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「捕食対象の種別による増殖率の変化とその影響について」

#スペースシップワールド

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#スペースシップワールド


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「よーしよし、大分増えてきたなぁ」
 うぞうぞと蠢く黒いタール状の物体を前に、男はまるでペットに向けるにこやかさで声を掛ける。そうすれば物体はぶるぶると、応えるように全体を震わせ、
「増エタゾー」
 実際に、どこからか声を出して見せた。
「ま、これだけいりゃ十分でしょ。そろそろ帰るから全員船に……ん、近くに人間の軍艦か」
「ニンゲンー、ニンゲン食ベルー。脳ミソ欲シー、チュルチュルー」
「さっき十分食っただろ? 食べ過ぎは体に良くないから、それくらいにしときなさい」
「シトクー」
 メインブリッジのレーダーには、小さな光点が明滅している。小さな船だ。気付かれても問題はないだろうが、男は慎重だった。出発を後回しに、船が通り過ぎるのを待つことにした。
 待つ間、黒い物体の群れは床をずるずると、その見た目にそぐわない速度で這いずり回る。それはあたかも犬猫の遊んでいる姿のようで、男は微笑ましくそれを見つめる。
「ネーネー」
「ん、どした?」
「ヒマー」
「お、じゃあ遊ぶか! 何がしたい?」
「脳ミソ食ベルー」
「おいおい、僕の食べられたら死んじゃうだろー?」
 警報と共に真っ赤な非常灯の騒ぐ中、男は黒い物体と、キャッキャと楽しげに語り合っていた。


『【スペースシップワールド】より、予知を受信致しました』
 女性型のウォーマシン「星天」が、【グリモアベース】に集った猟兵達へ向けて丁寧に頭を下げる。
『崩壊した惑星の残骸が集まる岩礁宙域に、一隻の民間居住船が、不自然に航路を外れて侵入。無数のスペースデブリや岩石により船体を大きく損傷させ、航行能力を失い不時着した模様です』
 そう言って、星天は宙域のホログラムマップを、頭部を覆うヘッドパーツから投影する。マップに映し出された赤い連続した矢印が民間船のとった航路だと言うが、それは明らかに、不自然な軌跡を描いていた。
『これは、銀河帝国の手の者により引き起こされた事象です。敵は船のコントロールを奪い、何らかの目的のためにこの船を、他の宙域より切り離したものと思われます』
 次いで、マップに無數の数字と、離れた場所にもう一つ、船のフレームモデルが表示される。
『……この船には、多くの民間人が生活を営んでいました。敵の目的が何であれ、彼らに危険が及んでいることは間違いないでしょう。幸い、といっては何ですが、現在、この宙域より程近くに、人類側の小型マザーシップが航行中です。皆様には、この船より小型の宇宙船を借り受け、民間船へと接舷し、敵を排除して頂きたいのです』
 暗く装甲の隙間を光らせる星天が、マップに指を走らせる。マザーシップから民間船へ、白い点線が伸びる。
『この宙域のデブリは、常に辺りを飛び交っていて、事前に安全なルートを計算することは困難です。全ては現地に赴いた皆様の、その場の判断にお任せするしかございません。……無責任ではありますが、どうぞ、皆様のお力をお貸し下さいませ』
 星天はもう一度、ゆっくりと頭を下げた。
『暗く冷たい宇宙の中で、寄る辺を失う恐怖を……わたくしは、存じております。ですが皆様ならば、危機に瀕した彼らを救うことが、道標となることが可能であるはずなのです。どうか、一人でも多くの命を、お救い下さいませ』


灰々
 またスペースシップワールドに手を出してみました、灰々(はいばい)と申します。
 何だかシナリオ数の少ない世界ではありますが、段々とフラグメントの種類も増えて賑やかになってきましたね。自分ももっと頑張って、この世界を盛り上げていきたいものです。

 それでは、よろしくお願いします。
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第1章 冒険 『流星群中いざ知れず』

POW   :    小型宇宙船の頑丈さを信じてひた走る

SPD   :    小型宇宙船の操縦テクニックによって乗り切る

WIZ   :    障害物の周期や法則を予想して進む

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アロ・ソロ
キナ臭いというのはこういう状況を示すのだろうなぁ。住人がいる状態で進路を変えさせたならハイジャック?少なくとも時間が経つほど状況が悪くなるのは確かだね。
【SPD】重視
フッ…シューティングゲームで鍛えた操縦テクニックを見るがいい!万能デバイス「ハッキング」で船のコントロール系統を調整、リモコンで「操縦」できるようにしていざスタート。念の為ヴェスパを船外に配置して随行させ避けきれないデブリなんかは「誘導弾」や火器の「一斉発射」で処理して貰おう。それでも手に負えなければUCで破砕なり軌道反らしをー。
リアルシューティング、面白いーねー(上機嫌)



「少なくとも時間が経つほど状況が悪くなるのは確かだね。それじゃー、手っ取り早くいきましょー」
 アロ・ソロは、早速と宇宙船のシステムにハッキングを仕掛けていた。
 狙うのは宇宙船のコントロールシステム。そこを調整し、自らのリモコンと接続、同期させる算段だ。
「ここをこーして、こっちをこーしてー……」
 暫く調整を繰り返してリモコンのボタンをカチカチ動かすと、宇宙船のエンジンが上下に回転し、補助スラスターが淡い光を放って見せた。

「いざ、スタート!」
 アクセルボタンを押すと同時、強力なGを伴って窓外の景色が後ろに飛んだ。
 瞬時に目の前が群青一色に染まる。しかし目を凝らせば、そこかしこに、大小様々な岩石が浮いているのが見えた。
 近づくほどにその密度は増し、高速に飛び交っているのが分かる。
「フッ……シューティングゲームで鍛えた操縦テクニックを見るがいい!」
 Gや衝撃まで感じられるこのリアルシューティングに、アロは上機嫌で自機を操った。
 無数のデブリを縦横無尽に、躱し、すり抜け、広大な宇宙を背景に飛び回る。
「面白いーねー!」
 小さな岩の群れの間を駆け抜けたところで、目の前に巨大な岩石が顔を出す。回避が間に合わない。
「ヴェスパ、頼んだー」
 言葉と同時、随行させた戦闘機が火器を一斉に掃射した。暗闇に光が散って岩石が砕け――しかし、飛散が酷く遅い。
「じゃ、こーしよー」
 アロは操縦席からサイキック能力を発動、隙間をこじ開けると、そこに宇宙船をねじ込んだ。
 ガリガリと嫌な音が座席に響き、すぐに静寂が訪れる。計器に目をやれば、損傷の表示はない。
「ふー、楽しかったー」
 危険地帯を無事に抜け、アロは意気揚々と、不時着した居住船へと航路を取った。

成功 🔵​🔵​🔴​

マリス・ザントマン
SF映画みたいなこの世界にも
一度、彼女を連れてきてあげたかったんだ

マリス「よし。ビリヤードをしよう、マリカちゃん」

デブリにデブリをぶつけて、障害物を排除
そのためにまず、UCコールダイモンで
マリカちゃんの三日月ベッドを手頃なデブリにぶつける

マリカ「なるほど、霊体なら宇宙空間だって平気ね。障害物もすり抜けるだけ」

お姫様風のネグリジェ姿で、サンタ帽みたいな三角ナイトキャップを
かぶった彼女が掃海作業をするのは、見た目にシュールだろうけど
これならエネルギーの無駄も少ない

ボクたちの小型船は、少し離れて見守り
安全を確保してから進むよ

自衛用の火器やシールドくらいはあるよね?
それで対処できるのはするとして



「やっぱり、SF映画みたいな世界だね。連れてきてあげられてよかったよ」
 操縦席から見る宇宙は何処までも広がっていて、星の海と形容するに相応しい情景だった。
 マリス・ザントマンは、親友のその目に景色がよく見えるよう少し身を乗り出しながら、ひとまずエンジンの出力を絞ってデブリ地帯から距離を取る。それからじっくりと、この宙域をどう抜けるか、考えることにした。
 そして周囲を眺める内、マリスは思いつく。
「よし。ビリヤードをしよう、マリカちゃん」
 マリスは船外に、本来の人格であるマリカの霊を召喚する。
「なるほど、霊体なら宇宙空間だって平気ね。障害物もすり抜けるだけ」
 マリスの口でマリカが呟き、その通り、宇宙のマリカは平然と三日月型のベッドを浮遊させて操り始める。
 大きな弧を描いて放たれたベッドが、手近なデブリへと突撃。衝撃で吹き飛んだデブリが別のものへと衝突し、ビリヤードの要領で宙域に穴が空いた。
「うん、これで進めるね。行こうか、マリカちゃん」
 エンジンの出力を上げる。ゆっくりと進み出した宇宙船の前で、マリカの霊は次々とベッドをデブリにぶつけていった。

