●とあるSNSのログ
だいぶテンション下がった話。
バイトの初任給でさ、ちょっとイケてるメガネを買ったわけよ。
雰囲気イケメンになれそうなフレーム選んで、レンズもキズがつきにくい高性能なの選んでさ。
そんでその後、珍しくそのへんをぶらぶら散歩して帰ったんだよね。
視界がはっきりすると気分もアガる感じ、近眼あるあるだよなー。
そしたら……出たんだよ。妖怪『眼鏡割るマジロ』が。
なんかさ、でかいアルマジロみたいな見た目してやんの。
目があった瞬間にレンズは粉々、ついでにフレームまでひん曲がっちまってさー。凹むわマジで。
あ、ちなみに眼鏡割るマジロってのは俺がつけた名前で……。
●グリモアベースにて
「なんて残虐なUDCなんだ……」
クロード・キノフロニカ(物語嗜好症・f09789)が、眉を顰めながら予知の概要を説明する。
「メガネを執拗に狙うUDCの目撃情報が、とあるSNSに書き込まれているよ。君たちには、至急このUDCの対処に向かってほしいんだ」
最近その存在が確認された『感染型UDC』なのだと、クロードは付け足し説明を続ける。
「人間の『噂』を通じて増殖するタイプのUDCだよ。噂を知った人々の精神エネルギーを餌として、配下を増やす性質があるんだ。このまま放置してしまえば、メガネを狙うUDCが世界を埋め尽くすパンデミックが……あぁ恐ろしい!」
当該SNSの記事には既にたくさんのいいねとコメントがついており、着々と『感染』にむけての準備が整ってしまっている状況だ。
「これを投稿した人物の家の周りには、もうUDCの配下が大量発生しているよ。まずはこれを撃破して、彼に接触するのが最初のミッションだよ」
感染型UDCの配下『千里眼獣プレビジオニス』は、書き込み主の住むマンションを包囲するように大量に湧いている。
まずはこれを撃破しないことには、彼の住む部屋に辿り着くこともままならないだろう。
「このUDCの群れは特殊な性質を持っていてね。目のあたりを優先的に狙う傾向があるんだ」
恐らく、メガネを狙う親玉の影響を受けているのだろう。
なんともふざけた理屈だが、目潰しが厄介なのは事実だ。
「だから、裸眼で戦うのは、ちょっとオススメできないかな。メガネやゴーグルの使用をオススメするよ」
配下たちは敵の目を潰す前提の戦略を立てているはずだ。
きちんと視界を守りながら戦えば、優位に立ち回ることができるだろう。
「早く事件を食い止めなければ、世界中のメガネが壊されてしまうかもしれない。なんとしても、ここで食い止めるんだ!」
いつになく熱い口調で、クロードは猟兵たちを送り出すのだった。
椿初兎
椿初兎です。
よろしくお願いします。
第一章は、目元を狙うUDCとの集団戦。
メガネなど目を保護するアイテムを装備したり、敵の性質を活かした作戦を立てていただければ成功率が上がります。
第二章で感染型UDC本体を探していただき、第三章で撃破できればシナリオクリアです。
●メガネ
アイテムとしてメガネをお持ちでない方でも、プレイングに書いてあればメガネをかけているものとして描写いたします。
また、話の展開上どうしても皆さんがかけているメガネが破壊される可能性がございます。
替えのきかない大切なメガネを愛用されている方は、予備のメガネをご用意することをオススメします(アイテムとして装備していなくても持ち込み可能です)
プレイングお待ちしております。
第1章 集団戦
『千里眼獣プレビジオニス』
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POW : 未来すら視る単眼
【未来の一場面を視ることで】対象の攻撃を予想し、回避する。
SPD : 千里を見通す獣
【視力強化・視野拡大・透視・目眩まし耐性】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【見失うことなく追尾し、鋭い爪】で攻撃する。
WIZ : 幻の千里眼
【すべてを見通す超視力に集中する】時間に応じて、攻撃や推理を含めた「次の行動」の成功率を上昇させる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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マリアブリレ・ニネヴェマスナガ
め、めめ、眼鏡を……めが、めがーーーッッ!!(※執拗に眼鏡を狙って壊すという眼鏡民の怨敵に対する義憤で言葉にならない)
(感情に任せたまま、出会い頭に5000兆円を撃ちだして攻撃します)
(予測していても回避不能な大質量による面攻撃で敵の予知を破ります)
(かけている眼鏡が壊れても、王冠をばらして確保した予備眼鏡をかけて、死ぬまで戦闘を続けます)
「め、めめ、眼鏡を……」
マリアブリレ・ニネヴェマスナガ(サイバー都市SABAEに降り立った自称・眼鏡女王・f02341)は、義憤に肩を震わせ目の前の敵群を睨み付ける。
眼鏡を破壊し、あまつさえその影響を全世界にまで広げようとする邪悪。
怨敵である。明らかに全眼鏡民にとっての怨敵である。
「めが、めがーーーッッ!!」
言葉にならない叫びを上げながら、マリアブリレは名門『秋吉』の名を冠した儀礼杖を天高く突き上げた。
すると、何もない上空から突如として大量の一万円札が降り始めたのだ。
「めがーーーーッ!!!」
躊躇なく敵群の真ん中へ突っ込んでいくマリアブリレ。
彼女の突進に付き従うように、紙幣のゲリラ豪雨も敵の上に降り注ぐ。
さて、ここで単純な算数の話をしよう。
一万円札1枚の重さは約1グラム。一千万円なら1キロである。
では夢はでっかく万札5000億枚、総額5000兆円なら……?
