#アポカリプスヘル
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「はぁ、はぁ、はぁ……畜生」
少年は息を荒上げながら走る。
鼓動はまるで心臓を覆う肋骨を押し上げ、胸を突き破るのではないかと錯覚されるほどに早鐘を鳴らしていた。
それでも足を止めることは出来ない。
何故ならそれは、死を意味するから。
「死ぬ、わけには……はぁ、はぁ」
妹たちが、弟たちが待っている。
自分たちは、自分以外は十歳やそこらの集団なのだ。
自分が死ねば、それは彼らの餓死を意味する。
そんな未来は、絶対に嫌だ。
「あっ……」
思わず足がもつれる。
両足はピクピクと痙攣し、音を立てて転がっていった灯りを拾うことも出来ない。
反射的に背後に目をやるも、目に写るのは暗闇ばかり。
ただただ、呻き声が少年の耳に届いた。
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「勇敢な少年を助けて欲しい」
テオ・イェラキ(雄々しき蛮族・f00426)は猟兵たちに向かい、短く良い放った。
テオによれば事件はアポカリプスヘルで起こるという。
五人程度の小さな拠点(ベース)を一人で守っている少年が、食料を求めて遠征したショッピングモールで消息を絶つ未来が予知されたというのだ。
「現場のショッピングモールは広い上に崩れていてな、中は迷路のようになっているようだ……時間的に明かりも無い、気を付けてくれ」
既に辺りは暗い時間であることが予測される上、ショッピングモールの中は崩れ、複雑な迷路と化している。
少年を探しながら、まずはその瓦礫の山を踏破する必要があるだろう。
「少年を襲うオブリビオンは……動く死体――所謂ゾンビというやつのようだな。一体一体は強くはないが、ともかく数が多いようだ。油断は出来ない」
ショッピングモールに蠢くのは大量のゾンビ。それが久しぶりに現れた生物である少年に引き寄せられ、一ヵ所に集まってきているようだ。
ともかく多い物量に対し、少年を巻き込まない配慮をしながら戦う必要があるだろう。
また、ショッピングモールはともかく物資が豊富で、何か武器になるようなものを現地調達することも可能かもしれない。
「無事少年を助けることが出来れば、少年を拠点まで送り届けて欲しい……そしてこれは俺からの個人的な願いなのだが、出来れば何か子供たちを楽しませてやってくれないだろうか?娯楽も無い世界で頑張る彼らが不憫でな」
少年を拠点まで送り届ければ、事件は解決だ。
もちろん強制では無いが、テオは猟兵たちに少年の拠点に立ち寄った際に、子供たちを元気づけて欲しいと願っているようだ。
「何はともあれ、まずは少年のことを宜しく頼む……皆も、気を付けてな」
赤きグリモア猟兵は、そう言葉を残し猟兵たちを送り出した。
きみはる
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お世話になります、きみはるです。
新年二作目は、アポカリプスヘルとなります。
モヒカン成分の多い依頼が見受けられますので、ゾンビをチョイスしました。
ゾンビといえばショッピングモールですよね?
尚、きみはるはショッピングモールで無双するゾンビゲーが好きなので、ショッピングモールの売り物を使って戦うプレイングにはプレイングボーナスを与えます。
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一章のプレイング募集は1/9(木)8時31分~となります。
二章以降は都度MSページにて連絡させて頂きます。
以上、宜しくお願い致します。
第1章 冒険
『崩壊しつつある廃墟』
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POW : 瓦礫を撤去して埋まった通路を掘り起こしたり、施錠された扉を破壊して進む
SPD : 注意深く周囲を観察して危険を発見したり、危険な場所を素早く通り抜けて進む
WIZ : 廃墟をマッピングしたり、知恵や知識を利用して危険を取り除き、進む
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ケルスティン・フレデリクション
むむ、ひとりでいくのは、よくないよ…
みんな、さみしくなっちゃう。
だから、なんとかしなきゃ。
廃墟に入ると紙とペン持ち、マッピング始めるよ
えーっと、ここが、こうなってて…あ、あそこあぶないね
…ここのとびらは、かぎしまってるしこわしちゃお
自分の短刀【いのり】で壊しちゃう
そして再びマッピング
危なそうなところも書く
あとは、…しずかに、しずかに物音にも気をつけるね。
私が敵呼んだらだめだもんね。
何か便利そうなものがあったら拾っておこうかな
ショッピングモールだし、面白いものがあるかも!
…武器になりそうなものとか?
長いのとかあったらいいね
たんけんは、たのしくてすきだけど、マッピングもするから大変!
だけど頑張るね
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「むむ、ひとりでいくのは、よくないよ……みんな、さみしくなっちゃう。だから、なんとかしなきゃ」
ケルスティン・フレデリクション(始まりノオト・f23272)は心優しき少年と共に、その帰りを待つ家族のことを想い、絶対に助けると息巻く。
家族を愛する彼女は自分のような寂しさを感じさせるわけにはいかないと、少年よりも同年代のその弟、妹たちに感情移入をしていたのだ。
「えーっと、ここが、こうなってて……あ、あそこあぶないね」
好奇心旺盛な少女は、目に入るもの全てが面白い。
紙とペンを手に可愛らしい丸まった線で描くのは、迷路と化したショッピングモールの地図。
このマッピング作業は冒険をしているようで、彼女の心を軽やかに弾ませていた。
「ここのとびらは、かぎしまってるしこわしちゃお」
光を纏った魔法の短剣で扉を切断するケルスティン。
探索を楽しもうとも、主目的はあくまで少年を探し出すこと。
ショートカット出来る場所はしっかりショートカットし、効率的に先に進んでいく。
「たんけんは、たのしくてすきだけど、マッピングもするから大変!……だけど頑張るね」
特に危なそうな場所を念入りにマッピングするケルスティン。
彼女は決して、楽しみだけでこの作業を行なっているのでは無い。
家族の為にこの場所へ出向いたという少年。
その少年はきっと、食料調達の為に今後も継続的に危険に身を投じる必要があるのだ。
であれば、その危険を少しでも減らせるように……少年へと渡す為に、彼女はその可愛らしい丸文字で刻まれた地図を作り上げていたのだ。
彼女の行動の全ては、少年のことを想って行なわれていた。
「ショッピングモールだし、面白いものがあるかも!」
珍しい賞品に目移りする彼女も……きっと。
成功
🔵🔵🔴
バーン・ストラフェス
【SPD】
【アドリブ、連携大歓迎】
ショッピングモールな…
俺もなんか拾いたいけど、まずは子供を優先してやんないとな
こういうところってだいたいどっか壊れそうになるんだよなぁ…
壁とか床とかヒビが入ってるようならそこは避けて通るぜ
暗いところは慣れてるし、【視力】もそこそこいいからなんとかなる…よな?
道標にカタフニアで壁に軽い傷を残してっと…
…流石に一度死んだ身としては子供には死んで欲しくねぇな…
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「ショッピングモールな……俺もなんか拾いたいけど……」
バーン・ストラフェス(希望の運び屋・f24898)は崩壊したショッピングモールに眠る物資に心を惹かれながらも、足を進める。
猟兵の力に目覚めたばかりのバーン。
こうして初めて猟兵としての依頼に挑むものの、彼は猟兵であると共に奪還者(ブリンガー)だ。
ついつい物資が気になるのは致し方無いことであろう。
「まずは子供を優先してやんないとな」
とはいえ、まずは助けるべき命が最優先であることは、彼とて履き違えてはいない。
未だ追い付くことの出来ていない少年を目指し、探索を進めるのであった。
「まぁ、なんとかなる……よな?」
猟兵としては新人であっても、奪還者としてはベテランであるバーン。
既に太陽は落ちかけ、かつ照明の無い廃墟の中の明るさは、常人であれば目を凝らして何とか見えるか否かといった程度。
さらには恐る恐る先に進めるかどうかといった足場の悪い道のりを、容易く踏破していく。
その動きは猟兵として強化された身体能力だけによるものでは無い。
若い外観に反し、確かに積み重ねられた奪還者としての経験と鍛えられたスキルが、彼の動きを可能としたのだ。
「こういうところってだいたいどっか壊れそうになるんだよなぁ……」
崩れかけの足場や壁を的確に回避していく。
帰り道を考え、愛用のナイフ『カタフニア』でマーキングしていくことも忘れない。
こうした配慮もまた、彼の経験故のものだろう。
「流石に一度死んだ身としては子供には死んで欲しくねぇな……」
バーンは無意識に、そっと己が頬に走る傷痕をなぞる。
少年を自分のような目にはあわせない。
その両目には、確かな決意が宿っていた。
大成功
🔵🔵🔵
ラフィリア・アルケリタス
◎アドリブ連携歓迎
【SPD】
まだ子供なのに、たった一人で拠点を
守っているなんて……
そんな勇敢で良い子を死なせるわけにはいかないです
急いで、だけど確実に助けに行きましょう
■行動
薄暗いですし、足元に注意して進みながら周囲を観察して【情報収集】
崩れそうな足場や天井を見定めて移動していきます
もしかしたら少年が通った痕跡や足跡、目印もあるかもしれませんので
そちらにも注意を払いたいですね
後はゾンビ達が引き寄せられて一ヵ所に集まって来ているなら
その付近に少年が居る可能性も高いはず
ある程度まで奥へ進んだら【聞き耳】を立てて、ゾンビの集団の呻き声や
物音が聞こえてきたら、バレない様に慎重にそこへ駆け付けます!