 やがて半ばまで進んでいくと、飛び交うデブリの量や速度が増していく。どうやら中心辺りが、最も危険な地帯らしい。
「えーと、自衛用の火器は……」
 事前に受けた説明を思い出し、マリスは自動機銃を作動させる。
 その間にも、無数の岩石が宇宙船を襲うように飛来して、ベッドの攻撃をすり抜けた小さいものがシールドにぶつかって嫌な音を響かせた。
「大きいのは、あたしがどかしていくからね」
 致命傷となるような大きいものをベッドが弾き、次に小さいものをマリスが撃ち落としていく。
 そうして丁寧に対処することで、マリスは何とかデブリ地帯を進んでいった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ティオレンシア・シーディア
あたし、このテの物はほっとんど触ったこともないんだけど…それでも動かせるって、凄いわよねぇ。
さぁて、集中集中、と。油断ぶっこいてて爆発四散しました、じゃあ笑い話にもならないタダのバカだものねぇ。

まずは〈暗視〉で〈情報収集〉ねぇ。ある程度デブリの動きの流れを〈見切〉って、出来るだけ最短距離を飛ぶように動くわぁ。
よっぽど危ないのは〈早業〉で回避してみるけど…多少の被弾は覚悟ねぇ。
あたしこういうのの操縦はドシロートもいいとこだものぉ。このさいボコボコになっても墜ちなきゃ勝ち、よねぇ。

※アドリブ掛け合い絡み大歓迎



「あたし、このテの物はほっとんど触ったこともないんだけど……それでも動かせるって、凄いわよねぇ」
 操縦席に腰掛けて、目の前の計器類を眺めながらティオレンシア・シーディアはしみじみと呟いた。
 どうにも複雑そうな見た目をしているが、説明を聞いたところによると操縦自体は全く難しくないらしい。
「さぁて、集中集中」
 余計なことを考えていて爆発四散など、笑い話にもならない。ティオレンシアは一度深呼吸をすると、操縦桿を強く握りしめた。

 宇宙空間は酷く暗い。宇宙船のライトは強力なものだが、それでも暗所がそこかしこに生まれてしまう。
 ティオレンシアは持ち前の暗視能力で、広く宙域を見渡した。
「多少の被弾は覚悟ねぇ」
 岩石などデブリの動きは慣性に従い一定だ。とはいえその軌道が一つでなく、十や百と重なっているのだから難しい。
 しかし暫く情報収集をしていると、ある程度の流れを見切ることは可能だった。
 ティオレンシアは流れの中でも最短距離のものを見極めると、それを辿るように素早く宇宙船を動かした。
 安全な経路は見えている。とはいえ、イレギュラーは当然現れた。
「もう、危ないわねぇ」
 ゆっくりと動く大きな岩の陰から、高速で小さな岩塊が飛来する。ティオレンシアは咄嗟にそれを回避すると、それによって生まれた別の流れを見切るように舵を切る。
 それでも、操縦の不慣れが仇となり、いくつかの被弾を許してしまう。船体に衝撃が走り、シールドのエネルギーが目減りする。
「……このさいボコボコになっても、堕ちなきゃ勝ち、よねぇ」
 ある程度のダメージは覚悟の上で、ティオレンシアは最短距離を選んで飛ぶ。とにかく墜落さえしなければ、目的地に辿り着けさえすればいいのだから。

 やがて無心で操縦を続けると、目の前からデブリが消えていく。どうやら無事に、危険な宙域を抜けることができたようだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

ドミニク・トインビー
敵の妨害でもないデブリならそこまで手間を掛けなくとも大丈夫だろう.小型宇宙船の頑丈さを信じてひた走る.さらに支障が出そうな大きなデブリが有ったら私の宇宙海賊船からの【援護射撃】で砕いてしまおう.



「敵の妨害でもないデブリなら、そこまで手間を掛けなくとも大丈夫だろう」
 操縦桿を操りながら、ドミニク・トインビーは目の前のデブリ地帯を眺めて呟いた。
 どれもこれも攻撃などではなく、ただの障害物。であれば、この小型宇宙船であっても多少は耐えてくれるはずだ。遠く背後には、ドミニクの海賊船も控えている。例えどんなデブリに遭遇しようとも、歩みを止めるには至らない。
 ある程度の観察を終えると、操縦桿に力込める。速度を増し、宇宙を駆ける一筋の光条が、宙域へと突入していった。

 突入したその瞬間から、雨あられと小石程度のデブリがシールドに衝突しては弾かれる。操縦席にもガリガリと、嫌な震動が伝わるが、とても大きなダメージにはなり得ないと判断。ドミニクはただひたすらに、居住船への航路を走る。
「……しかし、流石に多いか」
 キャノピーを通してみる宙域は、埋め尽くすほどのデブリに溢れている。それも進むほどに密度や大きさを増し、無傷で進むルートを探すのは困難に思えた。
 それでもシールドの保つ内は、半ば強引にその中を進む。大きな音や震動が内側に響くが、計器を見ればエネルギーの消費は思ったほどではない。
 ――とはいえ、いま目の前に現れた小さな島ほどの岩石は、どうやっても突破は不可能だろう。
「なら、砕くまでだな。……聞こえるか。船長より通告、目標、デブリ宙域中央部」
 ドミニクは背後の海賊船へと呼びかける。細かな座標を伝え、砲撃の規模を確認すると、衝撃に備えシートに深く腰掛けた。
「砲門開け。――援護射撃、撃て!」
 光の尾を引く砲撃が、音もなく即座に飛来した。過たず着弾、爆砕した岩石の破片が、散弾のごとく襲い来る。
「まあ、問題ないだろう」
 むしろ宇宙船を加速させれば、破片の方から避けていく。猛煙を潜り抜け、ドミニクはさらに宇宙をひた走った。

成功 🔵​🔵​🔴​

櫟・陽里
居住船の人達はどんだけ不安だろうな
行って笑顔でもう大丈夫だって言ってやろうぜ!

仲間の様子を見て
借りた宇宙船操縦に立候補するか
相棒のバイクで行くか決める

乗り心地は保証しないが
速さと障害物回避は自信がある
乗りたい人がいるなら同行しよう
しっかり掴まってろよ!

相棒『ライ』と行くなら身軽さを活かして先行
民間船の周囲を回って状況確認・情報共有
攻撃してこないか?船体の損傷具合は?入り口は?

サイバーアイで現地の状況を解析
今日はまたずいぶんとテクニカルなコースだな
いいね、燃えてきた!
連続小回りターンも難なくこなす
AIには計算できないデブリって必ずあるんだよなぁ
視野を広くとって
宇宙を走り込んできた経験と勘で見切る



「そっか、こんだけ宇宙船で行く奴が多いんなら……」
 櫟・陽里は他の猟兵達の様子を見渡して、目的地へは相棒の『ライ』で向かうことに決めた。
 見たところ、宇宙船はそこまで高性能ではなさそうだ。小回りの利くバイクの方が、何かと動きやすいだろう。
「っしゃ、行くか相棒!」
 陽里はアクセルを開け、宇宙空間へと飛び出していった。

 暗い群青を背景に、デブリ地帯へと辿り着く。ヘルメットを通して辺りに目を向けると、そこには聞いていたとおり、デブリが山と渦巻いていた。
「今日はまた、随分とテクニカルなコースだな」
 慣れた宇宙空間に、乗り慣れた相棒。コンディションは絶好だったが、やはり猟兵が警戒するほどの岩礁帯だ。油断はできない。
 陽里は気を引き締めながらも、心に来るものを感じていた。
「……いいね、燃えてきた!」
 陽里は意気揚々とアクセルを吹かす。そして猛然と、デブリの群れへ飛び込んだ。
 視野を広く取り、より多くのデブリを認識、その動きを経験と勘で予測すると小回りターンで華麗に躱す。
 飛来する小石にこそ気を付けて、大きな岩の流れを読み切りルートを構築。縦横無尽に走り回って、次々にデブリを躱して宙域を駆ける。
「おっと、激しくなってきやがった!」
 楽しげにバイクを操る陽里の先で、デブリ同士が衝突し破片を散らした。飛んだ破片が更にぶつかり、先ほど見た大きな流れは、刻一刻と形を変える。
「こういうの、AIには計算できないデブリだよなぁ」
 それでも陽里の頭には、培った経験がある。様々な情報を感覚的に統合し、臨機応変にこねくり回す。
 破片同士の隙間にバイクをねじ込み、巧みにアクセルとブレーキで急制動。連続するターンが瓦礫の散弾を置き去りにすると、目の前に現れた巨大な岩を急加速しながら駆け上がる。
 そうして飛び出した先に、遠く居住船らしき影が見えた。
「ラストスパート、行くぜぇ!」
 気合い一閃、陽里は最後のコースに挑んでいった。


 白く輝く居住船が、小惑星に頭から突き刺さっている。
 その詳細な様子が分からず、距離を取って様子を見る猟兵達の中、陽里は一歩前に先行した。
「ちょっと見てくる、何か分かったら教えるよ」
 陽里は居住船へと近づき、その周囲をぐるりと回る。反応はない。
「……うーん、通信もなしか」
 この近距離で、何も反応がないのは流石におかしい。攻撃されないだけマシだが、いい状況とは言えないだろう。
「櫟だ。開きそうなハッチを確認、ちょっと弄ってこじ開けりゃ、ここから入れるはずだ。――さっさと行って、笑顔でもう大丈夫だって言ってやろうぜ!」
 中の住人は、どれだけ不安に思っていることだろうか。
 陽里の言葉に、猟兵達は一も二もなく頷いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜乃・瞳
【POW】で判定するのです