そんな質量の暴力・5000兆円を、マリアブリレは今まさに千里眼獣の頭上から降らせているのだった。
相手が未来予測を行うならば、避けようのない攻撃を当てれば良いだけのこと。
まるで走り回る大瀑布のように、マリアブリレは札束で敵を殴り続けた。
「めがッ、めがーッ!」
避けようとした敵個体はあっけなく紙幣の山に潰され、血の一滴すら札束風呂のかけ流しに押し流される。
器用に回避しマリアブリレの眼鏡を狙おうとした個体も、1億円束(約10キロ)のカドをまともに食らい地面へ沈む。
「め……めが……」
マリアブリレがここまでにばら撒いた紙幣の総額は、約300兆円。
5000兆円を出し切ってしまうまで、彼女の猛攻は続いたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
黒河内・柊夜
ほう、眼鏡を狙う者か。
ならば我は魂の同胞者(副人格)ヒイラギが普段用いる眼鏡をかけて臨もうではないか!
ハハハハハ!我が眼鏡が割れたところで問題ない、伊達ゆえな!!
敵は随分視力に頼っているようだな?
ならば存分に利用させてもらおう。
剣で斬り込みながらUCを使用し黒針を敵へと飛ばす。
剣では真正面から目を狙うぞ。あえて大きな動きをしつつ執拗に目を狙えば注意は引けるであろう。
注意を我へ集中させている間に針を死角から反射させる。身体のどこかへ当ればよい。
発動さえすれば大きな隙となるのだからな、あとは剣で止めだ。
我が黒針は音も無く貴様らに迫る!
その大きな眼にのみ頼っていては我が闇を捉えることなど出来まい!!
「ほう、眼鏡を狙う者か」
真面目そうなデザインのメガネをくいっと上げ、黒河内・柊夜(f16288)は敵群の様子を伺った。
既に他の猟兵と交戦している様子を見る限りでは、敵は随分視力に頼っている様子。
「ならば存分に利用させてもらおう」
黒剣を抜き放ち、敵群と距離を詰める。
「はぁッ!!」
派手に振りかぶると、柊夜は千里眼獣の大きな単眼めがけ剣閃を奔らせた。
その動きを予め『視ていた』かのように、千里眼獣はひらりと身を躱す。
「逃がさぬ!」
避けられても尚、大仰な動きで執拗に眼を狙う。
その太刀筋を難なく回避した千里眼獣が地面を蹴り、柊夜の眼鏡めがけ前脚の爪を立てた。
「ハハハハハ! 問題ない、伊達ゆえな!!」
そもそもこのメガネは柊夜の私物ではなく、副人格『ヒイラギ』の伊達メガネである。
レンズに引っかき傷が付いたところで痛くも痒くもないのだ! ……ほんとに?
