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漸進せよ魂喰らいの森

#アックス&ウィザーズ #群竜大陸 #魂喰らいの森

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「アックス&ウィザーズにて、ついに群竜大陸への到達が可能になった。もう聞いている者もいるだろうが、ここまでの猟兵の皆の調査や戦いのおかげだ」
 集まった猟兵達を迎えた仙堂・十来は、新たな冒険への期待に満ちた表情を浮かべ頷いた。遊牧民の部族を生まれとする彼女は元来新天地というものが好きである。
「――とはいえ、この地は帝竜ヴァルギリオスの領土、千の竜が支配するという呪われた大地であり、既に到達した最も近くである『魂喰らいの森』からして過酷な環境にある。……すべての動植物が『生物の魂』を食料とする、という、まさに己の魂を削られゆくような広大な森だ」
 群竜大陸の探索は過酷なものとなるだろうが、それでも成し遂げなければいけない。
 帝竜ヴァルギリオスは、この世界のオブリビオン・フォーミュラである可能性が非常に高いと考えられている。
「だからこそ、まずはこの『魂喰らいの森』を1区画ずつ踏破し、着実に私達の足場を広げていく必要がある。この森は区画ごとに1つの『コア』を協力なオブリビオンが宿していて、オブリビオンからそのコアを切除してしまえば『森』そのもの、すなわちそこに存在する全ての動植物が消滅する、という特殊な場所となっているんだ」
 既に開始された探索もあり、書き込みが足されつつある未完成の地図を十来は取り出すと、その一部にペンで丸をつけた。
「皆に探索してもらう区画は、気候としては初夏に近く、気温的には行動はしやすいと思うが木の葉や下生えがかなり育っている。視界や足場には、ある程度の注意を払う必要があるかもしれないな。主にこの区画に存在するのはフェアリーの精鋭銃兵や魔法兵が元となったオブリビオン達であり、人数も多いが身体が小さく、飛行ができることで森の中で活動しやすいというアドバンテージがある。ただ、今の所彼らの中に、コアを所有する存在は確認できていない――つまりは、さらに強力なオブリビオンが『森の番人』としてコアを守っていると思われる」
 つまりは2段階の戦闘が想定される。多数の妖精兵達と、森の番人たる強大なオブリビオン――さらにコアを所有するオブリビオンはユーベルコードに『魂を啜る効果』を加え、肉体・精神共に消耗を激しくしてくることだろう。

 だが、その魂を啜る効果には、非常に有効な対策がある。
「それは――祭だ」
「まつり……」
「具体的に言うと、直近に楽しい思い出を作ってから挑むことで、魂を啜る効果に対して精神を強く保ち対抗することができる。ちなみにどんな祭りでもいいのだが――群竜大陸の気候は一定ではないとはいえ、そろそろ寒くなってきたと思わないか?」
 頷く猟兵達に差し出されたのは魔女が薬草でも煮るのかと言わんばかりの大鍋と、『材料費』と書かれた封筒、あと薪とか取皿とかスプーンにフォーク、などなど。
 つまりはアックス&ウィザード流の鍋セットだ!
「祭は既に制圧済みの部分でやるので安心してもらいたい、あと鍋に変なものは入れないように。『楽しい思い出』を作ることが重要なんだ。ポットオブダークネスは禁止とする――ああ、無論自前の調理道具などは自由に持ち込んでくれて構わないぞ」
 無論、祭であるからには出し物などがあったり、祈りの時間や焚き火を囲んで踊るなど、いろいろな要素があっても構わない。
 とりあえず今回は主催者(?)の十来からは飯、というか鍋を提供するとのことで、あとは自由に楽しんで欲しいと告げて。

「過酷な作戦であるからこそ大いに楽しみ、英気を養って戦いに挑む必要があるだろう。皆、よろしく頼む」
 そう一礼して、十来は群竜大陸への転移を準備するのであった。


炉端侠庵
 こんにちは、炉端侠庵です。
 お久しぶりですアースクライシス2019から生還してきましたー!

 というわけで今回はアックス&ウィザーズの群竜大陸を踏破していくシナリオとなります。まずは1区画ずつ。
 第1章は日常として祭を楽しみ、第2章集団戦、第3章ボス戦の構成となっております。
 第3章は「第1章での祭楽しかったー!」と思い出してそれをパワーにすることで、魂を啜る効果への対策としてプレイングボーナスが発生します。第1章に出ていない場合は思い出を捏造してくれても大丈夫です!

 とりあえず寒くなったので鍋を用意させていただきました。まずは煮汁は鳥ガラ出汁ベース。
 なお私の判断によって持ち込み材料が危険であると判断した場合、大鍋に入れる前に排除する可能性があります。自前で調理器具を用意する場合は、まあ好きなものを! 好きにしてくれればOKです!

 それでは、よろしくお願いします!
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第1章 日常 『魂の祝祭』

POW   :    大いに食べて飲んで、力の限り騒ぎ楽しむ

SPD   :    記憶に残る華麗な芸や踊り、話術などを披露する

WIZ   :    魂が力強くあれるよう、歌や祈りを捧げる

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

鬼桐・相馬
寒い季節の鍋は温まるな。

【POW行動】
折角大鍋を用意してくれたんだ、誰でも好みそうな鍋具材と、様々な種類の「大量の」酒を持って行く。
酒が飲める奴がいたら、一緒にあれこれ飲み合いたいんだ。
自分は相当強い方だが、際限なく飲み続ければちょっと位は酔えるはず。それがどの位かは分からないがとにかく沢山だな……そしたら少しは楽しそうな顔をする、と思う。
余興的なものをやる猟兵がいたら、勿論楽しませて貰うよ。

二日酔い防止の薬も数人分持ってきた。効果は絶大らしいが毒なんじゃないかって位とんでもないにおいがするんだよな。

飲み食いして騒ぐのは研究施設にいた頃時々していたんだ、懐かしいよ。

共闘・アドリブ歓迎です!


