#アルダワ魔法学園
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●アルダワ迷宮 とある一角
それは偶然見つけたものだった。
蒸気と魔法の学園の地下迷宮の、とある回廊を冒険していた学生達は、変わった氷像を見つけた。
女性はスカートをはだけさせられ、男性は下着一丁になるまで服をボロボロに、くすぐられたのか歪んだ笑顔のまま変なポーズをした、冷たき氷のオブジェ。
顔見知りだったのでそれがダンジョンで作られた氷像でなく、学生達の無惨な末路だったのに気づけたのは不幸中の幸いだった。
学生達を回収し、医務室で彼らを解凍した際、彼らの手元にはいつの間にかプレゼント箱を持たされていた。
それは……アルダワに伝わる、とある伝説を想起させた。
冬日、眠り子の傍にプレゼントを置いていく、しかしその姿を見た者は氷の眠りにつかされてしまうという、伝説の雪娘。
●その少女は災魔みたいだから倒してきてって話。
「冬なの。アルダワに冬が訪れたの。」
グリモアベースに招集された猟兵達は、既に雪景色に変わりつつある部屋でポーラリア・ベル(f06947)の話を聞いていた。
「アルダワダンジョンの一角に訪れた学生さん達がこぞって氷に変えられてる場所があって、そこを調査して欲しいの。」
ただ、と、妖精は付け加える。
「凍って放置されてる学生さんは、皆プレゼントを渡されていて―」
これなんだけど、と、特別に借りたプレゼント箱を見せる。
中には救出された学生が、寒いからと以前から購入を検討していたマフラーが入っていた。害はない。
「戦闘不能になる代わりに聖夜祭のプレゼントがもらえる!って、学生さんに人気だけど、おかげでそのフロアは誰も突破できなくて、攻略に詰まってるみたいなの。」
多分これは災魔の仕業だから、もしよかったら攻略のお手伝いに行ってもらえないかと。
つまりはそういう依頼であった。
ポーラリアの手からグリモアの光が溢れ出す。
「解凍された学生さんは記憶があやふやだけど、たぶんここ!っていう回廊があったから、まずはそこを進んでみて!あたしのお仲間な妖精さんが、いっぱいいるフロアだよー♪」
光に照らされて舞う幻想的な雪と共に、猟兵達は迷宮の一角へと歩みを進める事となった。
古塔
あと1週間くらいでクリスマスですね。古塔と申します。
寒い冬のお話の一端、務めさせて頂きます。宜しくお願いします。
●なにこれ
アルダワ地下迷宮の一角に潜む災魔な少女を見つけ出し、打ち倒すシナリオとなります。
●1章
氷雪妖精がたむろしているフロアです。
どうやら学生さんが無惨な姿で凍ってる元凶は彼女らの仕業っぽいです。
災魔に何をほだされたのか、プレゼントを隠し持っています。
有り余る冷気の力で衣服を凍らせたり、雪だるまにしてきたり、服の中に入って凍らせたりと悪戯してきます。
凍り付いてしまった人にはもれなくプレゼントが渡されます。ノリで飾り付けられたりされるかもしれません。
後述もしますが【シナリオの成否にかかわらず実際には手に入らない、このシナリオのみのロールプレイ的プレゼントです】。
●2章
まだここに辿り着けた学生さんはいません。猟兵達の目で確かめてください。
●3章
災魔にして伝説の少女とご対面の予定です。
●注意
このシナリオで手に入ったプレゼントは、【シナリオの成否にかかわらず実際には手に入りません】。
どんなプレゼントかはプレイングでご指定も可です。指定しない場合はこちらで適当に。
―ですが、このシナリオのみの出来事なのであらかじめご了承ください。
第1章 冒険
『氷雪妖精達の悪戯』
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POW : 妖精の悪戯なんかに負けない!気合で突破だ!
SPD : 妖精達より素早い速度で捕まえる
WIZ : 話し合ったら、悪戯を緩めてくれたり、従えたりできるかな…?
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
猟兵達が転送された地下迷宮のフロアは回廊。
当たり前の様に雪が降り積もり、天井には無数の氷柱が垂れ下がっていて、床や壁は見事な美しさの氷で彩られている。
白い霧の如き冷気が漂うと、その中心には可愛らしい雪や氷の妖精が、きらきらと小さな氷の結晶を空中に散りばめながら宙に浮いている。
彼女らは真っ白で、薄い青色をした氷の衣装を身にまとっている小さな女の子。雪結晶の翅をパタパタと羽ばたかせている。
体長は――突然だが読者諸君、お手元に漫画の単行本はあるだろうか。数学の教科書とかでもいい。そう、それだ。それの縦直径――妖精達は、それくらいのサイズであった。
静かにキラキラしている白銀のダンジョンフロアには、既に幾体かの学生らしき氷像が立ち並んでいる。
突き出したドラゴニックランスが氷のクリスマスツリーに覆われて、驚愕の表情のまま格好良く凍りついているドラゴニアンの少女は、胸の防具を冷凍破壊され、あられもない状態を隠すこともできず氷像として立ち尽くしている。
雪だるま状態で動けなくなったケットシーの女の子を抱えて逃げ出そうとしている人間の少年は、ズボンをずり降ろされ、足がおぼつかずよろけた姿でケットシーごと厚く透き通る氷の中に閉じ込められている。凍てつき色を失っているが、恥ずかしさ全開の表情の少年は、凍る直前までさぞかし顔を真っ赤にしていた事だろう。
マイク型のシンフォニックデバイスを落としてしまい、四つん這いの体勢で手を差し伸べたまま停止し、伸ばした腕にびっしりと垂れ下がる、白く美しい氷柱が出来上がったミレナリィドールの少女の氷像は、後からその首にマフラーが巻かれており、伸ばしてない方の手にプレゼント箱を抱えていた。
気配を潜められる猟兵が居れば気づくだろう。フロアの隅っこできゃっきゃわいわいしている妖精達の声に。
「それじゃあー、一斉に見てみよっか。」
「プレゼントー」「どーん!」
妖精達は、報酬として災魔からもらったプレゼントの箱を一斉に開けた。
「わぁ、新しいお洋服!」
雪飾りをふんだんに使われた、もこもこの暖かそうな雪妖精の衣服を早速着て自慢する。
「あたしの…あっ、ガジェットだ。ぴかぴか光ってる」
長銃型に派手な装飾と至る所にボタンが付いたガジェット。あちこちボタンを押す度に銃のいろんな所が光ったり音が鳴ったりしている。
「僕のは」
「…ケーキだ!」
「食べちゃったら終わりだよ?」
箱をのぞき込むとさっくり食べ頃食感のクリスマスアイスケーキが。
「上の聖夜祭に混ざったら、ケーキいっぱい食べられるのにね」
「プレゼントでもらうケーキがいい。皆もたべる?」
「いいの?」「食べる食べるー!」
きゃっきゃわいわいする妖精達。持っているプレゼントの箱は、1人につき『2つ』。
「ご褒美もらえる代わりに、こっちの箱は冒険者さんにプレゼントしなきゃいけないんだって。」
「開けたいなー。開けちゃいたいなー。どんなの入ってるんだろう」
「悪戯の許可が下りた上に、幸せもおすそ分けできちゃう!」
防寒対策を万全にしてくるも、真っ白に凍りついて破壊された衣服の中から氷に覆われた下着を見せびらかして、くすぐられたのだろうか、慌てた様子と無様に歪んだ笑顔のまま氷像と化していた人間の少女に寄り添い……妖精達は反応を返さぬ氷の表情に微笑みを向ける。
「氷が溶けるまで―」
「君達も」
「私達の」
「悪戯プレゼント、うけとってね♪」
「…………」
それぞれの氷像には、ささやかに(これも凍りついているが)プレゼントの箱が添えられていた。
死者はまだいない。帰還不能者は確実に増え続けている。
本当はこの極寒のフロアで凍え倒れた学生にそっとプレゼントを置いていくだけでいいのだけど、かちこちに凍らせてしまえばすぐ渡せるよね!みたいな、そういうノリであった。
「冒険者さんはみんなおかしなリアクションを取ってくれるから」
「たのしいね」
「楽しいの!」
フロアの危険は妖精達だけではない。対策を怠れば雪山で遭難するレベルの寒さが学生と猟兵達を襲う。
ツルツル滑る氷の床、都合よく衣服の隙間に落ちて来る魔法の氷柱、飛び越えようとすれば勢いよく冷気のガスが吹き上がる落とし穴まで、侵入者トラップも万全だ。
『ダンジョン攻略のついでにプレゼントももらえる』
そんな、キマイラフューチャー辺りなら、クリスマス系のイベントクエストで締められそうな話につられて飛び込んだ学生達は、無邪気な妖精達と回廊の毒牙ならぬ氷牙の強さに、そろいも揃って凍りつかされていた。
おかげで未だ、フロアを突破できた者はいなかった。
●妖精達について
やってくる人を容赦なくえげつない雪と氷のオブジェにしてきますが、オブリビオンではありません。
沢山います。討伐・無力化、ご自由に。
何らかの方法で従えたり親しくなれば、いい感じに罠や悪戯に便宜を図ってくれるかもしれません。
プレゼントは「眠ってる子に」しかあげてはいけないと災魔に約束されています。
シャルボン・フランヴェルジュ
アドリブ、絡み歓迎
【WIZ】
氷雪妖精かぁ。
災魔の影響を影響を受けたらしいとはいえ、倒したくはないね。
とりあえず会話で解決できないか試してみるよ。
まずは逆にこっちから贈り物を渡して会話の糸口を掴もう。
贈り物は……菓子折りでいいかな?
その後は話を誘導して、災魔の情報を聞き出すよ。
もし対話に失敗して凍らされてしまったら、魔剣の【属性攻撃】の炎を使って自力での解凍を試みるよ。
あ、もちろん解凍を始めるのは、妖精さんの悪戯が終わってボクから離れてからだよ。
炎で妖精さんを傷つけちゃうかも知れないからね。
テフラ・カルデラ
絡み・アドリブ可
学生さんが凍らされて氷像に…なんて羨まし…じゃなくて何とかしなければ学生さんの氷像が増える素敵な…じゃなくて大変なことに!
あ、でも一応オブリビオンではないので倒す必要はないですよね?
こ…これが氷雪妖精さんですか…かわいいけども人を凍らせちゃうのですよね?是非仲良くしたいところですぅ…(どきどき
わわっ!?妖精さんの冷気でふ…服が凍って寒い…!
さらに妖精さんたちが身体中抱き着いてきて凍り付いていって…激しいアプローチなのですぅ!
ってそんなこと言ってる場合じゃない!?凍って…しまっ…て…うごけ…な…
(プレゼント箱には何故か凍り付いたテフラと氷雪妖精たちの写真が何枚か入っていた…)
●
「はわぁ…!」
その兎の少年が見たのは一面の氷の世界。
「はわぁ…!」
氷で滑って尻もちをついたまま、吹雪の突風を浴びたかの様になびいた髪がそのまま時を止めた、長髪ミレナリィドールの氷像。
ぱっと見はただ雪の積もった樹氷の様なもの、手を触れ雪が落ちると立派な服の胸元をはだけさせたまま氷漬けになったケットシー達のパーティー
古代遺物の氷彫刻の如く、見事なまでに様々な姿で凍り付き、人としての存在を氷に閉ざした学生達。
「…なんて羨まし…!!」
はっとなって口を手でおさえる。彼の名はテフラ・カルデラ(特殊系ドMウサギキマイラ・f03212)。
彼、としているが、その姿は完全に可愛らしき今時の少女である。
乳白色の長髪に、スカートを含む赤地に緑の洋服をひっかけている。ただの少女と違う所といえば天然の兎耳と兎尻尾がついているくらいか。
「こほん、そうですねこれは大変な事です。何とかしなければこれよりもっと学生さんの氷像が増える素敵な…」
はっとなって口を手でおさえる。
「…だ、誰も聞いてないですよね…?」
「おや、打ち合わせはしてなかったけど―」
「は わ ぁ !?」
びっくりして飛びのくテフラ。彼の後ろには別の少年がいた。
「ボクだよ。シャルボン。奇遇というか、テフラさんならやっぱりここにも来るかなって予想してたっていうか。」
「そ、そんなに分かりやすいですぅ…?」
「うん。そういうボクもボクだけどね。シエナさんもじきにここに来るって。」
シャルボン・フランヴェルジュ(契約魔剣(ただしご主人募集中)・f22312)。彼は完全に少年の姿をしていた。赤い瞳に黒い短髪。貴族の如き軽い礼服を着ているが、猟兵達ならこの程度の寒さはへっちゃらだ。
「それにしても氷雪妖精か。災魔の影響を影響を受けたらしいとはいえ、倒したくはないよね。」
「ですねぇ。一応オブリビオンではないので倒す必要は…」
そう思いながらきょろきょろと辺りを見回すが、ただただ静かな氷のフロアに、しんと冷気が漂うばかりであった。
「妖精さん、いませんねぇ?見るからに寒い所ですし、ここにいると思ったのですが…」
「ふむ。隠れているのか、たまたま離れているのか。」
そう言うや否やシャルボンは持ち出していた、とある小包を取り出した。
「じゃあまずはこっちからプレゼントを仕掛けてみよう。」
中にはぎっしりのお菓子が詰め込まれた、菓子折りのプレゼント。
「妖精さん、妖精さん、プレゼントを持ってきたよ。ちょっと話し合わないかい?」
すると白い靄のような冷気が、辺りに漂っては消え…を繰り返し始めた。
どこか透き通る声の、冷たいひそひそ話が聞こえるようだった。
「どうしよう」「どうしよう」
「わたしたちを知ってるわ」「わたしたちに気づいてるみたい」
「それに……プレゼントをもってきたって……」
「大丈夫?」「大丈夫?」
「冒険者さんにもらっても大丈夫?」
「そんな事、聞いてない……」
一人の妖精がはっとなった顔をする。
「……プレゼント交換なら!」
ただでさえ寒い気温が更に下がった時、きらきらと儚く美しい冷気の光と共に、氷と雪の妖精達が二人の前に現れた。
「はわっ!きゅ、急に出てきました!」
テフラの言葉もよそに、妖精達の一人は凍らせることなく、シャルボンにプレゼント箱を渡そうとしている。
「冒険者さん、わたしたちを知ってるのね。」
「?」
何か引っかかる言葉だが、シャルボンは応えた。
「うん。知ってるよ。だからお近づきになりたいんだ。はいこれ」
「ぁ……わたしも、これ。」
菓子折りのプレゼントと、妖精のプレゼント箱が手渡しで交換される。
「ちょっと待って」
しかし妖精の一人が何かに気づいた様に、突如テフラに近づいた。
「えっ?」「ちょっと待って。そっちのうさぎさん……」
妖精達はプレゼント交換の嬉しさも吹き飛ばすように……不意に笑みを見せた。
「うさぎさんは、プレゼント、用意してる?」
「ほぇ?わ、私ですぅ?すみません。特に用意は――」
「いいえ」「いいえ」「しているわ」「しているでしょう?」
「はわわ!?」
氷雪妖精の一人が、ぎゅっとテフラの服にしがみつく。
「わわっ、ふ…服が凍って…!」
妖精が触れた所から一瞬で氷の塊に覆われていき、服が、重く、冷たく。
「さ…寒い…!かわいいけど…こんな事されたら、わたし、こ、こおっちゃ…」
「ここかな?」
さらに飛んできた妖精がテフラの胸元から服の中にすっぽりと入り、胸が氷で覆われる。
「はわわっ!?」
「この中に隠してるんでしょー」
さらに飛んできた妖精がテフラのロングスカートの中へと入っていくと、スカートの内側が真っ白な霜で覆われる。
「はわわわわ…!!」
次から次へと、ここかここかとテフラの服の中に入り込み、テフラの服の中をごそごそとくすぐるように探していく妖精達。
「ひあぁ…ひあぁぁ…!つ…冷た…凍っちゃ…!」
それはまるで、触れると瞬間冷凍されてしまう魔法の氷が、少女の姿を成してテフラに群がっているようだった。
「あっ、男の子だったんだね。」
「そこは触れない…で…あっ、ああ…!」
「ここにもないね」「本があったよ」「とってもうすい」
股間にお腹に腕に足、氷雪妖精達のアプローチは、零下の魔法の冷気となってあっという間にテフラを凍り付かせていく。
こひゅう。こひゅうと。
息も冷気に変わりながら、最早抵抗し動く事もままらなくなっていき。
「う……うごけ……な……」
「本じゃないよね」「プレゼントの箱ー」「ないー」「なかった……」
妖精達が、氷の衣服の隙間からひょこっと顔を出し、離れていく。
そこには悶え、体中を妖精達にまさぐられ、よれよれの衣服がかちこちに凍り付いた、恥ずかしさを微塵も隠さないテフラ・カルデラの見事な氷像が立ち尽くしていた。
「うさぎさんがないって事はー」
「おにいさんがうさぎさんの分も持ってるんだね!」
妖精達の進撃は止まらない。不意にシャルボンへと向き直す。
「え?ちょっと待―」
「だめ」
氷雪妖精達から、凄まじい冷気の風が放たれる。
シャルボンはその白銀の氷の風にさらされると、体がどんどんと凍り付いていき―
(炎で振り払―ううん、だめだ。この子達なりのアプローチというのなら…でも、せめて)
シャルボンはこの状況においても、あくまで妖精達と仲良くする手段を模索していた。
その為には、妖精達の意思を、悪戯を、ひとまず受け入れなければ。
力なく、シャルボンの持っていたレイピアが地に落ちる。
小気味良い音を立てて地面に刺さると、シャルボンの力によって常に赤熱していたレイピアは漆黒の鉄に冷え切ってしまう。
シャルボンも同様だった。吹きすさぶ風を振り払おうと、精一杯、腕を動かし、足を動かそうとして、1歩、一振り、それが限界だった。
次に動かそうとした手足の動作は震えながら徐々に遅くなっていき…最終的には動きを止め、美しい雪と氷がその身に降り、氷そのものに。
……氷雪フロアに映えて染まるかの如き、氷の彫刻と化していた。
「そのままうごかないでね」
「今からわたしたち、よーせーたんてーだん(今決めた)が」
「かくしてるプレゼント、全部暴いちゃうんだから――」
シャルボンの表面の氷が一回り厚く覆われると、それを氷雪妖精は「えい」と掴み、力を入れる。
氷の砕ける音がして、シャルボンの衣服の一部が氷ごと壊れ、はがされていく。
ズボンも、氷に覆われ、リボンも、氷塊のものとなり、鞘も氷となって落ち、着ているものが、次から次へと剥がされていく。
最終的にシャルボンは、どこか悲しそうな表情をした、下着一枚の姿の氷像となり果てた。
「やった」「服の中に、まだたくさん!」「これ、全部わたしたちの?」「いっぱいあるー」
妖精達にあげるはずだった沢山の菓子折りは、半ば強奪めいた形だが―無事妖精達に届けられた。
「こんなにもらったら」「それはもう、お返ししなくちゃ」「私達の、冬のしきたり」
そして氷雪妖精達は、テフラとシャルボンのその手にこっそりと、プレゼントの箱を持たせて添えるのだった。
「「メリー!ウィンターデー!!」」
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
シエナ・リーレイ
■アドリブ・絡み可
わたしと遊びましょう!とシエナは妖精達に話しかけます。
プレゼントを貰えると聞いて迷宮に突入したシエナ
可愛い妖精達を見つけたので仲良くなる為に遊びに誘います
まてまてー!とシエナは妖精を追いかけます。
妖精の悪戯や迷宮の罠を過去に自身の所有者であった[罠使い]や[暗殺]者の怨念の干渉により回避するシエナ
何故かスカートの中に潜り込もうとする妖精は回避しません
更に不思議な事にスカートの中に潜り込んだ妖精は例外なく何時まで経っても出て来ませんでした
暫くして妖精との遊びを堪能したシエナは妖精達にプレゼントの礼を言うと先に進むのでした
因みにシエナが求めるプレゼントは新しい『お友達』の様です
●暴れん嬢シエナ
「まてまてー!とシエナは妖精を追いかけます。」
雪と氷の地下迷宮の中、氷雪妖精達と戯れる少女がいた。
彼女はシエナ・リーレイ(f04107)。
魔獣の森の人形館に住むと言われるヤドリガミの少女で、作り物の様に綺麗な白肌と灰色の髪に、可愛らしいピンクの洋服を着こなしていた。
「あそんでくれるの?」「こんなに遊んでくれるの、いつ以来かしら!」「わーいわーい♪」
くるりと舞うと、それに応じて妖精達もくるり。
きらきらと雪の結晶が通る道にふわりと浮き交い、さながら彼女も雪娘のようだ。
「その髪、綺麗!凍らせちゃお!」
妖精の一人が悪戯でふうっと冷気の息を吹きかけると、しかしシエナの髪は凍らず、突如現れた人形に霜が降りる程度ではばまれる。
「わ、人形さん?」
「お友達です。とシエナは遊びに誘います。」
「ふかふかだー!」「かわいい!」「人形職人さんなのね!」
妖精達は人形に興味津々。
少女の人形、ティラノサウルスの人形、キメラ動物の人形、人に似た蜜蜂の姿をした人形……
妖精達とのサイズ差は大小様々だ。ぎゅっと抱きしめたり、「これわたしにちょうだい!」と氷漬けにしたりする妖精達が、嬉しそうにしている。
彼ら『お友達』が氷結の身代わりになっているおかげで、シエナは氷柱一つ体に貼りつかぬ、健常な状態で氷雪の回廊を突破していく。
ふと、その眼前に、シエナは気づきそうにない罠が仕込まれていた。
「(くすくす。そっちはお水の落とし穴。その上に張った薄い氷だわ。割れてどぼーんしちゃうといいの!)」
色も見分け難い氷の落とし穴は、シエナは目もくれず上を跳んで回避する。
「ふぇっ?」
次いで落下する細い氷柱はシエナの衣服の隙間を縫うように落下するが、目視すらせずあっさり人形に受け止められる。
「えっ、ええっ!?」
「こっちだよ!」
シエナを招くように妖精達が飛びこんだ直角の曲がり角。
曲がった直後の壁の死角に空洞があり、そこから勢いよく魔法の冷気が噴き出す、冷気ガスのトラップだ!