ともあれ、敵群は柊夜に意識を集中させ、次の一撃を『視よう』と観察している様子だ。
「フッ、期は満ちたか」
不敵に笑み、柊夜は黒剣の切っ先を向ける。
予測通りの軌道で避けようとする千里眼獣たちに、突如として黒い毒針が降り注いだ。
「我が黒針は音も無く貴様らに迫る! その大きな眼にのみ頼っていては我が闇を捉えることなど出来まい!!」
地面に縫い付けられるように這いつくばった千里眼獣に、無数の毒針が迫る。
麻痺毒に動きを封じられた千里眼獣たちを、柊夜は横薙ぎの一閃で一網打尽にするのだった。
成功
🔵🔵🔴
中村・裕美
「……眼鏡を破壊とは……なんと卑劣な」
眼鏡がないとどれだけ生活していく上で大変か。眼鏡を掛けない輩には分かるまい。
とにかく【エレクトロレギオン】召喚で、敵に波状攻撃を仕掛けて超視力に集中する時間を与えないようにして攻撃。
もし自分の眼鏡を破壊された時の為用に、レギオンの視界を【ハッキング】して【情報収集】で共有し、自分の目の代わりにする。
「……300を超える目……全部潰すことは……できるかしら?」
戦闘中は割とノリノリだが、戦闘後に壊れてしまった眼鏡のことで途方に暮れるかもしれない。
「……いよいよ……あれを使わないと……いけないかしら?」
「……眼鏡を破壊とは……なんと卑劣な」
中村・裕美(f01705)の声音には、隠しきれない怒りと怨みがありありと滲み出ていた。
「……眼鏡がないとどれだけ生活していく上で大変か」
眼鏡なしでは手元すらぼやける視力で、どうして裸眼で生活できようか。
この苦労と心許なさ、眼鏡を掛けない輩には分かるまい。
「……そんな非道なこと、許さない……」
恨みがましくぼそりと呟き、黒竜を象った機械兵器を召喚する。
300を超えるウロボロスレギオンの群れが、隊列を組み敵群と対峙した。
「……集中する隙なんて……あげないから……」
次々とレギオンを前衛に出し、怒涛の波状攻撃を仕掛ける。
集中を乱された千里眼獣たちは裕美に近づくこともままならない様子で、じわじわと後退していった。
「……逃げる、つもり……?」
敵群の動きを読むように、レギオンが先回りして行く手を阻む。
まるで全体を俯瞰する『何か』の指示を受けたのように、レギオンたちは千里眼獣を逃がさぬよう賢く立ち回った。
――それもそのはず。
レギオンたちの視界は裕美と共有され、戦場全体を見渡す『眼』としての役割を担っているのだから。
「……300を超える目……全部潰すことは……できるかしら?」
黒竜の包囲網から、千里眼獣が逃げ出すことは叶わなかった。
ふと、裕美は自らの顔に意識を移した。
視界にキズのようなものが映る。
レギオンの視界に集中している間に、メガネを割られてしまったのだ。
「……いよいよ……あれを使わないと……いけないかしら?」
途方に暮れる裕美。
だが、まだ秘策はあるのだ。
成功
🔵🔵🔴
レン・デイドリーム
アドリブ連携歓迎
……妖怪『眼鏡割るマジロ』?
メガネを狙うUDCって地球からメガネが消え去ったらどうするのかなぁとかそんな事も気になっちゃうけど、感染型なら放っておく訳にもいかないね
とりあえず配下のUDCから退治しようか
伊達メガネを装備して現場に行こう
予備もいくつか持っていこうか
敵と遭遇したら【呪詛】を籠めたサモニング・ガイストを使用
古代の戦士の霊に敵を蹴散らしてもらうよ
相手は超視力に集中する事で強化されるみたいだから、複数体を同時に相手にする事で出来るだけ集中させない作戦で行こうか
僕自身は【オーラ防御】で身を守りつつ、接近してきた個体は【衝撃波】で対応
僕の目は作り物だけど、狙われるのも嫌だしね
「メガネを狙うUDCって地球からメガネが消え去ったらどうするのかなぁ……」
もっともな疑問を抱きながら、レン・デイドリーム(f13030)は伊達眼鏡越しに千里眼獣の大群を見回した。
たった一人の書き込みがきっかけでこんな大群が生まれてしまうのだ。
これではメガネが滅ぼされる前に人類が滅びてしまうだろう。
「それは、放っておく訳にもいかないね」
まずはこの場を埋めつくす配下を片付けてしまうため、レンは目の前の一点に意識を集中させた。
「頼むよ、君たち」
ぼうっと白いもやが立ち上り、やがてそれは槍持つ男たちの姿となる。
それはレンが使役する死者――古代の戦士であった。
「ご自慢の超視力、果たして使えるかな?」
集中しようと静止している個体を狙い攻め立てるよう、レンは二人の戦士に合図を送る。
標的となった千里眼獣も必死に飛び跳ね逃げ回るが、多対一では分が悪い。
炎で追い立てられた獣を槍使いの戦士が迎え撃ち、まずは難なく一匹仕留めてしまったのだった。
「よし、この調子だ」
素早く指示を出し、次の標的を狙う。
敵の集中を削ぎペースを乱す作戦は、思いの外有効に働いているようだ。
不意に、レンの視界に黒い影が飛び込んだ。
古代戦士たちの標的から逃れた千里眼獣が、不意打ちでレンの目元に突進してきたのだ。
だがレンは微塵も慌てた様子を見せず、逆に敵が思いきり吹き飛ばされる結果となった。
「僕の目は作り物だけど、狙われるのも嫌だしね」
あらかじめオーラの防御壁を顔の周りに展開し、敵の反撃に備えていたのだ。
「メガネだけならそんなに惜しくはないけど……ね」
呟き、レンは古代戦士たちの指揮を再開するのだった。
大成功
🔵🔵🔵
土斬・戎兵衛
眼鏡は好きだよ
数少ない、心惹かれるモノの一つさ
お金ちゃんのための仕事ではなく、殺しのための殺しでもなく、たまには趣味嗜好のために戦おう
狙いが分かっているなら【見切り】守るのも容易い
定切で目元への攻撃を防ぎつつ、分渡で敵を斬る
千里見通す獣、視覚に自信があるなら丁度良いや
嫌な光景を見てもらおうかな
敵の一体一体を容赦なく斬り刻み、【傷口をえぐる】ような残虐な攻めを見せ、剣気を放ちながら戦って、こちらを見る敵に【恐怖を与える】ことで
UCを発動
いくら眼が良くてもその奥、脳内に巣食う幻までは見通せまいってね
恐怖の中では集中も難しいだろうし
……ところで、5000兆円とか飛んでたら、拾って帰っちゃダメかな?
