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誰のための終わりか

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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 夜明けを迎える空がありました。
 元来あるはずの白みは無く、昇るべき陽も無いが、それでも世界は朝を迎えるのです。
「ああ、かなしい、かなしい」
 不安、苦痛、恐怖。
 ダークセイヴァーを巡る感情は、生温く吹いた風に混じっていました。
 幾度と眠れぬ夜を越え、何度も朝に安堵して、いつ訪れるか知れない死が来ないことを祈り、そうしてまた、夜を待つ。
 死にたくないという感情から始まった一日は、いつからか、解放を望む為の一日へと変わっていきました。
 終わりを望む、一日が始まるのです。
「ああ、ああ……かみさま、かみさま」
 両手を合わせて祈ります。
 怖いのです。
 すり減っていく心が、いつか砕けてしまうのが、怖いのです。
 両目を閉じて思います。
 恐ろしいのです。
 避けようの無い絶対的な死が、いつか、不意に、突然に、やってくるのが恐ろしいのです。

 それは、絶望でした。

 誰が、私たちを救うでしょう。
「いいえ。いいえ」
 誰も、私たちを救いません。
 きっと、死ぬまで変わらないのでしょう。
 きっと死んでも、変わらないのでしょう。
 だってもう。
 ああ、なぜなら、もう。
 生きる事の意味を。明日を迎える喜びを。忘れてしまった、私達の行き着く先を示すのは。
「眠りなさい 人の子よ。何も 心配はありません」
 ただただ黒い、死の刃なのですから。


 グリモアベースの片隅。
 丸い、背もたれの無い椅子の上。
 いつもの場所に肆陸・ミサキ(ダンピールの精霊術士・f00415)は座っていた。
 ぷらぷらと、浮かせた足を揺らしながら、訪れた猟兵達を見つけてはニィッと笑い、
「やぁ、待ってたんだ、君達を」
 いつものように、そう言って迎えるのだ。
 ひょいっと椅子から飛び降りたミサキはグルリと猟兵達を見回して、一息。
「救いって、なんだと思う?」
 そう問いかける。
 しかし答えは聞かないままに指を立て、僕はね、と前置きを一つ。
「僕はね、まあ色々あるけれど……楽になれる事、だと思うんだ。もちろん数あるなかの一つとして、だけどね。
 しがらみや嫌なことから解放されるとか、犯した罪だとか背負う責を赦されることとか、色々さ」
 そこまで言って、回りくどくなっちゃったと頭を掻いて反省したミサキは、コホンと咳払いを一つ。
 簡潔にと意識をして。
「死が救いだと、実行する奴がダークセイヴァーにいる。そいつは絶望に染まった人の前に現れ、嫌なことは全部、作り物のコピーに押し付けさせるんだ。そうして、本物にはただ静かに、安らかな死を与えている」
 それだけを聞けば、ただ安楽死を提供しているだけの様にも取れるが、実際は少し違う。
 なにせ、実行しているのはオブリビオンだ。
 そこにはどうしようもない、災厄がついて回る。
「死にたくて死ぬ奴なんて早々いるものか。誰だって、生きられるなら生きていたいと願うものだろう?」
 当然の願い、欲と言い換えてもいい。
 それらが強制的に摘まれると、出来上がるのは強烈な怨念。つまりは死霊の塊だ。
 そいつらは見境無く、なんにでも襲い掛かってしまう。
「止めなきゃだ」
 死霊も、それを作り出した奴も、止めなければ。
「……お願い、力を、貸してね」
 出現させた黒いグリモアに、頷いた猟兵達は踏み出して、
「いってらっしゃい。僕にとっては、君達こそが救いだよ」
 そんな言葉を背に受けながら、彼らは世界を渡った。


ぴょんぴょん跳び鯉丸
 話が暗い!
 よろしくお願いいたしますぴょんぴょん跳び鯉丸です。
 大体OPの通りで、ここで言うことが無くて困ってしまいますね。
 シリアス度マシマシで書いてますけれどプレイングはお好きにどうぞなのでお好きにどうぞ!
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第1章 集団戦 『残影』

POW   :    怨恨の炎
レベル×1個の【復讐に燃える炎の魂】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
SPD   :    同化への意思
【憐憫】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【異形の肉塊】から、高命中力の【絡みつく傷だらけの手】を飛ばす。
WIZ   :    潰えた希望の果て
【悲観に満ちた絶叫】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

天通・ジン
死ぬより苦しい目というのは往々にしてあるものだけど、今回の場合は違うよな。
人を救うと宣って、人を傷つけるものを産んでるんだ。止めなくちゃならない。

さて、ミサキの召喚で行くのはどんな戦場かな。飛行機が飛ばせるかはわからないから、とりあえずは降りて戦おう。

敵を見つけ次第、ユーベルコード【クィックドロウ】で攻撃だ。戦場に遮蔽にできそうな障害物があれば、それを盾に射撃戦を挑む。
憐れむつもりはない。憐れむべき対象はもうここにはいないからね。いるのはただの残骸だ。

