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スイーツで溺死する前に

#キマイラフューチャー

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#キマイラフューチャー


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 甘い甘いスイーツは、古来より人々を魅了してきた。
 魅了されているのはキマイラフューチャーの住人らも同じ。同じなのだが……。
「最近は、スイーツをドカ喰いする動画を投稿するのがブームになっているみてえだ」
 それこそ数十、あるいは百を超えるかもしれないスイーツを食べる映像を早回しに、ポップな映像を添えて投稿するというブームがあるらしい。
「ブームが起こってからそんなに時間が経ってねえから被害はそこまでじゃないんだが、放っておいたら……分かるだろ? キマイラフューチャーがデブの星になる」
 さすがにそれはヤバいからと、タハニは事件の解決をと猟兵らに依頼する。

「甘いもののブームを引き起こした元凶は『カロリー執事』っていうやつらしいが、そいつを倒す前にまずは住人をどうにかした方がいいな」
 力づくでもいいし、論理的に諭しても良い。
 今回はとあるスイーツビュッフェの店舗に行ってもらうことになり、店舗にある調理場を間借りして、甘くない食事や甘さ薄目のスイーツの魅力を再確認してもらってもいいかもしれない。
「アプローチの方法は数えきれないほどだからな、アイデア勝負ってとこもあるな」
 住人たちの間でブームがひと段落すれば、『カロリー執事』は『イソギンチャク怪人』を放ってくる。
『イソギンチャク怪人』を撃破してから、『カロリー執事』との戦いとなるだろう。

「今回出てくる『イソギンチャク怪人』の触手は砂糖菓子かなんかで出来てるし、麻痺毒もクソ甘シロップだ」
 カロリー執事については言うまでもなく、カロリーの暴力を振るってくる。
「甘いもんは旨いが食べ過ぎると体に毒だからな。まずはブームを終わらせるところからだ、よろしくな!」


遠藤にんし
今回はキマイラフューチャーです

 スイーツを大量に食べる動画の投稿が流行しているため、第一章ではこのブームを終わらせてもらいます
 スイーツビュッフェ店舗内を中心に、説得などをお願いいたします
 第二章はイソギンチャク怪人との戦闘、
 第三章はカロリー執事との戦闘です
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第1章 冒険 『過ぎた欲を諫めるために』

POW   :    力ずくで止める、抑える

SPD   :    手段や目的を断つように動く

WIZ   :    説得や指摘で諭す

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

セレヴィス・デュラクシード
■心情
スイーツは美味しいもんね、本当はボクだってマロンケーキとか死ぬほど食べてみたいんだけどなぁ

■行動[SPD/周囲に摂取カロリーを抑えた方が良いかも?と意識させる]
店舗内でスイーツを注文したタイミングで【狐の威を借る狐】で小太りになった自分を呼び出して口論するよ
内容は「スイーツいっぱい食べたいんだから邪魔しないで欲しいんだよっ!」と「食べ過ぎたらこうなっちゃうよ!?」って感じの天使と悪魔の葛藤みたいなのはどうかな?
動画撮影して投稿すれば店舗外にも広まって良いかもしれないね

だけど…やっぱり本心は食べたいんだよぉ

■特徴
歩く際は腕大振りで靴から効果音出そうな雰囲気
「にゃはは」と笑う気楽な元気娘



(「本当はボクだってマロンケーキとか死ぬほど食べてみたいんだけどなぁ」)
 ただ、そういうわけにもいかないからとセレヴィス・デュラクシード(今は亡き幻想の狐姫・f04842)は小太りになった自分を想像して、【狐の威を借る狐】によって具現化。注文したスイーツが到着するまでの待ち時間、セレヴィスはセレヴィス(太)へと声を上げる。
「スイーツいっぱい食べたいんだから邪魔しないで欲しいんだよっ!」
「食べ過ぎたらこうなっちゃうよ!?」
 食べたいセレヴィスと食べたくないセレヴィス(太)の口論。
 太さが違うだけで容姿の同じ二人が言い争っているところは非常に目立つため、店内の視線はセレヴィスたちに集中。
「食べ過ぎたら……」
「……あんな風に?」
 見事に体型だけが違う二人を見比べて、ひそひそと言い合う客たち。
 若干食欲が失せたのか、客らの食べるペースは格段に落ちていた。

 ――もちろん、言い争う動画をアップするのも忘れないセレヴィス。
 瞬く間にキマイラフューチャー中で動画はシェアされ『さすがにやばみある』『食欲失せる~』などというコメントが続々とつけられた。
(「だけど……やっぱり本心は食べたいんだよぉ」)
 続々シェアされていく様子を眺めながら、セレヴィスは複雑な表情なのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

蝕・飢蛾
「お菓子が食べられなけれバいいんデショ?」

飢蛾はスイーツを購入して帰る住人を片っ端から襲撃することにした
【捕食成長植生】の食虫植物による奇襲でスイーツを食い尽くし、襲われる恐怖を体験させてあげよう
【催眠術1】で襲撃者(自分)の記憶を曖昧にすれば完成だ
『スイーツを手にしたら恐ろしい目に合う』と刷り込めば、甘い物から人も離れて行くだろう
それなりの数を襲撃すれば、噂に尾ひれも付きホラーな話になって広まるというのを狙う二面作戦でもある
ついでに空腹も紛れて一石三鳥

