●帝都駅前、九時十三分
新調した吊るしの背広に肩を通し、買い替えた眼鏡をかけた若者が駅を降りる。
目の前に広がるは帝都の風景。
ふと思い出す、自分もこの一部になるはずだった……と。
けれど、そうではなかった。
だから、壊してしまおう。
『私が何かをしたという証』を人々に知らしめるために。
そのための武器は右手のトランクに入っている。
マフラーに隠された首輪に触れると、若者は帝都の街へと歩いていった。
●グリモアベース
「グラッジ弾というのを知っているかな?」
グリモア猟兵、氏家・禄郎(探偵屋・f22632)はいつもより強めにタイプライター型のグリモアを打鍵し、資料を逐一作り出す。
「昔、戦争があった時に使われた影朧兵器という物の一つで、銃弾を浴びた被害者は、通常の負傷の他に強い『恨み』を浴びて、周囲に影朧を呼び寄せる存在となる。主な使い方は敵側の医療施設を破壊……まあ、非人道なので戦後全て破棄されたということになっていたんだけど」
猟兵に視線を向けると世間話をするかのように。
「何故か、残っていた……もしくは新しく作ったんだろう。どちらにしてもグラッジ弾が存在し、それを帝都に持ち込んだ奴がいる。後は分かるね? 君達には彼の排除、もしくはグラッジ弾が発射された場合の影朧の対処を頼みたい」
配られた資料は帝都にある大型百貨店。
「こういう物の使い方は昔から決まってる、人が多く居る高層建築物だ。混乱で避難もままならない上に、壊れれば人々は平和が奪われたと心に傷を負う」
探偵屋が立ち上がってグリモアのレバーを倒せば、ゲートが開かれる。
「どうやら実行犯は『平和な帝都の生活』というものにコンプレックスを感じているらしい、調査も兼ねて目標となる百貨店でショッピングを楽しんでいれば、自然と尻尾をだしてくるだろう」
皆を見回せば、グリモア猟兵はひと呼吸おいて。
「では、準備を整えたら、時計を合わせて作戦開始だ――後は任せるよ」
猟兵へと後を託した。
みなさわ
人と言うのは自分がなれなかった者に対して凄い憧れと恨みことがあるかもしれません。
こんにちは、みなさわです。
今回はサクラミラージュの百貨店でのお話を。
●今回のお話
第一章では皆で百貨店での買い物を満喫していただきますが、それ以後はシリアス一直線です。
●第一章
百貨店でお買い物となります。
誕生日、クリスマス、ボーナスの使い道。
色々と入用だと思います、何か探してみてはいかがでしょう。
自分で探すもよし、プレイングを参考に店員に見繕ってもらうのもよし、そこは自由です。
勿論、『お仕事』するのも問題ありません。
平和な風景を横目に陰日向へと動かれてください。
●第二章
敵が尻尾を出しますので追跡となります。
舞台は外に移り変わり、所々で邪魔が入ります。
そちらの対処を行いつつ、敵を追いましょう。
●第三章
追い詰められた敵がグラッジ弾を解放にかかります。
影朧が呼び寄せられるでしょう、後は皆さまにお任せします。
●その他
マスターページも参考にしていただけたら、幸いです。
それでは皆様、よろしくお願いします。
第1章 日常
『百貨店に行こう』
|
POW : レストランやカフェテリアにいく
SPD : 服を選びにいく
WIZ : 宝石や貴金属の店にいく
👑5
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●某百貨店、九時三十分
男――ウスバ・カゲロウがその店を選んだのは計画故。
人々を多く巻き込み、死へ至らせる。
老若男女溢れる巨大な百貨店は格好の獲物だ。
いや、それだけではない。
彼らは罰するに値する存在なのだ。
何も知らず平和を謳歌し、何よりも自分を拒んだ。
ウスバ・カゲロウにとって自分を拒む彼等こそが罰せられる存在なのだ。
人々の悲鳴と哀願の響く未来への加虐の喜びを心に秘め、男は店の中へと入って行った。
セシリア・サヴェージ
グラッジ弾……どのような代物かは説明を受けましたがあまりにも非人道的過ぎる。
その様な忌むべき兵器の使用は確実に阻止せねばなりません。
百貨店には初めて来ましたが、色々な物があって目移りしてしまいますね。
ダークセイヴァーでは考えられない光景……比ぶべくもない、か。
せっかくなのでこの世界での特徴的なアクセサリーや雑貨を見て回りましょう。
行き交う人々の明るい表情を見ていると私の心も明るくなります。
ショッピングや食事を楽しむ人々で溢れるこの場所を狙うとは、どんな理由があろうとも許せません。
このような時でなければ私も純粋に楽しめるのですが……常に警戒を怠らず、怪しい人物に目を光らせなければ。
●六階:宝飾時計売り場、九時四十三分
「…………」
「兵隊様、こちらの時計が気になりますか? 瑞西の職人が作ったものでございます」
セシリア・サヴェージ(狂飆の暗黒騎士・f11836)が懐中時計に視線を落とすと、猟兵としての違和感なき姿を高級士官と解釈した店員がショーケースの鍵を開け、白い手袋越しに恭しくそれを取る。
「どうぞ」
「……良いのか?」
差し出された時計にセシリアが戸惑えば、店員は笑みを崩さない。
「貴人には自分に見合った物を持つ事で、友に恥をかかせないものです。それとも実用性をお求めでしたら、それに合った物もご用意できますが?」
「いや、これでいい」
普段は暗黒を使う荒々しい騎士もこの時ばかりは手渡された時計の美しさと機械が奏でる作動音が心地よく感じられる。
ふと裏返せば、裏蓋が透明になっており巧緻な動作機工を目にすることが出来る。
ダークセイヴァーでも貴人しか持つ者が出来ない物が庶民も訪れる百貨店で手に入る。
勿論、それは比ぶべくもないもの。
それ故か、心が軽くなるのも感じていた。
周囲へ視線を動かせば、そこに移るのは、腕時計を探す若者、指輪を選ぶカップル。
皆が幸せそうであり、光に満ちていた。
だからこそ……。
「ありがとう」
時計を店員へと返した。
「よろしいので?」
「実はこれから用事がありまして、それが片付いたら改めて参りたいと」
「分かりました、ではその時をお待ちしております」
頭を下げる店員に礼を返し、セシリアは店内を歩く。
平和を謳歌し、ショッピングや食事を楽しむ人々。
どんな理由があろうとも、彼らを害しこの場所を狙うことが許せなかった。
暗黒の騎士は警戒を怠ることなく、雑踏の中へと消えていった。
大成功
🔵🔵🔵
天海・虎徹
うわぁ、サクラミラージュにはこういう場所もあるのか。
UCDの日本にも負けない品ぞろえだなぁ。
とりあえず、お腹も空いたし、適当な店で時間潰そう
適当なお店(和食系)に入ってメニューを眺め、鉄火丼を注文してそれを待っている間、喧騒に目を向ける
鉄火丼が来たら醤油にワサビを溶かしてワサビ醤油にしたら、上からかけてかきこむ
食べきったらお勘定を払って喧騒の中に消えていく
「これだけたくさんの人がいて、笑顔がある。絶対に惨状になんかさせるもんか」
ウルダ・ドーリス
❖アドリブ絡み歓迎
【SPD】
Reincarnationがある世界ならでは…なのかしらぁ
…ウラミとか?
ネタミとか…?
UDCアースとはまた違うグロさと闇ねぇ…
ミンナちがってミンナ…よくないか
でもデザインは最っ高
いつもはピンヒールにタイトパンツ
こういうレトロって趣味じゃないのに…
ンー。……カワイイ
あ
この世界用に一式そろえるってどう?
ワォ…名案
あれこれ試着しまくろっと
キモノってステキね
自分で着れたらいいのに…
やっぱり動きやすいのがイチバン
その袖がふわっとしたブラウス好きよ
ダーメ…下がそれじゃ甘すぎ…そうそう
ワガママも好みも言いたい放題
……ちょっと買いすぎたかしらぁ…
クロークに預かっててもらわなきゃ
黒鵺・瑞樹
アドリブ連携OK
前にもヒーローズアースでテロリストと暗殺者のヴィランの諍い?みたいなののあったが。
ただその手段で欲しい「証」が手に入る物なのか?