敵味方入り乱れる戦場に、ひらりひらりと数枚の一万円札が舞っている。
「お、こいつぁ運がいい」
土斬・戎兵衛(f12308)が掴んだ瞬間――紙幣は幻のように消えてしまった。
なんてことはない、味方のユーベルコードの流れ弾だったのだ。
「おっと残念。……ま、今日はお金ちゃんのための仕事じゃないから仕方ないか」
拝金主義の戎兵衛が、カネにならずとも守りたいと思える数少ない趣味嗜好のひとつ。
それが、眼鏡というものなのだ。
戎兵衛が接敵するなり、千里眼獣たちは隊列を組み彼の目元へと飛び掛かった。
彼の出現を予め『視ていた』かのような周到さであった。
「流石、千里見通す獣……ってところだねぇ」
黒鉄色の小太刀を咄嗟に翳し、敵の攻撃をやり過ごす。
次の一手にむけ集中しようとした一匹の獣めがけ、湾刀の一撃を浴びせかけた。
「それじゃ、嫌な光景を見てもらおうかな」
倒れ込む獣へ傷を重ねるように、次の一閃を浴びせかける。
容赦なく敵を切り刻む戎兵衛が放つ剣気、殺気、それはまさに『人斬り』のそれである。
次の標的になるまいと戎兵衛から距離をとっていた千里眼獣たちが、足を竦ませたようにその場で身震いし始めた。
「……お主の目には、何が見えている?」
時代がかった台詞を吐けば、千里眼獣たちは次々と身を縮こまらせ尻尾で目を覆う。
戎兵衛のユーベルコードで、恐ろしい幻覚を見せられているのだ。
「いくら眼が良くてもその奥、脳内に巣食う幻までは見通せまいっ……てね」
辻斬りの所作で、怯えた獣を一刀両断。
立ち向かう勇気も逃げる気力も失った千里眼獣を、戎兵衛はただ斬り捨てていったのだった。
大成功
🔵🔵🔵
黒木・摩那
メガネが無いと生活できないんです。
そんな大切なメガネを壊して回るオブリビオンとか
放ってはおけません。
今回のUDCは未来を予測するとか、厄介な相手です。
ただ、いくら未来が見えても、自らの反応速度が追いつくとは限りません。
ここは相手の読みを上回る攻撃で飽和突破を狙います。
UC【トリニティ・エンハンス】で【風の魔力】を
ヨーヨー『エクリプス』に付与します【属性攻撃】【破魔】。
そして、風の刃で攻撃範囲を広げると共に【なぎ払い】、
ヨーヨーを軽量にして反応速度を高めます。
さらにヨーヨーの軌道を【念動力】で操作して、回避困難にします。
こちらの防御は【第六感】で対応します。
メガネはそう易々と壊させはしません!
