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巡りあった予知

#アックス&ウィザーズ

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#アックス&ウィザーズ


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●その角に、その斧に
「ヒャッハー! 奪え奪えー!」
 そう広くない村の中、角付きの毛皮帽子を被った山賊の荒々しい声が響き渡る。
 周囲の地面は血に染まり、少し前までは素朴ながらも平穏に暮らしていた村人、その殆どは既に物言わぬ骸と化して無残な姿を晒していた。
 住人の居なくなった家は山賊に漁られ、金目のものは根こそぎ袋に詰められてゆく。
 中央にあるこの村で一番大きな家からは何かを叩きつけるような連続音がした後、一際大きい破砕音が鳴り、続いて甲高い悲鳴が上がる。
 しばらく後、家の中からは斧を背負い、巨大な袋を複数引き摺った山賊達が出てきたのだった。
「班長、生き残りのガキの確保と食糧庫の鍵壊し、できやした!」
「よし、これで親分への土産も出来たな。全て荷車に積み込め! 拠点へ帰るぞ、野郎ども!」
『おう!!』

 ……人や家だったものの残骸のみとなった村を後にした、その帰り道。
 荷車の積み荷を見ながらにやけた山賊が、先頭に立つ山賊に話しかけた。襲った村で指揮を執っていた男だ。
「今回の収穫もなかなかだったな、班長!」
「ああ、冒険者を怖がらなくていいってのはいいもんだ」
「冒険者どもが来たって、あの拠点と親分が揃えば怖いものなしだぜ!」
「だな。さぁ帰ったら宴だ宴だ!」
『がーっはっはっはっ!!』
 その会話を聴く者は、彼ら以外誰もいるはずがなく――。

●山賊がいっぱい
「そんなわけで、お前らには山賊を退治してもらいたい」
 どういうわけだよ。
 そんな猟兵達の声と視線を受け流し、全身黒尽くめのエイト・ヒガは話を続けた。
「問題の世界は剣と魔法のアックス&ウィザーズ。相手の方はさっきも言ったが山賊だ」
 どうやら最近、彼らの中に強力なボスが現れたらしい。
 そのボスは周辺の山賊達を併合してまとめあげ、その勢いのまま付近で一番大きな村を襲い、村の施設ごと奪ってしまった。大きな村だけあって防衛設備が整っていた分、それがそのまま難攻不落の山賊城となってしまったのだ。
「ボス以外の山賊はそこまでおかしい強さじゃないんだが、奴らはとにかく数が多い。村を襲うにも全員が出払うことはないんだ。俺が予知したのは小さな村が蹂躙されるところで、リーダーらしきものはいたんだが……それほどの力量には見えなかった。奴らの言葉からも、ボスは本拠地から動いていないようだ」
 つまり、今後の惨劇を止めるには相手の本拠地を潰すしかない。
 だが警備は厳重で、敵の数も多い。真正面から向かうのは危険だろう。
「幸い設備が良いといっても扱うのは素人だ。まともに整備できるとも思えんし、群れて気が大きくなってもいる。付け入る隙はいくらでもあるだろう」
 村を襲った時に壊れたものは直していないし、矢避けや柵で死角も多い。
「……そうそう、奴らはトレードマークとして全員が角の付いた毛皮帽子と斧を身に着けている。変な奴らだよな」

 作戦としてはこうだ。
 まずは敵拠点に潜入し、工作によってボスに気付かれる前に敵の戦力を減らしていく。
 それから幹部級の山賊を倒していき、最後に『親分』を倒せば依頼完了だ。

「敵の幹部やボスさえ倒せば残りは烏合の衆だ。捕まった村人達の件も併せて、あの世界の冒険者でもなんとかなるだろう」
 倒した後の事後処理については気にしなくても良いらしい。
「弱肉強食が世の常とはいえ、見えちまったものに対処しないのも後味が悪いしな……んじゃ、後は頼んだぞ」
 そう締めくくり、エイトは猟兵達にひらひらと手を振ったのだった。


灰寺詠
 猟兵の皆さん初めまして。灰寺 詠です。
 初シナリオは王道でございます。

 第一章はスニーキングミッション。敵を減らしましょう。山賊は自分達がひっかかるので罠とかは残してません。
 第二章で山賊幹部、第三章で山賊ボスを駆逐します。

 それでは皆さんのプレイング、お待ちしております。
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第1章 冒険 『難攻不落の城』

POW   :    重要設備の破壊を行う

SPD   :    諜報活動により警備の隙や施設の弱点を調査

WIZ   :    罠や陽動により敵戦力を削る

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

フェリス・シー
ちっちゃい体を生かして隠密行動なの
侍の所にいたよねニンジャーって にんにんなの
物陰に隠れたり、時にはフェアリーランドの中に隠れてやり過ごしたりしながら侵入
単独でいる盗賊にアシッドスピワーでトロウルの胃液で攻撃なのいきなり顔面めがけて溶解液なの
そうやって少しづつ削ってみるのなの


クロ・ネコノ
[SPD]
難攻不落の山賊城ね、それを落とすのが今回のお仕事ってわけだ。
「やっぱり忍び込んで情報収集が1番私に向いてるよ」
【ゴム体質】[目立たない4][忍び足9][物を隠す4][地形の利用1]
『ゴム体質』で身体を縮めて忍び込もう。
村までは木製のバケツに隠れて近づく、村の中では身体を出来る限り縮めて物の裏や下、壷の中等に隠れつつ情報を探そう。[聞き耳9]
(踏み潰される、蹴り飛ばされる、等多少痛い思いをしても山賊達にばれない事を最優先します)
特に[設備の内容]と[警備が手薄な場所]を把握すれば色々やりやすくなりそうだし調べておきたいね。
<コミカルなノリ好きです!アドリブ・他PCとの絡み歓迎!>


