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海琥珀の町の防衛戦

#アックス&ウィザーズ

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#アックス&ウィザーズ


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「金の匂いがすル」
 そう呟いた呪飾獣は、遠くを見るように身体を伸ばした。
 とある街道が一望できる丘陵地。遠目には海が見え、そこを要とした交易が行なわれていそうだ。
「おかしら?」
「次のおたからを見つけたんで?」
 配下の山賊たちが、どこだどこだとあちこちへ目を向けた。
「おかしらは、ようおたからの匂いをかぎ分けますね」
「おたからのためなら、へへ、畜生働きも仕方ねえこってさ」
 山賊の持つ山刀は、それこそ斬れ味は保たれたままだが、こびりついた赤黒の汚れは数多の人を殺してきた証。
 弱者を叩き殺すための棍棒を備え、腰袋には金の類とは別に沢山の石を持っている。
 金の好きな者もいよう。だが大半は殺しを好む山賊ばかり。
 血気盛んな配下を尻目に、呪飾獣は最適な襲撃ルートを割り出すか、力押しで行くか、しばし考える。
 海近くには山がある。
 この丘陵を下れば草原が続き――海沿いと草原を隔てるのはやや広大なマツ林だ。
 要所には砦があれど……、
「……まア、何があろうと、潰すまでダ」
 呪飾獣は踏み出す。所詮相手は脆弱な人なのだから、と。
 海琥珀の採れる町へと向かって――。


「猟兵の皆さん、こんにちは。
 早速だけど、依頼よ」
 ポノ・エトランゼ(エルフのアーチャー・f00385)がグリモアを手に、猟兵たちを迎え、告げた。
「今回向かってもらいたいのは、アックス&ウィザーズ世界。
 とある海辺の町に、オブリビオンの魔の手が迫ろうとしているの」
 海辺の町の特産品として海琥珀があるのだが、それを狙いに山賊たちが攻め入ってくるというポノの予知。
「幸い、まだ日はあるから、迎え撃ちましょう。
 町の郊外には、程々の防衛体制があるのだけれど、それはそれなりな強さのモンスターに対するものなのよね。
 現地の人は最近のモンスター……オブリビオンが、日に日に強くなっているのを感じとっているけれど、それに対しての防衛体制が間に合っていないみたいなの」
 モンスターを倒す冒険者や、防衛する自警団は疲労が重なり、悪循環を呼びつつある。
「それで、最初にやることとして、皆さんにお願いしたいのが、防衛体制を整えるお手伝いというわけ。
 今回の山賊たちは、皆さんにお任せすることになるのだけど、その後のことも考えると、補強はしておいた方が良いと思って」
 素材を集めて、町の人と罠を作ったり、砦を築いたり補強をしたり。
 と、ポノ。
「罠か……何か思いつくかな」
 猟兵が呟き考える。
「簡単な鹿砦はマツ林のなかにあるから、それで充分かもしれないけどね」
 街道には砦があるので、そこは確実に避けて進むだろうとポノは言った。
「海辺の岩や、ちょっと遠いけど川を辿った先にある山付近で素材を集めると、琥珀が採取できるかもしれないわね。
 防衛のための素材を集めつつ、琥珀の採取もやってみると良いかもしれないわ。
 それじゃあ、頑張っていきましょう」
 そう言って、ポノは猟兵たちをアックス&ウィザーズ世界へと導くのだった。


ねこあじ
 ねこあじです。
 今回はよろしくお願いします。
 海沿いの町を守る戦いです。

 第一章では、防衛体制を整えるための準備。
 メインは素材集めです。
 罠も何か良さげなのを思いつけばどうぞです。

 ↓ざっくり位置関係としては、


マツ林
草原
丘陵

 となっています。
 側面に山や森(地層・洞窟あり)があると考えてください。
 なお、海辺でも有用な岩があるものとします。

 第二章では、迫る山賊との戦いです。
 舞台は海辺の町を背に、マツ林や草原での戦いになるかと思います。

 第三章では山賊の頭との戦い。

 それでは、プレイングお待ちしております。
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第1章 冒険 『砦の素材集め』

POW   :    洞窟から有用な岩や鉱石を大量に掘り出し、気合で運び出す。

SPD   :    敢えて危険なモンスターの跋扈する地に赴き、身を隠しながら落ちている竜鱗や竜骨を拾い集める。

WIZ   :    森や草原にて高い粘性を持った草や強度の優れた木材などを見定め、それらを集める。

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

蔵座・国臣
町の端にキャンプを張らせてもらおう。
町の医院を間借りさせてもらえるならば、それでもいい。

私は医者として活動する。

砦の設営とはまた違うが、素材を集める人手の確保も必要だろう。
今までモンスターに対応してきた自警団、冒険者の中に怪我人もいることだろう。流石に、猟兵が素材集めで怪我をしてくるとは思いたくないが。

ユーベルコードも使って治療してみせれば、信用も得やすいと思う。
山賊の襲撃までに十全に体調を整え、襲撃後も十分な治療を受けられると知らしめれば、砦の強化にも防衛戦にもモチベーションを保てるのではなかろうか。


榛・琴莉
WIZで判定、森で木材を探してきます。
罠を作れる知識は無いので、素材集めに助力。

砦を築くのに、強度のある物と…良くしなる物があれば、罠に使えるでしょうか。
木材の種類や性質にはあまり詳しくないので、
森へ向かう前に町で【コミュ力】を活かして【情報収集】しておきます。
木や森に詳しい方が良いでしょうか…木こりや猟師の方が居れば良いんですけど。
他にも、森で集められるものが無いかも聞いておきたいです。
丈夫な蔓植物とか?
「この付近で、盗賊が目撃されたと聞きまして」
それを追って来た冒険者、という事にしておけば良いですかね。
海琥珀が狙われる可能性があり、厄介な相手なので襲撃に備えておきたい…といった感じで。


イヴ・ユークリッド
WIZ:森や草原にて高い粘性を持った草や強度の優れた木材などを見定め、それらを集める。

「こんな綺麗な所にも悪党やモンスターはいるんだね」
「まずは防衛体制を整えるための素材集めだね。頑張るよー♪」

森、マツ林、草原を主に捜索して使えそうな物を探す。
凄い頑丈な蔓、なぜか高い所から落とすと炸裂する松ぼっくり、
水飴の様にねればねるほど硬度が増す不思議なハチミツ、
夜になるとランプの様に明るく光る花、
瓶に水と一緒に入れて約一分間振るうだけで回復薬になる葉っぱなどなど不思議な素材を集める。

重い木材などの素材は他の猟兵達に任せる。
ある程度素材を集め終えたら町に戻る。

アドリブ・他の猟兵との絡みなど歓迎です。


ジャハル・アルムリフ
師父アルバ(f00123)と組み

樹々が生み出す美しい宝石だったか
ならば行くべきだな、師父
目は付いているが

師の助言に従い、洞窟や海辺から岩を運ぶとしよう
次はどれだ

怪力を活かし土台と成り得る堅固な岩
登坂を防げる、鋭角な断面を作れる岩
非力な者らでも上から転がし落として武器に出来る脆い岩

師父、光を貰えないか
岩を洋燈で照らし
その狭間の光にも目を凝らしてみる
琥珀の輝きを見つけたなら、戦果は上々
うむ、一層働かねばならんな

猟兵外の者らも動けるよう役割を提案、鼓舞しておく
敢えて手薄そうに見える部分を造って
大穴を掘っておくのも良いのではないか
後は投石紐で迎えてやれ

…琥珀よ、癒しの力とやらは大事にとっておいてくれ


アルバ・アルフライラ
ジジ(f00995)と
お前、本当に美しい物に目がないな
…知っているか、ジジ
琥珀は触れた者の心を癒す作用があるらしい

力仕事に向かぬ身であれど、ある程度の知識は備えている
その場の地質や色等からどの様な特徴を持つか判別及び鑑定
石英を多く含む岩ならば耐久性に優れるだろうし
脆く軽い岩も、転がすならば小さく多くの方が良かろう