鞍馬・景正
成る程、祭り。鍋。

……私も異世界に赴くようになってそろそろ丸一年、天地が違えど寒い季節に於いて人の好むものは変わらぬのだと、よく承知しております。

ええ、ええ。そして鍋には酒が付き物とも。
持参した徳利を差し出し、飲める年齢の方にのみ好きなだけ酌んでいって貰いましょう。

他にも予め調達してきた鹿肉や猪肉などを鍋の具として投入し、出来上がったらそれを肴に私も一杯。

しかし魂喰らいの森とは随分な名ですが。(くいっ)
気魂を強く持てば何程の事がありましょうか。(ぐいっ)
その為にもここで英気を養わねばなりませんな。(ぐびぐび)

そう、私がここで鯨飲するのも必要な事……決して理由を付けて飲みたいだけではありませぬ。



 焚き火の上に据えられた大鍋から、獣肉の煮える良い香りが漂っている。
 鞍馬・景正が持ち込んだ鹿肉や猪肉、それに鬼桐・相馬が具材に丁度いい野菜や香草を用意してきて、水が減りすぎれば加えつつ豪快に煮込んだものだ。
「寒い季節の鍋は温まるな」
 そう呟きながら相馬がひょいひょいと薪を崩して火を弱める。もうそろそろ、猪肉や根菜も奥まで火が通った頃だ。
「成る程、祭り。鍋。……私も異世界に赴くようになってそろそろ丸一年、天地が違えど寒い季節に於いて人の好むものは変わらぬのだと、よく承知しております」
 そして鍋を挟んで反対側で、景正が椀にたっぷりと肉や野菜を掬い取る。調理台代わりの折り畳みテーブルには、景正持ち込みの通徳利が主の手が空くのを待つように鎮座していた。
 ――通徳利、酒屋に直接持っていって、そこに入れた分だけ売ってもらう、半ば運搬用の酒器である。
「相馬殿も一杯、いかがです。どうやらいける口のようではありませんか」
 ちらり、景正の視界の先には大量の、そして多種の酒。こちらは相馬が持ち込んだものだ。
「ああ、是非。俺の用意したものも好きに飲んでくれ、飲める奴がいたら一緒にあれこれ飲み合いたいと思っていたんだ」
「成る程、それならば喜んでご相伴に預かりましょう」
 きらり、景正の目が輝く。
 堅物に見えて酒と馬を愛し、生まれ育ったとは異なる世界の文化や娯楽には好奇心を顕にする、それが鞍馬・景正である。異なる世界の酒、となれば尚更だ。
 そんなわけで酒豪2人、どっかりと酒に囲まれて座り、鍋を肴に飲み始めるのであった。

「しかし魂喰らいの森とは随分な名ですが」
 くいっ、と相馬の持ち込んだ赤ワインを飲み干し、獣肉とよく合うと満足げに景正は頷いた。懐紙でさらりと盃を拭くと、今度は自分の徳利から手酌で注ぐ。
「気魂を強く持てば何程の事がありましょうか」
 ぐいっ。これもまた、数口。慣れた酒だけあってかあっさりと飲み干してみせる。
「ああ、ええと。先程のういすきぃ、とやら、もう一杯頂いても?」
「勿論。俺にもそちらの酒をもう一杯もらってもいいだろうか」
「ええ、無論です」
 そして相対して飲む相馬がこれまた強い。
 本人曰く「際限なく飲み続ければちょっと位は酔えるはず、それがどの位かは分からないが」とのことである。
 つまりはそう、ザルだ。
「さて、かの森にて遅れを取らぬためにもここで英気を養わねばなりませんな」
「ああ」
 ぐびぐび、と喉を鳴らす音が聞こえんばかりの飲みっぷりである。通徳利にはまだ酒が入っているようだが、相馬の持ち込んだ中でとうに空になった瓶は、順調にその数を増やしつつあった。
 二日酔い防止の薬はとりあえずまだ不要そうだ、と思いつつ相馬は空き瓶の群れにさらに1本を加える。ちなみにとんでもないにおいがする、毒かと思うレベル、と評される代物だが、効果は絶大とのことだ。
「そう、私がここで鯨飲するのも必要な事……決して理由を付けて飲みたいだけではありませぬ」
 言い訳めいた景正の言葉に、ふ、と相馬が僅かに口元を緩めた。
 本人は気付いているか、否か。共に飲む景正の方も、飲めども顔色も表情も変えなかった相手の、僅かな笑みをわざわざ指摘するような性格ではなく、何なら本人も滅多に表情を変えることはない。
 だからこそ、雰囲気にて楽しんでいるようだと伝われば、気にしないのかもしれないが。
「飲み食いして騒ぐのは研究施設にいた頃時々していたんだ、懐かしいよ」
 ぽつりと呟いて幾分遠くを見るような目をした相馬の、少し普段より和らいだ表情に、景正はゆったりと頷くと。
「――では、もう一杯といきましょうか、酒もですが、せっかくですので鍋も」
「ああ、取ってくるか」
 そう頷き合って酒豪達は、肴の追加へと向かうのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

村崎・ゆかり
魂の防御に楽しい想い出を、ねぇ。まあ、難しく考えても始まらないから、精々盛り上がりましょ。

未成年でお酒は飲めないけど、お祭の前に黒鴉召喚で式を打っておいた方がよさそう。
行きなさい。この場所の様子をあたしに教えて。

さて、鍋か。取りあえず味噌をぶち込んで、白身魚の切り身や野菜類を煮込んだ漁師風海鮮鍋にしてみるわ。他にも、貝柱だの烏賊だのと追加で。
ご飯もお代わり自由。

向こうで飲んでる連中が心底羨ましい。せめて甘酒でも飲ませてよね。度数1%未満だから、これはソフトドリンクよ。

――そろそろ〆ね。最後にうどんを追加して、味噌煮込みうどんよ。

さて、魂喰らいの森ね。最後に喰われるのがどちらか教えてあげなきゃ。


小宮・あき
ふふ、美味しそうなお鍋ですね。
UDCアースですが、ホテル(自旅団)から色々と持ってきました。
鍋の材料、しめ、デザート、何か使えるものはありますか?