それでも敵のユーベルコードが飛んでくるようなら、撃ち落としてやるぜ。

アドリブは歓迎。苦戦でもギャグでも、自由に描写してくれると嬉しいよ




 ダークセイヴァーに降り立った天通・ジン(AtoZ・f09859)の周りには、何もなかった。
 いや、正確に言えば、大地があって舗装された道があり、街灯がわりの松明が一つ、か細く炭を燃やしている。
「ここが戦場……か?」
 送り届けられたからには、その筈だとジンは思う。
 まさかミサキのミス……?
 しかし、そう思うのは一瞬だった。
 すぐ側に感じた禍々しい気配が、彼の体を緊張に強ばらせる。
「あれが、言ってた死霊ってわけだ」
 気配は、街道の上だ。
 向けた視線の先に、闇に紛れるような黒いシルエットがゾロゾロと歩いてくる。
 目当てはもちろん、ジンだろう。
 彼らは常に生あるものを望んでいく。なぜなら、
「にくい、にくい、うらやましい」
 原動力は生者への嫉妬だからだ。
 それは人であれ、動物であれ、同種であるオブリビオンでも変わらない。
「……これが、救いだって言うのか」
 自問に、いいや違う、と自答する。
 小銃を抜いて構え、敵の方へと歩みを進めながらトリガーに指を添えた。
 生温い風が、体を撫でる。
 ただの風じゃない、肌を通して感じるのは、死霊達の抱えた悲しみの深さだからだ。
 でも、
「憐れむつもりは、ない。憐れむべき対象は、もうそこにない」
 全てはもう終わっている。
 今動いているのは、生きていた頃にあった感情の残り。
「ただの残骸だよ、君達は」
 だからジンは、敵の群れを小銃からのブラスターで焼き払った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リリエル・エーデルワイス
【POW】
死が救い…か。
確かに苦しみから解放される…その一点だけで見れば、死は救いではあると思う。だけど、それは死以外の選択肢が残されてない者だけだ。生きたいと願うのなら、生きる為に足掻くのは必然だ…。
それに、安易に死は振り撒くものではない。振るうべき相手を違えるものではない。回りくどい言い方で分かりづらいだろうからはっきり言おう。
死霊となったお前達に死を与えよう。お前達を救うのはそれしかないし、それ以外に選択肢が無い。

残影達に対して竜槍で攻撃。堅実に攻撃を当て、一体ずつ確実に仕留めて数を減らしていく形をとる。
他の味方が攻撃しダメージを与えている対象が居るなら、そいつを優先して攻撃



「死が救い……か」
 なるほど、確かにそうかもしれない。
 リリエル・エーデルワイス(烙印刻まれし赫竜騎士・f00931)は、静かに頷く。
 苦しみからの解放という点だけは、救いと取ることも可能か、と。
 しかし。
「死、以外の選択肢が残されていない者だとしても、生きたいと願って、足掻いたのね」
 そうでなければ、あの死霊の群れは形成されないのだから。
 だから、これは救いなんかじゃない。
 そう思い、彼女は深紅の竜槍を握る。
「死を、与えよう」
 そして跳ぶ。
 前へ、前へ、前へ。
 群れへ突撃していく。
 迎撃は、周囲に滞空していた炎の塊だ。
 一体に付き約10~20。それが群れとして扱われれば、無数という数になる。
「ーー!」
 殺到した。
 槍を振るって弾いても、吹き飛ばしても、後から後から襲い来るそれを、リリエルはもう気にしない。
 燃える。
 服に移る炎は怨みの強さだ、生者に纏われば勢いは増し、命に焦がれて肌を焦がす。
「お前達を救ってやる」
 それでも、行った。
 勢いのままに槍を突き立て、蹴り飛ばして引き抜き隣の死霊を横に薙ぐ。
 払って、突いて、斬って、そして殺す。
 炎にまみれて、リリエルの大立回りは続いた。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

ルトルファス・ルーテルガイト
(アドリブ、他との絡み歓迎)

…この暗い世界ゆえに仕方ないのかもしれんが、『救い』という言葉を信じて簡単に生を手放すなど、その程度の覚悟しかないとしか言えん。
…だが、そこに付け込んで人を陥れる様な奴は、それ以下の屑だ。
…だからその屑は掃除しなければならない、俺達『猟兵』がな。

(遠距離攻撃型)
…あの数相手に近接戦は危険だ、一斉に絶叫されて命を落としかねん。
…あまり近接戦を行わずに、遠方から行くべきか。
…『エレメンタル・ファンタジア』による『水の津波』を起こし、大多数に向けて攻撃を行う。
…後は弱った敵を各個撃破できるような状態にしておきたい。



「……無茶をする」
 闇の中で踊る炎を、ルトルファス・ルーテルガイト(ブレード・オブ・スピリティア・f03888)は遠巻きに見て呟いた。
 どう手を出すか。そう思いつつ、列を成した群体の観察を続ける。
「はあ」
 暗い世界と情勢だ。精神的に追い込まれた故の決断がああなのだろう。
 そう思うと溜め息は漏れるが、同情はしない。
「救いと言う、甘い言葉に逃げて生を手放すなど、その程度の覚悟しかないのか」
 言葉は強い。
 だが、その言葉の元にあるのは、死霊を作り出した本体に向けたものだ。
「屑め」
 弱いところに付け込み陥れる、そんな奴は排除しなければならないと、そう思う。
「俺達猟兵が、な」
 片膝を付き、手を地面に当てる。
 魔力を周囲に放出して、空気中の水分を一気に増幅させ、
「下がったな」
 リリエルが後方へ戻ると同時に解放した。
 起こるのは、膨大な水量による津波だ。
 前列に陣取った死霊達を巻き込み、打ち付けて波に拐い、その体を破壊した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

デナイル・ヒステリカル
不安も苦痛も恐怖も、言うなれば無念というものは何にでも存在しています。
可哀想だなとは思考しますが、それ事態はありふれたもの。僕(プログラム)が介入する余地はありません。

しかしオブリビオンが関与しているなら話は別で、それは猟兵の出番です。
オブリビオンによって苦しむ人を助けてと請われたのならば、それはプログラム(僕)の管轄です。
「ここで終わらせる。もう被害者を加害者にはさせません」

【WIZ】
電脳ゴーグルを使用して電脳空間を展開し残影の位置を【情報収集】します
UCを使用、それぞれの残影へ数機ずつ機械兵器を向かわせ、他の猟兵と連携しながら【先制攻撃】【援護射撃】を命じます
残影に誰も傷つけさせないように