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「まだ子供なのに、たった一人で拠点を
守っているなんて……そんな勇敢で良い子を死なせるわけにはいかないです」
ラフィリア・アルケリタス(Over The Storm・f24604)は決意を胸に、迷路と化した崩壊したショッピングモールへと挑む。
「急いで、だけど確実に助けに行きましょう」
少年の安全を考えればもちろん急がなければならない。
しかしこの広いショッピングモールの中から一人の少年を探すのは、こうして猟兵同士が手分けをして探していても、決して容易なことでは無いのだ。
ラフィリアはその為には僅かな痕跡も見逃せないと、速く、しかし注意深く足を進めるのであった。
「やはり、薄暗いですね……」
足元は安全か、通ろうとしている天井や壁は崩れそうも無いか。
そうした情報を、ラフィリアはその悪い薄暗い視界の中拾い上げていく。
彼女が探しているのは決して安全に関わるものだけでは無い。
探すべき保護対象――その少年が通った痕跡が無いか、注意深く探っているのだ。
「この足跡……新しい」
積もった埃の中に小さめな足跡を見つけたラフィリア。
もちろん子供のゾンビである可能性は捨てきれないが、足を引き摺った様子が無いことから、その可能性は低いと思われる。
その足跡をたどる彼女の足は駆け足へと早まっていく。
その先には、ゾンビたちが蠢く気配があった。
「っ……違いましたか……」
奇襲すべく静かに、しかし素早く飛び込もうとした彼女が目にしたのは、迷い込んだのであろう鳥に群がるゾンビ。
数も予知で聞いたほど極端に多いものでは無く、事件とは無関係だろう。
倒すことは容易い、しかしここで騒ぎを起こしては、無用な足留めをくらうことになるかもしれない。
今は先を急がねばならないのだ。
途絶えた痕跡の続きを探し、少女は進む。
必ず助けると、心に誓いながら。
成功
🔵🔵🔴
泉・火華流
アポカリプスヘル在住、食料・資源調達が目的の子として振る舞う
(次元格納バックパック(オーバーテクノロジーの品という事に…)に装備は収納)
探索中に偶然に遭遇した風を装い声をかける
アンタ…私と協力して探索しない?
…と協力要請
武器は現地調達
生活用品店
包丁とかありそう
スポーツ用品店
金属バット…ゴルフクラブとかも?
キャンプ用品なども取り扱っているなら、それなりの刃物も?
ドラッグストア
噴霧式殺虫剤を回収
ライターと(鉄)パイプなどの資材が見つかれば火炎放射器を作る【武器改造・メカニック】
(ここで作れなくても回収した資材は次元格納バックパックに収納)
ゾンビ等が出てきたら指定UCを使用、刃物やバットで撃退
●
「アンタ……私と協力して探索しない?……こんな感じかな」
泉・火華流(人間のガジェッティア・f11305)は崩れた瓦礫の山を進む。
彼女が身に纏うのは普段着ているナース服では無く、年季の入ったカーゴパンツにミリタリージャケット。
バックパックを背負った彼女は、まさしく奪還者(ブリンガー)然とした恰好と言えよう。
火華流がそのような恰好をしているのには理由がある。
それは決して探検に適した動きやすい恰好というだけでは無い。
保護対象の少年――手分けをして探している猟兵たちよりも先んじて見つけることが出来た際に、“同業者”として振舞うことで警戒されずに少年と同行する為である。
先ほどから口ずさんでいるのはその出会った時を想定した台詞。
機械いじりを生きがいとしている彼女は演技や舞台といったものにはとんと縁が無く、どうにも自信が持てずにこうして事前に練習しているのだ。
「ここなら色々と使えそうなものがありそう」
奪還者を装うのであれば、手ぶらでは怪しまれるというもの。
食品以外にも武器として使えそうなものを、火華流は現地調達していく。
生活用品店では包丁を。
スポーツ用品店ではバットやゴルフクラブを。
キャンプ用品店では、薪割り用の手斧を。
それこそ日用品店で見つけた殺虫剤を利用し即席の火炎放射器を容易く作り上げるのは、ガジェッティアの面目躍如と言えよう。
「よしっ! コレは力作ねっ!」
様々なガラクタを見つけては再利用しては武器を作り上げていく火華流。
作業を通しガジェッティアとしての血が熱くなっていくことは仕方の無いことなのであろう。
ついつい普段の口調で声をあげた彼女の表情は、それはそれは楽しそうなものであったという。
成功
🔵🔵🔴
フォーネリアス・スカーレット
「知らん」
子供がどうなろうと私の知った事ではない。どうせ、他のお節介な奴がどうにかするだろう。
そんな事よりオブリビオンだ。数で攻めてくるゾンビか。纏めて燃やし殺すのが最善。だが、ショッピングモールの資材まで燃え広がるのは問題化……どうする。策はある筈だ。オブリビオンを皆殺しにして、建物への被害は抑えるための策が。
まず現場をよく観察する必要がある。侵入経路、使えそうな資材。壁を抜いて通れるようにしたり、通路を塞いで道を誘導する事も視野に入れる必要がある。
状況判断だ。何がある、何が出来る、何が問題だ。使えそうな物は無尽の鞘に突っ込み、なるべく多くの手を作る。何が来ても殺せる様に備える。
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「知らん」
フォーネリアス・スカーレット(復讐の殺戮者・f03411)はグリモアベースで受けた説明を思い出し、思わず小さく悪態をつく。
彼女にとってはオブリビオンへの復讐が――戦いが、殺戮が全て。
保護を依頼された少年に欠片も興味などなく、心配もしていなかった。
それは彼女のこれまでの経験にも依るものもある。
何故ならきっと……。
「ふん、どうせ他のお節介な奴がどうにかするだろう」
何故ならば、いつも通りお節介で甘ちゃんで、どこか眩しい彼らがきっと……少年のことを無事に助け出すのだろうから。
「そんな事よりオブリビオンだ。数で攻めてくるゾンビか……纏めて燃やし殺すのが最善、だが……」
鋼を身に纏った復讐者は、己の心がささくれ立つ原因も分からず、どこか苛立たし気に思考を逸らす。
事前情報によれば敵は数だけが脅威となる雑魚の群れ。
であれば最善手は纏めて燃やし尽くすことだ。
「ショッピングモールの資材まで燃え広がるのは問題か……どうする」
だがしかし、建物すべてを燃やしてしまうことになれば、それは貴重な物資が失われることになる。
それは避けねばなるまい、と……フォーネリアスは思考する。
あくまで重要なのは建物そのものと物資。
保護対象に配慮したものでは無いのだ。
無いのだが……その存在が何か彼女の奥底に眠る何かを逆撫でするようで、抗いがたい苛立ちから思わず廃墟を殴る。
手に響く鈍い痛みが、彼女の思考をクリアにしてくれる。
復讐者たる彼女の思考は、全てオブリビオンを殺す為に割かれなければならないのだ。
「状況判断だ……何がある、何が出来る、何が問題だ? なるべく多くの手が必要だ。何が来ても殺せる様に備えねば……」
殺戮者は呟く。
意識を全て復讐へと向ける為に。
それだけが彼女の全てだと、言わんばかりに。
大成功
🔵🔵🔵
神鳥谷・弥
チヨ(f24395)と
いるいる、つっても食いもん探して行き倒れてヤツらのエサになっちまうんだったらどうしようもねーけどな
そだな、たまにはいいことして徳を高めておくのも悪かねぇな、チヨ
さぁて、行くとしますか
おいおい、肉を食われてもいいとか言うなよ
せっかく新調した一張羅が汚れるだろーが
などとぶつぶつ言いながら周囲を警戒しつつ進み
おう、ものはついでだ、マッピングは任せとけ
UDCアースなんかで丈夫な紙と長持ちするペンを買ったからな
落とし穴や危険な瓦礫、通行止めの個所とか気になる個所や間取りを細かく書き込んでいくぜ
食いもんとか見つけられるなら持ってくか
少年はそのために来たんだしなぁ
千代野・蓮
トリf24393と
あー…良く居たよな
食いもん探して行き倒れてる奴ってよ
前なら有難く装備を拝借させて貰うんだが…まあ、今は食いもんに困ってねえからな
偶には人助けっつーのもいいだろ。な、トリ?
ランタンを手にモールを進んで行く
まあ、俺は多少肉食われても平気なんでトリの前を歩いてくわ
トリ、足元には気をつけろよ…って。お前の腕とかの方が一張羅だろーが
失くしたら大変だろ?
モール内では戦闘音等ないか注意深く耳を澄ませながら瓦礫を退かしつつ進んで行こう
トリ、マッピングは任せんぜ?いいだろ?
ほんと何か手掛かりとかありゃいいんだけどな?
食いもんにつられて出てきてくれたりしねえか…って
あ、トリ。肉の缶詰は俺用な?
