聖夜に舞うは真白の花弁
●真白のプリムラとクリスマスを
「メリークリスマスです! 今日は皆さんにUDCアースでのクリスマスイベントのお知らせですよ」
ふふふ、今回はちゃんとクリスマスなのでサンタ衣装も早くはないですよ!と胸を張るのは、グリモア猟兵の薄荷・千夜子(鷹匠・f17474)だ。
そして、サンタさんからのプレゼントですと猟兵たちに渡すのは白いプリムラの小さなブーケ。
「こちらのブーケが入場チケットになります」
入場チケットと言っても見せれば大丈夫ですのでもしブーケを取っておきたい場合はお持ち帰りも可能ですよ、と付け加えながら案内も手渡す。
案内には『White Primula Christmas』の文字と白のプリムラが咲き誇った写真。
「雪ではないのですが、クリスマスに一面の白の花畑はいかがでしょう?」
屋内ガーデンなので寒さが苦手な方にも安心とのこと。
そんなに広いガーデンではないが散歩道と、カフェスペースがありこちらでは軽食とドリンクを楽しむことができるそうだ。
そして、雪の代わりに夕方18時ちょうどにガーデン全体に白の花弁を降らせるイベントが予定されている。
こちらのプリムラの花は造花となっているが、だからこそできることがあるようで。
「この花弁にメッセージを書くこともできるんですよ」
楽しそうですよね、と千夜子が微笑む。
今日の想い出を一言書き残してもいいし、一緒に行く人とメッセージ交換をしてみるのもいいだろう。
普段言いにくいことでも文字でなら伝えられることもあるはず。
「プリムラの花言葉は『青春の恋』です。 そして、品種でも違いはあるのですが――」
プリムラ・シネンシスは『永遠の愛情』
プリムラ・オブコニカは『青春の美しさ』
プリムラ・マラコイデスは『運命を開く』
「こちらのガーデンでは、この三種類の白のプリムラが見れるようです」
真白き花に包まれたクリスマス、是非楽しんできてくださいね。
皆さんのクリスマスが素敵な一日となりますように――そう笑顔で千夜子が猟兵たちをプリムラの園へと送り出すのであった。
天藤
やったー!クリスマスだー!!ということでUDCアースのクリスマスをお届けさせて頂きます、天藤です。
花を絡めるのが大好きなので雪ではなく白のお花畑に空舞う花弁なクリスマスです。
お気に召して頂けましたら是非ご参加頂ければと思います。
●会場について
白いプリムラの花畑が見れる屋内ガーデンです。
フラワーシャワーまでの時間をガーデン散歩もしくはカフェスペースでごゆっくり過ごして頂く形になりますがそれぞれの時間のみでも大丈夫です。
皆様のお好きなように時間をお過ごしください。
カフェスペースではアルコール以外でしたら大体のものはあるということでお好きなものを注文して頂いて大丈夫です。
●プレイングについて
【OP公開後~12/26(木)21:00まで】の期間でプレイングを受け付けます。
同行は最大で3名様までとさせて頂けますとキャパ的にとてもありがたいです。
出来る限り頂いたプレイングは採用させて頂きたいので『プレイング送信前にMSページをご確認』頂けると助かります。
1日で受け付ける人数を最大でも4~5組で調整できればと思いますので翌日以降に送信して頂けると嬉しい場合はMSページトップにお願い文章を記載しておきます。
●今回限定略称記号
『PS:プリムラ・シネンシス』
『PO:プリムラ・オブコニカ』
『PM:プリムラ・マラコイデス』
見に行きたい、降らせてほしいプリムラ(花言葉的に等)がある際にご利用下さい。
それでは、皆様のプレイングお待ちしております!
第1章 日常
『UDCアースでクリスマス』
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POW : 美味しいパーティー料理を楽しむ
SPD : クリスマスイベントに参加したり、観光を楽しむ
WIZ : 恋人や友人との時間を大切に過ごす
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
リンネ・ロート
人格・口調:リンネ
私、こんなところまでやってきて何がしたかったんだろう……
周りはみんな幸せそう
私もあんな風に過ごしてみたかったな……
花弁に書くメッセージなんて……PSにPO、PJ……心が張り裂けてしまいそう!
