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ぜつぼうのむこうがわへ

#アリスラビリンス

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#アリスラビリンス


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●おもいでのむこうがわ
 ――――ねえ、あんたちょっと調子にのってんじゃないの?
 そう言って投げつけられたのは汚れた雑巾。
 酷い悪臭を漂わせるそれ。

 ――――人の男に何媚びうってんのよ!!
 そう叫びながら、頬を張られた。
 あっちから勝手に近づいてきただけなのに。

 殴られた、蹴られた、モノを壊された。
 やってもいないことを言いふらされ腫れ物のように扱われる。
 そんな風に傷ついた私を思うままに出来ると思ったのか取り入ろうとする男たち。
 それを見てまた、女たちは気分を損ね、より激しく、苛烈に、そして陰湿に。

 わけのわからない化け物に追いかけ回されて。
 必死に逃げ回って、そうして、漸く帰れると思った時。
 その扉のノブに手をかけた瞬間にその記憶が溢れ出た。
 口元を抑えこむが、逆流するそれを停められない。

 びちびち、と言う音をあげ粘着質なそれがこぼれ落ちる。
 不快な異臭が周囲に立ち込める。
 ドアノブにかけた手は動かない。

 ――――あんな所に戻るぐらいならば、いっそ。

 動けない、動かない、動かせない。
 幻覚なのか、扉を開けてすらいないのに周りの景色が。
 あの教室に変わっていく。
 無意識に開けてしまったのだろうか。
 嗚呼……もう……――――どうでもいいか。

●ぜつぼう の くに のアリス
「イエス、イェーガー、予知の時間です」
 アリシエル・フィフスガーディ(五天の守護機・f09139)はグリモアを展開する。
 それと同時に電子マップが構築され、その向こう側がモニタリングされていく。
 映し出されたのは一つの校舎。
 そこに漂う一人のアリス。
 扉までたどり着きながら、その扉の向こう側の記憶のせいで心が折れた一人の少女。
 深い、深い絶望、それを反映した世界。
「まさに絶望の国のアリス、と言った様相ですね」
 紫紺の瞳はそれでも微動だに揺らぎもせずに、淡々と説明を重ねていく。
 目的は敵性オブリビオンの排除及びアリスの救出である。
 オブリビオンは、アリスを絶望の記憶で犯して、オウガへの変異を誘っている。
 敵性オブリビオン・オウガを排除し、絶望の淵にいるアリスを救い出す。
「弱かった、と言えばそれだけです。ですが誰も彼もが強くあれるわけではない」
 ――――まして、人の心など悪意一つで容易く折れる。
 否、違う。
「……無邪気な善意ですら人の心など容易く折れるのですから」
 どちらにせよやる事などそう変わらない。
 銀糸の少女は猟兵たちに向き直る。
「当機は、イェーガーたちならば問題なくこの予知の打破を完遂出来ると信じています。健闘と武運を祈ります」


虎河豚天
 虎河豚の天ぷら、略して虎河豚天でございます。食べないで。
 絶望の国で絶望したアリスを救い出せ、イェーガー!!
 そんなシナリオです。
 第一章はとりあえずオウガをぶちのめします。
 第二章は襲い来る絶望の国の絶望を退けながらアリスを呼び起こしましょう。
 第三章は扉の向こう側への道を阻む雑魚どもを蹴散らすお話。
 けれど、これはアリスを救い出す事こそが目的です。
 絶望したアリスをオウガに変異させないためにも頑張りましょう。
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第1章 ボス戦 『慈愛を与える者』

POW   :    フェザー・スラッシュ
【指先】を向けた対象に、【飛ばした羽】でダメージを与える。命中率が高い。
SPD   :    フェザー・フィニッシュ
【飛ばした羽】が命中した対象に対し、高威力高命中の【流星】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ   :    フェザー・ドーム
【翼より大量の羽】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。

イラスト:むぐ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠月夜・玲です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

火土金水・明
「アリスさんを助けるためにも、まずはあなたを倒させてもらいます。」
【SPD】で攻撃です。
攻撃は、【先制攻撃】で【高速詠唱】し【破魔】を付けた【属性攻撃】の【全力魔法】の【銀の流れ星】を【範囲攻撃】にして、『慈愛を与える者』が何処に移動しても巻き込めるようにして【2回攻撃】をします。相手の攻撃に関しては【見切り】【残像】【オーラ防御】で、回避とダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「さあ、オブリビオンは『骸の海』へ帰りなさい。」
アドリブや他の方との絡み等は、お任せします。