●
「あー……良く居たよな、食いもん探して行き倒れてる奴ってよ」
病的に悪い血色とそれを誤魔化すかのような明るい髪色の男――千代野・蓮(千代に、八千代に・f24395)はしみじみと隣の男――神鳥谷・弥(零落パラディースス・f24393)へと語り掛ける。
「いるいる、つっても食いもん探して行き倒れてヤツらのエサになっちまうんだったらどうしようもねーけどな」
傍らに立つ弥の色黒の肌は蓮とのコントラストによってより一層目立ち、黄金が混ざっているかのような琥珀色の髪は薄暗い室内でも細やかに煌いていた。
あべこべのような、凸凹のような二人組。
しかしその二人は、まるで傍らに立つのが当然かのように……互いを信頼し切った空気を纏っていた。
二人は軽口を叩きながら手慣れた様子で廃墟を歩く。
何故ならば二人は廃墟がどこまでも広がるようなこの世界の中で、文明が崩壊してから数年間、ずっと血反吐を吐き泥を啜るような想いで生き延びてきたのだから。
彼らにとって廃墟の中を探索するなど日常茶飯事であり、何ら代わり映えも無い日常のワンシーンであるのだから。
「前なら有難く装備を拝借させて貰うんだが……まあ、今は食いもんに困ってねえからな、偶には人助けっつーのもいいだろ。な、トリ?」
「そだな、たまにはいいことして徳を高めておくのも悪かねぇな、チヨ」
二人のやり取りは現場の悲惨さに反し、まるで夫婦漫才のようにリズミカルに進めらて行く。
つい先日まで一日一日を必死に生き延びていた彼らには持ち得なかった余裕が、今の二人には存在した。
何故なら彼らは“力”を得てしまったから。
“猟兵”という超常の力を――食べ物の一つ一つを腐っているか否かの瀬戸際を見極め、その賭けに負けた代償を己が身体を以って支払う必要の無い世界への切符を、手に入れてしまったのだから。
「さぁて、行くとしますか」
だから二人は少年を助けるべく廃墟を進む。
“他人”への優しさは……衣食足りて初めて施せるのだと、よく知っているから。
その余裕を初めて得たと、実感しているが故に。
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「食いもんとか見つけられるなら持ってくか……少年はそのために来たんだしなぁ」
「そうそう、食いもんにつられて出てきてくれたりしねえかな……って。あ、トリ。肉の缶詰は俺用な?」
軽口を重ねながら、二人は歩く。
隣を歩くように進んでいたはずの二人。
ふと気づけば、蓮はランタンを手に弥の先を歩いていた。
やけに庇うような歩き方に訝し気な視線を弥が向ければ、蓮は困ったような、照れたような笑顔を浮かべて見せた。
「まぁ、俺は多少肉食われても平気だから」
そんな言葉を聞いてしまえば、相棒である弥は当然面白いはずも無く。
しかしながらその想いを無下にも出来ず。
「おいおい、肉を食われてもいいとか言うなよ……せっかく新調した一張羅が汚れるだろーが」
不満げにその肩を、握った拳で殴るばかり。
「トリ、足元には気をつけろよ……って、お前の腕とかの方が一張羅だろーが。失くしたら大変だろ?」
蓮の危惧は痛いほど理解出来て……。
その気遣いを否定できない事実が、まるで己が過去の無力さを見せつけられているようで。
せめての僅かばかりの反抗に決して彼を傷つけさせまいと、周囲の警戒に細心の注意を払いながら弥は進むのであった。
もう二度と、彼を殺させはしまいと。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
鹿島・結
元引きこもりの私からすればこの少年は尊敬に値するよ
勇敢な少年を、死なせるわけにはいかない
エレクトロレギオンを放ってショッピングモール全体をマッピングだ
既に先行してる猟兵もいるから、彼らと索敵範囲が被らないように注意
ショッピングモールってことならどこかに全体案内図もあるだろうし、それを見つけられれば最善かな
崩れてる瓦礫とかは、ショットライフルの出力を上げて離れた場所から砕くようにしよう
しかし、どこかに電化製品を扱ってるお店はないかな…
エネルギー弾の補給に使える電池とかバッテリーとか集めたいんだよね
それに電灯やヒーターがあれば、少年に持たせるのにも丁度いいだろうし、今のうちに確保だ
アドリブ歓迎
●
「勇敢な少年を、死なせるわけにはいかない」
鹿島・結(ブルーバード・f24619)はそう独り言を零す。
声を聴くことで、ようやく性別が女性なのだと分かる程に極端に露出の少ない恰好。
それは全て、人々がこの荒れ果てた大地に順応する為の姿。
強い日差しから、乾燥した空気から、吹き荒れる砂塵から身を守る為のものだ。
「元引きこもりの私からすればこの少年は尊敬に値するよ……」
世界が崩壊するまで、気ままな引きこもり生活をしていた結。
怠惰な生活をしていた彼女は、崩壊後の世界で生き抜く為の大変さをより強烈に感じていた。
だからこそ……年端もゆかない少年が生きる為にあがいているのであれば、力になりたい。
素直に、そう感じるのであった。
「さぁ、力を貸して……」
結が語りかけながら放つのは、彼女お手製の小型自律ドローン。
彼らの一体一体が彼女の目となり、耳となる。
その全ての情報が、彼女が愛用する電脳ゴーグルへと集約されるのだ。
百を優に超える機械をバラまき、情報を集めていく結。
その情報収集は、より効率的に、より漏れなく探索を進める為に他の猟兵の探索範囲と被らないように進めていく。
誰がどの方向から探索を開始するのか、互いの割り振りはグリモアベースにて相談済――この広いショッピングモールを網羅する為には、ダブルチェックをしている余裕など無いのだ。
「見つけた……」
その手に握るエネルギーライフル――ショットライフルにより瓦礫を粉砕した結は、その瓦礫の下から現れた埃塗れの板を丁寧に拭う。
その下から現れたのはショッピングモールの案内板。
元の地図をと手に入れた情報を照らし合わせ、迷路と化している建物の構造を把握する。
「さてさて、どこかに電化製品を扱ってるお店はないかな……」
探索と平行した物資収集の目的は、エネルギーの補充といった戦闘の準備。
しかしそれに付随して、少年の何か役に立つものが手に入ればといった配慮もあるのだ。
彼女は歩む。
力を得て尚、あくまでこの世界の一住人として。
大成功
🔵🔵🔵
レジーナ・ファルチェ
アルお兄様(f03401)とすれ違えたら嬉しいですわ。
(絡み・アドリブ歓迎)
みんなを守っているだなんて素晴らしいですわ。
わたくしも騎士家系の一員として弱き者を助けなければ!ですの。
狼としての嗅覚や聴覚で人(少年)と人ならざるもの(ゾンビ)を嗅ぎ分け、聞き分けて【追跡】出来ませんでしょうか。
無理そうでしたら逃げる者の気持ちになって、思い浮かぶ方へ向かいますわ。
足元にも周囲にも気をつけながら進みますの。
邪魔な瓦礫がありましたら【怪力】で避けておきますわ。
逃げる時に困りますものね。
全部避けてしまうとゾンビも動きやすくなりますから、適度に…ですわね。
1つ瓦礫を外すと崩れる罠とかも作れませんかしら。
アルバ・ファルチェ
従妹のレジーナ(f23055)とニアミス出来ると嬉しいな。
(絡み・アドリブ歓迎)
たった1人で幼い弟妹を守る子を見捨てるわけにはいかないね。
『盾の騎士』としても、クレリックとしても。
ロザリオに宿る精霊『カリタ』に【祈り】を捧げて協力して貰い、【救助活動】を行うね。
さすがに【失せ物探し】とは少し違うかな?
【暗視】【視力】もあるから暗くてもある程度は見渡せる…はず。
狼の聴覚で【聞き耳】しながら、【第六感】も駆使して周囲を警戒しながら進むよ。
壁に地図とかあれば【情報収集】も行って、自分がどの辺に居るのか…どのルートを辿ってきたのかを明らかにしておく。
僕が迷子になったら本末転倒だからね。
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「みんなを守っているだなんて素晴らしいですわ……わたくしも騎士家系の一員として弱き者を助けなければ!ですの」
レジーナ・ファルチェ(弾丸魔導師・f23055)は意気揚々と宣言する。
元気いっぱいに行なわれた宣言に対し、傍らに立つ従妹――アルバ・ファルチェ(紫蒼の盾・f03401)はその様子をにこやかに見守る。
「そうだね、たった1人で幼い弟妹を守る子を見捨てるわけにはいかないね……『盾の騎士』としても、クレリックとしても」
レジーナも、アルバもまた騎士として(若しくは騎士に連なる者として)、弱き者を助けるべく日々猟兵としての仕事に精を出していた。
その一環としてこの依頼もまた受けたわけだが、正義を奉じる二人にとってまさしく助けるべき弱者を救う為のこの依頼は、二人の熱意をより一層高めていたのだ。
「ん~、臭いですわ……でも、微かに違った匂いを感じます……」
レジーナは人狼の嗅覚を活かし、救うべき少年の気配の残差を探す。
通常の人間であれば微かに感じる程度の異臭――しかし人狼として秀でた嗅覚を持つ二人にとっては、そこはまるで汚泥の中を歩いているかのような、染みつくような腐臭を感じ取っていた。
空間を満たす臭気に顔をしかめながらも、彼女は必死に少年の気配を探っていた。
全ては救うべき命を守る為。
その為であれば、今彼女を直撃している不愉快さも、我慢せねばならないと己を律しながら。
「そうだね……分かり辛いけど、何か……」
アルバもまた、五感を研ぎ澄ましながら共に廃墟を進む。
本来であれば手分けをして探すのまた、効率を考えれば一つの選択肢。
しかしながらレジーナと共に彼が歩くのは、ひとえに従妹の奔放さと方向音痴さを心配しているが故に。
その軽薄そうな外観と相反し職務に対し忠実に挑む彼は、どうにも危なっかしい彼女を放ってはおけなかったのだ。
人狼としての優れた五感を頼りに、またまれに見られる地図と情報を照らし合わせながら、二人は廃墟を進むのであった。
「どうか、力を貸して……」
アルバもまた、少年を助けるべく力を用いる。
彼が頼るのはロザリオに宿る精霊――カリタ。
精霊の加護を受け、アルバの五感を超えた何かが冴えわたる。
視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚のどれにも当てはまらない感知能力。
理屈では言い表らわせない第六感が、彼を一つの場所へと呼び寄せるのだ。
「レジーナ、お願い……」
アルバが従妹へと指示したのは、一見単なる瓦礫の山。
しかし二人は感じていた。
隙間から流れる微かな風を――これまで腐臭の中で感じられた、それ以外の匂いを。
「お兄様、任せて下さいまし!」
その華奢な外見に反し、容易く瓦礫を持ち上げるレジーナ。
驚異の怪力を発揮した彼女は、次々と瓦礫を放り投げていく。
その中から現れたのは……瓦礫に埋もれて見えていなかった、地下への道だ。
二人の人狼は進む。
腐臭溢れる暗闇の中に、微かな生者の気配を感じながら。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第2章 集団戦
『ゾンビの群れ』
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POW : ゾンビの行進
【掴みかかる無数の手】が命中した対象に対し、高威力高命中の【噛みつき】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : 突然のゾンビ襲来
【敵の背後から新たなゾンビ】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
WIZ : 這い寄るゾンビ
【小柄な地を這うゾンビ】を召喚する。それは極めて発見され難く、自身と五感を共有し、指定した対象を追跡する。
イラスト:カス
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
そのフロアには、暗闇が詰まっていた。
完全に日が沈んだその廃墟の中にはもはや一欠片の陽だまりも存在せず、ただただ闇夜の中に何かが蠢く音だけが木霊していた。
猟兵の耳に、遠くで何かが落ちた甲高い音が入る。
落とされたのは一本のペンライト。
転がり落ちるそれが照らす一筋の光が、群がる死者の群れを照らし出す。
そこには死体、死体、死体。
視界を覆いつくすほどの死体の群れが、そのフロア全てを覆いつくしていた。
肩を触れずに通ることが出来ないほどの圧倒的密度。
濃密な死の気配が、そこには溢れていた。
むせかえるほどの腐臭の中、猟兵たちは足を踏み入れる。
零れ落ちそうな命を、拾い上げる為に。
バーン・ストラフェス
さて…罠も仕掛け終わった…
…?なんだ、音が…まさか、依頼の少年か!