迂闊に曲がった冒険者は一瞬でこの冷気に晒され、氷像となって硬い音を立てながら氷の床に身を落とす…のだが。
「うん。分かった。ここは危ないんだね。とシエナは危機を回避します。」
曲がる直前で滑る足を制御してブレーキ!噴き出る冷気が止むまでぴたりと止まるのだった。
「いけるとおもったのに」「いけずー」「なんでわかったの?」
妖精達の騒ぎ声に、立てた人差し指を突きつけて、シエナの耳元を見せる。
そこには人形が1体浮かんでいた。
「この罠を昔思いついていたお友達がいたみたい。とシエナはお友達のありがたさに感謝します。」
「それじゃあやっぱり―」
「直接遊ぶのだわー!」
氷雪妖精達は再びシエナにじゃれ合っていく。
くるり、くるりと冷気を纏った妖精を受け止めては投げ飛ばし、瞬時に生み出してくる氷は人形達で防いで氷漬けにし。
「とっても長いそのスカート、中には何が詰まってるのかしら!」
氷雪妖精の一人がシエナのスカートを突如掴みだすと、勢いよく上に引き上げる!
恥ずかしいパンツ丸見えの姿で凍らせちゃおう♪そんな魂胆だったが。
スカートの中を見た妖精は瞬時に消えて。
何事もなくスカートは降りていった。
「えっ…?」
怪訝に思った妖精が、また一人、また一人、スカートの中に侵入しようと試みる。
それはあっさりと実現できた。
「すこしひゃっこいですが、それまでですね。とシエナは安心します。」
スカートの中から、戻ってきたり、悪戯を起こそうとしてくる気配の妖精が一人もいなかった。
「…?なんだろ。おかしなことが起き―」
「あなたも」
残った妖精の一人がシエナの両手に包まれる。
「―お友達になりましょう?とシエナは提案します。」
その妖精は、声を上げる前にシエナのスカートの中に突っ込まれた。
●スカートの中って宇宙なんだね
「ここ、どこ……?」
暗黒の世界の様で、奇妙な色と感覚に五感を支配される。
シエナのスカートの中、それは呪詛に満ちたシエナの世界だった。
前後左右が羽ばたかなくてもフワフワと浮いている。フワフワと、宇宙の中を飛んでいるみたい。
「みんな、みんなはどこ。」
妖精は先に入った妖精を探す。じたばたと手足をもがいて。
ふと、自分の足元…に該当する部分を見る。人形が、漂っていた。
先に入っていた、氷雪妖精の、プレゼントを持った姿の人形が。
「わたしたちと、そっくりさんのお人形……」
それが、スカートの中に入った氷雪妖精の成れの果てであることを、その妖精も気づくことはできなかった。
なんだか頭がふわふわして、意識がぼーっとして、あれ?手が、足が、なんだか綿の様。
雪と氷に彩られてなくて、布と綿で作られた。わたしもお人形に―
ふと。
妖精の服の中から、プレゼント箱が転げ飛んだ。
その中にはぬいぐるみが入っていた。シエナに渡す、お友達のぬいぐるみ。
「わ…かわい…」
そのぬいぐるみに手を伸ばす。
すると、ぬいぐるみの口がゴムの様に伸び、開き。
●雪も氷も、きっとあなたのお友達
1体、また1体、シエナの『お友達』が妖精達によって氷で閉ざされ、落ちていく。
「どうぞどうぞ。わたしのお友達はまだまだたくさんいますよ。とシエナは自慢げにお友達を呼んでいきます。」
氷に閉ざされる度に、現れ浮いてくる人形。妖精達は徐々にこれらにじゃれつく事でシエナに対して満足していった。
ふと、1体、雪だるまのぬいぐるみが現れた時、シエナは少し困惑した。
「あれ、君は初めてのお友達?とシエナは記憶に無いお友達の出現に興味を示します。」
するとその浮いている雪だるまの口が、突如開いてシエナに冷気を浴びせたのだ!
「きゃ!…………」
吹雪のような冷気のブレスが、シエナの顔に直撃すると、シエナはもう言葉を発する事なく、驚いた顔のまま氷に閉ざされた。
「…………」
だが体は動く。わたわたと、とりあえず目の前の雪だるまの『お友達』を掴もうと必死に腕を振り、前進する。
……耳元で、滑る床の警告をしている人形の声が、氷に阻まれて聞こえなかった。
すてーん!
シエナは驚いた顔のまま、その場で前のめりに転び、滑っていく!
「…………」
その表情は驚きもしない。痛がりもしない。体だけは滑りながらあわてて体勢を立て直そうとする。
「その体勢、頂きだよ!」
待ってましたと言わんばかりに、突如上から雪崩の如き大量の雪が降りかかる。
「お人形さんはお人形さんらしく、凍ってるのがお似合いなの。」
ふうーっと、妖精達が一斉に吐息を吹きかけると、シエナの体を覆う雪が、綺麗に、白く透明に、凍り付いていく。
中のシエナが見える。氷に覆われた氷像状態。
両膝を地につけ、両手がきょとんとした仕草でやはり地に付き、それはまるでしゃがんでお花摘みに来たようなポーズ。
顔だけは驚いたまま、前方で息吹を吹きかけようとしていた妖精達に向いていたが、そのまま氷となって動けなくなっていた。
「…………」
「うふふ、まるで白雪姫みたい!」
シエナの氷像の近くで氷雪妖精達が舞う。
「あはは、小人さんもつけないといけないね!」
シエナの氷像の近く、降り積もった雪の中に、同じく氷像と化した人形達を飾っていく。
シエナはお友達を作るつもりでやってきた。凍らされるつもりはなかった筈なのに。
一体なぜ、身に覚えのない『お友達』が混ざっていたのだろう?あれは一体……
思考も徐々に凍てつきながら、最早物言わぬシエナの氷像は、奇しくも最初にやってきて、氷像の仲間入りを果たした、テフラとシャルボンの間に位置していた。
苦戦
🔵🔴🔴
佐伯・晶
悪気は無いんだろうけど色々目の毒な氷像達だね
透けて見えそうな氷の衣装着てるなら
彼女らには気にするような事じゃないのかな
目には目をって事で近寄ってきた妖精の時間を停めて
たくし上げとか恥ずかしいポーズを取らせてみようか
他の妖精達は怒るのかな
それとも悪戯仲間として一緒に楽しむのかな
まあ当然僕にも悪戯の矛先は向くだろうから
それは甘んじて受けようか
プレゼントは興味あるし
氷漬けよりは凍結な感じでよろしく
服や下着が壊されるのは覚悟しとくよ
耐性あるので徐々に凍って
段々硬くなるだろうからポーズは任せよう
綺麗な彫像みたいなのがいいかな
凍った後はかちかちだろうし
何かされても諦めるよ
プレゼントは可愛い服か
少し複雑だよ
「……ふむ」
髪を結わえた金髪の女性、佐伯・晶(f19507)がやってきた。
氷のフロアには妖精を追い払おうと抵抗したポーズのまま氷像として凍り付いた勇者パーティのような4人組が、
わざわざ氷の台座に乗せられた上でかっこよく氷になっている。―ただし衣服は破壊され、全員下着一枚なのだが。
ふと見つけた可愛らしい、晶と同じくらいのサイズの雪だるま。
触れてみると表面を覆う雪が落ち、雪だるまの形をした氷の中に、寒く震えたまま氷に閉じ込められた少女のドラゴニアンの姿。
更に見上げると、晶の2倍程の巨大なロボット…の氷像があった。
ロボットの胸に手足を広げ大の字で氷に磔にされたまま、輝く氷象の一部にされてしまったガジェッティアの女性は、目に涙を浮かべたまま、その涙が落ちる事なく顔に凍り付いていた。
スカートはめくられたまま凍結されており、氷のスカートの中のぱんつがこれ見よがしに晒されている。
晶はため息をついた。
「なんともまあ、いろいろ目の毒な氷像達だね。」
悪気はない、にしてもやり過ぎな所が、晶の琴線に少し触れた。
「…オブリビオンではないとはいえ、これは少しお仕置きが必要かも」
そう思うや否や、雪風吹くフロア奥の冷気から、氷雪妖精達が飛んできた。
「またきた」「だれかきた」「元気そう」「ごめんねおねえちゃん。クリスマスの為にちょっと眠っててね」
「っ」
また一つ、晶の琴線に触れた。
晶はただの女ではない。元男の人間で、いろいろあって邪神と融合してしまった結果、女となってしまったのだ。
氷雪妖精の、触れるだけで凍ってしまいそうな冷気が晶に命中しようとする―
その時、晶のかざした手から現れた、不思議な魔法陣の光が氷雪妖精に先に命中する。
「えっ、な」
何か言おうとする、その口を半開きにした状態で氷雪妖精の時間は『止まった』。
「悪戯するなら悪戯を。目には目って事で」
晶は時が止まった妖精のスカートをたくし上げ、下半身が丸見えの……おっと。
肝心な部分は霜の様についた雪で一際白く覆い隠れている。安心して欲しい。
そんな恥ずかし気な姿の妖精が1体、出来上がる。
また一人氷雪妖精が飛んでくるも、更にかざした手からの魔法陣によって時を止められる。
「……外すと悲惨な事になるから、慎重に使わないと。」
しかしお仕置き全開で、雪玉を直接ぶつけに突進してきたその妖精は雪玉の上に置かれ、M字開脚をされたおっぴろげな状態にされる。
そんな2体の妖精を。
「邪神の抱擁(フリージング・タイム)」
再度掲げた魔法陣によって、氷の妖精に氷が張り付いていき、見事な妖精の氷像が2体、出来上がった。
「時間停止は解除してあるよ。動ける?」
雪と氷を使う妖精は、完全に物言わぬ氷にされた。
氷を作れても氷を崩す事はできない……その状態を解除する術は妖精達にはなく、彼女達は氷の世界で、ほんの少し、パキ、パキと、氷の音を奏でて震える動作しかできなかった。
「後で解凍された学生さん達に、逆に見世物になってもらうといいよ。……そこの貴女達も、ね。」
はれんちなものを見てしまったかの様に顔を手で覆い隠し、指の隙間から見ている氷雪妖精達。
「わ、わ」「わたしたちもあんなすがたに?」「なりたく、ない…恥ずかしい…」「逆にあんな姿にさせましょう!反撃よ!」
全方位からの氷雪妖精と、晶は対峙を開始した。
「…透けて見えそうな氷の衣装着てるのに、それは恥ずかしくないの?」
しかし先程の時間停止の時もさることながら、薄く透き通る氷の衣装は、光の具合で、大事な所は見えそうで見えないようになっている。
「まあいいか」
構わず、次から次へと時を止めては、小さな少女達が氷に変わっていく。
しかしその魔法陣はこの場では手から放つものであった。四方八方から飛んでくる氷雪妖精全員に、魔法が行き届かない。
「結構、数が多…うわっ」
妖精が一人、足にくっついた。その足に極冷の冷気が迸り、凍り付かせようとしてくる。
「くっ、この、離れ―あっ」
咄嗟に。
晶の放った魔法陣は、どの妖精にも当たらぬ虚空に打ち据えた。打ち据えてしまった。
「しまっ―」
行き場を失った時間停止の魔法陣が、晶の中心に展開され、光る。
『邪神の抱擁(フリージング・タイム)』。このユーベルコードは対象の時と存在を凍らせる、とても強力な技であったが、外すとその力が自身に降りかかるという、とんでもないデメリットを常に付きまとわせるものだった。
突如晶は、妖精達に抵抗しようと、もがいた姿のまま、時間ごと止まってしまった。
「あれ?」「おねえちゃん、ねむっちゃった?」「目が開いてるのに、動かなくなっちゃった。」
冷たい微笑みが、妖精達からこぼれる。
―じゃあ、好きにしてもいいよね?と。それはそういう笑みだった。
「(―はっ !!?)」
それはどのような奇跡か。晶は時間停止の呪縛から解放された。
どれ程の時が経ったかは分からない。しかし、しかし。
「(あ……あひゅっ……つめた……くすぐった……ち、ちから……が……)」
言葉は喋れなかった。身動きも取れなかった。
全身が、これでもかとくすぐられたのか、恐ろしいもどかしさと脱力感に苛まれた。
しかし、足を崩す事等はできなかった。させてくれなかった。
晶は氷像と化していた。
妖精達にあちこち触られ、凍てつく冷気がこの上なく全身に浸され、じっくり体を氷そのものにされていった。否、今も。
「ん……る……っ……」
「(っ…!?)」
「どう?」「おいしい」「おねえさんって、おとこのこのあじがする。」
全身が薄い氷で覆われている。
しかし芯まで凍り付いているらしく、これを内側から砕き戻る事ができなかった。
駆け巡る冷たさと寒さの地獄が常に彼女を溶かさず自由を奪っている。
そして―妖精の力だろうか、この状態でも五感はかろうじて残っていた。残されていた。
「(……他の犠牲者もこんな感じなのだろうか……)」
全てを受け入れるかの様に両手を広げたまま、綺麗な氷の彫像と化して立ち尽くしている晶。
儚い氷そのものと化した自身の服はまだ壊れていない。否、今ヒビが入った。そして。
「んふー、アイスクライムなの!」「そーれ!そーれ1」
胸によじ登り、肩の上の妖精に手を伸ばしての氷壁登りごっこをしている妖精によって「「きゃー!」」ついにその服が崩れ、壊れた。ついでに氷雪妖精達は転落した。
「(ああ、やっぱり壊れてしまったか……)」
既にズボンは破壊済みで、下着1枚の状態…否。
「みんなー!こんなのもってきたよ!」
長いマフラーを氷雪妖精の一人が持ってくる。
「わ、にんげんさん用?」「ながーい!」「これがあれば…」「そうだね」
「かくしてるそれもいらないね。」
「(…っ…!)」
氷で出来たアイスピックとハンマーを取り出した妖精達が、こんこんと、ついに一線を―氷と化した晶の下着を剥がしてしまう。
その直後に別の妖精達が、ひと巻き、ふた巻き、大事な部分にだけマフラーを巻いていく。
「冬にぴったりの姿になったの♪」「全身で寒さをじっくり味わうといいの♪」
開放的なポーズで、あわやマフラー1枚、それもすぐに氷雪妖精から冷気が放たれ、芯の芯まで凍りつき、氷彫刻の一部と化していく。
暖かい毛糸のマフラー1枚の、寒そうに、それでいて開放的な、晶の氷の彫像が出来上がった。
「手袋もはめちゃう?」「つるっつるにしてもっときれいにしよう!」
妖精達が様々なプランを立て、どんどんと晶をおもちゃにしていく。弄ばれる、氷のおもちゃに。
「(……まあしょうがない。プレゼントにも興味があったし、甘んじて受けようか……)」
でも、もし解凍されたら、解凍した人はどんな目で僕を見るのだろう。
寒さには耐性があるからこのままでも風邪をひく事は無いけれど、いつになったら解放してくれるのだろう。
今はまだ、妖精達に弄ばれるまま、晶もまた、氷のオブジェの1体になり続けるしかなかった。
大成功
🔵🔵🔵
久遠・翔
アドリブ絡み歓迎
い、悪戯にしては過激すぎじゃないっすかねこれ!?
ほぼ脱がされている子もいるし…(氷像から顔背けて)
ただオブリビオンじゃないから無効化させないと…
妖精見つけたら説得しようとするっすけど…あれ?なんで皆頬染めてぼーっとこっちを見ているの?(UC無自覚の魅了の影響)
あっ、こらちょっ!?服の中に入っちゃ…へ、変な所もぞもぞしないで!?
UCの影響で妖精達が我を失い俺に殺到して服の中の敏感な場所をもぞもぞされて体中悶絶
最終的には悶えた姿で凍らされますが…UC無自覚の使役術の影響で何体かの妖精が俺の氷像に頬ずりして主様…と言っています
氷解けた後プレゼント開けると妖精達が裸リボンでいました…
●弄ばれし男のような女
「うはぁ…」
虚空に手を伸ばしたまま、下着1枚の姿で凍り付いたミレナリィドールの氷像。
「うっはぁ…」
虚空の先の天井に、逆さ吊りのような状態で垂れ下る巨大な氷柱に閉じ込められた、先の氷像の妹のようなミレナリィドールの氷像。
「い、悪戯にしては過激すぎじゃないっすかねこれ!?ほぼ脱がされている子もいるし…」
灰色の長髪に黒い服を纏う人間の猟兵、久遠・翔(性別迷子・f00042)は慌てて目を背ける。
「俺もこんな目に合わないように気を付けないと…」
すると妖精達がふわふわと飛んで、悪戯をしにやってきた。
(っと、オブリビオン…じゃないんすよね。それじゃあできるだけ無力化させないと…)
兎に角彼女達の悪戯をやめさせなければいけない。作戦は説得にと決め、構えたナイフをしまって話しかける。
「よ、妖精さん!駄目っすよこんな事!目のやり場に困りますし、凍ってたらクリスマス楽しめないっす!」
「…………」
しかし妖精達は何事か、翔を見るだけ見つめてぼーっとしてる。
「…あ、あれ?」
「…なぜ?」「なんでだろう」「一目見て、あなたの事が…」
「なんだか、好きになっちゃった。」
「はぇ?」
彼女は、厳密には彼女になっている彼こと翔は気づいていなかった。無自覚に放っている己のユーベルコードに。
【無自覚の魅了(オートテンプテーション)】
設定されている最高数値などとうにぶっちぎった320%の自身から放たれるフェロモンが如き魅惑の気配は、このフロア内にいる妖精達には抜群に効いていた。
飛び掛かる氷雪妖精達。
「お、俺は男…体は女だけど、男っすよ!」
「男なの?」「男なんだ!」「なんだかスニェ様と同じ、好きになる気配がするの!」
「え?」
スニェ様?
