<ラクエン>に至る幸福論
#ダークセイヴァー
タグの編集
現在は作者のみ編集可能です。
🔒公式タグは編集できません。
|
ヴァンパイアの支配によって、人々が虐げられる狂気の世界。
ただ己の欲を満たす為、娯楽と称して弄ばれる命の価値など、ここでは無きに等しく、モノ扱いも同然だ。
明日をも知れぬ暮らしを送る、人々にとって正に生き地獄でしかないこの世の中で――『その場所』だけは、ヴァンパイアの魔の手を逃れるように平和な日常が営まれていた。
「せんせー、きょうはなにしてあそぶのー?」
「おれ、かくれんぼがいいー!」
「それじゃ、あたしはおままごとっ!」
聞こえてくるのは、子供達の元気で明るい無邪気な声だ。
そこは村の外れにある孤児院。
親を亡くした小さな子達が身を寄せ合い、支配の恐怖に怯えることなく生活している。
敷地内には色とりどりの花が咲き、穏やかな時間が流れるこの場所だけは、他とは全く異なる、まるで楽園のような別世界。
併設された教会からは、厳かな鐘の音色が鳴り響き。孤児達は、ここでこの世に関する在り方の、教えを学んでいるようだ。
「この世界は『カミサマ』が守ってくれています。だから皆さんも、『カミサマ』の仰る事を信じて、幸せの為に祈りましょう」
祭壇前に立った修道女が、微笑みながら優しい声で、子供達に諭すように語り掛ける。
その言葉に子供らは、素直に頷き、手を組み、祈る。
彼等の世界を守る『カミサマ』に、深く感謝し、誰もが幸せになれる楽園に、いつか至れるようにと願いを込めて――。
「孤児院で何不自由なく暮らす子供達。それは理想郷と言える場所なのかもしれないわ」
皆にちょっとお願いしたいことがある、と猟兵達に話を切り出すノエマ・アーベント(黄昏刻のカーネリア・f00927)。
ダークセイヴァーの複数の村が隣接する地域の中心に、孤児院を運営する教会がある。そこで身寄りのない子供達が幸せそうに楽しく過ごす様子が、ノエマの口から語られる。
彼女の話を聞いた限りでは、特に問題があるようには思えない。しかしヴァンパイアが支配している彼の地において、そのような生活を送ることが本当に可能だろうか?
「周囲の村は圧政を強いられている中で、この教会だけが被害を受けず、難を逃れているのは余りに不自然だとは思わないかしら」
ヴァンパイアに狙われないのは何故なのか。理由は定かでないが、陰謀めいた思惑みたいなものがありそうだ。だからこそ、裏に潜んだ真実を、暴く為にも力を貸してほしい、とノエマは事件の調査を猟兵達に依頼する。
教会の修道女達は子供の世話をするだけでなく、近隣の村にも慰問を行うなどして活動し、その時に孤児を探してきては、世話をしたいと引き取っていく。
また、救いを求める者を勧誘し、『条件付き』で入信させて信者を集めているらしい。
「その条件というのは、教会で洗礼を受けてもらうこと。抱える悩みや罪を打ち明け、告解し、神に赦しを乞えばいいそうよ」
調査の方法は、教会へ直接出向く以外に、慰問で村に訪れたところで接触を図ることも出来そうだ。
「孤児や入信希望者を装ってみたり、他にもしたいことがあったらそれで構わないから、後は皆に任せるわ」
そう言って、話を終えたノエマは手を掲げ、グリモアの力を発動させると、淡い黄昏色の光が猟兵達を包み込む。
其れは陰謀渦巻く闇の世界に、一縷の希望の光を射すように――。
朱乃天
お世話になっております。朱乃天(あけの・そら)です。
ヴァンパイアに支配されたとある地域で、何不自由なく平和な生活を送る子供達。
しかし果たして本当に、それが幸福なのだと言えるでしょうか――?
●舞台について
ダークセイヴァーにある、複数の村が隣接する地域。
その中心に、孤児院を運営している教会が建てられています。
そして教会だけが被害を被ることなく、子供達は平穏な日々を過ごしています。
●物語について
第一章:冒険『遺された花の数』
第二章:集団戦『???』
第三章:ボス戦『???』
一章では施設を調査し、そこに潜むモノ達の陰謀を暴いて頂きます。
その後は、ヴァンパイアの配下やボスとの戦闘パートに移行します。
描写については、心情多めの内容になるかと思います(特にボス戦)。
過去の悲しい記憶や、抱える心の痛みなど、プレイングではそうした点も含めて、様々な想いを綴って下さい。
●運営スケジュールについて
第一章の受付は、1月14日(火)朝8時31分から開始とさせて頂きます。
以降のスケジュールは、雑記やTwitterの方で適時お知らせしますので、そちらの方にもお目通しして頂けますと、大変嬉しく思います。
●その他
同行者様がいらっしゃる場合、お相手の【名前】【ID】もしくは【グループ名】の記入をお願いします。
また、シナリオへのご参加は、どの章からでも全く問題ありませんので、どうぞお気兼ねなくご参加下さいませ。
それでは、狂気と絶望が導く<ラクエン>で、皆様のご参加をお待ちしています。
第1章 冒険
『遺された花の数』
|
POW : 孤児たちに話を聞く
SPD : 内部に忍び込み手がかりを探す
WIZ : 施設の職員に話を聞く
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ルカ・ウェンズ
私は抱える悩みや罪なんてないけど…朝日が昇る希望のある世界したら吸血鬼が入信しないといけなくなるわね!
【行動】
吸血鬼が教会で洗礼、吸血鬼ジョークなのかしら?
ここはショボーン(´・ω・`)あなたが内部に忍び込み手がかりを探すのよ。
大丈夫!見つかっても貴方なら、かってに動き回るぬいぐるみと思われるだけだから。
大丈夫!大丈夫!吸血鬼や異端の神々がいる世界だし、貴方はかってに動き回るぬいぐるみで猟兵じゃないから。私?私は虫の本を使って呼び出した昆虫型機械生命体の群れにも手がかりを探してもらうのよ。心配ないわ!ちゃんと群れから護衛を出してもらうから…いざという時は普通のぬいぐるみのふりをするのよ!
クゥーカ・ヴィーシニャ
出来ることなら、裏などなく孤児たちが幸せに暮らせる、そんな場所だといいんだが、そうにもいかないだろうな……
孤児として接触するには年齢がな。入信希望者として接触しよう。他に信じている神がいるが……まあ、許してくれるだろう。洗礼を受けよう。抱える悩みは、家族を亡くして一人で生きていくのが辛いってことにしておく
どんなカミサマを信仰してるのか気になるな。その辺りを聞いてみよう。他には孤児たちへの教育環境や普段の生活。穏やかに暮らせてる理由を怪しまれない範囲でな
可能なら教会の中を見学などの理由で見廻ろう。孤児たちの様子も確かめる。本当に、ただただ平和な教会だといいんだが
幻武・極
へえ、ここだけ被害を受けないなんて、ヴァンパイアが恐れるほどの何かがいるか、もう既にヴァンパイアに支配されているかのどちらかだよね。
どちらにしても厄介そうだね。
とりあえず、中に潜入するかな。
人に見つかりそうになったらイシコロ気流を使って透明になり、やり過ごしながら中を調査するよ。
「出来ることなら、裏などなく孤児たちが幸せに暮らせる、そんな場所だといいんだが、そうにもいかないだろうな……」
身寄りのない不幸な子供が、未来に希望を持って生きていける世界。
それは理想であるが、この闇が支配する土地では到底叶わぬ話だと。
自身も貧民街で育ったクゥーカ・ヴィーシニャ(絡繰り人形・f19616)は、これまで厳しい現実を目の当たりにし、過酷な環境を生き抜いてきた。
だからこそ、教会が謳う理想世界の価値観を、最初から信じようとは思わない。
まずは調査をするに当たって、聞き込みから始めようとするクゥーカだが。孤児として接触するには年齢的に難しい。それならと、入信希望者として教会に赴くことにした。
「ここだけ被害を受けないなんて、ヴァンパイアが恐れるほどの何かがいるか、もう既にヴァンパイアに支配されているかのどちらかだよね」
クゥーカの意見に同意するかのように、幻武・極(最高の武術?を追い求める羅刹・f00331)が言葉を紡ぐ。
どちらにしても、厄介なモノが潜んでいるに違いない。そう睨んだ極は、不敵な笑みを覗かせながら、フォローは任せてほしいとクゥーカに告げる。
「私は抱える悩みや罪なんてないけど……朝日が昇る希望のある世界にしたら、吸血鬼が入信しないといけなくなるわね!」
一方、ルカ・ウェンズ(風変わりな仕事人・f03582)は入信希望するにも、理由は特に見当たらなくて。代わりにクゥーカを支援すべく、偵察役に名乗りを上げる。
「ここはあなたが内部に忍び込み、手がかりを探すのよ」
ルカが話し掛けているのは、彼女が両手で抱えたぬいぐるみ。
どこか寂しそうで頼りなさげな表情をしたぬいぐるみに、何かを頼むように話すルカ。
「大丈夫! 見つかっても貴方なら、勝手に動き回るぬいぐるみと思われるだけだから」
どうやら彼女は、そのぬいぐるみを使って教会の中を調べるつもりでいるようだ。
「大丈夫! 大丈夫! 吸血鬼や異端の神々がいる世界だし、貴方は勝手に動き回るぬいぐるみで、猟兵じゃないから。心配ないわ!」
ルカの言葉に、却って心配そうな表情を浮かべるぬいぐるみ。いや、それは単に元からなだけなのかもしれないが。
そんな二人(?)の様子を傍から見れば、単にぬいぐるみと会話しているだけの、少し変わった不思議な人だと思われそうだ。
「……とにかく、俺は教会の方に行ってくるから。そっちは偵察、よろしく頼んだ」
「ボクも隠れて潜伏するから、何かあったら伝えるよ」
これ以上怪しまれてはいけないと、クゥーカはそう言い残し、足早に教会に出向いて、修道女との接触を試みる。
次いで極もオーラを発して気流を纏い、姿を透明化させてクゥーカの後を付いていく。
「仕方がないわね。それじゃ私は、『この子達』を使って中の様子を探ってみるわ」
教会に向かうクゥーカと極を見送りながら、ルカが力を発動させる。
すると彼女の周囲に、羽根を生やした小さな虫の群れが集まってくる。
ルカが召喚したのは、昆虫型の機械生命体。彼女は偵察用にそれらを飛ばして、二人を追跡しながら教会への侵入を図るのだった。
――それからクゥーカと極と、ルカが飛ばした虫達は、難なく教会内に忍び込む。
クゥーカは入信希望者を装いながら修道女に近付き、注意を引こうと声を掛け、悩みを打ち明け、祈りを捧げる。
家族を失くし、たった一人で生きていくのが苦しく、辛くて――告解するクゥーカに、修道女は微笑みながら、もう心配ありませんから、と優しく諭す。
「洗礼を受ければ、その苦しみからすぐに解放されます。貴女は……如何なさいます?」
辛ければ、逃げ出したって構わない。ここは救いを求める人の、希望の場。
そして世界を絶望から救ってくれる、導き手。それこそ修道女達が信じるカミサマだ。
幸せ溢れる笑顔で、神の素晴らしさを説く修道女。だが一体、どうしてそこまで信じているのか、クゥーカは全く想像できない。
とは言え、今は誘いを受け入れなければ、ここから先へは進めそうにもない。
手を差し伸べる修道女に、従うようにクゥーカが大きく頷くと。
答えに満足したのか、修道女は手を礼拝堂の奥に向け、どうぞと促し、クゥーカを秘密の部屋に案内する。
――その一部始終を見守る極は、溜まる疲労を堪えて息を漏らし、休む間もなく気配を殺して足を進める。
更に彼女の背中を追うように、一匹の虫が羽搏きながら、奥の部屋へと入っていった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
明日知・理
服装はTPO順守
入信希望者を装う
──その際は、「弟妹たちを救えなかった」と懺悔
これは仕事だ
形だけでも赦しを乞わねば
だが、俺にそんな資格はないから
我ながら白々しい乞いは知らず声が微かに震えた
大人の目に極力触れないよう目立たず行動をし、子どもたちに接触を図る
…だが、例えば転んで怪我をしてしまった子等がいれば、其方を優先。応急処置を施す
「もう大丈夫だ」
もし彼らと仲良くなれたのなら情報収集をさり気なく
最初は日常的なものから、時折「何か不思議に思ったことはないか?」と探りを入れる
_
(理自身も孤児院の長兄役だった
子どもが好きで慈しむ
彼らと接する表情は穏やかで優しいことは本人は無自覚
アドリブ歓迎)
ジナイーダ・クロハネ
※アドリブ・連携歓迎
方針:SPD
久々にコッチの世界に来たな……。まあ、地元からは遠いか……。
それはさておき、この手の状況は大体裏がある。その裏を昔はやってたからよくわかる。……その頃の罪が消えないってわかっちゃいるけど、今救える分からは絶対に目を逸らさない。
孤児院が怪しいのは誰の目が見ても明らか。これがブラフ、とは考えにくい。吸血鬼なんで大抵はそうやってヒントを出して、近づいた人間を食らうのが娯楽みたいなもんだし(経験談かつあくまで個人の見解)。
まあ、裏道を探すのもアリだけど、私にそこまでの脳はない。ただ愚直に修道院に潜入するしかない、かな。
コノハ・ライゼ
子供は幸せでなくてはいけない
あの人がそう言ってた、気がするから
入信希望者を装って近付くヨ
身を隠す格好で人目を避けるように
赦しを乞えると聞きました
罪を赦されなくていい
全部打ち明ける事に、どうか赦しを
僕は自分が生きる為に人を殺めました
誰にも言えず隠れ暮らして……
生きる為だったのに、その重さに耐えられない
救われるなら、死をもってでも
ーーナンてモノは言い様ネ
聞けるなら修道女に話し掛け
悟られぬよう様子を探ってみよう
協会に入れたなら【黒管】放ち
閉ざされた場所など怪しい所を探すわ
子供が笑って暮らしている
あの子達は僕のように絶望しないですみますか
幸せな、大人になれますか
態度、状況を観察し『情報収集』しとくよ
吸血鬼の支配下にある、暗澹とした深き夜の世界。
ジナイーダ・クロハネ(叛逆のワタリガラス・f18962)は周りの景色を懐かしむかのように見回しながら、ふぅ、と軽く息を吐く。
「久々にコッチの世界に来たな……。まあ、地元からは遠いか……」
この闇に覆われた世界で生まれ育ち、とある村にてオブリビオンの配下であった過去の自分。しかしある時、領主の許から逃亡し、今では猟兵として、オブリビオンを討つべき立場になっていた。
あれからこの地に足を踏み入れることなどなかったが、久方振りに故郷の世界に帰ってきても、真っ先に思い出すのは――討つべき敵たるオブリビオンの貌。
だが今度の事件はまた別で、今はそちらに専念すべきと気を引き締め直すジナイーダ。
「この手の状況は大体裏がある。その裏を昔はやってたからよくわかる。……その頃の罪が消えないってわかっちゃいるけど、今救える分からは、絶対に目を逸らさない」
力に屈し、命じられるがままに、多くの悪事に手を染めてきた。それが例え自分の意思に反するとはいえ、罪を犯した過去は拭えない。
当時の罪滅ぼし、というつもりはない。それでも嘗ての過ちを、二度と繰り返さぬよう――ジナイーダの瞳は真っ直ぐに、目的地の孤児院を見据えるのだった。
「ここが怪しいのは誰の目が見ても明らか。これがブラフ、とは考えにくい。吸血鬼なんで大抵はそうやってヒントを出して、近づいた人間を食らうのが娯楽みたいなもんだし」
過去の経験則から、吸血鬼がこの場所を根城にしているはずと推測するジナイーダ。
だが潜入への裏道探しの方法までは、思い浮かばず。ここは愚直に正攻法で進もうと、黒いマントで身を覆い、その足を教会へと向けた。
「そう、これは仕事だ。形だけでも赦しを乞わねば。……だが、俺にそんな資格はないんだけどな」
入信希望者を装い、教会への潜入を図る明日知・理(月影・f13813)。
我ながら白々しいとは思いつつ、発する声は微かに震える。
ふと孤児院の方に目を遣れば。妙な懐かしさを覚え、感慨に耽ってしまいそうになる。
まずは赦しを乞いに、教会へ向かうべきはずのその足は、気が付けば孤児院側へと踏み出していた。
そして理の視線の先には、孤児院の庭で楽しそうに遊ぶ子供達がいた。
彼らはここに暮らしている孤児達だろうか……そんな風に考えながら、理が子供の方を見ていると。その内の一人の男の子が転んでしまい、膝を擦り剥いてしまって涙ぐむ。
「おっと……これはいかんな」
目の前で子供が怪我をするのを放っておけなく、理はその子の近くに急いで駆け寄り、応急処置を施した。
消毒薬を塗って包帯を巻き、「もう大丈夫だ」と言って子供の頭を優しく撫でる。
すると今にも泣きそうだった少年は、すっかり笑顔になって、「ありがとー」と元気な声でお礼を言う。
更には一緒に遊んでいた他の子供達も、理の周りに集まってきて。彼らと仲良くなった理は、さり気なく話を聞き出すことにした。
最初は何気ない日常的なものから始まって、そうして調子を掴むと次第に探りを入れていく。
「この孤児院、いや、教会の方でもいいんだが。何か不思議に思ったことはないか?」
理の問いに、子供達は皆、首を傾げて考え込んで。やがて一人の子供が、口を開く。
「そーいえば、あのきょうかいにはね。『ひみつのちかしつ』ってのがあるみたいなの」
それは噂話に過ぎないが――その地下室ではカミサマが、子供達の為の、本当の楽園を創っているらしい。
「いつかこのせかいは、ほろぶんだって。でもカミサマが、わたしたちのすむところを、ちゃんとつくってくれているって」
一通りの話を聞いた理は、軽く微笑みながら、子供達にお別れを告げて教会に向かう。
自身も嘗ては孤児院で、育ったからこそ――彼にとって今度の事件は、他人事では決してない。
――あの時、救えなかった者達に、報いる為にも。
入信希望者を装い、教会に近付く者がまた一人。
コノハ・ライゼ(空々・f03130)は身を隠すようにフードを目深に被り、人目を避けるように教会の中に入り込む。
そこで待っていたのは、穏やかな笑みを浮かべる修道女。コノハは彼女と対面すると、一礼しながら抱える悩みを打ち明ける。
「……赦しを乞えると聞きました。罪を赦されなくていい。全部打ち明ける事に、どうか赦しを」
伝える口調も、表情までも真剣で。深刻そうな様子でコノハは尚も話を続ける。
「僕は自分が生きる為に人を殺めました。誰にも言えず隠れ暮らして……生きる為だったのに、その重さに耐えられない」
――救われるなら、死を以てでも。
重々しく口を開いて語るコノハに、修道女は黙って話を聞きながら。やがて彼の悩みを救わんと、神の教義を説き始める。
「貴方のような人を、私達は望んでいました。罪に苦しめられてるのなら、罪から逃れ、神の御心を受け入れて下さい。そうすれば、楽園への道は開かれます」
慈愛に満ちた笑顔で、諭すように話す修道女に。コノハは内心ニヤリとほくそ笑み、本音を悟られないよう様子を探る。
モノは言い様なのだと、お調子者の嘘吐き妖狐は、修道女の言葉に感動したかのように身体を震わせ、迷える哀れな子羊を、更に演じ続けて話を聞き出す。
「子供が笑って暮らしている。あの子達は僕のように絶望しないですみますか。幸せな、大人になれますか」
「ええ、心配なさらずとも、子供達も貴方も、カミサマが幸せな世界に導いてくれます。そう、この絶望しかない今の世界は――何れ終わりを迎えますから」
そう告げる、修道女の笑顔に、コノハは一瞬、恐怖を感じて思わず背筋が凍りつく。
やはりここでは何かを企んでいる。彼の第六感が、危険を直感的に訴えてくる。
それではどうぞ、と奥へ促す修道女に倣って、コノハは後を付いていく。
その間際、気付かれないよう、指先程の小さな黒い管狐を召喚させて、自身と五感を共有し、教会内を隈なく調べるのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
カビパン・カピパン
「入信を希望致します」
例の孤児院を運営している教会に真正面から堂々と訪問。
ライバル教団なれど、民衆から支持を集め精神的指導者としてトップに君臨する女教皇が、突然入信を希望しにきたら、それはもう動揺するだろう。
徹底した情報統制を図り、近隣の村々からも支持を集めていく堅牢な相手には自分という手土産ぶら下げて、中に入ってしまえばいいと考えたのである。
教会の修道女達には、本性を出し如何に自分が適当に教皇位を継承されたかなど、インサイダー情報や本音の悪口を伝え、警戒心を解く。
優美にして清廉、威厳とカリスマで人々を導くと伝わってきた彼女の本当の姿を見た修道女達は警戒云々よりもきっと驚愕することだろう…
オブリビオンに脅かされる世界にあって、『この場所』だけは特別で。
本当に神の加護でもあるのだろうかと、そう疑いたくなるような其処は、正に別天地。
一歩足を踏み込めば、色とりどりの花咲く庭が、訪れる者を出迎えて。
花の小径に導かれ、進んだ先には、荘厳とした煌びやかな教会が、訪問客を待っているかのように聳え立つ。
「入信を希望致します」
真正面から堂々と、カビパン・カピパン(女教皇 ただし貧乏性・f24111)は教会の扉を開けて訪問し、中にいた修道女と目線が合うなり、開口一番、そう告げた。
とある教団に崇め奉られ、民衆から支持を集めて教皇位を継承し、精神的指導者として君臨してきた奇跡の聖女。
そうしたカビパン自身の経歴を、口にせずともその立ち振る舞いや雰囲気で、徒ならない何かを察した修道女は、彼女の側に歩み寄り、どうぞと手を差し伸べながら、奥の告解室へと案内をする。
――それでは話を伺いましょう、と。
微笑み浮かべた修道女は、カビパンの瞳を真っ直ぐ見つめ、優しい口調で理由を問う。
「私が教団のトップになれたのも、本当の自分を偽って、彼等の望む『私』を演じてきただけのこと。真面目で優美で清廉で、如何にも聖女様っぽく振る舞っていりゃあ、向こうが勝手に崇めてくれる」
物腰が柔らかくて丁寧で、心優しい聖女の姿は、そこにはない。
女教皇としての仮面を脱ぎ捨て、自身の怠惰な本性を表に出した、今のカビパンこそが本当の彼女の姿だろう。
威厳もカリスマすらも感じない、赤裸々に自分の心を語るカビパンの言葉に、修道女は警戒心を抱くことなく、真剣に耳を傾けながら、一通りの話を聞き終えた後。
「……貴女の心の悩み、確かに聞き入れました。今までさぞ辛かったことでしょう。我らが神に赦しを乞うなら、『洗礼』を受け入れることはできますか?」
そう問い掛ける修道女に、カビパンは口元を吊り上げながら、小さく一つ頷いた――。
大成功
🔵🔵🔵
マツリ・アンダーソン
あたしは入信希望者を装って洗礼を受け、教会内部から情報を集める。
「あたしの罪を告解します。
パパに命じられるまま、たくさんの人を傷つけて、その命を奪いました。
でも、信じてください!本当は殺したくなんてなかったんです‼︎
お願い、どうかあたしを赦して……」
相手を油断させるため、肩を震わせ泣きながら……ああ、これはただのお芝居のはずなのに!
