Sweet Christmas Trees !
#UDCアース
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●Sweet Christmas Trees !
「もーすぐクリスマスだね! ツリーとか、イルミネーションとか、BGMとか、あっちこっちでクリスマスの雰囲気あって、見てるだけでわくわくしちゃうよね」
彩瑠・翼(希望の翼・f22017)は、グリモアベースに集まった猟兵たちに満面の笑みを向ける。
サンタを思わせる赤い帽子を被り、お菓子の詰まったクリスマスブーツを抱えるその様子から、彼の気分もすっかりクリスマス一色のようだ。
「でも、UDCアースで、そんな風にクリスマスを楽しみにしてる人たちの気持ちを利用して、邪神を復活させようとしてる教団がいるみたいなんだよ」
放っておけば、どんな被害が出るかわからないから、イベント開催準備中の場所へ乗り込んで、やっつけてきてほしいと、翼は言う。
「皆に行ってもらいたい場所は、とあるホテルになるよ」
翼は、ファイルから地図を取り出して、ここだよー、と示して見せる。
「教団は、このホテルの宴会場を貸し切って、邪神の封印を解く儀式を行うつもりらしいんだ」
この時期は、季節柄、パーティーなどのイベントが多い。ホテルの宴会場を貸し切りにすることも、そう珍しいことではないから、今回においても都合が良いのだろう。
翼の話を聞きながら、猟兵たちは互いの顔を見合わせてそんなことを考える。
「会場には、大小様々な大きさのクリスマスツリーが設置されてて、教団員はツリーに飾り付けしてるよ」
『Sweet Christmas Trees』というイベントを開催して一般客を呼び込むというのが、教団の作戦らしい。
お菓子で装飾されたクリスマスツリーを楽しむことをメインにしたイベントのため、ツリー飾りの大部分は、クッキーやキャンディーといった、色とりどりの甘いお菓子たちだ。
教団員たちは、サンタやトナカイなど思い思いの衣装に身を包み、クリスマスソングを歌いながら、飾り付けを行っているのだという。
一見『楽しい飾り付け』の風景だが、それこそが邪神召喚に必要な儀式だというのだから、おかしな話である。
「この儀式でこの召喚される邪神とその眷属も、お菓子っぽいんだよ」
まず、邪神の『わたがし』。綿状の砂糖菓子の形状をしたオブリビオンだ。イベントのマスコットとしても、クリスマスツリーの雪綿としても申し分ないふわふわとした見た目と甘い匂いに反して、キャンディーらしいなかなかハードな攻撃をしてくる。
そして、その邪神に従う眷属は、ツリー飾りとして使われそうな、なんともおいしそうなジンジャークッキー。焼きたての香ばしい匂いで食欲をそそるという、これまた恐ろしい攻撃を仕掛けてくる。
「あ、なんだかおいしそうって思ったでしょ?」
オレもすっごくそう思う、と。
オブリビオン二体の写真を見せながら、翼は猟兵たちの表情を見渡して、小さく笑った。
「邪神も眷属も、儀式の会場全体も、見た感じおいしそうだったり楽しそうだったりだから、なんだか変な感じだよね。 でも、そこは邪神教団だし、オブリビオンなんだよ。 放っておくと、ホテルもだし、クリスマスだって大変なことになっちゃうから、ここは心を鬼にして? 対応してほしいな!」
邪神とその眷属を倒したら、教団員たちは無力化されて離散する。また、会場の対応はUDC組織がフォローしてくれるから、事前の人払いや事後処理の心配は無用だ。
「そうそう、もう一つ! あのね、このホテルでは、今、スイーツブッフェが開かれてるんだよ」
そのブッフェでは、クリスマスの伝統菓子をはじめ、ケーキやクッキーなど、様々な菓子を楽しむことができる。
戦いでめいっぱい刺激されちゃうかもしれないスイーツ欲を、思いっきり満たしてきてね、と。翼は楽しそうに笑って。
「ちょっと大変だけど、皆なら絶対大丈夫! だから、気をつけて行ってらっしゃい!」
咲楽むすび
初めましての方も、お世話になりました方もこんにちは。
咲楽むすび(さくら・ー)と申します。
オープニングをご覧いただき、ありがとうございます。
●内容について
今回は、UDCアースの依頼です。
構成は下記のとおりです。
第1章:『ジンジャークッキーマン』との戦い(集団戦)
第2章:『四五零『デビルズナンバーわたがし』』との戦い(ボス戦)
第3章:スイーツブッフェを楽しむ(日常)
第1章、第2章の戦闘の会場には、複数のクリスマスツリーが設置されていますが、戦闘時の立ち回りには支障はありません。あまり気にせずご対応くださいませ。
第3章は、スイーツブッフェとしているので、お菓子をメインにしていますが、パンやピザ、キッシュなどもあります。
食べたいものを書いていただければ基本的には採用させていただきますので、好きなように考えてみてくださいね。
また、第3章はお声がけいただけましたら、翼もご一緒させていただきます。
●プレイング受付について
当方の都合で恐縮ですが、今回は、受付開始日を設定させていただきますね。
受付開始日:12月15日(日) 8:31以降。
開始日前に届いたプレイングは、対応できず不採用になる可能性が高いです。
お手数をおかけし申し訳ありませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、もしご縁いただけましたらよろしくお願いいたします!
第1章 集団戦
『ジンジャークッキーマン』
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POW : 熱々クッキー
【焼き立ての香ばしい匂い】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD : 満たされない食欲
【食べてみたい】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【ヘクセンハウス】から、高命中力の【小腹を満たすには物足りない飴】を飛ばす。
WIZ : 美味しい香り
【全身】から【食欲をそそる香り】を放ち、【空腹感】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:笹にゃ うらら
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
蛇塚・レモン
そぉいっ!
(宴会場の扉を蹴飛ばして派手に乱入!)
やっほ~っ!
なんとも微笑ましい光景だけど、邪神召喚儀式っていうなら話は別だよっ!
全員、神妙にお縄に付いちゃえっ!
と、言っても抵抗してくるのであたいも応戦だよっ!
うわ、すっごくいい匂い……(じゅるり)
だ、駄目駄目!
これはUDCのユーベルコード!
この匂いを封じる手立ては……これだっ!(此方のUC発動)
ふふーん♪
蛇神様の身体で作った迷路の中なら、外に匂いが漏れることはないし、蛇神様の迷宮の中での攻撃でクッキーたちは念動力と衝撃波で粉々だよっ!
更に、蛇神様が常に身体を動かすことで、迷宮内は絶えず変化して出口に辿り着くのは至難の業っ!
一網打尽にしちゃうね!
藤崎・美雪
【WIZ】
アドリブ連携大歓迎
お菓子姿の邪神とは卑怯なり
ま、UDCらしいっちゃUDCらしいし
だいたい一見ごく普通に見える光景が召喚儀式とは、普通誰も思うまい
一応、邪神出現までは素直に飾り付けしていよう
教団員に疑われないための知恵だな
食欲や空腹感を好き勝手植え付けられまくるとたまったものじゃないので
先に眷属の動きをけん制しよう
「歌唱、パフォーマンス、時間稼ぎ」+【幸福に包まれしレクイエム】を聴かせて
「お菓子であることそのものが幸せ」だと思い込ませて無力化だ
美味しい香りの空腹対策は…ここに来る前に目いっぱい食べておくことで対処するか
何、これから動き回るだろうから全部終わるころにはお腹は空いているよ
●Singing and Eating
とあるホテルの宴会場にて。
クリスマスソングが流れるその会場の中央には、天井に届かんばかりの高さの巨大ツリー。
さらにその周りには、色合いも大きさも異なるツリーたちが、巨大ツリーを囲むように設置されている。
その大きさや数もさることながら、目を引くのは、ツリーに飾られたガーランドやオーナメントたちだ。
ロリポップとゼリービーンズを連ねたガーランド。
アザランやゼリーを散りばめてデコレーションされた、バラエティ豊かな形をしたアイシングクッキーに、カップケーキ、赤や白のキャンディケイン。
一見普通の飾りにも見えるクリスマスボールの中にも、チョコレートやキャンディが詰められているのだという。
飾りとして使われているほとんどすべてのものがお菓子でできているというツリーたち。
子供だけではなく、大人であっても魅了され、心躍らずにはいられなくなってしまうであろうそれらが、実は邪神を召喚する儀式に使われるということを、誰が想像できるだろうか。
●
「……お菓子姿の邪神とは卑怯なり」
藤崎・美雪(癒しの歌を奏でる歌姫・f06504)は、ポツリと独りごちて形の良い眉をひそめた。
カフェを経営する美雪の感覚からすれば、お菓子はあくまでも人を和ませ、楽しませるものなのだ。
それなのに、邪神はそんなお菓子の姿をして人々を狂気に陥れようとしている。
何とも嫌な話である。
(「ま、UDCらしいっちゃUDCらしいし。 ……だいたい一見ごく普通に見える光景が召喚儀式とは、普通誰も思うまい」)
気を取り直して、美雪は改めて目の前の光景を見渡す。
どのタイミングで邪神が出現するかわからないからと、教団員を装って会場へ潜入した美雪は、ツリーへの飾り付けをしながら様子を伺っていた。
会場内に流れるクリスマスソングにあわせて、歌いながら飾り付けをする教団員たちは、どこまでも『楽しみながらクリスマスイベントの準備をする人たち』にしか見えない……が。
(「……そろそろだろうか」)
会場のあちこちに重ねられていたツリー飾りの入った箱の数が減り、それぞれのツリーへの装飾が賑やかになってきた。
そろそろ状況が変わるのかもしれないと、美雪が思ったその時。
『メリーメリークリスマス!』
『スイートツリー! ステキニ カザレたネ!』
子供っぽい、かわいらしい声が、会場のいたるところから聞こえてきて。
『ゴホウビゴホウビ! ボクタチヲ オイシクタベテー!』
ワラワラと現れたのは、1mもの大きさもあるジンジャークッキーたち。しかも結構な数だ。
「でかいな……!」
いや、UDCだからそういうものというのは、美雪だって頭ではわかっているのだ。
ただ、先ほどまでツリー飾りとして手にしていたジンジャークッキーに見慣れすぎていたためか、やたらとデカく感じてしまう。
『デカクナイヨ! タベゴタエアルトイッテヨ! オイシイヨ!』
ずいずいずい。
食欲をそそる甘い匂いをまとって、ジンジャークッキーマンたちは、美雪へアピールしながら近づこうとし――、
「そぉいっ!」
――バタァァァン!
元気の良い声とともに、勢いよく響き渡る、扉の音。
会場に飛び込んできたのは、扉を蹴り飛ばした張本人である、蛇塚・レモン(白き蛇神オロチヒメの黄金に輝く愛娘・f05152)だ。
「やっほ~っ!」
みずみずしく輝く、レモンゴールド色のポニーテールを元気よく揺らして。笑顔で挨拶をするレモンに、ジンジャークッキーマンたちの視線が集中する。
『アッブナイ!』
『ナニヤツ?!』
「ん~? あたいの名前? 名乗るほどでもあるけど、教えてあ~げないっ! それより!」
レモンはびしぃ、と、教団員たちとジンジャークッキーマンたちを指差し、堂々と言い放つ。
「なんとも微笑ましい光景だけど、邪神召喚儀式っていうなら話は別だよっ! 全員、神妙にお縄に付いちゃえっ!」
「お縄?! 神聖な邪神様を召喚することは決して悪い行為では……」
悪いことなどしていないと口では言いながらも、レモンの堂々たる様子に、圧倒されたかのように後退りする教団員たち。
対して、ジンジャークッキーマンたちは何を言うかとレモンのほうへにじり寄ってくる。
『オナワナド イラナイヨ!』
『ボクタチ イイオカシ! ボクタチヲ オイシクタベテ!』
「うわ、すっごくいい匂い……」
猛アピールするジンジャークッキーマンたちの全身から放たれる、文字通りのおいしい匂いに、レモンは思わずくらり。
(「いくらクッキーだからってこんな複数で、この香ばしい、いかにもおいしそうな匂い放ってくるなんて、反則じゃない?」)
じゅるり。
「……だ、駄目駄目!」
思わず出てきてしまったよだれを慌てて拭って、レモンはぶんぶんと首を横に振った。
これこそが敵のユーベルコードであることはレモンだって頭ではわかっているものの、香りに支配されてしまえば、空腹感で動きが止まってしまいそうになる。
『カオリ オイシイデショ!』
『タベテモ オイシイヨ! オイシク タベテ!』
これはまずい、と思ったと同時。レモンの耳に入ってきたのは歌声。
美雪の奏でる歌、【幸福に包まれしレクイエム(レクイエム・オブ・ハピネス)】だ。
「……お菓子だからと言って、食べて食べてじゃ良くないだろう?」
まずは自身がお菓子であることそのものが幸せだと思わなくてはな。
そんな想いをのせて、美雪は歌を奏でていく。
「今はただ、幸せのベールに包まれて……安らかに」
美雪の美しい歌声は、会場内に流れる静かなクリスマスソングとうまく調和し、のびやかに広がっていく。
『ボクラハ シアワセナ オカシダネ?』
『ソウダネ!』
『オカシデヨカッタ!』
湧き上がる幸福感にジンジャークッキーマンたちが脱力し、動きを止める様子を見れば、レモンは笑顔になり。
「美雪さん、ありがと~! それじゃあ、あたいも……!」
敵が無力化されているのはチャンスだ。
この間に、匂いの影響を受けずに数を減らしていくなら。
「この匂いを封じる手立ては……これだっ!」
レモンは、掛け声とともに【戦闘召喚使役術式・大いなる白き蛇神は迷宮を成す(バトルサモンコード・ラビリンス・オブ・ウロボロス)】を解き放つ……!
「いっくよ~、巨大化召喚っ! 蛇神様、その身体で迷路を作ってっ!!」
レモンの呼びかけに応じるように現れた大きな白蛇は、無力化した状態のジンジャークッキーマンたちを次々と食らっていく。
『……コ、コレハ?!』
レモンが召喚した蛇神様の身体で作り出した迷路の中。捕らわれたジンジャークッキーマンたちが、我に返って慌てだした様子を知ればレモンはにっこり。
「ふふーん♪ ほら、食べてもらいたかったんでしょ? お望みど~りだよ!」
蛇神様の迷路の中で繰り出される念動力と衝撃波によって粉々になっていくジンジャークッキーマンたち。
その断末魔の叫び声は、美雪が奏でるレクイエムの音楽に包まれて、静かに飲み込まれていった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
リオン・リエーブル
連携・アドリブ歓迎
目には目を
歯には歯を
お菓子にはお菓子を、ってね!