私は、天使の棺を使い自家製の機動兵器をまとって宇宙へ飛び出すのですよ

大きなデブリは波動砲やミサイルなんかで吹き飛ばしていくのですよ

対空ファランクス砲、マイクロミサイルポット起動、迎撃開始ですよ

あのサイズなら波動砲チャージ開始、発射なのです。

小さなデブリは機動兵器のシールドの強度を信じて突撃なのです

あの程度ならシールドは抜けないのです。ガンガンいくのですよ
下手に立ち止まらずに一気にこの空域を駆け抜けたほうがきっと被害は少なく済むのです。



「サイバーコネクトシステム《天使の棺》接続なのです」
 異相次元機動兵器《天使の棺》をその身に纏い、夜乃・瞳は宙を行く。マザーシップから離れること数分、目指す宙域へは、思ったよりも早く到着した。
「あの程度なら、シールドは抜けないのです。ガンガンいくのですよ」
 大小様々な宇宙デブリが、遠目には砂塵のように渦を巻いていた。
 だが瞳には、この機動兵器がある。瞳は兵器を手足のように操ると、迷うことなく真っ直ぐに、宙域へと飛び込んでいった。

「対空ファランクス砲、マイクロミサイルポット起動、迎撃開始ですよ」
 鋭い銃火が瞬いた。
 飛来するデブリを次々に、機銃の掃射が撃ち落とす。大きめのデブリにはマイクロミサイルが対応、白い煙が尾を引いて追尾、爆砕する。
 そうして砕け広がった砂利の膜を、シールドに任せるままに突き破る。下手に立ち止まらず、一気に駆け抜けた方がいい。そう瞳は判断していた。
「その方がきっと、被害は少なく済むのです」
 これもシールドの強度を信じるが故。
 瞳は半ば体当たりをするように、デブリの群れへと突撃する。宙域を進むにつれてデブリは大きく、数を増していったが、それでも棺の火器やシールドの前では、どれも小石に過ぎなかった。
 ――ただし、視界を埋めるような巨大なものは話が違う。それは、一つが小さな島ほどはあろうという大きさだった。
「このサイズなら……波動砲、チャージ開始なのです」
 大火力を叩き込み、破壊する。天使の棺が唸りを上げて、膨大なエネルギーを集束、その準備を整える。
「発射なのです」
 次の瞬間、目も眩むような閃光が宙域を照らし、放射されたエネルギーがデブリへと真っ直ぐに突き刺さった。
 次の瞬間に光は晴れ――赤熱する大穴が、デブリの中心に開いていた。
 それを潜って、瞳は進む。救助船の座標へは、あと少しだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

マハティ・キースリング
いつものように物量作戦で船を直接襲わず一隻だけ引き寄せたのは
どういった意図があるのだろうな

塵だけなら容易く感じるが、油断は禁物だな

軍でも、猟兵になってからも
このサイズの操舵経験は何度かある、違和感なく操れる筈だ
操縦がない分、戦闘知識で代用出来ないだろうか?

進路に小型センサーを飛ばし、視界を拡大
サイバーアイで情報を集め周辺の航路図を簡易的に作成・共有
特に危険なデブリ群をマーカーで伝達

私は他の猟兵達の進路を阻害している岩石を破壊しよう
ヴァリアブル・ウェポンの機能選択、火力に一極集中
巨大砲塔を生み出し、艇の兵装に追加

元々備え付けの艦砲と合わせ一斉発射、先制攻撃、破壊工作で道を切り開く

アドリブご自由に



「うん、これなら行けそうだな」
 操縦席のシートに腰掛け、操縦桿を操りながらマハティ・キースリングは確信する。これまで培ってきた操舵経験を、十分に活かせる形式の宇宙船のようだ。
 宇宙船のエンジンをスタートさせ、マハティは正面を見つめる。そして開いたハッチから、勢いよく飛び出していった。

 黒い宇宙を背景に、数え切れないデブリが渦を巻く。さながら砂の竜巻か。縮尺の違う宇宙では、細かな塵の舞うように見えた。
「容易く感じるが、油断は禁物か」
 駆るのは小型の宇宙船だ。下手にダメージを受ければ、どうなってしまうか分からない。
 とりあえずと、マハティは小型のセンサーを進路上に飛ばす。そしてサイバーアイも併せて起動し、周囲の情報を集めていった。
 無数のデブリを認識し、座標やベクトルを計算し、数秒後の位置関係を割り出していく。ある程度の情報が集まると、それを元に周辺の航路図を作成。特に危険な動きをするデブリには特別にマークをし、それと共に仲間へと伝達、共有していった。
 準備は万全。マハティは改めて操縦桿に手を乗せて、徐々に加速しデブリ地帯へと進んでいく。
 作成した航路図にそって船体を動かし、次々にデブリの間をすり抜けていく。認識しづらい小さなものは考慮外だが、一応と搭載されたシールドでも、その程度は防いでくれた。
「……大きなものもかなりあるな」
 見上げるほどに巨大なデブリが、そこかしこに散見される。それを躱すようにと作った航路だが、仲間の猟兵達の中には、それに阻まれているものもいるようだ。
 マハティは改めて航路を計算、それなりに余裕があることを確認すると、備え付けの火器を起動すると同時にユーベルコードを発動した。
 船体上部に、巨大な砲塔が現れる。
「あの辺りか」
 射線上にいくつかの巨大デブリが重なる瞬間を狙い、火力に振った一撃を砲塔から放つ。
 目も眩む砲撃が宙域を染めると同時、音もなく衝撃が走るといくつかのデブリが爆散する。追って火を噴く自動機銃が、その破片を撃ち落としていく。
 続けて一発、もう一発。打つ度に、仲間達の進路は確保され、航路図に空白が増えていく。
 だがそれも、宙域を半ばまで行くと追いつかなくなっていく。
「流石に、他人ばかり気にしていられないか」
 握る操縦桿に意識を集中する。宙域を抜けるまでに機銃の残弾が保つのか、それだけが気がかりだった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『醜き嫉妬の生命体』

POW   :    妬心の暴虐
【対象の優れた部位を狙う触手】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    精巧贋物
合計でレベル㎥までの、実物を模した偽物を作る。造りは荒いが【喉から手が出るほど欲しい他者の所持品】を作った場合のみ極めて精巧になる。
WIZ   :    縋る腕
【醜い羨望】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【粘着性の高いぶよぶよした黒い塊】から、高命中力の【対象の所持品を奪おうとする触手】を飛ばす。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「おいおいおいおい、軍艦から複数の飛翔体? こっちに向かってるって?」
「ジンソクー」
 黒い物体達と戯れながら、男は何気なくレーダーに目をやった。
 そこに映るのは、まさかの情報。考えてもみない事態が起こっていた。
「くっそー、何のためにここに突っ込んだと思ってんだ。気付かれないためだぞ。そもそも僕は、前線に出るタイプじゃないんだから……」
「ジンソクー、イイ判断妬マシイー、左頭頂葉食ベルー」
「あーはいはい。いくらでも食って良いから。……その代わり、全部食べるんだぞ。いいか、絶対に残すなよ?」
「分カッター、ニンゲン食ベテクルー」
 男の言葉に、蠢く黒い物体は喜び勇んでヌルヌルと駆けていく。ブリッジに残った男は一人、ガリガリと苛立たしげに頭を掻いた。
「せめて、報告書だけでも送信しちゃわないとなー。……来るまでに、書き終えられるといいけど」
 こちらに向かっているのが何にせよ、最悪の事態を想定するに越したことはない。男は改めてキーボードに指を置くと、もの凄い速さでキーを打ち込んでいった。


 居住船のハッチをこじ開け、猟兵達は中へと足を踏み入れる。
 エアロックを作動させ、宇宙用のヘルメットを取ったとき――その鼻を、くすぐる臭いがあった。
 猟兵達は早足に、廊下を抜けて市街へと向かう。赤色灯の明かりに照らされた廊下に、無数の足音だけが響き渡る。
 そうして目に入ったのは、想像できた、しかし想像したくなかった光景だった。

 一面に転がるのは、人々の残骸。
 地面に広がる血の海に、老若男女の区別なく、肉片がぷかぷかと浮かんでいる。

 頭部のない死体、足のない死体。内臓だけを失った死体に、背骨が綺麗に抜かれた死体。
 全ての死体が、何処か一部を失っている。大きいものから小さいものまで、選んで切り取られたようにさっぱりと。
 ――そのとき、市街の奥でざわりと何かが動く。