でも、[聞き耳][暗視]で辺りの様子を窺うことも忘れない。
情報を聞き出すのは、最近の入信者から。偽物の教会なら、教義に迷う人もいるはずよ。誰かに疑われたら[吸血][誘惑]で魅了して急場をしのぐわ。
本当のカミサマがいたなら、あたしの罪も赦されるのかな……。
ヴァンパイアの支配を逃れ、孤児達が平穏な日々を送る楽園のような場所。
その地を管理している教会に、一人の少女が救いを求めて訪れる。
ゴシック調の衣服に身を包み、黒い外套を羽織ったマツリ・アンダーソン(大人になれない咎人殺し・f07765)が、修道女の前で跪き、自身の罪を打ち明ける。
「あたしの罪を告解します。パパに命じられるまま、たくさんの人を傷つけて、その命を――奪いました」
マツリの口から語られるのは、衝撃的な告白だった。
これまで多くの人を殺めたなどと、その内容に修道女の表情が険しく曇り、憐れむような眼差しを、マツリに向けつつ、静かに黙して彼女の話を更に聞く。
「でも、信じてください! 本当は殺したくなんてなかったんです!! お願い、どうかあたしを赦して……」
肩を震わせ、泣きながら、マツリは犯した罪の赦しを、神に乞う。
だがこれは、相手を油断させるが為の演技であった――筈なのに。
嗚呼――ただの芝居である筈が、内なる想いが堪え切れずに溢れて止まず。流す涙は、心の底から湧き出る、彼女自身の偽らざる後悔。
そうして本当の心を曝け出したことが、却って功を奏したか。修道女はマツリを疑うことなく、彼女の気持ちを受け入れる。
「今までよくぞ耐えて下さいました。でも安心して下さい。我らの神が、貴女の全ての罪を赦してくれることでしょう」
薄っすらと笑みを携えながら、修道女はマツリに『洗礼』を受けるようにと促した。
「本当にカミサマがいるのなら、あたしの罪も赦されるのかな……」
ぽつりと呟く一言は、紛い物だけの世界にあって、それでも僅かな望みを捨て切れない――マツリ自身の、迷える心の声だったのかもしれない。
大成功
🔵🔵🔵
フリージア・カットラス
(絡み・アドリブOK)
【POW】
心情:この世界でヴァンパイアに襲われない平和な場所なんてある筈が無い。
なにか裏があるに違いない、信じれば救ってくるカミサマなんていないんだ。
行動:教会や孤児院にいる子どもたちに話を聞きに行きます。
実際にそこで生活をしているのなら何か見聞きしているかもしれない。
「この場所での生活について聞きたいんだが」
子どもたちに質問をする際は屈んで目線を合わせ圧迫感を与えないようにします。
可能であれば教会が具体的にどんなものを信仰しているのかまで知りたい。
レテ・ノートス
猟兵として初めての仕事で、内心は少し不安している
聖女になり損ねた自分は、まだ人々を救う力が残っているのか?
修道女に声をかけて、救いを求める者のふりをする
ふりをする…と言っても、気持ちは本当なもの
何度もしてたように、跪いて目を瞑って祈る
ただし、「カミサマ」へじゃなくて、ずっと信じていた神様へ
かつて私もこのように、人々を救うために、自分を磨き上げ続けていたけど
もしかして、神様はもう私を見捨てたのでしょうか
神様にはまだ、私の信仰が届けるのでしょうか
教えて神様、私は、これからどうすればいいんでしょうか
後は職員たちに施設の紹介をしてもらう
不自然だと思う所、禁止された所を夜にこっそり調べる
「この世界でヴァンパイアに襲われない平和な場所なんてある筈が無い。なにか裏があるに違いない、信じれば救ってくるカミサマなんていないんだ」
ヴァンパイアの圧政に苦しめられるダークセイヴァーで、そんな都合のいい話がもしもあるなら――。
フリージア・カットラス(人狼のブレイズキャリバー・f06651)は故郷の村を吸血鬼の戯れによって滅ぼされたが故に、施設の存在自体に大きな疑念を抱くのは、当然のことと言えるだろう。
ここに吸血鬼が関与しているのなら、それこそフリージアにとっては赦し難く、だからこそ余計にその正体を付き止めたい。そんな逸る心を抑えつつ、まずは調査の基本となる聞き込みから、と。施設で働く人達に、直接話を聞くことにした。
「……聖女になり損ねた自分でも、まだ人々を救う力が残っているのでしょうか?」
一方、レテ・ノートス(待宵の蓮・f17001)はある教団によって聖女候補として育てられてきた過去を持つ。
しかしその教団が覆滅したことで、レテは晴れて自由の身となった――が、外の世界を知らない彼女は居場所も努力の意味も失ってしまい、今は宛てなく彷徨う身でしかない。
レテは救いを求める者を装いながら調査をするが、気持ち自体は『ふり』ではなくて、偽らざる彼女自身の本心だ。
猟兵としての仕事はこれが最初で、不安な様子のレテを見て。フリージアは折角だから自分も付き合おう、と一緒に同行するのであった。
最初に教会に足を運んだレテは、嘗て育った教団でしていたように、跪いて瞑目し、静かに祈りを捧げるのだが。その対象はこの教会の『カミサマ』ではなく、彼女がずっと信じていた神様へ。
その間、フリージアは教会の修道女に、ここはどういう神を信仰しているのか、訊ねて聞くと。
「カミサマは、皆様が幸せになれる楽園を創って、そこに人々を導いてくれるのです」
修道女の言葉をフリージアは訝しく思うも、顔には出さず。ただ黙って頷きながら、今度は建物内を見回した。
内部の礼拝堂は荘厳で煌びやかな装飾が施され、立派な造りをしているようだ。
その光景を映す彼女の瞳は、左目のみで。右目は吸血鬼に村を滅ぼされた時に奪われてしまい、その日から、疵を隠すように眼帯を常に付けている。
――やはりここには、何かが隠されている。
立派過ぎると言える豪奢な礼拝堂を見る度、失くした右目に疼きを感じるフリージア。
得体の知れない存在の、気配を感じて身震いしつつ、ふとレテの方へと視線を移す。
「かつて私もこのように、人々を救うために、自分を磨き上げ続けていたけど……もしかして、神様はもう私を見捨てたのでしょうか」
今は自分自身の存在価値すら見出せず、ひたすら救いを求めるオラトリオの聖女。
この信仰が、神様にまだ届られるなら――。
「教えて神様、私は、これからどうすればいいんでしょうか」
レテの悲痛なまでの心の叫びも、彼女が信じた神には、届くことはない。
その時、修道女がレテの近くに歩み寄り、彼女に優しく言葉を掛ける。
「かなり悩まれているようですね。ですがここで『洗礼』を受けられるなら、貴女の望む聖女にだって、なれますよ」
緩やかにウェーブがかった輝く銀の長髪に、咲いた白い蓮の花が微かに揺れる。
もしこの誘いを受けてしまえば、それは自分の神様を裏切る行為になってしまう。とはいえ事件の真相に、迫る為ならその方法こそが一番の近道かもしれない。
後は禁忌の領域へ、足を踏み出す覚悟と勇気を、自分の意志で示すだけ――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
リオン・エストレア
【紅蒼】で参加。アドリブ〇
教会…孤児院…どうしても懐かしい雰囲気だ。
俺はなぜこんな風景を覚えているんだ…?
俺は神を信じない。けれど、彼らは…
ルーチェ…ここで話を聞いてみよう。
お前ならきっと皆も話してくれる。
それにここの事だけじゃない。
俺の事も…思い出せそうな気がする。
孤児たちが怖がらないように、しゃがんで同じ目線で、柔和な表情で話しかけるとしようか。
【コミュ力】も一応あるからな。
本当にそれが神への信仰なのか。
それとも、虚偽なのか
見定めなければならないはずだ。
その裏に吸血鬼が蠢くのなら…
その時は、この手で葬る。
それが俺の…青い血の約定なのだから。
…俺は、何を言っているんだ…?
ルーチェ・ムート
【紅蒼】アレンジ◎
楽園
過去が胸を焼く
檻の中、ボクと“彼”だけの世界
言葉も知識もなく歌うだけの日々
何も知らないからこその完結された世界は楽園と呼べたかもしれない
“彼”が外で残酷な吸血鬼として在る事も知らなかったんだから
もしこの孤児院が閉鎖された偽りの楽園だとしたら
この子達はどれほど傷付くんだろう
過去の自分と重ねてしまいそう
リオン、子供達に話を聞こうか
キミは優しいから、きっとみんな話を聞かせてくれる
ボクも声をかけよう
ねえ、この場所について少し教えてくれないかな?
ぱっと白百合の花束を創造して興味をひこうか
幸福を与えてくれるカミサマなんて居ない
本当に居るのなら
“彼”はボクをかみなどと呼ばなかっただろう
親を亡くした孤児達を、善意で養い、慈悲を施す楽園のような場所。
吸血鬼に支配された世界にあって、その孤児院だけは闇の恐怖に脅かされず、平和な日々が営まれている。
「教会……孤児院……どうしても懐かしい雰囲気だ。俺はなぜこんな風景を覚えているんだ……?」
荒寥とした大地が広がる景色の中に忽然と、聳える豪奢な造りの教会を、一瞥しながらリオン・エストレア(蒼血の半魔、昏き蒼焔の残響・f19256)は妙な既視感に囚われていた。
天涯孤独にして、故郷も記憶も失くしたダンピールの少年は、昔のことなど全く知らないはずなのに。
何だか不思議なものだと思案する、彼の横ではルーチェ・ムート(无色透鳴のラフォリア・f10134)が愁いを帯びた表情で、佇みながら目の前にある孤児院を静かに眺める。
過去の記憶が胸を焼き、締め付けられるような苦しい想いに駆られる少女。
「檻の中、ボクと“彼”だけの世界。言葉も知識もなく歌うだけの日々――」
ルーチェの脳裏を過ぎるのは、昏く閉ざされた虚ろな牢獄。
外の世界を知らない儘にただ生きて、囚われた籠の中の鳥でしかなかっただけの自分。
「何も知らないからこその完結された世界は、楽園と呼べたかもしれない。……“彼”が外で残酷な吸血鬼として在る事も、知らなかったんだから」
もしこの孤児院が、閉鎖された偽りの楽園だとしたら。そこで生活している子供らは、果たしてどれだけ傷付くのだろう。
ルーチェは嘗ての自分と孤児達を、重ね見ながら彼らの未来を儚み、憂う。
このまま放っておいてしまえば、きっと彼らも苦しむだけだ。だからボク達で、それを終わらせないと――。
「リオン、子供達に話を聞こうか」
「ルーチェ……ここで話を聞いてみよう」
二人は同時に互いを呼び合い、言葉を交わす。
どうやら考えていたことは一緒のようで、それならと、迷うことなく向かった先は、色鮮やかに花が咲き誇る庭だった。
そこで庭の手入れをしている子供に、リオンが目線を合わせるように身を屈め、柔和な笑みを浮かべて声を掛ける。
「ちょっと話をしても、いいかな?」
「うん? おにーさんたちは、だーれ?」
見知らぬ二人に呼ばれた子供は、不思議そうな顔をしながら、目をパチクリさせて二人の顔をじっと見る。
「ねえ、この場所について少し教えてくれないかな?」
次いでルーチェが口を開いて、優しい声色響かせ、子供に訊ねる。
自分達は旅をしていて、ふらりとここに立ち寄ったのだ、と。
「じゃあおにーさんたちは、たびびとさんなんだ。すごーい!」
普段は子供同士以外は教会の修道女としか会わない彼らにとって、リオン達のように外から訪れる者の存在は、興味の的で目を輝かせながら、喜び燥ぐ。
それから二人は暫く子供と会話して、彼らが信じる『カミサマ』は、教会の誰も知らない秘密の場所から、この孤児院を守ってくれていると云う。
答える子供の素直な様子に、どうやら嘘は言っていないと、二人は判断しながら子供にお礼を言って、その場を離れ、後にした。
「俺は神を信じない。それに彼らの信じる神も、おそらく……」
その背後に蠢くのが吸血鬼なら、その時は、この手で葬り去るだけだ。
「それが俺の……青い血の約定なのだから。……俺は、何を言っているんだ……?」
打倒吸血鬼の誓いを立てて、握り締めた拳を開いて、ふと見つめ。無意識的に発した言葉に、違和感を抱くリオン。
どうしてそんなことを言ったのか、首を傾げて考え込む彼の姿を、ルーチェは心配そうに見守りながら、今度はその目に教会を映す。
「幸福を与えてくれるカミサマなんて居ない。本当に居るのなら、“彼”はボクをかみなどと呼ばなかっただろう」
あの教会の中に潜んでいるのも、きっと紛い物の神様だ。
だったら、今のボクらが為すべきことは、唯一つ――。
決意の炎を燃やすが如く、ルーチェの瞳は爛々と、赤く眩く耀いていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
マリス・ステラ
ワルゼー様(f03745)と参加
「主よ、憐れみたまえ」
『祈り』を捧げて孤児院を訪ねます
「巡礼の旅をしているマリスと申します」
挨拶をして、子供の世話や雑用など手伝いたいと申し出る
共に祈りを捧げたり、お話を聞けたらと思います
「教祖……いえ、ワルゼー様はいかがなさいますか?」
修道女達が気になるという話なら頷く
「しかし、何か企みがあったとしても、仮初めの安らぎだとしても、子供達に罪はありません」
私は彼女達の事を知りたいです
闇には光が寄り添うと信じたいから
「夜と闇に覆われたこの世界で、子供達の笑顔こそが光ではないでしょうか?」
あるいは彼女達が吸血鬼と繋がっていたとしても
私は甘いのかもしれませんと儚く笑う
ワルゼロム・ワルゼー
WIZ
マリス殿(f03202)と参加
巡礼の旅と称するマリス殿の伴を名乗ろう
本来、異教の主である此方が入れそうな場所ではないからな…
彼らの前では教祖の単語を出さないよう、マリス殿にも言い含めて置かねば
「我は修道女たちから、それとなく話を聞き出してみる」
【コミュ力】を活かし、修道女たちの手伝いをしながら情報を収集しよう
この教会だけが魔物に脅かされない理由は、決して神の加護などではあるまい
裏で動いている何かがきっといるはず
手に入れた情報についてはマリス殿と共有
「どの時代にも信仰の裏に陰謀あり、である」
だが、陰謀が無辜の民に害を及ぼし、それを理解して加担しているのであれば
我は根絶やしにするぞ、奴らを
孤児達が何不自由なく、平和に暮らせる幸せな世界。
だがヴァンパイアが支配を続ける彼の地に於いて、近隣の村は被害を受けているのに、孤児院の一帯だけには手を出さない。果たしてここに、何があるというのだろうか。
全てが謎に包まれた孤児院に、荘厳な衣を纏った二人の女性が、ふらりと立ち寄る。
「――主よ、憐れみたまえ」
此の地に足を踏み入れるなり、マリス・ステラ(星を宿す者・f03202)は祈りを捧げ、周囲をぐるりと見回して。ここで働く修道女らしき人物が、視界に入るとマリスは恭しく一礼しながら名前を名乗る。
「巡礼の旅をしているマリスと申します」
「我はお伴のワルゼロム。彼女と一緒に、各地を巡礼している最中である」
マリスに合わせるように、ワルゼロム・ワルゼー(枢機卿・f03745)も一緒に挨拶すると、修道女は二人に祈りを捧げるように会釈を交わし、ご苦労様です、と彼女達の訪問を歓迎するのであった。
そうして二人は修道女と、和やかに歓談しながら、子供の世話や雑用などを手伝う事ができたら、と。そうしたマリスの申し出に、修道女は嬉しそうに笑顔を浮かべるものの。
「お気持ちだけは、ありがたいのですが」
どうやら入信しない限りは、更なる奥に踏み込めそうもないようだ。
「それならせめて教会で、子供達の為に祈らせてもらないでしょうか?」
直接手伝えないなら、巡礼者としてできる最低限のことをするしかない。
マリスの真摯な気持ちに、修道女もそれなら、と彼女を教会の中に招くのだった。
「教祖……いえ、ワルゼー様はいかがなさいますか?」
本来ならばここに立ち入ることすら危ぶまれそうな、異教の主であるワルゼロムのことを気遣ったのか。マリスはすぐに言い直し、後の予定を訊ね聞く。
「我は外で修道女達から、それとなく話を聞き出してみる」
小声でそっと、マリスに耳打ちをするワルゼロム。
修道女達のことが気になるのなら、それで構わないとマリスは小さく頷いて。
「しかし、何か企みがあったとしても、仮初めの安らぎだとしても、子供達に罪はありません」
親を亡くした子供にとっては、彼等もむしろ被害者なのだと言えるだろう。
それだけは心に留めてほしいとマリスは願い、二人はそれぞれ別行動で情報収集を行うことにした。
この教会だけが魔物に脅かされない理由は、決して神の加護などではないはずだ。
裏で動いている何かがきっといる、どうにかその尻尾だけでも掴むことができないか。
そう考えながらワルゼロムは、この教会から感じる違和感が、何であるのか小さな疑問が頭に浮かぶ。
「ここは入信希望者を受け入れていると聞く。しかし見たところ、男性の姿は見当たらないみたいであるのだが」
教会で働いているのは修道女のみで、男性はこれまで一人も出会ってすらいない。
入信するのは男性だっているはずだ。なのに彼等は一体どうしてどこにもいないのか。
その問い掛けに、修道女は笑みを崩さず、たった一言。
「男性達はまた別に、大事な仕事を任されていますから」
それだけ言って、そこから先は口を閉ざして話そうとしない。
ワルゼロムもこれ以上は聞くのを止めて、修道女に礼を述べると、その場を去って再びマリスの許へと向かっていった。
「どの時代にも信仰の裏に陰謀あり、である」
やはりこの場所には何かある。疑問が確信へと変わった瞬間、ワルゼロムは強く決意を抱いて、裏で蠢く存在を、必ず倒してみせると気勢を上げる。
陰謀が無辜の民に害を及ぼし、それを理解して加担しているのであれば――。
「我は根絶やしにするぞ、奴らを」
その一方で、マリスは礼拝堂でひたすら祈り、願う。
闇も光も、どちらも互いを失くしては、存在できないものだから。
闇には光が寄り添うと、ずっと信じていたいから。
「夜と闇に覆われたこの世界で、子供達の笑顔こそが光ではないでしょうか?」
或いはヴァンパイアと繋がっていたとして、今の気持ちが変わろうことは決してない。
――そんな私は、甘いのかもしれません。
まるで告解するかのように、心の中で囁きながら。儚い笑みが、零れて落ちた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
舘林・祀
ふぅん、ありえない幸せを享受する孤児院……か。
ダークセイヴァーのヴァンパイアたちとも戦いたかったけど、この孤児院もすごくきな臭い
教会の「神様」とやらに、ぜひ会ってみたいものね
アタシは孤児っていうには身なりが整いすぎてるかしら?
じゃぁ、信者の方でいかないとね。理由は、っと……
より強くなるためにはどうしたらいいですかー?は流石にまずい、かな?
無難にこの世界の救いのなさに絶望して―、とかにしておきましょうか
うーん、あんまり嘘つくの得意じゃないんだけどなー
ばれる前に、孤児の子たちに話を聞いてみましょ
君たちは、神様に会ったことはある?とか
怖い化け物に襲われたりしたことはないの?とか
さて、何が出てくるやら
昏森・幸恵
……確かに、臭う。首筋に怖気が走る。
けれどこの穏やかな光景は……暴くべきものなのかしら。
いえ。……私はただ、恐ろしいと思ったものを、その裏を。
知らずにはいられないだけだから。自分が狂わないために。
情報収集は正面から。
活動の内容や施設の状況、教義などについて修道女に質問してみるわ。
入信希望ではないけれど、寄付は受け付けているの?
子供達は何人くらい居るのかしら。世話は大変でしょう。
一番年長なのは……そも、どのくらいの歳までここに居られるの?
あとは入信した人、一般信徒もここに?
