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猫又だって、海の中でお餅が食べたい

#サムライエンパイア #【Q】 #レディ・オーシャン

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#レディ・オーシャン


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 ここはサムライエンパイア、信長の討伐によって普段の生活を取り戻した世界の小さな領地。
 その外れの広場では、村人が総出でぺったん、ぺったん、と大量の餅をついていた。
 米の収穫を終え、来年もいい年になりますようにと行われる収穫祭兼……、
「さぁ、やってまいりました大食い大会!」
 壇上に作られた台には、山盛りの餅、餅、餅……。
 きな粉に餡子、ずんだに大根絡み餅、各々好きな味付けの餅が皿に乗っている。
「今年の餅の出来はどうかにゃ!?」
 壇上の猫又の声に、周囲で準備をしていた村人たちからは『最高の出来だ!』『うまいぞー!』などの大歓声。
 そして、箸を持って開始を待つ、選手の方々。
 村の大食い自慢の中に、ちらほらと猫耳が飛び出ているのが見える。
「うんうん、いい返事だにゃ、選手のみんなもお餅ができていくのを楽しみにしてるのが見えるにゃ!
 じゃあそろそろ始めるにゃ、えーと……何目回か解らないけど大食い大会……。」
 ごくり……だれかの息をのむ音が響くほどの静寂。
「……開始にゃ!」
 号令と共に箸を進める参加者。
 大食い大会は歓声に包まれていったのだった……。

「……と、楽しそうな催しが行われるんですが、困ったことが起きるんです。」
 困ったような笑みを浮かべながら、説明をしていた八咫。
 いや、すでに会場に猫又が混ざってるだろ……というツッコミも聞こえるが、
「私としては、妖怪たちが一緒に収穫を祝うことを咎めるつもりはありません。
 問題があるとすれば……ここが一時的とはいえ、海に沈むことです。」
 ……もっと大きな問題があった。
「れでぃ、おーしゃん……と言いましたか。
 少し前の戦争で取り逃がした者が、この地に現れるのです。
 それも、周囲を海に変えながら。
 なので……皆さんには、大食い大会に勝ってもらいます。」
 ……話が繋がらない、という顔の猟兵達へ笑顔を返し、
「飛び入りの参加は認められていますし、複数人でのチームでも参加できます。
 簡単に言えば、たっぷり食べる様を神様に見せよう、という形の大会ですから。」
 いや、聞きたいのはそこじゃない。
「そして、大量に食べる様を見せれば、それだけ人々からは注目されます。
 村人たちを避難させるためにも、できる限り人目を惹いてから……逃げるように促してください。
 もちろん、皆さんの中には食べるのが得意じゃない方もいるでしょう。
 それならば、逃げるように促した時に、村人たちを扇動してくれると助かります。
 誰かが逃げる様を見れば、村人たちも一気に動くでしょうから。」
 ……やっと話が繋がった。
 そういう気配を察した八咫の手の上でグリモアが輝き、大食い会場へとゲートが繋がった。
「それでは皆さん、頑張ってくださいね。
 そうそう、それから……海の中での戦いになると思います。
 準備ができるなら、した方がいいと思いますよ。」


ヨグ
 ヨグです、レディ・オーシャン追撃戦をお届けします。
 サムライエンパイアの静かな領地の楽しみ、その会場を守ってください。
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第1章 日常 『お餅の季節』

POW   :    沢山食べよう

SPD   :    味付けに工夫を

WIZ   :    お供えし飾ってみよう

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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「みんな一斉に食べ始めたにゃ! お、もう次のお皿に手が伸びてる人もいるにゃ!」
 司会進行役の猫又の声が響く中、大食い大会は進んでいく。
「姉ちゃんよく食うねえ!」
「美味しいからにゃあ、これなら何個でもたべれるにゃん!」
「へへ、ちげえねぇ!」
 壇上の猫又たちも、参加者と仲良く餅を口に運んでいた。
 見る限り、猫又たちは特に悪さをする気はないようだ……。
四王天・燦
SPD

「なんて優しい世界だ」
魔物娘大好き。
猫又が宴を仕切る姿に感涙

猫又の隣に乱入。
「狸は当然として猫族にも負けられねーぜ」
闘志を燃やすが大食漢でないし餅が喉に詰まるしキツひ

ここはタッパから油揚げを出し包んで稲荷寿司な別腹作戦だ。
「餅が喉でへばり付くなら覆えばいい!」

「どやあ」と猫又を見る。
鰹節を使っていたら衝撃。
(こいつできる!)