シホ・イオア
襲われた村の人はどうなっちゃったんだろう
捕らえられてるなら助けたいな

まずは上空から偵察
見張りの位置を把握しておきたい
偵察出来たら
村から離れて光が漏れないように布を被ってから
警戒の薄い所を狙って潜入

扉や門をマイ・キャッスルで壁を作って塞いじゃいましょう
潜入がばれて騒ぎが起こってもいいなら
施設ごとぐるっと囲んじゃってもいいしね

可能なら一人ぐらい気絶攻撃で捕らえて情報を得たいなぁ
施設のこととか村人のこととかね

もし村人がいたら保護するよ
村から逃げてもらうか隠れ場所を作って隠れてもらうか……
状況次第だね


白菊・誠
【SPD】絵に描いたような山賊ではあるが、にしちゃ規模がデカいな。
狙撃銃で迎え撃っても良いんだが、多勢に無勢か。さてどうすっかね……?

バレた時の為に一応、角の付いた毛皮帽子と斧も準備した上で、
潜入前に【戦線を探る猛禽】を放ち、上空から拠点の確認。
ボスや幹部がいそうな所に当たりをつけたら、
〔迷彩〕を使って手薄な所から飛び込んで、情報収集と行きますか。

敵の数が多いならあまり派手な戦いは避けた方が良いだろうが、
必要なら、防音処置をした光線銃や狙撃銃で弾丸を叩き込もう。

「良い夜を、ってな」「さーて、楽しいパーティーの始まりだ」




 山賊城となった村の上空を過ぎる、小さな光と影。
 よく見なければ錯覚だと感じてしまうであろうそれらはぐるりぐるり、と何度か大きく円を描くように飛行し、やがて村から離れていった。

 その少し後、村より少し離れた藪の中。
 上空からの偵察より帰還したシホ・イオア(フェアリーの聖者・f04634)と、彼女に追従させていた【戦線を探る猛禽】による梟の召喚を解除した白菊・誠(最前線の狙撃手・f05924)が適当に馴らした地面に簡易の地図を描き、それぞれが見た情報を擦り合わせていた。
「見た感じ、特に警備が厚いのは中央の建物だな。逆に薄いのは……こことか、この辺りか?」
「うん。それとここも……ここに住んでた、襲われた村の人はどうなっちゃったんだろう」
 捕らえられてるなら助けたいな。警備の薄い場所に印をつけつつ、シホはそう呟く。
「そこは潜入してから調べるしかないだろう。しっかし、絵に描いたような山賊ではあるが……にしちゃ規模がデカいな」
 狙撃銃で迎え撃つにも多勢に無勢。呆れる程の敵の数に辟易としながら、誠はシホのつけた印と印を線で結び、潜入ルートに目星をつけていくのだった。
 

「おい、例の『小屋掃除』は終わったのか?」
 木製バケツが脇に転がった民家。その前で独り言を呟いていた一本角の毛皮帽子を被った山賊に、二本角の毛皮帽子を被った山賊が声を掛けていた。
「あぁ? なんだよいきなり」
「お前昨日の宴で聞いてなかったのか? 今度別の南の村を襲う予定だが、家畜小屋が一杯になったから減らしておけって親分が言ってただろうが」
 二本角がそう言うと、一本角はしまった、と顔を青くしながらも慌てて頷いた。
「あっ、あぁ……わかった。後でやっとく」
「今すぐだ。親分が怒ると俺もお前も命があるかわからねぇんだからよ……場所は覚えてるな? 西の脇にある赤い屋根のやつだ。俺は中央で他の幹部と襲撃準備があるから、さっさと終わらせておけよ」
 そして足早に去る二本角の背中を、一本角は恨めしそうに睨みつけていた。
「……けっ! 偉そうにしやがって! 幹部と言っても親分の手下になったのが少し早ぇだけじゃねぇか……あぁいらつくぜぇ!」
 怒りのままに近くに並んでいた壺を蹴り上げて破壊した一本角は、ぶつくさと文句を言いながらも目的の小屋に向かおうとして……突然の激痛と共に意識を暗転させた。


「せーばいなの」
 倒れ伏し、どろどろと頭部から溶け出す山賊。
 それを見たフェリス・シー(ちっちゃなプレインズウォーカー・f00058)はトロウルの胃液が詰まった水鉄砲、アシッドスピワーを構えたまま勝利のポーズを決める。
 その脇では割れた壺に巻き込まれ、横倒しになった壺の中から奇妙な塊が出てくるところだった。 
 ぐにょーん。
 そんな擬音が聞こえつつも細長いその塊は収縮し、一人の成人女性の姿をとる。
 クロ・ネコノ(弓矢が得物のゴム鞠猫・f06406)と、その【ゴム体質】である。

 木製バケツに隠れながら侵入したクロは、村にある物の裏や下に身体を出来る限り縮めつつ人気の少ない場所を探し、聞き耳を立てていた。
 そしてこの独り言の多い山賊ならば何か情報を漏らすかもしれない、とヤマを張ってしばらく張り付いていたのだが、どうやら正解だったようだ。
 壺が蹴られた時には焦ったものだが幸いそれはクロが潜んでいたものではなく、立ち去る山賊が背中を見せた際にフェリスが偶然合流。山賊の顔面をアシッドスピワーで撃ったのである。

 元の状態に戻ったクロが一息つくと同時に、フェリスが倒した山賊が目に入る。
「やー、なかなか驚いた……ってグロいグロい! か、かわいい顔してなかなかエグい子だね」
「あくとーたいじもフェリスちゃんにお任せなの」
 物陰に隠れたり、時にはフェアリーランドの中に隠れてやり過ごしたり。その小柄な体を存分に生かしながら、孤立した山賊をアシッドスピワーで仕留めて回っていたらしい。
 そういえば調査中、ところどころの影に何か溶けたようなものがあった気がする。
「侍の所にいたよねニンジャーって。にんにんなの」
 くるくると空中で回りながらふふーん、とポーズを決めて無邪気な笑顔を見せるフェリスに、クロも相手は山賊だし別にいいか、と気にしないことにしたのであった。
「さて、多分捕虜とボスの居場所はこれで確定、配置の少ない場所も調べた……やっぱり忍び込んでの情報収集が一番私に向いてるよ」
 そう呟いて、仲間との合流場所に向かうのだった。