「おいしいカッタ~。でもでも全然足りないナ~」

というか、実はスイーツ食べるのが主目的である

「だっテ、キマイラばっかりお腹膨れてズルいもんネ?」



 スイーツショップから出てきた客は、両手いっぱいの箱を抱え持っていた。
「もっともっと、」
 ぴょん、とそんな彼らの目の前に出現したのは蝕・飢蛾(暴走捕虫プログラム・f02449)。
「食べさせてェ!」
 長い舌をべろりと出して飢餓が放ったのは食虫植物が彼らの持つ箱を狙って蠢き、箱の中に顔を突っ込んで蠢きだす。
「ひっ、ひいぃ!?」
 突如現れた食虫植物に慄く人々の前で、残らずスイーツを食い尽くす食虫植物。
 飢餓自身は人々へ催眠術をかけて襲撃者の記憶を曖昧に……ぼうっとした表情になった彼らの中に残ったのは、『スイーツを買った瞬間恐ろしいことが起こった』という曖昧な記憶だけ。
「お菓子が食べられなけれバいいんデショ?」
 グリモア猟兵の言葉をそう解釈している飢餓は更に別のスイーツ店も襲撃。
 襲うたび力を増す食虫植物の勢いは止まることなく、飢餓はそんな植物の姿をケラケラ笑いながら眺めて催眠術をかけて回る。
 食虫植物がぽいと投げたシュークリームを口でキャッチ、口の周りについた粉砂糖も残さず舐め取って、飢餓は上機嫌な様子。
「おいしいカッタ~。でもでも全然足りないナ~」
 もはや途中からはスイーツを食べることが飢餓の目的にはなっているようだが……少なくとも、『スイーツを大量に買うと恐ろしいことが起こる』という噂から、スイーツの買い控えを呼びかける声も起こったようであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

宮前・紅
戎崎・蒼(暗愚の戦場兵器・f04968)と行動中

うわぁ~スイーツだ!俺も好きだよ☆
うんうん、でも食べ過ぎは良くないよね。なんでも程々にした方がいいよね?

蒼くんはどうするの?って、力ずく!?!?流石だよね………

【SPD】
店舗内でスイーツを吟味してるように見せかけて、倒れる。

「うっ………だ、誰か甘いものを………本当は甘いものなんて食べたく無いんだ………食べ過ぎによる低血糖症、更には不眠続きで、なんだか体も心なしか重い、きっと君たちもこんな風になっちゃうんだね………♪」(バタリ)

そう残して、看護師姿のからくり人形達に俺を運ばせるって訳。

予め撮っておいた動画をばら蒔けば、危機感を煽れる!

名案でしょ~?


戎崎・蒼
宮前・紅(絡繰り仕掛けの人形遣い・f04970)と一緒に出かけてみたらこんな事象に遭遇するなんてね。

……甘いものは確かに美味しいけど、実は僕自身あんまり得意ではないんだ。

だから、甘いものに罪はないけれど毒に成りうることもまた事実、【POW】で力ずくで止めようかな。

「……僕は甘いものが好きじゃない」

いつも使っている銃とは違う、いわば玩具の銃に、旨辛の(しかも美味い)食べられる銃弾を筒に込めて相手の口に撃ち込むよ。

「ほら、口直しになっただろ?特性の旨辛弾だ。今からはスイーツの時代じゃなくて、旨辛の時代だよ」

手当り次第その甘味を求めにきた客に容赦なく撃ち込む。カロリー執事の思い通りには行かせない。



 戎崎・蒼(暗愚の戦場兵器・f04968)と宮前・紅(絡繰り仕掛けの人形遣い・f04970)は出歩いていたら、たまたまこんな事件に出くわした。
「うわぁ~スイーツだ! 俺も好きだよ☆」
 辺りのショーケースはスイーツが盛りだくさん、そんな光景を目でも楽しみつつ、紅はグリモア猟兵の言葉を思い起こす。
「食べ過ぎは良くないよね。なんでも程々にした方がいいよね?」
 これは対処した方がよさそうだね、と言う紅の隣で、蒼はじっくりと考えている様子。
 実は蒼は、甘いものがあまり好きではないのだ。そんな蒼が、今回のブームの対処として決意したのは、
「力ずくで止めようかな」
「って、力ずく!?!? 流石だよね………」
 ごくりと息を呑む紅。
 そんな紅はまずスイーツショップに入って、スイーツを吟味――する途中で、ばたりと倒れる。
「うっ………だ、誰か甘いものを………」
「こ、こちらを!」
 慌てた様子の店員が差し出すタルトタタン。それを見て、紅は苦しそうな表情で呻く。
「本当は甘いものなんて食べたく無いんだ………食べ過ぎによる低血糖症、更には不眠続きで、なんだか体も心なしか重い…………」
 説明的苦悶の声を上げる紅に、ざわめく周囲。
「きっと君たちもこんな風になっちゃうんだね………♪」
 ばたりと力尽きた紅を、看護師姿のからくり人形が粛々と搬送。
 姿を消す紅を住人たちは呆然と見送ってから顔を見合わせる。
「甘いものを食べ過ぎるとあんな風に……? 恐ろしい」
「恐ろしい……でも、やめられなぁーーーーい!!」
 そう言ってショーケースへ向き直って舌なめずりする住人。
 その舌へと、先ほどの光景を動画にしてアップし終えた蒼は狙いすまして一撃を喰らわせる。
 一撃といっても、実弾ではない。いつもとは違う玩具の銃に籠められている銃弾は、蒙古タンメン的な旨辛要素を濃縮した銃弾だ。
 舌にヒットした銃弾が口の中に転がり込み、辛さに悶絶する住人。
 ……でも不思議だよね、辛さに頭が痺れるくらいなのに、ちょっと間を置くとまた欲しくなってきてしまう。
「ほら、口直しになっただろ? 特性の旨辛弾だ。今からはスイーツの時代じゃなくて、旨辛の時代だよ」
 そう告げて、蒼は次々に人々の口に旨辛弾を叩き込んでいくのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

