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グリモアベースへと入った猟兵たちを、ポノ・エトランゼ(エルフのアーチャー・f00385)が出迎える。簡単な挨拶を終え、ポノは猟兵へ今回の依頼内容を話し始めた。
「皆さんには、アックス&ウィザーズ世界へと赴いてもらいたいの。
勇者の伝承、クラウドオベリスクの破壊、浮遊城の攻略と一歩ずつ帝竜ヴァルギリオスへ迫っているわけだけど、とうとう天空に浮かぶ広大な『群竜大陸』に到達よ!」
広大であるが故に、問題がある。
「群竜大陸は、帝竜ヴァルギリオスと千の竜が支配する呪われた大地。自然現象や野生生物さえもが牙を剥く、過酷な大地なのよ。
群竜大陸で、まず皆さんが足を踏み入れる最初の地は『魂喰らいの森』。
その名の通り、この森に住む動植物は――それこそ、草一本、蛇や虫一匹、鳥に至るまで、全てが『生物の魂』を食糧としているわ」
生物がその森に入れば、動植物がまとわりつき、体を傷つけることなく魂だけを啜る。
残った肉体は『森の番人』となる。
「襲われ、魂を失い、襲う存在になる――考えようによっては悲しき存在ね。
皆さんには森の番人たちと戦い、森の『核』を探し出してほしいの。
森の核はその森でもっとも強い、森の番人の中にしまわれているわ」
「森の番人たち、と、最も強い森の番人は違う存在なのかな?」
「ええ。たくさん襲いかかってくるのは、魔剣ドラクラ。もっとも強くて核を持つ番人は、悪食と呼ばれるオブリビオンよ」
魔剣はもともとは竜でありながら、竜殺しの剣として加工された存在。
群竜大陸の悪食は、竜を捕食しており、氷・風・鋼の属性を有している。
どちらも強いオブリビオンだ。
魔剣ドラクラは森の侵入者を殺そうと襲い掛かり、悪食が使うユーベルコードは『魂を啜る』効果が付与されている。
「悪食を倒して、核を取り出せば、核の支配する範囲内の森と動植物は全て消滅するの。
これを、一区画ずつ、制圧していこうというわけ」
大陸に橋頭堡を築くのだ――敵地、かつ、不利な状況での戦闘を有利に。
そのための前進拠点。
「と、その前に、英気を養いましょう!
今回、皆さんに訪れてもらうのは、雪の地なの。とは言っても、森の中に入ると気温ががらりと変化するから、雪の地は森の入り口までなのだけどね」
雪の地から小さな丘を越えて、森へ入ることになる。
「楽しく遊んで、美味しい物を食べて、先の戦いに向けて祈って、皆さんの魂の強化をしましょう」
楽しい気持ちは魂喰らいを遠ざける効果がある。
丘にはスノウドロップのような花が咲いていて、歌や踊り、祈りを捧げるのに適した場所となるだろう。
時間はたくさんあるので、小さな雪だるまや雪うさぎを作ったり、イグルーという雪の家を作ったり、思いのままに過ごしてみると良い。
「というわけで、雪を固めるためのコンテナと、食材と調理器具と、薪、諸々用意しといたから、装備していってね!」
ポノが指差した先には、どん! と重量級の荷物が置かれていた。防寒具もある。
使った後は、ポノが後で地道に回収するので置いていってほしい。
「大変な戦いになるだろうけれど、どうか無理はしないように」
そう言って、ポノは猟兵たちを送り出すのだった。
ねこあじ
群竜大陸への一歩。
そのいち「魂喰らいの森」シナリオとなります。
ねこあじです。今回はよろしくお願いします。
第三章に登場する森の番人の悪食は、通常のユーベルコードに「魂を啜る効果」を加えてきます。
第一章に披露した、「楽しい思い出」を強く心に念じるプレイングができれば、魂を啜る効果に対抗できたとしてプレイングボーナスが発生します。
基本的に土日の執筆となるので、執筆スケジュールに合わせてのプレイング受付になるかと思います(大体、水曜か木曜からの受付)。
その際はリプレイ冒頭や、マスターページ、Twitterなどに記載します。
お手数おかけしますが、ご確認の程、よろしくお願い致します。
三章は一括採用となるかもしれませんが、後々考えます。
それでは、プレイングお待ちしております。
第1章 日常
『魂の祝祭』
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POW : 大いに食べて飲んで、力の限り騒ぎ楽しむ
SPD : 記憶に残る華麗な芸や踊り、話術などを披露する
WIZ : 魂が力強くあれるよう、歌や祈りを捧げる
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
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雪を踏みしめる音が、到着した猟兵の足元から鳴る。
行く先には丘。
スノウドロップのような花々を踏まないように、ゆっくりとのぼってみれば視界に入るは、魂喰らいの森。
丘を下って森に近付くほどに雪は溶け、地肌が見える。
ぬかるんだ地面が一筋の結界のようにも思えた。
あそこを越えれば、動物も植物も侵入者の魂を狙い襲い掛かる森となる。
雪の地へと戻り、猟兵は周囲を見渡した。一面、白銀の世界には、今しがたついた足跡。
シートを敷いて薪が濡れないように。
憩いの場の確保と。
丘と丘の間にあるせいか、強い風がないのが幸いだ。
焚火台を設置し、火を熾すとほっとした。ここで適宜、暖を取ろう。
小さな木箱を開けてみれば、赤や青、黄色の実がぎっしりと。
薪の中には細い枝や葉がついたものもある。雪の人形の材料になりそうだ。
最低限の準備を終えて――さて、何から作ろうか。
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プレイングの受付は、
12月11日(水)、朝8時30分からとなります。
締切は(達成可能な数のプレイングが来ていたら)、
14日土曜日午前中いっぱいとさせてください。
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四王天・焔
燦お姉ちゃん(f04448)と一緒
WIZ判定
■心情
森の中は危険が一杯みたいだから
此処でしっかりと英気を養っておかないとね。
■行動
燦お姉ちゃんと一緒に、かまくらを作るよ。
「わーい、雪が沢山積もっているね、楽しいなー!」
そうやって、燦お姉ちゃんに肩車して貰ったり、協力して作業。
かまくらの中では、フォックスファイアを燦お姉ちゃんと一緒に使用して暖をとる事にするよ。
「これから危険な冒険が待っているんだけど、お姉ちゃんと一緒なら頑張れる気がするよ」
【歌唱】で歌い、皆を元気づけたり
【祈り】で皆の無事を祈りつつ、かまくらの中で過ごす事にするね。
四王天・燦
焔(f04438)と群竜探検隊
「寒いからカマクラ作ろう。瞑想したくても無理!」
焔とかまくらを作る。
高い所はお姉ちゃんが肩車するんだ(シスコンの気がありデレデレ)
物足りないものを感じ物資をチェック。
小箱本体を頂戴して側面の対面二枚を切除。
毛布を掛けて中にお湯を入れたボトルを入れれば…簡易炬燵の完成だ。
火力弱のフォックスファイアでカマクラの中を温めウトウト瞑想…
「っと、寝たら死ぬ」
覚醒して祈りと破魔を込めた守護の符を書き書き…ぺちんと焔の背中に貼るのさ。
「お姉ちゃんからの御守だ」
妹の無事を願えば後は自分の瞑想タイム。
(お前さん達を餌にするかってーの)
宿した魔物娘たちの魂に心中で囁き心を強く持つぜ
白銀の世界。
そこに新たな足跡をつける、四王天・焔(妖の薔薇・f04438)は弾んだ足取りで。
「わーい、雪がたくさん積もっているね、楽しいなー!」
くるりと回ってみれば、焔の足で描かれる小さな円。
そんな妹の後をゆるりと追いながら四王天・燦(月夜の翼・f04448)はふるりと震えた。
「焔ー、寒いからカマクラ作ろう」
瞑想したくても無理! と言った燦の狐耳はほんの少し伏せの状態で、焔の狐耳はぴこんと立ち、時に跳ねている。
「うん、かまくら作るよー! 雪、たくさん集めないとね」
簡単な作り方は、コンテナを利用することだ。
「こうやって、雪を入れて固めて」
燦が雪を積めたコンテナをひっくり返せば、四角の雪のブロックが出来上がった。
それを作り、積み重ねていく。
「煉瓦を積んでいるみたいだね」
積んだ雪ブロックの隙間を、雪で埋めていく焔。
円状に積んでいくと、どんどんと高くなっていって、そういう時は協力して積んだ。
「ほら、焔」
焔を肩車して、雪のブロックを持った燦が手渡す。
「はーい。っと、燦お姉ちゃん、こんな感じでいいかな?」
「ああ、大丈夫だな。そんな感じだ」
妹は可愛い。
どこかとろけるような声色になっている燦であったが、妹が可愛いのだからしょうがない。
「わーい、かまくら完成したねー!」
ぽふぽふと手袋をはめた手で焔が『かまくら』を叩けば、しっかりとした感触。
「うん、いい運動になったな」
中に入って見渡して、燦は何か物足りないなぁと皆で運んできた物資のところへ。
「あ、そうか。これ、借りて行くぜ」
火の番をしていた猟兵に声を掛け、小箱をひとつ。そして沸いた湯をボトルに貰う。
「お姉ちゃん、何か作るの?」
「ん? まあ見てなって」
箱をひっくり返せば簡易の台。
その側面の対面となる二枚を切除する。
「毛布を掛けて、中にお湯を入れたボトルを入れれば――」
「あ、こたつだね!」
「そう、簡易炬燵の完成だ」
わあっと喜ぶ焔に、にっこり笑顔で頷く燦。
かまくらの中に炬燵。魅惑的な組み合わせだ。
いそいそと入ってみれば、あったかい。
そして火力を弱めた姉妹の狐火を、ふわりふわりと浮かべて。
「はー、あったかい」
「あたたかいねぇ」
のんびり口調になる四王天姉妹。
のんびり、うとうとと……ハッと我に返る燦。金の目が見開かれる。
「っと、寝たら死ぬ」
そう、瞑想、これは瞑想なのである。
先程切り取った板を簡易炬燵の上に乗せて――ますますこたつっぽくなったソコで、祈りと破魔を込めた守護の符を書き書き。
「焔」
「なぁに、燦お姉ちゃん」
焔の背後に回った燦は、少女の背にぺちんと符を貼った。
「お姉ちゃんからの御守だ」
「わあ、ありがとう!
お姉ちゃんと一緒なら頑張れる気がするよ」
にこっと笑顔になる焔。
四王天姉妹のかまくらからは、仲間を元気づける歌が聴こえてくる。
歌声にのるは、皆の無事を祈るもの。
焔の歌を聴きながら、焔は静かに瞑想へと入った。
感じ取れるのは彼女たちの気配。
(「お前さん達を餌にするかってーの」)
燦が護りたいものはたくさん。一つ、また一つと、魂を心で掬い、燦は囁き続けた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
城島・冬青
【橙翠】
防寒対策はバッチリ!
戦争で雪合戦をした時にかまくらについて触れましたよね?
つまり!
そう今こそかまくらをする時だと思うんですよ
かまくら作って火鉢置いて鍋をしましょう!!
アヤネさんのウロボロスと協力してスノーハウス型のかまくらを作ります
ウロボロスくんはほんと便利ですねー
無事にかまくらを作り上げたら前で記念撮影しましょう
はいはい!笑って〜!!
戦う前から少し疲れましたが
暖かい鍋を食べれば元気も回復しますよ
鍋は根菜が沢山入ったものに
お芋に人参に玉葱にキャベツ
あ、ソーセージも忘れずに!
出来上がっていうのもなんですが鍋というよりポトフですね…まぁ温まるからいっか
ささ、アヤネさん
どうぞ召し上がれ!
アヤネ・ラグランジェ
【橙翠】
ああカマクラ?
そうネまさにナイスタイミング!
じゃあ一緒に作ろうか
鍋の用意も頼むネ
かまくらの作り方を聞いて
雪の煉瓦をソヨゴと一緒にせっせと作ろう
電子ゴーグルで完成予想図を3D表示
その通りにウロボロスに積み上げさせて
継ぎ目を固めて出来上がり
ちょっと疲れたネ
記念撮影?いいとも
ウロボロスはシャッターも押せる
氷の家なのに思いのほか暖かい
でもさらに火を使って大丈夫?
不安は目の前の鍋で帳消し
おおこれは温まりそう
ほふほふいただきます!
やっぱりソヨゴの作る物は美味しいネ
人心地ついたところで
外から小さな雪だるまを二つ持って来て並べる
緑色の目とオレンジ色の目
鍋を作っている間に作っておいたの
かわいいでしょう?