子供達にも話を聞き、修道女から聞いた話とすり合わせる。
それで何か見えてくるものがあれば。
願夢・貴宝
何者にも奪われる事のない理想郷か
真実ならばそれは本当に楽園だろう
それこそ俺のような者には未来永劫縁の無い場所だ
本当に楽園であるのなら、な
【暗技・凶鳥】を以て己が存在全てを闇に溶かし内部に侵入、情報収集だ
多数の子供、救いを求めて来た信者
元より教会に居住する修道女達
決して馬鹿にならん人数だ
これ程の人が一箇所に集まれば衣食住の維持は困難を極める
周囲の村が圧政を受けている以上援助で賄っている事は無いだろう
故にそこを探る
まともに食事をした形跡があるか
受け入れられた者ら全てが本当に居住しているか
皆まともな衣服を着用しているか
場合によってはこの教会にいる人間は猟兵のみという可能性もある
探索は入念に行っておく
「ふぅん、ありえない幸せを享受する孤児院……か」
人々がヴァンパイアに圧政を強いられる中、舘林・祀(一拳十殺・f24918)の瞳に映る孤児院は、まるで別世界のような光景が広がっていた。
「一体どうすれば、こんな生活を送られるのかしら。外には苦しめられてる人達が、沢山いるっていうのにね」
若干呆れた様子で、この一見幸せそうな景色を眺める祀。
「何者にも奪われる事のない理想郷か。真実ならばそれは本当に楽園だろう」
そんな彼女の言葉に、隣の黒衣の男が大きく頷く。
上から下まで全てを黒で統一し、素顔を隠すが如く仮面を被った願夢・貴宝(ジョン・ドウ・f23301)が、幸福を謳う孤児院に対して、疑念を抱く。
「それこそ俺のような者には未来永劫縁の無い場所だ。本当に楽園であるのなら、な」
思うところは誰もが同じと、貴宝や祀だけでなく、昏森・幸恵(人間の探索者・f24777)も二人の意見に同意する。
「……確かに、臭う。首筋に怖気が走る。けれどこの穏やかな光景は……暴くべきものなのかしら」
子供達が幸せそうに笑顔を振り撒き、楽しく過ごす平和な世界。
しかし闇が支配するこの地において、その光景は非現実的であり、日常からかけ離れた虚構の世界は異常であると言わざるを得ない。
この閉ざされた施設に隠されている真実を、探る為に三人の猟兵達はそれぞれ行動に移すのだった。
「ダークセイヴァーのヴァンパイアたちとも戦いたかったけど、この孤児院もすごくきな臭い。教会の『神様』とやらに、ぜひ会ってみたいものね」
調査の手段はいくつかあるが、祀にとって、孤児に扮して紛れ込むには、身形が整いすぎている。それなら入信希望者を装って、教会に洗礼を受けに行こうと考えてはみるが、理由が思い浮かばない。
「より強くなるためにはどうしたらいいですかー? は流石にまずい、かな? だったら無難に、この世界の救いのなさに絶望して―、とかにしておきましょうか」
嘘を吐くのは得意じゃないと、祀が頭を捻って悩んでいると。
「そちらの方は、私に任せてもらえませんか」
教会側への対応に、幸恵が名乗りを上げると、祀は渡りに船とばかりにその役割を彼女に託す。
「それなら俺は、力を以て施設の全てを調査しよう」
今度は貴宝が、持てる力を発動させて、己が存在全てを闇に溶かし、影に忍んで身を潜めるように施設の中を探る構えだ。
「じゃあ私は、孤児の子たちに話を聞いてみましょ」
どうやら方針は決まったようだ。それから三人は、暫く別行動を取って情報収集を行った後、再度合流することにした。
まずは孤児院に向かった祀が、丁度外で遊んでいる子供達を見つけて、声を掛ける。
「ねえねえ、君たち、ちょっといい? 聞きたいことがあるんだけど」
「んー? おねーさん、だれー? もしかして、にゅーしんしゃさん?」
子供達は祀を入信希望者だと思ったか、特に疑うことなく、素直に話をするのであった。
「君たちは、神様に会ったことはある? 怖い化け物に襲われたりしたことはないの?」
この孤児院の正体を、どうにか聞き出そうと訊ねる祀。
「カミサマはね、わたしたちのことをずっとまもってくれてるの。このしたで、らくえんをつくってくれているんだよ」
子供達の言う神様とやらは、空ではなくて、地面の下にいるのだろうか。
とにかく有益な情報を得られたと、祀は子供達にお礼を言って、これ以上怪しまれないようにと、すぐにその場を立ち去った。
その一方、貴宝は闇を纏って潜伏しながら、施設を回って調査していた。
多数の子供、救いを求めて来た信者。元より教会に居住する修道女達。
これ程の人が一箇所に集まれば、衣食住の維持は困難を極めることに違いない。しかし周囲の村が圧政を受けている以上、援助で賄っているわけでは無さそうだ。
――故に、そこを探るのだ。
まともに食事をしている形跡や、まともな衣服を着用しているか。
それに受け入れられた者らの全てが、本当にここに居住しているか。
疑わしいと思える箇所を挙げれば、キリがない。だがそれでも可能な限り調べ上げ、裏を取ることこそが、自分に課せられた役目なのだと心得て。
どこかにこの場所の真実が隠れているはず――そして貴宝は、ふと気付く。
ここで働く大人達は皆、修道女しかいない。いるべきはずの男性の信者の姿が、一向に見当たらないのはどういうことか。
嫌な予感が、脳裏を過ぎる。それが杞憂であってくれればと、心の底から貴宝は願う。
孤児院の平和な様子を眺めつつ。これから自分の為すべきことが、子供達の幸せを奪うことにならないだろうかと、生じる不安が幸恵の心を迷わせる。
「いえ。……私はただ、恐ろしいと思ったものを、その裏を。知らずにはいられないだけだから」
――ただ、自分が狂わないために。
俯き加減で足元見つめ、迷いを払って意を決し、幸恵が教会に向かって歩き出す。
情報収集を行うのなら正面から、と。
敷地に入るや否や、一人の修道女が幸恵に声を掛けてくる。
向こうから寄ってきてくれるのだったら、都合がいい。
幸恵は早速修道女に話し掛け、この教会に興味があると、思ったことを質問してみる。
「入信希望ではないけれど、寄付は受け付けているの?」
「子供達は何人くらい居るのかしら。世話は大変でしょう」
「一番年長なのは……そも、どのくらいの歳までここに居られるの?」
「あとは入信した人、一般信徒もここに?」
矢継ぎ早に訊ねる幸恵に、修道女は微笑みながら丁寧に、一つずつ問いに答えていく。
その中でも興味深かったのは、この教会における教義だろうか。
「私達の信じる『カミサマ』は、この世界に本当の『ラクエン』を築き上げ、そこに人々を導き――全ての魂を救済するのです」
言葉の真意は分からなかったが、どうやらただの孤児院というわけではなさそうだ。
後は他の仲間と合流し、話を擦り合わせれば見えてくるものがあるだろう。
そう考えながら、幸恵は暫く教会の中を見て回るのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
リーヴァルディ・カーライル
…ん。子供達が怯える事なく平穏に過ごせる楽園…ね。
それこそ私が受け継いだ誓いが果たされた姿かもしれない。
この光景が、偽りでなければ良かったのに…。
第六感が危険や殺気を感じたら解除するように設定して、
自身の生命力を吸収して力を溜る呪詛で力を封じ、
一般人と同程度まで存在感を消してUCを発動
大切な人達を見殺しにした入信者を装い潜入する
…あ、あの。この地に楽園のような教会があると聞いたのですが…。
…痛いのも、苦しいのも、もう嫌なんです。
…お願いします。私も一緒に連れていってください…。
…まあ、かつての依頼『忘れがたき死人の村』で、
この想いは既に昇華されているけどね。
…今の私にとって、この誓いは祝福よ。
壥・灰色
この幸せが何もかも本当なら、黙って放っておくさ
……だが、おれは知っている。この世界は、人間の希望を容易く踏み躙るように出来ている
『幸せに生きた方が良い味のする血になる』と、背後でヴァンパイアが糸を引いていてもおれは何ら驚かない
……仮にそうなら、ここに暮らす皆に怨まれようとも、この偽りの幸せを破壊するだけだ
現地に赴き、影の追跡者を召喚
自身は人目に付かぬ屋根の上や、物陰に隠れ、追跡者経由で情報を集める
調べる内容は主に以下
・『洗礼』が具体的にどのように行われるか
・最近、子供の数の増減がないか
・教会の全体構造。地下に監禁するための部屋などがないか
何かしら真実を掠める情報でもあれば、持ち帰り皆に共有する
「……ん。子供達が怯える事なく平穏に過ごせる楽園……ね。それこそ、私が受け継いだ誓いが果たされた姿かもしれない」
目的の地に足を運んだリーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)。
彼女がそこで目にしたものは、殺伐とした闇の世界の空気とは、無縁といっていいほど穏やかな時間が流れる場所だ。
庭には彩り豊かな花が咲き、孤児院らしき建物からは、子供達の楽しそうな声が外まで聞こえる。
「この光景が、偽りでなければ良かったのに……」
一見、平和に見えるこの孤児院も、恐らく裏があるのだろう。
「この幸せが何もかも本当なら、黙って放っておくさ……だが、おれは知っている。この世界は、人間の希望を容易く踏み躙るように出来ている」
今この瞳に映る景色は、全てが何者かによって創り出されたまやかしの世界。
壥・灰色(ゴーストノート・f00067)は表情一つ変えることなく、虚飾に塗れた楽園を、眼光鋭く睨めつける。
光射す場所には影があり、光が眩しいほどに、影も一層濃さを増し。影はそうして闇となり、やがて光を呑み込み、世界を破滅に追い遣るのだと――。
破壊を齎す為に造られた灰色だからこそ、この平和なはずの日常は、あまりに異常で、違和感だけしか覚えない。
そしてリーヴァルディもまた、第六感でこの地に潜む危険を本能的に察知する。
彼女はすかさず呪詛を用いて力を封印。無力な一般人を装いながら、教会への潜入を図ろうとする。
リーヴァルディと灰色は、互いに顔を見合わせ、無言で頷き。教会に赴く彼女の背中を見送った後、灰色は自身の影から追跡者を召喚。それをリーヴァルディの影と同化させ、自身は人目に付かないように建物の陰に身を潜め、孤児院の様子を伺うのであった。
「『幸せに生きた方が良い味のする血になる』と、背後でヴァンパイアが糸を引いていてもおれは何ら驚かない」
修道女達が孤児を世話するその理由。無償の愛と言えば聞こえは良いが、それでも吸血鬼共が圧政を強いるこの地においては、やはり裏があるとしか思えない。
子供達はただ利用され、搾取される為に飼い馴らされているだけだとしたら。
灰色が至った結論は、最も非情で残酷な、誰も救われることのない結末だ。
この先に待っているのが、想像通りであるのなら――灰色の裡に眠れる衝動が、魂震わせ、呼び醒まされて、心に強い決意を抱かせる。
「……仮にそうなら、ここに暮らす皆に怨まれようとも」
――この偽りの幸せを、破壊するだけだ。
「……あ、あの。この地に楽園のような教会があると聞いたのですが……」
近くにいる修道女を見つけ、言葉を掛けるリーヴァルディ。その姿は普段と異なり、弱々しくて。発する声も力なく、その場に身を強張らせながら立ち尽くす。
「まあ……一体どうなさいました? 良ければ話を聞きましょう」
そんなリーヴァルディを心配してか、修道女は教会の中に彼女を招いて、落ち着かせ、話に耳を傾ける。
リーヴァルディの口から語られたのは、彼女にとって掛け替えのなかった大切な、二人の娘の名であった。
自分は彼女達を見殺しにした。当時の罪を告白し、赦されたいと願うリーヴァルディ。
「……痛いのも、苦しいのも、もう嫌なんです。……お願いします。私も一緒に連れていってください……」
紫紺の瞳を潤ませながら、救いを求め、縋るような眼差しを向ける黒衣の少女。
しかしこの想いは疾うの昔に昇華され、その時捧げた誓いは、彼女にとっての祝福だ。
「……分かりました。それでは貴女には、これから『洗礼』を受けてもらいましょう」
そうとは知らず、修道女は優しく微笑みながら、救いの手を差し伸べるのだった。
――その一部始終を、灰色は影の追跡者を伝って観察していた。
修道女に促され、礼拝堂の奥の部屋へと案内されるリーヴァルディ。
部屋の扉がパタンと閉まると、彼女は目隠しをされて、修道女が手を引きながら、リーヴァルディを更に別の場所へと連れて行く。
二人が向かっていく先は、礼拝堂の奥深く――光の射さない秘密の部屋には、地下に繋がる階段があり、螺旋を描いて下っていくと、次第に明かりが灯り出す。
「さあ……それでは始めましょうか。貴女はこれから、生まれ変わるのです」
修道女の声が空間内に響き渡り、闇の中から、何かが蠢く音がする。
そこで灰色は、影を通じて視たのであった――耳障りな羽音を立てながら、どこからともなく顕れる、不気味な異形の蟲達の群れを――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『光の断罪者』
|
POW : 光の断罪者
自身に【反転した聖者の光】をまとい、高速移動と【破壊の光】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD : 主よ、憐れみたまえ
【洗脳の呪詛】を籠めた【反転の光】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【反抗心】のみを攻撃する。
WIZ : 反転の呪詛獣
自身が戦闘で瀕死になると【自身を洗脳していた魔法生物】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
イラスト:ゆゆ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
入信希望者を装い、猟兵達は教会内部の侵入を果たし、修道女の導きによって奥への道が開かれる。
地下へと続く螺旋階段を、下って行くと其処は光の届かぬ奈落の深淵。
華美に装飾された豪奢な造りの教会の、真下に在るのは――対照的なまでに、不気味さ漂う巨大な空洞。
教会独特の、静謐で、神聖なる雰囲気が微塵も感じられない、この場所は――禍々しい邪教の巣窟、そのものだ。
「ここより先は、我らの神が住まう場所。これから貴方には、生まれ変わって頂きます。そうして我らと共に、<ラクエン>に至れることが出来るのです」
修道女が告げると同時に、篝火が灯って、周囲を薄ら明るく照らし出す。
これから開始されるのは、入信を望みし者への『洗礼』の儀。
背負いし罪を改心させて、神に従うことを誓わせて。神の命じる儘に全てを尽くす――例えばそれが、如何なる『悪事』であろうとも。
この空間を形成している壁も柱も、邪悪な神を祀る神殿の如き奇怪さで。よく見ると、それらの中には人骨らしきモノが埋められている。
「……もしも神の御心を、拒むというのであるならば、そのモノ達のようになりますよ。最も、男達は最初から、供物になると決まっていますが」
女性を敬虔なる修道女として、洗脳させるが為に捧げられる贄。
冥き闇の底から這い出ずる、異形の蟲の群れこそが、彼らの成れの果てである。
――神の名を借り、楽園を騙る偽りの聖職者達。
身寄りのない子を救済し、慈悲の心を施す表の顔の、裏に潜みし非道な陰謀。
罪無き民を欺き続け、更なる不幸を生み出さん――繰り返される悲劇の連鎖、それらを食い止め、ヴァンパイア共の悪しき野望を打破すべく。
今ここに、猟兵達が正義の牙を突き立てる――。
ジナイーダ・クロハネ
※アドリブ・連携歓迎
全く、外見を繕っておきながら、中身はこれか。昔のアタシの方が巧くやっていたぞ。良くも悪くも、だが――。まあ、そのお陰で遠慮なく今の段階で刃が振るえるってモンだけどさ。
「……さて、起きろ【絡繰鎌】。そんな小さな姿でアレを刈れるものか。――そうそう、その大きさで良い。振るえば幾らちょこまかとしようと当たるもんナア!!!」
【選択UC】で武器を巨大化、【なぎ払い】で敵をまとめて攻撃。ちょこまかと動くのなら、此方はどんと構えて大きくてリーチのある鎌で斬り裂くのみ。(鎧無視攻撃)
「どうせ私も最期は惨めに死ぬ。――だから、お前らはとっとと先に地獄で待ってろ」
昏森・幸恵
全く――つまるところは食虫植物。
甘い香りで誘き寄せ、食らう罠箱に過ぎないだなんて。
こんなものに少しでも幻想を抱いたのが馬鹿らしいわね。
でも、遠慮なく叩き潰せる。そのことだけは感謝するわ。
咎力封じを使用。
柱を盾にしながら動き回り、敵の視線を切りながら攻撃の機を狙う。
敵の注意がこちらから逸れたら、一気に距離を詰めるわ。
ショットガンを撃ち込み、生贄用ダガーを突き込んで抉ってやる。
……反抗心を失わせるですって?
あれだけは食らう訳にいかないわね。
何せ……私は、それだけで立っているようなものだもの。
正義を名乗るつもりはない。私はそんなものとはほど遠い。
けれど、お前達のような邪悪は紛れもなく、私の敵。
マツリ・アンダーソン
洗礼はただの洗脳だったか。
……分かっていたことだ。私の罪が赦される筈もないと。
ああ!彼女らと闘うほか道はないのか!
反転の光を避けるため、光の断罪者へ攻撃が届くギリギリの距離を保つ。
篝火の灯から離れ、【闇に紛れる】。【暗視】で相手の位置を捉えて、UC【咎力封じ】で戦力を削ごう。結束ロープで足留をして、他の猟兵の援護に重きを置く。
僅かながら【催眠術】の心得がある。少しでも彼女らの正気を取り戻せないだろうか?
(この人たちも、きっと救いを求める気持ちを踏みにじられただけ……ごめんなさい、ごめんなさいね。この罪は、ずっと背負ってゆくからーー)
※アドリブ・連携歓迎
戦闘中は男性口調
苦痛・恐怖で女性口調に戻る
闇が支配する世界において、人々が幸せに暮らせる楽園なんて、そんな甘い話はあり得なく。所詮は支配者共の、戯れだったということか。
その真実を目の当たりにした猟兵達は、怒りを露わに、込み上げてくる激情を、偽りの聖職者達にぶつけるように飛び掛かる。
「全く――つまるところは食虫植物。甘い香りで誘き寄せ、食らう罠箱に過ぎないだなんて。こんなものに少しでも幻想を抱いたのが馬鹿らしいわね」
平穏に楽しく暮らす子供達。彼らの幸せが、本物ならばと昏森・幸恵(人間の探索者・f24777)は密かに願っていたのだが。それがまやかしだったと分かると、呆れたように言葉を吐き捨て、修道女達を睨み付けながら身構える。
「でもこれで、遠慮なく叩き潰せる。そのことだけは感謝するわ」
全てがヴァンパイアの仕業と判明した今、為すべきことは唯一つ。幸恵が力を込めながら、偽りの仮面を脱いだ修道女――光の断罪者に手枷を投じる。
「全く、外見を繕っておきながら、中身はこれか。昔のアタシの方が巧くやっていたぞ。良くも悪くも、だが――まあ、そのお陰で遠慮なく今の段階で刃が振るえるってモンだけどさ」
善意で孤児を世話する教会などと、やはり思った通りの裏がある。
蛇の道は蛇だと、ジナイーダ・クロハネ(叛逆のワタリガラス・f18962)は過去の自分を振り返り、予感が当たったことに思いは複雑ながらも。後はただ、いつもと同じく狩るだけと、外套の中から取り出したのは、片手に収まる程度の小さな鎌だ。
「……さて、起きろ【絡繰鎌】。そんな小さな姿でアレを刈れるものか」
ジナイーダが鎌に何やら呼び掛ける。すると彼女の声に反応したのか、鎌が自ら大きく変形し、生命を刈り取る大鎌として、真の力を発動させる。
「絡繰鎌変形機構起動、形態大鎌――コレがコイツの本当の姿だ。この大きさだったら、振るえば幾らちょこまかとしようと当たるもんナア!!!」
巨大化させた鎌を振り被り、気勢を上げて突撃するジナイーダ。
「……見た目は強そうですが、そんな大きな得物だと、隙も相応なのでしょう」
大鎌にも怯むことなく、余裕の態度を見せる断罪者。力を発動させると、腕に黒い光が集まって、返り討ちにしようと構えたその時――幸恵の放った手枷が断罪者の光を纏った腕を捕らえて、力を封じる。
直後にジナイーダの振るった大鎌が、断罪者を逃さず捕らえて弧を描き、衣を剥ぐかのように体躯を斬り裂き、赤い飛沫が宙に舞う――。
「どうせ私も最期は惨めに死ぬ。――だから、お前らはとっとと先に地獄で待ってろ」
鋭利な刃の煌めき一閃。斃れる修道女を尻目に、ジナイーダは鎌をくるりと回して、次の相手を迎え撃つ。
「洗礼はただの洗脳だったか。……分かっていたことだ。私の罪が赦される筈もないと。ああ! 彼女らと闘うほか道はないのか!」
出来れば誰も傷付かず、苦しむことなく、救える道はなかったものか。
マツリ・アンダーソン(大人になれない咎人殺し・f07765)は今まで多くの咎人を、殺めて今日まで生きてきた。そのことが彼女にとっての罪であり、今度も戦うことしか出来ない自分に、心を痛め、苦悩する。
この修道女達も、吸血鬼に洗脳されているだけの被害者だ。しかし救いを求め、行き着く先が吸血鬼の配下にされてしまうというのは、皮肉な運命でしかない。
そして吸血鬼に従うが儘、悪事に手を染めてしまった彼女達を救済するには、この手で生命を終わらせる――これまでマツリが殺した咎人達と同様に。
「貴女は迷いがあるようね。今ならまだ間に合うわ……神が創りし楽園へ、貴女も一緒に行きましょう」
これまで犯した罪に懊悩し、攻撃するのを躊躇うマツリ。そんな彼女の心を見透かしたのか、断罪者の一人が誘うように声を掛け、呪詛を宿した手を翳し、マツリに向かって黒く輝く光を発射。
それは肉体を傷付けず、反逆の心のみを奪う反転の光。
禍々しい光の帯が一直線にマツリに襲い掛かる。だが様子を見る為、予め距離を取っていたおかげで、マツリは光を浴びる寸前、咄嗟に真横に飛んで身を躱し、篝火の灯り届かぬ闇の中へと紛れ込む。
例え光がなくても、闇を見通すマツリの暗視が敵の姿をしっかり捉え、狙い定めて拘束ロープを投げつける。
飛ばしたロープは相手の足に巻き付いて、絡まる縄に動きが鈍る断罪者。
そこへ幸恵が柱を盾にしながら距離を詰め、水平二連式の猟銃を片手に、照準合わせて引き金を引く。
「……反抗心を失わせる? 生憎と、私はそれだけで立っているようなものだもの」
銃口から撃ち込まれる弾丸は、幸恵にとっての反逆の意志。
その一撃は相手の腹部を貫き、血が流れ――深手を負った断罪者は蹌踉めきながら膝を突き、そのまま地面に倒れ伏す。
「正義を名乗るつもりはない。私はそんなものとはほど遠い。けれど、お前達のような邪悪は紛れもなく、私の敵」
力なく横たわる断罪者を一瞥しながら、幸恵がこの戦いへの決意と覚悟を口にする。
踏み外してしまった道はもう戻れない。けれどもその分、これから進んでいく先に、立ち塞がるモノは何であろうと――排除するのみ。
「……ぅ、うぅ……」
幸恵が倒した断罪者は、どうやらまだ死んではおらず、僅かながらに息がある。
マツリは呻く彼女の傍に歩み寄り、少しでも正気を取り戻せないかと、今にも閉じようとしている瞳と視線を合わせ、意識を集中させて催眠術を使う。
しかし断罪者の口からは苦しげな呼気が漏れるばかりで、やがて力尽きたか、ついには息も止まって、事切れてしまう。
その最期の瞬間、彼女の目からは涙が零れ、穏やかに微笑むように、あの世に逝った。
(「この人たちも、きっと救いを求める気持ちを踏みにじられただけ……ごめんなさい、ごめんなさいね。この罪は、ずっと背負ってゆくから――」)
罪の意識に苛まれ、胸が苦しくなるほど締め付けられる。それでもマツリは前を向き、どうか安らかなれと心の中で祈りを捧げ、仲間と共に地下の奥へと進むのだった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アプリコット・リクリアロット
※アドリブ・連携可
男女差のあるラクエン。実に下らない。滑稽の極みでございます。
幸福とは、即ち許容すること。受容すること。承認すること。選別、差別、区別の先に幸福はございません。
ですが私は万人に平等です。貴女方の思想がラクエン足りうるか審判致しましょう。
「自分達が良ければ他人はどうなろうと構わない。この愚者共を爆発四散させても構わないか投票を開始します」
是。是。是。何故なら社会は搾取する者より、搾取される者の方が絶対多数になるよう作られているのですから。
「だからこそ……世界市民の総意に基づき、あなたのアカウントは物理的に凍結されます」
荷電粒子フルチャージ!【灼滅臨界黙示録】……イグニッション!!
願夢・貴宝
やはり俺に縁の無い場所、などということはなかったようだな
ならば後は仕事を果たすのみ
供物扱いをしてくる奴らと愉しめる殺し合いが出来るとも思えん
早々に方をつけるぞ
ただ速く、鋭く、【暗技・飛鷹】を以て奴らを貫く
回避も防御もさせるつもりはない
狙った相手は最速を以てその命を討つ
反転の光は奴らの視線や一挙手一投足から直撃する物を見切り、オーラ防御でオーラを纏わせた武器で断ち切る
断ち切った光の残滓程度なら浴びようと呪詛耐性で効力を防ぎきれるだろう
ルカ・ウェンズ
異形の蟲の群れが気になる!気になるけど今は先に敵を倒さないと。
【行動】
昔は善良な人間だったかも知れないけどオブリビオンなってしまったのね。
オブリビオンなら殺さないと。敵が破壊の光で攻撃してくるのなら私は【オーラ防御】で身を守り変形式オーラ刀を銃にして攻撃するわ。
それにユーベルコードを使って攻撃が命中した敵を爆破して、それでも生きていたら見えない蜘蛛の糸で繋がっている敵を【怪力】で壁に叩きつけたり私の方に引き寄せたりして止めを刺すわよ。それにしても、この世界にいる吸血鬼は本当にろくでもない奴ばかりだわ!