●白銀流星
「アリスさんを助けるためにも、まずはあなたを倒させてもらいます」
「うふふ、これは愛なのに、それを妨げると言うの?」
「ええ、そんなものが愛などであってはならないです」
 火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)が銀色の白刃を払う。
 同時、キィン、と甲高い音をあげた。
 放たれた羽を墜ち落としたのだ。
「流れる星に、魔を断つ力を……!!」
 紡いだ言葉を以て、銀の剣に力が宿る。
 黒い外套を翻し、まるで流星の如く斬撃が縦横無尽に迸る。
「あら、あら……」
 放たれた無数の羽、そのどれもが明に届かない。
 切り払われ、切り落とされ、弾き落とされる。
 しかし、放たれた羽が遂に明を捉え、そして流星がそこに降り注いだ。
 歪な教室の床が砕け散り、埃が舞い上がる。
「あらあら、終わってしまったわね」
「――――残念」
 慈愛を与える者、その背後から声が響く。
 とっさに飛び出すも、銀の流れ星の如き斬撃がそれを逃さない。
 斬閃が走り、オブリビオンたる彼女の身を斬り裂いた。
「それは残像です」
 銀の剣を構え、その切っ先を慈愛を与える者に突きつける。
「さあ、オブリビオンは『骸の海』へ帰りなさい」

大成功 🔵​🔵​🔵​

テラ・グゥスター
元の世界で生き地獄、帰るのを躊躇うってか…どれほどの絶望を味わえばそうなってしまうのかね。

【SPD】
最終的に道を選ぶのはそこのアリスだが、オブリビオンに誑かされた上での判断は支持できん。ひとまずお前は消えておけ。
あの翼、それに戦い方を見るに羽がUCの起動条件にもなってる、か?なら近接戦闘の方が不得手と見た、「刻参釘」でUCを封じて混乱を誘っての接近戦を狙う。
できるなら翼を切り落とし、無理でも後詰めの為に羽をいくらか削り取るくらいはしておきたい所だ。



●邪魔者は消す
「元の世界で生き地獄……帰るのを躊躇うってか……」
 その絶望は、どれほどのものだったのか。
 あるいは強い人間にとってはそれは些細なものなのかもしれない。
 けれど、絶望に揺蕩う彼女にとっては、それは地獄に等しかった。
 テラ・グゥスター(生存こそ正義・f04573)は、瞳を軽く伏せた。
 そして、慈愛を与える者と向き直る。
「最終的に道を選ぶのは、アリスだ」
 そう、最終的に、帰るのも、留まるのも。
 選ぶのは、今絶望を漂うアリス他ならない。
 だが……そう、だが、しかし。
「貴様に誑かされた上での判断は支持できません。ひとまず、貴様は消えて頂きます」
 同時、慈愛を与える者から無数の翼が放たれる。
 しかし、テラの左腕に仕込まれたネイルガンがその羽を撃ち落とす。
「近接戦闘は不得手と見た……」
 ジャラリ、と言う音が響き、取り出された黒き釘、灰の釘、赤き釘。
 それを礫の如く放てば、その翼が釘にて縫い留められる。
「古き呪詛の儀、その一端……顕現せよ」
 続くつぶやくような詠唱、理外の理によってもたらされる世界法則。
 その法則理によって為される論理定義が、翼を縛鎖によって縛り上げられた。
「翼そのものとは言わない……風切り羽ぐらいは貰うぞ」
 その指先より放たれた光芒。
 空を走り、刹那の内にその風切り羽を焼き切った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

秋津洲・瑞穂
少し手不足かしらね。ならば割り込みましょうか。
「新当流太刀術、秋津洲瑞穂。参ります」

【ダッシュ】で近づいて反射的な攻撃を誘引し、【残像】で躱す。
敵の攻撃タイミングはこちらが決めるわ。勝手はさせない。
相手の動きを読むのみならず、こちらに都合よく動くよう仕向ける、
それが武術の妙というものよ。

