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幼鶏大脱走

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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 闇と雲に覆われようが朝はお構いなしにやってくる。人々は鐘の音と鶏の鳴き声と共に目を覚ます――それが日常。
 もう一つ日常と化したことがあった。それは朝が来る度一人が物言わぬ骸に変わっているということ。
 恐れおののきながらも何もできず、ただ息を殺すだけの日々。だがこの朝は異変があった。
 牧場の柵から溢れ出しているのは黄色い毛玉。無論馬や羊もいたはずなのだが、それ以上に黄色、黄色、黄色の山である。それらが一斉に鳴き声を上げた。
「「「「ピョーッ!」」」」
 黄色い毛玉、鶏の雛、幼鶏。
 つまりひよこである。
 牧草の上を駆け回り屋根を上り柵を越え舗装されていない土がむき出しの道を走り回る。とある世界の童話ではエメラルドで道が舗装されていたというが、この村の道はひよこで舗装されたかのようである。実に非現実的な光景だが残念ながら現実だ。
 牧場の柵を壊した存在は黄色の波に飲み込まれて今一つ身動きが取れないようであった。
 ひよこの中でも一定の数が時計塔に集まっていた。堅牢な扉をつつき、壁に小さなひび割れを見つけて中に潜り込む。
 ふるふると羽毛の寝てしまった体を震わせてから彼らは走る、ただただ走る。
 目指せてっぺん走れよあんよ、短い翼をはばたかせ飛べはしないが高みは目指す。ピヨピヨ鳴きながらひよこたちは時計塔のてっぺんを目指して驀進するのであった――。

「ああ、もうやめろぉ……黄色が俺の網膜から離れない……鳴き声がリフレインして止まらない……」
 どこに網膜があるのか全く判然としないが、枯れ木を模した姿のブラックタール、幽暮・半月はへんにょりとグリモアベースの地面にへばりつこうとしていた。
 しかし猟兵たちがやってきたのに気付くと姿勢を正した。体が波打っているあたり無理をしているのが見て分かる。
「よく来てくれた。羽毛に支配された時計塔を救ってきて欲しい」
 猟犬たちは頭上に疑問符を浮かべた。半月の無理は分かりやすいが説明は分かり辛い。
「ああ、いや、無辜の民を苦しめるオブリビオンの予知だったのだが……ひよこが大量発生しているようでな」
 言っていることは分かりやすいが言いたいことは分からない。
 半月は順を追って話そう、と枯れ木を模した体を無理矢理しゃんとさせた。
「最初は牧場を荒らす獣を捕らえてくれ。日の出と同時だ」
 夜が来ると牧場に乱入する動物たちがいる。どこからか逃げてきたロバ、イヌ、ネコ、ニワトリたちだ。まずはこれらを捕まえる必要がある。
 ――羽毛と時計塔は?
 猟兵たちの当然の疑問に半月はげんなりとした声で答えた。
「その壊された柵から大量に逃げ出したようなのだ。どういうわけかゆるく時計塔に集まり頂上を目指そうとしている……ように見える」
 話す間にもブラックタールの体が滴り落ち始めている。一面ひよこ尽くしの光景はどういうわけか半月に多大なダメージを与えたようだ。
「時計塔の頂上を目指す理由は見当もつかんが……一応牧場主の財産だから穏便に捕まえられるだけ捕まえておいてくれ」
 時計塔にひよこが集まっている、という点から何か異変があることだけは確かなようだ。行って損はないだろう。
「俺に見えたのはここまでだ。オブリビオンの居場所も特定したかったが、一面ひよこではな」
 よろしく頼む。そう締め括る半月は落ち着いていたが、猟兵たちの視界から離れたらおそらくまたぐったりとし始めるのだろう、というのはグリモア猟兵でなくとも予知できることであった。


赤城
 赤城と申します。割とネタシナリオです。
 全編ひよこが乱入する以外は普通のシナリオです。多分きっとおそらく。

『ご注意』
 ネタですが判定は真面目系にやります。
「成功率の低いユーベルコードに賭けるぜ!」みたいな時に失敗したらネタネタしく失敗になります。
 シリアスな方はちゃんとシリアスなセリフと行動で処理しますが、どうあがいてもひよこ乱入になるのでご注意ください。

 面白おかしいプレイングをお待ちしています。
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第1章 冒険 『闇夜に訪れる音楽隊』

POW   :    肉体言語。犯人を捕まえるのに小細工はいらない。

SPD   :    音楽や歌で相手の注意を引く。

WIZ   :    罠を用意。疑似餌だったり、他の動物だったり、種類は色々。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

シェラ・ルート
「羽毛に支配された時計塔…天国?」

一面がひよこなんて、想像しただけでもにやけてしまう。シアワセになれそう…。


ひよこもいいけど、まずは犯人を捕まえないと。
【POW】体力仕事は得意。【聞き耳】で音を聞き分け犯人をさがしつつ、見つけたら【追跡】で逃げられないように追いながら捕まえようか。あまり逃げるようなら【槍投げ】で相手の進行を阻むのもいいかも。

「もふもふ…ひよこ…」

作戦は考えてるよ、でもひよこで頭がいっぱいだよ。
触りたい、なでなでしたい。隙があればずっともふもふしよう、うん。



 曇天を背景に、ふわふわと黄色い毛が舞っていた。何も知らない者が見たらすわ祭りかと思うことだろう。ぴよぴよと響く鳴き声はひよこの祭典としてぴったりのBGMであった。
 しかしこのような祭りを誰が喜ぶのだろうか。
「もふもふ……ひよこ……」
 ここにいた。シェラ・ルート(ドラゴニアンの竜騎士・f09611)である。
 表情に乏しいながらも藍色の瞳はよく晴れた夜空の如く輝いている。雛鳥の群れに視線は釘付けだ。
 これはこれでとても非常に大変に気になるが、自分は猟犬としての任務がある、そう周囲を見渡した。
 そしてくりくりのおめめと視線がかち合うと、迷いなく流れるような動作で一羽の雛を抱え上げた。
 白い肌、白い髪、白い翼。天使のような少女が掌にひよこを乗せて戯れる風景はとても穏やかで美しいものであった。天に目をやれば雲の切れ間からわずかに光の梯子がかかっているのが更に拍車をかけている。
 ただし地では大量のひよこがぴよぴよ鳴いている。そして彼女はオラトリオではなくドラゴニアンである。
 この猟兵はひよこに夢中――そう判断したのかもしれない。こそこそとひよこの群れに埋もれながら動く影があった。
 ひよこのあまりの数に狩猟本能の萎んだネコであった。本来であれば狩っていただろうがこれだけの数は異常事態だと判断したらしい。抜き足差し足忍び足。
 黄色い毛玉の海をかき分け、ふと違和感を覚えたようだ。後ろを振り向くと――先程までひよこと戯れていた猟兵が真後ろにいた。
 シェラは何もひよこと戯れることしか考えていないわけではない。決してそれだけではないのだ。ひよこの優先順位が高すぎるだけであって、当然猟兵としての仕事は忘れていない。彼女の耳は猫の移動音を探知していた。
 ひよこをかき分けて進という条件はシェラもネコも同じ。飛び上がって駆けだしたネコをシェラはひたひたと追う。狩りも逃走も得意であるはずのネコが完全に引き離せないのはシェラの猟兵としての研鑽の賜物だ。
 尚、ひよこに被害を出さずに走っているのは鳥好きの愛の賜物である。
 がむしゃらにネコが無事な柵の隙間に頭を突っ込んだ。そのまま通り抜けよう――として、その鼻先の地面にアルーシアランスが突き立った。