中村・裕美
WIZ説得や指摘で諭す
「…甘いものは魅力的。……だからこそ…止めないと」
とは言っても、喋るのは苦手なので、動画を用意する。
「……こちらの動画を…見てみなさい」
動画のタイトルは『おいしいジャムの作り方』
動画の内容は基本的に甘納豆やジャムを作っていく過程を映してゆく動画だが、砂糖をドバドバ投入する場面や、フルーツがドロドロにジャムになってゆく過程でバクバクとスイーツを食べ続けるキマイラ達の姿をカットイン。糖分を取り続けると体の中がこんな感じにボロボロになってゆくことを表現
「……いい具合に…ドロドロに煮詰まったら…完成」
今まで不健康になると脅されてきたキマイラ達の【傷口をえぐる】ように説得



「……甘いものは魅力的。……だからこそ……止めないと」
 決意して、中村・裕美(捻じくれクラッカー・f01705)は彼らへ動画を見せることにした。
「……こちらの動画を……見てみなさい」
 裕美は喋ることは得意ではないから、彼女自身の説得では彼らの気持ちを動かすことが難しいかもしれない。
 そう考えた裕美が用意した動画のタイトルは『おいしいジャムの作り方』。
「ジャム!? おいしそー!」
「甘いのいいなー!」
 スイーツへの関心が高まっているからこそ、住人らの喰いつきも良好。
 辺りに人が集まったのを見計らって、裕美は動画を再生した。
 綺麗にカットされた果実へ、果肉と同量の白砂糖が投入――その瞬間、スイーツを食べ続けるキマイラフューチャーの住人たちの姿がカットイン。
「ん? 今……」
 そんな住人たちの声を無視して、動画は続く。
 はじめは固形を保っていた果肉がやがて崩れ、砂糖と渾然一体となった、ドロドロに溶けて変容していく――その瞬間、スイーツを食べ続けるキマイラフューチャーの住人たちの姿がカットイン。
「あれ? これは……」
「次は……こっち……」
 続いて裕美が再生するのは甘納豆の製造過程。
 これも先ほどの動画と同様、所々にキマイラフューチャーの住人たちの姿がカットイン。
 その様子に彼らがなんとなく不吉な感覚を抱いたのは、他の猟兵たちがスイーツの過剰摂取による健康被害を訴えてきたおかげだろう。
「……いい具合に……ドロドロに煮詰まったら……完成」
 彼らの傷口をえぐるかのように、裕美は淡々と事実のみを告げるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『イソギンチャク怪人』

POW   :    テンタクル・テンペスト
予め【触手を振り回しておく】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD   :    ウネウネ・アネモネ
自身の肉体を【ウネウネモード】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
WIZ   :    ポイゾナス・ポリプ
【頭部】から【毒針のついた触手】を放ち、【麻痺毒】により対象の動きを一時的に封じる。
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 スイーツブームは『スイーツを食べるとヤバい何かに襲われるし健康被害も恐ろしい』という噂の流布により下火となった。
 ――しかし、スイーツブームが下火となった瞬間、『イソギンチャク怪人』が姿を見せる!
 生クリームとチョコレートとグミとゼリーで出来たイソギンチャク怪人の体中をびっしりと覆うのは白砂糖と黒砂糖。甘すぎる肉体でキマイラフューチャーの住人たちを襲おうとするイソギンチャク怪人の前に、猟兵たちは立ちはだかる!
 幸いにも辺りの住人たちは避難した後、心おきなく戦えるだろう。
戎崎・蒼
ブームが下火となったにも関わらず、今度は住人達を無理矢理襲うだなんて、本当に諦めが悪いな。

…少しでも早期解決に努める為に【POW】で攻撃を。
相手も戦闘力を増強させてくるだろうけど、どうやら避けるのは容易のようだしね。

動きが見破れたら断続的な攻撃を銃によって行おうかな。
剣のように斬ったりはできないけど、貫通させることなら可能だから、弱点を探りつつ攻撃を確実にヒットさせていきたい。

これまでで磨かれた【スナイパー】の技術で確実に相手を追い込むよ。

甘いものに罪はない、けど摂りすぎは悪影響を及ぼす。
僕は甘味が得意でないから見るだけで気持ち悪いけれど、甘いものの好き嫌いに関わらず、粛正されて頂こう。


宮前・紅
うわぁ!美味しそうだね♪
でも見た目は気持ち悪いんだけど!