「昔は善良な人間だったかも知れないけど、オブリビオンなってしまったのね」
この修道女達も、本来ならば幸せを求めただけの普通の人々。
それがヴァンパイアの悪意によって洗脳されてしまい、人の身ですらなくなったのなら――殺すだけだと、ルカ・ウェンズ(風変わりな仕事人・f03582)は心置きなく悪党狩りができると、不敵に微笑みながら武器を抜く。
「やはり俺に縁の無い場所、などということはなかったようだな。ならば後は仕事を果たすのみ」
孤児院の穏やかな日常は、願夢・貴宝(ジョン・ドウ・f23301)にとってはあまりに眩しい光景だった。だが結局それはまやかしで、裏を覗けば、欲に塗れた闇の世界がそこにあり。
所詮は何処も変わらぬものかと、心の中で僅かに安堵するのは、裏の世界にいた為か。
何れにしても、ここから先はいつもと変わらぬ殺し合い。こっちの方が手っ取り早いと両手に刃を携えながら、貴宝は敵が動くより先に駆け、即座に始末するべく斬りかかる。
「あくまで抵抗するというわけですか。ならばその反逆の心、砕いて差し上げましょう」
攻め込む貴宝に、修道女は迎え撃とうと身構えながら、十字の杖に呪詛を籠め、反転させた黒い光を貴宝目掛けて撃ち放つ。
しかし貴宝は冷静に、相手の一挙手一投足に目を光らせており、光の軌道を読んで横に飛び、篝火の灯り届かぬ闇に紛れて回り込み、すかさず敵の攻撃直後の隙を狙う。
「供物扱いをしてくる奴らとは、愉しめる殺し合いが出来るとも思えんからな」
だから時間を掛けるつもりはない。狙った相手は最速を以て、その命を討つまでだ。
――黒いマントを翻し、闇の中から飛び掛かる、外法を極めし暗殺者。
手にした刃で狙うは、ただ心臓のみ。この瞬間だけは血が滾り、男の力が更に増す。
しかし修道女も、容易く殺られはしないと、貴宝に向かって反転の光で攻撃するも。
刃に殺意のオーラを纏わせ、放った光を断ち斬って。くるりと身体を捻り、刃を握ったもう片方の手を、伸ばした先は――修道女の心臓の位置。
回避も防御もさせるつもりはない。ただ速く、鋭く、暗技を以て敵を貫く。
――汝が生に苦痛を、死に喜びを。
繰り出す刃は、修道女の胸を深く突き刺し。刃を抜くと、女の身体は糸が切れたように崩れ落ち、二度と起き上がることはなかった。
「おのれよくも! 愚民の分際で!」
同志が倒され、修道女の一人が怒りを露わに、全身から溢れる黒く禍々しい光を纏って猟兵達に襲い掛かる。
「貴女達にも仲間意識なんてものがあるのね。でもだからって、私達には絶対勝てない」
敵の光攻撃に、ルカも対抗すべくオーラを展開させて身を守り、受けて立つ構えで凌ごうとする。
修道女の十字の杖から放射する、黒い光の奔流が、ルカを呑み込まんと迫り来る。
破壊の光が彼女を包み、纏ったオーラ諸共吹き飛ばさんとする、凄まじいまでの衝撃がルカを襲う。
しかしそれでも、吸血鬼の手下如きに負けはしないと、痛みに耐えつつ踏み止まって、この攻撃を乗り越える。
「それじゃ今度は、こっちの方からお返しよ」
反撃開始とルカが手にしたのは、刃のない、持ち手部分だけの剣である。
守りの為に纏ったオーラを、今度は持ち手の方へと注ぎ込む。するとオーラは銃の形に変化して、持ち手をグリップのように扱いながら、ルカが狙いを定めてトリガーを引く。
オーラの銃から撃ち放たれた弾丸は、修道女に命中すると爆発し、互いを繋ぐ見えない糸が結ばれる。
修道女に辛うじて息があるのを確認すると、ルカは繋いだ糸で力任せに引き寄せて。同時にオーラの銃を剣に変え、振るう刃で手負いの修道女を斬り裂き、止めを刺した。
「それにしても……この世界にいる吸血鬼は、本当にろくでもない奴ばかりだわ!」
声に怒りを滲ませつつも、黒幕はどれほど殺し甲斐のある悪党なのかと――その対決を心待ちにするルカだった。
「男女差のあるラクエン。実に下らない。滑稽の極みでございます」
修道女達の唱える、楽園における幸福論。そこに差別を含めることは実に愚かな事と、アプリコット・リクリアロット(純真極壊アルゴリズム・f24496)はカミサマとやらが創る理想の世界を、舌鋒鋭く否定する。
全ての人に恒久の平和を齎すべく、遥か未来の世界で造り出された電脳世界の救世主。
人と機械を融合させたソーシャルディーヴァ、その彼女こそアプリコットなのである。
「幸福とは、即ち許容すること。受容すること。承認すること。選別、差別、区別の先に幸福はございません」
そこには貧富や優劣などなく、誰もが等しい幸せを、得られることこそ、人々が願う楽園で。一部の支配者だけの欲に塗れた世界など、果たして誰が望もうか。
「ですが私は万人に平等です。貴女方の思想がラクエン足りうるか審判致しましょう」
民意無き思想によって創りし楽園は、本当に正しい道に導くのだろうか。それを決めるのは、他でもない市井の民だと――アプリコットが力を発動させると、頭上の歯車型の輪が廻り、彼女と修道女の周囲に電脳空間を展開させる。
「こ、これは……貴女は一体、何者なのです!?」
それは闇の世界の住人達には見たことすらない、荒廃した未来の世界のテクノロジー。
二人を囲むように浮かび上がったホログラム。巨大スクリーンに映し出される映像は、アプリコットの通信網で繋がれた、ネットユーザー達のアカウント。
「自分達が良ければ他人はどうなろうと構わない。この愚者共を爆発四散させても構わないか投票を開始します」
アプリコットの呼び掛けに、電脳世界のユーザー達が選択肢のボタンを押し始める。
修道女達の罪の是非を問う、これは未来のテクノロジーを駆使した魔女裁判だ――。
是。是。是――――是是是是是是是是是――――――。
圧倒的な数の『是』の文字が、あっという間にスクリーン中を埋め尽くさんとする。
社会は搾取する者より、搾取される者の方が絶対多数になるよう作られている。
故にこうした結果は、火を見るよりも明らかで。弱者を『愚民』と称する本性に、不満を抱えた民達の、怒りが一気に爆発したのだ。
「だからこそ……世界市民の総意に基づき、貴女のアカウントは物理的に凍結されます。――荷電粒子フルチャージ! 【灼滅臨界黙示録】……イグニッション!!」
一度炎上してしまった者は赦されず。人々の強い思いがアプリコットを通じて一つに集まり、破壊の力となって大爆発を起こし、修道女は跡形残らず消し飛んだのだった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
舘林・祀
男は供物に女は教徒に、か
ま、予想どーりだけど。楽園なんてありはしなかったわけね
つーか、うぇっ……蟲キモ……
さてと、偽りの聖者たちを本物の天の国へと滅してあげましょうか
もっとも、神様からは門前払いを受けるかもしれないけどね
あんま蟲に近づきたくないし、ここは相手の戦力を削ぐことに注力してみますか
≪弐之型:崩珠≫
聖者の得物は、錫杖?ま、なんにせよ多少なりとも術の媒介にはなってそうね
相手の動きを【見切り】つつ、【第六感】も働かせていく
ふふ、そう。そこが脆そうね。じゃ、遠慮なく
他の猟兵の相手で傷ついたあなたの得物、いただくわね
一点集中の崩撃にて武器破壊を狙う
さてさて、神様とご対面できるかな?
クゥーカ・ヴィーシニャ
WIZで判定
全力で拒ませてもらうよ。神の御心とやらを。そして、倒されるのはお前らだ
【絡繰り人形らの舞踏会】を使用。常に相手を人形たちで包囲しつつ攻撃する。数で遠慮なく押させてもらう。俺も、絡繰剣で攻撃する
【生命力吸収】や【オーラ防御】で耐久し、【呪詛】や【カウンター】で確実に削っていく
相手が召喚した魔法生物も同じように対処。いくら強かろうと、数の暴力の前には無力だ。存分に磨り潰せ、人形たち
お前らの神を、信仰を、ラクエンを、俺は否定する。お前らを、俺の信仰する神の名のもとに断罪しよう。慈悲もなく、ここで朽ち果てろ
幻武・極
さて、案内ご苦労様だね。
ずっと物音を立てずに姿を消していたから疲れたよ。
軽く準備運動をさせてもらおうかな。
トリニティ・エンハンスⅡで防御力を強化するよ。砂ぼこりを巻き上げて破壊の光の威力を下げて、氷の膜で光を屈折させるよ。
残った雷の魔力で攻撃かな。
そういえば、雷も光だよね。
稲光というしね。反転した光と稲光、どっちが強いかな?
「男は供物に女は教徒に、か。ま、予想どーりだけど。楽園なんてありはしなかったわけね。つーか、うぇっ……蟲キモ……」
結局は全てが理想であり幻想。誰もが幸福になれる世界など、最初から嘘偽りだと分かり切ったこと。
如何にもヴァンパイアの考えそうな手口だと、舘林・祀(一拳十殺・f24918)は納得しつつも、今彼女の目の前に迫る危機――洗脳用に生み出された異形の蟲の、不気味な姿には嫌悪感しかなく、視界の片隅にすら入れたくない程。
「そんなに怖がらなくても大丈夫です。貴女もすぐに、私達と一緒になるだけですから」
この尋常ならざる状況下でも、にこやかな笑みを浮かべる修道女は、やはり狂っているとしか思えない。
とにかく、あの不気味な蟲に取り憑かれることだけはされたくない。ここは実力行使で切り抜けようと、祀は修練を積んだ武術の型を身構えながら、吸血鬼の使徒たる修道女に立ち向かう。
「さてと、偽りの聖者たちを本物の天の国へと滅してあげましょうか。もっとも、神様からは門前払いを受けるかもしれないけどね」
「ご心配なく。この戦いが終わったら、貴女達には洗礼を受けてもらいますから」
祀の挑発するかのような口振りに、修道女も負けじと応戦。
「全力で拒ませてもらうよ。神の御心とやらを。そして、倒されるのはお前らだ」
そこへ割り込むようにクゥーカ・ヴィーシニャ(絡繰り人形・f19616)も加わって、更には潜伏していた幻武・極(最高の武術?を追い求める羅刹・f00331)も姿を見せる。
「さて、案内ご苦労様だね。ずっと物音を立てずに姿を消していたから疲れたよ。まずは軽く準備運動をさせてもらおうかな」
修道女を囲むように猟兵達が揃い踏み、斯くして戦いの火蓋が切られるのであった。
「ここは任せて。ボクの武術の見せ場だね」
極が魔力を集中させて、厳しい修行の末に体得した武術――魔法拳を使って迎え撃つ。
魔力の高まりによって、足元から勢いよく土煙が巻き上がり、敵の視界を霞ませる。
「最初は誰もが抗うものです。でも神の御心には、決して誰も逆らえない」
修道女から溢れる光が反転すると、禍々しい黒い光となって身を纏い。掲げた十字の杖に力を集め、破壊の光となって放たれる。
それならと、極は光を屈折させる氷の膜を展開させて、全身にルーンの模様を浮かび上がらせる。
「そういえば、雷も光だよね。稲光というし。反転した光と稲光、どっちが強いかな?」
体内から生じる電流を、両手に集めて圧縮し、雷の弾を黒い破壊の光にぶつけるように撃ち込むと――烈しい威力の衝突が、爆発を起こし、二つの力が相殺されて消し飛んだ。
「聖者の得物は、あの錫杖? ま、なんにせよ多少なりとも術の媒介にはなってそうね」
相手が術を発動させる瞬間を、観察していた祀は、一連の動作を見切った上で、あの杖こそがおそらく弱点なのだと看破する。
「ふふ、そう。そこが脆そうね。じゃ、遠慮なく――」
祀の発する闘気は、武術の達人のみが纏うことのできる、武器として使用可能な域まで練り上げられた覇気。
それを拳の一点のみに集束させて力を溜め込み、地面を蹴って距離を詰め、繰り出す拳が狙うは、修道女が持っている十字の杖だ。
「――悪いわね。あんたの大切なもの、ぶち壊すわ」
杖に叩き込まれた拳は、崩壊の振動を与える一撃。その衝撃によって十字の杖は、硝子細工のように砕け散り、戦意を挫かれた修道女は、力無く撓垂れながら膝を突く。
「これで終わりか、随分呆気ない……いや、まだみたいだな」
どうやら手を下すまでもないと思ったクゥーカであったが、けれどもそれは見当違いだったと理解する。
跪く修道女から流れる、赤い液。彼女は隠し持っていた短剣で、己の胸を刺したのだ。
自身を瀕死に追い込み、血を媒介として、彼女を洗脳していた異形の蟲を召喚させる。
「そこまでするとは……やはり遠慮はいらないようだ」
修道女の流した血を糧に、孵化して宿主だった彼女の姿に変じる異形。
そのような悍ましい光景を目にしても、クゥーカは表情を変えることなく冷静に、これまでの敵と同じように対処するだけだと、力を発動。
「――これより始まるは絡繰り人形たちの舞踏会。人形たちよ、存分に磨り潰せ。何もかも忘れて、自由気ままに、踊り狂え!」
地面に魔法陣が描かれて、クゥーカの前に召喚されしは、二百体もの小さな絡繰り人形達である。
人形達は修道女を模した異形に群がり、数の力で圧し潰す。
「お前らの神を、信仰を、ラクエンを、俺は否定する。お前らを、俺の信仰する神の名のもとに断罪しよう。――慈悲もなく、ここで朽ち果てろ」
最後はクゥーカが漆黒の絡繰剣を握り締め、相手の胸に刃を突き立て――抜くと同時に修道女を模した異形の姿も、幻のように消滅していく。
これほどまでに醜く歪んだ存在が、神を名乗るというのは烏滸がましい。
猟兵達は更なる敵を倒して進み、奥で待つ、元凶たる黒幕の許へと急ぐのだった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
レテ・ノートス
これは、楽園じゃない…
邪悪なものを倒すのは、神様に与えられた試練であれば…
いや、そうじゃなくても、見過ごすわけにはいかないよね…
初めての戦闘で、内心かなりハラハラしてるけど
祈って勇気を絞って動き出す
ただし、非力な自分はどうすればいいのか
何度も練習してた聖歌を歌い、他の猟兵達の傷を癒そうとする
初めは少し恥ずかしいけど、だんだん我を忘れて一心不乱に歌う
今は、今だけは、神様のためじゃなくて、目の前に戦ってる人達のために
反抗心を削る光線には、神様への祈りで打ち退けてみる
近づいてくる敵や魔法生物は、鈴蘭の花吹雪で吹き飛ばす
邪悪を浄化して、苦しんでる民たちを解放するように全力で祈り、戦う
コノハ・ライゼ
口笛ひとつ
あっは素敵なカミサマだコト
見事な手のひら返しネ、やり易くってイイわあ
コッチも演技はおしまいと、影狐呼び戻し笑いマショ
心の内、一先ず子供達の無事に安堵して
攻撃は状況と動き読み『見切り』『オーラ防御』展開し防ぐ
負傷は『激痛耐性』で凌いで気にとめず
さて次から次へ増えても迷惑だしねぇ
先ずは動きを封じようか
より多くを巻き込める場所へ『範囲攻撃』で【黒嵐】を呼ぶネ
さあ、ぜーんぶつかまえて!
削る命だって気にしない
こんなカミサマにくれるよか、よっぽど有意義じゃナイ
旋風に紛れ『2回攻撃』で「柘榴」振るい
『傷口をえぐり』『生命力吸収』
それにこうして取り返せるしネ
絶望の内に終わるのは、さあドッチかしらね?
フリージア・カットラス
(絡み・アドリブOK)
【SPD】
「何が神だ、そんなモノここにはいない」
【ルーンダガー】を構え、敵に向かってそう言い放ちます。
戦闘では敵の攻撃に対して【シーブズ・ギャンビット】で【カウンター】を仕掛けます。
敵の攻撃は確実にカウンターを当てる為致命傷で無い限り多少のダメージは覚悟します。(覚悟・見切り・激痛耐性)
「その程度で私が止められるか!」
●主よ、憐れみたまえに 対しては向こうが攻撃してくる以上の反抗心を更に燃やします。
この世界を平和にするため、こういった連中は許せません。
絶望に満ちた世界で謳う幸福などと、所詮は絵空事でしかなかったか。
楽園に導く存在たる神様とやらも、蓋を開ければ地獄の釜が煮え滾り、そこには邪悪な歪んだ欲が舌舐めずりしながら待っていた。
「これは、楽園じゃない……」
荘厳で煌びやかだった教会とは正反対の、昏く澱んだ地下洞窟に潜む闇。
その正体を目の当たりにしたレテ・ノートス(待宵の蓮・f17001)は絶句して、相手の醜い本性にはただ不快感しか覚えない。
「邪悪なものを倒すのは、神様に与えられた試練であれば……いや、そうじゃなくても、見過ごすわけにはいかないよね……」
嘗て自身も聖女と扱われ、信仰していた教団が覆滅しようと、今も尚、神を信じ続けて生きるレテ。
だが例え、神がいようがいまいが、彼女は一人の猟兵として、戦う意志を胸に抱いて立ち向かう。
彼女にとってはこれが最初の戦い。内心不安なところもあるが、心の中で自身が信じる神に祈って、勇気を絞って一歩を踏み出す。
「何が楽園に導く神様だ、そんなモノここにはいない」
それはこの世界に住んでいる者なら知っている。
フリージア・カットラス(人狼のブレイズキャリバー・f06651)も吸血鬼によって故郷を滅ぼされたからこそ、神を隠れ蓑にして悪事を働く連中は、彼女にとって最も嫌悪し、赦されざる憎き敵なのである。
だからこそ、この手で断ってみせると、ルーンを刻んだ短剣を、突き出すように構えて偽りの聖職者達に言い放つ。
「だったら何だと言うのでしょう。全ては力無き弱者を救済する為。この世界では、どう足掻いても絶望しかないのですから」
楽園や神を否定する、レテやフリージアの言葉も修道女達は意にも介さず。
抗うならば力を行使してでも従わせると、敵意を剥き出し、身構える。
「あっは素敵なカミサマだコト。見事な手のひら返しネ、やり易くってイイわあ」
神を騙って人を欺き、戯れに生命を殺める吸血鬼。
しかし嘘を吐くならお手の物だと、コノハ・ライゼ(空々・f03130)は口笛ひとつ吹きながら、偵察用に放った影狐を呼び戻し。コッチも演技はおしまいと、相手を挑発するかのようにせせら笑う。
(「ま、子供達に危害がなかっただけでも良しとしまショーカ」)
一方で、心の中で孤児達の無事に安堵しつつ。後は戦うだけだと目を光らせながら、敵の出方を窺うコノハ。
「あくまで従わないというなら、良いでしょう。ならば力尽くでも、貴方達の心を悔い改めさせて頂きます」
本性を曝け出した修道女達が、全身に黒く禍々しい光を纏って、猟兵達に襲い掛かる。
――ヴァンパイアに心を取り込まれてしまった彼女等に、掛ける情けはもはや不要。
猟兵達も悪には負けじと闘志を奮わせ、互いの力と心がぶつかり合う――。
反転させた聖者の光を纏った修道女が、尋常ならざる速度でコノハに接近。
十字の杖を振り翳し、破壊を齎す光を放射。敵の動きを読みながら、相手の技を見切ったコノハはすかさずオーラを展開させて、光の衝撃から身を防ごうとする。
だが生命を削ってまでも攻撃してくる修道女の光の威力を、コノハは堪え切れずに弾き飛ばされ、痛みを負うも踏み止まって耐え凌ぐ。
「カミサマから貰った力ってのは、この程度かい?」
身体に奔る苦痛も気に留めず、コノハは余裕の態度で相手を煽る。
「――主よ、憐れみたまえ」
今度は別の修道女が、纏った光に呪詛を籠め、フリージアを狙って黒い光を撃ち放つ。
迫る光の弾道を、フリージアは左の眼ではっきり捉え、彼女の身体能力ならば避けることなど造作もない。ところがそうした素振りを微塵も見せず、多少の負傷は覚悟の上か、反転の光を受け止めるつもりで逃げようとしない。
「その程度で私が止められるか!」
相手の反抗心を失わせ、洗脳させる呪いの光に、心を燃やし、更なる強い反抗心で光と対するフリージア。
ヴァンパイアに故郷も右目も奪われてしまったあの日から、ただ復讐だけを誓って生き延びてきた。
理不尽な闇の世界に希望を与え、平和を築く為にも――悪しき支配者共を赦さない。
何者にも屈しない、強い決意で光に抗うフリージア。
敢えて躱さずその身に受けて、苦難を乗り越えようとする彼女の姿に、初めての戦いに戸惑い気味だったレテは、勇気を貰い、自分に出来ることは何かと考えた末――。
今まで何度も練習し、歌い続けてきた聖歌――それこそレテが最も得意とし、戦いの中で最大限に活かせる能力だ。
「今は、今だけは、神様のためじゃなくて、目の前に戦ってる人達のために……」
仲間を助ける為に、躊躇いも恥じらいも捨てて、一心不乱にただ歌うだけ。
祈りを込めたレテの聖なる歌声が、コノハの傷を癒すと同時に、フリージアを蝕む呪いの光も打ち消していく。
「悪いがお前達に、救いはない」
直後にフリージアが、風の精霊宿したルーンの靴で、疾走しながら距離を詰め。一瞬の隙を狙って、修道女の喉に刃を突き付け、抉り裂く。
喉を裂かれた修道女は、口から血を吐き、その場に倒れ――地面を染める赤い血から、彼女に取り憑く蟲が顕れ、孵化して宿主だった修道女と同じ姿を成していく。
「全く……次から次へ増えても迷惑でしかないんだけど」
やれやれと、コノハが呆れるように溜め息吐いて。だったら纏めて倒せばいいと、己が影より呼び出した、黒い管狐によって旋風起こし、黒い嵐が全てを呑み込み、薙ぎ払う。
力を使う反動で、削る自身の生命も気にはせず。こんなカミサマモドキにくれるよか、よっぽど有意義などと振る舞う姿は、粋であり。
嵐に紛れて振るう刃は、万象映し。色形を変えて、刻まれた溝は真紅に濡れて、そこに屍の山を積み上げる。
「絶望の内に終わるのは、さあドッチかしらね?」
刃に付いた血を払い、気紛れ狐は次の獲物に目を光らせながら、不敵に笑う――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
マリス・ステラ
ワルゼー様(f03745)と参加
「随分な扱いをします。この分では子供達の明日も知れない」
第一これでは支配者が変わるだけ
ヴァンパイアか、そうでないかの違いしかない
あるいは真の黒幕がいるのでしょうか
「主よ、憐れみたまえ」
『祈り』を捧げると星辰の片目に光が灯り全身に輝きを纏う
その『存在感』で敵を『おびき寄せ』る
「灰は灰に、塵は塵に」
弓で『援護射撃』放つ矢は流星の如く
負傷した味方時に【不思議な星】
緊急時は複数同時に使用
「主よ、主よ……」
その御名は尊く
憐れみに限りなく
世の罪を赦す愛に満ちている
聚楽第の白い翼がぎこちなく広がり輝きを束ねる
星の『属性攻撃』は質量を伴う巨大な光弾
「光あれ」
世界が白になる
ワルゼロム・ワルゼー
WIZ
マリス殿(f03202)と参加
「ふん、邪教の使徒共であったか
…やはり楽園など、夢物語でしかなかったのう」
夢はいつか覚めるもの、現実はいつだって厳しい
だからこそ「生きる」という実感を抱けるのだ
「我はもとより教団の主、洗礼など不要
貴様らこそ死して仏となるがいい
されば永遠の安らぎも得られようぞ」
マリス殿の支援攻撃に合わせつつ、
UC「轟天なる竜、幽世へ至れ」+【範囲攻撃】【2回攻撃】で敵勢を薙ぎ払う
攻撃に沈黙の【呪詛】を込めておき、召喚阻止も期待
まぁ召喚しても倒すが…
【オーラ防御】で護りも鉄壁にしておこう
さぁさ、根こそぎ刈り尽くすにはまだ足りぬ
こやつらの裏で糸を引く大物を引っ張り出さんとな
「随分な扱いをします。この分では子供達の明日も知れない」
表向きは善意をアピールしながらも、裏を覗けばそこには世界の闇がある。
今回の事件の真実を知り、マリス・ステラ(星の織り手・f03202)は怒りを覚える一方で、拾われた孤児達の身を案じるのであった。
彼らは神様が守ってくれているはずなのに――結局支配から逃れられずに、黒幕だけがほくそ笑む。
「ふん、邪教の使徒共であったか……やはり楽園など、夢物語でしかなかったのう」
闇が支配する世界にあって、幸せな楽園を謳って信者を集める。
如何にも吸血鬼らしい手口だと、ワルゼロム・ワルゼー(枢機卿・f03745)は予想通りの結果に、過酷な世界の有様を、虚しく思い、儚く憂う。
――夢はいつか覚めるもの、現実はいつだって厳しい。だからこそ、『生きる』という実感を抱けるのだ。
「我はもとより教団の主、洗礼など不要。貴様らこそ死して仏となるがいい、されば永遠の安らぎも得られようぞ」
腐敗した世界の救済を掲げる教団の長として、神を騙って民を苦しめるなど、到底赦せるはずはない。
故にワルゼロムは心に誓う――虚飾と欺瞞で塗り固められた、偽りの神に鉄槌を。
「そちらこそ、大人しく改宗されたら如何です? この世界では、支配者こそが神様ですから」
そんな修道女の誘い文句も、ワルゼロム達は決して受け入れようとせず。
頑なに拒む猟兵達とは、もはや話は不要と実力行使に出る修道女。
本性を現した吸血鬼の徒を前にして、ワルゼロムとマリスも互いに身構え、迎え撃つ。
「主よ、憐れみたまえ」
マリスが祈りを捧げると、星辰宿した片目に光が灯り、その身が目映く輝き始める。
篝火だけが薄ら灯る地下洞窟で、光を纏ったマリスは存在感を放って、敵の意識は自然と彼女の方に向けられる。
しかしそれも全ては思惑通り――マリスが注意を引き付けながら、構えた弓から流星の如く矢を放つ。
「灰は灰に、塵は塵に」
マリスが援護射撃で修道女達を威嚇する、その隙にワルゼロムが精神を集中させて力を発動。溢れるオーラに包まれながら、彼女の姿が天使に変わり、伝説の竜の霊をその身に纏う。
「――死してなお恐ろしきニブルヘイムの竜よ、汝の新しき獲物は我が眼前にあり!」
この目に映る敵を滅ぼせと、命じるワルゼロムの声に応えるように、霊体の竜が大きく吼える。そして巨大な霊力の爪を振り翳し、手当たり次第に修道女達を薙ぎ払う。
「……ぅ……あぁ……ヴァァァ……!!」
爪に裂かれて深手を負った修道女が、苦しみ悶えて喀血し、最期に口の中から吐き出したのは、彼女を洗脳していた異形の蟲だ。
流れるその血を蟲が啜ると、孵化して修道女の姿に変じて、猟兵達に襲い掛かる。
「邪教の術とは、何とも悍ましいものよ」
全ては醜き欲の表れと、眉を顰めながら不快感を抱くワルゼロム。
修道女の生命を糧に召喚された異形の蟲は、反転させた黒い聖者の光に覆われながら、二人を狙って破壊を齎す光を撃ち放つ。
「主よ、主よ……」
マリスが唱えるその御名は、尊く、憐れみに限りなく、世の罪を赦す愛に満ちている。
彼女が祈り、念じると、白き機構の翼がぎこちなく、ギギッと音を発して広がって。
束ねる星の輝きが、一つに集束されて、後は発射の時を待つばかり。
「――光あれ」
マリスの小さな囁きと、同時に注いだ魔力を全解放。
それは圧倒的な質量を伴う、巨大な光の帯となり。黒い聖者の光を掻き消し、更には周囲の敵をも呑み込んで――やがて世界が、白になる。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ルーチェ・ムート
【紅蒼】アドリブ◎
かみ、神
そんなものが『神さま』なんて認めない
『神さま』は――答えは持っていないけれど、こんな醜悪なものじゃない
そうでしょ?リオン
彼の様子がいつもと違う
纏うのは怒り、だろうか
落ち着いてとは言わない
でも、ボクの歌声だけは聴いていて
ひいてはみんなを救う為、けれど今この瞬間はキミの為だけに歌うから
天啓のような透徹の歌声を響かせる
ボクの歌声がキミの力となりますように
祈りを込めた破魔の声に、彼を包み込む優しさと守る覚悟を含ませる
この声は、この歌声は、ボクの存在価値
この場においてリオン――ボクの存在価値は、ボクは、キミのもの
美しき蒼、
どうか理不尽ならくえんを終わらせて
リオン・エストレア
【紅蒼】アドリブ〇
所詮、清廉を被った醜悪だったか。
聖職者とは、真摯な物だ。奴らのような者がその名を語るとは、虫唾が走る
されど、煮えたぎる感情の奥底が分からない。非道を目の当たりにしたからか…それとも、聖職という物を汚されたからなのか?