「不安も、苦痛も、恐怖も。言うなれば、無念と言うものは何にでも存在しています」
 デナイル・ヒステリカル(架空存在の電脳魔術士・f03357)。
 バーチャルキャラクターである彼の言葉は静かだ。
「可哀想だと思考します。ありふれたものである、とも。そこに僕が介入する余地はありません」
 プログラムですから。
 言いながら、彼はゴーグルを装着。
 電脳空間へと視界を展開し、津波に拐われた敵の位置をサーチする。
「しかし、これらがオブリビオンであると言うならば、それは猟兵の出番でしょう。助けてと請われたのならば、プログラムの管轄です」
 頷く。
 視界の中に映る敵影を消えていく水の中から洗いだし、小型の機械兵器を召喚する。
「ここで終わらせる。もう、被害者を加害者にはさせません」
 津波が引いた。
 解放されて起き上がる死霊の体に、小型兵器は銃口を向け、
「ーー!」
 射撃する。
 波に削られた体力と合わせ、穿たれるダメージは耐えられるものではなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ペイン・フィン
・・・・・・本当は、哀れむのが正しいんだろうね。
でも、済まないね。
あんまり、そういった感情感じないんだ・・・・・・。

戦闘開始と同時に即座にコードを使用。
複製した拷問具で片っ端から攻撃していこう。
せめてその魂が、地獄でも行けると良いかもね・・・・・・。
・・・・・・でもやっぱり、こういうのは嫌だな。




 死霊が消えていく。
 嘆きとも、呻きともつかない、そもそも声なのかもわからない叫びと共に。
 死んでいく。
「……本当は、憐れむのが正しいんだろうね」
 憂いを帯びる顔のペイン・フィン(“指潰し”のヤドリガミ・f04450)は、決して、死霊達への想いからそういう顔をしているわけではない。
 彼は、憐れみを抱かない。
 彼が思うのは、自分の事なのだから。
「……ほんと、嫌だな……」
 また今日も、自分を使う。
 自分達を使う。
 複製した拷問器具の数々を飛ばし、死霊達を痛め付けていく。
 ナイフが喉に突き刺さる。抜こうとする指を鉄片が挟み込んで潰す。膝にも挟み込む鉄が食いつき砕いて。着いた足に重石が重なり積まれる。
『アアアアア』
 それは、間違いなく泣き声だった。
 痛みへの泣き声だ。
 痛ましさに憐憫を思っておかしくないが、ペインの心は揺れない。
「せめて、地獄にでも逝けるといいかもね」
 そう言って、それから、
「……やっぱり、こういうのは嫌だな」
 ただ、そんな事を思った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メーティオル・スター
こいつらを放っておくと、絶望しなくてよかったはずの人まで絶望することになる…!オレたちが止めるんだ!

POWで判定!
沢山の炎を飛ばしてくるみたいだけど、こっちだって手数で勝負だ!
小さな炎なら、鞭を振り回して炎をかき消しながら間合いを保てば防げる!…多分!
膠着状態にしびれを切らしたら、合体させた炎で一気に勝負をつけようとするだろうけど、炎を集合させようと意識を向けているときがチャンス!
クイックドロウでパイレーツマグナムを撃ち込んでやる!

…今回は鞭が壊れないといいなぁ。今月も赤字は避けたい…。



「こいつらを放っておくと、絶望しなくてよかったはずの人まで絶望することになる……!」
 絶命の声に頭を振って、メーティオル・スター(屑鉄漁りの見習い冒険者・f05168)は敵を見る。
 残存戦力は多いが、攻めるには支障ないと思う。
 相手の攻撃手段も見れたし、手持ちで遣り繰りは可能だろう、と。
 しかし、一つだけ懸念があるとすれば、それは、
「……今回は鞭が壊れないといいなぁ」
 赤字を回避したい。できれば。なんとか。
「っと、言ってられないか」
 目の前に炎が迫ってきていた。
 とりあえずは、懸念は思考の片隅へ追いやって、その対処から始めていく。
 握った柄を上へ。
 振り回される軌道で鞭が空を切り、炎の魂を打ち払う。
 さらに振り下ろしでもう一つ。続けて前へ振り、手首だけ戻すスナップでしならせ一撃。
「お」
 と、次々に炎を消したメーティオルの動きに、死霊は一つの動きを見せた。
 打ち出す炎は同じで、しかしそれらは行く途中で合わさり巨大な一つの塊へと変わる。
 鞭の一振りでは消せない、分厚い壁だと、メーティオルは思った。
 だから、引き抜いたマグナムの銃口をそこへ向け、
「ふっ」
 撃つ。
 一つの銃声に、しかし撃ち出される弾丸は六発だ。
 精確に、炎の同じ位置へ的中し、突き破って死霊へ貫通させた。
「……ひとまずは赤字回避、かな」
 少なくとも今は。

大成功 🔵​🔵​🔵​

大宝寺・朱毘
・心情
「気が滅入るぜ……でも、やんなきゃいけねーんだよな。あー、クソ!」
これらの死霊が死霊になった経緯を慮ると、これから打ち倒さなければならないという事実が呪わしくて堪らない。

・戦闘
「あたしは坊さんじゃねーから、念仏を唱えることはできねぇ。その代わりと言っちゃ何だけどよ……あたしは、アイドルで、ロッカーだからよ……最高のサウンドで送ってやるよ!」
ギター型サウンドウェポンを鳴らして【チューン・フォー・パニッシュメント】発動。ただ、普段は処刑用の曲を使用するところ、今回ばかりは己の弾き得る最高難易度の美曲を、腕を千切る覚悟で限界の速度で速弾きする。
「……手向けになったかよ?」
弾き終わったら蹴る。