呼吸を合わせ、動作を合わせ、打って出る気配があれば寸前に押す。
それだけで相手は、過早に攻撃してしまう。
反射に抗うのは初見では難しいわよ。

間を詰めてしまえば、あとは斬るのみ。
【鎧無視攻撃・2回攻撃】の剣刃一閃、秋津洲新当流一の太刀たる
一刀二斬を叩き込んでくれる。
「去るがいいわ、オブリビオン」



●武の極北
「少し手不足かしらね……」
 秋津洲・瑞穂(狐の巫女・f06230)は、とん、と一つ足音をあげる。
 その背にした刃の柄、そこに手をかけ器用に抜き放った。
「――――新当流太刀術、秋津洲瑞穂、参ります」
 名乗りあげるは自らの流派、それを修めたる証の剣。
 鋭い切れ味を誇るその細身の刃は、絶望の世界で白く輝く。
 慈愛を与える者に切っ先が突きつけられた。
 ゆらり、と揺らぐ切っ先、それはまるで敵を誘惑するように。
 幻惑の切っ先、揺らいだそれを刀を重すぎて持ちきれぬと睨んだか、翼より羽が放たれる。
 一つ、二つ、三つ、切り落とす。
 四つ、五つ、六つ、足さばきのみでかわす。
 その攻撃は瑞穂が切り払い、避けやすいように放たれてるかの如く。
 されど、それは当然の事。
 切っ先の揺らしは、誘い。
 武術の極北にあるものは、相手の動きを見切るばかりではなく、相手を"動かす"事にも長ける。
 つまる所、一気呵成に攻め立てたように見えるそれすら、瑞穂にとっては予定調和の一つに過ぎない。
 吐き出す吐息、その呼吸の一つすら、全ては読み通り。
 相手の動きは全て、こちらの読み通り。
 そのように動かせたのだから至極当然の道理、それが剣理と言うものである。
 七つ、八つ、九つ、紙一重の回避にすら思えるそれは必要最低限のみの動作によって為されたもの。
 最早、その間合いは瑞穂のもの。
 剣理の間合いであり、剣の届く範囲であり、瑞穂の理合の内。
「――――秋津島新当流、一の太刀」
 瞬時に閃いた白刃、それは一刀にしか見えぬ。
 しかし、あまりにも速すぎる剣速が二刀目を捉えさせぬ。
 それ故に傍目から見れば一撃にて二斬したようにしか見えない超神速の剣。
「去るがいいわ、オブリビオン」
 神速一閃の二斬、慈愛を与える者に深々とした傷を刻んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アウル・トールフォレスト
(※好きにお任せします)

…わたしには、何がなんだかわからないけれど
とにかく、まずはあのオウガを殺せばいいんだよね?

【深緑、底知れぬ恐怖を育め】を発動。初めから手加減なしだよ
誰よりも何よりも大きい『高き森の怪物』に変身して戦う

幾千、幾万と羽を飛ばしてこようと無視。変身している今の耐久力なら防御の必要もない
両腕に力を集めて、風属性の魔力もまとわせて、渾身の一撃を叩きつける事にだけ集中する

わたしはあのアリスの事なんて何一つ知らない
『怪物』のわたしにはわからない

けれど

絶望に染まってオウガになっても、何も解決しないと思うの
…わからない、わからないけどぉ…!
良くないって事だけは、わたし感じてるの!



●絶望を知らぬ怪物
「わたしには……何がなんだかわからないけれど」
 アウル・トールフォレスト(高き森の怪物・f16860)はわからない。
 彼女は『怪物』であるからこそ、この絶望の世界を理解出来ない。
 彼女は『怪物』であるからこそ、そこに沈んだ少女の事などは何もわからない。
 ただ、けれど、彼女は『怪物』であるからこそ理解(わか)ることがある。
 それは、慈愛を与える者と名乗るソレが、慈愛なんてものを与えない事。
 絶望に染まって、オウガと言う『怪物』に成り果てる事。
 そう、『人間』が『怪物』になることは良くない事だと言う事。
 それを本能で感じ取っていた。
 だからこそ、このよくないものは排除しなければならない。
 黄金の瞳が輝きを放つ。
 その身は歪な音をあげ、軋んで、姿を変貌させていく。
 『高き森の怪物』、その世界に存在する何よりも、誰よりも巨大な『怪物』。
 その巨大な体躯の前では幾千と、幾万と、翼を放った所でどうにもならない。
 巨木の幹に、手にした砂を投げつけた所で意味がないように。
 ただ、その質量の差と言うソレだけで『怪物』と言う存在、それを如実に世界に示していた。
「わたしは、あのアリスのことなんて何一つ知らない」
 わからない。わからない。わからない。
 だけど、そこでとどまって、怪物に成り下がった所で何一つ解決はしない。
 だから、だからこそ。
 それは間違っているのだと、それは誤りなのだと。
 ただそれだけを示す為に、アウルはその拳を振り下ろす。
「今は……消えててッ!!」
 振り下ろした拳、収束した暴風の力がこもったその豪腕。
 風によって加速した超質量の拳、それが慈愛を与える者に振り下ろされた時。
 最早原型を保つ事が不可能なほどの威力となり、その命は潰える事となる。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『不思議な国の不思議なルール』

POW   :    うるせぇ、俺がルールだ。

SPD   :    何事にも抜け穴はある、上手く切り抜けられないだろうか?