光灯す洋燈を地層へ翳したならば僅かな煌きすらも見逃すまい
樹木が生えていたであろう地層ならば、琥珀も見つかるやも知れぬ

現地の者達も疲労が蓄積していると聞く
ならば【賢者の提言】を用いて激励の言葉を掛けよう
――此処は彼等の守るべき地だ
我々は、その助力をするに過ぎぬ

(ジジ以外には猫被り、敬語)


寺内・美月
【POW】
『戦闘団召喚』にて工兵大隊を召喚して作業する
・丘陵地帯に見張り台を建築する
・草原に草結びや段差を作り、相手が転倒しやすい様にする
・平原と松林の間に柵(木材)の設置と空濠を造設し、空濠には松林の鹿砦を設置して容易に渡れないようにする(平時には逆茂木を外して害獣除けと排水路として使う)
・柵の内側にバリスタを設置して接近する敵を狙い撃てるようにする(射場にして普通の弓で狙うのも可)
・町と松林の間は町の発展も考慮し木材で壁を作る
・町の一角に住民が避難・防衛ができる小型の砦を(地層の岩で)造り、平時は自警団本部として利用する
・近隣の町や砦との音や光・狼煙を使った早期警戒システムの構築


ネリッサ・ハーディ
防御戦になりますから・・・必要となる素材集めを行います。
具体的には、強度に優れた木材を集めましょう。
選ぶ際には、年輪等で中の密度がしっかりしている木を選ぶこと。
それに、倒木などの場合、可能だったら良く乾いてる木を選別するのがいいですね。
この手の知識なら、以前の職業柄持ち合わせています。
限りある物を有効に使用する・・・初歩中の初歩ですね。
あと余裕があって、尚且つ適度な地形があったら、罠を仕掛けます。
具体的には、木の棒を尖らせた杭を落とし穴や木の上から落下する様に設置します。
別に罠で敵を倒すのは期待してません。敵に手傷を負わせる、もしくは士気をを下げさせれば十分です。




 町に入った猟兵たちは、なだらかな道を下っていく。
 潮の香りに満ち、感じる活気は海辺ならではのものだろう。
 されど、この町の規模にしては、やや警備が手薄に感じた。
「こんな綺麗な所にも悪党やモンスターはいるんだね」
 イヴ・ユークリッド(DIVAの半身・f01923)は一望できる青の水平線を眺めながら言った。
 人に尋ねれば、役所の様なものがあるという。
 猟兵たちはまずはそこへと向かった。

「この付近で、盗賊が目撃されたと聞きまして」
 落ち着きのある声で、町長へと説明するのは榛・琴莉(ブライニクル・f01205)だ。
「ほう、それを追ってこられた冒険者の方々ですか」
 いかにも強面の漁師といった風の町長は、琴莉たち猟兵を見やった。
「海琥珀が狙われる可能性があり、厄介な相手なので襲撃に備えておきたいのです。
 出来る限りの助力をします」
 防衛のための補強を提案する。
 説明を受け、琴莉が透徹な黒のまなざしを見た町長は一つ頷く。
「それは、とてつもなく有り難い。こちらこそ、ご協力を仰ぎたく存じます」
「まずは防衛体制を整えるための素材集めだね。頑張るよー♪」
 と張り切るイヴの声に、猟兵たちは頷いた。

「三日前にモンスターが二体。町に向かってきて、倒すのに、三人が殊更重い怪我をしちまったんだ――ああ、ここだ。この町唯一の医院だ」
 昔は追い払うだけで良かったが、最近獰猛になっているモンスターは容易に人を襲う。
 毎度怪我人は十数と出るのだが、前回は重傷者が三人も出てしまった。
 案内役の町人と蔵座・国臣(装甲医療騎兵・f07153)が医院へと入る。
「失礼する」
「サット先生! 冒険者さんと一緒に来なさった医者先生が話がしてえってよ」
「――?」
 三十代半ばの男が出てくる。名乗った国臣が医者として活動しにきたことを告げると、
「そりゃ、手はありがてえが――」
 医者でありながら、町長と同じくどこか漁師を感じさせるサットが奥を見やった。
 換気はされているが熱のこもった部屋の寝台には、意識のない三人。呼吸は荒い。
「まずは重傷患者の治療をしよう」
 国臣が医療用ナノマシンを放ち、戦線緊急治療を行なえば、目に見えて三人の呼吸が落ち着いた。
「クレリックみたいな……あんちゃん、クレリックなのか?」
「医者だ」
 癒しの力をみたことがあるのだろう、直ぐに包帯を外し体の具合を見て取ったサットの言葉に、国臣は端的に応じた。
 すぐに目を覚ました三人は、良く寝たという風に体を起こし伸びをする。
 彼らの面倒を案内役の町人に任せ、国臣はサットと共に現在怪我をして自宅療養中の患者のリストを見ていく。
「結構多いが、大丈夫か?」
 サットが尋ねる。
 自警団の者、駆り出された町の者、冒険者はそれぞれの職業が記載されており――癒し手はいないようだ。
 彼らを治療していくとなると、医院では手狭になる。
「療養中の冒険者たちは、今は何処にいるのだろうか」
「簡易宿泊所だな。宿屋じゃ支払いが大変だろうし、そっちへ移ってもらったんだ」
 町のために戦ってもらったのだから、という配慮。
 聞けば、元は町人の集会所として使われており、敷地は広いという。
「ならば、そこにキャンプを張らせてもらおう。
 防衛のための人手の確保も必要だろう――出来れば、皆、治療したいと思っている。
 万全な状態で敵を迎え撃つのも重要だろう」
 さらに襲撃が起こった際の治療も手早く行えるし、
(「流石に、猟兵が素材集めで怪我をしてくるとは思いたくないが」)
 念には念をというものだ、と国臣は考える。
 その時、彼の言葉を聞いたサットは笑顔で、バシッと国臣の背中を叩いてきた。
 ややよろける国臣。痛かった。
「よっしゃ! じゃあ炊き出しもしちまうか!
 滋養ある食い物を腹に入れれば、海の男は百人力ってもんよ!」