「アヤネさん、雪! 雪ですよー」
白銀の世界を見渡して、城島・冬青(六百六十九番目の宿木・f00669)が弾んだ歩みで足跡をつけていく。
アヤネ・ラグランジェ(災魔・f00432)は吐く息の白さ、刹那に煙る視界のなか、そんな冬青の後を追った。冬青の話は続いている。
「ヒーローズアースの戦争で、雪合戦をした時にかまくらについて触れましたよね?」
つまり! くるりと振り返る冬青。
「そう、今こそ! かまくらをする時だと思うんですよ」
あの時のことは記憶に新しく、「ああ、カマクラ?」とアヤネは頷いた。
「そうネ、まさにナイスタイミング!」
「はい、かまくら作って、火鉢置いて、鍋をしましょう!!」
すっかりやる気な冬青の様子に、再びアヤネは頷く。
「うん、で、ソヨゴ。カマクラって、どうやって作るのかしら」
雪を集めて踏み固めて、というやり方は時間が掛かるし労力もいる。
「コンテナに雪を積めて、ひっくり返せば――はい。雪の煉瓦の出来上がりです~」
「なるほど。量産して、煉瓦のように積み上げていけばいいんだネ」
せっせと二人で雪の煉瓦を作る。
量産できたところで、アヤネは電脳ゴーグルで電脳世界を展開し、スノーハウス型かまくらの完成予想図を3D表示にした。
あとは、図の合わせてウロボロスを使って積み上げていくだけだ。
「ウロボロスくんはほんと便利ですねー」
ほお、と白い息を吐き、感心の声をあげる冬青。
積み上げつつ、ブロックの隙間に雪を詰めていく。
ウロボロスをとっておいた隙間から中に入れ、閉じられたドームの内側から叩き、出入り口を作った。
「上手にできましたー!」
わあい、と。視界いっぱいのかまくらに沿うように、冬青は両腕を上げたり下げたり。
「ちょっと疲れたネ」
アヤネが呟く。
雪を集めて、コンテナで固めて、と結構な重労働だった。
「ですねー、戦いを前に少し疲れてしまいましたが、暖かい鍋を食べれば元気も回復しますよ」
おたのしみはこれからだ。
その前に! 冬青。
「記念撮影をしましょう」
せっかくかまくらを作ったのだ。記念に撮っておかないと。
いいとも、とアヤネもにっこり頷く。
シャッターはウロボロスに任せて、
「はいはい! アヤネさん、笑って笑って~!!」
かまくらと、満面の笑顔のふたりの記念の一枚。
氷の家は、冷たくてほんの少し暗くて、外と変わらず寒そうなのに、思いのほか暖かい。
火を入れたらさらに暖かくなった。それでも雪家の中なのでひんやりとしていたが、防寒対策はばっちりだ。
それにしても。
火を使って大丈夫なのかしら、と不安に思うアヤネ。
雪は火に溶けるという道理。
冬青は料理に夢中だ。
待っている間に色々しながら調べてみれば、雪の持つ断熱性について成程と思うも、やっぱり不思議だった。
外に出ていたアヤネは、かまくらの中を覗きこむ。
出来上がりそうな気配を感じ、中へと入った。
くつくつと、吹きこぼれないように、火の加減を見ていた冬青が「そろそろかな」と呟いて鍋の蓋を取る。
もわんと湯気が立ち、美味しそうな匂いがかまくらの中に充満した時、アヤネの不安は吹き飛んだ。
「おお、これは温まりそう」
鍋の中には根菜がたくさん。
お芋と、玉ねぎ、キャベツ――そしてニンジン。ちゃんと飾り切りにして、可愛くしていた。
味も染みて、きっと美味しいはずだ。ほくほくと、噛めば解けるやわらかさ。
あとはソーセージも。食べたらきっと肉汁がぶわっと口の中で広がるはず。
「出来上がっていうのもなんですが、鍋というよりポトフですね……まぁ、温まるからいっか」
器によそいながら、うん、と頷く冬青。
「ささ、アヤネさん。どうぞ召し上がれ!」
「いただきます!」
ふーふーと息を吹きかけて、程よいところでぱくり。
でもやっぱり熱くって。
口の中で熱を逃せば上手く噛めなくて、けれど早く早くと、ほふほふしっかり味わう。
「――ん、やっぱり、ソヨゴの作る物は美味しいネ」
にっこりとアヤネが言う。しあわせの味だ。
「えへへ、ありがとうございます」
同じように食べて、冬青もにっこりと。
あたたかな食事に、先程まで感じていた寒さはすっかり溶けてしまったようだ。
ごちそうさまをして、お腹を休めてのんびり。
と、アヤネがかまくらから出て行く。
「アヤネさん?」
「ちょっと待ってて――」
言葉通り、ほんの少し待つだけでアヤネは戻ってきた。
大事そうに、小さな雪だるまを運んでくる。雪だるまは二体だ。
「鍋を作っている間に作っておいたの。かわいいでしょう?」
「か、可愛いです! わあ、雪だるまだ~」
緑色の目の雪だるま。
オレンジ色の目の雪だるま。
仲良く並べた雪だるまを、二人並んで鑑賞する。
「アヤネさん、記念撮影しましょう……!」
「そうだネ」
たくさん、たくさんの思い出。
二人の心に降り積もるように、またひとつ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アルノルト・ブルーメ
ついにここまで来た、と感慨に耽っても良いだろうかね?
尤も、ここからが本番なのだけれどね
雪原で楽しく遊ぶ、という年頃でもないからね……
まぁ、美味しい物でも用意しながら火の番をしておこうかな
身体の芯から温まる野菜と肉、たっぷりのスープ
肉も軽く炙って、暖を取りに来た人達が
食べたいようなら本格的に火を入れて
焦げない程度に火の傍に置いておいた
温かいパンに挟んで召し上がれ?
火を入れ過ぎると肉は硬くなる
仕上げの過熱は、注文を受けてから
あれ?注文?まぁ、細かい事はいいかな
成人組にはアルコールもね?
Severiを温めて振る舞おうか
勿論、後の戦闘に支障がない程度で、だよ?
未成年組には温かいお茶かホットのジュースを
櫟・陽里
料理上手のエリシャさん(f03249)が
温まる料理を作ってくれるってさ!楽しみー!
鍋料理を(できれば他の参加者とも)分け合って食べたら
心も体もぽっかぽかだろ!魂強化ッ!
出身宇宙船が工業船で食料調達に弱かったから
保存がきく銀パウチの宇宙食で育ったんだ
だから食材の知識が潰滅的…そう、切り身はそのまま泳ぐと思うほどに
目の前の実が樹上の物か土中の物かピンとこないほどに
でもメカニックだから手先は器用
指示さえくれれば手伝うよ
どんな風に育つ作物なのか知るのも楽しいな
命をいただく、感謝と祈り
元の食材を見て実感湧いた
コイツらの分までちゃんと生きなきゃな
こんな美味い料理を知らなかったなんて人生損してた!
おかわり!
エリシャ・パルティエル
陽里(f05640)や一緒に訪れたみんなに料理をふるまうわ
寒さには慣れないわ……身体の芯から温まるシチューにしましょう
ポノが運んでくれた食材を吟味
鹿肉や見たことはないけれど美味しそうなきのこや根菜類を使ってみるわ
(陽里の言葉に)あたしからしたら銀パウチに栄養が詰まっていることがとっても不思議
動物を食べることは命をいただくことなの
感謝と祈りを込めて一つも残さずにいただくのよ
陽里も手伝ってくれるの? じゃあこの皮むきお願いするわね
根菜はね、土の中で育つのよ
出来上がったシチューをみんなに配る
空腹だと元気でないもの
それにみんなで食べる食事はより一層美味しいわよね
ふふ、おかわりはたっぷりあるわよ
小宮・あき
魂喰らいの森、ですか。
この世界には何度も足を運んでおりますが、また恐ろしい敵が現れましたね。
しかし、私は聖職者。心穏やかに神に祈りを捧げましょう。
UC【主の祈り】と、同じ内容の歌を歌います。
(UC発動はしません)
讃美歌(聖歌)を技能「歌唱」で歌いましょう。
心からの技能「祈り」を込めて。
ええ、この祈りと歌は、魔剣ドラクラの対抗策でもあります。
私は聖職者。神に仕える敬虔な教徒。
私は神のために、ただ歌います。
もし皆さんも楽しんでいただけるようなら、とても嬉しいな。
火番を買って出たアルノルト・ブルーメ(暁闇の華・f05229)は薪を足し、火の調整。
こことは別に、櫟・陽里(スターライダー ヒカリ・f05640)と共に調理用の場所を用意し、細枝に宿った火を運んだ。
「アルノルトさんは、雪で遊ばなくても大丈夫ですか?」
あっちこっちにスノーハウスを作ったり、丘に登って散策する仲間たちを見守っていた小宮・あき(人間の聖者・f03848)が振り返り、言った。
うーん、とアルノルトは苦笑めいた表情。
「雪原で楽しく遊ぶ、という年頃でもないからね……まぁ、僕たちは美味しい物でも用意しておこうか」
「こんなにも寒いのだし――そうね、身体の芯から温まるシチューにしましょう」
寒さに慣れない様子のエリシャ・パルティエル(暁の星・f03249)が、空鍋を持って、運んできた食材のチェック。
「あ、お手伝いします」
「あら、ありがとう」
あきがそう言って、食材を選んでいくエリシャから鍋を受け取った。ぽいぽいと入っていく食材。目を瞬かせたあきは、吟味するも「これだ」と迷いのない様子のエリシャに感心した。
「鹿肉もあるのね、こちらの根菜やきのこは見たことがないけれど使ってみるわ」
「エリシャさんは料理上手だからな! 楽しみー!」
にかっと笑む陽里の声は元気だ。弾んでいる。
「鍋料理だっけ?
分け合って食べたら、心も体もぽっかぽかだろ! 魂強化ッ!」
あきの持つ鍋はあっという間にいっぱいになり、次の鍋を構えて待つ陽里。
「あとは、パンも」
アルノルトがパンを、盆代わりにした網にのせていく。
「お、パンもあるのかー」
パンは分かる、と頷く陽里。
わかる? と不思議そうな表情を浮かべる面々に、頬をかきつつ、陽里は言う。
「俺、出身が宇宙の工業船で、食料調達の面に弱かったから、保存がきく銀パウチの宇宙食で育ったんだ」
「宇宙食、ですか?」
空を見上げて、あき。そうそう、と頷く陽里。
「だから、俺は食材の知識が潰滅的……そう、切り身はそのまま泳ぐと思うほどに!」
しかし、切り身は泳がなかった。『魚』だと、彼は知った。
「この実もな、樹上の物か土中の物かピンとこないんだ」
「実には違いないけれど、それはお芋ね」
「芋だね」
エリシャのツッコミめいた声色。頷き同意するのはアルノルト。
「……お気持ち、ちょっと分かります」
陽里に向かってゆるやかに頷くは、あき。お嬢様育ちなので、こうやって色々な『食材』を手に取るのも新鮮なものだった。
「根菜はね、土の中で育つのよ」
手伝いたそうに、うずうずとしている陽里に、エリシャが手にしている芋皮の剥き方を教える。
「あたしからしたら、銀パウチに栄養が詰まっていることがとっても不思議。動物を食べることは命をいただくことなの」
手にした鹿肉は、冷たいけれど、ずっしりと重い。生きてきた鹿が色々な経験をして成長した証である。
「感謝と祈りを込めて一つも残さずにいただくのよ」
いのち。
例え土から離されても、樹から落ちても、『実』は生きている。
「そういえば、雪の中で育てたり、保存すると、味も甘くなったり深みが増したり、まろやかになったりするらしいね」
刈り取って終わりではないのだ。
アルノルトの言葉に驚きの表情を見せる陽里。
芋の皮を剥けば、なめらかな、やわらかな色の実。手先は器用なのだろう。コツを掴んだ陽里は芋の皮を早々剥き終え、次の食材に向かい合った。
コトコト煮込んだシチューが出来上がれば、匂いにつられて散策から戻ってきた猟兵。
そして一仕事(雪だるま作り)終えて戻ってきた猟兵たちが、用意されていた料理に目を輝かせた。
「どんどん食べてね。体もあったまるわよ」
器によそい、シチューを配るエリシャ。
「アルノルトさん、お肉の串焼きはどんな様子かしら?」
「良い頃合だよ」
肉を軽く炙って、串焼きを作っていたアルノルトは本格的に仕上げの加熱。
じゅわりと脂が落ちた場所では、刹那に炎が強くなる。
火の傍にパンも置いてあって、どちらもアツアツだ。
木の盆にのせて、いただきます! と食べていく仲間たち。
「美味しいです」
食べているとあったかくなる。火照った頬で言ったあきは笑顔。
「コイツらの分までちゃんと生きなきゃな」
命をいただく、感謝と祈り――元の食材を見て実感の湧いた陽里。だからこそのいただきますなのだろう。
あたたかな料理。
焼いた肉は噛めば噛むほど、深みが増す。
「こんな美味い料理を知らなかったなんて人生損してた! おかわり!」
空になった器に、くすくすとエリシャが笑う。
「空腹だと元気がでないもの。それに、みんなで食べる食事はより一層美味しいわよね」
おかわりはたっぷりとある。
器に二杯目をよそい、エリシャは陽里に差し出した。
食事の後は、アルノルトの淹れた温かな紅茶を手に。
アルコールが大丈夫な成人組には、ほんの少しSeveriを入れると甘く芳醇な香りが立った。もちろん、希望者には温めたSeveriを振舞って。
食後の話題は、これから踏みこむ魂喰らいの森のことだ。
「この世界には何度も足を運んでおりますが、また恐ろしい敵が現れましたね」
あきが言う。
森の番人たち。
生物の魂を糧としている数多の存在。
小さな虫が勢いよく群がれば、あっという間に魂は啜られてしまうだろう。
「砂が纏わりつくのと同じかしらね」
砂漠の街の出身であるエリシャが、砂嵐の様を思い出し、呟く。あのような感じで羽虫などに群がられたら、たまらない。
かつての勇者たちが進んだ地。
しかし猟兵たちにとっては未踏の地。
何が待ち受けているのか分からない。
ふと、あきが一音。
ひとつの音から続いて紡ぐは主の祈り。
群竜大陸に入ったばかりの猟兵たちの心を、澄み渡る空のように、高く、清らかな聖歌が包みこむ。
「素敵な歌ね。穏やかで、そして不思議と勇気づけられるわ」
一つを歌い終わったところで、エリシャ。
こくりとあきは頷いた。目を瞑り、魂在る胸に手をあてる。
「ええ、この祈りと歌は、魔剣ドラクラの対抗策でもあります。
私は聖職者。神に仕える敬虔な教徒」
あきは神のために、ただ歌う。
戦いの前の高揚感。
昂る心に、まだその時ではないと落ち着かせる、清い声を聴きながら。
ゆっくりと。
猟兵たちは群竜大陸の空気を吸いこんだ。
大地とは違う、空の気を。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
木元・杏
うさみみ付の帽子を被り
首にはリアルトカゲの像が入った御守り袋を下げて
はふ、と白い息を吐く
白銀の丘
ガランサス・ニバリスの咲く山頂のよう
以前足跡を辿った勇者を思い出す
勇者ヤトゥもこの丘に来た…かな
きょろきょろともう一度見渡し
ん、あった。ナールの神殿に似た大樹
花を踏まないよう気をつけて大樹に近付き
木箱から頂いた赤い実をそっとお供えする
…ニバリスがいない
ん、と雪でとかげの姿を何体も造り、目に小さな赤い実をきゅっと入れていく
ここはナールの神殿ではないけど
でも、ここにはヤトゥの気持ちが残ってる気がする
…ヤトゥの指輪、きっと見つける
目を閉じて祈りを捧げる
これまでの冒険と、これからの冒険に楽しい期待を込めて
白銀の世界であった。
はふ、と、木元・杏(たれあん・f16565)の吐く息は、視界が刹那に煙り、ふわふわと空に向かって舞い上がっていく。
白銀の丘を少しずつ、ゆっくりと登っていく杏。ほんの少し入る緑は、スノウドロップのような花の葉茎だ。
ふかふかの手袋を胸元にあてれば、防寒服越しにトカゲの像の形が感じ取れた。首から下げた御守り袋の中にちゃんとある。
登りながら、いつか訪れたアックス&ウィザーズの山頂を思い出していた。