「ニンゲンー、ニンゲンダー。妬マシイー、何カチョウダイー」
 それは甲高い子供のような声で、一斉に、ぶるぶると蠢いた。
ティオレンシア・シーディア
まあ…正直、だろうなぁ、とは思ってたけど。
できれば当たってほしくなかったわねぇ…
で、元凶は多分ブラックタールの出来損ないみたいなアレ、よねぇ。
それじゃ…駆除にかかりましょうか。

アレが何なのかよくわからないし、まずは〈情報収集〉と〈援護射撃〉で見に回るわぁ。頭っぽいところがホントに頭かもわからないものねぇ。
弱点を〈見切〉れたら、〈鎧無視攻撃〉の●封殺を〈スナイパー〉で〈一斉発射〉するわぁ。
●精巧贋物でどんどん武器を増やされたら、多分面白くないことになりそうなのよねぇ。

…多分、そういうふうに作られたんだろうとは思うけど。
放っておく理由、あたしたちにはないのよねぇ。
…ごめんね、は感傷よねぇ、きっと。


櫟・陽里
惨状に思わず舌打ち
ただし空気がある以上まだ生存者の可能性はあると判断
…オーケー、さっさと片付けて生存者を探そう
こういう時は前向きな事だけ口に出す

敵の数は分からねぇが広い場所に出てくる前に先制攻撃したい
…犠牲者を蹴散らしながら戦うなんてしたくない
「ライ」に騎乗し犠牲者を踏まない出来る限りの最速で市街地の奥へ

当たるか効くかは二の次だ
とにかくバイクの高速体当たりで突っ込み敵を蹴散らす

避けられても気にしない
走り回って牽制し群れをなるべくひとまとめにしようと動く
仲間が効率良く攻撃を当てられるようにだ

能力と経験をフル活用して敵の攻撃を避けて見せるし
偽物だとしてもライを扱える奴が他にいるわけないと言い切れる


セルマ・エンフィールド
この船で起きたことは食物連鎖。行儀が悪いとは思いますが、貴方たちを悪と断じるつもりはありません。
ですが、人間が生きていくため……鏖殺します。

マスケット銃による【氷の狙撃手】の射程は現在400m。気付くことも困難な遠距離からの他の猟兵の『援護射撃』を兼ねた『暗殺』で仕留めます。

精巧贋物を使用すれば銃は作ることができるかもしれませんが、この距離で獲物に当てられるのはスコープで補強される『視力』と『スナイパー』としての腕ありきです。当てられるものならどうぞ挑戦してみてはいかがでしょうか。



 じわりじわりと影が広がる。そう見えたのは一瞬で、すぐにそれが何かの生き物であることが分かった。
 黒くドロドロとした、ブラックタールの出来損ない。その群れが、猟兵達ににじり寄る。

「……オーケー、出てくる前に先制攻撃だ。さっさと片づけて、生存者を探そう」
 忌々しげな舌打ちを一度だけ、陽里は「ライ」に跨がった。
 まだ、この船には空気がある。つまり生命維持装置は無事で、生きている人間がいるかもしれないということだ。
 後ろ向きなことは考えない。前向きな言葉だけを口に出し、陽里はアクセルを強く握った。
 足下の犠牲者を蹴散らすことのないよう慎重に、市街地の奥へと向かう。

 リボルバーの装弾を確認し、ティオレンシア・シーディアは遠く路地の向こうに目をやった。よく分からない物体が、黒い水溜まりとなって蠢いている。
「元凶はアレ、よねぇ」
 周囲に散らばる遺体を作った張本人。
 この状況を予想していたとはいえ、できれば当たって欲しくなかった。
「アレ、何なのかしらぁ。頭っぽいところはあるようだけど……」
 それが本当に、頭の役割を持っているのかも分からない。まずは情報収集。どういった生物であるかの分析をするため、ティオレンシアはまず見へと回る。

 セルマ・エンフィールドもまた、スコープ越しに黒い物体を見やる。
「あれが原因ですか」
 部位を失い、殺された住人達。それは、食物連鎖の結果だったのだろうか。
 弱きが奪われ、強きがのさばる。セルマに、それを悪だと断じるつもりはない。食い散らかす行儀の悪さは感じるが、それだけだ。
 しかし、
「人間が生きていくため……鏖殺します」
 より強いものに狩られたとして、文句など言わせない。


 陽里のバイクが唸りを上げて、市街地の道路を駆ける。点在する犠牲者を避けながら、出来る限りの最速で進む。
 黒い物体達は、露骨に反応した。体を持ち上げ、触手を伸ばし、ざわざわと波を打つ。
「ウワーカッコイー! 欲シー!」
 甲高い声が響く。
「避けねえと、潰れちまうぜ!」
 陽里は躊躇わず、群れの中へとバイクで飛び込んだ。ブチブチと、次々に何かが潰れる振動が体を伝う。
「欲しいものを奪う性質、でも、持たされたのかしらねぇ」
 追ってティオレンシアのリボルバーが火を噴いた。
 半ば潰れた物体に、追い打ちを掛けるように叩き込む。弾丸が突き刺さる度にビクビクと末端を震わせて、やがて物体は動かなくなってだらりと広がった。
「ジュウー! カッコイー!」
 その背後に、黒い物体が触手を伸ばす。――しかし次の瞬間、音よりも早く飛来した弾丸が、それを過たず撃ち抜いていた。
 見えないほどに遠距離から、次々に物体へと弾丸が降り注ぐ。
 セルマのスコープの先、他の猟兵達へと腕を伸ばした黒い物体が、ぶちゅ、ぶちゅ、と弾け飛んだ。
「単発では効果が薄い、ですか」
 大口径の弾薬は、確実に物体を撃ち抜く。しかし動きを止められる程ではなく、すぐさま物体は逃げるように物陰へと滑り込んだ。

「強イヨー、妬マシイヨー!」
 陽里のバイクが物体を追い立て、セルマの狙撃地点から見える場所へと誘導していく。
 一所に集まった物体が、わーわーと声を上げてぶるぶる震えた。このまま無傷で、殲滅できるか。――そう思った時、
「作ッター!」
 声を上げると同時、物体の触手に、何かが握られていた。
「おいおい、銃なんて出して気やがった!」
「あれは、バイクねぇ。あれだけ、やたらと精巧なようだけど」
 黒い粘液が形を変えて、無数の武器を作り出す。拳銃に狙撃銃、そしてバイクだ。
 彼らはそれを見せびらかすように、元の持ち主にそれを向け、
「まずいですね、避けて下さい」
 湿った破裂音が、無数に響き渡った。
 粘液の弾が乱れ飛び、バイクがエンジン音を響かせて走り回る。猟兵達は建物の影に飛び込んでそれを躱すが、物体達は構わず楽しげに攻撃を続けた。

「バイクー! カッコイー!」
「……まあ、ライに似ちゃいるが」
 陽里のすぐ脇、カフェのイートインにバイクが突っ込んだ。衝撃に横転し、乗っていた物体が悲鳴を上げて地面に転がる。
「乗りこなせる訳ねえよな。そいつは、俺専用だぜ!」
 手本とばかりに、陽里が道路に飛び出した。同時に何台ものバイクが後を追う。
 建物の間を縫って縦横無尽に、陽里は円を描くように走り回る。経験と能力を活かし、複雑な道を華麗に爆走。それはさながら過激なレースのようで、背後で次々と、衝突音に爆音が響き渡った。
 やがて物体を集めた広場に戻る頃には、陽里の背後には、バイクの姿はもう見当たらなかった。

 セルマはスコープで、その様子を眺めていた。特に隠れることもなく、堂々と手すりに銃身を乗せて。
 その横を、擦過音が通っていった。次々に、黒い物体が雑なシルエットの狙撃銃でセルマを狙うが、そのどれもが、悉く狙いを外している。
「当然ですね。この距離で、腕もなく当てられるはずがありませんから」
 お返しにと引き金を引けば、その瞬間に黒い物体が弾け飛び――そして、弾け飛んだままに、空中で凍り付いた。
 一発。二発。引き金を引く度に、新たなオブジェが出来上がる。
「氷は有効、のようですね」
 彼らの敗因は、高度な技術を模倣しようとし、そして、その熟達に挑んだことだろう。

「これは、面白くないわねぇ」
 ティオレンシアは陰に隠れ、攻撃を躱しながら物体を見る。
 おおよその性質は分かってきた。どうやら、臓器などの明確な弱点はないらしい。代わりに面への攻撃が、彼らに致命傷を与えるようだ。
「それは、得意なのよぉ」
 ティオレンシアは銃弾を一息に装填し、建物の影から躍り出た。
 黒い物体達が銃を構える。――遅い。
 目に映った瞬間に、黒い物体にいくつも穴が空いていた。目も向けず、次の弾を込める。その刹那、一繋ぎの破裂音が響くと同時、薬室は空になって、また別の物体がだらりと溶ける。
「……ごめんね、は感傷よねぇ、きっと」
 彼らの生まれに罪はないかも知れないが、放っておく理由もまた、存在しないのだから。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

アロ・ソロ
おーおー悪趣味だねー。でもって察するにあいつらだよねー元凶。この人達はもう亡くなってるし生き残りも絶望的かなって思うから、完全に自己満足だけどさ…カタキくらいは取るよ。