どちらにせよ…変わらない。貴様らが善き者と騙るのなら、こちらは貴様らを異端を纏めて火刑に処すとしよう
【なぎ払い】【属性攻撃】とUCで一気に穢れ共を焼き払う。一撃とはあるが、纏めて一振りで薙げばいい。
教えてやる。貴様らの説く救いなどどこにもない事を
ルーチェ、お前が居てくれるなら俺は…
俺の成すべきことを成せるから。
可憐なる紅、
どうか不条理なラクエンを終わらせる力を。
清楚な笑顔を振り撒く、心優しき修道女。だがそれは、人々を欺く為の偽りの仮面。
ヴァンパイアを神と讃え、救いを求める人々を、眷属に生まれ変わらせ、支配する。
「所詮、清廉を被った醜悪だったか。聖職者とは、真摯な物だ。奴らのような者がその名を語るとは、虫唾が走る」
醜く歪んだ本性を曝け出した修道女達を見据える、リオン・エストレア(蒼血の半魔、昏き蒼焔の残響・f19256)の瞳の奥に、青く冷たい炎が灯る。
心の中で煮え滾り、込み上げてくる怒りの感情。されどリオンには、どうしてそんな気持ちを抱くのか、その奥底までは理解しかねて不思議に思う。
「彼女達の非道を目の当たりにしたからか……それとも、聖職という物を汚されたからなのか? どちらにせよ……変わらない。貴様らが善き者と騙るのなら、こちらは貴様らを異端とし纏めて――火刑に処すとしよう」
胸の奥まで焼かれるようなこの激情を、抑え切れないならば相手にぶつけるだけだと。
リオンは背中に担いだ黒い巨剣を抜きながら、一瞬チラリと、隣に並ぶ少女の顔に視線を向ける。
「かみ、神。そんなものが『神さま』なんて認めない。『神さま』は――答えは持っていないけれど、こんな醜悪なものじゃない。――そうでしょ? リオン」
修道女が崇める神たる存在、その正体こそ人々を苦しめている元凶と知り。ルーチェ・ムート(无色透鳴のラフォリア・f10134)は全てを否定するかのように強い口調で異を唱え、リオンの方を振り向くと。彼と目が合い、いつもと違う様子に不安が過ぎる。
彼が纏いし雰囲気を、察するにそれは怒りだろうか。
どうか落ち着いて、などとは決して言わない。でもせめて――。
「ボクの歌声だけは聴いていて。ひいてはみんなを救う為、けれど今この瞬間はキミの為だけに歌うから」
ルーチェはそれだけ言うと、すぅっ、と大きく息を吸い込み、肺の奥まで溜め込んで。それらを吐き出すように発する声は、天啓のような透徹の歌を奏でて、鳴り響く。
――ボクの歌声が、キミの力となりますように。
祈りを込めたルーチェの破魔の歌声に、彼への想いを乗せて、風に流され運ばれて。
少女の謳う旋律に、レオンはふと我に返ったように、はっとして。
今にも暴走しかねなかった怒れる心が、少女の優しい想いに包まれ、冷静に。
そして剥き出す敵意は、大切な人を守る覚悟に変わり、力が更に研ぎ澄まされる。
少しどうにかしていたようだと、リオンは目を覚ましてくれたルーチェに礼を言い。
もう二度と、血の衝動に流されたりはしないと、彼女の前に立ちながら、闇に堕ちたる修道女達と対峙する。
「愛の力とは、実に美しいものですね。せめてその力が偽りでないことを、心から願うばかりです」
リオンと向き合う修道女の表情は、どこか二人が羨ましくもあったのか、慈しむような笑みを浮かべて、それでも戦う意思は忘れることなく。
修道女から禍々しい黒い光が溢れ出し、反転の光を全身に纏うと、高速移動で急接近。突撃しながら二人を狙って、襲い掛かる。
「教えてやる。貴様らの説く救いなどどこにもない事を」
もしも自分一人だけだったなら、あのまま怒りに任せて、我が身を焦がしていたかもしれない。でもそうではない、守らなければいけない者が、側にいるから――。
リオンはルーチェを庇うように身構えながら、特攻してくる修道女を迎え撃つ。
「この声は、この歌声は、ボクの存在価値。この場においてリオン――ボクの存在価値は、ボクは、キミのもの」
「ルーチェ、お前が居てくれるなら俺は……俺の成すべきことを成せるから」
二人の想いが重なり合い、互いを支えるように力が増幅。溢れる力を一つに集め、墓石の如き巨大な鉄の塊が、断罪の蒼き焔を纏って振り下ろされて――。
――可憐なる紅、どうか不条理なラクエンを終わらせる力を。
―――美しき蒼、どうか理不尽ならくえんを終わらせて。
終焉齎す焔が花の如くに咲き乱れ、呑み込む劫火が修道女の身体を灼き尽くし。
散った焔の花びらの、後には何も残らず全てが消え去り――静かな空気に包まれる中、ルーチェの紡ぐ歌声が、修道女の魂を優しく鎮めるように響き渡った。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
緋翠・華乃音
音海・心結(f04636)と共に
……まあ、そんな事だろうとは思ったさ。
楽園なんてこの世界には無い。
ましてやそれは、他者から一方的に与えられるようなものじゃない。
味方の猟兵に動きが見えたら潜伏場所から行動開始。
影から影へ、蝶が羽搏くような虚実自在。
「……あまり怒るな、心結」
怒りは視野の狭窄に繋がるから。
音もなく敵の背後へ回りナイフで頸部を一閃。
無慈悲な精密さでナイフと拳銃を駆使して戦闘。
筋肉の動き、骨格の駆動、呼吸のリズム、眼球の動きに視線の向き、体温、脈拍、移動の癖、攻撃方法、避け方、歩法。
――何もかも、見切るのは容易い。
致命的な箇所を優先的に狙いつつ、常に心結をフォロー出来るように気を配る。
音海・心結
ナイトこと緋翠・華乃音(f03169)と
聖職者……ふぅん
(ナイトが信じてなさそうな人種なのです)
みゆたちが生まれ変わるわけないじゃありませんか
そんなのヤなのですよーっだ
……ナイトが供物に?
あはっ
みゆの前でそんな口、開かせないようにしてやるのです
UC【死に急ぐ者】発動
挑むは武器【Engraved cherry】で近接戦
確実に相手の体力を減らしてゆくのです
大切で大好きなナイト
例え同じ想いを抱いているわけでなくても
気にかけてもらってると感じてる
初めて出来た特別な存在
“恋”とか“友情”とかでは表せない何か
そんな大事なナイトに――
ゲームオーバーなのです
みゆを怒らせた罰なのですよ
死んでも許しませんから
慈悲深き清らかな聖職者とは表向きの顔。一度偽善の仮面を外せば、そこにあるのは醜く歪んだ正義を信じる、狂信者としての本性だ。
「……まあ、そんな事だろうとは思ったさ。楽園なんてこの世界には無い。ましてやそれは、他者から一方的に与えられるようなものじゃない」
物陰に潜伏しながら、一部始終を見ていた緋翠・華乃音(終ノ蝶・f03169)は、仕掛ける機会を窺いながら、身構える。
「聖職者……ふぅん」
華乃音の隣で一緒に身を潜める音海・心結(ゆるりふわふわ・f04636)は、半ば呆れるように素っ気なく、修道女の言葉を聞きつつ、横目でちらりと華乃音を見遣る。
(「ナイトが信じてなさそうな人種なのです」)
ああいう輩は、彼が最も嫌う手合いだと。華乃音の心の内を察しつつ、二人は顔を見合わせながら黙って頷き、息を合わせて飛び掛かる。
篝火の灯りが届かぬ影から影へ、蝶が羽搏くような虚実自在の動きを見せる華乃音。
片や心結は、真っ正面から修道女に向かって勝負を挑む。
突撃してくる心結が視界に入ると、修道女は彼女に狙いを切り替え、十字の杖に光を集める。
「おやおや、邪魔な鼠が隠れていたとは。思い知らせてあげましょう」
禍々しい呪詛の力を光に籠めると、目映い光が黒ずんで、反転させた黒い光の一撃が、心結に放たれ、襲い掛かる。
「みゆたちが生まれ変わるわけないじゃありませんか。そんなのヤなのですよーっだ」
反抗心を失わせ、改心させる光を食らうつもりはないのだと。心結は光を浴びるその前に、地面を蹴って大きくジャンプ。光を飛び越え、そのまま修道女を攻撃しようとした時――今度は別の修道女が立ち塞がり、心結を返り討ちにしようと十字の杖を振り翳す。
しかしそうした敵の連携も、華乃音は既に見通して。カバーに入った修道女に狙いを定め、気付かれないよう息を殺して、音を消し。呼吸のリズムを読みながら、隙を衝き、敵の背後に回ってナイフで一閃。
奔る刃の煌めきは、躱す間もなく、修道女の頸部を抉るが如く斬り裂いて。
動脈を断たれた修道女は、夥しい量の血を流し、その場に倒れて息絶えた。
「どこの馬の骨とも知らない連中が。抵抗するなら、殺して供物にして差し上げます」
同志の一人が討ち取られ、手段を選ばず、形振り構わず攻撃してくる修道女。
「……ナイトが供物に?」
修道女の発した言葉に、心結が一瞬動きを止める。
――華乃音は心結にとっての、大切で大好きなナイト。
――例え同じ想いを抱いているわけでなくても、気にかけてもらってると感じてる。
――彼は初めて出来た、特別な存在。
――“恋”とか“友情”とかでは表せない何か。
そんな大事なナイトに――。
「あはっ。みゆの前でそんな口、開かせないようにしてやるのです」
堪え切れない怒りが込み上げ、ついには理性の箍が外れてしまう。
「……あまり怒るな、心結」
どこか壊れたような笑みを浮かべる心結に対して、華乃音はどうにか宥めようと声を掛けるが、もはや彼女の耳には届かない。
「ゲームオーバーなのです。みゆを怒らせた罰なのですよ、死んでも許しませんから」
怒れる心を通り越し、殺意に満ちた少女の冷たい声が静かに響く。
体内に埋め込まれた魔術装置が、彼女の流れる血を動力に、脈打つように力を発動。
桜の花の刻印が、輝き放って身を包み、罪深き修道女を、死へと誘うように歩み寄る。
「…………ひっ!?」
心結の殺気に修道女は恐れを抱き、身体を震わせ、怯えるように後退る。
だが後悔しても、もう遅い。
どれだけ神に赦しを乞おうと、心結は決して赦さない。
――後には空気を切り裂くような悲鳴だけが響き渡り、恐怖の衝撃で、戦意を失くした修道女だけが、魂を抜かれたように茫然とそこに跪いていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
リーヴァルディ・カーライル
…ん。やはり偽りの楽園だったのね。
致し方無い事とはいえ……残念だわ。
【血の鎖錠】を解除し全身を限界突破した“血の翼”のオーラで防御して、
壁や天井を怪力任せに蹴り超高速の空中戦を行う
…彼女らは操られているだけ。
真に討つべきはあの蟲の方ね。
今までの戦闘知識から呪詛の流れを暗視して見切り、
敵の精神攻撃の光を呪力を溜めた大鎌の闇属性攻撃で相殺、
残像が生じる早業のカウンターで蟲をなぎ払う2回攻撃を放つ
戦闘後、洗脳が解けまだ生命が助かる女性がいたら、
吸血鬼化した自身の生命力を吸収してUCを発動
消耗に気合いで耐えつつ傷を癒す
…今の私はあの時と違う。助ける為の力がある。
見殺しになんてしないわ。もう二度と…。
壥・灰色
壊鍵、起動
リーヴァルディは目隠しをされていたが、彼女の影に潜んだおれの追跡者は道のりを全て教えてくれた
なら、あとは全力で駆けるだけ
この世界に救いがないのなら
おれたちがその救いになるだけだ
他の猟兵が全員奥地へ到達したら、行動開始
礼拝堂奥の扉を蹴破り、螺旋階段を壁と言わず段と言わず、足に発露する『衝撃』の推進力をも用い滅茶苦茶に反射しながら、加速、加速、加速して最奥へ向かう
此処までの道のりも、この螺旋階段も、その全てが『助走距離』
音速を凌駕し空気の壁を引き裂き
最奥に到り敵を視認した瞬間
最大最速の跳び蹴りを見舞う
その後も室内の壁を反射
一体でも多く巻き込み殺す
――戦闘開始だ。一体とて生かして帰さない
明日知・理
此処の子ども達を思い出す
…俺たちが此処の黒幕を倒せば、あの子たちはどうなる
迷いは刃に映る
だがそれは刹那
これを見逃せばいつか大人になったあの子たちは
ギリと奥歯を噛み締める
眼前の敵から目を離さない
──あの子たちが"贄"となる未来には絶対にさせない
▼戦闘
味方に何かあれば庇い、反撃に転ずる
修道女たちや蟲達も傷つけないよう出来る限り配慮
然し瀕死に追い込まねばならぬなら
舌打ち一つし攻撃
痛みが極力少ないよう配慮
然し確実に追い詰める
放つユーベルコードは『咲初』
味方には一度も攻撃しない
蟲達が元に戻る方法も必死に探す
もしかしたらこの中に、此処の孤児院の子どもたちの両親がいるかもしれない
_
アドリブ、マスタリング歓迎
「……ん。やはり偽りの楽園だったのね。致し方無い事とはいえ……残念だわ」
子供達が何不自由なく幸せに暮らせる世界など、所詮は儚い夢物語。
闇が支配するこの地では、吸血鬼共の魔の手から、逃れる術など、何処にもない、と。リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は最初から分かっていたことなのに、事実を再認識させられてしまうと、思わず落胆の息が口から漏れる。
ここへ連れて来られる時にされた目隠しを、外して周囲の景色を見回せば。煌びやかな教会とは正反対の、冥くて澱んだ地下空間。
人の隠れた欲望が、凝縮されたかのようなこの場所で、一体何をするつもりでいたのか思考を巡らすリーヴァルディ。その答えはおそらく想像通りの内容だろう。そしてそれを食い止める為に、自分達は来た。
まずは目の前に修道女を倒し、彼女の背後にいる黒幕の許に辿り着く。後はこの手で全てを、終わらせるだけ――なのだが。
「……俺たちが此処の黒幕を倒せば、あの子たちはどうなる」
明日知・理(月影・f13813)は孤児院の庭先で触れ合った子供達の顔を思い出し、彼らの未来を思うと、僅かな迷いが心に生じる。
だがそれも、刹那の逡巡――ここで見逃せば、いつか大人になったあの子達は……。
理の瞳に光が宿り、ギリギリと、奥歯を噛み締めながら、眼前の敵を鋭く睨む。
「――あの子たちが"贄"となる未来には、絶対にさせない」
手にした刃は曇り無く。理は毅然と振る舞いながら、心に誓いを立てて戦いを挑む。
「そう……心配してくれるのですね、あの子達を。でも大丈夫です。最後は全員一緒に、真の<ラクエン>に旅立つのですから」
修道女は陶酔気味にそう語り、猟兵達を迎え撃つべく武器を構える。
――張り詰めた空気が、戦場となる地下空間を支配する。
その一方、地上の礼拝堂では、壥・灰色(ゴーストノート・f00067)が地下に繋がる扉を見つめ、思案する。
(「リーヴァルディは目隠しをされていたが、彼女の影に潜んだおれの追跡者は道のりを全て教えてくれた」)
修道女達が教会の奥へ入っていくのを、魔術の力を用いて追跡し、放った影の追跡者を通してその一部始終を観察していた。
後は目的に向かって、ただ全力で駆けるだけ――。
「この世界に救いがないのなら、おれたちがその救いになるだけだ」
迷う事など何もない。為すべき事を果たすのみだと、扉を豪快に蹴破り。地下へと続く螺旋階段の、段差も壁もお構いなしに、脚に発露する『衝撃』の推進力に任せてひたすら加速――ただ前に進む事だけを考えながら、灰色は尚も加速し、最奥に向かう。
此処までの道のりも、この螺旋階段も、その全てが『助走距離』。
音速を凌駕し、空気の壁を引き裂き、廻る螺旋のその先に、終着点が視界に入ると――灰色は躊躇うことなく跳躍し、最下層まで一気に降下。
敵の姿を捉えると、着地と同時に地を蹴って。反動を活かして加速を増して、修道女に向かって跳び掛かる。
「――壊鍵、起動」
灰色の胸に刻み込まれた魔導回路が発動し、神経と同調させて魔力を循環。踏み出す脚の一点に、力を集束させて渾身の蹴りを叩き込む。
「クハァ……ッ!?」
不意打ち気味に跳び蹴りを喰らった修道女は、防ぐ間もなく直撃を受けて吹き飛ばされてしまう。そしてその衝撃は、内部を圧迫させて骨を砕き、倒れ伏したまま、起き上がろうとする力すらもはやない。
「――戦闘開始だ。一体とて生かして帰さない」
淡々と、抑揚のない口調で静かに宣戦布告する灰色に、修道女達は何れも笑みを崩さず相対し、望むところとこちらも臨戦態勢に移行する。
「何人たりとも、ここから無事には帰しません」
残った修道女達が、総力を挙げて猟兵達に襲い掛かる。
呪詛を籠め、反転させた黒い光を十字の杖に纏わせて。掲げた杖から放たれる、目映い光が破壊の力を以て、猟兵達を呑み込んでいく。
「やらせは、しない……!!」
だがその前に、理が割り込むように立ち塞がって。破壊の光の波動から、仲間を庇って自身も気合で耐え凌ぐ。
「極力傷付けないよう、痛みを与えず倒せるならいいんだが……」
自分が負った傷の痛みも顧みず、修道女達を無力化させて救いたいと願う理であるが。
「……彼女らは操られているだけ。真に討つべきはあの蟲の方ね」
彼の心を察したか、リーヴァルディが道を授けるように理に伝える。
蟲に取り込まれて洗脳されているのなら、その蟲を排除すれば修道女達は助かるかもしれない。あくまで推測の域を出ない話なのだが、可能性があるのなら、それに賭けてみるしかないと覚悟を決めて。
「……それじゃ、始めるわ」
リーヴァルディが裡に眠りし吸血鬼の血の力を覚醒させると、彼女の背中から、魔力で造った血色の翼が生えて、羽搏きながら空を翔ぶ。
修道女達はリーヴァルディを撃ち落とそうと、呪詛を宿した光を放つも――空中を翔ける黒衣の少女は軌道を見切り、呪力を溜めた大鎌で、光を消さんと斬り払う。
呪詛には呪詛を――闇の力で反転の黒い光を相殺すると、今度は灰色が、死角を衝いて修道女の隙を狙い、衝撃を込めた打撃を繰り出し、リーヴァルディ達を援護する。
「蟲を彼女達から追い出すにしても、瀕死に追い込まないと駄目なのか……」
他に救う手立てがないのなら――理はチッと舌打ちしながら、闇色纏いし剣を抜き、振るう刃の一閃が、雨の如くに降り注ぐ。
それは全てを赦して包み込む、優しい光の慈雨となり。相手に痛みを与えることなく、生命力だけをただ奪う。
しかしこの技は、理にとっては諸刃の剣で。苦痛を負わない者がいる限り、自身の生命を削ってしまう。それでも誰かを救えるならば――理が修道女達に視線を向けると、彼女達から瘴気が溢れ、召喚された異形の蟲が、力を得るべく修道女達を喰らおうと――。
「……そうはさせない」
リーヴァルディが鎌を薙ぎ、生じた刃の斬撃が、異形の蟲を真っ二つに裂く。
――やがて戦闘を終えた猟兵達は、周囲を見渡し、状況確認。
ここには残った敵はもういない、後は更に奥へと進んで、そこに待ち受けているだろう黒幕を、この手で倒すのみとなる。
リーヴァルディは横たわっている一人の修道女に歩み寄り、そっと手を触れ、どうにか脈が残っていないか、確かめる。
すると僅かながらも、その修道女から生命の鼓動が伝わってくる。
まだ助かる見込みがあるのなら――リーヴァルディは吸血鬼の血の力を応用し、自分の生命力を付与するように、修道女の治癒を試みる。
「……今の私はあの時と違う。助ける為の力がある。見殺しになんてしないわ。もう二度と……」
治療を続けることで消耗し、意識を失いそうになるものの。気力を奮い立たせて必死に堪え、それから数分――リーヴァルディの想いが通じたか、修道女の呼吸が安定し始め、無事に一命を取り留めたのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『煉獄への導き手・エリー』
|
POW : 召喚:少女と人々の嘆き
戦闘用の、自身と同じ強さの【悪意でできた、数多の絶望した信徒達と黒竜】と【憎悪でできた、攻撃を跳ね返す拒絶の障壁】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
SPD : 投映:煉獄(ラクエン)への微笑
【煉獄へ導く使徒としての微笑を見せて】から【相手の深層に眠るトラウマや心の傷、闇】を放ち、【過度の心的外傷】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ : 投映:煉獄(ラクエン)への道標
対象のユーベルコードに対し【相手の深層に眠るトラウマや心の傷、闇】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
イラスト:壱ル
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ナターシャ・フォーサイス」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
吸血鬼の使徒たる修道女達を討ち倒し、猟兵達は地下洞窟の奥を目指してひた走る。
目的地まで一直線に進んで、通路を抜けたその先は――まるで儀式場のような空間だ。
巨大な魔法陣が地面に描かれ、それらを囲むように置かれた燭台に、灯った炎が不気味に揺らいで闇の狭間を照らし出す。
――その中心で、ぼうっと浮かび上がった謎の影。
それは立派に装飾された黒衣を纏った、少女の姿をしているようだ。
彼女の手には、黒い翼のような大きな鎌が握られている。
おそらくは、彼女が修道女達を支配していた吸血鬼――人々を楽園へ導き、救済すると欺いた、カミサマを騙るオブリビオンの司祭。
「そう……あの者達は、教義に殉じて命を落としたわけですね。
ならば貴方達に問いましょう。どうしてそこまで抗うのです?