「フィナーレの時間だぜ」
 炎が舞っていた。
 掻き鳴らされた、電子の音色の中だ。
 それは、死霊から放たれた炎。大宝寺・朱毘(スウィートロッカー・f02172)を襲い、周囲を燃やして黒煙を上げるモノだ。
 音を奏でる朱毘のギターは、その火中に在っても揺らがずに響く。
 ……気が滅入るぜ。
 ピックを持つ指に力が入る。
 陽炎の向こうにいる死霊達を、これから自分は打ち倒さなければならない。
 そう思うと、胸にムカムカとした感情が沸き上がってくる。
「あたしは坊さんじゃねーから、念仏を唱えることはできねぇ。その代わりと言っちゃ何だけどよ……」
 肌が焼ける。
 熱が喉を焦がす。
「あたしは、アイドルで、ロッカーだからよ……最高のサウンドで送ってやるよ!」
 そうして彼女は、炎から飛び出した。
 撃ち出される炎に身を晒しながら、自分の体が焼けていくのを感じながら、それでも行って。
「ーー!」
 死霊の顔面を踏みつけるように蹴り飛ばした。
「手向けに、なったかよ」

大成功 🔵​🔵​🔵​

橘・焔
○心情
…難しい事は分からないけど、“生きる目的”なんて探すからややこしい
“ただ生き続ける”ことで見えてくるモノもあるんじゃない?
絶望して生きる事を諦めるのは、もう少し先でも良いかもよ

【SPD】で勝負
自身に向けられる【憐憫】の感情に真っ向から対抗する
「…アナタに憐みを向けられるほど、私は私を不幸だとは思ってないよ」
母も祖母も不遇なうちに没し、今は天涯孤独の身だけど…
それでも私は、私という存在を否定したりしない!

【憐憫】を振り切り、逆に咎力封じで敵個体の動きを抑える
「今度はコッチの番。…痛いけど我慢してね」
身動きの取れない相手目掛け、手持ちの硬くて重いガンケースを思いきり叩きつける
「…虚無へ還れ」



「……難しいことはわからない」
 よいせっ、と、ガンケースを担いで橘・焔(転生のオデュッセイア・f01608)は行く。
 随分と、最初に比べて群れが減ったものだ。全員、還ったのだろうかと、そう思い、口を覆うマフラーへと息を吐き出した。
「……生きる目的なんて探すからややこしくなるんじゃない?」
 生き続けていれば、もしかしたら、なにか。
 違ったモノが見えたかもしれないのに。
 絶望して諦める、そんな結末には、ならなかったかもしれない。
「まあ、もう遅いけど」
 よたよたと歩く死霊へ、焔は三つの物を投げつける。
 手枷、猿轡、拘束ロープ。どれも体の一部を封じるモノだ。
 それらが自由を奪い、抵抗できない死霊を地面へと転ばせる。
 焔の足元だ。
「痛いけど、我慢してね」
 見下ろした彼女は、振り上げたガンケースを思いきり叩き付ける。
 グチャリと、骨を砕き肉を潰す音が鳴った。
 少なくとも焔の胸中に、死霊達への憐憫は無い。
 ただ、虚無へと還す。
 それだけだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『救済の代行者・プレアグレイス』

POW   :    黒死天使
【漆黒の翼】に覚醒して【黒死天使】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD   :    鏡像の魔剣・反射
対象のユーベルコードを防御すると、それを【魔剣の刃に映しとり】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
WIZ   :    鏡像の魔剣・投影
【魔剣の刃に姿が映った対象の偽物】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はリーヴァルディ・カーライルです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「……?」
 死霊達は消え、後に残ったのは静寂だった。
 しかし、猟兵達の本来の目的は死霊ではなく、それを産み出してしまった元凶のはずだ。
 それが、そこにいない。
「もしかして」
 だが直ぐに、心当たりを思い付く。
 あの数の死霊だ、一人二人の犠牲では生まれないのではないか?
 もしかしたら、大勢の犠牲者の上に成り立っていたのではないだろうか。
 その考えがもしも、正しければーー。
「あぁ……」
 正しければ、死霊達の奥にある、一つの集落に、人の気配がまるでないのも頷ける。
 眠るように死んでいる人々の姿に、理解が及ぶ。
「人の子よ 眠りを断ちますか」
 そして、舞い降りる存在こそがそうなのだと、本能で察した。
 
橘・焔
○心情
お前がこの騒動の元凶…
その汚れた手にかけた命の報い、受けてもらう!

【POW】で勝負
真の姿は発揮できなくとも、お前にはこれで充分
救済などと口にして優雅に空を舞う“天使”の意識をコッチに向けさせる
「…アンタの翼、偽りの純白が剥がれてドス黒い“本性”が丸見えだよ」
…その翼ごとそっ斬り落として、地ベタに縫い付けてやる

相手の意識が十分“上空”から逸れた所で詠唱開始
「…この刃一本一本が、お前が命を奪った人達の無念の結晶」
焔が天へと掲げた刃の先、輝ける無数の刃が頭上を整然と旋回している
「来たれ“光の刃”、此処がお前の墓標だ!『時よ止まれ、汝はいかにも美しい』!!」
…光の十字架の丘で、己が罪を悔いて眠れ


ペイン・フィン
・・・・・・救済、か。
救われたいと人が願うのは、確かにそうだよ。
自分は何度も見てきた。

ーーーーー生きたい、死にたくない、助けてほしいという願いを。
最も間近で。

コードを使用。
今回使う拷問具は九尾九命の猫鞭。
それ以外の拷問具は装備から外してその場に置いておく。

・・・・・・これが痛みだよ。
理解したかな?