 コミュ力を活かして情報収集をした琴莉と共に、森へとやってきた猟兵と町人たち。
 彼女が探した木こりと猟師の一団の同道が心強い。
 何事も段取りは必要で、一つ一つ、確かな手を打つ琴莉の姿は頼もしいものである。
 採取は、いくつかの班に分かれて行われることとなる。
 強度のある木材の調達を担うのは、ネリッサ・ハーディ(ナイフ・アンド・コーツ・f03206)たちだ。
「選ぶ際には、年輪等で中の密度がしっかりしている木を選ぶこと。
 木材の密度が高くなると弾性と耐久性も高くなります。
 それに、倒木などの場合、可能だったら良く乾いてる木を選別するのがいいですね」
 情報機関に在籍していたネリッサの知識は確かで、琴莉は成程と頷いた。
 皆と打ち合わせ、作られたリストを手にイヴは「いってくるねー」と言って、皆と共に散開した。
 このまま進めばマツ林と草原だ。
「あ。あれが炸裂する松ぼっくりだね」
 山側に近いマツ林では、なかなか過激な松ぼっくりがある。
 高所から勢いよく落ちると炸裂するという物で、それを採取していくイヴたち。
「サットさんからの頼み物もあるんだよね?」
「ああ、炊き出しをするから滋養のあるものの採取だったか」
 イヴの言葉に、木板に記載されたものを掲げる猟師。
「あとは――回復薬になる葉っぱだね」
 町の備蓄も尽きかけているようで、調達を依頼されたものだ。
 草原では葉を見分け、採取していく。
「ここで採れるものは、これで終わりね」
 籠に入れ、背負うイヴ。森の合流地点へと戻れば、様々なものが集められていた。
 森では、水飴の様にねればねるほど硬度が増す不思議なハチミツ。
 夜になるとランプの様に明るく光る花は植え替えるように、根と土ごと。
 イヴは使えそうなものを採取していった。
 そうやって進んでいった場所では、琴莉が辿る様に何かを見ていて、不思議に思ったイヴは近寄っていく。
「この蔓植物、使えそうではありませんか?」
 琴莉が指さす先に、丈夫そうな蔓がある。
「あ、本当だね。凄く頑丈そうー」
 木こりに聞けば使えそうだと頷かれた。
「それと、ハシバミさん。しなる木も見てもらいたいんだが……」
「わかりました」
 木材集めをする琴莉は、その上で木こりと一緒に罠に使えそうな物を探す。
(「限りある物を有効に使用する……初歩中の初歩ですね」)
 と、ネリッサは木こりからこの土地の日照、寒暖、と情報を聞き、木々の目利きをしていく。
 資源の無駄が出ないようにと適切な木を選んだ。
 木の選定は杭とするものまで及ぶ。
 結構な量となったが、今日中に終わらせなければならないものでもない。
 町の人たちと協力しあいながら、猟兵は調達に奔走した。

 山賊の襲撃までに十全に体調を整え、襲撃後も十分な治療を受けられると知らしめれば、砦の強化にも防衛戦にもモチベーションを保てるのではなかろうか――という国臣の行動は最善であった。
 治療を行い、元気になれば、腹が減る。治癒した者たちへ滋養のある料理が作られていく。
 同時に薬の備蓄である。
 瓶に、日中採取した葉と、水と、幾つかの木の実を調合した粉を入れて、約一分間振るい回復薬を作る手伝いをするイヴ。
 植物起源の生薬が多くあるアックス&ウィザーズの世界には、生活の知恵ともいえる民間薬、民間療法が土地ごとに様々とある。
 それらを聞き、時間が取れれば国臣は記録していく。
 サットが持つ資料もあれど、今は読む時間が見出せない。
 まあ、まだ日はある。
 猟兵たちは盗賊たちの襲撃に備えていった。


『確か琥珀は、樹々が生み出す美しい宝石だったか。
 ならば行くべきだな、師父』
 ジャハル・アルムリフ(凶星・f00995)の言葉は記憶に新しい。
 露店に並ぶ大小様々な琥珀を眺める彼の姿に、アルバ・アルフライラ(双星の魔術師・f00123)が、息をつく。
「お前、本当に美しい物に目がないな」
 声を掛ければ、ジャハルの七彩る眸へアルバの色が差した。
「目は付いているが」
 と言うジャハルに、そうではない、とばかりに手をひらりとさせるアルバ。
「……知っているか、ジジ。琥珀は触れた者の心を癒す作用があるらしい」

 猟兵たちは町人と共に、海辺の脆く軽い岩の採取と、登坂を防げる鋭角な断面の岩を揃えた。
 そして本日、アルバとジャハルはドワーフたちと共に海辺続きにある洞窟へと向かう。
 洞窟は、内部から大量の水が流れ出てそのまま海へと合流していく。
「恐らくは、この辺り一帯は大昔、マツの大森林だったのでしょう」
 岸に流れ着くという海琥珀が多く産出される理由。アルバの推測はドワーフに向けられたもの。
「ぬしの言う通りなのじゃろうな。
 洞窟の奥から流れてくる場合もあるでな」
 傾斜を利用し造られた海辺の町は、長い年月をかけて削られた地を利用したものだ。
 歩めば歴史の見える町である。
 洞窟の奥へと進めば、潮の香りは薄れ、湿度濃い水の香り。青みがかった匂いは苔と窟内の独特な植物。
 アルバは地面、そして側面を見ていく。
「石英を多く含む岩ならば耐久性に優れるでしょうね」
「ならば、左奥に進むかの」
 アルバの言に、ドワーフは案内する場所を決めたようだ。
 一度下り、再び上るという道程ののち、耐久性に優れた石が採れる場へと着いた。
 怪力を活かすジャハルを筆頭に、採掘作業が進められていく。
 その時、
「師父、光を貰えないか」
 ジャハルの声に、アルバは地層に向けて光灯す洋燈を翳した。
 そこには光を取りこみ輝く黄褐色。
「うむ、一層働かねばならんな」
 石を見、改めて活力を蓄えたジャハルは頷く。

 時折、琥珀、半化石のコーパルを見つけながらも、猟兵とドワーフたちは採掘を終えるのだった。

 賢者の提言を用いて、アルバが激励の言葉を掛ければ、海辺の男たちの士気が上がる。
 そして防衛のための罠や、柵作りに取り掛かった。
「――此処は彼等の守るべき地です。我々は、その助力をするに過ぎないのですから」
 彼の言葉に、寺内・美月(地獄雨の火力調整所・f02790)たち猟兵も頷いた。
「それでは、今は、その助力に尽くしましょう」
 美月が戦場となるであろう草原で、一歩前に出た。
「全隊に命令――」
 そう言えば、空気が変化した。
 一体、また一体と増えていく気配に、ハッとした猟兵は思わず見回した。
 三体、四体、五体と。
 視認が追いつかない速さで、あっという間に旅団戦闘団に編制された各部隊の霊。
 戦闘団召喚。
 整然と列するのは工兵大隊と支援大隊。
「――行動開始」
 美月が告げれば、部隊が己の役割のため散開する。
 切り出した木材で、丘陵地帯に見張り台。
 ややマツ林近くの草原では、転倒させる目的で、草結びと段差が作られていく。
「は、早っ……」
 猟兵が呟いた。手際が段違いである。
 記載した項目を印付けて、美月は戦闘団へ次の命を出す。
 草原とマツ林の間には、やや高めの木柵を設置し、更に空濠の造設。
 ふと、全体を見回したジャハルが美月へと声を掛けた。
「この部分、十数メートルは少々柵を薄く頼む。
 敢えて手薄そうに見える部分を造って、誘いこもう。
 事が終われば、他同等に設置するつもりだがな」
 第一、第二、第三と続く仕掛けである。
「了解しました」
 応じた美月が部隊へと再命令を出した。
 ややぐるりと回った位置の柵は、押せば簡単に倒れる仕掛け。見た目もそれなりだ。
 後で見出せるように、ランプの代わりとなる花をいくつか密集させ植えておく。
 この部分の柵向こうは、一見、安全に見える路となる。
 それ以外――空濠には、運ばれたマツ林の鹿砦を設置して、外敵が容易に渡れないようにし、なおかつ柵の内側にはバリスタが設置されるようだ。
「どんどんと要塞化していくねー」
「敵さん、泣くんじゃないか……? い、いや、同情じゃねぇぞ、決してな」
 イヴの言葉に、サットが呟く。
「平時には、逆茂木を外して、害獣除けと排水路として使ってください」
 美月の言葉に、町長はブンブンと何故か勢いよく頷いた。
 射られた場合に備え、身を隠せる柵の厚みを確認したネリッサは、次に射界の把握を行い、元気になった冒険者たちへ射位の確認を取らせた。
 弓矢、剣の調達は琴莉を中心に行われ、手際よく集められていく。
「盗賊が、この柵を越える頃合に速やかに退き、次の手に移ります」
 と、美月。
 一団はマツ林へと本格的に移動し、大穴や小さな穴を掘り、それぞれ罠を仕掛けていく。
 冒険者とともに投石紐を用意するジャハル。
「投げるのは得意だな」
「そうか。頼もしい限りだな」
 冒険者の言葉にジャハルは頷き応じた。
 ネリッサは先端の尖った杭を放てるように、身軽なエルフと共に林の上へと仕掛けていく。
「これで盗賊は倒せるのか?」
 町に暮らすエルフの一人が言えば、ネリッサは「いいえ」と応じた。
「罠で敵を倒すのは期待してません。
 敵に手傷を負わせる、もしくは士気を下げさせれば十分です」
 追撃すれば、容易に仕留められるだろうとネリッサ。
 丈夫な蔓は二本のマツに結べば、単純ながらも決して負けない引っ掛けになる。
「……後は、先を考慮すれば、こちらもやっておいた方がよろしいでしょう。少し、よろしいですか?」
 美月に呼ばれ、町長が近寄っていけば、三拍置かない間に部下が役所へと走っていった。