さてさて、相手の体から何かしら奪い取るってなると自分は攻撃喰らったら終わりじゃない?体のパーツ1個だし?それに人間の身体持ってる猟兵も危なそうだからフォローしていきたいねー。
自分はヴェスパに乗って3次元的に動いてかわしつつ攻撃だねー。にちゃにちゃしてる軟体だけどヴェスパの搭載火器での爆発とかフォースセイバーで焼き斬ったりなら効果ありそうかなー。それで攻めるよ。
あとUC、数字5・5・6の3体で囮と抑えつけををよろしくー。


ドミニク・トインビー
ブラックタールに似た不定形の生命体か、なら打撃や斬撃は通じにくいと判断し、熱線銃で距離を取りながら応戦する
出来れば遮蔽物を使って体を隠しながら撃ちたいが、手頃な物が無ければ仕方がない、死体を盾にしてしまおう。死体の損傷の仕方から見てこいつらは既に好みの部分をいただいた様子、少しは躊躇してくれると仏さんを盾に使う罪悪感が紛れるのだが



「おーおー悪趣味だねー」
 浮遊しながらアロ・ソロは、眼下に無数の死体を眺める。
「あれ、自分は攻撃喰らったら終わりじゃない?」
 頭だけのアロの、体のパーツは一つだけ。奪われると言うことは、イコール、ゲームオーバーではなかろうか。
 とはいえ、生身の仲間も危なそうだ。アロはヴェスパを呼び出すと、自らの保護と仲間のフォローを行うために、操縦席へと乗り込んだ。
「生き残りも絶望的っぽいし……でも、カタキくらいは取るよ」
 呟きと共に操縦桿へと念動力を飛ばし、アロは空中へ飛び立っていった。

 ブラックタールに似た、不定形の生命体。その見た目を信じれば、打撃や斬撃は通じにくいはず。
 ドミニク・トインビーは熱線銃を取り出しながら、近く植え込みの陰へと身を隠す。
「……ここにも仏さんか」
 そばに転がる死体を、気にしている時間はない。とはいえ視界に入れば自然と目が向き、その女性は喉を綺麗に抉られていることに気が付いた。
「そうか、好みの部分だけを奪うのか」
 であれば、敵は最早、この辺りの死体には興味がないのかもしれない。
 盾として使う、という方法も取らざるを得ないことがあれば、それが上手く敵の殲滅に作用するなら、罪悪感も少しは紛れるだろうか。


 粘ついた音を響かせながら、滑るように黒い物体は移動する。路地から溢れ出したそれらに向けて、ドミニクは熱線銃を構えた。
 目にも止まらない連続射撃。幾条もの光が迸り、物体は悲鳴を上げてそれを浴びた。
 ――そして次の瞬間、ドミニクの側に同じく熱線が着弾する。赤熱し煙を上げる弾痕を横目に、ドミニクは咄嗟に体を隠した。
「コピーか、厄介だな」
「ドミニクさん、フォローしますよー」
 アロは空中から、ヴェスパを駆って銃をコピーした集団に狙いを付ける。
 搭載火器が火を噴いて、無数の爆撃が列をなして襲いかかった。黒い粘液が飛び散って、甲高い呻きが響き渡る。
 そのままアロは機首を上げ、空中で半回転すると再び攻撃の態勢に入ろうとし――
「あれ、これもコピーされるのかー」
 こちらに向かう、数機のヴェスパを視認した。
「飛行機カッコイー! ボクモ乗ルー!」
 操縦席で諸手を挙げて、テンション高く物体は蠢く。
 ヴェスパの群れが空中で錐もみ、無数の銃口が火線を放つ。アロは三次元的に機体を操り、市街地の上空を飛び回りながら次々と攻撃を躱していった。
「ドッグファイトか、望むところだよー」
 一瞬のホバリングから機首を回し、急激な制動で他を引き離しながら、アロは空中に三体のゲームキャラクターを召喚する。額に五と六の刻印されたキャラ達が、飛びかかるように偽のヴェスパへ掴みかかった。そして姿勢を崩した機体へ向け、アロはすれ違いざまにフォースセイバーを叩き込んだ。
「まだまだ、腕が足りないねー」
 まるで本物のように爆発し、雨のように破片をまき散らす様を背後に、アロは次の機体へ照準を合わせた。

 空中で戦闘機が撃ち合う度、地上の黒い物体達が歓声に湧いた。まるで観客の様相だ。
「子供のような奴らだな」
 その背に向けて、ドミニクは熱線銃の引き金を引く。ジュッ、と粘性の音を立て、黒い物体に大きな穴が空いた。
「痛イーヤメロー! 腕ヨコセー!」
 その瞬間、物体達が一斉にこちらを向いた。そして手に手に出来損ないの銃を持ち、その銃口をもこちらに向ける。
 次々に熱線が、植え込みのレンガを焼き溶かしていく。
 貫通するのも時間の問題だ。ドミニクは射撃の途切れる瞬間を見計らい、連射しながら道路に飛び出す。背後の地面が弾け飛び、咄嗟に蹴り上げた瓦礫が焼ける。それでも手数はあちらが上だ。ドミニクは椅子の上で事切れた死体の陰に隠れると、数発の熱線を凌いで次へと向かう。
 こちらの攻撃もしっかりと効いている。しかし、敵の数はかなりのものだ。飽和攻撃にも似た弾幕を、建物の陰に飛び込んでドミニクは何とか躱した。
「狙いが甘いのが、救いだな」
 所詮は武器をコピーしたに過ぎず、それを扱う能力を有してはいないのだろう。
 応戦しながら、ドミニクは次々に遮蔽を経由し移動する。その熱線は過たず黒い物体を撃ち抜いて、確実に数を減らしていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

クネウス・ウィギンシティ
アドリブ&絡み歓迎

「面制圧が有効ならば、コイツの出番ですね」
「援護します。お任せを」

以下で攻撃します。
・【SPD】
・攻撃方針:アームドフォート二砲、マシンガンの連続射撃で敵を掃討する。また、ドローンとフォースブレードを即席爆弾に改造しプレゼントする。
・技能:(UC)一斉発射、スナイパー、援護射撃、2回攻撃、クイックドロウ
、零距離射撃。(即席装備爆弾作成)メカニック、破壊工作、武器改造、防具改造

(UC)
「CODE:FORTUNA。制圧射撃を開始します」

(即席装備爆弾)
「ドローンとフォースブレードの出力リミッターを解除」
「欲しいのであれば、プレゼントです。但し、爆発しますが」



 砲火の閃光が市街を染める。連なる炸裂音に悲鳴が混ざり、黒い粘液が飛び散って地面のシミと化した。
 くゆる硝煙を続く銃撃で掻き消しながら、クネウス・ウィギンシティは街を駆ける。
「なるほど、確かに面制圧は有効のようですね」
 マシンガンの放つ雨のような弾丸が、また黒い物体を一つ蜂の巣にする。それでもまだビクビクと蠢く物体も、追って砲撃に吹き飛ばされて動かなくなった。
 クネウスは他の猟兵を援護するように、集団で移動する物体に狙いを付ける。クネウスの目に敵の動きは、包囲を行う際のそれに見えた。
「知性がないわけではない、ですか」
 確かに人語を話す以上、多少の知恵は回るのだろう。ビルの陰に自らを隠し、背後から触手を伸ばす。
 クネウスはそれを追って、上空からアームドフォートを撃ち下ろした。

「デッカイノー、作ッター!」
 やがてクネウスの姿が認識されたのか、敵の手には、いつの間にか真っ黒な銃砲が握られていた。
 物体達はそれを見せびらかすように、わざわざ建物の陰から這い出てそれを構える。次の瞬間、下手な鉄砲が雨あられとクネウスに降り注いだ。
 咄嗟にクネウスは大きく飛び退き、瓦礫を盾に身を隠す。
「避ケルナー、逃ゲ足ヨコセー!」
 遠く甲高い声が響く。
 その嫉妬に満ちた叫びに、クネウスは少し考え、敢えて答えることにした。
「足は難しいですが、欲しいのであれば、何かを差し上げましょうか?」
「エー! ホントー?」
 敵の攻撃はピタリと止んで、キャーキャーと、黄色い声が無数に上がる。
「ええ、こんなものは如何です?」
 クネウスは瓦礫に背を預けたまま、ドローンを飛び立たせた。そのまま物体達の元へ、真っ直ぐに宙を滑らせる。
「ワーワー、カッコイー!」
 物体達は我先にと、ドローンへと群がっていく。高度を下げてやれば、ぐんと伸びた触手がそれを掴んで引きずり下ろした。
 ブレードが悲鳴を上げて、ガリガリと地面を擦る。――そして同時に、その動力までもが異音を発し始めた。
「どうぞ、プレゼントです。……但し、爆発しますが」
 出力リミッターを解除された動力が、限界を超えて回転数を上げていく。過負荷に機器が一気にショート、制御を失い暴れ回るエネルギーが、やがて全てを焼き切って。
 ドローンはまるで爆弾のように、黒い物体達の中心で爆炎を上げて砕け散った。
 それに併せてクネウスが、火砲を構えて躍り出る。
「――CODE:FORTUNA。制圧射撃を開始します」
 爆発に蠢く物体達の中心めがけ、超高速の連続射撃を叩き込む。
 それはまさしく全火力。過剰なまでの砲撃銃撃が、一所に集まった物体達をミンチへと変えていった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『帝国エージェント』