「あそこに天国があるのね。羽毛に支配された時計塔だなんて……」
 ネコを小脇に抱え、今は沈黙している時計塔をうっとりと眺めやった。その足元ではひよこが構って欲しいと言わんばかりに飛び跳ね、シェラはまた絵画のようにひよこと戯れ始めたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

綴・真砂
退治するんとちゃうんやな捕まえなあかんのやね?
追い込み漁みたいはあかんやろか、大きい檻おいて入口もともとの柵に切れ目入れてそこにつなげてや
中にフルーツや肉も入れて自分から入るんは入ってもらおか
動物来たらフォックスファイアで誘導するんや
狐火で牧羊犬代わりにやある程度はいったら檻の入り口開けとる紐焼き切ってしめるで
可能やったら幾つか檻つくっとってやな

ちなみに、しっぽに潜り込まれてあかん、あかんてそこはぁぁぁと下手に尻尾を振ると潰しそうで動かせず、誰かとってぇなぁとひよこたちに困惑してるかなと



「これでよし!」
 綴・真砂(妖狐の陰陽師・f08845)は体を起こしてぴょこんと尻尾を跳ね上げた。労働の汗が宙を舞う。
 元々あった柵に切れ目を入れ、餌を入れた檻を設置する。そして追い込み漁の要領で牧場襲撃犯を捕獲する、というのが彼女のプランであった。
 そして初っ端から苦労をする羽目になったのである。原因は足元を駆け回るひよこであった。
 檻の設置の邪魔をするのは予想の範囲内だ、しかし彼女の三本の尻尾はひよこたちの興味をひいたらしい。何とか潜り込まれないように無駄に動くことを強いられた結果意外に時間を取られてしまった。
 しかし問題はない、牧場襲撃犯が捕まえられればそれでいいのだ。色白の肌に浮いた尊い労働の汗を拭きとるとひよこに埋もれて周囲に溶け込んだ。
 もふもふの毛玉の中にふかふかの尻尾。これが合わさるとどうなるかというと――真砂の場合、焦った。三本の尻尾の中はひよこにとっても居心地のいいものであったらしい。
 大きく尻尾を振りかけて堪えた。万が一にもひよこを潰してしまっては一大事だ。敵に警戒されてもいけない。誰か取ってぇな、と心の中で叫びを上げていると、赤いとさかに茶色い羽毛、ひよこのなれの果て。家禽代表ニワトリがやってきた。ただしこの牧場にいたものではない、襲撃者の方であった。
 色んな意味で歓喜した真砂は狐火を差し向けた。檻の方に追い込むように、曲線を描いてニワトリの背後に回り込むと網目を描くように動かしながら誘導していく。
 朝には実に威勢のいい声を上げるのだろう、と思わせるほど元気よく鳴きながら、茶色の羽を飛ばして檻の中へ転がり込んでいく。
 あとは檻の紐を焼き切って完了だ、狐火を操りながらダッシュで檻に近寄る。尻尾の中でくつろごうとしていたひよこが飛び跳ねて、ようやく真砂は解放されたのであった。
 安心しながら檻の中を確認する。ターゲットと共にいつの間にか入り込んだ幼鶏がいた。
 真砂は目をぱちくりさせた。ニワトリは真砂を鋭く睨みつけた。ひよこは真砂をじっと見上げた。
 ひよこの首傾げつきの視線が真砂を襲う。
 悪意があってやったわけではない。しかしひよこもまた閉じ込められるいわれはないとばかりに見つめてくるものだからたじろいでしまい――
「ちょっ、やめてーな! あかん、あかんてそこはぁぁぁ!」
 背後に忍び寄ったひよこに再び尻尾に潜り込まれることになったのである。抗議を我慢しなくて良くなったのは、労働の対価だろう。

成功 🔵​🔵​🔴​

アイ・エイド
【WIZ】
罠だろ罠。あーいうのはな、仲間と一緒に行動すんだよ。親近感のわくかつ頼れる仲間に付いてくる…って事でオレ特製2頭身ひよこ着ぐるみー。どーだ、つぶらな瞳で可愛いだろ?

ピーヨォオオォォ!!さあ、オマエら!オレについて来い!!160cmぐれぇのデカひよこが事前に用意した捕獲用落とし罠に向かってダダダダッとひよこたちと離れ過ぎない一定の距離間を保ちながら、勢いよく走ってくぜ!背中のファスナー?……ナニを、イッテイルンダ?中に人…狼などいないぜ?
落とし穴付近でジャンプしてオレは翼型飛行剣を広げて落とし穴の上を飛ぶ!あめぇなオマエら、飛べないひよこはただのひよこなんだよ…!

(*彼は二徹目です)



 ひよこが牧場を駆ける、実に牧歌的な光景である。そう例えその数がおかしかろうとも。
 例えひよこのサイズが二頭身人間サイズだったとしても、それが爆走していたとしても、端的に文にしてしまえば牧歌的である。
 手作り感はあるけど中の人なんていませんし人狼だっていませんよ。アイ・エイド(変人腐れ狼・f10621)なんて猟兵は入っていません、ここにいるのはひよこです。
 つぶらなくりくりおめめに黄色い羽根の二頭身の生き物。誰が何と言おうともひよこである。便宜上二頭身ひよこと呼ぶことにしよう。
「ピーヨォオオォォ!」
 二頭身ひよこは二日ほど寝ていないテンションで高らかに鳴き声を上げた。
「さあ、オマエら! オレについて来い!」
 黄色い手羽先を振り上げ、ひよこの注意を引き付ける。頼もしそうな雰囲気を演出し、ぴょこぴょことひよこたちが寄ってきたのを確認すると勢いよく走りだした。その動きにはためらいが無く代わりに勢いに溢れた疾走、ひよことしての動きを超越していながら決してひよこたちを引き離しすぎないように配慮した走り。二頭身ひよことしてのスペックを出し切った過不足ない俊足。
 ひよこたちを引きつれ二頭身ひよこは牧場の中を爆走する。
 何を思ったのかその中にはこの牧場を襲撃したイヌもいた。二頭身ひよこの背中のファスナーに釣られたとかそんなことはきっと無いだろう、走る相手を追っているのだ。
 二頭身ひよこは高く飛び上がり、翼を大きく広げて羽ばたく。広げたのは黄色い手羽先だけではない、腕に装備していた翼型飛行剣もだ。日光が出ていれば光を反射して、とても様になっていた可能性がある。二頭身ひよこであってもそう思わせるほどの思い切った助走と飛行であった。
「あめぇなオマエら、飛べないひよこはただのひよこなんだよ……!」
「「「ピョーッ!」」」
 ひよこたちはノリノリで翼を広げ、地を蹴った。
 イヌはそれに続こうと足を大きく踏み込み、そのまま地中に転落していった。
 落とし穴、その深度160センチメートル。二頭身ひよこの全長よりも深い。掘るのに多大な苦労を要したが二徹目の彼は気にならなかったようだ。
 イヌの上にひよこが落ちていく。彼らは飛べないただのひよこである、当然の帰結であった。
 では飛べる二頭身ひよこはいったい何ひよこなのだろうか、猟犬ひよこかもしれないが誰も突っ込む者はいなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