それでも攻撃をしてくるだなんて、往生際が悪いなぁ。
………さてと、コイツをぶちのめせばいいんだよね?

【SPD】で判定
俺は攻撃ってより囮にでもなろうかな~♪
素早く相手を引き付けて、俺を追いかけてもらおうか。【恐怖を与える】ことと【呪詛】によって、俺から視線を外せないようにしてあげるよ!

俺の呪いは見たものの恐怖を最大限に引き出すものなんだ♪
恐怖が最大限に引き出されることで、本能的に目を離すことができない。

そして、隙が出来たところで、他の皆のお出ましさ!
君は彼らの攻撃に反応できるかな………?

面白い舞台を期待してるよ☆

せいぜい足掻いてみせろよ、化物



 イソギンチャク怪人が触手をぶるんぶるんと振るわせるたび、辺りに甘い香りが満ち溢れる。
 触手を彩る白砂糖と黒砂糖もざらんざらんと飛び散るので、香りは『甘い』の一言で片づけられないほどに濃厚になっていた。
「うわぁ! 美味しそうだね♪」
「そうか、これは美味しそうなのか……?」
 甘い香りに歓声を上げる紅と、ちょっと体調を崩す蒼。
「でも見た目は気持ち悪いんだけど!」
 触手の一部は砂糖をまぶしたグミらしく、伸縮する様子が絶妙にキモい。
 猟兵らの姿を認めて戦闘力を高めるイソギンチャク怪人だったが、その触手を避けることは二人にとって容易。
 蒼は大きく退避して狙撃の姿勢に入り、マスケット銃を手に断続的な射撃を開始する。
 紅はイソギンチャク怪人から離れることはなく、地を蹴って。
「……さてと、コイツをぶちのめせばいいんだよね?」
 ひらりとイソギンチャク怪人の眼前に躍り出た紅の口の中で呪詛が紡がれる。
 イソギンチャク怪人の内側から引き出された恐怖が、紅から視線を外すことを許しはしない。本能によって釘付けとなったイソギンチャク怪人へと、蒼は照準を合わせる。
 スナイパーとしての本領発揮とばかりに撃ち込まれる弾丸は止まることを知らないかのよう。
 立て続けの攻撃にイソギンチャク怪人の背中には小さな穴がいくつも開き、その穴からすらチョコレートは滴って香った。
「甘いものに罪はない、けど摂りすぎは悪影響を及ぼす」
 甘すぎる香りに覚えた胸焼けを押さえ込んで、蒼の射撃は止まらない。
 戦闘力を上げ続けるイソギンチャク怪人から紅が一瞬視線を逸らしたのは、他の猟兵たちの到来に気付いたから。
「君は彼らの攻撃に反応できるかな……? 面白い舞台を期待してるよ☆」
 紅の言葉に蒼も狙撃を中断。
 油断なくイソギンチャク怪人を見つめながらも、じりじりと距離を開けていく。
 じゃーね、と手を振る紅。
 ――離れ際、紅は呟いた。
「せいぜい足掻いてみせろよ、化物」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

セレヴィス・デュラクシード
■心情
あー……性懲りもなく続けちゃうんだね、こんなキモチワルイのまで出して来て
でも、どっちが強いのか勝負するのは大好きなんだよっ♪

■行動/SPD戦闘
・つまりは全身ゴムの鞭だよねアレ
・ボクの必殺技【疾風斬鉄脚】はリーチが短いから急所の位置は判らないけど一気に間合いを詰めて蹴り付けるしかないかな、攻撃が正面から飛んでくるなら跳び箱の要領で飛び乗ったり踏み潰したりして距離を詰めてみるよ
・腕、足、もしかしたら首や上半身なんかも伸びて体当たりして来るかもしれないんだよ。回避しても放物線描いて背後から奇襲が来るかもだから要注意だね