「メガネが無いと生活できないんです」
黒木・摩那(f06233)は、常日頃からメガネを愛用している。
視力が心許ない者にとってはメガネなしでの生活は幾多の苦労が強いられるものだということを、実感としてよく分かっているのだ。
「そんな大切なメガネを壊して回るオブリビオンとか、放ってはおけません」
強い意気込みを胸に、摩那はヨーヨーを握りしめた。
「いくら未来が見えても、反応速度がそれに追いつくとは限りませんよね」
右掌に魔力を集中させれば、まるで翼をはためかせるようにヨーヨーが震える。
風の魔力が芯まで行き渡ったのを感じると、摩那は敵群めがけてヨーヨーを投げ放った。
「この軌道、避けきれるでしょうか?」
風の刃を纏ったヨーヨーが回転の勢いを増し、群れをなぎ払うように駆け抜ける。
さながら大縄跳びのように飛び跳ね避けようとした一匹の獣が、糸に足をとられ倒れ込んだ。
「一歩遅かったようですね」
軽さを付与したヨーヨーを念動力で縦横無尽に駆け巡らせ、千里眼獣たちを追い立てていく。
予測した方向へ逃げようとした獣たちを、摩那のヨーヨーは容赦なく斬りつけた。
反応速度以上の速さで攻め立ててしまえば、未来視による回避など取るに足らないものなのだ。
逃げられないのなら仕方ない……とばかりに、攻勢に転じる獣もいた。
敵はヨーヨーを操る右手の側から近付き、摩那の眼前まで跳躍する。
だが、摩那は。
「メガネはそう易々と壊させはしません!」
咄嗟に横合いへ回避し、ヨーヨーの糸をくいっと持ち上げる。
こちらへ戻ってきたヨーヨーが軌道をずらし、眼前へ迫る千里眼獣の大きな単眼をしたたかに打ち据えた。
大切なメガネのため、防御も決して疎かにしない摩那なのであった。
大成功
🔵🔵🔵
碧海・紗
アドリブ歓迎
眼鏡を掛けてるアンテロさん(f03396)も
なんだかんだで似合うのもどうかと…。
ひとまずこの子たちを集めたいですね
目を狙いたいみたいですから、
複数人で居れば狙われるはず
からくり人形の可惜夜にも眼鏡を。
人間らしく操っていきましょう
ギリギリまで引きつけたのなら
暗香発動
あなた方が視覚を狙うなら
こちらは嗅覚を狙いましょう
眼鏡が割れても第六感を駆使して
まるで見えているかのような振る舞いを
例え途中でこけたとしても
彼ならスマートにフォローしてれるでしょう
ねぇ?
アンテロさん?
…なんで動かないのかしら。
話しかけてるのが無機物だと分かるのは
きっと彼が反応を示した頃…。
アンテロ・ヴィルスカ
碧海君(f04532)と
偶にはいいねぇ…なんて言ったら、本当に目が悪いヒトに怒られてしまうかな。
俺のは伊達眼鏡だから平気だが、君は気をつけてね碧海君?
眼帯を外し、銀縁のスクエアを目に…
ばら撒いた『輸血瓶』の血を養分に壁や床、天井からliljaを咲かせる
捕食から逃れる敵を碧海君の方へ、誘うように咲かせよう。
俺自身は死の匂いが届かない距離をキープ
赤い花は危険、向かうなら甘い香りの紫の花さ。
万が一彼女の眼鏡が破られたとして……ふふ、危険がないなら面白そうだから少し見ていようかな?
アドリブ等、ご自由に
「偶にはいいねぇ……なんて言ったら、本当に目が悪いヒトに怒られてしまうかな」
アンテロ・ヴィルスカ(白に鎮める・f03396)は、メガネのかけ心地を楽しむように口の端を吊り上げる。
いつもの眼帯は外してしまい込み、代わりに目元を彩るのはメタルフレームの伊達メガネ。
スクエアタイプの銀縁は普段の彼の印象とは全く異なるようでいて、不思議と顔に馴染んでいた。
「なんだかんだで似合うのもどうかと……」
一方、碧海・紗(闇雲・f04532)の目元を彩るのは、普段から愛用している度入りのメガネだ。
伊達メガネというものに思うところはあるものの、作戦のためならと言葉を呑み込む。
「さて……ひとまずこの子たちを集めたいですね」
目を狙う習性があるならば、『標的』は多いほうがおびき寄せやすいだろう。
そう踏んで、紗はからくり人形『可惜夜』を傍らに立たせた。
「やっぱり、こちらが気になるみたいですね?」
作り物の顔にメガネをかけた可惜夜を、千里眼獣がつけ狙う。
確実に追尾し、一撃で目を狙うつもりなのだろう。
可惜夜に無防備そうな仕草をさせながら、紗は敵を誘い込むように手狭な路地へ後退していった。
「俺のは伊達眼鏡だから平気だが、君は気をつけてね碧海君?」
紗と千里眼獣たちの様子を見ながら、アンテロはブロック塀に輸血瓶の中身をぶちまける。
血に濡れた壁面から赤黒い百合の蕾が芽吹き、まるで千里眼獣を捕まえる手のように大きく花ひらいた。
それが自分たちを害する花なのだと知っているような素早さで、獣たちは花弁の届く範囲から素早く距離をとる。
