鳴らして――。
「とっても綺麗ですね!」
 ぱっと振り向いて笑ったラナに、はたと。
 一瞬間を置いてから、蒼汰は肩を竦めて笑い返し。
「はい――……綺麗ですね、ラナさん」
 ――悟られてはいないだろうか、ちゃんと笑えているだろうか。
 思わず見惚れてしまった、なんて。
 彼女に言える訳も無い。
 蒼汰は瞳を細めたまま。
「一緒に今日、この景色を見られて良かったです」
「私も、蒼汰さんとご一緒出来て嬉しいです」
 ぱちぱちと瞳を瞬かせたラナが、掌を自らの口元に寄せて小さく首を傾げて。
「それに――蒼汰さんと一緒だと、初めての景色ばっかりで、いつだってワクワクしちゃいます!」
 そしてぴかぴかに微笑んだラナは、薄紅色の髪を小さく跳ねる。
「これからも、色んな新しい世界を教えて下さいね」
「はい、いつでも。――これからもこんな風に、色んな景色を一緒に見られたら嬉しいです」
 蒼汰も控えめに微笑み、頷く。
 ――来年もなんて約束は、まだ少し早いかもしれないけれど。
「では、ご馳走も頂きましょうか」
「はい!」
 クリスマスが過ぎれば、次の年はもうすぐそこ。
 見たことの無い光景、綺麗な光景、新しい光景。
 来年はどんな景色を、一緒に見られるだろうか。
 二人を乗せたソリは、美しき光の中を駆けてゆく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

コーディリア・ルエ
【夜】

クリスマス!いいですねー!豊かさの象徴ですねー!
アポカリプスヘルでは中々できませんからねー!
(きゃっきゃっ)

ソファに深く腰掛けて、外の風景を眺めています。
すごいですねえ、どこもかしこもキラキラですねえ。
サンタクロースはホログラムで、建物の壁に映る雪国はプロジェクションマッピングみたいですが、
星空も作り物なんでしょうか?
でも、本物であるかよりも映えるかどうかが重要なんでしょうね。きっと。
綺麗なのでオッケー!

(机をコンコンコン)
わあ、本当にご馳走が出るんですね。不思議。
……うーん、美味しいです。オフィーリアにも食べさせたかった。


※アポカリプスヘル産AI上がり
※アドリブ歓迎です!



●豊かな世界
「いいですね、いいですねー! 豊かさの象徴ですね!」
 ふかふかのソファは座り心地抜群。
 窓の外に広がる光景は、宝石箱をひっくり返したかのように人工的な光に満ちている。
 コーディリア・ルエ(代行者・f24369)は、才色兼備で優しくて絶世の美女の、海よりも心の広い超大天才オフィーリアの作り出した会話アプリケーションであり、都市管理AIである。
 グリモアベースに発見された事で文明の破壊された世界から飛び出し、他の世界に渡れるようになったコーディリアは、控えめに言ってもはしゃいでいた。
 しかしそれも、仕方の無い事であろう。
 何たって文明の破壊された絶望的な世界から、豊かな世界へと突然移動できるようになったのだから。
「クリスマスなんて、中々できませんからねー」
 そう。
 こんな贅沢な光景、数年前までの世界ならばいざ知らず。
 今のアポカリプスヘルでは臨む事は絶対出来ないであろう、贅沢な光景。
「あ、そういえば……」
 はた、と思いだしたかのように。
 コーディリアはソリを乗り込む前に説明をされた通り、適切な場所を適切なタイミングでコンコンコン。
「わあ、本当にご馳走が出るんですね、不思議!」
 机の上にぱっと顕れたピザをコーディリアが一口齧ると、チーズがむにっと伸びた。
 ほかほか焼き立ての生地は香ばしい風味。
 添えられたノンアルコールカクテルも、さわやかな味わいがピザに合うように調整されているのであろうか。
「……うーん、美味しいです」
 ――オフィーリアにも食べさせたかったですね。
 ぽつりと殆ど無意識に付け足してしまった言葉は、誰も受け止める人も居らず。
 瞬間、ソリの目の前が真っ赤に染まり。
 コーディリアは、顔をぱっと上げた。
「わ、大きなサンタクロース!?」
 彼女の言う通り。
 ソリはホログラムの大きなサンタクロースのお腹を突き抜けて。
 その先に広がっていた光景は、恐らくプロジェクションマッピングなのだろう。
 建物の壁に映し出された雪は、しんしんと白雪を降り積もらせている。
「……わあ……」
 これは全て全て、リゾート化された『作り物』の世界。
 もしかすると、この頭上に広がっている夜空すら、本当は映し出された『作り物』なのかもしれない。
 それを判断できる程、コーディリアにはまだキマイラフューチャーの知識は無いけれど。
 でも、なんとなく解ってきた事もある。
「この世界では、本物であるかよりも。映えるかどうかが重要なんでしょうね。きっと」
 コーディリアはふかふかのソファに座りなおして、窓の外に流れる光を見やる。
 うん、綺麗だからオッケー。
「さあ、もう少しご馳走も頂きましょうか!」
 生クリームたっぷりのケーキを食べてみたいですねえ。
 コーディリアは改めて机を、こん、こん、こん。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ディイ・ディー
【🎲🌸】

なあ志桜、寒くないか?
俺は寒い
だから少しこっちに来いよ
離れてるよりはマシな温かさになるだろ

温かい珈琲を一杯
煌めく景色の中で味わうならそれくらいが丁度良い

マフラーに顔を埋めて見下ろす世界
けれども慣れぬ浮遊感に思わず胸元を押さえれば
彼女から貰ったタイピンが目に入る
零れる笑みは新愛の証

見ろよ志桜
あの辺りのイルミネーション、すごいぜ
お前の眸に映ってる光もきらきらしてて綺麗だ
もうちょっと近くで見せてくれよ
緑のツリーが光で飾られてるみたいだからさ

冬の光に緑と桜の彩、隣には可愛く照れる子
うん、悪くない心地だ
でも少し揶揄い過ぎたか?

こういう日がずっと続けば、なんて願うのも
志桜が居てくれるからかもな


荻原・志桜
【🎲🌸】

防寒しても寒くて手を摩り
彼の言葉に甘えて傍に移動
うう、ありがと
あ、ちょっと温かくなった気がするー
贈ったプレゼントを見つけたら、口にせず顔を綻ばせた

温かい飲み物ください、テーブルをノック
ココアが良いなぁとお願いして

空から見下ろす世界はどこを見ても輝いて
わぁ…すごくきれい!
ディイくん!あっちのイルミネーションも――……はぇ?

隣の彼はいま何て言った? 思わず見上げて
目線が近い、と自覚すれば一気に頬に熱がたまる
暴れるなと注意書きを思い出し突き飛ばすわけにもいかず
相変わらずディイくんは――…、なんて言っても知らぬ彼だろう

うう、顔が熱い…。彼のせいだ
何か言われても寒い所為だって言い張ってやる



●桜と賽
 瞬く星空。
 輝くイルミネーション。
 空を駆けるソリは、当然空を飛んでいる。
 ある程度空調がなされているとはいえ、空を飛ぶという事は地上よりも寒いと言う事でもあった。
 ふかふかのソファに腰掛けたディイ・ディー(Six Sides・f21861)は、いつものコートを肩に引っ掛け。首には黒と灰のチェック柄マフラーもぐるぐる。
 ――しかし、それでも。
「なあ志桜、寒くないか?」
「え、やっぱりディイくんも寒いよね……?」
 向かい合う形で座る荻原・志桜(桜の魔女見習い・f01141)は常の魔女服の上から防寒着を重ねていたが、それでもなお寒さに掌を擦り合わせながら顔を上げて。
「ああ、俺は勿論寒い。寒いのは得意じゃ無いんだよな」
「わたしも寒いのはニガテー」
 ぷく、と頬を膨らせた志桜に、ディイはくっくっと笑って。
「よし、少しこっちに来いよ。離れてるよりはマシな温かさになるだろ?」
「うう、いいの? ありがとうー」
 手招きされるがままに、志桜はディイの横へと席替え。
 彼のネクタイにピンが添えられている事に気がつくと、にひひと笑って。
「んー、ちょっと温かくなった気がするー」
 そうか、と首を傾いだディイは天井を少し見上げて。
 思い出したように。
「そう言えば。叩けば何か出てくるって言ってたな」
「あ、そういえば……、よーし。やってみよう! 暖かい飲み物下さいなー」
 ココアが良いなぁ、なんて志桜はお願い。
 ディイと志桜は並んで一緒に、机をコン、コン、コン。
「やった! マシュマロ入りのココアー、に、ケーキ?」
「俺は珈琲だな」
 早速カップを掌で包み込んだ志桜は、口元を綻ばせて。ディイは珈琲カップを手に、小さく頷いた。
 小さなブッシュ・ド・ノエルはお茶請けに。
「はー……、生き返ったねぇ」
「お、見ろよ志桜」
 おなかから暖まった志桜がほわーっと息を吐き出せば、ディイが窓の外を指差した。
「あの辺りのイルミネーション、すごいぜ」
「え? わ、わぁ……、本当。すごくきれい!」
 指差された先を見やれば、滝のようにこぼれ落ちる光の波。
 いくつかのパターンをなぞっているようだが、様々な輝きが移り変わる様は不思議と飽きる事無く眺めてしまう。
 そしてその周りに広がっているのは、街そのものを絵画のように彩る光だ。
「ねえ、ねえ、ディイくん! すごいね!」
「それに。お前の眸に映ってる光も、きらきらしてて綺麗だ」
 く、と寄せられるディイの顔。
「あっちのイル、……は、ぇ?」
 高揚した様子で声を上げていた志桜は、その言葉に変な声が出た。
 え? 何?
 今、彼は何て言った?
 どんぐりみたいにまんまるに見開かれた、エメラルド色の瞳を覗き込む彼。
「もうちょっとだけ近くで見せてくれよ、――緑のツリーが光で飾られてるみたいだからさ」
 空色の綺麗な瞳が近づいてくる。
 長いまつ毛が、瞳に影を落としているのが解る。
 ――顔が、目線が、近い。
 吐息を感じるほどの距離だと脳が理解した瞬間。
 血が頬に上ったの感じた。それは耳までかあっと燃えているように、一瞬で全身が沸つ感覚。
 瞬きすら忘れた志桜の脳になんとか残った言葉は、『暴れると危ないですよ』との係員キマイラの注意する言葉だけ。突き飛ばすと落ちちゃうよね。
 志桜は何か言おうとして、口を開いたまま――。
「……うん」
 くっくっと、人の悪い笑みに唇を歪めたディイは肩を竦め。
「冬の光に緑と桜の彩、隣には可愛く照れる子。悪くない心地だ」
 そうして、志桜を見下ろして。
「……少し揶揄い過ぎたか?」
「もう、もうう、もーーっ、相変わらず、相変わらずディイくんはー……」
 彼の顔が離れ、やっと息の仕方を思い出したかのように。
 志桜は両頬を包み込んで、ディイより顔をぷいと背けた。
 ううう。顔が熱い。
 ディイくんのせいだ。
「どうしたんだ、志桜。顔を覆ったりして寒いのか?」
「そーうーでーすー」
 頬を膨らせた志桜は、ふるふると顔を左右に振る。
 揶揄い過ぎてしまったかもしれない。
 それでも、そんな彼女の様子が可笑しくて、可愛くて。
 ディイは瞳を細めて、また笑う。
 ――こういう日がずっと続けばなんて願うのも、彼女が居てくれるからかもしれない、なんて。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リュカ・エンキアンサス
オズお兄さん(f01136)と

