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獣の森のアラサーアリス

#アリスラビリンス

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#アリスラビリンス


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●あるアラサーの追憶
 職場はブラック。
 恋人はいつだって画面の向こうの平たい存在。
 家族は小さい頃に死んじゃって、元から少なかった友達とは何年も連絡とってない。
 私自身は普通、普通、なんもかんも普通の私に人並み以上があるとしたら、いささか夢見がちな事くらいだろうか。
 さあ、明日も早い。
 ひとりぼっちの家に帰って寝よう。
 独り言な「ただいま」に「おかえりなさい」は返って来ないけど……。
 そうして、ベッドにたどり着くまえに、間抜けな『私』は『落っこちた』
 なにがなんだか分からないけど、分からないまま頑張って、頑張って、頑張って――貴女に捕まった。

「随分と、他人事のように言う」
「他人事になる。……なぜなら私は私じゃなくなるから……違う?」
「違わんなあ……お前は獣になる。ただあるがまま衝動を発散する怪物になるのだ」

 その少女は傲慢に。
 その怪物は獰猛に。
 可憐なその姿に、ギラリと光る牙に、私は昔何処かで直接見た、狼の姿を想起した。頭の上の耳がピコピコと揺れていた。

「もう少し、だったのになあ……」

『扉』は近い。それは解る。
 だけど、私は過去と獣に追いつかれて、捕まってしまっていた。
 なんのために頑張っていたんだっけ。なんのために生きていたんだっけ。
 そんなこともわからないなら、いきていたって、しかたない。
 シカタナイ……。
 暗い暗い、森の中、少女の姿をした獣が、私の首に、牙を……。

●グリモアベースにて
「事件はアリスラビリンスで起こってるんだよ……猟兵、アッセンブル」
 静かに、細い声で猟兵達に招集を掛けたのは、学生服のグリモア猟兵、トール・テスカコアトルである。
「今回のアリスさんは、なにがなにやら分からないまんま一人で頑張って、もう直ぐ脱出できるってところまで行ったんだけど、オウガにつかまっちゃったんだ」
 説明しながら、トールは猟兵達に手製の資料を配る。
「オウガの名前は『ラビリンスの獣躯卿』……通称だね。詳細不明で正体不明だけど、獣にまつわる力を持っていて……とても強い」
 ……でもね、今回の依頼の最難関はそこじゃないんだ、と。トールは悲しげに眉を寄せる。
「アリスさんは、多分、元の世界の記憶を取り戻してる。……その上で絶望している。獣躯卿は、ある意味で彼女の気持ちを汲み取って、彼女をオウガしようとしてるんだ」
 獣の遠吠え聴こえる暗い暗い森は、アリスの心象風景でもある。
「彼女の心に希望の光を灯さない限り、彼女の扉にはたどり着けない。本当に救うことなんてできない。……すっごく難しいミッションになると思うけど」
 トールは、グッと拳を握って。
「先ずはアリスさんの命を助けて、次に彼女の心を助ける……君達なら、できるはず」


影帽子
 はじめましてか、お久しぶりです。
 影帽子と申します。
 まずはオープニングを読んで頂きありがとうございます。
 今回のアリスはアラサー女子です、綺麗系です。スタイルがいいです。タイトなスーツ姿の美人さんです。

 一章でボスを倒し、二章で扉への鍵を手に入れ、三章で立ちはだかる群勢を蹴散らして彼女を元の世界へと帰してあげましょう。
 随所で彼女を元気づけてあげればきっといい感じです。

 よろしければ、ご参加いただければ幸いです。
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第1章 ボス戦 『獣躯卿』

POW   :    不明の獣『ジェヴォーダン』
【獣の本能】に覚醒して【正体不明・理解不能・変幻自在の獣の姿】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD   :    頑強の獣『ネメアー』
無敵の【生身による絞首以外を無力化する獅子の力】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
WIZ   :    母胎の獣『エキドナ』
自身が戦闘で瀕死になると【腹を突き破り最上級の魔獣や神獣の集団】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。

イラスト:透人

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は吾唐木・貫二です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

シーザー・ゴールドマン
【POW】
『ラビリンスの獣躯卿』君だったかな?
ああ、今日はそちらのお嬢さんに用があるのだが……
折角だ。骸の海に還してあげよう。

『ウルクの黎明』を発動。
オド(オーラ防御)を活性化して戦闘態勢へ。
オーラセイバーを剛柔自在に振るって戦う。
(先制攻撃×怪力×鎧砕き)(フェイント×2回攻撃×鎧無視攻撃)等
大技は大上段からの振り下ろし、『灼光の太刀』
(属性攻撃:超高温×衝撃波)

敵POWUCに対しては
不明・不能・変幻自在の攻撃を何となく察知して対応。
(第六感×見切り→カウンター)



 森が震える。
「……なんだ?」
 直感的に、獣躯卿はアリスを柔らかい地面に横たえてから距離をとった。……遠く離れるか、決めかねているうちに『ソレ』は来た。
「やあ、ラビリンスの獣躯卿君、だったかな?」
『ソレ』は男の姿をしていた。
 赤い服を着て朗らかに笑っているが……その目は、獲物を見る目だった。
「ああ、今日はそちらのお嬢さんに用があるのだが……折角だ。骸の海に還してあげよう」
 まるで朝食の内容を決めるような自然体で、傲然と言う『ソレ』に。
「は?……!?」
 混乱していた獣躯卿に、赤い残光を宿した刃が振り落とされ、しかし、空を切る。
「素晴らしい反応だ」
「……殺す!!」
 出し惜しみはしない。目の前の『ソレ』は獲物ではなく、狩人でさえきっとなく、縄張りを荒らす外敵だと、獣躯卿は、そう理解した。
「ルゥオオォオオオオ!!」
 仮初めの少女の姿を、正体不明の獣のモノへと変え、駆け、爪を振り、牙を剥く。
「……ふふ」
『ソレ』は、赤い男は……シーザー・ゴールドマンは、ここで初めて笑みに喜悦を混ぜた。
 余裕からではなく、本物の強敵を相手の命のやり取りへの歓びから。
 木々を利用して空間を塗り潰すような黒い影を、赤い光は堂々と迎え撃つ。
 引き延ばされた一瞬に、八方向からほぼ同時の爪撃……逸らし、弾き、流す、
 確かな業をもって獣躯卿を迎え撃つシーザーは、ふと、その挙動に獣らしからぬ……なにか、人間めいた癖のようなモノを捉え――容赦なく斬った。
 ギャンっ!!
 と一声、響いた声に追い付いて鼻につく傷跡の焦げた臭い。……会心の振り下ろしだったが、浅いようだ。
「……そうか」
 一時、開いた間合いの中で周囲を見る余裕ができ、獣躯卿が、断じてアリスぬ近づかないよう立ち回っていることに気付く。
「……」
 獣にとって、手加減などという慣れないものは重荷以外の何ものでもない。――どうしたものかと考えながら、シーザーは剣を握り直した。

成功 🔵​🔵​🔴​

ルパート・ブラックスミス
成程、「アリス」は大切な同胞候補、と。

青く燃える鉛の翼で【空中浮遊】し上空から「アリス」の傍に着地。気絶してるなら起こし、敵への【挑発】も兼ね【鼓舞】。


「アリス」よ、思い出しているなら名を教えてくれ。
何もわからず、孤独と絶望の中、なお進み続けた剛き貴殿の下へ、我らは駆けつけた。
少なくとも、ここまでのその歩みは、我らを呼ぶだけの意味があったのだ。


「アリス」を盗られると気取れば仕掛けてくるし「アリス」を気遣うその攻撃は【見切り】易いだろう。
短剣【投擲】の【フェイント】も混ぜ【おびき寄せ】UC【炎抱きて白熱せし鋼肢】で【カウンター】だ。


我は黒騎士ルパート!
「アリス」よ、貴殿の名は!