あれ……?
これは白のサクラソウ……こんな珍しいものがどうして紛れ込んでしまったのかな……?
確か花言葉は「青春のはじまりと悲しみ」「早熟と悲哀」「初恋」だったはず……
ああ……そっか、私まだあの方のことが忘れられないんだきっと
プリムラと白いサクラソウが舞い散るよう私の初恋も終わったんだ
それをまだ私は受け入れられないまま……
薄荷さん……でしたよね?
私これからどう生きていったらいいんでしょう……?
●涙と花雨
「(私、こんなところまでやってきて何がしたかったんだろう……)」
プリムラ・ガーデンへとやってきているのは猟兵たちだけではなく、辺りには一般の来場者たちも来ており辺りは楽し気な雰囲気に満ちていた。
それは――家族連れであったり、友達同士であったり、恋人同士であったり。
皆、プリムラの花畑を楽しんだりカフェで憩いの一時を過ごしたりその表情は明るいものばかり。
対して、一人この場所にやってきたリンネ・ロート(RegenbogenfarbeFlügel・f00364)の表情は暗く、顔もうつむきがちである。
なんとなくグリモアベースで案内を聞いて足を運んだけれどもあの楽しそうな輪に入り込む気分ではなく、仲睦まじい様子で歩く二人組を見つめ心に浮かぶのは――。
「(私もあんな風に過ごしてみたかったな……)」
リンネがそっと伸ばした手は空を切る。
手を取りたかった、一緒の時間を過ごしたかった相手はもうここにはいない。
ぎゅっと、掌を握りしめた。
「……いたい……」
それは、掌に食い込む爪の痛さかそれとも、未だ胸に刺さる想い出か。
そんなリンネの様子を気にすることなく時は過ぎる。
十八時の鐘の音とともに、辺りから歓声が沸き上がった。
「白の花弁……」
プリムラ・シネンシス――永遠の愛情は私にはなかった。
プリムラ・オブコニカ――青春の美しさはもう褪せてしまった。
プリムラ・マラコイデスは――運命を開く……私の時は止まったまま。
「(花弁に書くメッセージなんて……)」
想い出が綺麗であれば綺麗であるほど、その痛みは増していく。
その想いが強ければ強いほど、悲しみは増していく。
降りしきる白の花雨では、リンネの心の雨を晴らすことはなく。
「……あれ……?」
そんなリンネの前にふわりと舞い落ちた一片の花弁。
それはプリムラを模したものではなく、白のサクラソウ。
案内はなく、本来であればここにあるはずのない花。
「確か花言葉は『青春のはじまりと悲しみ』『早熟と悲哀』……そして」
――初恋。
白の花雨が降る中、リンネの瞳から涙がこぼれた。
その手に握りしめるのは白のサクラソウ。
「(ああ……そっか、私まだあの方のことが忘れられないんだきっと)」
プリムラとサクラソウが舞い散るように――リンネの初恋も終わったのだ。
きっと、先に進まないといけない。
立ち止まったままでは何も変わらないから。
それでも、この白の花雨を祝福の雨だとはまだ思えなくて。
「(……まだ私は受け入れられないまま……)」
いつか、この想いは良い経験だったとか、素敵な思い出だったと笑って話せる日がくるのだろうか。
この花雨が、この苦しみも流し去ってくれるのだろうか。
それでも、もう少しだけ――あの人のことを想わせて。
大成功
🔵🔵🔵
朱雀・慧華
【光犬】PO
すごいすごーい、夏輝ほら真っ白!
これがプリムラかぁ〜
軽やかに散歩道を駆け
シネンシスってどれだろー
あっ、ほんとだ!夏輝目いいね!
わからない事くらいあるよぅ
次!夏輝も探すの手伝って!
手を引き連れ回しちゃう
夏輝は誰に対しても全力で向き合ってくれるから
私も全力で楽しいをぶつけるの
まるで太陽みたい
だから陰ってたら力になりたい
楽しいを共有出来ないのは物足りないから
ねっ夏輝、手紙書こ!
んーん、私は夏輝に応援あげるけど夏輝からはいらない
神様は万能じゃないけど、なんとなく心はわかるよ
渡したい人に渡したらいいんだよ
歳下が言うのもあれだけど、神様だもん、いいよね!