自分を拒んだというけど、それは彼自身が周りを拒んだだけなのだと思う。
いつだって壁は自分が作る物。
さて年の瀬だし正月の買い物でもしようか。とはいっても一人暮らしだし、たいした量でもない。
生もの以外の入用の物を買ったら一旦ロッカーとかあるかな?そこに預けて、店内の散策。
アース系でも思ったけど百貨店は格好の時間つぶしの場所だよな。化粧品売り場以外は。(あの色々混じって強烈になった臭いだけはいただけない…)
件の男が狙いそうな場所を目星付けつつ散策をしよう。
●五階:婦人服、九時五十分
「Reincarnationがある世界ならでは……なのかしらぁ」
ウルダ・ドーリス(後始末屋・f24090)がクロッシェと呼ばれる帽子を被りながら、鏡に向かって呟いた。
「……ウラミとか? ネタミとか……? UDCアースとはまた違うグロさと闇ねぇ……」
硝子の向こうに映るのは洋装を纏った灰青の目の女。
「ミンナちがってミンナ……よくないか」
頭を振り、帽子を脱げば改めてそれを眺める。
「でもデザインは最っ高」
普段はピンヒールにタイトスカートに身を包むウルダにとって、俗にいう『モダン』は新鮮なものであった。
「ソウダ! この世界用に一式そろえるってどうかしら?」
我ながら名案と考えた彼女は、サクラミラージュの服装へと興味を映していった。
「キモノってステキね、自分で着れたらいいのに……」
この世界で好まれた袴ではなく、色留袖に袖を通し、帯を結んでもらえば黒髪とのコントラストが絶妙のバランスを。
「その袖がふわっとしたブラウス好きよ」
指示したブラウスに店員がミディアムな丈のスカートを持ってくると
「ダーメ……下がそれじゃ甘すぎ……そうそう」
それを断って、別のボトムをとっかえひっかえ。
「フゥ……いいわね」
最後に選んだのは最初に戻ってクロッシェ帽とゆったりとしたワンピース。あっさりしすぎないようにその上からケープを羽織れば、もはやモダンガール。
この世界の先端を行く服装であった。
「でも……ちょっと買いすぎたかしらぁ」
両手に下げているのはの服飾品が入った大量の紙袋。
結局、全てを買ってしまったウルダに対して店員はクロークへと案内していった。
●地下二階:食料品売り場、十時十五分
少ないながらも正月の買い物を済ませて、商品をロッカーへと入れると黒鵺・瑞樹(界渡・f17491)は考える。
彼の求める手段で『証』は手に入るだろうかと。
自分を拒んだというけど、それは彼自身が周りを拒んだだけ、いつだって壁は自分が作るもの。
ヤドリガミ故の悟りか、それとも成熟した精神が導き出す結論か。
だが、全ての者がその答えに行きつくとは限らない。
他の世界での諍いから、瑞樹はそのことを学んでいた。
硝子張りのエレベータ―に乗り、足元から引き上げられるような感覚と共に上の階へと上がっていけば、世界が変わっていく。
ビジネスや冠婚葬祭に合った服装、宝飾などが店内を飾り、万年筆が主を待っている。
その中でも、男が狙いそうな場所を中心に目星をつけ、気づかれないように店内を調査していく。
――ふと、鼻腔を刺激する何かに眉をゆがめて、歩みを速めると通り過ぎるのは化粧品のフロア。
有事に備えてユーベルコードを活性化させても色々混ざったこの匂いは好みに合わない。
足早にフロアを抜けると、情報を収集するために次の階層へと上がっていった。
●十階:レストラン街、十一時十九分
「うわぁ、サクラミラージュにはこういう場所もあるのか」
天海・虎徹(睡虎・f19245)が百貨店の中を見回し、呟く。
目にするのはUDCアースに負けない品ぞろえ。
レストランが中心の印象を受けるが和食の店だって充実している。
空腹を感じれば、虎徹は暇つぶしも兼ねて、海鮮が主体の食堂へと足を運んだ。
メニューから鉄火丼を選び、店員へと告げる。
店の者が去り、一人の時間が出来れば視線は店の喧噪へ。
――これだけたくさんの人がいて、笑顔がある。
そう考えると改めて惨状を食い止めようとする決意が湧く。
そこへ――。
「お待たせしました」
店員が目の前に置くのは艶のある赤身の鮪が乗せられた鉄火丼。
添えられた山葵に醤油を入れて溶けば、それを刺身にかけて、一気に掻きこむ。
本鮪の脂が摺りたての辛みによって引き立ち滑らかな舌触りを味わえば、次に強めの塩味が魚と米で丁度良いバランスとなり、箸が進む。
添えられた味噌汁で舌を洗い、口直しに漬物を一つ。
そうすれば、また食が進み、あっという間に丼が空になる。
「ご馳走様」
勘定を払い店の暖簾をくぐる、虎徹。
満腹感に浸った心を少しだけ刃で研ぎ澄まし、見えない敵を追うために彼は雑踏の中へと消えていった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
●三階、紳士服:十一時三十分
ウスバ・カゲロウは時を待っていた。
人が集まる昼食頃の時間帯、この時間を狙ってグラッジ弾を撃てば混乱は必須。
後は、どこで弾を撃つべきか……。
興奮する心を使命感で押さえつけ、エスカレーターに乗って上へと上がっていく。
仕事は完全で在りたい、だからこそ人々が居る姿を目に焼き付けておきたかった。
その姿が恐怖に変わるだろう興奮を胸に秘め、視線を上に。
彼らは苦しむべきなのだ。
自分が苦しんだのだから、それ以上に……。
カタリナ・エスペランサ
いいね、こういう賑わってる場所は好きだよ!
聖夜のパフォーマンスに備えて衣装や演出用の小道具も整えていこう
お世話になってる人たちへの贈り物も見繕いたいな
……なんて、純粋にショッピングを楽しめたら良かったんだけど
今回のお買い物は《演技》の一環、適応UCは【衛生兵特級資格】。
まずは《コミュ力+礼儀作法》で店舗側の偉い人に接触して超弩級戦力として協力を頼むよ
バックヤード含む百貨店の地図を貰い《破壊工作・救助活動》双方の視点から分析
仮に建物自体を崩されたら大惨事だからね。買い物に偽装して要所を巡り《目立たない+拠点防御+ハッキング+全力魔法》、構造強化とお客さんの救護に備えた結界を密かに設置していこうか
ウーナ・グノーメ
「前情報通りなら、犯人は負の感情に満ちているはずなのです」
「その感情をあらかじめ察知しておけば、先んじて行動しやすくなるかもしれないのです」
ひとまずは、指示通りに買い物客に扮して行動するのです。
眩く輝く宝石に目を奪われたりしつつも、ESP(【第六感】)による超感覚で、百貨店に似つかわしくない悪意、敵意、殺意を鋭敏に感知しようと注意を払うことは忘れないのです。
もし怪しげな雰囲気を感じたら、UCによる透明化で様子を見るのです。
まだこの段階では行動するには早いのです、尻尾を出すまであくまで様子見に徹するのです。
このUCはもう一人まで透明化できるので、同じく調査したい猟兵がいれば使用するのです。
●九階:催事場、十一時五十分
クリスマス商戦真っただ中、催事場ではイベントが開催されている。
それを横目にカタリナ・エスペランサ(閃風の舞手(ナフティ・フェザー)・f21100)はブースの中にある衣装や小道具などを物色していた。
「……なんて、純粋にショッピングを楽しめたら良かったんだけど」
だが、内心はそんな気分に浸る余裕などなかった。
手に持っているのはバックヤードも含めた店内地図。
弩級戦力として期待される猟兵の身分を明かすことで店側の協力を得たカタリナが手に入れた物。
催事場のある階から降りれば、視点は破壊工作の側面に変わり、最も効率的に被害を出せる場所をピックアップ。
幾つかある脆弱な箇所へと構造物の強化を施しながら階段を下りていく。
次に救護の視点に立って移動するれば視界に入るのは一階のホール。
広さがあり外へと運べるここを、救護施設にするために結界を張り巡らし、万全と言える体制を整えていく。
勿論、店員も目立たないように動き、何があっても対応できるように用意をしていた。
だが、それ故に気づかないこともある。
目立たないように立ち回ったとは言え、構造物の強化や結界の設置、店側の協力等は雰囲気として実行犯に伝わる。
そして百貨店は一つではない。
困難と察すれば、目標を変えてしまえばいいのだ。
勿論、これは立派な手法である。
それ故に目標を断念させ、場所を変えさせる決意を持たせるほどだった。
――去り行く一人の男。
だが、それに気づく者も居る。
猟兵は一人では無く、その助けとなるほどに相手を炙り出させるには充分な仕掛けだった。
●六階:宝飾時計、十二時二十二分
「前情報通りなら、犯人は負の感情に満ちているはずなのです」
ウーナ・グノーメ(砂礫のアポリオン・f22960)が同行していた猟兵達に語る。
「その感情をあらかじめ察知しておけば、先んじて行動しやすくなるかもしれないのです」
彼女の提案は非常に魅力的なものであった。
けど、手段は?