 町とマツ林の間に、木壁。さすがに木材が足りなくなり、両端側は石が積まれた。
 町の一角の空いた場には、住民が避難・防衛ができる小型の砦を地層の岩で造られた。
「こちらは、よければ平時の自警団本部としてお使いください」
「え、ええ、ありがたく、考慮させていただきます」
 美月の言葉に、町長は自警団の団長を肘で小突きつつ応じる。

 やれることは、すべてやった。
 猟兵たちは盗賊の一味を迎え撃つべく、一時の休息を取る。



 日中。海沿いの町を見つけた盗賊たち。
 呪飾獣はしばし考え、やや遠目にある見張り台を見やる。
 無人のようだ――視線を元に戻した。木柵の向こうには空濠とマツ林が広がっているようだ。
 海から吹く風が強く草原を駆け、軌跡を見せた。
「決行ハ、いつものように、夜。それまで充分に体を休めておケ」
 呪飾獣の声に盗賊たちがまばらに声をあげた。
 来た方角へやや戻り、それぞれが休憩へと入った――その時、無人と思われた見張り台から、一瞬だけ微かな光。
 それは、町の方では、きちんと捉えることのできる光であった。

 時は進み。
 闇の中、微かに草が擦れる音。
 点在する花の明かりを避け進むそれは、風に紛れれば聞きとれない程度の音だ。
 息を潜め、されど心拍の上がらないよう調整された進みだったが、
「……ハッ」
 一人の盗賊の、我慢ならぬという呼気。
 もう少し迫れば、歓迎するかのような明かり花。
 途端、一気に静寂が破られ、ガサガサササッと草音があちこちから激しく立ち始めた。
 木柵へと彼我の距離を詰める盗賊たちに――事が、生じた。
「がっ!?」
 足を取られ、転倒する前方の盗賊を明るく光る花が照らし、見る、という動作を他者がした時には矢が突き刺さっている。
「な、なん……っ!」
 刹那、重音。
「がっ」
 音が届いた時には隣の仲間が吹っ飛んでいる。
 衝撃に吹っ飛んだ盗賊が、いてぇぇぇ! と叫び、その『矢』を抜く。だが抜けたのは軽い木柄で、投擲体の太い鏃は体に食いこんだままだ。
 血を吐き、目線を上にあげれば、次なる矢が射られる。
 盗賊は絶命した。
 鋭利な爪を振るい、矢を防ぐ呪飾獣。
「……フム」
 呪飾獣は呪詛を放ち、その呪縛により、一時的な矢止めを行なった。
「!」
 朧な光のなかの非現実的な光景に、猟兵は次なる一矢を、冒険者たちは息を呑む。
 その効果をほんの少しの間だけと知る盗賊たちは、駆ける。
 急ぎ柵内から矢を放つも、唐突に半回転した盗賊たちが矢を背に受けた。
 突き刺さる衝撃か片脚を地に着いた――否、直後、後続の盗賊何体かが高く、跳躍したのを猟兵たちは視認した。
 土台となったか。
 その認識の間に、土台となった盗賊を踵を返し、次なる手を見出そうとしている。
 上。二、三、四――六。
 柵上に降り立ち、更に跳躍しようとしている身体能力は、ヒトのものではない。
 前進のための跳躍が行なわれた時、真下から射貫く矢、空濠向こうから放たれる投石紐。
 落ち、鹿砦の突き刺さった盗賊の悲鳴が上がる。
 同時に、
「撤退!!」
 猟兵が声を上げれば、即座に冒険者たちがマツ林へと駆ける。戦線の移動だ。
 撤退がてら投げられた松ぼっくりが、パン! パパパパン!! と弾け連なっていく。
 落ちた盗賊が、鹿砦を運良く避けられても、登坂するにも鋭利な石が邪魔をする。
 その間行われる猟兵たちの追撃に、六体の盗賊が倒されていった。
 最初の盗賊の悲鳴と不明な音に、外の者は次の手を取ったのだろう。
「おかしら! こっちでさ!」
 向こうの柵が壊され、複数の盗賊たちがマツ林へと駆けて行く。
 丘陵地からは見えなかった花の明かりが、林中にぽつりぽつり。
 それを見て、猟兵たちがマツ林へと駆ける。
 横手からは盗賊たちの新たな悲鳴が次々とあがり、罠へ掛かっていくのが分かった。

 後は――、一気に畳みかける!
 十体ほどを倒し、手負いの盗賊は多数。最善の状態で、猟兵たちの追撃が行なわれようとしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『山賊』

POW   :    山賊斬り
【装備している刃物】が命中した対象を切断する。
SPD   :    つぶて投げ
レベル分の1秒で【石つぶて】を発射できる。
WIZ   :    下賤の雄叫び
【下卑た叫び】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
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 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

触叢・アン
怒涛の如く、宇宙原付で突き抜ける!
上から踏んだり轢いたり背中ドスンしたり。(踏みつけ1/騎乗6/操縦8/鎧無視攻撃5)
通り抜け様に(2回攻撃1)密集地にマシンガン(範囲攻撃5)
敵の攻撃より速く突き抜け戦場離脱…を繰り返すヒット&アウェイ。(逃げ足3/騎乗6/操縦8/地形の利用1…&機体から伸びたワイヤー)
何があろうと決して止まらず
「わしゃ誰も止めれんでぇ」
「オラオラ~、轢~き逃げじゃ~っ!」

気分も戦場もスッキリしたら颯爽と逃げる。轢き逃げる。細けぇ事ぁ気にせず逃げる。
「ほんならのぅ!」

そんな単車のネーチャン
なんかただ轢き逃げしまくっただけの暴走バイクな気がするけどたぶんきっとおそらく気のせい。


ジャハル・アルムリフ
師父(f00123)と組み

中々痛快であったな
…とは、全て片付けてから言うべきか

卑しいぞ盗賊共
貴様等には分不相応だ

出来るだけ盗賊の集中している所に飛び込み
後方からの師父の攻撃に合わせ【まつろわぬ黒】を
倒しきれずとも複数に被害が及べば連中自体が障害物となろう

数が減ったら【ドラゴニアン・チェイン】も用いて斃す
敢えて一歩退き、投擲や師父の射線上へと引き入れ
狡賢く避けんとする者には
先程の弾ける松花を叩き付けてやるのも面白かろうか

松の樹は巻き込まぬ様
師父も張り切りすぎるな――何か言ったか?