WIZ   :    郷に入っては郷に従え、ここは素直に付き合おう。

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ぜつぼう の おり
「調子のってんじゃないわよ」

 調子になんてのっていない。
 そんなのはただの勘違いだ。

「男子に媚売って……何気取りよ?」

 媚なんて売ってない。
 そんなのはただの勘違いだ。

 けれど、それを言った所で言葉の刃が降り注ぐ事は終わらない。
 けれど、それを言った所で拳や蹴りが放たれる事は終わらない。
 ここはぜつぼうのおり、ここは絶望の檻。
 アリスを捕らえた絶望の世界、その檻。
 ここでは絶望こそがルールであり、ここでは理不尽と不条理こそが秩序である。
 そこに揺蕩うままに、アリスは膝を抱えた。
 どうすればいい、どうしたらよかったのか。
 わからない、わからない、わからない、わからない。
アウル・トールフォレスト
使用能力値【POW】

引き続き『怪物』に変身したままに進む
刺激が強かったとしても、きっと、その方が良いと思ったから

わたしは一方的な苛虐をしっている。けれどそれは、こちらからの歩み寄りだった
わたしは言葉の刃を知っている。けれどそれは、恐怖からの言葉だった

理不尽と不条理がこの世界の秩序なら、わたしにとっては動きやすい
だってわたしは、こんなにも大きく恐ろしい怪物なのだから
絶望なんて、してあげないんだから

アリスへの言葉は、まだわからない。何を言えば良いかわからない
だから見守るよ。揺蕩うあの子が、自分の意思で降りてくる時まで
わたしは『怪物』として振る舞って、絶望を薙ぎ払いながら進むよ



●絶望を薙ぎ払う理不尽
 アウル・トールフォレスト(高き森の怪物・f16860)は高き森の怪物のまま進む。
 アウルは一方的な苛虐を知っている。
 けれど、それは、その時は彼女から歩み寄った。
 アウルは言葉の刃を知っている。
 けれど、それは、その時は恐怖からもたらされた言葉だった。

 だからこそ、歩み寄り、言葉を交わした後にもたらされたそれはない。
 純粋な悪意によって、純然な悪意によって成されるそれを止める術をアウルは知らない。
 知らない、分からない。けれど、それが理不尽で、不条理なのは理解できる。
 だからこそ、アウル・トールフォレストは、高き、高き森の怪物のまま、突き進む。

「あんたなんか――――!!」

 絶望の檻から紡ぎ出されるその言葉は、ただ腕の一振りで消し飛んだ。
 悪意によって紡がれたものはより暴虐な一撃によってかき消された。
 こんなに大きく、恐ろしい怪物には悪意の言葉、その刃などは突き刺さりもしない。
 絶望なんて言葉は、彼女は決して犯すことはできない。
 絶望の檻その中で揺蕩うアリス、少女への言葉はまだわからない。
 何を言えばいいかも分からない。
 それを理解出来ないから、分からないから何を言えるのか、何を紡げるのか。
 だから、その巨躯を振るい、理不尽で、不条理な世界、その檻。
 それをその巨腕で薙ぎ払い、潰していく。
 揺蕩うアリスが自らの意志で、自らの足でこの地に降りてくるその時まで。
 『怪物』は絶望を薙ぎ払う不条理として佇む。

「――――ぁ……」

 その背は、確かに醜悪で、恐ろしいのかもしれない。
 けれど、その意志は、その思いは、怪物などではない、優しい守護者だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

秋津洲・瑞穂
いえ、何が不満なのか解らない。
我慢することを選んで我慢したんでしょ。成功おめでとう。
何か問題でもあるの?

ともあれ。何か不満があって、自力で解決できないのね?
だったら、助力を乞う以外に手はないでしょ。簡単な話よ。

産まれて間もない仔猫でも、噛まれれば悲鳴を上げるというのに。
助けを求めて声を上げる事すらしないなら、そのままでいなさいな。

どんな世界か知らないけれど。無人の地でない限りは。
公的になり私的なり、制度であれ人であれ、
貴方が思うよりは遥かに多い救済が、必ず用意されているわ。
例えばわたし達がその一つ。ただ貴方が知らないだけよ。