伴い、呼び起こされる勇者の意志。あの時辿った足跡は山頂に繋がっていた。
このスノウドロップのような花は、ガランサス・ニバリスなのだろうか。
ふと、虹色を見つけた気がして目を凝らす。
「勇者ヤトゥもこの丘に来た……のかな」
丘の上で、きょろきょろと見渡していると風が吹き、杏の被った帽子に付いたうさみみがふわふわゆらゆらと。
「ん、あった」
花を踏まないように気を付けて。
探していたものを見つけ再び歩き出した杏の、まっさらな雪につく足跡。
探していたものは、樹であった。
この群竜大陸に、魂喰らいの森の前に、ずっと生きてきた大樹。
大樹の前に立って、はふ、と息を吐く。
手袋を取って、そっと触れてみれば、冷たさを感じたが、確りと息吹いているであろう気の流れ。
勇者たちもこの樹に触れたのかもしれない。まだまだずっと、昔、若樹であった頃。
ポケットからハンカチを取り出す杏。その手つきは丁寧なもので、理由は直ぐに明らかになった。
ハンカチに包んだ赤い実は、運んできた木箱の中にあったものだ。
しゃがみ、膝に乗せたそれから、ひとつひとつ、大樹に供えていく。風に飛ばないよう、転がりおちないよう、デコボコとした根元の間に並べて。
ふと。
「……ニバリスがいない」
ガランサス・ニバリスからひょこりと顔を覗かせたトカゲの姿。白の身体に時折走る虹の色。
彼らを思いだし、杏は雪でトカゲの姿を造る。
一体、二体と、作って彼らの目の部分には赤い実を。
「ここはナールの神殿ではないけど」
――でも、ここにはヤトゥの気持ちが残ってる気がする。
スノウドロップのような花が咲く丘。
時に、光加減によって一部の花に現れる虹色。
「……ヤトゥの指輪、きっと見つける」
トカゲの雪像に埋め込んだ赤と同じ、赤。
目を閉じれば、その残滓が瞼にあらわれる。
杏は祈りを捧げた。
これまでの冒険と――これからの冒険に、楽しい期待を込めて。
大成功
🔵🔵🔵
泉宮・瑠碧
…群竜大陸は…森までが、そんな悲しい地に…
…だが、手前までではあるが
花が咲ける場所もあるのは良かった
スノウドロップに似ているが…強い子だな
咲く花の傍に居ると落ち着くので
踏まない様に気を付けて傍に居よう
皆が思い思いに過ごす姿を微笑ましく眺め
小さな雪うさぎを作ろう
そして祈る
たとえ歪んでいても
森や動植物が消えてしまうのは…可哀想には思う
それでも
生き物が絶えれば彼らは糧が無くなり、いずれ滅びるのなら
…送った方が良いのだろう
花をそっと撫でて
…あの森の子らがいつか
君達の様な穏やかな生き物としてこの地に根付いたら…迎え入れてあげて
そして、ひっそりとでも愛されて生きる場になれたら良い
そんな理想に想いを馳せる
陽光に反射する白銀の世界。
そのなかで、どこかあたたかな白が風に揺れていた。
シャラシャラと葉や花が擦れあう微かな音が泉宮・瑠碧(月白・f04280)の耳に届く。
「……ここが、群竜大陸……」
丘の上に立てば、視界には遠くまで広がる森。外から見ても淀みの分かる場所。
(「魂喰らいの森――……森までが、そんな悲しい地に……」)
だが、と瑠碧は思う。
森に入る手前の丘。
「花が咲ける場所があって……よかった」
スノウドロップのような花の群れ。花たちを踏まないように、すこし開けた場所で瑠碧は辺り一帯を見回した。
大陸の中心へと入っていく風に乗って、今度は仲間たちの気配が瑠碧の元に届いた。
かまくらを作ったり、雪だるまを量産していたり、火の番をしながら皆で食べる物を作っていたり。
散策したりと、皆それぞれ自由に過ごしていて、様々な『祈り』を感じ取ることが出来た。
そんな仲間たちの様子は微笑ましく、瑠碧の表情も緩く綻ぶ。
ふと、瑠碧は足元の雪を集め、小さな雪うさぎを作ってみた。
それは雪像であった。魂は無く、けれど、瑠碧の気持ちがこめられたもの。
彼女は祈る。
(「たとえ歪んでいても、森や動植物が消えてしまうのは……可哀想には思う」)
その時、一羽の鳥が空を行こうとしていた。
瑠碧は鳥へと声を届け、呼び寄せる。
精霊杖を傾ければ、そこに降りてくる鳥。挨拶をし、胸元から羽部をそっと撫で、森には行かないようにと話しかける。
(「生き物が絶えれば、糧が無くなり、彼らがいずれ滅びるというのなら」)
「……送った方が良いのだろうな」
再び飛び立った鳥は来た空を戻るように――見送りながら瑠碧は呟いた。
雪うさぎがひとつでは寂しかろうと、瑠碧はもう一体、雪うさぎを作る。
花に寄り添うように、並ぶ二体の雪うさぎ。
天鵞絨のように滑らかな花弁に触れてみる。
「スノウドロップに似ているが……強い子だな」
風に揺れる花は瑠碧の指をくすぐるように。
「……あの森の子らがいつか、君達の様な穏やかな生き物としてこの地に根付いたら……迎え入れてあげて」
そして、ひっそりとでも愛されて生きる場になれたら良い――そんな穏やかな世界を願い、瑠碧は想いを馳せた。
大成功
🔵🔵🔵
クララ・リンドヴァル
『群竜大陸』。千の竜住まう忌まわしい地……。
初めて聞いた時は誇張表現か何かと思っていましたが、文字通りの意味と取って良いでしょう。
まずはしっかり準備を整えないといけません……ね。
小さい雪だるまを作ります。
雪玉を転がして、小さなスコップでぺしぺしと叩いて固めます。
普段は行わない作業ばかりですが、繰り返すたびに形が整っていく気がします。
それが嬉しくて、夢中になって量産します。
おおむね形が出来たら目に選ぶ木の実の色はオレンジ。口は小文字のVみたいな。雪だるまの顔って個性が出ますよね。
残りの雪だるまで表情のバリエーションを増やしましょう。と言いつつも、結局似たようなものが雪原に並んでしまうのでした。
「……ここが『群竜大陸』……千の竜住まう忌まわしき地……」
天空に浮かぶ広大な地。クララ・リンドヴァル(白魔女・f17817)は丘の上に立ち、目を細め、そのオレンジ色の瞳で、猟兵にとって大陸最初の戦場となる魂喰らいの森を眺めた。
(「――初めて聞いた時は誇張表現か何かと思っていましたが、文字通りの意味と取って良いでしょう」)
生あるものをことごとく蹂躙する、過酷な大地。
「まずは、しっかり準備を整えないといけません……ね」
クララはこくりと頷いた。
しゃがんだクララは、その手に雪を集めてぎゅぎゅっと丸く、固めた。
やった、雪玉の出来上がり――……いや、まだまだ。
雪玉を転がして、転がして、時折小さなスコップでぺしぺし叩いて固める。
「丸く、……まるく」
雪を掬って雪にまぶし、ぺしぺしぺし。
そうして出来上がった小さな雪だるま一体目は、ちょっと歪な形になってしまった。
「……コツを、掴みはじめたような気がします」
時々、火の番をしている猟兵たちの元に行って温まりながら、お茶をいただいて。
次は上手く作りましょう、と再び雪だるま作りへ。
クララにとって普段は行わない作業であったが、転がしてぺしぺし叩いて作っていくと、次第に丸く、まぁるく、仕上がってきた。
「…………」
二歩、三歩と下がってクララは出来たばかりの二体目を眺める。
バランスの良い雪だるまだ。
彼女のオレンジの瞳は、嬉しそうで、そして誇らしそうな輝きを静かに宿す。
三体目、四体目――と夢中になって量産していたクララに、「ごはんだよ」と声がかかった。
はっと我に返って、一旦休憩だ。ごはんは、仲間たちが作ったシチューと、温かいパン。
皆の話を聞いてみれば、雪うさぎを作ったり、祈りの儀式をしたりとそれぞれ自由に過ごしているようだ。
まだ作業を残しているので、クララは木箱から色のついた実を集め、小枝を手に雪だるまの群生地に。
「目の色は……ん、これですね」
オレンジ色の木の実。口は、V字のように小さな枝をつけて。
「雪だるまの顔って個性が出ますよね」
と言いつつも、出来上がっていく表情は、笑顔、にっこり、にこちゃん。
「……表情のバリエーションを増やしましょう」
こまったちゃん、おこったちゃん、にこちゃん。
「……こう、叫び的なものとか……」
雪だるまのほっぺを削ってみたり。
と、遊んでいたら、人心地ついた仲間も参加して、結局は笑顔の雪だるまばかりになっていくのであった。
大成功
🔵🔵🔵
シリン・カービン
本来、狩猟の前にはある種の呪いを行う仕来りがあります。
獲物が獲れるように。無事に帰れるように。
森の精霊に祈り、感謝を捧げる儀式。
オブリビオンと戦うようになってからあまり行っていませんでしたが、
今日は幸い余裕もあるようですし、久しぶりに行うとしましょう。
冬用の儀式に必要なものを集めます。
ポノが用意してくれた木箱の中にも使えそうなものがありました。
雪と小枝で拵えた小さな祭壇に雪と木の実で作った動物の像を供え、
高く、低く、透き通るような声で呪いを謡います。
謡っていると、静かに意識が澄んで行くのを感じます。
自然への感謝を捧げ、生命の循環を繋げる猟師の矜持を身に染ませ。
……さあ、狩りの時間です。
用意された木箱。
その中身を見たシリン・カービン(緑の狩り人・f04146)は、火の番を買って出た猟兵に「幾つか木の実を貰っていきますね」と告げ、支度をする。
木の実は懐に。少しの小枝を束にして持って。
一人、丘をのぼる。
白銀の世界。
何者の足跡も無い先の世界。
足跡を残すのはシリンだ。
一歩、一歩、冬の世界を進んでいけば大自然の中に在るのだと。
丘を越え、魂喰らいの森へ向かうように丘を少し下る。
「オブリビオンと戦うようになってからあまり行っていませんでしたが――」
雪を集めて、形作る。
「――今日は幸い余裕もあるようですし、久しぶりに行うとしましょう」
そう言って雪と小枝で小さな祭壇を拵えたシリンは、次は……、と呟き、再び雪をかきあつめた。
祭壇の前に、雪と木の実で作った動物の像を供える。
狩猟を行う前に、ある種の呪いを行う仕来りがあった。
――獲物が獲れますように。
――無事に帰れますように。
森の精霊に祈り、感謝を捧げる儀式。
体の力を抜き、空と、魂喰らいの森を見て、緩やかに目を閉じる。
すう、はあと深呼吸。
群竜大陸の空気を我が身におさめていく。
ゆっくりと肺に取り込んだ気を、全身に行き渡るように、馴染ませる。
そして、高く、低く、透き通るような声で呪いを謡った。
すべての魂を喰らう森と、シリンの紡ぐ言霊。
謡い、謡い、謡えば、シリンの心に一滴の如き一音がふっと落ちてきた。
波紋のように一輪が広がる――意識が澄んでいく。
シリンはゆるりと目を開いた。
緑色の瞳に映る、歪みの森。群竜大陸の外周から吹きこんだ風が、森に入り、そして息絶える。
自然への感謝を捧げ、生命の循環を繋げる猟師の矜持を身に染ませ。
狩るもの、狩られるもの。明確な立ち位置からなる冷静なまなざし。
「……さあ、狩りの時間です」
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『魔剣ドラクラ』
|
POW : ドラゴンクラッシャー
単純で重い【召喚した巨大な剣】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD : 禁忌の吸血剣
【吸血する】事で【衝撃波を放つ覚醒モード】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : 不可視の霊剣
自身と自身の装備、【斬撃が命中した】対象1体が透明になる。ただし解除するまで毎秒疲労する。物音や体温は消せない。
イラスト:タロコ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
かまくらを作ったり、温かいものを食べたり。
戦いに備えた祈り、願いを馳せ、雪だるまの群生地が出来つつあったので、更に何人かの猟兵が雪だるま仲間を増やして色んな顔の――にこちゃんが多いのだが――雪だるまを作る。
魂喰らいの森の前には、猟兵たちの気持ちが込められた、たくさんのもの。
●
丘を越え、雪解けの小さな小川を越え、ぬかるんだ地を越えて。
魂喰らいの森へと、猟兵たちが足を踏み入れれば、空気が変わり、音が変わった。
『ギギギギ』
『――ギチチチ……』
「……ッ」
小さな羽虫の群れが向かってきて、飛び退き回避する。
後退した脚が低木へと突っこみ――ぞわりとした。
低木から自身の脚を引き抜けば、今にも絡めとらんとした枝がついてくる――だが、森の『小さな異変』もそれまでだった。
魂の強化された猟兵たちを正確に感じ取ったのか、その輝く魂に、魂喰らいたちは近付くことができなくなった。
草木も、虫も、進む猟兵たちを避けていく。
魂喰らいの鳥も、小動物も、遠ざかって――訪れたのは、静寂。
その時、空を切る音が猟兵たちの耳に届いた。間髪なく襲い掛かってくる大剣。
横一文字に払われたそれを避ける猟兵、さらに、遠心に任せて飛ばされる大きな鞘が違う猟兵を襲う。
――魔剣ドラクラ。
ヒュ! と自身を軽やかに回したのちに、突然の柄の固定。
重量級の斬撃が魂喰らいの森の中、刻まれていく。
一時、散開した猟兵たちが数多の魔剣ドラクラに立ち向かう――。
=====
プレイング受付は、
12月19日(木)、朝8時30分からとなります。
締切は21日(土)いっぱいとさせてください。
お手数おかけしますが、よろしくお願いします。
=====
四王天・焔
燦(f04448)お姉ちゃんと一緒に参加
アドリブ歓迎
SPD判定の行動
■心情
とうとう森の中に入るのかぁ、ちょっと怖いけど、
さっきかまくら作りなどで楽しい気持ちを持てたから、頑張れるよ。
■行動
白狐召還符を使用して、白狐に【騎乗】して戦うね。
【ダッシュ】で白狐を走り回らせて、
敵の覚醒モードのスピードに対抗するね。
攻撃は、【属性攻撃】で狐火の属性を強化し
【範囲攻撃】で纏めて攻撃するね。
焔自身も、白狐の上からドラゴンランスを【なぎ払い】や【串刺し】で攻撃。
後は、燦お姉ちゃんと一緒に心を奮わせる為に【歌唱】で歌うね。
「お姉ちゃんと一緒だと、どんな状況でも安心していられるなぁ」
四王天・燦
焔(f04438)と群竜探検隊
アークウィンドを抜いてお手並み拝見。
深追いせず見切り重視。
ドサクサ紛れに木々の合間にデストラップで網を張る
小手調べを終えたら鋼の網を背にフォックスファイア発動。
5発ずつ合体させて中火力で放つ。
複数の火球で追い込んで焔にキッツイのを頼むよ
第六感と聞き耳にヒットする風切り音があれば迎撃態勢。
張った罠に掛かる阿呆には神鳴を抜き「溶断・居合い斬り!」と火球と共にぶち込むぜ
「焔、歌ってくれ」
歌を聞けば心が奮う。
愛妹との楽しい思い出を奪わせない。
娘たちの魂も譲れぬもの…心でガッチリ手をつなぐ
魂に触れるのはアタシの逆鱗。
カウントダウンを投げつけ直後に狐火を撃ち込む。
「砕け散れ」
ざん! と森の中を駆ければ、開かれていく路。猟兵たちの後を追うのは魔剣ドラクラ。
「符よ、妖の郷への扉を開け」
焔が言霊を紡げば蒼の狐火がふわりと現れた。焔の脚に纏うように、数が増えていく。
「おいでませ白の御狐様」
告げれば蒼の狐火は白狐の姿となり、焔は掬われたようにその背に騎乗した。
地面を這う位置から、斬り上げられる魔剣の軌道。倒木を利用し、白狐が高く跳ぶ。その後を追うように、魂喰らいの小動物が一体。鮮血が宙に撒かれた。魔剣に斬り払われたのだ。
だが、一閃の到達点は焔ではない。
「お姉ちゃん!」
滞空の最中、姉に迫る魔剣を見た焔が声を上げた瞬間、
――ギィンッ!