【アドリブ歓迎】



 戦いの音が遠くに聴こえ、アリスはふと、目を開けた。
 あの獣躯卿に挑むものがいたことに驚きだし、勝負になることに驚愕だ。
 ……しかし、それも、どうでもいいと目を閉じかけたアリスの前に、鎧が降り立った。
「……?」
「成程、「アリス」は大切な同胞候補、と」
 全身を金属の甲冑で覆った、恐らくは男だ。ごうごうと青白い炎を吹き出すその姿は……この狂った世界に似つかわしくも、安心出来る、篝火に見えた。
「アリスよ、思い出しているなら名を教えてくれ」
「――名前」
 此処でも彼方でも、呼ばれない名前。
「ルゥオオォオオオオ!!」
 吼え猛る獣が飛びかかる。黒騎士の鎧が迎え撃つ。
「何もわからず、孤独と絶望の中、なお進み続けた剛き貴殿の下へ、我らは駆けつけた」
 我が子を守ろうとする母狼がごとく、獣躯卿の攻撃は苛烈そのもの。しかし、鎧の騎士にとっては誰かを護る戦いなど慣れたものだ。
「少なくとも、ここまでのその歩みは、我らを呼ぶだけの意味があったのだ」
 続くその言葉に、ほんの少しの勇気が灯る。
「アァアアアア!金物めが!その女に!寄るなぁ!!」
「我が鉛鋼の輝きは暗く……」
 アリスの心を動かせば、攻勢が激しくなるのも想定内。短剣の投擲を隙と見て突撃を仕掛けた獣が、その牙を突き立てる――
「……されど今は眩く!」
 ――先に突き立ったのは拳だった。
 白熱した拳の着弾は更なる爆裂を生み出して、獣躯卿は悲鳴を上げて退いた。
「我は黒騎士ルパート!アリスよ、貴殿の名は!」
「……」
 まるで、物語の中の人からの問いかけに、アリスは名乗るほどのものじゃないと言いたかったけれど。
「……アダシノ・ノゾミです」
 ノゾミは、自分でも久しぶりに自分の名前を聞いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

水鏡・怜悧
詠唱改変省略可
人格:アノン
「良くわかんねェが獣ってなら喰えるだろ」
黒狼の姿で触手式魔導兵器を発動し、UDCの触手から風を巻き起こして高速移動。野生の勘で回避しカウンター。雷を纏った牙で噛みつき属性攻撃、マヒ攻撃と部位破壊で喰う。
「ヒャハハハ…ってなんか虎っぽい方は喰えねェんだけど」

人格:ロキ
妖精(20cmの人形)でアリスさんの元へ移動。
「大丈夫ですか?怪我があれば見せてください」
医術で治療を行い、安全圏への退避を促します。

「虎ではなく獅子です。獅子の爪を使えば皮が裂けますし、3日間拘束され続けるくらい弱いので無視しても大丈夫ですよ」
獣躯卿に聞こえるように言い、挑発と言いくるめで弱体化を狙います



「大丈夫ですか?怪我があれば見せてください」
「……今度は妖精さんかい。……大丈夫、怪我は、ないよ」
 ふよふよと、浮かんでアリス――アダシノ・ノゾミを気遣う背中に蝶の羽、手にピンク色の花を持つ妖精。
「妖精さんの方こそ逃げた方がいい。此処は、物騒だから」
「私はロキといいます。……大丈夫です。私は強いですし、これは本体じゃないです。それに――」
 森に、獣の声が二つ轟いた。
「アノン、彼はもっと物騒ですから」

「ヒャハハハ!!良くわかんねェが獣ってなら喰えるだろ!!」
「グゥルル……!!」
 黒狼が駆ける。五本の触手に込めた力は風。森の木々を無きがごとく跳んで飛んで襲い来る外敵に肉を抉られ、獣躯卿は唸り……形態を変える。
「ガアァアアアアア!!」
「ヒャハハハ…ってなんかこの虎っぽい方は喰えねェんだけど」
 堂々たる体躯。燃え盛るような鬣。金色に輝く体毛は、無敵の神話の再現である。……著名な権能だ。
「虎ではなく獅子です。獅子の爪を使えば皮が裂けますし、3日間拘束され続けるくらい弱いので無視しても大丈夫ですよ」
「なんだ!雑魚かよ!」
 血が迸る。……獣躯卿と、アノンのものが。
 敵が徒手空拳の英雄でない以上、自信を無敵と信じる獣躯卿は防御を捨て、ひたすらに外敵を獲りにかかる。伝承を看破されてなお堅きに過ぎる獅子に、黒狼は獣の顔貌に凄絶な笑みを浮かべ、食い合いを受けて立ったのだ。

「アノン、か。」
 ポツリとノゾミは溢す。

 名前がないのが名前とは、なるほど獣のような――

成功 🔵​🔵​🔴​

キル・トグ
 地を這う獣に空からご挨拶さ。
 草原にふる流星のように。
 さあ、獣の首に痛いほどわたしの腕を組み付けしがみつき。
 ツリーランディングといこう。

「HAWKING!うさぎ狩の時間だ!われら貫き導くほうき星!」

 血みどろになって進め!
 ささる枝葉はいっときの向かい風
 止むも止まずも気まぐれに
 そこで止まるはその脚の恥!

 その牙をむき出し進め!
 おちるわたしは緋に染まり
 木々の闇と燃えるはこのこえとこころ
 もえつきるまえに切り開け!