この絶望だらけの世の中で、幸せを望んでいても、無駄なのに」
少女は修道女達が倒された事実を受け入れながら、淡々と猟兵達に問い掛ける。
彼女が思う楽園は、人々が幸福に暮らせる場所などでは、決してない。
「私も嘗ては、この世界にも楽園があると信じて、神に尽くしたこともありました。
……しかし所詮は下らぬ幻想、愚かな大人に裏切られ、多くのものを失いました。
それから私は全てを憎み、私を騙した人間共を、この手で滅ぼそうと決めました」
村を襲って子を奪い、罪の意識を植え付けながら、破滅の道へと至らしめる。
――そして世界を私の望む、煉獄<ラクエン>に。
楽園に誘う導き手であった筈の少女(エリー)は、現世に生きる人々を、煉獄へと導く為に深き冥府の闇から蘇ったのだ。
聖女と持て囃されて、最期は非業の死を遂げ、その怨念だけが骸の海を彷徨い続ける。
ならば彼女の歪んだ魂を、救済するのが猟兵としての務めだろう。
少女の心の闇を消し祓い、その手で希望の光を世界に灯さん――。
アプリコット・リクリアロット
トラウマ。闇。悪意。絶望。憎悪。拒絶。自己顕示
残念。残念でございます。実にありふれた普遍的で平凡な負の感情
SNSならば石を投げれば当たる程。インフルエンサーにすらなれません
私、ともすればお友達になれるかもしれないと期待してましたのに
結構。では私から貴方に楽園(レンゴク)を進呈致します
貴女は貴女を愛す信徒達の中で偶像となり、永遠に救われ続けるのです
幸福でしょう幸せでしょう勿論勿論勿論です市民。
何故ならこの私がそう決めたのですから
『恒久幸福維持の為、これより世界の緊急メンテナンスを実施致します』
あなたの世界(ブラウザ)を救済(クラッシュ)します
これがアプリちゃん流の幸福論。どうぞ永遠永久に良い夢を
親を失くした孤児を献身的に養う一方で、神を騙って救いを求める民を洗脳していく。
それらも全ては人間達への復讐の為――猟兵達に本性を曝したオブリビオン、その彼女の根底にあるのは、自らを裏切った者に対する憎しみだった。
「トラウマ。闇。悪意。絶望。憎悪。拒絶。自己顕示――残念。残念でございます。実にありふれた普遍的で平凡な負の感情。SNSならば石を投げれば当たる程。インフルエンサーにすらなれません」
楽園を謳って信者を集う吸血鬼。そのカリスマたるや如何なる程かと、アプリコット・リクリアロット(純真極壊アルゴリズム・f24496)は密かに興味を抱いていたが。
その本質を覗いてみれば、闇へと堕ちたる者の復讐劇など、よくある話と知って。半ば失望気味に、溜め息吐いた。
「私、ともすればお友達になれるかもしれないと期待してましたのに」
もしかしたら話が通じ合えるのではと思ったが、オブリビオンの少女の願いはあまりに凡愚で、崇高な志とは程遠い。
「それは残念でしたね。所詮は人の身でしかない貴女と私では、未来永劫、到底分かり合えることなどないでしょう」
例え理念がどうであれ、人間達を支配することには変わりはないと。それが吸血鬼としての本質なのだと、エリーはアプリコットにそう説いた。
「――結構。では私から貴方に楽園(レンゴク)を進呈致します」
彼の者に、もはや話は不要と諦観し、アプリコットは思考を戦闘モードに切り替える。
「貴女は貴女を愛す信徒達の中で偶像となり、永遠に救われ続けるのです。幸福でしょう幸せでしょう勿論勿論勿論です市民。――何故ならこの私がそう決めたのですから」
サイバーヘルムを起動させ、精神を電子回路と接続すると、頭上の歯車の輪が回転し、身体を包む光の粒子が改造魔法学園服に変身していく。
『恒久幸福維持の為、これより世界の緊急メンテナンスを実施致します』
携行型荷電粒子砲【ブラウザ・クラッシャー】を両手に携え、その砲口を、神を騙りし煉獄の使徒に照準を合わせて、狙いを向ける。
「あくまで逆らうつもりのようですね。私の憎悪を破れるものなら、やってご覧なさい」
そう言うと、エリーの身体が瘴気を纏い、悪意を増幅させて黒き邪竜を造り出す。更に自身も拒絶の壁を張り巡らせて、アプリコットを迎え撃つ。
アプリコットは電脳世界にアクセスし、高速演算プログラムを展開させて魔力を集中。真白き天使の偽翼を大きく広げ、蓄積された魔力を粒子砲から一斉発射。
撃ち放たれた砲撃は、巨大な光の帯となり。眩い光の奔流が、黒き邪竜を呑み込んで、エリーを護る拒絶の障壁までも破壊する。
その威力の凄まじさに、エリーは信じられないといった様子で動揺し、表情を強張らせながらアプリコットを険しく睨む。
対する電脳世界の女神は悠然と、粒子砲を突き付けながら、冷たい声で別れを告げる。
「――あなたの世界(ブラウザ)を救済(クラッシュ)します。これがアプリちゃん流の幸福論。どうぞ永遠永久に良い夢を」
大成功
🔵🔵🔵
リーヴァルディ・カーライル
…ん。狂信者の母に生贄にされ、大事な人達を殺された。
守るべき人々に裏切られた事も、牢に繋がれた事だってある。
…それでも、私はこの世界に絶望したりしない。
絶望だけが世界の全てでは無いと知っている。
…お前の語るラクエンに導かれる気は無い。
私の心は、私の誓いは、どんな絶望だって越えてみせるわ。
敵の心の傷口を抉る精神攻撃を狂気耐性と気合いで耐え、
【吸血鬼狩りの業】で敵の闇属性攻撃を見切り【絶影の型】を発動
限界突破した怪力の踏み込みから大鎌をなぎ払い武器改造
呪力を溜めた双剣による早業の2回攻撃から、
無数の斬撃の残像を放つ【乱舞の型】で拒絶のオーラ防御を破る
…その呪わしき命運を断つ。眠りなさい、安らかに。
ジナイーダ・クロハネ
※アドリブ・連携歓迎
楽園がない? 当然でしょ。
そんなものがあるなら、この世界はこんなに生き難くなってないさ。
大鎌を振るいつつも、いつでも【選択UC】を発動できるように準備。ナイフを【投擲】したり、大きく振るった大鎌での一撃(鎧無視攻撃)で倒せるなら十分だけど、こっちは囮。
本命は、向こうの攻撃に対する【選択UC】での防御及び反撃。楽園があるとかつて信じていた――つまり、何らかのショックがあった訳だ。なら、そこを刺激、【傷口をえぐる】ようにしてやればいい。
趣味が悪い? ああ、悪いさ。ケド、此処じゃあよくある事さ。
「――きっと、アタシも地獄に落ちるから。そっちで待ってな」
「楽園がない? 当然でしょ。そんなものがあるなら、この世界はこんなに生き難くなってないさ」
誰もが幸せに暮らせる、夢のような理想の世界。
そんな理想を信じる余り、夢が叶わなかったら裏切られたというのは身勝手過ぎると、ジナイーダ・クロハネ(叛逆のワタリガラス・f18962)はオブリビオンの少女を蔑むように言い放つ。
それはジナイーダ自身が、過去にオブリビオンの下で働かされて、穢れた世界を見てきたからこそ、そうした思いを抱くのだろう。
「……ん。狂信者の母に生贄にされ、大事な人達を殺された。守るべき人々に裏切られた事も、牢に繋がれた事だってある」
一方、リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)がこれまで歩んできた人生も、あまりに過酷で壮絶だ。
彼女の口から語られる、その生い立ちはこの世の悲劇を凝縮させたかのようで。
「……それでも、私はこの世界に絶望したりしない。絶望だけが世界の全てでは無いと知っている」
これまでどれほど希望を見失おうと、心は決して折れることなく、明日を信じて生きてきた。だからエリーの謳う煉獄<ラクエン>も、リーヴァルディにとってはただの逆恨みでしかないと豪語する。
「随分と大層な口を利きますね。そこまで辛い目に遭ってきたなら、もう一度思い返すと良いでしょう」
存在自体を否定されたような気持ちになって、エリーは沸き立つ怒りを堪えるように、リーヴァルディに微笑みかけて彼女の過去の記憶を呼び起こす。
「……お前の語るラクエンに導かれる気は無い。私の心は、私の誓いは、どんな絶望だって越えてみせるわ」
対するリーヴァルディも、そんなまやかしに負けるつもりはないと、受けて立つ。
するとエリーの闇の力が発動し、過去の記憶の世界にリーヴァルディを誘うのだった。
――そこで展開されるは、彼女がこれまで歩んだ苦難の道程。
人と人とが裏切り合い、死と隣り合わせの日常が繰り返される、壊れた世界。
出来れば二度と思い出したくない、歪んだ狂気の奔流に、リーヴァルディは護符を片手に精神を高め、気合で耐え抜き、乗り越える。
「……見せてあげる。吸血鬼狩りの覚悟を」
闇の力を打ち破り、リーヴァルディは全ての魔力を解放し、圧縮させて巨大な鎌に注ぎ込む。
彼女の限界以上の力を引き出すこの技は、肉体的な負担も大きい諸刃の剣だ。それでもリーヴァルディは後先のことを考えるより、今この瞬間だけを生きる為、持てる全ての力をその一振りに傾ける。
「……その呪わしき命運を断つ。眠りなさい、安らかに」
地面を強く踏み込み、漆黒の鎌を一薙ぎすれば、呪力を宿した双剣と化し。相手が再び行動しようとするより先に、間合いを詰めて斬りかかる。
エリーも急いで拒絶のオーラを纏って、リーヴァルディの攻撃を防ごうとする。しかし繰り出す刃の乱舞は、無数の斬撃放ってエリーの拒絶の壁を破壊する。
後は無防備な敵を倒すのみ――だがここで、リーヴァルディは力を使い果たしてしまって膝を突く。
そうして生じた綻びを、エリーは好機と捉えてリーヴァルディを手に掛けようと――。
「他にも相手がいるってこと、忘れちゃいないかい?」
どこからともなく聞こえる声に、エリーが気付いて反応すると。すぐ前に、巨大な刃が振り下ろされて迫ってくるのが、目に映る。
エリーは咄嗟に後ろに飛び退り、距離を取りつつ身構えながら、視線を向ける。
そこには大鎌を担いだジナイーダが仁王立ちして、挑発するかのように人差し指で手招きをする。
「敢えて攻撃を受けるとでも? 良いでしょう……ならば犯した罪の記憶に苛まれ、その身も心も滅びなさい」
吸血鬼の闇の力が増幅し、禍々しい瘴気の渦がうねりを上げて放たれる。
それは相手の深層意識に眠る心の傷を呼び覚ます、煉獄<ラクエン>へと至る道標。
(「楽園があると嘗て信じていた――つまり、何らかのショックがあった訳だ。だったらそこを刺激してやればいい」)
ジナイーダは相手の力を逆に利用しようと、冷気を帯びた短剣を掲げ、意識を集中させて、短剣に宿りし精霊に働き掛ける。
「氷精よ、美しきその鏡をお借りする――!」
するとジナイーダの呼び掛けに応じるように、氷の魔力が展開されて、目の前に大きな鏡が現れる。
心の傷を抉るなら、それを逆手に取ればいい。
そして氷の鏡が映すのは、正面にいるオブリビオンの少女――ジナイーダに向けられた筈の闇の力が反射して、跳ね返された力は、放ったエリー自身が受けてしまう。
「な……!? そ、そんな……皆を一緒に楽園に、連れて行くって約束したのに……」
まだ人であった頃のエリーは、果たしてどんな思いで楽園を夢見ていたのか。
彼女がこの地に作った孤児院は、そんな彼女の記憶によって建てられたとしたら――。
過去の記憶に苦しみ悶え、時折憎悪を込めた瞳で睨むエリーに、ジナイーダは表情を変えることなく、ただ冷淡に、目の前で藻掻く少女を見つめるのみだ。
「趣味が悪い? ああ、悪いさ。ケド、此処じゃあよくある事さ」
――きっと、アタシも地獄に落ちるから。一足先に、そっちで待ってな。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ワルゼロム・ワルゼー
WIZ
マリス殿(f03202)と参加
どうして抗う、と問うたな?
抗った覚えは無い、ましてや幸せを望んだ覚えも
ただ生きる、生きておるだけよ
貴様の言う通り楽園など幻想、幸せのみに浸れる世界などあるものか
我が許せんのは楽園を騙り、無関係な者を引きずり込む詐欺師のようなその手口
もはや語る口を持たん、システィ・マリスの名のもとに汝を滅しよう
UC「轟天なる竜、幽世へ至れ」を発動
【残像】で撹乱しつつ接近、背面や側面から敵を抉り飛ばそう
敵UCもどうということはない
我は教団の主、信者を導く絶対的信心にトラウマだの心の傷だの、あるわけなかろう
楽園に至るのが幸せではない、生きることこそ幸福の道標なのだよ
マリス・ステラ
ワルゼー様(f03745)と参加
「主よ、憐れみたまえ」
『祈り』を捧げると星辰の片目に光が灯り全身に輝きを纏う
「あなたの憎しみと悲しみの深さは想像を絶します」
攻撃は六禁で『武器受け』と『オーラ防御』の輝きで防ぎます
しかし、と言葉を続ける
「共に仲間達と楽園に歩んでいた時、あなたは既に至っていたのです」
幸せとは理想郷に辿り着く事ではなく
その道程を、同じ景色を望む仲間達と歩むこと
それこそが"楽園"だと語ります
「闇と夜に覆われた世に光を灯すあなたに希望を見たひともいたはずです」
それを裏切るあなたを私は止めましょう
ワルゼー様、力を貸して下さい
聚楽第の白い翼がぎこちなく広がり輝きを束ねる
【星の導き手】を使用
「どうして抗う、と問うたな? 抗った覚えは無い、ましてや幸せを望んだ覚えも。ただ生きる、生きておるだけよ」
オブリビオンの少女の問い掛けに、ワルゼロム・ワルゼー(枢機卿・f03745)はそこに意味などないと説き伏せる。
絶望を抱えて生き続けなければならないのが、この闇の世界の理だ。
「貴様の言う通り楽園など幻想、幸せのみに浸れる世界などあるものか」
それはダークセイヴァーのみならず、別のあらゆる世界においても、決して叶う事なき真理であろう。
だが続くワルゼロムの言葉は、理不尽極まりない、吸血鬼が支配する世界を否定する。
「我が許せんのは……楽園を騙り、無関係な者を引きずり込む詐欺師のようなその手口。もはや語る口を持たん、システィ・マリスの名のもとに汝を滅しよう」
どれほど苦しめられても耐えながら、慎ましく生活している人々の、ささやかな日常までも奪ってしまう。
そんな非道な行いに、ワルゼロムは怒りを覚え、世界の救済を掲げる教祖としても、神を偽るオブリビオンは許すまじきと、強い口調で言い放つ。
「――死してなお恐ろしきニブルヘイムの竜よ、汝の新しき獲物は我が眼前にあり!」
ワルゼロムの全身から溢れる怒りのオーラが、巨大な竜の形を成していく。更には彼女自身も、煌めく翼を広げた天使と化して、高速移動でエリー目掛けて強襲を掛ける。
「我は教団の主、信者を導く絶対的信心にトラウマだの心の傷だの、あるわけなかろう。故にその手の攻撃は、我には効かぬ」
「……戯言を。所詮この世は生き地獄。ならば全てを等しく、滅するだけです」
エリーの身体を覆う黒いオーラは、ワルゼロムとは対照的に禍々しくて。彼女の悪意が具現化し、数多の信徒と黒き邪竜をこの決戦場に創り出す。
「――主よ、憐れみたまえ」
突撃していくワルゼロムの身を案じるように、マリス・ステラ(星の織り手・f03202)が後方から祈りを捧げて支援する。
閉じた瞳が薄っすら開かれ、星辰宿した片目に光が灯り、マリスの全身が、目映い輝き放って光の粒子に包まれる。
「あなたの憎しみと悲しみの深さは想像を絶します」
嘗て楽園を信じた純粋な想いを裏切られ、歪んだ少女の魂が、現世に新たな悲劇を招こうとする。そして彼女の絶望心が生み出した、信徒の群れがマリスを狙って襲い掛かる。
されどマリスは動じることなく――星の欠片を鍛えし扇を片手に、流れるような動きで身を躱し、舞うかのように相手の攻撃を受け流す。
防御に徹する間も、マリスの瞳はエリーを見据え、しかし――と言葉を続けて、少女に語る。
「共に仲間達と楽園に歩んでいた時、あなたは既に至っていたのです」
幸せとは理想郷に辿り着く事ではなく、その道程を、同じ景色を望む仲間達と歩む事。
それこそが真の“楽園”なのだと――。
「闇と夜に覆われた世に、光を灯すあなたに希望を見たひともいたでしょう」
楽園に至ることができれば、救われる――聖女であった頃の少女に共感し、彼女と志を同じくした者だっていた筈だ。
絶望だけに囚われて、憎しみだけが強くなり、大切なものを過去に置き忘れてしまっているのだ、と――マリスの真摯な言葉に、エリーの心がグラリと揺らぐ。
「それを裏切るあなたを私は止めましょう。ワルゼー様、力を貸して下さい」
マリスの背中に装着された、機構の白い翼がギィッと音を響かせながら羽広げ、星々の輝き束ねて光がうねる。
星の力を集めるマリスを援護するべく、ワルゼロムが残像を展開させて、相手を攪乱。
「――天と地にあまねく魂の救済を」
やがてマリスの翼に集束された輝きは、幾百もの光芒を描いて放たれて。信徒の群れの中心に、流星の如く降り注いで一網打尽に灼き払う。
信徒の群れが消滅していくその脇を、ワルゼロムが回り込むようにして邪竜に接近。
「楽園に至るのが幸せではない、生きることこそ幸福の道標なのだよ」
轟天なる竜の霊気を内に取り込み、霊力を練り上げ作った巨大な爪を、渾身の力を込めて振り翳し――悪しき邪竜を一撃の下に薙ぎ倒す。
「……生きることが幸福、とは……。それがどんなに苦しい道でも、ですか……」
エリーは原動力である人への憎悪を打ち砕かれて、愕然とする。
生への希望は、死者の復讐心をも凌駕して。
不幸の連鎖をこの手で断ち切り、今を生きとし者への未来の道を、切り拓かん――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
レテ・ノートス
そこまでって…そんなこと、ない
むしろ、生きる限り、どこまでも、抗うのです…っ!
基本は聖歌を歌ってみんなを支える
敵が障壁を作ったら、周りに鈴蘭の嵐を起こして、少しでも彼女を傷つけるように、信徒も黒竜も彼女も、なにもかも攻撃してみる
トラウマは教団の壊滅で生きる目的を失ったことだけど
神はまだ自分を見放していないのを信じて、
新しい生きる意味を探すのを決意したので
トラウマと過去を受け入れて、自分への試練に思う
絶望だらけの世界だからこそ、希望を持つのです…
楽園がなければ、自ら作り出していいのです…
あなたもそう『望んで』、作り出そうとしているんではないか…
それは、希望をまだ捨てていない証明だと、思います…
「そこまでって……そんなこと、ない。むしろ、生きる限り、どこまでも、抗い続けてみせるのです……っ!」
この不条理だらけの世界において、それでも決して希望を諦めない。
生まれ育った場所を失くしたレテ・ノートス(待宵の蓮・f17001)は、生きる目的すらも失いかけて、彷徨い続けていたのだが。自分が何を成すべきか、生きる意味を探す為に意を決し、この戦いに臨んだことを振り返る。
そうした過程の中で、自分は何が出来るのか、その役割を少しずつだが見出して。討つべき敵を前にしながら、いよいよ最後の試練に立ち向かう。
「成る程、相応の覚悟を持っているようですね。ならばこれまで歩んだ苦難の道を、もう一度思い出させてあげましょう」
レテを一瞥しながらエリーが見せた微笑みは、相手を煉獄へと導く魔性の笑みだ。
次の瞬間、レテの視界がグラリと揺らぎ、彼女の心の奥にある、過去の記憶を呼び覚まされる。
朦朧とする意識の中で、レテが見ている光景は――救済の聖女として育てられている、昔の自分の姿であった。
当時はひたすら純粋に、聖女になる為、精神を磨いて歌を習い、強い使命を抱いて日々努力してきた。
――しかしある時突然、大きな災禍が彼女を襲い、その後の人生を狂わせる。
所属していた教団が壊滅し、レテは行き場を失くしただけでなく、神への信仰までも奪われて、茫然自失となって立ち尽くすことしか出来ないでいた。
これから自分はどうすれば……自身の存在理由も見出せないまま、宛ても無く、彷徨う心は空っぽで。絶望の闇に呑み込まれる彼女が、最後の足掻きとばかりに救いを求めて、伸ばしたその手を、『誰か』が掴んで引き上げた。
レテに救いの手を差し伸べたのは――彼女が信仰していた神だった。
姿は光に包まれ、朧げにしか見えないが。それでもまだ神に見放されていないと信じた彼女の、強い想いが伝わったのか。吸血鬼が視せる過去の幻に、レテは見事に打ち勝ち、再び戦いの場へと舞い戻る。
「絶望だらけの世界だからこそ、希望を持つのです……。楽園がなければ、自ら作り出していいのです……。あなたもそう『望んで』、作り出そうとしているんではないか……。それは、希望をまだ捨てていない証明だと、思います……」
過去には二度と戻れない。けれども未来はこれから作っていける。
例え過去に囚われているオブリビオンであっても、心のどこかにそうした願いがあるのでは――。
レテは甘いと思いながらも、淡い期待を抱きつつ。せめて最後だけでも人の心を取り戻せたら、と祈りを込めて聖歌を響かせ、癒し手として傷付く仲間を支えるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
舘林・祀
いよいよお出ましのようね、噂の神様とやら
ふぅん、元聖女様なんだ。現実に絶望してってとこか
んー、まぁ、なんていうか……他人を巻き込むなって感じ?