と、問われるとウーナは自分の頭を指さした。
眩く輝いている宝石に目を奪われ、ショーケースを覗くフェアリー。
「お客様には大きいものが多いかと思われますが、直接ご覧になられますか?」
店員が視線を同じ高さに合わせて声をかけると、ウーナは首を振って、その場を後にする。
今やるべきことを思い出したからだ。
第六感をフルに働かせ超感覚の域まで高めれば、思考のチャネルに流れ込むのは悪意、敵意、殺意。
それは一つではなく、複数。
商売にて高く出し抜こうとする店員の思考。
仕事においての嫉妬。
おもちゃを買ってもらえなかった子供の思念。
人というものは綺麗なだけの生き物ではない、故に奔流のように流れ込む。
けれどフェアリーは動じず、その中の一つに狙いを絞っていた。
――殺意。
百貨店で何かをしようものなら、それは他と比べようもなく強いもの。
案の定燃え上がるような殺意がすぐに見つかった。
直後、それが火が消されたように消えていき、逆に焦りを感じる何かへと変わる。
異変を察知したウーナがユーベルコードを紡ぎ、自らの身を透明と化して自由に館内を飛べばエスカレーターを降りる男の姿。
どうやら百貨店での犯行をあきらめたらしい。
そうなれば、次は追跡と監視の必要があった。
けれど自らが第六感で気づいたように相手にも気づかれる可能性がある。
見えない妖精は付かず離れずの距離を保ち、監視を続ける。
まだ相手は尻尾を出していない。
捕まえるのはもっと後だ。
男とウーナがゆっくり階下へ下り、出口へと近づきつつあった……。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
●九階:催事場、十二時
――おかしい。
男が何かを察知した。
まず、店員が多かった。
まるで何かを連絡するように。
次に、視線がそこかしこから感じられた、まるで自分を探し出すように狩りたてていくような視線。
冗談ではない。
まだ自分は名前通りの役目すら果たしていない。
ウスバ・カゲロウ。
組織から与えられた仮の名。
その名前が意味することは知っている。
けれども、男は使命を選んだ。
そうするべき理由もあった。
だからこそ、失敗は許されない。
作戦の決行を断念すれば、気づかれないように平静を装ってエスカレーターへ革靴を乗せた。
誰であろうと邪魔はさせない。
織部・樒
アドリブOK
ザフェルさん(f10233)と買い物
基本は同じ日本(ひのもと)でしょうが、
私の暮らす世界やUDCアースとはと随分と雰囲気が違うものですね
このような大きな建物でこれ程に様々な物を販売しているとは…
珍しいもの好きなのできょろきょろワクワクしながら
ザフェルさんに付いて行きます
(表情はあまり変わりません)
ザフェルさんが何やら蓄音機なる絡繰を購入するそうです
それを使うには音盤…れこーど?が必要とか
そうですね、私はこの包装?の絵が好みです(違)
一緒にぶらぶらしている内にふと見かけたシンプルな万年筆に
興味を持ちます
墨を付けず物書きが出来る画期的な筆
これがあれば呪符作成も楽になりそうです
ザフェル・エジェデルハ
樒(f10234)と行動
百貨店っつーのはあれか、市場が一つの建物になったみたいなもんか?
こう色んなモンがあると、何もかも欲しくなっちまうな
異世界の物に興味があるため、片っ端から眺めて行く
樒が興味を持った物も気になるので一緒に見て回る
特に気になるのは機械的な物
蓄音機?どういうものなんだ??
電気ってヤツを使わねぇなら、アックス&ウィザーズでも使えるな
レコードとかいうのはよく分からんから、樒に勘で選んでもらう
どんな音がするのか、聞いてのお楽しみだな
しかし、ここは本当に賑わってるな。しかも皆楽しそうだ
何のコンプレックスがあるのか知らねぇが、
この空間を破壊するような真似は絶対阻止だな
●四階:楽器、十二時三十四分
「こう色んなモンがあると、何もかも欲しくなっちまうな」
ザフェル・エジェデルハ(流離う竜・f10233)が六弦のギタアやうねる様に曲がった金管楽器の数々に視線を奪われる。
隊商護衛をしつつ各地を巡っていた流浪の身にとっては、市場が一つに集まったような百貨店というものは珍しく、そして興味を躍らせるものであった。
「基本は同じ日本でしょうが」
シンプルな万年筆を片手に隣にいた織部・樒(九鼎大呂・f10234)も口を開いた。
「私の暮らす世界やUDCアースとはと随分と雰囲気が違うものですね」
白磁の様な指が持つ筆が躍り、空に文字を書くように動かしてみた。
線は細いが墨を使わずに文字が書ける筆というのは彼にとって画期的な物であった。
万年筆という名も気に入った。
千年を超える先も字を書けるというなら、呪符作成も楽になるだろう。
「それにしても、このような大きな建物でこれ程に様々な物を販売しているとは……」
そして気持ちは相方と同じようだ。
二人とも泳ぐように視線を動かし、店の中へと進んでいった。
「蓄音機? どういうものなんだ?」
ラッパ上に広がった金管に繋がった機械に興味を持ったザフェルが問いかける。
「はい、レコオドに刻まれた溝から振動を拾い、音に変えて楽曲を聴く機械になります。今では電気式の蓄音機もありますが、これは昔ながらの発条式となりますのでどこでも音楽を聴くことができるのが利点ですね」
店員の説明にほう、と声を上げる流浪の民。
「電気ってヤツを使わねぇなら、アックス&ウィザーズでも使えるな」
「お気に召しましたら、一緒にレコオドも如何ですか? 良い音楽に良い楽器というように、蓄音機にもそれに合った曲が必要です」
「成程。樒、頼めるか?」
「喜んで」
その手の事に疎い相棒の言葉にヤドリガミが応え、音盤へと視線を落とす。
「接吻……これはおそらく雅楽ですね。ふむ、ではこれで」
手に取ったのは『大地、風、そして炎』と書かれたジャケットに収まってる一枚のレコード。
「この包装? が良いと思います。絵が好みです」
描かれているのは氷の大地に立ち、炎を纏わせ、高く腕を掲げるギタリストの姿。
陰陽師的にもヤドリガミ的にも火を顕現する姿に惹かれたのかもしれない。
「じゃあ、これで」
ザフェルの言葉に店員が頭を下げ、商品を包み始める。
どんな音がするのかは、聞いてのお楽しみ。
「しかし、ここは本当に賑わってるな。しかも皆楽しそうだ」
「ええ」
楽器店を出て、エスカレーターへと歩きながら竜の使い手は口を開き、天目茶碗のヤドリガミはそれに応える。
「何のコンプレックスがあるのか知らねぇが、この空間を破壊するような真似は絶対阻止だな」
「そうですね……ザフェルさん!」
何かに気づいた樒が相方の袖をつかむ。
「……当たりか」
「誰かが尾行してますね、私達も応援に動きましょう」
視線の先に逃げていく男の姿を認めれば、二人は仲間にサインを送りつつ、気づかれないように追跡を開始した。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 冒険
『喧騒に包まれる大通りにて』
|
POW : 建物や塀などの上を走っていく
SPD : 素早い身のこなしで、人と人の間をすり抜けていく
WIZ : 人の少ない迂回路を探す
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
|
種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●大通り、十二時四十三分
通りを早歩きで動く男の携帯端末が鳴った。
「尾行されてるぞ」
開口一番、端末から聞こえるのは警告。
「了解した、移動を開始する。時間を稼いでくれるか?」
歩幅が広く、歩く速度を上げながらウスバ・カゲロウが応えれば
「無論だ、同志ウスバ・カゲロウ。目標達成のためなら、協力は惜しまない」
「すまない……必ず達成させる」
男がトランクを抱えて一気に走り出した。
「聞いたか、同志たちよ」
端末を片手に和装に二重廻しを羽織った男がステッキに親指をかけ、仕込みをのぞかせる。
「我々、幻朧戦線の目標達成のために、ここで邪魔者を食い止めるぞ。多少の騒ぎは気にするな、どうせ大きくなる」
男の言葉に応えるように、書生を装った男が本に隠した拳銃を持ち。
楽団員風の若者が楽器ケースから取り出した短機関銃を構える。
彼らは皆、若く、そして野望と情熱に燃えていた。
名は幻朧戦線。
平和を謳歌する帝都に仇なす者。
ウスバ・カゲロウが心で舌打ちをした。あの幸せそうな奴らの笑顔を奪えなかったことに。
「……畜生」
思わず、言葉が漏れた。
誰もが、皆、幸せそうだ。
自分には何一つ与えられていないのに。
誰もがお前の問題と一蹴した。
ふざけるな、親の金で大学へ行ったものに何が分かる。
顔を覚えてもらい贔屓され、出世したものに何が分かる。
お前らは持っているじゃないか。
自分には無いものを。
だから奪うのだ!