少年!!助けに来たぞ!
アサルトライフルでゾンビの集団に向けて撃つぜ!
まぁ、数が多いから銃弾に限りのあるこっちが不利だけどな…!!
少しずつ後退して、ある場所…元々は酒の売り場まで移動するぜ
ここは事前に幾つかのアルコール度数が高い酒を地面に撒いておいたんだ
「少年、少し下がってろ。最悪、おっさんの顔みたいな痕がつくぞ?」
ここでスティグミに切り替えて【デッドマンズ・スパーク】発動!
…まぁ、電流が強すぎて右腕ごとスティグミが壊れるんだがな
あとは任せたぜ、先輩方!
アドリブ、共闘大歓迎
鹿島・結
思ったよりも大量にいるな…!
けど、数の勝負ならこっちにだって自信があるんだ
頼んだよ、レギオン!
展開しっぱなしのエレクトロレギオンと入手したマップを組み合わせてゾンビの布陣を確認
可能なら他の猟兵のところにレギオンを派遣してマップ情報を共有、それぞれの位置を明示して連携を取りやすくしよう
最優先は少年の確保だ
彼を探し当てられればあとは潜伏場所まで近づいて保護
道中のゾンビは散弾モードのショットライフルで雑に撃ち抜く!
…小さくて見つけにくいゾンビだって?
レギオン、視点を低く!
赤外線センサーで互いを接続してそこを遮るものを見落とさないで!
もしかしたらそいつが狙ってるのは少年かもしれない!
アドリブ・連携◎
●
「思ったよりも大量にいるな……!」
鹿島・結(ブルーバード・f24619)は苛立たし気に言葉を吐き捨てる。
視界を埋めつくすほどの蠢く死体たち。
素早く少年を確保したい彼女にとって、その壁はあまりにも厚かった。
「けど、数の勝負ならこっちにだって自信があるんだ」
しかしその程度で諦めるのであれば、彼女はこの場になど来てはいない。
この荒廃した世界で生き延びる為には、諦めなど捨て去らねばやっていられないのだ。
「頼んだよ、レギオン!」
彼女が放つのは、先ほどまで探索に従事していた小型自立ドローン。
それぞれに備え付けられたライトが暗闇を照らし、縦横無尽に飛び交うことで急速に情報を集めていく。
そしてそれらの一部は、いち早く情報を伝えるべくこの場へと向かっているはずの仲間の下へと、飛び去って行った。
「小さい熱源だってっ!? レギオン、視点を低く!」
ドローンから送られてくるサーモグラフィー画像の中に、一つ小さなものを見つけた結。
明らかに蠢く死体たちよりも熱を発する何か――それに近づいたカメラ映像により、それが件の少年であることを確認する。
「見つけたっ!」
道をこじ開けるべく、手に握るショットライフルを散弾モードで放つ結。
狙いを定める必要の無いほど高密度な敵へと突き刺さる光の雨が次々と屠るものの、その壁は厚い。
少年は既に予知の情景と同じように身動きが取れなくなっており、オブリビオンたちに壁際へと追いやられていた。
「誰かっ!?」
今まさに少年へと群がろうとしているオブリビオンたち。
その一体一体へとドローンを体当たりさせるものの、数の差は歴然。
その抗いが長続きしないことなど、彼女の目にも明らかだった。
「少年!! 助けに来たぞ!」
抑えきれないほどの敵の魔の手が、少年へと届こうとしていたその時、暗闇からマズルフラッシュと共に連続した破裂音が響き渡る。
結のショットライフルとは違った火薬による発射音。
その音源にはガスマスクとゴーグルにより顔を覆った男――バーン・ストラフェス(希望の運び屋・f24898)が立っていた。
音と共に飛来した鉛の弾が、少年へと覆いかぶさろうとしていたオブリビオンたちを弾き飛ばしていく。
その隙に少年の下へと辿り着く結。
彼女と視線の合ったバーンは、後は頼むと言わんばかりに頷くと、ゆっくりと後退を始めた。
「おらおら、付いてこい死体ども!」
大声をあげながら後退していくバーンに惹きつけられ、ゾンビたちの一部の集団が彼と共に移動していく。
そうして誘導されていた先は、コンクリートまみれの一角。
そこにはむせ返るほどのアルコールの香りが充満していたが、それを感じ取る器官が腐り落ちているゾンビたちは気づかない。
そこにばら撒かれていたのはバーンが売り場から拝借した高濃度のアルコールの数々。
脳の腐り落ちたオブリビオンたちを罠に嵌めるべく、彼が事前に準備をしていたのだ。
「いくぜ、デッドマンズ・スパーク!」
バーンの突き出した片腕から放たれるのは膨大な電流。
放った腕を破壊するほどに強力な稲妻は蠢く死体たちを襲うと、地面の酒精に引火し、彼を取り囲むように追従していたゾンビたちを炎に包む。
包まれた炎により暗闇で輝く蠢く死体たち。
その光景はまさしく地獄絵図だ。
「あとは任せたぜ、先輩方!」
その地獄のような光景のど真ん中で、男は叫ぶ。
その表情に悲壮さが無いのは、頼りになる仲間たちを信頼しているが故に。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
フォーネリアス・スカーレット
「居たな」
両手で印を組み囁く。
「サップーケイ!」
数の頼りの奴ならこれで分断するに限る。後はチェーンブレードを構え、片っ端からバラバラに解体するだけだ。
火が使えないだけで範囲攻撃の手段ならいくらでもある。破片手榴弾を投擲して纏めて殺す。
手数なら千撃ちが便利だ。地獄の短剣を死ぬまで投げ続け地獄に送り返す。
どの距離に居ようとも、どれだけ数が居ようとも、どんな敵でも関係ない。
「出た順に殺す。オブリビオンは皆殺しだ。ただの一匹も逃がしはしない」
迷宮の出口は一か所。即ちここを封鎖すれば皆殺しに出来る。
……楽しいんだ。こういう事をしているとな。
●
「居たな……」
フォーネリアス・スカーレット(復讐の殺戮者・f03411)は灯りを手に暗闇に立つ。
彼女の視界に映るのは動く死体の群れ。
本来恐怖を感じるであろうその光景に、彼女の心は何ら揺れることは無かった。
オブリビオンは皆殺し。
その結論に、なんら変化は無いのだから。
「サップーケイ!」
フォーネリアスがその手で印を結べば、地面から鋼鉄の襖と畳が顕れる。
墨絵の描かれたその襖は通路を作り出すように連なっていく。
もしもその光景を高い位置から見ていれば気づいただろう――その通路が、複雑な迷路と化していることに。
「行くぞ」
愛用のチェーンブレードを手に、フォーネリアスは己が作り出した迷路へと走る。
彼女の走った後には一体たりとも動くものは居ない。
次々と解体されていく死体の山が、積み上がるばかり。
「貴様らを殺す手段など、いくらでもあるのだ」
フォーネリアスは持ち込んだ手榴弾を放る。
次々と爆発する投擲物が、地面を揺らしながら蠢く死体を次々と肉片へと変えていく。
視界を埋めつくすほどの敵、敵、敵。
どこに放ろうとも、外れることなど有り得ない。
そしてオブリビオンたちの動きを阻害する為の鋼の迷路が、彼女の攻撃による味方への飛び火を決して許さないのだ。
「出た順に殺す……」
彼女が仁王立ちするのは、迷路の出口。
一見複数の出入り口があるように見える、複雑に入り組んだ迷路。
しかしそれは迷路であると共に、敵を逃がさぬ為の檻。
蠢く死体たちは全て、一ヵ所へと誘導されていく。
「オブリビオンは皆殺しだ、ただの一匹も逃がしはしない」
無数の短剣を手に、フォーネリアスは迎え撃つ。
その鋼の仮面の裏で、楽しそうに嗤いながら。
成功
🔵🔵🔴
泉・火華流
体術と一章で集めた武器を使用(火炎放射器は奥の手)
最近のゾンビは呪術じゃなくて、ウイルスとかで動くのが主流らしいけど(文字通りの生きた死体)…このゾンビはどうなのかしら?