「赤い花は危険、向かうなら甘い香りの紫の花さ」
更に地面へ血液を垂らせば、アスファルトの上にも百合の花が咲いて。
恐れをなした千里眼獣たちが、一斉に紗のいる路地へと逃げ込んだ。
すべての獣を彼女の射程内まで追い込んでしまえば、あとはこちらのものだ。
「逃がさない、一匹たりとも」
紗の呟きとともに、路地じゅうに甘い香りが充満する。
警戒するように鼻を鳴らしていた獣たちが、苦しそうにのたうち回り始めた。
「あなた方が視覚を狙うなら、こちらは嗅覚を狙いましょう」
敵が千里眼の持ち主ならば、不可視のもので攻撃すればいい。
そう確信し香りを振りまく紗の顔面を、一匹の獣が狙った。
「きゃっ!?」
ぴしっと音をたて、メガネのレンズに亀裂が走る。
だが――それ以上、敵軍が何かしてくることはなかった。
今の打撃は、最後の悪足掻きだったというわけだ。
「支えていてくれる? 視界がぼやけて前が見づらいの。……って、なんで動かないのかしら?」
割れたメガネを外し、紗はアンテロにつかまり立ちするようにそろそろと立ち上がる。
だが、目の前の『彼』は直立不動。
「ねぇ? アンテロさん?」
文句のひとつでも言おうとした時、不意に逆方向からくつくつと愉快そうな笑い声が聞こえた。
「ふふ、ごめんよ。面白くてつい」
そう、紗がアンテロだと思って寄りかかっていたのは、電柱だったのだ。
「もうっ!」
平和なやり取りをする彼らの周りには、千里眼獣の姿はなく。
猟兵たちは、無事に獣の大群を倒しきることができたのだった。
成功
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第2章 冒険
『UMAを探せ!』
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POW : しらみ潰しに探し回る
SPD : 罠を仕掛ける
WIZ : 占いや推理を駆使して居場所を特定する
👑11
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●マスターより
第二章の受付開始は、断章執筆後になります。
12月20日(金)の0時までにはご用意いたしますので、今しばらくお待ちください。
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千里眼獣の群れを退けた猟兵たちは、例の書き込みの主との接触に成功した。
「俺がアイツを見たのは、西口のでかい公園で……」
証言をもとに、彼が『眼鏡割るマジロ』と遭遇したという現場へと向かう。
そこは駅から歩いて10分ほどのところにある、平凡な郊外の自然公園……のはずであった。
だが、猟兵たちが辿り着いた先に広がる光景は。
雑木林と呼ぶには深すぎる、鬱蒼と茂った森。
遊具をでたらめに組み合わせたような、奇怪なアスレチック。
複雑な迷路と化した、英国式ローズガーデン。
UDCの影響により、公園は異界へと変わり果てていたのだった。
この公園のどこかに、『眼鏡割るマジロ』は確実に潜んでいるのだろう。
そういえば、書き込み主の彼はこうも言っていた。
「なんていうか、アイツからは邪気が感じられないっていうか……単純に、メガネを壊すこと自体をエンジョイしてる感っていうか」
もしかしたら――メガネを上手く囮に使えば、炙り出すことができるかもしれない。
レン・デイドリーム
……思ったより幻想的な光景だなぁ
感染型がいるんじゃなかったら優雅に散歩でもしたかったけれど
UDC怪物は放っておけないね
早く見つけに行かないと
再び伊達眼鏡を装備して行動するよ
それとは別に罠も作ろうか
罠といっても、その辺に伊達眼鏡を落としておくだけなんだけど
その状態で「眼鏡落としちゃったなぁ」と大きな声で呟きつつ周囲を見てみようか
僕自身か落とした眼鏡にUDCが引っかかれば嬉しいな
駄目でも【第六感】で妙な気配のする方を察知してみるよ
移動中はちょこちょこ伊達眼鏡を落としてみようか
敵が見つからないなら一旦道を戻って、落としてきた眼鏡の様子も確認するよ
……こんな童話があったよね
パンじゃなくて眼鏡だけど……
異界と化した雑木林は、どこか幻想的な魔法の森のようで。
伊達眼鏡越しに見るおとぎ話のような風景に、レンは目を細めた。
「……感染型がいるんじゃなかったら優雅に散歩でもしたかったけれど」
だが、今は『眼鏡割るマジロ』の捜索が先決。
雰囲気を楽しむのもそこそこに、レンはわざとらしくポケットをごそごそと探った。
「あぁ、眼鏡落としちゃったなぁ。どうしよう」
大きな声で独り言を呟きながら、来た道のほうをチラチラと見遣る。