ありったけの手段で、ありったけの相手に、ありったけの大声で叫びなさい。



●ありったけをこめて
「いえ、何が不満なのかが私にはわからない」
 秋津洲・瑞穂(狐の巫女・f06230)は絶望に揺蕩うアリスを分からない。
 彼女にとって、それは成功だと思うからである。
 そう、彼女は反抗するのではなく、我慢する事を選んだ。
 そして、我慢して、我慢しきった。
 ならば、それは成功なのだ、と。
 だから、絶望に揺蕩う少女の事は分からない。
 ただ、分かる事、否、言える事はある。
「けれど、それに不満があって」
 周囲の罵詈雑言を斬り伏せて。
 妙なまでに瑞穂の声はこの世界に響いた。
「自力で解決が出来ない」
 その妙に響く、力ある声。
 それにかすかにアリスは小さく頷いたように見えた。
 ならば、答えなど、解決手段など簡単な話だ。
「だったら助けを乞えばいいじゃない」
 産まれて間もない子猫でも。
 まだ立ち上がれない子犬でも。
 噛まれれば鳴き声をあげるし、お腹がすけばそれを求めて足を動かす。
「助けを求めて声をあげることができないわけではないでしょう?」
 絶望の檻、絶望の断崖。
 どんな世界であっても、そこが不毛の地であっても。
 無人の地でさえなければ、そこには人がいる。
 公的、あるいは私的、あるいは制度、あるいは人。
 世界にはもっと救いの手は幅広く答えを用意している。
「必ず助けの手はあるわ。例えばわたし達がその一つ」
 そう、アリスの罪をあえてあげるのならば――――。
 ――――それは無知と言う罪。
「ありったけの手段で、ありったけの相手に、ありったけの大声で叫びなさい」
 罵詈雑言の絶望の檻、瑞穂の言葉がそれを切り裂いていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

吾喜内・来世(サポート)
「情けは人の為ならず! 困ったときはお互い様だ!」
女性的な身体に男性的な言動、陰鬱な外見に陽気な性質を持った桜の精です。
善意と正義感に従い、世の不条理や他人の不幸を掃う為に行動します。
心根が素直な為、敵の言葉に迷ってしまうこともありますが、事件解決という目的は忘れずに遂行しようとします。

「祖なる桜が一柱。請いて願いて奉る」
ユーベルコードは状況に応じて使い分け、攻撃と防御はそれ任せです。
本人は援護や救助の役割を主に担当します。装備の薬からその場面で最適なものを選び、自分や味方、敵にすらも服用させます。

アドリブや他者との絡みは大歓迎です。
やりやすいように、自由に動かしてください。



●情けは人の為ならず
「情けは人の為ならず、困ったときはお互い様だッ!!」
 桜を舞い散らしながら現れたるは桜の少女。
 祖なる桜が一柱への願いを請うて、願いて、奉る。
 この理不尽で不条理な、悪を押し付ける世界に桜の華が散る。
「お前は頑張ってきたんだ、お前は間違ってなんかないぞ!!」
 だって、そうだろう?
 何の理由もなく、何の瑕もなく、傷つけられることは理不尽で、不条理だ。
 それでも周りの彼らはきっとこう言うのだろう。
 何かされるのには理由があって、それが悪いのだ、と。
 人間はそれを嫉妬と呼び、ただその感情だけで人間はまた人間を誹る。
 だからこそ、今それで傷つき沈もうとしている少女一人を、吾喜内・来世(サクラキメラ・f22572)は救いたいのだ。
「だからこんな理不尽は、不条理は僕が払ってやる!!」
 彼女の善意、彼女の正義感。
 それによって樹木の従者がアリスを包み込み、この場の悪意から守ろうとする。
 抱え込まれた樹木の香り、少女の熱意ある言葉。
 絶望の檻の中、揺蕩う少女がかすかに目を開く。
 ――――世界にわずかに亀裂が走る。
 絶望の檻、その檻の中。
 歪みが生じる。
 アリスがわずかに身じろぎをする。
「……私、は……」
 またかすかに絶望の檻に亀裂が走る。

成功 🔵​🔵​🔴​

クリスティアーネ・アステローペ
ひとつ確認するとして
これは家でのことではないわよね?