Grudge bullet
――この恨みの一撃を以って。
ウルダ・ドーリス
💠なんでも歓迎
陽動行為の阻止を優先
街に溶け込むのはテロリストだけじゃないのよ
一式買い込んだことだし
おめかしして出ましょ
ベイビィ 上から本命探してちょうだい
周りを気にしながら
大荷物大事そうに抱えて離れてくヤツ
あたしもショッピング楽しむフリで周りを警戒
…人が多いわね
パニックは避けたいわぁ…
エモノ隠して殺気立ったシロートってバレバレよ
念動力で手指をがっちり
頸動脈はソフトに圧迫
親密そうに寄り添うわ
動かないでねぇ…
動けないでしょうけど
まぁ…あなた大丈夫?
さ、向こうですこし休むがいいわ
エモノ奪って路地影で拘束
官憲に連絡
ズレちゃったクロッシェ帽直して さ、次よ
これができるから
女って都市テロ対策向いてるの
カタリナ・エスペランサ
隠蔽が甘かったか方針に粗があったか…
まぁ反省は後だね、炙り出しに繋がったなら良しと今は思っておこう
適応UCは【閃風の守護者】
《高速詠唱+全力魔法》で《念動力+情報収集》の力場をセンサー代わりに広域展開、上空から標的を《追跡》。
もし街や市民に危害を加えようとしてる奴が居れば《第六感》で《見切り》、《庇う+早業+先制攻撃+気絶攻撃》の要領で阻止だね
最悪でも座標さえ補足出来てたら装備[第六神権]の《スナイパー》を打ち込める
与えられなかったとは言うけれど、こんな世界に生きてられるだけでも十分な幸運だよ
それに他の人から奪ったって本当に欲しいものが得られる訳じゃないだろうに
…理屈じゃない悪意はタチが悪いね
●十二時四十七分
「隠蔽が甘かったか方針に粗があったか……」
カタリナ・エスペランサが男が逃げた事を責めるが、おそらく答えはそこには無い。
「まぁ反省は後だね、炙り出しに繋がったなら良しと今は思っておこう」
分かっているが故に即座に思考を切り替えたカタリナがユーベルコードを紡ぐ。
底上げされた技能が身体に馴染み、所作に洗練さが増す。
まずはと念動力で空へと浮けば、見えるのはトランクを持って走る男。そして、それを阻むために次々と銃器を持ち出す幻朧戦線の者ども。
その姿に市民は怯え、逃げ惑い始める。
人狼の少女も追跡を断念し、まずは邪魔者の排除へと動いた。
「すまないが、これも使命の為」
短機関銃の薬室へ弾丸を送り込み、鉄の首輪をした若者が腰を抜かした女性へと銃口を向ける。
「礎となって散れぇ!!」
引鉄が引かれ、弾丸が螺旋を刻んで迸る。
けれど、大地に降り立った一人の影がナイフで叩き落す。
「おっと、キミの相手はアタシだよ!」
「くっ……!?」
改めて銃を構える幻朧戦線の戦士、だがカタリナの方が速い。
しなやかな足が鞭のように振るわれて若者の顎を蹴りぬけば、目の焦点も虚ろにその場に膝を着いた。
倒れ行く男を尻目に人狼の少女が逃げたトランクの男の方角へと視線を向ける。
けれど遮る人々の波、そして幻朧戦線の悪意がそれを邪魔していた。
「与えられなかったとは言うけれど、こんな世界に生きてられるだけでも十分な幸運だよ」
生まれた出自故か、言葉には羨望があった。
「それに他の人から奪ったって本当に欲しいものが得られる訳じゃないだろうに……理屈じゃない悪意はタチが悪いね」
けれど、彼女は持っている者で男は持っていない者なのだ。故に隔たりは深く大きかった。
●十三時九分
目立つように武器を構えるものも居れば、陰に潜み狙い撃つ者も居る。
見えない恐怖もまた人々を怯え不安に陥れ、その場から逃げ場を奪い、人間の壁という武器を作りだすのだ。
大学の制服を思わせる外套を纏った学生帽の若者が猟銃を構えれば、狙うのは人々へ避難を促す邏卒。
導く者を排除すれば自然と混乱は大きくなる。
笑みを浮かべ照準を合わせた時だった。
射線を塞ぐように一人の女――クロッシェ帽を深く被ったモダンガールが歩み寄る。
こいつも格好の獲物だと思った学生帽が改めて照準を合わせるとゆっくりと引鉄に指をかける。
「動かないでねぇ……動けないでしょうけど」
カフェモカより甘く、僅かにビターの効いた蕩ける声は若者の耳朶を打つと、その指が石の様に動かなくなる。
「……人が多いわね」
念動力で学生帽の男を拘束したウルダ・ドーリスが細い指をゆっくりと若者の頸動脈へ伸ばし。
「パニックは避けたいわぁ……」
その血流を指で止める。
脳血管へ至る道を遮断された学生帽はその場に崩れ落ち、帽子を道路に落とす。
「まぁ…あなた大丈夫? さ、向こうですこし休むがいいわ」
若者を抱え上げると後始末屋の別名を持つ女は視界に留まった邏卒を呼び、後を託す。
胸を押され、意識と取り戻した幻朧戦線の戦士を官憲が拘束するのを見届ければウルダはクロッシェ帽を直す。
「さ、次よ」
追跡は呼び出した影がビル伝いに行っている。
逐一入り込む情報を頭に叩き込みながら、後始末屋はまた一人、幻朧の戦士へと目を付けた。
「ねえ、貴方」
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
セシリア・サヴェージ
どうやらこちらの存在に気が付いたようですね。
さらに仲間も。幻朧戦線……彼らがオブリビオンでない以上むやみな殺傷は控えなければ。
それが平和を乱す不届き者であろうとも……。
UC【闇の戦士】を発動。ユーベルコードを使えば私が猟兵であるとすぐに分かる筈。
味方がウスバ・カゲロウに追いつけると期待して、私は【存在感】を発揮して敵を多く引き付けることで支援します。
一般人相手ならば素手でも後れを取ることはないでしょう。
【気絶攻撃】【武器落とし】【念動力】で無力化し、銃弾は【オーラ防御】で防ぎます。
大立ち回りを演じていれば敵は私を止める為に戦力の投入を余儀なくされるはず。
一頻り暴れたら私も後を追いましょう。
●十三時十五分
「どうやらこちらの存在に気が付いたようですね」
実戦経験に不足の無いセシリア・サヴェージが武器を構える幻朧戦線の姿を見て状況を把握し、自分が成せることを考える。
懸案は相手がオブリビオンではない事。
殺害は極力避けたいところ。
それ以外は――逆に『こちらの存在に注意を引かせる』ことで問題は無いはず。
成すべきことを決めた騎士が暗黒のオーラを纏うと、幻朧戦線へとゆっくりと歩み始めた。
敢えて存在感を示す為、歩は並足、威厳高らかに。
けれど、攻撃は荒々しく、獣の様。
ピストルを構えた書生の手首をつかみ捻ると、流れるように顎へと掌底を叩き込む。
楽団員姿の男が短機関銃の引鉄を引けば、暗黒を纏った腕で払いのけて一歩踏み込み、腹へと膝を叩き込む。
あっという間に崩れおちる二人の幻朧戦線。
だが、すぐに二重回しを纏った男がトンビのように跳躍し、仕込みを抜いて刃を見せた。
「貴様は面倒だな」
男が白刃を振るい、戦場へ踏み込めば、セシリアのすることを理解し呪いの言葉を吐く。
「そちらこそ」
応える暗黒の騎士が胴を薙ぐ一閃を二歩三歩と間合いを図って回避し、駆け出すように歩を詰めれば、二重回しの膝を折らんと踏み込むように蹴りを放つ。
味方が倒れた直後に切り込んで来たこの男が只物ではないとセシリアは観ていた。
膠着しそうな空気を切り裂くべく動いた判断力と胆力――俗にいう実戦で戦場を動かせる人間だ。
だからこそ、速めに排除したい。
暗黒を纏わせた掌底を叩き込めば二重回しの仕込み杖が折れ、男が勢いに負けて倒れる。
けれど、その頃には幻朧戦線の集団が武器を構えていた。
「上手くいきました」