行動 WIZ

食後に、UC【主の祈り】と同じ内容の歌を歌います。
(UC発動はしません)

技能「歌唱」と、心からの「祈り」を込めて。
ええ、この祈りは、きっと戦闘で役立ちますから。

敵は魂を啜る効果を持っていると聞きました。
なんて邪悪なのでしょう。
ならば聖職者として、私の攻撃は神聖なものであるべきです。ええ。
(祈り技能がベースになるUC【神罰】を使おう、と考えています。)

…おっと、邪な感情はダメね。
うんうん、有利とか不利とかではなく、敬愛する神に祈りましょう!



「ふふ、美味しそうなお鍋ですね。うちのホテルから色々と持ってきました」
 小宮・あきが持参の荷物を広げれば、追加の鍋材料に〆のうどんやらラーメンやらご飯やら、それにデザートまでとりどりの食材が現れた。UDCアースにて大型リゾートホテルを経営するあきが、仕入先との関係を存分に活かして用意した形だ。
「何か使えるものはありますか?」
「これだけあれば使えるものだらけよ……と、行きなさい。この場所の様子をあたしに教えて」
 材料と鍋の残りの様子を確認してから、村崎・ゆかりが『黒鴉召喚』にて呼び出したカラス型の式神を空へと飛ばす。探索に先行しての斥候として、見たものであれ聞いたものや感じたものであれ、しっかり伝えてくれるはずだ。
 ――そして。
「魂の防御に楽しい想い出を、ねぇ」
 材料を手際よく下ごしらえしつつ、ゆかりがふむ、と思案顔で呟く。陰陽師として実際に呪や術をそういった防護に使うゆかりとしては、理解はできてもこういった方法はあまり馴染みがない。おそらくは類感魔術の応用の1つ、『類似したものは互いに影響する』という法則を利用し、敵が精神に与えてくるマイナスの影響を、それとは対称的なプラスの感情によって寄せ付けないようにする、ということなのだろうけれど。
「まあ、難しく考えても始まらないから、精々盛り上がりましょ。それにしても……」
 酒盛り組を眺めて、ゆかりは深く溜息を付いた。
「……羨ましいわね」
 16歳、未成年。まだ酒豪達と一緒に飲むには若すぎる彼女は、鍋に新たな材料を放り込んで薪を足してからぐいっと杯を呷った。
「せめて甘酒でも飲ませてよね。ソフトドリンクよ」
 冷やして夏によし、温めて冬によし。いいよね、甘酒。

 白身魚やイカ、貝柱、それに追加の野菜を味噌で煮込んで新たに漁師風海鮮鍋へと変身した鍋は、がらりと雰囲気も変わったおかげで猟兵達の箸もまた再び進み出す。無論酒豪組の空き瓶も一際増えた。
 その様子を満足げにご飯と甘酒をお供に自分も食べながら眺めるゆかり。落ち着いてきたら、〆の味噌煮込みうどんを振る舞うつもりだ。
 ――柔らかな歌声が響いた。祈りを込めた聖歌は、食事を終えたあきが柔らかに、そっと手を胸の前で組み合わせて静かに歌い、響かせている。
(敵は魂を啜る効果を持っていると聞きました。なんて邪悪なのでしょう――ならば聖職者として、私の攻撃は神聖なものであるべきです。ええ)
 おおっと。
 敵意が先に出ちゃったのかちょっぴり歌声が揺らいだ。
「……おっと、邪な感情はダメね」
 一度呼吸を整え、静かに笑みを浮かべる。
「うんうん、有利とか不利とかではなく、敬愛する神に祈りましょう!」
 再び響き渡る聖なる歌。彼女が所属する教会では、祈りと音楽、特に歌は切り離せない深い関係を持つ。聖歌であれば、歌うことそのものが、祈ることと同義だ。
 魂喰らいの森での戦いで、今こうして歌い祈ることは、きっと役に立つ――。

「最後に喰われるのがどちらか、教えてあげなきゃ」
 楽しい祭、宴会の後は、間違いなく熾烈な戦いが待っている。先行している式神からゆかりにも伝わってくる、気温とはまた別の寒々しさ。
 ――行こう。
 誰からともなく猟兵達は歩き出す。いざ、この森を踏破し、群竜大陸の奥へと進んで往くために。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『謎の精兵』

POW   :    防衛陣形
対象のユーベルコードに対し【防衛の陣形になって銃弾 】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
SPD   :    弾幕攻撃
レベル分の1秒で【初期型の銃 】を発射できる。
WIZ   :    妖精の怒り
「属性」と「自然現象」を合成した現象を発動する。氷の津波、炎の竜巻など。制御が難しく暴走しやすい。

イラスト:ロミナ毅流

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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 気候は、言うなれば初夏。動けば汗ばむほどであっても、歩くのみならば然程の障害はない。
 もちろん足元には草が茂り、踏み分け道すらない森の中ではひたすらに歩みを遅くし、足に引っかかろうとする。さらには元はフェアリーであるらしき精兵達は己の羽で飛ぶことで、猟兵達に優位を取っている。
 ――けれど、それよりも。
 寒々しい。目から光をなくした精兵達も、この森そのものも。身体よりも、魂そのものを震えさせるかのように、寒い。

 魂喰らいの森。
 その名を身を――否、魂を以って実感させられたる猟兵達に。
 既にその森の一部となった小さきオブリビオン達が、魔法と銃を操り迫る――!!
村崎・ゆかり
こういうサバイバル、慣れてないのよねぇ。今更言っても仕方ないけど。
下生えを切り開きながら進むんだっけ? 先陣は得意そうな人にお任せするわ。その代わり、黒鴉召喚で放った式の耳目で、先の様子を確認して伝えるから。