という訳で
飾ってあるお菓子に【ゴーレムメイカー】!
ジンジャークッキーチョコレート、キャンディーキャラメルヌガーにラムネ
みんなおいでよクリスマス!ってね!
クリスマスソングに合わせて踊るように攻撃させよう
邪神教団が飾ったお菓子とか
どんな儀式が施されてるか分からないからね
どうせ焼却処分でしょ
ならばお役に立ってよね
お菓子VSお菓子の大バトル!
クリスマスの余興としてももってこいだね!
いやほら、このあとスイーツブッフェが待ってるからさ
食べてみたい!とは思わないけど
飛んできたキャンディーもゴーレムの一味にしてみよう!
なかなか見れない光景だよね
●Dancing and Performing !
煌びやかに飾られているクリスマスツリーたちの間を縫うように立ち回る猟兵たちとUDCたち。
活気づく会場に流れるクリスマスソングは、静かな曲調からテンポアップした曲へと切り替わっていく。
●
「いいねいいね、なかなかいい感じに暴れてくれてるじゃないか」
まだまだ数の多いジンジャークッキーマンたちを見ながら、リオン・リエーブル(おとぼけ錬金術師・f21392)は、その端正な顔立ちに無邪気な笑顔を浮かべた。
「それじゃー、ここからは、おにーさんも頑張っちゃうよ!」
両手に構えるは色とりどりの液体で満たされた複数の試験管。
クリスマスソングに合わせるように、リオンがステップを踏めば、エメラルドグリーンのポニーテールも楽しげに踊る。
「さあ、出ておいで! 仮初の命をあげるよ!」
タン、と踏み込むと同時。
リオンは、手にした複数の試験管の中の液体をクリスマスツリー目掛け、宙へと解き放つ。
――【ゴーレムメイカー(オイデヨユカイナナカマタチ)】。
放たれた液体はムクムクと形状をなしてゆき……ツリーに飾られたお菓子を取り込み、巨大化していく!
『ナンダ コレハ!』
『ツリーノ オカシガ トリコマレテイル?!』
「いいよねこれ、見ての通りのゴーレムだよ! 目には目を、歯には歯を、お菓子にはお菓子を、ってね!」
さっすがおにーさん、ナイスアイディアだよね!
動揺した様子でワタワタとするジンジャークッキーマンたちに、リオンは得意げに笑って。
♪ジンジャークッキーチョコレート♪
♪キャンディーキャラメルヌガーにラムネ♪
♪マシュマロマカロンカップケーキ♪
「みんなおいでよクリスマス!ってね!」
クリスマスソングのリズムにのっかるように口ずさんだリオンの歌に、ゴーレムたちもノリノリだ。
「さぁ、お菓子 VS お菓子の大バトルだよ、ジンジャークッキーマン! おにーさんのゴーレムたちにかなうかなー?」
ガコーン、ガターン、と賑やかな音を立てて踊るゴーレムたち。
それらを巧みに操ってジンジャークッキーマンたちを撃破しまくっているリオンは本当に楽しそうだ。
『ボクタチモ リッパナ オカシ!』
『オカシナ オカシノ ゴーレムニハ マケナイヨ!』
そんなリオンの操るゴーレムに負けじと、ジンジャークッキーマンたちが召喚したヘクセンハウスに、リオンはいやいや、と肩をすくめる。
「いやほら、おにーさん、このあとスイーツブッフェが待ってるからさ、食べてみたい!とは思わないけど」
『オモッテル! ゼッタイ オモッテル!』
思ってないと言っているのに感情を強要しようとするジンジャークッキーマンたち。
どういうことだというべきところだが、どうやらジンジャークッキーマンたちも必死らしい。
『ダカラ コレデモ クラエー!』
有無を言わさずの勢いでヘクセンハウスから放たれたカラフルなキャンディに、リオンはいいこと思いついたと言わんばかりににんまりとして。
「よーっし、それじゃあ、このキャンディもゴーレムの一味にしてみよう!」
言うが早いか、構えた試験管の薬品を飛んできたキャンディへ向けてお見舞いし――、
『ナ……!』
『ボクタチノ アメガ ゴーレムニナッテル?!』
「いいねいいね、成功ー! なかなか見れない光景だよね!」
唖然とするジンジャークッキーマンたちとは対象的にリオンは満足げに笑って、新たに増やしたキャンディゴーレムを踊らせ、ヘクセンハウスを叩き壊した。
「さぁ、どんどん暴れちゃおうか!」
リオン with ダンシングゴーレムたちの進撃は止まらない。
大成功
🔵🔵🔵
朝霧・晃矢
何も知らない子供達が迷いこんじゃうし
ほんとにいい匂いだし
……こーゆー紛らわしいのは危なっかしくてほっとけないね
(すっと表情を改め
銀の調理ナイフを左手に握り
長さ1mほどの銀の串であるグルメツールを右手でバトンのように回転させ)
砕けろ
(【鈴蘭の嵐】発動
両手の武器を前方に投げると同時に、花弁に変えて会場のクッキーマンを刺し貫く)
っと
(近くのツリーからキャンディを掴み取り
そのまま体を捻ってクッキーマンを後ろ蹴りにする【盗み攻撃】)
食い物を儀式に使うとか、もったいねぇ事すんじゃねぇよ
(がり、と飴を噛み砕いてから)
全員説教部屋送りにする為にも、まずは――全て粉になるまで磨り潰す
(花弁と蹴りの攻撃を止めず)
薬師神・悟郎
邪神召喚を邪魔するとはいえ、飾り付けられた会場を荒らすことになるかもしれないとは勿体無い
…後で使えないだろうか
UC発動、苦無を複製
目立たないよう、ツリーなどの影に潜ませ
俺も迷彩、存在感を消し、闇に紛れる事で死角から強襲、投擲、暗殺
敵の動揺を誘えれば、技を使用される前に一気に戦力を削る
近距離は刀、中~遠距離の敵は苦無の投擲にて対応
味方がいれば援護する
後ろは任せろ、気にせず突っ込めと援護射撃
数が多く囲まれそうな時は足を狙い、砕き、部位破壊、スナイパー
逃げ足、地形の利用で距離を保ち態勢を整える
食べ物を粗末にするようで少々気が進まないが
全てが終われば貴重な甘いものが食える、それも腹一杯
…やるしかないな
●Battle and Action !
(「……結構な賑やかさになってきたな」)
邪神召喚を邪魔するとはいえ、飾り付けられた会場を荒らすことになるのは少々もったいない気もしていたが、現状はそうも言ってはいられないのかもしれない。
ツリーの影が作る闇に紛れて敵の動きを伺っていた薬師神・悟郎(夜に囁く蝙蝠・f19225)は、仲間たちのバトルの様子に、金の瞳を細めてそっと息を吐く。
明るく賑やかな場は悟郎の苦手なところではあるし、今回の敵は、UDCとはいっても食べ物でもあるから、倒すことは食べ物を粗末にするような気がして、少々気が引けてしまう。
それでも。
(「全てが終われば貴重な甘いものが食える、それも腹一杯」)
一連の戦いが終われば、悟郎にとってもご褒美となる甘いものの食べ放題が待っているのだ。
(「……やるしかないな」)
この後のことを思えば、無論失敗は許されない。
決意を新たにする悟郎が狙うのは、仲間の攻撃に気を取られている、ジンジャークッキーマンたちの――死角。
「行け」
ユーベルコード【召喚【弐】(ショウカン・ニ)】で発動させ、複製させた悟郎の苦無たち。
ツリーをはじめとした会場内の影にあらかじめ潜ませておいたそれらを巧みに操り、悟郎はジンジャークッキーマンたちの死角である背後から攻撃を仕掛ける。
『ワァ! イタイ!』
『ナンダナンダ?!』
『ドコカラノ コウゲキ?!』
思いもよらぬところからの襲撃に、ジンジャークッキーマンたちはあわあわと動揺するばかり。
攻撃の主を探さんとばかりに動き出す、その隙を突いて。悟郎は攻撃を重ね、ジンジャークッキーマンたちの数を減らしていく。
●
一方で。
朝霧・晃矢(Dandelion・f01725)もまた、ジンジャークッキーマンたちと対峙していた。
左手に握る銀の調理ナイフと右手に持った約1mもの長さのある銀の串を交差させて攻撃をいなしながらも、ジンジャークッキーマンたちの香ばしい匂いに、晃矢は苦笑する。
「ほんとにいい匂いだし」
その声に混ざるのは、呆れとも怒りともつかない色。
本当に、いい匂いで――だからこそ、とても嫌になる。
この儀式だってそうだ。
子供好きな晃矢がこの光景を見て真っ先に思い浮かべたのは、やはり子供たちのことで。
「何も知らない子供達が迷いこんじゃうし」
本当に、見た目に賑やかで楽しそうな、いかにも子供たちが好きそうなイベントだと思う。
何も知らない子供たちが迷い込んでしまったらどうなっていたことだろう。
そんなことを考えれば、銀の調理ナイフの柄を握る左手に知らず力がこもる。
お菓子のクリスマスツリーのイベントを装って邪神を復活させようとする教団の企みも、儀式会場に広がる光景も、お菓子の姿をしたUDCたちも。
何をとっても、気に食わない。
「……こーゆー紛らわしいのは危なっかしくてほっとけないね」
苦笑から一転、晃矢は表情を改める。そこには、普段の穏やかな笑顔はない。
右手に持った銀の串をさながらバトンのように回転させながら、晃矢はジンジャークッキーマンたちを睨みつけて。
「砕けろ」
掛け声とともに、スピンさせた串と調理ナイフを晃矢が敵へ向けて投げた瞬間、銀の武器たちは鈴蘭の花弁へと変化し、嵐がごとくに吹き荒れた。
白の花弁に刺し貫かれたジンジャークッキーマンたちは、全身を砕かれる痛みに悲鳴をあげる。
『クダクナンテ アンマリダ!』
『ボクタチハ オカシ! ボクタチヲ タベテ!』
身体を砕かれながらも花弁の嵐をどうにか凌いだ一部のジンジャークッキーマンが、ヨロリと立ち上がる。
食欲をそそる香りの攻撃をお見舞いしようと、晃矢の背後から体当たりを食らわせようとするが――、
「人のことを言えた義理ではないが、死角からの強襲とはいただけないな」
悟郎の操る苦無【疾風】が、晃矢を襲おうとするジンジャークッキーマンの身体を貫いた。
背後の気配に気づいて振り向くと同時に砕け散った敵に、晃矢は目を丸くするも。悟郎の姿を認めれば、礼とともに笑みを向けた。
「ありがとう、悟郎くん、助かったよ」
「構わんよ。 後ろは任せろ、気にせず突っ込め」
晃矢の笑みにはわずかに目を細めて返し、悟郎は改めてジンジャークッキーマンたちと対峙する。
ジンジャークッキーマンたちが召喚したヘクセンハウスから繰り出されるキャンディを軽々と見切ってかわし、忍刀【烏羽】でジンジャークッキーマンの足を狙って切り砕く。あるいは、巧みな苦無さばきでその戦力を削っていく。
悟郎の流れるような戦いぶりを目の当たりにしながら。晃矢は、近くのツリーに飾られていた赤と白のキャンディへと手を伸ばす。
「っと、」
キャンディを掴み取った姿勢から身体をひねって勢いをつければ、ジンジャークッキーマンへ向け鋭い回し蹴りを食らわせた。
「食い物を儀式に使うとか、もったいねぇ事すんじゃねぇよ」
痛い痛いと抗議の悲鳴をあげるジンジャークッキーマンを冷たく見つめながら、晃矢は手にしたキャンディを口に入れ、ガリ、と噛み砕く。
「全員説教部屋送りにする為にも、まずは――全て粉になるまで磨り潰す」
覚悟はいいよな?
キャンディを噛み砕きながら、晃矢は再び二つの武器を構え直し、鈴蘭の嵐を作り出していく。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ペイル・ビビッド
【三位一体】
クリスマスはみんなの一年をねぎらう
憩いの時間…
この日だけは争いごとを止める人もいる
邪神召還で人々の平穏を
ぶっ壊そうなら許さないよ
お互いに声を掛け合い戦力分担
OK、アイナおねーちゃん、臨音おにーちゃん!(大筆を振り回し)
よーし…
この前閃いた技を試してみるか
ドリーミング・グローアップ使用
相手の攻撃を第六感で見切り
受けてしまったときは呪詛耐性と激痛耐性で堪える
翼とレガリアスシューズを使って跳躍・回避
上空から敵の集団に突進し
どいてどいてーっ!
大筆でなぎ払い・串刺し
数がだいぶ削れてきたら
三人で一気にたたみかけるよ!
これで前哨戦だってなら
まだまだ気は抜けないね…
火神・臨音
【三位一体】
クリスマスのイベント傘に
邪神の封印解こうとは呆れて言葉も無いな
まずはこの多勢をぶっ飛ばさないと
二人とも、はぐれるなよ?
それじゃ、状況開始と行こうかよっ!
素手格闘と大太刀のコンビネーションで交戦
アイナ、ペイルと声をかけあい
効率よく撃破
攻撃は大太刀でのなぎ払いと
拳撃に関節技を織り込んだグラップルメイン
眷属が弱体化したら二人に声をかけ
刀印を切ってUC発動
顕現させた大太刀の写しでなぎ払って
最後は一斉発射で仕留める
敵UCは見切り
回避不能時は呪詛耐性・気合いで耐える
さぁて、迷惑を巻き散らかす奴は何処だ?
そちらが甘い罠を仕掛けるなら
此方は苦い一撃でお返しさせて貰うぜ
覚悟、いいよな?
アドリブ可
美星・アイナ
【三位一体】
元々のジンジャークッキーマンの事は
知ってるけどこんなに巨大で数が多いと
流石に頭が痛いわ(溜息)
さっさとお掃除終わらせて
甘いスイーツに浸りましょうか
はぐれるなよ?の臨音の問いには片目を瞑って
人格変更は行わない
私の思いは皆も一緒だから
槍形態に変化させた黒剣を振るって
宴会場をステージに見立てての
ダンスパフォーマンスを交えながら
なぎ払い、串刺し、2回攻撃で迎撃
臨音のUC発動に合わせて歌うようにUC詠唱
言ノ刃で眷属を切り刻む
敵UCは見切りと武器受け、カウンターと鋼糸を絡ませたワイヤーアクションで回避
回避不能時は呪詛耐性・激痛耐性で耐える
あとはあんただけ
さあ、此処で決着つけましょう
アドリブ可
●Trinity Performance !