「誰っすかスニャだかスニェだか…はうぁわっ!」
言うが終わる前に服の中へと気持ちよさそうに潜り込んでいく妖精達。
「ちょっ!服の中に入っちゃ…へ、変な所もぞもぞしないで!?」
露出の少ないぴっちりとした黒服だが、それでも、ちょっとだけはだけた襟元や、ベルトの隙間、ブーツの隙間。
まるで狭き門を楽に突破する猫の様に潜り込んでいく。
そして…潜り込んだところから、翔の服には白き霜が降り、硬く凍り付かせていく。
「いにゃああっ!?」
どことは言わないが股の辺りに冷たく柔い氷の感触。妖精の一人が、押し付ける雪玉の如き動きをしている。
「こんな体してるのに」「男の子なんだ」「男の子なら―」「『マロース』だわ!」「『マロース』になるといいの!」
「ま、まろーす?」
「その前に」「ご主人様…」「ごしゅじんさまのにおいをかぎたい」「くっついてたい」
「ひゃうわぁ!?」
氷雪妖精達がくっつき、くっつき、服に、下着に、入り込み、翔の全身を雪と氷で覆っていく。
「あっ、いやっ!だめっ!そこは…」
「ここなにかあるよー」
「みゃあ”ぁ”!?」
股の辺りをきゅっと抱きしめられ、その冷たさに股を片手で押さえつける。
「マロース様なら、こんな薄い服着てるなんてだめだよ。」「わたしたちが素敵な服に着替えさせてあげる。」
「や…やめ…あばっば…」
寒さにガチガチと歯を噛みしめながら、衣服が白い氷に昇華されていく。
このままでは着ているが、他の氷像の様に凍結粉砕されるであろう。しかしそれに抵抗する余力はなかった。
寒さ、冷たさ、それよりも妖精達が全身をなじって、舐めて、くすぐって、凍り付かせてくるもどかしさに、悶え、赤面し、涙を浮かべて慌てる以外の行動ができなかったのだ。
「い、いい加減にしないと怒っ…いひゃあうぁ!」
背筋に氷柱を押し付けられるような感覚が走る。
「ぎゃっ!っあ!そこだけはやめてえぇ…!」
胸のあたりを2人の妖精がぎゅうと抱きしめ、悶え、慌ててもう片方の手で胸を押さえつけようとする。
しかし…パキン、とその腕は、胸の手前、触れる前に白く輝く氷となって、動かなくなってしまう。
「…こんな目に、あっちゃう、ね…」
「き、聞こえてたんすか、さっきの…ぁ…」
徐々に、全身が、口から白い冷気を出しながら、凍り付いていく。
もう体の中まで冷え切って、でもくすぐったくて、全身が何度も妖精達に弄ばれて。
「…………」
何処か惚けた表情の、股と胸を隠そうと頑張ったまま、氷像と化した翔の慣れの果てがそこにあった。
ばきり、ぼろぼろと、衣服はすぐに砕け散り、Gもある胸は膨らむ事なく、上と下が下着一枚の姿になってしまった。
「…マロース様…マロース様… 何も着てない姿も素敵…」
一人の氷雪妖精が、翔の頬に頬を当て、愛し気に頬ずりする。
「…………」
翔はもう、何も言葉を返さなかった。
●猟兵アイススタチュー 完成
「わぁい」「わぁい」「みんなこおりになっちゃったね」
アルダワ地下迷宮の一角、雪と氷に包まれたそのフロアに、新たに5体の氷像が出来上がった。
へたり込んで花を摘むような姿をしたまま凍り付いたシエナを中心に、その両側には
バニー姿で全身くすぐられ、悶えたまま、よれよれのスカートが破壊され、少し膨らんだ下着を全開にしたまま凍り付いたテフラと、
パンツ1枚になるまで氷になった衣服をはがされ、狼狽える間を凍り付かされたシャルボン。
更に彼らの両隣には、マフラー1枚で最低限の個所を隠すように巻かれたまま凍り付かされた晶、
テフラ同様に身もだえたまま、股と胸を隠すように手を伸ばして凍り付いた翔は、下着一枚の姿に、
丁度現在、羽織るようにもこもこの防寒着…に見立てた氷の衣装で覆わされていた。
どうやら『マロース』様の衣装らしい。透き通る氷で出来ているため、隠そうとしても隠しきれていない。
「それじゃあお約束の…」
「「メリー・ウィンターデー!!」」
どうやらこれが合言葉らしい。氷像となった彼らの手にプレゼントが置かれる。
「冬が過ぎて、春になって」「もしかしたら助けられて、溶けた時には幸せの贈り物。」
テフラの股に、晶の胸に、シエナの顎に、翔の腕に……少し氷が溶けると、そこからまたすぐに凍って、
そうして氷柱ができると、妖精達はそれをつん、つん、とつつく。凍って尚、凍ったままの心が、意識があるのを確認できるように、その氷柱が少し、震える。震えるのを見て楽しむ。
「それまでは、ずっと私達がみんなで遊んであげるね―」
不意に、かたんと、プレゼントの一つが落ちる。
妖精の悪戯の振動で落ちたそれは、リボンが丁度良く解かれ、中身が出てしまう。
テフラのプレゼントだった。
「あーっ」「なにやってるのよ、もーっ」「ごめーん!」
「でもー」妖精の一人が微笑む。
「落ちちゃったものは仕方ないよね。プレゼントの中身、なんだろー」
テフラのプレゼントは、妖精達でも持てるサイズの、手乗りのカメラだった。
蒸気機関による小さなエンジンが電力となり、手押しでシャッターが下りるとともに写真がすぐできあがる。インスタント式だ。
「わ、わ、」試しに写真を撮って、その出来栄えを見た妖精達は目をキラキラとさせていた。
「おもしろーい」「おもしろいね」「これでみんな撮っちゃおっか」
シャッターが下ろされる。
シエナ、テフラ、シャルボンの3ショット。
テフラの頬にキスをして、カメラ目線でウインクする氷雪妖精の2ショット。
5人全員と共に妖精達が集合しての記念写真が、ぱしゃり。
「あっ、この人のプレゼントも開いてるー」
それはシャルボンのプレゼントだった。
中から出てきたのは、可愛らしいもこもこの、熊さん耳のパーカーが付いた防寒コート
「おぱんついちまいでさむそうだもんね」「着せちゃお着せちゃおー♪」
シャルボンが熊さんのコートを羽織られる。ぴこぴこかわいい熊の耳は、即座に氷雪妖精の冷気で凍らされ、
パンツ一枚にコートを羽織った、なんだかおかしな冬場の熊っ子少年の氷像が出来上がり。
妖精達はその可愛さに、またシエナとシャルボンとテフラの3人と、5人の写真を撮っていく。
「あはは」「あはははは」「次はねー」
そうしてきゃっきゃわいわいしている妖精さんの傍、地面に突き立って凍り付いた……細身の剣が、カタカタと震え、赤熱する。
「(…そろそろ、いいかな)」
それはシャルボンの剣だった。
赤熱した鉄の棒のようなレイピア剣が、その高熱で周りの氷を、雪をボロボロと崩し、溶かし、元の姿に戻っていく。
「えっ!?」「この剣……熱っ」「わ、わ、溶けちゃう、溶けちゃうよーっ」
その剣は凍てつきから居直り、浮遊すると、シャルボンの元へとやってきて―
周囲を巻き込む、とてつもない熱の波動を起こした。
「「「きゃああぁぁ!?」」」
●凍ったままでは、話が終わってしまうから。
「はわっ!?はわ…わ”…っくしゅっ!さささ寒いですぅぅぅ……」
「……ふぅ、オブリビオン程じゃないから、何とか溶かせれたみたいだ。」
「わっ、いつの間にか凍っていたよ!みんながすごい恰好!とシエナは自由をかみしめながら、驚きます。」
「っはっ……くっ、ゆ、油断した。」
「あうわっ溶けたっ うわひゃああぁ!!み、見ないで、こっち見ないで欲しいっすー!」
5人の猟兵達の氷が、溶けた。
解凍された猟兵達はそれぞれ大変な事になって、慌てる。
何しろ大体着ている衣服を砕かれて(シエナだけは幸運な事に無事だが)、下着丸見えの状態を隠せないからだ。
「あーん!」
特に翔は大変な事になっている。
氷で押さえつけられていたため氷像にされていてもペタンコだった胸が、溶けた所により開放され、一気に下着がはちきれんばかりに膨らんだからである。
「わ、大丈夫?ボクの…何故か羽織ってるコートを貸すよ」
「あ、ありがとうっす!けどこれでも胸が抑えられない…あぅぅ、酷いっすー!」
「お友達用の替え服ならもってるよ!丈は短いけど着てみる?とシエナは提案します。」
「あ、それなら僕もお願いできる?マフラー1枚は、色々と…無理が…」
「ごめんなさい、うっかり1着だけしか用意してないみたい。とシエナはうなだれます。」
「っはぁ…みんなとんでもない恰好っす……さささ、寒くないっすか?」
「ボクは大丈夫だよ。ヤドリガミだから、ある程度は。」
シャルボンが懐からおもむろに替えの服を出す。小さく収納するために小ぶりで、へその出る短パンルックスだ。
「わたしはわたしなので大丈夫です!と、シエナは再び凍りそうな体で頑張って胸を張ります」
「僕も…まあ一応、一応……。」
仕方ないと言わんばかりに邪神の力を少し開放し、瞬時に現れた黒いドレスを着なおす晶。
それに応じてボーイッシュだった晶の口調が、雰囲気が、より女性の者となる。
「はうあっ、その恰好、は…」
「はわわ、あなたって女の人だったのですぅか!?」
「……いいでしょう別に。男から女になっても。」
「えっ!そういう口…なんすか。あなたも。……俺も実は本当は男で……」
「げっ」
他の冒険で何度かニアミスした事は、あるが。
晶も翔も形は違えど、女になった元男であった。
「…難儀してますわね。お互い。」
「う、うーん…まあ今は元に戻ったことだし!先に進むっす!」
翔はシエナからの替えの服に、やっぱり寒いからと熊さんパーカーのもこもこ服を羽織った。
「氷、溶かしちゃったの?」「なんで?」「もっかい凍ろ?」「もっかい眠ろ?」
飛んでくる氷雪妖精にはシャルボンが応対する。
「駄目だよ。もう僕達はこの先に進まなくちゃいけない。それに…プレゼントは、寝ている人にでしょ?」
「も、もっかいあげるよ?」「プレゼントをあげる代わりに悪戯する、みたいなのだったら、これでもう1回だ。…そしてさっき僕からのプレゼントをもらったね。」
「それが―」「プレゼントをあげる代わりになにしてもいいなら、プレゼントを貰った妖精さんもボクからのお願いを聞いて欲しいんだ。」
シャルボンは話題を徐々に誘導していく。
「この先に、進んでもいいかな?……テフラの分も、皆の分も、十分にプレゼント、もらったはずだよね。」
その言葉にドキッとした氷雪妖精達は、ざわざわと、作戦タイムを取った。
「と、通していいのかな」「でもあそこ、秘密の場所なのに―」「でもプレゼントを渡してきたよ」「わたしたちの好きにもさせてたよ」
「―この人達も―」
「サンタさん、じゃないかしら!」
ちらり、妖精達が見たのは、翔だ。
「あの人はとりわけ、『スニェ様』と一緒になるべき『マロース様』だと思うの……」
シャルボンの説得、翔の魅了。
それらが重なり、遂に妖精達は、猟兵に心を許したのだった。
●「みんなー!進捗どう?プレゼントの追加を持ってきたよー!」
突如、フロアの奥から、新たな妖精が現れた。
その妖精は氷雪妖精達とやや違っていた。
雪を周囲にちらちら降らせる冷気を纏ってはいたが、青髪で、何よりも青いサンタ服を着ていた。
「あっ」
そのサンタ妖精は―猟兵達を見るや否や。
「……大変だわ!」
一目散に奥の方へと飛んでいったのだった。
●余談 プレゼントの中身
「あ、あのぅ……」
サンタ服を追いかける前に、股を手でおさえながら、テフラがみんなに呼び掛けた。
「わ、わたしも新しいスカートがないと恥ずかしいですぅ…誰か持ってないですか…?」
「それなら」「わたしたちが作ってあげる!」
「はわわわわ!?」
テフラに吐息を吹きかけると、真っ白な雪でできた、それでいて崩れない、不思議な雪のスカートが出来上がった。
「さ、寒いですぅ…!」
「それならちょっと聞きたい事あったんだ。とこの機会にシエナは質問します。」
シエナは先程、自身を凍らせた雪だるま人形を掲げる。
「このお友達は、妖精さんのプレゼントですか?とシエナは質問します。」
「ん、んーっ……」
その時、もぞもぞと雪だるま人形の口が無理矢理開かれると、中から氷雪妖精が出てきた。
「…ふえぅ!やっと出られたー!このお姉さんのプレゼントの中に隠れてせーかいだったよ。」
「…とすると、あなたがわたしのプレゼントの『お友達』ですね?とシエナは質問します。」
「えっ?このお人形は確かにおねえさんの―」
「あっ」
シエナはにっこりと笑顔を向けると、妖精を掴み、再びスカートの中へと収納していった。
「あっ、あーっ…」
「あなたたちも、ぜひわたしのお友達に。とシエナは」
「い、いいえ!いいえ!まにあってます!よーっ!」
他の氷雪妖精達はシエナから距離を取った。
「…また新たなお友達が…ですぅ…」
「そういえば、俺のプレゼントは…」
「私のプレゼントも開けてませんでしたね。」
この機会に、と、晶と翔も、凍らされた時に渡されたプレゼントを開ける。
テフラはカメラだった。シャルボンはコート、シエナはぬいぐるみで……
「私は、ああ、これは」
ニット帽にマフラー、手袋を完備した、ピンクと水色基調の可愛らしい女の子用の冬服だった。
ここから先に進むために、この女の子の冬服かドレスのどちらかを着ていかなければいけない。
「…少し複雑だよ。」
「俺のは…なんだろう。開ける前からすっごい重いっすねこれ!?」
するりとリボンを解いて開けると。
……ロボットやお人形、わにさんぬいぐるみなど、様々なおもちゃの詰め合わせだった。
それらは何故か、全て衣服が無く、リボンをぐるぐる巻きにラッピングされていた。
「…ええぇ…!?」
「それは当たりではないですか!?わたしのと交換しませんか!?とシエナは興奮します。」
「シ、シエナさんはそのお友達を大事にするといいっす!それに」
なんだかこのおもちゃ達は嫌な予感がする。と、第六感が告げていた。
「俺もこれ、大事に持っていくっすから…」
大成功
🔵🔵🔵
第2章 冒険
『おもちゃの迷宮を踏破せよ!』
|
POW : 敵や罠に対して強行突破や強襲をする
SPD : 素早さや身のこなしを活かし敵や罠を回避する
WIZ : 魔法や知恵、知識で迷宮を駆使し切り抜ける
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
|
種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
サンタ雪妖精を追ったその先。そこは工場だった。
無数のベルトコンベアと、良くわからない機械が色々。
そして周りには、沢山のおもちゃが山積み。
ベルトコンベアと機械に向かって、沢山無数のサンタ雪妖精達が、一心不乱に頑張っている光景だった。
「よいしょー!」
サンタ妖精の一人がおもちゃを抱えてぱたぱたと羽ばたきコンベアに乗せると、プレス的なものが降りて、即座にラッピング。
プレゼント箱となったものを、別のサンタ雪妖精が操作する機械のアームでつかみ取ると、サンタが良く持っているあの白い袋の中に入れられていく。
そして沢山たまった袋を、別のサンタ雪妖精がうんしょと背負うと、フロア奥の扉を通って出かけていった。
「冬の夜、さびしんぼうな学生さん達に―」「心温まるプレゼントをお届けー!」
サンタ雪妖精達は思うままに作業を繰り返していた。
「みんなー!大変だよ!この場所が人間さんにバレちゃった!」
「「「「「な、なんだってー!」」」」」
飛び込んだサンタ雪妖精の叫びに驚いた妖精達は、即座に機械の装置をがちゃがちゃさせはじめた。
「わーん!」「サンタさんのひみつこうじょうは」「しられちゃいけないのにー!」
「こうなったら」「一人残らずおもちゃにしちゃって」「しょーこいんめつ、てきなのー!」
猟兵達の乗っている足場が、全てベルトコンベアに変わる!
あちらこちらに行き交う、不安定な地形から、四方八方を飛び交うアームやプレス機が…なんだろう、閉じ込めにかかる箱状の機械も飛んできたぞ。
「きゃー!」
誤ってサンタ雪妖精の一人が伸びて来るアームに掴まると、箱型機械に収納され、閉じ込められる!
ガコンガコンと蒸気的な音が鳴った後、箱から解放されると。
……サンタ雪妖精に似た髪型をし、サンタ帽子をかわいく被った、テディベアのぬいぐるみがコンベアの上に落ちた。
―前フロアのプレゼントの、人形やおもちゃはまさか―
猟兵達よ。おもちゃ工場に恐れずいざ進め。
おそらく彼女らを束ねる災魔は、この奥にいるはずだ。
※探してみると、おもちゃから元に戻る機械が見つかるかもしれません。
シエナ・リーレイ
■人形館で参加
■アドリブ絡み可
玩具が一杯だよ!とシエナは目を輝かせます。
氷漬けから復帰しお友達のテフラ君達と合流したシエナは目の前に広がる玩具工場にはしゃぎます
邪魔しないでよ!とシエナは頬を膨らませます。
シャルボン君が教えてくれた玩具の沢山ある場所に向かおうとしたシエナ
だけど至る所から現れる迷宮の仕掛けに阻まれてなかなか進めません
そして、あまりにもしつこい迷宮の仕掛けに捕まってしまったシエナはとうとう怒って巨大な恐竜の『お友達』を呼び出してしまいます
恐竜に跨ったシエナは迷宮を破壊しながら妖精や兎を追いかけはじめるのでした
※仮初めの体含め既に人形の為、玩具化する場合は人形以外の物でお願いします
テフラ・カルデラ
【人形館】で参加
アドリブ・絡み可
うぅ…寒いのです…
凍らされる次は玩具にされてしまう機械なのですか…
どうやら元に戻る機械もあるようなので、間違って破壊しないように探して保護しましょう!
ベルトコンベアに翻弄されつつもついに発見!…ってシエナさんすごく暴れてませんか!?
シャルボンさん!もしもの時のために灰で機械を保護してください!わたしは彼女をここから遠ざけるようにします!
シエナさーん!向こう(元に戻す機械とは逆方面)に機械がたくさんありますよー!
と、その気になって破壊に向かったシエナさんに一安心…わわ!?コンベアが動いて…まずい!機械の中に…わあぁぁ!?
(かわいらしいぬいぐるみに変えられてしまう)
シャルボン・フランヴェルジュ
うわわ!足元が動くのはやりづらいね。
とりあえずUCで足場を固めてしまおう。
翔さんが持ってた人形が気がかりだし、どこかに元に戻す機械がないか探しに行こう。
あ、その前に、あそこに玩具の山があるよ!(大声で指差しながら)
装置を見つけたら壊されないように石灰で覆って保護するよ。
そしてシエナさんの恐竜がこっちに来そうなら、近くの妖精さんを顔残しで固めて投げて遠くに誘導するよ。
あとは固めた妖精さんが逆襲にこないことを祈ろう。
例えば"服を着替えさせられた上でスノードームのおもちゃに閉じ込められる"とか惨めな晒し者じみた仕返しは、さすがにボクでも恥ずかしいし…
●Fancy Factory Breaker(s)
合流した【人形館】メンバーの3人組。
「うぅ…寒いのです…」
テフラは氷雪妖精達によってスカートを雪製にされてしまっていた。おかげで体が冷たい。
「で、でも気を取り直さないと…凍らされる次は玩具にされてしまう機械なのですか…」
すると先程おもちゃにされたサンタ雪妖精に一人のサンタ雪妖精が飛び交う機械の中勇敢にも飛んでくる。
「わわ、大丈夫!?今装置で元に戻すからー!」
サンタ雪妖精だったテディベアをきゅっと抱えると、ぱたぱたと向こうへ飛んでいってしまった。
「元に戻す?それ、元に戻せるのか」
シャルボンがその妖精の方に向けて目印めいて魔剣をかざす。
「翔さんが持ってた人形が気がかりだ。アレが元はサンタ妖精で、元に戻せるなら…」
「ですぅね。探してみましょう。シエナさんもそれでいいですぅ?…シエナさん?」
先程から同行しているシエナの返事がない。
二人はシエナの方を見ると、ぱぁぁと目を輝かせて、眼前の光景に目を奪われているシエナがいた。
「あぁ…シエナさん、そうでした。ここは…」
「そうか。……おもちゃというか、人形の『お友達が』……」
「ああ、ああ、ああ、玩具が、玩具がいっぱいだよ!とシエナは目を輝かせます。」
コンベアに運ばれ、梱包され、山積みになっている玩具。
どれも人形を愛するシエナにとって最高の舞台であった。
「ここを第二の人形館…いいえ、人形王国としましょう!とシエナはひらめきお友達を仲間に加えます。」
そう言うやいなや、シエナはまっすぐ、工場の中を突っ切るように突撃していった。
「はわわ、一人で大丈夫ですぅ…?」
「今の内に。ボク達は妖精を追って元に戻せる機械を探してみよう。」
心配と不安も去らぬ中、3人は1対2で分断し、おもちゃ工場の迷宮に臨むのであった。
「はわわわわ!」
そうは言っても常に動くコンベアでの迷宮は困難を極めた。
前後左右、あっちこっちに足を掬われるこの工場場を上がり渡ろうとすると、緩急がつけづらく、移動し辛い。
「足元が動くのはやりづらいね…とりあえず足場を固めてしまおう。」
ここでシャルボンは眼前に魔剣で炎を作り出すと、炎の中から石灰を形成。石灰の嵐めいたものを作り上げる。
「それっ!」
床に漆喰の如く、石灰が塗りたくられていく。
石灰状の無機質な足場となったコンベアは、隙間も埋め立てられ、次々と動きを止めていく。
「わっと、急に動きが無くなるとそれはそれで」
「きゃん!」
「テフラさん!」
こけたテフラに長い工業用アームが飛んでくる!
それをシャルボンは気合一閃、赤熱した魔剣で焼き切り落とす。
「た、助かりましたですぅ」
「この腕に掴まれたら最後、あの玩具に変える装置に入れられて…」
「はわわ、入れられちゃったらわたし、どんなおもちゃにされてしまうのでしょうか…」
テフラは想像する。ブリキのロボットか。はたまたリボン付きのステッキか。
「うさぎのぬいぐるみに変えられて、子供たちに配られて、動けないままあんなことこんな事…」
はわわ、などと言いながらも、その妄想に思わず口から涎が出ていた。
趣向とはちょっとだけ範疇からズレるも、忘れてはいけない。彼はテフラ・カルデラ(特殊系ドMウサギキマイラ)なのだ。
「と、浮かれてる場合じゃないってば。早く追わないと」
「はっ、そうでした!おもちゃ工場なんかに絶対負けませ」
「しーっ、…装置に着くまではフラグ立てちゃだめだよ。」
「ふえぇー!?」
テフラとシャルボンの二人は危なげなく、おもちゃ工場の中を渡っていく。
「(さてと、シエナさんの方は…)」
●一方その頃
「むむむ、とシエナは妨害に不快を感じます。」
足元を掬ってくるベルトコンベア、上から捕まえてこようとする機械のアーム、
足場が途切れたと思えば床から突如びっくり箱の巨大な顔が飛び出てシエナを吹き飛ばし、妨害する。
「邪魔しないでよ!とシエナは頬を膨らませます。」
しかしトラップは止まず、次から次へとシエナに妨害を試みる。
ベルトコンベアをステップしながら乗り越えようとすると、突如飛んできた振り子ボールの直撃を喰らい吹っ飛ぶ。
「もう怒ったよ!とシエナは『お友達』を呼び出します!【出てきて!ティラノサウルス怪人さん!】」
掛け声と同時に現れた、巨大なティラノサウルスの人形。
それはシエナを上に乗せ、ものすごい勢いでおもちゃ工業にて暴れ出した。
「きゃー!」
ティラノサウルスの尻尾の一撃に巻き込まれるサンタ雪妖精達!