あれがこの森に魂を喰らわれたものの成れの果て……。ミイラ取りがミイラにはなりたくないものだわ。
小柄な身体を活かして物陰から仕掛けてくるなら、炎の「属性魔法」不動明王火界咒を「範囲攻撃」にして、「全力魔法」として広域無差別破壊を狙うわ。逃げ回るというなら、物陰ごと焼き払う! どうせこの森は消えてなくなるんだものね。

森を派手に荒らしたら、森の主のお出ましかしら? 暴虐にも終わりの時が来たわよ。


鬼桐・相馬
久しぶりに飲みまくった。

【POW行動】
森の中であることを利用するよ。
[地形の利用]で木々に隠れ、[闇に紛れる]。木々を移動しながらヒット&アウェイ――[冥府の槍]で[傷口をえぐる]で消耗させて行き、[恐怖を与える]。
攻撃後はすぐ他の木に隠れ、反撃を防ぐ。敵は同士討ちを恐れて闇雲に発砲できないはず。

司令塔が恐怖の蓄積で疲労し集中力が切れた隙に[ダッシュ]で接近、UC発動。最速で司令塔に掴みかかり[怪力][串刺し]で倒す。これで陣形を発動されても効果は薄いだろう、致命傷となる部位のみ[武器受け]で防ぐ。
――さあ、お前たちの悪意、俺と槍に寄越せ。

飲んだ後に使うUCじゃないな、槍に早く力を流さないと。


鞍馬・景正
実に良き酒席でした。
わいん、りきゅーる、ういすきー……異世界の酒もまたとても素晴らしい。

この区画を踏破したら、また飲むと致しましょう。

◆戦闘
その為にもここで立ち止まってはいられませぬ。
兵士たちの動きと銃口を【視力】を尽くして観察。

射線を【見切り】、回避しながら接近して【鞍切】にて斬り捨て御免。

視界外からの奇襲には【第六感】で殺気を察して躱すか、【武器受け】で刀による防御を。

此方の技を見切っての陣形には、【衝撃波】で列を崩し、攪乱してから斬り込み。

しかし蒸し暑い――蒸し暑いと言えば琉球の泡盛なる酒も大層美味だそうで。
それも今度飲まねばと思えばますます力が湧いてきます。

さ、次へ参りましょう。


小宮・あき
●SPD行動
敵の「レベル分の1秒」は強敵ですね。
後衛職の私では、後手に回るしかありません。

ならば、狙わせなければ良いのです。
「ふふ、本物、ど~れだ♪」

UC【戦場のハレム】
63人の、私そっくりの人物を召喚します。
勿論私も戦闘服を着ているので、外見で判別は出来ませんよ。
両手にマスケット銃を持っているので、掌が見える事もありません。

私は文字通りの人の盾の後ろに。
全員揃って【スナイパー】【援護射撃】で挑みましょう。
ふふ、この人数ならサンダンウチが出来るんじゃないかしら♪

元フェアリーという事は小さいのね。
【視力】でしっかり確認して仕留めましょう。



「実に良き酒席でした」
「ああ、久しぶりに飲みまくった」
 普段と変わらぬ表情ながら晴れやかに言う酒豪ズ――鞍馬・景正と鬼桐・相馬に、やはり羨ましい、そしてあれだけ飲んでよく平気な顔だと村崎・ゆかりは、スカイブルーの目を真ん丸に見開いた小宮・あきと思わず顔を見合わせた。
「わいん、りきゅーる、ういすきー……異世界の酒もまたとても素晴らしい」
 UDCアース辺りだと戦国時代にはワインやウィスキーが南蛮商人を通じて日本に入ってきていたというが、サムライエンパイアとあればそうもいかない。ゆえに猟兵ならではの趣向とばかりに、多種多様な酒をしこたま楽しんだ景正である。
「この区画を踏破したら、また飲むと致しましょう」
「ま……まだ、飲めるということですか?」
「ええ、勿論」
 大変涼やかな返事に、少し考えてからあきは一つ頷いて自分を納得させた。納得したことにした。
「それじゃ、先陣お任せするわ。式の耳目で先の様子を確認して伝えるから。こういうサバイバル、慣れてないのよねぇ」
 今更言っても仕方ないけど、と肩を竦めるゆかりに「お任せを」と応えて景正と、並んで相馬が前に出る。下生えを切り払うのであれば、斬撃に向いた刀や長物である槍の得意とするところだ。ゆかりが呼んだカラス型の式は、大樹に覆われた木陰の薄暗さに紛れつつ、既に幾分先行している。
 ――そしてその視界は、森に取り込まれたかつてのフェアリーの精兵達の姿を捉えつつあった。
 瞳に光なく、顔に色彩なく、動きに感情なく。
 ただ、昏き森の一部、その防衛機構と化した姿を。
「あれがこの森に魂を喰らわれたものの成れの果て……ミイラ取りがミイラにはなりたくないものだわ」
 精兵達までの距離と方角を3人に告げてから、ぽつりとゆかりは呟いた。既にその手には白紙のトランプ――彼女が符として己の呪を籠めてあるそれが、しかりと数枚いつでも放てるように抜いてある。とうに草を払うのに武器を振るう相馬と景正ならば警戒をさらに強める程度、あきもとうに愛しい名を刻んだ両手のマスケット銃をいつでも撃てる状態にしてある。ざ、ざっ、と草を薙ぐ音が、続けて響く。
「――また飲む為にも、ここで立ち止まってはいられませぬ」
 銃声がしたのはゆかりの伝えた場所よりは僅かにこちら側、けれど4人それぞれが既に動いていた。草刈る音、踏み分ける音を消し切れはしない森という戦場、ならば相手もこちらに気付くであろうとは織り込み済みだ。

 す、と切れ長の藍の瞳を景正は僅かに見開いた。見る。視尽くす。その動きと銃口――余程の事、例えばそういうユーベルコードでもないならば、弾丸とは銃口の方向へ飛ぶものだ。
 距離を詰めつつ腰を落とし、射線を見切っては僅かな足捌きの変化で避ける。真一文字に抜き打ちまずは1人。手首を返して頭上に振りかぶると、1歩踏み込むと同時に真っ向からの斬り下ろしにてもう1人。血振るいの動作にてきんと途中で音がして、物陰より狙ったらしき銃弾が落ちる。
 否。
『落とした』のだ。
 そして既にその弾が放たれた銃口を、景正は見ていた――。