お菓子なツリーで飾られた会場での、ジンジャークッキーマンたちとのお祭りのような戦いは、猟兵たちのおかげで少しずつ収束へと向かっている。
「こーんなにお菓子がたくさんあるっていうのに、全部邪神が関わってるなんて信じられない!」
自身の身長よりも高さのある平筆「おとーさんの平筆」を両手で握り。会場内を駆け回ってジンジャークッキーマンたちをなぎ倒しながら、ペイル・ビビッド(淡色弾ける筆先の軌跡・f01836)は、むーっと頬を膨らませる。
お菓子好きなペイルからすれば、そこかしこにお菓子のある光景はまさに夢のようで。
これが通常のクリスマスイベントであったなら、どんなにワクワクしただろう。
「クリスマスはみんなの一年をねぎらう、憩いの時間なのに……」
この日だけは争いごとを止める人だっているのだ。それなのに。
ペイルは、きっとした目でジンジャークッキーマンたちを睨みつける。
「邪神召喚で人々の平穏をぶっ壊そうなら許さないよ!」
「……だな。 クリスマスのイベント傘に、邪神の封印解こうとは呆れて言葉も無いな」
怒りとともに駆けるペイルの動きに合わせて立ち回りながら、同意を示すのは火神・臨音(火神ノ社ノ護刀・f17969)。
ペイルの言うように想うところは様々あるが、まずはこの多勢をぶっ飛ばさなければ話にもならない。
臨音は勢いよく踏み込み、構えた大太刀「火神ノ社ノ御神刀」の刀身を大きく横に薙いだ。
パキンと、気持ちのよい音を立ててジンジャークッキーマンの胴体が真っ二つになったところへ、臨音は勢いよく蹴り込み、粉砕し。
続けざまに別のジンジャークッキーマンへ飛びかかり、その頭部めがけ拳を叩きつけ、壊していく。
「元々のジンジャークッキーマンの事は知ってるけど、こんなに巨大で数が多いと流石に頭が痛いわね」
そんな臨音を視界に捉え、自らも敵と戦いながら、美星・アイナ(解錠の音は新たな目覚めの音・f01943)は小さく溜息をつく。
敵は確かに巨大で、多数。けれど、仲間たちの活躍により、その数が着実に減っていることも確かで。
「二人とも、はぐれるなよ?」
ペイルへ声をかけながら、一瞬気遣わしげな視線を送った臨音に、アイナは大丈夫と言わんばかりに片目を瞑って見せる。
そう、大丈夫。何よりこの場には、頼もしい恋人と妹分がいてくれる。
そして、アイナの中にある他人格たちだって一緒だ。
「さっさとお掃除終わらせて、甘いスイーツに浸りましょうか」
ここからが本番とばかりに、アイナは笑みとともに槍形態に変化させた「DeathBladeZwei」を構える。
「OK、アイナおねーちゃん、臨音おにーちゃん!」
ペイルもまた、応えるように手にした平筆を勢いよく振り回した。
二人の応答に、臨音はにやりと笑って。
「それじゃ、状況開始と行こうかよっ!」
さあ、チーム【三位一体】の猛攻はここからだ。
●
「よーし……この前閃いた技を試してみるか」
うん、と一つ頷いて、ペイルは【ドリーミング・グローアップ(イツカユメデミタリソウノアタシ)】を使用。
「あたしの想像力はとめられない! いつか理想の「おとなのおねーさん」になるんだ!」
くるりとターンで一回転し、いつもの姿から一転。
ペイルは一時的に、成長した真の姿へと変身する。
人間の大人くらいの背丈に、長く伸びたピンク色の髪、スラリと伸びた色白の手足。
そこかしこに艶やかさをも感じさせる雰囲気は、子供っぽさなど微塵もない、まさに大人の女性の姿。
背中の玉虫色に輝く光の翼をふわりと広げて。
トン、と爪先から着地すれば、ペイルはミルク色の瞳を細めて、にっこりと微笑む。
「……こんな風にねっ」
『オトナノオネーサン?』
『……オトナ??』
思わずヒソヒソと何やら囁きあうジンジャークッキーマンたち。
笑顔のあどけなさと言動は、見た目美女でも、まだまだ元気いっぱいの10歳の少女そのものなのは、もちろんお約束である。
「……。 ささやかにディスられた気もするけど、気にしないんだよ!」
まだまだ大人の階段を登る修行中。些細なことは気にしないし、ついでに大好きなお菓子の美味しい香りだって気にしてなどいられない。
ジンジャークッキーマンたちの美味しい香りに屈することなく、ペイルは光の翼を大きくはためかせ、その攻撃を回避。
『ソラヲトブトカ ズルインダヨ!』
そのまま会場の天井近くまで飛翔したペイルに攻撃を仕掛けようと、ワラワラと集まってくるジンジャークッキーマンたち。
「それじゃー、でっかーんとゴーカイにいっちゃうよー!」
ペイルは、振り上げた「おとーさんの平筆」をスピンさせながら、一気に急降下!
ジンジャークッキーマンたちを次々と薙ぎ払い、串刺しにしていく。
●
「さぁて、迷惑を巻き散らかす奴は何処だ? そちらが甘い罠を仕掛けるなら、此方は苦い一撃でお返しさせて貰うぜ」
臨音はにやりとした笑みとともに【錬成カミヤドリ】を発動。いくつもの大太刀を出現させれば、ジンジャークッキーマンたちをぐるりと取り囲んだ。
『メイワク マキチラシテナイ!』
『ニガイノハ、イラナイ!』
『オイシイ オイシイ ボクラノ オカシ、タベテ!』
対するジンジャークッキーマンたちは召喚したヘクセンハウスを使ってキャンディを発射するも、臨音は攻撃を見切り、かわす。
そうして複数の大太刀を操作し、薙ぎ払いを重ねてヘクセンハウスを撃破。そこからジンジャークッキーマンたちへ一斉攻撃を仕掛け、仕留めていく。
「このステージ、負けるわけにはいかないのよ」
アイナもまた、「DeathBladeZwei」を振るい、ダンスパフォーマンスを交えながら、攻撃を繰り出していく。
ジンジャークッキーマンたちの放つ、焼き立ての香ばしい匂いの攻撃を、鋼糸「KillingWire」を使用した巧みなワイヤーアクションで回避すれば、臨音のユーベルコード発動に合わせるように、すぅ、と息を吸い込んで。
自らのユーベルコード【歌イ紡グ言ノ葉、ソレハ言ノ刃二変ワルモノ(ウタイツムグコトノハ・ソレハコトノハニカワルモノ)】を、アイナは歌うように詠唱する。
♪【コトノハ】は【言ノ葉】にして【言ノ刃】
♪物理で砕けぬ悪意でも言葉の刃にゃ叶うまい!
♪切って刻んで滅多切り、欠片遺さず塵となれ!
アイナの詠唱に呼応するように生み出される、歌声の刃「言ノ刃」たち。
最初は短刀サイズの刃が現れ、数が増えていく度にそのサイズは徐々に大きくなっていく。
臨音が作り出す大太刀の動きと呼応しながら、アイナの言ノ刃たちは、ジンジャークッキーマンたちを切り刻み、砕き、粉々にする……!
そうしたペイルや臨音、アイナの連携攻撃により、ジンジャークッキーマンたちは次々と撃破され、消滅していって。
「あとは――、あんただけね」
アイナの見つめる先には、最後になるであろう、一体のジンジャークッキーマン。
『ナ、ボク オイシク ナ……』
「何言ってるの。 往生際が悪いわよ」
じり、と後退りするジンジャークッキーマンに、アイナは呆れたように息をつけば、「DeathBladeZwei」を構え直す。
「さあ、此処で決着つけましょう」
「でっかーんと、ね!」
にっこりと微笑んだペイルが「おとーさんの平筆」をぐるんと回転させ。
「覚悟、いいよな?」
臨音もまた、「火神ノ社ノ御神刀」の刃をジンジャークッキーマンの方へと向けて。
互いに視線を交わしあえば、三人はそれぞれの武器を振り上げ、ジンジャークッキーマンへと一斉に攻撃をお見舞いする――!!
『ウワァァァァ?!』
――こうして。
猟兵たちの見事な活躍により、会場内のジンジャークッキーマンは全て撃破されたのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『四五零『デビルズナンバーわたがし』』
|
POW : 悪魔の綿飴(デビルコットンキャンディ)
【体が溶けるほどの甘さの超巨大綿菓子】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD : 悪魔の飴雨(デビルキャンディレイン)
【巨大な綿菓子を空高く投げること】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【綿菓子から降り注ぐ超高温の飴の雨】で攻撃する。
WIZ : 悪魔の硬飴(デビルハードキャンディ)
【カチコチわたあめモード】に変形し、自身の【フワフワ感】を代償に、自身の【攻撃力、防御力、移動速度】を強化する。
イラスト:ケーダ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「六六六・たかし」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
すべてのジンジャークッキーマンが撃破され。
教団員たちもいつの間にか居なくなってしまった会場には、飾られたツリーたちと、クリスマスソングが流れるのみ。
『わたしのかわいい眷属たちを、よくもやってくれたわね』
――ふいに。
かわいらしい少女のような声が、会場内に響き渡る。
見れば、会場中央に設置された巨大ツリーの真上に現れた、虹色の雲。
雲はもくもくと膨らみその形を成していき――巨大ツリーを飲み込んでいく。
『楽しい楽しいお祭りが、あなたたちのせいで台無しじゃない』
巨大ツリーと入れ替わるように現れた『四五零『デビルズナンバーわたがし』』は、そのふわふわとした、かわいらしい頭を傾け、会場内の猟兵たちを見下ろして。
『あなたたちをここで倒して、お菓子のお祭りをもう一度始めるの!』
●
第2章のプレイングは、下記より受付開始いたします。
受付開始日:12月22日(日) 8:31以降。
お手数をおかけし大変恐縮ですが、どうぞよろしくお願いいたします。
●
リオン・リエーブル
クッキーの次はわたがし!
糖分たっぷりでいい感じだね!
スイーツブッフェまであと一息
おにーさん頑張っちゃうよ!
2剤混ぜると高熱を発生させる薬品を使って攻撃
カラフルな試験管を「誘導弾」で誘導「焼却」で火属性攻撃
「全力魔法」「2回攻撃」も併用しちゃうよ
糖分ってさ、熱で溶けるんだよね
UC使ってきたら【試験管流星群】
中身はもちろんさっきのお薬
加熱すれば溶けるし溶けたらもろくなるよね
そこを狙って更に追撃
「傷口をえぐる」「焼却」「2回攻撃」いってみよー!
楽しいお祭りを血祭りに変えちゃうようなオブリビオンはね
おにーさん色々容赦しないんだ
こちらのお祭りとそちらのお祭り
勝った方のお祭りが楽しくなるんだ
公平でいいよね
藤崎・美雪
【WIZ】
アドリブ連携大歓迎
いやいや、邪神が主宰のお菓子の祭りはノーサンキューだ
申し訳ないが、楽しいスイーツビュッフェのために倒させてもらうよ
カチコチわたあめモードに変形されると少々厄介だな
その前に動きを封じるのが得策か
というわけで今回は子守唄で眠ってもらおうか
「歌唱、パフォーマンス、時間稼ぎ」+【スリーピング・シープ】だ
もふもふデフォルメ羊の大群を殺到させて眠っていただくよ
そちらのふわふわ感とこちらのもふもふ感、勝つのはどちらかな?
…我ながらしょうもない張り合い方をしている気もするな
ちなみにカチコチわたあめモードに変形されたら
狙われないように逃げるしかできんな
私は支援特化なのだよ
●ふわもふながれぼし祭りカウントダウン
シャンシャンと鈴の音のリズムが賑やかな、クリスマスソングの流れる会場に現れた、邪神『わたがし』。
ツインテールにふわふわドレス。白を基調にピンク、ミントグリーン、ラベンダーといった淡いパステルカラーで彩られた、いかにも綿菓子らしいゆめかわいい姿は、見る人が見れば魅了されてしまうのかもしれない。
「クッキーの次はわたがし! 糖分たっぷりでいい感じだね!」
リオン・リエーブル(おとぼけ錬金術師・f21392)は楽しそうに笑った。
世の中には悪魔のお菓子と呼ばれる食べだしたら止まらないお菓子があるというけれど。これもそんな部類に入るのだろうか。邪神のお菓子、邪神スイーツ。
「でも、邪神のスイーツっておいしい甘さ通り越して思いっきり胸焼けしそうだよねぇ?」
「いやいや、邪神スイーツってないから」
どこまでも楽しそうなリオンの物言いに、ひらひらと手を振りながら軽くツッコミを入れて、藤崎・美雪(癒しの歌を奏でる歌姫・f06504)は、ややげんなりした顔で目の前の邪神を見上げた。
その姿はマスコットというにはあまりにも巨大で、笑みとともにまとわせるオーラには、邪神らしい邪悪さがにじみ出ていて。
「そして邪神が主宰のお菓子の祭りもノーサンキューだ」
何よりこの戦いの後にはスイーツブッフェが待っているのだ。凶悪極まりないお菓子祭りは邪神ごとここで叩き潰すのみ。美雪は右手をぐっと握りしめる。
「食べるなら、あくまでも普通のお菓子だ。 この後のお楽しみも待ってることだしな」
普通の、という言葉にほんの少しだけ力が入る美雪の言葉にリオンはけらりと笑って。
「まあ、そうだよねー。 スイーツブッフェまであと一息だし、おにーさんも頑張っちゃうよ!」
二人は互いに目配せを交わして。目の前の邪神を撃つべく、それぞれの場所へと動き出す。
●夢色ゆめかわすりーぴんぐ
(「しかしあの大きさで技を仕掛けられると少々厄介だな」)
目線の高い位置から見下されているわけだから、すでにこちらの動きは逐一把握されているのだろう。
支援を得意とする美雪は、敵を直接攻撃する手段をあまり持っていない。
グリモア猟兵の言っていたハードな攻撃で狙われてしまったら、ひとたまりもないだろう。
いざとなれば、できるだけ邪神の死角に逃げ込めるように。けれど、その前にまずはあの巨体の動きを封じるためにできることをするのだ。
「申し訳ないが、楽しいスイーツビュッフェのために倒させてもらうよ」
意を決したように美雪は頷き、邪神の前へと歩を踏み出す。
『何をいうの。 倒されるのは、わたしじゃないわ、あなたたちなんだから!』
挑むように投げた視線に、邪神が反応するのを捉えて。美雪が歌い出したのは、子守唄【スリーピング・シープ】。
「羊さん羊さん、皆の心も体も、そのもふもふで癒してやってくれ」
めぇぇ、めぇぇ、めぇぇ♪
美雪の美しい歌声に応じて現れた、デフォルメされた何ともかわいらしい羊たちが、いっぴき、にひき、さんびき……たくさん!