がんばれ青少年!(笑顔で敬礼ポーズ
小林・夏輝
【光犬】
関係:同性のように気の合う友達
スゲー、マジで雪みてぇ
慧華の後をついて歩き
これじゃね?
ほら、花名の看板あるし
神様ならなんでもわかると思ってた
そんな急がなくても大丈夫だって…!
無邪気な様子が年相応で思わず釣られ笑い
底抜けに明るくて、マジもんの太陽だな
ムードメーカー気取ってるだけで内心迷いだらけの自分とは大違いだ
いいぜ、記念に交換するか?
何の気なしに告げた言葉への思わぬ返事に驚き
…渡したい人、か…
王子様は無理でも、騎士くらいは許されるかな
守るのは全員で決めた誓いだし
あいつになら任せられるし
サンキュー慧華
なっちゃん元気100倍!頑張るにゃー☆
護りの誓いを綴り
吹っ切れるまで、もう一踏ん張り
●真白の誓い
「すごいすごーい、夏輝ほら真っ白! これがプリムラかぁ〜」
「スゲー、マジで雪みてぇ」
軽やかな足取りで白のプリムラに囲まれた散歩道を太陽のような金の髪も靡かせ朱雀・慧華(純真天使・f17361)が跳ねるように駆ければ、その後ろを瞳を輝かせて小林・夏輝(お調子者の珍獣男子・f12219)が後を追う。
「ねぇねぇ、プリムラもいくつか種類があるって聞いたけどシネンシスってどれだろー」
「これじゃね? ほら、花名の看板あるし」
永遠の愛情という花言葉を持つプリムラ・シネンシス。
慧華がその花を気にしたのは意外だったけれども(多分それを口に出したらつっこまれたかもしれない)そして意外に思ったのはもう一つ。
見つけた看板を指しながら思わず夏輝が呟いた。
「神様ならなんでもわかると思ってた」
知らないことなんてあるはずないと。何かちょちょっとすごい力でなんとかしちゃったりとか。
そんな夏輝の顔を見て、慧華は一瞬きょとんとした後けらけらと声を上げて笑った。
「わからない事くらいあるよぅ」
知らないの?神様だって万能じゃないんだよ。
そう続けて慧華は夏輝の手を取って駆け出した。
「次! 夏輝も探すの手伝って!」
「そんな急がなくても大丈夫だって……!」
焦る夏輝を見ながらくすくす笑う。
手を引き、白の花畑を舞うように駆ける。
指先から伝わるかな?この楽しいの気持ち。
本当に神様は万能じゃないんだよ。
全てを知っているわけじゃない。
だって、私は君の願いを叶えることはできない。
私にできることは誰に対しても君が全力で向かい合っている君に全力でぶつかることだけ。
私が楽しいと感じている気持ちが君にも届きますように。
君の背を押してあげるぐらいなんだから。
花のような笑顔で駆け回る慧華を見て釣られて夏輝もふにゃっと笑った。
「底抜けに明るくて、マジもんの太陽だな」
ムードメーカー気取ってるだけで内心迷いだらけの自分とは大違いだ。
それは言葉にすることはできず、立ち止まって口を噤む。
こうありたい自分、それはきっと大事な人を照らせるような自分になりたかった。
大事な人を照らすのが自分でありたかった。
下を向いた夏輝の手を慧華がもう一度、ぎゅっと握った。
まるで太陽みたい、そう言った彼の言葉に応えるように。
彼の翳りを照らせるように――だって楽しいを共有出来ないのは物足りないから。
十八時の鐘が鳴った。
二人を包むかのようにプリムラ・オブコニカの花が舞う。
片手は夏輝の手を握ったまま、慧華が空舞う花弁に手を伸ばした。
「ねっ夏輝、手紙書こ!」
「いいぜ、記念に交換するか?」
慧華の提案に乗ると、彼女はふるふると首を振った。
彼女の意図が読めずにいると、慧華が優しく微笑んだ。
「んーん、私は夏輝に応援あげるけど夏輝からはいらない」
夏輝は、渡したい人が――伝えたい想いがある人がいるでしょ?
