●とある祭りの会場
露店がひしめく街の路、一人の青年が一冊の本を手に取った。
「この本、少し中身を拝見してもよろしいでしょうか」
「ええどうぞ、好きなだけ読んでいってください!」
露店の娘がそういうと、青年は無造作に片手で本を開く。本を痛めるその読み方に一瞬娘は顔をしかめるが、だらりと力なく垂れ下がる男の片腕を見て怪我をしているのかと沈黙してしまう。
「…………面白い内容です、一冊いただきましょうか」
「あ、はい。どうも……」
片手で財布を取り出し、片手で本を受け取る。袖に隠れて指先も見えない使わない片腕を娘が奇妙に思っていると、その視線に気づいた青年が笑みを浮かべながら自らの腕を指差す。
「これは名誉の負傷なのですよ、この国に革新をもたらす灯火なのです」
「はぁ……」
その言葉に娘がどう返事をすればいいのか戸惑っている間に、青年は人混みの中へと消えていってしまう。
その手には架空の戦争の描かれた本……所謂仮想戦記が抱かれていた。
●グリモアベース
「趣味が同じだったりすると、人との会話って弾むわよね……けど、今回はあまりよくない人の趣味があってしまったみたい」
自動拳銃のトリガーに指を引っ掛けて回しながら、アンノット・リアルハート(忘国虚肯のお姫さま・f00851)は猟兵達に向き直る。
「サクラミラージュにおいて禁断の兵器、グラッジ弾の使用が予知されました。直ちに現場に急行し犯人の確保……または、グラッジ弾が使用された場合出現する影朧の撃破をお願いします」
グラッジ弾とは、帝都が世界を統一するための戦いで導入された影朧兵器と呼ばれる兵装の一つである。使い方は至って単純かつ強力、弾丸を対象に撃ち込むことで込められた恨みを対象の肉体を移し、影朧を呼び寄せる誘蛾灯にしてしまう。
この効力はある程度の期間持続し、弾丸を受けた対象そのものよりも対象が運び込まれる病院等の施設を影朧の群れで破壊するために運用されたという。
「そしてこのグラッジ弾を使用するのは幻朧戦線と呼ばれる……人間の集団です」
苦々しい顔をしながらアンノットは猟兵達に見えるよう地図を広げる。それは帝都でも有名な古書の街、数多くの本屋が集まる文化人の憩いの場としても有名な場所の地図だ。
しかしこの地図は街の東と西が分けられており、その中でも『あ~四十二』など番号の振られた細かいエリアに区切られている。どうやらただの地図ではないようだ。
「事件が起きるのはその地図に書かれた街なのだけど、事件が起きるとされる日は街全域を使った同人誌即売会が行われています……つまり、多くの一般人が現場に集まっているということです」
相手としてもそれを狙った行動なのだろう、しかし下手に即売会を中止すれば今度は予知のされていない場所で弾丸が使用されるかもしれない、そうなれば被害は計り知れないことになるだろう。
「貴方達には即売会の参加者として現場に潜入しつつ、グラッジ弾を持ち込んだ犯人を探してもらいます。場所が場所だから本を買ったりしてただの参加者だとカモフラージュしてもいいけど……経費とかにはならないわよ」
アンノットはガッツリと釘を刺すがこの即売会は帝都でも最大規模の祭典、全国から著名な作家が集まる日でもある。買わずに見てるだけというのも少々怪しまれるかもしれない。逆に言えば本に興味がないのに即売会に居る者を見つけることができれば、グラッジ弾を持つ首謀者に近づくことができるかもしれない。
無論、本来の目的を忘れなければ私的な買い物に走ってもかまわないが……あまり他の参加者の迷惑にならないようにしよう。
一通り説明を終えたアンノットは軽く息を吐くと、改めて猟兵達を見る。
「グラッジ弾は凶悪な兵器だけど、引き金を引くのは貴方達と同じ人です。迅速な対応をすれば一人の負傷者も出さすに終えられると私は信じています」
マウス富士山
●オープニングをご覧いただきありがとうございます、マスターを務めさせていただくマウス富士山と申します。今回はサクラミラージュにて禁断の兵器『グラッジ弾』とその所持者を探す任務となります。
目標は「幻朧戦線を名乗る者達を探し出す」こと、基本的には即売会の参加者に溶け込みながら怪しい人物を探すことになります。
探索、追跡がメインとなるシナリオの予定です。皆様のプレイングを心からお待ちしております。
第1章 日常
『同人が個人紙を持ち寄って即売する会』
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POW : 衝動の赴くままブースを回り、衝動の赴くままに買う
SPD : 走って……は駄目なので、速歩きで買う
WIZ : 回るルートや効率などを熟考してから買う
👑5
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
木目・一葉
そんな兵器を使うとは……
同人即売会?というのによほど強い恨みを抱いてるようだ
・SPD
袴姿で買い物をしつつ、売り子から【コミュ力】で【情報収集】
売り子から見ても怪しいという者の情報を得たら、その者を追いかけるようにしてブースを巡る
またその経路から行先を予想し【失せ物探し】も行う
見つけたら指定UCで追跡だ
ん?なんだこの本?
「か、かっこいいっ!一体いくらだろう!」
こちらは戦記ものか
「素晴らしい!いくらですか!」
こ、この本は!?
「これが忍びの知識か!買わねば!」
こちらの本は……
ひゃ、ひゃぁっ!こ、こういうのはだめぇーっ
い、いかん!僕は戦士だぞ!浮かれてどうする!
あ、あとでこっそりと楽しめば、いいよね?
霧ヶ峰・星嵐
※帝都桜學府の制服着用
【SPD】
幻朧戦線……聞かない名ですが、帝都に災いを齎すならば、防いでみせます!
……ですが、せっかくですし見て回りましょう!
帝都桜學府の名を汚さないためにも走らず騒がず、です!
(メイド、巫女、女騎士など様々な服を着るのが……つまるところコスプレが趣味。服に関する本やそれを着る人たちの文化や仕事の内容、歴史などが書かれた本が好み)
色々な場所を見て回ることになりそうですし、ちゃんと怪しい人も探しておきましょう。他の人と目的が違うんですから、辺りを見る目線だったり歩く方向だったり、何かしら他の人と違う違和感があるはず、野生の勘で違和感は逃しません!