「うわー!」
ティラノサウルス渾身の頭突きで機械ごと吹き飛ばされるサンタ雪妖精達!
そうこうしている隙にテフラとシャルボンは玩具になった者を元に戻す、それらしき機械の元へたどり着いた。
先のテディベアが、その、サンタの姿をした巨大ガジェットのようなものの口の中におもちゃを入れ、レバーを倒すと、
ガタガタと音を立てた後、サンタガジェットのお腹が開き。
「ぴゃー!た、助かったー!」
元に戻ったサンタ雪妖精が現れた。
「あれだ!間違いない。」
シャルボンがその場にいるサンタ雪妖精達に飛び掛かる。
「きゃあ!こっち来ないでー!」
サンタ雪妖精達は手から冷気を、人が放つ気の如く練り上げて、雪だるまを作り出してはぶん投げる。
「雪だるまをそんな粗末に投げるなら!」
シャルボンの体から、人が放つ気の如く石灰が練り上げられる!
「君達が雪だるまになるといいよ!」
放たれた竜の如き石灰の流水が、雪だるまを飲み込み、更にサンタ雪妖精達にも襲い掛かる!
「う、わっ!?」
巻き込まれたサンタ雪妖精達は、ぺっと流れる石灰から吐き出されると、雪だるまの形に石灰で固められた。
「い、いやぁ!動けないわ!?」
ガタガタと体を動かすも揺れる事しかできない、石灰だるま像に固められてしまったサンタ雪妖精。
石灰で出来たサンタ帽付き雪だるまの中から、顔だけが露出している状態だ。
「や、やだー!恥ずかしい!」
「このまま、出荷だっ!」
「え!きゃーっ!?」
そのまま石灰だるまサンタ雪妖精達を、サッカーボールの如く蹴り飛ばして、まだ動くベルトコンベアに乗せていくのだった!
「よし、確保。」
「はわわ、妖精さん達がえげつない事に……ともあれ、あとはこれを、翔さんが来るまで確保し続けるですぅ。」
シャルボンは漆喰の要領でサンタガジェットをコーティングし、防護すると。
「…シエナさんが心配だ。こっちに来なければ…うわっ来た!」
「邪魔するものは全て壊し回るよ!とシエナは激怒収まらず暴れ回ります。」
暴れ回るシエナのティラノサウルスの尻尾が、シャルボン達にも襲い掛かる!
「シエナさん!あそこに玩具の山があるよ!」
シャルボンが適当な場所に指さして大声をあげた。
「え!どこどこ!?とシエナは玩具の山に向かいます。」
「わーっ、こっち来たー!?ぎゃー!」
シエナの暴力のとばっちりが機械とサンタ雪妖精達を襲う!
「なかったじゃないか!とシエナは再び激怒します」
「シエナさーん!向こうに玩具製造の機械がありますよー!」
「え!どこどこ!?とシエナはお友達製造機に向かいます。」
「げっ!こっち来ちゃだめぇ!?うわー!」
シエナの暴力のとばっちりが機械とサンタ雪妖精達を襲う!
●Toy bag in Jaeger
「ふう。こうしていればしばらくは持ちますですぅ?」
「だね。あとは肝心の翔さんが来てくれればだけど…」
そんな二人の後ろから忍び寄る影があった。
「うわっ!?と、危ないなぁ」
先の玩具製造機械の箱は本当にあったようで。シエナのティラノサウルスの一撃が、シャルボンの眼前にまで製造機の箱を飛ばしてきた。
「今だわ!どーん!」
「えっ!」
「わっっ!?」
後ろにいたのは先程出荷したはずのサンタ雪妖精だ!
「自分で氷漬けになって、石灰ごとはがして、大変だったんだから!」
「これは、おかえしーっ!」
テフラとシャルボンはそのまま玩具製造機の箱に入ってしまう。
衝撃で機能が停止していた製造機だったが…
「ふっふっふー、すいっち、おーん♪」
「「うわああぁ!!(ですぅ~!?)」」
ガタゴトと音を立てて、機械の箱が二人を玩具へと作り替えていく。
「あ、出荷する前に私達にも見せて。」
サンタ雪妖精は機械を弄ると、サンタ雪妖精の目の前に、チーン!と音を立てて、完成した二人の成れの果てを手に入れる。
「「…………」」
テフラは可愛らしい、服を着た兎のぬいぐるみ。
スカートの部分だけ雪で出来ていたせいか、超短めのミニスカートとなっていて、下着が丸見え状態だった。
「あはは、えっちなのー♪でもかーわーいーいー♪」
ぎゅっぎゅして抱きしめながらサンタ雪妖精の一人はクルクルと舞いだした。
シャルボンはスノードームと化していた。
きらきら雪が降り続けては消えていく、魔法のスノードームの中、雪の積もった世界と小屋。その中心に佇む、シャルボンらしき姿の人形。
人形はうっかりしているのかヘソ出しの赤いサンタ服を着ており、プレゼント袋を片手に覗き見る者に手を振るかのような明るい表情とポーズで固定されている。
サンタ服はどうも女性用のものらしく、ミニスカートが揺れるとちらりとだが下着ものぞき見れる仕様となっていた。
「あはは、サンタさんになった気分はどう?一年中雪の降る中、皆が見てくれるよ!」
にやにやにこにことサンタ雪妖精は、さらし者となったシャルボンの姿を見続ける。
「わ、まだおもちゃあったの?」
そこへ他のサンタ雪妖精がやってきた。
「スニェ様がそろそろ出発だから、玩具は早く出荷しておかないとー!」
「わ」
「ごめんなさい!じゃなかったちょっと待ってそれ」
言いかけたが、そのまま出荷すれば証拠も残らずオッケーでは?と考えたサンタ雪妖精は。
「ううん、なんでもないの!みんなにハッピーウィンターデーを!」
「うん!メリー・ウィンターデー!」
ぬいぐるみとスノードームのままコンベアに乗せられ、運ばれていく二人。
このまま出先のサンタ雪妖精に掴まり、名も知れぬ誰かのプレゼントとなってしまうのだろうか…。
「ぎゃおー!とシエナは大暴れを続行しています。」
振り放つシエナのティラノサウルスの暴力が工場の機械を襲う!
「「きゃあー!!」」
吹き飛ばされるサンタ雪妖精達!それどころか、テフラのうさぐるみも吹き飛ばされる!
そのままテフラうさぐるみは、運良く元に戻るサンタガジェットに飛んでいき…
ガタゴトと、テフラうさぐるみを飲み込んで、元に戻ったテフラが吐き出された。
「ふにゃっ!も、元に戻れたですぅ!?…そんな事言ってる場合じゃなかった、シャルボンさーん!?」
「よーしこれくらいでいいかな。待っててスニェ様ー!」
シャルボンはあわや、待ち構えたサンタ雪妖精の袋の中に入って、どこかへ連れていかれていた。
「シエナさん!大暴れしている状況じゃないですぅー!元に戻ってー!」
テフラの呼び声空しく、シエナは暴れ続けていた。
「こうなったら…」
意を決して、壊れたコンベアの中をテフラは突き進む!
「邪魔しないで!とシエナは仲間にも厳しく攻撃します。」
攻撃が迫る中、すうっとテフラは息を引いて。
「に ゃ ー ん!」
にゃーん
ニ ャ ー ン
ニャーン
「はっ、ここは…!?お友達は!?とシエナは辺りを見回しました。」
テフラによるユーベルコード【癒しの鳴き声】が響き渡ると、人形のシエナもたちまち癒され、我に返った。
「よかった。元に戻った…と、大変ですぅ!シャルボンさんが、シャルボンさんが玩具になって連れていかれましたぁ!」
「えっ!お友達が!?とシエナは聞き返します。」
「ですぅ!」
「でもここにもお友達がいっぱいいるよ!だからしばらくこの国に居たいよ!とシエナは駄々をこねます。」
「もうシエナ王国に!?」
この暴走人形をどうやったら奥のフロアに誘導できるだろうか。そこでテフラはハッとひらめいた。
「このおもちゃ達を持っていく人がこの奥にいるですぅ!きっと沢山お友達を溜め込んでるですぅ!」
「えっ!もっとたくさんのお友達が!?とシエナはテフラを乗せながら、急いで奥へと向かいます。」
シエナはテフラを手で操る糸でつり上げ、ティラノサウルス人形に乗せる。
「わっわわ!安全運転でお願いしますぅ!」
そのまま意気揚々と、玩具工場を破壊しながら先へと進むのであった。
果たしてシャルボンの安否は如何に……。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
赤嶺・ふたば
ほう、おもちゃに変える器械か、なかなか面白い光景だったよ。だが油断は禁物だな。いつ自分がおもちゃにされてもおかしくない。
ひとまず次のエリアへの道の探索だな。それと妖精が襲ってきたら機械にぶち込んでおこうかな、どんなおもちゃになるのか楽しみだしな。もしおもちゃになっている仲間を見つけたら魔法で元に戻せないか試してみよう。
(ボールにされて妖精達に弄ばれる展開を希望したいです)
●Toy box Panic
「大変だー!」
「復旧急いでー!」
玩具工場は大慌て。何故ならティラノサウルスに大体破壊されたから。
サンタ雪妖精達が困惑し、とりあえず動かせるコンベアや仕掛けを確認しては運転を開始。
相変わらず猟兵達を阻むが、その精度は先程より大きく劣っていた。
「ほう、おもちゃに変える器械か、なかなか面白い光景だったよ。」
緑の長髪に紫の魔女装束を着こなすウィザード、赤嶺・ふたば(f15765)。
彼女は先程のテフラ達の光景を見ていた。
しかし油断は禁物である。破壊されたといってもまだ稼働する玩具工場の仕掛けは多々存在しているからだ。
「いつ自分がおもちゃにされてもおかしくない。気を付けて行こう。」
そうして、とりあえず壊れて動かなかったり、石灰で固められたコンベアの上を渡り歩いていく。
「わぁ、また侵入者がいる!」「こうなったら、直接雪だるまにして追い返そう!」
ギミックを装備している魔術デバイスによって察知・把握し、避けて通るふたばにサンタ雪妖精達が出向かないわけがなかった。
手に魔法の冷気を込めて、雪だるまの形に練り上げたものをふたばに向けて放とうとしたその時。
「そこだね」
ふたばのハンドガンによる銃撃が、サンタ雪妖精の上に向けて放たれる。
それはちょうど妖精の頭上にあった、輸送用メカアームの関節部分だった。
「「ふぎゃっ!?」」
襲い掛かって来たサンタ雪妖精達が落下した機械腕の下敷きになると。
「さて。玩具にしてくる君達が玩具にならないなんて、自分的には損してると思うんだよね。」
「ふぇ?あっ、ちょっちょっと待っ」
サンタ雪妖精を下敷きから助け出し、拾い上げる。
「えいっ」
「わー!」
「そおれっ」
「おもちゃになっちゃうー!?ふあっ!」
ガコン、ガコンとサンタ雪妖精達が玩具に変える箱に投げ入れられる!
機械おもちゃ箱はガタゴトと音を鳴らし、揺れてから…
コンベア上にサンタ雪妖精の頭風のデザインがされた、開くミニチュアハウスのおもちゃと、積み木細工の可愛らしい雪妖精のおもちゃが放出され、コンベアに運ばれていく。
「ふうん。こんなおもちゃに…もっと沢山試してみようかな」
ふたばの言葉にびっくりするも、ためらわず動かせる機械を使って襲い来る。
「あっ、これは」
ふと落ちている、古臭い四角めのブリキロボットが目についた。
それはボタンを押さなくても勝手に動き出していて、ほのかにひんやりしていた。
「これ、もしかしておもちゃになってる妖精かな?」
ふと、思いついて。
ふたばはそのロボットホビーに謎の電子機器を向けた。
それはふたばの魔法の一種をサポートする、自動射出及び思念操作機能付きの遠隔魔法起動デバイスであった。
何言ってるか分からない?とにかくすっごい魔法デバイスなのだ。
それを目の前の玩具にかざす。
「元成分をスキャン。解析の折にユーベルコード【メタモルボディ】発動。応用して、成分元となった形のグリッド体に沿ってこのおもちゃを『以前そうであった姿』に再構築…」
何やら電子的な、それでいて魔術的な緑の光と魔法陣が、その不細工に動き続けるブリキロボットを包み込む。
徐々に、手が、足が、生身の妖精的なそれに変わり始めていく。
「ふぅん。アルダワは蒸気と魔法で栄えてる世界だから…この工場の機械も、やっぱり魔法によるものなのか。」
何かを納得しながら元に戻っていく経過を観察する。それがいけなかった。
ふたばはうっかり、背後から忍び寄る新たな機械腕の存在に気付かなかった。
「うわっ!?」
「ふふーん!捕まえたよ!」「そのままそのまま、ちょくしーん!」
背中をつままれる。じたばたともがくも、機械腕は意に介さずふたばを機械おもちゃ箱へと運んでいく。
「とうかー!」
「う、うわっ―!」
そのまま機械おもちゃ箱に入れられたふたばは、中でガタゴトと、体をもみくちゃにされて。
「な、なにこ…ふげっ!?」
ぷしゅうとプレスされて加工されると、おもちゃ箱の中から、デフォルメされたアクリルキーホルダーとなったふたばが出てきた。
「やったー!」
「サンタ妖精の秘密を知る者はおもちゃになっちゃうんだよ」
「えへへ、見て見て!」
ぱたぱたとサンタ雪妖精がそのキーホルダーを拾うと、サンタ服に着飾る。
「似合う?」
「もっとクリスマスするといいよ!」
「クリスマスの、緑の魔女さん。クリスマスツリーが似合うと思うの!」
「あとはー、ジンジャーマンとかー」
「全部まとめてアクリル板に閉じ込めちゃおっか♪」
きゃっきゃわいわいするサンタ雪妖精の談話に、一言も反論する事ができず、ただのアクリルキーホルダーと化したふたば。人権はなかった。
「あっ手が滑っちゃった」
他の妖精達に見せびらかしていると、つるりと手が滑り、再び機械おもちゃ箱の中へ。
(~~~!!??)
ガタゴトと音を立てると、今度は可愛いふたば魔女のぬいぐるみとなって、玩具のドラムをドコドコと叩き続ける人形となった。
「(な、なんだこれ~!?)」
抵抗する事はできず、ただただドラムをたたき続けるだけの存在となり。
「わーい♪こっちも可愛いね♪」
「次は次はー」
その後もふたばは妖精達に、思うままに玩具にされていく。
「(あっあっ…いたっ、いたっ、ちょっ、やめいたっ)」
電電太鼓となって、長髪の先で自身の顔と後頭部を振られる度に何度も叩く存在となったり。
「(…………)」
妖精達のリクエスト通り、ぴかぴか光る魔女帽子付きの、デバイスの光を電飾としたクリスマスツリーとなったり。
「あははは!どれもこれもにあってるの!どれにしてアルダワの人に配ろうかしら!」
「ちょっと、あんたたちー!」
そんな彼女達にぷんすか怒るサンタ雪妖精がいた。
「その辺りの機械の故障直すから、あっちで遊んでて!」
「えーっ」「ここ止めるの」「じゃあ最後にー」
ふたばが再度機械おもちゃ箱に入れられると、ガタゴト音を立て、
全体的に頭がのっぺり張り詰めた、しかし最低限可愛らしくデザインのされた、バレーボール大のゴム製ふたばボールと化してしまった。
「(ふ、ふにゃあっ!?)」
「そーれっ!」
サンタ雪妖精の一人がふたばボールを高く打ち上げる。
「(わあっ!?体が、歪む!ふにゃふにゃする~!)」
空気抵抗を受けてぐにゃぐにゃになりながら、飛んだ先のサンタ雪妖精が。
「ぱーすっ!」
「(うわわわわ!)」
別のサンタ雪妖精にパスをして飛ばし。
「レシーブ!」
「(ぎにゃっ!)」
「パンチパース!」
「(ふぎゃっ!殴るなっ!?)」
「とーす!」
「(うわわわわ!高い!高い!)」
そして高く打ち上げられたふたばボールを。
「とどめの、さーぶっ!」
「(きゃあぁぁ~っ!?)」
プレゼント箱めがけて打ち下ろされたのだった。
心の中で目を回し、しばしの間気絶する。
あわやふたばは、しかし『機械以外でも元に戻せる/戻れる』事実を残しながら。
「それじゃあ、これもプレゼントに入れておくね。」
そのまま包装。サンタ雪妖精のプレゼント袋の中に入れられ、フロア奥へと持ち去られてしまうのであった……。
苦戦
🔵🔴🔴
佐伯・晶
目立たないようにおもちゃから元に戻す機械を探すよ
人形にする機械を見つけ捕まったふりをしよう
邪神の繰り糸を使えば干渉できそうな気がする
ベルトコンベアで運ばれつつ
隙を見て物陰に隠れよう
これは着せ替えフィギュアかな
大きさは妖精達と同じくらいだね
体は樹脂でドレスや装飾は布
下着は下だけかな
ベアトップだから仕方ないね
柔かそうな曲線なのに
触ると硬い樹脂だから変な感じだよ
人形のふりをして周囲を観察し
元に戻す機械を探そう
見つけたらこっそり移動
見つかったら人形のふり
だるまさんが転んだみたいだね
人形のふりをしている時に
触れられたり着替えさせられても我慢
心もフィギュアに近付いてるのかな
全然恥ずかしくないのが少し怖いよ
久遠・翔
アドリブ絡み歓迎
おもちゃに変わる妖精を見て…まさかこのプレゼントって
前章の箱を抱え必死に元に戻る機械がないか探します…もしこのおもちゃ全てが生きているのだとしたら一刻も早く元に戻さないと
そうやって探している最中にも箱が動くのも見てもしかしてと思いその箱も開けておもちゃを回収
実際自分の服も二の次で回収し、肌を真っ赤にしながらも機械を探します
もしも見つけられたらUC万能の指で操作して動かしおもちゃを元に戻します
見つからなかった場合は、冷えてしまったおもちゃ全てを胸に抱えUC無自覚の介抱術で戻せるか試します
元に戻ったらよかったと微笑みUC無自覚の魅了と使役術W発動
あちこち霜焼けだらけになっています
●お気づきになられましたでしょうか
「…まさかこのプレゼントって」
翔は箱を抱えていた。直前のフロアで氷雪妖精達からもらったその箱には、リボンで包装されたおもちゃがぎっしり。
「戻せる機械はなんだかあるみたいだし…もしこのおもちゃ全てが生きているのだとしたら、一刻も早く元に戻さないと!」
心細く、熊耳コートを羽織る巨乳の下着姿で、きゅっと胸におもちゃを押し当てながら、勇気を出して翔はおもちゃ工場の迷宮に足を踏み入れた。
「っと!」
まだ動いているベルトコンベアに運悪く乗り、危なげにおもちゃ箱を抱えながら先へ進む。
ベルトコンベアには翔の他に、どこからやってくるのか様々なおもちゃが、あるものはそのまま、あるものは包装された箱の状態で奥の氷雪妖精達へと運ばれていく。
ふとそれらを見ていると、一瞬がたり、と動いた箱を見つけた。
「…まさか…」
一旦抱えている箱を足元に置いてそれを拾い、中を開ける。
なんともプレミアムな感じに装飾されたマトリョーシカ人形だった。
「…これも元妖精とか何かだったりするっすか…!」
コンベアで運ばれていくおもちゃを、拾いながら、自身の抱えるおもちゃ箱に入れていく。
あふれんばかりのおもちゃを抱えて、一人おもちゃの迷宮を駆ける。
しかし、いけない。
回収ばかりに気を取られ、彼女はおもちゃ工場によるギミックやトラップに無頓着であったのだから。
「うわあっ!?」
突如降りて来た機械のアームにつままれてしまう翔!
「玩具は…!無事降ろせたっすか。じゃない!俺も降ろすっすー!」
「やーだよっ!」
「ていこうは無意味だー!」
「わっひゃっはっはははははっふはぁ!?」
天井から伸びる機械アームからのこちょこちょ攻撃だ!
笑わされながら恐怖する間もなく、眼前に機械おもちゃ箱が迫る…!