「あ、横綱・富乃岡が四股踏んでる!」
と指さしてだまし討ち…猫又のお茶にマタタビ投入。
アタシの中に宿す猫又とワーキャットの魂が無心するので持っていた最終兵器だ

「ふにゃぁ」
但し猫系娘を宿すアタシも匂いで酩酊…一緒に可愛く潰れるぜ

「そろそろ皆逃げて。超逃げて」と必要なら誘導


百地・八刀丸
【八藤夜】

ほほう、餅とは久々よ
身近であるがゆえに、最近はとんと食べる機会がなかったでな
丁度また食いたいと思っていたところ、これは僥倖よな
戦の前の腹拵えと参ろうか
 
餅と言えば焼いて海苔を巻き、醤油で食うのが好きではあるが……
大食いともなれば焼いている時間はなさそうじゃ
海苔と醤油のものをいただこう

しかしこの老体でどこまで食えるか。昔は食い気も張っておったがなァ
あまり悠長にしておられんのう、本来は楽しんで食いたいものじゃが……

ふぐッ、急いで食っておったら餅が喉に……ッ!
藤子殿、夜彦殿……き、気付いとくれ……!

ふう。餅は洒落にならぬな。戦前にあの世に行くところであったわ……
後は避難じゃ、声を上げねばな


鵠石・藤子
【八藤夜】

まだ正月にも些か早ぇが、餅はいつ食っても良いもんだ

オレは大食いが得意っつー訳でもねぇが…
やはりきな粉は美味いな、だが大根も捨てがたい…基本の醤油も良い

2人共、上品に食ってる暇はねーぞ!
ほらほら夜彦、八刀丸
どうした、でかいのは図体だけかっ?
(軽口を叩きながら楽しそうに餅を頬張る)

…ッて、何やってンだジジイ!
(八刀丸の様子を見て、慌てて背中をバシバシ叩く)
…テメェは歳を考えてゆっくり食いやがれ!
その分はオレが早く食ってやる!
夜彦も無理すんなよ?

何の神サンだか知らねぇが
祭事で人死が出たら意味がねえ
結局は楽しくやりゃぁ良いんだからな!

たっぷり食べたら逃げる活力にもなる
さ、パーッと逃げようぜ!


月舘・夜彦
【八藤夜】
よもや緊急事態に餅を食べる事になるとは
私達がこの後戦うのですし、力任せに避難をさせる方が大変でしょうな
では、頂きます

餅は好きなので、そこそこ食べられると思いますが
飽きてしまわないように砂糖醤油、あんこ、きなこと
オススメの味があるのならば、それも頂きましょう
味を変えながら食べていくのが良いでしょうな

八刀丸殿も藤子殿も良い食べっぷりなので負けられませんね
八刀丸殿、如何されて……もしや餅を喉に詰まらせたのでは
急いで背中を叩いて詰まりを取り除かなくては

戦う前に窒息死にならずに済んで良かったですね
……本当に洒落になりませんが



「さぁ、弥助さん早い! もう5皿目食べ終わったにゃ!」
 司会の猫又が場を盛り上げながら、大食い大会は進んでいく。
 そんな会場を見ながら、感動の涙を流している猟兵が一人。
「なんて優しい世界だ……人と妖怪が仲良くしてるなんて。」
 妖狐である四王天・燦(月夜の翼・f04448)は、魔物の女の子が好きなのだが……猟兵の本分は、オブリビオンを倒すこと。
 いつもであれば、そんな猫又たちを倒すことも考えなければならないが、今回はその指示もない。
「ここ、空いてるかい?」
「にゃ? ……ん、く、大丈夫にゃ。」
 餅を頬張っていた猫又に一声かけ、隣に座る燦。
 少しのどに詰まったのをお茶で流し込む様を見ながら、
「はは、悪いな、急に話しかけちゃってよ。」
「気にすることないにゃ。おねーさんも気を付けるほうがいいにゃん。」
「おう、そうするぜ。んじゃ、はじめっかね!」
 目に前に置かれた餅に手を伸ばしていった。