…あれは、後にあの石を生み出すやも知れんのだろう


アルバ・アルフライラ
ジジ(f00995)と
ふふん、まあ身に怖じ気ず逃げ出さず
此処まで来たとは中々に肝が据わっていると見える
…とは言え、此処で終りだがな

――さあ、仕置の時間だ
己の業を悔いて逝くが良い

後方にて、仕込み杖を手に詠唱の準備
石突で魔方陣を描き、召喚するは【女王の臣僕】たる蝶の群れ
マツ林を傷つけようものならばジジから小言を言われかねんからな
被害が及ばぬよう、然し調整の範囲で高速詠唱を用いて盗賊達を畳み掛ける
蝶による攻撃を用いて盗賊を誘導、可能な限り一箇所に固まらせる事でジジの攻撃効率を上げるよう支援も行おう
その際鱗粉で凍らせるか、麻痺を与えてやれば敵の取り逃し防止にも繋がる
――ふん、誰一人と逃す心算は毛頭ない


ネリッサ・ハーディ
ここで逃がすわけにはいきませんね。
この手の山賊の集団には、リーダー格がいる筈。
そのリーダー格さえ潰せば、統率は乱れ、潰走するでしょう。
ですからそのリーダー格を引きずり出す為にも、まず配下の山賊から叩くのが最良です。
マツ林の中に逃走したらしいですから・・・ユーベルコードの荒れ狂う火炎王の使いを使用、その炎で他の猟兵が叩き易い様に一箇所へ追い立てましょう。
仮にここで下手に逃げ散られでもしたら、退治するのに手間が掛かるだけでなく、また被害が生じる可能性もありますからね。
それにこの手の不正規兵は、一箇所にかき集めて叩くのが最良かと。
無論、必要以上に燃やさない様心掛けます。

※アドリブ歓迎


榛・琴莉
戦果は上々、といったところでしょうか…いえ、本番は此処からですが。

マツ林にて追撃を。
物陰に身を隠して射撃。【暗視】を活用。
今までに培った【戦闘知識】を用いて相手の行動を予測しつつ、
【地形の利用】で味方の攻撃範囲内や罠へ誘導するように攻撃します。
【Code:ドリフタ】であれば、外しても多少意味はあるかと。
凍り付いた地面なんて足場の悪い場所、あまり行きたくはないでしょう。
雄叫びを上げている山賊は優先的に狙います。仲間を鼓舞されても困りますしね。
見つからないよう、こまめに移動を。


星乃・爐璃
同族狩りは腕がなるなっ!
とは言えアンタらみたいな下品な奴はゴメンだけどなっ!

シーフの人格をメインに、ジーブス・キャンビットを使用
ダガーを逆手に持つ

「おっと俺たちを甘くみんなよ?」

シーフが確実に敵を倒している間に、状況が不利になってきたら
オルタナティブ・ダブルで人形遣いを出現
すかさず人形で敵を薙ぎ払って間合いを取る

その隙にシーフは手負いの敵にトドメを指す

人形遣い「私纏めて相手するのが得意なの」
なんだったら蛇骨も呼んで暴れてあげるわ

絡み・アドリブ歓迎




「この手の山賊の集団には、リーダー格がいる筈。
 そのリーダー格さえ潰せば、統率は乱れ、潰走するでしょう」
 リーダー格を引きずり出す為にも、まず配下の山賊から叩くのが最良と判断したネリッサ。
 矢止めを行なった首領らしき者の姿は既に闇に紛れていた。
 猟兵たちの耳へ、罠が発動する音が届く。
『おい、どうした!?』
 後続の盗賊の声が聞こえた。
「中々痛快であったな――とは、全て片付けてから言うべきか」
 声めがけ駆けるジャハル。
「ふふん、まあ身に怖じ気ず逃げ出さず、此処まで来たとは中々に肝が据わっていると見える」
 言うアルバが後方に陣取り、仕込み杖を指先で巡らせる。
 戦闘に手慣れている盗賊ではあるが、知よりも本能がまさっているようだ。
「……とは言え、此処で終りだがな」
 石突を地に、描き振るえば闇中に尾を引く流星が如くの軌跡。
 高速詠唱とともに魔方陣が織られ、広々とした場に顕現する。
(「マツ林を傷つけようものならばジジから小言を言われかねんからな」)
 そうアルバが考えれば、
「松の樹は巻き込まぬ様、師父も張り切りすぎるな」
 やはり、言われた。
 ふ、とアルバが笑むと、ジャハルはその気配に気付く。
「――何か言ったか?」
 いいや、とゆるりと振る首を従者へ、されど告げるは言。
「控えよ、女王の御前であるぞ」
 刹那、無数の青き蝶が舞い拡がった。

「――さあ、仕置の時間だ。己の業を悔いて逝くが良い」

 より速く駆けた琴莉が太いマツの木を背に振り返る。罠に手間取る盗賊たちが後ろになる位置取りだ。フルフェイス越しの視界は、暗闇であろうと確保されていた。
「装填、ドリフタ」
 Mikhailへと氷れる魔力の弾丸が込められ、片膝をついた姿勢で落とし穴付近めがけて琴莉が撃つ。
 今は精度を重要としていない。落とし穴の淵へ着弾した瞬間、魔力が弾け、軋む音を伴って地面が凍てついた。
 穴に落ちた盗賊の一部を凍らせ、そして今まさに飛び越えようとした盗賊が氷上に着地する。
「ひえっ!?」
 滑った盗賊を星乃・爐璃(旅人・f00738)が捉える。
「同族狩りは腕がなるなっ! ――とは言えアンタらみたいな下品な奴はゴメンだけどなっ!」
 穴を跳躍し、難無く氷上へと降り立つ――シーフ。身を屈めた彼は湾曲な盗殺の刃を薙ぐ。
 逆手に持つそれは斬り上げる軌道を描いた。
「ぐっ」
 斬撃にやや仰け反った盗賊の背へ琴莉の魔弾が穿ち、氷結のなか、刃の遠心に一度くるりと回った爐璃が蹴撃を放った。
 硬く何かが折れ砕ける音ともに盗賊が崩れ落ちる。穴中の敵は、冒険者の矢に射止められ絶命していた。
 一矢を放ち、後退していくのを視認する。
 琴莉は周囲を見る。
 ばらけている盗賊に対応する猟兵たちの姿を見つけ、援護のために再びマツ林を駆けた。