「敵の超高速射撃は強敵ですね、後衛職の私では後手に回るしかありません――ならば」
 狙わせなければ良いのです。
 そう言ったあきは『64人』いた。
「ふふ、本物、ど~れだ♪」
 ユーベルコード『戦場のハレム』――全員が戦闘服に身を包み、本来は召喚された者であればナンバーが書かれている掌はマスケット銃の銃床で隠されている。
 そして全員、当然のようにイイ笑顔をしている。
 とてもイイ笑顔である。
「ふふ、この人数ならサンダンウチが出来るんじゃないかしら♪」
 できるだろうなぁ。
 しかも戦国時代の火縄銃とは装填速度が全く違うからほぼ弾幕なんじゃないかなぁ。
 ちなみに今回は全員がスナイプと援護射撃を駆使して来る戦術。要するに。
 弾幕だ。
「さぁ、しっかり確認して仕留めましょう」
 全員の声が重なると同時、一斉掃射の銃声が森を揺るがさんばかりに木霊する――!

 てらりと青黒い炎が漆黒の槍を覆う。仄昏い森の木陰に溶け込むには丁度良い暗さだ。
 半ば森自体、森の手下と化したかつての妖精達よりも、いっそ相馬の方が森と一体化しているように見えたかもしれない。防御陣形を組んだ相手を、木の陰からまた別の木へ、ヒット・アンド・アウェイで削っていく。冥府の尽きぬ炎を宿した槍で。仲間達が纏わせた傷があるならば容赦なく的確に其処を抉って。
 そして痛みに振り向いた時には、相馬の姿はまた木陰に消えている。振り向き様の咄嗟の発砲は、しかと陣形を組んだならばむしろ同士討ちの可能性ゆえに無闇に使えぬ技となる。
 見えぬことは恐怖となる。
 不意討ちは緊張を増幅させる。
 そして何より、注意を払う相手は『1人ではない』――。

「逃げ回ると言うなら、『ノウマク サラバタタギャテイビャク』――」
 不動明王の咒を込めた符を数枚、ゆかりはそれを等間隔に撒くかのように投げ放った。空中で炎へと変わったそれが、森の木々ごとかつて妖精であったモノ達を灼き尽くす。
「どうせこの森は消えてなくなるんだものね」
 番人が、そしてそうされたモノが抱えるコアが奪われれば、その瞬間に区画ごと消滅する、ならば森で火を使うにも躊躇う必要はない。障害物ごと排除できる分効率的とすら言える戦法だ。
 もはや広域無差別破壊とゆかり自ら称する範囲攻撃化した『不動明王火界咒』、絡みつき不浄を灼く炎が、この魂喰らいの森にて狙わぬものなど猟兵達くらいしかいない。
 ――ちょっと相馬の持つ冥府の槍あたりは一緒に灼かれかねないが、そこは互いに立ち位置とコントロールで上手くやる。上手く行かなかったら、まぁ、ほら、任意の範囲で消火できるし。
 それに、森そのものに強制された仮初の役ではあるのだろうが、ここは『主』の存在する森だ。派手に荒らされたなら、『主』が黙っている道理はない。
 黒鴉召喚にて呼ばれた式は、既にゆかりに最も強大なる存在の接近を伝えている。
 真っ向から斬る、ただその一存である『鞍切』――景正の刀を見切ろうと残る精兵達が組んだ陣形は、他ならぬその刀が放った衝撃波に乱された。その乱れと間隙に割り込むように景正が斬り込む。真っ向から斬るを必殺の一撃とする男は、けれどそれ以外の手を知らぬ理由などない。何せ今年の9月に織田信長と戦って勝った世界の武家の嫡男である。
 あきの銃兵隊も流石に人数は減らしつつも、勢いは止まぬ弾薬の雨を降らせ続けている。無論、彼女達が止まらないということは奥に紛れたあき(本物)は無事だ。
 数を減らしゆく自軍に、指揮を取っていた青年が思わず額の汗を拭った、その瞬間だった。
「さあ、お前の悪意も槍に喰わせてくれ」
 何も『喰らう』のは、この森だけの特権ではない。人間よりずっと小さいその肉体を掴み、槍を、かざす。纏う冥府の炎は薄らぎ、物足りないと言いたげに青黒く舌を伸ばす。
 ユーベルコード『血の渇望』、普段は槍が奪っている嗜虐の欲を、槍から相馬自身へと逆流させれば――槍は持ち主に奪われた悪意を欲し、そして持ち主は欲望のままに殺戮を欲する。
 普段は決して見せぬ『喰らう側』の笑みを、かの妖精達だったモノの司令塔は、見たのだろうか。
 とうに物言わぬ骸と化した彼は森に溶けるように消えていき、動揺走る一団へと向き直った相馬の表情は既に普段の鉄面皮へと戻っている。
「――さあ、お前達の悪意も、俺と槍に寄越せ」
 両手で構えたかと思えば薙いだ漆黒の槍には、既に炎が勢いを取り戻している。
 それは、殺される側の悪意を瞬時に喰らい取ったと同時に。
(飲んだ後に使うユーベルコードじゃないな、槍に早く力を流さないと)
 一撃決めて割と冷静に戻った相馬がせっせと槍の方に感情の昂りを戻しているからでもある。いわゆる『酒の勢い』が完全に乗っちゃった攻撃ではあった。普段は槍にそういった部分を喰わせているだけに、尚更。
 防護の明らかに薄くなった相手を、次々にゆかりの符から燃え上がる炎が絡め取っていく。隠れるならば木ごと、叢ごと――そして。