夢のようなかわいらしさとはきっとこのことを言うに違いない。
『わぁぁ、なにこのもこもこ?! すごいすごい、もふもふ、ゆめかわーっ!』
見た目や声がいかにも女の子な邪神は、中身も女の子らしかったようで。かわいらしさいっぱいにめぇめぇと鳴く羊たちに、思わずといった様子で胸のところで両手を組んではしゃぎだす。
(「さぁ、そちらのふわふわ感とこちらのもふもふ感、勝つのはどちらかな?」)
思いの外よい反応を見せる邪神の様子に、美雪は内心でほくそ笑む。
我ながらしょうもない張り合い方をしている気もする……などと過ってしまうのは天性のツッコミ体質がゆえではあるが、そっと知らないふりを決め込んだ。そう、勝負にしょうもあるもないもないのだ。すべてはスイーツブッフェのためなのだ、仕方がないだろう。
『もっふもふ、かわいー、ふわぁぁぁ、わたし、だんだん眠くなっちゃった……』
しかもこの羊さんたち、巨大な邪神が抱えてもかわいらしい、かつ抱き心地のよいジャストフィットサイズなのだ。なんという気配り設計なのだろう。
そんな会場を埋め尽くさんばかりのもふもふ羊たちにおしくらまんじゅう状態になりながらも。
両手で羊さんたちを抱きかかえた邪神は、美雪が歌う優しい子守唄の音色に誘われ、やがてすやすやと寝息を立て始め。
●流れ星タイムで夢から覚めて
「えー、美雪さん、そりゃないよー。 あんな眠ってちゃ、おにーさん楽しめないじゃないか」
もふもふ羊さんたちを抱きかかえて寝入ってしまった邪神に、思わず不満げに頬を膨らませるリオン。
黙っていれば大人な美青年なのに内心がそのまま表に出てきてしまった残念さは、精神年齢12歳の子供っぽさから来るもので。
「まいっか、眠った子にいたずら仕掛けて起こしちゃうのってそれはそれで楽しいしね!」
子供のような性格は、面白さを見つける気持ちの切り替えも素早いもので。リオンの琥珀色の瞳にキラリと輝くは、いたずらっ子のような光。
「さあ、お寝坊邪神は起きる時間だよー! まずはここからだね!」
じゃじゃーんと口で効果音をつけながら、リオンは実験用器具一式からカラフルな試験管を取り出した。
「さてお立ち会い! この緑と赤の液体! クリスマスカラーで綺麗なこの薬品を使って攻撃しちゃうよー」
慣れた手付きで緑と赤の液体をささっと混ぜて。できあがり、といわんばかりに両手に構えた試験管を、リオンは邪神の足へと目掛けて全力で投げつけた!
『……ふぁ?! あつっ……?! な、なに、何が起こったの?!』
足元に走った鋭く熱い痛みに、邪神は思わずといった様子で飛び起きる。
「どう? おにーさんの目覚まし、超強力でしょ?」
『どうって、あなたなの?! こんなことしたの!』
「もっちろん。 起きてくれなくちゃあつまんないでしょー」
びっくり眼の邪神を見れば、にこーっと。それはそれは楽しそうな笑顔のリオン。
『ひどい! 羊さんたちもふもふで癒やされてたのに! もう許さないんだから!』
カラフルなツインテールをまるで角のように天へ向け、まさに怒り心頭といった様子で邪神は、自らの身体の一部をカチコチわたあめモードに変形させていく。
「うん、そうでなくっちゃあね」
戦いがいがある、と言わんばかりににやりと笑み、
「楽しいお祭りを血祭りに変えちゃうようなオブリビオンはね、おにーさん色々容赦しないんだ」
リオンは手早く調合した何本もの試験管を両手に構えた。
試験管の中で揺れる液体は、先ほど邪神へお見舞いしたのと同じもので。
「それじゃ、いっくよー! 【試験管流星群(ナナイロナガレボシ)】!」
掛け声と共にリオンが放った試験管たちは、まるで流星群のようにいくつもの弧を描きながら、邪神へ向かって飛んでいき、次々と爆発していく。
『きゃぁぁぁぁ?!』
爆発の衝撃と熱で溶けた手足の痛みにあたふたとする邪神。負けじと溶けて固まった手を振りかざすも、
「砂糖だけに甘いねっ。 さて、もいっちょ!」
リオンはそれを見切り、さらに液体の入った試験管をお見舞いしていく。
『あつい、いたい、いたぁぁぁい!』
「こちらのお祭りとそちらのお祭り、勝った方のお祭りが楽しくなるんだ。 公平でいいよね」
加熱され溶けてもろくなった邪神の手に追撃を重ねながら、リオンは意地の悪い笑みを向ける。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ペイル・ビビッド
【三位一体】
これまた甘い香りと
クリスマスツリーよりも大きなわたがし…
それでもコイツは敵だ、コイツは敵だ…!(と言い聞かせ)
真の姿は使えなくても
大筆での凪ぎ払いとスピードでカバーだ
飴のオブリビオンなら
きっと熱に弱いはず…
なら!
スケッチブックを取り出し
複製描画で描いて出すのは
煮出したばかりのあつあつホットティー
グラスピッチャーに入ったままの状態で
敵の手前に投擲だ(ていっ)
はじき返そうとするなら筆で武器受け
臨音おにーちゃんのフォローにも感謝
お茶がかかったりアイナおねーちゃんたちの炎で
形が崩れたところを狙い
平筆で二回攻撃・串刺し・傷口をえぐる
キャラメリゼもいいけど
焦げて苦い真っ黒の飴は
ゴメンだよ!
火神・臨音
【三位一体】
綿菓子は嫌いじゃないけど
こんな姿ならごめん蒙りたいよな
それなら尚の事、速やかに退場してもらうか
ここからが本番、二人とも気を抜くなよ?
戦術は引き続き大太刀と素手格闘スタイル
大太刀は返す刃の2回攻撃でなぎ払い
火の属性を乗せた蹴撃を織りまぜて
フィールドの広さを有効活用して大きく動き
相手を撹乱させる
アイナ、ペイルが攻撃回避不能の時は
積極的にかばう
攻撃は見切り、激痛耐性で堪える
UCで生み出した炎は
大太刀の刀身に纏わせ使用
気合いを乗せた斬撃を放つ
甘い飴も高熱の前ならどろどろに溶けて
崩れて焦げるのがオチってもんだ
もうそんな体じゃ甘い匂いも放てないだろ?
大人しく観念して骸の海に還るんだな
アドリブ可
美星・アイナ
【三位一体】
翼君から話は聞いてたけど
綿菓子の邪神って・・・
綿菓子は好きだけどいくら何でも
これは一寸引くわね
お願い、力を貸してとペンダントにキス
全てを溶かし焼き尽くす焔の姫に人格交代
『その甘い香りも今のうち、ボロボロに焦がして苦くして、壊してあげるわ・・・よっ!』
黒剣を槍から大鎌に変化
大鎌でのなぎ払いと空中からの2回攻撃の
蹴撃で鎧砕き攻撃
鋼糸を撃ち出してロープワークの要領で動きを抑える
敵からのダメージは激痛耐性、武器受け、
火炎耐性で可能な限りしのぐ
可能ならカウンターで反撃
UCで生み出した炎は合一させず
敵の頭上より炎の雨として降らせ
斬撃で付けた傷口をえぐる
状況終了後ただちに人格切替は解除
アドリブ可
●大きなわたがしの下で
「これまた甘い香りとクリスマスツリーよりも大きなわたがし……」
自分よりもはるかに巨大な邪神『わたがし』を見上げたペイル・ビビッド(淡色弾ける筆先の軌跡・f01836)は、呆然としたつぶやきを漏らした。
子供なら一度は食べてみたいと憧れる巨大お菓子。しかも先ほどの仲間の戦いで溶けたり焦げたりして、さらに香ばしく甘ったるい匂いがそこら一帯に充満していているものだから、甘いもの食べたい心のくすぐられようったらない。
いやでも一応敵だし。綿菓子特有のふんわり感もまだまだあるし、ちょっとカチコチになったり溶けてたりするところも違う意味でおいしいかもしれないし……いやいや、でもコイツは敵なんだから、などと必死に自分に言い聞かせてみたりするペイルの子供心……ならぬ乙女心の葛藤を察していただきたい。
「翼君から話は聞いてたけど、綿菓子の邪神って……」
そんなペイルの傍らに立ち、同じように見上げていた美星・アイナ(解錠の音は新たな目覚めの音・f01943)の口からも、似たような言葉がぽろり。ペイルの、うっかりすると食べに行ってしまいそうなそれとは異なり、こちらは若干引き気味だ。
「綿菓子は好きだけどいくら何でもこれは一寸引くわね」
ちょっと、と言うには立ち位置が邪神から結構離れていたり、ついでにペイルが近づかないようにさりげなく手を引いて離そうとしているあたり、若干もちょっともないくらい引いているアイナ。
まあ、食べたいと思うよりできればお近づきになりたくないと思うのが正しい反応なのかもしれない。
「綿菓子は嫌いじゃないけど、こんな姿ならごめん蒙りたいよな」
二人それぞれの反応に少し苦笑しながらも、火神・臨音(火神ノ社ノ護刀・f17969)は同意を示して。それでも視線は邪神からは逸らすことなく、愛刀の大太刀「火神ノ社ノ御神刀」を構え直す。
「それなら尚の事、速やかに退場してもらうか」
食べることなどありえないが、戦わないという選択肢はもちろんない。
このイカれた邪神と、教団の思惑は、今ここでぶっ潰すのだ。
「ここからが本番、二人とも気を抜くなよ?」
臨音の声掛けに応じて、ペイルとアイナは頷き、目配せをして動き出す。
●焔と熱と舞と歌と
この戦いは、自分だけではなくて、『彼女』の力が必要だ。
(「お願い、力を貸して」)
そう判断したアイナは、手に握りしめていたペンダント「インフィニティ・アンロック」へそっと口づけを落とす。
アイナの中にロック解除の旋律が響けば、表に浮かび上がるは全てを溶かし焼き尽くす焔の姫。
人格を交代させたアイナは、手にしていた黒剣「DeathBladeZwei」の形状を槍から大鎌へと変化させながら、暴れる邪神へ不敵な笑みを向けた。
「その甘い香りも今のうち、ボロボロに焦がして苦くして、壊してあげるわ・・・よっ!」
(「飴のオブリビオンなら、きっと熱に弱いはず……」)
他の猟兵たちの攻撃の邪魔にならないよう走りながら、ペイルは邪神の動きを観察し、その弱点を見極めようとする。
仲間の猟兵の攻撃もペイルの予想と同じく熱を利用したもので、実際に敵へダメージを与えることに成功していた。
「なら!」
熱を利用した攻撃をさらに重ねていけばいいと判断したペイルは、肩から下げた自身の大きな鞄から、スケッチブックを取り出した。
慣れた手つきで鉛筆を走らせ目にも止まらぬ早業で描き上げて。
「想像力から生まれる創造……さあ、スケッチブックから出てこいっ! 【複製描画(ドッペル・ドローイング)】!!」
できあがった絵へ呼びかける言葉とともに、ペイルがスケッチブックから取り出したのは、琥珀色の液体が波々と入った……蓋付きのガラス製ピッチャーだった。
注ぎ口から漂う香りは、紅茶だろうか。立ちのぼる湯気の様子から、その熱さはかなりのものであることがうかがえる。
扱い方によっては自身もやけどを負いそうなそのピッチャーを器用に持って、ペイルは敵の前まで走り込む。
「ふふふ、煮出したばかりのあつあつホットティー、邪神さんも召し上がれっ!」
てい、と宙に放り投げたかと思えば、そのまま野球のノックの要領で「おとーさんの平筆」を振り抜き、ピッチャーを勢いよく打ち上げる!
「でっかーんととんでけー!!」
狙うは邪神の顔面!
『きゃぁぁぁぁ?!』
さすがに直撃の危機を感じたか、すんでのところで邪神は片手を振り上げ、飛んできたピッチャーをガード。お返しとばかりにペイルへ向けて打ち返す!