劉・碧
羽毛に支配された時計塔ねェ
…と思ってきてみりゃ吃驚だ
いやいや、なんだこれ?
もうひよこの塔って風態だなァ

さて、俺の仕事といえば犯人確保だな
体力仕事はそこそこだぜェ、任せとけってな
まァ、とはいえ殺さないように仕留めるってのは、苦労するもんだね
独り言ちながらダガーを手のひらで回す
見かければ先回り退路を断つように行動、必要とあらばダガーで足を狙う
なぁに少し仕置を据えてやるだけさ

ひよこは練り餌で数を集めて投網の要領で出来るだけ捕獲
…こいつら売れるのかなァ



 黄色い羽毛が舞う中、艶のある黒髪が風に揺れた。劉・碧(幻在・f11172)は驚いたように時計塔を眺めやって独り言ちる。
「いやいや、なんだこれ? ありゃひよこの塔って風態だなァ」
 ほわんほわんと宙を漂う羽毛のせいかうっすら黄色くすら見える。遠目ですらそうなのだから近くへ行ったらどうなることやら、想像もつかない。
 考えていても仕方ないと思考を切り替えて手元を見た。既に練り餌にひよこが群がってきて、手の中の餌に気付いたらしいひよこが懸命に飛べない翼をはばたかせて奪取をもくろんでいた。
 単純さに苦笑半分で餌を追加すると遠くにいたひよこもわらわらと我先にと集まってくる。ぴよぴよと実に姦しい。整った顔立ちに華やかな雰囲気を醸し出す彼であったが、ひよこ相手では美形の無駄遣いという他ない。
「さて、俺の仕事といえば……」
 碧が視線を動かすと小屋の陰でこそこそと動き出す者がいた。
「犯人確保だな。体力仕事はそこそこだぜェ、任せとけってな」
 練り餌でひよこが碧の元に集まり、襲撃犯はようやく身動きが取れるようになったらしい。おそらくそれは幸運なことだっただろうが、即座に不幸に転落するのは不幸ではなくただの報いである。
「まァ、とはいえ殺さないように仕留めるってのは、苦労するもんだね」
 碧の手の中でくるくると回るタガーにロバの姿が映っては消える。気付かれたことに気付いていないようで、ひっそりと陰から影を移動していく。
 先回りしようと碧が一歩踏み出すと、黄色いふわふわの行列が背後にできた。振り向くと一斉にひよこたちは首を傾げた。
 餌は? とでも言いたげに。
 しばし無言になった後、練り餌を撒ける限り撒いて音も無く駆け出した。風の中を黒髪が靡いてとても絵になる光景だ。ひよこを撒くという余計な苦労を背負いながらのそれはとても美しかった。
 しかし完全に回り込む前にロバの方も碧に気付いたようで、即座に蹄で地を高く鳴らした。
 追跡する側は金緑の目をギラリと光らせてタガーを放った。銀の軌跡を直線に描き、今まさに踏み出さんとした蹄の先を削り取る。後ろ足の二本で立ち上がり、四足歩行に戻っても時既に遅し。

 ロバを捕縛して繋ぎ場に繋いだ後、まだ餌に群がっていたりあぶれて更なる餌を要求したりするひよこに投網を投げかけて、碧はぽつりと呟いた。
「……こいつら売れるのかなァ」
 残念ながら牧場主の元に戻さなくてはいけないと知るのはもう少し後のことであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『時計塔』

POW   :    大胆に進む

SPD   :    慎重に進む

WIZ   :    アイテムを活用

👑11
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 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

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※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ――時計塔。人々の暮らしに欠かせない、あるいは人を時の流れに縛り付ける装置。
 朝を告げ、昼を知らせ、暮れを伝えるという立派な仕事を果たしている。
 そう、今でも立派に歯車を回していた。黄色い羽毛に塗れながら。
アイ・エイド
依頼?ひよこ鍛える依頼じゃねぇの?コレ??
ほう…?自ら塔登りたァ、オマエらやるじゃねぇか!オレも負けねぇぜ!!ピィィヨォオォォ!!って気合い入れて他の登ってるひよこを踏まねぇようにちょいと気遣ってジャンプで避けながら、スピーディかつ慎重にダッシュ!足の踏み場も無かったら、持ち前の器用さで手すりや壁の上だって駆ーけーのーぼーるーぜェッ!!
(*前回同様、二頭身ひよこ着ぐるみ着用中)



 二頭身ひよこは時計塔にも現れた。牧場にいた者と同一人物ならぬ同一ひよこだ。繰り返すが中に猟兵が入っているなどということはない。ただの二頭身のひよこである。
 ただの二頭身ひよこの中から音声が発せられる。ひよこだって喋ることくらいある。そういうことにしておこう。
「ひよこ鍛える依頼じゃねぇの? コレ?」
 訝しげに入り口の扉を手羽先で、人類の持つ五本指の利便性に挑戦するかのように開け放つ。
 瞬間、黄色い羽毛が二頭身ひよこの顔面に吹き付けてくる。黒いくりくりおめめもあっという間に黄色に染まり、視界を塞がれた二頭身ひよこはぶんぶんと上半身を振り回した。
 気を取り直して中に踏み込むと、出迎えたのはひよこの鳴き声である。殆ど空洞の時計塔下部ではひたすら囀りが反響していた。
「「「ピヨッ、ピョーッ」」」
「ピィィヨォオォォ!」
 彼は掛け声と共に跳ねた。驚いたのではない。
「ほう…? 自ら塔登りたァ、オマエらやるじゃねぇか! オレも負けねぇぜ!」
 ぴょんぴょこ階段を上るひよこを見て、自らを鍛えるその姿は二徹目の彼の胸を打ったのだ。
 石造りの床を歩き回る幼い鶏たちを踏まないよう、慎重に階段まで到達した。階段もまた、ひよこに埋め尽くされて足を乗せる段も無いと悟った二頭身ひよこ。
 だが彼は諦めない。
「駆ァーけーのーぼーるーぜェッ!!」
 階段の手すりに飛び乗り、駆け上がるという形で持ち前の器用さを全力で披露した。あと気合い。
 だがしかし人生ならぬ雛生には困難がつきものだ。上部から降ってきたと思われるひよこが二頭身ひよこの進路上に舞い降り――
「ピヨォォォ!」
 ――二頭身ひよこは活を入れるかのように声を上げた。両の羽を振り上げ、手すりから力強く踏み出し、壁にあんよをつけ、そのまま壁の上を数歩疾走したのである。
 華麗にひよことは思えない動きで手すりの上に舞い戻ると、二頭身ひよこは再び最上部目指して駆けだしたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シェラ・ルート
「ちょっと距離があるかなぁ…」

目的地が見えてるなら、まっすぐ進む以外の方法は無いよね(わりと脳筋思考)。
本当はもふもふもこもこの道を歩きたいわけだけど、時間がかかっちゃうだろうし、他の仲間に迷惑かけちゃダメだからね。

足元のひよこに別れを惜しみつつ、持ち前の翼で飛翔、時計塔まで一直線。飛べば足元のひよこを踏む心配もないし、何かあっても【見切り】で華麗に避ければ問題なし。なるべく早く着くようにして、他の仲間が来るのを待とう。その空いた時間にまた新しい子たちと遊ぶんだ!