ならそんな場所からは抜けてしまえばいいのでないかしら?
勿論不安もあるでしょう。次の場所は大丈夫なのか
当然不満もあるでしょう。なんで私が逃げるのか
大丈夫。次がだめならその次もあるでしょう
考え方を変えましょう。もっといい場所へ、周りを置いて先へいくの

その気になったら家族に告げてみなさいな
「場所を変えることにしたから手伝って」って
最初はいろいろ聞かれるでしょうけど
力になってくれるから

今はとりあえず、私の目を見て?
"罵詈雑言は届かないし、拳や蹴りも逸れていく"
理不尽と不条理こそが秩序というのなら
ここで起きてることもその通りに無視してあげましょう



●それは夢幻の月のように
 そこが理不尽で。
 そこが不条理だと言うのならば。
 私は今、此処に力を敷く。
 クリスティアーネ・アステローペ(朧月の魔・f04288)の真紅の瞳が輝く。
 力は此処にあり、この紅き瞳は悪夢を綴る。
「そう、ここは行かないといけない場所」
 けれど、ここはそう、帰る場所ではない。
 罵詈雑言は紅き瞳の前に今失墜した。
「けれど、ここはそう、変えてもいい場所」
 そう、ここの代わりはいくらでも存在する。
 当然の如く不安もあるだろう。
 新しい場所は大丈夫なのか、次の場所でもこうはならないか。
 当然の如く不満もあるだろう。
 何故自分が逃げなければならないのか、悪いのは向こうなのに何故自分が負けねばならないのか。
「けれど、大丈夫よ。次がダメでも――――」
 ダメでもいいのだろうか?
 本当にダメでもいいのだろうか?
「ええ、考え方を変えるの」
 考え方?
「そうよ、もっといい場所へ、先に行くの。周りをおいて」
 もっといい場所に。
 周りをおいて先に行く。
「その気になったのなら、家族に告げてみなさい」
 こんなところは嫌だ、と。
 場所を変えたい、と。
 だから手伝って欲しい、と。
 周りの拳は届かない。
 周りの蹴りも届かない。
 理不尽と不条理。
 それこそがここの秩序と言うのならば。
 私は今、此処に力を敷く。
「最初は色々聞かれるだろうけれど、勇気を出して一歩を踏み出しなさい」
 あなたの親はいつだってあなたの親なのだから。
 いつだってあなたの味方をしてくれるはずの存在なのだから。
 その踏み出す為の第一歩。
「――――その力があなたにはあるはずなのだから」
 ――――少女の瞳は開かれた。
 その手足に力が入る。
 絶望に揺蕩っていた少女は初めてその足で"世界"に立つ。
 そして、強く、強く大地を踏み抜くように叩きつける。
 世界の亀裂が大きくなり、絶望の檻は砕け散る。
 今ここに、絶望の檻は崩れ落ちた。
 そう、ぜつぼうのむこうがわへ、歩みを始めたのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 集団戦 『グリードキャタピラー』

POW   :    キャタピラーファング
【無数の歯の生えた大口で噛みつくこと】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    脱皮突進
【無数の足を蠢かせての突進】による素早い一撃を放つ。また、【脱皮する】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ   :    汚らわしき蹂躙
全身を【表皮から溢れる粘液】で覆い、自身が敵から受けた【敵意や嫌悪の感情】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。

イラスト:猫背

👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ぜつぼうのむこうがわへ
 絶望の檻は砕かれた。
 世界は今ここに瓦解する。
 扉は眼前に、アリスは歩き出す。
 させない、させない、させない、させない。
 残った呪いの残滓が形取る。
 それはアリスを貪り食うと言うオウガの残した呪詛の一端、その残滓。
 食わせろ、食わせろ、食わせろ、食わせろ。
 扉の前に数多集うオウガの群れ。
 崩れ落ちる世界、瓦解する空間。
 アリスのぜつぼうのむこうがわ、それを阻む壁は絹一枚が如く。
秋津洲・瑞穂
弱者には弱者の役割と生涯とがある。
誰もが強者である必要はないし、そもそも世が立ち行かないわ。