「うご!? あが、が……」
 村の西部にある赤い屋根の小屋、その扉が見える場所にいた山賊の頭部が溶解していく。フェリスの銃撃はいまだ絶好調である。
「もうこの辺りに山賊は残ってないみたいなの」
「ここが、村の人が捕まっているらしい小屋」
 村人に関する情報を入手したシホは彼らを助けるべく、フェリスと共に監禁場所と思われる場所に来ていた。
 喉を鳴らしながらシホが鍵を開け、扉を開いて中を覗くと、そこには頭から袋を被せられ、両手両足を後ろで縛られた村人達が所狭しと押し込まれていた。
「……ひどい」
 袋越しに光が見えたのか、扉が開いた事に気付いた村人達がくぐもった声を挙げながら激しく暴れだす。どうやら袋の中で口も縛られているようだ。
 ……村人の数が多い。全員を解放するにも時間がかかりすぎるし、パニックを起こさないとも限らない。奥にはぐったりと動かない者も見えた。
「フェアリーランドに入れられるか試したけど、これだけ暴れてると無理みたいなの」
 フェリスがどうするの? と首を傾げ、目で問いかけてくる。
 シホはしばらく考え、ボスを倒すまでの間、彼らを施設ごと囲って守ることにした。少なくとも今のままよりは安全なはずだ。
『輝石解放、ゴールド! おいでませ、妖精のお宿!』


 村の中央にある、おそらくはボスがいるであろう大きな建物。
 気の抜けたような音が響いた直後、扉の前に立つ二人の山賊が突如くずおれた。
 近くの草むらが音を立てて歪み、そこから狙撃銃を持った誠が姿を見せる。
「良い夜を、ってな」
 警備の薄い場所から防音処置をした狙撃銃で狙撃していった結果、ボスの居所までに居た一本角の山賊はあらかた始末した。付近の山賊は突然の凶事に恐れて逃げ出しており、残すは建物内部で村の襲撃準備をしているというボスと幹部達だけだ。
「バレた時の為に一応、角の付いた毛皮帽子と斧も準備してたんだが……無駄になったな」
 誠は軽く溜息を吐いた後、これからの激闘を思ってにんまりと笑った。
「さーて、楽しいパーティーの始まりだ」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『山賊』

POW   :    山賊斬り
【装備している刃物】が命中した対象を切断する。
SPD   :    つぶて投げ
レベル分の1秒で【石つぶて】を発射できる。
WIZ   :    下賤の雄叫び
【下卑た叫び】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●これからここまで
 村で一番大きな屋敷。その中では山賊の幹部達が明日村を襲うための準備を行っていた。
 準備と言っても所詮は山賊。武器は奪ったものであるし、物資のほとんどは現地調達だ。荷車の準備も部下にさせており、やっていることと言えば『次回以降の襲撃計画』という名を借りた、ただの宴会であった。
「んくっ、ぷはぁ! んん? もう酒がねぇじゃねぇか。そっちのくれよ」
「あぁ? やだね、これは俺の分だ。欲しけりゃ親分に頼みな」
 案の定酒をねだって断られた山賊が、親分に、と言われたところで震え上がる。
「それこそ無理だろ! いいじゃねぇか。どうせ明日にはまた増えるんだからよぉ」
「断る。欲しかったら外の奴らから分捕ってきな」
「チッ、しゃあねぇなぁ……親分はまた地下かよ?」
「そうだ。『お楽しみ』の最中だろうよ」
 親分も好きだなぁ、何とかして自分にも回ってこないものか、と山賊は半ば諦めながらも部屋を出て、入り口にいるはずの門番に声を掛けた。
「おーい、お前らの隠してる酒持ってこい! 今すぐだ!」
 門番からの返事はない。まだ明るいし、居眠りしているとは思えない。親分の制裁が怖くないはずはないからだ。
「……おい、どうした? まさかサボってんじゃないだろうな!?」
 巻き添えを恐れた山賊が声を荒げるが、それでも門番からの返事はなかった。
フェリス・シー
自分の姿がまだ見使ってなければ最初の一撃だけは隠れて不意をついてインシニレイトしてみるなの

乱戦になったらもう隠れる必要ないのなの。にんにんはやめなの


インシニレイトとアシッドスピワーで交戦なの

インシニレイトでこんがり焼くのとトロウルの胃液で溶解液の好きな方を選べとかいわないから、フェリスちゃんがぐっと来た方をくらうのなの


シホ・イオア
幹部って何人いるんだろ?
ボスが出てくる前に倒しちゃわないとね

「輝石解放、ルビー!愛の炎よ、下賤を焼き尽くせ!」

分散させた炎で敵を狙っていきます
優先的に狙っていきたいのはつぶて投げをメイン攻撃にしてるやつ。
撃ち落されたくないからね。

敵の攻撃は残像を使った回避を試みるよ。
うまくいったらカウンターで炎の属性攻撃!


白菊・誠
【POW】
あー、幹部かどうかは角の数で分かるのか。成程な。
奴らにとっての勲章って事か。じゃあ親分とやらは三本だったりしてな。

ともかく、戦闘と行くか!
山賊は思いのほか気が緩んでるとはいえ
増援を呼ばれると面倒だ、さっさと片付けないとな。

二丁光線銃をメインに、角の多い奴から狙って攻撃。
時折狙撃銃やアームドフォートも持ち出して、
フルバーストで派手にやるとするかね。
勿論、一緒に戦う仲間は邪魔しない様に注意。
皆で連携して、被害無しでこの前哨戦をクリアしないとな!

