クリスマス(商戦の)パーティー(の如き忙しなさ)
●働いてる人だっているんです
UDCアースの、どっかの都市部。
雪こそ降ってはいないものの、風に乗る空気は冷たく、冬の季節を嫌でも感じさせられる。
街角は電飾で色とりどりに着飾られ、夜になっても街は闇に覆われることはない。
もうすぐクリスマス。
聖者の生誕を祝う……あるいは、それを名目として皆と楽しい時間を過ごす日。
そんな街の、とあるスーパーマーケットで。
「店長ぉー、冷凍庫もう入りきらないんですけどー」
「すぐに使わんものは鮮魚の冷凍庫に移しとけ。そうすりゃ多少はスペース空くだろ」
自動ドアにはすでに鍵がかかり、店内の明かりも落とされた閉店後。
バックヤードでは、数人の従業員がバタバタとあっちへこっちへ行ったり来たり。
クリスマスを翌日に控えたこの日、明日の当日に備えて店には大量の予約ケーキが運び込まれている。
この日の為に、奮発して買った家族や、パーティーの為にたくさん買い込んだ人もいる事だろう。しまうだけでも大変な量だ。
それも、ただしまえばいいわけでもない。受け取り時間に合わせて順番や種類をちゃんと吟味し、丁度渡す時に解凍されるように、取り出すタイミングにも注意しなければならない。
そして、当日は惣菜のフライドチキンだって飛ぶように売れることはわかり切っているわけだし、ケーキ以外でも寿司やらなにやら予約してる人だっている。
……正直、気が重い。
「このタイミングでインフル流行るとか、マジやめてほしいですね……」
「だからって無理して着てもらうのは駄目だろただでさえ食品扱ってんだから」
もちろん食品扱ってなくても駄目だけど。
店長と店員は二人そろって盛大な溜息をついた。
●これも一つの風物詩なのかもしれない
「皆さん、クリスマスって予定空いてます?」
グリモアベースでそんな声がした。
シャルロット・クリスティア(彷徨える弾の行方・f00330)である。別に質問の意図に他意は無い。
独り身ですと言わんばかりの何人かに思いっきり睨まれたが本当に他意はない。
申し訳なさそうに頬をポリポリするシャル。別の誰かが、続きをどうぞと言葉を促す。
もちろん、シャルだって独り身をいじめるためにそんな事を聞いたわけではない。
そんな事を言えばこいつだって独り身だ。
「えっとですね、UDC組織から『ちょっと助けてほしい』と連絡がありまして」
なんだなんだ、オブリビオン案件か。
ざわめき出す周囲に、「違いますよ」と一言添えて、シャルは続ける。
「組織とつながりのある、えーと……スーパーマーケット?いわゆるでっかいお店ですか。そこでインフルエンザが流行っちゃったらしくて」
クリスマスが近いことで、すごく忙しい時期なのにもかかわらず、普段と比べて人手が明らかに足りない状況なのだと言う。
……だいたい想像のついた猟兵諸氏も多い事だろう。
「ヘルプ入ってくれませんかね?」
つまりはそう言う事だった。
予約してあるケーキやお寿司のお客への引き渡し、次から次へと買われていく惣菜のチキンの量産。
そうでなくても、いつもの商品の陳列の補充など、手伝うべき場所は探せばいくらでもある。
猟兵なら体力面の問題もないだろう。組織とつながりのある店なので、手伝いに入ることには何の問題もない。
「お賃金(経験値とWP)も出ますよ」
いやまぁそうでしょうけど。
「我々の休息も勿論大事ですが、世界に暮らす人々が楽しくクリスマスを過ごせるのも大切なことです。もしお手隙でしたら、お願いしますね」
……まぁ、時間と体力と気力があったら手伝ってあげてもいいのかもしれない。
ふねこ
安息とは……楽しい時間とは……。
……はい、ふねこです。異色だと言う自覚はあります。
例によって、更新タイミング等の大雑把な目安はマスター自己紹介にも随時書いていこうと思いますので、そちらもよろしければご確認くださいませ。
以下、補足情報になります。
クリスマスパーティー(を皆様が楽しむためのお店の手伝い)です。……これも参加になる、のか……?
