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邪神ぬいぐるみはじめました

#UDCアース

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#UDCアース


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●街に蠢く可愛いアイツ
 UDCアース、とあるファンシーショップ。店内の中央に設置されたワゴンに、そのぬいぐるみはあった。

「んー……かわいい! なんかうちのペットに似てるー!」
「かわいいかなぁ……? え、あんたの家のペットってそんなクリーチャーな感じなの? やっぱ今日は急用を思い出して家に行くの止めていい?」
「いやいや、駄目だよ! ふつーのワンコだけどさ、このつぶらな瞳とかさー!」
「3つ以上ある目はどんなにつぶらでもやだなぁ……」
 わいわいと賑やかに、学校帰りの中学生二人が、そのぬいぐるみを手にとった。

「うーん……どれが可愛いんだ……? 子供に大人気だと……」
 娘の誕生日前のサラリーマンが、薄い財布の中身と相談しながらそのぬいぐるみを手にとった。

「……これで、足りるかなぁ……」
 少ないお小遣いを片手に握りしめてやってきた小学生が、もう一方の手でぬいぐるみを手にとった。

「俺、場違いってレベルじゃねぇんだけど……。なんか人気そーだし、これでいいだろ……」
 可愛い物好きの兄貴分に使いっぱしりにされたチンピラが、早く用事を終わらせようと乱暴にそのぬいぐるみを手にとった。

「てんちょー、なんかあの新作ぬいぐるみ、ちょー人気っスねぇ。どこの新作っスか?」
「いや、知らないけど……ていうかあんなの仕入れたっけ?」
「てんちょー……飲みすぎっスよ。お酒は程々にしないと。そんなだから奥さんにも逃げられるんスよ」
「そんなに飲んだつもりはないけど……疲れてるのかなぁ。なんかあのぬいぐるみ、ちょっと動いてたようにも見えたし……。あと、まだ逃げられてないから、ちょっと別居してるだけだから」
 ファンシーショップの店員と店長が、見覚えのないぬいぐるみと、店長の家庭の問題について話をしながら、そのぬいぐるみを手にとった。

●邪神ぬいぐるみはじめました
「可愛いですよね、ぬいぐるみ」
 白いレースの目隠しを付けた少女、アレクシス・アルトマイアが頭上に大きなサメのぬいぐるみを掲げながら、その周囲に集まってきた猟兵に声を掛ける。
「ぬいぐるみの中には何が入っているか、知っていますか?」
 ふにふに、とサメぬいぐるみのお腹を揉みながら、アレクシスは猟兵に問う。
「ええ、そうです。喜び、優しさ、愛しさ、そして思い出……暖かくて素敵な物がたくさん詰まっているのです」
 ですが……と俯いて、サメぬいぐるみをぎゅっと抱きしめて、言葉を続ける。
「この街のぬいぐるみには、どうやら違うものが入っているようです。冷たくて、恐ろしいモノ。そう、人々の精神を汚染し、偽りの感情を植え付ける、邪神の眷属が」
 UDCアース、とある地方都市にて、ぬいぐるみを使った恐ろしい企みが進行しているのだという。
「邪神ぬいぐるみ、とでも仮称しましょうか。この邪神ぬいぐるみは、暗色の岩と、それに付着した貝のような、あるいは忌まわしき珊瑚のような外見をしていて、更に表面に黄色い球面の感覚器を多数開いた怪物の姿を模しています」
 こんな感じでした、と予めスケッチブックに描いておいた怪物の姿を見せる。ぬいぐるみとしてのデフォルメが効いているせいか、あまり恐ろしそうではない。
「そう、この忌まわしき姿の怪物こそが今回の元凶。邪教団によって廃工場にて召喚された、人の友を待ち続けるという伝承の怪物。その名を鑼犠御・螺愚喇(ラグオ・ラグラ)。オブリビオンとして召喚され、待つべき友を見失い、友を求める狂った邪神となった怪物です」
 このラグオ・ラグラを召喚した邪教団によって、この邪神ぬいぐるみは作製されているのだという。
「召喚されたばかりのこの邪神を討ち、邪教団の企みを破壊していただくのが今回の目的なのですが……その際、邪神ぬいぐるみが人々の手にあるままだとまずいことになります」
 ラグオ・ラグラを傷つけようとすると、この邪神ぬいぐるみに精神を汚染された人々がラグオ・ラグラを守ろうとして猟兵たちに襲いかかってくるという。
「友を守る、親友を傷つけさせない……邪神ぬいぐるみにより正気を失った人々が、そう叫びながら襲ってきます。猟兵の皆さんならたやすく無力化出来るでしょうが……この段階まで精神汚染された場合、この方々を救うことは出来ません。ラグオ・ラグラを破壊すると同時に、この人々の精神も同時に破壊されてしまいます」
 だからそうなる前に、対処を行ってほしいのだとアレクシスは続けた。
「幼いときにプレゼントされたぬいぐるみが、大事な友だちになる……そういうこともあるでしょう」
「ですが、今回はそうではありません。このぬいぐるみを手にした一般人は、ぬいぐるみ内部に潜む眷属による精神汚染に晒され、やがてこの邪神ぬいぐるみ、そしてその創造主であるラグオ・ラグラを、すべてを犠牲にしても救うべき友である、と思いこんでしまうのです」
「なので、皆さんにはまず邪神ぬいぐるみを手にした人々を何とか説得してぬいぐるみを奪って頂きます。……このぬいぐるみを所持しているのは、ファンシーショップでこのぬいぐるみを手にとってしまった老若男女の一般人です」
 今ならば、ショップを出ていった者も、すぐに繁華街の中で掴まえられるだろう。
「被害者の方々は皆、邪神ぬいぐるみをそのまま抱えているのですぐに分かると思います。猟兵の皆さんならば、ぬいぐるみに潜む眷属の気配でも察知できるでしょう。それぞれ手分けして見つけて、ぬいぐるみを手放すように説得してください。方法は問いません。今ならまだ精神の汚染は少なく、力づくでも、口先で騙しても、または心に訴えかけてでも、ぬいぐるみをその手から離すことができれば、精神は正常に戻るようです」
 彼らのためだと思って、心を鬼にしてください、とサメのぬいぐるみを抱きしめながら、アレクシスは猟兵たちを見つめる。
「その後はおそらく、ぬいぐるみの中に潜む眷属との戦いになります。完全に失敗したとわかるまではおとなしくしているようですが、すべての人々の手から邪神ぬいぐるみが離離れれば、その正体を表すでしょう。二度と邪神ぬいぐるみとなれないように、根絶をお願いします」
「そして憂いを絶った後に廃工場に向かい、友を待つ、狂った邪神の討伐をお願いします」
 どうぞよろしくお願いいたします、とアレクシスはサメのぬいぐるみと共に深く頭を下げた。


あかめ
 はじめまして、MSのあかめと申します。
 小さなぬいぐるみも大きなぬいぐるみもいいものですが、どちらにしろ量を揃えるとスペースを取ってしまうものが困りものですね。
 ちなみにうちにあるのは小さなサメのぬいぐるみだけです。

 ぬいぐるみ事情はともかく、シナリオの説明と参りましょう。
 第一章では、
 ぬいぐるみを持つ一般人を見つけた、という状況でのその相手を説得するプレイングをお願いいたします。
 一般人はオープニング最初のシーンのような人々がいると思われますが、
 これは予知なので、実際のぬいぐるみを持つ一般人は全然違っていても構いません。
 チンピラさん×5人とかでも構いません。ホントですよ。

 第二章では、眷属との集団戦になります。バシバシ倒してちゃってください。

 第三章では、そのまま廃工場へ侵入して、ラグオ・ラグラとの決戦になります。
 少し可哀想な感じの怪物さんですが、狂った邪神として召喚された以上、倒すしかありません。よろしくお願いいたします。
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第1章 冒険 『君の私の説得力』

POW   :    力に物を言わせて説得する

SPD   :    うまく言いくるめることで説得する

WIZ   :    直接精神に働きかけることで説得する

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

狗衣宮・藍狐
(一般人相手なので、廓言葉ではない口調で)
か、かわいくなーい!
もっとこう、ぬいぐるみってファンシーでかわいくてキュートなものじゃないの?キモカワとかの次元じゃない!ただのキモじゃない!
いくら買う人が許しても、このあたしの美意識が許さない!どんな手段を使ってでも購入を阻止しなきゃ!

作戦はこう。売ってる店舗の一つに行って、ぬいぐるみをグラフィティスプラッシュで汚しちゃう!これで売り物にはならないよね。
…巻き込んじゃったお店にも買う人にはきっとお化粧が台無しになってるだろうから、あたしがお色直しさせてもらうわ。あたしのアート的なメイクで誘惑してあげる!
……えっ、弁償額こんなにするの?早まったかなぁ…


月山・カムイ
これはまず、これ以上あのぬいぐるみが拡散しないように、店頭在庫を買い占めると致しましょう
在庫もあるだけ入手を……資金はともかく人手は地元UDC組織か他の猟兵に手伝ってもらうのもいいですね
ついでにそのぬいぐるみを隔離して始末する場所についても組織に用意しれもらえばいいですし
望み薄ですが、仕入先やメーカーについて情報収集する

クライアントに熱心な「キモカワ」ぬいぐるみ収集家が居る設定で、自身も買いに行く
その際この造形はその人の眼鏡に叶うだろうという事で、ダメ元で製造元の情報について収集を

数が有れば有る程良い、在庫も全ていただけますか?
あと、他のシリーズも知りたいので製造元教えて貰えませんか?



●始まる戦い、あるいは可愛さの探求
 ファンシーショップ、だいぶ売れた後も未だに大量に残る邪神ぬいぐるみワゴンの前。
「んんん……可愛い気がしてきたかも……いや、やっぱムリっスね」
 店員がワゴンに置かれた邪神ぬいぐるみを検分するように持ち上げたところで、チリン、チリンと綺麗な鈴の音が聞こえてくる。
 綺麗な鈴の音だ。そう思いながら振り向くと。
「……あ、いらっしゃいませッスー」
 そこにいたのは、自分を見て……いや、自分の抱いたぬいぐるみを見てわなわなと震える銀髪に青い瞳の妖狐の少女であった。
「か……かわいくなーい!」
 がーん。その言葉はちょっと最近おしゃれに気をつけ始めてた店員(17歳女子高生アルバイター)にとってショックだった……それが可愛らしい美少女に言われたならばなおさらだ。
 ……だが、その美少女の視線はどうやら自分に向いていないようであることに気づいて。
「もっとこう、ぬいぐるみってファンシーでかわいくてキュートなものじゃないの?」
 ずんずんと近寄ってきて、大人気なぬいぐるみをじっと覗き込む。
「キモカワとかの次元じゃない! ただのキモじゃない!」
「ん……それは聞き捨てならないっスね。この子はキモくなんか無いっスよ」
 あれ、なんでだろう、と自身の心の動きを疑問に思う。別に、自分だってその少女の言うことに賛成だ。なのに……。というか、お客に喧嘩売るべきではないし。でも、そうだ。
「私の友達を、侮辱しないでくださいッス」
 キッと、妖狐の少女を睨みつける。
 そうだ、友達を侮辱されて、黙っていては女が廃れるというもの……ん?友達……?いや、ええと……?

 妖狐の少女……狗衣宮・藍狐は戸惑う様子の店員をじっと見つめる。
「ねえ、そのぬいぐるみ、貸してもらえる?」
「だ、だめッス……」
「貸してもらうわね」
 その精神に邪神の影が差した店員の女性の手から、その元凶である邪神ぬいぐるみをそっと奪う。
「たとえあなたが可愛いと言っても。誰がそれを許しても。私の美意識が許さない」
「あっ……」
 取り戻そうと手を伸ばす店員から、そっと一歩下がる。
「そう、どんな手段を使っても!」
 にこっと、笑ってそのままワゴン-邪神ぬいぐるみがたくさん乗ってるやつ-の上に、奪ったぬいぐるみを投げ載せる。
「ごめんね、ちゃんと弁償はするからっ!」
「あっ……ちょっと、お客さん!?何を……!?」
 そして、あっけにとられる店員の眼の前で、藍狐がちゃきっと取り出したコスメティックスでの【グラフィティスプラッシュ】が、盛大に、ワゴン全てを覆うように、邪神ぬいぐるみにぶちまけられた。
 ギュィイ!
 びくんと、ユーベルコードを受けて異音を発したぬいぐるみがびくびくっと蠢いた後、なんでもありませんよ、と言わんばかりにピタリと止まる。
「わっ……!あ、そっか。中のやつ。」
「えっ?動いた……?えっ、何?気のせいッスか……?」
 美少女の来店からの怒涛の展開になにがなんだかわからない様子の店員に、ぬいぐるみへの視線を塞ぐように近づいて、正面から見つめる。
 いきなりの至近距離の美少女の顔にどきまぎして、割とぬいぐるみのことはどうでも良くなってくる店員(17歳女子高生アルバイター)。
「そうそう、気のせい気のせい、間違いなく気のせいよ!あ。ほらほら、可愛いお顔が汚れちゃったわ、あっちで洗わなくちゃいけないわ!」
 ぬいぐるみの群れから遠ざけるように、店員をグイグイと押していく。
「あ、お詫びにお色直ししてあげなくちゃ、このうん、それがいいわね。決まりね!」
「えっえっえっ……ちょっとしてほしいっスけど……その美少女っぷりの秘訣とか知りたいッスですけど!その前に……」
 押されつつも、途中で電卓を手にとってポチポチと計算をして、藍狐へ向かってその表示された良いお値段をかざす。
「ええと、全部お買い上げってことでいいんスか……?ええと……このくらいになるっスけど」
「えっ全部でそんなにするの!?」
「ちっちゃいやつはお手頃ですけど、結構大物っスからね」
「早まったかなぁ………ところで、さっきのぬいぐるみのこと、どう思う?友達とか……?」
「友達?何のことっスか?」
 何を言ってるのだろうこの美少女は、と首を傾げる店員を見て。
「……まあ、しょーがないかな」
 良し、とする藍狐だった。