マニューバリングだ、獣は孤独を貪るものだね、あのうさぎとアリスは孤独なのかな?わたしは?
まあ、それはおいといて、貧弱なわたしにはそらから奇襲ぐらいしかやれることはないのさ。



 瞬間、その獣は空から来た。
 獣躯卿が変じた獅子は、傷を癒す間もなく、次なる驚異を認識した。
 人型の雌を乗せた獣、もしくは獣に跨がった人型の雌だった。……砂の香りがする気がした。 
「地を這う獣に空からご挨拶さ。草原にふる流星のように」
 誰に言うともなく、青と赤のけものたち、キル・トグが声を発すれば、獅子は相手を待たずに飛びかかって、それはキル・トグにとって望むところだった。
 木の上に降り立ったのも束の間、2、3匹の獣達は木々に触れる時間よりも多くの時間を、空を駆ける事と空を血に染めること割き始めたのだ。
「HAWKING!うさぎ狩の時間だ!われら貫き導くほうき星!」
「……気に食わん」
 獅子の喉から人染みた声が漏れた。キル・トグの何が気に食わないのだろう。
 周到な駆け引きか。
 自身より巧みな空駆けか。
 或いは、この、強者が孤独な森で、気儘に触れ合う、その――
「ルウオオオン!!」
 獣の声が木霊する。キル・トグは相手に流させた以上に血を流させながら、燃えるような激しい走りで獣躯卿を寄せ付けない。どういう訳だか、その姿に、獣躯卿は気圧されるものを感じるのだ。
 ――欲しい。
 ――欲しい。
 ――欲しい。

 あのうさぎとアリスは孤独なのかな?わたしは?
 そんなことを思うキル・トグではあったが、その姿は、見るもの全てに自由を感じさせるものだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

白峰・歌音
過去がたとえ絶望に満ちていたとしても、未来が同じ絶望しかないなんて事は決まってないはずだぜ!だから…
「過去の絶望で未来の希望を暗く覆いつくそうと手招きするその誘惑!マギステック・カノンが希望の可能性を示して打ち破ってやるぜ!!」

相手の攻撃の隙をついて接近、連撃を叩き込んでやるぜ!
【第六感】で敵の攻撃を察知しようとして【見切り】回避、隙を見いだしたら一気に【ダッシュ】して接近、UC『ハンドレッドコンボ・クラッシュ』を叩き込んでやる!
お前がどんな姿をして恐怖をあおっていても!どれだけ傷つけられても!オレの【勇気】は砕けないぜ!

アドリブ・共闘OK


ダスク・ドーン(サポート)
『また日が沈むな』
人間のフォースナイト × スカイダンサー
年齢 27歳 男
外見 184.1cm 黒い瞳 黒髪 普通の肌
特徴 面倒見がいい くーる 女性が好き とんでもない甘党
口調 やわらか(自分、相手の名前+ちゃん、ぜ、だぜ、じゃん、じゃねぇの? )
真剣な時は かたい(自分、お前、ぜ、だぜ、じゃん、じゃねぇの? )

煮るなり焼くなり。
アドリブでも何でもお好きにお願いします。
口調は適当なので細かいとこは気にしない。

戦闘ならいずれかのフォースブレイドを使用。
シンプルな正面勝負を好む。

冒険や日常は……、
うむ、メンドウだな。
(テンション低くても仕事はきちんとやります)



 血に濡れた不気味な吠え声を上げ、獣躯卿は再び『ジェヴォーダン』の形態をとった。
「戦うのは、分かりやすくていい……女は、大事にするもんだ」
 黒い衣装のフォースセイバー使い、ダスク・ドーンと。
「過去の絶望で未来の希望を暗く覆いつくそうと手招きするその誘惑――」
 軽快なアクションと共に降り立つ少女、否、ヒーロー。
「マギステック・カノンが希望の可能性を示して打ち破ってやるぜ!!」
 ヒーローネームを堂々と名乗る白峰・歌音が正体不明の獣と相対する。
「ルゥオオオン!!」
「躊躇なし、か!」
 獣はその不気味な声すら置き去りにして突っ込んで、青白く輝くフォースブレイドがそれを迎え撃った。
 正体不明の特性で間合いが極めて測りづらい獣の連続をダスクはしかし、確実に捌く。
 輝くのは卓越した受けの技量、驚異的なその切り返しの手数、そして獣に対抗しうる膂力であろう。
 並みの戦士であれば一拍子で殺され、二拍子で喰われる猛攻を、フォースナイトが淡々と耐え抜いて。
「……そこだー!!」
 そこにヒーローが突っ込んだ。
「ハンドレッドコンボ・クラッシュ!」
「ギャウ……!」
 拳、そして脚。
 比喩ではなく一瞬のうちに百発、叩き込まれる打撃。彼女の直感は獣を捉え、見切りは獣を逃がさず、勇気はその必殺技に力を宿した。
「さて、自分の番だな!……そらよ!」
 猛攻が止んだ隙を逃すダスクではない。獣に負けず劣らずの獰猛さを宿して、彼が選択したのもまた、連撃であった。
「……フォース――ストライク!」
 フォースブレイドが軌跡を残し、獣を抉る。獣躯卿は身の毛のよだつような悲鳴を上げると、いったん退こうとし、さらに斬られる。
「……ギャアァ!?」
「生憎だったな、たとえこの目が、お前を捉え切れなくとも――」
 斬る、斬る。反撃を受けて血を流そうと、ひたすら斬る。
「――フォースセイバーは、心で斬るもんなんだぜ」
「良いこと言うなあダスク兄ぃ!そうだよ心だ!心で戦う!」
 ダスクとマギステックカノン、対する獣躯卿は心を燃やし、互いの体を削り合う。獣躯卿の抱く無尽の欲望を挫く、正義と義憤。

 アリス、元の名をアダシノ・ノゾミ。彼女の前で、その絶望の象徴たる黒い獣は次第に力を失い、その身を冷たい地面に横たえた。
 不条理を打ち砕く、刃と拳。その輝きを、見ていたのだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 冒険 『オオカミの森の真ん中で』

POW   :    競走や狩り勝負で力比べ

SPD   :    たき火を囲んで一緒に踊る

WIZ   :    なにか食べ物を振る舞ってみる

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「ありがとう、猟兵?……さんたち。私はアダシノ・ノゾミ。此処では何故かアリスと呼ばれてる」
 ノゾミはピシリとビジネススーツを正し、立ち上がる。未だその瞳は暗いものの、深い絶望の淵から少しばかり浮かび上がったようだ。――一瞬だけ、獣躯卿を悼むように、彼女が消えた地面を見て、目を閉じ、開ける。
「場所の検討はついてる……こっちだ」
 ノゾミの先導を受け、猟兵達は獣の森を往く。感覚に優れたものならば、来た当初に比べて世界に生命が満ちていることを感じ取れるだろう。
 
 木々の狭間から垣間見えたのは、小さな洋風の屋敷であった。
 ニャアニャア、ニャアニャアと、猫のような声が内部から漏れているものの、扉がいっこうに開かない。

「……ん?」
 誰かが、鍵穴から逃げるようにして這い出る鼠のような生き物を発見した。不思議なことにその鼠は猟兵達の手をすり抜けて森の中を逃げ出してしまう。
 誰かが言う。
「あれはジャンガリアンハムスターだ」
 ノゾミが言う。
「なぜか、その、あのハムスターをどこかで見たことがある、ような」