フラグメント内容が虫の息ですが、こちらでなんかいい感じに能力値判定しますので、あまり気にしないでください。
店の手伝いって事になってますが、普通にお客様としてご来店いただいて買い物してても構いません。
あと、お店や他のお客様の迷惑となるようなプレイングは採用しかねますので、ご了承くださいませ。
それでは、皆様のお手伝いお待ちしております。
第1章 日常
『UDCアースでクリスマス』
|
POW : 美味しいパーティー料理を楽しむ
SPD : クリスマスイベントに参加したり、観光を楽しむ
WIZ : 恋人や友人との時間を大切に過ごす
👑5
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
|
虻須・志郎
(ガラッ)
話は聞かせて貰った。では正当な報酬の為に我が身を削ろう
……クリスマスの予定、だと?
何を言うか世間の幸せの為に命を燃やすのが猟兵ってモンだろうが
そうですよ独りですよ何の問題がありましょうか、ねえ
眷属を召喚してバックのライン作業を手伝う
運搬とか盛り付けとかな。ちゃんと消毒してから作業に入るぞ
催眠時計で普通の人達に眷属は従業員に見える様にしておく
大丈夫、表に出なければ大丈夫だから何の問題も無いから
さあ傍目には蜘蛛が蠢く地獄めいた製造ラインで
ハートフルなケーキやらチキンやらを量産だ
俺? 俺は警備員室に端末繋いで全体の警備をするよ
万引きとか悪い事する奴がいたら即刻お仕置きだ!
リア充なんか以下略
黒河内・柊夜
ハハハハハ!!惑う民に手を差し伸べるのも我らの務め!!任せるが良い!!
我も力を存分に振るうぞ!どうせ予定も無い故な!!
店を細かく歩き回り足りないものは他の者と情報共有しながら即、棚へ並べるぞ。
サイキネを用いれば物品の運搬なぞ御茶の子さいさいだ。腕の数よりも多く物を運べるし距離も問題にならぬ。
……速度重視だが品物は破損させぬよう留意せねば。
本当は効率的な在庫管理などにも口を出したいがこの忙しさでは無理であるな!!
む?無知なる民にこの(念力で物を動かすような)行いを見られるのは不味いか?
まあ誰も一店員の所業など注視せぬだろう。気のせいだと勢いで押し切れば問題なかろう!
仕事はいつもより多く、人手はいつもより少ない。
こんな絶望的な状況、今まであっただろうか。
割と頻繁にあった気がする。
そんな過去の事に現実逃避しかけた店舗スタッフの下に、心強い応援が集う。
「話は聞かせて貰った。では正当な報酬の為に我が身を削ろう」
バックヤードの扉が勢い良く開き、そして中に入ってきたのはクリスマスの予定もないかわいそうな独り身の猟兵達であった!
「……そうですよ独りですよ何の問題がありましょうか」
虻須・志郎(第四の蜘蛛・f00103)の声が思った以上に哀愁に満ちていたのでこれ以上はあまり突っつかないようにします。
まぁ、そんな事情は置いとくとしても。
世間の、ひいては世界の人々のために力を尽くすのが猟兵の仕事だと言うのは、この場に集った多くの猟兵達の(本心と建前の差は別として)共通認識である。
であれば、一日限りのヘルプだったとしてもしっかり務めることに何の疑問があろうか。
惣菜の調理場で、皿に乗ったチキンを背に乗せて、せっせと運ぶ黒い影。
毒蜘蛛だ。巨大(と言っても人に比べれば非常に小さいが)な毒蜘蛛が皿運びをしている。
普通に考えれば、衛生管理を問われかねない大問題だ。
だがこれは、志郎が用意した眷属、使い魔の類。ちゃんと消毒、殺菌もしてあるので清潔である。
……逆に眷属の体調が心配になるんだがそれは大丈夫なのだろうか。
まぁそれはいい。従業員にもちょっぴり催眠をかけて納得させてるし実際に害はない。