●キモカワぬいぐるみコレクター、あるいはエージェント
 藍狐が弁償の額にちょっと後悔しかけた少し前、藍狐に先んじて入店していた者がいた。
 黒い髪に血のように赤い一筋のメッシュ。引き締まった体躯を持つ長身の猟兵、月山・カムイが直接店長へと交渉を始めようとしていた。
「ええ、そうです。このキモカワっぷりが大変にたまらない。これならばクライアントの期待に応えられるられることでしょう」
「はぁ……まあ、そういう需要があるなら、願ってもない話です」
 応接室……と言うほど立派ではない、スタッフルームも兼ねた奥の部屋に招かれたカムイに向き合った店長が、テーブルに載せたぬいぐるみの感触を楽しんでいたみながら重々しく頷いてみていた。
「それにしても素晴らしいフォルム……このぬめり表現など一朝一夕にできることではない……間違いなく達人によるものです」
 キモカワ収集家のクライアントの依頼を受ける内に、その審美眼もまた研ぎ澄まされていった……そんな風に振る舞うカムイに何も疑いなく、なるほどと頷く店長。
「一体どういうルートから手に入れていらっしゃるのですか?」
「んん……それはだね……」
 ぜひ教えていただきたい、と熱意を持って迫るカムイだが、店長の言葉は歯切れが悪い。
「店長さん……独自に拓いたルート、簡単には言えないでしょう」
 分かりますとも、と頷くカムイ。
「しかし……それでも、ぜひ。キモカワぬいぐるみを愛す仲間として、私も、少しでも真のキモカワ収集の……その真理への道へ近づきたいのです」
「……わかった、君の熱意に負けたよ……。正直に話そう」
 頭を下げて頼み込みカムイの姿を見て、店長は自分にもこの青年のような熱意があれば、妻と別居することもなかったのではないか……。なんかそんな気持ちになりながら、カムイへと話し始める。
「こう言うと、怒られてしまいそうで、言いづらかったんだが……実は、わからないんです」
 てへ。とウィンクする店長(47歳男性)
「………」
「あ、怒った?」
「いや、そんな事はありませんが……出所がわからないものの販売を?」
「怒ってるよね?」
「大丈夫ですよ。正直に答えてくださったこと、感謝しています」
「ホントは怒ってない?」
「次は怒ります」
「ごめんなさい」
 ふう、とそっとため息をつくカムイだったったが、すぐに気を取り直して、本来の目的の話を始める。
「では、今あるものだけでも。すべての在庫が頂きたい」
「ああ、いいとも。それならお安い御用だよ」
 ニコニコと笑って早速電卓をポチポチとしする店長。
「ええと、確かでかいのが……小さいのは……うん、ワゴンにあるので全部だから……たしかこれだけで、合計で……はい!」
 計算を終えて、総額が表示された電卓をカムイへ向けた。
「ふむ……結構なお値段ですね」
「半分くらいにしておくかい?」
 持ち帰るのも大変だろうし、との提案がなされたが、それでは意味がない、とカムイはかぶりを振る
「いえ、全ていただきます。」
「毎度あり!いやあ、今日は良い日だ!ちょっとまっていてくれよ、すぐに包装させよう。しばらく待ってもらうことになると思うが……」
 構いませんよ、とカムイが快諾して、そしてじっと店長を、そしてその手元のぬいぐるみを見つめる。
「店長さん……そのぬいぐるみは、計算に入っていませんでしたね」
「ああ、そうだね。……いや、これは渡せないよ。」
 当然だろう?という顔をして店長が笑う。
「どうしてですか?」
「ん……なんでだっけ……ああ、そうだ。だって、私の友達だからね、この子は」
 そうですか、と頷ずくカムイの耳に、店員と藍狐のやり取りが聞こえてくる。
「では、失礼します」
 ひょい、と自然な動きで店長の腕から邪神を模したぬいぐるみを抜き取って、ドアを開けて、今にも藍狐の【グラフィティスプラッシュ】がぶちまけられようとしているワゴンへと投げ入れて。
 ギュィイ!
 そう鳴き声が聞こえると共に、カムイは再び室内へと戻る。
「ちょっと!何を…………ええと……?」
 あれ、何を怒っていたのか、とよくわからない様子の店長に微笑んで。
「すみません、汚損してしまいました……あれも計算に入れてもらって良いでしょうか」
「あ、ああ、もちろん良いけど?って汚損って何?なにかかあったの?」
 いえいえ、大したことは何も。とにっこり笑って。
 とりあえず、二人で負担するのはどうかと提案してみましょうか、そう思いながら、お色直しに連行される店員と連行する妖狐の少女を迎えるのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

虜・ジョンドゥ
【WIZ】
まずファンシーショップ内に普通のぬいぐるみがあるかどうかを【情報収集】で調べる
『娘の誕生日前のサラリーマン』さんを発見すれば、【コミュ力】使用でお話!
「そのぬいぐるみ、グロテスクで超悪趣味だよ…ボクがもし貰ったらドン引きしちゃうかなぁ」
「おじさん、プレゼントを探してるの?なら尚のこと可愛いモノを見つけなきゃ!
娘さんの幸せそうな笑顔、見たいでしょ?ボクもお手伝いさせて!」
娘さんの好きな動物さんとか教えてほしいな
なるべく『邪神ぬいぐるみ』からサラリーマンさんを引き離すよ
上記で調べた、邪神に関係のない普通のぬいぐるみをオススメしちゃおう!

アドリブ・台詞改変等大歓迎!
多少のブレも気にしません


ジョン・ブラウン
あれお前の仲間とかじゃないんだよね……?
『知らないむー。風評被害だむー』
まぁいっか……じゃあ回収なんだけど
『めんどっちぃむー』
今月あと5000円課金していいから
『仕方ないむー』

よしじゃああの人達を説得してきて
……なるべく穏便にね?

『やぁやぁお嬢ちゃん、ごきげんいかがだむ―?』
『実はその子は我々の友達なんだむー、返してほしいむー』

『おっちゃんおっちゃん子供心が分かってないむー』
『我々がアドバイスしてやるからそれこっちによこせむー』

『そこのにいちゃん今とったねむー?』
『ちょっとカバンの中見させてもらっていいむー?』
『嫌なら事務所まで来てもらうむー』

………増えてるなぁ……

アドリブ絡み等歓迎


照崎・舞雪
言葉であれこれ言って納得させるのも確かに大事ですし、スマートでしょう
でも今回、説得しなければならない対象がどれほどいるかも分かりません
一人一人丁寧に時間をかけていては、手遅れになる人が出てこないとも限らないのです
なので、ここは【世界の書】の研究室内にある、私特性の魔法のお薬を使って、邪神ぬいぐるみのことなど忘れさせてみましょう
ええ、決して「説得とかめんどくせぇ」なんて思ってないのです
大丈夫、副作用なんてないのです。多分


アイテム「魔法薬試験管」で一時的に相手を自失状態&記憶処理していくのです
なんか一部で私が都市伝説よばわりされはじめるみたいな気がしなくもないですが、まぁいいのです


マリーノフカ・キス
予知の一組目のような若い女性の所有者を当たろう
あらかじめ別のぬいぐるみを買っていくよ
なるべく作りのしっかりした、そうだね、可愛らしい犬のぬいぐるみでも

「やあ、美しいお嬢さんたち。少し良いかな?」
誘惑、存在感。レディに声をかけるのは慣れて……
……い、いや、慣れていると言っても、不誠実な狼ではないからね?(さっき会ったせいか脳裏に浮かんだ、目隠しのグリモア猟兵の顔に胸中で言い訳)

こほんと咳払い
「実は、妹がそのぬいぐるみを探していてね。良ければ譲って貰えないだろうか?」
「無論、ただでとは言わないよ。この子と交換でどうだろう。――ああ、やはり。愛らしい君と、つぶらな瞳がよく似ている。よく似合うよ」


天通・ジン
「うっわー!君のそのぬいぐるみ、超かわいいね!」
「最後の一個だったんだよね、それ!あー!いいなー!」
「ちょっと見せてよ!」
から説得スタートだ。
持ち前の【SPD】を活かして、流れるように現物を一旦この手に。
そのあと、これ見よがしにぬいぐるみをじっと見つめちゃってさ。

「実はさ。病気の妹がいて、しかも今日がアイツの誕生日なんだ」
「誕生日だし最高のものを贈ってあげたくて……でも今までピンとくるものが見つけられなかったんだ」
「君さえよければ、どうか譲ってもらえないかな?」
「勝手なこと言うようでごめん。でもどうか頼む、このとおり!」

…と、言いくるめよう

アドリブ歓迎
自由に動かしてもらえたら嬉しいな


祇条・結月
知らないところで、自分の世界がこんなことになってたなんて。……初めての仕事、無事に解決したいね

あらかじめ高めの、可愛いくまのぬいぐるみを購入しとく。
貯金、しなおさないとな…
予知のサラリーマンのおじさんへ交渉を持ちかけるよ。仕事してる人なら、お店に行けるのも閉店ギリギリだろうしね

後は家路に着くおじさんに交渉を持ちかける
「実は妹の誕生日プレゼントにぬいぐるみを、って思ったんですけど。妹はそっちのぬいぐるみのほうがいいって。申し訳ないんですけど、交換してもらえませんか」
と【言いくるめ】
……それに。家族の誕生日。素敵な一日になってほしい。実の親子で過ごす時間は大事なものだから。真摯な気持ちを込めて


天御鏡・百々
【生まれながらの光で精神汚染を治療後に説得】

神は神でも邪神の類の陰謀か
信仰は正しくあらねばならぬ
決して精神を汚し無理矢理に行うものではないな

ぬいぐるみを手放させる必要があるということだが……
ふむ、先に精神の穢れを祓ってから行うのが確実か
我が本体である神鏡から放つ光で、精神を治療するぞ
その上で説得だな

さあ、よくそのぬいぐるみを見てみるのだ
本当に可愛らしいか?
正しい精神で見れば禍々しさもわかるはずだ
そのぬいぐるみをこちらに渡すのだ

その後、邪神ぬいぐるみは破魔12にて浄化する


●神鏡のヤドリガミ
●アドリブ、絡み歓迎


雪華・グレイシア
【POW】
奪って良いというなら、選ぶまでもない
怪盗らしく頂いていこうか

予告する……キミたちのお宝、頂くよ

【盗む】のならわざわざ声を掛ける必要もない
【忍び足】で【目立たない】ようにぬいぐるみを持つ人たちに近づいて行ったら、すれ違い様にぬいぐるみを盗んでいくよ

やれやれ、こんなぬいぐるみのどこがいいんだか……

【アドリブ、他の方との絡みは歓迎です】



●増える!だむぐるみ!
 一方、そのファンシーショップの外、ガラス越しにその騒ぎをちらりと覗く少年がいた。
「どうやら在庫処分は任せていいみたいだね……」
 ヘッドホンとゲームデバイスを装着し、白くてヒレの生えた、まんじゅうのようなぬいぐるみを抱いた彼、ジョン・ブラウンは塗料にまみれたワゴンの邪神ぬいぐるみを見てそうつぶやいた。
「それじゃあ僕らは返品処理に向かうとしようか……ところであれ、お前の仲間とかじゃないよね……?」 
 邪神ぬいぐるみと、腕に抱えただむぐるみを交互に見て浮かんだ疑問を言葉にして、目線を下に下ろす。
『知らないむー。風評被害だむー』
 その言葉に抗議するように腕の中のぬいぐるみが身体を弾ませる。あと喋った。
 通行人が『!?』となったりしつつも腹話術か何かかな、と自分を納得させて歩き去って行く。
「まぁいっか……じゃあまずは回収なんだけど」
 ぴこぴことジョンの腕の中でゲームの周回をしているだむぐるみをふにふにとしながらそう言っては見たが。ゲームデバイスからのぴこぴこ音が止まることはなく。
『めんどっちぃむー』 
「今月あと5000円課金していいから」
 ぴたり、とゲームデバイスからの効果音が途切れたかと思うと
『仕方ないむー』
 だむぐるみがゲームデバイスをジョンに押し付けて、ぴょんとその腕から前に飛び出す。
 そんなやり取りをしながらも抜け目なく、周囲の邪神ぬいぐるみを持った人々の行き先はチェック済み。
「よし、じゃああの人達を説得してきて」
『説得は得意むー』
 むき、とヒレをやる気満々に曲げる。
「……なるべく穏便にね?」
 ようやくやる気を見せるだむぐるみにそう依頼すると、
『がんばるむー』
『十連で★5を10体だすむー』
『ぬいぐるみの格の違いみせるむー』
『邪神の座は渡さないむー』
『おっちゃんおっちゃん子供心が分かってないむー』
『我々がアドバイスしてやるからそれこっちによこせむー』