お兄さん、飛んでる
くるくるっていうか、飛んでる
すごいね
すごい

本当だ。色々見降ろせて
なんかいつもと違う感じで……え、どこ?
あ、見損ねた
もう一回ウィンクしないかな……
なんていうか、光がすごい派手で
こういうのはあんまり見ないから、見ててとても楽しい
窓に張り付いて、真剣に見てたら

ごちそう?
え?ええと…
お兄さんと一緒に食べられるものなら、なんだってごちそうだよ
面白みのない意見ですみません

出てきた食事を一緒にいただいて
町を見下ろしてあれこれ感想を述べて、
時々夜空の星を見上げて
…クリスマスって、なんだか贅沢だね
うん、すごい
お兄さんの目もきらきらしてる
来年も、こんな風に祝いたいね


オズ・ケストナー
リュカ(f02586)と


かんらんしゃだってっ
うん、くるくるしないね
とんでるっ

身を乗り出すようにイルミネーションを見て
すごくきらきらしてるよ
わあ、あれビルのおくじょうかな
サンタの顔がかいてある
あっ、ウィンクしたっ
みた?

下から漂ういい香り
だれかごちそうたべてるねっ
リュカはなにがたべたい?
どうして謝ったのかわからないから笑って

おいしいものでておいでー
コンコンコン
野菜が星の形に切られたシチュー
マッシュポテトとミニトマトのサンタ
とくべつにわくわくもするけど
いっしょだからおいしい

下も星も
どこを見てもきらきら

クリスマスってすごいねっ
リュカの目もきらきらがうつってる
うん。来年もいっしょにクリスマス、しようね



●らいねんも
「これがかんらんしゃっ!」
「お兄さん、これ飛んでる」
「うん、うん。くるくるしないね」
「うん、くるくるっていうか飛んでる」
「とんでるっ」
「すごいね」
「かんらんしゃって、こういうの?」
「すごい」
 観覧車と言えば。
 大きな車輪の周囲に取り付けられたゴンドラに乗って、ぐるぐる回る物と聞いた気がするのだけれども。
 この観覧車はくるくるというか飛んでるし、くるくるはしないし割りと高い位置をスイーッと飛ぶ。
「すごくきらきらしてるね、すごい、すごいっ。すごくきれい」
 身を乗り出すように外を眺めるオズ・ケストナー(Ein Kinderspiel・f01136)と、まあまあ語彙を失ってしまったリュカ・エンキアンサス(蒼炎の・f02586)は向かい合う形でソファに陣取り。
「わあ、リュカ見て、見て。あれビルのおくじょうかな? サンタの顔がかいてある」
「え、どこ?」
 落下防止窓から落ちないギリギリのラインを攻めるオズを見守っていたリュカも、オズの言葉に地上へと視線を向ける。
「あっ、サンタの顔がウィンクしたっ! リュカみた?」
「あ。あれかなサンタの顔。うーん……見損ねた」
 もう一回ウィンクしないかな、なんて。
 好奇心の宿った空色の瞳。
 真剣に地上を見下ろすリュカの瞬きは普段よりもずっと少ない。
 なんたって。
 普段は訪れることの無い、地上よりもずっと星空に近い場所を飛ぶソリ。
 イルミネーションに彩られたキマイラフューチャーの街並みは、星全てがリゾート開発されているだけあって圧巻であった。
 リュカは普段より、余りこういう物を見るタイプでも無い。
 だからこそ眺めだすと、とても楽しい。
 光に彩られた街並みが、刻々と違う街のように移り変わる光。
 ボールが跳ねる度にサンタやトナカイ、プレゼント等に形を変えて最終的にボールに戻るホログラム。
 幾何学模様をどんどん作り出す光の渦。
 色々な光の形を見せてくれる街並みを、リュカがじっと眺めていると――。
「ね。いい香りがするよ。だれかごちそうをたべてるねっ」
「……ごちそう?」
 くん、と鼻を鳴らしたオズがへにゃっと笑い。
 リュカが首を傾げて、瞬きを二つ。確かになんだか良い香りがする気がする。
「リュカはなにがたべたいっ?」
「え。……ええ、と」
 突然の質問にリュカは言葉に詰まってしまう。
 ごちそう、……ごちそう?
 少しばかり悩んで絞り出した答えは――。
「……お兄さんと一緒に食べられるものなら、なんだってごちそう、かな。……ええと。うん、面白みのない意見ですみません」
 何故リュカが謝るのか解らないオズは、へにゃっと笑って首を傾げたまま。
「そっか、そっかー。じゃあ、おいしいもの、でて・おい・でー」
 言葉のリズムに合わせて、机をコン、コン、コン。
 刹那。
 机の上を満たす、ごちそう達。
 星型の野菜がごろごろと入ったホワイトシチュー。
 マッシュポテトとミニトマトで彩られたサンタさんサラダ。
 ふかふかの白いパンに、小さなブッシュ・ド・ノエル。
 スパイスがたっぷりの、湯気立つホットアップルサイダー。
「やったっ、ごちそうだよっ。リュカ、食べよう食べよう」
「……あったかい」
 ホットアップルサイダーのカップを両掌で挟んで、カイロ代わりに暖を取るリュカ。
 クリスマスメニューのごちそうを、輝く街並みを見下ろしながら。
 二人揃って、いただききます。
「……オズお兄さん、クリスマスってなんだか贅沢だね」
「そうだね、クリスマスってすごいねっ。下も星もどこをみてもきらきらしてる! ごちそうもおいしいー」
「うん、すごい」
 言葉紡ぐリュカの顔を覗き込んだオズは、パンにシチューを浸してぱくりと食べてから。
「リュカの目もきらきらがうつってるね」
「……お兄さんの目もきらきらしてるよ」
 じっと二人は視線を合わせて。
 どちらからともなく、同時に笑った。
「来年も、こんな風に祝いたいね」
「うん。来年もいっしょにクリスマス、しようね」
 クリスマスは、特別な日。
 特別だから、わくわくもする。
 特別だから、どきどきもする。
 でも、特別じゃない事も一つある。
 いつも通り。一緒にご飯をたべると美味しい。
 来年もまた、特別な日を一緒に過ごせる事を祈って。
 ぴかぴか瞬く街の光。
 観覧車はもうすこしの間、空を飛び行く。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴィクティム・ウィンターミュート
【サイロ】

アースクライシスの慰労旅行、ってやつだ
骨折った従業員に何の労いもしないほど、俺も鬼じゃあないぜ
ま、難しいこと考えるなよ
うまいもの食って、楽しむってだけさ

ほら、イルミネーションだって夜の空には映えるだろ?
星明りもあるが、人口の灯だって悪くない

…改めて、お疲れさん
学者肌にしては中々根性あるよな、お前
自分で考えて、自分で戦いに行ける奴は…早々いやしない
怖い思いしても、痛い思いをしても、最後までやりきったお前を、心底凄いと思うよ

っと、イルミネーションが近づいてきた
…おし、もう一声といくか
空中にイルミネイト・ホログラムを投影
ほら、絵だって描けるぜ?お前もやってみろよ

…来年もよろしく、従業員殿


徒梅木・とわ
【サイロ】

キミの方こそ慰労されるべきだろうに、全く相変わらずだねえ
そっちも確りと楽しむなら、まあ吝かでもない

わっは、こんなに眩いものなのか。くりすますって
上も下も、辺り一面星空みたいだ

……ん。どうもね、どうも
(それを毎度とんでもない密度でやっている奴が、目の前に居るのだけれどねえ)
こほん。ん。ん。まあね、とわだから。次は――
(その密度を減らしてやろうっていうのだから)
もうキミの手を煩わせないくらいになっているさ
(キミの言葉をちゃんと受け取るのは、もう少し、後にしておこう)

くふふ、小洒落た事をするじゃあないか
しかし指程度じゃあこの景色には……あ(閃いた様に尾を使う)