剣戟の高らかな音が響いた。
魔剣ドラクラの斬線は幅広く、その勢いは剛のもの。
並みの剣で受け止めようにも普通ならば押し負けるであろうそれを、燦が弾き返す。
彼女が振るう短剣・アークウィンドはつむじ風を巻き起こし、魔剣の勢いを削いで斬線を乱していた。
弾き返された剣身は抵抗なく、空中をくるくると回る。
燦は追わなかった。次いでアークウィンドを振るってつむじ風を起こし、刹那の時間稼ぎ。踵を返し、木々の合間を駆けた。
「焔、気を付けるんだよ」
何に、とは言わずにそれだけを告げた。焔は分かっているのだろう、「うん」と素直な声が返ってくる。
小動物の血を啜った魔剣が虹色の光を纏い、焔と白狐を追う。一振りではない。
低木を薙ぎ払い、空を切り、投擲の如く迫る三振り。
交差する場を、狙い定め身を低くして走り抜けた白狐は跳躍ののち木の幹を蹴り方向転換。その動きに合わせ、焔の尻尾が弧を描く。
この森も、魔剣も、ちょっと怖いけれど――、
(「さっき楽しい気持ちを持てたから、頑張れるよ」)
雪で作ったかまくら。中のあたたかな空気。魔剣が追う焔の背には、護りの符。
「行くぜ、焔!」
姉の声に頷けば、複数の、少し大きな狐火がばん! と炎で魔剣たちを叩く。
剣たちと向き合った形となった白狐は、焔の力によって強化された蒼の狐火を吐き、呪われし剣身を灼いた。
「やあっ」
接敵の瞬間、焔は槍の姿となっているフローレで薙ぎ払う。
キィン! と二振りが折れ、地に落ちた。
続き、タンッと白狐が高く跳躍し、森の茂みから魔剣たちを誘い出す。それを迎え撃つのは燦の狐火だ。
五つを合体させれば、中火力となった狐火がおよそ十二。
それぞれが弧を描き、ばらばらに動く魔剣たちを翻弄する――のだが魔剣は燦の視界から消えた。
だがその斬線は束の間、目に捉えることができた。
中火力の狐火が払われた瞬間の、火の僅かな軌道。そのまま狐火も消えてしまうのだが、燦は構わずに繰る。
剣が薙ぐ風切りの音と、キッ、と鋼が軋む音。
「捉えた! 溶断・居合い斬り!」
燦が神鳴で抜き様の一閃。その刀身には紅電が迸り、共に放たれた火球が鋭い一撃へと姿を変えた。炎月のように。
キリリ、と再び違う場所で音。木々を駆け、張り巡らせた鋼糸が、敵がそこにいるのだと燦に教えてくれる。
キリリ、キリリリ。ギッ。
切れぬ弦のように、ざわつく音。焔の狐耳がびくつく、耳障りな音色であった。
罠にかかった魔剣を屠っていく姉妹。張った罠は、防衛の線にもなっているが複数上がってくる音は、確かに二人へと迫っている。
「焔、歌ってくれ」
ふと、燦が願えば、願いに応えようと反射的に焔は音を紡いだ。
跳ねていた狐耳が落ち着き始める。
姉の願いに、自身の紡ぐ歌に、いつしか耳障りな音も気にならなくなる。
「―お姉ちゃんと一緒だと、どんな状況でも安心していられるなぁ」
一つ、歌い終えた焔が呟いた。そのまま紡がれる音色は、魔剣の禍々しい気配を際立たせる。
一振り、一振りを、着実に捉え、狐火と振るう刀で撃破する燦。
歌を聞けば心が奮う。
愛妹との楽しい思い出を奪わせはしない――。
魂。
それは今の燦を形作るものであり、焔であり、そして燦の中に在る彼女たちのこころだ。
(「魂に触れるのはアタシの逆鱗」)
守るものがある。
焔の白狐が放つ蒼のなか、誘い出された魔剣の集まりへ、燦はカウントダウンを投げつけ――間髪入れず、狐火を撃ちこんだ。
「砕け散れ」
弧を描くカウントダウンと、真っ直ぐに放たれた狐火が追いついたその瞬間、蒼の炎を巻き込んだ爆発が起こり、集う魔剣たちを一掃したのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
城島・冬青
【橙翠】
魔剣が襲ってくるとか怖いけど格好いいですね、アヤネさん
でも一本ではなく何本もあるのを見ると魔剣でも量産型って感じがしちゃうかな
……量産型かー
私の言葉のトーンに怒ったのか剣が何本か飛んでくる
ふっ、花髑髏で薪のように叩き斬ってやりますよ
アヤネさんがマーキング処理しやすいよう剣の足止めを担当
えーと、電脳空間処理?
よくわかんないけど凄い技術ですね
UCのカラスで剣を翻弄したり鍔迫り合いしたり
というか鞘まで襲ってくるとかずるい!
囲まれそうになったら衝撃波で蹴散らし隙を作り残像を駆使して回避
攻撃は武器受けで凌ぐけど
ドラゴンクラッシャーだけはダッシュで全力回避
あんなん直撃したら刀こと粉砕されますって!
アヤネ・ラグランジェ
【橙翠】
飛んでくる魔剣なんてずいぶん物騒だと思うんだけどネ
射撃の的としては小さ過ぎて
動き回られると当てるのは不可能に近い
見た目通りの硬さならダメージを与えるのも難しそうだ
ソヨゴ気を引き締めて行こう
って早速挑発しているし
ソヨゴの後方で
SilverBulletを組み立てる
電脳ゴーグルとスコープをリンク
飛び回る魔剣をマーキング処理して
ソヨゴが敵の動きを止めたら発射
なるべく軸の中心を撃ち抜きたい
伊達に電脳魔術師やってないからネ
残弾数五発
一撃必殺で確実に撃墜しよう
UCで戦闘兵器を315体召喚し
ソヨゴの周囲に展開
彼女の死角からの敵襲を全てカットする
透明化してもマーキングは消せない
冷静に撃墜数を増やすよ
ザッ!
耳障りな擦れた音がしたかと思えば、ばさばさと斬り払われた枝葉が落ちてくる。
上空。
自在に動く魔剣ドラクラの剣先がアヤネと冬青を追っていた。
「魔剣が襲ってくるとか怖いけ――どっ――格好いいですね、アヤネさん」
言葉半ばに、倒木を飛び越えた冬青が着地を行えば背高の草地が彼女を避けた。
猟兵を避ける魂喰らいの植物たちが、視界の地形を変えていく。臨機応変に、かつ素早い魔剣の相手。
どう動いても敵は追ってくるし、撒くことはできない。
「飛んでくる魔剣なんて、ずいぶん物騒だと思うんだけどネ――ソヨゴ、こっち!」
冬青にそう返したアヤネの目が少し開けた場を捉えた。左。
「射撃の的としては小さ過ぎて、動き回られると当てるのは不可能に近い」
見た目通りの硬さならダメージを与えるのも難しそうだ――そうアヤネは分析する。
方向転換は、アヤネが外回り。
内回りに駆ける冬青は、花髑髏を振るい僅かなカバーを行う。剣戟の音は一度。鍔迫り合いは起こらず、弾き返された魔剣はそのまま空中へと舞い戻る。
「ソヨゴ、気を引き締めて行こう」
アヤネが言った瞬間に、更に一振りが現われた。追跡の魔剣と同じ姿のもの。
「はーい。……でも、一本ではなく何本もあるのを見ると、魔剣でも量産型って感じがしちゃうかなぁ」
切っ先の動きを見据えて、冬青が言う。
うーん、とやや残念そうな表情で、
「……量産型かー」
心底残念そうな声色で。
対UDCライフル「Silver Bullet」を組立てながら、アヤネは「わぁ……」と呟いた。
(「早速挑発しているし」)
気を引き締めて――いや、気を引き締めて挑発しているのか?
エレクトロレギオンを召喚し、冬青を中心に展開する。
その時、さらに現れた二振りの魔剣ドラクラが斬撃を放ってきた。
一振りは、盾のように形成したエレクトロレギオンたちが。
もう一振りは冬青へ。
「ふっ、花髑髏で薪のように叩き斬ってやりますよ」
高らかな鋼がかち合う音が連続する。大剣を滑る花髑髏の刀身が敵の鍔を叩き、空へと跳ね上げた。
魔剣ドラクラの刹那の滞空。
その僅かな時はアヤネの領域であった。
射撃体勢に入っていたアヤネがSilver BulletからUDC細胞炸裂弾を放つ。
大型ライフルから伝わる振動は凄まじく、アヤネの体を打った。だがその痛みに応じるは、硬質な音――手応え。
電脳ゴーグルとスコープをリンクし、展開した電脳世界。飛び回る魔剣をマーキングしたアヤネの視界の端には、常に演算処理が行われている。
そのうちの一つが消失した。風のような、轟とした何かが鳴いた。
そして一振りもまた消失した――視界から――されど、すでにマーキング済みだ。不可視の霊剣をアヤネは追うことができる。
「えーと、電脳空間処理? よくわかんないけど凄い技術ですね」
冬青の瞳には、錆のようなものに覆われた魔剣がぼろりと崩れ落ちる光景が。
「伊達に電脳魔術師やってないからネ。ソヨゴ、二時、魔力反応」
「カラスくんと遊んでて下さい!」
今しがた弾き返したばかりの魔剣へ、クラーニオ・コルヴォを放つ冬青。彼女の視線は二時方向へ。
低木を払い突出してきた新たな魔剣ドラクラの斬線は低い――大縄跳びの要領で避けた冬青は身を捻り、ぐるりと弧を描くように衝撃波を放つ――飛ばされる『二本』。
「というか! 鞘まで襲ってくるとか! ずるいー!」
咄嗟の動きで、受け身が充分に出来ず、地面で体をしたたかに打つ。それでも言わずにはいられなかった。
ひゅ! と真上に光が一筋。刃だ。
すとんと、力なく落ちてきたかのような魔剣が冬青を切り裂く――のだが、花髑髏が地面へとさらに打ちこむように、剣を叩いた。
「残念、残像ですよ!」
地に拘束された魔剣、樋の部分をアヤネが狙い撃てば刀身が瓦解し敵が撃破される。
『オオオォォ――……』
渦巻き轟く鳴き声が霧散するよりも前に、掻き消す風切り音。
「やば!」
召喚された巨大な剣が降ってくる。エレクトロレギオンたちが特攻し、その斬撃の勢いをいくばくか殺すも――剣が地面に到達した瞬間、地が割れ、土塊が飛沫する。
こればかりは冬青も全力回避だ。けれども、大きな攻撃は隙もある。
五芒星の魔法陣と虹色を纏う魔剣を狙い、SilverBulletを上向かせ、アヤネは撃ち抜いた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
アルノルト・ブルーメ
魔剣ねぇ……
何をもって魔と評するか、かな
なんて呑気な事を言ってる場合ではなさそうか
影の堕とし仔使用
召喚した蝙蝠の影を囮に
死角のフォローも影に任せよう
僕自身はVictoriaとLienhardで先制攻撃
なぎ払いからの2回攻撃で範囲攻撃
Lienhardでの攻撃には生命力吸収を付与して
体力の極端な消耗は避ける
透明になった魔剣の位置は第六感を頼りに対応
些細な物音も聞き逃さないように注意する
魔剣からの攻撃は影に身代わりなって貰った上で
残像を利用して回避を
折角だから、串刺しになってみるかい?