リリエル・エーデルワイス
【真の姿】瞳の色が紅く染まり、瞳孔が竜のそれと同じ様に縦長になる

そうか、身を焦がす程の、魂を食らい尽す程の怨嗟と苦痛を、貴様は眠りと言うか。
なら望み通り眠らせてやる、終わる事なき苦痛と悪夢の中で

真っ向からの接近戦を仕掛ける
先ずは呪剣を用いて翼を潰して飛行による逃走阻止。片方でも翼を斬り落とす等して潰せたなら竜槍に持ち替え、前傾姿勢で接近し刺突からの【刻印・腐滅の黒炎】発動
黒炎は対象が絶命するまで決して切らず、発動後以降は他の猟兵と連携する形を取る

「存分に受け取れ、犠牲となった者達の苦痛と怨嗟を。その身を腐らせ焼き尽くす黒き炎と共に」

(他の人との絡み大丈夫です)


メーティオル・スター
アイツ、あの集落一つをまるっと飲み込んじゃったのか!?
可愛い顔してるけど、意外と大喰らいってことかな…!
(軽口を飛ばしながら、自身を鼓舞)

SPDで判定!まずはすれ違いざまにナイフで切りつける!多分、防御されちゃうだろうけど…そこまでは織り込み済み!
防御されたら相手が仕掛けてくる前に上着を脱ぎすてて、
相手に合わせてもう一撃しかける!
さっきよりもスピードが上がっているんだ、オレの刃の方が先に届く!

それにしても…さっきの残影もそうだけど、こういう人型の敵は戦いにくいな。
敵ならさ、もっとそれらしい姿でいてくれればいいのに…。


デナイル・ヒステリカル
対象を映し能力や姿形を模倣すると言うのなら、映されなければ良いのです。

味方の猟兵の方たちの攻勢に合わせ、自身に【迷彩】を施し救済の代行者の視界から隠れます。
潜伏したままの状態で相手の攻撃パターンを【情報収集】し、
代行者がユーベルコードで勝負を決めようとした瞬間に、【先制攻撃】で僕もユーベルコードを合わせ、無効化します。
「そう来ることは予測済みです」

一手相手を封じれば、味方の猟兵がチャンスを物にしてくれると信じているよ。
「後を頼みました───!」

※出来る限り他の猟兵と連携します。


ルトルファス・ルーテルガイト
(アドリブ、からみ歓迎)

……見た目は天使の類に違いないのに、司る救済は『死』しかないとはな。
…それも大勢を巻き込んでまで。(冷ややかな視線が、天使に向けられる)

…【精霊剣】で「光の精霊の加護」による剣で攻撃をする。
…だがあの天使の持つ剣、詳しくは知らんが…あまりいい気がしない。
…迂闊に打ち合いになるのは避け、隙を見せたら攻撃を狙う。
…一撃一撃を丁寧に当てていく、そのくらいの気持ちがいいだろう。


大宝寺・朱毘
・心情
先の戦闘で皆も多少なりとダメージを受けているし、一旦回復を試みるのも手か。
「共感できそーな歌、か……ま、何とかなんだろ」

・戦闘
【シンフォニック・キュア】による回復を試みる。
歌詞は、美味しいもの食べたーい友達と遊びたーい楽しいこといっぱーい人生は時間が足りなーい、といった、生きることをバカみたいにポジティブに捉えたもの。【パフォーマンス】【楽器演奏】【歌唱】も利して、とかく明るくパフォーマンスする。無闇にギター振り回したり何かくるくる回るステップしたり。
死を救いと見なす敵がこの歌詞に共感することもあるまいし、またそんな敵を討ちに来た猟兵たちならば共感してくれるだろう、という期待をこめて。




「お前がこの騒動の元凶……」
 無表情に見下ろす顔を、焔は見上げる。
 ゆっくりと動かす翼で滞空するそいつは、こちらを見ている様でその実、なんの感慨も受けていないのだと、そんな印象だった。
「……地べたに縫い付けてやる……!」
 自然と、握る拳に力が入る。
 まずは地上戦に持ち込むだとか、戦い易い下地にするだとか。
「おい、救済の天使様よ」
 感情の感じない視線を声で呼んだ焔が思うのは、そういうことではない。
「アンタの翼、偽りの純白に隠されたドス黒い本性が丸見えだよ」
「不遜な 言葉ね」
 敵が急降下をしてくる。
 縦に振り下ろされた漆黒の両刃剣を、焔は光の刃で受け止め、横へいなすように弾いた。
 ……命の報いを受けさせてやる。
 思う。
 救済なんて言葉で村を殺したコイツに、その購いをさせてやると。
 だから。
「罪深キ者達ニ断罪ト福音ヲ」
 言葉を紡ぐ。
 上昇から、二度目の攻撃が来るのを見ながら、
「美シキ者達ニ祝福ヲ」
 言って、突き出される切っ先を回避する。
 身を捩り、光の刃で剣を叩き落として地面へ刺しこませ、更に足で上から踏んで固める事で、一時的な地上への滞在を強制した。
 そうして、刃を振る。
「……この刃」
 上へ、切っ先を天に向ける様に、だ。
 そこに、光の群れがある。
 無数な縦長の光達だ。
「一本一本がお前の、お前が奪った人達の、無念の結晶」
 それらの切っ先が一斉に敵へ向かい、
「此れがお前の墓標だ! シュヴィエソス・クリージュ・カァルナス!」
 殺到した。