(………増えてるなぁ……)
 増殖していくだむぐるみが駆け出していくのを見送るジョンであった。

●追い課金
 お小遣いを貯めて、やっとの思いで購入したぬいぐるみ。
 ちょっと可愛くないけど、自分だけのぬいぐるみを抱きしめる少女の足元に、だむぐるみが纏わりつく。
『やぁやぁお嬢ちゃん、ごきげんいかがだむ―?』
『実はその子は我々の友達なんだむー、返してほしいむー』
「え……そうなの……?」
 ぴょんぴょん跳ぶ白いヒレ持ちのまんじゅうの言葉を全く疑っていない様子で、涙目で邪神ぬいぐるみをぎゅっと抱きしめる
「で、でも……これから、この子と友だちになるのに……」
『あ、泣きそうむー』
『泣くなむー』
『わかったむー、新しい友達ができればいいむー?』
「あ、あなた達が友だちになってくれるの……?」
『それは難しいむー』

 ジョンの腕に収まっている、大本のだむぐるみを通して、そんな連絡がジョンに伝わってきたのであった。
『ということむー。新しいお友達を買ってきてほしいむー』
「ええ……だれか近くにぬいぐるみを買ってきてくれる気のいい猟兵いないの……」
『いるむー』
『眼の前にいるむー』
「……それ僕のこと言ってるやつだよね」

「……まあ、あと5000円は課金できるのさ」
 そうして何故かファンシーショップの安いやつが全部塗料まみれになっていて。
 ちょうど5000円の追い課金により、無事に少女の新しい友達の確保と、邪神ぬいぐるみの確保ができたのだった。

●ナンパな貴公子さんはお好きですか?
 だむぐるみがそうやって増殖しつつ繁華街に散らばるのに先んじて、邪神ぬいぐるみを持つ女子中学生二人に声を掛ける、マリーノフカ・キスの姿があった。
「やあ、美しいお嬢さんたち。少し良いかな?」
 煌めく金の髪に澄んだ青い瞳のマリーくん。貴公子然としたスタイルに、甘いマスク。その【存在感】に、【誘惑の】甘い微笑み。爽やかに声を掛けるその姿は、余裕を持って手慣れていて。そんなマリーに声をかけられて、邪険に扱える女子中学生はきっといないだろう。
(……いや、慣れているとは言っても、不誠実な狼ではないからね?)
 何やら胸中で言い訳をするマリーの脳裏に、不思議そうな顔をした目隠しの少女が(狼さんですか……がおー?)とか言いながら手を獣耳っぽく頭にピタリと付けて見せる姿がよぎったとかよぎらなかったとか。
「え、なになに、ナンパー?」
「へー、ナンパとか都市伝説じゃなかったんだ。やるじゃんみっちー!」
「いやいや、ゆーちゃんの方じゃない?む、それとも両方なのか……?外人さんはアグレッシブだって聞くし!」
 二人でわいわい盛り上がっていく女子中学生二人を止めるため、脳裏の想像を振り払ってこほんと咳払い。
「ああ、ごめんね。そうじゃないんだ。ふたりともナンパしたい程魅力的なのは確かだけど……」
「ほらやっぱり!大胆だ~!」
「違うって言ってるからね?人の話はちゃんと聞くように」
 こんこんと相方のおでこをつつく女子中学生に、マリーはあはは、と笑って見せて、本題へと切り込む。
「実は、妹がそのぬいぐるみを探していてね。良ければ譲って貰えないだろうか?」
「妹さんが……これを」
「いいセンスしてるねー。いや、ほんとにね?」
 邪神ぐるみが好みという濡れ衣を着せられた妹に心の中で誤りつつ、話を続ける。
「無論、ただでとは言わないよ。この子と交換でどうだろう」
「おー、うちのペットに似てる!」
「良かった、ホントにクリーチャーなペットじゃないみたいで」
 準備よく、事前に購入しておいた可愛い犬のぬいぐるみを差し出すと、女子中学生の片割れ-ワンコを買ってる方-がそれを受け取る。
「――ああ、やはり。愛らしい君と、つぶらな瞳がよく似ている。よく似合うよ」
「つまりペットは飼い主に似るということかな……」
「特に二つしかないとこが似てるねー」
 くふふ、と笑って女子中学生のもう一方が、邪神ぬいぐるみをはい、とマリーに渡す。
「じゃあ、交換ね!友達は間に合ってるから、ちょーどよかったかも……うん?ともだち?」
 その手から邪神ぬいぐるみが離れた瞬間に、なんだっけ、と少女たちがつぶやいて。
「ま、いーか。妹さんによろしくねー!」
「今度はナンパでも構わないからねー!」
「ああ、ありがとう。ナンパはともかく、助かったよ。妹もきっと喜ぶ」
 去っていく少女二人に邪神ぬいぐるみの手?を振りながら礼を言った、その目線の先で、またわいわいと二人で騒ぎ始めるのを苦笑しながら見る。
「……彼女たちが、不幸な目に合わないですんでよかった」
 そうつぶやいてから、邪神ぬいぐるみをしっかりと握りしめた。

●おじさん包囲網、あるいは廻鴎亭の少年二人
 繁華街、邪神ぬいぐるみがワゴンに積まれていたファンシーショップとは別の、寂びれた小さなお店。少し出来の悪い、ほつれた邪神ぬいぐるみに手を伸ばすサラリーマンがいた。
「これで、良いんだ……だって、もうほかのを買う余裕はないし……あいつも許してくれるさ……。」
 閉店セールだというこの店でないと、この邪神ぬいぐるみさえ買うことは出来なくて。
「本当に……良いのかな……いや……良いはず……はずだ……このぬいぐるみは、娘のプレゼントに最適なんだ……!」
 それでも迷いが断てないサラリーマンの言葉を聞きつけたのか、その左右に近づく二人の少年が同時に声を掛ける。
「いや、そのぬいぐるみ、グロテスクで超悪趣味だよ…ボクがもし貰ったらドン引きしちゃうかなぁ」
「あの……そのぬいぐるみ、もし良ければ譲って頂けませんか?妹に、贈りたくて……」
「えっ」
 突然現れた二人の少年の片方にプレゼントのダメ出しを受けたかと思えば、もう片方の少年からプレゼントの交換を申し込まれた中年男性が目をまん丸くする。
「えっ」「えっ」
 そして絶妙なタイミングでバッティングした二人の少年もお互いを見つめた。
 そして、すぐに事態を理解した少年二人は目配せをしあって、まずは、虜・ジョンドゥ(容赦なくダメ出しをしたほうの少年)がぐいぐいと踏み込む。
「おじさん、プレゼントを探してるんでしょ? 娘さんの誕生日、なら尚のこと可愛いモノを見つけなきゃ!グロテスクなプレゼントなんか送っちゃ、びっくりさせちゃうよ!」
「で、でも、大きいので買える値段なのは、これしかなくて……」
 大きいぬいぐるみがほしいって言ってたんだ、とジョンドゥの明るく友好的な言葉につい事情を話してしまうサラリーマン。
 そこに、祇条・結月(妹さんの趣味が心配な方の少年)がそっと話しかける
「……実は妹が、誕生日プレゼントにそのぬいぐるみをほしいって言ってて……あっちのお店は、全部売り切れてて……それ一つだけ、残ってるの、今見つけたんです」
「よかったら、このぬいぐるみと、交換してもらえませんか?」
 あらかじめ購入しておいた、大きなくまさんのぬいぐるみ(かなり良いお値段で、結月の貯金はかなりのダメージを受けた)をそっと見せる。
「娘さんの幸せそうな笑顔、見たいでしょ? だったら、可愛いぬいぐるみが、絶対いいよ!」
「妹はそっちのぬいぐるみのほうがいいって。申し訳ないんですけど……お願いできたら」

 説得を続けることしばらく。二人がかりの説得によって、ついにサラリーマンも納得して。
「う、うん……君の妹さんの趣味を聞くと、もしかしたらうちの娘も……なんて思ってしまうけれど、多分そうじゃないと思う。くまさんが好きだし……。」
 そうして、サラリーマンから邪神ぬいぐるみを受け取って、代わりに可愛いクマのぬいぐるみを渡したジョンドゥと結月がほっと息をつく。
 ありがとう、と礼を言って去っていくサラリーマンを見送りながら、ジョンドゥが結月を見上げて、疑問を口にする。
「良かったの? あのクマのぬいぐるみ……すごく可愛かったけど……」
 ……値段もすごいものなはずだよ、と。
「いいんだ。……娘さんの、家族の誕生日なら、素敵に過ごしてほしいから」
 実の親子で過ごす時間は、大事なものだから、とつぶやいて。結月は去っていくサラリーマンの背中をじっと見つめた。そんな結月の横顔を見上げて。
「なるほど、なるほど……わかったよ!キミは、とってもお人好しだね!」
 ヒヒッ、とジョンドゥは楽しげに笑った。

●天光
 繁華街の一角、幼い少女の姿のヤドリガミ、天御鏡・百々がひとり、瞳を閉じ精神を統一させて、邪悪なる者の気配を探していた。
「……神は神でも邪神の類の陰謀か。信仰は正しくあらねばならぬ。決して精神を汚し無理矢理に行うものではないな」
 ぴくり、と邪なる気配を感じてそっと瞳を開ける。
「……あちらか。何か、騒ぎになっているようだな」
 自らの本体である神鏡にそっと手を添えて、騒ぎの元へと歩を進めていくのであった。

 とある人気のない路地、ガラの悪い男が呑気そうな通行人からスリとった戦利品……邪神ぬいぐるみの入ったカバンを取り出していた
「ケッ、大事そうに抱きしめてやがるから何かと思えばキモぬいぐるみじゃねえか……いやちょっと可愛いかもなァ」
 そこにわらわらと何者かがぴょんぴょんと近づいて来ている音がして振り向いけば。……チンピラの足元にだむぐるみが殺到していた
「ああん?なんだこのヒレ付き白いぬいぐるみはよぉ!」
『そこのにいちゃん今とったねむー?』
『ちょっとカバンの中見させてもらっていいむー?』
『嫌なら事務所まで来てもらうむー』
 そして。
 そのやり取りを目にした百々は迷いなく即【生まれながらの光】を放った。
「ぐわぁぁぁぁ!?」
『ぐええむー!!』
『やられたむー!』
『ガチャは任せるむー!』
 はあ、とため息を付きながら、百々は倒れたチンピラとだむぐるみに近づいていった。
「精神を浄化しただけだ。邪なものでなければ害はないだろう」
『峰打ちだったむー』
『ありがたいむー!』
『コリが取れた気がするむー!』
 元気に飛び跳ねるだむぐるみをいなしつつ、百々が更に近づいていく。
「さあ、よくそのぬいぐるみを見てみるのだ」
 精神を浄化したチンピラをつんつんと突っついてみつつ、そう促す。
『照れるむー』
『ちょっとはずかしいむー』
『きれいに撮ってほしいむー』
「貴殿たちのことではない……」
 コホン、と咳払いをしてチンピラに訴えかける
「本当に可愛らしいか?正しい精神で見れば禍々しさもわかるはずだ……。さあ、そのぬいぐるみをこちらに渡すのだ」
『……』『……』『……』
「…………ああ、分かっていたとも」
 ずっとチンピラは気絶していて、起きる気配もまったくないのであった。
 それ以上言葉を続けるのを諦めた百々は、頬を赤く染めながら、邪神ぬいぐるみをしっかり回収して、チンピラが盗んだ品であろう鞄を交番に届けて。
 だむぐるみが跳ねる音×3がすぐ後ろに付いてくるのを聞いて、ため息を付きながら次の邪な気配へと急ぐのであった。。

●ナンパにしか見えない系のヤツ
 繁華街、喫茶店。テーブルの上に邪神ぬいぐるみを乗せて、小説を読みつつ午後の一服を楽しんでいる私(華の女子大生である)のテーブルに、大胆に突撃する少年がいた。
「うっわー!君のそのぬいぐるみ、超かわいいね!」
 そんなに可愛いだろうか、と疑問に思うが、それはともかく可愛いというこの少年が可愛いな。
「最後の一個だったんだよね、それ!あー!いいなー!」
 もしかして、これはナンパというやつなのだろうか……そんな事を考えていたら
「ちょっと見せてよ!」
 友達を奪われた。
 ……でもあれだ、友情よりも恋のほうが大事だって聞くし?いや、年下趣味とかではないのだけれど。いや、ほんとにね?