剣を串刺しに出来るものなのか
生憎と僕も知らないから
試してみるのも悪くはないだろう?
出来るのなら、それはそれなのだしね
小宮・あき
連携アドリブ歓迎
森全体が、とは。何とも嫌な感じです。
私はこの世界が好きで、何度も何度も足を運んでいますけど…。
私が好きな森はこんな感じじゃない、です…。
●SPD行動
敵に吸血されないよう動くべき、なのでしょうね。
それならば、妨害してしまいましょう。
指定UCで行動。
敵が吸血行動に移ろうとする度、連続発動します。
もし吸血をされ強化した場合でも、指定UCを継続。
今度はスピードの乗った行動を阻害するよう動きます。
マスケット銃で攻撃、スナイパー・援護射撃等。
銃撃で仕留められるとは思えないけど、無機物だからこそ。
銃撃で音が鳴れば場所も判りますしね。
進路を逸らし、連射する事で、敵の行動時間を消費させましょう。
泉宮・瑠碧
元は竜なのに、竜殺しの武器となったのか
…同じだけの強さを以て対抗する
それを悪いとも言わないが
同族に刃を向けさせられる事を考えれば
…悲しい話だな
僕は破魔を乗せて主に弓と消去水矢
消えた相手へは目星を付けた場所へ消去水矢の範囲攻撃
攻守に第六感を研ぎ澄ませ
特に被弾のタイミングや消えた相手の位置を風の音などで察知
仲間も消えているなら音や足跡、気配で察して矢は逸らそう
もし魔剣が魔力の様な力で動いているなら
攻撃でも破魔に消去水矢を使っていく
なるべく同じ個所を射って破壊できる様に
スナイパーで嵌まった石も狙ってみる
被弾へは主に見切り
避け切れないならオーラ防御
もう番人から解放されて躯の海へ帰ると良い
安らかにと祈る
クララ・リンドヴァル
……。
さしもの『魂喰らい』たちも、私達の魂の輝きを前に、手出しを諦めたようです。
恐ろしい森ですが、ひとつひとつ脅威を取り除いていきましょう。
【目立たない】ように息を潜めて、森へ向けて酸化の【呪詛】を流し込みます。
【範囲攻撃】で呪詛同士の隙間を無くし、面を作るように展開。
自分に相手を近寄らせないように膜を張ったり、
相手が動きにくい位置に追い込んだりします。
呪詛、呪詛、呪詛……。
竜の頃とは違って、今は感じるでしょう。この存在圧が。
生身の死以上に凄惨で耐え難い、鉄の錆び朽ちた死を贈りましょう。
【第六感】で敵の気配を察知したり、攻撃に合わせ【オーラ防御】を展開したりして
吸血させないように気をつけます。
魔剣ドラクラの襲撃。
散開する猟兵たちと、留まる猟兵たち――その初動。
「影から産まれ、影にお還り」
目くらましともなるドームの如き影をアルノルトは作った。
刹那の球状は直ぐに解け、上空から、茂みからと弧を描き迫る大剣を打つのは蝙蝠の形をした影。
作られた場の隙を逃すことなく、クララは茂みへと飛びこみ木々の間を駆ける。
その脚に触れるはずの背高の草は彼女を避け、行く先の路を作った。
「……。
さしもの『魂喰らい』たちも、私達の魂の輝きを前に、手出しを諦めたようですね」
輝き。
思わず胸に手を当てる。
クララにしてみれば、あまり実感の湧かないモノではあったが――いや、雪だるま作りは楽しかった。
それはそれとして。
影の蝙蝠に紛れ、一旦身を潜めたクララは、改めて森へと意識を向けた。
(「恐ろしい森ですが、ひとつひとつ脅威を取り除いていきましょう」)
ひとつ頷き、呪詛を流し出す。
アルノルトの影の蝙蝠に紛れ、身を低くし、駆けたあきは魔剣ドラクラの追撃を振り切る。
あきの脚を避けるように、伏せる草地は一種のサークルを形作る。
「私はこの世界が好きで、何度も何度も足を運んでいますけど……」
手に馴染むマスケット銃を構え、空を鋭く裂く剣身を狙い定める。
「私が好きな森はこんな感じじゃない、です……」
あきの知る森は、静かで、穏やかで、時に楽しく小動物が駆け回る森だ。
視線をあげれば、こんな禍々しき森の今にも朽ちんとする葉ではなく――陽射しに透ける葉は美しい絵画のように。
肺いっぱいに吸い込む空気は、瘴気混じりのものではなく――時に陽の香り、時に花の香り、時に落ち葉の香りを含んだもので。
森全体が、何とも嫌な感じだった。
今、この森の呼吸は、魔剣に呼応している。
「――させません!」
呪詛を放つクララの元へ向かう魔剣を撃つあき。剣が違う色に染まるのをその目に捉えた瞬間の先制。
高らかな、鋼を弾く音が森に鳴り響く。
弾かれた魔剣は剣身を震わせて、空へと飛び退いた。陽の光に晒された魔剣が虹の輝きを纏う。
追撃するは瑠碧の消去水矢であった。
「……其れは木の葉、其れは流れる一点」
ふわりと、清らかな風と瑞々しい湧き水の香り。それを感じ取り、あきは勇気づけられたかのように次の敵を銃口の先に捉える。
恐らくは、精霊の存在。好意をしめしたあきの声は言霊となり、精霊を元気づけていたのだろう。
「……其れは一矢にて散り得る」
瑠碧から放たれた魔法の水矢は浄化の気を纏い、描かれようとしていた虹の魔法陣を射抜き霧散させた。
魔剣に呼応する空気を抑えたところに、クララの呪詛が満ちていく。
次いで跳ねるような硬質な音を奏でるあきの射線を追うように、アルノルトが魔剣をなぎ払う。
接敵して気付く敵刃の血痕。
「――吸血対象は、同じ魂喰らいも、かい?」
アルノルトは呟く。敵の広範な斬線に巻き込まれたのは、魂喰らいとなった小動物たちのものだ。
ふ、と掻き消える数振りの魔剣。
「魔剣ねぇ……何をもって魔と評するか、かな」
同じ魂を啜る存在をも獲物であるのなら、それは意味の無い殺戮だ。ここに在る価値もない。知性を失くし、墜ちたただの剣。
低木に向かって飛び退いたアルノルトの後を、枝葉がなぎ払う軌跡。VictoriaとLienhardを構えたアルノルトが剣戟の音を響かせる。
「……風の精霊よ」
瑠碧が願えば、剣の風切り音をやや拡大して風の精霊が教えてくれる。
「散弾、いきます」
あきが銃身を上向け、風の鳴る方へと放てば耳を劈く金属音が次々と鳴った。
「銃撃で仕留められるとは思えないけど、無機物だからこそ。――銃撃で音が鳴れば場所も判りますしね」
木の幹に突き刺さる剣、弾に叩かれて斬線がぶれ、勢いの削がれた剣が地面をバウンドする。
「元は竜なのに、竜殺しの武器となったのか……同じだけの強さを以て対抗する……魔剣」
それを悪いとも言わないが、と一瞬目を伏せたのち、精霊弓の弦を弾く瑠碧。
破魔の力を鏃へと集束させた水矢が、魔剣ドラクラの赤き石を貫いた。バキンと石から、柄、刀身に亀裂が走り、魔剣は砕け落ちた。
「同族に刃を向けさせられる事を考えれば……悲しい話だな」
ぼろり。
赤錆の呪詛。
ぼろり。
青錆の呪詛。
一度浄化の力に抑えられた魔剣の気を、そのままクララの酸化魔法が包みこむ――否、森の空気がそれに変じようとしていた。
ぼろり――と。
黒錆の呪詛。
放つ呪詛同士を馴染ませ、拡げて。筆でくるくると回し拡げるように。隙間なく、次元の面を展開させて、広範に。
「竜の頃とは違って、今は感じるでしょう。この存在圧が」
かつて竜の身であったとされる魔剣ドラクラ。
だがその身体を失い、得たものは金属の剣身。翳せば、黒く、蒼く、そして赤く色を変化させ時に虹を纏う剣は――確かに竜殺しの法を得、違う弱点を得た。
『オオオォォォ――』
渦巻き轟く鳴き声があちこちから上がり始める。剣身を震わせ、空気を震わせた風の音色のようなものではあったが、確かにそれは『声』であった。
「生身の死以上に凄惨で耐え難い、鉄の錆び朽ちた死を贈りましょう」
クララの周囲――森に満ちる呪詛が魔剣を侵食する。
「ここまで腐食が進んだのなら、串刺しも可能だね?」
そう言ったアルノルトがVictoriaでいとも容易く魔剣を貫けば、ぼろりぼろりと崩れ落ちた。
あきと瑠碧の攻撃が、空を駆る敵を一掃していく。
魔剣に『魂』があったなら、ドラクラは、剣であることを否定していたであろう。
そして錆に覆われ朽ちていく我が身を、屈辱の色に染め上げていたであろう。
「もう番人から解放されて躯の海へ帰ると良い」
――安らかに、と瑠碧は祈った。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
櫟・陽里
相棒バイクにエリシャさん(f03249)と2人乗り
ちょーっとだけ乗り心地は悪いかもしんないけど
しっかり掴まっててくれな?
別に剣術に詳しくはないが
剣なんだから刃の向きを良く見てりゃ軌道は読めそう
動体視力には自信あるんで!
急加速や土地の凹凸を利用したジャンプで敵の攻撃を避ける
走りながら土埃を舞わせるか
木の葉が落ちるよう森の木を揺らしておく
敵が不可視になった時には空気の動きで敵軌道を予測
今日はお客様を乗せてるからワクワクしてるんだ
聖なる光で補助してくれるし!
後部座席から聖句が聞こえると共闘してる絆を感じる
体調も魂もコンディション万全だ!
華麗なライテク、魅せてやるぜ!
バイクのターンで敵を弾き飛ばす
エリシャ・パルティエル
陽里(f05640)の相棒に乗せてもらうわ
ライ、よろしくね
計器パネルにはまっている樹脂加工された花びらにそっと触れる
陽里の背中を頼もしく感じながらしっかり掴まるわ
陽里の運転技術はすごいって知ってたけど、これならほんとにいつか光を超えられるんじゃない?
急加速や回避にも怖いと感じるよりもわくわくしちゃうわね
魂喰らいには魂を強化して対抗でしょ?
祈りと聖なる光で力を与えられないかしら
暁闇の中差し込む曙光の灯よ それは聖に力を与え魔を滅する
夜明けを告げる光はこの世に歓びの報せをもたらさん
聖句を唱えて陽里の背中に聖痕のある右掌を当てて【生まれながらの光】を
今までに築いた思い出と絆があるの 奪わせはしないわ
魔剣ドラクラが枝葉を斬り、開ける空。
降りかかる魔剣へ、仲間の最初の一撃が闇のドームのようなものを作った。
すぐにそれらは影の蝙蝠となり解けてしまうが、それぞれが散開するには充分な初動。
「エリシャさんこっちだ!」
掬いあげるかのような陽里の声と駆動音に反応し、エリシャは三歩の弾みをつけて跳ぶ。
ふわりと。
その身を受け止めたのは、陽里の相棒のバイク。
「ちょーっとだけ乗り心地は悪いかもしんないけど、しっかり掴まっててくれな?」
「ええ、わかったわ。ライ、よろしくね」
こっくりと頷き、しっかりと掴まったエリシャは、陽里の相棒のバイク「ライ」にも声を掛けた。
手を伸ばし、計器パネルに触れる。――滑らかな感触。
そこには可愛らしい花びらが。樹脂加工されて、計器にはめられていた。
エリシャの体勢が安定したところで陽里はギアチェンジ。
魔剣ドラクラの斬撃が放たれようとしたところを駆け抜けた。ばさばさと、枝葉の落ちる音はあっという間に聞こえなくなった。
アップダウンが激しくなるが、軸はしっかりとしていて、周囲に警戒の目を向ける余裕があることにエリシャは気付いた。
「陽里の運転技術はすごいって知ってたけど、これならほんとに、いつか光を超えられるんじゃない?」
そう言ったエリシャの声は弾んでいる。
後ろを振り向けば、追走する魔剣たちがみるみる小さくなる姿が視認できた。そして何気に上を向き、魔剣の鋭角なターンを目撃する。
「陽里、前よ!」
「ああ!」
エリシャの注意がかかる前に、既に視界の端に捉えていた。地を這うような斬線が見える。岩に乗り上げ、ジャンプしたマシンを今度は抑え込むように体重をかけた。
眼下を行く魔剣ドラクラ。
「華麗なターン、魅せてやるぜ!」
ライを傾け、エリシャと自身、二人分の体重を巧みに操る陽里。
着地からの加速、そしてドーナツターンでライを止めんとする魔剣ドラクラたちを弾き飛ばす。
ガッ! と幹に叩きつけられる魔剣。空へ弾き飛ばされた魔剣が彼らを追うも、到底そのスピードにはついていけない。
その動きは激動そのものでエリシャもまた振り回されるのだが、不思議と怖さは感じない。
むしろ、
「何だかわくわくしちゃうわね!」
楽しそうなエリシャの言葉に、俺も! と陽里は応える。
「今日はお客様を乗せてるからワクワクしてるんだ。な、ライ!」
乾いた地面のところを走れば土埃が舞い、視界が煙った。
その土煙を払わんと召喚された巨大な剣が地面を叩いた。単純で重い一撃は陽里に向けられたものだが、当てようとしたものではない。
ビシビシビシッ! と大地に亀裂が駆けた瞬間、突如として土塊が浮き沈む。
トライアルだ。ハンドルを捌き、シフトアップして、機体は跳躍した。
その時、陽里の背中に温かな掌のぬくもり。
「暁闇の中差し込む曙光の灯よ」
エリシャの声――聖なる句。
「それは聖に力を与え魔を滅する」
轟轟と、風の音、地の荒ぶる音の中、彼女の声は良く通る。
「夜明けを告げる光はこの世に歓びの報せをもたらさん」
エリシャの声に、掌のぬくもりに、そして聖句によって繋がる何か――。
虹の魔法陣めがけて前輪を更に上げ、剣身を叩けば弾き飛ばされる魔剣。タイヤの回転にあてられ、高速回転した魔剣ドラクラは同一存在である魔剣たちをなぎ払い叩き折る。
聖痕のある右掌が、陽里へ聖なる光を送っていた。
ガッと岩に刺さった魔剣には罅が刻まれ、ぼろりと朽ちるように――欠片が落ちる。
「やったぜ、エリシャさん!」
一瞬だけ、振り返った陽里のお日様のような笑顔。
それにエリシャも微笑む。
「さあ、次よ。補助はあたしに任せて。陽里とライは思いっきり走って頂戴」
雷のように、速く。
魂喰らうものを滅するように、強く。
彼の笑顔と、この聖なる光が輝き合う。
(「今までに築いた思い出と絆があるの――奪わせはしないわ」)
それらが象るものが「今の魂」であり、きっと、その人そのものなのだ。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
シリン・カービン
【SPD】
では、狩りを始めましょう。
他の猟兵が魔剣と戦っている場所から離れて狙撃ポイントへ。
魔剣の攻撃タイミングで狙撃し、仲間を援護します。
発射音は風の精霊に消してもらい、位置を悟られないように。
吸血して魔剣が覚醒モードになったら、
こちらも【シャドウ・ステップ】を発動。
時の精霊の加護で狙撃動作の速度を上げ、魔剣に遅れず撃ち続けます。
魔剣が私に気づいて襲ってきたら、自分の腕を傷つけて血を流します。
相手の知性次第ではありますが、吸血の習性があるのなら
血に惹かれて真っすぐ飛んで来るはず。
どれだけ早く動けても、コースが読めていれば当てるのは容易です。
矢継ぎ早に精霊弾を叩き込みます。
アドリブ・連携可。
木元・杏
大きな剣、沢山!