破滅するならおひとり様でどーぞ
でも、こうやってアタシの前に現れてくれたことには感謝しないとね
あんたを喰らってアタシはまた一つ強くなるわ
≪妖焔襲爪≫
この拳と焔であんたのすべてを粉々に砕いてやろうじゃない
アタシは強くならないと。”弱い”存在じゃいられない
母さんみたいに。弱いと皆を悲しませる
だから、アタシは誰にも負けられない。弱さは罪だから
ったく、嫌なこと思い出させるわね
気付けのために自分の頬を思いっきり殴ってやるわ
さぁ、今日も強い祀がいくわよ!
幻武・極
やっぱりキミだったんだね。
前にも戦ったんだけど覚えてないよね。
まあいいや、また骸の海に返すだけだからね。
さて、攻撃を跳ね返す障壁か、ならこう攻めてみるかな。
トリニティ・エンハンスで攻撃力を強化するよ。
そして、離れた位置から障壁めがけて2回攻撃や範囲攻撃に衝撃波で風の魔力を絶え間なく撃ち続けるよ。
当然跳ね返されるけど、風が跳ね返され続けるということは障壁の内と外に気圧差ができていくよね。
さて、気圧の低くなった障壁の外側に対して空気が内側から外側に流れようとするけど、障壁が邪魔で流れない。
空気は障壁に圧力をかけていくことになる。
強力な圧力は攻撃となり障壁がそれをキミの方へと跳ね返すんだよ。
ルカ・ウェンズ
貴方のせいで蟲のイメージが悪くなってしまったわ…【怪力】任せにオーラ刀で攻撃。
神に尽くしたと言ってるけど、『尽くすから見返りください!』ってちゃと言ったの?それに神でも、できることとできないことがあると思うわよ。
あと復讐?裏切られた?オブリビオンになる前は本当に真面目な聖女だったのかも…だが死ね。
私の心の中に私も知らないトラウマがあるかも知れないから念のため【オーラ防御に呪詛耐性】それに吸血鬼じゃなかったけど対オブリビオン用スタングレネードで【目潰し】これで敵の動きを止めるのを狙うわ。
その隙に虫の本を使って使って呼び出した昆虫型機械生命体の群れに敵に噛り付いてもらい【恐怖を与える】わよ。
「いよいよお出ましのようね、噂の神様とやら。ふぅん、元聖女様なんだ。現実に絶望してってとこか。んー、まぁ、なんていうか……他人を巻き込むなって感じ? 破滅するならおひとり様でどーぞ」
舘林・祀(一拳十殺・f24918)は事件の黒幕であるオブリビオンの少女と対面し、嘗ての聖女が神を騙って人を殺すなど、自分勝手も甚だしいと憤りを隠せずにいる。
「でも、こうやってアタシの前に現れてくれたことには感謝しないとね。あんたを喰らってアタシはまた一つ強くなるわ」
それでも強敵相手の戦闘に、気持ちが昂揚するのは戦士としての性なのか。この戦いを乗り切れば、更に強くなれると期待を抱き、その為にも必ず勝ってみせると決意する。
「やっぱりキミだったんだね。前にも戦ったんだけど覚えてないよね。まあいいや、また骸の海に返すだけだからね」
こちらも祀と同じく武道家タイプの、羅刹の少女。幻武・極(最高の武術?を追い求める羅刹・f00331)は以前もエリーと戦い、勝利を収めた経験がある。
とは言えオブリビオンは、何度も骸の海から蘇る。だから今度も勝つだけと、極は自信を覗かせながら、闇に堕ちたる異形の聖女と対峙し、身構える。
「神に尽くしたと言ってるけど『尽くすから見返りください!』ってちゃんと言ったの? それに神でも、できることとできないことがあると思うわよ」
人は誰しも、叶わぬ願いを神に縋る。けれども神も決して万能ではないと、少女に諭すように説くルカ・ウェンズ(風変わりな仕事人・f03582)。
「あと復讐? 裏切られた? オブリビオンになる前は本当に真面目な聖女だったのかも――だが、死ね」
生前は余りに純粋過ぎた為、この理不尽な世界に絶望し、心に闇を抱いて異形のモノと化したなら――それは悲劇であるけれど、他人に害を成すなら、話は別だ。
それに蟲使いであるルカにとっては、彼女(エリー)のせいで蟲のイメージが損なわれたのを腹立たしく思い、その分の怒りも込めて、溢れんばかりの殺意を漲らせる。
むしろそっちの方こそ逆恨みでは、と半ば呆れるエリーであるが。
とにかく御託を並べるのはここまでと、禍々しい黒いオーラを身に纏い、悪意と憎悪の心を具現化させて、信徒の群れと黒い邪悪な竜を生み出し、猟兵達を迎え撃つ。
「この拳と焔であんたのすべてを粉々に砕いてやろうじゃない」
祀が闘気を練り上げ、炎のように滾る練気を四肢に纏い、オブリビオンの少女目指して敵陣の真っ只中に突撃していく。
「まずは信徒と竜を何とかしないとね。ボクも力を貸してあげるよ」
極も祀と並んで疾走しながら、二人の拳士が力を合わせて立ち向かう。
「援護は私がするから、二人とも遠慮なく、存分に暴れてきたらいいと思うわ」
ルカが力を使って呼び寄せるのは、彼女が最も頼りにしている機械の蟲達。
数には数で対抗を――信徒の集団に、昆虫型機械生命体の群れが襲い掛かり、鋭い牙で噛み付きながら、恐怖を与えて混乱させる。
ルカの放った蟲達が、信徒を怯ませ注意を逸らしている隙に、祀と極は最短距離で戦場を駆け抜け、エリーを狙って一気に接近。
しかし巨大な黒い邪竜が、これより先には進ませまいと二人の前に立ちはだかる。
「アタシは強くならないと。”弱い”存在じゃいられない。母さんみたいに。弱いと皆を悲しませる。だから、アタシは誰にも負けられない。……弱さは罪だから」
不意に祀の脳裏に思い浮かぶのは、彼女の家族それぞれの顔。
拳法道場を営む家に生まれて、蝶よ花よと育てられ、更に格闘における才覚も道場随一だった為、当時の祀はかなり自分の強さに酔っていた。
しかし彼女の身内に起きた不幸によって、自身の強さに対する価値観が、世界がガラリと変わってしまう。
「……ったく、嫌なこと思い出させるわね」
祀が強さを求める理由、それはこの先、誰も悲しい思いをさせないように。
これ以上、弱い姿を晒すわけにはいかないと。自分の頬を両の平手でパシンと叩いて、気合を注入。
「さぁ、今日も強い祀がいくわよ! ――これがアタシのとっておき。最後の一滴まで全部ぶつけてやるから、覚悟しなさいよ!」
あくまで強気の姿勢を崩さずに、妖狐の力を解放させて、代々伝わる巫女装束に焔火を宿す。
まずは行く手を阻む邪竜を狙って、更に速度を上げて猛突進。闘気を纏った拳を握り、地面を蹴って高く跳ね、竜の顔面目掛けて拳を連打。放つ炎の拳は狐火となって、荒ぶる焔の爪が竜の巨体を抉って燃やし――力尽き、斃れた邪竜は灰燼と化して消え散った。
信徒も邪竜も撃破され、後は拒絶の障壁纏ったオブリビオンの少女のみ。
極は彼女に狙いを定め、風の魔力を展開させて身に宿し、戦闘力を強化する。
「さて、攻撃を跳ね返す障壁か、ならこう攻めてみるかな」
壁の攻略法を見つけたか、極がオブリビオンの少女に向けて、風の魔力を込めた衝撃波を放つ。何度も続けて絶え間なく、例え跳ね返されても撃ち続ける。
跳ね返ってくる風の衝撃を、極は軽い身のこなしで躱して、尚も撃つ。
何故なら風が跳ね返るということは、障壁の内と外に気圧差が生じているから。
「さて、気圧の低くなった障壁の外側に対して、空気が内側から外側に流れようとするけど、障壁が邪魔で流れない。空気が障壁に圧力をかけていくと、どうなると思う?」
極の問いに、エリーは何を訳の分からぬことを、と言って相手にしない。だが彼女は、すぐに思い知らされるのだった。
「強力な圧力は攻撃となり、障壁がそれをキミの方へと跳ね返すんだよ」
極の言葉通りに、障壁の内に密集された空気の圧が、壁を打ち破らんと膨張し、衝撃波となって拒絶の壁を吹き飛ばす。
更にはエリーもその衝撃に巻き込まれ、身体を地面に叩き付けられてしまう。
「どうやらこれでチェックメイトかしら」
そしてこの状況を待っていたかのように、ルカが狙い澄ましてスタングレネードを投げつけて。起爆と同時に激しい爆発音と閃光放ち、オブリビオンの少女は怯えるように身を強張らせながら蹲る。
思わぬ醜態を曝してしまい、エリーは顔を紅潮させて身体を震わせ、怒りを露わに猟兵達を睨め付ける。
猟兵達と楽園の使徒との戦いはまだ終わらない。彼女に本当の煉獄を見せつけるのは、これからだ――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
昏森・幸恵
違う世界の存在である私に、この世界で生きた貴女の気持ちなんてわからないわ。けど、貴女がしている事が何なのか、それだけははっきりと言える。
それは、ただの八つ当たりよ。
恨みはどこまでも個人に向けるべきもの。
罪を犯していない者など居ないけど、他人の罪を被るいわれなどない。
望みを絶たれたことが他者のそれを奪って良い理由になどならない。
裏切られたなら自分もまた裏切って良いとでも思ったの? 無関係な者を。
つまり聖女様、結局貴女はそう呼ばれていた最初から、
「人間」を見ていなかった。
咎力封じを使用後、クリスダガーを腰だめに構えて、ただ一撃を入れるために突っ込む。後のことも避けられる事も考えないわ。
コノハ・ライゼ
復讐ってコトよネ、いいえ悪かナイんじゃナイ?
ナンであれするコトは変わんねぇし、憐れむのはアンタへじゃナイ
右人差し指の指輪に口付け【天齎】発動、空色纏う剣へと変える
信徒や竜を呼ばれるのは厄介ダケド
動き『見切り』様子探って敵方の隙をみつけるねぇ
絶望は己への呪、確と断ち切ったげる
反撃は『オーラ防御』で弾き『激痛耐性』で凌ぐケド、負傷は気にしないヨ
でも真に狙うは司祭の方
『2回攻撃』で右目の「氷泪」から地に雷這わせ『生命力吸収』しよう
壁に隠れてもムダ、地獄までも『追跡』するワと『呪詛』をこめてネ
カミサマもラクエンもどうせヒトによりけりだ、否定はしねぇヨ
ただ赦すワケにゃいかないンでネ
せめて全部忘れて眠りな
クゥーカ・ヴィーシニャ
WIZで判定
絶望の中で幸せを追い求める。信仰は、それを後押しするためにあるものだ。俺は、俺が信じる神の使いとして、お前を倒す
UC使用。UCの継続回復に、【生命力吸収】【オーラ防御】で簡単には倒れない。糸で拘束し動きを制限。【姉様】と【絡繰剣「チュード」】で攻めるぞ。【呪詛】【カウンター】で長期戦覚悟で挑む。
確かに、信仰では救えなかった命を多く見てきた。絶望のまま朽ちて行ったのも。楽園なんて、神なんて、ないかもしれない。それでも、俺は、救うと決めたんだ。この命ある限り。助かりたいと思う命があるのなら。
だから、俺はお前を否定する。ここで朽ち果てろ
「絶望の中で幸せを追い求める。信仰は、それを後押しするためにあるものだ。俺は、俺が信じる神の使いとして、お前を倒す」
貧民街で育ったクゥーカ・ヴィーシニャ(絡繰り人形・f19616)は、絶望に打ち拉がれる人々と接してきたが故、罪無き民を苦しめる、吸血鬼の非道な手口に怒りを隠せず、闘志を滾らせ気炎を上げる。
「違う世界の存在である私に、この世界で生きた貴女の気持ちなんてわからないわ。けど、貴女がしている事が何なのか、それだけははっきりと言える。それは――ただの八つ当たりよ」
過酷な闇の世界と異なる、文明の発達した平和な世界で生まれた昏森・幸恵(人間の探索者・f24777)は、平凡な人生を歩んで今までずっと生きてきた。
そんな彼女が、オブリビオンと化した少女の抱く心の闇など、理解し切れるものでは到底ない。
それでも少女が成そうとしていることは、現世を生きる人にとっては関係ない、単なる逆恨みでしかないと強い口調で否定する。
「……それで、貴方達は何が言いたいのでしょうか。力無き者は滅びるのみ、それが自然の摂理では?」
猟兵達がどれだけ正論を述べようが、異形のモノにその身を堕とした彼女にとっては、力で支配することこそ全てだと――オブリビオンの理屈で以て猟兵達を捻じ伏せようと、全身から禍々しい黒いオーラを発生させる。
エリーの悪意と憎悪によって、生まれ出ずるは絶望抱く信徒の群れと、巨大な黒き邪悪な竜。それらの敵を前にして、コノハ・ライゼ(空々・f03130)は飄々と、不敵な笑みを覗かせ、真っ正面から対峙する。
「復讐ってコトよネ、いいえ悪かナイんじゃナイ? ナンであれ、するコトは変わんねぇし、憐れむのはアンタへじゃナイ」
どれ程大層な御託を並べても、その本質は人への恨みといった、ありふれた負の感情から生じるものだ。けれども例え理由が何であれ、コノハは目の前にいる敵をただ倒すことしか頭にない。
「祝杯を――」
右手の人差し指に嵌めた指輪に口付けし、己の生命力を籠めると――其れは思い描いた空色纏いし剣となり、秘めた力を解放させて悪の権化を迎え撃つ。
「そんな子供騙しのような力で、私の憎悪を断ち切れるとでも?」
自身が召喚させた信徒や竜に、たった一振りの剣で挑むコノハを、エリーは呆れるように肩竦め、纏めて蹴散らしてあげると命令を下して、猟兵達に襲い掛かる。
「この切れ味が子供騙しかどうか、試してみるカイ?」
口元に笑みを浮かべながらも、コノハの敵を見据える瞳は鋭く光って。相手の動きを見極めながら、間隙を縫って斬り掛かる。
「絶望は己への呪、確と断ち切ったげる」
素早い動きで残像を纏い、信徒の群れを斬り伏せて。黒き邪竜の攻撃を、発した闘気で跳ね返し、受けた負傷も厭わず戦場を駆ける。
コノハが真に狙うは煉獄の使徒。右目に刻んだシルシを発動し、剣を地面に突き刺すと――地表に雷這わせ、憎悪の壁を潜り抜け、本体の悪意に満ちた魂だけを貫き穿つ。
「カミサマもラクエンもどうせヒトによりけりだ、否定はしねぇヨ。ただ赦すワケにゃいかないンでネ。――せめて全部忘れて眠りな」
苦虫を噛み潰したような表情を浮かべるエリーと対照的に、コノハは毅然と振る舞いながら、薄氷色の双眸で蔑むように一瞥し、冷たい声で言い放つ。
「――我が天使よ。俺に力を与え給え。さあ、神罰の時間だ」
敵が怯んだ隙を見逃さず、クゥーカが祈りを捧げるように意識を集中。すると空から天使が舞い降りて、クゥーカの身体に憑依する。
それは自身が信仰している天使であって、クゥーカと天使の姿が重なり合い。純白の腰翼を大きく広げ、その力を以て悪を討ち滅ぼさんと、突撃しながら狙いを定める。
だがそう易々と、隙を与えるオブリビオンではない。
迫るクゥーカに対して、エリーは正面に立って迎え撃ち。浮かべる笑みは相手の心の闇を呼び覚ます、煉獄(ラクエン)への魔性の微笑みだ。
――ドクン、とクゥーカの心臓が、大きく脈打ち、視界が急に眩んで歪み出す。
そして彼女の心に刻まれた、過去の記憶の光景が、揺らぐ視界の中で形作られていく。
今、クゥーカの前に映るのは、これまで救えなかった多くの命。
絶望に飲まれて朽ち果てて、惨たらしく積み重なっていく屍の山。
こんな残酷な世に、楽園なんて、神なんて、一体どこにあるというのだろうか。
景色が闇に浸食されて、クゥーカ自身も奈落の底に引き摺り込まれそうになる――が。
「……それでも、俺は、救うと決めたんだ。この命ある限り。助かりたいと思う命があるのなら」
造られた人形の身であるクゥーカだが、命の重さを痛感し、救えなかった命の分まで、この手で守ると決めたのだから。
悲劇の記憶を乗り越えて、決意と誓いを込めて放ったクゥーカの糸が、エリーの四肢を絡めて拘束し、『姉様』と慕う人形を小脇に抱えて間合いを詰める。
「だから、俺はお前を否定する。ここで朽ち果てろ」
その手に『奇跡』という名を冠した漆黒の剣を握り締め、振り抜く刃がオブリビオンの少女の体躯を斬りつける。
「……弱者は放っておいても何れ死ぬ。そんな連中を守ったところで、何の意味があるのでしょう」
裂かれた傷から血を流し、よろめきながらも、猟兵達の抵抗はこの世界において無意味なものだと説くエリー。
「恨みはどこまでも個人に向けるべきもの。罪を犯していない者など居ないけど、他人の罪を被るいわれなどない。望みを絶たれたことが他者のそれを奪って良い理由になどならない。裏切られたなら自分もまた裏切って良いとでも思ったの? 無関係な者を」
しかし幸恵は一歩も引かず、無関係な人々を巻き添えにして、命を奪うことなど言語道断であると戒める。
「つまり聖女様、結局貴女はそう呼ばれていた最初から、『人間』を見ていなかった」
結局彼女(エリー)も、一番望んでいたのは自分自身の幸せなのだと。
そして救われなかったことを他人のせいにし、全てを憎み、精神までも歪めてしまう。
「黙りなさい! 二度と減らず口が利けないよう、貴女も闇に堕ちてもらいます!」
オブリビオンにその身を堕とした、嘗ての聖女の成れの果て。彼女の身体から、黒く澱んだオーラが広がり、幸恵とエリーの周囲を包む。
「それで私の心を揺さぶるつもり? でも無駄だってこと、教えてあげるわ」
エリーの憎悪の力を封じるべく、幸恵が手枷や拘束ロープを相手に向けて投げつける。
その時、幸恵の足元に、黒く波打つ影が伸び、幸恵を闇に引き摺り込もうと絡み付く。
「こんなもので……私の心は、負けはしない」
闇の力が視せる幻惑を、幸恵は意識を集中させて振り払い、投じた咎力封じのロープや手枷を命中させて。迷うことなく疾走しながら、特攻を掛ける。
腰だめに構えたクリスダガーを振り翳し、曲がりくねった刀身が、炎のように揺らめきながらエリーの肩を鋭く裂いて――鮮やかな赤い飛沫が、虚空に舞った。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
フリージア・カットラス
(絡み・アドリブOK)
【SPD】
「確かにこの世界は絶望だらけだが、幸せを望むことが無駄かどうかはお前が決めることじゃない」
【解放剣】を構えオブリビオンにそう言い放ちます。
●投映:煉獄(ラクエン)への微笑に 対しては過去に吸血鬼によって故郷を滅ぼされたことを思い出しますが
あのようなことを二度と起こさせない事が自分が戦う理由であることを再認識し、戦いを続行します。
「この偽の楽園は私達が解放する」
攻撃時は相手の防御の薄そうな部分を狙い、【ダークセイヴァー】を発動し光り輝く【解放剣】を突き刺します。(鎧無視攻撃)
「確かにこの世界は絶望だらけだが、幸せを望むことが無駄かどうかはお前が決めることじゃない」
手にした細身の剣を突き付けながら、フリージア・カットラス(人狼のブレイズキャリバー・f06651)がオブリビオンの少女に言い放つ。
「それはどうでしょう? 欺瞞と虚飾に満ちた、この穢れた世界でどれほど幸せを願っても、それが無駄だというのは私が知っていますから」
エリーもオブリビオンとなる前は、一人の人間として世界の救済を望んだ身である。
しかしその絶望を生み出しているのも、他ならない人間自身であるのだと。
少女が抱いた希望は失望となり、人そのものへの憎悪が膨らみ、歪んだ心が彼女を異形に変えたのだ。
だから人間達を煉獄<ラクエン>に導き、世界を滅ぼし、浄化する――それこそ彼女の望んだ、生きとし生ける者への復讐劇だ。
そんな少女の妄執に、やれやれと、半ば呆れるように溜め息を吐くフリージア。
それでもエリーは、目的が果たせるのなら構わない、と自嘲するかのように微笑みながら、自身の望む楽園に、フリージアを招いて誘うのだった――。
フリージアの赤い瞳に映る景色が揺らいで暗転し、次の瞬間、彼女が目にした光景は、嘗て暮らした故郷の村と、そこで生活している人々だ。
吸血鬼に支配されながら、それでも必死に生きて、小さな幸せに喜びを噛み締めていた懐かしき日々。
だが村は結局滅ぼされてしまい、フリージアも右目を奪われ、吸血鬼の戯れで生かされたまま、今日という日に至るのだった。
連中の単なる気紛れで生き残っているのは、皮肉以外の何物でもない。
失くした右目が強く疼いて、あの時抱いた恐怖がフリージアの記憶に蘇り、奥に眠った心の闇が、再び彼女を呑み込んでいく。
それでも彼女は意識を保って抵抗し、右目を失くしたその日から、世界に希望を取り戻すのだと――彼女の想いに細身の剣が呼応して、輝く目映い光が闇の力を消していく。
「――この偽の楽園は私達が解放する」
悲劇は二度と繰り返させないと、心に灯った光を剣に宿して。
その目に見据える、全てを奪った吸血鬼の幻影目掛け――新たに決意を込めるが如く、刃を深く突き刺した。
大成功
🔵🔵🔵
明日知・理
…大人に裏切られる
その、胸を締め付けられ切り裂かれるような苦しみや絶望を、俺も、味わったことがある
世の中に同じ痛みなど存在しない
だから、彼女の悲痛を『わかる』などとは言えない
彼女の復讐を止める権利は俺にはない
でも
止めるのだ
「──もう、休め」
お前は充分苦しんだ
もう、
──傷付くなよ
▼戦闘
庇える味方は庇い、可能ならカウンターを
見せられるトラウマは、かつて大人の"贄"とされた、俺の血の繋がらない弟妹達の姿
脂汗が滲み、恐怖と憤怒と絶望が心を支配しても
悪夢を振り払う様に
捨身の攻撃にて繰り出すのは『buddy』
UDCたる黒き怪犬が俺を覆い一つとなり
この牙をもって、葬送の一助とする
_
アドリブ・マスタリング歓迎
「……大人に裏切られる。その、胸を締め付けられ切り裂かれるような苦しみや絶望を、俺も、味わったことがある」
明日知・理(月影・f13813)は孤児院育ちであるが故、ここで運営している孤児院に嘗ての自分を重ね合わせて。人であった頃の彼女も似た境遇だったのだろうかと、思わず推察せずにはいられない。
とは言え、世の中に同じ痛みは存在しない。
だから、彼女の悲痛を『わかる』などとは決して言えない。
そんな自分が、彼女の復讐を止める権利はないのだが。
――でも、止めるのだ。
笑み一つない真剣な顔つきで、眼光鋭くオブリビオンの少女を見据え、真っ直ぐ前に歩き出す。
「……どうやら覚悟を決めたようですね。それなら視ると良いでしょう、貴方が犯した、拭い切れない罪の記憶を――」
黒衣の少女が微笑むと、理の心の奥に眠った過去の記憶が、彼の脳裏に蘇る。
瞳に映る、当時と変わらぬ光景を、懐かしく思う理だが。同時に思い出すのは、その身に起こった悲劇の悪夢――。
理の前に現れたのは、とある少年少女達。無邪気な笑顔で理に接する彼らは、孤児院時代の血の繋がっていない弟妹達だ。
しかし彼らは今はもう、この世にいない存在の筈。何故なら大人の“贄”とされ、未来を断たれてしまったからだ。
少年少女の周囲の景色が血で染まり、彼らの姿も朱色に呑まれ、そのまま融け込むように消えてしまう。
伸ばしたその手は届くことなく、全身から脂汗が滲み出て、恐怖と憤怒と絶望が、心を支配しようと闇の力で蝕んでくる。
この世に生まれたことが罪故と、降り注がれる嘆きの雨に打たれつつ。それでも人でありたいと、願った夢の欠片を探し求めて、触れたのは――白で繋いだ、首飾り。
迷わぬようにと込めた願いが、理の彷徨う心を呼び戻し。その魂を触媒に、召喚された黒き獣が融合するかの如く一つになって、明けない夜を切り裂くように、過去の悪夢を振り払う。
「――もう、休め」
命喰らいて奔る獣の牙にて、葬送への一助とするべく。少女を苦しみから解放せんと、御霊を還す白き刃で、彼女が犯した罪を断つ――。
大成功
🔵🔵🔵
壥・灰色
――目を閉じる。少女の無惨な最後を想う。
裏切られ、殺されたか
人を憎み、その魂を煉獄に誘わなければ気が済まないか
おれはその憎しみを笑わない
お前には、復讐する権利があるのかもしれない
お前の云うとおり、この世は確かに美しくない
日が差さないまま、ずっと真夜中のままだ
――進む、歩み寄る。ただ拳を固く握る。
……ただ。
それでも、おれは、人の心と強さを信じている
心に灯が燃えるのなら、この夜だって越えていける
――終わらない夜はない
いつかは、この空すらもおれたちが晴らしてみせる
――構えを取る。真っ直ぐに睨む。さあ、殺し合いを始めよう。
好き勝手に復讐をするといい
おれは、おれの信念で、ただそれを何度でも止めよう
――壥・灰色(ゴーストノート・f00067)は、オブリビオンの少女を見つめるその目を閉じて、非業の死を遂げたという、彼女の無残な最期を心に想う。
「裏切られ、殺されたか。人を憎み、その魂を煉獄に誘わなければ気が済まないか」
人々を救済すべく、楽園に導くことを使命に生きた、聖女と呼ばれし悲劇の少女。
しかし闇に閉ざされたこの世界では、それは到底叶わぬ夢であったと現実を識り。
理想に敗れた少女は大人達にも見捨てられ、行き場を失くして生命を断った――。
「ええ……あの日、私は悟ったのです。他人の為に命を尽くすということが、自分を犠牲にしてまで誰かの為に抗うことが、どれ程愚かで無駄だったのか……」
結局何も成し得ずに、全てを失い、後悔だけの日々を過ごす。
純粋だった少女の心は、世の醜さを、穢れを知って絶望し、堕ちていくのは容易くて。
自分を見捨てた人間達にただ復讐する為、憎悪に歪んだ魂が、妄念だけを膨らませる。
おれはその憎しみを笑わない。
お前には、復讐する権利があるのかもしれない。
お前の云うとおり、この世は確かに美しくない。
日が差さないまま、ずっと真夜中のままだ――。
少女の憎悪が篭った言葉にも、灰色は否定することなく、心に感じた想いを口にする。
そうして語り掛けつつも、一歩ずつ、前に踏み出す足の歩みは止まらない。
――進む、歩み寄る。ただ拳を固く握る。
「……ただ。それでも、おれは、人の心と強さを信じている。心に灯が燃えるのなら、この夜だって越えていける」
表情一つ変える事なく、相手の顔を真っ直ぐ見据える灰色の、褪せた瞳に映るのは――何かに怯えるように救いを求める、か弱く無力な少女の面影。
嗚呼、あの孤児院はもしかして、きっとこの少女の在りし日の――。
「――終わらない夜はない。いつかは、この空すらもおれたちが晴らしてみせる」
そう言い終えた後、灰色は歩みを進める足を止め、少女と正対しながら構えを取って、鋭く睨む。
……復讐をしたいなら、好き勝手にするといい。
おれは、おれの信念で、ただそれを何度でも止めてみせるだけ。
「さあ、殺し合いを始めよう――」
大成功
🔵🔵🔵
願夢・貴宝
救いなぞ与えてやれる程俺の刃は重くない
そんな物は他の誰か
それこそ真に楽園を望める者に任せる
故に俺が与えてやれるのは死の法悦のみ
さぁ殺し合おうぜ
死の恐怖と踊るダンス・マカブルって奴でよォ!