 もちろん、特にナンパのつもりではないその少年、天通・ジンの目的は邪神ぬいぐるみであるので、彼女のヤキモキなど知る由もないのだが。
 わざとらしくじっと、ぬいぐるみと、その視線の先の彼女を見つめて、話し始めるのだった。
「実はさ。病気の妹がいて、しかも今日がアイツの誕生日なんだ」
いきなりごめん、と儚げに微笑んで、それでも、とジンは話し続ける。
「誕生日だし最高のものを贈ってあげたくて……でも今までピンとくるものが見つけられなかったんだ」
 邪神ぬいぐるみがピンとくるのはどういうことなのかな、と自分でもわからないがこういうのは勢いが大事だとジンは思った。
「君さえよければ、どうか譲ってもらえないかな?」
ぎゅっとその手を握りそうな勢いで近づいて。
「勝手なこと言うようでごめん。でもどうか頼む、このとおり!」
ペコリと頭を下げて、お願いした

「私の未来の妹のためなら……!いくらだって持っていって!」(邪神の影響で混乱しているようです)

んっ?となにかおかしな話の流れに首をかしげるジンであったが、
「あ、ありがとう……!恩に着るよ!」
今は目的を果たすことが大事である、とぬいぐるみを受け取って、その女性から離すのだった。
……女性は邪神の影響が抜けたら普通に戻るので大丈夫です。多分。

●怪盗は鮮やかに、舞い散る雪は大胆に
 この日、この事件に関わった全ての猟兵が全力を尽くし。それぞれのベストの成果を上げたことは疑いないことであるが……。それでも、もし誰が最も貢献したかと問われると、
 かの怪盗、雪華・グレイシアと……
 かの魔法使い、照崎・舞雪の二人であると言って異論のあるものはいないであろう。
 繁華街、メインストリート。
 雪華・グレイシアがその場を仕事の場に選んだ理由は、単純である。
 つまり……ただ、人が多いから。
 そっと近づいて、気づかれずに盗むだけの、ただそれだけの、グレイシアにとって極めてたやすい仕事。
 ただし……この日、全てがグレイシアの思い通りに行ったかと言うと、全くそうではなかったのだが。

「予告する……キミたちのお宝、頂くよ」
 メインストリートの端から歩き始めて、そして数歩歩くごとに、新たな邪神ぬいぐるみをその手に収めて行く。
 極めて容易く、極めて退屈で。
「やれやれ、こんなぬいぐるみのどこがいいんだか……」
 そんなつぶやきが漏れるほど。
 そうして、メインストリートの真ん中まで進んだところで、さて、次の獲物は……と前を向いたら。

 そこにはゾンビの群れがいた。

「は?」
 いや、よく見るとそれはゾンビではなく、自失状態になってフラフラと揺れる人たちで。
 そしてよく見たらそのゾンビ(ではない)の口に魔法薬試験管を突っ込んでいる、涼やかな印象の和服の少女がいた。
 そう、その少女こそ照崎・舞雪。メインストリートの半分をゆく邪神ぬいぐるみの被害者たちを容赦なく自失状態&記憶処理してきた、この事件の最大の加害者……ではなく、功労者のひとりである。

「はい?」
 どうかしましたか?という、わたくし、善意の塊ですけど、なにか?的な表情で舞雪はグレイシアに微笑む。
「え、ええと……あの、何を……していらっしゃるので?」
「はい。私は……皆さんを、救おうと。邪神のことを覚えていても、百害あって一利もありません。説得とかめんどくせぇとか思ったわけではありません。本当です」
 なるほどそれは、一理あるのかもしれない……。
 そんな風に思ってしまったのがグレイシアのミスだったのかもしれないし、後から考えれば最も効率的な選択であったのかもしれなかった。
「ではちょうどよいですので、協力して回収と(記憶処置)参りませんか?」
「そうですね……ここまで来たなら、今更ですしね……」
 舞雪がやってきた方向には、もはや誰も歩いていない。
 魔法薬試験管の餌食になったか、この和服の災厄から逃れようと店の奥で震えているのか……。そして、それ以上は考えるのをやめたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『パープルテンタクルズ』

POW   :    押し寄せる狂気の触手
【触手群】が命中した対象に対し、高威力高命中の【太い触手による刺突】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    束縛する恍惚の触手
【身体部位に絡みつく触手】【脱力をもたらす触手】【恍惚を与える触手】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    増殖する触手の嬰児
レベル×5体の、小型の戦闘用【触手塊】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 そうして、それらは集められた。
 UDC(アンダーグラウンド・ディフェンス・コープ)の人たちに人払いをして貰う前に、何故か人払いの完了していたメインストリートに山と積まれた邪神ぬいぐるみ。
 猟兵たちがそれぞれ戦闘態勢を取り、攻撃を仕掛ければ。
 塗料やら破魔やらで散々痛めつけられたぬいぐるみが破裂するように邪神の眷属が、触手が溢れ出た。
 ぬいぐるみの中に潜んでいた眷属の名はパープルテンタクルズ。
 ちょっと動きが鈍いやつもいれば、まだまだ元気そうにとぐろを巻いたりちょうちょ結びになってみたりする眷属もいて。
 邪神の討伐の前哨戦だ。さあ、ちぎっては投げ、ちぎっては投げしよう。
ラニューイ・エタンスラント
あらあら、見た目だけならあなた達の方が可愛いわね(適当にその辺に居ただむぐるみを捕まえつつ)とりあえずユーベルコードを使いつつ光魔法(属性攻撃)で触手塊を迎撃していくわ。アドリブや他の人との絡みは大歓迎よ。


ジョン・ブラウン
うわぁ、この量はちょっとキッツイ
釣り餌のミミズが沢山入った容器見てるみたいで心に来るね

…………わわわ、こっち来た!

『やれやれだらしがないむー』
『この程度でひるむとは情けないむー』

お、お前ら!助けてくれるのか!?

『月末にサプライズキャンペーンがあるからそっちも課金させろむー』
『端末は共用だから一台分でいいむー』
『優しいむー?』

ああうん……いいよ、頼んだ

『なんだかヌルヌルするむー』
『眠くなってきちゃったむー』
『ガチャとおんなじくらい気持ちがいいむー』

全部捕まってんじゃないか!

……あ、でもサイズ的に一本ずつしか絡まれてないねあれ
複数が締め付けようとしたらツルっ、って外れてるから解除はされてないや……


月山・カムイ
……何があったらこのメインストリートが知らぬ間に人払いされた状態になっているんでしょうね?
都合が良いと言えば都合が良いのですけども

こちらで買い占めてきたぬいぐるみもその山に投げ入れる
正体を表したら抜刀して切り刻んでいくとしましょうか

みなさんはくれぐれも触手に捕まったりしないで下さいね
間違って切り刻んでしまうと、危ないですから

にこやかにそう言って、這い寄ってくる触手の全てをユーベルコードで切り刻んでいく
切り刻み過ぎて触手の体液で切れ味が落ちたら、ぬいぐるみの残骸で清掃
そこを狙われても、キックで反撃してその一瞬後には完全に切り刻んでいくという隙のない体制で戦っていく
ピンチの人は積極的に助ける



●きっと邪神の仕業
 眷属が正体を現す少し前。
 月山・カムイは買い占めた邪神ぬいぐるみをその山に投げ入れながら、人っ子一人いなくなっているメインストリートをちらりと見渡す。
「……何があったらこのメインストリートが知らぬ間に人払いされた状態になっているんでしょうね?」
 これも邪神の影響……なのでしょうか、と首を傾げるカムイの言葉に、
「……」
 怪盗は、虚空に視線をそらしながら大量のぬいぐるみを山に追加しつづけ、
「邪神の企み……恐ろしいものですね……」
 魔法使いは、一体、何があったのでしょうか……という顔をしながら同じくぬいぐるみをもりもり山積みにしていっていたという

「まあ……都合が良いと言えば都合が良いのですけども」
 そんな二人の姿が気にはなっても、まず行うべきは眷属退治。
 カムイは刀を手にして、蠢き始めた邪神ぬいぐるみの山を見据えたのだった。

●お腹の中からこんにちは
 ミチ、ミリ、
 ヌチャリ、
 ズリュグリュリュ
 ギュゥ……オオオォオ

 邪神ぬいぐるみたちの腹部から、四肢から、その中にみっしりと詰まっていた邪神の眷属、触手がぬいぐるみの繊維を裂きながらその姿を表す。
 粘液を滴らせながら、曲がりくねったおぞましき肉の樹木が成長するかのように触手が広がっていく。
 触手群はお互いに絡まり合うようにうねり、更にぬいぐるみから新たに現れる触手が追加されることでその体積を増していく。

「うわぁ、この量はちょっとキッツイ……」
 そんな触手を遠巻きに見て、ジョン・ブラウンが顔をひきつらせていた。
「釣り餌のミミズが沢山入った容器見てるみたいで心に来るね……」
 やだやだ、とつぶやいたその言葉が聞こえたためではないだろうが……
「わわ、こっちきた……!」
 その生理的な嫌悪感を催す触手がうぞうぞうじゅるうじゅるとこちらへ近づき始めるのを見て、ひええ、と及び腰になるジョン。
 ああ、このままではジョンは触手の海に飲み込まれてしまう……。
 そんな最大のピンチに……ジョンの隣に駆けつけるものがいた!

『やれやれだらしがないむー』
『この程度でひるむとは情けないむー』
『なかなかかっこいい登場が出来たむー』
 そう……なんかたくさん増えてた白くてヒレがキュートなアイツ、だむぐるみが……!

「お、お前ら!助けてくれるのか……!?」
 ぴょんぴょんと跳ねながら、近寄ってくる触手からジョンを庇うようにだむぐるみが一列に並ぶ。触手と相対しながらも、ジョンを横目で見てニヒルに(ニヒルに?)笑って見せるだむぐるみ。

『月末にサプライズキャンペーンがあるからそっちも課金させろむー』
『端末は共用だから一台分でいいむー』
『優しいむー?』

「ああうん……いいよ、頼んだ」
 感謝の気持ちが割と薄らぐのを感じながら、それでもあのグロテスクな触手の相手をしてくれるということがありがたいのは確かであるので快諾する。

『まかせるむー』
『マスコットの座は渡さないむー』
『けちょんけちょんにしてやるむー』
 ……もしかしてライバル心とか持ってたのかなぁ。
 触手のマスコットは普通に嫌なので、頑張れー、とだむぐるみを応援しながら見送るジョンであった。

●激戦開始?
『なんだかヌルヌルするむー』
『眠くなってきちゃったむー』
『ガチャとおんなじくらい気持ちがいいむー』
「いきなり全部捕まってんじゃないか!」
 戦闘開始3秒で【身体部位に絡みつく触手】【脱力をもたらす触手】【恍惚を与える触手】それぞれに捕まっただむぐるみたちを見て頭を抱えるジョン。
 それぞれ触手一本ずつにジャストフィットしすぎていて、ユーベルコードとしての解除は逃れられているようだが、流石にそのままでは破壊されるのも時間の問題だろう。
 いや、意外とつるつる滑ってるから大丈夫かもしれないが……。
「ええ……僕がやんなきゃ駄目……? ああもう、仕方ないなあ……!」
 ぞわぞわとするビジュアルに鳥肌を立てながらも、触手の海に向けてローラーシューズを起動して駆け出した。

●囚われのだむぐるみ
「あらあら、見た目だけならあなた達の方が可愛いわね」
『戦わずしてマスコットの座を頂いてしまったようむー?』
 邪神の眷属に向かっていった(そして即捕まることになる)だむぐるみとは別個体の……そう、はぐれだむぐるみ。
 もしかしたら、戦力が足りずに触手に捕まった原因かもしれない。
 そんなはぐれだむぐるみをラニューイ・エタンスラントがそっと持ち上げて、即触手に囚われただむぐるみたちを指し示す。
「あの子達、あなたのお友達?」
『そう?むー。囚われてしまっているむー……ヒロイン確定むー?』
「そうなの……それじゃあ、お姫様……?を、救いに行きましょうか」

●戦闘開始
「我が身に宿りし聖なる輝きよ、夜を斬りさく剣となれ!」
 まばゆい光に包まれたかと思うと、その身に光をまとう聖騎士となったラニューイが触手の群れに飛び込み、聖霊剣グロワール・リュミエールを振りかざせば、放たれた極光に灼かれた触手群が濁りつつも甲高い悲鳴を上げてその身を震わせる。
『とってもかっこいいむー!』
「ありがとう……?」
 無機物?に応援される初めての経験に戸惑いを覚えるラニューイであったが、そのままだむぐるみを捕らえた触手たちへと更に刃を振るう。
 ついてきたはぐれだむぐるみが、ラニューイの振るう、触手を薙ぎ払う聖剣の軌跡に目を輝かせてぴょんぴょんと跳ねれば、触手がするりと伸びてきてキャッチする。
『捕まったむー!?』

「はあ……いや、いいけどね。1体増えても、救う手間は変わらないし……」
 ラニューイと同時に飛び込む形になったジョンが、呆れながらもワイヤーシューターを発動して。
『ねっとりするむー』
『引っ張られてるむー』
『人気者はつらいむー』
 聖剣に斬られ、光にひるんだ触手群から、液体ワイヤーがだむぐるみを捕らえて回収するが……
「うわあ、なんかべとべとしてるよ……」
 だむぐるみに付着した触手の粘液の洗礼を受けて落ち込むジョンであった。

 触手の手から、だむぐるみが離れた――その瞬間に。
「【無響剣舞・絶影】」
 触手の只中へと飛び込んだ月山・カムイの絶技、秒間数千万にも及ぶ斬撃が半径20m以内の触手を細切れにしつくして。
「【神聖輝装・光導乙女】」
 地に落ちた肉片全てを、ラニューイの聖剣からの閃光が塵も残さず焼き尽くした。

●戦いは続く
「ちょっと切り刻みすぎましたか……掃除が必要ですね」
 そう言って、刀に纏わりつく触手の粘液を元邪神ぬいぐるみの残骸で拭うカムイの姿を、だむぐるみがジョンとラニューイの影から見つめる
『こ、こっちは拭うのに向いてないむー』
『粘液まみれむー』
『やめておくべきむー』
 カムイが苦笑して、
「心配しなくても、あなた方で拭ったりはしませんよ」
 でも……と一呼吸置いて。
「くれぐれも触手に捕まったりしないで下さいね。間違って切り刻んでしまうと、危ないですから」
『わかったむー』
『心配ないむー!』
『二度と捕まるわけがないむー!』
「……なんだか、また捕まっている未来がありありと想像できましたわ」
「だね……ちゃんと監督しなきゃだ」

 さて、と一息ついて。
 そして背後に迫ってきていた触手を切り飛ばし、焼き尽くす。
「どうやらこれからが本番……のようですね」
 さらなる触手の集団が3人とたくさんのだむぐるみたちへ再び襲いかかってきた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

マリーノフカ・キス
(うわ気持ち悪っ怖っ)
と思いつつ、フッと笑い。

やれやれ。こうも醜悪な怪物をこの腕に抱いて運んでいたかと思うと、気分が悪くなりそうだね。
とはいえ、レディたちに危害が及ばなかったんだ、それで良しとすべきかな。

殲術抜刀法、鞘の中で溜め込んだ魔力とエナジーを推進力に刀身を加速する居合いで、重視するのは攻撃回数。
軌道を自在に変えるこの刃で、片端から切り伏せてみせよう

アレンジ、連携は歓迎
レディが危ないのを見れば咄嗟に助けに入るけれど……
(――触りたくはないなぁ、触手に!)(本音)
切り落とせる分には、それでいいとして……いざとなれば、【勇気】を振り絞るしか、仕方ないけれど!