「…幸せ」



「ちょっと距離があるかなぁ…」
 牧場にて。シェラは悩んでいた。
 黄色いふわもこの道を前にして、彼女は小さくため息をついた。
「目的地が見えてるなら、まっすぐ進む以外の方法は無いよね」
 時計塔は視界の目視できる。となればあとは目指して進むだけ、のはずであった。
 が、出発する前から足止めをくらっていたのである。主に道を埋め尽くすひよこたちの手羽先によって。可愛くふわもこな羽毛が道を占拠しちょこちょこと動き回る道は幸福で築かれた場所と呼んで差し支えなかった。
 是非ともこのひよこたちをゆっくり堪能しながら時計塔へ向かいたい。
 何の力も持たない可愛らしく囀るだけの幼い雛たちは、オブリビオンよりも強力にシェラの障壁と化していた。
 だが彼女も猟兵、任務を前にしてひよこに負けたりはしない。如何につぶらな瞳で見つめられようともひよこの誘惑に負けたりは――
「ピヨッ」
「……くぅ!」
 足元のひよこが羽を動かして寄り付いてくる。動く地雷のようにシェラに迫りくると、大きな破壊力をもって彼女をこの場に置き留めるのである。
 ぺちぺちと自分の頬を叩いて活を入れると白い翼を大きく広げた。ものすごく、途方もなく、名残惜しいがあまり足止めも食っていられない。
 きりりとした表情で時計塔を見据えて羽ばたく。決して下は見ない。そこを覗いたら最後、黄色い楽園へまっさかさまだ。ひよこたちの存在はシェラにとって何よりも巨大な重力に間違いなかった。
 空にかけられた道のりはシェラに強靭な精神力を要求した。真下に幸福があるというのに決して見ることはできず、風に乗って鳴き声が鼓膜を揺らして誘惑してくる。
 故に時計塔に付いた時、彼女がひよこの群れに埋もれてしまったのは当然の帰結かもしれない。床はおろか階段まで溢れるひよこたちを追い、翼を動かしながらふらふらと楽園を堪能したのであった。
「……幸せ」

成功 🔵​🔵​🔴​

エスクルール・ラカーユ
時計塔を登ろうとするひよこの群れ……凄く謎だね。謎を解くカギはこの上にあるんだろうけどまずクレール(エルクルールの頭に載っている白いひよこ型の精霊)をみつけないと。
どこ行ったんだよぉ…こんなに同じような奴がいたんじゃ見つけるの大変じゃん…
…とりあえず上を目指してがんばる

【SPD】
凄く大変だけど踏まない様に慎重に行くよ!基本は踏まない様にひよこがいない足場をゆっくりと進んでいく
可能ならば壁とか天井にぶら下がってる物を掴んだり足場にして上に進んでみる
あと白いひよこがいたらとりあえず自分のところのひよこじゃないか確認するよ

※アドリブ、他PCとの絡みなど歓迎



 頂上を目指す理由こそ判然としないが、ひよこたちは勝手に家出したと言ってもいい。対するエスクルール・ラカーユ(奇跡の迷子・f12324)は自宅に帰る気はあるが帰り方が分からない、難儀な身の上の六歳児である。
 しかしそんな身の上を露とも思わせない。彼の目下の悩みは全く別のところにあった。
「クレールはどこいったんだよぉ……」
 心細げに呟いて白いひよこ精霊の姿を探すが見当たらない。エスクルールの頭上を定位置にしていたはずが、いつの間にかひよこの海にダイブして紛れてしまったようである。
「こんなに同じような奴がいたんじゃ見つけるの大変じゃん……」
 一面黄色いひよこなのだが、塔の中は薄暗く、また白に近い黄色などという紛らわしいひよこもいるお陰でさっぱり分からない。
 迷子なのはエスクルールなのか、クレールなのか。エスクルールはクレールの方が迷子だと声を大にして主張したい。クレールの方は逆の主張をするかもしれないが。
 しばしその場で白ひよこを探していたが、やがて目を皿にしつつひよこを踏まないように一歩踏み出した。
「とにかく上を目指そう」
 クレールを探しながらというのもあるが、どの道これだけのひよこが床を埋め尽くしていれば慎重に進まざるをえない。もしかするとひよこの波に飲まれて頂上へ運ばれようとしているのかもしれない。
 壁掛けの燭台に手をかけてぶら下がると段を二つほどスキップしたり、行儀が悪いと思いつつ手すりをよじ登る様にして上へ上へ。時折あわや下に落ちかけたり、ひよこが足の下に駆け込んで来たりと危うい場面はあるものの、少しずつ着実に頂上へと近づいていく。
 道中で白ひよこを見つける度に目を輝かせて抱き上げるが、クレールではないと分かるとそっと離してやる。それを何度か繰り返して、エスクルールは思い始めた。もしや迷子なのは自分の方なのではないかと。
 それでも少年は手すりをよじ登る。いやいや迷子なのはクレールの方であって自分ではないはずだ。向こうはひよこに紛れているが、向こうははっきりとこちらが分かるはずなのだから、断じて己が迷子のはずはない、と自分に言い聞かせる。
「うわあ!?」
 銀髪の中に潜り込んでくる雛鳥がいる、慌てながらも手つきは優しく掴みだした。
 探し求めた白ひよこがそこにいた。
 エスクルールはひよことお揃いのまんまるの目になった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

劉・碧
集めても集めてもキリがねぇな…
足の踏み場も無いときた
まァ、でも何かが上にいてそいつが元凶でこの有様なんだろうさ
小鶏は踊らされてるだけでなァ
とりあえず適当な足場を探して跳躍着地するなり、壁にダガーを刺して足場を作るなりで進むしかないかね…
手摺も小鶏が居なければ一時的に足場になるだろうしな
牧場主の元に返すならこいつらは金目のものなんだろう、ならば傷つけないようになんだが、あー…蹴散らして行ければその方が楽なんだよねェ
お叱りを受けそうだと肩を竦めて、さてと前を見据える
用があるのは塔の上だけ、ってな…と独り言ち、内部へ挑む