「なんだなんだ、幹部って言ってもこんなもんか?」
「任せな、援護するぜ!」「なんぞあの水鉄砲……?」




「おいテメェラ! サボってんじゃねぇ……ぞ?」
 ばん、と派手な音を立てて扉を蹴り開いた山賊の目に入ったのは、頭から血を流して横たわる門番の姿。そしてそのままそれは、彼が見た最期の光景となった。
 
 間の抜けた顔のまま側頭部に穴を開けて倒れる山賊を見下ろし、誠は呆れる。
 目の前ではフェリスが倒れた山賊の毛皮帽子の角をつついている。
「角が二本なの」
「角が多いのが幹部だとして、こんなに無防備ってことはまだ俺達に気が付いてないのか……?」
 目撃者は始末していったとはいえ、異変を感じてもおかしくない数は処理したはずだが……この幹部からは警戒の気配が感じられなかった。
「とはいえ増援を呼ばれると面倒だ、さっさと片付けないとな」
「うん。何人いるかわからないし、ボスが出てくる前に倒しちゃわないとね」
 一致した意見に頷きあうそんな誠とシホに、フェリスは不意打ちで先制攻撃することを提案する。
「まだ見つかってないのなら、隠れていってフェリスちゃんの攻撃なの。火葬なの」
 そう言い指を銃の形に構えるフェリスの案に、シホも誠も異論はなかった。
「いいね。じゃあ私もフェリスちゃんに合わせて炎の魔法を使うよ」
「任せな、援護するぜ!」
 こうして三人は足元に転がる山賊を脇に除け、建物の奥に入って行くのだった。


 山賊の居場所はすぐに分かった。屋内の数か所でそれぞれ宴会を開いているらしく、あちこちが非常に騒がしかったのだ。その分、通路に人影はない。
 これ幸いと移動した猟兵達。声が漏れ聞こえてくる広間らしき場所、その扉の中を影から覗き込むと、昼間から酒浸りの山賊達が見えた。
 赤い顔に飛び交う下卑た会話、転がる酒樽……完全に油断しているのは確か。おまけに全員二本角だった。
「……襲撃準備してたんじゃなかったのか」
「警戒してるよりは助かるけど……」
「悪人だからうそつきなの?」
 騒ぎ続ける山賊達に誠が思わず疑問を零すと、シホとフェリスも首を傾げた。あまりにもお粗末だが、傲慢とはこういうものかもしれない。
「まあいい。ちょっと拍子抜けだが、突入だ。手筈通りに頼む」
「わかった」「了解なの」

 返事をしたシホとフェリスが扉の影から室内に入り込み、物陰を利用して小刻みに近付いて行く。そして十分な殺傷範囲に入ったところでフェリスは大声で笑う二本角の山賊に指を向け、【火葬】(インシニレイト)を発動させた。
「えいなの」
「がはははんがっ、ん、熱っ、あぢぢぃぃ、あがぁぁあっ!」
 『指先を向けた相手の身体を発火させる』効果によって山賊の身体は燃え上がり、その服にも炎を移して全身を焼いていく。
 焦げていく山賊を見ながら、フェリスは以前に教わったことを思い出す。
「『こんがり焼けた』って言うのが適切って紅蓮術師の人から聞いたのなの」

 突如仲間が燃え上がるといった異常事態に困惑した山賊が慌てて周囲に視線をやり……物陰に浮かぶシホと目が合った。
「ぅおぁあっ!? な、なん……りょ、猟兵だ! お前ら、猟兵が居やがるぞ!!」
 本能で猟兵を感じ取った山賊の声が響くと、その場に居た山賊達も慌てて起き上がり、それぞれの武器を手に取って『やっちまえ』と、下卑た叫びをあげた。
 その山賊達の雰囲気が禍々しいものへと変わるのとほぼ同時、シホの詠唱は完成した。
「輝石解放、ルビー! 愛の炎よ、下賤を焼き尽くせ!」
 自身の持つ宝石剣エリクシアより生み出したルビーを触媒として『愛の炎』を生み出し、操る。それがシホの【ハート・ロンド】だ。
 シホのルビーから両手で数えきれない数の火球が生まれ、合わさり、その手に剣ではなく石礫を持つ山賊を中心に落ちてゆく。あっという間に複数の火達磨の出来上がりだ。
 慌ててシホ目掛けて剣を振るものの、直撃したはずの剣はなぜか空を切る。 
 そして体がぶれたかと思えば霞と消えて別の場所に現れるのだ。エリクシアの鞘、ロイヤルミストガードの効果だ。
「残念、外れだよっ!」
 そしてシホのカウンターによる魔法攻撃で火達磨は増えていったのだった。

 燃え上がる炎により室温が上昇していく中、小柄な猟兵に挟まれた山賊達は動揺を隠せずにいた。おかしい、この拠点の警戒は厳重だったはずだ、と。自らが宴に興じていたことを棚に上げて。
「クソッ、どこから入りやがった!? 見張りは何してやがる!」
「見張りなら入り口で寝てるぜ? ぐっすりだ」
 それに答えるのは、二丁光線銃を構えた誠だ。
「まだいたのかっ……ふざけやがって! 死ねぇ!」
 激昂して跳びかかる山賊の斬撃を潜り抜け、振り向きざまに腕を撃ち抜く。あまりの痛みに山賊は剣を取り落とした。
「なんだなんだ、幹部って言ってもこんなもんか?」
「ぐあぁ……っ! ちっ……くしょう! 殺す殺す殺すぁぁぁ!」
 誠は激昂する山賊の足元に光線を撃って怯ませると一歩退き、そのまま全武装を展開。一斉発射を開始した。
「それじゃいくぜ! 【フルバースト・マキシマム】!」
 爆音が鳴った。二丁光線銃に狙撃銃、アームドフォートにパイルバンカー。
 誠の持つあらゆる武装が火を噴き、山賊をかつて人型だったものに変えていく。それでいて周囲で戦う仲間にはかすりもしないという見事な集中力だ。
 しばらく後。誠の射程範囲には瓦礫が散らばるのみだった。
「ふぅ……これで大体は倒したな」
 残りも、シホとフェリスによって直に黒焦げになるだろう。