流石に客に見られるわけにはいかないが、裏方から出さなければ問題もない。
志郎は今回裏方に徹することにする。
さて、その一方で表側はと言うと。
「ハハハハハいらっしゃいませー!!」
テンションの高いイケメンがいた。
パック詰めされたチキンやケーキをふわふわ頭上で浮かせながら店内を歩き回るテンションの高いイケメンがいた。
黒河内・柊夜(中途半端にこじらせた・f16288)である。
態度は尊大だが、ちゃんと人の邪魔にならないように気を配りつつ歩いてた。
そう言えばお仕事中なのに会社員担当の別人格出てないんですねあなた。
普段の所属とは違うからなのだろうか。ともあれ。
外見的なインパクトは相当なはずなのだが、それでも周囲はあまり気にしてなさそうなのが、クリスマス特有の忙し空気でそれどころでないのもあろうが猟兵ってすごい。
大丈夫商品が(物理的に)浮いてても気のせいだ気のせい。
実際、この方が便利なのだ。
人の腕は二本しかない以上、運べるものには限界がある。
そして運ぶのは大事な商品だ。無理に運んで傷つけてしまっては商品価値が落ちてしまって本末転倒。
台車なんてものもあるが、こうも人が多ければ動かすのも一苦労だ。客の足でも轢いてしまっては一大事になってしまう。
故に、干渉せず、スペースにも余裕のある空中に浮かべるサイコキネシスは、それなり以上に理にかなった選択と言えた。
そういうことにしとこう、うん。
商品を補充し、一通り陳列棚を見て回って、バックに戻る。
「骨なしチキンの消費が予想より多い。製造体制は問題ないか?」
「あぁ、そろそろ次の分が揚げあがるころだ。それ使えばいいと思うぞ」
「心得た!」
事務所に戻り、二言三言。
志郎が見ている監視カメラには、店内はもちろんバックヤードや調理場の様子も映っている。
余程ないと思うが、万が一眷属がはぐれてしまってはマズいと一緒に監視していた。
柊夜が調理場まで大股で歩いていくのを見送って、ふとカメラに視線を戻せば。
「……不届きな輩もいるもんだ」
こういう混みあっている時こそ、それに乗じて悪さをするやつとはいるもので。
幸か不幸か見つかってしまった万引き青年の姿にため息をつきつつ、志郎はよいしょと席を立った。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
レッグ・ワート
店も運が無いなあ。ただ各スタッフちゃんと病院行って休んでるとは真っ当だ。そんじゃ落ち着くまで仕事しようか。
愛想良い表情とか仕様に無いしそも生体とは規格差とかね、なもんで俺は裏方希望だよ。応対とかでなしに単純作業の類なら、残り時間と出入り諸々出来るだけ織込んだ進捗演算しながら作業する。
品出しの目安やら各時間帯の例年の勢いあたりは始まる前に聞いときたい。もし早く来れる場合は、担当分の倉庫だか冷蔵庫だかの中と順番は確認させて貰っとこう。宛メモ無かったらついでに張る。一応迷彩起こしたドローンを邪魔にならないようそっ飛ばして品の現在地把握も努めるさ。
ところで俺ら呼んだシャルはどこで動いてんの?いきてる?
リア・ファル
はっはっは。
いいとも、明日を生きる皆様の明日の為に、一肌脱ごうか!
……モチロン、我が「Dag's@Cauldron」の特選ケーキやチキンも
一緒に売っても問題ないよね?
と言う訳で、期間限定サンタガールコスにレイヤーチェンジ!
(早着替え)
クリスマス仕様のイルダーナ(いつもより光粒子が多めでキラキラしてる)
で、配達したり、店頭でサンタコスのヌァザ(ネコ型)と
商品を売ったり売ったり売ったり(早業)。
商品補充(運搬)&UC【我は満たす、ダグザの大釜】!
梱包(物を隠す)!
購入補佐(失せ物探し)!