 ひよこを摘み取ると、羽毛がふわりと舞い上がる。一枚二枚なら華やかな雰囲気を持った碧の彩にもなっただろうが、元から宙を舞う羽毛と合わさってぼたん雪のような有様だ。
 碧はため息をついた。
「集めても集めてもキリがねぇな……足の踏み場も無いときた」
 どうにか進もうとひよこをどかしていたのだが、終わる気配が微塵もない。
 これだけ毛はあるのに状況は不毛である。地道に進む他ない、と闇に包まれた頭上を睨みつけた。
 この上にいる何かが原因であると碧にはよく分かっていた。小鶏たちはぴよぴよと踊らされているだけだと。
 ぴょんぴょんと段を上がれずに跳ねているひよこを見つけ、ちょうど足の置けそうなスペースのできた階段に足をかけた。次の足場を探すが、段は真っ黄色だ。
 次のタイミングを計るが中々やってこないと見てとると、今度は壁を探って隙間を見つけ出しタガーを突き立てた。これを足場にして次に進めばいいのだ。手すりもいい足場になりそうだと見繕うと、階段を懸命に登るひよこを眼下に悠々と次の足場へ跳ね上がった。
 さてタガーの回収、と手を伸ばしたところにひよこが爪を立てて跳ね飛んでくる。碧の作った足場はひよこにとってもいい足場だったらしい。一瞬黄色いもふもふを振り落としたい衝動に駆られたが、ぐっと堪えて床へ誘導してからタガーを回収した。
 この黄色い毛玉たちを蹴散らして進みたい、しかしひよこたちは牧場主の財産故に無事に返さなくてはならない。
 進むための合理的選択は取れないが、上階に潜む敵を倒してしまえば今の苦労も決して無駄にはならないのだ。
「用があるのは塔の上だけ、ってな……」
 肩をすくめるとしっかりと進むべき道を見据え、再びタガーを壁に突き刺した。

成功 🔵​🔵​🔴​

綴・真砂
【WIZ】
ひよこ…ただのひよこやよな?
ぽいぽいっと道のわきにひよこ用の餌(稗・粟に小さく刻んだゆで卵混ぜたもの)まいてちょっとでも道つくるで。
したらゆっくりゆっくり…今回はしっぽは死守するんや!!
今回はあれや、尻尾つこても怒られへんやろ?尻尾にくっついたんとかはぱったぱったふるっていくで!
どうしても通れんかったら、くるっと斜め向きで尻尾でパタパタひよこをどけるんや。
尻尾便利…ってそこはあかんで?(つまんでどけつつ)



「ひよこ……ただのひよこやよな?」
 真砂は疑念を抱かざるを得なかった。あまりにも多く、一心に頂上を目指す黄色い毛玉たちはもしや自分が知っているひよことは違うのではないのかと。
 それでも試してみる価値はある――そう取り出したのはひよこの餌。稗と粟に刻んだゆで卵を混ぜた、材料で見ると人間が食べても結構いけそうな気がするもの。
 自分の知っているひよこと違えば効果はないかもしれないと通路の脇にぽいぽいと一つまみばら撒いた。
 ひよこたちは不思議そうに空を見上げ、それが何であるか分かるとダッシュで餌に突進していく。
 それはまるで、モーゼの海の如き割れようであった。
 あぶれたりしたものや見向きもせずに階段を上り続けるものもいるが、最低限の通路はできて真砂はガッツポーズを決めた。
「これで道ができたで!」
 そんな真砂の背後に忍び寄る黄色い影――気配を察すると飛び掛かってくる前に尻尾を跳ね上げた。
 ふかふかの尻尾を餌よりも魅力的な居心地の良さそうな場所だとでもひよこは認識したのかもしれない。尻尾目掛けて飛び掛かったが見事にかわされ、床と爪の接触する軽い音を立てた。
 真砂とひよこの間に火花が散る。
 そうこうするうちに餌を食べ終えたひよこたちもわらわらと寄ってきて、はっとしてまた餌を撒いた。モーセの気分再び。
 一羽だけを相手取っていても仕方ない、と気合を入れ直して餌を撒きながら階段を上っていく。
 どうしても餌にありつけないひよこというのは出てくるもので、体の大きなひよこの多い地帯では通れなくもなる。そんな時はくるっと後ろを向いて尻尾でぱたぱた移動させるのだ。
 もふんと優しい毛皮に包まれ、ひよこはまだ居たいとばかりにその尻尾を黒い眼球に映していたが、真砂はそうはさせじと大きく振る。
「今回はしっぽは死守するんや!」
 牧場の時を思い返す。あの時は幼鶏の侵入を許してしまったが今回はそうはさせない。尻尾を使うのはあくまでひよこを傷つけないためである。間違っても巣にするためではない。
「……ってそこはあかんで?」
 しぶとく尻尾に居座ろうとするひよこを摘まみ出すと、また次の段に足をかける。
 幸いにして隠れる理由などない彼女は尻尾をばったんばったん振って堂々と防衛しながら進むのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『不服従の賢王』

POW   :    贄の叫び
自身が戦闘で瀕死になると【墓場の亡者 】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
SPD   :    闇の嘆き
自身の装備武器を無数の【黒百合 】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ   :    葬られる孤独
【死の恐怖 】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【有象無象の蛇のかたまり】から、高命中力の【恐れを喰らう蛇】を飛ばす。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠揺歌語・なびきです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 時計塔の頂上――その部屋に至る扉は固く閉ざされて訪問者を拒んでいた。
 黄色い毛玉の群れたちもまた、その前でみっちりと足止めを食らう。彼らの目的地はこの先であるというのに、侵入する隙間もない。
 ひよこに突破は難しくとも、猟兵たちにはいとも容易い。
 開け放たれた扉の向こうには動き続ける歯車、螺子、そしてオブリビオン、不服従の賢王。
 朝告げる鳥の雛は、夜の王に向かって囀りの時を待っていた――。
エスクルール・ラカーユ
ひよこがなんで梟に用があるのか分からないけど、倒せばこの事件も解決するんだろ?じゃあびしっと決めちゃうか、いくぞクレール!
あと言葉が通じるかわからないけど声かけておこう。
……ひよこたち、戦闘の時は君たちに構えないし、相手は猛禽類だから君たちは食べられちゃうよ。だからそこから動かないでねー!

風を引き起こせば軽い花弁なら風で軌道を変えられて攻撃から身を守れないかな。と言う事で黒百合の花びら攻撃には【エレメンタル・ファンタジア】をつかってみる。
攻撃を打ち落としたら隙を見て敵を弓で攻撃。もし他に猟兵がいたら『援護射撃』で攻撃の援護をするよ!


綴・真砂
【WIZ】
其処をどいてもらうわけにはあかんよな?一応説得試みるで

しゃぁないなぁ可愛いもふもふのためや
フォックスファイアをその数のまままず操り、四方より攻撃を行う
羽が燃えたらめっけもんや其処を中心に攻撃を
相手からの攻撃には炎ぶつけて相殺狙うで
とどめは炎まとめてでっかくしてぶつける
からくり人形の狐をその後ろに隠し追撃を
基本は後方から攻撃、敵の範囲に入らないよう注意しつつ、ヒット&アウェイ、常に動いていくことを心掛ける

ほかの方との共闘などOK


アイ・エイド
オブリビオン…だと!?
あ、そういや、討伐だったっけ?

両手羽先からジョキンッと小刀を取り出す!
交戦前によォし!オマエ等は下がって見とけよォ…コレがオマエ等の通過点だ!!っとひよこ共に軽く殺気飛ばして下がらせる!