 アラサーアリスと猟兵達は、ハムスターを追って森を走る。誰かが手を引いて、誰かが背負って、誰かが行く手の草木を払って、みんながノゾミを助ける旅路。

 猟兵には、認識も難しい奇妙なハムスターを見失ってしまった時、森が途切れた。そこにはオオカミ達の村があった。木で造られた粗末な家々に、愉快なオオカミ達が住んでいる。
「オレの名前はフザケンナ」
「ワシはヤッテランネ。よろしくの」
「あたしはシネバイイノニっていうのよ。なにしに来たのアリスさん達」
 存外穏やかに迎えるオオカミ達に、ノゾミが苦しそうな顔をする。
「いや、どれも、元の世界で、私が常々抱えていた言葉だな、と」

 ハムスターを、小さい奇妙な鼠を探していると言うと、快く協力を申し出てくるオオカミ達。……ただし。
「明日な、明日」
「今日はゆっくりしていけよ。このシニタイ様が泊めてやるよ」
「いや、宴だろう。ゼッタイヤメルさんのキャンプファイヤーはちょっとしたもんでな」
「いや、ワタシワルクナイ婆さんの料理を……」
「いやいや、ジョウシクソッタレの酒が……」
 顔が青くなっているノゾミはともかく、森を庭とする頼もしい協力者達である。大いに楽しみ、大いに楽しんでもらおう。
水鏡・怜悧
詠唱改変省略可
人格:ロキ
ハムスターの案内、村人の名前……上手く纏まりませんが、この場所はノゾミさんの記憶と深く結び付いているようですね。

とりあえず村人の名前を何とかしましょう。
「こんにちは。私は水鏡怜悧と言います。愛称はロキです。みなさんの愛称を伺っても?」
無ければ3文字くらいに略して言いくるめ、勝手に付け、ノゾミさんが滞在している間はお互い愛称で呼ぶようにお願いします。
ノゾミさんにはとりあえず休息と食事、お酒を勧めましょう
「ルナお婆さんの食事は美味しいですよ(私は味覚がありませんが)」
「ジョウさんのお酒はいかがですか(私は飲めませんが)」
落ちついたら、少し元の世界の話を伺ってみましょう。



(ハムスターの案内、村人の名前……上手く纏まりませんが、この場所はノゾミさんの記憶と深く結び付いているようですね)
 妖精あらため水鏡・怜悧は論理的な思考を巡らせる。アリスの心を救う事が今回の任務であるならば、この世界そのものが大きなヒントであるはずだ。
「こんにちは。私は水鏡怜悧と言います。愛称はロキです。みなさんの愛称を伺っても?」
「アイショー?アイショーってなんだ」
「バカだねお前は、だがそんなお前と俺のアイショー最高」
「相性じゃねーべ。あれだよ愛称、ニックネームだべ?」
「ねえなあ」
「考えたこともないよ。オイラ達には個性的で素敵な名前があるからさ」
 視界の端で、ノゾミがソッと俯いた。
「ええと、愛称にはお互いの親密にする力があるといいます。私、ロキに、あなた方を愛称で呼ばせていただけないでしょうか?」
「でも、思いつかねえし……」
「よし、じゃあ今日から俺の愛称はジョウシクソッタレファッキン……」
「ええとっ愛称は短く呼びやすくするのが基本ですのでジョウさんとかいかがでしょうか!」
「お、おお、そういうもんかい。ならジョウって呼んでくんな」 
 それを皮切りに俺も私もと愛称という新しい名前をロキにねだり始める多くのオオカミ達。……ノゾミは救われたような目でロキへと頭を下げた。

「隣、いいですか」
「ああ、もちろん。……名前の件はありがとうロキさん」
「いえいえ……ルナお婆さんのお料理はいかがですか?ジョウさんのお酒もあります」
「……いただきます」
 オオカミと猟兵達が織り成す悲喜こもごもを眺めながら、暫し静かな時が流れる。
「君達のような本物の戦士にしてみれば、おそらく、私が元いた世界で抱いていた絶望なんて、甘えたものなんだろうと思う」
「……」
 酒精に顔を赤らめて溢すノゾミに、ロキは沈黙をもって続きを促した。
「絶望は突然なもの、劇的なものという気がするけど、少なくとも私のはそうじゃない。今にして思えば、段々磨耗するように、私は望みを持たなくなった」
 そうやって、削られていったものが此処に在って、森を形作ってるような気がしてる。この暗い森は、私の心だ。これが私だ、と。
「だからありがとう。……汚い言葉ばかりの私だが、いくらか、マシになった気がするよ」

大成功 🔵​🔵​🔵​

シーザー・ゴールドマン
やあ、ノゾミ君。楽しんでいるかね?

この森が君の心を元に創られたものだろすると、随分と君は優しい娘のようだね。住民は皆、気安く親切だ。まあ、ネーミングセンスはどうかと思うがね。

この世界の説明、他のアリス達の事例を語る。
さて、君はどうするかね?
元の世界に戻っても良いし、このままこの世界で暮らすのも良いだろう。
君はまだ、人として生きており、己の意思がある。
好きに生きれば良い。
分からない、選べない、というのであればそれも良いだろう。
『ラガシュの静謐』で異なる世界を見せ。
(安全な)あそこで好きなだけ暮らしても良い。
まあ、ゆっくりと考えたまえ。



「やあ、ノゾミ君。楽しんでいるかね?」
「あ、ああゴールドマンさん」
 賑やかな祭りの和から外れてぼんやり過ごしていたノゾミへと声をかけたのはシーザー・ゴールドマン。
 どうにも、彼に対しているとドギマギするものを感じるノゾミ。……未だに全てをハッキリと思い出せて訳じゃないにせよ、こんな堂々たる偉丈夫と無縁だったことは確かだ。
「この森が君の心を元に創られたものだとすると、随分と君は優しい娘のようだね。住民は皆、気安く親切だ。まあ、ネーミングセンスはどうかと思うがね」
「ははは……お恥ずかしい」
 目だ。目が違う。体躯も美貌もそうだが、見ていると吸い込まれてしまいそうな切れ長の金瞳が――まるで画面の向こうの幻想の住人が目の前に現れたようで、いよいよ現実感が失せてしまう。
「……どうかしたかい?」
「いえ……」
 我知らず、ノゾミは自身の体を抱くようにしていた。……怖いものに逢った子供のように。
「……我々猟兵にとって、ノゾミ君のように別の世界に迷いこんでしまう事例は初めてではない。……総じて、アリスと呼ばれている」
「それが……アリス」
「……他の皆は、君を帰したがっているかも知れないが、私は、君の好きにしたらいいと思うんだ」

 ――さて、君はどうするかね?
 ――元の世界に戻っても良いし、このままこの世界で暮らすのも良いだろう。
 ――君はまだ、人として生きており、己の意思がある。
 ――好きに生きれば良い。