ひゅっと目掛けて飛んできた魔剣は第六感で察知し…
あまり大振りな動作だと次の魔剣への反応が鈍くなる、
ギリギリまで粘り一歩下がって回避
ん、わたしも灯る陽光を幅広の大剣にし攻撃体勢
うさみみメイドさんのうさみん☆、魔剣の抑えに入って?
ダッシュで近接し見切りやジャンプで魔剣を翻弄、魔剣の意識を向けさせ吸血を誘発させて?
残念ね?メイドさんは人形
血はない
涙は…もしかしたらあるかも
わたしに吸血が来たら大剣を盾にし回避、吸われてもバックステップで間合いを取り、吸血量を最小限に留める
【花魂鎮め】
身を屈め高速ダッシュで魔剣に向かい、ぶん、と横に振り切り衝撃波
オーラの衝撃で魔剣を粉砕する
ぶわっと、一瞬だけ、杏の視界に影が満ちた。
ドーム状に展開されたかのような影は直ぐに解け蝙蝠となる。
襲い来る魔剣に対し、それぞれが散開するには充分な初動。
シリンは既に駆けている。茂みへと飛びこみ、呼気を抑え移動する。
「大きな剣、たくさん……!」
杏もまた戦闘態勢を整えた。ほんの少し手を翳せば、白銀の光が大剣を象り、その柄を少女は握った。
その間にも魔剣は迫る。
地を這う斬線が跳ね、斬り上がる刃をギリギリまで見据え、杏は一歩下がった。腹から胴にかけて鋭い風を感じる。
一振り目の回避、次は――ステップを踏むように、踵を返した杏が前傾すれば二振り目の斬撃。白銀の大剣を振って、下段から二振り目を弾き上げた。
空高く、剣はわざとらしく飛ぶ。
(「あまり大振りな動作だと、次の魔剣への反応が鈍くなる」)
杏の、冷静に判断を下し、適応する動きは戦闘センスの良さが垣間見える。
「うさみん☆、魔剣の抑えに入って?」
杏の声に応じ駆けるうさみみメイドさんのうさみん☆
弾かれ、くるくると空中で回っていた魔剣がぴたりと静止する。何かを狙い定めたかのように――その動きを視認していたシリンは、風精霊を宿した精霊猟銃を撃つ。
静かなものであった。
ばさばさと斬撃の余波を受け落ちる枝葉の音が多数聞こえてきて、シリンの発射音は響かない。無いのだ。
風の層を刹那に作り、消音する精霊たちの力。
狙撃によって地に落ちた魔剣ドラクラを、杏が攻撃する。
ザン! と広範な斬撃。
枝葉を斬り、空を斬り、無意味とも思われた敵の一閃に払われる、魂喰らいの小動物。
猟兵から、魂無き肉体から、魔剣は血を啜った。
剣の回転速度が上がり、凶悪さが増す。出鱈目な動きではあるが、衝撃波が伴うそれは厄介だ。
「使い手無き剣は、奔放ですね」
時の精霊よ、と語りかけるシリン。
動く的を捉えるのは難しい――それが高速となってはなおさらだが――銃口と剣身、その線がぴたりと合う瞬間は必ずある。
時にして一弾指にも満たない。
考えるような「時」すらなく、勘でもない。
それは、シリンの猟師としての本能だった。時の精霊の加護により本能が開花する。
加速する狙撃動作。
撃ちこんだ弾丸と、回転する魔剣はその速度に応じた亀裂が生まれ、剣は折れた。
一見あっけなく、だが敵の一手を利とした一撃となった。まさしく猟師としての腕であろう。
ジグザグに駆け、地を這う一閃を避けるうさみん☆もまた吸血の対象だ。森の魂無き小動物と同じだと思ったのだろう。
岩を使って跳躍し、時に迫る剣身を逆手に取り、踏み台に。ぴょんぴょんと動き回る。
翻弄され、うさみん☆を追う魔剣に向かって、杏は身を屈めての高速ダッシュ。
花弁のように舞う、白銀のオーラの軌跡は刹那の花吹雪。
「残念ね? メイドさんは人形。血はない」
前傾姿勢のまま、大振りな銀の刃を横に振り切れば衝撃波が放たれた。
「涙は……もしかしたらあるかも」
白銀の光が、魔剣を叩き、弱った魔剣を粉砕する。
『オオオォォォ――』
渦巻き轟く鳴き声が放たれた。剣身を震わせ、空気を震わせた風の音色のようなものではあったが、確かにそれは『声』。砕け散ればぴたりと止む。
やったね、というように、ぴょんと跳ぶうさみん☆
それに喰いつくはやはり魔剣なのだが、近くの杏にも吸血の刃は向けられる。
地を滑るような一閃を、ギリギリまでひきつけ、大縄跳びの要領で跳んだ杏は大剣を背に、鋭角に曲がった斬線を封じる。だが衝撃は大きい。
その時、ぐるんと切っ先を方向転換させる魔剣ドラクラ。
高らかな鋼の弾く音が聞こえる――ひとつ、増えた。
音の元凶はシリンで、敵の吸血の習性を利用し、単純な斬線とぶれぬ射線を描いていた。
敵に知性はなく、ただただひたすらにシリンが腕から流す血を追う。
矢継ぎ早な一点を狙う射撃に一振りが折れ、次の魔剣が迫る。
追撃の手がすぐそこに在る接近戦――切っ先がシリンを捉える前――近接は杏の出番だ。
オーラを広範に、駆ければ白銀が満ちる。
「霊導へ還れ」
凛とした声とともに放つ花魂鎮め――衝撃波は浄化するが如く、魔剣たちを粉々にしていった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『悪食』
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POW : 欠片の排出
自身が【食欲】を感じると、レベル×1体の【ユーベルコードさえも喰らう自身の分身体】が召喚される。ユーベルコードさえも喰らう自身の分身体は食欲を与えた対象を追跡し、攻撃する。
SPD : 嗜食の末路
自身の身体部位ひとつを【今まで喰らった獲物】に変異させ、その特性を活かした様々な行動が可能となる。
WIZ : 捕食行動
自身の【胸部の紋様】が輝く間、【3つぞれぞれの頭部】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
イラスト:ハギワラ キョウヘイ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「宇冠・龍」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
====
第3章の冒頭リプレイは、水~木曜日に投稿します。
プレイングの受付は、28日(土)8時30分からとさせてください。
ボス戦は、一括採用の連携の予定です。
締切は、30日(月)いっぱいを予定しています。
それでは、お手数お掛けしておりますが、よろしくお願いします。
====
●
魔剣ドラクラを倒し、森を進む。
探し出して倒さなければならない森の番人はどこにいるのか――。
それを教えてくれるのは、森であった。
猟兵たちを避けるように、微かに蠢いていた植物が、波打つように揺れ始めた。
葉と葉が擦れあい、枝と枝がぶつかりあい、ざあざあざわざわと不気味な音を立てる。
その時、ある場に踏みこんだ猟兵たちが違和感に気付いた。
さくり、とも、ざくり、ともいえる地面の感触。
霜を踏んだ――そう思って、ふと足元を見れば針葉樹の葉が落ちている――否、違う、これは鋼針だ。
先程の雪の地と似ているようで違う冷気。肌を突き刺す凍気。
『――コオォォォ……――』
鋭い呼気が、猟兵たちの耳を打つ。
魂喰らいの森の一画。その番人『悪食』
森に集中するように、やや頭を下に向けている『今の姿』その背には氷の翼が在る。
既に森へ入っていた猟兵たちに気付いていたのだろう、すうっと、迷いなくその赤き瞳が向けられる。
凍気が増した。
氷の翼。
針状の鋼。
――そして風の属性を持つとされる、群竜大陸の悪食。
一体、どのような戦い方が繰り出されるのだろうか――思考もそこそこに、猟兵たちが動き出す。
四王天・燦
【狐姉妹】
「好き嫌いせず立派に育ちやがって」
これも喰えと爆弾カウントダウン投擲
鋼針が釣針のように魂を引きずり出すなら激痛耐性任せに肉ごと針を切除
(まだかまくらできつねうどん食ってねーんだよ)
(宿す魂に触れることは許さない)
想い出と誓いを胸に魂を護る
帝竜に挑むと同時に、娘達と出会わせてくれた礼も言いたいんだ。
前に進む為の力を願い、妖魔解放で氷の蜥蜴人―ブリザードの魂を霊着。
黒リボンを結び性格・闘法も混ぜる
焔の歌に合わせ高速移動―時に四足で跳び回り鋼糸デストラップを絡める。
唸り声を上げ氷の衝撃波を吐き追撃。
猛攻を見切り禍風の化身をアークウィンドで斬る
「まず一歩。今日は帰ってきつねうどん食べようぜ」
四王天・焔
【狐姉妹】で参加
WIZ判定の行動
アドリブや他猟兵との共闘歓迎
■心情
森の番人かぁ、ちょっと怖そうな相手だけど
ここまで来て怖気づく訳にはいかないよ。
■行動
混沌七彩符(UC)を使用して戦うね。
遠距離から【スナイパー】で敵を狙い、
【高速詠唱】で唱え【属性攻撃】で7属性を全て強化し
【全力魔法】で一気に攻めてみるね。
捕食行動に対しては【見切り】で攻撃を避け
避けきれない時は【武器受け】や【盾受け】で防御。
燦お姉ちゃんと息を合わせて戦い、
燦お姉ちゃんが狙われたら【かばう】で守り、武器受けや盾受けで攻撃を止めるね。
後は、心を奮わせ魂をきっちりと保つ為に【歌唱】で歌うよ。
「お姉ちゃん、焔、頑張れたよ!」
木元・杏
皆と連携して挑む
ぞっと背筋が凍る
これは寒さだけじゃない、緊張と、恐怖
…でも
ナールを、ヤトゥを思い、リアルトカゲの御守り袋を手に包み
丘で行ったと同じく、祈るように目を閉じ勇気で心を満たす
ん、核、取り出す
貴方は今まで何を食べてきたの?
じっと見つめ、意識を集中
第六感を働かせてしっかりと悪食の「過去」を感じ取り
【絶望の福音】
風、鋼、氷
どのような行動がくるか予測し
うさみん☆行って?
人形を早業で操り、脚からの頭二つを引きつけるようにぐるりと回り込み、悪食の行動を阻害
わたしは後方から懐刀にした灯る陽光で攻撃
森の番人
貴方に食べられる訳にはいかない
倒したらこの森の核を取り出す
破壊した方がいいなら破壊
アルノルト・ブルーメ
悪食……なるほど?
確かに、悪食なのだろうね……
尤も、ユーベルコードを食べられたからと言って
戦う術がない訳ではないし
何より、食欲を与えた対象になるとは限らない、と……
血統覚醒使用
Viperを放って先制攻撃
手首を返して2回攻撃のなぎ払いで傷口をえぐる
2回目の攻撃を放った時点で距離を詰め
そこから先はVictoriaとLienhardでの二刀で対応
フェイントを交えながら攻撃
二刀での攻撃には生命力吸収を常時乗せて
敵の攻撃は見切りと残像で回避
回避不能時はオーラ防御で防ぐ
念の為、冷気は氷結耐性で耐えよう
ここに居る誰もが
君の餌食になるつもりはないし
させるつもりもなくここに立っている
早々に骸の海にお還り願おうか
アヤネ・ラグランジェ
【橙翠】
敵の核を取り出せば魔の森は消える
それならピンポイントでそいつを撃ち抜けばいい
作戦は
核をサーチし
見つけたらソヨゴのUCでそいつを抉る
同時に僕が狙撃
簡単に打ち合わせ
拳をコツンと合わせてソヨゴを送り出す
ゴー!