「だ、駄目っす!俺が玩具になったら誰が…あっー!」
機械のおもちゃ箱に翔が入って、ばたんと閉まると、ガタゴトと音が鳴る。
煙を吹いて箱から出てきたのは、翔の髪の灰色と元着ていた服の黒色のコントラストが映える、かっこいいおもちゃの車だった。
「わ、結構大きくできたね!私達も乗れるんじゃない?」
サンタ雪妖精がコンベアに翔だった車を降ろすと、片足を車に乗せ、地を蹴ってしゃーっと走らせる。
「あははは!わーい!試運転だーっ♪」
「(お、おわーっ!?)」
勢いの良いスピードで迷宮内をサンタ雪妖精達に駆け回らされる!
「故障したコンベアとか、この車で運んじゃわない?」
等と並走して飛ぶ妖精との話があった。
「(それより元に戻して欲しいっすー!)」
しかし翔の声は届く事は無かった。
●暗躍する女人形
翔がサンタ雪妖精達にいい様に弄ばれている最中。
ごそり、ごそりと、翔が運んでいたおもちゃ箱を運ぶ影があった。
「あれ?」
サンタ雪妖精の一人がふとそれを見やる。
「どうしたの?」
「おもちゃが動いてたの」
「それくらいここでは普通だよ?」
「でも、なんだか普通の人間さんみたいな…」
ぎっしりつまったおもちゃ箱の傍に落ちていたのは、人形。
妖精達と同じくらい…そう。漫画の単行本の縦直径程のサイズである。
それくらいの大きさの、着せ替えフィギュアの人形。
体は樹脂。着ているものは布。作り物の金髪。
衣服は黒い布のドレスで、ベアトップが故に下だけは履いている状態だ。
不思議に思って、サンタ雪妖精がその人形を触る。
柔らかそうな人形の肌は、曲線に沿って手袋で触ってなぞると、樹脂由来の硬い感触が伝わってくる。
どうやっても人間ではなかった。
「んー…」
「どう?」
「気のせいだと思うー」
「そっか。じゃあこれも早く運ばなくちゃ。」
おもちゃ箱にその人形を乗せ、ベルトコンベア作動のレバーを倒して運んでいく。
そうして目を離した隙に、人形が動き出す。
おもちゃ箱から降り、先の猟兵達の軌跡で目途を付けた、玩具を元に戻すサンタガジェットの所まで引っ張ろうとする。
「あれ?」
一瞬サンタ雪妖精が見やる。
「運んでる間に落ちたのかな」
おもちゃ箱と、倒れた人形だけが見えた。
再び機械を作動する。
その間にまた、コンベアからコンベアへ、おもちゃ箱を必死に運んでいく。
「(…上手くバレていないといいけど)」
その人形は晶だった。
おもちゃに変える機械のフロアと分かった途端、自らに【邪神の繰り糸(オーダード・マリオネット)】を発動。
フロア内の玩具…人形の1体となって自らを操り、動き、不測の事態をこっそり助けようとしているのだ。
機械おもちゃ箱には入っていないが、入ったらどうなるかは分からない。
玩具の人形のふりをしながら、翔が残したおもちゃ箱を、元に戻すガジェットの元へ、少しずつ、少しずつ運んでいく。
「(…あと、少し…!)」
次のベルトコンベアを横に逸れればそこにサンタガジェットがあった。だが。
「(ぅっ…)」
意識がおぼろげになる。
このユーベルコードは本来相手を呪いで人形に変えて操るというものである。自身を人形にする使い方はあまり推奨していない。
呪いが晶を蝕んで、少しずつ存在そのものが着せ替えフィギュアの人形となってしまいそうだった。
「さっきから、この箱が動いてる気がするの」
サンタ雪妖精達が、人形とおもちゃ箱に集まってきた。
「(あと少しの所なのに…!)」
晶のフィギュアは拾われる。
「これ、着せ替え人形さんだね。」
「(っ…)」
ぺたぺたと、手袋越しに触られる。
胸や足の触感、出来具合を確かめられているのが分かった。
「綺麗な服だわ。他に着せるもの、何かあった?」
「ピエロー!」
「ワンピース!」
「バニーさん!」
「ビキニもあるよ!」
晶の服はすぐさま外され、サンタ雪妖精が次々と何処かから持って来た服に、様々な衣装に着せ替えられていく。
「(くっ…でも何だろう、全然恥ずかしくない…)」
この恥辱に我慢しようとして、しかしそれがあっさり我慢できたことに、晶は心で恐怖した。
そして何度目かの着せ替えの時である。
「あっ!」
「そろそろ出荷も終わりだよ。その玩具も持っていくね!」
玩具やプレゼントを乗せて翔を走らせているサンタ雪妖精が通りかかろうとした。
「(…あんな姿になって…!しょうがない。バレるの覚悟で!)」
「きゃっ!?」
晶は作戦を変えた。
人形の体を操り、即座にサンタ雪妖精から抜け出すと、翔だった車に向かう。
「えっ!?何!?」
「(こういうのって、苦手なんだけど…)」
翔の車を、機械の如き人形の操作で、無理矢理持ち上げると。
「(今を逃すとおもちゃのままで終わってしまう。それは避けないと…!)」
そのまま力いっぱい、サンタガジェットの、元に戻す機械の方へとぶん投げた!
「きゃあぁ~っ!」
振り落とされるサンタ雪妖精達!
「(うわぁぁ~っ!?)」
翔の車がサンタガジェットの口に…入らない!あと少しの距離で床に落ちる!
「わーっ、コースアウトしちゃった!」
「お人形さん、凄い怪力さんだわ!?なんなの?」
「(う、うわぁ、またやってきたっす!)」
サンタ雪妖精達が翔を奪還しようと羽ばたいてくる!
「(お願いだから落ち着くっすよー!?)」
車でしかない、何もできない。しかしその祈りはユーベルコードとなって発動する!
【無自覚の使役術(リンカーネーション)】
車である翔の利便性に魅了され、関心を向けたサンタ雪妖精達が、翔に乗ろうとするとぽんぽんと煙に包まれる!
煙から現れたのはサンタ雪妖精でなく、サンタ帽子をかぶって手袋を腕とした、可愛らしい小さな雪だるまだった。
「(ほわぁ!?ユーベルコードが発動した!?そうか動けないだけで…念じたり、それ以外の事はできるんすね!)」
それならと…自身のオーラを操って、今しがた己の【使役獣】としたサンタ雪だるま達に念じて命じる。
「(俺を元に戻して欲しいっす!具体的には、その機械にー!)」
「えっ、どうしたの?」
追加で現れるサンタ雪妖精達。
だが事態に気づく前に、わっせわっせとサンタ雪だるま達がサンタガジェットの開いた口に翔を入れる…!
「ああっ!」
ガタゴトと音を立て。
「ぷはあっ!い、生き返ったっすー!車になるのは…えっと、その前に!」
元に戻った翔は即座にサンタ雪妖精達をかき分け、あのおもちゃ箱を抱えると。
「ここまで運んできてくれてありがとうっす!今元に戻すっすー!」
「わーっ!」
「だめーっ!?」
サンタガジェットに勢いよく、玩具達が入っていく。
煮詰まったまま無理矢理動かした洗濯機の如く、大きな振動を立ててサンタガジェットが、唸る!唸る!
そして蒸気と共にお腹から…金属の塊が出てきた。
「えっ!?」
次に綿の塊が。次に木材が。
「こ、これもしかして間違え…ひいっ!」
そして次に…次に、ついに。
「きゃーっ!」「わ、わ、おもちゃのにおいがいっぱい」「たすけてくれてありがとー!」
最初にプレゼントしてもらった者…元に戻った氷雪妖精達が、わらわらと出てきたのだった。
「や、やっぱり合ってたっすか!よかったっす妖精が…はうあっ!!」
ここから出てきた氷雪妖精達が着ているものは、全員リボン1枚だけだった。
「しんじてくれたんだね」「わたしたち、さびしかったー」
「おれいにきすしてあげるっ」
「えっ、わっわっ、お、俺は男で…」
ユーベルコードで魅了されなくても、最早彼女達は翔にメロメロだった。
「ん~♪」
「ひやんっ!?」
嬉しそうに頬ずりをされると、氷雪妖精故の冷たさで霜焼けになり。
「おねえちゃんのむね、あったかいの~♪」
「うわわわわ!もうそれは前のフロアで~!?」
あちこちをキスされ、くっつかれ、頬ずりされ。
雪と氷の妖精達に魅入られた翔は顔を真っ赤にし、凍えて体を震わせながら鼻血を出していた。
「…ぁ…」
サンタ雪妖精達は、ぽかんとしてその光景を見た後。
「ご、ごめんなさい!見習いさんこんなに沢山玩具にしていたの、戻したかったのね!」
ごめんねー!ごめんねー!と、一斉に謝ってくる。
「え?え?」
「お友達をここまできて」「こんなにやさしくしてくれるなんて」
「…今までのいたずら、怒ってない?許してくれる?」
「それは…えっと」
とりあえず、無事にこの先へ進ませてくれたら。
そういう約束で、翔は見事、雪の妖精達と和解し、気に入られたのだった。
●少なくともこの話においての、冬の妖精達の在り方は
工場は停止した。
妖精を助けてくれた翔というしょうね…少女の為に。
もはや誰一人として敵対される事は無く、サンタ業の稼働は一時停止。危ないギミックには布が被せられた。
「私達、サンタさん。」
「それはまあ、見ればわかるっすよ。」
「私達と一番仲良くしてくれるお友達、スニェチカっていうの。」
「毎年ダンジョンでプレゼントを用意して、眠っているアルダワの人達にプレゼント。この仕事をする人を『サンタ』って呼んでるの。」
「そんな子が。」
「ここ何百年かは見てなかったけど―」
「えっ!?」
「最近になってまたきたの。だから私達も、がんばってプレゼントを作っていたのよ。」
「……そっすか」
「スニェチカ…スニェ様はね、いつもこう言うの。」
『サンタは誰にも見られたり知られたりしてはいけないから、見られた人は強引にでも凍眠(ねむ)らせて。』
「そしたらぼーなすで私達のプレゼントをどこからか持ってくるの。」
「プレゼントを配って嬉しい。わたしたちもプレゼントをもらって嬉しい」
「ただ見られちゃいけないの。…でも、翔様は特別ー♪」
「ひゃわわ!ズボンの中に入らないでまた凍るのは勘弁っすー!」
こほん、と翔は、言葉を紡ぎなおす。
それはある意味、妖精達にとって残酷な言葉を。
「そのスニェチカとかいうの、多分災魔っす。……俺はこれから倒しに行かなくちゃいけないっす。」
「……」
妖精達は、ぽかんとして。
「多分、昔もその掟…見つけた人を強引に眠らせてしまうから危険視されたんだと思うっす。」
この先は最奥。ならばそこに待ち構えているのは。
数百年前の存在。ならば今現れたのは、今宵過去の骸からやってきたのは。
「だから―」
「うん。いいよ」
「ほぇ!?」
妖精達の返事は朗らかなものだった。
「私達は自然の精」「どちらがどちらに転ぼうと」「優しくて、頼りにしてくれたなら」
「わるい子もいい子も、倒れても倒されても」「ずっとそばにいるだけだから、大丈夫。」
「そんな…!?」
「だからおにいちゃんもおうえんするよ。」
「スニェ様のお仕事も精いっぱい応援するの。」
「ようせいはどちらの側にもつくよ!」
「メリー!」「メリー!」
「全てはメリー!ウィンターデーなの!」
翔の周りできゃっきゃする氷雪妖精達は、今にも着ているリボンから大事な所が見え隠れしそうだ。
「わ、わわわわわ、はうあっ…」
翔は止まらなくなる鼻血を頑張って手でおさえながら。
「ちょっと、あのサンタ妖精さん、この子達に合う服とか用意できないっすかね!?」
「はいはーい!」
「こちらになりまーす!」
「わぁ!暖かい!」
「これで私達もサンタ妖精?」
氷雪妖精達にもこもこの服が配給される。
そしてサンタ雪妖精は、翔にも衣服を渡す。お詫びのつもりらしい。
「あなたにも、一足早いウィンタープレゼントなの。」
いつもの黒い衣装が、寒冷地仕様でちょっともこもこに、暖かい生地となって帰ってきた。
「あ、ありがとうっす!やっぱりこれがあった方が落ち着くっす。」
きゅっと黒い衣装に身を包むと、Gはあったその胸も合わせて縮みこむ。
「わ、わ、くるし…」
「ひゃわっ、ごめんっす…ちべたいっす!?」
胸に挟まれてた氷雪妖精は苦しそうに胸から出ると、翔の襟元までが雪と氷で包まれてしまう。
「はひぃ…」
「くすくす。おにいちゃんのおむね、あったかかったー♪」
「俺は男…!男で扱ってくれるっすか!?そ、それなら…」
そうこうしながら、翔は和解した妖精達と共に、フロアの最奥を目指す。
話が真実なら、これから準備を整えて、今にもアルダワ学園を進行しそうな、スニェチカの暴走を止める為に。
●そして彼女は
「…………」
一足、遅かった。
晶の事である。
最後の力を振り絞った後、意識を失って気絶して。
スニェチカの側についているサンタ雪妖精のプレゼント袋の中に、今は包装されて運ばれている。
力の仕様のし過ぎにて、身も心も着せ替えフィギュアに限りなく近づいた。
意識が晴れた時、彼女はどちらになっているのだろうか。
人としての意識がほんの少し残る人形か。それともただの人形か。
運命はこの後の戦いへと続く。
苦戦
🔵🔵🔴🔴🔴🔴
第3章 ボス戦
『スニェチカ』
|
POW : 眠ってる間にプレゼントを置いてくわ…!
【おじいちゃん直伝の暖かく凍える吹雪】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全対象を眠らせる。また、睡眠中の対象は負傷が回復する。
SPD : 妖精さん、ご褒美あげるから手伝って。
自身の【プレゼント】を代償に、【レベル×2体のサンタ雪妖精】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【記憶抹消を伴う氷雪技】と【こっそり配達】で戦う。
WIZ : 貴方の望むプレゼントはこれ?(満足後冷凍し逃走)
対象への質問と共に、【プレゼントを見せて】から【瞬間冷凍機能搭載のサンタ型ガジェット】を召喚する。満足な答えを得るまで、瞬間冷凍機能搭載のサンタ型ガジェットは対象を【冷凍→プレゼント変更→解凍のローテ】で攻撃する。
イラスト:めいさ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠ポーラリア・ベル」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
雪と氷の妖精地帯を抜け。
おもちゃ工場の迷宮を抜け。
猟兵達が扉を開けた先、それはただの迷宮の回廊だった。
ふと後ろを見ると、閉じた扉が壁と同化し、他と見分けがつかなくなった。
……つまり、あのおもちゃ工場が災魔の本拠地であり、ここは裏口?
猟兵達の目前に彼女はいた。
沢山のサンタ姿の妖精がプレゼントを持っていて、中心にいるロシアンなもこもこ防寒服姿の少女と戯れる。
その少女は周囲に無意識に雪を降らせ、氷のように青い髪を三つ編みにして、大きなサンタの袋にプレゼントをぎっしり詰めている。
●彼女の名はスニェチカ(ゆきちゃん)
「プレゼントは集まった?」
「はーい!」「ばっちり!」
「良い感じの夜になってきたし、そろそろ決行しよっか。」
「いよいよ本番だね!」「寝てる子の顔がたのしみ」
「今から私達はアルダワ学園に乗り込んで、プレゼント配達作戦を開始するわ!」
「わーい!」「きゃーきゃー!」
「現在真夜中。いい子は皆寝て居るはずだわ。でももし起きてるような悪い子がいたら?」
「凍らせるー!」「眠らせるー!」
「そして記憶を魔法で消して、私達がいた事を完全抹消させるのよ。」
「りょーかーい!」「まっしょうだー!」「雪の様に記憶を凍らせるの」
「それじゃあいきましょう。雪の降る夜に、ハッピーウィンターデー!」
「「ハッピーウィンターデー!!」」
一見なんて事の無いクリスマス行事に赴いている少女。
だが彼女は災魔である。
乗り込まれれば、目撃されれば、それこそ学園は大騒ぎ。
眠ってしまえば、凍眠(ねむ)らされてしまえば、もしその隙に別の災魔がやってきたら?
まだ距離がある。こちらには気づいていない。だが放っておけば迷宮を辿って学園に乗り込んでしまう故、追うしかない。
猟兵達は、この雪の娘をなんとしてでも止めなければならなかった!
※WARNING
現在以下の猟兵は2章において玩具状態になり、ただの物としてスニェチカのプレゼントに入っています。
●シャルボン・フランヴェルジュ(f22312):スノードーム化
●赤嶺・ふたば(f15765):バレーボール大のゴムボール化
●佐伯・晶(f19507):着せ替えフィギュア化
身動きは取れません。言葉も話せません。
ですが意識はあります。念じれば遠隔操作できるユーベルコードくらいは何とかなるでしょう。
誰かに元に戻してもらうか、魔法によるものなので、何らかの方法で自力解除を行うか。
もしくは真の姿になる事で玩具状態から脱出できるとします。
弄ばれたりもがくだけで終了する等のロールは失敗になる可能性があります。ご注意を。
※玩具状態のままシナリオが終了しても、アルダワの誰かにプレゼントされた後
なんやかんやあって数日後に玩具になった猟兵であることが判明し、元に戻されます。ご安心ください。
鳩麦・灰色(サポート)
「ウチ、やなくて私も手伝わせてもらうよ」
「アンタ(敵)はそこで黙ってて」
◆特徴
独り言は関西弁
話言葉はほぼ標準語
脱力した口調
『敵さん』の行動の意図を考える傾向があるが内容に関わらず容赦しない
◆行動
【ダッシュ】【クライミング】【地形の利用】で場所を問わず速く動く事が得意
戦闘は速さで回避重視
味方が居れば武器の音で【存在感】を出し率先して狙われにいく
攻撃は主に【衝撃波】を込めた鉄パイプを使用、空砲銃は場合に合わせて使用
◆UC
索敵、回避特化ではUC『三番』
集団戦では『四番』
敵単体では『一番』か『二番』を使用する
◆日常
日常は何かしつつ寝落ちる事が多い
◆
協力絡みセリフ自由
他おまかせ。よろしくおねがいします!
「なんやようわからんけど」
遠ざかっていくスニェチカの後姿を見ながら駆け付けたのは、黒いラフな服装に紫の体毛をした人狼の女。鳩麦・灰色(音使いおおかみ・f04170)。
右手をポケットの中に入れながら、独りごちている。
「こういうのは普通のサンタさんに頼まんとあかんよな。プレゼント貰う子の中で凍ってる子ぉできるんはあかんて。」
グリモア猟兵が言うにはプレゼント自体は無害なものゆえ、少し貰いたい気分にはなるが。
「まあ行こか。ここ寒いし…ちゃっちゃと、な。」
直後、左手に持つ鉄パイプを思いっきり壁に打ち付ける。
衝撃でパイプが震え、金属の音が、迷宮に響く……。
『掻い潜れ、"三番"』
灰色の獣耳が動き、ソナー音の如く周囲の状況を理解する。
アルダワ学園へと続く迷宮の中、曲がり、曲がって、階段も上がって。柱をくるっと回ったその先の回廊……。
「あそこか!」
灰色は鉄パイプを空に振ると服の背中に仕舞い。用意した黒いバンテージで右手をキュッと包むと、四肢を地面に着け……駆ける。
人狼、狼が如き獣の跳躍と疾走。
地を駆け、壁を駆け、天井すらも駆け。
迷宮内を縦横無尽に走り回りながら、スニェチカ達の元へと急ぐ。
「いた…あいつやな。こほん。あれだね!」
口調が関西弁から標準語へと変わるのは、彼女が気を張るスイッチのようなもの。
とてとてと急ぐスニェチカめがけて跳躍。空中で鉄パイプを背中から取り出し、降り下ろし一閃!
衝撃!相殺音!
突如現れたサンタ雪妖精達が揃って展開した、大きな雪結晶の盾に一撃が阻まれる!
「ちっ!」
「あぶないの!」「スニェ様、怪我はない?」
スニェチカの周囲に展開されるサンタ雪妖精。その数156体!
「ちょっ、多い!」
「何万人もいるアルダワ学園でお仕事するもの。他の妖精さんにも手伝ってもらってるけど、もう10倍は欲しいくらいだわ」
雪のような微笑みで、妖精達に手をあぐねている灰色の方へゆっくりと体を向けるスニェチカ。
「あなた、起きてるのね。こんな時間に……良い子はおやすみの時間よ。起こしてはおけないわ。」
「黙ってて」
灰色が右手をポケットに突っ込み隠すと、左手に持った鉄パイプに力を籠める。
それは鈍く響く音を立て、傍目には分からないレベルで高速振動を起こした。
「わかったわ。寝沈む夜は静かにね……」
スニェチカは口を閉じ、片手をプレゼント袋に、もう片手を灰色にかざす。
それだけで同意できた様にサンタ雪妖精はプレゼント袋からプレゼントを手に取りつつ、灰色に襲い掛かってくる。
『広がれ、"四番"!』
超振動の鉄パイプの横薙ぎが、冷気を纏い放ち凍らせに来るサンタ雪妖精達に放たれる!