 ふとフェリスの方を見ると、流れるように攻撃を回避しながら山賊に向けてアシッドスピワーと指先の両方を構えていた。
「火葬でこんがり焼くのとトロウルの胃液で溶解液の好きな方を選べとかいわないから、フェリスちゃんがぐっと来た方をくらうのなの」
「んぶ!? ぁ、ぎ、ぃいぎいぃい!」
 今回は胃液だったらしい。水鉄砲の水がかかり、山賊は溶けだした。
「なんぞあの水鉄砲……?」
 謎の水鉄砲に額に汗を流しつつ、こうしてこの広間の山賊は全滅したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

クロ・ネコノ
[SPD]
皆が戦っていた広間とは別の所を探しておこうか、
まだどこかにいるかもしれないし、逃がしたやつがボスと合流なんてされたら困るからね。

【ゴム体質】[目立たない][忍び足][地形の利用]
隠れながら山賊を探して、まだいるなら矢で仕留めて行こう。
<アドリブ歓迎!>




 一方その頃、屋敷の上階ではクロが【ゴム体質】で調度品の隙間に隠れながら、距離の近い酔っ払いの山賊から狙撃していた。
「ふごっ!」
「これで三人目。そろそろ見つかるかな?」
 矢を撃つ度に隙間を伝って移動し、今は天井まで身体を伸ばしたクロが元に戻りつつも目下の様子を伺うと、山賊が部屋のあちこちを破壊しながら襲撃犯を探していた。
「くそっ! 一体どこに隠れてやがる!?」
「冗談じゃねぇ、襲撃者のいる所になんかいられるか! 俺は部屋に帰らせてもらうぜ!」
 そうして部屋を出ようとした山賊の頭を撃ち抜き、死亡フラグを成立させる。
「四。あと二……っと1」
「そこだ! 天井に居やがるぞ!」
 自分目掛けて飛来する石礫をクロが躱すと、残る二人の山賊が自分を睨みつけていた。
「あちゃー。見つかっちゃったね」
「てめぇ、笑ってんじゃねぇぞ!」
 てへ、とクロが地面に降り立って笑うと、再び石礫が飛んで来た。
 ひらり、ぐにょり、びろーんとあり得ない姿勢と動きで避けるクロ。攻撃が当たらず動揺する山賊の頭に、クロが撃ち出した矢が突き刺さった。
「これで残るは一人。諦めるかい?」
「糞が、親分さえ、親分さえいればお前みたいな小娘なんぞ!」
 最後の山賊は全速力でクロとの距離を詰め、剣で斬りかかった。弓で応戦出来ない様に距離を詰める考えらしい。
「こんだけ近けりゃその弓だって役に立たがべっ!」
 後頭部に矢を受けた山賊は、なぜ自分が攻撃を受けたかわからないまま死んだ。
「矢は弓から撃つとは限らないんだよ?」
 単純な話だ。弓矢の攻撃を警戒した山賊の背後に腕を伸ばし、戻す反動も利用して『手に持った矢を刺した』のだった。
 おどける様に肩を竦めたクロが耳を澄ませれば、いつの間にか屋敷の中は静まり返っていた。どうやら他の場所でも制圧が完了したようだ。
「さってと、ボスはまだ残ってるのかな?」
 クロは軽い足取りで階段を降り、仲間達の元へ向かうのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『山賊親分』

POW   :    強欲の叫び
【酒!】【金!!】【女!!!欲望に任せた叫び声をあげる事】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD   :    剛斧一閃
【大斧】による素早い一撃を放つ。また、【服を脱ぐ】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ   :    手下を呼ぶ
レベル×5体の、小型の戦闘用【山賊子分】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
👑17
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はアルル・アークライトです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●今すぐそこまで
 猟兵達が地下室への扉へた辿り着くのと、その扉が弾け飛ぶのは同時だった。
 据え付けた壁さえも巻き込んだ破壊の嵐は、周囲に瓦礫と粉塵を撒き散らす。
 やがて巻き上がる白煙の中から現れたのは、強靭な肉体と巨大な斧、そして本物の角を持った巨漢の偉丈夫であった。
「俺の家でコソコソ動いてやがったのは、お前らか……」
 そうして山賊のボス、『山賊親分』はその鋭い目で周囲を見渡した。
「ちっ……何の音も聞こえねぇ。全滅か。役立たずのクズどもが」
 何の感慨もなさそうに呟いた山賊親分はその巨大な斧の背でとんとん、と肩を叩く。
「ここは便利だったが、所詮動かすのは無能ってことだな。まぁいい」
 肩に置いた斧を持ち上げ、ゆっくりと大きく振りかぶる。
「クズがいくら死のうとどうでも良いが、俺の邪魔をしたことが気に入らねぇ。だから……」
 そのまま斧を地面に打ち下ろす。床面が轟音とともに大きく陥没した。
「ブッ殺してやるからかかってこい、糞猟兵ども!」
 山賊親分との戦いが始まった。
フェリス・シー
みんな突撃ーなの!
轟音のクラリオン吹き鳴らして仲間の士気高揚させてみるのなの