UC発動
ソヨゴの周囲に浮遊させる
同時に電子ゴーグルをリンク
敵の至近距離でデーターを採取させる
背中からケースを地面に下ろし
SilverBulletを組み立てる
スコープを覗く
核の位置が判明したらソヨゴに教える
呼吸はぴったり
一撃目で届かない
二発目を装填
ソヨゴのUCに心が痛む
これで決めさせて!
戦闘後
ふらつくソヨゴに駆け寄り
姫抱っこ?OK
何か言ってるけど気にせず抱き上げる
戻ったらゆっくり休んでネ
城島・冬青
【橙翠】
強そう
というか強い
見ただけで他の猟兵達と力を合わせないと叶わない強敵だとわかる
アヤネさん
援護をお願いします
刀を抜き前へ
仲間の猟兵と連携を取りつつダッシュと残像を駆使して攻撃
頭部が3つもあるなんてずるい
死角を突くのも容易じゃないな
せめて尻尾の頭部のうちどれかを斬り落として奴の死角となる場所を作りたい
悪食の攻撃で出血したらUC花園の悪魔を発動
やられっぱなしだと思わないでね!
…とはいえこのUCの連発はアヤネさんがとっても心配するので使用は二回に留める
核の位置がわかったらUCで攻撃
いやぁ貧血でフラフラです
アヤネさんお姫様抱っこして下さい
なんちゃってー
えっ!本当にするの!?
ひえぇ恥ずかしい〜><
シリン・カービン
あれが群竜大陸の先兵…
私の世界を侵すものを前に、
不思議と心は落ち着いています。
呪いはしておくものですね。
手数は多くても敵は一体。
なら、意識が集中出来ないように
目標を散らすのが良いでしょう。
【ピクシー・シューター】を発動。
悪食の周囲に展開して他の猟兵を援護します。
悪食が竜種を喰らってきたのなら、
主な攻撃は恐らく其々のブレス。
複製猟銃を火、土、雷、其々の精霊弾を装填した三群に分け、
対応する精霊弾の集中砲火で吐かれる前に止めます。
弱肉強食は自然の倣いですが、生命を循環させない悪食はその埒外。
「あなたは私の得物」
胸部の紋様を撃ち抜き、骸の海に返します。
核を取り出し、
「一歩前進、ですね」
アドリブ・連携可
櫟・陽里
エリシャさん(f03249)と2人乗りで戦場に突っ込む
宇宙を駆け抜けてきたバイクだぜ、特別素材で足回りは頑丈
針程度でパンクしねぇからご心配なく!
回復が必要な人の所でエリシャさんを降ろし
バイクで走り回って目眩し・時間稼ぎ
ピンチの味方がいたら駆け込み掻っ攫ったりマシンを盾にしたり
力勝負ならエンジン全開の馬力で敵と押し合ったり
そしてまたエリシャさんを次の所にお届け
その聖なる光を待ってる人がいるから!
魔法に歌に料理に…皆それぞれ得意な事に誇りを持ち戦ってる
信頼し合い分担し合おう
ただ喰らうんじゃそれで終わり
いただいた命たちを想い自分の中に取り込み
共に未来を歩んで生き様を見せる
走りこそが武器、それが俺だ!
エリシャ・パルティエル
陽里(f05640)の後ろに乗せてもらって仲間のサポートに回るわ
肌を刺す凍気に悪食の底知れなさを感じる
厳しい戦いになるでしょうから、傷ついた人を癒すことに専念するわ
怪我人が多いようなら複数人も同時治療
あたしなら大丈夫よ
魂喰らいの森に入る前の楽しい思い出があたしたちを守ってくれる
陽里を信頼し、バイクに飛び乗る
陽里の操縦は宇宙一よ
その走りをライと一緒に見せつけてあげればいいの
背中に掌を当て聖なる光で魂を強化
本能のままに全てを喰らう…許せないわね
命をいただくには覚悟がいるの
それは食事でも戦いでも同じ
それぞれの胸に決意と覚悟があるの
猟兵たちの魂を簡単に奪えると思わないことね
クララ・リンドヴァル
※アドリブOK
(鋼針を一本拾い上げ)
……雪だるまの材料には、少し寒々しいでしょうか。
(何かをぴん、と閃き)
拾い上げた鋼針の中程を抓みます。
指先に炎の魔力を込めれば熱が鋼針に伝わって……
徐々に曲がっていきます。
やがて綺麗なV字に曲がった暖かい鋼針を口に当ててみます。
一人にこちゃんを真似して、鋼針をこっそり捨てます。
……誰も見てませんよね、多分。
――『不変』のリンドヴァル、参ります。
後衛から火力役を担当。
炎の【属性攻撃】ウィザード・アローで氷と鋼の弱点を突きます。
最も傷の深い個体1体に向けて
炎の矢を全弾集中砲火です。
【継戦能力】で敵の数が増える度に距離を把握し直し、自分の立ち位置を絶えず確保します
泉宮・瑠碧
この森が拡がれば
あの白い花達も侵食されてしまう
…いつか
この悲しい森が、優しい緑の地になるように…
氷の精霊、風の精霊…どうか皆を守って
まずは地の精霊へ
足元の鋼針を飲み込む様に伝えよう
…針は後で纏めておいて
僕は主に杖を手に属性攻撃と協奏流舞
攻守を第六感で察しながら
相手の属性の為に僕は攻撃よりも防御寄りに動こう
地の精霊へ悪食の足を掴む様に
続いて槍と成って地面から突き出す様に願う
悪食が氷や風による攻撃や妨害をするのなら該当精霊へ
分身体は対象は逃げ、その間に対象外からの攻撃で沈める
捕食行動にも備え
攻撃の狙いは主に胸部の紋様に
被弾へは見切りとオーラ防御
…いつか、空腹を抱えずとも済みますように
おやすみなさい
●
低く低く、地を吹き上げるような風が流れ、カチカチカチカチ、と地面の鋼針が音を鳴らす。
「強そう……というか、強い」
緩く、浅く呼吸をする冬青が呟いた。
花髑髏の納まる鞘と柄に手を添えて、緩く、浅く呼吸をする。
風に圧されるように、鋭い凍気が猟兵たちの肌を刺す。
その風を受け、杏はぞっと背筋を凍らせた。
寒さだけではない、緊張と恐怖だ。
(「……――でも」)
出逢った伝承の一つ、蜥蜴の神様と勇者を思い、御守り袋を手に包んだ。柔らかな布を通しての硬い感触に、ほぅっと息を吐く。
祈るように目を閉じて、自身の体温であたたかくなっていく御守り袋と中にあるリアルトカゲの像。
「あれが森の番人――頑張ろう、ね」
怖そうな敵だけれど、ここまで来て怖気づくわけにはいかない――焔がにっこりと笑顔を見せた。
「この森が拡がれば、あの白い花たちも侵食されてしまうのだろうな」
ふとした瑠碧の呟きに、杏も焔も頷いた。
「ん、核、取り出す」
「敵の核を取り出せば魔の森は消える。それなら、ピンポイントでそいつを撃ち抜けばいい」
大きなケースを背負っているアヤネが言った。
その瞳は迷いがなく、力強い。
アヤネは冬青と拳をコツンと合わせて、彼女と、駆けだした猟兵たちを送り出す
魂を啜られ、この世に留まる森の番人。
怨嗟と嘆きを忘れ、侵入者を襲ってきた森の番人。
それらを留めおく――目前の、森の番人。
森の番人を倒し、群竜大陸での一歩を確かなものへとするために。
「好き嫌いせず立派に育ちやがって」
駆ける燦が踏みこみ、軸足を作る。確りとした投球フォームから投げるのは箱型時限爆弾。
「これも喰え」
カウントダウンを投げつけるも、ばしりと氷の翼が叩きつけられ爆発は直ぐに。
「おっと、これは喰わねぇんだな――判断はできているようだな?」
ニヤリと、燦が笑んだ。
耳を劈く音が響くなか、地を這う風を読んでいた瑠碧が精霊へと願う。
「地の精霊よ……鋼針を頼む」
精霊術士である瑠碧の願いに応える地の精霊は、ゆっくりと針にその身を被せ風の届かぬ地の中へ――その様子はどこか苦し気でもあり、瑠碧は「すまない」と声を絞り出す――と、ここで初めて『グルルル……!』と悪食の唸り声が漏れた。敵の一手が封じられたのだろう。
「鋼針も、敵の一部、ということでしょうか」
冷静に敵の挙動を見ながら、愛用の精霊猟銃に精霊弾を装填し、シリンが言う。
「だとしたら、お手柄だね。何より戦い易くなった」
足場に気を取られる心配もなくなった、と言い置いてアルノルトが駆けだした。
「援護は任せてください――『不変』のリンドヴァル、参ります」
煌々とした魔法陣が、クララの両掌上に現れた。その色は炎。
彼女の周囲の温度が上昇し、外気差により目に見えて空気が揺らぐ。
クララの呼吸に合わせて、焔もまた符を手にしていた。
「符よ、七色の力を顕現せよ」
ゆらゆらと色の移り変わりを魅せる符――炎・冷・雷・光・闇・心・無を象る七色変化。
「混沌の輝きにて敵を討て!」
数多の炎の矢と、七属性の光線が放たれてゆく。
鏑矢のような音が鳴り渡り、次いで「ドドドドッ!」と降る火矢の轟音。
敵の氷の翼が羽撃くも全てを防げるわけではない。
『グオオオオオオオン!!』
悪食の胸の紋様が輝き、三つの頭部が動き出す。
ぐりゅうっとうねり伸びる頭部が、彼我の距離を縮めんとする猟兵の動きを阻害し、焔とクララに迫る。本体である悪食も駆けた。
到達した頭部はすでに攻撃を始めている。
協奏流舞で土精霊と連携し、地面から土槍を放つ瑠碧だが――、
「速い……!」
超高速攻撃と同等、敵の突風の如き動きは、対し猟兵たちを煽る。
アヤネのエレクトロレギオンが幾つか消滅し、冬青は目を瞠った。
「うそ、これも……!?」
「攻撃判定。風には気を付けて……!」
エレクトロレギオンから収集された情報を元に、電子ゴーグル越しで風の波動を捉えたアヤネが声を張った。同時に分かり易い敵胸の紋様――力は詰まっているが核はここではない、一旦狙撃目標から外す。
耐性があるなかそれでも頬を浅く裂いた敵風を受け、Victoriaを起動するアルノルト。
「さて、上手く風に乗せるべきか、流れの隙間を見つけるべきか」
呟いた。ワイヤーを放っても、今は相殺されるだろう。
果たして、近接組は近付けるだろうかと思った刹那、シリンのピクシー・シューターによる数多の精霊猟銃が、頭部一体へと放たれる。
土属性の精霊弾が、敵頭部を貫き地面へと到達し、土精霊たちが少し元気になった。
一方、狙われた二人は後退しつつの応戦。
マインドフラワーでエネルギー障壁を放出した焔が、頭部を弾く。
炎の矢を一点集中させ、クララが敵胴へと叩きこんだ。
――その時、オンッ! と全力全開のエンジン音が場を叩いた。
「到ー着っ!」
地形を利用し跳躍したのだろう、相棒のバイク・ライに乗り空から降ってくる陽里。着地の瞬間、ハンドルを切りバイクのタイヤで一体の頭部をねじ伏せる。
後ろにはエリシャも同乗していて、跳ねるように上がったバイク後方から勢いづけて飛び降りた。
「大丈夫? 待っていて、今、回復するわね」
エリシャが右掌をかざせば、聖なる光が二人を包みこみ、体を癒していく。
一度敵に突撃した陽里がライを傾け、間合いから抜け様にパワースライドを掛け敵脚を弾く。
この時は、敵が止められた瞬間でもある。
「うさみん☆、行って?」
杏のうさみみメイドさんが軽やかに走り出す。
(「貴方は今まで何を食べてきたの?」)
と、悪食をじっと見つめ、意識を集中させていた杏。
氷の翼を持つ竜、風そのものである竜、そして鋼の竜。恐らく悪食は、魔剣ドラクラが屠ったものを掠め喰らってきたのだろう。
「ここでいいか?」
陽里のライに同乗させてもらい、見晴らしの良い大きな岩へと降ろしてもらうシリン。
「ええ、陽里はありがとうございます――三竜の力は、私が抑えます」
シリンが力強い言葉を放った。複製した精霊猟銃を三群に分け、それぞれの竜の力に対応した精霊たちを同道させる。
自然に由来する竜の力を利用した敵の攻撃範囲は、思っていた以上に広い。見通せる位置が必要であった。
下手を打てば狙い撃ちにされる位置でもあるが、
「頼みましたよ、杏」
スコープ越しに敵を捉えれば、敵の意識を惹きつけるうさみみメイドさんの動き。
森に入る前のまじないの効果だろうか――住まう世界を侵すものを前に、不思議とシリンの心は落ち着いていた。
『オオオオオオオオオ!!』
凄まじい敵のハウリング。凍気が身を刻む裂刃そのものとなった瞬間、火の精霊弾を広範に撃ちこんだ。
凍気を火弾が裂く。
水蒸気が発生し、視界が煙る中を猟兵たちが行く。
血統覚醒により、常は穏やかな緑の瞳を真紅へと変じさせたアルノルトがViperを放つ。
真っ直ぐに敵へと向かう『毒蛇』は、煙る前に敵を捉えている。確かな手応えを感じ取ったアルノルトは手首を返し、ワイヤーを加速させた。
鋭く切り裂く一閃。
その間にもアルノルトは新たな牙を敵へと向ける。
Viperの遠心が死んでいくのを感じつつ、手にしたのはVictoriaとLienhardだ。
二刀での攻撃は、時に一刀がフェイントを交えて。
ダッシュで斬りこんだ冬青は、自然と杏のうさみみメイドさん・うさみん☆との連携に。
「頭が三つもあるなんてずるいー!」
死角を突くのも容易じゃない、と冬青。横一文字を描く攻撃を、敵頭一つへ放つも、違う頭が狙う頭を叩き、適確な部位を外される。