 厚板を使ったシーソーのような罠に乗り上げた宇宙原付 牙‐ZOOMが、エンジン音を立て跳躍する。
 盗賊の体に着地して、アクセルを回す触叢・アン(銀河疾風・f01011)が上体をやや前傾にし勢いをつけて再び宇宙原付で地を駆けた。
「わしゃ誰も止めれんでぇ」
 その走りは自由。そして盗賊を翻弄する風のように――否、嵐であろうか。
 落とし穴から出てくる盗賊の頭を地続きとして繋ぎ踏み進む。
 やや密集した盗賊たちめがけて駆けるアンは、車体に装備させているマシンガンを放つ。
 通り抜ければ、片脚を地に方向転換。再び銃口は盗賊たちに向けられ、負けじと盗賊たちも石つぶてをマシンガンのように繰り出した。
「おっと、甘いのぅ!」
 上体を屈め笑むアンが走り抜けた。
 その速度に石つぶては当たらず、マシンガンの弾に撃ちこまれる盗賊。
 馬よりも速いそれに盗賊たちの対応が遅れる――伴って、状況判断も削り取られているようだ。
「お、おかしらぁ!」
「面妖ナ……」
 ふ、と風に紛れる首領の声。
 進み伝う呪詛に、あまり時間を取られるわけにもいかないと猟兵たちは思う。
 木々の間が広がり、点在する林のなかでの使うものは、
「フォーマルハウトに住みし荒れ狂う火炎の王」
 ネリッサの声に応じ、顕現しゆらめく炎。
「その使いたる炎の精を我に与えよ」
 言葉にボッと音が連なり、夜を灼く数多の炎の精が出現して次々に散開していく。
 盗賊を囲うように広く――、
「この手の不正規兵は、一箇所にかき集めて叩くのが最良かと――ここで下手に逃げ散られでもしたら、退治するのに手間が掛かるだけでなく、また被害が生じる可能性もありますからね」
 炎に追い立てられる盗賊は集いつつあり、その光景は炎の精を檻のように見せた。
 細緻な檻を織りなすは青。ひら、ひらりと涼やかな空気を纏う蝶はやはり広く弧を描き舞い、少しずつ狭めていく。
「そら、くれてやる」
 ジャハルが剣を薙げば、無数の黒刃が集う盗賊たちを襲った。
 放たれた黒が盗賊の体を斬り、そのまま向こうの闇と同化する。
「チッ」
 盗賊が、アルバの方へと駆けた。
 薙いだ剣を片手に、もう片方の手でジャハルが何かを投擲すれば、すぐにそれの正体は知れる。
 パンッ! と弾けるは、軽くも大きな音を出す松ぼっくり。
 その間に集わせた蝶をアルバは向かわせ、冱てる鱗粉を放った。
 石突にかかる陣から、新手を繰り出し、広く痺れを齎す鱗粉を振るわせる。
 動けぬ敵をジャハルが一体一体と仕留めていった。

 炎に煽られた盗賊の背に何かがぶつかる。
 マツの木だ。
 恐ろしい炎がぴたりと止まり、今だ、とやや身を屈めて盗賊は駆けた。
 然程進まないうちにまた新たな戦場――。

 強い剣戟が爐璃の耳を劈く。
 ダガーを盾に添えた腕にびりりと衝撃が走る。
 この隙にと盗賊たちが刃物を手に迫った。
『爐璃』は笑む。
「おっと俺たちを甘くみんなよ?」
 言うと同時に、気配が生じた。
 人形遣いの女が現われ、人形で敵を薙ぎ払う攻撃に敵陣が怯む。
 作られた彼我の距離――この隙にシーフは肉迫していた敵首めがけて刃を滑らせた。
 血の飛沫は地面を染め、既にかからぬ位置へと間合いを抜けているシーフ。
「私纏めて相手するのが得意なの」
 そう言う人形遣いは、何かを考え何かに頷き、そうね、と一人呟く。
「――蛇骨の舞を見せてあげるわ」
 進撃ルートを防がれ、退路を断たれ、挟撃される盗賊たち。
「おいおい、話が違ぇじゃねぇかよぉ!」
「何、割り当てが増えると思えば大したことねぇ」
「殺せ!」
「殺せ!!」
 猟兵へ向かう攻撃は単調ではあるが、勢いが一刀の鋭さを増す。
 そのなかで扇動する山賊を的確に狙い定め撃つ、琴莉。
 その時、
「散開!!」
 よく通る声が響き渡ると同時、不可解な呪縛が猟兵たちを襲う。
 範囲的に行われるそれは、前方に位置する猟兵に向けてのものだ。
「ッ」
 一時的に動きを封じられた琴莉と爐璃――進みながらばらけようとする盗賊たちを宇宙原付が邪魔をする。
「オラオラ~、轢~き逃げじゃ~っ!」
 躊躇いなく突っ込んでいくアン。
 ネリッサの炎を抜ける青の蝶たち。
 放たれるまつろわぬ黒――その使い手もまた、進む刃とは別方向に更に斬り上げた。
 次手。ジャハルは背を向ける盗賊を放ったオーラで繋ぎ止め、力を注ぎこむ。
 盗賊を内部で弾かせ、爆沈させるジャハル。
 後にあの石を生み出すやも知れんのだ――と、木々を傷つけぬよう配慮し動く姿は、闇を纏い狩る者であった。
 一体、一体と盗賊を倒していくジャハル。そして爐璃。
「ほんならのぅ!」
 敵を蹂躙し終えたのか、アンがバイクを駆り去っていく。
 証拠に下賤な盗賊たちの気配が戦場から消えゆこうとしていた。
 残敵をオーラの鎖で繋ぎ、攻撃するジャハルの視界に一閃が駆けたのち横手の敵が凍るのを目にし、ハッとする。
「あれが盗賊が口にした『おかしら』ですか」
 扇動の的を狙っていた琴莉が気付き呟く。
 獣だ、と思う琴莉。
 纏う氷結は不可視の呪により一気に解され蒸発した。
「使えぬ奴らダ」
 金山羊の呪詛を纏う盗賊の首領。呪飾獣カツィカ。
 呪いの金の骨を被り、魔物化した盗賊団首領の成れの果て――否、到達したものとするべきか。
「おかしらァ……」
 彼の側に控える二体の盗賊が、申し訳なさそうに呟いた。
 欲望のままに行動する首領は退くことをしない。それだけの覇気を纏っていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『呪飾獣カツィカ』

POW   :    呪獣の一撃
単純で重い【呪詛を纏った爪 】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    呪飾解放
自身に【金山羊の呪詛 】をまとい、高速移動と【呪いの咆哮】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    カツィカ・カタラ
【両掌 】から【呪詛】を放ち、【呪縛】により対象の動きを一時的に封じる。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はナミル・タグイールです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 闇の帳が降りきった世界。
 様々な罠に翻弄され、多くの盗賊たちが追撃によって倒されていった。
 潮香るマツ林にて、盗賊の首領呪飾獣カツィカと猟兵たちは対峙する――。
寺内・美月
・召喚した『馬(ブロズ)』に乗って松林を突っ切り、敵の背後から乗馬突撃。
・前衛が少なければ刀を持って近接戦闘を実施し、支援が少なければ二式小銃改で援護射撃を行う。
・味方に被害があれば『SSW式治療レーザー』を使用して治療する。
・戦闘終了後は『海琥珀の町』(もしくは近くの町)から集めた騎兵(戦闘には参加させない)と共に残党を掃討する。


榛・琴莉
※真の姿:翼が巨大化、腕のように扱う事も可能な構造になる。飛行能力は保持

ただの獣であれば良かったんですけど…元人間?ふーん。
「何であれ、今となっては醜悪なだけのケダモノです」
ならば傭兵として、猟兵として。やるべきことは。
「獣狩り、ですね」

距離を詰めつつ【全力魔法】【鎧砕き】で【CODE:ドリフタ】。
頭…骨?もしくは腕を狙い、敵の弱体化を図りたいですね。
特に骨、あれが呪いの元でしょうし。
初手は外れても【2回攻撃】で同様の攻撃を続行。
【地形の利用】で氷った地面の上で頭を冷やし、冷静に狙いを定めます。

敵の攻撃には巨大化した翼を使い【オーラ防御】【呪詛耐性】で対抗。
「嘗めてかかると、痛い目を見ますよ」


ネリッサ・ハーディ
ようやく引きずり出せましたね。投降を呼び掛けても無駄でしょうね。
あなたは危険過ぎます。ですから、これより排除します。

基本的に装備している拳銃(G19C)で味方を援護射撃。
恐らく呪術を使用すると思われますから、使用する素振りを見せたら、手や顔をダブルタップで狙撃して妨害。
呪飾獣が少しでも恐怖を感じる節があったら、ここぞとばかりにユーベルコードを使用。