慧華の言葉に夏輝が驚きで目を見開いた。
まさか彼女からそんなことを言われるとは思ってもいなかったのだ。
「神様は万能じゃないけど、なんとなく心はわかるよ。 渡したい人に渡したらいいんだよ」
まぁ、神様だからじゃなくて夏輝やあの子をよく知っているからだけどね!と慧華が笑う。
皆があの子を大好きで大事なのは変わらないのだ。
そして、夏輝があの子を特別に思っているのも。
だから知っている。
あの子が誰を特別に想っているかも。
同じようにいつも傍にいる彼があの子を特別に想っているのかも。
「……渡したい人、か……」
降り注ぐ真白の雪のような花弁を手に取りぽつりと呟く。
渡したいあの子も花が好きだから、花弁に書いたメッセージは喜んでくれるだろうか。
「王子様は無理でも、騎士くらいは許されるかな」
あの子を守ると決めたのは、彼と自分だけじゃない。
他の皆も一緒だ。
だから、隣に並ぶことは叶わなくともこの誓いだけは。
「許されるかどうかは夏輝次第じゃないかな?」
「うぐっ!」
言葉だけなら辛辣だが、その言い方は優しく慧華の表情は相変わらず太陽のように暖かい。
だからそれはしっかり夏輝に伝わる彼女なりのエール。
「ま、あのガラじゃない王子様にはあいつのこと任せられるしな」
俺には、俺のできることを。
プリムラ・オブコニカに綴るメッセージは護りの誓い。
あの時から変わらぬ想いをそっと花弁に乗せて。
「サンキュー慧華。 なっちゃん元気100倍! 頑張るにゃー☆」
「がんばれ青少年!」
いつも通りの彼らしい明るい笑顔に慧華も笑顔で応える。
きっと、今日の一歩は大事な一歩。
そんな彼の姿にびしっと敬礼のポーズ。
降り注ぐ花雨が彼や皆に幸せを届けてくれますように、小さな神の少女がそっと真白の花に祈りを込めた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
リューイン・ランサード
◎
【竜鬼】
『PM』
ひかるさんと一緒に花畑を散歩して景色を楽しむ。
仕事抜きで会うのは初めてでした。
(初めて会った時の事は)よく憶えてますよ。
少ない手掛かりで真相を見抜いていたので、すごいなあと感心してました。
でも一人で地下迷宮探索は危険かなと思って声掛けしたのが始まりですね。
ひかるさんは真っ直ぐで優しくて可愛くて、一緒にいると暖かい気持ちになります。(尚、頼りない云々は自覚有るので苦笑して聞く。)
ひかるさんの告白に「はい、喜んで。僕もひかるさんが好きです。」と笑顔で見つめつつ返答します。
「これからもよろしくお願いします。」と手を差し出し、手を繋いで花畑を散歩し、最後はフラワーシャワーを受けます。
荒谷・ひかる
◎
【竜鬼】
『PM』
リューさんとゆったりお散歩しながらお話
リューさんと二人でって、依頼の時ばかりですけど。
こうしてお仕事抜きで一緒にお散歩するのも、楽しいです。
……初めてお会いした時の事、覚えてますか?
桜舞う世界で起きた事件の最中……わたしの推理を褒めてくれました。
あの時……心がぽかぽかして、とても嬉しかった。
それから何度も、一緒に猟兵のお仕事して……ちょっと頼りないとことか、色々ありましたけど。
でも、そんなところも含めて……優しくて、頑張り屋なあなたのことが。
……好きです、リューさん。
わたしをあなたの、彼女さんにしてもらえませんか?