「ほほう、餅とは久々よ。身近であるがゆえに、最近はとんと食べる機会がなかったでな。どれ、そこか。」
 豪快に笑いながら壇に上がる、百地・八刀丸(またの名を七刃斎・f00181)。
 仲間と共に入れる場所を目ざとく見つけ、どかっと座る。
「丁度また食いたいと思っていたところ、これは僥倖よな。」
「ああ、そうだな。まだ正月にも些か早ぇが、餅はいつ食っても良いもんだ。」
 荒い言葉とは裏腹に、物腰は女性らしく席に着く鵠石・藤子(三千世界の花と鳥・f08440)と、
「……よもや、緊急事態に餅を食べることになろうとは。」
 いくつか餅の皿をもって来た、月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)。
 真面目な月舘の言葉に鵠石は笑いながら応じていた。
「ちげぇねぇや、最初に聞いた時は何事かと思ったけどな。……あ、オレはきな粉がいいな。」
「ではこれを。……しかしまぁ、私達がこの後戦うのですし、力任せに避難をさせる方が大変でしょうな。」
「その通りよ、見た限りでは領民たちもそれなりの数がおる。気を引き締めて参らねばな。」
 眼光鋭く壇上から見渡していた百地も、ホカホカと湯気の立つ餅の皿を受け取り、
「どちらにせよ、まずは食わねば始まらん。というわけじゃ、戦の前の腹拵えと参ろうか。」
「ええ、では頂きます。」
 3人ともしっかりと手を合わせ、餅に齧りついていった。

 ぴょんと飛び出した4つの耳が揺れる、壇上の一角。
「狐のおねーちゃん……やるにゃ?」
「あたりめーよ……狸は当然として、猫族にも負けられねーぜ。」
 そう言い返しているが、元々大食漢ではない燦にとって餅は、なかなかに強敵だった。
(うう……結構喉に張り付くし、キツひ……。よし、こうなりゃ。)
 懐から取り出したのは、タッパにいれた油揚げ。
 しっとりと甘辛く味付けされたそれで餅を包み、パクリと一口。
「ん~……よし、いける!」
 油揚げの程よい油分も、のどに張り付くのを防いでくれている。
 何より、燦の好きな稲荷寿司と似た味だ。
「餅が喉でへばり付くなら、覆えばいいのさ!」
 どやぁ? と隣の猫又を見ると、
「そのとおりにゃ。」
 猫又が箸でつまんでいる餅は、鰹節で覆われていて……パクリと一口で食べて、こちらもどや顔。
(こ、こいつ……できる!)
「あ、横綱・富乃岡が四股踏んでる!」
「え! どこ、どこにゃ!?」
 てきとうな場所を指して叫んだ燦に騙され、猫又が目を輝かせてキョロキョロとしている間……彼女のお茶にサラサラと注がれる、マタタビの粉。
「わりぃ、見間違いだったみたいだ。」
「……なーんだ、見たかったのににゃぁ……。」
 しょんぼりした猫又が一息つけるのにゴクリと飲み干し……その目がとろんと溶けていく。
「にゃぁ~……。」
「へへ、悪いな……負けられなく、って……。」
 ……そんな燦も、熱いお茶に注がれたマタタビの香りにやられ、
「ふにゃぁ……。」
 猫又と一緒に、壇上で突っ伏してしまった。

「おーっと、早くも脱落者がでてるにゃ!」
「あっはっは! まぁそうだわな、いくらでも出てくるしのう。」
 百地も笑っているが……寄る年波には勝てないのか、最初の勢いも少し落ち着いてきていた。
 もっぱら、丸めた餅に醤油をつけて海苔で巻いた磯部餅を頬張り、
「昔は食い気も張っておったがなァ。あまり悠長にしておられんのう、本来は楽しんで食いたいものじゃが……。」
「ええ、確かに。味もいいのですが、数を食べるとなると悩むところです。」
 応える月館の前には、様々な味付けの餅が並んでいる。
 砂糖醤油、餡子、きな粉……どちらかというと、甘い味付けのものが多い。
「餅は好きなのですが、やはり同じ味では飽きてしまうので。……ああ、次は」
「ふぐッ!」
 ……と、月舘が餅を頼んでいる横で、百地は絶体絶命の危機に瀕していた。
(急いで食っておったら餅が、喉に……ッ!)
「ほう、オススメはずんだですか。なるほど、枝豆で甘く……では、それで。」
(夜彦殿……!)
 声の出せない百地の目の前で、月舘は餅を頼み……、
「2人とも、上品に食ってる暇はねーぞ!」
 鵠石も楽しそうに、大根おろしの絡む餅を頬張っていた。
 なかなかの食べっぷりに、前には空の皿が並んでいる。
(藤子殿……!)
「ほらほら夜彦、八刀丸! どうした、でかいのは図体だけかっ?」
「はは……私も食べてはいるのですがね、なかなかどうして。」
(き、気付いとくれ……!)
 軽口をたたく鵠石に月舘が応え……もう一人の声がしないと視線を向けると、百地が必死の形相で喉を抑えていた。
「八刀丸殿、如何されて……もしや、餅を喉に詰まらせたのでは?」
「……ッて、何やってンだジジイ!」
 ……バンバンと背中を叩かれ、何とか百地の喉から餅が取り除かれていった。
「ヒュー……ヒー……。」
「八刀丸殿、落ち着きましたか?」
「ああ……な、何とか。」
 月館の差し出したお茶を飲み、
「ふう……餅は、洒落にならぬな。」
「まったくだぜ、テメェは歳を考えてゆっくり食いやがれ!」
「すまぬ……戦前にあの世に行くのは避けねばな……。」
「その分はオレが早く食ってやる! だからその皿寄越せ!」
 と鵠石が百地の前から餅の皿を奪い取り、月館にも差し出す。
「夜彦も、無理すんなよ?」
「ええ、心得ています。戦う前に窒息死では、洒落ではすみませんから。」