「ーー!」
 光の濁流だった。
 目が眩むのではと思うほどの光量へ、突っ込んでいく二人がいる。
 リリエルとメーティオルだ。
「……可愛い顔してアイツ、この集落丸ごと飲み込んじまったのか……!」
 だとしたら、なんて大喰らいだろう。
 降り注ぐ光の雨を、展開した防護障壁で防ぐ敵に彼はそう思う。
 それはかなりの重圧の筈だ、とも。
 それを変わらぬ顔で受けている胆力も、見た目からは遠い。
「少し、やり辛い、な……!」
 握るナイフを構え、姿勢を低く保って突撃する。
 地面に顔が付きそうな程の前傾で加速し、正面、飛びかかる動きでナイフを振り抜いた。
「ッ」
 しかし、起きたのは金属音だ。
 逆手に持ち、縦にした両刃剣がナイフの刃を防いでいる。
 だからといってメーティオルの勢いは消えず、跳ぶ加速のまま通りすぎてしまう。
 そして同時に、降っていた光も収まり、
「足掻きだ 人の子 全ては眠りの前に無為ーー」
 浮上の羽ばたきを敵がした時に、反撃の一手が起きた。
 それは敵の背後、静かに行ったリリエルの一撃だ。
「身を焦がし、魂を喰らい尽くす程の怨嗟と苦痛を、貴様は眠りと、そういうのか」
 振り下ろす呪剣が、翼を根本から切り落とす。
「なら、望み通り眠らせてやる、終わる事き苦痛と悪夢の中で、存分に」
 さらに返す動きで、逆の翼を跳ね上げて飛ばし、飛行手段を潰した。
 次いで、一歩を下がり、武器の持ち変えをして、
「っ!」
 それより速く、敵の両刃剣が閃となる。
 振り返り様に振るわれる、高速の横薙ぎだ。
 腹部を通りすぎた刃は静かで、一瞬の後、リリエルの体から鮮血が噴き出した。
「ちぃっ……!」
 手から着地し、反転して向き直るメーティオルはそれを見る。
 あの速さには、どこか覚えがあった。
 翼を無くすのはある種、身軽になったともとれて、
「オレのユーベルコード……!」
 攻撃が加速する技はメーティオルの物でもある。
 ただし敵とは違い、彼の場合は衣服だ。
 上着を脱ぎ捨て、クラウチングの体勢から加速を行う。
 地を蹴り、二歩、三歩と踏み込む都度に速度は上がり。
「今度は防がせない!」
 敵の胸、ど真ん中に、ナイフを根本まで突き込んだ。
 確かな、肉を断つ感触をもらいながらも、敵の足がメーティオルを蹴り飛ばして離れる。
「存分に受けとれ、犠牲となった者達の苦痛と怨嗟を」
 だが逃がさない。
 傷口を片手で塞ぎつつ、竜槍をリリエルは突き出した。
「っ」
 敵の表情が変わる。
 当たる。と、回避出来ないと悟った、少し焦った様な顔だ。
 穂先を腕で受ける事で急所を守ることに成功したが、リリエルの攻撃はただの突き刺しではない。
「身を腐らせ、焼き尽くす黒き炎を受けろ」
 敵の全身を、黒炎が覆い尽くした。


「アアアアア」
 敵が鳴いた。
 失った純白の翼に代わり、漆黒の翼を覚醒させながら、声を上げる。
 そこに、最初の様な無感動は無い。
「……あれはロックじゃねーなぁ」
 簡単な感想を呟いて、朱毘はギターを構える。
 ピックで一つ、音を鳴らして、はて? と首を傾げた。
「共感できそーな歌、か……」
 辺りはダメージを負った仲間も多く、回復が必要だとは思うのだが、さて何を歌いどう回復しようか。
「ーー美味しいものが食べたーい!」
 ジャーンッ、と掻き鳴らしつつ叫ぶ。
「友達と遊びたいし楽しいことはしたいし人生謳歌に時間はたーりーなーいー!」
「身も蓋もない!」
 どう? と首を傾げて感触を確かめる朱毘に、猟兵達のツッコミはある。
 あるが、怪我の回復には一役買っていると、手応えを感じた。
 それならばやることは一つ。
 朱毘はロックガールで、アイドルで、歌って魅せるのが仕事だ。
 だから、
「ポジティブに行こうぜ! 人生は?」
 ……。
「人生は! たのしー! だろ!」
 レスポンスの返らないコールに憤りつつ、朱毘の叫びが木霊した。
「ま、たのしーかは置いといて」
 声に、笑みを浮かべていたルトルファスは、息を吐いて敵を見る。
 黒の翼をはためかせ、地上から少し浮いた、天使の様な外見の敵だ。
「見た目はあれで、救済と謳って大勢に死を撒き散らすよりは、全然いいな」
 やっていることを考えれば、それは死神の域だと、そう思う。
 しかも、自分の都合で死を与える、最悪の死神だ。
 ここで倒さなくてはならない。
「……精霊よ……」
 だから、彼は武器を握る。
 それは手に持つ、短い柄の様な棒だ。
「この声に耳を傾け、その力を剣に示せ!」
 言葉は呼び掛けで、ダークセイヴァーという世界に在る、精霊の力を呼び起こす。
 まず、闇が具現化した様な刀身が現れ、その上を白い光が覆う。
「行くぞ」
 前へ行く。
 迎え撃つ様に突撃してくる敵の動きを見ながら、ルトルファスは妙な胸騒ぎがあるのを感じた。
 敵の剣だ。あれが、何故かはわからないが、気になる。
 思うが、その正体は掴めず、打ち合わせになるその瞬間。
「ーー!」
 彼の前で火花が散った。