……嬉しい。
(潤んだ目で手を取り)
わたし今、とっても幸せです。
●そして、ここから
リューイン・ランサード(竜の雛・f13950)と荒谷・ひかる(精霊ふれんず癒し系・f07833)は仲良く談笑しながら真白の花畑をゆっくり歩いていた。
行動を共にすることは何度かあったけれども、それは互いに依頼へと向かった先でだったりとこのように落ち着いた時間を過ごすというのは初めてのことだった。
「ひかるさんと会うのは仕事抜きだと初めてでした」
「そうですね。 リューさんと二人でって、依頼の時ばかりですけど」
依頼に向かった先で出会い、行動を共にすることが何度かあった。
だからこそなんだか不思議だったのだ、もうずっと一緒にいるような気がしていたから。
「こうしてお仕事抜きで一緒にお散歩するのも、楽しいです」
そう言って、はにかんだひかるの表情は年相応の少女のもので、以前はもうちょっと幼かった気がして少しだけリューインの心も跳ねる。
ひかるの変化は、自身の宿敵と対峙したことによるものが大半であろうが――この後、彼女が伝えようとしている想いがあることも影響していたのだろう。
「……初めてお会いした時の事、覚えてますか?」
『運命を切り開く』そんな花言葉を持つ、プリムラ・マラコイデスが咲き誇る花畑の前でひかるがリューインの藍色の瞳を見つめて問いかけた。
「よく憶えてますよ」
もちろんとリューインは頷く。
それは桜舞う世界で起きた事件の最中、影朧を匿う存在がいるとのことで向かった先でのこと。
「少ない手掛かりで真相を見抜いていたので、すごいなあと感心してました」
でも一人で地下迷宮探索は危険かなと思って声掛けしたのが始まりですね、とリューインが続ける。
影朧の想いを汲み取り、彼女の願いを引き上げ転生へと導けたことは今でも鮮明に覚えている。
「その言葉がとても嬉しかったんです……あの時……心がぽかぽかして、とても嬉しかった」
そっと胸に手を当てる。
今でもあの時の温かさはこの胸に宿っている。
「それから何度も、一緒に猟兵のお仕事して……ちょっと頼りないとことか、色々ありましたけど」
ひかるの言葉にリューインが苦笑を浮かべた。
頼りない、という言葉には自覚があったので否定はできなかったのだ。
その様子を見てひかるがふわりと微笑んだ。
「でも、そんなところも含めて……優しくて、頑張り屋なあなたのことが」
胸に当てていた手をぎゅっと握りしめる。
今日、伝えようと決めていた言葉があるのだ。
「……好きです、リューさん。 わたしをあなたの、彼女さんにしてもらえませんか?」
貴方が褒めてくれた言葉が嬉しかった。
貴方が隣にいてくれたから恐怖にも打ち勝てた。
お兄さんのように慕っていたけれど、この想いはまた違うことに気付いたから。
芽生えた想いの蕾が花開くように、頬を薄紅色に染めてひかるが自身の想いを伝える。
私は、貴方の特別になりたいのだと。
「ひかるさんは真っ直ぐで優しくて可愛くて、一緒にいると暖かい気持ちになります」
ひかるの言葉に応えるように。
優しく見つめる眼差しは言葉を紡ぐよりもその想いを告げるようで。
「……はい、喜んで。僕もひかるさんが好きです」
それでも、言葉にしないと伝わらない想いもあるから。
まだ頼りないところもあるかもしれない。
それでも、きっと君が隣にいてくれれば大丈夫。
君と並んで歩けるように、ずっと一緒にいれますように。
「これからもよろしくお願いします」
そう言ってリューインが笑顔で手を差し出す。
まるで二人を祝福するかのように、十八時の鐘が鳴り辺りに白の花雨が降りしきる。
「……嬉しい」
嫌われているとは思ってはいない。
それでも、好きの感情が自分とは違う可能性は否定できなかったのだ。
差し出された手を取るひかるの目は潤んでいる――それは喜びの――。
「わたし今、とっても幸せです」
「うん、僕もとても幸せだ」
繋いだ手と手の温かさを感じながら花雨の中を並んで歩く。
二人のこれからの未来が幸せであるように、プリムラの花が優しく頬を撫でていった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
セリオス・アリス
アレス◆f14882
◎PS
渡したい?