「お餅を食べるのは気を付けなきゃだめにゃ! だけど、飛び入りの3人の食べてる数は凄いにゃん!」
 ひーふーみー……と司会の猫又が、百地たちが食べ終えた皿を数え、
「……なんかいっぱいにゃ! 他の人達じゃ勝てないくらい食べてるにゃ!」
 おおー! すげー! と歓声が上がっていた。
 会場の皆がこちらを見ている……。
「……そろそろかのう。」
「ええ、頃合いでしょう。」
 すっくと立ちあがる3人。
「お前ぇら、ちょっと空を見ろ!」
 鵠石の声に、村人たちが空を見上げれば……ふわふわと、水が球になって浮かんでいるのが見えた。
「今からあれが降ってくるらしいぞ!」
「そういう事じゃ! おぬしら、城へ逃げるんじゃ!」
「急ぎましょう、時間がありません。」
 百地、月舘も畳みかけ……村人たちも駆け出していく。
 その様を見ながら、
「うまくいったようで何よりですね。」
「まったくだぜ、食べた甲斐があったな。」
「うむ。さて、わしらは戦いに備えるとしようか。」

 一方……
「にゃぁ……あたしらもぉ、逃げなくていいのかにゃん?」
「にゅふふ……はっ!」
 酩酊していた燦が意識を取り戻した時には、すでに眼前に水の球……レディ・オーシャンの魔術、オーシャンボールが迫っていた。
「みんなにげて、超にげ」
「にゃぁ~!?」
 猫又達と共に、海に呑まれていったのだった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『猫又』

POW   :    バリバリ引っ掻くニャ
【両手の鋭い爪による引っ掻き攻撃】が命中した対象を切断する。
SPD   :    猫の本領発揮なのニャ
【両手を地に付ける】事で【四足の型・高速戦闘モード】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    これが猫又の妖術なのニャ
レベル×1個の【鬼火】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。

イラスト:風鈴

👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 村人たちは逃げたのだが……
「にゃー!」
「た、助けてにゃぁ!」
 一部の逃げ遅れた猫又たちが餅を手に、海面に浮いていた。
 そんな彼女らに、レディ・オーシャンが言葉をかける。
「あらあら~? 猫ちゃんたち、たいへんそうね☆」
「見てないで助けてにゃ!」
「ふふふ~、もちろん☆ た・だ・し……。」
 レディ・オーシャンの手からエネルギーが猫又に降り注ぐ。
 青い輝きに包まれた猫又たちは、気が付けば海の上に立っていた。
「た、助かったにゃ。」
「あれ、でも……。」
 体が、動かない。
「ふふふ……今からあなたたちには、猟兵たちをころしてもらいま~す☆」
「にゃあ!?」
 猫又たちの身体が、勝手に動き出す。
 そのまま猟兵たちの方へ駆け出してきた。

「た、たすけてにゃあ!?」
 ……猫又たちは、レディ・オーシャンの魔力に体を操られている。
 何らかの手段で取り去るか、単に気絶させるかすれば、救い出せるだろう。
四王天・燦
沈没しながらレディの所業を見るや不快な表情。
(可愛い猫又たんに何させやがる!)

地面―水底を蹴って浮上。
抜刀して真威解放・神鳴発動で飛翔。
「安心しな、斬るのはお魚ババアだけだ」

(グリモア猟兵様様だ)
事前情報からビニル袋に入れておいた四王稲荷符を取り出す。
袋は海に…いやゴミは持ち帰る

「これが御狐の妖術なのコン」
無理のある語尾。
飛翔突撃し符を貼り付ける。
破魔で悪しき魔法を解くよ。
破魔が通じなければ精神攻撃・気絶攻撃の符で対応。
解放された猫又は溺れないよう回収