●即売戦線異常アリ
「幻朧戦線……聞かない名ですが、帝都に災いを齎すならば防いでみせましょう!」
意気揚々と制服の袖を棚引かせる霧ヶ峰・星嵐(桜幻朧・七変化・f22593)に対して、木目・一葉(生真面目すぎる平凡な戦士・f04853)が自分の口元に人差し指を当てると星嵐は慌てて自分の口を両手で塞ぐ。
相手は幻朧戦線と呼ばれる謎の組織。この場所に複数人潜伏しているならばどこで会話が聞かれているかわからないし、ここがテロの標的となっていると一般の参加者に情報が洩れればパニックを起こしかねない。行動は慎重にしなければいけないだろう。
(しかし影朧を呼び寄せる兵器、か……そんなものを使うとは同人即売会というのに強い恨みを抱いているようだ)
しかし、そこまで恨みを抱いている人物ならば言動にも多少の影響があるはずだ。そのような怪しい人物の話を聞いていけば幻朧戦線の人間にも辿り着けるはず……と考えたところで、不意に一葉の袴の袖が引かれた。
「ん、霧ヶ峰さん?どうした?」
「一葉さん、これを見てください……」
真剣な表情で一冊の本を手にした星嵐を見て、もしやもう情報を掴んだのかと一葉は息を呑みながら開かれたページを覗き込み。
「か、かっこいいっ!」
そこに描かれていた男性のイラストに目を輝かせた。深く刻まれた皺に着古した軍服、歴戦の兵士といったその風貌はハードボイルドな軍人の一つの理想形だ。
「凄く上手なイラストですよね、こちらのメイドさんも可愛らしくて……」
「色々な職業の制服が描かれているのか、一体いくらだろう?」
「40銭……お蕎麦が四杯ほど食べられます」
UDCアースの値段に換算するとおよそ1000円前後、決して安い買い物ではないが……熟考の末二人は財布を取り出した。
「一冊ください!」「一冊ください!」
一度財布の紐が緩んでしまえば、後はもう雪崩のようなものだ。会場を回る二人は気になった本を片っ端から手に取っていく。
「これが忍びの知識か!買わねば!」
「なるほど、水蜘蛛は足に乗せるのではなく浮き輪のように…」
「戦記ものか……素晴らしい!いくらですか!」
「肩にかけるマンドは剣を使いやすいような構造なのですね、勉強になります…」
「こちらは……ひゃ、ひゃぁっ!こ、こういうのはだめぇーっ!?」
「なんですか!?何が描かれているのですか!?」
帝都桜學府の名を汚さぬよう走らず騒がずを意識していた星嵐だったが、素直に感情が表に出る一葉と一緒にいると自然とこちらも盛り上がってしまう。かしましくも微笑ましいやり取りをしながら会場を回った二人は両腕に紙袋を下げてベンチに座り込む。
「……どう思う?」
「可能性は高いと思います」
本を買い過ぎてしまう所がない……と言った話ではない。本を買う際に一葉が売り子から気になる話を聞いたのだ。
――今日は黒い首輪をしている人をよく見たんだけど、若い子の間で流行ってるのかい?
この話を元に、星嵐は首輪を付けている人物を擦れ違い様に徹底的に観察した。そして気づいた共通点が一つ。
「黒い首輪を付けている人は、頻繁に喉元に触れるような動きをしていました。それと表面の光沢から考えて、首輪ほとんど変形しない金属で出来ていると思われます」
「黒い金属製の首輪か……そこまで分かってるなら追うことができる」
そういう一葉の足元から影の追跡者達が駆け出し、人混みの中に消えていく。もしこれが幻朧戦線の構成員の特徴であれば大きな前進だが、同時に相手は自分達が想像していたよりも巨大な組織であることの証明にもなる。
どこか不安を感じながらも、二人の猟兵は追跡者達を見送った。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
高柳・零
POW
ふっふっふ。経費で落ちない?
趣味の本は自腹で買うのが正道ですよ…ではなく、帝都もとんでもない兵器を作ったものですねえ…。
予知を見る限り、犯人は架空戦記がお好きなようですねえ。
ならば、そういった露店を探してお客さんや店員と話し、他の店や怪しい人物の情報収集をしましょう。
幸い、自分もそういうのは好きですし。競技戦車とか艦の擬人化とか…。
怪しい人物を見た人には、いつ何処で見かけたか、どんな人物かも聞いてみます。
これで相手の動きが掴めればいいですし。
怪しい人物を見かけた場合は、他の猟兵に情報を共有するようにします。
自分が撒かれても、再発見しやすいですからね。
アドリブ歓迎です。
エドゥアルト・ルーデル
サクラミラージュにも即売会があるなんて…知らなかったそんなの…
街一個のデカイ会場となれば如何に効率的に回るかにかかってきますぞ
そういう訳で今回は助っ人を連れてきたでござるよ
こいつは【知らない人】、見ての通り極めて発見され難い奴だ
この知らない人と拙者とで東西に別れて探索でござる
しかしUDCアースならまだしもサクラミラージュのサークルなんざ殆ど知らんですぞ
いっそ表紙を見て【第六感】的にティンときた本を購入していこう
なに探す本のジャンルはなんだって?当然ッ!ウ=ス異本だッ!
工作員の捜索?知らない人がついでにやってくれるんじゃない?
拙者は本探しで忙しいんでござる!!