はいはい
こちらこそね、雇用主殿



●慰労旅行
 空に瞬く星明かり。
 地上を見下ろせば、天の川をそっくり零したかのような光が街並み彩っている。
 そうしてコンコンコンと机を叩けば、空を駆けるソリの中。机の上にご馳走が立ち並ぶ。
「わっは、こんなに眩いものなのか。くりすますって。上も下も、辺り一面星空みたいだ」
 瞳を眇めて感嘆の声を漏らしたが徒梅木・とわ(流るるは梅蕾・f00573)が窓の外を見上げて、見下ろして。
「おう。ほら、イルミネーションだって夜の空には映えるだろ?」
 星明りもあるが、人口の灯だって悪くない、なんて。
 ノンアルコールフラワーシードルのボトルのコルクを引っこ抜き。
 とわのグラスに注いだヴィクティム・ウィンターミュート(impulse of Arsene・f01172)は、にんまりと笑って。
「っつー訳で。改めてお疲れさん」
 ヴィクティム曰く。
 骨折った従業員に何の労いもしないほど、俺も鬼じゃあないぜ、だそうで。
 本日は二人揃って、アースクライシスの慰労旅行と言う訳だ。
「しっかし、学者肌にしては中々根性あるよな、お前。自分で考えて、自分で戦いに行ける奴は――早々、いやしないぜ」
 自分のグラスにもフラワーシードルを注いで擡げたヴィクティムは、とわを見やって瞳を細めて。
 もう彼女はお姫様なんかでない。
 彼女もまた戦う者として対等な者だと、認めたヴィクティムは言葉を紡ぐ。
「ん、どうもね、どうも」
 そんな彼の言葉に、グラスを同じく掲げたとわは瞳を眇める。
 グラスを一口傾ければ、ふわりと広がる花の香とあまずっぱい林檎の風味。
 ――何を言っているのだ、全く。キミはそれを毎度とんでもない密度でやっている訳だろう。
「怖い思いしても、痛い思いをしても、最後までやりきったお前を、心底凄いと思うよ」
「こほん。ん。ん。まあね、とわはとわだからね」
 続く褒め言葉にとわは咳払い一つ。
 とわの考えている事など、ヴィクティムが知る訳も無く。
 ……まあ、とわはその密度を減らしてやろうっていうのだから、さ。
「次は――、もうキミの手を煩わせないくらいになっているさ」
 いつものように努めて、とわは飄々と笑う。
 本当は、誰よりも。
 キミの方こそ慰労されるべきだろうに。
 そう。
 だから。
 どれだけキミから褒められたとしたって。
 ――とわがキミの言葉をちゃんと受け取るのは、もう少し、後にしておこう。
「よし、景気づけに、もう一声いっとくか」
「うん?」
 とわの考えている事なんて、本当にヴィクティムは知る由も無く。
 ヴィクティムが悪戯げに笑って窓の外を覗き込み、電脳ゴーグルにぱちりと触れると――。星空に美しき幾何学模様が描き出された。
 線香花火のように幾度も瞬いたその輝きは、広がり、爆ぜて。
 最後に周りに玉を散らしてぱちんと弾けて。
 点と散ったイルミネイト・ホログラムがぞろ、と動き出したかと思えば、空に大きな狐のイラストが生まれた。
「ほら、絵だって描けるぜ? お前もやってみろよ」
 そうして、ヴィクティムが指先でぐるぐると空を掻き混ぜてみせると、ホログラムがソレに合わせて動きだす。
「くふふ、小洒落た事をするじゃあないか。……しかし、指程度じゃあこの景色には……」
 少し眉を寄せて、考えこんだとわは、あ、と声を漏らして。
 空を撫でるようにふかふかの大きな尾を払うように揺らすと、梅の花を空に散らして見せた。
 ヴィクティムの描き出したホログラムの絵が、流星のようにきらきらと空よりこぼれ落ち。
 星屑に混じって、はらはらと花弁が舞い散る。
 二人で作った、偽物の花火。
 どちらからともなく笑いあった二人は、肩を竦めて。
「……来年もよろしく、従業員殿」
「はいはい。こちらこそね、雇用主殿」
 今日は慰労旅行。
 戦う者達の心を癒やし、英気を養う旅行だ。
 さあさ、美味しいものを食べて、美味しいものを呑んで。
 キミがしっかりと楽しんでくれるのならば、やぶさかでも無いさ。
 ――だから。
 次こそはキミの言葉を、ちゃんと受け取れるように。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リル・ルリ
🐟櫻沫
アドリブ歓迎


観覧車、だって!
僕乗るの初めてかも
すごい、綺麗だ

ぴかぴかな光が咲き誇って満開の花畑のよう――
パンと弾けた式神に桜吹雪に吃驚!
なに、え?櫻?!
わぁ!僕の、お誕生日をおめでとうしてくれるの?
穹の上で満開の光の花を観ながら
大好きな人が僕が生まれた日を祝ってくれる
嗚呼
夢のよう
いいや
水槽の中ではこんな夢もみなかった
生まれたことを祝われるなんて
嬉しくて不思議な気持ち

コンコンで現れたごちそうは君が好きなお肉がたくさん
ケーキは一緒に作った、特別「純白のしあわせ」
甘い蜜の炭酸ジュースで乾杯

愛しい君がいて
美味しいご飯に美しい景色
嗚呼なんて幸せ

櫻宵
めりいくりすます
僕は、幸せをたくさんもらったよ


誘名・櫻宵
🌸櫻沫
アドリブ歓迎


宝石箱をひっくり返したみたいね!
綺麗だわぁ
穹には星の海が
地には光の海がひろがるようね!
喜ぶリルが微笑ましくて和むわ
はしゃぎ喜ぶリルの気を引くように、パンと魚の式神を爆ぜさせる

リル、お誕生日おめでとう!
キョトンとしたお顔もまた可愛くて和むの
最高にロマンチックね!
コンコンして並べるのは豪華なお肉にオシャレなお魚、リルの大好きな甘い玉子焼きとか好きな物をたくさん
ケーキは一緒に作ったのを
キラキラな笑顔が嬉しいわ

もっと幸せになって
もっと幸せにするわ
あたしの幸せは満開だもの!
甘い蜜で乾杯して決意を告げる

メリークリスマス
生まれてきてくれてありがとう
あなたに出逢えて、奇跡みたいに幸せよ!



●夜に咲く花
 高い空の上から眺める街並みは、色とりどりに飾り付けられ。
 夢のように揺らめく光の上を、ソリはすいすいと泳ぎ往く。
「わぁ……、すごい!」
 そのソリの上でリル・ルリ(想愛アクアリウム・f10762)は歓声を零した。
「綺麗だ」
「ふふ、そうね。宝石箱をひっくり返しちゃったのかしら? ……まるで穹には星の海が、地には光の海がひろがるようね!」
 リルの横へ腰掛ける誘名・櫻宵(屠櫻・f02768)は、歓声を上げるリルの姿に眩しそうに瞳を細めて。
 本当に綺麗ね、と同意を重ね――。
「ねえ、リル」
「なあに、櫻?」
 彼の名を呼んで。
 眦を緩めた櫻宵が指先でくるりと空気をかき混ぜると、白い魚が夜空を泳ぎだし。
 ソリと並んでくるくると夜空を泳ぐ姿は、まるで深海魚のようにも見えた。
「わ、魚だ。綺麗――」
 呼び出された式にリルは瞬きをぱちぱちと重ねて。
 そうして彼が言葉を紡ぎ切る前に、笑みを深めた櫻宵は掌を合わせて大きく一拍を。
「わっ、えっ、なに?」
 ぱん。
 突然響いた一拍の音に驚いたリルが、鰭耳と肩をびくりと跳ねさせて。
 瞬間。
 夜空に溶け消えた白い魚の式の代わりに、夜空に桜吹雪が舞い散った。
「リル、お誕生日おめでとう!」
 空色の瞳をまん丸にしてきょとりとするリルに、櫻宵はくすくすと微笑んで。
「わぁ……えっ、櫻。僕の、お誕生日をおめでとうしてくれるの?」
「勿論よ、あたしの大切な王子様のお誕生日だもの」
 ちらちらと舞う桜吹雪を受けて、きゅっと胸の中にこみ上げる感情を抑え込むみたいにリルは胸に手を当てて。
「……ありがとう! 櫻宵!」
 満天の星の下で。
 大好きな、大好きな人が僕の生まれた日を祝ってくれる。
 ――嗚呼、嗚呼。
 夢みたいだ。
 いいや、……硝子瓶の中では、水槽の中では、こんな夢もみなかった。
 見たことがなかった。
 それなのに、今日は、こんなに、こんなに。
 今すぐ君に抱きついてしまいたい位。嬉しくて、嬉しくて、不思議な気持ち。
「ふふ、リィ。最高にロマンチックな光景うちに、ご馳走を頂きましょう?」
 ぱちん、とウィンク一つ。
 唇に人差し指を当てた櫻宵が、逆の手でコン、コン、コン。
 ローストビーフに、ステーキに。ビーフストガノフにスペアリブの煮込み。
 立ち並ぶごちそうは、櫻宵の好きなお肉は、勿論だけれど。
 カルパッチョサラダに、バターの塗られたバゲット。トマトがたっぷりかかったリエット。
 アクアパッツァに、リルの大好きなあまーい卵焼き。
 テーブルにはリルの大好きなものを、たくさん、沢山。
 それに、何よりメインディッシュは――ニーヴェアで購入した材料で、『純白のしあわせ』なんて名前をつけた。
 二人で作った特別な真っ白な真っ白な白林檎と白苺のケーキ。
 あまいあまい蜜とスパイスの炭酸ジュースで、乾杯を。
「リル、リル。もっと幸せになって、――もっと幸せにするわ」
 だって、あたしの幸せはもう満開なんだもの。
 櫻宵が紡ぐ言葉。
 一つひとつがリルにとっては大好きで、大好きで、愛しくて、愛しくてたまらない。
 ――愛しい君がいて。
 美味しいご飯があって。
 綺麗な景色を一緒に見て。
 こんなに大切に想われて!
 ――嗚呼、嗚呼。
 なんて、なんて僕は幸せな人魚なんだろう。
 なんて、なんて僕は幸せな戀をしたのだろう。
「ねえ、櫻宵。めりい、くりすます! 僕は、幸せをたくさんもらったよ」
「うふふ、メリークリスマス。生まれてきてくれてありがとう。あたしね、あなたに出逢えて、奇跡みたいに幸せよ!」
 イルミネーションよりも、星空よりも。
 ずっとずっと、眩い笑顔。
「ケーキも美味しくできたね」
「ふふ、二人で腕を振るったんだもの。美味しくなってくれなくちゃ困っちゃうわ」
 しあわせの味を、二人ではんぶんこ。
 明日も、今日も、これからも、ずっと、ずっと。
 たとえ君が忘れたとしても、思い出させてあげる。
 君が奈落におちないように、支えてあげる。
 食べたいなら、食べたって良いよ。
 だから、だから――。
 ずっと、この幸せが、続きますように。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ステラ・ペンドリーノ
スバルちゃん(f00127)とリア(f00037)と一緒に
【夜】に参加

「空飛ぶゴンドラなんて素敵……! 夜空が近いのも嬉しいけれど、この世界は夜景も綺麗で目移りしちゃうわ」

スバルちゃんが編んでくれたマフラーを三人で巻いて、私とスバルちゃんの二人でリアを挟むようにくっついての鑑賞
さすがねスバルちゃん、ぎゅってするには絶妙のサイズだわ
ちょっと体重を預けちゃったりして

リアの片手を両手で包むようにとって、温めるように摩りながら
「三人なら暖かいわよね」なんて会話を繋いで、掌から熱を伝え合うように

星空も夜景も綺麗だけど……結局、一番視線を向けてしまうのは
愛しいリアと、スバルちゃんになっちゃいそうね


スバル・ペンドリーノ
お姉さま(f00791)、リア(f00037)と、3人で


「わぁ……初めてじっくり見たけど、キマイラフューチャーの夜空も綺麗ね」

リアを真ん中に挟んで……2人へのプレゼントに編んだながーいマフラーを3人で巻いて、くっついて座るわね
長さは、3人で巻くとしっかりくっつかないといけないくらい。……ふふ、調整ばっちりでしょ?