『オブビリオン・ストーム』から生まれた…と考えると、呪術とかに近いイメージ
【野生の勘・第六感】で敵の攻撃・動きを読みつつ
【ジャンプ】からの頭への【踏みつけ】の頭部へと蹴り(首をへし折る)
【ダッシュ】からの【スライディング】による対象の転倒(追撃できるなら、バットやゴルフクラブで頭や足などを潰す)などの攻撃
【逃げ足】などを用いてヒット&ウェイ戦法
音で感知しているなら【忍び足】も活用
【早業】【掃除】でゾンビ達を可能な限り早く一掃
●
「最近のゾンビは呪術じゃなくて、ウイルスとかで動くのが主流らしいけど……このゾンビはどうなのかしら?」
泉・火華流(人間のガジェッティア・f11305)は異世界を渡り歩いた際に得た知識を思い出し、冗談めかしながら言葉を零す。
おそらくこの世界も崩壊する前にはあったであろう……多くの世界ではフィクションとして存在していた化物――ゾンビ。
その空想の産物のようなものが、彼女の視界には溢れていた。
「オブビリオン・ストームから生まれた……と考えると、呪術とかに近いイメージ?」
アックス&ウィザーズでは見ていないけれど、ダークセイヴァーだったら呪術由来のものが居ただろうか、なんて。
そんな取り留めも無い思考が、彼女の脳内を駆け巡っていた。
本来であれば戦闘の真っ最中。
余計な思考は致命的な隙を有無であろう。
しかしそれは……彼女にとっては余計な心配。
何故ならば、猟兵として鍛えられた経験が、反射的な戦闘を可能にしているのだから。
泉・火華流は宙を舞う。
眼前のゾンビの首を現地調達した肉切り包丁で切り落とすと、突き倒すようにその胸板を踏み抜き空中へと飛び上がる。
一見無意味なその行動は、四方から伸びる死者の腕から逃れる為。
360度全ての方向から襲い掛かる攻撃は、どれだけの視界の広さがあっても同時に収めることは出来ない。
故に彼女は、すべての動きを感覚で捉える――猟兵として研ぎ澄まされた、野性的な……もしくは、第六感的な感覚によって。
「しっ!」
空中で体勢を整えると、その勢いのまま繰り出される爪先が首をへし折る。
足をかけて倒したかと思えば、その頭部をバットで叩き潰す。
時には手斧を投擲し、頭蓋骨を割って見せる。
出鱈目でありながらも縦横無尽。
獅子奮迅の活躍を見せる少女の動きは、まだまだ止まらない。
成功
🔵🔵🔴
ラフィリア・アルケリタス
◎アドリブ連携歓迎
少年は無事に保護できたみたいですね、良かった……
なら後はこのゾンビの群れを片づけるだけ、行きます!
■戦闘
室内でこの群れ相手に大剣の使用は避け、ここは【UC】を使用した
拳銃型偽神兵器で立ち回ります
っく、視界が悪い上に思ったより数が多い、もうエネルギーが……!
周囲に何か使えそうな物は……あれは、アウトドア用品?
助かりました! 残弾で敵を蹴散らして駈け寄ったら
まずは展示品のランタンと電池を探して、視界を確保
後は売り物のペグハンマーで死角からの攻撃も【見切り】迎撃
バーベキューグリルも掴んで敵をなぎ払い、距離を取ったら
ガスボンベや着火剤を撒いた所に手榴弾を【投擲】して纏めて片づけます!
●
「少年は無事に保護できたみたいですね、良かった……なら後はこのゾンビの群れを片づけるだけ、行きます!」
心優しき少女――ラフィリア・アルケリタス(Over The Storm・f24604)は戦場を見回し、安堵する。
既に複数の猟兵たちが、無数のゾンビたちと戦闘を繰り広げていた。
彼らの光源によって照らされる中、件の少年が猟兵の一人に守られているのが目に入る。
一先ず保護対象は無事――であるならば、己の役割は少しでも多くのこの死者の群れを片付けることだ。
「ブースト起動……! この速度、避けられますか?」
ラフィリアが握るは愛用の拳銃型偽神兵器――ブリーズ。
目にも止まらぬ速度で撃ち出された圧縮されたエネルギー弾が、次々とゾンビたちに風穴を開けていく。
オブリビオン・ストームを燃料とした強力な偽神兵器の威力は絶大。
容易に敵を屠るものの、無尽蔵と思われるほどに溢れかえる敵を倒すには少々燃費が悪かった。
「っく、視界が悪い上に思ったより数が多い、もうエネルギーが……!」
他の猟兵が視界を確保しているものの、そのフロアの広さに対して十分とは言えない。
想定以上の戦い辛さにラフィリアが頭を悩ませていると、視界の隅に看板が目に入る。
「周囲に何か使えそうな物は……あれは、アウトドア用品?」
彼女が飛び込んだのはアウトドア用品店。
電池が入りっぱなしであったのであろう、展示されていたLEDランタンに灯を灯すと、すぐ後ろまで迫り来ていたゾンビをバーベキューグリルを振り抜き吹き飛ばす。
ペグハンマーが、薪割り斧が、シャベルが、火かき棒が……。
そこに溢れるありとあらゆる道具を武器とし、押し寄せるゾンビを屠るラフィリア。
それはまるでゾンビを相手にしたアクションゲームのように激しく、リズミカルで、繰り返される終わりの無い戦い。
不思議と感じる爽快感に、思わず彼女の表情に笑みが浮かぶ。
「纏めて片付けます!」
懐から手榴弾を取り出した少女の表情は、まるで悪い遊びを初めて覚えた初心な少女のように、それはそれはキラキラとした満面の笑みだったという。
大成功
🔵🔵🔵
千代野・蓮
トリf24393と
…あー…数多すぎやしねえか?
まあ、やってやっけどよ
トリに直ぐ駆け寄れる位置の柱や散乱した物資等の物影に隠れながらライフルを構えれば
【ヘッドショット】にてトリに向かう敵の頭を確実に狙撃ち仕留めてく
敵と対峙するトリが心配じゃねえかって言われたら心配だけどよ
確り狙えさえすれば外さねえ自信はあっからな
トリが怪我する前に殺りゃいーんだろ、簡単なこった
同じ方向からで見つかると面倒だしな
柱や物資の影を渡りつつ撃って…って!
おま…!トリ気をつけろっつの!
後俺の辞書に油断っつー文字はねえんだよ!
お前は俺が助けっけど間に合わなかったらどーすんだよ…ったく
本当に…トリもガキも怪我してんじゃねえぞ?
神鳥谷・弥
チヨ(f24395)と
近くのゾンビに片っ端から殴りかかりつつ
ああ、うぜえ!
掃いても掃いても次々と湧きやがる!
いいぜ、まとめてかかって来いよ!
てめぇらじゃ塊になってもおれ様にかなわねぇこと、思い知らせてやるよ!
と意気込みつつ【一撃必殺】を使用してゾンビを一体一体、ときには複数巻き込んで蹴散らしてやらぁ!
おいチヨ、そっちはどう……と振り向きかけた時に死角からゾンビが出てきて
喰らいつかれそうになれば飛んできた弾丸に助けられ
た、助かった……
サンキュー、チヨ
うっせぇな、いまのはちょーっと油断しただけだし!
死にかけてもおめーが助けてくれるんだろ?
ま、次はおれが助けっけどよ!
せいぜいたっぷり油断しやがれ!
●
「あー……数多すぎやしねえか?」
千代野・蓮(千代に、八千代に・f24395)は物陰に隠れながら気だるげに独り言を零す。
彼の視界は無数の動く死体――所謂ゾンビで溢れかえっていた。
ゾンビもまた、野盗(レイダー)、機械化動物に続いてアポカリプスヘルで多く見られるオブリビオンの一種。
彼とて戦うのは初めてでは無いが、ここまでの数と相対するのは初めての経験だった。
それもそのはず……これまでの戦いは生き残るのが一番の目的。
リスクのある戦いに挑む必要など無く、敵が多ければ逃げればいいのだ。
だが……。
「まあ、やってやっけどよ」
猟兵として挑んでいる今は、そうもいかない。
それに決して見捨てるわけにはいかない相棒もまた、戦っているのだから。
「ああ、うぜえ! 掃いても掃いても次々と湧きやがる!」
蓮の視線の先では、神鳥谷・弥(零落パラディースス・f24393)がゾンビを千切っては投げ、千切っては投げと獅子奮迅の活躍を見せていた。
倒しても倒しても溢れかえるゾンビに対し、彼の怒りは頂点へと達する。
「いいぜ、まとめてかかって来いよ! てめぇらじゃ塊になってもおれ様にかなわねぇこと、思い知らせてやるよ!」
ブチ切れて、開き直ってしまえば答えは簡単。
数が多いのなら、数が減るまで殺し続けるだけだ。
「おらぁ!」
達人級の武術家たる弥の拳は正しく一撃必殺。
拳を握れば、容易く動く死体をバラバラに粉砕するのだ。
頭蓋を粉砕し。
心臓を握りつぶし。
腸を引き摺り出す。
全身がどす黒い血に濡れようと、彼の動きは止まらない。
その全力で暴れまわる弥の戦いを、静かに背後から支えるものがいた。
「まっ、確り狙えさえすれば外さねえ自信はあっからな」
アサルトライフルをセミオートで一発一発狙い打つ蓮。
物陰から突き出された鋼の筒が暗闇を照らす度、弥の背後から迫り来るゾンビの頭部が弾け飛び血の花を咲かせる。
それはスナイパー顔負けの見事なヘッドショット。
決して隣接する弥を傷つけること無く放たれる正確無比な射撃。
次々と走り回る弥を追従し、蓮は物陰から物陰へと移動していった。
飄々とした笑顔を浮かべながら、余裕の態度を崩さずに援護を続ける蓮。
「おまっ!……」
しかしそんな彼の余裕も、永遠には続かなかった。
もしもそれが己に向かって行なわれた奇襲であったら、彼は取り乱すことなく冷静に対処して見せただろう。
いずれ復元するであろう己が身体を利用し、片腕を相手の口に叩き込むくらいのことはして見せたかもしれない。
しかしそれは、危険が迫るのが……己であった場合の話だ。
「おいチヨ、そっちはどう……」
致命的な隙を見せたのは、蓮では無く前線で戦っていた弥。
近くの敵を屠り切った彼は、相棒の様子を伺うべく振り向いて見せた。
今まさに首をへし折ったゾンビが倒れ込みながら、彼の喉元を喰いちぎらんと牙を剥いていたことに気付かずに。
肉薄した凶刃が弥の頸動脈を掻き切らんと触れようとしたその瞬間、千切れかけの頭部を粉砕したのは、咄嗟に物陰から身を乗り出した蓮が放った一撃であった。
「た、助かった……サン……」
耳元で弾け飛んだ血しぶきから、状況を理解した弥。
呆然としながらも駆け寄る蓮を視界に収め、とっさに感謝の言葉を投げかけんと口を開く。
「トリ気をつけろっつの!」
しかし弥はその感謝の言葉を、駆け寄る相棒の表情を見つめると咄嗟に飲み込んでしまう。
いつもヘラヘラとした軽薄な笑顔を浮かべる相棒。
その蓮が、いつになく険しい顔をしながらこちらに近づいてくるでは無いか。
怒らせてしまった事実が妙にバツが悪い。
「うっせぇな、いまのはちょーっと油断しただけだし!」
そうしてヘソを曲げてしまえば、思わず口から飛び出たのは減らず口。
「お前は俺が助けっけど間に合わなかったらどーすんだよ……ったく」
怒られ続ければ逆ギレも辞さない弥であったが、己の無事を確認した蓮はすぐさま目じりを下げる。
焦った様子から、困ったような笑みを浮かべられては……己が完全に悪いという自覚がある弥も態度を頑なにするわけには行かなかった。
「わーった……悪かったって! でも、死にかけてもおめーが助けてくれるんだろ?