・・・あなたは今、恐怖を感じました。その恐怖は、黄衣の王がもっとも好餌とする感情。その感情を抱いた時点で・・・あなたの負けです。

※アドリブ歓迎



「旗から戻れブロズ、貴様の姿を敵に見せつけてやれ」
 そう告げる美月に応じ、戦闘団旗ブロズ号は馬の姿へと変化した。
 龍馬ブロズに騎乗し、物見台から夜を灯す花々の玲瓏な原、そしてマツ林へ駆け入るブロズ。


「ようやく引きずり出せましたね――投降を、呼び掛けても無駄でしょうね」
「キアアアアアア!!!!」
 金山羊の呪詛をまとい、呪いの咆哮を放射したカツィカが猟兵たちを突破しようと駆けた。
「あなたは危険過ぎます。ですから、これより排除します」
 ネリッサが銃口を向けた瞬間、唐突に闇に消えるカツィカ。
 しかしそれは見るものが見れば、呪詛による目くらましだと分かり、聞くものが聞けば駆ける音を捉えることとができた。
 美月とブロスが突撃してきたのは、この時であった。
 向上した戦闘力は容易にカツィカを捉え、呪詛と動きを遮断すべく動く。
 ブロスが前脚でカツィカを穿ち、その反動に身を任せた美月は地へと降り立って白鞘能多知抜き放つと共に一刀。
 上段から振ったそれは、カツィカの爪に阻まれ曲線の軌道はやや歪となった。
(「ただの獣であれば良かったんですけど……元は、人間?」)
 訝し気に内心呟く琴莉は、黄泉返りを通し得た翼を広げた。
「何であれ、今となっては醜悪なだけのケダモノです」
 ならば、と。
 傭兵として、猟兵として、彼女がやるべきことは――。
「獣狩り、ですね」
 広げた翼が伸び育ち、巨大化する。
 羽音はひとつ。
 一気に彼我の距離をつめた琴莉を援護するのは、G19C Gen.4で撃つネリッサだ。
 発射による震動が夜闇に響く。
 全力の氷れる魔力を放った琴莉のCODE:ドリフタは、常であれば鎧をも砕くもの――しかし、両掌から呪詛を放ったカツィカは、呪縛を使い封じ込めにかかった。
 それを視認したネリッサが射角を変えた。敵の手、間断なく次弾を金の頭蓋へと撃ちこみ、敵の呪詛を阻害する。
 削られた魔力の塊がカツィカの頭蓋へと直撃するも、虚空には氷の結晶が散った。
 決定打ではない。
 大幅に削られた一撃――けれど、琴莉はそれを承知であったかのように、追撃をかける。
 更に放たれた氷れる魔力が周囲の気温を一気に下げ、投擲の勢いで敵の腕、頭蓋へと着弾すればカツィカを凍てつかせた。
「おかしら!!」
 声を上げた盗賊二体を美月が二式小銃で撃ち抜く。
「忌々しキ、ことヨ――ォォオオオオ」
 怨嗟の風音のようであった。呪いの咆哮が凍てつく身を解き、怨嗟が敵の爪へと纏いかたまる。
 膂力を使う弾丸が如くの爪撃を翼で払う琴莉。
「嘗めてかかると、痛い目を見ますよ」
 纏うオーラが爪に集まった呪詛を留めている――地形を破壊するであろう一撃と、まさに光景は鍔迫り合い。空気がびりりと震え走った。
 屈み踏みこむ美月。刃長九十弱、地平に駆った太刀が刹那跳ね、敵腕を斬り上げた。
 血の飛沫はないが、どろりとした体液がバタバタッと地に落ちた。
 それらとは違う重々しい落下音に猟兵が目を向ければ、獣の片腕。
 技を尽くし、研鑚された武に、ただの冒険者ではないと悟ったのだろう、片腕となったカツィカが警戒し、距離を取る。
「……あなたは今、恐怖を感じました」
「――ナニ?」
 ネリッサの言葉は、正鵠を射るものであったのだろう。苛立ったらしきカツィカが反応した。
「その恐怖は、黄衣の王がもっとも好餌とする感情。その感情を抱いた時点で……あなたの負けです」
 そう言ったネリッサの周囲が色付いたように見えた。
 黄のオーラ――否、
「The Unspeakable One,him Who is not to be Named……さぁ、貪り尽しなさい」
 召喚し、顕現するは黄衣を纏った不定形の魔王。
 邪悪な黄衣の王は無数の禍々しき触手を飛ばせば、恐怖した存在を喰らう。
「ホォォォォ……」
 思わずといったように声を上げるカツィカ。感嘆の色であった。
 その身を喰らうそれにビクリと震えるも、享受する様子。
「面白キ、力を使ウ……」
 金塊、宝石、金目のものを手に入れたい欲望。蠱るカツィカが呼気を荒くし、カカカ、と不気味な笑い声をあげた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アルバ・アルフライラ
ジジ(f00995)と
よもや、盗賊共の『おかしら』が斯様な獣とは
…否、彼の者が纏う呪詛は中々に強力な様だ
――侮るなよ、ジジ

仕込み杖の石突で魔方陣を描く
罅走る事厭わず、渾身の魔力で召喚する【死霊騎士】と【死霊蛇竜】
ジジの隙を補うよう援護するのが彼奴等の仕事だが
呪縛で動きを封じてくるならば此方は数を以ってそれを防ぐ
我が盾となり、呪詛を阻止してみせよ

後方より獣の行動を窺う中
爪の一撃が放たれんとした際は直ぐ警告
万一防御が間に合わなければ死霊を盾にする
…誰が我が従者を傷つけて良いと言った?

戦闘が終れば皆の治療を
…後、ジジに渡さねばならぬ物がある
普通の琥珀に見えるが…空に翳してみろ
青く輝いて見えるだろう?


ジャハル・アルムリフ
師父(f00123)と
…どちらも獣のようなもの
寧ろ上手く出来ているのではないか?

承知している
御身も転ばぬ様務めてくれ

死霊二体を師の分身として共に
此処は街の者らの地だ
好き勝手に荒らすな

【怨鎖】で呪獣のみを狙う
その爪ごと砕いてくれよう
怪力を利用して鎖を引き
師が、他の猟兵が狙いやすい位置へと

もしも、師が動きを封じられれば
間に駆け、我が身を盾とする
貴様の相手は此方だ
通りたければ斃してから行くがいい

師父に従い、ひとかけの琥珀を空へ
鮮やかに差した青に目を見張る
嘗てより焦がれたままの色彩
嗚呼――何よりの褒美だ


触叢・アン
仲間らが戦ってるのを確認し、忍び足5・暗殺2・騎乗6・操縦8を駆使し、敵の脇腹目がけ鎧無視攻撃7っ、で宇宙原付ど~~~ん!
「ほれ、ど~~~ん」
その弾みで…騎乗6、操縦8、逃げ足4、ジャンプ、地形の利用、等と機体に付いたワイヤーを活用しそのまま高い場所に移動

「ほんならまぁ、ここで決めちゃらぁ!(タンクトップ破り捨て)」
ミリオンライドアタック(+鎧無視攻撃7)、それは宇宙エネルギーをその身に吸収し体内生成した幻影分身を放出…つまり露出が多いほど分身が増えその威力が増すのだ!
「とぉ! ふぅらっしゅ!Ah~~~♪」
敵目がけ降り注ぐ無数の原付サーフィン乗りセクシーネーチャン、それが1点に集束し蹴り貫く!