「しかし蒸し暑い――蒸し暑いと言えば琉球の泡盛なる酒も大層美味だそうで」
 最後の1体を叩っ斬ったかと思えば景正が言い出した。ここに来てさらに酒の話題という辺り、その剣の冴えに匹敵するまっすぐさだ。ちなみに泡盛は貯蔵期間が長いほど熟成が進むので、3年以上は寝かせた古酒が味わい深いとのことである。
「それも今度飲まねばと思えばますます力が湧いてきます。さ、次へ参りましょう」
 そして大酒飲んで一戦こなしたとは思えないこの涼やかさ。上等の水割りと迷ったが、個人的には冷凍庫で冷やしたグラスでのロックを思わせると形容したい。泡盛のロックも美味しい。
 ――さておき。
 その『次』は、もうとうに姿を見せようとしている。
「森の主のお出ましかしら? 暴虐にも終わりの時が来たわよ」
 振り向いたゆかりは、ようやく姿を現したこの森の『主』へと油断なく、けれど凛々しく微笑んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『覇竜皇帝ガイエス』

POW   :    我が覇道よ、全てを根絶せよ
【Lv*百人の自分と同等能力を持つ軍団兵 】の霊を召喚する。これは【高速突撃】や【騎獣による踏み潰し】で攻撃する能力を持つ。
SPD   :    人よ、野望に狂え
【投射攻撃無効の炎竜憑依状態 】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
WIZ   :    砕けよ、脆弱なる魂
【竜の呪い 】を籠めた【高命中高威力のハルバート】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【魂、及びそれに類するもの】のみを攻撃する。

イラスト:V-7

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はプリンセラ・プリンセスです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 かつてこの世界に『覇竜皇帝』と呼ばれた男がいた。
 仮にも皇帝と名乗り、呼ばれ、けれど今は森に魂を喰らわれてコアを預かる番人にされている――それは幾度となく黄泉がえるオブリビオンの、その無数の中の1度でしかないとしても、どこか物哀しい登場ではあった。

 それでも、この区画の主となったのは他でもない。
 この男が、このオブリビオンが、この場所で最も強かったからだ。
 加えて汗ばむほどの気温とは裏腹の悪寒が、まさに魂を喰らおうという森の意志を籠めて襲いかかってくる。覇竜皇帝ガイエスと対峙したのみですらも。無論その一撃、一撃が、その意志を纏い魂そのものを狙ってくるはずだ。

 けれど、猟兵達にはさっき楽しんできたばかりの祭の記憶がある。
 飲んだり食べたり飲んだり飲んだり煮込んだり飲んだり祈り歌ったり飲んだり――うん、飲み率が高いのは多分酒瓶の消費量のせいだ。きっと!
 そう、思い出せるはずだ。熾烈な戦いの中でも、猟兵達ならば。
 魂を温めた、楽しかった、そうふわっと胸の中があったかくなるような思いを。
 それこそが、魂を啜る森に対しての猟兵達の守りであり、そしてこの森を滅ぼす武器ともなるはずなのだから――!!
鬼桐・相馬
最後の黄泉がえりとなればいいな。

【WIZ行動】
誰かとあれだけ飲み食いしたのは久しぶりだ。大量に酌み交わした酒も、こっそり渡された甘酒も、皿に取り分けて貰った鍋も。
また「次」があるよう……負ける訳にはいかない。

まず機動力を奪う為、騎乗生物の脚を狙う。[冥府の槍]で[部位破壊]し[傷口をえぐる]。皇帝の攻撃は[戦闘知識]を使い[見切り][武器受け]。
皇帝のUC発動時、後方へ[ジャンプ]。UCを発動、元いた位置に騎士鎧を召喚。2体の大楯で攻撃を受ける。騎士鎧が消滅したら、俺も再行動できる。

押されている味方は[かばう]よ。
気にしないでくれ、炎が補う。

戦闘後、落ち着いてから、少しだけ弔い酒として飲もう。


村崎・ゆかり
森の番人って言うから精霊っぽいのを想像してたけど、これはまた騎馬武者タイプね。こんなものでも森の走狗か。
いいでしょ。決着つける。

さっきの酒盛りの――違う! お祭のことを思い返して魂を守る。
皆で食べた味噌煮込み海鮮鍋、美味しかったなぁ。いつかまた機会があれば。

さて、いつまでも想い出に浸ってられないわ。
まずは「高速詠唱」した七星七縛符で「先制攻撃」。力を振るわれる前に封じさせてもらう。
斧槍が得物ね。あたしの『紫揚羽』と打ち合ってみる?
巫覡載霊の舞で「衝撃波」を纏わせた薙刀を突き込み、相手の攻撃を弾いて。
とどめは魂喰召喚。魂を啜るのはこの森だけだと思わないことね。

で、手に入れたコアはどうしたらいい?


鞍馬・景正
帝を名乗るとは、また。
されど今は一守将、ならば武士として堂々と刃を交わすとしましょう。

◆戦闘
流石に百騎以上もの大軍を目前にすれば、森による浸食もあってか血も凍り付く心地がいたしますが。

しかしあの"すぴりたす"を飲んだ時の衝撃よりはマシでした――うむ、やりましょう。

【手字種利剣】の構えにて、纏めてお相手致す。

先陣担う騎兵は斬撃の【衝撃波】で切り崩し、突進を木立ちの間を縫うようにして勢いを削ぎ、迂回や反転する隙を狙って騎獣の脚や首を薙ぎ兵らを転落させ、後続の味方に踏み潰させていきましょう。

混乱誘いつつ奥に浸透し、皇帝を捉えれば太刀打ちに挑み、【怪力】を込めた【鎧砕き】の打ちで仕留めて御覧に入れる。


小宮・あき
UC【神罰】
「神罰を与えましょう」

祈りの力によって半径64mの光の柱で攻撃するUC。
スポットライトのように物体を伴わない光属性の【属性攻撃】。
現役聖職者である私の【祈り】は常に神に注がれています【早業】【先制攻撃】。
【全力魔法】、直径128mの柱は、【範囲攻撃】になるでしょう。

(1章での)歌を思い出します。
敬愛する神に祈り、歌を口ずさんだ事。
あとは…、皆さんが楽しそうにお酒を飲んでいらっしゃった事。
思い出しただけで、笑顔になるわ。また、皆でご飯を食べたいですね。
そんな日々を守るためにも、私は、戦います!