■役立ちそうな技能
「二回攻撃/ジャンプ/空中戦/ダッシュ/踏み付け/見切り」



 飛び散る白砂糖をひょいと避けるセレヴィスは呆れ顔。
「あー……性懲りもなく続けちゃうんだね」
 気持ち悪いイソギンチャク怪人をジトっと見ていたセレヴィスだったが、即座に距離を詰めて。
「でも、どっちが強いのか勝負するのは大好きなんだよっ♪」
 ゴムの鞭のように伸びる触手を潜り抜け、セレヴィスは痛烈な蹴りを放つ。
 ウネウネモードに変わるイソギンチャク怪人は踊るように蹴りを叩き込むセレヴィスから距離を取り、捕えようと正面から攻撃を仕掛けるが、セレヴィスは跳び箱の要領で飛び乗り、再び肉薄。
 ジャンプして空中から、かと思えば低い位置から二段階攻撃。
 翻弄するセレヴィスへとイソギンチャク怪人は己の肉体をウネウネ伸ばし、読みづらい軌道でセレヴィスの背後を狙う。
「その手には乗らないんだよっ!」
 しかしセレヴィスは背後からの奇襲には警戒していたから、間一髪のところで回避。眩い光の軌跡で蹴りつけると、ぽきんと軽い音を立ててチョコレートの触手が地面に落ちた。
 銀髪を揺らして、鈴の音をしゃらしゃらと鳴らしながら。
 飛び跳ねるようにセレヴィスはイソギンチャク怪人の攻撃を受け流した。

成功 🔵​🔵​🔴​

花園・スピカ
な、なんというか…過ぎたるは及ばざるが如しというか…(あんまりな見た目と匂いに甘味好き女子も絶句)


【SPD】
ライオンライド使用
伸びる触手を上手く誘導できれば絡んで自滅してくれないかと…

最初は正面から突撃…とみせかけ急に方向転換
追っ手の触手がきたら距離を取り、触手の長さがある程度延びたところで再び方向転換、を繰り返し触手の動きを【学習力】で計算しながら絡まるよう誘導
上手く行くとよいのですが

死角から別の攻撃がこないか常に気を配る

隙ができれば私は武器、ライオンさんは噛みつきで攻撃
…けどあれ、実は中身は案外美味しいとか…(噛みつき後のライオンちらり)

いやいや色々と危険な予感しかしません!(首ぷるぷる)



 甘さの権化としか思えないイソギンチャク怪人の姿に、花園・スピカ(あの星を探しに・f01957)は思わず絶句。
「な、なんというか……過ぎたるは及ばざるが如しというか……」
 スピカは甘いものが好きだから、甘すぎるくらいであれば平気。
 ただ、このイソギンチャク怪人、あまりにもあんまりである。
 立ち尽くしていてもイソギンチャク怪人の動きを止めることは出来ない。スピカは喚びだした黄金のライオンへ騎乗すると、イソギンチャク怪人へ真正面から向かって行く。
 愚直なまでの突撃にイソギンチャク怪人は持ちうるすべてを正面へ集中、スピカの攻撃を受け止めようとする――だが、その触手がスピカを絡め取ることはない。
「こっちにいますよ!」
 直前で方向転換したスピカが今度はイソギンチャク怪人の背後に回ると、追いかけるように触手が飛んでくる。また方向転換、とライオンを走らせながら、スピカは辺りを見回して死角からの攻撃にも備えていた。
 触手の動きは学習力によって計算していたが、ライオンの機動力ではすべてを避けきることは難しい。半分くらいの触手はイソギンチャク怪人自身に絡まっている今が頃合いだろうと判断して、スピカは今度こそ攻撃のためにイソギンチャク怪人へ接近。
「……えいっ!」
 獣奏器からの調べがライオンを猛らせ、イソギンチャク怪人へ食らいつく。
 人間であれば肘にあたりそうな部分が欠けたイソギンチャク怪人――欠けた部分から流れ出るシロップを見つつ、スピカは独りごちる。
「……けどあれ、実は中身は案外美味しいとか……」
 ちょっとの期待を込めてライオンをチラ見。
 ――口からどぼどぼとシロップをこぼしてライオンは白目を剥いており。
「や、やっぱり色々と危険な敵です!」
 ぷるぷる震えながら、スピカはイソギンチャク怪人との距離を取るのだった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

中村・裕美
「……甘いものは好きだけど…甘味のバランスを……もっと考えるべき……シロップ単体は…流石にキツい」
ユーベルコードによって敵を混乱させ、その隙に仕留める。

女の子は何でできている?
砂糖にスパイス
それに すてきなものばかり
そういったもので できている

相手の精神に【ハッキング】し、『女の子は砂糖で構成されているので、自分達の攻撃を当てると回復・パワーアップされてしまう』という誤った認識を植え込む。
それで相手がその【だまし討ち】に躊躇した隙にドラゴンランスで【串刺し】にする。
「…もっとも……私は…スパイス多めかもだけど」



 シロップに濡れた床を見下ろしつつ、裕美は呟く。
「シロップ単体は……流石にキツい」
 甘いものが好きとはいえ、甘味のバランスを考える力がイソギンチャク怪人には足りていないようだ。
 裕美はそんなことを思いながら、電脳空間よりプログラムを送り込む。
「……ハッキング開始………これが……貴方の新しい世界」
 マザーグースの歌がイソギンチャク怪人の内側を書き換える――砂糖にスパイス、すてきなものから出来ている女の子。
 ならばお砂糖まみれの攻撃は、回復とパワーアップにしかならない、と。
「……隙だらけ」
 砂糖で構成されれているイソギンチャク怪人が砂糖で構成されている女の子を攻撃しても、ダメージは与えられない。
 そんな情報の齟齬に何も出来ずにいるイソギンチャク怪人へと、裕美は悠々とドラゴンランス「覇空竜スカイフォール」を抜く。
 だまし討ちに気付いた時には、もう遅い。
「……もっとも……私は……スパイス多めかもだけど」
 串刺しにされたイソギンチャク怪人は、暴力的な香りを上げながらもその場へ崩れ落ちるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ネレム・クロックワーク
甘いものは大好きだけれど、流石に食指が動かない、わ
何事も、バランスが大事だと思うの