●影に紛れて
「サクラミラージュにも即売会があるなんて、知らなかったそんなの……」
「ふっふっふ、趣味の本は自腹で買うのが正道……ではなく、帝都もとんでもない兵器を作ったものですね」
即売会という言葉にどこか浮足立つ様子で、エドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)と高柳・零(テレビウムのパラディン・f03921)は会場を見渡す。街一つを丸ごと使っているだけあって、人の密集率はそれ程ではない。しかし単純な数で言えば彼らの知る即売会と同じか、それ以上の参加者がこの場に集まっていることになる。
「ここまでデカイ会場となれば如何に効率的に回るかにかかってきますぞ、うかうかしてると狙いのモノに逃げられる可能性も」
「予知を見る限り犯人は架空戦記がお好きなようで、そのジャンルに狙いを絞って情報を集めれば早いはずです」
会場の分け方としては大まかに西が文芸で東が漫画、更にそこから区域毎に特定のジャンルが左右対称に集まっている。つまりは層のようにジャンルが分けられているということだ。
「では高柳殿は軍事島を中心に、拙者は見落としが無いように別の所から回るとしますぞ」
「それだとエドゥアルトさんの担当範囲がかなり広く……」
「大丈夫大丈夫、こんな時のために助っ人を連れてきたでござるよ」
そう言ってエドゥアルトは一人の男性を指さす、そこには極めて影が薄く、そして全く見覚えのない人物が立っていた。
「えっと、猟兵の方でしょうか?」
「え、知らない人」
エドゥアルトの言葉に零が疑問を挟む前に、エドゥアルトは会場を駆け出す。その目には幻朧戦線の構成員ではなく、迂闊にその存在を出せば逮捕も免れない禁忌の書物ウ=ス異本のみが捉えられていた。
「片腕に怪我、ですか?」
「そうそう。ぶらぶら下げてたから折れたりしてるわけじゃないんだろうが、ちょっと気になってね」
そんなわけでほとんど一人で捜索するハメになった零だが、幸いにも彼の狙いは正しかった。片腕を怪我した男、片手しか使わない男、そんな人物の目撃証言が軍事島では数多くあった。
その男は片腕を服の袖で指先まで隠しており、袴の隙間からちらりと見える肩から包帯が見えたという。そして隠した腕の事を尋ねれば名誉の負傷を受けたと答えるとか。
(負傷……もしや弾丸を自分に撃ち込んで?)
零の脳裏にそんな考えが過ぎるが、もしそうだとしたら既にこの場に影朧が集まっていることになる。しかし影朧が引き起こすような怪奇現象の話はまるで耳に入らない。
弾丸はまだ使われてないと見て間違いないが、それならば負傷の原因はと零が考えた時、彼の目の前に一枚の紙が差し出された。
「……あの、その男の人って黒い首輪を付けていませんでしたか?」
「あー、腕にばっか目が行ってたけど確かに付けてたかも」
やはりと零は心の中で頷く、その後ろには知らない人が仲間の猟兵から得た情報を書いた紙を手に影の様に直立していた。
「皆さんからの情報ありがとうございます、僕の得た情報も皆さんに」
零が自身の得た情報のメモを渡すと知らない人は人混みの中に消えていく、これでまた一歩敵に近づけたのは確かだ。
「その人、どちらの方に行ったかわかりますかね?」
「南の方だね。結構買い込んでたし、違う場所に行ったんじゃないかな」
丁寧に教えてくれた店員に頭を下げると、零は男が去っていった方へ向かう。購入した本は……後で楽しむことにしよう。
「……超今風」
一方、エドゥアルトは戦利品を手に難しい顔をしていた。絵に問題はない、内容も作者の情熱がよく伝わってくるいいものだ、ただ導入がやたら長い上に無駄に文学的なためなんだかそういう気分にはなれない一冊だった。
「そこの道行く通りすがり氏、こんな時拙者どんな顔すればいいと思います?」
「え、いや……突然言われてもわかりませんが」
突然怪しげな黒ひげに声を掛けられた青年は思わず足を止めてエドゥアルトの方を見る。そしてその手に握られたウ=ス異本に僅かに眉を潜めた。
「こういう作品の良さはわかる、スッゲーわかる。拙者も泣きゲーとか嫌いじゃないしね。でも肝心のシーンが目から溢れる汁でぼやけて全く読めないのはどうかと思う」
「いや、知りませんよそんなこと」
「あ、ごめんね。突然話しかけれて迷惑だったね。拙者どうしてもこの感情を吐き出したかったの」
その言葉に青年は溜息を吐きながらその場を去り、エドゥアルトは青年の首に付いた黒い首輪と隠された腕を見ながら音もなくその後ろを追従する。
五感の共有、知らない人が得た情報はリアルタイムでエドゥアルトにも伝わる。まだ全ての島を回りきったわけではないが、流石に追跡対象が目の前を通り過ぎたら追わざるをえない。
いつの間にか日は傾き、辺りは夕暮れに染まっている。人混みはまだ、収まる様子を見せなかった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第2章 冒険
『眠らない街』
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POW : とにかくぶらぶら歩いてお店を見て回る
SPD : 路地裏や裏通りに隠れた名店や人を求めてみる
WIZ : 雑誌や口コミなどの情報から手掛かりを得る
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●幕間
追跡する猟兵達が辿り着いたのは先程までの露店中心の場所とは違い、キチンとした店舗を持つ書店が並んでいた。店先に立てられた看板を見るに一部の作者はこれらの書店に委託販売をしているらしい。他にも純粋に古書を取り扱っている店や喫茶店なども存在しており、全体的に少々落ち着いた雰囲気をしている。
幻朧戦線の構成員がこの場所に集まっているのは確かだ、もしかすると立ち並ぶ店の中に彼らの拠点が紛れているのかもしれない。幸いにも構成員は黒い金属製の首輪という分かりやすい特徴がある、彼らが集まっている場所を探すのはそう難しくはないだろう。
一件一件見て回るか、人通りの少ない場所を探すか、あえて人に話を聞いてみるか……いずれにしても行動は慎重に、グラッジ弾はまだ幻朧戦線の手の中にある。禁断の兵器が使用される前に、持ち主を拘束しなければならない。
代神・リゥム
「やれやれ…仕事中だったんだけどな。事件ってんなら、動かねぇと」
たまたま現場近くの本屋でアイドル稼業の真っ最中だったリゥム。なぜ古本屋で。まぁ、それもダイスの導きということで
「にしても、どうやって探したもんか…。いや待てよ」
仮にも国民的スタァの身なのだから、聞けばいいのだ
「さぁて、次の演目は! …っとその前に、最近探してるヤツがいてよ。こういうヤツなんだけども。心当たりねぇかな?」
ステージの合間に、ファンに画像を使い尋ねる。下手に敵を刺激はしたくないが、逆に近くにいれば動きがあるはず
(さぁ、どう動くテロリストさんよ…?)