……うん、人々の笑顔を見ると、ボクも頑張ろうって思えてくるよ
いずれの世界にも素敵な明日がありますように。
運がない。
いや、自分の話じゃない。店の事だ。
厄介ごととは重なるものとはよく言うが、よくもまぁテンプレ通りになってしまったものだと思う。
「まぁ、スタッフちゃんと休んでるんなら真っ当か」
そんな事を独りごちながら、バックヤードで偶然にも迷彩じみたカラーリングになってしまったウォーマシンが胡坐を組んで付箋をぺたぺた貼っていた。
レッグ・ワート(脚・f02517)に営業スマイルなんて物はない。何なら表情そのものが無い。
機械剥き出しなウォーマシンの巨体は、明らかに店内作業には不向きなのだ。
その点、愛想の求められない裏方の単純作業は、機械の演算能力を以てすればお手の物だ。内蔵ストレージも駆使すれば記憶間違いなんて物もない。
適材適所である。
……と、そこへ。
「ただいまー!一丁目終わったよー」
「おかえりー」
バックヤードの自動シャッターが上がって、ひょこっと赤の長袖シャツと白の長ズボンといういでたちのリア・ファル(三界の魔術師/トライオーシャン・ナビゲーター・f04685)が入ってくる。
……本当はサンタガール姿でいようと思ったのだが、もふもふファーが衛生的にNGとダメ出しを喰らってしまい、カラーリングだけサンタに落ち着いていた。
まぁ、商品……特に食品に抜け毛でもついてしまうのはあまりよろしくないので納得できる話ではある。
でも代わりと言っては何だが、少しで良いならと自社製品を売るためのスペースは確保してもらえた。便乗である。
もちろん自分の仕事での人々の笑顔はそれがどんな商品でも関係ないとは思うが、それはそれとして自分だって儲けたい。
「じゃあ次、五丁目の分は仕分け終わってるからそっち頼む」
「おっけー」
レッグが指さした先の籠には『五丁目配達分』と書かれた紙がでかでかと貼られ、中には商品がぎっしり。
ちゃんと重くて大きいものが下に来るように配置されているあたり、このウォーマシンの手際の良さが見て取れる。
「えーと、佐藤さんがチョコケーキ1ホールとウーロン茶2箱、須田さんが苺ショート2個に水1箱でー……」
リストと丁寧に一件ずつ照らし合わせて行くリア。
このご時世、用事でどうしても外出できない人や高齢のお年寄りなどの為に、配達サービスも充実しつつある。
特にこう言う日は注文が増えるのもよくわかる話と言えよう。
「しかし、水とかお茶とか結構クリスマス関係ない商品もあんのな」
「年末だからねぇ」
リアがしみじみと呟く。
年末年始は締まる店も多いし、そうでなくともこの時期の外出は億劫なものだ。
こういうタイミングでついでに買いだめしていく人だって多いのだろう。
リアだって商売人。そのあたりの物流の傾向はなんとなくわかる。
そう言うもんかとレッグがしみじみ呟く。
やはり飲食を必要としないウォーマシンと生身の人間とは生活スタイルは大きく違うものだ。
「……よし、チェック完了!それじゃあいってきまーす!」
「おーぅ」
クリスマス仕様になんか煌びやかに装飾された宇宙バイクに乗り込み、配達に出るリアをひらひら手を振って見送って、レッグは再び商品の仕分けに戻る。
「……そういや、俺ら呼んだシャルはどこで動いてんだ?」
あいつなら従業員用駐車場で転送まわりの管理やってたよ。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
月影・このは
はい!月影・このは!
特に予定がないのでお手伝いにきました!!
ウォーマシーンですから、インフルエンザ等の心配もいらず、まさに適役ですね!
それでは戦場に挑みましょう!
あっ、料理はできませんので…
力仕事、運搬、そういうのをメインでよろしくお願いします!
引渡し…速度を求められる…
えぇ!つまり対複数オブリビオンへの対処のような感じですね!(シャドーボクシングしながら)
ええっと…お金…おつり計算…(ピーッ!とショート)
アドリブ&他連携歓迎
御堂・茜
助太刀が必要と伺いまして!
まあ、明日までに取引先のケーキを売り尽くさねば社員の皆様が自費で購入する事に…!?
その悪しき風習は滅ぼさねばなりませぬ
【百万一心】の意気で団結致しましょう!
召喚『なぜかいる呼び込みが上手いお偉方』!
売り場は任せましたわ!
御堂はレジを担当致します!
レジなど最早【気合い】と勘で打てば画面を見なくとも回せますわ!
はッ…凄まじい悪の気配…
今年最凶最大の巨悪!
軽減税率…!!!
こちらは店内でお召し上がりですね!
こちらは二個お持ち帰りで一個イートイン
こちらは…一個を六等分にカットしてそのうち二個を店内残りを持ち帰ヴァァァアァア
ですがわたくし達は負けません…
全てはお客様の笑顔の為に!