符が湿気ったら突撃。
グラップルで抱き着きそのまま水中で口づけ。
生命力吸収で精気吸って気絶させるぜ。
(鰹節の味のかよ!?)
アタシも油揚げの味だけど


百地・八刀丸
【八藤夜】

他の者の身を操って戦うとは士道不覚悟よ
尤も、士道など持ち合わせておらんだろうがな

勿論じゃよ、夜彦殿
罪なき命を奪うわけにはいかぬ。刃を返して峰で打とうか

しかし水の中は厄介よのう
太刀筋が鈍りよる。人の身には中々辛い
が、やりようはある。脇の小太刀を二刀使おうか
攻めと守り、単調ではあるが基本に則って戦えば、何とでもなろうよ
それにワシは一人ではないしな。援護忝うござる
水中ともなれば、足の下も油断出来ぬな
夜彦殿、藤子殿、互いの死角に視線を交えようぞ

水中で気絶した者は大丈夫なのか?
水の外に放り出せれば良いのだが、そんな暇はなかろうか?
藤子殿の乗り物が使えれば……ちと頼んでも良いかも知れぬな


月舘・夜彦
八藤夜】
敵意の無い者を巻き込んでくるとは……
私は悪人でない者を斬るわけにはいきません
彼女達は助けます
お二人共、それでよろしいですね?

レディ・オーシャンの魔力はオブリビオンの穢れに等しい
私ならば「それ」だけを斬れる
破魔の力を付与した抜刀術『断ち風』にて魔力を祓いましょう

水中での移動は水泳
相手も攻撃の為に接近するようですから向かって来る猫又の攻撃は
見切りにて武器受けにて防いだ後にカウンターで抜刀術『断ち風』
複数向かって来る場合は2回攻撃となぎ払い
八刀丸や藤子殿が交戦している猫又も必要であれば援護しましょう

彼女達への手当は申し訳ないですが後程
真に斬るべき相手は、まだ居るのですからね


鵠石・藤子
【八藤夜】
ふぁ…餅で腹が膨れてちと眠ぃな
腹ごなしの運動にゃぁ些か重労働だが
八刀丸、背中をぶっ叩く必要はあるか?
ジジイもこっちの方が得意だろ?

なるほど夜彦の構えは祓うに向いてるみてぇじゃねえか
オレは別にどっちでも構わねぇが
操られてる様な小物を斬っても寝覚めが悪ィからな
援護は任せろ、思いっきりやれ!

見切り、第六感で敵の攻撃を避け
水中が遅いなんて誰が決めた?
ゴッドスピードライドで猫又の周囲を駆け
2人が攻撃しやすい位置へ誘導する
太刀の攻撃は峰打ち、攻撃は加減をしつつ
まァ多少痛くても勘弁しろよ
オレは運転も水も、得意な方じゃねぇからな!

ま、邪魔だってなら倒れた猫又は
バイクで拾って放り出すくらいはしてやるさ



「ふぁ……餅で腹が膨れてちと眠ぃな。腹ごなしの運動にゃぁ、些か重労働だが……。」
「ええ、確かに。それにしても、敵意の無い者を巻き込んでくるとは……。」
「他の者の身を操って戦うとは士道不覚悟よ。尤も、士道など持ち合わせておらんだろうがな。」
 海へを変わることをあらかじめ知っていた猟兵たちは、ぷかりと浮きながら猫又たちを見やっていた。
 月館は刀に手をかけつつ、
「私は悪人でない者を斬るわけにはいきません、彼女達は助けます。お二人共、それでよろしいですね?」
「勿論じゃよ、夜彦殿。罪なき命を奪うわけにはいかぬ。」
 百地も小太刀を2本引き抜き、峰を返して手にしていた。
「峰打ちといこうではないか。」
「オレは別にどっちでも構わねぇが、操られてる様な小物を斬っても寝覚めが悪ィからな。」
 海上に浮かぶ、鵠石の宇宙バイク。
 乗り込んだ鵠石は二人の前に出て、
「オレが誘い出す、二人は」
「可愛い猫又たんに何させやがる!」
 と、一気に水面から飛び出した燦の声が響く。
 レディ・オーシャンのやり方に憎しみに近い表情を浮かべつつ、バチリと紅く帯電する刀を引き抜くと、本職である巫女の姿へと変わって宙に浮かんでいた。
「絶対許さねえからな!」
「熱くなっているところ、失礼を……見たところ、彼女たちを助けるという点では一致しているようです。手を組みませんか?」
 月館の申し出に燦も頷く。
「ああ、あんたらもやりやすいようにやってやる!」
「話が早ぇな、気に入ったぜ! じゃあ行くぞ!」
 鵠石と燦が飛び出し、
「元気な女子らじゃな。」
「ふふ、確かに。では私達も参りましょう。」
「おう、そうしよう。」
 百地と月館も、泳いで猫又たちへと近づいていった。