敵の行動はフェリスちゃんがカウンターするから安心していくのなの

敵の行動に対しては対抗呪文でカウンターして他のみんなをまもるのなの、
あとは隙があればアシッドスピワーでトロウルの胃液浴びせるのなの


シホ・イオア
あ、起きてたんだ
出てこないから寝てるのかと思ったよ
ただの鈍感さんだったんだね☆

斧攻撃がメイン、と。
なら狙っていくのはその両手だね
炎を個別に操って執拗に狙っていくよ
警戒してくれれば敵の動きが鈍るし
被弾覚悟なら遠慮なく手を焼いていくだけだよ
手に対しての攻撃が効かなければ……急所をねらy

「輝石解放、ルビー!さあ、悪戯しちゃおうか。」

仲間との連携は取りたいな
敵の攻撃に対しては残像と見切りで対処
隙があればカウンターも狙っていくってところかな

ユーベルコードで作った家ってどれくらい持つんだろ
戦闘が終わったら村の復興を手伝いに来たいな


白菊・誠
【POW】
「どんなボスかと思ったが、流石にザコとは違いそうだな」
「って、二本しか角が無いのかよ」
……ともあれ、こいつを倒せば幕引きだ
ここまでザコばっかりだったが最後まで油断はしないぜ?

地下となると高さや間合いがきついが、やる事は変わらねえ
皆で一緒に、撃って殴って暴れるだけだ!

上が崩れたらやべぇし、締めは双銃メインで行くぜ
スマッシュパイクは武器受け用、斧はこれで受けたいが
咄嗟なら狙撃銃だろうと受けに使うし銃床で殴ったりもする
「そう簡単には砕けねぇよ」「零距離なら曲がってようが当たるぜ」

事後処理不要だったか……ま、戦闘後は流れに任せるか
同行してくれた皆に感謝するぜ




「あ、起きてたんだ?」
 ぱらぱらと壁の破片が舞う中、最初に動いたのはシホだった。
「出てこないから寝てるのかと思った。ただの鈍感さんだったんだね☆」
 満開の笑顔で皮肉を言うシホ。だが山賊親分は大して気にした風もなく、シホにねっとりとした視線を這わせて舌なめずりをした。
「いいねぇ……そういう生意気なのは嫌いじゃないぜ。ナリは小さいがイイ声で鳴いてくれそうだ」
 本能レベルの敵にまで汚れた欲を見せるその視線にシホが思わず身構えた時、屋内に高く太い音が鳴り響いた。同時に強烈な衝撃波と複数の光線が山賊親分に押し寄せる。
「みんな突撃ーなの!」
 衝撃波と音の源である『轟音のクラリオン』から口を離したフェリスが掛け声をかけ、二丁光線銃を構えた誠が距離を詰めながら銃撃を続ける。フェリスはそのまま動かず演奏に戻り、戦意高揚のためにと勇ましい曲を奏で始めた。
「どんなボスかと思ったが、流石にザコとは違いそうだな」
 位置を変え角度を変え銃撃を続ける誠の目に入るのは、巨大な斧を軽々と振り回して盾代わりに光線を防ぐ山賊親分だ。弾き、逸らし、巧みに光線の直撃を避ける。死角を伺う誠の目に、山賊親分の頭部が目に入った。
「って、二本しか角が無いのかよ」
 ボスなら角の数は多いはずだろう。そう思っていた誠の声を聞き留めたのか、山賊親分が薄笑いを浮かべながら理由を話す。
「あぁ、クズどものお寒い真似事か。俺にあやかろうってんで始めたみたいだが、偽物の角などと実に下らん事だ。お前もそう思うだろう?」
「……さてな。その下らん連中の親玉がお前だよ」
 このままでは埒が明かない。誠は光線銃を撃ちながら、火力の高い武器の準備を始めた。


 その隙に二人の乱入で気を取り直したシホが、宝石剣から輝石を生み出し触媒へと変える。
「輝石解放、ルビー! さあ、悪戯しちゃおうか」
 言葉と共にシホのルビーから【ハート・ロンド】の愛の炎が飛び上がり、山賊親分の周囲を取り囲んだ。愛の炎は主の思うがままに動く。不規則な軌道を描きながらも、その意思に従って大斧を持ちうる両手目掛けて殺到した。
 その炎が着弾するかに思えたその瞬間。小型の何かが山賊親分の周囲に現れ、そして山賊親分を守るように愛の炎が直撃して爆散した。
「えっ? なに、今の」
「なかなか面白れぇ攻撃だな。でも当たらなけりゃどうってこたぁねぇ……ほれ」
 シホの驚きににやついた山賊親分が手を振ると、何もない空間から膝半ば程度の山賊子分が現れた。どうやらどこかから召喚したらしい。
「大して強くねぇし一撃で消えちまうが、盾代わりには十分……っと」
 言葉の途中で子分が顔の前に現れ、水を浴びて爆散する。
 シホが攻撃元に目をやると、そこにはクラリオンでの演奏を終わらせたフェリスがアシッドスピワーを構えながら滞空していた。
「シホちゃん、残りも攻撃なの」
「残りって、【ハート・ロンド】の?」
 また子分で防がれるのではないか。そんな疑問を浮かべるシホに、フェリスは満面の笑みで答えた。その声は自信に満ちている。
「今度は大丈夫なの」
「わかった」
「相談は終わったかぁ? ま、無駄なんだけどな」
「それじゃあ……悪戯の仕上げだよっ」
 余裕の笑みを浮かべながら大斧を振るうその手に、愛の炎が再び殺到する。山賊親分は当然のように山賊子分を出そうとして……無防備なまま愛の炎を命中させた。
「ぐおっ1? な、なんだ?」
 確かに山賊子分は召喚した。だが、召喚と同時に消滅したのだ。
 動揺する山賊親分に、フェリスは目一杯のドヤ顔で胸を逸らして答える。
「【対抗呪文】(カウンタースペル)なの」
「カウ……なんだって?」
「打ち消し魔法なの。召喚するところも見ててばっちりなの。あなたにできることなんか、みんなフェリスちゃんが簡単に打ち消せることばかりなの」
 ふふん、と自慢げに浮かぶフェリスを見て、山賊親分から表情が消えた。
「……気が変わった。もっといたぶるつもりだったが、今すぐてめぇから殺処分だ」
 次の瞬間、シホとフェリスの視界には山賊親分の脱ぎ捨てた服が映っていた。