「うわ、打ち返された?! ちょ……っ」
返ってきたピッチャーにペイルは慌てて平筆を構えるが間に合いそうにない。
あわやピッチャーの中身を食らってしまうかとペイルが覚悟したその時。
「く……っ、間一髪だったな」
ペイルをかばうように前へ出た臨音の大太刀が、飛んできたピッチャーを薙ぎ払う。
「臨音おにーちゃん……!」
飛び散ったピッチャーの中身の熱さに臨音は少しだけ顔をゆがめるも。心配そうなペイルには大丈夫だというように笑みを返してから、邪神をにらみつけた。
『にらみたいのはこっちよ! ホントに熱すぎるんだから! 顔に当たったら危ないじゃない!』
臨音の視線を感じ取ったか、邪神は地団駄を踏んで怒っている。直撃とはならなかったが、ピッチャーの注ぎ口からこぼれた紅茶で多少のダメージはくらったらしい。
『わたし、今度こそ怒ったんだから! 熱さには熱さよ、これでもくらっちゃえー!』
掛け声とともに、邪神は巨大綿菓子を生み出し、天井目掛けて放り投げた。
綿菓子は雲のように天井を覆い、臨音たちの頭上で止まれば雨ならぬ飴の雨を降らせていく。
「これは……っ?! 二人とも大丈夫?!」
大鎌「DeathBladeZwei」の刃を振り回して雨の飴を弾き返しながら、アイナは二人の方へ駆け寄る。
「ああ、問題ないぜ、食らってはいるがだてに激痛耐性持ちじゃないしな」
「あたしも大丈夫! ……さすがに高温の飴は強烈だったけどねっ」
臨音とペイルの様子にホッと息を漏らしたアイナの頭上から降ってくるのは、忌々しいと言わんばかりの邪神の声。
『もう、まだ倒れないの? まったくー、それじゃあもう一度わたしの攻撃を受けちゃうといいのよ!』
邪神はカチコチわたあめモードに変形させた腕を振り回してパンチを繰り出してくるも、
「そう攻撃ばかり受けていられないのよ・・・ねっ!」
アイナは鋼糸「KillingWire」を天井へ撃ち出し、床を蹴って大きくジャンプ。ワイヤーアクションを展開させて邪神の攻撃を回避すれば、そのまま空中から大鎌を横薙ぎに振るった。
カキィィィィン、と音をさせ邪神が自身の硬くなった腕でその刃をガードしたところを、アイナは間髪入れずにレガリアスシューズ「Shadow Dancer」での鎧砕きを載せた蹴りを仕掛け、削り壊していく。
「こっちからも行くぜ、【破邪顕正ノ焔舞(ハジャケンセイノホムラマイ)】!」
アイナの連続攻撃に続こうと、臨音は掛け声とともに生み出したいくつもの紅玉の欠片型の炎を大太刀「火神ノ社ノ御神刀」にまとわせていく。
「紅玉の輝きが変じし不変不滅の炎の舞、ぼやぼやしてたら只じゃすまねぇぞ?・・・忠告は、したからなぁっ!」
場内を震わせんばかりの叫びとともに、臨音は勢いをつけて跳躍。気合を込めた赤々と燃え輝く炎の刃と化した大太刀を大きく振りかぶって、邪神の片腕を斜めに切り落とした。
『きゃぁぁぁぁ?! 腕、わたしの腕がぁぁぁ?!』
「甘い飴も高熱の前ならどろどろに溶けて、崩れて焦げるのがオチってもんだ。 もうそんな体じゃ甘い匂いも放てないだろ?」
『そんなの……! わたしは、まだまだ行けるんだからぁぁぁ!』
「キャラメリゼもいいけど、焦げて苦い真っ黒の飴はゴメンだよ!」
ペイルも「おとーさんの平筆」をスピンさせ、あるいは串刺しにしながら、臨音が斬り込みとともに熱で溶かした邪神の腕の脆くなったところを中心にその傷口をえぐっていく。
「その腕も肩も使いものにならなくしてあげるね!」
『やだ、やだやだやだぁぁぁぁ!!』
「往生際が悪いわよ。 言ったじゃない、ボロボロに焦がして苦くして、壊してあげる・・・って!」
駄々っ子のようにいやいやと腕を振り回して抵抗を続ける邪神へ向けて、不敵な笑みを浮かべたアイナは息を吸い込んだ。
歌い紡ぐは、ユーベルコード【集いし欠片/繋がる想い(ツドイシカケラトツナガルオモイ)】。
♪地に落ちた血涙達、姿を変えて此処に集え・・・
アイナの奏でる旋律によって生み出された赤水晶の欠片型の炎は、またたく間に邪神の頭上へと集まっていく。
『なによなによ、なんなのあれ、冗談じゃないんだから……』
不穏極まりないその炎を生み出した主であるアイナを潰さんとばかりに、まだ動くカチコチわたあめモードの足で蹴り出そうとするも。
♪行き場のない哀しみと怒り、水晶の炎に変えてここに放たん!
邪神の動きよりも早く、アイナの詠唱は完成して。
「さあ、骸も遺さず焼き尽くせ!」
アイナの掛け声とともに。赤水晶の欠片は、炎の雨となって邪神の身体へと降り注がれる……!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
薬師神・悟郎
「成る程、あの外見は綿菓子か」
その姿を目視後、UCで状態異常力強化
「綿菓子といえば、熱に弱いはずだが。奴はどうかな?」
先制攻撃、暗殺の一矢に属性攻撃で炎を纏わせ反応を伺う
効果があれば炎と火を煽る風の属性攻撃で敵の体全体を狙った範囲攻撃もしくは味方と攻撃を合わせた援護射撃
こちらの攻撃により敵の体が溶けかける等、綻びが見られた部位があれば視力、スナイパーで部位破壊を試みよう
超巨大綿菓子は見切り、野生の勘で回避、逃げ足
回避不可であれば第六感、咄嗟の一撃、カウンター又は障害物を利用して自身をかばう、戦闘知識、地形の利用
多少の傷は幾つもの耐性とオーラ防御にて防ぐ
俺が望む菓子の祭りにお前らは必要ない
朝霧・晃矢
最高級ジャーキーを齧って『フードファイト・ワイルドモード』発動
懐からオラトリオヴェールを取り出し、広げて【盾受け】
籠められた光の魔力で【オーラ防御】
(周辺の溶けたものを見て)甘いにも程があんだろ……
右手に串を構えて【ランスチャージ】
更に敵を【踏みつけ】て跳びながら串を引き抜き
串の攻撃は本命じゃない、この勢いが本命だ
空中で背中の翼を発現させて軌道修正、天井を蹴って加速、体重と勢いをつけて降下、頭上より再突撃
スマートに勝つ方法なんて持ち合わせてないんでな
砂糖塗れは覚悟の上
串と共に全身でぶつかるさ
綿飴ってのは、押し潰れされると哀しいもんだよなっ!
楽しいお祭り、ねぇ
邪神の祭典なんざ骸の海でやってろっ
蛇塚・レモン
確かに……お祭りで神格の存在を呼び寄せるのは常套手段だし、あたいの滅んだ故郷でもやってたから言い分は正しいけどっ!
此処で呼んだら、無関係な人々まで巻き込んじゃうでしょっ!?
迷惑だから絶対阻止なんだよっ!
指鉄砲(オーラガン)を構えて念動力+衝撃波の乱れ撃ち!
弾幕を張って接近させない
念動力で空中戦し牽制
霊弾に火属性の全力魔法を織り交ぜて綿飴を溶かすように撃ち抜くよ
って、カチコチになって撃ち抜けなくなっちゃった!?
そういうのズルいから禁止だよっ!
UCの蛇神様の破壊衝撃波は、睨んだ相手へ鎧無視攻撃+呪詛+マヒ攻撃を放って動きと敵UCを封じる必殺技!
ボロボロになった敵へ蛇腹剣の捨て身の一撃でなぎ払うよ!
●甘い祭りの終わりをこの手で
『やだ、やだ、いやなのよ、わたしはお祭りをするの、絶対、ぜーったいお祭りをするんだからっ』
ふわふわな砂糖菓子の巨体を持つ邪神『わたがし』。
しかしパステルカラーでかわいらしくも見えたその外見は、猟兵たちが重ねる攻撃によってところどころ溶けて焼け焦げ、見る影もなくなりつつあった。
けれど邪神はまだ戦うことを諦めていない。欲しいものをせがむ駄々っ子のように溶けて焦げ付いた手足をばたつかせている。
『だからあなたたちは邪魔なのよ! どこまでも邪魔なのよ! わたしのお祭りの邪魔をしないで、倒されてしまいなさいよ!』
「確かに……お祭りで神格の存在を呼び寄せるのは常套手段だし、あたいの滅んだ故郷でもやってたから言い分は正しいけどっ!」
子供のように駄々をこねる邪神が言う「お祭り」に、蛇塚・レモン(白き蛇神オロチヒメの黄金に輝く愛娘・f05152)はその紅と琥珀色の瞳に複雑そうな色を浮かべる。
確かに、祭りは神霊をなぐさめるための儀式だ。だから、祭りを求める邪神の言い分は正しい。それは、呪われし家系に生まれ、宿命を背負い、儀式を目の当たりにしてきたレモンだからこそ言えることだ。
「此処で呼んだら、無関係な人々まで巻き込んじゃうでしょっ!?」
そう、祭りに対する邪神の言い分の正しさは知っている。
けれど、それでいいわけではないことも、レモンは知っている。
「言い分が正しいからって、駄々をこねてりゃいいって話じゃないんだよ! とても迷惑! 迷惑だから絶対阻止なんだよっ!」
『迷惑とか関係ないの! あなたたちどこまでもわたしの邪魔をして。 絶対許さないんだからー!』
そんなレモンと邪神の応酬を静かに眺めて。
薬師神・悟郎(夜に囁く蝙蝠・f19225)は、【強化【壱】(キョウカ・イチ)】で自身へ状態異常力への強化を施し。自らの手を握ったり開いたりながら、攻撃を仕掛けるべく、その隙をうかがっていた。
現れた邪神の外見は、確かにどう見ても綿菓子そのもの。
(「綿菓子といえば、熱に弱いはずだが。 奴もそういうものだということかな」)
他の猟兵たちの攻撃ですでに弱点は明白になっているから、悟郎が改めて確かめる必要はない。
「……ということは、このまま一気に追撃をすべきだな」
火や熱に弱いことがわかっているのは好都合とばかりに、悟郎は邪神へ向け、黒弓【影縫】から放つ矢の一つに炎をまとわせ、一撃を仕掛ける。
『……あつっ! 何この矢!』
不意に飛んできた炎の矢の攻撃の主を探そうと邪神はぐるりと首を回して、悟郎の姿を捉える。
『これ以上わたしを溶かしてどうするっていうのよ!』
「どうするも何も、倒すに決まっているだろう……こうやってな」
目立たない、死角になる位置から攻撃を仕掛けていくのが悟郎としては都合がよかったが、見つかったのなら仕方がない。
ならば正面から挑むとばかりに、先ほどの攻撃で燃えだした邪神の片方のツインテールの炎をさらに煽らんと、悟郎は風を放つ。
『わぁぁぁ?! ちょっと、ほんとにわたし、許さないんだから! あなたたちも一緒に溶けてしまいなさーい!』
燃える熱で溶けていく自分の身体にますます悔しそうな表情を見せて。邪神は、自身の頭ほどもある、超巨大綿菓子を作り出し、投げつけてきた。
さすがにあの綿菓子の攻撃を直接くらうのはまずいだろうか。
回避を試みようと悟郎が動き出すと同時、
「悟郎さん、援護するよ……っ!」
最高級ジャーキーをかじって【フードファイト・ワイルドモード】でその全身を強化させた朝霧・晃矢(Dandelion・f01725)が、悟郎の前へ駆け出し、懐から取り出したオラトリオヴェールを盾のごとく掲げ広げた。
淡く輝く光のヴェールで迫ってくる巨大綿菓子を一気に払い、押しのける!
「間一髪といったところか……助かった」
礼を述べる悟郎にはにこりと笑みを返してから、晃矢は押しのけた巨大綿菓子を見やる。
設置されていたツリーの上へと落ちた巨大綿菓子は、そのツリーを溶かしながら、床へと落ちていく。
「甘いにも程があんだろ……っ」
あの攻撃をそのまま食らっていたら、どうなっていたことか。
想像するだけで背筋が寒くなるのを感じながら、晃矢は小さく息を吐き出した。
床まで溶けてしまわないかが気になるところだが、うかうかしていると待っているのは、さらなる綿菓子攻撃だ。改めて気を引き締め、邪神の動きを捉えようと、晃矢は視線を巡らせる。
「うっわ、何これ酷い! これは下からより上からがいいかもしれないね!」
邪神の巨大綿菓子攻撃にびっくりした声をあげ、レモンは念動力で空中へと移動する。
指鉄砲を作って人差し指を邪神の頭へと焦点あわせれば、
「いっけーっ! 霊弾!」
まずは一発。衝撃波による弾丸を勢いよく撃ち放つ!
『いったぁぁぁい!』
「よし、それなら俺も……っ!」
レモンの攻撃に続こうと、晃矢は右手に握った子供の背の高さほどもある銀の串を、槍を持つ要領で水平に構え、邪神へ向かって走り込む。
その片足めがけ猛突進の勢いをつけて串を突き刺したかと思えば、踏みつけるようにしながらバネのように反動をつけ、ぐるんと宙返り。一気に串を引き抜いた。
『あ、足! その太くてながーい針みたいなので刺した、刺したでしょ?!』
「ああ、少しくらいは効いたか?」
『もう、あなたたちって、ほんっっっっと、ちょこまかとうるさーい!』
溶けて焦げ落ちた腕を振り回し、ボロボロになりかけた足をじたばたとさせながら。邪神は立ち回る猟兵たちの動きを捉えようと試みるが、うまく動けない。
さらに悟郎が黒弓【影縫】から放つ炎をまとわせた矢の攻撃で邪神の弱った部位を的確に狙い、その戦力と戦意を削っていく。
そこに追撃とばかりにレモンが邪神の頭上から霊弾の乱れ打ちをくらわせれば、晃矢もまた、跳躍の勢いから背中の翼を広げ、空中へと舞い上がった。
「綿飴ってのは、押し潰れされると哀しいもんだよなっ!」
天井に届かんばかりの高さまで到達すれば、晃矢は再び串を構え、天井を蹴って降下。重力の勢いとともに邪神目掛けて突撃する!
『きゃぁぁぁぁ?!』
全身でぶつかってくる晃矢の攻撃をもろに食らった邪神は、これ以上のダメージは受けまいと。溶けて焦げ落ちた自身の身体に残るすべてのふわふわ感を代償にして、全身をカチコチわたあめモードへと変形させた。
『ここから、ここからが勝負なのよ!』
全身ハードキャンディとなった邪神は、レモンへ向かって体当たり。
「なんの、も一度霊弾の全力魔法で……、って、カチコチになって撃ち抜けなくなっちゃった!?」
カキーンと弾丸を跳ね返しながら仕掛けてくる邪神の攻撃を、すんでのところで回避して。再び念動力で空中に浮かんだレモンは、むーっと頬を膨らませながら、邪神を見下ろした。
「そういうのズルいから禁止だよっ!」
『ずるいっていうなら、あなたたちだって相当ずるいじゃない!』
「そんなの知らな〜い! いっくよ〜!」
びしぃ、と邪神を指させば、レモンはユーベルコード【戦闘召喚使役術式・大罪司りし蛇神は妬み嫉む(バトルサモンコード・エンヴィー・レヴィアタン)】を発動。
「蛇神様っ! あいつにお仕置きしちゃって!!」
レモンによって召喚された蛇神様の鋭いにらみが、邪神を襲う。
見えない恐怖か、蛇神様の破壊衝撃波の強力な効果によるものか、はたまたその両方か。蛇神様のにらみに射抜かれた邪神の動きがピタリと止まった。
『……うわ、なにこれ、怖い……っ!!!』
動かそうにもかなわない自身の身体に、邪神は泣きそうな情けない声をあげる。
「よ〜っし、皆、今だよ! 一気に畳み掛けちゃおう!」
レモンの掛け声に応え、晃矢が、悟郎が、それぞれの武器を構えた。
「アンタの楽しいお祭りなんて関係ねぇよ。 邪神の祭典なんざ骸の海でやってろっ!」
再び空中へと舞い上がって急降下を仕掛けた晃矢の銀の串が、邪神の身体を貫き。
「俺が望む菓子の祭りにお前らは必要ない、ここでお仕舞いだな」
黒弓【影縫】から放たれた悟郎の炎の矢が、邪神の頭へ直撃する。
「いっけ〜!! お菓子な邪神も、迷惑な召喚儀式も、みんなみ〜んなまとめて骸の海に還っちゃえ……!」
そしてトドメとばかりに繰り出された、レモンの「蛇腹剣クサナギ」による捨て身の一撃が、邪神の身体を横薙ぎにする!