密かにUCで悪魔【DDD】を呼び、ステージ中も周囲を探らせる
※アドリブ歓迎
●吉凶は賽に出る
(やれやれ、仕事中だったんだけどな……)
事件の一報を聞いた代神・リゥム(姉の女神に殴られたらハイカラさんに転生してた件・f22550)は、舞台袖で人相書きを見ながら小さく唸る。規模の大きいイベントゆえに国民的スタァを呼んで集客力を高めるのはそうおかしい事ではない、犯人達からすれば偶然仕事に来ていたスタァが猟兵だったというのは不運だが……ダイスの目が悪かったのだろう。
(こっちの仕事ほっぽり出すわけにもいかねえし、どうやって探したもんか……)
とは言えタイミングが悪いのはリゥムの方も同じ。二つの仕事を一度にやらなければならないのが兼業の辛い所、ましてや下手に飛び出してなんの情報も得られなかったら目も当てられない。
「とは言えさすがに他のヤツに任せっきりってのも……いや、待てよ」
ふとリゥムは自分が手に持つ人相書きをまじまじと眺めて、一つの考えが脳裏に浮かび上がる。少々リスクは高いが、上手く行けば相手を追い込めるかもしれない。
「さぁて、次の演目は! ……っとその前に、皆にちょっと協力してほしいことがあるんだ」
舞台に上がったリゥムの言葉に、観客達が少しだけ騒めき出す。その首元を一人一人確認しながら、リゥムは拡大した人相書きを広げた。
「最近探してるヤツがいてよ、こういうヤツなんだけども……心当たりねぇかな?」
広げられた人相書きを見て観客達は一様に首を傾げる、国民的スタァが人探しをする理由に見当が付いていないようだ。しかし、事実として幻朧戦線の構成員の顔が白日の下にさらけ出された。
(さぁ、どう動くテロリストさんよ…?)
観客の様子を確かめる、その表情に困惑以外の感情が浮かんでいる者がいれば……と、リゥムが僅かに目を細めた時、観客の男一人が突如として舞台の上に飛び乗ってきた。
「軟弱な文化の体現者め!!」
そう言って男が懐から取り出したのは一挺の自動拳銃。突然の事態に誰かが声を上げる暇もなく、火薬の炸裂音が会場に鳴り響いた。
……しかし。
「ファンブルだ、運が無かったな」
リゥムと男の間に、一の目が上を向いたダイスが二つ転がる。拳銃の暴発により傷ついた手を庇うように蹲る男を警備員が取り押さえるのを確認すると、リゥムは毅然とした態度で観客に向き直った。
「憲兵に通報を!それと到着までこの街から誰一人出さないよう連絡を回してくれ!」
そう言いながらリゥムは取り押さえられた男を見る、その首には黒い金属の首輪がしっかりと身に付けられていた。
成功
🔵🔵🔴
浅倉・桜雅
【かいひん荘】で参加
星嵐さんに呼ばれて助太刀にまいりました!
古本、少し気になりますがまずはお仕事!後で皆でゆっくり買い物しましょう!
ふぅむ、情報収集は皆さんが動いてくださるようですし、私は蛟の力を借りて潜みつつ、なにか動きがあれば直ぐに動けるようにしておきましょう。
一応、余裕があれば情報収集もしておきます。
あ、皆さんに水の入った竹筒をお渡ししておきますね!飲んじゃダメですよ?
対象を発見したら、出番です。
水を操り、敵になにかされる前に拘束しましょう。そのための竹筒です!
さあ、大人しくお縄に着いてください!
岩永・勘十郎
【かいひん荘】
霧ヶ峰に呼ばれ援護に向かう。
帝都が生んだ負の遺産のグラッジ弾が使用される恐れがあり調査に出ろという物だ。
勘十郎は周辺の書店に目を向け『フロー状態』となり【野生の感】を研ぎ澄まし始める。簡単に言えば『緊張してるのにリラックスしてる状態』だ。
そのまま目を進めるとパッと一つの書店が目に入る。
題名だけでは不明だがグラッジ弾の事が書かれている本が複数並んでいるのが見えた。もちろん読破している。
「その店が怪しくないか?」
と周囲の仲間に小さい声で伝え、他の者の助力もあってか犯人が姿を現す。何かされればこっちが不利だ。勘十郎はすぐ弓を構えるとUC【痺賊の矢】を使い足目掛けて撃ち放つ。
ポーラ・ライオール
【かいひん荘】で星嵐さんに呼ばれて増援参加
沢山の本に本好きの心が疼き、終わったら存分に本屋巡りをしよう!と決意。
「本を探しているのですが、初見で見落としそうな場所にある本屋があれば教えていただけませんか?」
本屋さんや、本を見ている人にも尋ねて情報収集。
聞いたお店の名前と地図のメモし、その店を中心に見回る。
(候補が多くなった時は勘十郎さんにメモを見てもらい、「どこに行くのがいいと思いますか?」絞り込み依頼)
怪しさや違和感を感じた本屋さんは心にメモ。
みんなが集めた情報共突き合わせて、対象見つけ出したいな。
攻撃を受けたら絶望の福音を使って回避。
私の力は弱いけれど、足手まといにはならないようにしよう!
霧ヶ峰・星嵐
【かいひん荘】で参加
桜雅さん! 勘十郎さん! ポーラさん! こっちでーす!!
友人を……もとい、増援を呼んできました!
【桜幻朧・七変化】で初期技能:コミュ力の和服に早着替え、「月ノ輪」も腕輪状に変形させ、色々お店を見てきたであろう買い物終わりで休んでいる人に「忘れ物を持主に届けたいんです。確か黒い首輪のようなものをしていたと思うんですが、そんな人を見かけませんでしたか?」と聞き情報収集します。
他の人が集めた情報も持ち寄って場所を特定したらそのままの恰好で一般人のふりをしながらその場所へ。
仮にグラッジ弾を使われても、狙われるのが私であれば軍刀状に素早く戻した月ノ輪で弾丸を防げるはずです!