でもそれでは、弱者には割が合わなさすぎる。
種の可能性を拡げるための揺らぎの一つとして生き、
強者の代わりに捕食者のごはんになるだけの生涯なんてね。

だから社会には救済補填するシステムがあるし、
それは制度として定められているものだけではない。
そもそも社会そのものが共助のためにある、とも言えるわ。

一人で悩むのはやめなさい。
また、悩める者を放置してもいけない。文明人とはそういうものよ。

「助けたがりのお人好しの力を、しっかり見ておきなさい」
「世に救済は、いくらでもあることを知りなさい」

絶望するのはまだ早いわよ。



●弱者の理
 絶望の檻は踏み砕かれた。
 砕け散った世界の残滓たちが漂う。
 その最中、迫りくるオウガの群れ、その一つ一つを切り払う。
「弱者には弱者の役割と生涯がある」
 秋津洲・瑞穂(狐の巫女・f06230)は滔々と語りながら砕けゆく世界を歩む。
 手にした太刀が、群れるオウガたちを切り裂いて。
「誰もが強者である必要はないし、そもそも世が立ち行かないわ」
 それは世界の定めた法則。
 強い者がいれば、それと比較して勝てぬ者、劣る者は即ち弱いもの。
 強者が存在すれば当然の如く弱者が存在するのも当然。
「でもそれでは、弱者には割が合わなさ過ぎる」
 種の可能性、ただそれだけを拡張し、広げるためだけの存在。
 強者の代わりに食われるだけの生涯。
 弱い事の代価がすなわちの所にして命。
 そんなものは割に合わないだろう?
「だから、人の構築した社会と言うシステムには弱者を救済し、補填するための機能が備わった」
 それは、人類と言う種がより広く、より大きく広がるために。
 それは制度として定められたものだけではない。
 人類の持つ共感性、総じては優しさや慈しみと言う心が生み出した奇跡でもある。
「そもそも社会と言うシステムそのものが相互救済の為に存在するとも言える」
 迫りくるオウガがまた一匹切り捨てられる。
 最早物の数にもならぬ雑兵の群れ。
「一人で悩むのはやめなさい」
「悩める者を放っとくのはやめなさい」
 一太刀がまた虫を切り裂いた。
 世界の崩壊は進んでいく。
 黒髪のアリスは凛と前を向いて。
「助けたがりのお人好しの力、しっかりと見ておきなさい」
「世界には、救いはいくらでもあると言う事を」
 黒髪のアリスは一歩を踏み出した、
 その先行きを阻む虫はまた一刀の下に葬られた。
「――――絶望するにはまだ早いわ」
 絶望の檻は砕け散った。
 絶望の世界は瓦解した。
 少女はだから、前を向いて歩く。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アウル・トールフォレスト
ようやく、降りてきてくれた
それなら、きっと、もう大丈夫
力なく漂うのでなく、地に足つけてしっかり立つのなら、進みたい方向に進めるはず

それと、やっぱり、わたしには分からなかったの
アリスの、あなたの痛みが、どれ程の痛みだったのか
最後まで理解できなかった
だってわたしにとっては、あの絶望はとても小さく、取るに足らないものだったから
だから、ゴメンね
わたしは、あなたの力にあまりなれなかったと思う…それだけは許してほしいの


でも、それでも、まだ出来ることが残ってる

さあ、行って
わたしは『怪物』。『高き森』のアウル
邪魔をする悪い虫は、わたしが踏みつけてやっつけちゃうから

心配しないで
あなたはもう、確かに歩けるのだから



●"高き森の怪物"
「ようやく降りてきてくれた」
 アウル・トールフォレスト(高き森の怪物・f16860)は安堵のため息をついた。
 もうきっと、大丈夫だろう。
 あのアリスの少女は自らの足で地に立った。
 漂うだけではなく、自らの意志で進む意志を見せた。
「きっと、もう大丈夫」
 けれど、アウルには残念なことがなかった。
 それは、彼女の痛みはアウルには決して理解できなかった。
 その痛みがどれほどのものだったのか。
 彼女の絶望は、高き森の怪物にとってはあまりにも小さく、取るに足らない絶望でしかなかった。
 それが最後まで理解できなかった。
「ごめんね……」
 彼女は、力になれなかった、そう謝る。
 けれど、黒髪のアリスは小さく首を振った。
 アウルにはきっと、その否定の意味はわからないだろう。
 けれど、彼女にとって、高き森の怪物、その庇護は確かに助けになっていたのだ。
「さあ、行って」
 そして、アリスを促す。
 歩む先にあるのは元の世界へ通じる扉。
 その道を阻む虫たちがざわめき蠢き出す。
「わたしは、『怪物』」
 それは宣言であり。
 力ある言葉である。
「『高き森』のアウル」
 それは宣告であり。
 力ある言霊である。
 高き森に住まう怪物・アウル。
 アリスの助力をした心優しい怪物は、その巨躯で虫たちを薙ぎ払う。
 アリスの道行きを邪魔するそのことごとくを打ち払う怪物。
「心配しないで――――あなたはもう、確かに歩けるのだから」
 アウルの作る道を歩むアリス。
 その歩みに最早不安も恐れもない。
 怪物のくれたソレが彼女の背を押し出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ステラ・クロセ(サポート)
真紅の瞳。燃える炎。あふれる勇気。直情正義、元気全開、単純明快!
正しい心で悪しきを討ち、そして弱き者を救い、その盾とならん、我こそは義侠のスーパーセル!
スーパー純粋熱血、ハイパーテンプレ系ヒロイン、それがステラです。