ま、次はおれが助けっけどよ! せいぜいたっぷり油断しやがれ!」
早々に白旗を上げた弥は謝罪の言葉を返すも、殊勝にするのも二人の関係性では気持ちが悪い。
気まずく畳みかけるように次々と吐き出される言葉もまた、変わらず減らず口だ。
「俺の辞書に油断っつー文字はねえんだよ!」
それでも軽口がすぐさま返れば、自分たちはこれで良いのだと安心できる。
「本当に……」
全く困ったやつだとばかりに蓮が嘆息すれば、もう結構とばかりに弥は首を竦める。
急に訪れた静寂が変に可笑しく、見つめ合ったまま二人は思わず互いに笑みを零すのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
レジーナ・ファルチェ
アルお兄様(f03401)と一緒に行動しますわ。
(絡み・アドリブ歓迎)
杖で殴るわけにもいきませんし、元々ショッピングモールだったのでしたらマネキンなどありますかしら?
マネキンではなくともこう振り回せるものがあると良いのですけれど、なければしょうがありませんわ…わたくし自身の拳で参りますの。
暗闇を好むゾンビでしたら、やはり炎や光の魔法などが効きますでしょうか?
《属性攻撃》の応用で、マネキン(又は拳)に魔法を乗せますわね。
焔狼のエティと影鴉のエーレにも協力して貰いますわ。
掴まれて噛みつかれましたら、そのまま振り回して差し上げましょう。
わたくし自身も少々痛いでしょうが、このくらいではめげませんのよ。
アルバ・ファルチェ
レジーナ(f23055)と一緒に行動。
絡み・アドリブ歓迎。
少年の確保は出来たみたいだね。
じゃあ後はこのゾンビの群れを片付ければ良いのかな?
…ってレジーナ!無茶はしないように…って言っても無駄か…。
とりあえずレジーナが向かう方へ【属性攻撃/破魔】と【範囲攻撃】【衝撃波】を乗せた【援護(射撃)】を。
槍竜コルノにも【空中戦】で援護させるよ。
あとはUCで回復したり、無茶しそうな所を【かばう】。
【誘き寄せ】で僕自身を囮にするのもありだね。
小柄なゾンビは【失せ物探し】【暗視】【視力】【聞き耳】【追跡】何かを駆使して見つけ出せないかな?
見つける事が出来ればこちらも【破魔】を乗せた攻撃で潰しておく。
●
「少年の確保は出来たみたいだね……じゃあ後はこのゾンビの群れを片付ければ良いのかな?」
アルバ・ファルチェ(紫蒼の盾・f03401)は傍らに立つ従妹――レジーナ・ファルチェ(弾丸魔導師・f23055)へと語り掛ける。
その両手には先ほどまでは探索の邪魔にならぬよう背負われていた剣と、白銀の盾を持つ。
その様相は正しく白銀の騎士――盾の騎士を名乗る彼に相応しい装備と言えよう。
普段の軽薄な態度は鳴りを潜め、眼前に広がる戦場へと足を踏み入れるべく、その表情は引き締められていた。
「任せて下さいまし!」
油断なく気を引き締めているアルバに対し、レジーナは慣れぬ戦場に興奮している様子。
その腕の中に愛用の杖を抱きかかえながら、鼻息荒く言葉を返す。
「ってレジーナ! 無茶はしないように……って言っても無駄か……」
意気揚々と戦場へと突撃する従妹を諫めるアルバであったが、その忠告が届く位置に彼女は既にいない。
仕方がないとばかりに溜息一つ。
改めて気を引き締めた従兄は従妹を守るべく、混戦の中へと足を踏み入れるのであった。
「行きますわよっ!」
レジーナが握るのは暗りの中でもぼんやりと白く見える人型の何か。
突然視界に入れば恐怖を与えそうなそれは、所謂マネキン。
ゾンビを殴るのに丁度良いと、移動中に目に止まったそれを拾ってきたのだ。
「もう、鼻が曲がりますの!」
一風変わった不思議なペット、エーレとエティと共に戦うレジーナ。
しかし皆が見れば十中八九、魔力を通しながらマネキンを振り回す少女の方に目が取られるであろう。。
一見シュールなその光景の原因は……愛用の杖を振り回さない理由は単純。
可愛らしい装飾の施されたお気に入りの杖を、人狼には殺人的な匂いを発する腐った体液により汚したくは無いという理由だ。
故に手頃な大きさの目についたマネキンを振るい、少女は戦う。
中身が空洞なソレを振るい、軽やかな打音を響かせながら。
「あら、もげましたわ……でも、丁度良いサイズになりましたわ」
魔力で強化をしているとは言え(逆に言えばだからこそゾンビを殺傷し得るのだが)、本来戦闘用からはかけ離れたマネキン。
振り回しているうちに一本、また一歩と四肢がもげ、残るは本体のみ。
しかしそれはそれで、丁度良いサイズ感と武器にすることを止めないレジーナ。
そんな隙だらけの様子を見せていると、ついにはその四肢に噛みつかれてしまう。
「もう、痛いですわ」
しかしその程度のダメージなど大したものではないとばかりに、少女はゾンビを掴み振り回す。
言葉とは裏腹に怯んだ様子は無く、掴んだゾンビを壁へと叩きつけ染みへと変える。
そんな様子で暴れまわる従妹を見守り、アルバは小さく溜息を零す。
「レジーナ、油断しないで!……まったくもう」
相棒たるドラゴンランスのコルノに援護をさせている隙にアルバはレジーナの傷を癒す。
叱咤の言葉とは裏腹に、可愛い従妹を見守るその視線は父性すら感じる優し気なもの。
見守り育てる為にも過度な庇護はしないものの、やはり傷を負う姿を見るのは心配な様子だ。
「さぁて、可愛い従妹に傷を負わせた仕返しはさせてもらおうかな」
これもまた一つの経験、と思うものの。
それはそれとして、意趣返しはさせてもらいたい。
笑顔とは裏腹に、気高き人狼は魔を滅するべく力を纏う。
弱き者を、愛する家族を守る為に。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 日常
『猟兵サーカス団』
|
POW : 人間離れした力技を披露して、人々をビックリさせる
SPD : 楽器演奏やマジック、大道芸などで、人々を盛り上げる
WIZ : 歌唱や演劇、詩の朗読などで、人々を感動させる
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
その戦いは、長きに渡った。
どれだけの時間が経ったのか感覚が失われるほどの疲労に疲れ果てながらも、猟兵たちは見事最後の一体まで動く死体を物言わぬ無害な肉片へと変えていったのだ。
「あなた方は……」
身に着けていた服装は所々破れ、必死に逃げ回った際に負ったのであろう細かい傷が全身を覆っている様子の少年。
一時は死を覚悟せざるを得なかったその少年は、未だに自身に訪れた都合良い奇跡が信じられず茫然としていた。
しかしそうして呆けているのも、数分のこと。
「有難うございました!」
少年の周りに猟兵たちが揃う頃には気を取り直すと、猟兵達に向かい深々と頭を下げる。
グリモアベースで依頼された通り、少年を送り届けることを申し出る猟兵たち。
そこまでしてもらうわけには……と何度も遠慮する少年を窘め、猟兵たちは帰路を共にするのであった。
「ここです」
猟兵たちが少年を送り届けたのは、とある廃墟。
裕福な家だったのだろう……崩れ落ちた屋敷の奥深くに、少年たちが立て籠もる拠点(ベース)が存在した。
それは元の持ち主の趣味であろう大きな地下室を改造したもの。
通常の拠点と比べれば手狭と言わざるを得ないが、少年ら5人が暮らすにはなんら問題は無いという。
「兄さんっ!」
少年が地下室に下りれば、住人たちのお出迎え。
しかしそれは、随分と可愛らしいお出迎えであった。
十四、五歳であろう少年に対し、出迎えたのはさらに小さい十歳弱程度と見られる少年少女が二人、五歳前後の少年少女が二人、。
明らかに血がつながっていないであろう見た目の彼らだが、家族として共に暮らしているという。
少年一人で支えるには、限界ギリギリの人数。
しかしそれを、少年は必死に零さないように守り続けていたのだ。
猟兵たちは、グリモアベースで頼まれた内容を思い出す。
君たちが彼らに出来ることは、何があるだろうか?