【SPD】
新しい武器を発明したから、試させてもらう、わ
魔導と機工を一体化させた、わたし専用の魔導銃で、綺麗に【掃除】してあげる
【全力魔法】を【高速詠唱】で魔導銃に装填
更に氷属性の【属性攻撃】を上乗せした【時の鍵】を放つ、わ
超高速のそれらは、当たる迄追尾するから、避けても止まらないわよ?

仕留めきれなかった時のことを考えて、同じく【全力魔法】を【高速詠唱】で魔導銃に装填しておく、わ
【マヒ攻撃】を乗せた通常攻撃の魔法弾でも追撃を

貴方の時間は、此処で、永久に止まるのよ



 美味しそう、とは言いがたいイソギンチャク怪人の姿にネレム・クロックワーク(夢時計・f00966)はひっそりと目を伏せる。
「何事も、バランスが大事だと思うの」
 しかし、いつまでもこの敵がいる状況を放ってはおけない。ネレムは新しい武器の試用もかねて、小型魔導銃『romantica*』を構える。
 魔導と機工の一体となった銃を手に高速詠唱――全力魔法に氷属性を上乗せして、数多の氷の弾丸が放たれる。
「冱てる、時の歯車」
 放たれたそれらを、イソギンチャク怪人はぐるんと回転して避けた。
 ……はずが、弾丸は軌道を変え、イソギンチャク怪人を捕えるまで追尾し続ける。
「避けても止まらない、わよ?」
 くすくすと微笑みを漏らすネレムの前で、イソギンチャク怪人は凍てつく弾丸に捕まえられてしまう。
「貴方の時間は、此処で、永久に止まるのよ」
 麻痺攻撃を乗せて魔法弾、そして再び時の鍵を放つ。
 身動きの取れなくなったところで氷に閉じ込められて、ついにイソギンチャク怪人は動きを止める。
 ――ぱりん、と氷が砕けると、イソギンチャク怪人の体ごと散っていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『カロリー執事』

POW   :    血糖覚醒
【自らの野望の為 】に覚醒して【全身が高カロリーな食べ物】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD   :    カロリーボム
【口に向けて一日分超の高カロリーな食べ物 】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    お食事会
いま戦っている対象に有効な【相手が好みそうな食べ物(カロリー激高) 】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
👑17
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は宇冠・由です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「成程、流石ですねぇ!」
 イソギンチャク怪人が去ったというのに胸焼けする香りが消えないのは、カロリー執事が姿を見せたため。
「しかし、イソギンチャク怪人のカロリーはせいぜい2000カロリー。わたくしはと言えば、その倍はございます」
 ス、とカロリー執事の差し出すスイーツはどれも美味しそう――に見えて、その実圧縮されたカロリー爆弾。
 イソギンチャク怪人のくらべものにもならない濃縮甘味である。
「さぁ、召し上がれ!」
 ばら撒かれるスイーツの中、最後の戦いが始まる!
セレヴィス・デュラクシード
■心情
甘いの大好きだけど、無理強いは嫌なんだよっ!
ボクはね!食べたい時に!食べたい量を食べるのが好きなんだよっ!

■行動/SPD戦闘
・極力戦闘中は口を開けないよ喋ったとしても口元を袖で押さえて…ってこれで攻撃を防げるのか疑問だけど
・無差別攻撃なら狙いが甘いかもだけど連発してくるかも
なら前の戦闘よりもっと早く【狐百まで踊りは忘れぬ】で地面と空を蹴って立体的に動く事で狙いを更にブレさせ接近【疾風斬鉄脚】を叩き込むよ!
必要なら【武道着を脱い】で身軽にしつつ投げ付けて目眩ましも狙うよ
・それと「食べ物粗末にしちゃダメなんだよッ!」

■役立ちそうな技能
[2回攻撃/ジャンプ/空中戦/ダッシュ/踏み付け/見切り]


戎崎・蒼
う……ますます胸焼けが酷くなってきた気がする。
こうなってくると、僕も些か冷静じゃなくなりそうなんだけど………。怒ってる?いや、怒ってないよ、気分が悪いだけ。

でもあの甘ったるい奴をぶっ飛ばすのはさぞ気持ちがいいんだろうね。

という訳でUC【第一楽章「94」より:最悪の銃式について】を使わせて貰うよ。
早期解決、画竜点睛……僕は白痴だから、言わゆる融通の効かない単細胞なんだ。気に食わなければ出来るだけ粛正したい。

「ルールは簡単、君は攻撃してはいけない」

常態なら対処が可能だろうけど、今は他の猟兵も入り交じって応戦している。

…果たして。

全員に攻撃しないなんていう愚策をとることが彼に出来るのか。

見物だね。


宮前・紅
あはは、面白いね!
ねぇそう思うでしょ?Lacie(人形の名前)

蒼くんが段々苛立ってきたみたいだし、俺は安全な場所で高みの見物でもしてようかな~♪

え?巫山戯てるって?
あははははは!馬鹿だなぁ!
俺は、って言ったけど、Lacieは高みの見物をするだなんて言ってないよ!