周囲の様子は【視力】【聞き耳】【第六感】【野生の感】で気を配る。



「森の番人って言うから精霊っぽいのを想像してたけど、これはまた騎馬武者タイプね」
 こんなものでも森の走狗か――ぽつり、村崎・ゆかりが零した呟きは、どこか切なさを帯びていた。
 それが、ゆかり本人の感情なのか、それともその堕ちた上に森の走狗とされた姿が感じさせる哀愁なのか。「最後の黄泉がえりとなればいいな」と鬼桐・相馬が僅かに目を細めれば、冥府の槍の纏う炎がゆらりと変わらず森に溶けるような色に揺らめいた。
「帝を名乗るとは、また」
 すう、と藍色の瞳を細めるのは鞍馬・景正も同じ、皇帝という称号に、サムライエンパイア出身の彼ならでは、思うところもある。
「されど今は一守将、ならば武士として堂々と刃を交わすとしましょう」
 無論それは、戦いに影響を及ぼすでもない感慨に過ぎないのだけれど。
 胸の前で小宮・あきが手を組む。常に父なる神へと捧げ続ける祈りを、形にして。
「神罰を与えましょう」
 澄んだ空色の瞳の先、空から降るかのように現れた光の柱が覇竜皇帝を包んだ瞬間。
『我が覇道よ、全てを根絶せよ――!』
 猟兵達の目の前に現れる、森を埋め尽くすかのような軍団。僅かに透き通ったその肉体は、彼らが仮初の霊魂に過ぎないと物語ってはいるものの、その攻撃までは仮のものとはならないだろう。そう感じさせるだけの物理的な圧をも、軍勢は纏っていた。
 さらに覇竜皇帝はその肉体を燃え上がらせ――火竜へと捧げ憑依させ、ハルバードへと劫火を纏わせる。
 あきの降ろす神聖なる光に灼かれつつも、皇帝と呼ばれた男は吼えた。その率いる霊魂の軍団が、鬨の声を上げる。
「いいでしょ、決着つける」
 既に符を抜き呪を込めたゆかりが正確に七、投げ放つ。解除するか、振り解かれるまでは、新たなユーベルコードを使わせはしない。力を振るわせはしない。
 己の身をも削る『七星七縛符』、その反動に奥歯を食い縛りながら思い出すのは、さっきの酒盛りの――、
「違う!」
 思わず声に出してツッコミを入れていた。
 無論、符の力は維持したままだ。大丈夫――深呼吸してもう一度。
(皆で食べた味噌煮込み海鮮鍋、美味しかったなぁ。いつかまた機会があれば)
 ふ、と軽く息を吐く。覇竜皇帝の放つ寒々とした威圧感に対し、心は温かく満ちる。いつかまた、という思いが、心の芯を強く支える。
「誰かとあれだけ飲み食いしたのは久しぶりだ」
 大量に酌み交わした酒、こっそり渡された甘酒、皿に取り分けてもらった鍋――ちなみにゆかりから酒の合間に分けてもらった甘酒は、喉と臓腑に心地よく沁みた。
「また『次』があるよう……負ける訳にはいかない」
 そう、次の機会、を失いたくないのは、相馬にとっても同じ思いだ。
「ええ、纏めてお相手致す」
 す、と腰を落とし1歩、2歩、踏み込んだ景正が鯉口を切りつつ頬を緩める。
「流石に百騎以上もの大軍を目前にすれば、森の浸食もあってか血も凍り付く心地がいたしますが」
 ――思い出す。思い起こす。心に刻まれた思い出を、今。
「しかしあの『すぴりたす』を飲んだ時の衝撃よりはマシでした――うむ、やりましょう」
 そっちかー。
 衝撃は衝撃でも凍り付くよりは『喉が灼ける』の方だろうなぁ。
 しかし敵陣に迫ると同時、抜き放った衝撃波の切れ味たるや無論スピリタスにも劣るまい。数騎を一度に押しやると木立の間をすり抜けて突進の勢いを削ぐ。さらにあきの祈りによって輝く『神罰』の光の柱は、優に直径100mを超えるその大きさで覇竜皇帝率いる軍勢を覆い、その不浄なる存在をのものを削りつつあった。
 思い出す。敬愛する神に祈り、歌を口ずさみ、その歌を聞いた皆のこと。
(あとは……皆さんが楽しそうにお酒を飲んで、鍋を楽しんでいらっしゃった事)
 思い出しただけで笑顔になれる。魂を喰らい、引き裂くような敵の存在とは裏腹に。
「また、皆でご飯を食べたいですね――そんな日々を守るためにも、私は、戦います!」
 光の柱が凜とした輝きを増した。それに加えて数騎が斬り倒される間に、開いた隙間を縫って相馬とゆかりがそれぞれ槍と薙刀で敵陣を薙ぐようにして前に出る。
「斧槍が得物ね。あたしの『紫揚羽』と打ち合ってみる?」
 ふっと笑み浮かべ、紫の瞳を輝かせ、『巫覡載霊の舞』にて金の光を放つ神霊体へと転じたゆかりは装飾を一層豪奢なものとした薙刀を振りかざしてみせた。そのまま叩き込む衝撃波は覇竜皇帝の薙ぎ払ったハルバードとぶつかり合い、その間に相馬が皇帝の騎獣へと駆けた。槍を爪の付け根に突き立て、抉り、怪鳥とも見えるその口が大きく開いて叫ぶ間に今度は腿の位置へと深く突き刺した穂先を、軽く弧を描くように力を籠めて、肉を引き裂きながら引き抜く。覇竜皇帝の斧槍が槍を奪おうと斧の付け根で引っ掛けるようにしてきたので、さっと相馬は一度槍を手繰り寄せると今度は穂先を使った突きに合わせて突き返すように受け止めた。そのまま流し、一度飛びすざり、騎獣の股下を抜けながら反対の腿を抉り抜く。
「こちらを無視するとはいい度胸ね」