信徒と黒竜を無視し最短最速で接敵
攻撃は急所に当たる物を見切り逸らしそれ以外は激痛耐性で無視
接敵後は障壁の反射を気にせず怪力の一撃を叩き込み続ける
反射の当たり所が良ければ周囲だけでなく聖女様自身に血を浴びせる事も可能だろ
十分に血が散れば【羅刹天の呪鎧】
爆ぜる炎で傷を負わせ障壁を解除させ
全身と武器に炎を纏い怪力をのせた2回攻撃で切り刻む
傷は喰らった生命力で修復
地獄の炎で踊ろうぜ
俺かお前、どちらかが灰になるまでよォ!
マツリ・アンダーソン
※アドリブ・連携歓迎
見れば敵は少女。それでも闘うことが私の贖罪…定めなのか。
所詮、貴様も私も、これ以上不幸を生まないための哀れな供物。地獄まで付き合ってもらう!
UC【血統覚醒】で力を増幅し、更に【限界突破】する!
【武器受け】で攻撃を弾きながら突っ込み、避け切れない攻撃は【激痛耐性】でしのぐ。
間合いを詰めたら、光の力を宿した【属性攻撃】で【捨て身の一撃】を放つ!
一見すると無謀な突撃だが、ダメージを与えられれば儲けもの、目的はエリーを足止めして他の猟兵への注意を逸らす囮り攻撃だ。
(きっと楽園なんてどこにもないし、あたしは幸せにはなっちゃいけない。でも、もう一度ママに会いたかったな…)
孤児院や教会を隠れ蓑に暗躍するオブリビオン。一体如何な異形かと出会ってみれば、まだ少女の身ではないかとマツリ・アンダーソン(大人になれない咎人殺し・f07765)は一瞬躊躇う。
それでも闘うことが運命なのかと逡巡するが、ならば仕方がないと覚悟する。
「所詮、貴様も私も、これ以上不幸を生まないための哀れな供物。地獄まで付き合ってもらう!」
二本の刀を両手に握り、意を決し、マツリは自身の身体に流れる吸血鬼の血を、呪われし力を解放させる。
彼女の黒い瞳は、血のような真紅を帯びて。抑え切れない程の衝動に、駆られるように漲る力を、手にした刃に注ぎ込む。
「救いなぞ与えてやれる程俺の刃は重くない。そんな物は他の誰か、それこそ真に楽園を望める者に任せる」
これまで外法の道を歩んできた願夢・貴宝(ジョン・ドウ・f23301)にとって、その手に掴んだ刃は、自身の存在も含めて、ただ殺す為だけの道具でしかない。
「故に俺が与えてやれるのは死の法悦のみ。さぁ殺し合おうぜ。死の恐怖と踊るダンス・マカブルって奴でよォ!」
物心ついた頃から、己の名前も両親の顔も、故郷の風景すらも知らぬまま、闇の世界を一人彷徨い歩いて生きた貴宝。彼にとっての戦いは、生き抜く為の術に他ならない。
そんな自分にできるのは、命と命を賭けた奪い合い。外法の集団無き今は、ただ一人の猟兵として、悪しきオブリビオンに牙を剥く。
「貴方達が望むのは、この私との殺し合いというわけですか。……良いでしょう。ならば心行くまで、存分に相手をしてあげましょう」
煉獄の使徒たるオブリビオンの少女、エリーは二人に対して殺意を滾らせ、発する黒いオーラが信徒の群れと邪竜を生み出し、猟兵達を迎え撃つ。
「貴様達の相手は私一人で十分だ。かかってくるがいい!」
マツリが挑発するかのように気炎を上げて、疾走しながら信徒の群れに突撃していく。
闇に溶け込むように黒い外套を翻し、敵の攻撃を受け流した太刀は、血を求めるように斬り返し、信徒の頸を刎ね飛ばす。
されど信徒も数の多さでマツリを攻め立て、押し寄せる悪意にマツリは防戦。避け切れなくて受けた負傷は気力で凌ぎ――自身の力の限界を、乗り越えようと闘志を鼓舞させ、一心不乱に剣を振るう。
その一方、貴宝は信徒を無視して、最短距離でオブリビオンの少女を目指して駆ける。
狙いは彼女の首のみと、敵の悪意から己を守りし加護を刻んだ装具を纏い、ひたすら突き進んで行った先、貴宝の前に、巨大な竜が行く手を阻んで立ち塞がった。
「そこをどいてもらおうか。邪魔をするなら、容赦しないぜ」
竜を見据える貴宝の、仮面の奥の赤い瞳が鋭く光る。
黒い邪竜は舌舐めずりしながら顎門を開き、その獰猛な牙で貴宝に喰らい掛かる。
しかし貴宝は冷静に、相手の動きを見極めながら身を躱し。攻撃直後の隙を狙って、竜の喉元目掛けて刃を奔らせ、死を穿つ。
斯くして竜の巨体が崩れ落ちると同時に、信徒の群れもマツリの手に掛かって消滅し、後はオブリビオンの少女を残すのみ――。
(「きっと楽園なんてどこにもないし、あたしは幸せにはなっちゃいけない。でも、もう一度ママに会いたかったな……」)
マツリは耳に添えられた、黒真珠のイヤリングにそっと手を触れ、想いを馳せる。
辛く厳しい生活を送ってきたマツリにとって、優しい母の思い出だけが、彼女を支える全てであった。
何度も折れそうになった心を救ってくれた、今までも、そしてこの戦いも――。
刹那の迷いを振り払い、マツリが意識を集中させると、太刀に光の力が宿って輝く。
今を抗うことだけ考えながら、全速力で間合いを詰めて。敵の拒絶の壁を粉砕すべく、捨て身の覚悟で刃を一閃――。
更には貴宝も、反射の負傷も厭わず、少女に対して攻撃を力任せに叩き込む。
揮った力はそのまま貴宝自身に跳ね返り、受けた傷から飛び散る赤い血が、拒絶の壁を染め上げて。仮面が罅割れ、どれだけ傷が刻まれようと、貴宝は尚も斬り続ける。
すると障壁にかかった血から火花が弾けて燃え上がり、瞬く間に障壁全体を呑み込み、駆け巡る黒い炎が大きく爆ぜて――。
爆発音が響くと同時、その衝撃で拒絶の壁が砕け散り。エリーも吹き飛び、宙に舞い、地面に激しく叩きつけられる。
魂貪る黒炎が、少女の生命力を啜り喰らい。傷を修復させた貴宝は、割れた仮面の一部から、僅かに素顔を覗かせながら、不敵に笑う。
「――地獄の炎で踊ろうぜ。俺かお前、どちらかが灰になるまでよォ!」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
音海・心結
ナイトこと緋翠・華乃音(f03169)の傍に
幸せを知らない──ナイトの言葉に胸がチクリと痛む
……そうですねぇ
みゆ達の手で還らせてあげましょう
あんな身勝手なヤツの好き勝手にはさせないのです
ナイトが疑問に思っていること
理解出来るか、合っているかは別として
……ヤツらも救われたいのかもしれないのです
一度初めたらもう止められない──"麻薬のようななにか"から、
本当は解放されないのかも──なんて
「どうでしょうねぇ。こんなワガママ、みゆは考えたことないのです」
分かったとしても、同意は出来ない
ヤツらのやってることは許されないことなので
UC『終ノ刻』使用
みゆたちは絶対に負けない
お前の罪を捌くためにも
緋翠・華乃音
音海・心結(f04636)と共に
別に、抗ってるつもりはない。
幸せなんて俺は知らないし、ましてや知らないものを望んだりしない。
そして君が今やってる事は単なる復讐――いや、八つ当たりか。
下らないと吐き捨てるのは簡単だが、その魂は在るべき場所へ還してやろう。
……でも、分からないのはその献身だ。
そんな"他者の幸福(どうでもいいこと)"の為に尽くして、そして非業の最期を遂げ、その歪んだ想いだけが蘇る。
なぜ――君達、過去の遺物(オブリビオン)はそんなにも今の何かに執着出来るんだ?
未練を抱いたまま死を迎えれば理解出来るとでも言うのか?
「……心結、君は分かるか?」
俺には全く分からない。
「別に、抗ってるつもりはない。幸せなんて俺は知らないし、ましてや知らないものを望んだりしない」
緋翠・華乃音(終ノ蝶・f03169)はただ自分の心のままに戦うだけと、オブリビンの声にも我関せずと相手にしない。
幸せを知らない――華乃音の言葉に、彼の隣に寄り添う音海・心結(ゆるりふわふわ・f04636)の胸がチクリと痛み、締め付けられる想いと共に、一瞬、表情を曇らせる。
「そして君が今やってる事は単なる復讐――いや、八つ当たりか。下らないと吐き捨てるのは簡単だが、その魂は在るべき場所へ還してやろう」
もうこれ以上、話すことなど何もない。それぞれの手に、拳銃とナイフを携えながら、華乃音が諸悪の根源である煉獄の使徒と対峙する。
「……そうですねぇ。みゆ達の手で還らせてあげましょう。あんな身勝手なヤツの好き勝手にはさせないのです」
心結もそうした華乃音の思いに同調し、彼の支えになれるよう、体内に埋め込まれた桜の花の刻印を、発動させて気合を高めて立ち向かう。
「幸せを知らない者が、何を守ると言うのでしょう。私のしていることを否定するなら、貴方達も同罪です。この手で煉獄<ラクエン>に導いてあげましょう」
自分に逆らう者は、誰であろうと排除する。エリーも実力行使で猟兵達を排除すべく、殺意のオーラを纏って黒き邪竜と信徒の群れを召喚させて、二人を襲う。
「……でも、分からないのはその献身だ。そんな“他者の幸福(どうでもいいこと)”の為に尽くして、そして非業の最期を遂げ、その歪んだ想いだけが蘇る」
襲い掛かってくる信徒達の攻撃を、華乃音はナイフで受け止め、瑠璃の瞳に映った悪意の信徒を、流れるような動きで次から次へと斬り伏せる。
「なぜ――君達、過去の遺物(オブリビオン)はそんなにも今の何かに執着出来るんだ? 未練を抱いたまま死を迎えれば、理解出来るとでも言うのか?」
その身に纏うは死の気配。戦っている間も、華乃音は一糸乱れぬナイフ捌きで淡々と、信徒を撃破しながら抱く疑問を口にする。
(「ナイトが疑問に思っていること。理解出来るか、合っているかは別として。……ヤツらも救われたいのかもしれないのです」)
華乃音の言葉を聞きながら、心結が彼女なりに感じたことを、心の中でぽつりと呟く。
(「一度初めたらもう止められない――“麻薬のようななにか”から、本当は解放されたいのかも――なんて」)
闇に堕ちてしまった魂は、もう二度と、光の当たる世界の下には還れない。
人を憎しみ、悪意に芽生えた感情は、誰かが摘み取らなければ終わらない。
「……心結、君は分かるか?」
彼女(エリー)はどうして異形になってまで、人に復讐しようと思うのか。
華乃音はそんな気持ちを全く理解できず、心結ならどうかと訊ねてみると。
「どうでしょうねぇ。こんなワガママ、みゆは考えたことないのです」
もし分かったとしても、自分の考えていたことがそうであったとしても――同意できる筈など決してない。
例え理由が何であれ、彼女が行ったことは許されざる蛮行なのだから。
「みゆたちは絶対に負けない。お前の罪を裁くためにも」
心結は弓を構えて矢を番え、黒き邪竜に狙いを定めて、最大限まで引き絞る。
邪竜が鎌首擡げて舌舐めずりし、巨大な顎門を開いて心結に喰らいつこうと迫り来る。
「――視えたのです」
しかし心結は動じることなく矢を放ち、一直線に邪竜の喉を撃ち貫いて、見事に巨大な竜を射止めるのであった。
「くっ……ならばこれならどうでしょう」
エリーの表情に焦りの色が滲み出る。だがそのことを悟られまいと、平然を装いながら微笑んで、猟兵達の心の傷を呼び覚まそうとする。
「一度視た。二度と視る必要は無い」
語ることなき華乃音の記憶。彼の周りで羽搏く蝶は、果たして誰の魂か。
だがその双眸に映すのは、戻ることなどできない過去ではなくて、今この戦場で討つべき敵の姿のみ――。
研ぎ澄まされた戦闘感覚が、煉獄<ラクエン>へと導く幻影を破り、エリーに銃を突き付け、銃爪(トリガー)を引く。
無慈悲に響いた銃声は、悲痛めいた彩を添え――十字架飾る右耳に、届く叫びに想うは果たして救いか、断罪か――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
リオン・エストレア
彼女の悲痛な泣き声が聞こえる。
俺は彼女の記憶の何もかもを知らない。
俺は彼女の過去の代わりになれない。
ふと、失った記憶の断片が戻って。
神を見放し月に祈りを捧げた聖者の記憶。
聖者は絶望してなお、ただ1人を信じ続けて。
信じた末に死んでゆく。
俺には何も残されていない。
だからこそ…彼女だけは。
俺は絶望しない。
俺は、貴様に叛逆する。
せめて、俺はお前の手を離さない。
お前の為だけに、この祈りを捧げよう。
暗き闇の底でも、蒼き月光の加護を。
UC使用。
片膝を付き、十字架を掲げ。
真摯な祈りを捧げる。
淡き月の光が、彼女の支えとならんことを。
終わりなら、安らかに眠ってくれ……
最期に還り着く場所が本物の楽園であらんことを。
ルーチェ・ムート
【紅蒼】アドリブ◎
ボクをかみと呼ぶ、こえ
暗い檻の中、ボクを繋ぎ
ボクの声を、歌声を求めてくれたあの人
あなたが褒めてくれる
それがボクの世界の全てだった
しあわせ、だったのに
なんで
消えてしまったの
やだ
独りにしないで
蹲る
溢れる涙
あれ、ボク…?
優しい蒼き月光
心が安らいでいく
リオン
そこに、居てくれたんだ
かつて伸ばした手は届かなかったけれど
今は繋ぐ指先の強さを知っている
終わらせる覚悟に響く歌声
大声で叫ぶように歌う
リオンにそれは使わせない
祈りの邪魔もさせないよ
纏う白百合で彼のオーラ防御
赫縁で包み更に守る
花びらを乱れ撃ちし血鎖で範囲的に空から串刺し
月明かりの下、白百合の餞を
せめて、安らかに
――リオン、ありがとう
――其処は閉ざした心の奥深く。
ルーチェ・ムート(无色透鳴のラフォリア・f10134)は一人寂しく、暗闇の檻の中に囚われていた。
深淵の闇の水底は、光の一切届かぬ絶望の世界。
希望を抱くことすら許されぬ、彼女の虚ろな心に、唯一灯った優しい光。
ボクをかみと呼ぶ、こえ。
暗い檻の中、ボクを繋ぎ、
ボクの声を、歌声を求めてくれたあの人。
あなたが褒めてくれる、それがボクの世界の全てだった。
しあわせ、だったのに――。
なんで、消えてしまったの。
やだ、独りにしないで――。
ルーチェの悲痛な泣き声が、リオン・エストレア(蒼血の半魔、昏き蒼焔の残響・f19256)の耳に届いて、彼女の切なる心の叫びが、リオンの胸を締め付ける。
――俺は彼女の記憶の何もかもを知らない。
――俺は彼女の過去の代わりになれない。
ルーチェが今までどれ程苦しんでいたのか、こんな時、何もできない自分は、ただただ無力で、『また』大切な人を失ってしまうのか――。
その時、リオンの失くした記憶の断片が、不意に脳裏を掠めて、甦る。
――其れは神を見放し月に祈りを捧げた聖者の記憶。
聖者は絶望してなお、ただ一人を信じ続けて。信じた末に死んでゆく。
俺には何も残されていない。
だからこそ……彼女だけは。
俺は絶望しない。
俺は――貴様に叛逆する。
リオンの瑠璃の双眸が、悪意に塗れた異形の少女を映し出す。
そして今度こそ、必ず『彼女』を救ってみせる、と。
差し出すその手は、過去に苦しむルーチェの手へと、伸ばされて。
「せめて、俺はお前の手を離さない。お前の為だけに、この祈りを捧げよう」
暗き闇の底へも射し込むような、蒼き月光の加護を――。
『今この瞬間だけは……お前の月(ひかり)で居させてくれ。この身を、この血を、お前に捧げよう』
ルーチェに傅くように片膝突いて。十字を掲げ、真摯な祈りを捧げるリオン。
彼から発する淡い月の光が優しく包み、彼女の支えにならんと込めた願いは――少女の心の闇を、明るく照らす。
――暗がりの中で蹲る、ルーチェの頬を、熱い雫が伝って流れる。
紅い瞳から、涙が自然と溢れて止まらない――ルーチェが空を見上げると、どこまでも闇が広がっていたその隙間から、絹糸のように射し込んでくる、優しい蒼き月明かり。
照らす光の温もりに、ルーチェの心が次第に安らぎ、ふと大切な人の顔を思い出す。
「――リオン、そこに、居てくれたんだ」
嘗てひかりを求めて伸ばしたこの手は、届かなかったけれど。
でも今は、繋ぐ指先の強さを、知っているから――。
『――Please, Please, listen to my voice!』
魂を束縛していた過去の鎖を解き放ち、ルーチェが声を張り上げ高らかに、叫ぶが如く歌を歌う。
これで全てを終わらせる、例えこの生命を削っても――切なる願いは魅惑の呪い。
覚悟を誓って歌声響かせ、甘美な音色が、オブリビオンの少女の心を捕らえて離さず、相手の動きを封じ込む。
「これ以上、リオンにそれは使わせない。祈りの邪魔もさせないよ」
その身に纏いし白百合と、二人を繋ぐ赫き縁が、悪意と憎悪を振り祓い。
真白き花弁が嵐のように舞い乱れ、真紅に染まりし『血』の鎖を空に放って、重力に引かれるようにオブリビオンの少女の四肢を穿つ。
「月明かりの下、白百合の餞を。せめて、安らかに――」
ルーチェが手向けの言葉を捧げて、別れを告げる。直後にリオンが、高く跳躍しながら黒い巨剣を叩きつけ、煉獄の使徒を一刀両断――。
「……終わりなら、安らかに眠ってくれ……。せめて最期に還り着く場所が、本物の楽園であらんことを」
そこに墓標を刻むが如く、振り下ろされた刃はオブリビオンの少女を斬り伏せて。
現世に生きる人々を、煉獄に導かんとする異形の使徒は地に斃れ――楽園を望んだ嘗ての聖女の魂は、歪んだ意思から解き放たれて。斯くして、悲劇の物語は終焉を迎えたのであった。
――闇に閉ざされた檻の中。
射し込む瑠璃の光に寄り添うように、薄紅色の蝶が羽搏いて。
二人の楽園に、これから一緒に帰ろうと――交わした誓いが、いつか現実となるその日まで。少女は抱く想いを胸に秘め、心の中で囁いた。
――リオン、ありがとう。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
最終結果:成功
完成日:2020年02月19日
宿敵
『煉獄への導き手・エリー』
を撃破!
|