鉄パイプ自体は直撃しなかったが、その余波の衝撃波が強く妖精達にぶつかり、吹き飛ばしていく。
「(つ、つよい!)」「(びりびりするよ)」「(わたしまだプレゼントもらってないのにー!)」
「(このおおかみにんげんさん、音を使うんだ!それなら…)」
ひそひそと戦闘の最中妖精達の相談声が聞こえる。
「黙っててって言ったでしょ!」
薙いで、飛ばし、進む。
超振動音波の衝撃波が、記憶を消そうと作り出した氷のハンマーで叩きにやってくるサンタ雪妖精をどんどん蹴散らして。
サンタ雪妖精達の隙間に、スニェチカへの最短経路が見えた―
「今だ!」
その妖精群の隙間を縫うが如く、獣の様に駆け抜けると、一気にスニェチカの至近距離に辿り着く!
「これで終わりよ!」
振りかぶる鉄パイプの必殺一撃!
驚いて目を見開くも、即座に己の冷気で雪の盾を作り出すスニェチカ!
「(なるほど雪…音を吸収して防ぐつもりやな。でもなぁ!)」
灰色は攻撃の瞬間、突如鉄パイプから手を放し。
零距離、スニェチカの眼前で柏手(かしわで)を叩く!
『去れ 、"一番"。』
ぐしゃり
「…え?」
本来なら。
柏手……ただ一回の拍手めいた手叩きを行い、その際に生まれる強烈な音の衝撃波によって、オブリビオンさえも吹き飛ばし破壊する灰色が必殺のユーベルコード。
それを行う灰色の手と手の間に、いつ仕込まれたのか、プレゼント箱があった。
箱を破砕した空気で破裂するような音でもなく、ただ、潰しただけの音が目の前で放たれ、衝撃がかき消された。
「あぁっ、折角のプレゼントが。」
一体いつそこに!?灰色の服の中から、ひょっこりと雪のサンタ妖精が顔を表した。
「くっ!」
「いけないんだ。プレゼントを粗末に扱うだなんて。」
サンタ雪妖精をひょいとつまんで放り投げると、懐にいたスニェチカは反撃体勢を整えていた。
「も一個おまけしてあげる」
「ぐあっ…!?」
取り出したプレゼント箱から、一瞬で膨れ上がるサンタ型の巨大風船。
爆発的な速度による風船の膨張衝撃波により、吹き飛ばされる灰色。体勢を整えて着地するも、距離が開いてしまう。
「妖精さんが教えてくれたわ。あなた、人の姿をしているけどおおかみさんなのね。」
その隙にふわりとスニェチカが舞うと、周囲に煌びやかな雪が舞い起こる。
「夜遅くまでとっても元気ね。でもそれだと、寝ている子が起きちゃうわ。」
ひゅうぅと、優しくも勢いを激しくしていく吹雪が。
「長年サンタを勤めていた、マロースおじいちゃんに代わった私が、良い子と一緒に眠らせてあげる…!」
両手を灰色にかざすと。
「ウチ、は、良い子や、のうて…もう大人や!だ…!」
灰色に直撃する、問答無用の吹雪が襲い掛かる!
「わっ!さ、寒、っ……!」
灰色だけではない。その迷宮1フロアが、床が、壁が、天井が、たちまち雪で覆われる。
足元は厚い雪で覆われ、飛び掛かろうにも埋まった足で前に進むことすらままならない。
「くそっ、こんな、雪……」
その時灰色は違和感を覚えた。
「…何?なんや…これ…むしろ…どんどん…暖かく…なって…」
まるで遭難者の如く。
体が雪で埋もれていきながら、膝を着き、雪で固まり雪像になっていきながらも、どこか暖かく、幸せな幻を見てしまう程に、体がうとうとと眠たくなっていき、前へ前へと倒れていく。
「あ、あかん、これ…起きな……きゃ……」
……………………
「どう?おじいちゃん直伝のミチエーリ(吹雪)は。暖かいでしょう?」
雪の中に寝そべる……全身が厚い雪で覆われ、傍目では人狼の形と分かる、雪像と化した灰色。
「プレゼント、置いていくわね。」
その傍らに、プレゼントの箱を置いていく。フロアが雪深くなったが故に雪の中に沈みそうだ。
「メリーウィンターデー。素敵な冬の夜を。溶けるのは春先になるかもしれないけれど、きっと幸せよ。」
踵を返してスニェチカはアルダワ学園を目指そうとする。
その時だった。
「…?」
ふぃぃぃ……ん と、何か奇妙な音がする。
「この音は…」
そっと灰色の雪像を見やる。
灰色は、振動していた。
雪となって固まる寸前、鉄の足靴を打ち鳴らした。
何度も何度も、鳴らした音で、ただひたすらに高速振動させ、体内で振幅させる。
「よくも」
雪が落ちる。
「やって」
全身を駆け巡る振動で無理矢理体に刺激を与え、起こす。
「…くれたな!」
振動による爆発音と共に、灰色は雪像を砕き、復活した!
「まあ!」
驚くスニェチカ!その瞬間大きく跳躍し、スニェチカの頭上を飛び越えると、雪中に落ちる鉄パイプを拾う。
「もうアンタは黙ってて!『壊せ、"二番"!』」
灰色は鉄パイプを高速振動させ、スニェチカに…振るう!
「きゃー!」
すれ違いざまに彼女に触れたサンタ雪妖精達。
攻撃を受けた体が体内で超振動を起こし、雪と化して融解、その場に文字通り崩れ落ちていく!
「えっ、何?何それ―」
サンタ雪妖精達を蹴散らしていく灰色の一撃が、遂にスニェチカに届く……!
「「「させないよ!」」」
立ちはだかるサンタ雪妖精は…なんと、音を鳴らし、反響させたベルを持って立ち塞がる!
音波による高速振動で破壊力を増していると学習し、プレゼントからベルを取り出したのだ!
「そんなちっぽけな音でっ!」
「ちっぽけじゃないもん!」「クリスマスの冬の音」「なめないで!」「みんないくよ」
金属の音と楽器の音がぶつかり合い、鳴り響こうとする―
「―それなら!」
灰色は咄嗟に手を持ちかえる。
振りかざす縦横の鉄パイプの一撃から、懐に潜り放つ様な突きの構え!
「鳩麦がユーベルコード、『射音型』が応用。」
クリスマス・ベルの音をも刺し貫く、鉄パイプによる衝撃音波の槍!
「わぁ!?」
『届け、"裏三番"!』
必殺の一撃が妖精を貫通し、スニェチカの脳天を貫いた……!
「きゃー!頭が、頭がいーたーいー…!」
「スニェ様ー!」「大丈夫?」「こっち、こっちに逃げて!」
防御により通り抜けこそできなかったものの、体を駆け巡る衝撃にダメージが入るスニェチカ!
そのまま退散する方向は、来た道への逆戻り。他の猟兵達とかち合う…!
「逃がさない!挟み撃ちにした…してあげる!」
雪の地面を駆け、追っていこうとする灰色。
「んっ!?」
その足元に突如硬いものが当たると、雪の上を転がって姿を現す。
「これは…ウチへのプレゼントか?」
プレゼント箱であり、中からスノードームが転がった。
しかしそれは先のシャルボンの入ったものではなく、中に魔術的な光が詰まっていた。
そのスノードームは、戦闘の余波せいかヒビが入っていた。
「こんなもんを良い子にあげるなんて…」
灰色はスノードームを打ち上げると。
「サンタさん失格や!」
鉄パイプで叩き割る!すると!
「…は!?」
そこに現れたのは、こたつだった。
「え、なんで…?ここアルダワやろ?なんでこんな和式の」
ふと興味を惹かれ、ふとんをめくってみる。
むわっと、心地よい熱気が灰色の雪で冷えた体をくすぐる。
「こ、こんなもんで…今は災魔を追うんが先や!」
灰色はスニェチカを追おうとする。
その足がこたつに片方入っている。
「………」
灰色はスニェチカを追おうとする。
その体は腰までこたつに入っていた。
「………………」
「あ、あったか…しばれる……使い方あってるか分からんけど」
灰色はこたつに魅了され、雪の迷宮の中すっかりその虜となっていた。
「ま、まあどうせ他の猟兵とかち合うし。ちょ、ちょっと、ちょっとだけウチここで休……」
やれることはやった。
灰色は誰かに起こしてもらうまで、ぐっすりとこたつの中で眠るのであった。
成功
🔵🔵🔴
●伝説の雪娘
アルダワの在る所におじいちゃんがいました。
おじいちゃんは冬の日に凍えて倒れてる人に、暖かいものを渡すのが趣味でした。
寒い時は助け合って生きていかなければいけないから。
そのノリは加速して、寂しく死にかけてる人には玩具もプレゼントしたりとか、
冒険者さんを幸せにしようと一生懸命頑張ってきました。
ある日、そんなにいっぱいあるならよこせと押し込んできた人達によって、おじいちゃんは倒されました。
私も襲われたような気がしたけど、気が付けば私一人生き残っていました。
なので、決めました。
おじいちゃんの二の足を踏まないよう、決して『私が残した』と悟られないように、
冒険者さんの手助けをする事を。
気絶してる人に、眠ってる人に、起きたら幸せになれるような何かを。
見られたら、残りを奪いに襲ってくるから。
起きてる人には記憶も吹き飛ぶような凍眠(ねむ)りを。
絶対に、絶対に見られてはいけないの。知られてはいけないの。
知られたとしても、知らなかった事にしてしまわなければいけないの。
私一人では難しいから、妖精さんにも手伝ってもらって。
沢山眠りがある『上の場所』の為に、沢山用意を蓄えて。
ああ、でも、でも、だめだったわ。
みんなどこで私を知ってしまったのかしら?
どうしてプレゼントが私の仕業だと分かってしまったのかしら?
いつの間にか、私の行いは伝説になって。
御伽噺のように、冒険者さんが語り継いでいたの。
でも、でもまけないもん。
倒したら豪華報酬が出て来るとか、プレゼントを貰える敵だとか、そんな事を言われても。
おじいちゃんの力に、妖精さん、皆で作ったガジェットもあるから。
誰も彼も、みんな寝静まった夜に『して』。
私は今年も、幸せを、プレゼントを届けに行くの。
久遠・翔
アドリブ絡み歓迎
妖精と和解できてよかったっすよ…何人かパスが繋がっているみたいだけど
使役獣にした妖精はなんとなくわかるっす
しかしスニェチカって、やっている事はともかく…悪気はないのが困り者っすね
それに妖精さん達はああ言ってたけど…友達を目の前でなくすのは嫌な光景のはず
…難しいかもしれない、けど…妖精さん達の友達の為頑張ってみます!
真の姿を開放して純白の雪のようなドレスを身に纏い誘惑技能をさらに底上げし、相手を魅了します
災魔である以上学園には向かわせません
けれど…俺は、貴女をこの子達の前で倒したくないと抱きしめUC無自覚の介抱術で災魔の核を浄化すると同時にUC無自覚の使役術で使役獣にします
●包み込むは母の如き
「だいじょうぶ?」「おさまった?」
迷宮の一角で、スニェチカは頭を押さえながら走る。
「うん…きんきんしてたけど、もう大丈夫。改めて再出発。プレゼントを届けに行きましょう!」
「さっきのおおかみさん、みつけたよ」「眠ってたよ」
「そう。じゃあ作戦に支障はないわ。妖精さん、プレゼントをチェックして。最短経路を私に教えて。」
一度は戻ってしまったけれど、もう大丈夫ならこのままと、踵を返したその時だった。
「あなたは…!」
ある人間と出会う。
その者は男の魂を宿しながら呪いによって女の体になっている女性だった。
「あの子が私たちの大好きな、冬を一緒に祝ってくれる、スニェ様!スニェチカ様だよ!」
「…この人が…!見た目まるでスネーグラチカ(雪娘)っすよ!」
女性の名は翔。
雪妖精に魅入られた人の一人である。
「あら、あら?妖精さん達、何でそっちについてるの」
「スニェ様、スニェ様、おじいちゃんの代わりを見つけたの!」
「…えっ?」
氷雪妖精とサンタ雪妖精は嬉々として小さな雪を降らせながら、翔の周りを跳び回る。
「プレゼント配達、一人で背負っちゃだめだよ」
「あたたかくて、ほうようりょくがあるの」
「この人は若いけど、若いから、スニェ様にぴったりのマロース、彼氏さんになると思うの!」
「か」
「彼氏!?!?」
両者共に慌てふためく。それはそうである。
災魔スニェチカ側にも、翔側にも存在しない妖精側の主張に誰が気づくものか。それとないものはあったが。
恐るべきは雪妖精達よ。今の翔は女性だというに、完璧男性として見ている。魂を見られているのだ。
「お、男と言われて素直に嬉しいはずなのに、何すかこの複雑な気分…!」
顔を赤らめて慌てる翔。男女の仲としてならむしろ好都合では?と思われるかもしれない。
だが翔はこの後の作戦において、少しそれを否定してしまう算段であったのだ。
「さあさあマロース様、誓いのキスしたげて!」
「冷たい心を抱きしめて溶かして」
「それで一緒にプレゼントを配るのよ」
「ううん。それは…」
もじもじしながら否定するのはスニェチカだ。
「それは、少しうれしいけど。」
敵意無く翔に歩み寄り、お辞儀をして謝る。敵同士とは思えない状況だ。
「今夜は一世一代の大仕事。マロース…おじいちゃんに代わって、私は私一人で成し遂げないといけないの。」
「…それは」
「いつまたおじいちゃんがプレゼント目的で倒されても、ずっと見ていた私がしっかりやれるって、そういう決意があるの。だから…」
「…それは、起きてる人には容赦なく襲うのも含めての仕事っすよね」
「仕方のない事なの」
スニェチカがぎゅっと翔の手を取り、握手してくる。
「え?わっ」
「私、こんなに華奢なの。パワフルな一撃貰ったらあっという間にのびちゃうわ。不審者扱いで襲われる前に、先手必勝。妖精さんだって手助けしてくれるもの!」
朗らかな雪の笑み。甘えるように沢山のサンタ雪妖精がくっついてるスニェチカ。
「…そっすか。悪気はないんすね。」
困るっす。
だって俺は今から目の前の少女(スニェチカ)を倒さないといけない。
ナイフで斬りつけたり、拘束して叩きあげたり。
これを妖精さん達の目の前で…友達を目の前で手を下してしまう。そういう事しなくちゃいけない。
この残酷な展開を、俺は肯定したくない。だから。
「(…難しいかもしれない、けど…)」
暴力以外の、戦闘以外の方法で。
「(…妖精さんの友達の為、俺はこの手段を取るっす!)」
「妖精さん達!幾つか間違えてるっす!」
「え?」「なになに?」ざわつく妖精達。
「俺は学園でのプレゼント配りを止めに来た側っす!」
「えーっ!」「そんな!」
「まあ!でもやっぱり。服装がおじいちゃんじゃないもの」
「そうっす。マロース様じゃないっすし、…こほん、(今だけは(小声))俺は…女っすよ!」
「「「っええぇーーー!!?」」」
ざわめく妖精達。
「だって!」「だってー」「確かに胸とか出てたけど」「仕草が恥ずかしがりやな、男の子だったもん」
「え、そこで判断してたっすか!?と、兎に角!」
「そう。兎に角だわ。あなたやっぱりおじいちゃんでもなければ」
「もっと上位の存在っす」
「…なんて?」
手を上に翻し、今宵の翔は、己を蝕む呪いの力を…解放した。
純白の雪のようなドレスを身に纏い、より美しく、冷ややかで、おしとやかな、真の姿へと覚醒していく。
それは、その姿は、雪さえも魅了し己の力に変えていこうとするような、女王様の如き姿。
「手を取って。」
雪の女王のような振る舞いをする翔に。
「…ぁ…」
無意識に手を取り、踊るようにクルクルと回る二人。
そして優しきハグを、スニェチカの伸長を上回る、まるで母親の様になった翔が行う。
「(…近い近い近いこれ大丈夫なんすかね事案じゃないっすかねー!?)」
内心に昂ぶる危ない気持ちを抑える。
「…暖かい」
「そうでしょう」
「私がスネグーラだから、カラリェーヴァ(女王様)になったの?」
「妖精や娘達を司る存在であれば、私の話も聞いてくれるかと思って」
口調が女のそれに侵食されていきながらも。
「スニェチカ。災魔である以上、私は貴女を止めなければいけない…でも、貴女をこの子達の前で倒したくないの。」
薄く暖かい介抱の光が、翔の全身から放ち渡る。
ドキドキしながらサンタ雪妖精達が見守る中、静かな雪が二人の空間を支配する。
「ずっと、このままは嫌」
「だから、私の娘になってほしいのです。」
「…おにいおねえさんの…貴女の…娘…」
「妖精達から事情は聞きました。おじいちゃんが居なくなって、一人でサンタの仕事をしようとしてる。」
その想い、その心。
私の中で、溶かし流れて―。
「……だめ。」
「!」
スニェチカの雰囲気が、より冷たくなり。
「私にはおじいちゃんしかいなかったの。」
ぎゅっと翔のドレスを握り。
「ずっとサンタの役目のお手伝いと、お仕事を担ってきたの!…おじいちゃんを否定して、サンタを否定して、おにいおかあさんについたら。なにがなんだか分からなくなっちゃう!」
「っ!駄目、なの…!?」
小さな感情の爆発が、吹雪となって翔をのけぞらせる。
「あっ…!」
その胸に更にぎゅっとスニェチカは飛び込むと、翔に開いたプレゼント箱を見せた。
「シンプルなドレスでお母さんを名乗るなんて。うちのお母さん風邪をひいちゃうわ。」
その中は青色でもこもこ、白銀の雪結晶装飾や模様がついた、冬ならではのロシアン皇女衣装。
見せてからさっと引いて、クルクル回りながらスニェチカは背後の存在に身を任せる。
それはいつの間に出てきていたのだろうか。玩具工場にあったサンタ型ガジェットに似た。
それでいて白い袋を両手に1つずつ持ったサンタの大型ロボットなガジェット。
「貴女に相応しいプレゼント、あげるね。」
「な―」
サンタガジェットの袋の一つから、勢いよく強力な冷気が吹きかけられる。
それは声を一つ上げたまま、翔の体を一瞬で冷たき氷に変えてしまったのだ。
「…………」
「うふふ。貴女が私のお母さんというなら…雪の女王を気取るなら。」
ぽんぽんと、白い氷に覆われてより美しくなったドレスの胸をタッチする。
「…………」
反応は帰ってこない。きっと心の中では恥ずかしくなってそうなのに。
「そこで暖かくして、これから私のやる事を見てて。」
妖精達と共に、ドレスの上から先のプレゼントに着替えさせる。
ロシアの皇女様のような、暖かいもこもこに青色。
雪をちりばめた装飾は、雪の白から氷の青へ、冷たく美しいコントラストを描いていた。
スニェチカは満足し、その場を去る。
気温変化でぽたり、と、指先から雫が落ちる翔は。
誰かに手を差し伸べているかのような朗らかな様子の氷像となって、雪積もる迷宮の中、佇んでいた。
「大丈夫?」「今助けるね」「あの子融通が利かない所あるから…」
スニェチカと共に飛んでいくサンタ雪妖精達は、その数を減らしていた。
翔側についた、翔側についていた雪妖精達は、結託して。
雪の女王様氷像と化した翔の体の氷を、氷で出来た器具で削っていく。
苦戦
🔵🔴🔴
シエナ・リーレイ
■人形館
■アドリブ絡み可
欲しいのはそれじゃないよぅ。とシエナはしょんぼりします。
沢山の『お友達』を求め、工場を壊しながら回廊に辿り着いたシエナ
プレゼントをくれるという少女の誘いに乗るものの少女の提示するプレゼントの数々は素敵だけどシエナの望む物ではありません
結果として冷凍→解凍のループが始まり最後は冷凍されたまま放置されてしまいます
(あの子を『お友達』にして!とシエナは神様にお願いします。)
テフラ君達が凍り付く中、シエナは『お友達』と相談し天の神に願う決意をしてしまいます
願いが届いてしまった場合、少女は暴走する玩具工場の機械襲われ、衣類を剥がれた挙句シエナの望む『お友達』にされてしまうでしょう
赤嶺・ふたば
【人形館で参加】
(元にもどしてもらって)ふう・・・まったく、ひどい目にあったものだ。・・・アンタが今回の依頼の目標だな、行くぞ。
新しい魔法を実戦で使ういい機会だろう。程々に戦闘をして相手の視界から離れたら隠れて「ファンシーフォーム・エンハンス」を使う。そこから不意討ちで「フルファイア」を使い最後はゴムボールに変えてやろう。
あと、せっかくだから「ファンシーフォーム・エンハンス」の被験者にならないか他の猟兵の人に声をかけてみようかな。強化効果と治療効果はバッチリだからね。それに、ぬいぐるみの体を動かす事も猟兵なら多分すぐ慣れるだろうし問題ないはずだよ。
(アドリブ、絡みOKです)
テフラ・カルデラ
【人形館】で参加
アドリブ・絡み可
WIZ
玩具に変えられた人達を探すために回廊に辿り着きました
ボスはシエナさんに任せて、わたしは連れ去られた玩具たちを探しましょう…
あ!ありました!シャルボンさんも自力で戻って無事でした!