 デナイルの動きは、猟兵達が敵と対峙した瞬間から始まっていた。
 まず第一に、敵の視界から消える必要がある。
 そう考えた彼にとって、焔の光は隠れ蓑として最適だった。
 白色が埋め尽くした一瞬で、デナイルは自分自身に迷彩を施し、戦場の風景へ溶け込む事に成功。
 さらに戦いの傾向や攻撃の種類から、能力を絞り込む事におおよそ成功していた。
「一手」
 勝負を決めるとしたら、それはタイミングだ。
 敵の虚を突く、最大のチャンスを得る、一手。
 その為に息を殺し、待ち続けて、そして掴んだのは、
「そう来ることは、予測済みでした」
 ルトルファスへ振り下ろした、ただ一撃を防ぐ、その瞬間だった。
「新規兵装構築。活性化完了」
 右手に、ずっと見ていた敵の両刃剣のコピーを産み出し、振り下ろしの攻撃に合わせた斬り上げをぶちこむ。
 そこに、寸分の狂いは無い。
 力、速度、角度。
 敵の動きを完全に反転させた一撃は、剣を大きく弾き飛ばして仰け反らせ、
「後を頼みましたーー!」
「ああ、頼まれた……!」
 ルトルファスの剣が、袈裟に敵を斬り裂いた。


「あ、あ、あ」
 敵が、泣いていた。
 バグを起こした機械のように、挙動不審に体をくねらせ、言語ともならない呻きを漏らして。
 元より、過去から呼び起こされた存在。
 本来の姿や中身とは違うのかもしれない。
「……救済、か」
 その姿を見て、ペインは呟く。
 救われたいと人が願うのは当然で、それを何度となく見てきた彼は、理解していた。
「生きたい、死にたくない、助けて欲しい」
 そう願う気持ちを、最も間近に感じていた。
「今の君は?」
 生きたいのか、死にたくないのか、助けて欲しいのか。
 どう願っているだろう。
 そう思いながら、手持ちの拷問道具を手放していく。
「今、救ってほしいのかな」
 残った最後、九つに分かれた鞭を握って呟く。
 救いは、どちらだ。
「生きたいか、死にたいか」
 そして鞭を振る。
 一つ、腕を叩く。先端に付いたカギ爪が肉に食い込み引き千切る。
 二つ、脚を叩き、腱をカギ爪が切る。
 三つ、腹を。四つ、肩を。五つ、胸を。六つ、手を。七つ、顔を。八つ、頭を。
「理解したかな」
 九つ、首を。
「それが、痛みだ」
 引っ掻いて、切り裂いて、抉って、引きずり出して。
 そうしてやっと、ソイツは、救われたのだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『失われた祭事の復活』

POW   :    櫓を建てる、祭りの資材を運ぶなど

SPD   :    祭りの準備をする、料理を作るなど

WIZ   :    祭りの企画をする、出し物を考えるなど

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 村は、静かだった。
 なにせここには誰も、もう帰ってこない。
 広場の中央に、小さな社があり、そこには供え物の痕跡がある。
 恐らく、神頼みをしていたのだろうと、そう推察出来た。
 やって来たのは、最悪の存在ではあったのだけれど。
「誰のための終わり、か」
 きっと、誰のためにもなっていない。
 このまま、ただ、無駄だったのだと、そうしたくない。
 だから。
「気持ちだけでも、供えておきたい、かな。無理に付き合ってとは言わないけれど」
 そう思い、少女は行動した。
ペイン・フィン
・・・・・・あまり、場には合わないかもしれないけど、
今回は、参加していこうかな。

祭りの準備をしよう。
自分が知ってるお祭りは、碌な物じゃないから、皆に意見を聞きながら自分流に。
飾りも何か用意しようかな。木彫りなんてどうだろうか?
・・・・・・これも、自分が削ると碌な物にならないだろうから、皆に聞こうか。

・・・・・・後でこっそり、村で祈りを捧げよう。
神を信仰しているわけじゃないし、そもそも信仰心なんて無いから、形だけだけど、ね。


デナイル・ヒステリカル
今回のような事が起きないように再発防止策は必須でしょう。
他の方の準備を手伝わせていただきながら、【世界知識】を駆使してこっそり祭事の内容を、より安全性の高いものに誘導しようと思います。
「些細な違いで変えていける、変えられるはずです」

或いは、今回出会ったオブリビオンも…
元々は人を害する事なんてしない、善良な存在だったのかもしれません。
「彼ら彼女らにも各々の考えがあったのかもしれませんね」
僕がその考えを尊重する事はありませんが、今の仮定は記録しておこうと思います。




 村は、一時的な賑わいを見せていた。
 賑わいと言っても、人が多いわけでも無く、楽しく騒いでいる訳でもない。
「……ああ、それは、こちらに」
 集まった猟兵達による、作業の忙しなさだ。
 簡単な造りの櫓を建てる為、その材料が運ばれていく。
 その指示を出していたのがデナイルだ。
 村にあった設計図面を見て、いくつかの改善点を見つけた彼は、安全性を重視したアレンジを加え、
「些細な違いですが」
 変えられるはずだと思う。
 必要な部分だけ書き直し、図面だけは残しておいて。
 もし仮に、これを参考に祭事をしたとして、今回のようなモノを喚ぶ事は、多少起きにくくなるはずだ。
「……いえ、或いは、アレも」
 本来は、人に害を為す事の無い、善性のある存在だったのかもしれない。
 なにかしら、考えのあるモノだったなら。
「ーー僕がその考えを尊重する事はありませんが、この仮定は記録しておきましょう」
「あの、聞きたいのだけど」
 一人頷いていると、ペインの声がデナイルの意識を引いた。

 手にあるのは、拳大の木材だ。
「準備しようかと思ったんだけど、自分の知ってる祭りって碌な……少し特殊だから、意見を聞きたくて」
 飾りに木彫りとか、どうだろうか。
 思い、掲げたそれにデナイルの意見は、
「……木彫り、か」
 悩んでいた。
 知識の中に幾つかの候補があるが、難易度が高い気もする。
 しかし助力を願われたのならば助けにならねばという使命感もあって。
「十字架……とか」
「なるほど」
 それなら造りやすく、また供えても不思議はないと思えた。
 ……磔、みたいにならないようにしよう。
 拷問に馴染み深すぎるペインは胸中でそう決めて、頷き、腰を据えて木に向かった。
 神を信仰ーーいや、そもそも信仰心というモノが無いから、形だけにはなってしまうのだが。
「それでも、祈りを捧げよう」
 何に対して、どう祈るのか、それはまだ考え中だけれど。
 木を削り、形を整え終わる頃にはきっと、何かしらの答えを得ている。
 はずだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