西園寺・メア
うねうねぐにぐに気色悪い事この上ありませんね
直視してるとだんだん幻覚や幻聴までしてきそうでまったくもう……近づくのさえ躊躇うかしら


踏破せよ、果ての果てまで!
なので騎士団にお任せしますわ。行ったり来たり、3往復ぐらいすればあらかた片付くでしょう
私はうしろのほうでどーんと構えて不測の事態に臨機応変に対応しますわ(どやぁ


お嬢様思考、アドリブ歓迎



●貴公子とお嬢様とあとなんかぬいぐるみ
 いくら倒しても尽きることなく、無尽蔵に増殖していくような邪神の眷属を前にして、マリーノフカ・キスがため息をつく。
「やれやれ。こうも醜悪な怪物をこの腕に抱いて運んでいたかと思うと、気分が悪くなりそうだね」
 触手の挙動を見逃すまいと、じっと見つめるマリーがそうつぶやく。そしてこちらに気づいた触手が冒涜的に蠕動するさまをじっくりと見せつけられてしまって。
(うわ気持ち悪っ怖っ)
 正直な感想を心の中でつぶやきつつも、先程邪神ぬいぐるみを回収し、その影響下から抜けた少女たちの笑顔を思い出す。
「レディたちに危害が及ばなかったんだ、それで良しとすべきかな」
 そう納得することにして、こちらへ近づき始めた触手を待ち受ける。
 うじゅるうじゅる
 みちりみちり
 ずるりずるり
 そんな音を立てて這いずり近づいてくる触手群を前に、西園寺・メアが柳眉を顰める。
「うねうねぐにぐに気色悪い事この上ありませんね……」
 近づくのさえ躊躇ってしまうわ、とつぶやくメアの前に、マリーが進み出る。
「ならば、僕が前に立ちましょう」
 マリーが、メアを庇うように触手群を見据え、鞘に収められたままの剣に手を添える。
「あら、守ってくださるのですか?」
「ああ。露払いは任せ……」
 ほしい、と言おうとした瞬間に、
『守るむー』
『まかせるむー!』
 メアの前、マリーの隣にだむぐるみが躍り出た。
「……」
「……」
 じっ。と見つめる二人。
『やっぱりこの柔らかなフォルムが良いむー』
『触手とでは勝負にもならないむー』
 にじり寄る触手の前に、対抗するように自身の白くもふもふなボディを誇ってどや顔をするだむぐるみ。
「……えい」
 とメアがだむぐるみを捕まえてしまいこんで、ひとまずなかったことにした。
先程の戦闘でのだむぐるみの活躍から考えても、それは正しい判断であろう。

「さて、気を取り直して……来たれ!そして踏破せよ、果ての果てまで!」
 ネクロオーブをかざしたメアによって召喚された【幻夢騎士団長シェイプ】と【その配下であるスケルトン騎兵百騎】が出現すると同時に触手の群れへと突撃する。
「へえ、これはなんとも心強い仲間たちだ」
 そうつぶやくマリーの後ろに改めて回るメア。
「シェイプ達が働いている間、護衛をお願いするわ」
 術者であるメアが傷つけば、スケルトン騎士団の召喚は解除されてしまう。
「ええ、もとよりレディには、傷一つ付けさせるつもりはありませんよ」
 ぱちり、とウィンクしつつ、スケルトン騎士団の突貫を受けようとする触手の動きに注視する。
 触手群を中央突破し、それでも足らぬと駆け巡るスケルトン騎士団。
 豪快で強力で、触手群の戦力をまたたくまに減らしていくが、それ故に分断された触手たちの各個の撃破には向いていない。
 数度の突撃で討ち残した触手たちが集まって、メアとマリーを包囲するように近づいて来てしまう。
 しかし、マリーの顔に浮かぶのは焦燥ではなく、守るべきものを安心させる、優雅な微笑である。
「あんなに強力な騎士団さんがいるなら、出番はないかとも思ったけれども」
 守るべきメアを、マリーが引き受けているからこその縦横無尽の戦働き。
「どうやら任せてくれているみたいだから、その期待に答えなければね……では、『一刀の下に、切り伏せてみせよう』」
 【殲術抜刀法】。鞘の中で溜め込んだ魔力とエナジーを推進力に加速された刀身。刹那、煌めくの居合の一刀。一振りにして変幻自在の軌跡が、二人を囲む触手全てを斬り尽くした。

「ご苦労様でした」
 そうしてこの一角の触手を根絶して。うしろででーん、と構えていたメアのねぎらいの言葉をうけるマリーとスケルトン騎士団とだむぐるみであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

雪華・グレイシア
さぁ、カーテンコールの前に前座を終わらせるとしようか
キミたちの可愛さとやらはボクには理解できないし……さっさと片づけよう

行進曲を【歌唱】しながら、冬将軍を召喚
氷嵐で射程内の触手を凍結させていくよ
動けなくなってしまえば、当たるも何もないだろう?
凍結せずに動く触手が居れば、【逃げ足】で逃げ回る……と見せかけて【フェイント】を仕掛け、ダガーで斬りつけようか
あまり気持ちのいい感触じゃないね、これは

【アドリブ、他の方との絡みは歓迎です】


天通・ジン
おっけ。それじゃあ戦闘だ。
多数の敵に対して一番有効な方策は、重火器による制圧。
そして、俺の持つ最大の重火器は、――もちろん、俺の相棒さ。

ユーベルコード【経亜空間緊急出動】を使う。
グリモアの力を使って俺の愛機の陸上戦闘機を呼び寄せる能力だね。
やることはシンプルさ。乗って、撃つ。それだけ。

「火器の使用は翼部ガトリング砲に限定。――ぶっぱなすぜ!」

あまりに眷属が多くて、機体を傷つけられそうになったら、離陸して空から撃つことにするよ。
といっても、味方を撃ちかねないからあんまりやりたくないけどね。

味方との連携には積極的に応じる。

アドリブ歓迎。
詳しいことは、あかめMSの描写に任せるよ。


照崎・舞雪
アイシクルフェニックスを召喚し
吹雪と氷の羽根の乱射で敵の触手を次々と葬り去っていく

それらをかいくぐって自分に襲い掛かって来た奴は
祭礼剣ネプトゥナリアで迎撃

「触手とか、ちょっと趣味じゃないのです」
「というか私みたいな美少女が触手にやられるとか、絵面危険邪ありません?」



●かちかちどっかん
 メインストリート、中央広場に、触手に追われて逃げる少女たちがいた。
 そう、ぬいぐるみより溢れ出した邪神の眷属たちが、少女たちをそのおぞましき触手の犠牲にしようと追いかけているのだ。
「はぁっ……はぁっ!」
「きゃー。こわいですわー」
 そうしてついに、触手に全ての退路を断たれ、寄り添うように絶つ少女たちに、触手がにじり寄っていく
「はぁ……もう少し、演技というものを……。いえ、こいつらに耳があるのか知りませんけどね。……まあ、それはともかくとして……そろそろ、良いのではないですか?」
「そうですねぇ……はい、たくさん集まりましたし、ちょうど良さそうですね」
 必死の逃走劇……それを演じていた少女たちが素に戻る。
 少女たち……否、少女のような怪盗と。和服の恐ろしき魔法使い。雪華・グレイシアと照崎・舞雪であった。

「さぁ、カーテンコールの前に前座を終わらせるとしようか」
 グレイシアが手のひらに収まるような小さな折りたたみ式のダガーを取り出して、たまらずに飛びかかってきた触手をダガーで払い除けるとともにその刀身を埋め込む。触手自身の飛び込みの勢いを利用して、魚の開きを作るかのようにその身を縦にかっさばく。
「あまり気持ちのいい感触じゃないね、これは」
 持ち手に伝わる感触に苦言をこぼしつつも、傷口から勢いよく吹き出した触手の体液の雨を一滴たりとも浴びることはない。
「キミたちの可愛さとやらはボクには理解できないし……さっさと片づけよう」
 そうして、美しい歌声で行進曲を歌い始めて――


「触手とか、ちょっと趣味じゃないのです」
 舞雪を目掛けて飛びかかってくる触手を、ひらり、ひらりと舞う雪のように優雅に避ける。
「というか私みたいな美少女が触手にやられるとか、絵面危険じゃありません?」
 そういうのはやっぱりいけないと思うんですよ、と真面目な表情をして触手に語りかける。
「ですから、安全に爆発四散とかしてくだされば一番なのですけれど……」
 舞雪としては真面目な提案に、聞く耳も持たない触手が複数まとめて一度に飛びかかってきて。
「分かり会えないのは、悲しいことですねー」
 その全てをひらりと避けると同時に、青く透き通る聖剣、祭礼剣ネプトゥナリアが閃く。
 斬られた触手がその水の属性を暴走させて……触手を水風船のように爆発四散させる。
「あ、やっぱり爆発四散は駄目です」
 汚れちゃいそうですから。と真面目に評価を下して――

 ――そして、背を合わせるようにして立つ二人が同時に召還を完成させる。
『――――凍えて』
『青き空より降り立て、輝ける冬の霊鳥よ!』
 【絶対零度の氷嵐を放つ冬将軍】
 【青く輝く氷雪で構成された鳥】
 二人の声とともに、一瞬で周囲が停止する。分子の運動を停止させる、絶対零度の氷嵐の中を優雅に飛ぶアイシクルフェニックスが羽ばたけば、停止した触手達から熱を、命を奪っていって。

「それじゃあ、あとはよろしく」
「よろしくおねがいしますねー」
 そう上空へと声をかけた後、中央広場の完全に停止した世界から、触手の彫像の間を縫って、たったかと二人で駆けていく。
 ここでの仕事はこれで果たし終えており、そしてこれ以上ここにいては、彼の攻撃に巻き込まれることになるためである。

「オーライ、素晴らしい仕事をありがとう、これなら味方を撃つ心配はない」
凍てつく空気が満ちた広場の、はるか上空。
【経亜空間緊急出動】によって呼び出された地上用戦闘機を操縦する天通・ジンの姿があった。
ぴしぴし、と冷気に凍てついていく機体を操りながらへえ、と感嘆の声を上げる。。
「ここまで影響があるとは、凄まじいね」
 宇宙用の戦闘機ではないとはいえ、そして二人がかりのユーベルコードであるとはいえ、はるか上空の戦闘機の操縦席まで伝達する冷気に感心の言葉を漏らす。しかし、どのような機体状況であっても、宇宙空間でのあらゆるトラブルを想定した訓練を積んでいるジンの操縦には一切の影響はない。
 既に停止した触手達を、ただ、狙って、撃つだけ。ああ、射撃訓練よりもイージーだ。目を瞑っていたって全てを撃ち抜いて粉々に出来る。
「じゃあ、行こうか相棒!」
 愛機に声を掛けて、上空から触手の彫像が立ち並ぶ広場へ向けて急降下。
「火器の使用は翼部ガトリング砲に限定――」
 最小限の力で、最大の効果を。それに、皆の憩いの広場はできるだけそのままにしておきたいから。でも、男の子だからこういうときはテンション上がる。だから、攻撃の合図は――
「――ぶっぱなすぜ!」
 トリガーが引かれ、戦闘機から放たれた無数の銃弾が、中央広場の触手全てを粉々に打ち砕いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アルトリウス・セレスタイト
化性如きには勿体無いがくれてやる
遠慮なく受け取れ

華嵐で纏めて叩く
高速詠唱・全力魔法・2回攻撃・範囲攻撃など駆使しての飽和攻撃
飛ばしてくる各種触手も纏めて撃ち落としつつ近い順に始末
攻撃の密度で押し切る形に

味方が近くにいれば邪魔しない程度に
危険そうなら手を貸す

万一危険な状態の者がいれば回廊で退避させる


祇条・結月
……うわ、ぐろい。これが、邪神の眷属……。
確かに、こんなのが知らないところで暴れてる、なんて放っておけないよな

前に出て殴り合い、っていうと自信はないので基本的には【逃げ足】を活かして絶えず動き回って敵の気を惹きながら戦うよ。この隙を味方が狙ってくれるといいな
味方の攻撃に合わせて【援護射撃】で「クナイ・ダート」を【投擲】して邪神の眷属の隙を作ることは忘れない

相手の攻撃パターンなんかが見きれてきたら≪術式封鎖≫で敵のユーベルコードを封じて反攻に出るよ

「切り札はそう何度も見せるものじゃない、だろ?」


虜・ジョンドゥ
さぁさぁ、ようやくお出ましだね
ぬいぐるみに詰められるのはふんわりとした綿だけで充分さ
なんでもUDCアースには、お人形の供養があるらしいね
さぁ、ボクらの手でお祓いしようか

召喚するのはボクの見た目の色を分けた、“二人”の“ボクたち”
触手を愛でるように手を伸ばすようにみせかけて――
【だまし討ち】として、三人で『Balloon Blume!』を投げつけて眷属を彩るよ
このカラー風船で敵を怯ませ、【時間稼ぎ】も狙おう
これで強力な技を放つ猟兵くんのアシストができたらいいな