●集う者達
「そろそろ……あ、居た!みなさーん!こっちでーす!!」
少しだけ路地裏に入った道で、霧ヶ峰・星嵐が両手をぶんぶんと振りながら友人を迎える。先頭に立つ岩永・勘十郎(古色な浪人・f23816)は星嵐の腕に掛けられた紙袋を見て若干訝しむように目を細めたが、すぐに任務の方に意識を戻す。
「憲兵がにわかに騒ぎだしている、誰かが派手に動いたな」
「人の出入りを徹底して絶つみたいですね、私達も猟兵だから入れたようなものでしたし」
続けて来た浅倉・桜雅(それはあくまで人助け!・f22468)の手には憲兵から貰ったのであろう、通路に×印が付けられた街の地図が握られている。この包囲網であれば人を出さないように押しとどめるのは簡単だろう……無論、影朧の力を使われなければ。
「ま、待ってください……二人とも早い……」
最後に、人混みを必死でかき分けながらポーラ・ライオール(人間のビーストマスター・f24071)が三人の下に辿り着く。動物の群れには慣れている彼女だが、濁流のような人の群れを擦り抜けるのは勝手が違うようだ。
「これで全員ですね、皆さんこれをどうぞ」
かいひん荘のメンバーが揃ったことを確認すると、桜雅が全員に竹筒を渡す。中身は見えないが、振ってみると何やら中には水が入っているようだ。
「あ、桜雅さんありがとうございます!丁度喉が渇いてて……」
「飲んじゃだめですよ?」
一度外した線をそっと締めつつ、星嵐は小さく咳払いをする。ともかく、頼れる友人は集まった。後は行動に移すだけだ。
「あの、本を探しているのですが……初見で見落としそうな場所にある本屋があれば教えていただけませんか?」
「ん?いいよ、どういう本を探してるんだい?」
「戦争、軍事……できれば多少物騒な方が好ましいな」
ポーラと勘十郎の質問に特に怪しむ様子もなく店員は地図にマークを付けていく。この辺りは本屋が多い分店ごとに販売しているジャンルを偏らせることで客層が被るのを防いでいるらしい。そのためか同業者のことは快く教えてくれた。
「でも、確か外で発砲事件が起きたんだろう?あんまり出歩かない方がいいんじゃないか?」
「なに、ワシらは荒事には慣れてるからな」
「そちらもお気をつけて、命あっての物種ですから」
ヒラヒラと片手を振りながら店を出る勘十郎を追って、ポーラも店員に小さく頭を下げて外に出る。地図に書かれた印は全部で二十三個……さすが一件一件回っている暇は無さそうだ。
「どこに行くのがいいと思いますか?」
「ふむ、そうだな……」
口元に手をやりつつ、勘十郎は周囲を見渡す。一見するだけでは、本屋などどれも同じように見える。違いと言えばやはり並んでいる本のラインナップなどになるが……。
「うん?」
ふと、視界の片隅に違和感を持った。ポーラの書いたメモを見直し、その違和感は確信へと変わる。思ったよりも、相手は分かりやすい相手のようだ。
「ここですか……」
メモを片手に星嵐が一つの書店に辿り着く、店名は『雪陸吹奥』。漢字を並び替えると軍歌の題名と同じになるのは狙ってやったことか。
「あの、申し訳ありません。誰か居ませんか?」
まだ営業時間にも関わらず扉は硬く閉ざされ、呼びかけても返事が来る様子もない。少しだけ悩んだ後、星嵐は掛ける言葉を変えた。
「忘れ物を届けに来たんです、人に聞いたら多分ここの人のだろうって」
僅かな沈黙の後、扉が僅かに開かれる。出てきたのは顔に深いしわが刻まれた初老の男だった。
「忘れ物、か」
そう言って男は星嵐の身体を見つめる。何かを吟味しているような、そんな視線だ。扉の奥の店内では何人かの若い男が集まっているのも見える。
「何を拾ったんだい?」
「お財布です、小銭を交換するときにお預かりしたままで……」
男の言葉に、星嵐の目が僅かに泳ぐ。その様子に何かを感じ取ったのか、男が扉を閉めようと手をかけた時だった。
「シャアッ!」
甲高い鳴き声と共に、星嵐の胸元から蛇のような生き物が飛び出す。突然の事態に驚いた男が後退った瞬間、星嵐の腰に下げた水筒から溢れだした水が床に撒かれ、足元を滑らせた男は強かに頭を撃つ。
その隙に蛇のような生き物――蛟に化けていた桜雅――が店内の構成員の数と位置を把握すると、仲間の水筒の水を跳ねさせ合図を送る。
「他は一時的な避難所休息所として店を開けてるのに、一件だけ閉め切っていれば人の目を避けてるのがバレバレだ」
その合図を受け、別の店舗の屋根上から様子を見ていた勘十郎が丸太のように束ねられた弓矢を放つ。空中で拡散した矢は窓やガラス戸を突き破り、店内の構成員を即座に無力化する。
「し、失礼します」
最後に、無力化された構成員の所持品をポーラが確かめる。共通しているのは黒い首輪と、どこからか用意した自動拳銃。しかしその弾頭はどれも一般的な鉛製だ。特に呪詛のようなものも感じられない。
「本命は帰ってきていなかったみたいですね……」
構えていた刀を抜くと、星嵐は念のため全ての銃を斬り飛ばして使用不能にする。グラッジ弾こそなかったが、拠点は抑えた。捕らえるのも時間の問題だろう。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
木目・一葉
実に充実したじk……じゃなくて、早く彼らを止めねば
あの素敵な夢のつまった空間を壊させはしない
・SPD
グラッジ弾が何処に、幾つあり、構成員の誰の手にあるか不明だ
まず組織の連絡の中心人物か拠点の情報を得たい
それに、行動を起こそうという今でも、首輪を外さない理由が気になる
互いを確認する目印ならいいのだが
裏通りに【地形の利用】で【目立たない】よう身を潜め、【失せ物探し】で構成員を探し、指定UCで【追跡】させる
影の追跡者なら、その視界や追跡対象の言葉からも【情報収集】が可能だ
これを繰り返して首輪の理由、連絡の中心人物、拠点、グラッジ弾自体の情報を得る
もし連絡の中心人物が見つかれば、再び指定UCを仕掛ける
●影に潜む影
出入り口は封鎖された。であれば相手は人の目を避けて一度仲間と合流を図るだろうと、木目・一葉は裏通りの暗闇に息を潜める。拠点は既に猟兵達が抑えているが、報告する暇もない迅速な制圧のため事実はまだ広まっていない。
黒い首輪というわかりやすい装飾品。普通このような目立つものはいざ計画を実行に移す際には目立たないように外しておくだろう、しかし実際は行動の一部が露呈し騒ぎになった今でも構成員達は首輪を外さないでいる。
(奴らの計画を考えると、影朧を避ける効果があるのか?しかしそれなら弾を撃った直後に付ければいいはず……)
思考を巡らせる一葉だが、上手くピースがハマらない。何か見落としがあるのかと僅かな焦りが浮かび上がった時、視界の片隅に黒い金属光沢が写った。
(ッ!?)