POW   :    ゴールドアイ
【金色の瞳】に覚醒して【歴戦の白兵戦型ウォーマシン】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD   :    仕込み帽子
自身が装備する【鋭利な刃を仕込んだ帽子】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    ハッキング
対象のユーベルコードに対し【電脳魔術のハッキング】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠グロリア・グルッグです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 男は一人、メインブリッジで頭を抱える。
「捕食対象の種別による増殖率の――って、全然纏まってないのにさぁ!」
 モニタに並ぶ監視カメラの映像は、次々に嫉妬の生命体が殺されていく様を映し出していた。
「ああもういいや! 送信送信!」
 バンバンと半ば自暴自棄になって、男は叩きつけるようにエンターキーを連打する。中途半端な情報を送ってしまうのは、エージェントとしての沽券に関わるが仕方ない。
 何せ、嫉妬達を殺した何者かの群れが、次の獲物を探すようにこちらへと向かっているのだ。
「やばいやばいやばい……だから僕はそういうタイプじゃないんだって……!」
 コンピュータに残った自分の痕跡を跡形もなく消し、男は急いで立ち上がる。
 最早幾ばくの猶予もない。早足にブリッジを後に、見つからないよう脱出のため格納庫へと――
「って、もう来てる! ちょ、ちょっと待って待って待って」
 通路の向こう、いくつもの足音が響いた。
 男は咄嗟に横道へと飛び込んだ。しかし姿を見られたらしく、背後から猛烈に足音が追尾してくる。
 頭の中に、船の図面を思い出す。この道は確か、船の浄水施設に繋がっていたはずだ。そこから整備用の連絡路に入れば、格納庫へと辿り着けるはず。
「よっし行ける、行けるぞ僕! サンプル持ち帰って、今度こそ有給とってやる……!」
 希望を胸に、男は全力で通路を駆け抜けていった。

 ――複雑に折れ曲がる狭い通路の中、猟兵達と帝国エージェントの、決死の追いかけっこが、いま始まる。
セルマ・エンフィールド
さて、まずは追いつかないことには話になりませんね。

【氷の狙撃手】の射程は500m弱。この折れ曲がった通路ではその全てを活かすことはできませんが……姿さえ見えれば、そこは射程です。

急ぎ敵を追い、スコープの補助による視力で敵の姿を捉え次第、視界から消える前にクイックドロウで狙い撃ちます。

仕込み帽子の妨害などがあれば針の穴を通すような狙撃になりますが、やってみせましょう。
仕込み帽子の動きを見切り、スナイパーで敵の足元を狙い【氷の狙撃手】、使う弾丸は【スケートリンク・バレット】を。凍結し極限まで摩擦を減らされた床で、果たして走れるでしょうか?

足を止めさせ追いついたなら、ここからが勝負です。


チトセ・シロガネ
【WIZ】
いきなり召喚されてしまったけれど、【追跡】ならお任せヨ。
まずは【情報収集】で船の構造を把握して
エージェントサンを【ダッシュ】を使って最短距離で追いかけるヨ!
あと、足止めをしたいから【スライディング】でヤツの進路を妨害してやるネ!
うまく転ばせられたら他の猟兵にオマカセ!ヨ!

ヤツのユーベルコード『ハッキング』が厄介ネ。
ヤツが『ハッキング』を使ってくるなら
電脳内で【光輝障壁】をぶつけて対抗ネ。
大丈夫ヨ! 私、【見切り】と【早業】による【ハッキング】には自信があるヨ。



 角を曲がったその瞬間、遠くに見えた帝国エージェントの背に、セルマ・エンフィールドは狙いを付けた。スコープを覗き込み、刹那に弾道を計算、銃口を調整して引き金を引く。
 音速を超える弾丸は――しかし服の裾を千切るに留まった。
「やはり、この地形では射程は活かせませんか」
 敵の足もかなりのものだ。折れ曲がった通路を速度を落とすことなく走り抜け、セルマの凶弾から逃れていた。
「ユー、惜しかったヨ! エージェントサンもなかなかやるネ」
 弾丸の後を追うように、チトセ・シロガネが通路を走る。舞う布片の落ちるを追い抜きながら、頭の中にルートを構築する。
「追跡ならお任せヨ!」
 エージェントの動きを見るに、向かう場所は浄水施設。そしてその先の格納庫か。
 チトセは身を低く、強烈に壁を蹴って方向転換。より加速し、エージェントへと迫っていく。
 敵の姿が徐々に近く、明確にその背が見え始める。チトセの後を追って走るセルマが、スコープ越しに姿を捉えた。
「そこは射程です。逃がしません」
「あ痛ーっ! ちょっ、銃は痛いでしょ!」
 過たず弾丸が敵の背に突き刺さる。衝撃に体勢を崩しながらも、エージェントはそのまま速度を落とさず背後に向けて帽子を投げた。
 帽子は空中で無数に増殖。同時に、仕込まれた刃がつばの端から飛び出し、殺意の籠もる回転を始めた。
「撃ってくるのが悪いんだからな!」
 言葉を吐き捨て、エージェントが通路の奥へと逃げていく。後に残った帽子は、まるで意思を持っているかのように猟兵達へと襲いかかった。
「ワオ、危ないネ!」
 眼前に迫った帽子を身を反らしながら咄嗟に蹴り上げ、続けてチトセは刀を振るった。飛び交う帽子の動きは複雑だったが、チトセは即座にそれを見切ると凶悪に回転する刃を躱しながら斬り払う。
 動き回る帽子が、チトセの動きに連携を乱した。その瞬間。
「……針の穴を通すようですが」
 セルマの目に一本の道が見えた。銃を構え、スコープを覗く。マズルの先は、エージェントの足下を向いていた。
 込めるのはスケートリンク・バレット。足下しか狙えないこの瞬間、最も最適なものを選び出し。
 引き金を引いた。
 発射された弾丸は、まるで帽子の避けるを分かっていたかのように空を切り、
「ハッキーング!」
 しかしほぼ同時、エージェントの電脳魔術が弾丸へと叩き込まれその力を霧散させようと――
「させないヨ!」
 するだろうという敵の動きを見ていたチトセが、さらに同時に光の障壁を作り出す。
 そして魔術が障壁へとぶつかり互いを打ち消し合うその中を、氷の弾丸が突き抜けた。
「嘘だろ!」
 地面に着弾。その瞬間、円状に冷気が広がり金属の床を凍り付かせる。まさにスケートリンクと化したその様相、エージェントの足が次の一歩を踏み出したとき、そこに摩擦は起こらなかった。
「果たして、その床を走れますか?」
 エージェントが大きくバランスを崩す。
「なんのおおお!」
 だが、彼は根性で耐えた。
 ぶれた重心に逆らわず体を回転させ、倒れると共に腕を地面に叩きつけて跳ね上がる。そして次の一歩は正確に、垂直に地面に振り下ろされて。
「足下がお留守ネー!」
 そこにエージェントの動きと共に鈍った帽子の隙を突き、氷の上を滑ったチトセのスライディングが、強烈に軸足を払っていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アロ・ソロ
ふーん、これだけの事を引き起こしておいて、首謀者が無事逃げおおせるなーんてのはムシが良すぎやしないかなー?オトシマエはつけてもらいましょー。

直接追いかけるのはそりゃ必要だけど、通路が入り組んでると取り逃がしかねないよね。
電気がついてて警報が鳴ってる。なら船のシステムは生きてるはずだねー?ブリッジに向かって船の防衛システムをハックして掌握して味方猟兵の援護しようかな。船の図面データがあれば端末とか持ってる味方に送信、カメラで敵見つけられたら位置情報都度共有と防護シャッターとかあれば移動阻害とかね。生存者も、見つけられるかも?
一応UCを数字5,6,6の3体で追手にはしとこう。プレッシャーかけるよ。


ティオレンシア・シーディア
んー…ちょっとまずいわねぇ。
足止めか行きがけの駄賃かは分からないけど、浄水施設の爆破くらいしても不思議ないわよねぇ、相手。
あたし船の構造なんて全然知らないけど、最悪水没なんてことになったらあたしたちタダじゃ済まないんじゃないかしらぁ?