…ボクは、邪神が許せない
だってぬいぐるみはぎゅっと抱きしめて、心を癒やす為のものだから
命まで脅かしちゃいけないよ
だからキミたちは、オヤスミ



●踊るように、歌うように。
 猟兵たちが触手群を追い詰めようとするのとほぼ同時。彼らもまた、戦いを始めようとしていた。
「さぁさぁ、ようやくお出ましだね」
 ぬいぐるみからばりりと、ずるりと、溢れ出るように姿を表した触手たちへと、歩みを進めるのは、緑とピンクのオッドアイを持つ、自称バーチャルピエロ、虜・ジョンドゥ。
「……うわ、ぐろい。これが、邪神の眷属……」
 邪神の眷属、そのおぞましき触手に眉を顰めつつも、ジョンドゥの隣に立つは祇条・結月。
「いやあ、ぐろぐろだねー、子供が見たらしばらく夢に見てうなされちゃいそうだ!ぬいぐるみに詰められるのは、ふんわりとした綿だけで充分だってのにさ!」
 おどけてそういうジョンドゥの言葉に、前を向いたまま結月が応える。
「うん。ぬいぐるみに詰めるべきなのは、もっと柔らかいものだけだ。……こんなおぞましいものを、子供に見せる訳にはいかないね」
 今回は結月の、猟兵としての初仕事。忌まわしき粘液に包まれた、おぞましき触手。この世界を裏から脅かす、悍ましきオブリビオンを前にして、それでも、とじっと眷属を見据えて、決して後ろに下がりはしない。なぜならば、こんな恐ろしいものが、世界の裏で暴れているのだと知ったからには。
「……放っておけないよな」
 その心の中で、勇気という名の炎が、静かに燃えつづけているから。

 そんな結月の様子を見て、それじゃあ、ゆくよ、と声をかけたのと同時に、ぬいぐるみの残骸をその身に引っ掛けた触手が、ジョンドゥを、結月を襲わんと躍りかかる。
「なんでもUDCアースには、お人形の供養があるらしいし、ボクらの手でお祓いするとしようか!」
 そう言って、その身を貫かんとする触手をひらりと身軽にかわして。にこり、とジョンドゥが笑う。
『ねぇ、遊ぼうよ。“ボクたち”と』
 そしてその瞬間、ジョンドゥの左右に二人の人影が現れる。
 それは、ジョンドゥの【MY AVATAR】によって召喚された二人の“ボク”。
 ジョンドゥの色彩を2つに分けたような【緑髪ピンク目の男の子の“ボク”】と【ピンク髪緑目の女の子の“ボク”】が召喚されて、三人のジョンドゥがそれぞれに、触手の周りを駆け出す。
 三人に別れた標的に、戸惑うように触手が左右に振れる。
 そして戸惑うその触手を撫でるように3人のジョン・ドゥが手を伸ばしたかと思うと、その手にはいつの間にか塗料の込められた風船『Balloon Blume!』が収まっていて。
「「「えーい!」」」
 と3方向からカラー風船を投げつけまくる3人のジョンドゥ。
 攻撃を避けようとその身をくねらせた先を、その動きを呼んでいたかのようにあらかじめかけられていた回転によって追尾して。

 ばしゃ!ぽよん、べちゃあ!どしゃあ!

 全てのカラー風船が触手に直撃すると、すっかりカラフルな触手の出来上がり。
「うん、このほうがかわいいね!」
「ちょっとマーブルなドーナッツみたいかも」
「あんまり美味しくはなさそうだけどねっ」
 ヒヒッ、と笑った3人のジョンドゥが、手鏡をどこからともなく取り出して、触手自身の姿を見えるように向けてあげる。目がどこなのかはわからないが……ふるふる震える触手の姿を見るに、どうやらお気には召さなかったようで。
「「「あ、怒っちゃった?わあー!逃げろーっ!」」」

「ああいう方法も、あるんだな……」
 そうやって、触手を撹乱するジョンドゥに感心しつつも、結月は触手の只中を走り回る。
 ジョンドゥが過半数の触手をひきつけている内に、一匹ずつ確実に倒していく。
「ん、ちょっと危ないかな……」
 ジョンドゥが囲まれようとしていると見ると、遠距離からのクナイ・ダートの投擲で眷属を貫いて、そのまま壁に貼り付けにしてみせる。
 ひゅーっ、とジョンドゥの感嘆と感謝の声を聞いて、ちょっと照れてしまいながらも、触手の中を再び走り回るのであった。

 ……着実に猟兵の有利へと傾いていっていたはずの戦況。
 しかし、倒しているはずの触手の数が全く減らないことに、二人は気づき始めていた。
 その原因は、二人の猟兵の撹乱を無視して、後方で増殖をし続ける触手塊。
 ジリジリと、二人の相手をする触手の数が増えていき、疲労が積み重なった身体の隙を狙われんとしていた。

 それでは、猟兵たちは負けてしまうのだろうか。
 二人の撹乱は無意味なものであったのだろうか。

 否。それは違う。全く違う。
 なぜならば。

 彼らが時間を稼いでいたからこそ、アルトリウス・セレスタイトが駆けつけることが出来たからだ。

●後始末は入念に
「どうやら、助けが必要のようだな」
 銀髪に藍色の瞳の長身の男、アルトリウス・セレスタイト。邪神の眷属に終わりを告げに来た、『原理』を扱う異能者。
「化性如きには勿体無いが……くれてやる」
 淡青色の光の粒子の形態をとった『原理』を纏ったアルトリウスが、触手を片っ端から切り伏せながらその中央へと飛び込んでいき……
「では、遠慮なく受け取れ」
 高速詠唱、範囲攻撃、二回攻撃に全力魔法。全力で叩き込まれた凄まじい密度の攻撃。彼が放ったその技の名は【華嵐】。
 その身にまとった『原理』を【自壊の原理で存在根源を砕く淡青色の幻想】の花びらに変えて、周囲すべての敵を切り刻み、すり潰し、塵へと変える技。
 圧倒的な密度の攻撃による、防御をも兼ね添える一撃により、反撃の3種の触手全ては撃ち落とされ、なんの抵抗もすることも出来ずに消滅した。

「無事か?」
 無機質な声で、アルトリウスが二人の猟兵に尋ねる
「ありがとーっ!元気元気だよー!」
「うん、大丈夫。おかげで助かったよ」

「……でも、もうすこしだけ、後始末が必要みたいだね」
 結月が見つめる先に、未だに後方に留まっていたため、アルトリウスの攻撃から逃れられていた眷属。
 無数の嬰児を生み出していたひときわ大きな触手が、怒りに震えて叫び声を上げながら、更に多くの触手塊を生み出していく。

「少し、時間がかかりそうだな」
 そう言って、アルトリウスが無造作に『原理』の淡青色の光の粒子を纏う右手を触手に向けたところで。
「任せてよ。あの技は、もう見たから」
 切り札は、何度も見せるものじゃない、だろ?そうつぶやいて結月が進み出て、叫び声を上げる触手を指差さす。
「【術式封鎖】」
 ガチャリ。ガチャリガチャリ。ガチャリガチャリガチャリ。
 触手を貫通するように、いくつもの錠前がその身体に課せられていき。
 ユーべルコードを封印された事により、産み出された触手塊が霧散する。
「良い技だ」
 障害のなくなったアルトリウスが、触手の懐に踏み込み、そして一撃のもとに叩き潰した。

 そうして、壊滅した邪神の眷属。それでもまだ、ずるずると地を這って猟兵たちへ手を伸ばそうとするその身体に。
「…ボクは、邪神が許せない」
 ぱしゃん、と当たったカラー風船の塗料が、その身を地に繋ぎ止める。
「だってぬいぐるみはぎゅっと抱きしめて、心を癒やす為のものだから」
 命まで脅かしちゃいけないよ、と触手へそう囁きかけて
「だからキミたちは、オヤスミ」
 ゆっくりと動きを緩やかにしていく触手を見つめて、もう起きちゃ駄目だよ、とジョンドゥがつぶやいて。

 そうして、この街の邪神、その眷属の最後の一匹は、ようやく動くことを止めたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『鑼犠御・螺愚喇』

POW   :    友、死にたまふことなかれ
【友を想う詩 】を聞いて共感した対象全てを治療する。
SPD   :    怪物失格
自身の【友の帰る場所を守る 】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
WIZ   :    永遠の怪
【皮膚 】から【酸の霧】を放ち、【欠損】により対象の動きを一時的に封じる。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は吾唐木・貫二です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ともをまつ
鑼犠御・螺愚喇は友を思う。
ラグオ・ラグラは友を想う。
らぐお・らぐらは友を懷う。

いない、いない。どこに、どこに。
ああ、待っている。まっていた。
私の友はどこにいる。
我が友の声が聞こえない。
僕のともだちはかえらない。

ああ、きみだ。あなただ。おぬしだ。なんじだ。
ありがとう、来てくれて。
さあ、いっしょにあそぼう。
さあ、いっしょにうたおう。
さあ、さあ、いっしょにいっしょにいっしょになろう。

●くるったかいぶつ
邪教団員の最後のひとりを飲み込んで。
ずりゅり、とラグオ・ラグラの表面に黄色の目が一つ、新たに開く。
ともにあることができる喜びに。
ラグオ・ラグラの感覚器がほそまる。

この場へたどり着いた猟兵達を見て、歓喜の声を上げた。
さあ、ともに。ともに。ともになろう。
アルトリウス・セレスタイト
妄念は外に出すものじゃない
抱えて眠れ

始動は潜んで密やかに
目標が動き出そうとする所を静止で拘束
第一手を潰し此方が流れを掴む

以後自身の存在が発覚するまでは行動の起こりを押さえるように拘束
気取られなければ最後まで潜んだまま拘束に専念

露見したら焼尽での攻撃に切り替え
潜んでいた事実と視覚的に目立つ攻撃で意識を誘引し他への注意を削いで隙を作る
目標が動きに慣れてきたらまた静止で拘束
全力魔法と高速詠唱も駆使してより強固に縛り痛撃を狙う


西園寺・メア
邪神ぬいぐるみの親玉の登場ね!
なんか友よ友よって言ってる気がするけど、人間と邪神では尺度や感性が一致しないからダメダメね!
地獄にお帰り願いますわ!

引き続き踏破せよ、果ての果てまで!
呪術で凶暴に狂わせて突撃よ!

反撃に備えて迷彩で隠れておくわ!反撃後の隙をついて自身はだまし討ちによる骨砕きで挑むわ!
身の危険には見切りと第六感で対処しますわ!


マリーノフカ・キス
友に……か。戯言を、と言いたいところだが……或いは君は、本気なのかもしれないね。
ああ、けれど、すまないね。共感は出来そうもない。
君の目はこの世を見つめてはいない、君が見失った友はここにはいない。
諦めたまえ。

とはいえ……やることは、変わらないね。
一刀に全ての力を込めて、重視するのは攻撃力。
レディのサポートはいつでも心がけるけれど、ここは素直に押すべきかな。

せめて来世で友と出逢えるよう。それくらいの祈りは、手向けてあげよう。
これは口には出さないけれど――恐怖よりも嫌悪よりも、憐れみが勝るのは、僕にとっては、幸いだったかな。


天通・ジン
ようやく敵の親玉の登場だ。
悪いけどさ。何を言ってるのか、さっぱりわかんねーよ

俺は愛機に乗って、「空から攻撃」し続けるよ。
操縦をAIに任せて高速機動、俺は攻撃に意識を傾注する。

有利に戦うためには、【地形を利用】しなくっちゃな。
空にはそうそう攻撃も届くまい!(フラグ)
届いたとしても当てにくいだろ!(予防線)

んで、戦闘では地上の味方を航空支援する。狙われてたらその攻撃を狙い撃ちして邪魔したり、必要なら銃弾で地形破壊して味方の攻撃の援護をしたりな。
霧が出たら弾を撃ち、低空飛行で風を起こし、晴らすのを試みるよ。

その他、プレイングのアレンジは歓迎
苦戦描写とかもOK
あかめMSのやりたいようにやって欲しい


雪華・グレイシア
お生憎様。そのお誘いに乗るのは御免被るよ
どんなものが出てくるかと思えば、こいつは流石にボクが求めているようなものは持っていなさそうだ
邪神なんていうのはそういう手合いばかりなのかな?

ボクが歌と共に呼び出すのは霜の巨人
キミの詩が傷を癒すというのならボクの歌はすべてを凍てつかせる氷の歌
歌っている邪神に巨人を組み付かせて、治療する端から凍てつかせていくよ

さぁ、どっちが限界を迎えるのが早いか……ひとつ根競べでもしてみるかい?