レンの視線の先には、ヒカリゴケの台座に転がる眼鏡があった。
「こっちの眼鏡より気に入ってたんだけどなぁ。困ったなぁ」
そう、これは『眼鏡割るマジロ』を釣るための罠。
眼鏡を割ることに執着しているならば、自分か落とした眼鏡かどちらかには反応があるだろう。
そう考え、レンは囮と罠の二重の構えで眼鏡割るマジロを誘い出す作戦に出たのだ。
(「……まだ、何の気配もないようだ」)
しばし待ちながら、レンは第六感を張り巡らせるように周囲を警戒する。
刹那。
『――♪』
木陰から木陰へ、何者かが素早く飛び移るように駆けた。
その途中、何かがパキッと割れるような音が聞こえてきたのを、レンは聞き逃さなかった。
「……へぇ。これは手強いね」
罠の状態を確認するように、設置した伊達眼鏡へ駆け寄る。
そこにあった眼鏡は、レンズが真っ白になるまでひび割れていた。
「ひとまず、森から誘い出さないと……かな」
呟きながら、元来た道を引き返す。
誘い出すために、伊達眼鏡を落としながら。
「……こんな童話があったよね。パンじゃなくて眼鏡だけど……」
だが、童話の小鳥よろしく、その眼鏡を啄む者はいるらしい。
眼鏡を割りながらついてくる何者かの気配を背中で感じながら、レンは遮蔽物の少ないエリアへと歩みを進めるのだった。
成功
🔵🔵🔴
黒河内・柊夜
ああ、僕のアイデンティティに傷が……なぜ人のものを勝手に使うんですかね柊夜のやつは!?ま、予備あるからいいんですけど。
ということで調査は副人格のヒイラギが行います。
餌を置いて待つだけでは不安ですから、積極的に動いてみましょうか。とはいえ気配に気づかれて逃がすのも良くないですね。
先に地形を調査して、追い詰めるのに適切な場所に目星を付けておきます。
そして眼鏡をそっと設置して僕は隠れますよ。
怪しい気配がしたら、眼鏡が捕まらないようにサイキネでちょいっと動かして、ポイントまでおびき寄せましょう。
イメージは逃げるウサギですかね。
いやぁ、異界じみた公園というのもまた風情が……いえ、落ち着かないですねこれ。
視界に、薄靄のようなノイズが走っている。
それがレンズの傷と分かるなり、ヒイラギは呆れたように頭を抱えた。
「なぜ人のものを勝手に使うんですかね柊夜のやつは!?」
憤りながら予備の伊達眼鏡をかけ、周囲の様子を見渡してみる。
恐らく遊歩道であったはずの道は長くうねり、鬱蒼とした森の奥へと伸びているようだ。
「いやぁ、異界じみた公園というのもまた風情が……いえ、落ち着かないですねこれ」
とはいえ、調査しないことには始まらない。
とにかく歩き回って探索し、柊夜に筋肉痛の置き土産でも残してやろうか。
そんな気持ちで、ヒイラギは森の入り口付近を探索することにしたのだった。
それから、しばらくの後。
「上手い具合に引っかかってくれればいいんですけど」
物陰に隠れ、ヒイラギは仕掛けた眼鏡を注意深く見張っていた。
調査のために入った森は深く暗く、不用意に踏み込めば道を見失ってしまいそうなほどであったのだ。
ならばせめて手前におびき出してしまおうと、ヒイラギは『餌』を仕掛け様子を見ることにしたのだった。
傷の走ったレンズが風に揺れ鈍く反射した、その瞬間。
『っ♪』
「あっ」
大きなアルマジロのようなシルエットが、ぬっと姿を現したのだった。
『……?』
アルマジロは小首を傾げた後、仕掛けた眼鏡へと駆け寄った。
その手が餌を掴もうとするタイミングで、ヒイラギはサイキックエナジーでスッと眼鏡を動かした。
(「……よかった、ついて来てますね」)
簡単に姿を見せたとはいえ、相手はボス級UDCである。
荒事が苦手なヒイラギはおろか、柊夜でも一人で接敵すれば危険だろう。
そう判断し、ヒイラギは味方との合流地点へと敵を誘い込むことにしたのだ。
(「このまま合流地点へ誘導できれば……」)
逃げる眼鏡。
追うアルマジロ。
双方が森の端に近づいたとき、アルマジロはふっと顔を上げ遊歩道の先を見た。
(「ん? ……あぁ、なるほど」)
アルマジロの視線の先には、同じく眼鏡を餌にする猟兵がいた。
ヒイラギの眼鏡を踏み越え、アルマジロは味方猟兵の撒き餌へ飛び込んでいく。
「あっちへ誘われてくれるなら、好都合です」
撒き餌が誘導する方向は、ちょうど合流地点の方角。
安堵の溜め息をつき、ヒイラギは味方とアルマジロの背中を見送ったのだった。
成功
🔵🔵🔴
アンテロ・ヴィルスカ
碧海君(f04532)と
なるほど備えあれば…という奴?スペアがあれば強気に攻められる訳だ。幾つ出てくるか楽しみだよ…
我々はローズガーデンで眼鏡割るマジロとやらをおびき寄せよう
歪みつつあっても、綺麗な場所の方が好ましい。
オリガミもだが、薔薇眼鏡とは…君は相変わらず手先が器用だね?