余計な小細工させたくないし、〇ダッシュで一気に追いつくわぁ。
接近戦はあんまり得意じゃないんだけど、仕方ないわよねぇ。
〇クイックドロウからの●封殺を〇先制攻撃の〇鎧無視攻撃で撃ち込むわぁ。
機械だからよくわかんないけど、急所っぽいとこに〇スナイパーの〇一斉発射。
〇早業でリロードからの〇2回攻撃を叩き込むわぁ。
●仕込み帽子は軌道を〇見切って●鏖殺で撃ち落とすわねぇ。


クネウス・ウィギンシティ
アドリブ&絡み歓迎

「そのユーベルコード、防がせて頂きます」

【POW】
技能:(UC:対機械弱点指摘)メカニック、ハッキング。(通常攻撃)スナイパー

(対 POW●ゴールドアイ)
「歴戦の白兵戦型ウォーマシンに変身、つまりは『借り物』の身体に変身して戦う以上、動きだけは格段に良くなるが『状況判断力』は本人のままの様子」

(対SPD ●仕込み帽子)
「念力で全てばらばらに操作する『並列処理』は見事ですが、『本体の動きは鈍く』なりますね」

(対WIZ ●ハッキング)
「事前にそれを見ていれば成功率が上がるそうですが、『このユーベルコードは初見』かつ『ハッキングであれば勝負』しましょう」

「後は任せました、皆様」


櫟・陽里
バイクが入れる道なら騎乗で追跡
入れないなら走って追う
真っ正直に相手の通った道を辿る担当
後ろからエンジン音に追われたら敵も焦ってミスが出るだろ

この宇宙では1人見逃しゃ代償は次の船丸ごと一隻になりかねない
絶対に逃がさねぇ、ここで倒す!

ヘルメットで通信はできるし
サイバーアイで地形解析ができる
自分が通ったルートの情報は提供するから
仲間と連携できたらいいと思う

見える範囲まで追いつけたら拳銃で攻撃
足元を重点的に狙いたい
更に接近できるなら鋼糸で捕縛を狙う

敵の攻撃はバイクを割り込ませて庇う
バイクは直せばいい、人命にはかえられない
もしくはナノマシンで皮膚を硬くして…こっちは限度があるけどな

で?この船に生存者は?



「ごぶぉっ!」
 顔面から地面に激突し、エージェントは妙な声を上げて氷の上を滑った。
 ティオレンシア・シーディアはこのチャンスを逃すまいと、ダッシュで一気に駆け寄って、拳銃の先をエージェントに突きつける。走りながら同時に発砲。コンマ秒の世界で連続して撃ち放たれた弾丸が、転がるエージェントに突き刺さる。
 頭に胸、腹部、諸々の関節。急所らしき場所に弾が衝突する度に、エージェントはびくびくと体を震わせた。
「あ痛たたたー!」
「あらぁ、やっぱり人間とは急所が違うのかしら」
 声は上げども、効果の程は薄いらしい。
 単純に、もっと叩き込まねばならないか。機械のことはよく分からないながらも、ティオレンシアは即座の判断で再び銃の引き金を引いた。
「この、黙ってれば何度も何度も!」
 その背後に、無数の帽子が迫る。エージェントの怒りに併せて動きが戻り、高速に回転する刃が空気を斬り裂いた。凶悪な音を立て、縦横無尽に通路を飛び交う。
「――解析完了。そのユーベルコード、防がせて頂きます」
 そのとき、クネウス・ウィギンシティの声が響いた。
 先ほどからの帽子の挙動と、それに伴うエージェントの状況。照らして合わせ、クネウスの中に確信が生まれる。
「念力で全てばらばらに操作する『並列処理』は見事ですが……」
 エージェントに向けられたその言葉には、ユーベルコードの力が宿る。
「『本体の動きは鈍く』なりますね。逆もまた然り、でしょうか」
 言い放つと共に、クネウスは武器を構える。
 狙撃に特化したアームドフォート。その銃口が向いたとき、エージェントはぎょっとし慌てて射線から逃れようとした。
 その瞬間。
「確かに、鈍くなるわねぇ」
 ティオレンシアは背後を振り返ると同時、帽子の動きが直線的になったのを視認すると、軌道を完全に見切り――神速のリロードを挟んだファニングショットが、瞬時に複数の対象を撃ち抜いた。
 銃弾が帽子の刃を砕き、弾かれた帽子同士がぶつかって互いを斬り裂く。
「やはり思った通りですね。『並列処理』には、限界がある」
 クネウスは過たず、エージェントの動きとの連動性を突きつける。そして広がるのはユーベルコードの無効化空間。
「指定領域における限定無効化を開始します」
 帽子が一斉に動きを止めて、消えていく。
「ええっ、それ卑怯でしょ! ズルだズル!」
「それ、あなたが言うのぉ?」
 ティオレンシアの拳銃が火を噴く度、エージェントは地面を転がってそれを躱す。そこにクネウスが砲撃を撃ち込むと、炸裂した床に巻き込まれたエージェントの体が吹き飛ばされた。
「これ、あんまり使いたくないんだけどなぁ!」
 浮き上がるエージェントの瞳が、突如金色に輝いた。次の瞬間、爆発するように膨れ上がった気配の中で、エージェントの体が暴力的に置き換わる。
 咆哮が上がった。
 華奢だった姿を歴戦のウォーマシンへと変貌させ、エージェントは猟兵達を睨み付ける。咄嗟にティオレンシアとクネウスが銃撃を放つも、エージェントは腕を振るってそれを弾き飛ばし、二人へと飛びかかった。
「させるかよ!」
 響くの猛々しいエンジン音。帽子の動きが止まったこの時に、櫟・陽里は通路を爆走、二人の間にバイクを滑り込ませた。
 金属がぶつかり合い、轟音が響く。あまりの膂力に浮き上がったバイクを潜って躱し、陽里は構えた拳銃で足下を撃った。
 三つの銃撃が一斉に襲いかかる。エージェントはそれを嫌がるように一歩退くと、銃弾をはじき返しながら踵を返して駆け出した。
「三人は無理!」
 ドスドスドスと、巨体となったエージェントは音を立て、しかし途轍もない速度でこの場を離れていく。
「絶対に逃がさねぇ、ここで倒す!」
 陽里は飛ばされたバイクに急いで駆け寄り、引き起こすと同時にひらりと跨がり、アクセルを軽く回す。
 エンジンが唸りを上げた。どうやら大きく壊れてはいないらしい。
「悪いな、もうちょい頑張ってくれ!」
 もしあれを逃がしてしまえば、この船のみならず、どれだけの被害をまき散らすか分からない。
 陽里は全力で速度を上げ、通路をひた走った。
「なあ、この先どうなってるっ?」
『オッケー、船内の地図が見つかったから、送るよー』
 ブリッジでシステムを漁っているアロ・ソロから、陽里のサイバーアイへと地形データが送られる。
『カメラに敵の位置も映ってるから、それも一緒にどーぞー』
「助かる!」
 如何に複雑な通路でも、先が分かっていればどうということはない。陽里はテクニックを駆使して、出来る限りの速度でエージェントを追った。

「出来るだけ、直線がいいよねー」
 アロは赤色灯の照らす中、ハックした端末に向かい船のシステムを精査した。
「うん、やっぱりあった」
 浄水施設に続いている通路だからだろう、水密扉が短い間隔で設置してあるようだ。そしてそれは、この端末からも遠隔で操作が可能だった。
 アロはエージェントの位置を監視カメラで確認すると、先回りするようにいくつかの扉を閉めて回った。
 直線に誘導することで、陽里の追跡を少しでも容易にするためだ。
『ねぇ、浄水施設を爆破されたりしたら、あたしたちタダじゃ済まないんじゃないかしらぁ』
「そうだねー、結構な量の水があるみたいだからー……船底は全滅かもー」
『船底というと、市街地ですか。それはまずいですね』
 エージェントの目的は、この船からの脱出だろう。ならば足止めか、行きがけの駄賃として、それくらいのことをしても不思議ではない。ティオレンシアとクネウスの不安も当然で、アロはシステムからそれを回避する術を探る。
「んー、水密扉がいっぱいあるからー」
 それはまるでパズルゲーム。扉の組み合わせと通路の流れで、影響のない部分に大量の水を逃がすには……。
 アロは楽しげに、次々にシステムを弄っていく。画面の向こうではエージェントが、直線へと躍り出ていた。

「よっし、もう少し……!」
 陽里はアクセルを思い切り回す。唸りを上げて加速するのは、遠く突き当たりの見えないほどの長い直線に達したからだ。
 エージェントの背中が、見る間に大きくなる。
「お前らも行け!」
 陽里はバイクにしがみついていた、アロのゲームキャラクターを投げ放つ。五と六を刻印された三体が、通路に広がりバイクに併走した。
「乗り物は反則だっての!」
 幾度目かの不満を叫び、エージェントは懐から新たな帽子を展開する。
「こんなもん!」
 陽里の体内で、ナノマシンが活性化して皮膚を硬化。そのまま帽子の群れへと突っ込んだ。
 ガリガリと嫌な音を立てて刃が皮膚の表面を撫で、陽里の背に嫌な汗が流れる。だが構わず、陽里は拳銃でエージェントの足を撃つ。
 僅かにエージェントが体勢を崩した。そこに三体のキャラクターが飛びかかってしがみつく。
「やめろぉっ!」
 エージェントの動きが鈍くなる。そこに陽里がすれ違いざま鋼糸を放ち、敵の体に絡ませる。
 エージェントの足が止まった。今の間に、他の猟兵も追いついてくるはずだ。


「なあアロ君。そこから、生存者は見つけられないか?」
 バイクでエージェントを追いながら、陽里は通信機に向けて尋ねる。
『自分もそれ探してたとこー。で、ここにある建物にー』
 サイバーアイの中で、地図がぐるりと回ってある地点を指し示す。タウンホール。広めの講堂を持った、公的な施設だ。
『何とか逃げ込んでる人達がいるみたいだよー』
「……そうか!」
 大きな被害が出てしまったことは確実だが、それでも、希望が潰えたわけではない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

チトセ・シロガネ
もう、無駄な抵抗はノンノン、ネ。
エージェントサン、オカクゴするヨ。

まずは【ダッシュ】と【追跡】で追いつくよ。
その間にフォースセイバーとサムライブレイドの二つを合体させてボクの武器の【真の姿】をお見せするヨ!