交戦中もし、動き回ってファスナーが開いてしまったら…
もし、それをオブリビオンが中身を見てしまったら…!
………中身など無い…!!(UC)
ファスナーの隙間からオブリビオンに対して特に殺気で威圧感を増す。
怯んでいる内に何事もなかったかのようにファスナーを上げる。もっかい頭に通して二頭身ひよことして戦うぜ!
なんか言われたら可愛い可愛いひよこさんダロォ?(もう1発UC食らイテェのかァ?)と返しとく



「オブリビオン……だと!? あ、そういや、討伐だったっけ?」
 中身など勿論無い二頭身ひよこがはっとしたように声を上げた。ひよこなら忘れていても仕方ない、自然の成り行きだろう。ひよこだもの。
 梟は細めていた目を開いた。真っ黒な二対の球体が猟兵たちを映し出す。
 余裕たっぷりに翼を伸ばし、一つ大欠伸。
「何じゃ、騒がしいと思えば。もう朝だというのに非常識な」
「ピョッ!」
 高慢な口調で身勝手なことをほざく梟に、怒りの籠った鳴き声が猟兵たちの背後から飛んだ。狩られる側の幼い鳥は、王の名を冠したオブリビオンに怒りを覚えているようであった。
 背中側からひよこたちの動こうという気配を感じてエスクルールは振り返った。
「……ひよこたち」
 極めて真剣な眼差しで黄色い雛たちに語りかける。相方のクレールもまた、心なしかきりりとした目つきだ。
「戦闘の時は君たちに構えないし、相手は猛禽類だから君たちは食べられちゃうよ」
「そやそや、だからちょーっと下がっててな?」
 真砂も大きく頷いた。彼女のふかもふの尻尾を狙う視線も感じられたが、それはそれとして可愛いひよこを巻き込みたくないというのは本心であった。
 未だぴよぴよと囀ってはいたが、若干大人しくなったひよこたちに二頭身ひよこは力強く手羽先を天に突き上げた。ジョキンッと音を立てて小刀が突き出る。
「よォし! オマエ等は下がって見とけよォ……コレがオマエ等の通過点だ!」
 オブリビオンを前に、殺気駄々洩れの二頭身ひよこの掛け声に扉から大きくひよこたちは下がった。これで攻撃に巻き込まれる心配はそこまでしなくて良いだろう。
 それを確認したエスクルールは踏み出す。小さな雛から、老獪な梟へと。
「じゃあびしっと決めちゃうか、いくぞクレール!」
「そうはさせぬよ」
 不服従の賢王は掴んでいた頭蓋骨を手放した。瞬間、無数の黒百合の花弁と散ったかと思うと風も無いのに拡散し、部屋を埋め尽くそうとする。飛んでいた黄色い羽が巻き込まれ、紫がかった重たい黒が宙を制圧した。
 舞う花弁がいくつかの軌道で紅に染まった。
「それはこっちの台詞やで!」
 真砂の狐火は両の手で数え切れないほどの数で梟を狙い、あるいは身を守るために猟兵たちの間を飛び回る。
 それでも燃やしきれない花弁が迫ると、エスクルールはエレメンタルロッドを構え、合わせるかのようにクレールは甲高く囀った。
「こういう時は風だね」
 エレメンタル・ファンタジアによって生み出された風がふわりと周囲を包む。念の為背後にいるひよこたちの方を伺うと、元気よくぴよぴよ囀っていてこれといった被害はないようだ。
 そして風を受けた狐火は宙に炎をなびかせ、より猟兵たちの身を守るのに貢献していた。
 一方、狐火の軌道を追うように駆けるは二頭身ひよこ。燃やしきれなかった花弁が外皮に裂傷を負わせるが迷いはない。幸いにして中身は見えない、この場合の中身とは皮の下の肉の部分のことである。決して着ぐるみの中身とかそういう意味ではない。
「ピョーオオオォ!」
 小刀で切りつけるが、翼が羽ばたくと羽毛の上を滑って当たらない。
「図体のでかいひよっこじゃのう」
 あからさまな嘲笑を浮かべ、二頭身ひよこの攻撃を受け流したところに真砂の狐火が襲い掛かった。翼の先を炎が燃やし梟は苦痛の呻きを上げた。
 先ほど真砂のいた位置へ視線を投げかけるが既にいない。その時には背後には再び二頭身ひよこが手羽先をぎらつかせて迫っていた。 
「二度も効かんよ」
 それでも尚、不服従の賢王は抵抗を示し、鍵爪で二頭身ひよこの背中を裂いた。いや裂こうとした。背中のファスナーっぽい何かをうっかり引っ掛け、不発に終わったのだ。ファスナーっぽい銀色の何かは黒い傷口を作り、谷を作り、その奥深くに潜むものを白日の下に――
「……可愛い可愛いひよこさんダロォ?」
 中の人などいない。そんな強靭な意思と殺気を鋭い鞭のように叩き付けられて不服従の賢王は咄嗟に目を瞑った。その隙に二頭身ひよこの背中の傷は塞がっていた。
 幸いにして真砂とエスクルールは、不服従の賢王に遮られて中身を見ることはなかった。この場合の中身とは誰が何と言おうと皮の下の肉の部分である。しかし不服従の賢王が一体何を見たのか、一瞬だけ互いに顔を合わせて視線で相談し合ったが見えなかった以上結論は出ないのである。
「き、貴様、その中身」
「可愛い可愛いひよこさんダロォ? な?」
「さあ、これを耐えてみ!」
 さっぱりと切り替えた真砂は己の狐火を束ね、巨大な炎が飛んで梟に襲い掛かった。不服従の賢王は翼を広げ、飛んで躱そうとしたが飛来した矢が翼を射抜いた。エスクルールの援護は、梟を燃やすのに多大な貢献を上げた。
 ばたばたと石の床の上で暴れる「オブリビオン……だと!? あ、そういや、討伐だったっけ?」
 中身など勿論無い二頭身ひよこがはっとしたように声を上げた。ひよこなら忘れていても仕方ない、自然の成り行きだろう。ひよこだもの。
 梟は細めていた目を開いた。真っ黒な二対の球体が猟兵たちを映し出す。
 余裕たっぷりに翼を伸ばし、一つ大欠伸。
「何じゃ、騒がしいと思えば。もう朝だというのに非常識な」
「ピョッ!」
 高慢な口調で身勝手なことをほざく梟に、怒りの籠った鳴き声が猟兵たちの背後から飛んだ。狩られる側の幼い鳥は、王の名を冠したオブリビオンに怒りを覚えているようであった。
 背中側からひよこたちの動こうという気配を感じてエスクルールは振り返った。
「……ひよこたち」
 極めて真剣な眼差しで黄色い雛たちに語りかける。相方のクレールもまた、心なしかきりりとした目つきだ。
「戦闘の時は君たちに構えないし、相手は猛禽類だから君たちは食べられちゃうよ」
「そやそや、だからちょーっと下がっててな?」
 真砂も大きく頷いた。彼女のふかもふの尻尾を狙う視線も感じられたが、それはそれとして可愛いひよこを巻き込みたくないというのは本心であった。
 未だぴよぴよと囀ってはいたが、若干大人しくなったひよこたちに二頭身ひよこは力強く手羽先を天に突き上げた。ジョキンッと音を立てて小刀が突き出る。
「よォし! オマエ等は下がって見とけよォ……コレがオマエ等の通過点だ!」
 オブリビオンを前に、殺気駄々洩れの二頭身ひよこの掛け声に扉から大きくひよこたちは下がった。これで攻撃に巻き込まれる心配はそこまでしなくて良いだろう。
 それを確認したエスクルールは踏み出す。小さな雛から、老獪な梟へと。
「じゃあびしっと決めちゃうか、いくぞクレール!」
「そうはさせぬよ」
 不服従の賢王は掴んでいた頭蓋骨を手放した。瞬間、無数の黒百合の花弁と散ったかと思うと風も無いのに拡散し、部屋を埋め尽くそうとする。飛んでいた黄色い羽が巻き込まれ、紫がかった重たい黒が宙を制圧した。
 舞う花弁がいくつかの軌道で紅に染まった。
「それはこっちの台詞やで!」
 真砂の狐火は両の手で数え切れないほどの数で梟を狙い、あるいは身を守るために猟兵たちの間を飛び回る。
 それでも燃やしきれない花弁が迫ると、エスクルールはエレメンタルロッドを構え、合わせるかのようにクレールは甲高く囀った。
「こういう時は風だね」
 エレメンタル・ファンタジアによって生み出された風がふわりと周囲を包む。念の為背後にいるひよこたちの方を伺うと、元気よく囀っていてこれといった被害はないようだ。ばたばたとその場で跳ねるひよこたちは、まるで応援してくれているかのようでエスクルールの口元を綻ばせた。
 そして風を受けた狐火は宙に炎をなびかせ、より猟兵たちの身を守るのに貢献していた。
 一方、狐火の軌道を追うように駆けるは二頭身ひよこ。燃やしきれなかった花弁が外皮に裂傷を負わせるが迷いはない。幸いにして中身は見えない、この場合の中身とは皮の下の肉の部分のことである。決して着ぐるみの中身とかそういう意味ではない。
「ピョーオオオォ!」
 小刀で切りつけるが、翼が羽ばたくと羽毛の上を滑って当たらない。ひよこたちの囀りにざわめきが混じる。
「図体のでかいひよっこじゃのう」
 あからさまな嘲笑を浮かべ、二頭身ひよこの攻撃を受け流したところに真砂の狐火が襲い掛かった。翼の先を炎が燃やし梟は苦痛の呻きを上げた。
 先ほど真砂のいた位置へ視線を投げかけるが既にいない。ぐるりと首を回して探すと、背後で二頭身ひよこが手羽先をぎらつかせているのが黒い眼球に映り込んだ。 
「二度も効かんよ」
 翼を燃やされて尚、不服従の賢王は抵抗を示し、鍵爪で二頭身ひよこの背中を裂いた。いや裂こうとした。背中のファスナーっぽい何かをうっかり引っ掛け、不発に終わったのだ。ファスナーっぽい銀色の何かは黒い傷口を作り、谷を作り、その奥深くに潜むものを白日の下に――
「……可愛い可愛いひよこさんダロォ?」
 中の人などいない。そんな強靭な意思と殺気を鋭い鞭のように叩き付けられて不服従の賢王は咄嗟に目を瞑った。その隙に二頭身ひよこの背中の傷は塞がっていた。
 幸いにして真砂とエスクルールは、不服従の賢王に遮られて中身を見ることはなかった。この場合の中身とは誰が何と言おうと皮の下の肉の部分である。しかし不服従の賢王が一体何を見たのか、一瞬だけ互いに顔を合わせて視線で相談し合ったが見えなかった以上結論は出ないのである。
「き、貴様、その中身」
「可愛い可愛いひよこさんダロォ? な?」
「さあ、これを耐えてみ!」
 さっぱりと切り替えた真砂は己の狐火を束ね、巨大な炎が飛んで梟に襲い掛かった。不服従の賢王は翼を広げ、飛んで躱そうとしたが飛来した矢が翼を射抜いた。エスクルールは震える弓弦に油断なく矢を構え直す
 ばたばたと床の上でのたうち回る鳥類に、炎の陰にいた狐のからくり人形が迫る。巨大な翼で打ち払おうとすると、今度は黄色い手羽先がその腿肉を刺し貫く。
 跳ねた首元に、二本目の矢羽が突き立った。
 これはもう致命傷だろう、そう安堵した猟兵たちの雰囲気を受けてかひよこたちは興味深げに室内に入ろうとし、慌てて入り口に一番近いエスクルールが押し留める。白ひよこはやれやれといった風情だ。 