 そして皇帝が騎獣の足元へと気を取られるのをゆかりが見逃す理由はない。とん、と地面を蹴って軽やかに飛び上がりつつ、その勢いにて舞うように回転して威力を高めた薙刀を衝撃波と共に、叩きつける。騎獣の顔面、鎧のようなくちばしまでも折らんばかりの一撃に、揺らいだ騎獣を立て直しつつの反撃はあっさりと薙刀の生み出した衝撃波が弾き飛ばした。
 その間に、覇竜皇帝の配下たる霊体の兵も随分と数を減らしている。あきが祈りの言葉を天上の神へと捧げるたびに光の柱が輝きを増し、それにてらりと抜身の刃を輝かせたかと思えば景正が騎獣の脚や首を落としては、転落する兵を後続の騎獣が進む勢いで踏みつけるままに同士討ちを狙い――多勢に寡兵の手本のような戦いぶりは、『手字種利剣』の構え――相手の手の内を見極め、その長所を潰し短所を貫く、新陰流の極意の一つ。
「後ろです、景正さん!」
 祈りつつも目を凝らし、感覚を研ぎ澄ませて戦いの趨勢へ、周囲へと気を配っていたあきが、はっと声を上げる。その騎兵と景正はまだ距離がある、けれど、彼らを結ぶ直線が開いた。あきが叫んだのはその瞬間で、騎獣が地を蹴りハルバードを振りかざした騎兵が目にも留まらぬ突撃を繰り広げたのも同時、そして。
「感謝します」
 振り向き様に直進ルートから僅かに外れた景正は、すれ違うのに合わせて騎獣と兵士、両方の首を刎ねていた。あくまで本質は霊であるらしく血も流さずに消えた騎兵の向こう、小さく笑むようにあきへと目を細めると、再び転じて数を減らした戦陣へと斬り込んでいく。
 ――覇竜皇帝を縛り付けていた北斗七星の輝きが、消えた。地力のみで戦っていた皇帝のハルバードの刃に炎の如き力がゆらりと纏わりついた次の瞬間、置き土産とばかりにまた騎獣の爪の間へと突き立てた槍を引き抜く勢いと共に後ろへと大きく飛んだ相馬が左手を伸ばす。着地と同時、相馬が元いた位置に赤黒と白銀、2体の騎士鎧が立ちはだかっていた。それぞれ灰と煤の詰まった全身を覆い、フルフェイスヘルメットの頭上には揃いの長いプルーム――兜飾りが揺らめく。
「その大楯で防げ、内に火は残っているはずだ」
 ユーベルコード『余燼の双楯』――ギィン、と音を立てて竜の呪いを乗せたハルバードが、2つの大楯によって弾かれた。
「――ッ!」
 怒りを宿して覇竜皇帝が呻く。魂やそれに値するものだけを斬り裂くその一撃は、逆に召喚され戦う鎧に対しては有効打にはなり得ない。無論まともに殴られればいつかは壊れるが、その間は相馬自身は召喚の維持に専念しても構わぬだけの、手堅き防護だ。
 そして騎士鎧を破壊すべく戦いを繰り広げる覇竜皇帝に、注意が逸れた隙を突いて再びゆかりが符を放つ。正確に、北斗七星をなぞる位置へと放たれた符が敵の動きを阻害し、封じ込め――その間、あきは相馬を光の柱の中心として、数を減らしつつも背後から迫ろうとする配下の騎兵霊を聖なる神罰にて灼き、さらにその輝きに乗じて景正が最後の数体に至るまで斬り倒し――騎士鎧がどちらも力尽き倒れる頃には、既に戦場にはユーベルコードを封じられ、傷ついた覇竜皇帝が、ただ一騎。
 鎧を動かしていた灰が、煤が、その崩れると同時に煙幕の如く広がり――濤乱美しき刃が、それを貫いた。
 残力を振り絞ったかのような範囲の広い薙ぎ払いを、相馬が槍で受け止める。相殺しきれず負った傷は青黒く燃える炎が補う。一瞬、景正と相馬の視線が絡む。相馬がハルバードを受け止めたことで、真っ直ぐに、覇竜皇帝までの道は開けている。景正の、前に。
 瞬時に迫り、両手にて構えた刃は羅刹の剛力をも乗せて、皇帝を名乗りし男の鎧を、砕く。
「急急如律令!」
 高らかに響き渡る声は、さらに景正を挟んで相馬の反対から聞こえた。式神を従える、陰陽師として命じる、ゆかりの声。
「汝は我が敵の心を砕き、抵抗の牙をへし折るものなり!」
 薙刀に宿ったのは『魂喰らいの式神』――そう、この森と同じ名を冠する式神であり、その力、だ。
「魂を啜るのはこの森だけだと思わないことね」
 両断。
 砕かれた鎧のうちの、既に砕けているのかもしれない魂――けれど、オブリビオンとしての肉体を動かすそれを、魂喰らいの式神と共に薙刀『紫揚羽』が斬り裂く。
 ――そして。
 消えていく。森そのものが。
 ずっと神罰の祈りを捧げていたあきが、ようやくその肩から力を抜いた。主なる神への感謝の祈りを呟く中、魂喰らいの森より解放された大地を寿ぐかのように、光の柱の最後の輝きがそっと降り注ぎ、消えていった。

 2杯の清酒、そして2杯の甘酒。
 相馬が弔い酒を、と言えば当然景正が賛同し、酒とつくならいいでしょ、とゆかりが甘酒をあきと分け合う。
 森の消えた大地は、冬の寒さを宿してはいてももはや魂を啜る寒々しさは存在しない。けれど飲み干したそれぞれの1杯の温もりはまた――どこかで、きっと猟兵達の心の支えになってくれることだろう。
 きっとまた、いつか。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年12月25日
宿敵 『覇竜皇帝ガイエス』 を撃破!


挿絵イラスト