真ん中に座ったリアの片手を、しっかり指を絡めて両手で包んで。
「大丈夫、寒くない?」なんて言いながら、ちょっぴりくすぐるみたいになぞってみちゃったり。

大好きな2人とくっつきながら、大好きな星空を見上げて……うふふ。すっごく幸せ。


コーディリア・アレキサンダ
>スバル(f00127)とステラ(f00791)と「夜」に
>台詞のアドリブ大歓迎です

2人の間、すっぽり挟まる様に座っているよ
こうしてくっついているとプレゼントに貰ったマフラーが丁度なんだね
少しくっつきすぎかもしれないけれどいいんだ。今はそれが心地良いから

……しかし、思ったより「きかい」な夜空だね
フェアリーというからもう少しボクもわかるものかと思っていたけれど

イヤなわけじゃないよ
いるみねーしょんも星空も、どちらも綺麗だし、なにより――

―――ううん、何でもないよ

付き合い始めたとはいえドキドキしちゃうからちょっと緊張……
でも終わるころにはボクからも2人に触れられるように。なるといいな



●しあわせなじかん
「わぁ……初めてじっくり見たけど、キマイラフューチャーの夜空も綺麗ね」
「ふふ、ええ。夜空が近いのも嬉しいけれど、この世界は夜景も綺麗で目移りしちゃうわ」
 空の上で二つ星が交わす、密やかなお話。
 ――空には、星々の輝き。
 地には、鮮やかな街並みを彩る光が満ち満ちて。
 音もなくソリ型のゴンドラは、空を駆けゆく。
 コーディリア・アレキサンダ(亡国の魔女・f00037)をステラ・ペンドリーノ(きみ達と見つけた流れ星・f00791)とスバル・ペンドリーノ(星降る影の六連星・f00127)はペンドリーノ姉妹サンド。
 夜空みたいに綺麗な毛糸をスバルが丁寧に丁寧に編んだ、長い長いマフラーを三人ならんでぐるりと巻いて。
 さすがねスバルちゃん、ぎゅうっとするには絶妙なサイズ感だわ、とはステラの言。
 その言葉通り。
 マスターの長さは三人がぴったりくっつくと、三人をぐるりと巻くのに丁度良い長さに調整されている。
 それはあの日。
 ブランケットで三人くるまった時よりも、もっともっと近い距離。
 ――そりゃあ少しばかりくっつき過ぎかもしれないけれど、それはあの頃よりも近づいた距離を顕しているようで。
 二人の体重を両肩に感じるコーディリアにとって重みは心地良く、決して嫌なモノでは無い。
 そういう訳で。二つ星に挟まれた魔女は、空を見上げて。
「……しかし、思ったより『きかい』な夜空だね」
 ――フェアリーというものだから、もう少しボクもわかるものかと思っていたけれど。
 地上から見上げるよりは、ずっと近い空。
 この世界は、惑星全てが都市リゾート地として開発されている世界だ。
 見上げれば障害物も無く広がる満天の星は、一見とても綺麗だけれど。
 イルミネーションにかき消されてしまったか細い星々の光を補うように、リゾートとして通用するように綺麗に『機械』で投影されている星も多く存在するようであった。
 妖精の力なんてひとつも感じられない、自然を機械で補った奇怪な星空。
「ううん、多分だけれど。フェアリーとフェリス・ホイールの韻を踏んだんじゃないかしら?」
「なるほどー。名前の韻を踏んだのね。確かに、少し似ているかも」
 ステラの言葉にスバルは小さく頷き。
 ふ、と。
 少しだけ眉を寄せて、真ん中に挟まったコーディリアの顔をじっと覗き込んだ。
「……もしかしてリア、こういう空はイヤだったかしら?」
「あぁ。……ううん、イヤなわけじゃないよ」
 ふる、と小さく首を振ったコーディリアは、大きな魔女帽子の鍔を目線を隠すように少し引いて。
「いるみねーしょんも星空も、どちらも綺麗だし。……なにより――」
 二人に察されぬように隠した目線で、二人の『恋人』を見やる。
 きれいなエメラルド色の瞳に、青空みたいに澄んだ青い瞳。
「……――ううん、何でもないよ」
「そう? 無理しちゃだめよ」
 少しだけ不思議そうに瞳を揺らしたスバルは首を傾げ、コーディリアの肩に頬を寄せて囁き。
 コーディリアは、視線を足元へと落としてしまう。
 ああ。――だって、だって。
 二人がこんなに近いと、――緊張してしまうのだもの。
 付き合い始めたとはいえ、どきどきする心臓の音を止められるわけでは無い。
 こんなに近いと、心臓の音に気づかれてしまったりしないだろうか。
 は、と細く息を吐いたコーディリアは、逆の掌をぎゅっと胸元で握りしめ。
「あら。なあに? リア、寒いの?」
 そんなコーディリアの動きを見逃さなかったステラは、するりとその掌を貝のように両手で包み込み。
「ほら、もっとぎゅっとすれば暖かいわよ」
 コーディリアの掌を温めるように、ステラは優しく撫でる。
 合わせて、ぱっとコーディリアの逆の掌を握りしめたスバル。
「なぁに、リア。寒かったの?」
 優しく指を絡めて、きゅっと握りしめて。
 少しだけ、撫でたりしちゃったりして。
「……うん、ありがとう」
 その指の動きに擽ったそうに小さく肩を竦めたコーディリアは、くっと笑った。
 そういう事にしておこう。
 そういう事にしておけば、……二人が掌を握っていてくれるのだもの。
「……うふふ、こうしていると、すっごく幸せ!」
 夜空に顔を向けた、スバルはくすくす笑う。
 それはとても素敵な時間。
 なんたって大好きな2人とくっつきながら、大好きな星空を見上げる事ができるのだから。
 眦を緩めて二人の様子を見やるステラも、小さく肩を竦め。
 ――星空も夜景も綺麗だけれど。
 結局、一番見てしまうのは。
 愛しい愛しいリアと、スバルの姿なのかもしれないなあ。なんて、気づいてしまったものだから。
「……、……」
 言葉にする事は苦手なものだから。
 笑う二人の顔を再び見やったコーディリアは、握られた掌の指先に力を籠めて、柔く握り返した。
 ――それは、しあわせだよ、と伝えるような優しい指の動きで。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

セト・ボールドウィン
綾華(f01194)と

わ、すげー。サンタのソリだね!
これで空が飛べるの?綾華、早く乗ろう

おおー…サンタってこんな感じなんだ
ソリから身を乗り出すほど、空も地面もきらきら眩しくて

え。これ本物じゃないのもあるの?
ぐっと手を伸ばす
捕まえられるかなぁ、星


綾華が出したチキンに目をきらきら
うっわー。何かすごいの出た!
うん、半分こしよーっ
(切って切って、とそわそわ

俺も俺も!こんこんする!
えっと、…苺のケーキっ(こんこん

あっ、ケーキもでかい!
こっちも半分こしよ。こんなに食べきれるかなー
テーブルの上が賑やかになって、何かもうそれだけで楽しい

サンタ?どこどこー?
あっ、ほんとだ
ていうか、トナカイ増えた。かわいーねーっ


浮世・綾華
セト(f16751)と

俺の知ってる観覧車と違う
でもすげー、俺の知ってるサンタのソリだ
ふ、焦んなくてもソリは逃げねーって

おお、飛んでる
すげー、星がちかい
どれがホログラムでどれが本物なんだろ
な、セト、掴んでみてよ
星、捕まえられるかもよ
つかめた?なんて首を傾げ

折角だからご馳走も楽しも
よーし、こんこんっと
(出てこい、セトが吃驚するような――肉!)
やばい、チキン、でかっ
これどうやって食うんだ
とりあえず切り分ける?
りょーかい、半分こ半分こっと