「いらっしゃいませー!」
「「いらっしゃいませー!!」」
なんか時代錯誤なちょんまげ姿の御仁が、店の前で整列して声を張り上げていた。
客寄せとしてはどう考えても違和感バリバリなのだが、通行人は気にすることも無く入店し……あるいは素通りしていく。
猟兵パワー様様である。
厳密にはこの者らは猟兵ではないが、ユーベルコードの影響下にあるので同じように違和感を持たれないこととする。
そう言うことにさせて。
「これで呼び込みは完璧ですわね!」
彼らを束ねる姫君……御堂・茜(ジャスティスモンスター・f05315)は、その様子を眺めて満足げに頷いた。
「明日までに取引先のケーキを売り尽くさねば社員の皆様が自費で購入する……などと言う悪しき風習など滅ぼさねばなりませぬ故!」
「あ、その心配はしなくていいよ」
「えっ」
スタッフさんが言うには、経営陣としてもその問題は深刻に受け取られており、近年はブランド物のケーキはもっぱら予約専売で、前もって注文のあった数しか取り寄せていないのだそうだ。
もちろん、店舗で作るお手軽な一口ケーキやフライドチキンの類は売り切れ防止のために多めに用意するわけだが、こちらもリアルタイムで作っている都合、売れ行き次第で調節はある程度効く。
「まぁ、そうはいってもたくさんお客様が来てくれるに越したことはないんだけどね」
「聞きましたわね皆の衆!!」
「「「いらっしゃいませー
!!!」」」
問題なさそうである。
「対複数オブリビオンへの対処のような感じ……と思いましたが、より繊細な動きが求められますね……!」
予約ケーキの箱を一個ずつ丁寧にお客様に引き渡しつつ、月影・このは(自分をウォーマシーンと思いこんでいる一般ヤドリガミ・f19303)は呟く。
確かに、次から次へと襲って(襲って?)くる予約客への対応となると、通じるところはあるかもしれない。
だが、先述の通り。
予約分しかケーキを取り寄せていないということは、仮にミスして商品をダメにしてしまった場合、予備が無いと言う事である。
集団戦は集団戦でも、一発の被弾すら許されないシビアな戦いなのだ。
ちなみに料金は予約時の前払いなので、予約票と照らし合わせて渡すだけでいい。
「ふー、ようやくひと波捌けましたね」
一人、また一人とやってきていた予約客が一度途切れたのを見て、このはが額の汗(ウォーマシーン(ルビ:ヤドリガミ)の彼に発汗機能があるのかは謎だが)を拭う動作をする。
かといって、ゆっくりしてはいられない。
予約でない通常のお客様もたくさんいるわけで、予約応対がひと段落付いても通常のレジは大忙しのままだ。
呼び込みを家臣団に任せてレジについていた茜の援護に入ろうとするこのは。
……しかし。
「……出ましたわね、今年最凶最大の巨悪……!」
その名も『軽減税率』!おい巨悪言うな筆者怒られたくねぇよ!
……まぁ、その是非は置いておくとして、レジ打ちにとって面倒なことには違いはない。
通常商品は10%、食品は8%。食品でも酒類は対象外で、対象の商品でもテイクアウトせずイートインの場合は10%。
一括で処理するわけにもいかず、対象商品をミスなく見分け、かと言ってもたついてしまえば後が閊える。
そしてクリスマスセールに合わせて配っていた割引券や電子決済まで追加でドン!つらい!
「はーい、こちらの一口ケーキ、二個お持ち帰りで一個イートイン、PowPowでのお支払いですわねー!」
「…………」
あ、無理だコレ。
茜の後ろでこのはが硬直していた。なんなら頭から煙ふいてた。
大人しく荷運びしてようとUターンするこのは。
「ヴァァァアァア……」
もちろん要所要所で本職の救いの手は入ってくれる。
が、猟兵の救援は期待できない孤軍奮闘。
頑張れ姫様、負けるな姫様。
全てはお客様の笑顔の為に――!
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
荒谷・つかさ
ええ、いいわ。
丁度暇してたし、任せて頂戴。
不愛想の極みな自覚はあるので、一応接客対応関係は他の人にお任せ
(無駄に)【超★筋肉黙示録】発動しつつ、主に品出しや陳列、重量物の取り扱い等をメインに
必要ならチキンの調理や刺身を作るのも行けるわ
……大丈夫よ、品物に手は出さないから
ちゃんと後で買うわ
そんなこんなで仕事中
泣いてる迷子発見
手が空いてそうなのは陳列終わった私だけ……仕方ないか
目線を合わせてお話
ぐずるなら、大丈夫だよと優しく撫でてあげながら
親が見つかるまで面倒見る
見つかったら、自然と僅かに微笑みながら見送る
……今笑ってたって?