ジョン・ブラウン
「お前らいつの間に外であんな友達作ってきたんだよ」

『知らないむー』
『初対面だむ―』
『もしかしたらソシャゲのフレンドかもしれないむー』
『「まめっち」さんかむー?』
『でも今ログインしてるから多分違うむー』

「うわぁ!?なんか煙出して……ちょ、地面溶けてない!?」
『溶けちゃうむー!?』
『ヒレが溶けたむー!』
『すぐ生えるから気にするなむー』
『でもお肌が荒れちゃうむー』

「これちょっと吸うとやっばい……どうにか出来ない!?」
『しょうがないむー』
『ちょうど小腹が空いてたとこだむ―』
『『『『合体だむ―』』』』

『今日のメニューは酸味がきいてそうだむー』

『じゃあ』
『いただきますむー』

『友達にしてやったむー』<ゲップ


月山・カムイ
友……ねぇ
何をもってそう定義しているつもりかは知りませんが、一緒になろう等と誘いかけてくるモノを、友とは呼びたくありませんね

ブラッドガイストで殺戮捕食態へと絶影を変形させる
猛然と突っ込んでいき、邪神へと近接戦闘を仕掛ける

これより始まるは喰らい合い
どちらが先に力尽きるか、存在を賭けて戦うとしましょうか
あぁ、まずはその増やした瞳から、いただくとしましょう

敵の攻撃を紙一重で躱し、カウンター気味に喰らいつく一撃をその黄色い目に叩き込む
犠牲者を取り込んだ証であるというのなら、その全ての瞳を潰し喰らい尽くしてやるとしよう
それが邪神に取り込まれてしまった人への弔いとなるのなら
力づくで開放してやろうじゃないか


照崎・舞雪
「ええ、申し訳ないのですが、友達は選んでつくる性質でして」
「お祈り申し上げるのです。真っ当に生まれ変わったら来世で友達になりましょう?」

相手の放つ酸の霧をコードレス・アイスエイジで凍らせ無効化し
その隙を突く形で一気に距離を詰め、祭礼剣で切り捨てる

「まぁ、やり方は大いに間違っていますが、友を想うという事それ自体は否定しないのです」
「あなたのために流す涙はないけれど、憐れんであげましょう」


クローネ・ハルトマン
(ぬいぐるみと戦っている所を遠目で見て、興味本位で邪神の気配辿ってきたという体で参戦。)
「おや、友達が欲しいのかい?そうか、独りは寂しいからね。」
「でもここは君がに居てはいけない場所なんだ。」
「だから、今はお還帰り。君が本来いるべき所へ。」

【属性攻撃】で強化した【ウィザードミサイル】で攻撃。
相手の攻撃は【高速詠唱】で【衝撃波】の魔法を放ち相殺するか、傘で【盾受け】してガードする方向で。

「大丈夫、縁が合えばまた逢えるさ。君(邪神)と私達(猟兵)は、そういう因果にあるのだから。」
「それじゃあ、“またね”」

もしも形が比較的残っているぬいぐるみがあったら欲しいな、ダメかな?(チラッ


ラニューイ・エタンスラント
そう、あなた友達が欲しいの?だけど残念ね、私は友達になれそうもないわ。ユーベルコードでとにかくダメージを与えていくように勤めるわね。アドリブや他の人との絡みは大歓迎よ


祇条・結月
悪いけど君と友達になるわけにはいかない
邪神の仲間になるわけにはいかないし……過去は戻らないものだから

真向から当たるのはさけてスピードで攪乱
【勇気】を持ってあらなきゃ。気持ちで負けないように
【逃げ足】で攻撃を回避して隙を作って「クナイ・ダート」の【投擲】で【援護射撃】
どうしても回避できないときは【オーラ防御】が気休めになればいいけど……

敵の動きを観察して隙をみて≪術式封鎖≫を試みるよ

……怖くない、って言ったら嘘だし
怪我をするのも、下手したら死んじゃうのだって怖いけど
君が「友達」にしようとしていた「誰か」には、ほんとにいたい場所があるんだから、さ
それが奪われるのを見過ごしたくないから
僕は、戦うよ



●友との再会
 UDC(アンダーグラウンド・ディフェンス・コープ)により人払いをされるまでもなく、既に人の行き来は絶えて久しい、とある廃工場。
 邪教団により召喚され、そしてその全てとともになった狂った邪神。
 屋根は崩れ、吹き抜けとなっていて、西の山へ沈もうとしている夕日が、中央に佇む、巨大な怪物を照らす。
 ラグオ・ラグラは、感覚器を細めて、ゆっくりと猟兵たちを見た。
 新しい、友となるべき者を見た。

――ともよ、ともよ。

「うわ、こっち見てるよ……あと、すごく嬉しそうなんだけど」
『なかなか斬新なビジュアルだむー』
『目がたくさんむー』
 ラグオ・ラグラの視線の先。廃工場内、入り口から顔をのぞかせたジョン・ブラウンが、黄色い感覚器を細める怪物の視線を感じて一度顔を引っ込める。
 その隣、入口の壁から半分姿を晒すようにした姿。縦に何匹も連なっただむぐるみを、ラグオ・ラグラが見つける。

――とも?

 ラグオ・ラグラはヒレのついたまんじゅうをじっと見つめた後、少し首?をかしげて。そして再び喜びの声を響かせる。

――ともに、ともに。

「お前ら、いつの間に外であんな友達作ってきたんだよ」
 ちょっと疑問符ついてたけどさ、とだむぐるみのバランスが崩れない程度につつく。
『知らないむー』
『初対面だむ―』
『もしかしたらソシャゲのフレンドかもしれないむー』
『「まめっち」さんかむー?』
『でも今ログインしてるから多分違うむー』
「ちょっと待って。あの姿で心当たりがあるフレンドってどういう人なのさ。それともあの感覚器が豆っぽいってこと?」
 ぴこぴことログイン確認をするだむぐるみのもつゲームデバイスの画面をジョンが覗き込むと、そのまま流れるように周回を行い始めるだむぐるみ。
「まあ、絶対違うだろうし、それは後でいいや……けど、そろそろ出番だからさ。周回はまた後でだ」
『はあいむー』
 返事をしながらも周回を続けるだむぐるみの持つデバイスをそっとスリープ状態にして、ジョンはだむぐるみとともに、工場の中へ入り口から踏み込んでいく。

――さあ、はやく、はやく。まてない。まてない。

 姿を表したジョンとだむぐるみたちの視線の先で、ラグオ・ラグラがその身体を一回り大きく膨らませた。

●トモとの再会
 工場の中、ジョンのいる入口から、ラグオ・ラグラを挟んで反対の入り口。
 半壊した扉から侵入したラニューイ・エタンスラントは堂々と怪物へ歩み寄っていく。
 周囲をすべて見渡せる、ラグオ・ラグラの感覚器がラニューイの姿を捉える。

――我ガ友。トモ。とも。ともに。

「そう、あなた友達が欲しいの?」

――とも。ともだ。

 ラグオ・ラグラは彼女を迎えるように、にゅるりとその体の一部を伸ばす。
「だけど残念ね、私は友達になれそうもないわ」
 いきなり触ろうとするなんて失礼よ、とラニューイがぺしり、とその手?を払えば、ラグオ・ラグラは悲しみの声を上げる

――ともなのに。どうして。どうして。離れてしまう。
――いっしょに。一緒になれば。それでだいじょうぶ。だから。だから。

 だから、とラグオ・ラグラはその身体を大きく伸ばすように立ち上がって、大きく膨らんだ。
「……まあ。のっぽさんね」

●ともとの再会
 照崎・舞雪と雪華・グレイシアもまた、別の方向からラグオ・ラグラの前へと進んでいく。

――とも、ともがたくさん。うれしい。きみも。あなたも。いっしょに。ともに。

「お生憎様。そのお誘いに乗るのは御免被るよ」
「ええ、申し訳ないのですが、友達は選んでつくる性質でして」

 二人がきっぱりと断ると、ラグオ・ラグラはその感覚器をまたたかせる

――わすれたの?私と。ボクと。我と。ともだちなのに。ともに。ともに。

「お祈り申し上げるのです。真っ当に生まれ変わったら来世で友達になりましょう?」

――らいせ、来世。ともに。ともに。なれる?なろう。いますぐ。らいせ。

 ラグオ・ラグラはにゅるり、とそのいくつもの突起の一つをぎゅい、と鋭く絞ったかと思うと、舞雪に向けて伸ばす。その狙いは舞雪の首筋で。
 おや、まあ。とつぶやく舞雪は余裕を持ったままの表情。

「手癖の悪い怪物だね」
 一閃。
 グレイシアが一歩前に進み出るとともに、閃いたダガーの輝きが、ラグオ・ラグラの一部を切り飛ばす。
 ありがとうございます、と礼を述べながら、舞雪の祭礼剣ネプトゥナリアによる続けての一振りが、ラグオ・ラグラの突起を根本から分断する。

――ギュオオォォ

 苦悶の声を上げて、ラグオ・ラグラはその身をくねらせる

「どんなものが出てくるかと思えば、こいつは流石にボクが求めているようなものは持っていなさそうだ」
 ダガーについた邪神の体液を振り払って、グレイシアがため息をつく。
「邪神なんていうのはそういう手合いばかりなのかな?」
 その目の前で、邪神の身体が膨れ上がっていって。

●ともとのサイカイ
「とうとう親玉の登場ね!」
 邪神ぬいぐるみの始末、大変だったのよ、とプンプンと怒りながらラグオ・ラグラに近づいていく西園寺・メア。
『大変だったむー』
『ぬいぐるみながら手強い相手だったむー』
 その後ろからぴょんぴょんついていくだむぐるみ。
 まあ、まあ。もう少しで終わりますから、と宥めながらも怪物の動きを警戒する月山・カムイが共に歩み寄る。一応だむぐるみが飛び出したりしないかも気をつけつつ。

――我が友。待ち望んだ。友。とも。ともに。

「友……ねぇ」
 邪神の言葉にカムイがつぶやけば、
「なんか友よ友よって言ってる気がするけど、人間と邪神では尺度や感性が一致しないからダメダメね!」
『ほんとだむー!』
『見習うべきむー!』
 メアとだむぐるみが威勢よく邪神にダメ出しをするのを聞いて、カムイはくすりと笑って頷く。
「ええ……そうですね。何をもって友と定義しているつもりかは知りませんが……」

――ともだよ。ともです。おともだち。ともに。ともに。

 油断なく見つめるその視線の先で、ラグオ・ラグラが膨らみ始める。

――一緒に。離れない。ずっと。とも。ともともにともに!

「一緒になろう等と誘いかけてくるモノを、友とは呼びたくありませんね」

●ともとのさいかい
「ようやく敵の親玉の登場か……」
 はるか上空。猟兵たちと邪神の姿を、崩れた天井を通して戦闘機上から見下ろす少年、天通・ジンまで、邪神の声は響いていた。

――はやく、こっちに。降りて。友よ。ともよ。ともに。ともに。

「悪いけどさ。何を言ってるのか、さっぱりわかんねーよ」
 膨らんでいく邪神の姿に、そうつぶやいて。
【機体操縦に特化したAI】へと愛機のコントロールを渡して、トリガーを握る。照準を怪物へ合わせて。
「だから、これで終わらせよう」

●ともさい
「邪神の気配をたどってきてみれば……これからパーティーでも始まるのかな」
 ぬいぐるみが飛び交う触手退治を見かけて、楽しそうだと駆けつけたペストマスクを着けた青年が、廃工場のドアに背を預けている。
 その青年と、そのマスク……クローネ・ハルトマンを、ラグオ・ラグラはじっと見つめる。
マスクを見て、そして次に体を見て。そうして嬉しそうに、再び目を細めた

――とも。ともたち。いっしょ、いっしょだ。

「おや、友達が欲しいのかい?そうか、独りは寂しいからね。……でも、きっと君と私達は、一緒じゃないな」

――いっしょいっしょ。おんなじ。ともといっしょ。いいな、いいな。
 ラグオ・ラグラは、じっとクローネを見て、一回り大きく膨らんだ。

●とも
 祇条・結月は真っ直ぐにラグオ・ラグラを見据える。
 マリーノフカ・キスもまた、じっとラグオ・ラグラを見据える。

――ともだ。我が友だ。おかえり、ただいま。さあ、ずっといっしょ。いっしょになろう。ともに。ともに。

「悪いけど……君と友達になるわけにはいかない」
 邪神の持つ、数多の黄色の感覚器。こちらを見てる気がするものに視線を合わせて、結月がはっきりと口にする。

「友に……か。戯言を、と言いたいところだが……或いは君は、本気なのかもしれないね」
 邪神に対する恐怖も、嫌悪も、マリーの瞳には映っていない。
「ああ、けれど、すまないね。共感は出来そうもない」
 ただ、哀れみだけがその瞳にはあって。

――どうして。ともだよ。私の。我の。僕のともだ。ともに、ともに。

「邪神の仲間になるわけにはいかないし……」
 それに、と結月は一度目を伏せて、そして再びラグオ・ラグラを見つめて、伝える。
「君の友達は、僕じゃないし…。僕らでもない」
 君に何があったかは、わからないけれど。過去は戻らないものだから、と。

「君の目はこの世を見つめてはいない、君が見失った友はここにはいない」
 はっきりと。狂った邪神に、人の友を待つという伝承の怪物に。マリーは告げる。
「諦めたまえ」
 ここに呼ばれた、その時点で君に救いはなかったのだと。

●狂
――ともになれないなら。共にいられないなら。君が友ではないのなら。それじゃあ、皆。壊してしまおう。

 そうして、満たされない想いを抱えたラグオ・ラグラが腹腔内に溜め込んだ酸。
 ただ皮膚から吹き出すだけの酸ではなく。
 ひたすらに強化された、人体損壊の酸。工場を全て覆うほどのそれが吹き出される。

――すべて、すべて。壊してしまおう。

 猟兵すらも脆く崩れる、致死の酸霧が吹き出され、全てが破壊され―――

――否。

「じっとしていろ」

 吹き出した酸霧が。ひたすらに溜め込まれた致死の罠が。
 ラグオ・ラグラが。狂いし邪神が。
【意志と世界を切り離す原理の楔】によって【静止】した。

 驚愕する猟兵たちの視線が、邪神の前に佇む一人の青年の姿を捉える。
「妄念は外に出すものじゃない」
 猟兵にも、邪神にも気取られずに、知覚の原理の裏に潜んでいた、その青年の名はアルトリウス・セレスタイト。
「抱えて眠れ」
 そして、間髪入れずに放たれた、20を超える【存在根源を裂く青い剣型の原理】の炎が、溢れ出さんとする酸霧の存在ごとラグオ・ラグラを切り裂いた。