 一方、猟兵の元へ向かわされている猫又たち。
「にゃあああ!」
「な、なんか来るにゃん!」
 目の前には水しぶきを上げて疾駆する宇宙バイクと、帯電した羽衣を纏って飛んでくる人影。
「にゃああ……こ、怖いにゃあ!」
 言葉とは裏腹に猫又たちは手も水面に付け、猫のようにスピードを上げて一気に近づいてくる。
「おー、結構早ぇなあいつら。」
「それなら好都合だぜ!」
 鵠石たちは水しぶきを上げてくるりと反転し、月舘たちのいる方へと走る。
「に、逃げるにゃん!」
「よかったにゃ……にゃにゃ!?」
 ほっとした……と思ったつかの間、猫又たちは自分の周囲に鬼火を浮かべていることに気が付いた。
 そのまま前を走る二人に放たれる鬼火たち。
「待って待ってにゃあ!」
「……まぁそれくれぇは来るよなぁ!」
 飛び交う鬼火を巧みなハンドルさばきで鵠石が避け、
「だが、その程度なら何とかしてやるぜ!」
 紅の雷が走ったかと思えば、燦の刀に鬼火がかき消されていた。
 実力の差を見た猫又たち……その顔から血の気が引いていく。
「……まってまって待つにゃ無理にゃあああ!」
 水面を駆ける体が止まらない。
 そんな猫又たちの目の前に、二人の侍が浮き上がる。
「うわああでたにゃぁ!」
「……そこまで驚かなくともよかろうよ」
 数人はそのまま鵠石たちを追いかけ……残りは反射的に、強制的に爪を立てて斬りかかる猫又たち。
 その手を、百地は巧みに避けつつ小太刀の峰で受け止める。
「しかし、水の上は厄介よのう。足元が定まらぬわ。」
「ええ、その通りですね。」
 同意した月舘も、黒塗りの鞘に手をかけ、
「……喰らえ、嵐。」
「にゃあああ!?」
 水面を煌めく、蒼銀の一閃。
 月舘の放つ抜刀の一撃は猫又たちの身体を傷つけず、青くまとわりつくオーラを斬り裂いていた。
「見事な一撃じゃな、こ奴らの邪気も晴れたのう。」
「いえ、それほどでも。さて……。」
 周囲を見れば、気絶してぷかりと浮かぶ猫又たち……。
「どうしますかね、この子たちは。」
「うむ……放っておくわけにはいかぬしな。」

「おーい! そっちも終わったか?」
 そんな声に振り向いてみれば、鵠石のバイクの背に気絶した猫又たちが載せられていた。
 ……よくみれば、彼女らの頭にたんこぶができ、稲荷の紋の入った破魔のお札が張られている。
「力ずく、でしたか。」
「し、しょうがねぇだろ、爪で斬りかかってくるんだから。」
「まぁなんにせよ、殺さぬで済むならよしとしよう。こ奴らものせて構わんか?」
「ああ、やってくれ。この子たちくらいじゃ沈まないだろ、多分。」
 こうして手分けして彼女らを積み込んでいると、猫又の1人が沈んでいくのが見えた。
 目ざとく見つけた燦が後を追って飛び込んでいく。
「……気絶しておっては、危険じゃからのう。」

(待ってろ、アタシが助けてやるからな!)
 燦が猫又に泳ぎ着き、力の抜けた身体を抱き止める。
 顔をよく見れば、隣で餅を食べていた猫又だった。
 そのまま口づけ、息を吹き込み……
(鰹節の味のかよ!? ……いやまぁ、アタシも油揚げの味だろうけど!)
 そんなことを考えながら、水面へあがっていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『レディ・オーシャン』

POW   :    ディープシー・ストーム
【激しく渦巻く冷たい海水の奔流】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    「邪魔が入らないようにしちゃいますね〜☆」
非戦闘行為に没頭している間、自身の【周囲を舞う膨大な海水】が【防壁を形成し】、外部からの攻撃を遮断し、生命維持も不要になる。
WIZ   :    ウォータージャベリン
レベル×5本の【海】属性の【当たったものを海水に変える水槍】を放つ。

イラスト:hina

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 何とか猫又たちを外へ運び出した猟兵たち。
 海の中を進むと、レディ・オーシャンが地面に魔法陣を描きながら、鼻歌混じりに杵や臼を拾い集めている。
「ふんふーん、これも持って帰っちゃおーっと☆」
 ……完全に油断をしているように見えた。
四王天・燦
伝説の岡っ引きの如く一文銭を投げて参上