まあね。作り笑顔が苦手なだけだもの。
月凪・ハルマ
そうなんだよなぁ……
世間がクリスマスだなんだと浮かれてる間も、
働いてる人達はいるんだよなぁ(しみじみ)
そんな人達を助ける為とあらば、行かねばなるまい
(お人よしヤドリガミは妙な使命感に目覚めた)
という訳で品出し、レジ打ち、チキンの調理等々、その時々で
必要な仕事を【早業】を駆使して対処していこう
ただこういうイベント時期って、たまーにヤバいレベルで
予約の品を受け取りに来るお客さんが同じ時間に殺到する事が
あるんだよなぁ
そうなったら、俺の場合は【瞬身】を使ってから
頑張って対処するしかないな
(やたら高速で商品の袋詰めを完了させつつ)
ありがとうございました、またお越しくださいませー!
(妙に馴染むヤドリガミ)
「(そうなんだよなぁ……)」
月凪・ハルマ(天津甕星・f05346)がしみじみと胸中で呟く。
世間はクリスマスと浮かれ、あちこちで楽しいひと時を過ごし、いろんなサービスを受けていることだろう。
だがつまるところそれは、『サービスを提供する側』……クリスマスでも働いてくれている人がいないと成立しないわけである。
皮肉抜きに、ご苦労なことだと思う。
であるならば……行かねばあるまい。
クリスマスでも仕事なこの者たちを、少しでも助けるために……!
「(……なんだかずいぶん張り切ってるわね、彼)」
その横を、ガラガラと台車にたくさんのケース品(水とか缶詰とか)を乗っけて押しながら、荒谷・つかさ(『風剣』と『炎拳』の羅刹巫女・f02032)通過して行った。
まぁ、やる気があるのは良い事だろう。
不愛想と食欲と筋力が服を着て歩いているような自分と比べたら、やる気も表情も豊かな彼のような人が接客を応対してくれる方がいいに決まってる。
というわけで、自分のやるべきことは力仕事。
こうしてお客様一人では運べそうにない量の商品を、代わりに駐車場までお運びしているわけだ。
一般の主婦なら辛い荷物であろうと、鍛えているつかさなら軽いものである。
そんな具合に本日何度目かの駐車場との往復を終えて戻って来てみたら、何やら泣いてる男の子がいた。
首を傾げながらも一旦台車をバックヤードに退避させ、戻って来てみてもまだいる。
迷子だろうか。近くに親らしき人は見当たらないし、行き交う人々もこの混雑ぶりだ。小さな子供に目につく余裕はなさそうに見える。
「(対応できそうな人は……)」
ちらりとハルマを見やってみた。
「はーいこちらご予約のブッシュドノエルですねーお待たせしましたー!」
あぁ、ありゃダメだ。
タイミングの悪さと言うものは重なるもので、運悪く同時に到着してしまった予約品の引換待ちなお客様が列を作っている。
ユーベルコードまで使って残像が出るほどのスピードで何とか処理している始末だ。
あれじゃあとても他に回る余裕などない。
……仕方あるまい。
「どうしたの?だいじょうぶ?」
しゃがみこんで、子供に目線を合わせてやる。
男の子はぐずりながらも、母親とはぐれてしまったということは話してくれた。
確かにこの人混みであれば、ついて行こうとしてもどうしても見失ってしまうこともあるだろう。
「大丈夫、お母さんも今ごろ探してるからね」
そう言って、頭を優しく撫でてあげれば、男の子も少しは落ちついたようで。
サービスカウンターでアナウンスをかけてもらい、待つこと少し。
慌てた様子で駆けてきた(※店内での駆け足はご遠慮ください)母親と無事再会。
「少し目を離した間に、人ごみに紛れて見えなくなってしまって……」
申し訳ありませんでしたと平謝りする母親に、大丈夫と応じて。
「ありがとうございました、またお越しくださいませー!」
「今度はもうお母さんとはぐれないように、気を付けてね」
丁度手の空いたハルマと二人で親子を見送る。
すっかり機嫌も直った男の子が2人に笑顔で手をぶんぶん振っているのが見えた。
「……あれ、つかささん笑ってる?」
「まぁ、作り笑顔が苦手なだけだもの」
ぷいと踵を返したつかさの顔は、既にいつもの無表情に逆戻り。
仕方ないなと苦笑しつつ、ハルマも持ち場に戻って行く。
華やかさの裏に隠れた、もう一つの日常風景。
物騒さのかけらもない戦場は、まだしばらくは落ちつきそうにない。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