喉元から出かかった声を抑え、殆ど反射的に影の追跡者を放つ。共有された感覚から追跡者から見た景色が脳裏に浮かび上がり、首輪付き達の会話もまた一葉の耳に入ってきた。
『くそっ!まさか俺達を探してる奴がいるなんて……』
『存在を把握されたことを焦って発砲した馬鹿もいましたからね、短絡的な方が他にも居たのでしょう』
裏通りを歩くのはまだ若い青年の二人組。お互いに黒い首輪を身に着けており、比較的落ち着いているように見えるのは片腕を隠した例の男だ。地図と追跡者から得られる情報を元に一葉は先回りを始めるが、そんなことを知らない男達は無防備にも会話をしながら、ゆっくりと裏通りを歩む。
『確かに短絡的な行動かもしれないが俺は賛同するぜ、歌や踊りで名声を集めるスタァなんて軟弱な今の時代の象徴みたいなもんじゃないか。それにいざとなれば闘争を選ぶのが俺達幻朧戦線だろう?』
その言葉に、片腕を隠した男がピタリと歩みを止めた。
『その通り。大正の世を終わらせ、戦乱で人を進化させるのが私達の崇高な使命……貴方は分かっている人のようだ』
妙な胸騒ぎを感じ、一葉は足を速める。元よりそこまで距離は離れていない、二人の男の姿はすぐに一葉自身の目にも見えてきた。
「であれば、新たな時代の礎になることは貴方にとっても光栄なことでしょう」
男が隠していた腕を仲間に差し出し、その包帯に塗れた中身を曝け出す。本来なら拳があるのであろうその先端は明らかに歪な形に変形していた。
静止の声が出る前に、火薬の炸裂音が響き渡る。一葉が男を取り押さえることが出来たのは、それから半秒程経った後だった。
「……クソッ!」
悪態を吐きながら一葉は焼け焦げた包帯を引き剥がす。その下には杜撰な改造手術とでも言えばいいのか、男の手と拳銃が縫い付けられるように一体化していた。役目を終えたと言わんばかりに取り押さえられた男は抵抗をする様子はない、撃たれた男は……銃の特殊性が幸いしたか、急所は外れている。最も身動きを取ることは難しそうだが。
ふと、一葉の中でピースが埋まった。幻朧戦線の構成員が首輪を付けている理由はなんてことはない、ただの優越感だ。自分達は世界を変える選ばれた存在だと周囲に知らしめるために彼らは首輪を身に着けているのだ。自分達は恥じることなく正しいのだと本気で信じているのだから。
銃創から黒い煙が立ち上る。影朧兵器グラッジ弾は、今ここに使用された。
成功
🔵🔵🔴
第3章 集団戦
『同人娘』
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POW : ア゛ッ…顔良゛!ん゛っ…(嗚咽)
非戦闘行為に没頭している間、自身の【敵でもあり、公式でもある猟兵の顔 】が【良すぎて、嗚咽。立ち止まったり、倒れ伏し】、外部からの攻撃を遮断し、生命維持も不要になる。
SPD : ――散ッ!(公式である猟兵に察知されたので逃走)
肉体の一部もしくは全部を【同人エッセイ漫画とかでよくある小動物 】に変異させ、同人エッセイ漫画とかでよくある小動物 の持つ特性と、狭い隙間に入り込む能力を得る。
WIZ : 同人娘達…? ええ、あっちに駆けて行きましたよ。
【オタク趣味を微塵も感じさせない擬態】を披露した指定の全対象に【「こいつ逆に怪しいな…」という】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●幕間
さて、呼び寄せられた影朧『同人娘』は実のところ無害な影朧だ。
本を好み、登場人物達の心の動きに一喜一憂し、時には好みの違いで傷つく……この即売会に集まった人々と変わらない、どちらかと言えば微笑ましいような、そんな存在だ。戦闘をせずに対処することもそう難しくはない。
しかし、変わらないということがこの場においては問題になる。立て続けの発砲事件、封鎖された出入口、事件が起きたという事実は既に街中に広まっている……であれば、こんな事を考える人間がいてもおかしくはない。
まだ事件を起こした者の仲間が潜んでいるかもしれない、と
同人娘達は人間に監視不可能な小さな隙間から次々と会場に入り込む、人の数が増えているという事実に人々が気づくまでそう長くはないだろう。そしてその事実が恐怖となり、火が付いた恐怖は魔女狩りを生む。まさしく幻朧戦線の者達が望む争いの始まりだ。
そのため、猟兵達は人々の恐怖を煽らないように同人娘を対処しなければならない。気づかれぬように終わらせるか、あえて名乗りを上げ人々を安心させるか……方法は自由だ。
浅倉・桜雅
【かいひん荘】の皆さんと協力!
むむむ、未然に防ぐのは失敗してしまいましたか。
しかし、この程度でへこたれません!
とりあえず騒ぎが起こらないように、影朧をどうにかしないといけませんね。
とはいえふむ。この会場で周囲の皆さんの気を引く方法、となると。
音に聞くこすぷれ、なるものでしょうか!
ええ、私の場合こすぷれとは違いますが悪魔を憑依させれば似たようなものでは!
というわけで1番穏当な感じの鎌鼬!頼みました!
さて、キメキメでぽーずを決めつつ、風を操り同人娘達をそれとなく目立たない場所に誘導しましょう!
あとは、大人しく帰って貰うだけです!
楽しんでいる人がいるお祭りの会場で、争いは起こさせませんよ!
霧ヶ峰・星嵐
【かいひん荘】で協力します!
今は大丈夫ですが、このままだといつか騒ぎになりそうです……!
なるほど、こすぷれ! ……いつもやっていますね私!
それでは今日はそちらは桜雅さんたちにお任せします!