「上手くやられたな」
女と男、二人の声が重なった。
自らが立ちまわることで幻朧戦線に戦力投入させ、攻撃を引き受け。それにより味方の追跡を援護する。
暗黒の騎士が担おうとしていたのはそういう役割だった。
二重回しの男が背を向け、通りを走る。
敵の策に乗せられた以上は同志ウスバ・カゲロウへの追跡を少しでも排除させるために、人を動かさねばならない。
銃声奏でるマーチが男の耳へ次々と流れ込むがそれも長くは無いだろう。
仕事は急がねばならない。
最後の一人を殴りつけ、気絶させればセシリアは通りの向こうを見る。
トランクを持った男も二重回しの男も既に人垣の向こう。
任務を急がねばならない。
露払いを務めるべく、暗黒の騎士は通りを走った。
成功
🔵🔵🔴
ウーナ・グノーメ
<判定>
WIZ。アドリブや他猟兵との絡み◎
<心情>
「先程の様子、そして向けられる敵意の数……間違いなく、勘付かれているのです」
「少々手荒な真似になりますが、少しばかり静かにしていて貰うのです」
<行動>
【第六感】による超感覚で、ある程度のこちらに向かう敵意や害意を察知、第一章で使用した透明化のUCは用いず、妨害が少ないと思しき経路をフェアリー特有の【目立たない】小さな体で進んで行くのです。
途中、どうしても妨害に出会した場合は、UCの石化によって黙らせるのです。時間経過で解除されるので、死にはしないのです。
黒鵺・瑞樹
アドリブ連携OK
奪ったとて自分の物にならんだろうがっ。
…あぁいかんな。頭に血が上った状態じゃ冷静な判断は出来ない。落ち着け。例え理不尽な行動が許せなくとも、判断は間違えるな。
あぁでも。奪うというならば、自分が唯一持ってる命(もの)を奪われる覚悟も出来てんだろうな。
生きていれば得られるかもしれない未来も。
【存在感】を消し【目立たない】ように移動追跡。状況によってはUC空翔で建物の上にあがろう。もちろんその際も影の【闇に紛れ】、気配も消す。下手に目立って追跡の邪魔はされたくないし。
人波の追跡では人々の間を【見切り】、抜けていく。
男を見失ったとしても【第六感】【失せ物探し】の直感で行き先を決める。
●十三時三十四分
黒鵺・瑞樹のこころに熱くドロッとした何がが蠢くのを、理性という蓋で抑え込む。
逃げて行くトランクの男の歪んだ心情が、成し遂げようとする理不尽な行動が、彼には許せなかった。
だが、それにいつまでも囚われる訳には行かない。
激情に身を任せ、判断を間違ってはいけないのだ。
それにそこまで拘るのなら、奪われる覚悟も出来ているのだろう。命も、そして得られたかもしれない未来も。
そう割り切るしかなかった……それが正しくないと知っていても。
他の猟兵が立ち回る隙を突いて、空を蹴り上がれば着地するのはビルの上。
屋上伝いに気配を消して瑞樹が進む。
下手に目立って追跡の邪魔はされたくない。
現に二重回しの男が諸所へ走れば、潜んでいた若者達が迎撃の姿勢を取り、周囲への警戒を強めてくるではないか。
ならばとビルの陰を通り、闇に紛れるように屋上から屋上へ。
時には通りに飛び降りて人ごみの中を、針を縫うように進み、人々の中に溶け込んでいく。
少しずつ、少しずつ、ヤドリガミはトランクの男を視界へと捉えていった。
●十四時一分
「先程の様子、そして向けられる敵意の数……間違いなく、勘付かれているのです」
既に隠れて追いかける時は終わったと悟ったウーナ・グノーメが、逃げ惑う人々の間を小さな身体を活かして通り抜けて街道より追跡を行う。
姿は皆に見えており妨害の危険性も否めないが、ウーナにとってそれは解決できるものであった。
平時より違和感なく人々に溶け込める猟兵、その中で小さいフェアリーという種族が目立たないことを意識すれば、人々の視界から、妖精の姿は消えてしまう・
一方でウーナ自身は自分を遮るであろう、幻朧戦線の若者に気を付けて裏路地を回り、空を駆ければ、時間は多少かかるが逃走する男へと必ず到達する。
トランクを持った男の背中を視界に捉えれば、砂の妖精はそこから一気に加速し追い詰めに掛かった。
「させるか!」
勿論、それを邪魔するものも居る。
二重回しの男が指示に従った男が車を拝借して男達へと近づいていく。自動車で逃走を図るつもりだ!
「少々手荒な真似になりますが」
さすがに車両を使われては徒歩での追跡は難しい。
「少しばかり静かにしていて貰うのです」
視線を車に向けてユーベルコードの焦点を合わせると魔力の波動がほとばしり、車を乗り手ごと石へと変えていく。
「チィッ!」
「落ち着け、そこを右だ!」
舌打ちするトランクの男、嗜めるように二重回しの男が別方向へと指示をかける。
そろそろ捕らえられる距離には持ち込めた。
後は人の少ないところへ誘導していかなければならない。
ここで捕まえようとしてグラッジ弾を打たれればパニックは必至だからだ。
敢えて付かず離れずの距離を保ちウーナはプレッシャーをかけていく。
後一手!
それは彼女の更に上空からやってきた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
織部・樒
アドリブOK
引き続きザフェルさん(f10233)と行動
市民の皆さんには出来るだけ配慮をしたいものですが……
【動物と話す】【動物使い】にて周囲の動物たちに敵や
幻朧戦線たちの捜索をお願いしつつザフェルさんの竜に
乗せていただき此方も敵の追跡を始めます
……市民の方々を驚かせてしまうでしょうか
動物たちには幻朧戦線たちへの嫌がらせもお願いしたいところです
また護法を呼び、動物たちの話から市民を幻朧戦線たちから
守るように頼みましょう
出来れば殺傷は避ける方向で
何らかの攻撃が来る場合は【見切り】錫杖や笛での
【武器受け】【オーラ防御】で凌ぎます
また効果がありそうなら呪符を構え【呪詛】にて
行動阻害を試みましょう
ザフェル・エジェデルハ
樒(f10234)と共闘
また随分と派手に騒がせてんな
こんだけ市民を巻き込まなきゃならんもんなのかね
ま、ここまで騒ぎになってんなら、こちらも遠慮することねぇな
【地形の利用】で多少開けた場所を見つけ出し、
周囲の市民に注意を払いつつユーベルコードを発動
樒と共にドラゴンに騎乗し、空から敵を追跡する
こんだけ派手に登場すりゃあ、敵の支援者だって
こちらを意識せざるを得ないだろ
その間に樒のユーベルコードで市民保護を進めてもらう
追跡時は【第六感】や【視力】も駆使する
先に見かけた姿も覚えているからな。追い詰めさせてもらうぜ
混乱の時間は仕舞いだ
●十三時四十五分
「また随分と派手に騒がせてんな」
織部・樒が鳥達へ色々と言づける中、ザフェル・エジェデルハは混乱の中にある通りを横目に眺める。
「こんだけ市民を巻き込まなきゃならんもんなのかね」
「市民の皆さんには出来るだけ配慮をしたいものですが……」
ザフェルが呟く中、樒も混乱に巻き込まれる人々への懸念を述べながらも飛び立っていく動物を見送り、印を結んで童子を召喚する。
「どちらにしても急いだほうがいいですね」
「同感だ」
相棒の言葉に竜の使い手が同意を示せば。
「来い、サファク!!」
彼が竜の乗り手たる所以を今、ここに顕現させる。
それが叶った時、二人の居る大地を影が覆った。
●十四時十六分
ウスバ・カゲロウの中の何かが壊れていく。
計画は万全であった、予定していた建物での実行が難しければ他の建物を選べばいいだけ。
二重、三重と重ねたものであった。
だが、現実はどうだ?