ユーベルコードを確実にするために
【残像】でフェイントをかけつつ、
【早業】と【見切り】でタイミングを図り、
【勇気】で踏み込んで【光輝一閃】で一刀両断するヨ。
外したとしても二の太刀で【2回攻撃】でもう一度トライするネ。

そのサンプルは危険ヨ。残念だけどエージェントサンごとスラッシュさせてもらうネ。

船の生存者は他の猟兵サンにおまかせするヨ。
私のお仕事はここでエンド、ネ。


クネウス・ウィギンシティ
アドリブ&絡み歓迎

「足が止まった……コイツの出番ですね」

【SPD】
準備:偵察用飛行ドローンを先に向かわせます。
方針:エージェントに遂に追いついたようです。視認出来たタイミングでアームドフォートで狙撃。
技能:(ドローン)メカニック。(UC)視力、スナイパー

「CODE:ARTEMIS。これで終わらせます」

敵を倒した後に、もし余裕があればこれまで依頼に参加した猟兵達(指定なし)と共にタウンホールへ生存者救出に向かいます。

これまでに色々と無茶をした猟兵達です、きっとどうにかなるでしょう。


櫟・陽里
サンキュー、アロ君デキる奴!今度何か奢る!
生存者の情報に力が湧いてくる

とにかく敵を逃がさない事に集中
余裕があるならもう何重か鋼糸を追加し仲間を待つ
情けねぇ不満ばっか口にする敵を睨む
自分がやった事…分かってんだろうな
誰かに指示された下っ端だとしても容赦はしねぇ
実行したのはお前だ、責任取らせるぜ

お前の自慢はその電脳(アタマ)か?
なら…それをいただこうか
バイク整備ついでのメカニックバイト経験から
CPUの位置を予想し何箇所か打ち抜く
命中重視

確実に終わりを見届ける


さぁ生存者探しだ
タウンホールだけじゃなく街中全部!
クローゼットに子供だけ隠した親だっているかもだろ
今度こそ笑顔でもう大丈夫って言ってやろうぜ!



「自分がやった事……分かってんだろうな」
 陽里は目に怒りを湛え、エージェントを睨み付ける。
 何も戻ってこないのだとしても、責任を取らせるべく。陽里の鋼糸が更に幾重に、エージェントへと巻き付いた。
 しかし膨れ上がったエージェントのパワーに、鋼糸がミシミシと音を立てる。
「長くは止めてられねぇか……!」
「僕だって、こんなところでやられるわけに行かないんだよぉ!」
 必死に鋼糸を手繰る陽里だが、徐々に引き摺られていく。破られるのも時間の問題だった。

「チトセさん、次を左に!」
「了解ネ!」
 クネウスの操るドローンに付いて、チトセは風のように通路を駆ける。クネウスはより後方から、狙撃の体勢を整えながら後を追う。
 ――長い通路をひた走り、いくつもの角を曲がって。
「見えたネ」
 ようやくチトセの目に、遠くエージェントの巨体が映る。
 チトセは立ち止まることなくフォースセイバーとサムライブレイドを手にすると、その二つを合体させた。それこそが、彼女の武器の真の姿。
「ふおおおおお!」
「急いでくれ! もうもたねえ!」
「もう、無駄な抵抗はノンノン、ネ」
 エージェントの呻きにブチブチと、鋼糸の破断する音が被った。直後、足下に飛び込んだチトセの一刀が、敵の膝を狙って翻る。
 硬質化した体表に、しかし刃が突き刺さり、通り抜ける。後から青白い液体が傷口から噴き出した。
 ――それと同時に鋼糸が弾け飛ぶ。
 千切れた糸を振り回し、エージェントの拳がチトセを襲った。
「させません」
 クネウスのアームドフォートが火を噴き、放たれた砲撃がエージェントの後頭部を掠め、続けて第二射が二の腕に直撃する。
 そのままクネウスは間髪入れず、次々と引き金を引いた。
「いい加減、痛いっての!」
 エージェントが叫ぶと、通路に落ちていた帽子が再び浮かび、無数の複製が瞬時に展開、クネウスに襲いかかる――
「それ、集中しなきゃいけないんデショ?」
 振り向こうとしたエージェントの鼻面に、その体を駆け上ってチトセが爪先を叩き込む。
 ダメージは与えられずとも、視界を奪い、意識を逸らす。
「いい的ですね」
 そして動きの鈍った帽子を、クネウスは一息に撃ち落とした。狙撃は帽子を貫通し、次々に複製が消えていく。
「この、邪魔だあ!」
 エージェントがチトセの足を掴み、投げ飛ばそうと振りかぶり――しかし腕が空を切った。
「それ、残像だヨ」
 緩急の付いた動きに残像が生まれ、エージェントを翻弄すると、
「お前を倒して、早く生存者を助けに行かなきゃいけねぇんだ。だからその自慢の電脳(アタマ)……頂くぜ」
 その隙に潜り込むように、陽里が拳銃で頭部を狙う。
 メカニックのバイト経験が活きた。陽里は観察する内に、エージェントのCPUの位置に当たりを付けている。
 視界は良好。集中は深く、陽里は引き金を引く。
「な、がっ……!」
 ユーベルコードの力を纏った至近距離からの弾丸が、いくつかエージェントに突き刺さった。その巨体がびくりと震え、不自然に金色の瞳が明滅する。
「――CODE:ARTEMIS」
 その決定的な隙を、ドローンの目は見逃さなかった。的確に頭部をロック、クネウスは引き金に指を掛け、
「今ネ」
 同時にチトセの光刃が、刹那に出力を最大に、星の如き光を放つ。
「クソおおおお!」
 エージェントが苦し紛れに両腕を薙ぎ払う。暴風を伴う強烈な一撃は、当たれば体を砕くだろう勢いで。
 チトセはしかし、大きく一歩を踏み込んだ。頭上を通る風に、吹き飛ばされそうになるのをしっかりと耐え。
「汝を光の刃にて両断せん――エージェントサン、オカクゴするヨ」
 駆け抜けるように、光の刃が閃いた。
「これで、終わりです」
 そしてクネウスの狙撃が、最後に過たず、頭部を貫いた。

「そ、んな……」
「自業自得だぜ、あの世で後悔するんだな」
 袈裟懸けに半ば中心まで斬り裂かれ、頭部にいくつも大穴を開けて、エージェントはようやく崩れ落ちた。
 青白い体液が泉のように広がって、その命の終わりを示しているようだった。
「ン? この容器は……サンプル?」
 懐から転がり落ちた円筒形の容器を、チトセが拾い上げる。そのガラス部分をじっと見れば、中で黒い粘液が蠢いているのが分かった。
「なるほど、あの物体の一部ですか。それが、この船での成果ということでしょう」
「……あれだけの犠牲が、それのためかよ」
「そんな危険なものは、スラッシュネ」
 チトセが軽く刃を振るうと、呆気なく容器は両断された。中身の粘液はすぐさま力をなくし、溶けて液体になっていった。
「これで本当に終わりですね。さて、それでは」
「生存者探しだ!」
 陽里が勢いよく声を上げた。
「ええ、急ぎ向かいましょう」
 クネウスと陽里は、端末に送られた船の地図を見てここから市街地までの経路を確認。他の猟兵にも通信を送り助力を請いつつ、最短距離で向かうことにした。
「それはユー達に任せるヨ。私のお仕事はこれでエンド、ネ」
 チトセはそう告げると、二人に背を向ける。
 もうここに敵はいない。自分がいなくても、力不足ということはないだろう。


「おーい! もう大丈夫だぞー!」
 陽里は笑顔で大声を上げながら、バイクで街中を走り回っていた。その口元にはマイクが光る。
「感度は良好、いい感じですね」
 クネウスの偵察用ドローンにタウンホールで借りた放送機材を取り付けて、陽里の声を広く届ける作戦だ。大音量の陽里の声で、生存者は事態の解決に気づき始めていた。
 ――脅威は去り、事件は終わった。
 人々がおっかなびっくり顔を出す。目が合って、陽里はサムズアップで会心の笑顔を見せた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月04日


挿絵イラスト