【SPD】で判定
さてと、皆に被害が及ぶ前にどうにかしないとね♪
俺は相手のカロリーボムを避けつつ、Lacieを敵に接近させよっか!
Lacieがカロリー執事よりも大きく巨大化して阻めば、カロリーボムが通りにくいしね♪
カロリーボムが放たれたと同時に素早く、キャッチして食べ尽くそう♪

そうすれば俺の口にも、皆の口にも放り込まれることなく済むよね!


中村・裕美
「……やっと…親玉」
UCで『カロリーゼロ理論』を常識として刷り込ませ、食べ物のチョイスの邪魔をする
「…その攻撃は…カロリーゼロ…だから効かない」

カロリーゼロ理論とは、旧人類が編み出した根拠のない理論。太ってる人がよく提唱する
・冷たいものは熱がないのでカロリーゼロ
・白いものは白紙に戻るのでカロリーゼロ
・ふわふわのものは潰せば(ry
etc…

攻撃の時間稼ぎをしてる隙に串刺しを狙うが、破られて攻撃されそうになったら、人格を入れ替える
「あの子はガツンと濃厚な甘みが好きみたいですけど、わたくしはもっとビターな方が好きですわ」
お嬢様風人格シルヴァーナになり、惨殺ナイフを突き立てる
「貴方の血は何味かしら?」


ネレム・クロックワーク
甘いものは、自分を幸せにしてくれる素敵なもの
戦いの道具になる為のものではない、わ
そもそも、食べ物で遊んではいけません、って誰にも教わらなかったのかしら……?

【WIZ】
相手の動きを封じる、わ
【全力魔法】と星属性の【属性攻撃】を【高速詠唱】で魔導銃に装填
魔導銃から放たれる七星の星群が、貴方の時間に鍵をかける
さあ、今のうちに、攻撃を仕掛けましょう
わたしも、同じく【全力魔法】と【マヒ攻撃】を【高速詠唱】で魔導銃に装填
マヒ攻撃付きの通常攻撃の魔法弾で追撃して、動きを封じる時間を引き伸ばす、わ