まるで予期していたかのように百貨店は多くの店員が動いており、実行するのが難しく、目標を変えようとすれば追跡されており、そして次々と同志がやられていく。
どうして、上手く行かない?
何が悪い?
傍らを走る二重回しの同志を見た。
「心配するな、お前は使命をやり遂げろ」
そうだ、使命をやりとげればいいのだ。
だが、その心に陰が差すように彼らの周りの太陽が遮られていく。
見上げた先には――竜が居た。
「方向はあってるよな?」
「大丈夫です、鳥達が動きを確認してくれています」
ザフェルの言葉に対し、樒が先導する鳩の群れに視線を向けたまま答えた。
二人が跨っているのは4mに近い体長を誇る紅い竜。
名はSafak。
夜明けと呼ばれし竜は空を駆け、群衆と幻朧戦線の視線を我が物とする。
銃声が鳴り、直後サファクの周辺を覆ったオーラから火花が散る。
「鳥打ちですね」
散弾と看破した天目茶碗のヤドリガミが錫杖を鳴らすと、地上を走る護法童子が猟銃を持った若者へと殺到し制圧する。
その間にも次々と攻撃が来るが、それも計算の内。
大いに目立つことで一手に攻撃を引き受ける間に他の猟兵が着実に男達を人気の少ない公園へと追い詰め、幻朧戦線の魔の手から市民を守っていく。
また、敵が車を使うように二人も竜へ騎乗することで機動性を確保し、先回りして逃げ道を塞ぐことも可能となる。
「混乱の時間は仕舞いだ」
竜の乗り手の視線がトランクを持った男を捉える。
終焉の時はすぐそこへ迫っていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 集団戦
『旧帝都軍突撃隊・敷島組隊員』
|
POW : 悪魔変身(ダイモン・トランスフォーム)
【悪魔(ダイモン)の力】に覚醒して【コウモリの翼と獣の肉体を持った悪魔の姿】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD : 悪魔憑依(ダイモン・ポゼッション)
自身に【悪魔(ダイモン)の姿をした霊体】をまとい、高速移動と【敵を追尾する魔力弾】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ : 悪魔大隊(ダイモン・バタリオン)
自身の【寿命】を代償に、【レベル×1体の小型悪魔達】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【手足の爪や口から吐く炎】で戦う。
イラスト:香冬
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●十四時二十分
ウスバ・カゲロウと二重回しの男は公園に追い詰められた。
先程の混乱もあってか、人気も少ない。
「同志、ウスバ・カゲロウ……ここは私が引き受ける」
幻朧戦線の戦士が前に出る。
少しでも時間を稼ごうとする算段であろう。
「いや、充分だ」
直後、銃声が鳴った。
「な……貴様!?」
二重回しの胸元から鮮血が漏れる。
「最初からこうすればよかったのだ」
銃を持った男の足元には空になったトランク。
「出し惜しみせずに力を行使すれば。そうすれば事は成った」
「そう言う事か」
ウスバ・カゲロウの言葉にグラッジ弾を受けた幻朧戦線の男が笑う。
「ならば、先に行く……幻朧戦線に栄光……あれ!!」
叫びが力を帯び、骸が一つ出来上がれば。
影が集まり、朧となる。
現れたのは軍人の様な身なりをし、サーベルを佩刀した突撃部隊。
乱れなく軍靴を響かせれば、ゆっくりと騎兵刀を抜く。
「……来たか。ならば殺せ! 影朧として! 兵器として!」
ウスバ・カゲロウが歓喜の笑みと共に隊員達へと叫んだ。
彼らはすぐに使命を果たした。
自らを召喚した者の眉間を魔力弾で貫く事で。
表情が変わることは無かった。
気づく前に死んだから。
間違いに最後まで気づく事は無かった。
自らの境遇という鎖に囚われていた故に。
ウスバ・カゲロウと呼ばれていた男は最初の犠牲者という記号のみを与えられて、この世から消えた。
満たされることも、何もなく。
だが、影朧達は消えない。
グラッジ弾の力によって呼び寄せられた以上、果たすべく役割を果たすのみ。
最後は猟兵に委ねられた。
カタリナ・エスペランサ
……最期まで憐れで傍迷惑だったね
まぁ、民間人への被害は阻めただけ幸いか
現れて早々悪いけどご退場願うよ、影朧!
使うUCは【失楽の呪姫】、励起した魔神の魂で《ハッキング+地形の利用+拠点防御》を強化。戦場の空間を掌握して影朧が民間人を狙いに行けないよう封鎖すると同時、そこで戦うアタシたち猟兵に《鼓舞+ドーピング+オーラ防御》の加護を付与するよ
敵の高速移動にはこっちも翼を活かした《空中戦》を展開しつつ、《第六感+戦闘知識+見切り》で動きを先読みする事で対応。
万象を終焉に塗り潰す《属性攻撃+ハッキング+範囲攻撃》の劫火で追尾弾ごと敵を飲み込み、黒雷の《属性攻撃+鎧無視攻撃+スナイパー》で追撃を掛けよう
セシリア・サヴェージ
私は、力や武器は使う者の心次第だと思っています。
暗黒も使い方を間違えなければ人々を護ることができる。
ですが、グラッジ弾は……これは間違った力なのだと思います。
私は私の使命を果たしましょう。召喚された影朧を倒します。
UC【闇の氾濫】を発動。自身の能力を強化した上で敵陣に突貫し【蹂躙】します。
敵がどんなに早く動こうと【限界突破】したスピードで追いつき、銃弾すらも【見切り】で避けてみせます。
代償による敵の攻撃による苦痛は【激痛耐性】で耐えます。痛みでは私を止めることなどできません!