「無理無理、お手上げだ」
防壁を張られたら戦闘中断

「罠を組むから注意してくれ」と仲間に設置個所を伝え盗賊ノスヽメを発動、罠使いに集中。
デストラップに搦めとる罠や、カウントダウン(防水済)と連動させた爆破罠を作る

(半分残ってたな)
毒使いで媚薬(繁殖用)が降る罠も構築

罠発動で戦闘再開。
追加で五文―即ち六文銭、三途の川の渡し賃を投擲し牽制

「電刃居合い斬り!」
接近して電撃属性攻撃の居合いを見舞うぜ

媚薬が効いてりゃ唇を重ねて生命力吸収で精気を奪うのさ。
(しょっぱ!)

あとは猫又達と村の復旧手伝い(を強制)しながら仲を深める。
「正月はうちの神社に来いよ。狸以外は歓迎だぜ」


百地・八刀丸
【八藤夜】

ふむ、油断している、と見せかけておるだけか?
能ある鷹は何とやらとも申すしな
ともあれ、これ以上の暴挙は見過ごせん

さて、水中か
水流には逆らわず、奴に向かう流れに乗ろうか
足掻いては無駄に体力を消耗するだけよ
この老体にはそれが中々堪えよる

夜彦殿の作る機を逃さずようにしたいものだ
水の中ではワシの刃は鈍りよる、刺突を狙っていくとしようか
水を切るような太刀を会得するのも今後の課題よな

藤子殿、挟めるか?
敢えて逃げ道を作るゆえ、そこを狙って貰いたい
どうやら機動力はお主の方が上のようじゃからな

好機とあらばワシが刃、全てくれてやろうぞ
多少の痛手は覚悟の上よ
何、餅を喉に詰めるよりは気が楽じゃよ、カッカッカ!


月舘・夜彦
【八藤夜】
猫又達から被害者を出さずに済んで良かったです
あとは奴を倒すのみ
一筋縄ではいかないと思いますが必ずや阻止しましょう

引き続き水中では水泳の技能を活用
先程に比べて水の流れが随分速い、奴の力なのでしょう
私達では息も長く続きません
なるべく素早い決着を

海水の奔流へ斬撃を放ち、奴を狙います
奔流に合わせて早業の抜刀術『神風』
2回攻撃で1回目に衝撃波を加えた斬撃で奔流を斬り裂き
2回目にカウンターで破魔の力を加えた斬撃で奴を狙います
お二方も隙を狙うならば私の二度目の斬撃にて
凍てつくような水流は激痛・氷結耐性にて耐える

我等の刃、その程度の水流で鈍るはずも無く
刃は多種多様なれど、この地を守る意志は同じ


鵠石・藤子
【八藤夜】
故郷や住み処より、大切な物もそうありません
それを奪うと言う罪、水に流す訳には行きませんね
人格を変えたトーコ

視力で水流を読み、見切り、第六感で敵の攻撃を判断
地形の利用、沈んだ物・窪み等を使い水流を凌ぐ
可能ならばバイクのスピードと機動力で水流に抗う

…無闇に動けないならば、
妖剣解放、遠方から衝撃波で攻撃を
波を重ねて水流を切り裂き
皆で畳み掛けるように、隙を作る
夜彦さんッ、さあ!

好機には色を変え
――ハ、テメェが切り開いた道は逃しゃしねぇよ
高速移動を駆使して接敵、太刀のリーチを活かして突く

食い放題の後は飲み放題ってか?
個体より液体の方がジジイにゃちょうどいいが
飲めもしねぇ海水はお引取り願いたいね



「これもいいじゃない? ついでにいただいちゃいましょう☆」
 いかにも楽しそうに、餅つきの道具を拾い上げているレディ・オーシャン。
「ふむ、油断している、と見せかけておるだけか? 能ある鷹は何とやらとも申すしな。」
 百地の呟きが他の猟兵達にも聞こえている。
 レディの周りはすっかり海水に包まれているが、魔力によるものか呼吸に支障はないようだった。
「あぁ、その事なんだけどな……。」
 先に来て周囲で罠を組んでた燦が勢いよく一文銭を投げると、レディの前で止まるのが見えた。
「あいつ、自分の周りに海水で防壁を張ってやがる。抜け目ない奴だよ。」
「そうか。」
「ですが、指をくわえて見ているわけにはいきませんね。」
 先ほどまでの荒い言葉や態度と変わり、鵠石は状況を見て呟く。
「故郷や住み処より、大切な物もそうありません。それを奪うと言う罪、水に流す訳には行きませんね。」
「同感です、後は奴を倒すのみ。」
 腰の刀に手をかけ、月舘もレディを見やる。
「斬り裂いてやりましょう。」
「あら、猫ちゃんたちはもうやられちゃったの~?」
 猟兵達が来ていることに気が付いたレディ。
「ええ、私達で保護しておきました。」
「後はおぬしを倒し、大団円といこうか。」
「ふふん、できるかしら~☆」
 レディがその手を上げると、周囲の海水が奔流となって襲い掛かってきた。