 剛斧一閃。
 上衣を脱ぎ捨てたことで呆れる程に加速した一撃を受け止めたのは、誠から発射されたスマッシュパイクだった。
「あ、危ねぇ……二人とも大丈夫か?」
 誠が声をかけると、シホとフェリスも硬直状態から復帰する。
「た、助かったよー」
「ありがとうなの」
「ほぉ、よく止めた。だがな、決め手が一撃とは限らないんだ……ぜ!」
「ぐっ!」
 スマッシュパイクにめりこんだ大斧を切り替えし、側面から再びの剛斧一閃。
 誠が咄嗟に狙撃銃を盾にして防ぐと、銃床で地面を削りながら移動し、嫌な音を立てて銃身が曲がった。
「良い反応だ。だが大事な武器はその有様、いつま防げるか見物だな」
「この銃はそう簡単には砕けねぇよ……それに、スピードなら俺にも自信がある」
 山賊親分が再び大斧を持つ手に力を入れた次の瞬間、その腹部には折れ曲がった狙撃銃の先が突き付けられていた。
「零距離なら曲がってようが当たるぜ! 【クイックドロウ】!」
「ぐっ、ぐおぉぉおっ!」
 銃口から瞬きほどの速さで弾丸が吐き出されてゆく。全ての弾丸を吐き出した後、そこに立っていたのは腹部に大きな傷を負った山賊親分だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ウルフシャ・オーゲツ
ファンタジーな世界はバイクに限る!
地下だろうと何だろうとウチの宇宙バイク『ステラドラグーン』を止められるものはおらんな!
「狭い地下なんぞに縮こまりおって!ウチが頭を何回ぶつけたと思っとる!」
 え、素直に歩いてこいと? ……その発想はなかったわ。
「さぁ、その何を脱ぐのかわからんような恰好でそれ以上の速度が出せるか! 今の速さじゃあ……ウチは捉えられんぞ!」
 【ゴッドスピードライド】でサーカスが如く縦横無尽に駆け回って相手を攪乱、隙を突いてひきとばすんじゃ。正面から斬りかかられても大丈夫、バイクは飛べるからの!(ジャンプ的な意味で)
「こんなか弱い女子にええようにされるとはのう? ざぁこ、じゃな♪」




「痛み? この俺様が出血だと……?」
 山賊親分は腹部を抑えた血塗れの手を見て呆然とした後に表情を消し、その気迫を増大させて吠えた。
「お遊びはもう終わりだ……肉の一片たりとも残さねぇから覚悟しろ!」
「それは嫌やなぁ」
 その叫びに応えたのは、宇宙バイク『ステラドラグーン』に跨ったウルフシャ・オーゲツの何とも軽い声であった。
「まったく狭い地下なんぞに縮こまりおって! ウチが頭を何回ぶつけたと思っとる!」
 大きなリボンを揺らしてぷんぷんと怒るウルフシャの頭には、よく見ると小さなたんこぶがいくつかあった……かもしれない。
「うるせぇ! さっきからブンブンブンブン……降りて歩いて、そして死ねや!」
「え、素直に歩いてこいと? ……その発想はなかったわ。ほなけんど嫌やけれど」
 山賊親分の苛立ちの言葉に衝撃を受けるもウルフシャはすぐ気を取り直して否やを返し、ステラドラグーンのアクセルを踏み込んだ。
「さぁ、その何を脱ぐのかわからんような恰好でそれ以上の速度が出せるか! 今の速さじゃあ……ウチは捉えられんぞ!」
「ほざけ! 俺様は無敵だ!」
 山賊親分は接近するウルフシャ目掛けて横薙ぎの剛斧一閃を放つが、その一撃は身体ごとバイクを深く傾けることで回避される。ステラドラグーンは車輪と地面の擦過音を鳴らし、そのまま深い角度でカーブ。山賊親分の背後を通過した。
 【ゴッドスピードライド】により形態を変えて高速移動するステラドラグーンは山賊親分の前後を、脇を、時には頭上の壁をも縦横無尽に走り回った。
 山賊親分も負けじと首と大斧を振り回すが、ステラドラグーンはそれを嘲笑うように時には傾き、時にはジャンプで軌道を変えてその全てを避けた。
 空振りというのは体力を消費するものだ。腹部からの出血もあり、山賊親分の動きは徐々に鈍っていく。
「こんなか弱い女子にええようにされるとはのう? ざぁこ、じゃな♪」
「くそがっ……これでっ、死ねぇぇ!」
 煽られた山賊親分が全力を振り絞った剛斧一閃を放とうと大振りになった、その刹那。
「ここじゃっ!」
 ウルフシャの持つ巨大箸「天野川」「流星」が山賊親分の両肩に突き刺さった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クロ・ネコノ
【POW】
おっとまだボス残ってるね、今更遅いかもしれないけど援護しようか。
【制約の矢】[目立たない][忍び足][地形の利用][スナイパー][2回攻撃][援護射撃]
まず気付かれない位置から相手の手を狙って矢を射る、肩にもダメージが入ってるからね、武器を落とさせる方向でいこう。
そして敵が武器を拾う前に【制約の矢】を放つよ。
当たったら私と相手に課すルールを宣告する。
「武器を拾うな!」
これで拾わなかったらそれはそれで良いんだけど、拾うなって言われて拾わない奴はいないよね。
まあ簡単なルールだし破ったダメージも期待できるんじゃないかな?