いちご!よっしゃ、でかしたぞセト!
好物の苺にてんしょん上がってセトをわしゃー
ん、分けよ分けよ

あ。サンタが踊ってる
可愛いケドちょっと面白い
え、トナカイも踊ってんじゃん



●夜空サンタツアー
 空を滑空しだしたそれは浮世・綾華(千日紅・f01194)の知っている観覧車とは、かけ離れた姿。
 大きな車輪状のフレームも無ければ、ゴンドラの形も全く違うモノ。
 しかし。
 そのゴンドラの形は、綾華もよくよく知っている形だ。
 それはゴンドラというよりは、窓の付いた立派なソリ。――いわゆるサンタさんのソリの形をしていた。
「おおー……プレゼントを配る時のサンタってこんな感じなんだ」
 翠の瞳に好奇心をいっぱい詰め込んで。
 珍しいものを見る表情のセト・ボールドウィン(木洩れ陽の下で・f16751)は落下防止の窓に手をかけて、より遠くを見わたそうととするかのよう。
「これで空が飛べるの、ちょっと感動だな」
 セトが下を見やれば、宝石をぶちまけたみたいに色とりどりに光る街並み。
 上を見上げれば、ミルクを流し込んだかのように、星々がぴかぴかと瞬いている。
「おお、すげー、星がちかい。飛ぶもんだなー」
 セトのわくわく感は、綾華にもしっかりと伝わている。
 同じものを見たって一緒に過ごすものによって、様々な色に変わるものだ。
 綾華は目を凝らして、空の星を見上げて。
「どれがホログラムでどれが本物なんだろ」
 その言葉にぱっと振り向いたセトは、すこし驚いたように口を開いて。
「え。こんなに本物っぽいのに、これの中には本物じゃないのもあるの?」
「そうだよー。イルミネーションも混じってるみたいだケド……」
 そこで、はたと気がついたように綾華は悪戯げに。口角を笑みに上げて。
「――な、セト、掴んでみてよ。星、捕まえられるかもよ」
「えー。そんなのすげーやばいじゃん。星が捕まえられたらすごくない?」
 すこしばかり興奮した様子で一気に言葉を紡いだセトは、つま先を立てて目一杯背伸び。
 そうして空へと腕を、目一杯伸ばして見せた。
 あの空まで手が届くように。
 あの星をこの手につかめるように。
 そうしてセトは、ぎゅっと掌を握りしめて。
「……え、もしかしてつかめた?」
「いやーっ、やっぱ、星って手が届かないものなんだなー」
 綾華の言葉にセトが掌を開けば、その中には何もはいっちゃあいない。
 手が届かないからこそ、夜空は綺麗なのかもしれない。
「ふ、ふふ。やっぱダメかあ」
 いかにもおかしげに笑った綾華は、そのままコン、とひとつ机を叩いて。
「そしたらさ、ご馳走の方を楽しも」
 念じるは、大きな大きな肉。
 ――セトが吃驚するような、すごい肉、出てこい!
 コン、コン。
 ごどん。
 タイミングよく刻まれた音の最後に合わせて、鈍い音が机上で響いた。
 そう、そこに現れたのは――。
「うっわー、何? すげー、すげー。すげーの出たな!」
 目をぴかぴかと輝かせたセトが、すげーしか言えなくなってしまうほどの、大きな大きなローストターキーであった。
「あは、えっ? ヤバい。でかっ。何、何、すごいでかいんだケド」
 喚び出したのは綾華ではある。
 しかしその出てきた料理の大きさには、笑うしかなくなってしまって半笑いで綾華は言葉を紡ぎ。
「えっ、これどうやって食うんだ? とりあえず切り分けてみる?」
「うん、半分こしよーっ」
 こくこく頷いたセトは切って切って、と綾華にお願い。
「りょーかい。半分こ、半分こっと」
 同時に現れて居たナイフを使って、綾華はターキーと格闘を開始する。
 そんな様子を見ながら、セトは拳をきゅっと握りしめて。
 視線をおとして、上げて。
「なー、俺もこんこんしていい? やりたい!」
 こんなに楽しいモノがでてくるなんて、絶対やりたい。
 夜空にも、イルミネーションにも負けない程輝くセトの瞳。
 そんな顔でお願いをされてしまえば、誰がダメと言えるだろうか。
「そーネ、やっちゃっていーよ」
「へへ、よーし。えっと……、出てこい、苺のケーキっ!」
 綾華の快諾に、セトは拳を天に一度衝き上げて。
 コン、コン、コン。
 適切なタイミングで適切な場所を叩くと――。
「お、いちご! よっしゃ、でかしたぞセト!」
「あっ、ケーキもでかい! すっげー」
 ケーキの上にぎっしりと並べられたナパージュで仕上げられた大粒の苺は、真っ赤な宝石のようにぴかぴかと輝いている。
 好物の出現に思わずテンションの上がってしまった綾華は、セトの頭をわしゃわしゃと撫で。
 お褒めの言葉に眉を下げて擽ったそうに笑ったセトは、眉を緩め。
「こっちも半分こしよ。えー、でも、こんなに食べきれるかなー」
「ん、分けよ分けよ」
 困ったなー、みたいな口調でセトは言葉を紡いでいるが。
 その瞳は全く困っていない。
 机の上が華やかににぎやかになれば、何かもうそれだけで楽しいものだ。
 あ、飲み物も出しておこうかな、なんて。
 思いついたセトが、コン、と机を叩き――。
「あ。サンタが踊ってる」
「えっ、サンタ? どこどこ?」
 窓を見下ろす綾華の言葉にスイーっと釣られて行ってしまう。
「あ、ほんとだ」
「なー。可愛いケドちょっと面白い動きだよな」
「ていうか、トナカイ増えた。かわいーねーっ」
「え、トナカイも踊ってるじゃん。しかも二足歩行?」
「動き、キレッキレだな……」
「……ところでセト、それ何?」
「あ、飲み物……、うわ。青汁だ」
「……。あ、はは、何出してるの」
「えーーっ、罰ゲーム用ってかいてあるじゃんっ!」
 ご馳走の立ち並ぶソリの上。
 ぴかぴか瞬く街並みを見下ろしながら、二人は顔を突き合わせて笑い合う。
 二人のパーティは、まだ始まったばかり!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

霧島・ニュイ
華座敷

夜に
兄に暖房して貰いつつ
ソリのゴンドラはとても新鮮

座る座るーっ
兄の膝の上でご満悦
ぎゅーってされるとはしゃぐ
ぎゅーは大好き!人の温もりが心地良い…
ってあれ…?兄さん?大丈夫?

って、離れないでーっ
腕にしがみ付いてスリスリ
離さないもん!

イルミネーションに目をきらきら
夜には慣れているのに、此処の夜景は夢見心地
灯せばとても綺麗なんだね

キマイラ慣れでコンコンは慣れてるけど
クロトさん、コンコン未体験?
コンコンしようコンコン!!

ふわー!!ご馳走だよ!!いっただっきまーす!
フライドチキン美味しい!(ばくばく)
あれ、兄さん苺好き?

綺麗な景色と美味しい食べ物と大好きなふたり
天国かな!?
酔った兄は心配だけど!


佐那・千之助
華座敷

この世界も観覧車も初めて
上は冷えるかな。ニュイ私の膝座る?
炎の魔力で暖房を

!?
離陸時の慣れない感覚
思わずニュイにしがみつく
すまぬ内臓が落ち着かぬ…!
弟をぬいぐるみの如く抱き、慣れたら解放
…離さぬの?クリスマスじゃものなと弟撫で

えっ
遠い地上が衝撃的な美しさ
小一時間放心状態。でもケーキの苺は食べてる
うん、血の次に好き
クロトそれ主役が無いやつ
おぬし優しすぎる、ならぬ
弟のコンコンテクで苺を狙う兄

頭がくらり。これ乗り物酔い?
よき位置にあるクロトの肩へ頭を預け安定を図る
まずい。想定外のこころよさ

委ねることの安寧を後ろめたいと、常なら思うことも
地上に置き去りのよう
今持っているのは彼らを愛す心ひとつだけ


クロト・ラトキエ
華座敷

夜の空で、観覧車?の旅。
星は割れるしコンコンは便利…
いやはや、世に驚きの尽きません事。

遠退く程に地上の光は星空めいて、
けれど見上げた天は近付けど、手を伸ばしても星は遠い。
そればかりは何処も変わらぬ事…と。
はしゃぐニュイと黙する千之助に、
飛ぶまでキャッキャしてた筈が?と首傾げ。

コンコン、どうも未だに慣れぬ文化でして…と。
ニュイに倣って1ノック。
彼の食べっぷりに、見てるだけでお腹一杯なので、
僕は苺の攫われたケーキでも頂きましょうかね。