これ…アレスの花じゃん
アレスの目と同じ色
好きな花
時計の表面を普段から想像できないくらいそっと撫で
ありがとな、アレス
大事にする
しかしプレゼントとか知らなかったから用意してねえぞ
この辺で買えそうなもん適当に、
じゃあ
なんだか負けた気分だ
そうだ…これから降る花にも意味があるなら
わりぃ、ちょっと待ってろ
フラワーシャワーの直前に1人走って花屋へと
この店にある
幸運とか幸せとかそんな花言葉の花
全部包んでくれ
そうしてできた花束を担いで戻る
人混みの中だろうと直ぐに見つかる男の元へまっすぐと
礼とかそんなたいしたもんじゃないけど
やる
身につけた時計をちょんと触り
アレスに花束を差し出す
アレクシス・ミラ
セリオス◆f09573と
◎
PM
前日に作った贈り物…喜んでくれるといいな
フラワーシャワーが始まる前にセリオスを呼んで
君に渡したいものがあるんだ
改まると、何だか少し照れてしまうが…
今年一年の感謝と想い出を、君に
丁寧に包装した、ネモフィラの水晶花とルビーとタンザナイトを施した天体懐中時計を差し出す
メリークリスマス、セリオス
さて、花弁ももうすぐかな…って、え?
待ってろって…あ、セリオス!?
花弁が降り出しても戻ってこない
そろそろ探しに行こうとした瞬間、
戻ってきた彼を見て目を見開く
僕に…?
…花はあまり詳しくはないけど
幸せが沢山詰まっている事は分かる
それと…時計も早速使ってくれてるんだね
ありがとう、と笑顔を
●想い出のお返しはたくさんの幸せを
プリムラのフラワーシャワーの時間には余裕を持ってセリオス・アリス(黒歌鳥・f09573)とアレクシス・ミラ(夜明けの赤星・f14882)の二人はプリムラ・ガーデンへとやってきていた。
せっかくならばフラワーシャワーを見ようということと、アレクシスはこの日のために準備してきたものがあったが故だ。
それを渡すことも考えて余裕を持ってこの場所にやってきたのだ。
ゆっくりとプリムラの花畑を見て回りながら、プリムラ・マラコイデスの花畑でアレクシスは足を止めた。
「セリオス」
白の花畑に映える黒の髪をあの日のように靡かせ、アレクシスの呼び声に応えて立ち止まる。
その夜空の色をした瞳がアレクシスを捉えた。
「君に渡したいものがあるんだ」
「渡したい?」
改まると、何だか少し照れてしまうが……そう言ってアレクシスが差し出したのは丁寧に包装した、ネモフィラの水晶花とルビーとタンザナイトを施した天体懐中時計。
それは、二人で見たあの日のネモフィラの花畑の想い出を込めた水晶花、勝利と幸運を呼び、邪を退ける彼の誕生石であるルビー、彼の操る炎をイメージした青のタンザナイトを星のように添えたもの。
ダークセイヴァーでは中々見れない満天の星をいつでも見れるようにと天体懐中時計を選んだのだ。
「改まると、何だか少し照れてしまうが……今年一年の感謝と想い出を、君に」
――メリークリスマス、セリオス。
これからも共に生き、共に運命を切り開けるように。
優しい声色と、プリムラ・マラコイデスの花畑で新たな誓いとともに渡されるプレゼント。
「これ……アレスの花じゃん」
受け取った懐中時計の蓋にあしらわれているネモフィラの水晶花。
アレスの目と同じ色をした、しているからこそ好きな花。
あの日の景色を覚えている――彼の瞳と同じ色をした花畑。
夜空<セリオス>の色と、ネモフィラ<アレクシス>の色、二人の色で染まった想い出の景色。
受け取った懐中時計の水晶花をそっと撫でる。
大事そうに、愛おしそうに。それは普段の彼からは想像もできないほどの優しさで。
「ありがとな、アレス……大事にする」
受け取った懐中時計を大事に抱えて微笑んだ。
アレクシスの心遣いを嬉しく思うと同時に大問題に気付いてしまう。
――しかしプレゼントとか知らなかったから用意してねえぞ。
プレゼントを用意するのはきめ細やかなアレクシスだからこそ、ではある。
しかし自分だけが貰ったままというのは気が引ける。
自分たちは対等なのだから。
「(この辺で買えそうなもん適当に、じゃあ……なんだか負けた気分だ)」
そう、アレクシスはこの日のために用意してきたのだ。