私は忍び足でひっそりと誘導された同人娘たちの方へ
そのユーベルコヲドの弱点は! ……こちらが何もしなくても戦闘不能になること、でしょうか……?
桜封が発動したら幻朧桜は桜雅さんのところに生やし、演出でさらに目立つようにしましょう
帝都に暮らす人々を傷つけないのであれば敵ではありません!
桜封が発動している間にコミュ力を活かし同人娘たちから聞き取りを
未練があるのであれば解決して可能な限り穏便に帰ってもらいます
岩永・勘十郎
【かいひん荘】
「なら、ワシも何かしないとな」
そう言うとUC【死喰の墜武者】を使って堕武者『大蛇』を召喚し『影朧の気を引いて欲しい』と頼む。その程度なら重い対価を払う必要は無く「1年分の老い」を代償に払った。勘十郎は1年寿命が延びる。
『我ノ呪いヲ使い……その者ノ援護ヲしよう』
大蛇はそう言って浅倉と、その召喚した鎌鼬に一定時間魅力が集中し、UCの効果が強化される呪いをかける。大蛇は死や病、代償や呪いを司る妖怪(あくま)だ。これくらいの呪いはお手の物と言った所か。
「これで何とかなるはずだ」
●桜の漣に見送られ
騒めきは広がり、人々の顔には不安の色が浮かんでいる。誰も彼もが会場で起きた異常事態に冷静さを失いつつあるようだ。
「今は大丈夫ですが、このままだといつか騒ぎになりそうです……!」
「とりあえず騒ぎが起こらないように、影朧をどうにかしないといけませんね」
物陰から通りの様子を観察しながら、霧ヶ峰・星嵐と浅倉・桜雅もまた不安そうに呟く。しかし、彼女達が幻朧戦線の構成員を捉えていなければこの状況を利用して更なる騒ぎを起こされていただろう。グラッジ弾こそ使われたが、彼らの目論見そのものを防ぐことはできたと言える。
「だがどうする?周囲の気を引きつつ影朧を探すとなると、簡単ではないだろう」
岩永・勘十郎はそう言いながらも人混みに紛れた影朧を探すが、外見ではまるで区別がつかない。かと言って手荒な手段で探せばいたずらに不安を広げるだけだ。どうしたものかとかいひん荘の面々が頭を悩ませていると、桜雅が何か閃いたように柏手を打った。
「音に聞くこすぷれ、なるものはどうでしょうか!」
「……こす、何?」
「なるほど、こすぷれ!」
勘十郎が首を傾げる中、星嵐もまた納得したように手を叩く。二人の反応を見た桜雅は自信ありげな表情で作戦を耳打ちした。
「まだ封鎖が解かれないのか……」
とある参加者が独り言ちるが、そう考えているのは彼だけではないだろう。会場では桜學府が動いてるだの発砲事件が起きただの良くない噂が流れている。もしその噂が本当ならばこうして留まっているだけでも危険ではないのだろうか。
不安は焦りとなり、冷静な思考を失わせていく。こうなったら無理やりにでも会場から出てやろうかという思考が脳裏をよぎった時、それまでとは違う騒めきが突如として沸き上がった。
こんな時になんだとその騒めき……というよりも歓声の上がっている方を見ると、その騒ぎの理由はすぐにわかった。
少女と大人の間のような女性。その頭には丸みを帯びた耳が乗っており、腰からは長い尻尾が生えている。狸……いや、鼬だろうか。こすぷれとしては所謂獣人の一種
、耳と尻尾を付けただけの簡単なものだが、その二つの完成度が群を抜いている。時折ピクピクと動く耳などまるで本物ようだ。
一度視界に入ってしまうともう目を放せない、そんな不思議な魅力に溢れたこすぷれだ。先程までの不安はどこへやら、ぼんやりと鼬の彼女を眺めていると……うめき声を上げながら隣に立っていた女性が倒れた。
「お、おいアンタ大丈夫か!?」
「ア゛ッ…顔良゛…」
「はいはーい、体調不良の方はこちらでーす」
肩を貸して女性を立たせると白い髪の少女が手早く彼女を連れて何処かへ行ってしまう、制服からして桜學府の人間だろう。よく見ると倒れている者は多くいるようで、少女はそんな者達を手際よく運んでいく。
大変だなぁと、参加者はその様子をどこか他人事のように見届けるのだった。
「なんだ、えらくアッサリ見つけられたな」
半ば積み上げられるように路地裏に集められた同人娘達を見て、勘十郎は感嘆の息を吐く。鎌鼬を憑依させた桜雅に召喚した大蛇による魅了の呪いを掛け、参加者の気を引くつもりだったが……その前に同人娘達が自分から姿を現した。
「えっと、確認なのですが……本当に人々を傷つけるつもりはないんですね?」
嗚咽でまともに喋れない同人娘達は無言で頷く、というより既に身体が消滅しかけている。桜雅のこすぷれを見て色々と満足してしまったのだろう。
「うん、なんというか……すまん」
呪いは使ったが、呪いで殺すつもりはなかった。何とも言えない申し訳なさを抱える勘十郎を見て同人娘達は首を横に振った。
「貴゛方達の、おかげで……最゛後に良いものが見られました……」
「ああほら、涙を拭いて。こちらが何もしなくても戦闘不能になるとは難儀ですね」
星嵐の言葉に恥ずかしそうに笑いながら同人娘達の身体が霧散し、花弁のように空を舞う。同時に展開された多数の幻朧桜が、彼女達の最期を見送るのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
エドゥアルト・ルーデル
この会場に居る時点で影朧だろうがこちら側の住人でござるよ
つまりよぉやたら嬉しそうなのに急に一般人のフリする奴を探せばいいんだろ?
声掛けて探しますぞ!ドゥフフフ…そこなお嬢さん、いいモン見つけたでござるか?
…恐ろしく速い【擬態】、拙者じゃなきゃ見逃しちゃうね
【第六感】も囁いているが匂う!匂うぞ
オタクの世界に足を踏み出したものの隠したくなっちゃう乙女心
だが隠しても無駄だ、さあお前達の推しを数えろ!
【知らない人】を交えて買った戦利品を見せ合い交換したりお互いの推しについて早口で語り合ったり!