猟兵さんの何人かも玩具に…一人だけでも治せるかな…にゃ~ん♪
…ってふたばさん!?玩具にされていたのですね…ってシエナさん凍らされているし!?
こうなったら戦うしか…え?わたしにプレゼント…?
ほ…ほしいものと言われましても…これはわたしが望む物ではないです…ってひあぁぁ!?冷たっ…凍っちゃ…ぁ…
(その後、望む物ではないプレゼントばかり提示し続けられて凍らされては解凍される繰り返しに…)
シャルボン・フランヴェルジュ
アドリブ、絡み歓迎【人形館】
う、動けないね……
玩具化の際に魔剣も取り込まれてるはずだから、魔剣で軽く燃やして灰を確保。
UC【灰の救護院】で元に戻ろう。
ん、戻れたは良いけど袋の口が固すぎて出れない……
あれ、この声はテフラさんの声、袋を軽く揺らしてどの袋に入ってるか知らせて助けてもうおう。
(袋から出た後)テフラさんを手伝って玩具にされた猟兵が入った袋を探すよ。
…敵にバレた!でもテフラさんに釘告げになってるね…
なら今のうちに、こっそりと【灰の救護院】で配下のサンタ妖精さんを眠らせて無力化しておこう。
後はボスだけだけど、…今の状況だと、テフラさんやシエナさんみたいにやられるのがオチな気がするね…
佐伯・晶
ラッピング袋の口を緩めて抜け出そう
僕は人形だけど念じれば邪神の繰り糸で動けるしね
災魔を何とかしないと
白い袋の中に出たね
服はピンクと水色の冬服か
下着無いのはビキニ外した後につけ忘れてるな
雪妖精達は使う習慣ないからかな
下はスカートで隠れてるし
胸は樹脂の塊だから固定の必要ないし何とかなるか
それより体が傷ついてなくて良かったよ
他のおもちゃの陰に隠れ
白い袋が開いた瞬間に
スニェチカの服に飛び込むよ
いくら雪妖精がいても袋の中は警戒してないよね
中で擽ったり邪神の抱擁で凍らせたり
雪妖精の悪戯を真似てみよう
周りの妖精も誘ったら乗らないかな
スニェチカの氷像は綺麗だと思うんだ
自分の人形化だし
休んだら元に戻れると思うよ
●フリージング・タイム
迷宮を渡り、雪にぼふぼふと足跡を付けながら雪娘は学園を目指す。
「あっ、見つけました!妖精さんに囲まれててなんだか寒そうな…見るからにボス敵な少女さんですぅ!」
しかし翔とのあれこれで手間取ったせいか、またしても猟兵達と出くわしてしまう。
「わ、また人間さ…人間さん?」「あの耳本物?兎さん?」「ケットシーじゃなくてラビットシーだ」
「まあ!貴方達、起きているのね」
スニェチカの口から冷気がこぼれた。
「貴女がお友達を沢山持ってる元締め?ちょうだい!とシエナは興奮してせがみます。」
スニェチカを、もといスノードームにされたままスニェチカの元へ運ばれたシャルボンを助けに現れた、テフラ・カルデラとシエナ・リーレイの二人だ。
「その袋に沢山お友達を入れているのは分かってます。全て私のものにするとシエナは宣言します。」
しかしシエナはスニェチカの持つプレゼント(人形)を全て手に入れるつもりで来ていた。
「ああっ、あれは…!」
テフラは見る。ちらりと、スニェチカの袋の中で一瞬光った、スノードームと化したシャルボン。
「す、すみません!その中に機械で玩具になったわたし達の仲間が…」
「まあ!妖精さんったら、うっかり玩具にしてしまったのね?」
そう言ってスニェチカは嬉しそうにプレゼントを取り出す。
「どれかしら?貴方達の望むプレゼントは―これ?」
そう言ってスニェチカは二人にプレゼントを渡す。
テフラの手に入ったのはプラスチック製の網状のボールの中に雪だるま型の鈴が入った玩具。
シエナの手に入ったのは作り物の食べ物を切ったり焼いたりできるお料理おままごとセットだ。
「はわわ、違います!わたしの欲しいのはこれじゃなくて」
「ちがうの。お人形が欲しいの!とシエナは懇願します。」
「そう。それじゃあ……」
その瞬間、スニェチカの背後に巨大にしてどこか可愛らしい、サンタクロースの姿をしたガジェット(ロボット)が召喚される。
「え!?」
「あっ―」
サンタガジェットの両手に持つ袋の内の一つから、勢いよく冷気が噴き出すと、その白い息吹はテフラとシエナを飲み込んで。
「…………」
「…………」
瞬く間にカチコチに凍らせてしまったのだった。
「次のプレゼントを出すまでの間、そこで大人しく凍ってて。」
逃げないように、抵抗しないように。
二人の氷の彫像の目の前で、渡したプレゼントを袋に戻し、新しいプレゼントを用意する。
「準備できた!サンタさんお願い。」
サンタガジェットのもう一つの袋から、今度は勢いよく熱湯が噴き出し二人を飲み込む。
「はぶっ!?ひゃわ!?わ…はぷちっ!」
「あ…けほっ、なにするの!とシエナは突然の無礼に激怒します。」
瞬間的に解凍された二人にスニェチカは即座にプレゼントを渡す。
「リクエストに応えて変更してみたわ。これかしら?」
先程とは違う玩具。
テフラには雪だるまのぬいぐるみが。
シエナにはぬいぐるみ大のジンジャーマンクッキーが渡されていた。
「こ、これじゃないですぅ!スノードームが…」
「わぁ、素敵!だけどお菓子だとボロボロ崩れちゃう。もっと素晴らしい『お友達』が欲しいの!とシエナは必死に訴えます。」
「そう、じゃあ―」
「わ、ちょっと待」
「また凍らせる気ね!とシエ」
一瞬で噴き出す冷気に飲み込まれ、またしても瞬間冷凍される二人。
「…………」
「…………」
白い雪の回廊に美しく同化する白い氷の氷像がプレゼントを持ったまま。
「注文の多いお客ね。…きっとこれは私の試練だわ。立派なサンタ業ができるかどうかの、さっきの『お母様』からの。」
二人の前で、サンタ雪妖精と相談しながらスニェチカは新しいプレゼントを探す。
「満足できるプレゼントができるまで、何度も凍らせちゃうけど、ごめんね?」
「…………」
「…………」
何かを言いかけたまま氷像として立ち尽くす二人から、返事は返ってこなかった。
●その頃、袋の中では。
「(う、動けない……)」
スニェチカの袋の中、いっぱい詰め込まれた玩具達の1つとなったシャルボン。
スノードームの中で、魔法の雪にサンタ姿で身をさらし続けている。
アルダワ学生の枕元に歓迎される終わりになるかと思われたが、意識がはっきりしてきた。
「(……そうだ、魔剣……)」
スノードームの中には雪の積もった小屋や小さな雪だるま等が飾られているが、
その中の、植物の如く刺さるキャンディケインに混ざってシャルボンの魔剣も刺さっていた。
「(……ある!これなら…!)」
シャルボンは念じた。今はサンタ少年の人形となっているかりそめの人型でなく、魔剣側に意識を持っていき、集中して。
魔剣が燃える。赤熱し、火を灯し。
作り物の雪が燃える。
作り物の世界が燃える。
「(ガラスが、溶けない…)」
万一壊れるのを危惧されてか、スノードームを覆う透明な球体は耐火性が強かった。
「(…でも)」
シャルボンは燃え焼けた器物による灰を、ヤドリガミ特有の力で意識を傾け、操る。
焼けたての暖かい灰が吹雪となり、サンタ姿の人形である己を包む。
たちまちシャルボンのサンタ人形は全身を灰で固められた姿となり、身動き取れぬ灰色石像の塊となる。
少しして、灰が落ちる。
そこには…サンタ袋の魔力か何かか、スノードームに入る分には申し分ないミニサイズのシャルボンが、体を取り戻していた。
「ん……こほっ、焼けてすすだらけになっちゃったね。ここは」
スノードームに熱がこもり、灰で曇る。子供たちに渡されれば廃棄必須であろう。
このスノードームのガラスを、拾った魔剣で、叩く。砕く。
「よし……出られるぞ!」
割れたスノードームから、そしてその先のプレゼント箱の中から、シャルボンが覗き出てきた。
「真っ暗だ…これ使って、プレゼント全部を焼けたらいいけど」
赤熱した針サイズの魔剣を明かり代わりに、スニェチカのプレゼント袋の中を探索する。
すると差し込む光の隙間があった。
「あっ!ここが入り口だ!でも」
袋の結び目が硬くて出られない。
プレゼントを出すスニェチカの手に乗っかろうとしても、結構手が早く、掴むにつかみづらかった。
「どうすれば……」
袋の口の隙間から、二人の姿が見える。
「それを下さい!とシエナは」
「ひゃわわわ!?」
テフラにぬいぐるみが渡された為にシエナが襲い掛かり、抱き合ったような姿になった途端、冷気が吹きかけられ氷像に変わる。
そして次のプレゼントが渡された途端、瞬時にお湯がかけられ、解凍。
「うわあっスプリングが跳ねるですぅ!?」
「花火はお友達が燃えちゃう!とシエナは返品を」
二人して次のプレゼントに慌てた瞬間を凍らされ。
「ちがうですぅ!」
「家だけでは肝心のお友達が」
突っかかろうとすれば凍らされ。
また次のプレゼントで解凍され。
「これじゃないでsひあぁぁ!……」
「もっといいものがhうわぁ!……」
「もーっ、わがままなんだからー!」
プレゼントを渡され、何らかのリアクションを取る度に再び凍り付いて。それを何度も繰り返していく二人。
凍結と解凍。常人なら精神がおかしくなるかもしれないような波状攻撃。
溶かされてから凍るまでの間が一瞬過ぎて、反撃しようにもしきれず。
二人は何度も、何度も、何度も、凍結と解凍を繰り返していく……。
「は、はひ……お、お友達の玩具が、欲し……ぷしっ、さぶぶ……」
「……だんだん、動けなくなって、きたよ……と、シエナは………」
次第に、体が溶け切らず、氷の残る個所が出てきた。
何層にも氷の積み重なる、樹氷の如き体になり、プレゼントを貰う度に強固に、美しく。
それはまるで氷で出来たクリスマスのデコレーションケーキの様に。
「ま、まずい。早く何とかしないと。」
そうシャルボンがもがくと、不意に二つの事が起きた。
一つは。
「(…あれ?今何か…)」
一瞬金髪の女性らしきものが袋の中から飛び出したように見えた事。
もう一つは。
「あっ!?うわっ!!」
ミニチュア人形のようなサイズのまま、シャルボンが遂にスニェチカの手に掴まれた事であった。
「…………」
「…………」
何度目かのサンタガジェットによる瞬間冷凍。
凍り固まったテフラとシエナの手にプレゼントが握られると、即座にサンタガジェットにより解凍された。
「っはっ……!!こ、これは!ふたばさん!?」
「きゃっ……!!これは、もしかしてシャルボンさん?とシエナは驚きます。」
テフラの手には頭が引き延ばされたようなゴムボールと化したふたばが。
「……や、やあ。」
シエナの手には、完全に玩具化が治っていないのか、ミニチュアのシャルボンがいて。手を振る。
「ふわぁ、ふたばさん!玩具になってたのはシャルボンさんだけじゃなかったですぅ!いつも通りボールにされてたのですぅ……?」
ふたばは喋らない。何か思ってるかもしれないけど、今感じるのはゴムボールの柔らかい触感だけである。
「いつものお友達だ!とシエナはなぜ小さくなっているか分からないシャルボンさんを抱きしめます。」
【人形館】メンバーとの思わぬ再開。しかし。
「そっか。これで満足したのね。」
冷たい笑みをスニェチカがこぼすと。
「じゃあ―」
「はわわ!き、気を付けてくださ―」
「あ、いや!まだシャルボンさんだけじゃ物足りな―」
「さっきまで二人を凍らせてたのはこれか!あ、早―」
●伏兵人形
真っ白な雪の回廊に、2体の氷像が立ち並ぶ。
「…………」
「…………」
「…………」
「」
ゴムボールの玩具になったふたばを抱えたうさぎキマイラ、テフラの氷像。
手のひらサイズの人形を手に乗せたまま、何かを抗議するような顔の、シエナの氷像。
「ふふ。みんな欲張りさんなんだから……でも、良いプレゼントができてよかったわ。」
二人の氷像にスニェチカはそっと手を触れて、完全に凍って、今はもう動かない、ただの氷像であることを確かめる。確かめた。
「それじゃあ、溶けるまでずっとそこで凍眠(ねむ)っててね。きっと明日のお昼頃には、溶けていると思うから……」
スニェチカは踵を返し、再びアルダワ学園へ向かう。
「(違うの。違うの。わたしの欲しいものは……)」
凍り付いたシエナはただ想うだけ。
「(目の前で嬉しそうにしている、『あの子』をお友達にしたいの……)」
冷たく、体が、雪の中ゆえに溶けそうにない冷気で覆われて。
「(あの子を『お友達』にして!とシエナは神様にお願いします。)」
それでも尚、神に願う。
それはシエナを通じ、見えるはずのない怨念へと昇り。
…………
想うだけだった。ただ凍り付いたままだった。
シエナの願いは、これから起きている者…正者を凍らせる過去の存在を取り込む願いであり、
欲は様子見に。想いは空虚に。
静かに氷と化したまま、天は願いを聞くだけに留まってしまったのだ。
「!」
「どうしたの?」
「何か、今……あのね、ごにょごにょ。」
突如、サンタ雪妖精の一人が何かを受信したような。そんなリアクションを取って。
「えっ、そんなもの無いよ!?」
「だからね、今から……ちょっと、誰か手伝って。こっち来て!」
サンタ雪妖精数人が、こっそり何処かへ飛んでいった。
「……あ、れ?」
アルダワに向かうスニェチカは突如足を止めた。
それだけではない。踵を返し、氷像まで近づき、何故かサンタガジェットを召喚してしまった。
「(…く、口も……動かせない……な、なんで!?)」
「どうしたの?」「気が変わった?」「マロース様が心配?」
きり、きり、壊れた電気人形みたいに、スニェチカは2体の氷像に向き直る。
「と、かし、て。…まってなんで私今…!」
その場でまだ召喚されていたサンタガジェットの、解凍用の熱湯が噴き出す。
2体の氷像に、完全に凍り付いたテフラとシエナの体に、その身を念入りに温めるように執拗に噴き出される。
「あ、あ…あ…?」
スニェチカの口は、ぱくぱくとしか動かせない。
「あっ!スニェ様!肩に!」
「…ふう。」
それは、体はまだ着せ替え人形のまま、操り糸のユーベルコードによって無理矢理体を動かしていた晶だった。
最終的な彼女の服装は、ちょっと厚手のピンクと水色の冬服で。
「(人形だけど、なんだか服の隙間がスースーする。…雪妖精達は下着付ける習慣無いからか)」
スカートで隠れているためかろうじて見えないが、上も下も下着をつけていない状態だった。
割ともみくちゃに着せ替えられていたが、その体は傷一つない綺麗なもので。
「玩具が、玩具が飛び出したわ!こんなのってあるの!?」
「ごめ、んね」
着せ替え人形の晶は口を紡ぐ。
「僕は、自分で、人形に、なった、から…」
そして糸で、スニェチカの行動を縛る。
飛んでくるサンタ雪妖精には、大丈夫と言いたげな仕草の動きを『スニェチカに取らせて』追い払う。
「はぅ!今です!今こそ戻る時です!…すぅ…」
に ゃ ー ん
にゃーん
ニ ャ ー ン
ニャーン
癒しの声が響き渡る。
テフラというキマイラ独特の、癒しで異常を治していく、不思議な声が。
「っは!…わっ!」
ボールから戻ったふたばがぱふんと目前の雪の床に倒れる。
「!自由が利く…! おーい!そこで今災魔を動かしてる人!」
氷が溶けた上に元のサイズに戻ったシャルボンは、華麗に雪の上に着地して。
「玩具にされた人は、あとどれだけいる!?」
「ボクと、そのボールの人と、君だから、…もういないと思うよ!」
「ふぎゃっ!」
晶も元の(?)人の姿に戻る。その姿はスニェチカの背中肩の上だったために、スニェチカを後ろから押し倒してしまった。
「(…邪神の封印までは癒されない、か。そりゃまあそうだろうけど)」
少し肩をすくめながらも、目の前で倒れているスニェチカを。
「さてと」
ふたばが見やり。
「あとは」
晶が見やり。
「どう料理してくれようか」
シャルボンが見やる。
「はわわ……みんなやる気満々ですぅ!」
「遂にお友達になってくれるのね!とシエナは今一番、嬉しがります!」
●反撃開始・晶の時間
「わ、きゃあ!妖精さん、助けてー!?」
何か危ない魔法を見せる人形館のメンバー達!呼び寄せるはサンタ雪妖精!
だが思ったより…少ない!その数は20人程度だ。
「えっ、もっといたでしょ。なんで!?」
「さっき何人か急用で…」
「あと、マロース様がいいっていう子がー」
灰色に吹き飛ばされて倒された妖精、翔に魅了されて寝返った妖精。謎の電波によってこの場から蒸発した妖精。
それらが150人余りいたスニェチカのスタッフこと、サンタ雪妖精達をここまで激減させていたのだ。
「そんな!でも私諦めないわ!ここから―」
一人でもプレゼントを渡しに行かなければ。スニェチカの想いは、言葉は紡がれなかった。
「【邪神の抱擁(フリージング・タイム)】。スニェチカさんの動きは止めさせてもらったよ。」
晶の声だ。
スニェチカの地面に浮き上がった魔法陣が、スニェチカの時間を止めた。
「…………」
起き上がり、抵抗しようとしたままの雪娘が、硬直したかの様にその場から動かず。動けず。
無防備な姿を晶に襲われようとしていた。
「さて、最初に妖精達にやられたみたいにしたいけど…」
晶が懐から取り出したのはカメラだ。
最初の妖精フロアにて、テフラ達の無惨な姿を収めた、撮ってすぐ写真が出るタイプのものだ。
「はわぁ!それはボクの…いつの間に!?」
「ちょっと都合がよかったから、仕返しの為に借りさせてもらったよ。」
ぱしゃり。
時の止まった姿のスニェチカのを写真に撮り。そして。
「…こう、脇下辺りから…」
こちょこちょと、スニェチカをくすぐっていく。
脇や背中、お腹の辺りや足。
厚い服の隙間に手を突っ込み、感じやすそうな所をくすぐっていく。
「…時間の封印が解けたら、どんな顔するのかな。その前にもうひと手間加えるけれど。」
靴を脱がせてこちょこちょし、履きなおし。
スカートの中に頭を突っ込み、わしゃわしゃと指を這い回し。
「ちょ、ちょっと…」「だめですよそんな事したら」
サンタ雪妖精達が晶を止めようとすると、再びカメラのシャッター音が鳴り。
「はい」
妖精達に手渡されたのはスニェチカの下着が写る写真だ。
「…これがスニェ様の…」
「もこもこしてるのに、寒そうな柄なの?」
「よし…」
最後の仕上げにと、魔法陣をもう一度、動けないスニェチカに展開すると。
スニェチカの体はみるみるうちに凍っていき、表面が氷に変わり、氷像と化していく。
「…こういう事もされたっけ。」
晶が顔を近づけると。
「…妖精達にされた悪戯の責任、全部あなたがとってよね。」
冷ややかに悪戯な笑みを浮かべ。
「ん…」
スニェチカの口に、氷越しで。
「…女の子の味だったよ。」
ぱちんと指を鳴らすと、時間停止だけが解除される。
「……!!………!!」
スニェチカが震える。時は動き出したのに、体の時は凍ったままだ。
凍り付いたその口はあまりにもアレなことをされたせいか、少し歪み、ひきつった半笑いの表情になった。
「わ、わ、」「スニェ様ー!」
「おっと、抵抗しないでもらおうか」
あわあわするサンタ雪妖精を、魔法陣で1体、2体と凍らせていく。
「うん、やっぱりスニェチカさんの氷像は綺麗だ。」
サンタ妖精と雪娘の綺麗な氷像展覧会。
晶はそれをカメラで逐一撮っていった。
●反撃開始・シャルボンの灰かぶり
「… … …!」
ぷるぷると氷像が震え、氷の上に氷が覆うと、ぱりんと砕ける音を立てて、スニェチカの氷が割れる。
「よ、よくもやって…は、はひ…っ」
先程のくすぐりが効いてるようで、足がプルプルしている。
「危うく私が眠っちゃう所だったじゃない!」
「うん。スニェチカさんはまだ眠っちゃだめだよ。」
「え…わっ!?」
テフラ達に提示してたであろう一部のプレゼントを燃やして作った灰で。
「今度はボクの番だ。」
「わぶっ!あ…こ…ほぁ…… ………」
大量の灰を操作してスニェチカと、一緒に襲おうとしたサンタ雪妖精を石灰で固め、漆喰の壁材質が如き硬く、つるつるとした綺麗な石灰の石像で固める。
「…………」
抵抗しようと手を伸ばしたまま、妖精達はどさりと雪の上に落ち、間もなく音を立てて石化したスニェチカも倒れた。
「君にプレゼントする特別なドレス。気に入ってもらえたかな?」
シャルボンは石化したスニェチカと妖精を起こす。
やや灰がかった真っ白な石像は、雪かと見間違うくらい美しく。しかし硬い。
顔はのっぺりとしていて。口はきかない。きけない。動かぬ石灰像の端麗さが際立って見えた。
「それじゃあ、悪いけど晶さん、ボクもそういうの欲しいから撮ってくれる?」
「氷もいいと思うんだけどね。まあ仕方ないか」
ぱしゃりと、石像と化した雪娘の景色が写真に収まり、シャルボンの手元へ。
戦地はいつの間にか彼らのスニェチカ彫像鑑賞会になりつつあった。
●反撃開始・テフラのクリスマスキャンドル
「次はボクですぅ!」
「け、けほっ、あなた達、一体…プレゼント、私が、いいの…?」
興奮してテフラが前に出ると、石灰を雪で覆い、凍らせ砕いて復活したスニェチカがそこにいた。
「そうですねぇ!」
朗らかにテフラは答える。
「スニェチカというだけあって、冬にぴったりのオブジェが似合うと思うのですぅ!」
そう言うとテフラは魔法の杖を掲げて。
「ふふふ、ドロドロの蝋燭さんにしてあげるですぅ!出てきて!【ペイント・ザ・ワックス】」
「ふ、ふにゃー!?」
ダメージを受けてふらふらのスニェチカの足元に、唐突に巨大な蝋燭が突き上がる!