一人称は「アタシ」ですが殆どの猟兵は先輩に相当するので話すときは「わたし、あなた」といった礼儀正しい振舞いとなります。
探索系はストレートな解決法を選び、
戦闘では正々堂々と敵の正面に立って攻撃を引き受け味方にチャンスを作る方が好みです。なお、近接戦闘派です。
ユーベルコードは状況に応じて使い分けます。
正義を大事にするので、他の猟兵の意図を阻害したり公序良俗に反する行動はしません。



●真紅の炎
 真紅の瞳は燃え盛る紅蓮の炎。
 纏うのは勇気、灯すのは希望。
 絶望の檻を破り、地に足をついた少女アリス。
「ならばアタシが切り開かねば誰が切り開くッ!!」
 絶望より踏み出した少女。
 瓦解する絶望の世界、そこから逃れる事を阻むオウガたち。
 その歩みを阻む? それを許しておけるか、否。
 だからこそ、拳を握りしめ、群がる這虫たちを打ち砕く。
「絶望の檻は砕かれた、絶望の世界は砕け散ったッ!! 今アリスは踏み出したんだッ!!」
 手から放ったサイキックエナジーが虫の多くを捕縛する。
 その拳を握りしめれば、それは圧縮されたようにへしゃげ、潰れ、爆散した。
 今道は切り開かれ、アリスは歩み続ける。
 さあ、行け。
 その道行きを、その歩みを。
 あなたは今絶望から足を踏み出して、光へと歩んでいく。
「そのための道はアタシが切り開くッ!!」
 その燃える拳が、這虫をまた砕いた。
 絶望を揺蕩い、希望に足を踏みしめた少女アリスを助けるために。

成功 🔵​🔵​🔴​

クリスティアーネ・アステローペ
いいわね
目も開いたし、その足でちゃんと世界を踏みしめた
きっともうこれで大丈夫
大変ではあるのでしょうけど、ちゃんと進んで往けるでしょう
だからええ
その第一歩、それを邪魔する無粋共は私たちが討ち払ってあげるから


さあ散りなさい毛虫達
私の杭は侵略への応報
湧き出てくるばかりであとはただ邪魔をするくらいしかできないような、あなた達には勿体なくってよ?


また会うことがあるかはわからないけれど、私はあなたのことを応援しているわ?
頑張れ、とだけ言うのもなんですし、代わりにそうねぇ、こんな言葉はどうかしら
――行ってらっしゃい

たまになら、夢の世界を揺蕩うのもいいものですし、ね?



●そして絶望の扉は閉じられ、光の未来は開かれた
「いいわね」
 絶望の世界が砕け散る。
 そして地を踏みしめ歩む少女アリス。
 世界の果て、その扉。
 この絶望の世界から抜けるための道。
「目も開いたし、その足でちゃんと世界を踏みしめた」
 きっともうこれで大丈夫。
 その道全てがもう大丈夫とは言わない。
 大変な道行きも間違いなくあるだろう。
 けれど。
「だから、ええ」
 その第一歩、その道行きを阻むもの。
 無粋なる虫たち。
 世界扉を阻む毛虫ども。
「それを邪魔する無粋共――――討ち払うわ」
 砕け瓦解した絶望の世界。
 闇が蔓延る世界に、真紅の杭がその影より突き立つ。
 毛虫どもに真紅の杭が穿たれ、毛虫を貫いて消し飛ばす。
「さあ、散りなさい毛虫ども」
 ――――私の杭は侵略への応報。
 湧き出るばかりで邪魔するしか出来ない虫けらどもには勿体ない。
 そして、遂に少女アリスは扉に辿り着く。
 扉に手をかけ、そして、かすかに振り向いた。
 その青い瞳には、猟兵たちが映っていた。
「また会う事があるかはわからないけれど、私はあなたのことを応援しているわ」
 さらに押し寄せる毛虫たちを真紅の杭が貫く。
 その動きを止め、内側からさらに杭が破裂するように膨れ上がり、爆散させる。
「頑張れ、と言うだけのもなんですし……代わりに――――そうねぇ、こんな言葉はどうかしら」
 ――――行ってらっしゃい。
 クリスティアーネ・アステローペ(朧月の魔・f04288)は言葉を紡いだ。
 そして、少女はその言葉に目を見開き。
 かすかに言葉を紡いだ。
 ――――行ってきます。
 扉は開かれ、光が溢れて、そして少女は回帰する。
 立ち止まる事もあるだろう。
 下を向いてうつむく事もあるだろう。
 けれど、揺蕩う絶望はもうそこには存在しない。
 少女は今、光に向かって歩き出した。
 ぜつぼうのむこうがわへ。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年01月30日


挿絵イラスト