いいよね…
いい…
拙者も乙女回路全開で対応してお見送りですぞ
転生してもまたこの場所で会おうな!拙者との約束だ!
木目・一葉
その行為、理想の押し付けではないだろうか
・戦闘
取り押さえた男は仲間に託す
僕は混乱を広げぬよう撃たれた男を連れ、会場と人ごみの多い場所から距離をとる
【地形の利用】で人の多い通りと広間を避け、また避難ルートも被らぬよう、人が集まらない場所へ移動
ここにわざわざ集まるなら、それらは影朧だろう
彼女らは無害とのこと
ならば!
購入した本を彼女らに与え、共に感動を分かちあい、【コミュ力】を活かして説得だ
哀しいが、君達がここにいると、この素晴らしい本を扱う理想郷が消える!
それは望まぬだろう?
だからここは涙をのみ、退去してほしい……
念の為、撃たれた男に影の追跡者をつけ、危害を加えられそうなら『影人の涙雨』で迎撃だ
●とある本好きの仲間達
「おおぅ、これは予想以上の大惨事……」
血と硝煙の臭い、倒れ伏している二人の男。グラッジ弾使用の現場にたどり着いたエドゥアルト・ルーデルは目の前に広がる光景に顔をしかめる、人間同士の争いの場を見るのは何時ぶりだろうか。
どこか異様な空気の漂う路地裏で男を取り押さえていた木目・一葉はエドゥアルトの姿を見ると、助かったと言うように立ち上がり片手に銃を移植した男を差し出す。
「すまない、この男を任せても構わないだろうか?」
「うん?それは構いませぬが、そちらの彼はどうするので?」
「出来るだけ人から離れたところに、情報が確かなら影朧は彼を中心に集まるはずだ」
そう言って一葉は撃たれた男に簡単な止血処理をすると、より人通りの少ない路地裏に行こうとして……最後に、銃を移植した男の方に振り替える。
「お前達の理想など知ったことではない、だが如何なる理由でも仲間を傷付けるなど僕は絶対認めない」
それは、理想の押し付けだ。
そう言い残し、一葉は負傷した男と共に路地裏の奥へと消えていった。
「いやあ、中々綺麗な景色ですなぁ」
桜の木が立ち並ぶ通りを幻朧戦線の男と歩きながらエドゥアルトはそんな感想を述べる。丁度向こうで誰かがコスプレを披露してるようなので、男の腕に巻かれていた包帯を顔に巻き直して仮想風に偽装&余計な事を喋らないように口封じ済みだ。
「拙者は即売会となると照り付ける夏の日か凍えるような冬の日か知りませぬが、花吹雪く景色も乙なもの……ねえお嬢さん方?」
自身の横を素通りしようとした一団を引き止め、エドゥアルトは戦利品の入った紙袋を取り出す。
「ふふふ、擬態しようったってそうはいかねぇ……その濁りきった真っ直ぐな視線、間違いなくこちら側と見た。拙者と一緒に語り合いましょうぞ」
「えっと、なんの事でしょうか……?」
「プライベートで皆で撮った写真(ピンナップ)とかもあるけど見る?」
そう言った直後、女性達は忠誠を誓う騎士のようにエドゥアルトに膝を付いた。どれだけ外見を取り繕っても、その魂を騙すことはできなかったのだろう……。
「全く、戦いの一つもできない連中が来るとは禁断の兵器が聞いて呆れるな……」
負傷しながらも悪態を付く幻朧戦線の男を、一葉は傷に響かない程度に肘で突いて黙らせる。
人通りの少ない裏通り、もしもの時の避難経路も回避し、スタッフが通る道も避けた。今一葉達が通っている道には人はおろか、本の一文も落ちてはいない。
「それでも集まっている君達は、きっと影朧なのだろう」
立ち塞がるように現れた女性達に対して、一葉は相手を刺激しないよう優しげな声音で話し掛ける。相手は無害な存在だと聞いている、ならば攻撃的な態度に出る必要もない。
「僕は、この会場に来てくれたのが君達で良かったと思ってる。こんな本の無い場所に呼び寄せてしまってすまないとも……だから、これは僕からの気持ちだ」
そう言って一葉は紙袋を取り出し、自らの戦利品を一冊一冊同人娘達に手渡していく。それは特別人気の作家が書いたわけではない、貴重な古書というわけでもない、だがそれ故に、買った者が本当にそれが好きなのだと伝わる魂の一冊。
「いつかまた、この素晴らしい本が集う理想郷で語り合おう。だから今は……」
最後の一言を言い切る前に、同人娘が一冊の本を一葉の前に差し出す。恐る恐る一葉がその本を受けとると、同人娘の指先がゆっくりと形を失い始めた。
「お゛お゛……尊い……死ぬ……死んでた……」
「はっはっは、大袈裟でござるなぁ」
黒ひげWith猟兵仲間達のプライベートな写真を見た同人娘達が、嗚咽を漏らしながら形を失っていく。桜吹雪のように舞い上がる彼女達の見送るようにエドゥアルトは大きく手を振る。
「さらばだ皆の衆!転生してもまたこの場所で会おうな!拙者との約束だ!」
「……終わったか」
一冊の本を抱えて一葉が裏通りから姿を表す。見慣れないその本を見てエドゥアルトは何か聞こうと思ったが、少しだけ古びた装飾を見て横やりを入れるのはやめにした。
状況終了、もう少ししたら封鎖も解けるとこだろう。銃声と共に起きた鮮烈な事件は、話し合いによって静かに幕を閉じたのだった。
●エピローグ
幻朧戦線の構成員は憲兵に引き渡され、後はサクラミラージュの法で裁かれるのを待つのみ、ここから先は猟兵達の介入する場面ではないだろう。
人が起こした事件は、皮肉にも引き寄せた影朧によって彼らの思惑から外れた結末を迎えた。同人娘という無害な存在が集まったのは書物に深く関わった土地で弾丸を使用したからかもしれないし、全力で即売会を楽しんだ猟兵達の感情に彼女達が惹き付けられたのかもしれない。
ともかく、事件はそれほど多くの被害を出さずに終えることができた。もし同人娘達が転生した時は、今度はゆっくりと語り合いたいものだ。
同じ人であるのだから、そうすれば争わずとも新たな発見をできるはずだ。
大成功
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