メーティオル・スター
確かに、ここには人がいたんだ。こんな形だけど、ここに人がいた証はこうして残ってる。だから、せめて…オレたちくらいは、覚えておいてあげないとな…。

POWで判定。櫓を立てる方に参加しようかな。
いつもいじってるのは機械だけど、物づくりには変わりないし。
それに、ロープワーク技能でロープの扱いも得意だしね。

ああそうそう、デザインなんかはこの世界の習慣に詳しい人に聞きたいところだね。
コミュ力技能で色々聞いて回るか。どんな櫓を作るのか、櫓作り班全員で共有もしておきたいしさ。

いなくなった人たちがやろうとしてたこと、今いるオレたちが引き継いでいかなきゃな…。


橘・焔
○心情
…もう誰も戻ってこない村、か
私達がもう少し早く辿り着けてたら、彼らを救う事が出来たのかな?
招いた神は災厄そのものだったけど、せめて今は鎮魂の祈りを…

【POWで判定】
「…誰のための終わり」
墓石代わりに程良い大きさの石を並べつつぼそりと呟く
この行為は誰の為に?
オブリビオンに殺された人達のため?残された家族のため?
前者も後者も、本人達は既にこの世にはいない…
「…結局、あなた達を救えなかった私達の“贖罪”のため、か」
独り言ちて、また一つ石を運んでは並べる
ユーべルコードを使わなければ、非力な子どもでしかない自分
せめて、露と消えた儚いモノ達のために
「一つ積んでは人のため、二つ積んでは他人のため…」


リリエル・エーデルワイス
祭りの資材運びを手伝うとしようかな。勿論、他の人の手伝いをする形でやらせてもらうよ。あとは、社の補修等もやっておくのも手かな?それだけでも少しは違ってくるとは思うから

それにしても…神に祈る、かぁ。私自身はそういうモノに祈る事はないけど、彼等がそうまでしてでも救いを求めた気持ちは分からなくもないかな。
でも、神様ってのは平気で惨い事するよね。救いを求めた者達に寄越したのが、あんなモノじゃ…彼等が救われないかな。いや、ある意味では救おうとしたのかもしれないね。
何にせよ、これで彼等が少しでも救われる事を願うよ。祈りは…やめておこう。信仰以前に私自身穢れている身だからね。




 資材を運ぶ指示を受けたリリエルは、両手に抱えたそれを静かに社の側に下ろす。
 それを何度か繰り返し、組み立てはメーティオルに任せて軸組の進む様を眺めた。
「神に祈る、かぁ」
 その建造物は、そのためにあるものだ。
 自身にはそういう、モノに対して祈る、という行為はないが、
「……気持ちは、わからなくはない、かな」
 救いを求めた感情は理解できる。
 社を建ててでも、救われたかったのだと、その必死さを理解する。
「でも、神様ってのは惨い事するよね……救いを求めてやってきたのがあんなモノじゃ、ね」
 救われるものも救われないだろう。
「なんにせよ」
 こうすることで多少は救いになればいい、と。
 そんな願いを持ちつつ、リリエルは社の汚れを落としに行く。
「穢れた身では信仰も……祈りも、できないものね」
 

「しょ、っと……」
 組み立て式の櫓は着々と積み上がっていく。
 社を囲む程度の大きさだったそれは、三方を木組みにして屋根を乗せた造りだ。
「これでいいのかな?」
 噛み合う様に加工された材料を組み合わせながら、メーティオルは一息を吐く。
 元々作りかけだった木材を、少しのアレンジで組んでいただけだ。
 手間としては、普段やっている機械弄りと大差無い。
 そして、
「……確かに、ここには人がいたんだな」
 無人になった、生活感の残り香に、そう思う。
 存在の証だ、と。
「せめて、オレたちは覚えておいてあげないと……」
 組み合った箇所をロープで縛り、倒れないように地面へと打ち込んだ杭と結びつける。
 そうすれば、よほど故意に崩さない限りは、壊れないはずだ。
「ふぅ……」
 出来上がりの一息で櫓を見て、
「これで、少しは引き継げたかな」
 もう為せない人達の事を、少し考える。
 いなくなってしまった、もう祀れない人達の代わりを出来ただろうか、と。
 そう、思った。


「もう誰も戻らない村、か」
 櫓と、社と、完成形を眺めた焔は一人呟く。
 誰のためでもなく、日々祭られる訳でもなく出来上がったそれ。
「私達がもっと早く辿り着けていれば、彼らを救うことが出来たのかな」
 そうすればここは、人の祈りを受ける場所となったのだろうか。
 たられば、だ。
 実際に訪れたのは災厄で、今は鎮魂のための社となってしまった。
 それがすべてだ。
「……誰のための終わり……」
 社の前に、石を積む。
 墓石の代わりに、と。置くそれはきっと、今だけのモノ。
 オブリビオンに殺された人のためではあっても、残された人はもういない。
 参る人も、根こそぎ奪われてしまった。
 それなら、これは、誰のためのモノなのか、と。
「……結局、あなた達を救えなかった、私達の贖罪のため、か」
 ユーベルコードが使えたとしても、それが無ければ自分は非力な、一人の子供。
 そして使えたとしても、手の届かない範囲を救うことは出来ない。
 仕方ない事だけれど、せめて、露と消えた儚いモノ達の為に。
 焔は石を積んでいく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月17日
宿敵 『救済の代行者・プレアグレイス』 を撃破!


挿絵イラスト