それはスニェチカと、付近のサンタ妖精達を巻き込んで飲み込み、ドロドロの巨大キャンドルにしていく。
「こ、こぱっ、べたべたするぅ…!た、助け…」
「クリスマスといえばキャンドルですよねぇ…」
うっとりとドロドロの蝋燭に同化していくスニェチカを見つめるテフラ。
「でもこれ、思ったよりおっきいような…ふにゃあ!?」
突如蝋燭から生暖かい蝋がテフラにかかる!
「あ…ぶ…なんですか、こ…れ…」
雪の寒さであっと今にカチコチに固まると、テフラは真っ白ドロドロ人間蝋人形に。
「…………」
スニェチカは周りに何人かのサンタ雪妖精を巻き込んで、身体の前半分だけが露出して蝋と同化した、巨大キャンドル像へと姿を変えてしまった。
「おっと、本人が固まってしまったか…念のため撮っておこう」
晶が固まった蝋オブジェ達の姿を写真に撮り、少し間を置いた所、巨大キャンドル像がぴしりと割れ、爆散!
蝋を凍らせて脱出したスニェチカは。
「もーっ、おこったんだからー!こうなったら…!」
何かしようとした瞬間、隙をさらした足元にまたあの魔法陣が!
「えっちょっと待っ……」
飛び退こうと慌てた姿で、再び瞬間冷凍されるスニェチカ。
「まだ僕のターンは終わってないんだ。」
こんな事されてね。と、ガトリングガンを持ち出して、降り下ろし、スニェチカの服を叩く!砕く!
もこもこの服装は氷になったせいであっけなく砕け、暖かそうな雪結晶模様の下着だけになってしまう。
「きゃー!スニェ様ー!」と驚くような雪妖精はもういない。
みんな途中の猟兵達のやりたい放題で物言わぬ妖精の彫像と化したからだ。
「さてと。確かこのプレゼント箱に…」
晶はプレゼント袋を拝借し、箱を開けると中からマフラーが。
カップル用なのか、とても長く、体をぐるぐる巻きにしても行けそうだ。
「よし。これで同じ目に逢わせる」
テフラ達が「はわわ」と顔を赤らめ覗き見る中、晶はスニェチカの下着も…砕く!
砕いた下着が見えないように素早くマフラーを巻き、それを魔法で凍らせると、三つ編みの可愛いマフラー1枚の少女の氷像が出来上がったのだった。
「…うん。……うん……」
何か思う事があったのか、晶はしきりに、恥ずかしく寒い恰好のスニェチカを写真で撮る。
氷が再び割れる…前に、スニェチカの周りから吹雪が起こり、吹き荒れる!
「(よ、よくもこんな姿にー!もういいもん!みんなみんな、眠っちゃえー!)」
「うわっ!?」
凍りながらも吹雪のユーベルコードを使用してきたのだ!
●反撃開始・ふたばの大魔法
「こ、これは…!」
「風が強い!眠らせるよりむしろ、吹き飛ばす、ような!」
怒りに任せた吹雪は強い風を吹き荒らしていた!
「みんな掴まって!大きなお友達を呼ぶよ!とシエナは…!?」
突如全員の姿が煙に巻かれ、消えた。
ぴしり、ぴしり、雪を固めた氷で再び、身に纏う氷を砕き、復活するスニェチカ。
「ぐすん…こんな格好……替えの服、プレゼントになかったかな…」
猛吹雪を放ったまま、プレゼント袋に近づき手を伸ばそうとしたその時。ぬいぐるみの手がスニェチカを押さえた。
「ふぇっ!?」
「【ファンシーフォーム・エンハンス】。次は自分の番だよ。」
等身大のデフォルメされたぬいぐるみ姿の、ふたばだ!
「みんな吹雪で飛ばされそうだったけど、もう大丈夫だ。被験者実験の提案抜きでぶっつけてしまったけど、良かったかな。いいと思っておこう。」
スニェチカが見回すと吹雪の中からざっざっと、ぬいぐるみ達が歩いてくる。
大きなお友達(人形)を盾にやってくるシエナにはさすがに効かなかったが、晶とシャルボンの動くぬいぐるみは、最早吹雪をものともしていなかった。
「そ、んな…」
これはふたばのぬいぐるみ化魔法【ファンシーフォーム・エンハンス】によるものだった。
対象をぬいぐるみにし、強化し、治療する。まだ実戦を経ていないユーベルコードだったが。
「強化効果はバッチリみたいだね。じゃあ後スニェチカさん、あなたで試すだけだ。」
「私の願いは受け入れてもらえたのですね!と、シエナは氷像にされた時、心で思っていた事を思い出します。」
「や、待って!せめて今夜だけは待って!私がプレゼントになったら、誰がプレゼントを眠れる子達に渡すというの―!」
「それはサンタさんだよ」
「私も…!」
「君はスニェチカ。雪娘なんだろう?大丈夫だ。このプレゼントもね」
よくもこんな普通の…いや工場過程で見れば普通じゃなかったけど、プレゼントを用意できたものだと感心しつつ。
「やだやだ!おじいちゃんより上手く、私もサンタさんになるのー!」
「君はもうサンタさんじゃなくなる。君は…玩具だ!」
ふたばの魔法がぬいぐるみの手から迸り、全弾放たれる!
「きゃー!」
スニェチカは青と肌のラインが交差する玩具の車になり、自分の吹雪で壁まで飛び!
「あわわわわっ!?」
次の魔法でクリスマスツリーになって衝撃でゆさゆさと揺れ!
「ふぎゅうー!?」
三つ編みの可愛らしいマフラーの巻かれた雪だるまになってスライドするように雪を滑り。
「ふにゃー!ぺらぺら揺れるー!?」
可愛らしいワッペンになってぽふりと雪の上を落ち!
「まだまだ!これはシャルボンさんの分!」
「!? …………(~っ!!)」
マフラー巻かれただけの姿のスニェチカが雪に晒されるスノードームになり!
「これは晶さんの分!」
「…………(わーっ!せめてお着換えさせて―!)」
髪や肌が作り物の、マネキンのような着せ替え人形となり!
「そしてこれは私の分だよ・・・行くぞ?」
最後に放たれた魔法弾がスニェチカを包み込むと。
「む、むーっ!?むぅぅ~?!?ぅ~!」
スニェチカはバレーボール大のゴムボールになってしまった!
「それ。お仕置きだ。トス!」
あまりの混乱しそうな変化魔法に、緩んだ吹雪。
ふたばはスニェチカボールを持ち上げると、フロア高くに跳ね上げた!
「わ、レシーブ!」
「ぅ~~っ!?(ふ、ふにゃふにゃするぅ~!?)」
シャルボンが更に跳ね上げる!
「最後はシエナさん、だよね。」
それに晶が飛び掛かると。
「―アタック!」
「むぅぅ~~っ!!!(きゃあぁぁー!!)」
シエナに向けて強く叩き込んだ!
「え?とシエナは」
しかし…肝心のシエナは!
蝋人形になった上でぬいぐるみと化し、雪の上に落ちたテフラを。
先まで落ちていた様々な雪妖精の彫像群を。
『お友達』にするために回収していて、よそ見をしていた。
「きゃっ!とシエナは反射的に避けてしまいました。」
「あ…」
雪の上を、ぽよん、ぽよんと。スニェチカボールは跳ね飛んでいく。
「「「……追わないと!」」」
●この後のスニェチカは
「ああん、お友達が…あっプレゼント袋も回収しないと、とシエナは遅延表明をします。」
予想より高速で、衝撃を吸収しそうな雪の上で跳ね飛んで逃げていくスニェチカ。
それは猟兵達によって様々な目に逢わせられた、雪娘最後の抵抗であった。
その先には…。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
久遠・翔
アドリブ絡み歓迎
あのままではあの子は独りぼっちになってしまう
妖精達だってそんなの望んでいない
氷像になったままの状態で動けない
なら…『概念』ごと自分の物にする…!
UC無自覚の魅了&使役術同時発動し…氷を魅了させ使役獣に
氷像から脱出し、真の姿が氷纏った女王のようになる
スニェチカ…おじいちゃんやサンタを否定する気はない
けど、覚えてない?おじいちゃんが温かいものを渡した時の人達の顔
皆、笑顔だったんじゃない?
でも、今の貴女のやっているやり方でその笑顔は…ある?
おじいちゃんの代わりになれない…だって当然
『俺』は『おじいちゃん』じゃない
けど、共にサンタとして歩む事は出来る
その機会を、チャンスを…俺にください
●
「んーっ」
「なかなか、壊れない…」
サンタ雪妖精達が氷像の表面を、氷で出来た器具を使って削る。
氷の女王と化した、翔の氷像を。
「………………」(このままでは、動けないっす)
あの娘の寂しさを知ったから。
翔は身に纏う氷を、ユーベルコードで変化させていき……氷を『自分のもの』にする。
体の氷が剥がれ、翔の一部。衣服へと変換されていく。
その身が氷の女王様から更に磨きがかかり、スニェチカの母親のような寒冷服に氷で出来た王冠や白い氷の装飾で彩られ。
「あのままではあの子は独りぼっちになってしまう……妖精達だってそんなの望んでいないはず。」
口調がいつもと違うものになっていく。
「俺は……あの娘を、助けたい。」
そう言って、1歩、また1歩、スニェチカの去った方へと進んでいく。
突如、こちらに向かって跳ねて来るボールのようなものが見えた。
「……?」
そのボールは色模様がどこかスニェチカのそれに似ており。
それが突如、魔力が切れたのか、いきなり煙と共に形を変えていき。
「…ふぇ」
「…えっ?」
意を決した翔の目の前に、マフラー1枚に身を包んだスニェチカが現れた!
「…ふえぇぇぇ…!!」
そのままスニェチカは突如翔に泣きついてきたのだった!
「え?!ちょ、ちょっと待って!何が一体どういう…シリアスな空気になった直後にこれっすかー!?」
「ぐすっ…もうだめだわ…プレゼントも奪われちゃったし…」
「まだ私達のプレゼントが残ってるの」「工場まで、戻ろ?」
「工場、だめ。だめー… 生産ライン壊れてて、もう配給できないって」
「…わぁぁん…」
「あ、う。とりあえずその破廉恥な恰好なんとかするっすようわぁスリスリするのもよして!?」
先のそれが相当心に参ったのか、スニェチカは甘えるようにマフラー1枚を体に巻いた状態で翔にすり寄っている。
そこで翔は氷のドレスを応用して、氷で出来た服でスニェチカを覆う。
「だ、大丈夫っすか?…ああもう気合が砕けたっすよ… 寒いと思うけどこれで我慢して欲しいっす」
「…暖かい…」
雪の娘だからか、氷の服に顔をうずめて、泣きじゃくっていた氷の涙をぽろぽろとこぼし、隠した。
「ああ、えとその」
次にスニェチカと出会った時に言おうとしていた事を、紡ぐ。
「スニェチカ…おじいちゃんやサンタを否定する気はない っす。けど……覚えてない?おじいちゃんが温かいものを渡した時の人達の顔、皆、笑顔だったんじゃない?」
「…うん…」
「でも、今の貴女のやっているやり方でその笑顔は…ある?」
「あるよ?」
もうすっかり心を許したのか、スニェチカは女王様とした翔を見上げながら。
「幸せそうに眠ってる冒険者さんの傍にね、プレゼントを置くとね。何かいいものを見つけたみたいに添い寄るの。良い寝顔をしているのよ…」
「それに、起きた時にプレゼントを見たらびっくり!当たりのプレゼントだったら、驚いた後にまんざらでもない顔をして身に着けるの。」
妖精達も幸せそうな顔をして、以前やらかしたらしい時の事を語る。
「だから、だから今年も幸せな笑顔を見れると思ったのに」
「…俺達が受けたので笑顔になった人はいないっすよ。」
「えっ」
「勝手に無理矢理凍えさせられて、良い寝顔をしているって思うのは、都合よすぎるっす」
「……嬉しくなかったの?」
ショックを受ける。それがたとえ起きてる人を無理矢理眠らされたものを限定しても、幸せな冬の夜を与えられなかった事に。
「そして…こほん、これだけは言いたい」
口調を取り繕って、スニェチカの頭に手をそっと乗せ。
子供をやんわり叱る親の様に、雪娘に囁く。
「俺はマロース様でも、おじいちゃんでもない。そして…その代わりにもなれない」
「えっ」「似合うと思ったのに」
それに反論したのは妖精達だが。
「うん。分かってるわ。貴方おじいちゃんには見えないもの。その姿は立派なお姉さ―」
「『俺』は!『俺』だから!」
突っ込み混じりで自身の存在を証明する。
「だけど。……だけど……」
「わっ」
翔がスニェチカを突如抱きしめ、抱き上げる。
それは娘に甘えてるようでもあった。翔もまた、この雪娘に魅了されていたのだった。
「……俺もサンタになる」
「……」
「共に行き、共に歩みたい。起きてる人も、凍らせなければ、眠らせなければ、眠っている人だけにプレゼントを渡していけば。」
「でも、でも、それでは見られちゃうわ。知られちゃうわ。」
「いいじゃないか!君の事は、アルダワの人達だって、……危害を加えなければ、認めてくれる、はず。」
だから。
その機会を、チャンスを。
翔は雪娘を降ろすと、半泣きのような顔で、懇願する。
「……共に、サンタとして歩むチャンスをください。」
「……」
そっと、スニェチカはサンタガジェットを召喚する。
「っ!」
「沢山の人を幸せにするプレゼントが、私を手伝ってくれる妖精さんが、もう全滅しちゃったの。……それを引き起こしたのは貴女達。」
少し、寂しそうな顔をして。
「私は思い出したの。あの夜、おじいちゃんと一緒についでで私も倒されたの。災魔として…災魔…… それでも、凍えてる人にそっと幸せを渡したかったのに。」
「俺は!」
「そう。貴方には」
いじらしく微笑んで。まるで終わりを告げるかのような顔で。
サンタガジェットの袋の口はスニェチカに向けられていた。
「せめて最後に、貴方にだけはこれを渡すわ。」
「メリー・ウィンターデー♪」
「スニェチカ―!」
サンタガジェットの瞬間冷凍の冷気がスニェチカを襲い。
一瞬で、微笑ましい雪娘の氷像が出来上がった。
「そんな、そんなのってないよ…!」
翔の魅了の力で、目の前の娘を使役獣に変えようとする。
できるはずだ。そんな奇跡、今まででも起こしたはずだ。
しかし、スニェチカの氷像に亀裂が入り、サンタガジェットも消滅し。
スニェチカは氷のまま崩れ、消滅した。
その足元には、翔のサイズに合わせた、可愛らしいサンタ服が置いてあったのだ。
「……………………」
「あっ、追いついた…災魔消滅しちゃった?」
「ですぅ?」
追いついたふたば達。翔はその服を拾い上げて。
「みんな、終わったっす。……けど、ちょっと今から手伝ってくれないっすか?」
「なんだろう?」
「プレゼント袋、持ってるっすよね?」
「今からアルダワの人達に、サンタになってプレゼント配りっす。」
●
シエナはごねた。こんなに沢山の『お友達』が袋の中に詰まっているのに。
「やだやだ。これもみんなわたしのお友達になるの!とシエナはこの袋を放しません。」
「こう考えるのですぅよシエナさん。このプレゼントを手に入れた人達が人形に興味を持って、友達になりに人形館を訪れるですぅ」
「そんな都合よくいくかな…あっ!とシエナは隙をつかれました」
「まあ、これをもっていかないと、もう一人ごねてしまう人がいるからね。はい」
奪った晶は翔にその袋を渡す。
使役獣にした、小さな女の子や雪だるまの妖精達も一緒になって。
「それじゃあ、クリスマスの夜をおとどけしにいくっす!」
アルダワの夜。
地下迷宮蒸気魔術学園のその日の夜は、雪が降っていた。
眠っている人達の傍に、みんなでこっそりとプレゼントの入った箱を添えていく。
勿論、色々あって消費されてしまったから、全員分というわけにはいかないけれど。
プレゼントのために靴下をかけている人達もそんなにいないけれど。
「ん……」
箱を枕元に添えた時、スニェチカの言っていた通り、プレゼントに無意識に寄り添って、幸せそうな顔をしているアルダワ生徒がいた。
「あっ、お疲れ様です。その恰好はクリスマスの?」
「そうです。全員とはいかないけれど、私達もお手伝いを」
「ああ、それは助かるよ。私達もプレゼントをささやかに渡していたけれど、何しろ人数だからね。」
アルダワは一足先にクリスマスパーティーをしていた。その疲れで、眠っている人は多かったという。
袋の中のプレゼントを配り終え。
冷気に白く染まった息を吐きながら、翔は一人ごちる。
「…スニェチカ…」
その少女の最期の笑顔が、頭に焼き付いて離れずに。
「本当は、君と一緒に配りたかったよ。」
●
全てが終わり、迷宮で凍り付いていた者達もプレゼントと共に回収され、少し経った冬の夜の事だった。
【魔獣の森の人形館 】
シエナの家とする場所の、人形に囲まれたベッドの中。シエナはいた。
「……あれ?」
そっと一瞬、何かが動く気配。
それはサンタの姿をした妖精の様に見えた。
「なんだろう?『お友達』は見えた?誰か捕まえてくれる?とシエナは新しいお友達の気配を察知します。」
そうして妖精がいたような場所を手さぐりで探すと、そこには。
「あっ とシエナは…嬉しさにそれをぎゅっと抱きしめます!」
可愛らしいロシアんな冬服の少女。
スニェチカの人形が、夜も起きてるシエナの両腕に抱きしめられた。
【いろんな人たちの家】
「これは…」
ふたばの枕元には、スニェチカのゴムボールが。
「あ…カメラが!?はわわ、この写真は…!」
テフラの枕元には、これまでの冒険で写し出された写真の数々と、あのカメラが。
「うっ、あの時の記憶が。…どうしようこれ」
シャルボンの枕元には、自身そっくりのサンタ人形が中に入ったスノードームが。
「えっ、なんで家に…こんなんあったっけ」
灰色の部屋には、音楽再生機能付きのこたつが。
「ああ、きっとこれは妖精の仕業か…」
晶の部屋には、等身大の着せ替え人形。そして可愛らしい冬服と、マフラーのセットが。
【翔の家】
「…ん?」
「起きて。起きて…」
眠っている翔の耳元でささやく声。
「…誰っすか…!?」
マフラー一枚の白い雪のような少女が、翔に乗っかっている。
「えっ!?重…冷た!?えっ、何!?」
起き上がるとそこには何もいなく。
その次に、ことことと鼻歌と料理の音が。
「…これは、台所?」
台所に向かうと、そこには朝ごはんが置かれていた。
「…スニェチカ?スニェチカが…!」
しかし見回し、探してもいない。
ふと部屋に戻ると、プレゼント箱が置かれていた。
その中にはクリスマスカードらしきものと、スニェチカがかぶっていた小さな帽子のキーホルダー
翔の周りにはそれから、雪の娘が何かしたような、不思議な現象が時々起き続けるようになった。
しゃんしゃんと、鈴の音がどこからか聞こえてきて。
「メリー・ウィンターデー♪」
どこか雪の中、妖精達の声が聞こえた気がした。
大成功
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最終結果:成功
完成日:2020年01月15日
宿敵
『スニェチカ』
を撃破!
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