メルフローレ・カノン
到着が遅くなりましたが……
まだ山賊親分が残っているのですね、これを退治です。

私の得物は主にメイスですが、
状況次第では予備武器の剣も活用します

敵の攻撃は[武器受け][見切り]でかわしたり
召喚した手下を[なぎ払い]で打ち払うことで避けます。
持ち堪える状況では【無敵城塞】も活用です。
「ここは堪えてみせます!」

攻撃に際しては、「力溜め」の上で、「2回攻撃」「鎧砕き」などで
メイスでガンガン叩いていきます。
「気絶攻撃」で動きを鈍らせて、他の皆さんのチャンスを作ることもしましょう。
「全力で行きますよ!」

遅れてきて申し訳ないので、戦闘後はしおらしくしてましょう。




「ぐぁっ、ぐぉ……おぉおおおお!」
 両肩に穴を穿たれた山賊親分がよろめいてたたらを踏み、そしてそんな行動をしてしまった自分にさらに怒り、激昂する。肩への攻撃で取り落としかけた大斧は血管が浮き上がる程握りしめられ、みしみしと悲鳴を上げた。
 大斧を構えて体勢を低くしていく山賊親分を見て、先程破壊された扉付近で合流したクロとメルフローレ・カノンが呟く。
「おっとまだボス生き残ってるね」
「到着が遅くなりましたが……そのようですね」
 見たところ、山賊親分はかなりのダメ―ジを受けているようだ。このままでもいいずれ倒れるだろうが、自分達が加勢すれば決着はさらに早まるだろう。
「うん、今更遅いかもしれないけど援護しようか。メルフローレさんは何が得意?」
「私の得物は主にメイスですが、状況次第では予備武器の剣も活用します。防御にもそれなりに自信はありますね」
「近接特化か。ならあいつは肩にもダメージが入ってるからね、私は武器を落とさせる方向でいこう」
「わかりました。私が攻撃を引き付けますので、その隙に」
「おっけー。それじゃ……行くよっ!」
 簡単な打ち合わせを終え、クロが山賊親分の死角となる方向へと移動する。高い技能に支えられたその走りは音も気配もなく、味方さえも気づかぬ間に即座に狙撃に最適な位置をとり、ロングボウに矢を番えた。
 クロの早業に驚きつつもメイスを構えたメルフローレが山賊親分の前に出たのと、山賊親分が目を見開き大声で叫んだのはほぼ同時だった。
「酒! 金!! 女ぁあ!!!」
 言葉と共に山賊親分の上半身が膨張し、首飾りと腕に残った毛皮が弾け飛ぶ。腹部と肩からの出血量が増すが、そんなことはお構いなしだ。
「はぁ……はぁ……てめぇらは俺を怒らせた。その単純な理由でもって、ここで死ね!」
「お、お断りします!」
「おらおらおらおらおらおらおらぁぁ!」
 もはや技も型もない、完全な力任せの攻撃。だが持てる筋力を全て攻撃に回したかのような斬撃は恐るべき威力と速度でもって、メルフローレに襲い掛かった。
「くっ、はっ、ふっ、えいっ!」
 メルフローレはそれらの攻撃を見切り、避け、武器で受け流していく。攻撃の度に大斧が床を破壊してその破片を散らす。何度か危ない攻撃もあったが、その都度大斧に矢が当たりその軌道を変化させた。クロの援護射撃だ。
 このままでは埒が明かない。そう思ったメルフローレは視界の端に映ったクロに向けて大きく頷き、メイスを構えたまま動きを止めた。
「ここは堪えてみせます……【無敵城塞】!」
 突然の大きな隙を逃さず山賊親分が大斧を振り下ろすと、不可視の障壁が斬撃を阻み、その動きを一瞬止める。
「――【制約の矢】!」
 それで十分だった。大斧を握り締める手にクロの2本の矢が突き刺さり、その骨を破壊する。その手は山賊親分の意思に反し、激痛と共に大斧を取り落とした。
「ぐがぁっ……! ふざ、ふざけるなぁっ!」
 即座に残った右手で斧を拾おうとした瞬間、クロの宣告が響き渡る。
「――武器を拾うな!」
「ぐっ……あ゛っぎい゛い゛え゛ぇ゛ぉ゛ごぉぉっ!!」
 【制約の矢】の効果により、宣告されたルールを破ったものにはダメージが与えられる。それが単純なものであればあるほど、威力は増大する。果たして「何かを拾う」という単純極まりないルールを破った威力は如何程のものだったのか。山賊親分の身体は震え、しゅうしゅうと白煙を上げて動きを止めていた。
「今です! 全力で行きますよ!」
 予想以上の効果に誰もが驚きつつも、【無敵城塞】を解除して力を溜めていたメルフローレが動きの止まった山賊親分をメイスでガンガン叩いていく。クロからの狙撃も次々と決まり、山賊親分はさながら落武者の風体を成していた。
「そしてこれで……とどめ、です!」
 メルフローレがメイスから切り替えたバスタードソードで腹部を貫くのと、クロの狙撃が心臓を貫くのは同時であった。
「っが……馬鹿……な…………俺様は……無……て…………き」
 そう言い残し、山賊親分は息絶えた。


「終わったねぇ」
「終わりましたね」
 山賊達を壊滅した猟兵達が外に出ると、日が大分傾いているのが見えた。
 村の周囲に目を向けると保護隔離されていた村人達が解放され、先に出ていた一部の猟兵と共に事後処理をしている姿が目に入る。
「遅れてきた私が止めを刺して良かったのでしょうか?」
「誰も気にしてないと思うよ?」
 オブリビオンを倒すことこそが私達の役目だからね、と少ししおらしくしているメルフローネにクロは告げる。
 この地域を襲う脅威は排除された。今までに失われた命は戻らないが、どのように復興していくかはこの土地に住まう者の仕事だ。
 そうして猟兵達は自らが救った村を後にしたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月19日


挿絵イラスト