天海・虎徹
まったく、いい迷惑だよ
普通に生活してる人たちの中にこんなの呼び出すなんてさ
まぁ、話が通じるとは思わないし、さっさと斬り捨てようか
悪魔の力に覚醒して、悪魔の姿に変わったら、第六感と武器受け、オーラ防御で、左手の籠手で相手の攻撃を受け止める。その際、相手の攻撃に押されないよう、しっかりと重心を落として受け止める
受け止めたらカウンター、二回攻撃で反撃する
相手が遠いなら、左手で攻撃してきた部位を掴んで、引き寄せてから斬り捨てる
「別にあんたらが憎いわけじゃないけど、こういうことされると迷惑なんだ。だから、さっさと死んで?」
●十四時二十八分
「まったく、いい迷惑だよ。普通に生活してる人たちの中にこんなの呼び出すなんてさ」
天海・虎徹が漏らす言葉は獰猛なる獣の様な本性の言葉。
故に厳しく、気遣いは市井の人々へと向く。
「……最期まで憐れで傍迷惑だったね。まぁ、民間人への被害は阻めただけ幸いか」
カタリナ・エスペランサの言葉にこもっているのは憐憫。
故に冷静であり、被害無き事を幸運と評した。
「私は、力や武器は使う者の心次第だと思っています」
けれどセシリア・サヴェージは違った。
「暗黒も使い方を間違えなければ人々を護ることができる。ですが、グラッジ弾は……」
恨みの一撃という名の……。
「これは間違った力なのだと思います」
力が人を狂わせると暗に表現した。
何がウスバ・カゲロウをここまで駆り立てたのか……。
グラッジ弾が無ければ彼はどうしていたか……。
それを知ることは出来ない。
「けれど、今は私の使命を果たしましょう」
猟兵が出来る事は、軍靴を鳴らす影朧を仕留めるのみ。
セシリアが暗黒剣を抜き、虎徹は自らの力を解放する。
「そうだね、話が通じるとは思わないし、さっさと斬り捨てようか」
「現れて早々悪いけどご退場願うよ、影朧!」
同意の声を刃を持った虎が上げると、続くようにカタリナがナイフを構え、軍服の集団へと吠えた。
人狼の少女が魔神の魂を励起し、戦場を掌握しようとする。
しかし技能による行動の具現化が今一歩足りず、悪魔達に先手を奪われる。
だが能力を強化し、吶喊することにユーベルコードと技能をつぎ込んだ暗黒の騎士がその先を行く。
振るった一撃が霊体ごと影朧の胴を薙ぎ飛ばし、勢いのまま骸を他の隊員へと叩きつければ、さらに追い打ちの斬撃を打ち込む。
流す血涙は毒となり、その肌を焼くのも構わずにセシリアが剣を振るい、同調したカタリナも体勢を整えて、空より襲い掛かる。
影朧が魔力弾を発射すれば、人狼の少女は劫火と化した炎を以って、弾丸を侵食し、追撃の黒き雷で動きを止める。
足が止まれば当然、襲い掛かる暗黒の騎士。
袈裟に叩きつけられた隊員の身体が跳ね、二度、三度、大地を転がり骸と化した。
戦場は一つではない。
セシリア達が暴れる戦場の側背を突こうとコウモリの翼と獣の肉体を持った影朧が空より襲い掛かる。
「邪魔だよ」
その足を掴む左腕があった。
悪魔と化した者が視線を落とせば、自身の気を食らわせ、強化された一刀――業魔鉄神剣が獣の肉体を易々と寸断し、人の骸に変えて地に落とす。
「別にあんたらが憎いわけじゃないけど、こういうことされると迷惑なんだ」
そこに立つのは虎徹。
二人の猟兵が代償を伴って行動したのを確認すると敢えて同道せず、露払いとフォローへと行動の軸を定めた。
勿論、それだけではない。
獣の様な隊員の爪を技術とオーラを伴った籠手で受けとめ重心を落として耐え抜けば、返す刀で胴薙ぎから唐竹へと繋いでいく。
また一体、人の骸に戻る影朧。
剣の技を主体とする虎にとっては一人で動く方が性に合っていたのだ。
「だから」
さらに刀が振るわれると
「さっさと死んで?」
また一体、悪魔は骸となった。
体勢が整い、カタリナの雷の元、セシリアが暴れる。
けれど、代償は大きい。
毒をはらんだ身で、赤いものを流した身で、最後まで戦い続けるのは難しい。
二人が臨界に達し、攻撃が止まったところで虎徹が前に出た。
「これ以上は無理だ」
虎の言葉に暗黒の騎士は頷く。
「確かにそうですね」
「もう……ちょっと……暴れたかっ……たけど……仕方ないっか!」
息も絶え絶えな人狼の少女も悔しそうな声を上げた。
「ですが……役目は果たしました。後は仲間が続いてくれます」
呼吸を整えつつあるセシリアの言葉に呼応するように、他の猟兵達が三人が飛び込んだ敵の綻びを突き始める。
そう、戦いは一人ではできない。
そして最初に飛び込む者がいなければ、勝つことが出来ない。
戦理とはそういうもので、三人が果たした役目はそれほどまでに大きいものだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
織部・樒
アドリブ・連携OK
引き続きザフェルさん(f10233)と行動
開放されてしまいましたか……
人が集まる前に速やかに事態を収束させたいところです
念の為付近に人がいるか【動物と話す】にて確認
いるなら声を上げる、【動物使い】、式を使用するなりして
人払いを試みます
護法を召喚し、それぞれ魔力弾の防御とザフェルさんの
攻撃の補佐をお願いしましょう
また己は【オーラ防御】しつつ可能なら錫杖にて【武器受け】
【見切り】を使用し敵攻撃を凌ぎ、また通常攻撃も有効なら
1体ずつ確実に倒していきます
護法に余裕があれば敵殲滅にも人数を割きます
出来るだけ魔力弾による攻撃にて消滅しないよう
注意を促しますが、全員消滅時は適宜再召喚
ザフェル・エジェデルハ
樒(f10234)と共闘
他者連携等OK
影朧の力を使おうとした末路は最悪の結果しか招かねぇみたいだな
どう見ても悪魔みたいなヤツと、取引できるわけねぇのにな
敵が樒の護法の対応を行っている隙を突き、敵全体にユーベルコードを撃ち込む
【投擲】【範囲攻撃】【視力】を活かし、撃ち漏らしが無いよう心掛ける
接敵時には【怪力】を【力溜め】し、【部位破壊】【鎧砕き】で攻撃
また、斧を振り回しての【範囲攻撃】も行う
敵の攻撃は【第六感】による回避や【武器受け】【オーラ防御】で防ぐ
防御後は【カウンター攻撃】で再度ユーべルコードを発動する
俺は桜の精の癒やしとやらは知らねぇからな
全員骸の海に帰って貰うぜ!!
●十四時三十六分
「開放されてしまいましたか……」
慚愧の念が堪えないとばかりに織部・樒が呟く。
「影朧の力を使おうとした末路は最悪の結果しか招かねぇみたいだな」
胸を貫かれて死んだウスバ・カゲロウへ視線を落として、ザフェル・エジェデルハも口を開いた。
「どう見ても悪魔みたいなヤツと、取引できるわけねぇのにな」
それはオブリビオンと戦ってきた猟兵だからこその言葉。
影朧と共に生き、そして兵器として使う人間には分からない事。
だからこそ、骸が二つあった。
「どうやら、この辺りの空間には人気は無いようですが」
伸ばした手の上に立っていた鳩を解き放しつつ、樒が状況を確認する。
「人が集まる前に速やかに事態を収束させたいところです」
「ああ、そうだな」
相棒の言葉にザフェルは同意の声を上げ、頷いた。
「では……護法! 頼みます」
錫杖をシャラン! と鳴らせば、現れるは五十と七体の護法の童子。
彼ら神霊を引き連れて、天目茶碗のヤドリガミにして陰陽師である樒が影朧へと駆けていく。
姿形や使う術故に後ろに下がる印象を受けやすいヤドリガミ。
だが彼自身は機会あらば前に出ることも多く、それが役割と認識すれば今回の様に先陣を担うのも厭わない。
魔力弾を童子が庇い、霊体を纏って高速に動く隊員の前に躍り出れば、石突で影朧の膝を打ち抜き、下がった頭に錫杖の一撃を叩き込む。
「ザフェルさん!」
「一秒!」
相棒の名を呼べば、返ってくるのは稼ぐべき時間。
鶴翼に広がった童子が圧力をかけ、隊員達がそれを打ち払うタイミングに合わせて、嵐の如く槍が降った。
「俺は桜の精の癒やしとやらは知らねぇからな」
魔力で錬成した槍を片手にザフェルが口を開く。
「全員骸の海に帰って貰うぜ!!」
投げられた槍は意に従い、空中で無数に増えれば雨となって影朧へと降り注ぐ。
樒と同様に竜の乗り手も姿形や長柄の戦斧を好む故、前に立つ印象がある。
だが時にはこのように槍を投げ、集団を一層する方法を選ぶこともあり、その為に必要なら相棒に前を任せてユーベルコードを練ることに集中する。
互いが自分と相手の能力を知るからこそ、出来る役割分担の妙であった。
勿論、槍を投げて終わりではない。
戦斧を両手に持てば、ザフェルもまた戦場へと飛び込み、崩れていった敵陣へと追い打ちをかけるのであった。
長柄の斧が悪魔と化した隊員の胴を数人薙ぎ払い、群がる護法が影朧を打ち倒す。
「この辺りはだいぶ片付いたな」
「ええ、彼らも撤退し始めてます」
荒い息を整えつつザフェルが口を開けば、息一つ切らさないヤドリガミたる樒が答える。
「ってことは、再編成から再度攻撃だな」
「でしょう。悪魔を呼び出せる力を持っている集団が力押しだけとはいきませんから」
互いに戦況を確認すれば、竜の乗り手は槍を紡ぎ、天目茶碗のヤドリカミは童子を呼び出す。
「ところで……」
ふと、樒が呟いた。
「彼も……悪魔のようになりたかったのでしょうか?」
「さあな」
相棒の疑問にザフェルが一言答え、そして続ける。
「一つ分かるのは、なりたかった者には、なれなかったってことだろうな」
口から出たのは達観と僅かな同情、そして友への気遣いの混ざった何かだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
黒鵺・瑞樹
アドリブ連携OK
知らぬままに死んだのは俺個人としては悪い方だな。
自覚ないままってのは正直胸糞悪い。
同じ死ぬならせめて次の生へとつながる物になれば良かったのに…。
悪魔付きの軍人か。この世界じゃ普通だろうがどうにも昔を思い出す。
【存在感】を消し【目立たない】ように移動、【マヒ攻撃】【暗殺】を乗せたUC剣刃一閃で確実に一体一体倒していく。
寿命を削るっていうなら長期戦に持ち込んだ方がいいかもしれんが、俺自身が耐えられるか怪しい。
基本相手の攻撃は【第六感】で感知【見切り】で回避。回避しきれない物は黒鵺で【武器受け】での受け流しからの【カウンター】。それも出来ない物は【オーラ防御】と【激痛耐性】でしのぐ。
ウーナ・グノーメ
●判定
WIZ。アドリブ絡み◎
●心情
「外法に縋り、偽りの希望を盲信し、『自分のため』を『使命』に置き換えて目を逸らし続け、挙句の果てにその使命にすり潰される……哀れなほどに悲しい男なのです」
憐憫の視線を骸に投げかけつつも、妖精は臨戦態勢を取る。
怨恨の連鎖は、今ここで断ち切らねばならないのだから。
●行動
影朧の群れとそれらが召喚する小型の悪魔を、UCによる200発以上の砂岩の弾幕で迎え撃つのです。
一度放った砂岩も【念動力】で再度弾丸とし、掻い潜る敵は【衝撃波】で応戦、【第六感】による予知めいた超感覚と【オーラ防御】で攻撃を回避、防御し、数の暴力に押されないよう、丁寧に数を減らしていくのです。
ウルダ・ドーリス
❖なんでも歓迎
自分の不始末も見届けずに
イチ抜けた?