肩に掛かる重みに僅かな驚きと、次の瞬間には浮かぶ笑み。
どうした。酔いました?
問いの体、でも答えは求めず。
預かる侭に。

お二人も楽しいなら、
天国よりも此処こそ佳き夜



●天国に近い空
 大きな車輪状のフレームも無ければ、ゴンドラだってゴンドラの形をしていない。
 その大きなソリを模したゴンドラは、初めてこの乗り物をみた者は絶対にこの乗り物が観覧車だとは思わぬであろう風体をしていた。
「キマイラフューチャーに訪れるのは初めてじゃが、なかなか面白げな世界じゃの」
 一番にソリへと乗り込んだ佐那・千之助(火輪・f00454)は、ふかふかのソファに腰掛け。
 うん、座り心地は悪くない。
 しかしこのソリは空を飛ぶ。
 上空へと向かえば寒くもなるだろう、と千之助は炎の魔力を練って柔らかな熱を生み出し。
「ニュイ、私の膝の上に座るか?」
 私の周りは暖かいぞと、千之助が首を傾げば。
「座る座るーっ!」
「うむ、座るが良いぞ」
 ぴょんと跳ね跳んだ霧島・ニュイ(霧雲・f12029)は、ぴかぴかスマイルでご満悦。
 千之助の膝上に陣取り。
 はしゃぐ二人の横へと腰掛けたクロト・ラトキエ(TTX・f00472)は、すうと浮き上がったソリに瞬きを一つ、二つ。
「うーん。メンテナンスで割れる星に、便利なコンコン……。それに今度は空を飛ぶソリと来ましたか」
 ……いやはや、世に驚きの尽きないことだ、なんて。クロトは周囲をぐるっと見渡し、顎に指先を添えた。
 遠のき始めた街並みは、色とりどりの電飾に彩られ。
 離れれば離れるほど、その輝きを増すように。――それは地上に注がれた天の川のようにも見えて。
「すっごいなー! ココの夜景はまるで夢みたいだ!」
 夜に光を灯すだけでこんなに美しくなるなんて、と。ニュイもまた瞳を輝かせる。
「――……」
 ふ、と。
 クロトは掌を広げて、腕を天へと真っ直ぐに伸ばす。
 こんなにもたくさんの星空が瞬いているのは、きっとホログラムも混じっているのであろう。
 ぐんぐんと風を飲み込んで近づく空。
 それでも、この腕が星に届くことはない。
 星は掴めぬ。
 空は掴めぬ。
 ――それだけは、どこに居ても変わらないものだ。
 くっと肩を竦めたクロトは、首を振って思考を断ち切るように。
 もう一度、はしゃいでいた二人に視線を戻し――、首を傾げた。
「……?」
 そこには何故か千之助がめちゃくちゃ真顔で、ニュイをぎゅうっと抱きしめている姿。
 抱きしめられたニュイは、その二の腕に頬を寄せて心地よさそうに瞳を瞑っている。
 ニュイはハグが大好きだ。
 人の温もりが伝わって、心地よいもの。
 それが大切な兄貴分のハグであれば、嬉しくない訳も無くて。
「うひゃあ……兄さん。そんなにぎゅーってし、……あれ? 兄さん? 大丈夫?」
 いや、ハグの割には千之助の動きがおかしい。
 やっと異変に気がついて顔を上げたニュイに、千之助はぷるぷると左右に顔を振り。
「すまぬニュイ……内臓が、内臓がふわっと、内臓がふわっとしとる……」
「内臓がふわっと……」
「内臓がふわっと……ですか」
 二人も思わず復唱。
 千之助が慣れるまでそのまま見守る数分。
「……はー……っ、もう、もう大丈夫じゃと、思う」
 そうして。
大きく吐息を零して復活した千之助が、ニュイから腕を離そうとすると――。
「って、離れちゃだめーっ!」
「はっ! ……離さぬのか?」
「離さないもん!」
 ぶんぶん首を振ってニュイは断固拒否。
 千之助の腕を引いて、二の腕にぺったり頬を寄せる。
「……まあ、クリスマスじゃものな」
 肩を竦めて苦笑を浮かべた千之助は、甘えん坊の弟分たるニュイの頭を柔らかく撫でた。
「良きに計らえってやつだよ!」
 それをくすくすとニュイは笑って、受け入れる。
「……しかし、綺麗なものだのう」
 笑いながら改めて千之助が地上を見やれば、光に彩られた街は宝石箱の中のように。
 様々な色がぴかぴかと瞬き、輝く。
 千之助はほう、と窓の外をじっと眺めだし。
「そういえば、クロトさんはコンコンコンが未体験なんだっけ?」
「ええ。どうも未だに慣れぬ文化でして……」
 良くキマイラフューチャーにお出かけするニュイはコンコンコンに慣れているが、あんなに面白い仕組みを未体験だなんてもったいない、と。
「ええー! クロトさん、コンコンコンしよ! コンコンコン!」
 ニュイは適切な場所を適切なタイミングでコンコンコン、コンコンコン。
「……こう、ですか?」
 クロトもニュイに倣って1コンコンコン。
「いやいや、もっと手首のスナップを着替えてみて」
 ニュイは手慣れた動きで再びコンコンコン。
「……なるほど」
 クロトとニュイがコンコンしていると、あっという間に備え付けの机の上はご馳走まみれ。
「ふわー!! いっただっきまーす!」
 フライドチキンにかぶりついたニュイは、逆の手でパンを齧り。
 ぼんやりとイルミネーションを眺めている千之助も、殆ど無意識のような動きでショートケーキの上に乗ったイチゴをひょいと口に運ぶ。
「……あれ、兄さんイチゴ、好きなの?」
「うむ。血の次に好きじゃ」
 甘い味が口の中に広がり、小さく頷く千之助。
 そんな彼らの食べっぷりに――。
「……見ているだけでお腹一杯になりそうですし、僕は此方を頂きましょうかね」
 と。
 クロトは千之助にイチゴだけ食べられてしまったショートケーキの皿を、引き寄せて。
「いや、いやいやいやいや。クロト、それは主役が無い。おぬし、優しすぎるのう、ならぬ、ならぬ。――ニュイ!」
「あいあいさー!」
 兄に声をかけられれば、ニュイは続けてコンコンコン。
「……こんな感じでどう!?」
 そしてドヤ顔で、喚び出したいろんなイチゴをクロトのケーキの上に盛りに盛った。
 白イチゴ、赤イチゴ、桃色イチゴ。
「…………、ええ、ありがとうございます」
 優しいクロトは見ているだけでお腹一杯になるような、イチゴの下にショートケーキが沈んでいる皿をつまみ始める。
 満足げに微笑んだ千之助は、そのまま――。
「……おや?」
 ぐらりと揺れた。
 ――それは、乗り物酔いによるふらつきだろう。
 そのまま真横に位置するクロトの肩口へと頭を預けると、頭の安定を図り。
「どうしました、……もしかして酔いました?」
 イチゴを口へ運んでいたクロトが尋ねると、応える余裕も無いのか千之助はじっとしたまま。
 膝上のニュイも、再びぬいぐるみ代わりにぎゅっと抱きしめられている。
 ふ、とその様子にクロトは思わず笑みを浮かべて。
「楽になるまで、そのままで大丈夫ですよ」
「んー? 兄さん大丈夫?」
 ぱくぱくと食事をし続けるニュイも、一応は心配をしているようだ。
 二人の声掛けに対して、千之助はその体勢のままでいる事を返事に瞳を瞑る。
 ――常ならば、人へと体委ねる安寧に後ろめたさを覚えようが。
 本日はそんな気持ちも、地上に置き去りにしてきてしまったようだ。
 千之助が今持ちあわせているのは、彼らを愛す心ひとつだけ。
 皆と過ごす事で得られるこの安寧は、きっと天国よりも佳き居場所である証であろう。
 ぴかぴかと瞬く星の夜。
 ソリは三人を乗せて、空を滑る。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

月舘・夜彦
【華禱】
観覧車はこういう物では……なかったような
ですが、これも素敵です
キマイラフューチャーも不思議な世界ですからね
とても楽しみです

キマイラフューチャーの観覧車を観察する前に
倫太郎殿に手を引かれてしまいました
そうですね、観察するより体験してこそ

空を飛びながら周囲の景色を眺める
見上げれば星空、見下ろせば電飾で彩られた街や木々
何かで映された人や動物……でしょうか
エンパイアには無い技術と灯り、未知の文化には毎回心を躍らされます
あれがどのような道具なのか、倫太郎殿ならばきっと分かるのですよね

休憩に飲み物を出して乾杯
これのやり方は知っておりますとも
私ばかり楽しんでいるような
倫太郎殿は楽しんでおりますか?


篝・倫太郎
【華禱】
俺の知ってる観覧車と違う……
けど、楽しけりゃいっか
ここはそういう場所だったわ、そーいや

観覧車とは?みたいな顔してる夜彦の手を引いたら
一緒に乗り込んで……

まぁ、UDCアースの観覧車はそんなに長い時間じゃねぇもんな
これはこれで楽しいんじゃねぇの?

つーか、すっかり夢中なの、なんなの?
なんなの?この(肉体年齢)34歳
可愛いが過ぎねぇ?子供か?!
いや、俺の恋人だわ……

机を軽くコンコンコン
酒は止めとこう……
つー訳で、ジュースで乾杯して
観覧車からの景色を堪能して過ご……あ、ハイ
嘘です

観覧車から見える色々を素直に楽しんでる夜彦見て悦に入ってた、うん

んー?楽しい
子供みたいに無邪気なあんたは俺だけの、だし



●知らない事、知っている事
「観覧車はこういう物では……なかったような」
「うん、俺の知ってる観覧車とも違うな……」
 ソリを見上げて、瞬きを二度、三度。
 月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)と篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)は観覧車と言い張るソリの前で立ち尽くし。
「でも、ま。楽しけりゃいっか」
 なんたって、ここはキマイラフューチャー。
 人類の遺したポップなサイバーパンク都市に、なんでか生き残ったキマイラ達が楽しく暮らしている、惑星全てが都市リゾート化した愉快な惑星。
 ――楽しければ何でも在りの世界なのだから。
 倫太郎は夜彦の手を握ると、ソリへと向かって彼の手を引いて。
「さ、新しい体験をしてみようぜ。楽しく愉快にさ」
「……そうですね」
 観察するよりも、体験してこそ。
 倫太郎の笑みにつられたように、くすくすと笑った夜彦は彼に手を引かれて歩きだし。
 ふかふかのソファとなっている座席に二人並んで座れば、ソリは音もなく空を駆け出した。
 夜の街を彩るきらびやかな電飾は、空へと駆けて離れれば離れる程。
 街自体が、飾り付けられた装飾のように見える。
 そうして見上げる満天の星は、イルミネーションに負けず劣らずその光を瞬かせて。
「おー、高ぇな。――これ、わりと長い時間飛ぶみたいだな」
 なんたって、食事だって出来てしまう程。
 ぐるりと惑星の観光地を回る設定だと説明書きには書いてあった。
 ぷかぷかと立体が浮かび上がって、ボールが跳ねる度にサンタやツリー、プレゼントボックスに形を変える何か。
 幾何学模様がいくつも生み出されては、目を引く動きで流れるように。
 ――あれは、エンパイアには無い技術であろう。
「倫太郎殿、倫太郎殿。あれは何という道具であのような動きをしているのですか?」
「あー、あれは……ホログラムでアニメーションしてるんじゃねぇかな。向こうのは多分、光り方が決められたLEDだと思う」
 ……けれど。
 けれど。
 何? なんでこの34歳児はこんなに夢中で光にはしゃいでいるの?
 なんなの?
 キッズ? 子どもか子ども??
 もはや幼女じゃん、いや、え、違うわ。え……?
 俺の恋人めちゃくちゃ可愛いじゃん、どうなってんだ世界。おかしくない???
 え、なに? 不具合か??? バグ????
 真顔しか浮かべる事が出来ないお顔。
 もはや情緒がめちゃくちゃになってしまった倫太郎は、ただただ真顔で夜彦のはっぴーな質問に応えるBOTと化していた。
 はっぴーな質問を繰り返していた夜彦はふ、と顔を上げて。
 少しだけ、その瞳に睫毛の影を落とし――。
「……倫太郎殿、もしかして少し疲れておりますか? いえ、……私ばかり楽しんでいるような気がして……」
 倫太郎の表情も、ずっと同じ表情で。
 眉を寄せた夜彦は、倫太郎殿は楽しんでおられますか、と少し肩を落とし――。
 はい~~。
 俺の恋人ほぼ幼女~~。
 俺、優勝~~。
 片手で掌で顔を覆った倫太郎は、片手を差し出してタイム申請。
 コン、コン、コン。
 机を叩いてノンアルコールのノンアルコールシードルのグラスを二つ取り出し。
 今アルコールを飲むと、めちゃくちゃになってしまった情緒が戻ってくる気がしなかった。
 ふう、と。
 細く細く息を吐いた倫太郎は、夜彦へとグラスを差し出して。
「――……うん、すまん」
 まずは謝罪。
「観覧車から見える全てを、あまりに無邪気に楽しむ夜彦を見て、うっかり悦に入ってた。……うん」
「……」
 倫太郎の言葉に夜彦は、瞳をぱちくり。
「ええと、……ならば、倫太郎殿は楽しんでおられた、と言うことでしょうか?」
「……うん、楽しい。滅茶苦茶楽しかった。……子どもみたいに無邪気なあんたは、俺だけの、……だし」
「……そうですか」
 ふ、と笑った夜彦はグラスを掲げて。
「乾杯しましょうか」
「――おう」
 頷いた倫太郎も、グラスを掲げて一口。
「……倫太郎殿が楽しければ、勿論私も楽しいですよ」
 なんて。
 夜彦は少しだけ視線を落としたまま、呟いた。
 空にはぴかぴか瞬く星空。
 窓の外を見下ろせば、彩られた美しい街。
 そして、目前には――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ユニ・エクスマキナ
清史郎くん(f00502)と

えぇー!?観覧車って空も飛べるの!!??
ユニ、初めて知ったのねー!
ゴンドラに乗るや否やスマホを構えて夜景を撮る気満々
わわっ、思ったよりも高いとこ飛ぶねぇ~
見て、清史郎くん!
街がキラキラしてかわいい!宝石箱みたい!
あ!写真撮らなきゃ!
…それ、夜景モードにしてる?
むむむ、ゴンドラの動きが速くてブレちゃうのね…
清史郎くんカメラ見て!(2人で記念撮影
二人ともいい笑顔♪
でも夜景わかんないのね…

このテーブル、コンコンしたらケーキ出るかな?
すごーい!スイーツしか出てこない!
さすが清史郎くん
ユニもいただきまーす!(ケーキの苺ぱくり
あまーい!美味しい~!
せっかくだし、交換こしよ!