ラフィリア・アルケリタス
◎アドリブ連携歓迎
無事に少年を助け出せて、本当に良かった
あの子供たちの笑顔を見ていると、心の底からそう思えます
後は帰還する前に何かしてあげたいところですが……
■行動
うーん、どうすれば……そうですね
せめてあの子たちが、少しでも希望を持って生きていけるように
私が小さい頃に良く聴かせてもらった歌を教えてあげます
今は荒廃した世界でも、必ず良い未来が訪れる
だから希望を捨てずに生きていこう
そんな内容のゆったりとした短い歌です
辛い時でもこの歌を口ずさむと前向きになれる気がするんですよ
後はどうしましょう……
妙に手に馴染んだので、つい持ってきてしまった
バーベキューグリル(新品)で料理を振る舞っても良いかもですね
●
(無事に少年を助け出せて、本当に良かった)
ラフィリア・アルケリタス(Over The Storm・f24604)は少年たちを見守る。
彼女の目の前では本当に良かったと、子供たちが笑顔で抱きしめ合っている。
その目じりに光るものが浮かんでいるのは、決して彼女の見間違いでは無いのだろう。
(あの子供たちの笑顔を見ていると、心の底からそう思えます。後は帰還する前に何かしてあげたいところですが……)
ラフィリアがその胸中を温かい思いで満たしていると、ふとグリモアベースで依頼をされた内容を思い出す。
この日々を必死に生きる少年たち。
彼らの為に、自分は一体何が出来るのだろうかと。
(せめてあの子たちが、少しでも希望を持って生きていけるように)
少年たちを楽しませることが出来るのであれば、自分に出来るのはきっと歌を歌うことくらい。
ならば教えよう――己が聴き、育った曲を。
同じ荒廃した世界の中で生き足掻いた者として、自分にとって心の支えと成り得たものは、きっと彼らにとっても悪くは無いはずだ。
今は荒廃した世界でも、必ず良い未来が訪れる。
だから希望を捨てずに生きていこう。
ゆったりとした旋律で、美しい歌声を披露するラフィリア。
自分の辛いとき、心を前向きに変えてくれたこの歌が……彼らにとっても心の支えと成ることを祈って。
そんな彼女の歌声に惹かれた少年たちは、そっと静かに耳を傾ける。
短い一曲が終われば、もう一回、もう一回と小さな子供にせがまれる。
そんな姦しさが微笑ましく、ラフィリアは思わずくすりと笑う。
ふと目の端に映った、思わず持ち帰ったバーベキューグリルで何か料理でも振舞おうか……そんなことを思いつきながら。
大成功
🔵🔵🔵
泉・火華流
こういう兄妹愛みたいなのには弱い子
これは全部アンタ達にあげるわ
第一章で手に入れた武器は全部ここへ置いていきます
地下室暮らしに…
こんな暗いところにいたら気分も滅入るわよね…
『…とある廃墟』…というぐらいだから、元は住宅街とかだろうから、資材の一つや二つはあるだろうと探し回り
『壊れた自転車』+『自動車のバッテリー』で『足こぎ式人力発電機+蓄電器』を制作
(普通にコンパクトで懐中電灯やスマホぐらい充電できる物が存在、【メカニック】とアルダワ学園で培った技術力で電灯を作成)
兄が探索に出ている間に、弟妹達が拠点で発電担当(ちょっとした遊び道具感覚で運動不足も解消)
弟や妹でもお兄ちゃんの力にならないとね
●
「これは全部アンタ達にあげるわ……」
泉・火華流(人間のガジェッティア・f11305)は少年たちの拠点へとガチャガチャと荷物を積み上げていく。
それは彼女が調達した資材の山。
武器としてはもちろん、本来の使い道としての工具としても有用であろう。
中には彼女の改造によって凶悪な武器と化しているものもあるのだが……。
「あ、ありがとうございます」
目の前に積み上げられていく道具の数々に、驚きを隠せない少年。
火華流に見つめられ所在無し気に戸惑っている少年を尻目に、彼女は周囲を見回す。
彼女が求める“モノ”を探しに。
(地下室暮らし……あんな暗いところにいたら気分も滅入るわよね)
この世界の常識を照らし合わせるのであれば、決して劣悪とまでは言えない環境であるのだろう。
しかしながら、やはり異世界で衣食住に困らぬ生活を送る彼女にとって、少年たちの暮らす環境は、どうにも受け入れがたいものだ。
せめて彼女のガジェッティアとしての力を活かし、彼らの生活を改善したい。
そう思った彼女は、周囲の廃墟の中から様々な資材を探し出す。
ガチャガチャと音を立てながら機械を組み立てる火華流。
不思議そうな顔で子供たちが見守る中出来上がったのは、自転車をこぐことで発電可能な人力発電機とバッテリーだ。
火華流の説明を受け、一生懸命自転車をこぐ子供たち。
その額には玉のような汗が浮かぶものの、兄の役に立っているという意識が嬉しいのか、はたまたこんな運動でも娯楽の無い彼らにとっては楽しいのか、いずれにせよ笑顔でこぎ続ける。
「弟や妹でもお兄ちゃんの力にならないとね」
そう語り掛ける火華流は、穏やかに笑う。
脳裏に、愛すべき兄の笑顔を思い浮かべながら。
大成功
🔵🔵🔵
フォーネリアス・スカーレット
オブリビオンが居ないのであれば用は無い。さっさと次のオブリビオンを殺しに行かねばならぬ……が、
「私に、曲芸をしろと言うのか。いいだろう」
私は自分で殺す事に拘りは無い。それが最も手っ取り早いが最終的に全員殺せばそれで良い。
この少年、見所がある。師より受け継いだ教えの一つを授けよう。
「イヤー!」
手頃な目標に向けて短剣を投げる。
「イヤー! イヤー!」
立て続けに短剣を連続投擲! すべて同じ場所に集約する。
「Wassyoi!」
続けて鞘から抜いた炎剣も投げる。フックロープも投げる、盾も投げる。全て投げる、同じ場所に。
「一本の矢で倒せぬなら百本の矢を放て。百本で倒せぬなら千本だ。そうすれば死ぬ」
●
フォーネリアス・スカーレット(復讐の殺戮者・f03411)にとって、少年らの命すら、安全すら、つまりは当然彼らの生活など興味は無い。
少年らと交流を深める猟兵たちを眺め、フォーネリアスは鼻息を鳴らす。
オブリビオンが居ないのであればそこに用は無く、次なる戦いを求めて帰ろうとするフォーネリアス。
「オブリビオンが居ないのであれば用は無い。さっさと次のオブリビオンを殺しに行かねばならぬ……が」
フォーネリアスの視線は、子供たちの中心――ショッピングモールから救い出された少年へと止まる。
(この少年、見所がある)
彼女にとってオブリビオンの殺戮が全て。
しかし彼女自身の手で殺すことには、必ずしも拘りは持っていない。
それはあくまで手っ取り早い一つの手段。
オブリビオンを全滅させられるのであれば、その方法は何だって良いのだ。
「私に、曲芸をしろと言うのか……いいだろう」
今なお鎧を脱がぬフォーネリアスに見つめられ、圧を感じた少年は思わず彼女を見つめる。
決して弟たちを楽しませる為に芸をお願いしたつもりはさらさら無いのだが、彼女に気圧され、問いに対し思わず首肯する。
「イヤー!」
フォーネリアスは手ごろな木へと向かい、短刀を放る。
「イヤー! イヤー!」
次々と放たれた短刀は素早く、そして的確に全てが一ヵ所へと命中する。
「Wassyoi!」
次々と投擲された剣が、道具が、盾が、全て同じ目標目掛けて放たれる。
ついにはメキメキと音を立て、目標は倒れるのであった。
興奮する子供たちを尻目に、フォーネリアスは師の教えを授けるべく、少年へと語り掛ける。
「一本の矢で倒せぬなら百本の矢を放て。百本で倒せぬなら千本だ。そうすれば死ぬ」
何かを感じ入るものがあったのか……呆けていた少年は静かに、そして引き締めた表情で頷くのであった。
大成功
🔵🔵🔵
アルバ・ファルチェ
レジーナ(f23055)と一緒に。
まだ自分も守られるべき年頃なのに、たった一人で弟妹達を守ってきたなんて凄いね。
僕もまだまだ他の人にもセラ(双子の兄)にも頼りっぱなしな部分があるから見習わなきゃね。
さて、とりあえずまずは健康診断…と言うか、痛いところや悪いところがないか診せて貰っても良いかな?
こう見えて医療の心得もあるから、折角だし僕が治せるところは治しておこうかなって。
後は…そうだね、僕に出来そうなことは楽器の演奏くらいだろうね。
冒険譚を物語っぽく弾き語りしてみたら喜んでくれるかな?
槍竜のコルノや精霊カリタ、レジーナの所のエティやエーレにも協力して貰って演劇っぽくするのもいいかもしれないね。
レジーナ・ファルチェ
アルお兄様(f03401)と一緒ですわ!
わたくしとそう年も変わりませんのに自立どころか一家の長として立派に過ごされていますのね。
わたくしはまだまだ世間を知りませんので見習わなければなりませんわ。
アルお兄様が治療をなさる間小さな子達と遊びましょう。
わたくしで出来ること…肩車とかでしょうか?