"テメエの尻はテメエで拭け"って
ママに教わらなかったのかしら…
相性悪い近接型かぁ
ところで影朧って説得が有効なことがあるって…
あダメそうねこれ
とにかく距離とるわ
前衛張れるコが近くにいたら逃げ込む
ちょ ごめん 助けて助けて
炎や弾はMySweet❤Sweeperで吸えるかしら
あっっっつ…!!
Damn、念動力で足止めしつつ
イけそうならそのまま潰して数を減らす
無差別テロを企てた時点で
同情する気はゼロ
よその世界の政治に口出す気もないし…
あ でも瓦礫とか土塊とか
処理に金かかるでっかいゴミがあれば
サービスで吸っとくわ
子どもたちがすぐまた公園使えるように
●十四時五十七分
「自分の不始末も見届けずにイチ抜けた?」
ウルダ・ドーリスの言葉には棘がある。
「テメエの尻はテメエで拭けって、ママに教わらなかったのかしら……」
垣間見えるのは職業意識から来る不始末への不満。
「知らぬままに死んだのは俺個人としては悪い方だな」
黒鵺・瑞樹も感情を隠せないようだ。
「自覚ないままってのは正直胸糞悪い。同じ死ぬならせめて――」
「外法に縋り、偽りの希望を盲信し、『自分のため』を『使命』に置き換えて目を逸らし続け」
けれど、妖精の言葉がそれを遮った。
「挙句の果てにその使命にすり潰される……哀れなほどに悲しい男なのです」
ウーナ・グノーメの言葉に瑞樹は吐こうとした言葉を呑み込み、ウルダは深く息を吐いた。
死んでいった男にどうしても目が行くが、彼はあくまで『実行犯』であり『駒』であった。
出なければ、『ウスバ・カゲロウ』とは呼ばれなかったはずだ。
カゲロウの名を持つがカゲロウでは無く、幼虫は毒をもつアリジゴク、そして成虫となっては七日の命。
つまり『心に毒を埋伏し、影朧にもなれず。使命を果たせば後は終わりの使い捨て』
小さな妖精だけが、それを見抜いていた。
影朧達が動き出す。
憐憫の視線を骸に投げかけつつも、ウーナは臨戦態勢を取った。
――怨恨の連鎖は、今ここで断ち切らねばならないのだから。
死をもたらす部隊員達が小さな悪魔を召喚する。
大きさは小さくても殺意は旺盛であり、今にも猟兵を切り裂かんと牙を剥く。
だが、二百と四十に届く砂岩の柱が矢となり弾となり、悪魔を、影朧を、貫いていく。
それは砂のフェアリーであるウーナが紡いだユーベルコード。
恨みの弾丸を撃ち砕く、意志の弾。
砕けた砂岩も念動力で操作すれば、次に放つは衝撃による飛礫の嵐。
影朧と悪魔にとっては機関銃と砲弾を一斉に浴びせられるようなものだった。
その中を掻い潜ってきた小悪魔の爪を空を舞うことで回避すれば、再び放たれる砂岩の槍。
砂のフェアリーは数の暴力に対し丁寧に火力を叩き込み、敵の戦力を着実に削っていった。
「相性悪い近接型かぁ」
迫りくる悪魔と影朧に対し、ウルダは渋面を隠さない。
「ところで影朧って説得が有効なことがあるって……あダメそうねこれ」
相手の様子から平和的な解決が無理と感じた後始末屋は瑞樹のところに走って、彼の後ろへと隠れる。
「ちょ ごめん 助けて助けて」
「悪魔付きの軍人か。この世界じゃ普通だろうがどうにも昔を思い出す」
後ろに隠れるウルダを意に介さず、ヤドリガミは目の前に立つ悪魔と化した隊員へと視線を向ける。
風景に溶け込むように瑞樹の姿が消えれば、直後、獣の身体を持った影朧の胴が薙ぎ払われ、人の下半身だけが残り、崩れ落ちた。
「ちょ こっち 攻撃来てる」
ヤドリガミが戦うために移動したことで姿の見えた後始末屋の女へ小悪魔達の炎が飛ぶ。
「モウ、しょうがないわね」
構えるのはスティック型の掃除機MySweet❤Sweeper。
ファンが回れば約束された吸引力が炎を吸い込み、ウルダの身を守る。
「あっっっつ……!!」
余熱に思わず声が漏れる。
吸引力に定評のある恋人は熱に関しては優しくは無かったようだ。
その隙を突いて殺到する影朧と召喚された悪魔達。
だが、彼らの前進は後数歩という所で止まる。
「オイタは駄目よ」
後始末屋が片目を閉じれば、小悪魔達の頭が念動力によって次々と潰され始めた。
「無差別テロを企てた時点で同情する気はゼロ」
影朧の眷属達を倒していきながら呟くのはプロの矜持。
「よその世界の政治に口出す気もないしね……」
不始末に関しては不快感は見せたが、それ以上のものは無い。
彼女の生きる世界ではそれは死んでいく者に対し失礼に当たるのだから。
今、ここに立つのはそうやって歩いてきた女だった。
彼女の視界に刃が躍った。
動きが止まった影朧をヤドリガミが切り捨てたのだった。
「寿命を削るっていうなら長期戦に持ち込んだ方がいいかもしれんが」
さらに襲い掛かる獣の姿をした隊員へ飛び掛かれば
「俺自身が耐えられるか怪しい」
転がり落ちる首はすでに人に戻っていた。
「そうね、あたしもオバアサンになるのはゴメンだわ」
ウルダが軽口を叩くころには最後の影朧が砂岩の嵐によって倒されていた。
戦いは終わり、公園には死体が二つだけ残った。
「ネエ……かわいい妖精サン?」
掃除機をかけつつ、後始末に励む女が妖精に問いかけた。
「どうして、彼の『コト』分かったの?」
「多分、独りだったからなのです」
フェアリーは知っていた。
「人に囲まれて、でも独りだったから、自分を表現できない。だから間違えた」
それは長く孤独で居た者だけが知る、歪み。
女は何も答えずに掃除機をかける。
その様子をヤドリガミは黙って見つめていた。
――十五時三十八分、終了。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