『うわぁぁぁん、せっかくのお菓子の、わたしのお祭りがぁぁぁ……』
綿菓子らしいふわふわ感もゆめかわいい雰囲気もすっかり失って。
邪神『わたがし』の黒く焼け焦げた身体は、ボロボロに崩れ落ちながら、ゆっくりと消滅していく。
会場に流れるクリスマスソングが、消えていく邪神を見送るように静かな音色を響かせていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 日常
『スイーツビュッフェを満喫したい!』
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POW : とにかく食べる! 気合でスイーツ全種制覇!!
SPD : お気に入りはリピートしちゃう! 美味しいスイーツをいっぱい食べる!!
WIZ : 見た目が綺麗なスイーツ重視! 写真映えって大事だよね!!
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
第3章のプレイングは、下記より受付開始いたします。
受付開始日:1月4日(土) 8:31以降。
お手数をおかけし大変恐縮ですが、どうぞよろしくお願いいたします。
●
猟兵たちによって、お菓子な邪神の復活は見事阻止された。
事後のことは気にしないでよいと言っていたグリモア猟兵の言葉のとおり、戦いによって汚れたり壊れたりした会場の後処理は、UDC組織にて対応してくれるという。
会場内に設置されていたツリーのうち破損を免れた一部は危険性のないことが確認されれば、何らかの形で再利用されるとのことだ。
どのように再利用されるのかは気になるところではあるが……今はそれよりも重要なことがある。
UDC組織メンバーに案内され、猟兵たちが向かった先はホテルのレストラン。
グリモア猟兵も言っていた、スイーツブッフェ会場である。
足を踏み入れれば、視界に広がるのは目にも華やかな彩りのスイーツたち。
戦いの疲れを休めながら、ゆっくりお過ごしくださいね、とのUDC組織メンバーの言葉に頷いて。
ようやく訪れた、文字通りの甘い一時を楽しむべく、猟兵たちは会場内を思い思いに歩き出す。
薬師神・悟郎
会場の後処理までしてくれるとは、UDC組織は優秀だな
ツリーの一部も安全が確認されれば再利用されると知って内心ほっとする
元はクリスマスを祝う為に作られたはずの物
綺麗な飾りなんだ
今度は正しく利用してもらえれば良いな
さて、お言葉に甘え楽しい一時を満喫しようか
甘いものといえば、昔よりはずっと口にできるようになったが、俺にとっては贅沢なもの
だから、今日は頑張って全種類制覇ぐらいの気持ちで挑みたい
ふむ…食べるならやはり洋菓子だろうか
エンパイアでは中々お目にかからないからな
戦闘の疲れを癒す菓子の甘さに思わず口許が緩むのは仕方ないだろう
こういうご褒美のある仕事ならまた受けても良いかもな
●オペラ~甘く贅沢な時間とともに
スイーツブッフェ会場内に飾られた、クリスマスツリーたち。
中央のブッフェ台にはイチゴとベリーで飾られた大きなタルトツリーがあり、別の台には小さなシュークリームやマカロンを積み重ねたデコレーションツリーがある。
どのツリーも賑やかでかわいらしく、見る者を笑顔にさせるものだ。
(「会場の後処理までしてくれるとは、UDC組織は優秀だな」)
飾られたツリーたちを眺めながら、薬師神・悟郎(夜に囁く蝙蝠・f19225)が思い出すのは、先ほどまで戦っていた場所にあったツリーたち。
邪神復活のための儀式に使用されたとはいえ、元々はクリスマスを祝うために作られたはずのものだ。
たくさんのお菓子で飾り付けられたツリーは、悟郎の目から見ても綺麗で、それは見事なものだった。
そのまま廃棄されるのはあまりにも惜しいと思ったのは、自分だけではなかったのだと思えば。月を思わせる悟郎の金の瞳に、安堵の色が宿る。
(「今度は正しく利用してもらえれば良いな」)
今度こそ、大切な人たちと過ごす時間を祝い、皆の笑顔を彩るために飾られるといい。
(「さて、」)
ツリーに想いを馳せるのが、ここまで頑張ってきた目的ではない。
タルトツリーやデコレーションツリーから目を離し。悟郎は改めてブッフェ台に並べられた、他のスイーツたちを眺める。
(「お言葉に甘え楽しい一時を満喫しようか」)
大きなタルトツリーの周りに並ぶのは、シュトーレンやパン・デピス、ベラヴェッカにパネトーネなどの各国のクリスマス伝統菓子。
その隣には、パウダーシュガーで雪化粧されたロングサイズのショートケーキ。同じく長さのある真っ白なブッシュドノエルもある。
さらにクリスマスツリーの形にデコレーションされたプチケーキがあると思えば、抹茶の鮮やかな緑色にアザランの銀色が散りばめられたムースドームケーキといった和テイストのスイーツまで。
まさに選び放題である。
昔よりはたやすく口にできるようにはなったものの。甘いものが、悟郎にとっては贅沢なものであることには変わりない。
せっかくの機会なのだから、今日は頑張って全種類制覇ぐらいの気持ちで挑みたいものだ。
気持ちはそうあれど、やはり最初に口にするものは迷ってしまう。
考える仕草を見せながら、ホールケーキやロングケーキのあるブースを眺め、プチケーキやカットケーキが並べられた場所へも足を運んで。
(「ふむ……食べるならやはり洋菓子だろうか。 エンパイアでは中々お目にかからないからな」)
抹茶や小豆など、悟郎も見知った和の風味を活かした菓子も常の和菓子とは違った外見で捨てがたいが、クリスマスがテーマになっているブッフェであれば、それらしい飾り付けをされたものがよいだろうか。
迷いながらも、最初のケーキとして悟郎が選んだのは、オペラ。
コーヒー風味のシロップを染み込ませたビスキュイ生地にバタークリームとガナッシュを何層にも重ねた、美しいチョコレートケーキだ。
パリのオペラ座をモデルとして作られたという絢爛豪華な外見は、クリスマスを彩るケーキとしてはふさわしいと言えるもの。
そんなオペラを載せた皿を手に。適当な席に着いた悟郎は、まずはとばかりにフォークでカットし、一口。
口に広がる上品かつ濃厚な甘さは、先ほどまでの戦闘の疲れをも癒やしてくれるようで。
自然と口許が緩んでしまうのも、今日は仕方がないだろう。
「……こういうご褒美のある仕事ならまた受けても良いかもな」
オペラをゆっくりと堪能し。入れてきたお茶で口を潤せば、悟郎の視線は再びスイーツの並べられたブッフェ台へ。
さて、次は何にしようか。
甘い幸せな時間は、これからがスタートだ。
大成功
🔵🔵🔵
蛇塚・レモン
<WIZ>
スマートフォン片手にスイーツを片っ端から撮影
可能ならばSNSにアップしてゆく
クリスマス用に彩られた数々のスイーツに、あたいは大興奮っ!
うわ~、映えるぅ~!
見た目から、絶対美味しいって分かるもんっ!
食べたらなくなっちゃうし、撮影しないなんてないっしょ~っ!
でも全部食べたら……明日の体重のことを考えると、スプーンが止まる
え、蛇神様はあのチョコムースケーキが気になるの?
ライムはあっちのベリーソース??
分かった分かった!
順番だから~っ!
胃袋はひとつしかないんだから、もう……っ!
アドリブ大歓迎
●チョコレートムースケーキ~スイーツテロと体重計
スイーツブッフェの会場内で一際目立つ、大きなタルトツリー。ホワイトチョコ風味のカスタードクリームをベースに、大粒のストロベリーとブルーベリー、ブラックベリーが贅沢に使われ、積み重ねられている。崩すのがもったいなくなるほどの美しさだ。
「うわ~、映えるぅ~!」
蛇塚・レモン(白き蛇神オロチヒメの黄金に輝く愛娘・f05152)は、瞳をキラキラと輝かせながら、手にしたスマートフォンをスイーツたちに向ける。
タルトツリーのゴージャス感もさることながら、他のプチスイーツだって負けてはいない。
ピスタチオクリームでデコレーションされたプチケーキはクリスマスツリーの形をしているし、チョコホイップクリームのシュークリームは、クッキーの角と目鼻があるトナカイの形になっていてとてもかわいらしい。
隣の皿には白いマカロンの雪だるま。アイシングされた手のひらサイズのジンジャーブレッドマンも、機嫌よさげに仲良く並べられていて。
「見た目から、絶対美味しいって分かるもんっ! 食べたらなくなっちゃうし、撮影しないなんてないっしょ~っ!」
フォトジェニックな被写体があれば、撮らない方がむしろ失礼というもの。
もちろん、写真撮影もSNSへのアップロードもホテルのスタッフに許可はもらっているから、この辺はぬかりない。
スイーツテロしまくっちゃうもんね、とばかりにレモンは楽しそうにアングルを変えながらスマートフォンの撮影ボタンを押していく。
「よ〜し、それじゃあ、次のお楽しみだよ〜っ♪」
ひとしきり撮影して一段落すれば、今度こそ実食タイム。
撮影だけじゃなくて、食べてこそのスイーツというもの。それこそ片っ端から食べたい気持ちはある……が。
「でも全部食べたら……」
レモンの脳裏に過るのは、The・体重計。
私を食べてといわんばかりの魅惑的なスイーツたちを心のままに食べるのはいい。
だが、現実問題として食べた分だけ明日の体重はプラスされていくのだ。
(「時にオブリビオンよりも厄介かもしれないそれと対峙しなければならないなんて……」)
おいしいスイーツをめいっぱい楽しみたい気持ちと翌日のことを考え控えておいたほうが良いという気持ちは、まさに二律背反。
勢いよく皿にスイーツを載せていたレモンの手が止まってしまえば、
(「レモン、レモン、何を悩んでおるか」)
その手をちょんちょんとつつかんばかりにレモンに語りかける声。
レモンの裏人格であり、親代わりでもある蛇神オロチヒメだ。
「え、蛇神様?」
(「レモンよ、悩むことはあろう。 しかし、ここは立ち止まってはならぬ時だ」)
「で、でも……」
(「よく言うではないか、明日のことは明日考えよう、と」)
「……」
すごいシリアスに言っているけれど、その言葉、今この場で使っちゃいけないんじゃないのかな、なんて思ったレモンの思いはそっとスルーするオロチヒメ。
そんなオロチヒメに賛同する、もう一人。
(「そうだよ、姉さん、悩むことはないよ」)
「え、ライム?!」
激情を司る炎蛇神であり、レモンの腹違いの妹でもあるライムの声まで入ってこれば、思わず声が大きくなってしまい、あわわと口を抑えるレモン。
(「今考えることは、この場のスイーツをどう制覇するかであって、体重計のことじゃない。 体重計は最悪燃やして全部なくしちゃえば、もう姉さんが悩む必要もなくなるし」)
「いや、それ物理的に壊すだけで現実として全然解決してないよ?!」
思わずツッコミを入れてしまうレモンに、宥めるように話すオロチヒメ。
(「レモンよ、案ずることはない。 食べた分はその分運動すればよかろう?」)
確かにその通りなんだけど……と、思ったところでさらにライム。
(「大丈夫だよ。 今日一日くらい食べてどうにかなるってことはない。 だから、姉さんの好きにするといいよ」)
「……」
そうかなぁ、そうだろうか。それなら……、
なんとなく丸め込まれているような気がしないでもないが、確かに二人の言う通りでもあると思う。
そんな風にレモンが納得しかけたところで、ワクワクの色を隠せないオロチヒメの声。
(「レモン、余はあのチョコムースケーキが気になるのだ」)
「え、」
声が示す先には、ストロベリーとブルーベリーでかわいらしくデコレーションされた、ホールサイズのチョコレートムースケーキ。
(「あ、姉さん、あたしは、あのベリーソースがいいな」)
楽しそうな色を見せるライムの声が示す先には、シェフがブッフェ台でフランベするクレープがあって。
シェフが注文ごとに作るストロベリー、ブルーベリー、ラズベリーをフランベしたソースは、立ち上がる炎とともに香りを漂わせ、甘さと香ばしさをともない鼻孔をくすぐってくる。
「分かった分かった! 順番だから~っ! 胃袋はひとつしかないんだから、もう……っ!」
二人の期待いっぱいの声に反論しながらもレモンは小さく笑った。
うん、明日のことは明日考えることにして。
今はこの一時を楽しんでしまおう。
大成功
🔵🔵🔵
朝霧・晃矢
(翼くんを見つけて手を振り)
終わったね~(ほわ
(黒いマグカップを両手に一つづつ掲げ)
どう?