抱えるのは平気ですけれどもわたくしだと少し背が。
長身の方が羨ましいですわ。
…そうですわ。人の姿ではなく狼の姿でしたら背に乗せて遊ぶのも楽しいですかしら。
もふもふ遊んでも構いませんが、強く引っ張ったりはしないでくださいましね。
お兄様が演奏なさるなら合せて歌いますわ。
エティやエーレもお兄様に協力してくださいましね。
●
「まだ自分も守られるべき年頃なのに、たった一人で弟妹達を守ってきたなんて凄いね」
アルバ・ファルチェ(紫蒼の盾・f03401)は傍らに立つ従妹――レジーナ・ファルチェ(弾丸魔導師・f23055)へと語り掛ける。
双子の兄や隣の可愛い妹がいるアルバは、ついつい目の前の少年たちに感情移入をしてしまう。
「僕もまだまだ他の人にもセラにも頼りっぱなしな部分があるから見習わなきゃね」
双子とはいえ兄のいるアルバは、ついつい精神的にも兄に頼りがちであることを改めて認識しする。
兄として、弟として……家族を支える一助でありたい、そう思えるのであった。
「わたくしとそう年も変わりませんのに自立どころか一家の長として立派に過ごされていますのね……わたくしはまだまだ世間を知りませんので見習わなければなりませんわ」
レジーナもまた、少年たちを見て感じ入るものがあったらしい。
双子の従妹をお兄様として慕うと同時に妹として可愛がられる彼女にとって、自分と一つか二つ程しか違わない少年が家族を支える様子は衝撃的な光景。
自分もいつまでも守られてばかりではいられないと気を引き締めるのであった。
「さて、とりあえずまずは健康診断……と言うか、痛いところや悪いところがないか診せて貰っても良いかな?」
パラディンであると共にクレリックであるアルバは、騎士でありながらも医療の心得を持つ。
深手とは言わないものの全身に傷を負った少年に対しても治療を行なったのは彼であった。
こんな環境では満足に治療も出来まいと、子供たちに対しても治療が必要か検診を行なう。
「深くはないけど……ちょっと膿んじゃってるね」
彼の懸念通り、適切な対処が出来ていなかったのであろう少女の腕の傷は、小さくとも膿み始めていた。
心配はいらないとウィンクを投げられた少女は、ぼーっと己が傷が癒えていく様子を眺める。
その頬がほんのり赤らんでいたのは、必ずしも傷とは関係が無いようだが。
「それでは皆さん、私と遊びましょう」
従兄が検診をしている間、遊び相手を務めるのはレジーナだ。
華奢な外観に反し体力と筋力に自信のあるレジーナ。
その両肩に少年少女を乗せると、何てことないとばかりに駆け回る。
ついでとばかりに抱えあげられた最年長の少年は、自身と同じ体格の少女に担ぎあげられ、色んな意味で顔を赤くする。
そうしてやいのやいのと遊んでいれば、レジーナはふと気弱気な小さな少女が目に止まる。
担ぎあげられるのが苦手なのか、輪に入るのが苦手なのか。
(そうですわ。人の姿ではなく狼の姿でしたら背に乗せて遊ぶのも楽しいですかしら)
そうした少女を見てふと思いついたレジーナは、己が姿を獣の姿へと変えるとそっと少女へと寄り添う。
おそるおそる手を出す少女にすり寄れば、先ほどまで暗く気弱気な表情を浮かべていた少女も、花のような笑顔を浮かべるのであった。
子供たちにもみくちゃにされていたレジーナは、耳に入ってきた聞いたことのある旋律によりアルバの検診が終わっていたことに気付く。
「エティ、エーレもお願い」
子供たちの世話を己がペットに託し、アルバの下に戻るレジーナ。
そこには楽器を演奏する従兄と、先ほどまでの彼女のようにもふられるコルノやカリタの姿があった。
そっと笑顔を浮かべたレジーナは、いつものように旋律に乗せて歌を歌う。
その周りには、子供たちの手から逃れた相棒たちが、軽やかに舞う。
それはまるで、演劇の一場面のようで。
はしゃぎ疲れた少年たちの心に、ゆっくりと染み込むのであった。
大成功
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千代野・蓮
トリf24393と
血は繋がらなくともそれ以上の繋がりってもんがあんのは解っからな
…ま、助けられて良かったな、トリ?
俺らにゃ娯楽っつったら食う事だったからな
拝借してきた食料を鞄から取り出し分けるぜ
俺のはホットケーキミックスとスプレーホイップ缶、果実缶あたりか
まあ、とりあえずホットケーキミックスを薄く焼いた生地を沢山作ってガキどもに渡してみるか
具は適当に自分で入れて食えばいーんじゃねえの?
勿論俺も頂くけどな?
トリ、肉の缶詰持ってねえ?持ってたら…って!食うなよ!?絶対食うなよ!?
そう軽口を交わしつつ乾パンをうけとるぜ
当たり前だろ?家族は一緒にいるもんだろが。…ま、これからも俺が助けてやるよ、相棒?
神鳥谷・弥
チヨ(f24395)と
おう、血のつながりはなくとも絆っつーもんは血よりも濃いもんだ
おれらみてぇにな? そういうことだろ、チヨ?
こんな世界だ、食うことは最高の贅沢ってもんだからな
拝借してきた食料品を分け合うとすっか
鞄から乾パンの缶詰に缶詰フルーツを乗せて子どもたちに渡しつつ
食え食え、食って男は戦えるようになれ
女もいい女になって男どもを振り向かせてやれ
家族っつーもんは一番わかりやすい絆の形だが
ある意味、おれたちは家族みてぇなもんかもしれねぇなぁ
ん? スパムの缶詰ならあるぜ、分かった、おれがチヨの分まで食べていいってことだな!
などと笑いつつ、スパムを乗せた乾パンを差し出し
これからもよろしくな、相棒
●
「血は繋がらなくともそれ以上の繋がりってもんがあんのは解っからな……ま、助けられて良かったな、トリ?」
千代野・蓮(千代に、八千代に・f24395)は傍らに立つ相棒――神鳥谷・弥(零落パラディースス・f24393)へと語り掛ける。
「おう、血のつながりはなくとも絆っつーもんは血よりも濃いもんだ……おれらみてぇにな? そういうことだろ、チヨ?」
二人の目の前では他の猟兵たちと共に遊び、歌い、嬉しそうに笑う少年たちの姿。
彼らは決して血は繋がっていないものの、家族のように互いを支え合って生きている。
それはとても尊いもので、血縁という事実を翻して尚……その関係性は揺ぎ無いものだ。
自分たちの絆だって、血の繋がりになんて負けない。
そう確信する二人は、互いを見つめ拳を重ねるのであった。
「俺らにゃ娯楽っつったら食う事だったからな」
同じ世界で暮らしてきた二人にとって、少年たちの思考を読むことなど簡単。
「こんな世界だ、食うことは最高の贅沢ってもんだからな」
日々の食事にすら困るこの荒廃した世界では、腹いっぱい食べることが何よりの贅沢なのだ。
少年たちは遊び、笑うというこの世界では満足に出来ない幸せを今感じている。
であれば最後にすべきは、満足な食事を振舞うこと。
二人はごそごそと鞄を漁ると、ショッピングモールから拝借した食料を取り出し料理を開始するのであった。
「まぁ、こんなもんだな」
蓮が広げたのは、ホットケーキ用の小麦粉と果実缶。
熾した火で香ばしい匂いを広げながらホットケーキを焼き上げる蓮の周りへと、匂いに釣られた少年たちが集まってきた。
まだ時間のかかるホットケーキを見つめ涎を垂らす子供たちを見て、弥は仕方ないとばかりに乾パンを取り出す。
「ほれ、これでも食って待ってろ」
フルーツを乗せた乾パンを受け取り、必死に食べる少年たち。
食べ合わせが良いか悪いかなど、気にする余裕など無い。
貴重な甘味に頬を緩ませ、一生懸命口を動かす。
「食え食え、食って男は戦えるようになれ、女もいい女になって男どもを振り向かせてやれ」
その必死さを見れば、人によっては心を痛めるかもしれない。
それが良いかは悪いかは分からない。
しかし二人は笑う、軽やかに。
今までも尚、この世界で共に生きていると思っているが故に。
助けはしても……決して同情はしない、憐憫の情は決して抱かないのだ。
「ほら、焼き上がったぞ!」
己もまたほうばりながら、蓮は焼き上がったホットケーキを振舞う。
ほんのりとした甘みを感じる、優しい触感。
焼きたてのホットケーキを熱そうにしながら、嬉しそうに食べる子供たち。
そんな彼らの様子を眺め、二人もまた一息休憩をする。
加工肉の缶詰を奪い合いながら、笑いながら、軽口を重ねながら……。
ふと気づけば末の子供たちも最後のホットケーキを奪い合いながら、やいのやいのと騒いでいるのが目に入る。
そうしているとまるで、自分たちも彼らも変わらないのだと、ふと弥は感じ入るのであった。
「家族っつーもんは一番わかりやすい絆の形だが……ある意味、おれたちは家族みてぇなもんかもしれねぇなぁ」
これまでは、共に生き、共に戦う相棒という認識であった二人。
しかし少年たちを見ていれば、自分たちもまた家族のようなものだと感じるのであった。
「当たり前だろ? 家族は一緒にいるもんだろが……ま、これからも俺が助けてやるよ、相棒?」
パサパサの硬いパンに、脂ぎった冷たい肉。
そんなこの世界の“ご馳走”を食べながら、二人は笑い合う。
「あぁ……これからもよろしくな、相棒」
相棒であり、家族である二人は……共に生き、共に笑う。
これまでも、これからもずっと。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