 だが。
――キ、キキィ、ピキュ――
 それはとても形容しがたい叫びであった。生への執着、痛みに対する反逆、死という摂理に対する不服従。
 亡骸はそのままに、幽鬼の如くゆらりと立ち上がるその姿は、不服従の賢王とまるで全く同じ――
「ふ、ふふ……ざ、んねん……だったのう!?」
 死の淵から這い上がってきた梟は、亡者と化して立ち上がってくる。
 完全に止めを刺すには断末魔すら無く倒す必要があるようだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

劉・碧
さァて、塔の上に到着っと…出遅れたかね?
開け放たれた扉の向こう、部屋を見渡してひよこが迷い込んでるようなら階段まで押し戻す
いやいや、本当はこんなところで油売ってる訳にはいかねェんだが仕方ない
あとこれはアレだ、性分ってやつでさァ…あーもう
真面目にやってたらキリがねェ、ちょっと悪い奴を懲らしめてくるからさァ
と、ひよこに判るかは知れない殺気をふんわり放ってから敵前へ

こっちは真面目に行かねェとな…
俺、ダガー以外は武器なぁんも持ってないんだけど…拳も脚も武器になるんだぜ
よっと間合いを詰めて【狂拳凶脚】を叩き込んでやろう
なぁにちょっと痛いだけですぐに意識も飛ぶだろうよ
※共闘・アドリブ等あればお任せします


シェラ・ルート
「フクロウ…かわい…」

残念だなぁ、実に残念。オブリビオンでなければもふもふの餌食にしていたのに。

「ちょっと下がっててね、ひよこさん。すぐ終わるから」

すぐ終わらせて、また撫でてあげるから、ね?
相手の攻撃は【見切り】で避けつつ、【衝撃波】【範囲攻撃】で相殺し、一定の距離をとるかな。相手の隙をついて【槍投げ】で確実に一撃を加えよう。一度当たればそれでよし。

「アル、あとはよろしく」

【ドラゴニック・エンド】で、二度と立ち上がれなくなるくらい打ちのめしてあげるよ。
そのあとはアルとほかの仲間の援護をしつつ、持ち前の翼であっちこっち飛び回ってひよこたちが巻き込まれないよう見張りながら護ろう。


綴・真砂
【WIZ】
共闘するで

せやな、何度やっても起き上がる言うんやったら、起き上がらんようになるまでたたけばえぇんよな???

フォックスファイア、小さい炎をいくつもくるくる回して竜巻のように動かす
その中に敵が入るようにそして円周を小さくしていきけん制と攻撃にするで
おどれはもう出てこんでえぇねん!!攻撃もこれやったら燃やしやすいやろ
味方の援護あるんやったら前みたいに複数方向からの攻撃に変更や
翼狙いは基本やね、四方から味方に粟褪せて攻撃や
基本は後方から攻撃、敵の範囲に入らないよう注意し、ヒット&アウェイ、常に動くで

せっかくかわいいモフモフおるんや、仲良うせなな?
ちうか仲間にはいりたかったんか?