「させるかよ!」
 燦が手にした一文銭を五枚投げ、罠を起動する。
 炸裂した火炎は泡となり、視界を塞ぐ。
「あんたには、三途の川を渡ってもらうんだからな!」
「できるかしらね?☆」
「いいえ、渡っていただきましょう。この世界に来たからには、」
 月館の目にもとまらぬ抜刀術……衝撃波を纏う斬撃に、冷たい海水が斬り裂かれる。
 泡が消えると、その場にいたのは月舘のみ。
「この世界の理に従っていただく。」
「……そう、本気なのね☆ で、も、」
 レディの後ろに響く、宇宙バイクの音。
 そちらへ海水を放ち、
「そう簡単には、やらせてあげないわ☆ ……っ!?」
 レディへ襲い掛かる、妖刀の衝撃波。
 身体をひねって躱しつつ横に視線を向ければ、バイクの主の鵠石がいた。
「なかなか、やるじゃない?」
「……それでも避けるのね。」
「ふふん、これでもジェネシス・エイトでさいきょー、だから☆」
 と、そんな言葉を交わす中……レディの周りの海水が薄く赤に染まる。
「……あら~?」
「電刃居合い斬り!」
「きゃあ!?」
 泡の影から近づいた燦。
 バチリと雷撃の音が響きながらの一閃に、対処が遅れるレディ。
 そのまま腕を斬り裂かれ、
「夜彦さんッ、さあ!」
「行くぞ。」
「え、ちょっと!?」
 畳みかけるように近づいた、月舘の刀が煌めく。
 破魔の斬撃がレディの足を捉え、さらに横合いから鵠石の妖刀が突き刺さった。
「くっ……あなたたちひぅ!?」
 視界の外から、レディの腹に短刀が突き刺さる。
 百地はその手を短刀から離し、
「とどめといこうか、ワシが刃……全てくれてやろうぞ。」
「あああああ!」
 最初の一撃を追うように、七つの刃がレディの身体を貫く。
 百地の名前である八刀丸、またの名を七刃斎と呼ばれる所以……八つの刃が一刀となる斬撃。
「く……あぁ。」
「そろそろ効いてきた?」
 息も絶え絶え……なのに上気した顔をしたレディを覗き込む燦。
「あな、た……んぅ!?」
 塞がれる唇。
 ……とろんと表情が溶けるレディから燦は口を離し、
「ちょっと媚薬を、ね。」
「ふ、ふふふ……そう、だったの。」
 レディの身体が崩れ、
「あなた達の勝ち、ね……。」
 言葉と共に塵となり、辺りの海水が一気に消えた。

「終わりましたな。」
「あぁ……。」
 月館の言葉に、渋い顔をしていた燦が応えていた。
「ふむ、どうしました?」
「いや……思ったよりしょっぱかった、あいつの口……。」
「カッカッカ! 相手は海の者じゃ、そうであろうよ!」
 笑い飛ばす百地から顔をそらし、燦はぺっぺとつばを吐いている。
「しかし、水を切るような太刀を会得するのも今後の課題よな。夜彦殿のように。」
「いえ、それは私のやり方ですから。相手に合わせ、刀を振るう八刀丸殿にはかないません。」
「なに、老体に合わせておるだけじゃ。やはり斬ってこその刀よ。」
「おーい。」
 と、宇宙バイクをとってきた鵠石が手を振っている。
 見てみれば、バイクに乗るのが得意な荒い性格に戻っていた。
「これで終わりでいいんだよな?」
「おう、そのようじゃ。」
「よっし、じゃあ城までひとっ走りいってくるぜ。終わったって知らせてきてやるよ。」
 言うが早いか、走り去っていった。
「さて、わしらもいくとするか。」
「ええ。」

 こうして、レディ・オーシャンの引き起こした騒動は幕を閉じた。
 建物の一部は海水に押し流されたものの、目立った被害はその程度。
 村人に混ざって猟兵達も復興に努める中、猫又達を率いて手伝わせている燦の姿。
 飽きっぽい彼女らもうまく操り、仕事終わりに告げていた。
 正月はうちの神社に遊びに来いよ、狸以外は歓迎だぜ、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年12月25日


挿絵イラスト