良い物見つけたよ
(チョコレートドリンクを差し出して)
唐辛子などの香辛料が入ってるから、すっごく温まるよ
(最初は甘く、後から辛さを感じるそれに舌鼓を打ち
間に色んな種類のクッキーを摘まみ)
この世界だと、コルテスがヨーロッパに持ち帰ったって言われてるそうだね
あぁ、もちろん『あの』コルテスと関係あるかはわからないけど
その前はこうして香辛料を加えて飲んでいたそうだよ
サムライエンパイアの海の向こうに行ける日が早く来るといいね
きっと助けられる事があるはずだから
ん、まぁ食べ物に絡んだことはなんでも興味があるから(笑って)
●ホット・チョコレート~神々の飲み物と歴史に想いを馳せて
ようやく訪れた、平和なスイーツタイムに、朝霧・晃矢(Dandelion・f01725)は、ほうっと息を吐く。
スイーツブッフェ会場に訪れている人々は皆幸せそうだ。
目を輝かせながら雪だるまのマカロンを手にする男の子に、トナカイの姿をしたシュークリームに満面の笑みを見せる女の子。
子供たちの楽しそうな笑顔を見れば、邪神復活を阻止することができて本当によかったと晃矢は思う。
やはりお菓子は――食べ物は、人を傷つけたり不幸にするようなものではなく、幸せなものであってほしいから。
クリスマスにちなんだデコレーションケーキが並ぶブッフェ台に置かれたパリブレストは、ピスタチオクリームのグリーンにパウダーシュガーで雪化粧が施され、まるでクリスマスリースのよう。
それを切り分けようと格闘していた黒髪の少年は、晃矢に気がつけば、嬉しそうな笑みを浮かべて。
「あ、晃矢さん、お疲れ様だよー!」
「終わったね~」
切り分けたパリブレストを載せた皿を持つ手はそのままに、もう片方の手を振る翼を見れば、晃矢も柔らかく微笑み、手を振って返す。
その穏やかな笑みには、戦いの時に見せた冷たさなど微塵も感じさせない。
「うん! 晃矢さんたちのおかげだよー!」
ありがとう、と。礼とともににこにこと答えた翼は、ようやく晃矢が手にしているものに気がついた。
それは黒いマグカップ。中には同じくらい黒い液体が入っていて、温かな湯気を立てている。
興味深げな様子に気がつけば、晃矢は笑って、黒いマグカップを翼へと差し出した。
「どう? 良い物見つけたよ」
中味を確かめようと、翼は晃矢から受け取ったマグカップへ鼻を近づけくんくんとする。
「すごーい、チョコレートの匂いがするね」
「そう、チョコレートドリンク。 唐辛子などの香辛料が入ってるから、すっごく温まるよ」
「そうなの? ……わ、ホントだ、ちょっとピリッとする。 でもチョコレートだね」
少し口にし、香辛料の刺激にびっくりする翼に小さく笑って。よかったら一緒にどうかなと誘いかけてから、晃矢は自分の取り皿にクッキーを載せていく。
ジンジャーブレッドマンに、星や雪の結晶の形をしたアイシングクッキー。
チョコチップクッキーに、チェック柄のボックスクッキー、カラメルビスケットなど。
クッキーの種類だけ見ても結構あるから、皿に数枚ずつ載せていくだけでもかなりの量になるのが何だか楽しい。
「この世界だと、コルテスがヨーロッパに持ち帰ったって言われてるそうだね」
UDCアースの歴史によればね、と。自分の知っているチョコレートの歴史を晃矢は翼に説明する。
チョコレートの原料であるカカオ豆は、古くはアステカ帝国のもので。
それを初めてヨーロッパにもたらしたのが、スペイン人のエルナン・コルテスであるというのだ。
「あぁ、もちろん『あの』コルテスと関係あるかはわからないけど」
昨年サムライエンパイアで起こった戦争に関与していた敵も、同じ名前だったよね、と付け加える晃矢に、翼は目をまんまるとさせて。
「同じ名前の人物が、別の世界では敵で、ここではヒーローっていうのは、なんだかすごく不思議だね」
UDCアースにおいては、コルテスが居なかったらこんな風においしくチョコレートを飲んだり食べたりもできなかったかもしれないのだ。何だか変な感じだ、などと。神妙な顔をする翼に、そうだねぇと同意を示し、晃矢は微笑んで見せた。
「コルテスが持ち帰る前のチョコレートは、こうして香辛料を加えて飲んでいたそうだよ」
ブッフェ台からそう離れていないテーブル席に座ってチョコレート話をしながら、晃矢はマグカップを傾ける。
最初の甘さもほどよく。その後に続く香辛料の辛さもまた、ちょうどよいバランスで。
「へぇぇ、オレ、すっごい勉強になったよ! 晃矢さん、やっぱり物知りだよねぇ」
マグカップのチョコレートをちびちびと飲みながらの翼の言葉に、晃矢は笑って。
「ん、まぁ食べ物に絡んだことはなんでも興味があるから」
一緒に持ってきたクッキーをつまみながら。『あの』と話題にしたコルテスの居た別世界へと晃矢は思いを馳せて。
「サムライエンパイアの海の向こうに行ける日が早く来るといいね」
――きっと助けられる事があるはずだから。
訪れるかもしれない、まだ見ぬ未来を思いながら、晃矢はマグカップの中身を飲み干した。
大成功
🔵🔵🔵
ペイル・ビビッド
【三位一体】
ふう、いっぱい走って動いてくたくた~…(ぐぅー)
あ、おなかの音聞かれちゃったかも
こうなりゃその分腹ごしらえだ!
ここって食いしん坊な人のための楽園!?
あたしの故郷じゃなかなか食べられない氷菓子まであるなんて!(目がきらきら)
とはいっても欲張りすぎて残さないよう
ほどほどにね
軽食のお皿にはバケットとミニハンバーグにポテトサラダ
お菓子のお皿にはカットしたパウンドケーキとショートケーキに
チーズクリーム入りのプレッツェル
あ!あたしもカスタードプリンもらおー
クリスマスは家族みんなでのんびり夜を過ごすかな
おかーさんの作ったパネトーネを
みんなで分け合うの
暖かな夜になるといいね
(アドリブ可)
火神・臨音
【三位一体】
アイナもペイルもお疲れさん
事件も一件落着したしゆっくりするか
並んでいるメニューの数に驚きつつ
どれを食べようかな?とはしゃぐ
アイナとペイルを前にやれやれ、と
皿に載せたのはクリームを添えた
パウンドケーキにベリーのタルト
焼きたてスコーンも一緒に
美味しそうに食べる様子を見て
珈琲を口にしながら目を細めて笑み
クリスマス?
俺はアイナのライブ見に行ってくる
良かったら来てくれって招待受けてな
ペイルの故郷のクリスマスは此方と違って
静かに過ごす感じか
ゆっくり過ごしてこいよ
アイナの旅行、の一言にそっと目を合わせ
アイコンタクト
さてと、二人ともまだ食べたい物あるだろ?
まだまだ時間はたっぷりあるからな
アドリブ可
美星・アイナ
【三位一体】
やれやれ、甘くて苦い騒動もこれで終わりね
後のことは組織の人達にお願いして
甘い物でリフレッシュしましょうか
思い切り動き回ってたら
お腹も空いてきたしね(苦笑)
スイーツだけじゃなくて軽食もあるのは
嬉しいけどどれから食べようかしら
皿に盛り付けたのはショートケーキに
ガトーショコラ、カスタードプリンに
ベルギーワッフル
別の皿にはマルゲリータピッツァと
ほうれん草とベーコンのキッシュ
飲み物はアールグレイを添えて
テーブルを囲みながら世間話に
そう言えばもうすぐクリスマス
ペイルちゃんは何か予定ある?
私はライブに出てその足で旅行に行くわ
一年慌ただしかったから
ゆっくり羽を休めてくるね
臨音の視線に笑み
アドリブ可
●ガトーショコラ~あたたかさと甘さの時間をともに
時はほんの少しだけ巻き戻り。
邪神撃破済みの連絡を受けて集まってきたUDC組織の面々が後片付けを始める様子を視線で追いながら、美星・アイナ(解錠の音は新たな目覚めの音・f01943)は安堵の息を吐いた。
「やれやれ、甘くて苦い騒動もこれで終わりね」
邪神復活の儀式の話をグリモア猟兵から聞いた時は、どうなることかと思ったけれど。
それでも、最後まで戦い通すことができたのは、ひとえに共に戦ってくれた仲間の――妹分と恋人のおかげだ。
「ふう、いっぱい走って動いてくたくた~……」
アイナの「終わり」という言葉に、同意を示さんばかりのため息をつけば、ペイル・ビビッド(淡色弾ける筆先の軌跡・f01836)は、うーんと伸びをする。
本当に、目一杯走り回りまくった戦いだったと思う。
身体を動かすのが大好きなペイルであっても、あれだけ動けばさすがに疲れも出るというもの。
そして、動けば当然お腹も空くというもので。
ぐぅー。
「……思い切り動き回ってたら、お腹も空いてきたしね」
聞かれちゃったかも、とペイルが思う間もなく苦笑を返すアイナ。
「アイナもペイルもお疲れさん」
くつくつと笑いを堪える火神・臨音(火神ノ社ノ護刀・f17969)にも、どうやらしっかり聞かれてしまったらしい。
「こうなりゃその分腹ごしらえだ!」
少し恥ずかしくなったのを隠すようにペイルがぐぐっと拳を握る様子に、アイナと臨音も微笑んで。
「そうね。 後のことは組織の人達にお願いして、甘い物でリフレッシュしましょうか」
「だな。 事件も一件落着したしゆっくりするか」
そんな後片付けの場所から、UDC組織のメンバーに案内されて訪れたスイーツブッフェ会場。
会場内に設置された複数のブッフェ台には、大きなタルトツリーやデコレーションツリー。
クリスマス伝統菓子たちに、ロングケーキにホールケーキの数々。
かわいらしい外見のミニスイーツたちやクッキーたちもあれば、シェフがその場で作るスタイルのスイーツまで揃っている。
「ここって食いしん坊な人のための楽園!?」
まさに選び放題な、種類豊富なスイーツたちに、ペイルは思わず歓声をあげた。
「しかも……」
目についたのは、クリスマス飾りがかわいらしい冷凍庫。
中を見れば、色とりどりのボックスたちが収められていて。
看板には、シャーベットとアイスクリームの文字。
「あたしの故郷じゃなかなか食べられない氷菓子まであるなんて!」
シャーベットは、パッションフルーツ、青リンゴ、カシス、ストロベリーヨーグルトに、ブルーベリーヨーグルトと、種類も豊富で。
チョコレート、バニラ、抹茶にマロンといったアイスクリームのフレーバーも、口にしてみたくなるものばかりだ。
「すっごーい! 全部気になっちゃう……!」
キラキラと瞳を輝かせて喜ぶのは、ペイルだけではない。
「スイーツだけじゃなくて軽食もあるのね」
嬉しそうに声を弾ませながら、アイナが見つめるのは軽食コーナーだ。
スイーツブッフェと銘打たれてはいるが、ピッツァにキッシュ、サンドイッチをはじめ、食事がメインのブッフェにも負けないほどの種類が揃えられている。
「どれから食べようかしら」
こんなに多いと迷ってしまうわね、などと言いながら、それでも楽しそうに皿を手にスイーツや料理を選んでいくアイナ。
丁寧にカットして皿に盛り付けたショートケーキには、柊の葉の飾りを添えて。
そこに、ガトーショコラにベルギーワッフルと、白の器に入ったカスタードプリンも載せてみる。
さらに別の皿には、食事用のマルゲリータピッツァと、ほうれん草とベーコンのキッシュだ。
二つの皿にそれぞれバランスよく盛り付ければ、アイナの薄紅色の唇に満足そうな笑みが浮かぶ。
(「二人ともはしゃぎすぎなんじゃないか?」)
メニューの数に驚きつつも、ペイルとアイナの様子に臨音はやれやれと肩をすくめる。
甘いものはもちろん嫌いではないが、女性陣ほどテンションが上がるわけでもない。
それでも、二人が楽しそうにするのを見ているのは気分がいいものだ。
そんな臨音が皿に載せたのは、大きなタルトツリーの場所にカットされて並べられていた、ベリーのタルト。
一緒に、焼き立てだというシンプルなプレーンスコーンと、ホイップクリームを添えたココアのパウンドケーキを載せていく。
「欲張りすぎて残さないよう、ほどほどにしなくっちゃ」
お楽しみのシャーベットは、軽食とスイーツでお腹を満たしてからでも遅くない。
高まる気持ちをようやく落ち着かせたペイルもまた、ブッフェ台を歩き回って軽食とスイーツを選び、盛り付けていく。
軽食用として手にした皿には星の形のチーズで飾られたミニハンバーグに、飾り切りの野菜が可愛らしくちりばめられたポテトサラダを盛り付ける。
パンは食事用だからとシンプルなバケットを選んでみる。菓子パンは後でお腹と相談して考えよう。
スイーツ用の皿には、チーズクリームが入ったプレッツェルに、ココアとバニラのマーブルパウンドケーキ。
アイナと同じく魅了されたらしく、ペイルもまた、ショートケーキをカットして皿に盛り付けた。
「あ! あたしもカスタードプリンもらおー」
姉妹のような間柄だと、同じものに惹かれるのかもしれない。カスタードプリンのある場所をアイナに教えてもらえば、一緒に皿に載せて。
そんなペイルと、見守る臨音にアイナはにっこり。
「第一陣はこれでいいかしら? それじゃあ、実食といきましょうか」
「そう言えばもうすぐクリスマスよね」
ブッフェ台から少し離れた窓際のテーブル席を囲んで、アイナたちは雑談に花を咲かせる。
それぞれ持ってきたスイーツや軽食を楽しみながら話題にするのは、やっぱりクリスマスについてだ。
「ペイルちゃんは何か予定ある?」
手にしていた白のティーカップを傾けて。ベルガモットのよい香りを楽しみながら紅茶を飲んでいたアイナが問いを投げかければ、ペイルは、ミニハンバーグを食べていた手を止め、考えるように天井を見つめた。
「クリスマスは家族みんなでのんびり夜を過ごすかな」
猟兵として世界を救うために走り回ってはいても、まだまだ10歳の少女。
クリスマスという大切なイベントは、大好きな家族と過ごしたいと思う。
「おかーさんの作ったパネトーネをみんなで分け合うの」
すごくおいしいんだよー、と言う笑顔には少女らしいあどけなさが見え隠れしていて。
「ペイルの故郷のクリスマスは此方と違って静かに過ごす感じか。 ゆっくり過ごしてこいよ」
アイナとペイルがおいしそうに食べる様子を見ていた臨音が、コーヒーを入れた黒のマグカップを手に、目を細めて微笑む。
クリスマスの過ごし方も人の数だけあるのだと、話を聞いて改めて思う。
「うん、臨音おにーちゃんはどう?」
此方と違って、という言葉に瞬きをしながら、ペイルは問う。
やっぱりアイナおねーちゃんと一緒?と言わんばかりの視線を向けられれば、臨音はにぃ、と笑み。
「俺はアイナのライブ見に行ってくる。 良かったら来てくれって招待受けてな」
きっと賑やかで楽しいクリスマスになるぜ、と楽しそうに笑う臨音。
「ええ、最高のライブを用意してるから、楽しみにしててね」
臨音の言葉を受けて、アイナも当然、とばかりにくすりとして。
クリスマスという特別な日に訪れてくれるファンのためにも、ここは頑張りどころだから。
「それで……私は、ライブに出てその足で旅行に行くわ」
アイナはフォークで切り分けたガトーショコラを口にする。
「一年慌ただしかったから、ゆっくり羽を休めてくるね」
ほどよい苦さととともに広がる濃厚な風味と甘さを感じながら、臨音の視線に応えるように微笑みを返して。
「うん。 静かでも賑やかでも。 暖かな夜になるといいね」
皆がそんなふうに幸せに過ごせる夜であるといい。
そっと視線を交わした二人に気づく様子はなく。アイナの言葉に頷いて、ペイルは楽しそうに笑う。
「さてと、二人ともまだ食べたい物あるだろ?」
コーヒーを飲み干した臨音の言葉に、アイナとペイルは自分の皿を見やる。
それぞれの話をしている間に、持ってきた料理もスイーツもなくなってしまっていて。
「じゃあ、第二陣と行こうか。 まだまだ時間はたっぷりあるからな」
顔を見合わせてくすくすと笑い出すアイナとペイルに、臨音も笑って立ち上がる。
三人のスイーツタイムは、まだまだこれからだ。
大成功
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リオン・リエーブル
連携アドリブ大歓迎
待ってたよースイーツビュッフェ!