そして、見る限りこれは既製品ではない。
今、手に入れられそうなものは限られている――それでも、それならばできる範囲で最大限のものを。
「さて、花弁の雨ももうすぐかな」
「そうだ……これから降る花にも意味があるなら……!」
プレゼントを渡せて安堵したのか、アレクシスがそっと時間を確認する。
その言葉を聞いて何か閃いたのか、ぱっと顔を上げた。
「わりぃ、ちょっと待ってろ!」
「待ってろって……あ、セリオス!?」
驚きの顔を見せるアレクシスをその場に残し、セリオスが駆け出す。
呼び止める暇もなく走り抜けてしまった彼を見送り――本人が待ってろというのであればすぐに戻るだろうと、揺れる黒髪を見つめて苦笑を浮かべた。
そんなセリオスが駆け込んだのはプリムラガーデンと隣接していた花屋であった。
「この店にある幸運とか幸せとかそんな花言葉の花! 全部包んでくれ!」
「え、全部ですか!?」
「全部だ!!」
店に入るなり開口一番に告げた言葉に、流石の店員も驚きを隠せなかったようだがセリオスの言葉に応えるように慌てて店内の花をチェックしはじめる。
彼の瞳のような青のブルーデイジーは幸福、ピンクのベゴニアは幸福な日々、赤のカランコエは幸福を告げるにたくさんの小さな想い出に添えられる黄色の福寿草は幸せを招く、永久の幸福。
その色とりどりの花たちを白のカスミソウ――幸福、感謝、永遠の愛の花言葉を持つ花で包む。
店員が手際よく花束を纏めていくがセリオスの放った『全部』という言葉によりなかなかの大きさの花束へとなっていく。
「お渡しする方のイメージカラーとかありますか? あと、差し障りなければご関係は?」
「えーっと……青! あと、なんだ……幼馴染っつーか、大事なやつというかそんな感じで」
店員からの問いかけに、セリオスが答えたのは彼の瞳の色。
そして、関係性も。見知らぬ相手に伝えるのは少しこそばゆいものはあったけれども。
それを伝えると、店員が店の奥へと駆けていく。
「造花ですけど、ちょうどいいのがあるんです!」
私たちからのクリスマスプレゼントです。
そう言って、店員が花束に添えたのは蔓日々草。
楽しき想い出、幼馴染という花言葉を持つ花。
そして、その花々を包み青のリボンでラッピングを。
「メリークリスマス! 良いお時間を!」
「ありがとな!」
代金を支払い、大きな花束を抱えて大事な幼馴染の元へと駆ける。
プリムラ・ガーデンに戻ると白の花弁が舞い出していた。
いつの間にかフラワーシャワーが始まる十八時は過ぎていたようだ。
「急がないとな」
どれだけ人がいようとも、どこにいようともすぐに見つけてみせる。
そんな思いで人混みを掻き分け走り抜ける。
人混みの中、太陽のように金に輝く髪が見えた。
「アレス!」
「セリオス! 遅いから探しに行こうかと……え?」
はぁはぁ、と息を切らせるセリオスが抱えるのは色とりどりの花が包まれた大きな花束。
その光景に目を見開くアレクシスを気にすることなく、永遠の愛情の花言葉を持つプリムラ・シネンシスの花弁が降り注ぐ中、ぶっきらぼうにアレクシスに花束を差し出す。
「やる」
「僕に……?」
他に誰がいるってんだよ!!
そんなツッコミとともに、貰ったばかりの懐中時計を身につけてちょんっと触る。
「礼とかそんなたいしたもんじゃないけど……俺だけが貰うってのはな」
そんな言葉を述べながら差し出された大輪の花束をアレクシスが受け取る。
大事そうに花束を抱えて嬉しそうに微笑んだ。
「……花はあまり詳しくはないけど幸せが沢山詰まっている事は分かる」
時計も早速使ってくれてるんだね、と言えばまぁ、せっかく貰ったもんだからなとぶっきらぼうに返すのは照れ隠しだというのは分かっているから。
「ありがとう」
あぁ、また一つ大事な想い出が増えたな。
真白の世界に立つ黒と青、その手にはこれからの幸福を約束するような色とりどりの花束を大事に抱えて。
こうやって、これからも一緒の想い出が作っていけるよう花雨に願いながら。
大成功
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