 ゆらゆらとさながら幽鬼のように、言葉遊びをするなら幽鬼そのものとして不服従の賢王は床に爪を立て確りと立ち上がっていた。外見上は倒れる直前のものを反映しているらしく、傷は塞がらないままだが痛みなどないかのように平然として真っ黒な瞳で猟兵たちを眺め回した。
 その目と視線をかち合わせたのは、タイミングよく戸口から姿を現したシェラであった。気圧されるように僅かにたじろいだかと思うと――
「フクロウ……かわい……」
 ――鳥好きの本領を発揮した。
 オブリビオンといえど滑らかで鈍い光沢を持ち、それでいて硬いばかりでなくしっとりとした柔らかさを両立した羽毛。外にひしめく幼いひよことはまた別種の、成鳥ならではのもふり加減。
 魅惑の羽毛にシェラは惹かれつつ、両者の間には厳然と残酷な事実が立ちはだかる。
「オブリビオンでなければもふもふの餌食にしてたのに……」
「もふもふ?」
 老齢故か生きた世界の違いか、もふもふという概念が理解できなかったようで梟は首を回した。
 猟兵とオブリビオン、相容れない存在である。もふもふの概念くらい時間をかけて話し合えば理解できるかもしれないが、理解させる必要も無い。
 一方、猟兵と相容れることはできるが概念は理解できないであろう存在が果敢にも部屋に入り込んでいた。立ち向かおうとしているというよりも様子が気になって仕方ないと言った風情の黄色いもふもふ、ひよこである。
 やりとりの間、シェラの白い翼や真砂の尻尾に惹かれているようでちょろちょろと足元を動き回り、かと思えば不服従の賢王を睨みつけたりしていた。
 黒々とした、しかし光を明確に反射するひよこの円らな目と深淵のような不服従の賢王の視線がぶつかる。途端にすくみ上った様にぴょこぴょこ走り出すが、方向を見失ったかのようにでたらめな軌道だ。
「ちょっと下がっててね、ひよこさん。すぐ終わるから」
 穏やかにシェラはひよこを押しのけたが、入り込んでいたのは一匹二匹ではない。足元を走り抜けていくひよこを捕まえようとした空を手が彷徨った。
 そんなひよこをひょいっと摘まみ上げたのは華やかな雰囲気の青年であった。
「さァて、塔の上に到着っと…出遅れたかね?」
 黒髪をかき上げてひよこの代わりに睨みあう碧。視線を外さないまま、後ろ手にひよこを戸口の方へと放すと一目散に駆けていく。
 見守っていた猟兵たちがほっとしたのもつかの間、部屋に入り込んだひよこは一匹二匹ではなく、頼もしさを感じたらしい碧に群がってくる。牧場の時に比べればよっぽども少ないが、かといって一々構っている暇はない。
 できることならちゃんと退避させてやりたいと碧の中の良心が囁く。だが現実ここで時間は食っていられない。
 半秒で判断を下す。
「あーもう、ちょっと悪い奴を懲らしめてくるからさァ……下がっててな?」
 実際に何かしたわけではない。ただ膨れ上がるかのように広がった剣呑な空気を受けてひよこたちはたったか戸口へと殺到した。
 部屋の中にいる鳥類はオブリビオン一体。
「これで心置きなく戦えるで!」
「何人いようが同じことなんじゃがのう……」
「何度やっても起き上がる言うんやったら、起き上がらんようになるまでたたけばえぇんよな?」
「そうだな、ちょっと痛いくらいでも意識くらいは飛ぶだろうよ」 
 真砂と碧のやりとりに、笑うように顔面を歪める姿が炎に照らし出された。いくつものフォックスファイアが宙を舞い、翼を狙う。
 だが見切った、とばかりに首をひねると躱されてしまう。憎たらし気な笑い声を上げる不服従の賢王に碧が肉薄した。
『我が拳は無間必倒の狂拳、疾速凶脚無影の如く――』
 ボディを狙ったそれが、まるで吸い寄せられるかのように正確に叩きこまれ、そしてそれでは終わらない。一瞬の間も無く次がある。
『狂拳凶脚』
 美しい弧を描いて放たれた蹴りがオブリビオンを吹き飛ばした。
 見て分かるほどに高威力の攻撃だったが空中で音も無く羽ばたくと即座に体勢を整える。効いていないわけではないが、ここで反撃に出なければ危ういということくらい分かっているのだろう。蛇の巣かと思うほど絡み合った蛇の塊を梟は呼び出した。
 こうやって人を狩っていたオブリビオンは、同じように猟兵も狩ろうとした。その先にいるのは白い翼のドラゴニアンであった。
「見えるよ」
 不服従の賢王は猟兵に死の恐怖を与えることはできず、逆に槍の穂先を与えられる羽目になった。シェラが投げたドラゴンランスに小さなドラゴン――アルが追撃する。
「アル、あとはよろしく」
 任されたシェラの家族は張り切って梟に喰らいついた。ただの鳥類であれば生物の頂点にも立つだろう猛禽類は、オブリビオンであるが故にドラゴンに狩られようとしていた。
 梟は大きく翼を振り回した。そうして抜け落ちた羽が黒百合に変わったかと思うと弾け飛ぶ。アルを吹き飛ばし、猟兵たちに殺到する。
 碧の体を打ち、ファイアフォックスが花弁を燃やす度火の粉のように舞う。戸口にいるひよこすら巻き込もうとしたものはシェラの衝撃波によって防がれた。
 真砂はぶんぶんと頭と尻尾を振って両頬を手で叩いた。すべてを防ぐことはできなかったが大きなダメージはない。きっ、とオブリビオンを睨みつけて指を突き付けた。
「これならどうや! おどれはもう出てこんでえぇねん!」
 複数方向から攻撃するのが見切られるのなら、別の方法を編み出すまで。炎の竜巻の如くくるくる回転しながらその間合いを狭めていく。不服従の賢王は呪いのような鳴き声を上げ、着実に効いているということを真砂に伝えたのだ。
 炎の隙間から碧と小さなドラゴンが姿を現す。咄嗟に退こうとするが、すぐそばまで迫っている炎の壁に、大きな体は今や追い込むものしかならない。
「そんな、こんな馬鹿な――などと言うと思ったか?」
 余裕たっぷりに、王者は炎の中に飛び込んだ。その身を焦がして不服従の賢王は死に抗うべく嘴を開き、しかし断末魔を上げることは叶わなかった。
「そこまでや!」
「これでお終い」
「もう一回だ――『狂拳凶脚』」
 狐火、小さなドラゴン、そして拳。全てが不服従の賢王の鳴き声を永遠に黙らせた。
 空を飛んだ王冠が床に跳ね、ころころと転がっていった先にいるのはひよこたち。
「ピョッ、ピョッ」
 赤いオブリビオンの冠を、黄色いひよこたちが猟兵の元へと押し戻す。礼を伝えようとするかのように。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月24日
宿敵 『不服従の賢王』 を撃破!


挿絵イラスト