 もしも、人に誘惑をもたらす御伽の悪魔がいるのなら、こんな姿をしているのかも知れないとノゾミは思う。
 こちらに問うているのに、まるで。
「分からない、選べない、というのであればそれも良いだろう」
 黙ったノゾミを見てどう思ったか、シーザーは彼女に『世界』を魅せる。
 彼が管理する、安全が保証され、絶望も遠い世界。
「あそこで好きなだけ――」
「いえ、結構です。」
「――ほう?」
 自分の存在感がノゾミの心情に与えた影響を知らない暴君は、少し愉快そうに。
「理由を聴いてもいいかね?」
 ノゾミは、少し、自分自身に戸惑うようにしてみせて、強がった表情を浮かべるのだった。
「なんていうか、そう……居酒屋とか無さそうですし?」
 直感的答えに後付けで理由を付けたら、なんだか庶民染みて、それも私らしい、なんて、アナザーアリスは笑ったのだ。
 そんなアリスに、赤公爵は、とても素敵だと呟いて。
「いいね……是非とも帰って、君の人生を楽しみたまえ」

成功 🔵​🔵​🔴​

ルパート・ブラックスミス
UC【縁が紡ぎし身製】。本体を後ろに仮初の肉体で席に着き話をする。
…鎧を脱いだと思ってくれ。

ノゾミ殿の辛酸は残念だが理解できんのだろう。
一度殺され、一命を取り留めたが故郷と記憶…心を繋ぐものを亡くした当方ではな。

全て喪い彷徨う亡霊騎士のような有様。
だが尚、猟兵として貴殿と同じように何も分からぬまま頑張って。
様々な世界を知った。貴殿を助けにこれた。

ノゾミ殿。この暗い森、その心に巣食う絶望をどうする?
オオカミたちが名を変えたように、変化を信じ歩み続けるも良し。
総て手放し、新天地を探すも良し。

何方も苦難はある。だからこそ。
アダシノ・ノゾミが選ぶ道行き、惑いも辛酸も含めて、自分は敬意を以て肯定しよう。



「……どなた?」
「ルパート。……ルパート・ブラックスミスだノゾミ殿」
「あ、鎧の。……はあ」
「……鎧を脱いだと思ってくれ」
 彼が席についてからの一連のやり取りに慣れたものを感じ、そうか、みんな面食らうんだろうなと、少し面白くなったノゾミ。
「……いいぞ、そのまま笑っていてくれ」
「あ……ごめんなさい」
「いいとも」
 しばし、二人は黙って杯を傾けた。陽気なオオカミと猟兵達のお陰か鎧のお陰か単に二人の人柄か、その沈黙は暖かいものだ。
 口火を切ったのはルパート。……少し、自分語りをしよう。
「ノゾミ殿の辛酸は、残念だが自分には理解できんのだろう。一度殺され、一命を取り留めたが故郷と記憶……心を繋ぐものを亡くした当方ではな」
「いえ、猟兵の皆さんが本当に英雄的な方々で、私なんか及びもつかない人生を送ってこられたのは……分かりますので」
 ルパートは、ノゾミの実直な口調に少し微笑み、続ける。
「似たところもある……自分は、気がつけば全て喪い彷徨う亡霊騎士のような有様だった……だが尚、猟兵として貴殿と同じように何も分からぬまま頑張ってきたという自負がある。――本当に、様々な世界を知った。だから貴殿を助けに来れた」
 万感の思いを込めて、燃え盛る鎧の騎士が語ってみせる。……ノゾミは、未だに彷徨う自身を思う。
「私は……」
「ノゾミ殿。この暗い森、その心に巣食う絶望をどうする?」
 遠くから、獣の声がこだまする。光がないのに視界を遮らない不思議な世界。……この心をどうするべきか?
「オオカミたちが名を変えたように、変化を信じ歩み続けるも良し。総て手放し、新天地を探すも良し」
 二人の目線の先で、オオカミ達がキャンプファイヤーを囲って踊る。……今この時、この場所は、優しい光景。
 変えたいのなら、変われるのかも知れない。
「何方も苦難はある。だからこそ。アダシノ・ノゾミが選ぶ道行き、惑いも辛酸も含めて、自分は敬意を以て肯定しよう」
 鎧を脱いだ彷徨いの先達は、正しく誓いを立てる騎士のように、アラサーアリスにそう請け負った。
「はい」
 その瞬間に名前をつけるなら、それを希望というのだろう。

成功 🔵​🔵​🔴​

白峰・歌音
オレはまだ名前以外の記憶が思い出せないからさっぱり分からないけれど、アリス世界って個人の記憶で出来てるんだろうか?それとも似通った所に飛ばされるだけなのか?……だとしたら、オレもノゾミ姉みたく何かから逃げて来たのかな……ん?そう考えると……

ハムスターを見た事ある、元の世界でノゾミ姉の抱えてた言葉……もしかしたら楽しい思い出の形の名前とかであのハムスターが持ってたりするのかな?予測が外れてるとしても、このまま悪い事ばかり考えてるのはいい事じゃない気もするし、ノゾミ姉に小っちゃい頃の事とか聞いてみようかな?

アドリブ・共闘OK



「ノゾミ姉って呼んでいい?」
「いいよ。じゃあ……カノンちゃん?」
「ああ、いいぜ……なあ思ったんだけど」
 白峰・歌音にとって、アリスラビリンスは特別な『世界』だ。
 奇妙な複合世界。ここにいる『人間』
はみんなが迷子。
「オレはまだ名前以外の記憶が思い出せないからさっぱり分からないけれど、アリス世界って個人の記憶で出来てるんだろうか?それとも似通った所に飛ばされるだけなのか?」
「どうだろうな……私には、よく分からないよ」
 ノゾミに分かることは、獣躯卿に捕まってから、周りの様相が変わったこと。……ノゾミに似つかわしい場所に移動したのか、世界をノゾミに合わせて変えたのか、それは分からないが……。
「……だとしたら、オレもノゾミ姉みたく何かから逃げて来たのかな……ん?そう考えると……」
「カノンちゃん、なにか分かったなら教えてほしい。……しかし、君の方がこの世界の迷子の先輩なんだな」
 この世界に来てから、獣躯卿に見つかるまで、情けなくも狼狽えて、幾度となく嗚咽を漏らしたことを、アラサーアリスは覚えている。
 子供がこの世界に、前触れもなく放り出される。支えになる記憶も失って……どれ程の恐怖なのだろう?
「いやな、ハムスターを見た事ある、元の世界でノゾミ姉の抱えてた言葉……もしかしたら楽しい思い出の形の名前とかであのハムスターが持ってたりするのかな?」
 けれどカノンちゃんはそんなことはおくびにも出さず明るく持論を展開する。……強かったから生き残ったのか、生き残ったから強くなってなってしまったのか……それを聞くことは、彼女にはできなかった。
「ノゾミ姉、もしかして……昔、ハムスター飼ってたりしなかった?」
「どう……だったかな……」
 思い出せたのは、名前と……直近のものと、断片的なもの。……けれど。あの、小さな命が傍に在ったような。
「飼ってた、かも知れない。分からないけど……もっと近くで見て、触れたら、きっと……」
「へへ、じゃあ明日は頑張って探さないとな!」
「ああ……」 
 ノゾミは思う。……自分にもあったのだろうか、目の前の彼女のように、天真爛漫に笑顔を浮かべていた時期が、私にも……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ネリー・ウェリー(サポート)
自称21歳だけど実際のところは不明。言動は3~5歳並。
一人称:ネリー
二人称:アナタ、~ちゃん
難しそうな言葉はひらがな発音、語尾は伸ばしがち
基本性格は元気な幼児。いい子系。
明後日の方向に思考を飛ばすことが多いけど、極稀に相手の言葉尻を取って攻勢に出ることも。
好意は惜しみなく表に出し、マイナスの感情はスンとした顔ではっきりとは表さない。