頭二つを引きつけ、ぐるぐる回るうさみん☆ ぐるぐる回れば、ぐるぐる敵頭部も本体を中心にいつのまにか絡まっている。
と、ここで瑠碧が地の精霊へと願い、土が悪食の足を捉えた。
タイミングが悪かった。
悪食はこけた。
「ええっいきなりのギャグ!? つ、ついていけませんよ~」
言いつつ攻撃のチャンスは逃さない。与えられた手は二撃のみで、杏による懐刀にした灯る陽光での一刀と、転がり起きる敵を追う冬青の一刀。
「魂の奥底に宿りし魔の者よ」
ユーベルコード・妖魔解放を行使する燦の瞳が変じる。
「オブリビオンの呪縛より解かれ、この身を依り代に顕現せよ――」
リリース・ピュアリィハートと呟いた声は、細く、淡々としたものに。
黒のリボンを胸に結び、軽く跳躍した。敵懐へと飛びこみ、腕で鞭のようにしなやかに打つ。
●
少しずつ、少しずつ、戦場が移動する。
シリンはそれを追い、少しずつ猟銃の陣を変えていく。
左から、右へ。戦場は、間隔のある木々の間へ。
少しずつ、魂が啜られていく。
は、と杏が息を呑んだ。
「――離れて!」
自身も飛び退きながら、うさみん☆を繰る。
『グオオオオオオオ!!』
悪食が咆哮し、その背から何かが生まれてくる。
氷の翼が砕け散る音など可愛いもので、ビキビキッと鋼が増強されていく――生まれたばかりのドラゴンが翼を広げるように、それは剣山のような鋼針を広げた。
「な、なんか、ああいう動物見たことがあるよな?」
「……ハリネズミのようですね……」
「……それだ!」
陽里の呟きに、ぼそっと応えるクララ。
「見えますね――くっ、雰囲気の振り幅についていけてません、がっ!」
杏の声に一旦後退していた冬青が、彼我の距離と敵体長をざっと見た瞬間、何ともいえない感覚に思わず刀を振るっていた。ガキン! と鋼がかち合う音がした。
「え」と呟く。一瞬ののち、さくり、と土を穿つ音。
杏の伏せてという声が、耳に届く前に。
判断は一弾指。ほぼほぼ本能だった。
瑠碧の協奏流舞から即応した風の精霊が暴風を起こし、クララが即、鋼をも溶かす炎の矢を射る。
高速詠唱を行いつつ、焔が符の全てを冷属性へと変じさせ、猟兵たちを守るように光線を放った。
それでもすり抜けてきた鋼針が皆を穿ち、追って風。
強風は猟兵の体を打ち、鋼針の刺さった木々をなぎ倒す。
盾になるライが守るのは陽里とエリシャ、そしてうさみん☆を抱く杏。
「底知れないわね……」
エリシャの呟きは次から次へと発生する轟音にかき消された。
激しい戦いのなかで、自分にできることを。くっと拳を作り、まずは近くの猟兵たちを癒すべく聖なる光を届ける。
複数名へ、同時に行う癒しに陽里がエリシャを見るのだが――どこか心配そうなその瞳に、エリシャは力強く頷いて見せた。
「あたしなら大丈夫よ。魂喰らいの森に入る前の、楽しい思い出があたしたちを守ってくれる」
湧き上がってくる想いを光にのせて。
風によって舞い上がった鋼針から悪食へと、シリンが雷の精霊弾を集中砲火させた。
空気を震わす稲妻が空を駆け、バン! と悪食を撃つ。
迸る雷気から皆を守るのは瑠碧と精霊たちだ。
(「……いつか……この悲しい森が、優しい緑の地になるように――氷の精霊、風の精霊……どうか皆を守って」)
『ガッアアアァァァァアアア!!』
轟く敵の悲鳴。
「ふ、『この』鋼竜を喰らったと――確かに悪食なのだろうね」
性質が悪い、と、地を這うように放たれたアルノルトのViperが頭部一体を捕らえる。鋼のものを背中にした悪食は動けず、良い軸になる。反動をつけ、起きたアルノルトが駆けた。
ずきりと鋼針が燦の邪魔をする。
明らかに、啜られていると感じた鋼針を抜けば燦の肉が付着している。
その痛みに薄らと、燦の思考が浮上した。
(「まだかまくらできつねうどん食ってねーんだよ」)
妹と作ったかまくらと、簡易炬燵で過ごした時を思う。やりたいことは多々ある。そのひとつは平和そのもので。
(「宿す魂に触れることは許さない」)
耳に届いた焔の歌唱に、その脚を動かす。
唸り声を上げ、軽やかに走りながら燦が腕を振るえば氷の衝撃波が放たれた。そして広範に鋼糸を展開する。
衝撃波に煽られ舞い上がった鋼糸は、ハリネズミよろしく再び剣山状態となった場所に入り込み拘束を行っていく。
「冬青、回復は!?」
「大丈夫――ですっ!」
エリシャの声に応じる冬青。鋼針を抜けば、赤の飛沫。服は既に赤く染まっている。
キッと悪食を睨みつけ、
「やられっぱなしだと思わないでね!」
あちこちから流れ出る血液を代償に、真紅の翼持つ蝙蝠の大群を敵へと放つ冬青。
その姿をスコープ越しに見て、アヤネの心臓が一瞬凍りつく。
出来上がった隙にUDC細胞炸裂弾を撃ちこむも、この敵へ効果が発揮されるまでしばらくの時を要する。
「核は見つけた――けれど――」
撃ち抜く最適な瞬間が、今のままでは出来ない。
どうする、とアヤネは呟き考える。
自重により動かない敵ではあるが核の位置が一番の問題であった。収納されているのは、背中。一番力が集中している部位で、今は鋼竜がそこに在る。
「なら、その最適な瞬間とやらを見つけに行こうぜ」
ほら、乗った乗った! とライに騎乗した陽里がアヤネに言う。
「――僕のSilverBulletは撃った時の反動が凄いけれど、」
大丈夫? と重量十キロを超える大型ライフルを示すアヤネに、陽里はあっけらかんと。
「バイクから放り出された時は、放り出された時だな。仲間がいるし、なんとかなるなる!」
それじゃあ、とアヤネは後部座席に。
「肩も借りる」
「いいぜ! って想像はつかないが」
重量級のライフル。その反動に訪れる痛みは、どんなものか分からなかったが、陽里は任せとけと頷いた。
わずかに動く悪食。
ぐっ、と鋼糸を握れば、動きに応じて引っ張られるように。
燦は高く跳びアークウィンドから放たれるつむじ風を叩きつけた。弱体化しつつある一部の鋼針がバキンと折れる。
加えて敵への拘束を強めた。
『グオオオォォォォ』
頭部が動き、接敵する猟兵たちを追う。傷一つが動きを阻害する――それを知っているエリシャは聖なる光を放ち続け、仲間を癒す。
「本能のままに全てを喰らう……許せないわね。
命をいただくには覚悟がいるの。それは食事でも、戦いでも、同じこと」
覚悟。エリシャの言葉が瑠碧の胸をうつ。オブリビオンを骸の海に還す時、そう、いつも覚悟がいった。
それぞれの胸にあるのは、決意と覚悟――エリシャは言う。
「猟兵たちの魂を簡単に奪える、思わないことね」
回復は任せて、思いっきり戦って。
その気持ちに応えるように、猟兵たちの動きには迷いなどなく。
「森の番人、貴方に食べられる訳にはいかない」
杏が呟いて灯る陽光を振るえば、敵を裂く斬線に軌跡。暖陽の彩が花弁の如く舞散った。
行く道は長く、魂そのものが糧を得て強くなる旅路。
(「ただ喰らうんじゃそれで終わり――いただいた命たちを想い自分の中に取り込み、共に未来を歩んで生き様を見せるんだ」)
陽里もまた考える。食べるということは、色々なものを得る行為だ。
糧は様々なものの動力となる。
「ここに居る誰もが、君の餌食になるつもりはないし、させるつもりもなくここに立っている」
二刀を敵頭に当て、交差する斬撃を放つアルノルト。
「早々に骸の海にお還り願おうか」
『グルルルル……』
敵の体液がぼこりと音を立てたのち吹きあがった。
「集中砲火、いきます……!」
クララの声に飛び退く前衛陣。間を置かずして、纏め上げた炎矢が敵を穿つ。
その熱に鋼が、赤く、赤く、染まっていく。
カカッ! と敵胸の紋様が輝いた。
「弱肉強食は自然の倣いですが、生命を循環させない悪食はその埒外」
そう言ったシリンの複製精霊猟銃にはすべてに氷の弾丸。
そして自身がもつ猟銃を構え、
「あなたは私の獲物」
猟師と獲物。
猟兵とオブリビオン――変わらぬ、絶対的な立ち位置において、シリンが数多の弾丸を降らせる。
変形していた鋼針が急激な温度変化に折れ、竜の体を削り取る。
身軽になり、よろりと動く悪食の、輝く紋様をシリンが狙い定めた愛銃で撃った。
『ギャアアアオオオオオゥゥゥゥ!!』
獣の咆哮が迸った。
「今、ですね!」
力を振り絞り、花園の悪魔を放った冬青が飛散する様々なものを払っていく。
動き回り仰け反った悪食――その背後を、陽里が捉える。
ガッと大型ライフルが肩に喰いこんだ瞬間、アヤネの「すまない」という呟きが耳に届いた。
拡がる電脳世界、熱が払われ、意味のなさなくなった紋様、貫通していない弾から少し、先。
『瞬間』を捉えた。
アヤネが引鉄を弾けば、反動で直ぐに車体が大きくぶれ二人は放り出されるが、瑠碧の風精霊がクッションのように包む。
刹那の滞空ののち、二人と車体は地面に落ちた。
その時には、空を裂く悪食の咆哮が響き渡り――ざああっと、周囲の景色が変化した。
(「……いつか、空腹を抱えずとも済みますように……おやすみなさい」)
目を閉じ、祈りを捧げた瑠碧がゆるりと目を開く――場に広がっていたのは、荒野であった。
●
「お姉ちゃん、焔、頑張れたよ!」
たたっと駆けてきて、わあい、と燦に飛びつく焔。
どん、とタックルを受けた燦は、そのままぎゅっと妹をハグした。
「まずは一歩、だな! 今日は帰ってきつねうどん食べようぜ」
にこにこーっと満面の笑顔になる姉妹。
あちこち傷だらけな猟兵たちをエリシャが癒していく。
「すっごく頑張っていたわね!」
掌から伝わるぬくもりに、ほうっと冬青は安堵の息を吐いた。
「ありがとうございます~。は~……あったかい……でも、やっぱりフラフラしますね」
「そうね、大人しくしておいた方がいいわ。しばらく座ってて」
そうします、と貧血でフラフラ冬青は、駆け寄ってきたアヤネを見上げた。イタズラっ子のように琥珀色の瞳が輝く。
「アヤネさーん、お姫様抱っこしてください」
声は力の無いものであったが。
「お姫さま抱っこ?」
かくりと首を傾けるアヤネ。
彼女が「OK」と言って身を屈めるのと、ふらふらしながら「なーんちゃってー」と冬青が言うのは同時だった。「てー」の辺りで抱き上げられた。
「えっ! あ、あ、ああああアヤネさ、本当にするの!?」
「するも何も、したよ」
ひぇ~と足をばたつかせようとした冬青の力が、突然がっくりと抜けた。貧血MAX。目が回っている。
「大人しく……と言ったはずだけれど」
心は元気そうだし、大丈夫そうね、と困ったようにエリシャは笑った。
そんな光景を眺めながら陽里は、
「おつかれさま」
戦い抜いた相棒を軽く叩いて、もたれかかってひと休み。
「これが核か」
アルノルトが手にして呟く。
不気味に脈打っていたと思われる核は、少しずつ、細胞が破壊され崩れていく。
「一歩前進、ですね」
精霊猟銃を背に、スリングを胴に固定させながらシリンが言った。
「心臓みたい……」
うさみん☆を抱いて、じっとアルノルトの手にあるものを見つめる杏。
「鋼針もそのうち、消えるだろうか」
土の中から、一番最初の鋼針を出しつつ瑠碧が言う。
その時、ハッとクララが鋼針を拾った。何か閃いたのか、僅かに目が輝き、針を見つめている。
ちょっとドキドキして、クララを見つめる杏と瑠碧。
拾い上げた鋼針の中程を抓んだクララは、炎の魔力を込めているようで――徐々に鋼針は曲がっていった。
くにゃり、と。
「雪だるまの……口に良いかもしれません……」
先程作った雪だるま。確かに、容易く加工出来て「V」なにこちゃん雪だるまが出来そう。
――で、問題は、だ。
クララが周囲の視線に気付いていないことにある。
どこかいそいそと、口元に当てての呟きは、ばっちりと見られていた。我に返ったのは直ぐで、針を地面に放る。
(「……誰も見てませんよね、多分」)
ここでようやく周囲をうかがうように見回して、ぎしりと硬直した。
「…………」
「……クララ、かわいい」
杏の言葉に、聞こえませんとばかりに耳を塞ぐクララは、話題転換をと懸命に考える。
「あ。そ、そ、そういえば、報告書で知ったのですが」
ここから猟兵たちが聞いたのは――、
『核』は、最高級の牛肉の味とサボテンの果肉のような食感を持つ「伝説食材」であること。
持ち帰れば、半径二十五cm程度の一般的な球形の核で金貨五百枚(UDCアース換算にして五百万円)程度の値段がつきます――ということであった。
思わず、真顔で「は?」となった。
その瞬間、核は完全に崩れ落ち、鋼針もふっと消失する。
……まあ何はともあれ、群竜大陸での一歩目。
猟兵たちは、森の一区画を制圧し、大陸に橋頭堡を築くことができたのだった。
大成功
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