筧・清史郎
ユニ(f04544)と

観覧車に乗るのは初めてだが…
成程、空を飛ぶ乗り物なのか(勘違い)
ああ、とても高いな、夜景が綺麗だ
冬の夜は空気も澄んでいて、確かに宝石箱の様な美しさだ

すまほ…
ふむ、俺もふぉとじぇにっくに挑戦してみようか(慣れぬ手つきでカシャリ
…黒い、な
夜景もーど、とは?
おお、そんな隠し技があったとはな、知らなかった
ふぉとじぇにっくとは、奥が深いものなのだな
二人で記念撮影も良いな(雅やかスマイル向けつつ

そうだな、折角だからコンコンしよう
甘味ばかりやたら沢山出てきたが…全く問題はない
甘いものはとても好きだからな(超甘党
では俺のチョコレートケーキと交換こしよう、ユニ
やはり甘いものは正義だ(微笑み



●ふぉとじぇにっく
 ぐんぐん風を飲み込んで、上空へと駆けてゆくソリ型のゴンドラ。
 きんと冷えた冬の夜風は、空気をきんと研ぎ澄ましているように感じられる。
「わわわっ、思ったより高いとこ飛ぶねぇ~」
 ふかふかの座席へと腰掛け、スマートフォンを撮影モードにして構え。
 窓の外へとシャッターを切るユニ・エクスマキナ(ハローワールド・f04544)は、畳んだ翼の先を小さく揺らして。
「あ。見て見て、清史郎くん! 街がキラキラピカピカしてかわいい! 宝石箱みたい……!」
「おお、確かに宝石箱の様な美しさだな」
 彼女の示す先。
 イルミネーションの灯る街へと視線を向けた筧・清史郎(ヤドリガミの剣豪・f00502)は、藍色の髪を靡かせた。
 窓の外を見上げれば、夜空を彩る星の瞬き。
 見下せば鮮やかな光をいくつも纏い、おめかしした街並みは夜にあって眠る事を忘れているようで。
 空を見ても、地を見ても、光に満ちた空の旅路。
 ぱっと顔を上げたユニは、清史郎を見上げ。
「けど。ユニ、観覧車が空を飛べるって、初めて知ったのねー!」
 観覧車と言えば、大きな車輪にゴンドラが取り付けられているモノだとすっかり思い込んでいたけれど。
 空を飛べる観覧車もあるなんて、と。ユニは柔らかく笑み。
「ふむ。俺も初めて観覧車に乗ったのだが……、確かに空を飛ぶ乗り物のようだ」
 顎に掌を当てて、成る程といった表情を浮かべる清史郎。
 ああっ、お客様困ります。
 キマイラフューチャーの偏った知識をスポンジのように吸収して、間違えた知識でお帰り頂く訳には……!
 しかしここは、空の上。
 二人の勘違いを止められる者は、存在していない。
 ユニは先程撮影した写真を、確認すべくスマートフォンをスワイプ、スワイプ。
「あ、ブレてる……」
 うーん。少しだけ唸る彼女。
 何枚撮影しても、イルミネーションが素早い心霊写真のようになってしまうユニの写真。
 そう。
 彼女には写真撮影知識こそあれど、腕前は付いてきていないし、センスもついてきていない。
 なんなら角度すら絶望的ではあるのだが――。
 でも写真を撮る事は映えるもの。
 手ぶれ加工だって流行っているから、これはコレで良いものね!
 今は巧く行かなくとも、沢山数をこなせば、きっと、たぶん、いつか。
「ふむ、折角ふぉとじぇにっくすぽっとに訪れたのだ、俺もふぉとじぇにっくに挑戦してみることとしようか」
 そんな彼女の様子に触発され、自分もスマートフォンを取り出した清史郎は、もた……もた……と。
 以前教えて貰ったカメラアイコンを何とか探しだすと、ぽちり。
「こうだったか?」
 そうして、撮影ボタンをタッチ。
 パシャシャシャシャ。
 激しいシャッター音を模した音が響き渡り。指を離すのが遅かった故の連写モード。
 何故連射されているかも分からぬ清史郎は、漆黒の闇に映り込む無数の光の球が斜めに伸びている、実に空虚な何も写っていない写真を大量撮影、大量保存。
「……ふむ……? 黒い、な?」
 おかしいな、こんなに外は鮮やかであるのに。
 闇よりも尚昏き写真を前に、清史郎はきょとんと首を傾げ。そこにひょこっと顔をだしたユニは、スマートフォンを覗き込んだ。
「……それ、夜景モードにしてる?」
「夜景もーど、とは?」
「暗い中でもシャッタースピードを落とすことで、綺麗に撮影する機能なのね」
「しゃったーすぴー……? ふむ。そのような隠し技があったとはな、俺の知らない事をユニは沢山知っているな」
 瞳を細めて微笑んだ清史郎のスマホを、ユニはぽちぽちと操作。これを、こうすれば夜景モードに――。
「あっ、でも。むむむ、ゴンドラの動きが速くてブレちゃうのね……?」
 うーん。
 それでもこういう時に、映えるためには――!
「よーしっ! 清史郎くんカメラ見て!」
「おお? 記念撮影か?」
 ささっとインカメラに切り替えたユニは、ぴっかぴか笑顔。
 合わせて、さっと撮影されるときの表情に切り替えた清史郎は雅に笑み。
 顔を寄せて、ぱしゃり。
 そうして完成した写真は――。
「わーい、二人ともいい笑顔♪」
「ほう、やはりユニはふぉとじぇにっくの手練れであったのだな」
 清史郎が感心した様子で頷くと、ユニは少しばかり照れ照れと笑って。
 あ、でも。
 この写真、二人に隠れて夜景が全く見えていない。
 ――けれど、笑顔が良ければ映えるもので。
 やっと満足の行く一枚を撮影し終えれば、ふ、とユニは顔を上げて。
「あ、そういえばこのテーブル、コンコンしたらケーキとか出るかな?」
「そうだな、折角だからコンコンするとしようか」
「やってみるのねー!」
 二人は向かい合ってノックの手。
 的確なタイミングで適切な場所を、コン、コン、コン。
「……わああっ、すごーい! 何、何、スイーツしかでてこないのね!? 清史郎くん効果!?」
 ユニの言うとおり、現れた食べ物はスイーツばかり。
 ういろう、おまんじゅうにケーキ、クッキーに、クレープにシュトーレン。あまいココアに――。
「わー、どうしよ、どうしよ! こんなに食べきれるかな?」
「甘い物は正義だ、全く問題はない」
 きりりと清史郎は今日一番格好良い表情。
 甘党としては、何の問題も無い状況である。
「た、頼もしい……!」
「少しずつ交換こしながら、食べるとしよう」
「わーい、いただきますっ!」
 ケーキの頭に乗った、イチゴをぱくり。
 ――空飛ぶソリの上。
 イルミネーションが外ではぴかぴか瞬いている。
 花より団子と古来より申しますが、花も団子も。どちらも楽しめるのならば、それに超した事はないでしょう。
 それではこれより。
 ふぉとじぇにっくスイーツパーティのはじまり、はじまり。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

深青・祁世
綾ちゃん(f01786)と

カクテルで乾杯
仕事終わりに大急ぎで来たから
フルートグラスの優雅さや
美しく整えた身形に反して
豪快に「この一杯の為に生きてるわ~!」な台詞を
堂々と言っちゃう

横柄な店長の愚痴とか
目一杯零してやろうと思ったけど
美味しいお酒の前では
どうでも良くなっちゃうから不思議よね

満足気な吐息に向けられた微笑に
笑みを深めて再び乾杯
今度はゆっくり珠玉のワインを

赤のセーターは橇の為の茶目っ気だったけど
帽子を被されて更にご満悦

どんな贈り物をあげましょうか

胸を張ったところで
どっかん、橇が揺れ
綾ちゃんを見れば
目を白黒させて鼻を抑えていたから

耐え切れず吹き出し
二人で笑い合う
何て賑やかで明るいクリスマス!


都槻・綾
f13155/祁世さん

美容師として日々働き詰めの祁世さんと
夜間飛行

年末年始の慌ただしい中でしょうけれど
せめてもの数時間
身も心も煤払いで息抜きしましょ

ね、と微笑んで
不思議なノックで現れた金の泡煌く美酒を掲げ、乾杯

煌く街灯りに瞳を輝かせ

色とりどりの飴みたいですねぇ
きらきらしていて美味しそうです

傍らの青年も柔らに目を細めたから
ふくふく笑んで

紅い衣の彼へ
赤い帽子を被せたなら
まるで
空を往くサンタのよう

私にも似合いの服を見繕ってくださいます?