河原崎・修羅雪姫
「うふふ、デウス・エクス・マキナの登場よぉ」
(古代ギリシア演劇の神と、半人半機のサイボーグである自分をかけている)

自警団たちを引き連れて修羅雪姫登場。
(彼らに、頭目を倒すのに尽力したという実績と自信を持たせるため)

最初に【ヘビーメタル・シャウト】を使用
勇ましい音色【楽器演奏13】で自警団たちを勇気づけ、戦闘力を増強する。

そして街特産の琥珀を、自警団員たちにカツィカに対して大量に投げさせ、、そこに【火炎放射器】で火をつける。
琥珀は200℃以上に加熱すると、油状の琥珀油になる。
すると……?

トドメは愛銃【フリークスハンター】に【特殊弾】銀弾頭を装填。
「黄金の代わりに、これで我慢してねぇ」
ドゴンっ!



「よもや、盗賊共の『おかしら』が斯様な獣とは」
 仕込み杖の石突で先とは違う魔方陣を描くアルバに応じるはジャハルだ。
「……どちらも獣のようなもの。寧ろ上手く出来ているのではないか?」
 そう言い終わった時、師の魔方陣が完成しリザレクト・オブリビオンが発動する。
 召喚されるは死霊騎士と死霊蛇竜――それらを従えるかのように、ジャハルは踏み出した。
「……否、彼の者が纏う呪詛は中々に強力な様だ――侮るなよ、ジジ」
「承知している。御身も転ばぬ様、務めてくれ」
 言い置いて、駆けるジャハルを死霊騎士と死霊蛇竜が追い抜き目隠しの如く彼の前を交差する。
 走った罅を厭うことなくにアルバは二体の軌道を描き続け、やや肉迫する形をとったジャハルは黒剣を振り抜いた。
 刃は届かない――だがカツィカへ雫が飛沫する。
「鎖せ」
 ジャハルが告げれば付着した血の雫が爆破し、さらに黒く染まりゆく血で編まれた鎖が彼と敵とを繋いだ。
「オオオォォォ!!」
 金山羊の呪詛を纏うカツィカが呪いの咆哮を上げ、高速移動で鎖を振り払おうとするのをジャハルがその怪力を以て留める。
 右腕に鎖を巻き、引いた。
「ッ」
 封じの呪詛がジャハルにぶつけられようとするのを、死霊蛇竜が阻害し、死霊騎士が接敵し斬りつける。
「ほれ、ど~~~ん」
 一度去ったかと思われたアンは闇夜隠れを行なっていたようだ。
 音なく、気配なく、宇宙原付 牙‐ZOOMを駆る操縦技術で的確にカツィカの脇腹めがけて突撃した。
 鎧など役に立たない攻撃に、カツィカは弾き飛ばされるのだが、鎖を繰り同様に駆けたジャハルが敵の着地点を決める。
 振り被り腕を落とせば、敵が大地に叩きつけられた。
「此処は町の者らの地だ。好き勝手に荒らすな」
 弾みで後輪の上がった機体を両脚で強く挟んだアンが、機体からワイヤーを上空へと放った。
 マツの木に向かってぐっと跳ぶ。
 その時、
「うふふ、デウス・エクス・マキナの登場よぉ」
 町の方角から自警団を連れて現れた河原崎・修羅雪姫(スノーブラッド・f00298)が火炎放射器付きエレキギターをかき鳴らす。
「私は半人半機のメタルモンスター! 心臓はビス止めで、クロームの3重構造で出来ている!」
 高らかな放たれる声と共に鼓舞する勇ましい音色は、自警団たちを勇気づけ、戦闘力を増強させていった。
 町を守るのだ。
 これからも起こるであろう脅威に、対処できる地力を備えるのだ。
 彼らが投擲するは――琥珀。
「贅沢な死に方をさせてあげるわぁ」
 たくさんの琥珀が宙を舞う最中、修羅雪姫のエレキギターから火が放射された。
 琥珀は燃える。木の焼ける匂いのなか、どこか清涼な香りも混ざり、そして獣の焼かれる匂い――カツィカだ。
「ギャ! アアアアア!!」
 溶解した琥珀が付着し、カツィカや金の頭蓋を更に彩る。
「ほんならまぁ、ここで決めちゃらぁ!」
 破り捨てた布きれが舞う。
 アンの体内に蓄積した宇宙エネルギーによって体内生成され放たれる幻影たち。
 虚空に現れた彼女たちがカツィカ目掛け、跳躍する。
「とぉ! ふぅらっしゅ! Ah~~~♪」
 重力を宿す数多の蹴りがカツィカへと集中し、その威力は大きなものだ。
 大地でバウンドした敵へ死霊蛇竜が噛みつく。
 片腕で払いのけるカツィカは、何やら苦しむように暴れはじめた。
 侮れぬ呪詛の塊、その剛爪が向かうは――、
 ジャハルへ警告の声を投げながら、死霊蛇竜を渦巻かせたアルバが刹那の厚き盾とした。
「……誰が我が従者を傷つけて良いと言った?」
 護り、護られる――アルバとジャハルの緻密な連携は見事なものだ。
 怨鎖をより厚くするジャハルの攻撃。片腕と胴を同じ鎖に取られ、バランスを崩したカツィカが片膝をついた。
「黄金の代わりに、これで我慢してねぇ」
 20mm口径リボルバー・フリークスハンターへ銀弾頭を装填した修羅雪姫が、撃ち放つ。
 その威力は相当なものであるが、体力と技術を備えた修羅雪姫の体はぶれない。
 轟音と共に撃ち抜かれた――否、上半身を吹き飛ばされたカツィカが、どさりと崩れ落ちた。
 カツィカが被っていた頭蓋が転がる。
 禍々しさを放つ金。
 それをジャハルが黒剣で貫けば、頭蓋は砕け、闇に溶け消えていった。


「は……や、やったぞ」
 自警団の面々が心底安堵したように、座り込んだ。
「ご苦労さまぁ」
 ひらひらと手を振る修羅雪姫。
 アルバや、心得のある者が皆の傷を癒していく。
 そして自警団は猟兵や冒険者たちと共に周辺の片付けを始めた――主に罠の。
 戦闘後もやることは山のように残っている。
 それでも休息を交え、ひとつひとつと片付けていった。
 朝焼けを迎え、やがて青が広がっていく。
 最中。
「……ジジに渡さねばならぬ物がある」
 師の言葉、動作に促され出したジャハルの掌に何かがのせられた。
 薔薇の指先が離れたのちに残されるは、
「普通の琥珀に見えるが……空に翳してみろ」
 言われ、ジャハルはひとかけの琥珀を空へ。
 ――鮮やかに差す青に、ジャハルは目を瞠った。
「青く輝いて見えるだろう?」
 言葉をなくした従者に掛ける師の声は、楽しげな色を含んでいて。
 嗚呼、と、ジャハルは頷いた。
「――何よりの褒美だ」

 潮香る海沿いの町。
 新たな防衛を築き、守り抜かれた町は、これからも宝を守っていく。
 琥珀の特産品に合わせて、蜂蜜飴を売っていたフェアリーが小さな瓶をくれた。
 猟兵は琥珀のようなそれを舐め、町を見て歩く。
 活気のある町中は飽きない。店一つをとっても珍しい物が並んでいた。
 仕入れ、他の町へと行く商隊とすれ違う。
 これから、様々な場所へと琥珀は旅していくのだろう。
 猟兵は軽やかな足取りで次の「旅」へと赴くのだった

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月22日


挿絵イラスト