おにーさん感動で涙出ちゃう
頭使った後には、やっぱり糖分だよね!
颯爽とお皿を持っていざ出陣!
片っ端から取……ってもいいけど、作戦くらい立てよう
並ぶスイーツをざっと見て、腹具合とも相談して
よし、今日は抹茶デーでいこう!
平皿の真ん中に抹茶ケーキを取り尽くす勢いでこんもり円錐状に盛り付け
糊代わりの生クリームで雪を表現
マカロンやチョコ、フルーツなんかを彩りよく配置して
てっぺんに星型のクッキーを乗せれば、食べられるクリスマスツリーの完成!
コーヒー持って席に戻る途中、翼くんと目が合っちゃったので悪そうな笑み
こーいうことができる大人になってみなよ
人生楽しいよー
ユディト・イェシュア
翼くんとご一緒したいです 他の皆さんとも相席歓迎です
味だけじゃなくて目でも楽しめるのがスイーツというものなんですね
故郷にはなかったので、こちらに来ていろいろ食べて感動しています
翼くんは何が好きですか?
俺はシュークリームとモンブランがお気に入りです
翼くんにはお姉さんが二人いるんですよね
どんな人なんですか?
俺は血が繋がっていないせいか、弟とはどういうものなのかよくわからなくて悩みました
わがままとか言ってもいいものなんですか?
でも、女の人って可憐そうでいて、強くてたくましくて時々ものすごく怖いですよね…(目を泳がせながら)
翼くんに話が聞けて良かったです
これからも話を聞いてくれると嬉しいです
藤崎・美雪
【POW】
アドリブ、他者との絡み大歓迎
…ふぅ、いつも以上に突っ込んだ気がするぞ
さて、スイーツブッフェを堪能するか
今後のカフェ経営の参考にすべく、全制覇を目指してみよう
決して全部食べたいからじゃないぞ?
相性のいい食べ物と飲み物の組み合わせを探しながら、少しずつ食べるよ
コーヒーに合いそうなスイーツ、紅茶に合いそうなスイーツ
…おっと、キッシュやピザもあるのか
この味だと、合いそうな飲み物は…?
如何せん、普段は山の中にいるものでな
このようなスイーツを色々試せる場は貴重なのだよ
だからどうしても、な
ああ、飲み物が足りなくなりそうなら、コーヒーと紅茶を提供するよ
これでも一応、カフェ経営者なのでな
●抹茶ケーキとモンブラン〜楽しいブッフェタイムを過ごして
「……ふぅ、いつも以上に突っ込んだ気がするぞ」
様々な意味で突っ込みどころ満載の敵たちとの戦いを終え、自身の突っ込みレベルがどんどん上昇していくの感じながら、藤崎・美雪(癒しの歌を奏でる歌姫・f06504)は息をつく。
何やかんやあったが、敵は倒され、事件は一段落した。
……となれば、その後にやるべきことは一つだ。
「さて、スイーツブッフェを堪能するか」
美雪がふ、と小さく笑んで会場内を見渡そうとするその傍らで。
「待ってたよースイーツビュッフェ!」
両手を広げ、きゃっほーい、とか聞こえてきそうなほどはしゃいだ声をあげるのは、リオン・リエーブル(おとぼけ錬金術師・f21392)。
クッキーの眷属を蹴散らし、わたがしな邪神を叩きのめすべくリオンが頑張ったのはまさにこの時間のためといえる。
「いやもうホント頑張った。 おにーさん感動で涙出ちゃう」
ファンシーからゴージャスまで、幅広い種類のスイーツが揃えられた空間はまるで金銀財宝で埋め尽くされた宝物庫。
長い冒険の果てに辿り着いた冒険者のような口ぶりでリオンは自らの目頭を拭う。
「……涙など一滴も出てないようだがな、リオンさん」
「え? いやー、感動の涙ってすごくキレイな感じするからさー」
条件反射的に思わず突っ込んだ美雪の言葉にも何のそのでケラリと笑うリオン。
「でもほら、頭使った後には、やっぱり糖分だよね! 美雪さんもそう思うでしょ?」
「まぁ、確かにそうだな」
リオンの言葉に同意すれば、美雪もくすりとして。
お菓子な戦いの疲れは、お菓子で癒やされるのが一番というもの。
目の前にはこんなにも豊富にスイーツが揃っているのだ。楽しまない理由などない。
リオンとは別行動をすることにした美雪は、改めてといった様子でブッフェ台を真剣な眼差しで見つめる。
カフェを営む美雪からすれば、この場はスイーツを楽しむだけのものでもない。
一般的に、宿泊だけではない宴会場やレストランなどの施設も持つようなフルサービスホテルで提供される料理は、その見た目も味も洗練されているものだ。
こうして客としてブッフェを楽しむだけでも、食材の組み合わせ方や味付け、盛り付けに至るまで学ぶことは多い。
「今後のカフェ経営の参考にすべく、全制覇を目指してみよう」
そう、ここは学びの場。だから、メニュー全制覇を目指すことだって、立派な学び。
決して全部食べたいからという理由などではないのだ。
「コーヒーに合いそうなスイーツに、紅茶に合いそうなスイーツ……」
エスプレッソなどの深煎りになら、濃厚で奥深いチョコレートの味わいが楽しめるオペラだろうか。
アメリカンコーヒーやレギュラーコーヒーなどの中煎りだと、生クリームやカスタードの甘さのあるシュークリームやショートケーキなどがよいかもしれない。
紅茶は茶葉によっても異なるため、提供されているものを見てから合いそうなスイーツを組み合わせるのもよいだろう。
「……おっと、キッシュやピザもあるのか」
並んでいるスイーツのいくつかを皿に盛ったところで、軽食ブースのメニューに気がつけば、美雪は再度思案する。
こちらも味を見てから、合いそうな飲み物を考えていくのがよさそうだ。
頭の中で飲み物との組み合わせをイメージしながら、美雪は自分の皿に食事を盛り付けていく。
一方。
颯爽とお皿を持ち、いざ出陣!とばかりに張り切るリオン。
「片っ端から取……ってもいいけど」
これだけの種類だし、自分の食べられる量も限られている。
ちまちま取っていては、物足りない気分のままお腹が膨れてしまうかもしれない。
「ここは作戦くらい立てよう」
リオンは真剣な表情で、並ぶスイーツたちを見る。
ざっと見て、腹具合とも相談して。最適解を導き出すのだ。
敵を倒す作戦を立てる以上にシリアスなリオンの姿は、まさにイケメンそのもの。
「よし、」
一転、いたずらっ子を思わせる明るい笑顔になれば、
「今日は抹茶デーでいこう!」
宣言するが早いか、リオンが最初に目をつけたのは、抹茶ケーキ。
提供されているものをすべて取り尽くす勢いで、皿の真ん中にこんもりと円錐状に盛り付ける。
「この辺に雪も欲しいよねー」
パウンドケーキなどに添えるために置かれた生クリームを、見映えがするよう層に添って丁寧に載せていき。
「そして飾り付けも万全に!」
載せたクリームを糊代わりにして、さらにマカロンやチョコレート、フルーツなどを盛り付けて。
「最後にコレ!」
円錐の頂点部分に星型のチョコレートを載せれば、
「じゃーん♪ おにーさん特性☆食べられるクリスマスツリーの完成だ」
その出来映えは即席で作ったとは思えないほど良いもので。
わぁ、何これー、とその場に居た子供たちの羨望の眼差しや大人たちの驚きの視線が集中するも、リオンは全く気にしていない様子。
特性クリスマスツリーを載せた皿を手に、もう一方には用意したコーヒーを持って。
リオンが席へ向かう途中、目が合ったのは、ホットチョコレートを飲んでいた黒髪の少年――今回の依頼の説明をしていたグリモア猟兵だ。
「わぁぁぁ、すっごいね、リオンさんすっごいね!」
子供のロマンを思いっきり体現させたクリスマスツリーに、瞳をキラキラとさせた翼を見れば、
「ふふ、こーいうことができる大人になってみなよ。 人生楽しいよー」
リオンはにんまりと悪そうな笑みを向けた。
「……リオンさん……」
自身の皿を手にテーブル席へと移動した美雪は、リオンを遠目に見れば呆れ顔になって。
対照的に、にこにことした様子でリオンを眺めるのは、ユディト・イェシュア(暁天の月・f05453)。
「ああいうのもスイーツブッフェの醍醐味なんですかね?」
「……いや、あれは醍醐味というよりは……」
何か言おうと美雪が口を開いたところで、
「ね、見た? リオンさんのあれすっごいよね! かっこいーよね!」
瞳を輝かせながらやってきた翼の言葉が重なれば、軽く頭を抱える美雪。
どうしよう、戦いは終わったというのにこんなにも突っ込みどころが満載だなんて。
「いやまぁ、どうだろうな……ああ、翼さん、飲み物が足りなくなりそうなら、私が提供しよう」
とりあえず、これ以上の突っ込みは止めておこうと思ったか、美雪は立ち上がり飲料ブースへと。
「味だけじゃなくて目でも楽しめるのがスイーツというものなんですね」
そう言って、ユディトは自分の皿をしみじみと見つめる。
そこには、トナカイを模したシュークリームと、ミニサイズのジンジャーブレッドマンがちょこんと載ったモンブランがあって。
ミニフォークを手に、ユディトがモンブランの山を少し崩して口にすれば、マロンクリームの濃厚な栗の味わいが口の中で溶けてふわりと広がっていく。とてもおいしい。
「ユディトさんの出身は、こっちじゃないんだっけ?」
にこにことしながら翼が問えば、ユディトは肯定を示すように柔らかく微笑んだ。
「そうですね。 スイーツは故郷にはなかったので、こちらに来ていろいろ食べて感動しています」
ユディトは優雅な手付きでモンブランの山を崩してさらに一口。
「俺はシュークリームとモンブランがお気に入りですね」
このシュークリームのトナカイの形を崩すのは少しもったいない気持ちになるのでモンブランを先にいただいてますけどと、ユディトは笑み。
選び切れないほどの種類の中からあえてどれかを選ぶなら、やはりお気に入りのものからだろう。
それに、同じ名前のスイーツであっても、提供される場所によっても味が変わるから、その違いを感じるのも楽しみの一つだ。
「翼くんは何が好きですか?」
「えっとね、オレはやっぱりショートケーキかなぁ。 生クリームにイチゴが載ってる、ふわふわとしたやつ!」
これ、と自分の皿を示せば、翼はえへへと笑ってみせる。
「お待たせしたね。 翼さんは紅茶にさせてもらったよ。 ユディトさんもよかったらもう一杯どうぞ」
トレイに様々載せて戻ってきた美雪は、翼の前へ白のティーカップをそっと置いて。それから、シュークリームとクッキーを盛り付けた皿をテーブルの中央に置いた。
「アッサムティーのようだから、よかったらこれも食べると良いよ」
「わ、ありがとう。 ……美雪さんはお茶を出すのに慣れているんだね?」
「美雪さんは、カフェのオーナーさんだそうですよ」
ユディトは微笑んで、翼にそっと言葉を添える。
飲み物が足りなくなりそうな状況の把握や、相手へ提供する飲み物と食べ物の組み合わせへの美雪の気遣いは、まるでホテルのスタッフ並みで、さすがだと感心してしまう。
「ああ。 これでも一応、カフェ経営者なのでな」
「へぇぇ、それじゃあ、このブッフェでいっぱい勉強するの?」
「そうだね。 如何せん、普段は山の中にいるものでな。 このようなスイーツを色々試せる場は貴重なのだよ。 だからどうしても、な」
話をする美雪が手にする皿には、自分用にと持ってきたスイーツたちがあって。
「……なるほど、」
研究熱心さもさることながら、女性の甘い物への熱量の大きさはすごいのだなと。
先ほどとは違う感心の色を浮かべれば、ユディトは小さく微笑んで見せた。
「翼くんにはお姉さんが二人いるんですよね」
そういえば、と。思い出したように口にするユディトに、翼はうん、と頷いて。
「うん、いるよー。 二人とも猟兵なんだよ」
「どんな人なんですか?」
「んっと、一番上の姉さんがツンデレで、二番目の姉さんが素直クールな感じ……かな」
「……えーと?」
言葉の意味は何となくわかったような気がするが、それでもイメージを掴みかねて首を傾げるユディト。
「一番上の姉さんはユディトさんの先日依頼に行ったって言ってたよー」
「……ああなるほど」
そういえばと、何となく思い当たってぽむ、と手を打つユディト。
「でも、二人お姉さんが居るって、どんな感じなんでしょう? わがままとか言ってもいいものなんですか?」
姉、という言葉でユディトが思い浮かべるのはただ一人。
金の瞳と髪を持つ、光のような明るさと強さを持つ女性だ。
「……俺は血が繋がっていないせいか、弟とはどういうものなのかよくわからなくて悩みましたから」
自分を引き取り育ててくれた姉の家族は、血は繋がっていなくともユディトにとっては大切な人たちで。
かつて人間不信であった自分がこうやって居られるのも彼らのおかげだ。
けれど、一方で血が繋がっていないからと、どこかで遠慮していた部分もあるのだろうと思う。
だから、姉の居る翼に聞いてみたかった。
「姉さんは、二人ともすっごく強くて優しいよ。 わがままは……あんまり言うと、姉さんじゃなくて父さんが怒ることがあるけど」
父さん、姉さんたちに甘いんだよねー、と翼は笑って。
「でも、多分、ユディトさんはわがまま言っていいんじゃないかなって思う! その方がお姉さんだって嬉しいと思うんだ」
「……そうなんですね」
ユディトは笑みを返す。
そういう考え方もあるのだと思えば、これから先、何か変わるものもあるだろうか。
「……でも、女の人って可憐そうでいて、強くてたくましくて時々ものすごく怖いですよね……」
これはさすがに大きな声ではまずいと思ったか。ユディトの声は、こそりと翼だけに聞こえるように小さくなり。
「……ユディトさん、なんか、目が泳いでるよ? 大丈夫?」
気遣うように見つめる翼に、ユディトはこほんと咳払い。気を取り直すようにティーカップを手にし、紅茶で喉を潤せば、大丈夫です、と。
「翼くんに話が聞けて良かったです。 これからも話を聞いてくれると嬉しいです」
いつものように穏やかに微笑んだユディトの言葉に、翼は元気よく頷いてみせた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