なんて
言い掛けたところで
前方不注意にも
飛んで来た鳥とまさかの顔面衝突

赤くなった鼻の頭を擦り
肩を竦めて吹き出して
サンタとトナカイが揃いましたね、と
笑い止まぬあたたかな宵



●主役
 コンコンコン。
 すらりとしたフルートグラスに満たされた、泡沫弾ける金の美酒。
 薄いグラスを同時に掲げた都槻・綾(夜宵の森・f01786)と、真っ赤なセーターに身を包んだ深青・祁世(遥かなる青・f13155)は、二人向かい合ってグラスを傾け――。
 透明感の高い、甘めの喉ごし。
 弾ける泡沫が喉を通る感覚すら心地よく。
 一気にグラスを空けてしまった祁世は、ぷは、と息を零して。
「んーっ、この一杯の為に生きてるわ~!」
 獣の耳をぴんと立てて、ふかふかのソファに身体を沈めた。
 ――ここは空の上。
 ぴかぴかの光に彩られた街の上を駆ける、空駆けるソリの上。
 ――年末年始の慌ただしく忙しい中でしょうけれど、せめてもの数時間。身も心も煤払いで息抜きしましょ、なんて。綾に誘われ。
 美容師としてのお勤めを終えた後、その足でこちらへと訪れた祁世。
「もーう。店長の愚痴とか、お客さんの事とか。もーう、目一杯零してやろう! って思って来たのに。――美味しいお酒の前じゃ、どうでも良くなっちゃうから不思議よね」
 そうして肩を竦めて祁世はくすくすと笑って。
「お疲れ様です祁世さん。では、もう一杯空けてしまえば、次は疲労すら融けてしまうかもしれませんね?」
 冗談めかして口角をあげた綾は、新しいワイングラスに真っ赤なワインを注いで差し出した。
「あらやだ、勢い余ってブラックタールの身体みたいになっちゃったらどうしようかしら」
 グラスを受け取った祁世は戯け。コン、と机を叩けばワインに合わせてチーズの盛り合わせが顕れる。
 ゆっくりとワイン薫らせて。
 ふ、と窓の外へと視線を落とせば、色鮮やかなイルミネーションがちかちかと瞬いていた。
「輝く光が色とりどりの飴みたいですねぇ、……きらきらしていて美味しそうです」
 言葉紡ぐ綾の緑瞳に光が照り映え、彼は少し眩しそうに瞳を細めて。
「ホント。空からイルミネーションを見るなんて初めてだけれど、綺麗ねえ」
 祁世は美しき光景の煌びやかな光とチーズをつまみに、ワイングラスをちびちびと傾ける。
 そんな彼に、そっと近づいた綾が――。
「……あら?」
 そっと祁世に被せたのは、真っ赤な帽子であった。
 とびきり悪戯っぽく笑った綾に、祁世は一瞬だけきょとん、と瞬きを重ねて。
 それから頭に被せられた帽子に手を触れると。
 転落防止に備え付けられた窓に映った自分の姿をみれば、全て理解ができてしまった。
 そうして弾けるように彼は笑いを零す。
 空飛ぶソリに乗るのならばと、茶目っ気で着てきた真っ赤なセーター。
 しかしそこに真っ赤な帽子を合わせてしまえば――。
「あ、は、ははは。ふふ、好いじゃない。ふ、ふふ。――どんな贈り物をあげましょうか?」
 おかしくてたまらない、といった様子で口元を掌で覆って笑う祁世。
 なんたって、今日はクリスマスなのだから。
 空飛ぶソリに乗った赤い服で帽子の者なんて、サンタクロースに決まっているだろう。
 祁世の調子に合わせて、綾もふくふく笑って。
「それでは、私にも似合いの服を見繕って――」
 と、言葉を紡ぎ掛けた綾が言葉を紡ぎきる事は出来ない。
 何故かと言えば。
 転倒防止窓の上から鳥が飛び込んできて、正面衝突してしまったものだから。
「っ!?」
 鼻と嘴がまともにぶつかり合い。
 驚いた様子でばさばさと空に帰って行く鳥と、勢い余って強かに背を打って床へ倒れた綾。
「まあ、綾ちゃん大丈夫?」
「……まさか、鳥と事故をおこしてしまうとは……」
「そうねびっくり……」
 手を差し出した祁世はその体勢のまま、目を見開き――。
「……? どうされましたか?」
「あ、綾ちゃん。鼻。鼻、……赤くなってる」
「……おや。本当ですね」
 鼻頭をさすりながら窓に写る自らの姿を確認した綾は、肩を竦めて。
「ならば――これでサンタとトナカイが揃いましたね」
 真顔で言ってみせるものだから、祁世が吹き出し。結局、綾もつられるように吹き出してしまう。
 サンタとトナカイが二人笑い合う、空の上。
 この分なら、心の煤払いなんて直ぐに終わってしまうかも知れない。
 気の置けない仲間と一緒に。メリークリスマス!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

クーナ・セラフィン
ふむ、妖精。
観覧車と言えばメルヘンで穏やかでゆったりしたモノと聞くけど、
ポップでサイバーパンクな観覧車…一体どんなものなんだろう。
興味を感じたら見に行かなくちゃね。

夜の部で。
…これ、観覧車?(実物見て)
何かすごく車輪とかなしに飛び回ってるけど…街を観覧する車、うん間違いじゃないけど。
乗ってみると遊びに特化したようなキマイラ達の流行の一つ、これは中々。
コンコンコン、としてみればなんかクリスマスっぽいご馳走が。
ゆっくり優雅に頂きつつ、街の夜景を眺め。
空から見るポップな街並みの夜景の色合いは他の世界では見れない新鮮味。
それでも星空の方は相変わらずで、そんな風に冬の夜を楽しむよ。

※アドリブ絡み等お任せ



●ねこと妖精
「あー、なるほどにゃ。妖精って名前は、フェアリーとフェリスの韻を踏んでいるんだね」
 観覧車だと聞いてやってきたクーナ・セラフィン(雪華の騎士猫・f10280)は、ふうん、と喉を鳴らして。
 ふかふかのソファに身体を沈めれば、座り心地は上々だ。
 観覧車といえば、大きな車輪にゴンドラがくっついているのが相場、というよりはそのものであるはずだけれども。
 この観覧車を名乗るサンタのソリは、自動で空中走行。
 車輪も無ければ、ゴンドラですらない。
「街を観覧する車と思えば、……間違えじゃないけれど」
 いや、ソリだけれども。
 まあ、まあ。
 ――何にせよ、楽しむと決めたならばやることは一つでも多い方が良い。
 遊びに敏感なキマイラ達が流行として楽しんでいるという事は、楽しめば楽しいという事だ。
「さってと、早速ご馳走を頂こうかな」
 コン、コン、コン。
 机を叩けば顕れる。
 大きなチキンに、大きなケーキ。
 大きな飲み物に――。
 そう、それらはケットシーであるクーナにしたら大きいだけなのだけれども。
 大きな食べ物は、それだけで気分が良くなってしまうものだ。
「いっただきまーす!」
 大きなナイフでチキンを切り分け、大きな口で齧り――。
 ふ、と見下ろす窓の外。
「……やっぱりこの世界のイルミネーションは、他の世界と比べて色数が多いねー」
 両手でグラスを抱えてホットアップルサイダーをちびちびと文字通り舐めて。
 ――それでも。
 空を見上げれば他の世界と同じように、ちらちらと星が瞬いている。
 世界が変われば変わるもの。
 世界が変わっても変わらないもの。
 クーナは小さく肩を竦めて。
 極彩色に彩られた、冬夜の街並みを見下ろした。
「メリークリスマス、にゃんてね」

大成功 🔵​🔵​🔵​

アンコ・パッフェルベル
良ければいすゞさんとお話してみたいのです。
アドリブもりもりでいいですよ。

どうもどうもっ。
や、この前のお仕事ではナビありがとうございましたです。
少しの間でもお楽しみ頂ければ…む。
その可愛いコーデ…もしかしてすけぢブランドのやつです?
グッドです!

んーっ。ここのご飯めっちゃ美味しいですっ。
コンコンコンの中でも選りすぐりって感じで…。
季節限りの景色も素敵ですし、いすゞさんには感謝感激雨あられです。

おや、あの広告は。戦争の幹部さんたちでしたっけ。
例えオブリビオンになってもブームに罪なしですか。
キマフューの皆さんの懐の広さを感じるですね。

ふふ、楽しいひとときでした。
いすゞさんとはまたお会いしたいものです。



●アンコときつね
 アンコ・パッフェルベル(想い溢れるストライダー・f00516)が、転送を終えてぶらぶらしているいすゞを捕まえたのが先程。
「ふふふ、どうもどうもっ。や、この前のお仕事でもナビをして貰ったものですから、一度お礼をと思っていたのです」
「いいえいいえ、こちらこそお仕事して貰えて何よりっスよォ」
 アンコといすゞは向かい合う形でソリのソファに腰掛けて、礼を交わし合い。
「……で、その可愛いコーデ、もしかしてあのブランドのやつです?」
 グッドです、と。
 仕事中でも敵のファッションチェックをしてしまうほどオシャレ好きのアンコとしては、ずっと気になっていたのだろう。
 チキンソテーを一口大に丁寧にきると、ぱくりと一口。
「へぇ、へぇ、そうッス。よく分かったっスねェ。最近ちょくちょくと贔屓にさせてもらってるンスよ。あ、センセ。醤油取って貰えるっスか?」
「はい、どうぞ。――んー、それにしてもここのごはん、めっちゃ美味しいですねー」
「この辺じゃァ、一番美味しいって評判だそうで。紹介した方とすれば、そう言って貰えるとなんだか嬉しいっスねぇ」
 いすゞが狐みたいな表情で笑みを深めると、アンコはくすくすと笑って口元を覆って隠して。
「いえいえ、季節限りの景色も素敵ですし、いすゞさんには感謝感激雨あられです」
「あっしも大概っスけれど、センセもまあまあ大袈裟っスよねェ……」
「ふふふ、本心なのです。…………おや?」
 ふ、と。
 アンコはイルミネーションの一つと視線がぶつかる。
 それは、過去の戦争で倒した幹部達。
「――例えオブリビオンになっても、ブームに罪無し、ですか。キマイラフューチャーの皆さんの懐の広さを感じるですね」
 そもそも彼等は元はと言えば、キマイラフューチャーが一度滅亡する前に世界を成立させた者達であった筈だ。
 キマイラとしては、ブランドの看板として見たことがあったとしても、面識のある者達では無い筈で――。
「……そもそも、骸の海からにじみ出たモノは、生来のモノと変質してるそうっスから――元々はめちゃくちゃ良い人だった可能性もあるっスけれど。……いや、暴れてるのも見てるンスから、そう思えばやっぱりきまいらのセンセ達は皆めちゃくちゃ懐が深いっスねェ」
「ですよねえ」
 うん、うん。
 パンをかじりながらアンコの言葉に頷いたいすゞ。
 キマイラはめちゃくちゃ懐が深い。
 美味しい食事と、綺麗な風景。
 空飛ぶソリの上で二人の少女は、他愛の無い話を重ねて。
 ――しかしそれもまた、楽しい一時であるのであろう。

 瞬くイルミネーション。
 揺れる食事の湯気。
 乾杯にグラスを交わして。
 ――猟兵達のクリスマスの夜は、更けてゆく。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年12月31日


挿絵イラスト