誰とでもからみOK、エログロ公序良俗に反することはNG。
人の迷惑は考えるし意見も聞くけど、割と「がんばるー!」で突っ込んでいく方。怪我しても懲りない。
空気は一応読む。

使用するユーべルコード他、不足分、細かい部分はお任せ。
以上よろしくお願いします。


リダン・ムグルエギ(サポート)
「やーよ面倒臭い。アタシの仕事(デザイン)はもう終わってるの
「お、今の映えるわね!ヒュー

キマフュ特有のノリの服飾師

戦闘では
見た人の五感を狂わす「催眠模様」の入り衣装を作って配る事で
仲間の防御底上げと敵の妨害を実施

調査系では
コネや口コミ等でブームを作って周囲を動かし、その結果待ちだったりと

「依頼で描写される前の時点で自分のやるべき仕事を終えている」事が多い純支援キャラ

依頼本編では戦いの様子等を撮影・配信したり
キャーキャー逃げたり
合いの手を入れてたりしてます
単独戦闘には不向き

ミシンや針、布等も所持
その場で他依頼参加者に合わせ衣装アレンジも

MSのセンスで自由にハチャメチャに動かしてOK
エロだけは厳禁



「かわいいネリーを抱っこしてもいいよ!」
「おう!ネリーってのか!俺はロスってんだ!愛称ってヤツだな!」
 オオカミが豪快にガハハと笑えば、その胸に抱っこされたネリー・ウェリーも「ガハハー」と叫んだ。二色の大音量が、他の祭りの音と溶けて森へと響いていく。
「っかし、ネリーちいせえのに猟兵ってやつなんだろう?大したもんだな!」
「ネリーはスゴいからね!余裕っしょ!」
「そうかそいつはすげえな!いや俺は猟兵とか、よく知らねえんだけどな!……そうだ腹ぁ減ってねえかネリー?」
「さっきたくさん食べた!美味しかった!……けぷぅ。ロスもたくさん食べなきゃだ」
「おう、サンキューな!しかし、じゃあ、仕方無いな!踊るか!」
「れっつだんしんぐー」

 そうしてテレビウムとオオカミはキャンプファイヤーへとやって来たのだ。
「まわれー!まわるんだロスーー!!……おえ、ガハハー!」
「ぐるぐるー……疲れた!降りてくれ!」
「えー、……いいよ」
 肩車で回って。
「いいかいロス、こんな時はね、こう言うの……しゃーるうぃだんす?」
「しゃ、しゃーるうぃだんす?」
「ほーるみーたい!……えっとね、ネリーの腰に手を回してー」
「おう……」
 すごい体格差が故にアクロバティックなフォーマルスタイルでダンスをキめて。
「エンダー!!」
「イヤー!」
キャンプファイヤーに向かって両手を広げたオオカミをネリーが支えてみたりして大いに遊んだ。
「ぎゃーーー!?あっつい!!」
「ロスーー!?」
 うっかり手を放したりした。

「いやー、あれは熱い。おアツいんじゃなく熱いわ」
「……」
 そんな悲喜交々を肴に杯を傾けるのはリダン・ムグルエギ。透き通るように美しい宇宙の山羊だ。
 明日の探索を滞りなく楽に終えるべく、際限なく脇道にそれようとするオオカミ達を相手にタフな交渉に挑み、森の地形を踏まえたローテーションを組んで実施計画作成する快挙を成し遂げている。
「このお酒、おばあちゃんが作ったんでしょ?」
「……」
「ルナおばあちゃん、貴女のお酒は労働の後だとまた格別だわ……ロクデナシ若オオカミ達にもその辺を言い含めておいてちょうだい」
「……」
 並んでチビチビと湯呑みから酒を口に含んでいるのはルナという愛称を獲得した老オオカミ。
 常にそうして口を効かないが、宇宙山羊の話を聞いてはいるらしく、こっくりこっくり頷いている。
 もうすでに出来上がりつつあるリダンにはそれで十分なようである。陽気に笑って更に酒を深くして、森の野菜のポトフなどつまんでいく。……もっと呑む。
「でね!アタシが思うに流行ってのは……」
「……」
「そういえば、貴女達の毛皮はオオカミしておくには勿体ないくらい……それで服を……」
「……むにゃ」
「……」

 狼は山羊をベッド寝かせると、布団を被せてその脇へと潜り込んだ。……小さく鼻を鳴らすと、目を閉じた。
「お疲れさん」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 集団戦 『にゃんこずきんちゃん』

POW   :    12時になると自爆するとは何か間違ってるのにゃ。
自身の身長の2倍の【12時になると自爆する『南瓜の爆車』】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
SPD   :    お魚やめるなんてもったいないのにゃ。
【相手が変形した部位や召喚物を魚】に変形し、自身の【自制心】を代償に、自身の【食欲と魚への反応速度】を強化する。
WIZ   :    どこかのおばあさんからもらった毒リンゴにゃ。
【毒リンゴを対象の口に放り込むこと】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。

イラスト:笹にゃ うらら

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「……知ってる。私はこの子を知ってる」
 明けて朝、オオカミ達はいよいよ張り切って、自慢の鼻で直ぐにハムスターを探して見せた。
 ハムスターはノゾミの掌の上でもぞもぞと動いて、誰だこの疲れた女は、という目をした。
「そうだ。まだ父さんと母さんが生きてた頃……ずっと一緒にいた……名前は……」
 ハムスターは、そういや、ノゾミちゃんじゃん久しぶりとばかりに体を手に擦り付ける。
「……キーくん」
 キーくんは、達者でな、元気出せよという風に鳴いて、小さな鍵へと変わった。
 雲を割って獣の森に降る朝日を浴びて、金色に輝く小さな鍵だ。
 アラサーアリスは少し目元を擦ってから猟兵達を促して、森の奥の屋敷に向かう。