●アイスと酸味のfeaturing
 そして、その瞬間、邪神を倒すために全ての猟兵が弾かれるように動き出す。
 まず対処に向かうは切り裂かれてその半分が消し飛んだ酸霧。勢いを失って、しかしそれでも視界を奪うほどに濃密な霧は猟兵たちを飲み込まんと広がっていく。

「っと!まだ溢れてきてるっ!……ちょ、地面溶けてない!?」
 ジョン・ブラウンがいち早くその濃霧の性質に気づき、
『溶けちゃうむー!?』
『ほんとかむー?』
 近づいてくる霧をつついて見るだむぐるみ。
「えぇ……つついちゃうのぉ……?」
『ヒレが溶けたむー!』
『すぐ生えるから気にするなむー』
『でもお肌が荒れちゃうむー』
「む、たしかにこれは乙女の柔肌とかに一大事ね」
 西園寺・メアがだむぐるみを抱えながら背後へと飛んで、
邪神と、酸霧から距離を取る。
 じりじりと近づいてくる霧に対し、周囲の猟兵たちも一時距離を取ろうと下がる。

「これちょっと吸うとやっばい……どうにか出来ない!?」
 そんなジョンの慌てた声に
「それでは私が……」
 と、照崎・舞雪が手を上げて
『しょうがないむー』
 と、だむぐるみがぴょんと飛んで
「任せてちょうだい!」
 と、西園寺・メアが胸を張った。

 3人……2人と数匹?が目を合わせて。
 何かが通じ合う。
(何が始まるんだろう……)
 ジョンがはらはらと見守る中、2人と数匹が頷きあう。

「ええ、それではまずは、私から」
 舞雪が、祭礼剣ネプトゥナリアを目前に構えて、詠唱する。
「遥か古の大氷期よ、ここに再演あれ!今、超常の力すらも凍てつかん!」
 ユーベルコードを凍らせる冷気が、邪神の周囲の濃霧を全て凍てつかせる。

 そして。
 なんと、みるみるうちにだむぐるみたちが集まって……
『ちょうど小腹が空いてたとこだむ―』
『『『『合体だむ―』』』』

「なんか合体した!?」
「なるほど……合体ね!」

 ぴょんぴょんとゆっくりと近づくだむぐるみを見て
 メアが【幻夢騎士団長シェイプ】と【その配下であるスケルトン騎兵百騎】を召喚し……
「こちらも……合体よ!」
 キングだむぐるみ……巨大なだむぐるみが飛んだ瞬間に騎兵団百人が下に潜り込み、持ち上げる。
「これも合体!?」

『くすぐったいむー』
『跳ばなくて良いのは楽ちんむー』
「さあ……行きなさいだむぐるみ-featuring 幻夢騎士団-!」
「いつの間にかアーティスティックになってるんだけど……」

「蹂躙とはかくあるべき、血も、命も、悲鳴すらも飲み込みただ進むべし!踏破せよ、果ての果てまで!」
『今日のメニューは酸味がきいてそうだむー』
「フローズンデザート的で、美味しそうに見えなくもないですね?」
 私が作りました、と生産者な顔をする舞雪。

『じゃあ』
 かぱぁ、とその口が大きく開いて。
『いただきますむー』
 シャリシャリすっぱい酸霧のデザートがだむぐるみの中に収まっていったのであった。

●空の戦士
 この邪神との戦いにおいて、酸霧にて最も被害を受けたのは誰かと言うと
 上空にいた天通・ジンであり。正しくは、その愛機であった。

 邪神による、友を近くに呼ぶための行動。
 空を飛ぶその翼を侵食し、地上に落とす、そのために上空のジンへと酸霧の大部分が向けられていなければ、地上の被害はおそらく全く異なった重大な結果になっていたであろう。

「仲間のための囮になるのは望むとこだけど……後の整備のことも考えてほしいよほんと!」
 酸に溶接部や接続部から侵食され、今にも分解しそうな愛機のコクピットの中。それでもパイロットはしっかりと酸から守ってみせていて。
「ご苦労さま、今回はここまでだ。先に帰っておいてくれ」
 愛機をねぎらうようにぽんぽん、とコクピット内を叩く。

 邪神の周りの酸が凍てつき、だむぐるみがその周囲を凄まじいスピードで回って食らい付くしていくのを上空から確認。
「なんだあれ……。まあ、でも最後に……とことんまで撃ち込んでおこう!」
 視界の晴れた下方、邪神を、送還されつつある愛機とともに急降下し、
上空から邪神に向けて無数の銃弾を叩き込む。
 邪神の苦悶の声を聞きつつ、地上へ激突する瞬間にジンは脱出し、愛機は元の世界へと戻っていった。

●邪神との戦い
 そして、酸霧による防御を失った邪神に猟兵たちが攻め立てる。

 先陣を切ったのは月山・カムイ。
 自らの血液を破魔の力が宿る小刀、絶影にまとわせることで、【殺戮捕食態】へと変化させつつ、猛然とラグオ・ラグラの懐へと飛び込む。
「これより始まるは喰らい合い」
 優しく微笑んでいたその表情が、獰猛な笑顔へと変わる。
「どちらが先に力尽きるか、存在を賭けて戦うとしましょうか」

――とも、とも、こわす、こわす。いっしょ、いっしょ!

「あぁ、まずはその増やした瞳から、いただくとしましょう」
邪神の伸ばす手をかいくぐり、絶影の刃が閃くたびに、その黄色の感覚器がひとつずつ潰されていく。
「目を離すな」
そしてそれらをサポートするはアルトリウス・セレスタイト。
邪神を焼いた【焼尽】の青い炎を操り、その数多の瞳を惑わせる
「そして、焼き尽くされろ」
再生を防ぐように、カムイの潰した瞳を灼き潰していく。


 祇条・結月が邪神へ対峙して、クナイ・ダートを構える。
ギロリ、と邪神の残った感覚器が結月を見据える。
「……怖くない、って言ったら嘘だし」
 脚なんか、震えちゃいそうだし。と言いながらもしっかりと対峙する構えをとって。
「怪我をするのも、下手したら死んじゃうのだって嫌だけど、さ」
 それでも、と結月は邪神を見返して。
「君が「友達」にしようとしていた「誰か」には、ほんとにいたい場所があるんだから、さ」
――それを奪おうとしたことを赦せないから。
「僕は、戦える」
 邪神が再び膨らみ、その内部から酸を噴き出そうとするのを見て
「君の好きには、させない」
 【術式封鎖】による錠前が、ガチャリガチャリがちゃりがちゃりと、その噴出孔をことごとく塞ぎ。
「僕だけじゃ、無理だけど……君を倒す手伝いなら、出来るんだ」
 決意を力へと変えて、邪神との戦いを始めた。


 そうして、作られた隙。視線の隙間を縫うように近づいて
 ラニューイ・エタンスラントはそっと邪神のそばに立つ。
「いくわ」
 そっと当てられた手のひらが、邪神のぬめった肌に衝撃を叩き込む。
 ずむ、と全身が揺れて、ラグオ・ラグラの意識が一瞬真っ白く染まる。
「ユーベルコード、リベレイション!オーヴァードライブ・ブラッドクロス!」
 当てられた掌底から送り込まれた、力を纏った衝撃が、邪神の体内を焼き尽くしながら上下左右に吹き出し、楔となって邪神を縫い止める血の十字架が具現する。
「磔は無理みたいだから。これで良しとしましょう」
 十字架に架けられそうにない邪神の体を見て、少し残念そうにそう言った。


 クローネ・ハルトマンはラグオ・ラグラへ話しかける。
「いくらひとりが寂しくても……ここは君が居てはいけない場所なんだ」
――いっしょ、いっしょに。なる、とも、ともに、ともに!
 邪神の一部が触手のように隆起して、クローネを飲み込もうと飛びかかる。
「だから、今はお還り。君が本来いるべき所へ」
 避けようともしないクローネの背後に出現した、六十を越える数の魔炎の矢が邪神に向けて放たれ、クローネに触れようとした触手を灼き払いつつ、邪神の深部まで焼き尽くした。


 そして、マリーノフカ・キスがラグオ・ラグラの前に現れて
「せめて、一刀で終わらせてあげよう……なんて、言いたいところだけど」
 一刀に全ての力を込めて、重視するのは攻撃力。
「君は強いから、皆と協力させてもらったよ」
 感覚器を潰され、地に十字で繋がれて、その身体を焼き尽くされ。
――とも、とも!いっしょにぃぃぃなるぅぅぅ!
 それでもなお、邪神はともを求めることを止めない。
――一閃。
「君の狂気は、とても厄介だけど……きっと、弱点でもある」
 ルーンで飾られた無名の古刀が邪神の身体にさくりと侵入し、正確無比にその弱点を切断・摘出した。

●歌
――ぎゅおおおおおおおおおぉぉぉぉ!
 全ての感覚器を失い、もはや歩くことも出来ず、狂気を切断された邪神はただ叫ぶ。

――うるるるるぉぉぉぉぉおおおおお
 そして歌う。

――■うぅ■■■■ゅ■■?■■■!!!!
 友を想う歌を。人の可聴域を外れた音で。
 友の傷を癒やすために。

「ひどい歌だ。……ひどく、悲しい歌だ」
 ミレナリィドールの怪盗、雪華・グレイシアはその歌を聞く。

「そんな歌じゃあ、だめだね」
 そう告げて、息を吸い込んで。
――君の狂気は、ボクが頂いていくよ。
 透き通るような歌声で、邪神の歌にかぶせるように歌いはじめる。
 廃工場の中に、霜が降りる。
 霜が積み重なり、巨人の姿を取る。

――■■あ■ゅ■■■?■ぎ■ぁ■■!!
 霜の巨人が、邪神を強く拘束するように抱きしめて。

――ぎゅ、おおおぉぉぉ?
 凍りついていきながら、邪神は首をかしげる。

――とも?とも?
 よく見えないし、なんだか冷たい気もするけれど。
 抱きしめられることが嬉しくて。
――おかえり。おかえり。
 ラグオ・ラグラは、ほほえんで、そして粉々に砕け散った。

●とも
 そして、戦いは終わった。

 凍りついて、砕けた、悲しき怪物。
 その残骸は回収されることになるのだろうが
 その場には、戦闘機の一部が墓標のように突き立っていた

 錆びて落ちた愛機の一部を見つめつつ、ジンが口を開く。
「ま、オブリビオン全員にやってたらキリがないけど。元は悪いやつじゃなかったみたいだしね」
 今回くらいは良いでしょ、と言ってから、元の世界に戻ってからの愛機の整備のことを思い出して憂鬱な表情になった。

――恐怖よりも嫌悪よりも、憐れみが勝るのは、僕にとっては、幸いだったかな。
 マリーは空を見上げて、ラグオ・ラグラの伝承を想う。
「せめて来世で友と出逢えるよう。それくらいの祈りは、手向けてあげよう」

 クローネが、工場内に余っていたぬいぐるみを手にとりながら。
「大丈夫、縁が合えばまた逢えるさ。君(邪神)と私達(猟兵)は、そういう因果にあるのだから」
 まあ、そのときは、また戦いになるのだろうけれど、とつぶやいて。
「それじゃあ、“またね”」

『ちょっと可愛そうだったむー……』
『友だちにしてあげても良かったむー』
『まめっちさんに優しくしてあげるむー』
「結局まめっちさんってどんな人なのさ……」
 ジョンは墓標をちらりと見てから、だむぐるみをむにむにと突っついた。

「まぁ、やり方は大いに間違っていますが、友を想うという事それ自体は否定しないのです」
 墓標の前に舞雪とグレイシアが立ち、
「あなたのために流す涙はないけれど、憐れんであげましょう」
 次はちゃんとやれると良いですね、と舞雪が批評して。
「すごい偉そう……」 
 グレイシアはため息を付いた。

 ラニューイはだむぐるみをクッションに瓦礫の上に座って、静かに皆の様子を眺めていた。
『むー!むー!』
「座り心地はなかなかね……」

 カムイは廃工場内を調べて、邪教団の構成員やその影響について調べ、
「犠牲者は……この教団内だけですか」
 自業自得というものですね、とつぶやいて、UDCの構成員へ引き継ぎの連絡をした。

 メアはまだ呼び出したままの幻夢騎士団とだむぐるみの連携について考えている。
「こう……槍の先につけるのはどうかしら!」
『たかいむー!』
『ちょっとこわいむー!』
『ささりそうむー!』
「刺さってるわよ?」
『ほんとむー!?』

 結月は、墓標に向けて手を合わせて。
「君は、本当はどんなひと……いや、どんなかいぶつ?だったのかな」
 そう、ラグオ・ラグラを想った。

「…………」
 アルトリウスは、墓標を一瞥した後、何も言わずに歩き去っていった。

●友の元へ
 影響を受けた一般人は全て、何があったとも気づくこともなく日常に戻った。
 猟兵たちもまた、彼らを待つ家族や、友の元へ戻っていった。

 これにて、邪神ぬいぐるみを巡る事件は終結した。


 だが、これをきっかけに第二、第三の邪神ぬいぐるみ事件が起こることになろうとは……。
 現時点では、誰にもわからないことであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月27日


挿絵イラスト