わたし、甘いものは好きだけれど、戦いの最中に食べるつもりはないの
頑張ったご褒美に食べるのが、好きなのよ



「う……ますます胸焼けが酷くなってきた気がする」
 イソギンチャク怪人の臭気ですら厳しかった蒼は、口元を押さえて気分が悪そうな様子。
「あはは、面白いね! ねぇそう思うでしょ? Lacie」
 黒衣の人形へ語り掛ける紅はそんな蒼の様子を見て、糸繰りの糸を弄ぶ。
「蒼くんが段々苛立ってきたみたいだし、俺は安全な場所で高みの見物でもしてようかな~♪」
「怒ってる? いや、怒ってないよ、気分が悪いだけ」
 冷静さを失いそうになりながらも、蒼は金と青色の装飾が麗しいマスケット銃を手にする。
「おや、お喋りとは余裕ですねえ」
 カロリー執事はそんな二人の会話に水を差すように接近。
「見物とはつれない、ふざけたことを。そんなアナタにはドォーナッツを差し上げましょう!」
 チョコレートと砂糖をたっぷりまぶされたドーナツが紅の口めがけて飛んでくる。
「え? 巫山戯てるって? あははははは! 馬鹿だなぁ!」
 紅は糸を操って。
「俺は、って言ったけど、Lacieは高みの見物をするだなんて言ってないよ!」
 巨大化したLacieがドーナツを一口に平らげる。
 勢いよく発射されたドーナツにネレムは少し残念そうに、声を零す。
「甘いものは、自分を幸せにしてくれる素敵なもの……戦いの道具になる為のものではない、わ」
 食べ物で遊んではいけません、って教わらなかったのかしら、と首を傾げながらも、ネレムは囁きで星の属性魔法を魔導銃へ注ぎ、全力魔法をカロリー執事へ解き放つ。
「さあ、今のうちに、攻撃を仕掛けましょう」
 七星の群れが鍵をかけてしまえば、カロリー執事は閉じ込められて動けない。
「ボクはね! 食べたい時に! 食べたい量を食べるのが好きなんだよっ!」
 好機とばかりに動き出したセレヴィスが口元を押さえているのは、投げつけられるスイーツを警戒してのこと。セレヴィスは幾度も空中を蹴りつけて飛び上がり、カロリー執事の頭上から迫る。
 お爺ちゃんの武道着の裾を大きく揺らしての蹴りつけ――ばさっと脱ぎ捨てればもっと身軽に連撃を叩き込めるセレヴィス。
 ネレムは攻撃に麻痺も加えて連射して少しでもカロリー執事の動きを遅らせるが、完全ではない。
「動き出す、わ」
「任せてよ」
 気をつけて、と仲間へ声を上げるネレムに蒼はうなずき、即座に【第一楽章「94」より:最悪の銃式について】を発動。
「ルールは簡単、君は攻撃してはいけない」
 気に喰わない敵は粛清したい。その思いから発された弾丸と言葉に、裕美はミームインベンションを重ねる。
「……その攻撃は……カロリーゼロ……だから効かない」
「――!」
 攻撃をすれば蒼のルール違反となってダメージを受ける。
 おまけに、カロリー執事自身の攻撃はカロリー執事にとってカロリーゼロ……つまり、全ての攻撃がハイカロリーなはずなのにそうではない、という矛盾が生まれるのだ。
「――それでも、わたくしは……!」
 誰にも攻撃を仕掛けない、という策を取ることには耐えられず、カロリー執事はスイーツをばらまいた。
 たくさんの種類のスイーツがいくつも……しかし、それらは全て裕美によってカロリーゼロ理論が構築されていく。
 ソルベの盛り合わせは熱がないからカロリーはゼロ。
 練乳たっぷりのストロベリータルトは白く、白紙に戻るのでカロリーゼロ。
 ふわっふわのシフォンケーキは裕美が叩き潰し、
「潰せば……カロリーゼロ」
 旧人類の太った男が提唱したというカロリーゼロ理論に基づくミーム汚染がカロリー執事を襲う。
「見物だね」
「誰の口にも放り込ませないよ~!」
 蒼と紅は協力してスイーツを叩き落し、攻撃を防ぐ。
「食べ物粗末にしちゃダメなんだよッ!」
 セレヴィスは脱ぎ捨てた武道着を思い切りカロリー執事に投げつけて目くらまし。
 視界を阻まれたカロリー執事の放つスイーツは見当はずれの方向に飛んで行って、ネレムの元までは届かない。
「わたし、甘いものは好きだけれど、戦いの最中に食べるつもりはないの」
 甘いものは頑張ったご褒美に食べるのが好きだからとスイーツを拒んで、ネレムは何度目かのアステリズムの加護で敵を戒める。
 しかしカロリー執事は蒼と裕美の阻害を突破。
「これまでの分も、ホイップを上乗せして差し上げましょう……!!」
 怒りを籠めて熱々のアップルパイにパイが隠れるほどのクリームを乗せて、カロリー執事は裕美へと攻撃。
 裕美の眼前にまで迫ったアップルパイ――しかし攻撃を受け止めたのは裕美自身ではなく、別人格の『シルヴァーナ』だ。
「あの子はガツンと濃厚な甘みが好きみたいですけど、わたくしはもっとビターな方が好きですわ」
 くすくすと微笑むシルヴァーナの手には惨殺ナイフ。
 カロリー執事のスーツに包まれた肉体へとナイフを突き刺せば、タルトタタンを思わせる血液がとろりと流れ出た。
「貴方の血は何味かしら?」
 微笑と共に、シルヴァーナはカロリー執事を追い詰める。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

宮落・ライア
呼ばれて飛び出てヒーローだ!
え、呼んでない? 呼ばれずとも来るのがヒーローです!
決して!そんな決して甘い匂いにふらふらーっと誘われて来たわけじゃないんだよ!

スイーツってのはドカ喰いするものじゃないのだよ!
その小さなご褒美を!少しずつ少しずつ甘さを味わってこそ!スウィーツなのだよ!
友達と一欠けら交換し合うのも正義!


さぁ、スイーツのきり分けのお時間です。
アイスを切り分ける意味はないけどね
【見切り、残像、料理、剣刃一閃】

a piece of the cake 一切れのケーキ
Piece of cake 簡単な事
peace of cake ケーキの平和



「呼ばれて飛び出てヒーローだ!」
 甘い香りに誘われて宮落・ライア(英雄こそが守り手!(志望)・f05053)はしゅばっと登場、呼ばれずとも来たヒーローはサムライブレイドを手に、飛んできたスイーツを一閃。
「スイーツってのはドカ喰いするものじゃないのだよ!」
 マカロン、ロールケーキ、ババロア。
「その小さなご褒美を! 少しずつ少しずつ甘さを味わってこそ! スウィーツなのだよ!」
 飛んでくるスイーツをしゅぱしゅぱ斬り裂いて、ライアは熱弁する。
「友達と一欠けら交換し合うのも正義!」
 というわけでスイーツの切り分けのお時間である。
 飛来するホールのチョコレートケーキを見事八等分――a piece of the cake、一切れのケーキは蹴りつけてカロリー執事へお返しして。
 ケーキスタンドを手に襲い来るカロリー執事を両断――Piece of cake、このくらいはライアにとっては簡単なこと。
 踏み込んで懐に入り込み、心臓を貫いて斬り捨てた――かくして。
 peace of cake――ケーキの、スイーツの平和は守られたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月14日


挿絵イラスト