 ――ニャアニャア、ニャアニャア、ネズミが消えたにゃニャアニャア、ニャアニャア、お腹が減ったにゃニャアニャア、ニャアニャア――

 屋敷には、赤い頭巾を被った猫がたくさん詰まってた。身綺麗な猫達は、屋敷を遊び場に好き勝手に荒らしている。
 ……ノゾミには、屋敷に置いてある全てに見覚えがあった。玩具も、家具も、壁にかけてあるものも、全てが思い出、大事なモノ。

――ニャアニャア、アリスが来たにゃニャアニャア美味しそうだにゃニャアニャア、ニャアニャアやっぱり本人が一番美味しそうニャアニャア鼠よりも、思い出よりも――

 思わず、屋敷に一歩足を踏み入れたノゾミへと、猫達は四方八方から襲いかかった!
シーザー・ゴールドマン
【POW】
思い出を貪り、本人の命も狙うか。随分と貪欲な猫たちのようだね。

貫通能力を強化した『ソドムの終焉』(×串刺し)でノゾミ君に群がらんとする猫を同時に全て貫く。
また、貫きながらも屋敷の壁や床、調度品に当たる前にソドムの閃光を消し、損害を与えない様に配慮。(見切り)

ノゾミ君、少しの間、外に出ていたまえ。何、すぐに片付く。



 ノゾミは息をのみ、目をつむった。
「……?」
 しかし、予想した苦痛が一向に襲ってこない。……重いものが落ちる音が重なった。
「思い出を貪り、本人の命も狙うか。随分と貪欲な猫たちのようだね」
 静かな声とともに肩に手を置かれて目を開けると、そこには穴の開いた猫たちの姿。なんでそうなったのか、目をつむっていたノゾミには分からなかったし、おそらくは目を開けていても分からなかったろう。
「ゴールドマン、さん」
 思わず振り向いてシーザー・ゴールドマンを仰ぎ見るノゾミ。その背後へと音もなく猫たちが忍び寄り、同時に貫かれる。あまりに早く速く目にも止まらぬ魔力攻撃の妙技。
 それは殺害に十分な威力をもって貫きながらも屋敷の壁や床、調度品に当たる前に消え失せて、不要な傷を残さない。
「ノゾミ君、少しの間、外に出ていたまえ。何、すぐに片付く」
 アラサーアリスは素直に従った。
 まったく、恐ろしい猫にしても同情してしまうほどに強い男なのだと知っているからだ。
「にゃあにゃあ、聞いたにゃ?」
「生意気にゃあ、ちょっと顔がいいからって」
「呼んじゃうにゃ?……呼んじゃうにゃ!」
 うぞうぞと、陰から、隙間から、猫たちが這い出てくる。敵の圧倒的な力を目撃しながらも群れの優位を確信し、口を揃えて叫ぶ。
『出でよ南瓜の馬車!この世界に、時計は無ければウサギも消えた!』
 猫と同じかそれ以上の圧迫感と数をもって召喚される南瓜の馬車たち。質量と速力をもって対象をひき潰す単純暴力の化身は、尚且つ、雑に壊せば破片をばらまいて、アリスの大切なものを破壊してしまうだろう。
「まったく邪魔だな……しかし面白い、これを突破するゲームという訳だ」
 しかし、シーザーは余裕を崩さない。勘と感覚を研ぎ澄ませて、瞬時の判断に任せて致命の魔力を振りまくだけだ。破壊するものを破壊する、パズルゲームが展開される。

大成功 🔵​🔵​🔵​

白峰・歌音
ここはノゾミ姉が前を向いて進むために必要な場所なんだ!お前ら無神経な猫もどき達が好き勝手する場じゃないぜ!
「無くした記憶が叫んでる!希望を土足で荒らす泥棒猫をしつけ直せと!」

『自由なる涼風』と書かれたカードを天にかざして「開放(リベレイション)!」という言葉で風を纏って真の姿に変わって戦闘準備完了!
ノゾミ姉に向かう攻撃を阻んだり打ち払いながら【かばう】一方で、風の【属性攻撃】で猫をまとめて蹴りやすい空間へ誘導するよう攻撃して、うまく集まったらUCの回し蹴りで一気に吹き飛ばしてやるぜ!風が魚に変えられちゃうなら、オレ自身に纏って囮になったり誘導に魚を利用して集めてやるぜ!

アドリブ・共闘OK



 ふつふつと、自らの中を怒りが巡るのを白峰・歌音は感じていた。
 暗い森のなかで、そして宴の明かりのなかで、紡いだ絆が力に変わる。
「ここはノゾミ姉が前を向いて進むために必要な場所なんだ!」
 無数の猫が蔓延る屋敷に風が吹き込んだ。その風は青い髪と黒い瞳を持ったヒーローで、友達を守ろうという意思に満ちていた。
「お前ら無神経な猫もどき達が好き勝手する場じゃないぜ!」
 顕現するカードは決意の証し。
「無くした記憶が叫んでる!希望を土足で荒らす泥棒猫をしつけ直せと!」
 叫ぶ。
「――開放(リベレイション)!」
 その背後に庇われたノゾミは見ていた。歌音の青い装束が風を纏うようにして輝きを放って変わっていく様を。
 隙を突こうとする猫は、向かい風で近づけない。
「すごい、まるでヒーローみたいだ!」
「へへ、みたい、じゃねえぜ」

 ――ニャアニャア、生意気にゃあ――近づけないにゃあ――風にゃあ、風で変わったにゃあ――風で近づけないにゃあ――風ごと魚にして食ってやるにゃ――

「マジでヒーローだ!」
 歌音が踏み出すと、視界に鮮魚が広がった。数え切れない猫達の呪詛が、彼女の力を魚にする。……長期戦は厳しいだろう。
「恐怖、哀しみ、絶望……」
 一瞬、風が弱まったので、猫達は舌なめずりをした。……風は歌音に向かって吹いていて、強く、強く凝集し――
「全部吹き飛ばす!風になってやるぜ!!」
 ――ニャアーーーーーーー!?
 解放されたパワーはさながら暴風。猫も魚も一切合財ぶっ飛ばす爽快さに、アラサーにさしかかった観客は手を叩いて声を張り上げる。

 頑張れ、負けるな、と。

成功 🔵​🔵​🔴​

水鏡・怜悧
詠唱改変省略可
人格:アノン
「小せェし喰い応えはなさそうだな」
(周りの物はあまり壊さないでくださいね)
「……またそういうのかよ面倒くせェ」
ロキの言葉にげんなりしつつ、手足にUDCを纏い、狼耳と尻尾をUDCで象る。UCで足に風を纏って高速で駆け、怪力で掴むとそのまま燃やす。
「数が多いな……纏めて潰すか」
足元からUDCを地面に広げ、重力属性の触手を巻き付けて過重力で押しつぶす。

人格:ロキ
20cmの妖精に意識を移しノゾミさんの護衛。
「大切な場所、なのですね?」
声をかけ。
「そういえば昨日、絶望の話をしていましたが。逃げられる類の物なら逃げることをお勧めしますよ。私も逃げましたから。何とかなるものです」」



「小せェし喰い応えはなさそうだな」
 屋敷に足を踏み入れた水鏡・怜悧が変わる。人造というソフトウェアが切り替わり、肉体というハードウェアも変わっていく。
 UDC……未定義の怪物が、黒い獣を象って彼を変質させるのだ。
(周りの物はあまり壊さないでくださいね)
「……またそういうのかよ面倒くせェ」
 文句は言うが、荒ぶる人格、アノンはその意を汲んで、変異を手足と感覚器官に留めて終えた。……この方が加減が効くからだ。
――ニャアニャア――今度は犬ニャア――犬人間ニャア――腹が減ってるみたいニャア――毒リンゴ食らわせてやれニャア――
「それを食らうほど、間抜けじゃあねえよ!」
 飛び交う猫と毒リンゴ。アノンは風を纏ってその隙を縫うと、野生を宿した眼を光らせ獲物を狙う。
「……そこぉ!」
 怪物と化したその手はそれそのものが属性を宿した凶器。……やはり獣には火だ。爪に裂かれた猫達は綿毛のように燃えていく。
 ニャアニャア――早いニャアやるニャア――もっともっと、数で攻めるニャア――
「手が足りねえな、こりゃ」
 
「ノゾミさん、大丈夫ですか」
「……ああ、妖精さん。いやロキさん」
 耳元で小さな妖精が囁いた。向こうではアノンさんが猫達を蹂躙していてこちらに猫は来ないが、それでも妖精さんが近くいてくれると安心だ。
 視線の先で、アノンさんの足元からは大量の触手が這い出した。
「大切な場所……なのですね?」
「そうだね、たぶん、此処は、私の中の大切なもので出来ている」
 ここで喪われたモノは、私の中から消えてしまうのだろう。……気を遣って戦ってもらうのは申し訳ないが……。
「……ありがとう」
「どういたしまして。……そういえば昨日、絶望の話をしていましたが」
「……うん」
「逃げられる類の物なら逃げることをお勧めしますよ。私も逃げましたから。何とかなるものです」
 召喚された触手は力場を纏っているようで、繊細にして大胆に猫達を一掃していく。――どうやら、この世界から、本当に逃れられそうだ。
 しかし、元の世界の絶望から逃げられるのだろうか、逃げられるのかもしれない、逃げ出したいんだろうか?
 緑の瞳を覗きながら、ノゾミは先のことを考える。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルパート・ブラックスミス
爆槍フェニックス装備、UC【夜鷹の不知火纏う騎身】起動。高速【空中戦】闘だ。
敵の毒リンゴは短剣【誘導弾】で【武器落とし】、後は爆槍で【なぎ払い】だ。
もしノゾミ殿に向かってくるようなら【かばう】のを兼ね、抱えて飛ぼう。

ノゾミ殿。
その鍵もこの屋敷も、貴殿の想いあって意味があるもの。
貴殿がいなくなればこれらは形骸化する。
逆に、貴殿が貴殿として在る限り、全てに意味はある。
そしてそれは、我らがここで闘う理由になる。敵に挑む我らこそを【鼓舞】する!

その想いを手放すな。
そうである限り、貴殿を含めた『我ら』の歩みに意味はあるのだ!
【アドリブ歓迎】



 つつく様な、声が聴こえる。
「……鳥の鳴き声」
「……」
 何故だかは思い出せないし、此処を思えば皮肉だけれど、ノゾミは動物が好きだったようだ。……もっとも、燃える夜鷹を見たことはないはずだが。
「燃えろニクス。俺達の力を猫どもと……同胞に見せつけよう」
 槍と化した夜鷹が鳴く。隙を窺う猫達を牽制するように炎を吹き出して、分厚く、幅の広い堂々たる偉容の槍えと姿を変えた。
 燃え盛る槍を握る騎士の背中が燃えると、其処に翼が宿り、ふわりと浮いた。

 ――飛ぶ。

 事ここに至っては猫達にも躊躇はない。犠牲を厭わずに囲もうと飛びはね、同士討ちも辞さずに毒リンゴを投げ合った。
 だが、それがどうしても届かない。手数はナイフ投擲の技術で補い、囲んだと思えば薙ぎ払われる槍に斬られ燃やされ、猫達は次第に数を減らす。

 ――ニャアニャア、弱点はにゃいか!?――弱いところを探すにゃ――弱いところ――見つけたニャア

「……ひ!?」
 ぐるぅり、屋敷中の猫の視線がノゾミに向けられる。……毒リンゴが投げられ、爪が、牙が彼女を襲う。
 ……だが、それも届かない。
「な、なんで」
「……」
 先程まで縦横無尽に敵を乱していた騎士は、今はアラサーアリスを抱えている。卓越した庇う技術で己を盾にし、凌ぎながら、言葉を紡ぐ。
「ノゾミ殿。その鍵もこの屋敷も、貴殿の想いあって意味があるもの。貴殿がいなくなればこれらは形骸化する」
「あ、ああ。そうかも知れない。……なるほど私で役に立てることがあるなら……」
「逆に――」
 自分の価値を今一信じきれないノゾミに、ルパートは、黒騎士の鎧は思うところを伝える。
「貴殿が貴殿として在る限り、全てに意味はある」
 ここに集った猟兵は、ルパート・ブラックスミスは、利用価値があるから助けに来たのではない。
「そしてそれは、我らがここで闘う理由になる。敵に挑む我らこそを【鼓舞】する!」
 例え今、絶望に苛まれ、我を喪い、闇の中だと思っても。 
「その想いを手放すな。そうである限り、貴殿を含めた『我ら』の歩みに意味はあるのだ!」
 いつかは、報われる日も来ると、ルパートは知っていた。





 鮮烈なる紅い魔力が、暴風が如き蹴撃が、重力を纏った触手が、青白く燃え盛る槍が、遂に猫達を葬り去る。

――ニャアニャア、帰るといいニャア――アリス――何もない世界に――きっと今度は――誰も助けににゃんて来ない――

 屋敷の奥に、光り輝く扉がある。
「ありがとう、猟兵さん達。……大丈夫だよ」
 振り返り、アナザーアリスが言う。……そこにある表情は様々だ。心配している顔、興味深いという顔、興味がない顔、無表情、とびっきりの笑顔。
「私は知ってるもん。……困ったときに助けてくれるヒーローとヒロインがちゃんといて、なんなら、自分がそうなることも出来るって」
 最後は冗談めかして笑顔をみせて、ノゾミは自分の世界に帰っていった。
 彼女がそれからどうなったのか、猟兵達は知ることはない。……だが、きっと大丈夫。……獣の森に、オオカミの声が谺する。……遠吠えに、別のオオカミが応えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年01月17日


挿絵イラスト