見習いたいところだが時間がかかりそうだ……俺は手っ取り早く、剣を振るい植木を眼鏡型にカットしてみるよ。
まだ傷一つない銀のブリッジを押し上げて整え、敵を待とう。
しかし眼鏡を思い切り割ってしまうの、そんなに楽しいのだろうか
…………何か言ったかい碧海君?
アドリブ等、ご自由に
碧海・紗
安心してください。
眼鏡を掛けてる者にとって予備は必須ですから、アンテロさん(f03396)
囮を作る作戦、ですか
面白そうですね?
こんな感じなんて如何でしょう
薔薇の蔓を眼鏡の形に編んで誘き寄せられれば…。
バラを二つ並べて
文字通り"蔓"をつければ
薔薇の眼鏡の完成です
細かいものは好きですが…
あなたはざっくりしてますねぇ?
本当、彼のメガネが似合いすぎて
眼鏡割るマジロに割られて仕舞えばいい
…なんて、心の中で思いつつ。
彼の作ったトラップに敵が引っかかるのを待ちましょう
アドリブ歓迎
複雑な迷路と化した英国式の庭園は、冬だというのに大輪の花々に囲まれていて。
「歪みつつあっても、綺麗な場所の方が好ましい」
アンテロと紗は、蔓薔薇のアーチの下で『眼鏡割るマジロ』を釣るための囮を作っていた。
「ちゃんと見えるかい?」
「安心してください。眼鏡を掛けてる者にとって予備は必須ですから」
紗の顔を彩る眼鏡は、千里眼獣に壊されたそれとまったく同じ度数のスペアだった。
ときに近接戦闘もこなす猟兵として、当然の備えといえるだろう。
「なるほど備えあれば……という奴?」
幾つ出てくるか楽しみだよ……と口の端を歪めるアンテロを軽く睨み、紗はアーチの薔薇に手を伸ばした。
「棘が多いわね。UDCの影響かしら?」
手を傷つけないよう注意深く、紗は薔薇の蔓を解いていく。
手元に集めた蔓を慎重に絡み合わせ形作っていくと、みるみるうちに眼鏡のつるが2本編み上がった。
「仕上げは……この花が良さそうだわ」
平咲きの花をふたつ並べて編みつければ、薔薇の眼鏡の完成だ。
「オリガミもだが、薔薇眼鏡とは……君は相変わらず手先が器用だね?」
感心したように、アンテロが声を上げる。
「……あなたはざっくりしてますねぇ?」
確かに細かいものは好きではあるのだけれど。
そんな視線を受けながら、次はアンテロが囮作りに取り掛かる。
「俺は手っ取り早く、これでいこうかな」
植木に剣を向け、アンテロは剣を振るう。
器用に角度をつけながら切り込めば、植木はふたつの円が並んだような形を現した。
「これで仕上げだよ……っと」
外周を切らぬよう慎重に円の中をくり抜く。
これだけ大きな眼鏡型ならば、敵の目にも止まりやすいだろう。
後は物陰に身を潜め、敵が来るのを待つのみだ。
「しかし眼鏡を思い切り割ってしまうの、そんなに楽しいのだろうか」
素直な疑問を呟きながら、アンテロは傷一つない銀縁眼鏡のブリッジを押し上げ位置を整える。
伊達にも関わらず、その仕草は妙に堂に入っていて。
「眼鏡割るマジロに割られて仕舞えばいい」
「…………何か言ったかい碧海君?」
顔を背けるように、紗は囮へ目を向けるのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
黒木・摩那
眼鏡割るマジロ、メガネを壊してエンジョイとか、ますます許せませんね。
ただ、邪気が感じられないというのは重要。
待ち伏せが得意だということが想像できます。
ここはメガネで誘い出してみましょう。
囮をやるのも手ですが、ここはあえて、釣りをやってみましょう。
対象がメガネ単体なのか、人+メガネなのかも興味ありますし。
ベンチに置いたメガネをエサに、ヨーヨーのワイヤーを釣り糸にして。
たまに【念動力】でふわりと浮かしたりして、誘ってみます。
釣りに夢中になって、自分のメガネが割られてしまっては大変なので、
スマートグラスのセンサーで警戒します。
あと【第六感】頼みです。
「メガネを壊してエンジョイとか、ますます許せませんね」
絶対に退治しなければと、摩那は強く思う。
だが確実に追い詰めるため、まずは冷静に状況整理だ。
「邪気が感じられないというのは重要。待ち伏せが得意だということが想像できます」
不用意に歩き回って探しては、自分のメガネが割られかねない。
「ここはメガネで誘い出してみましょう」
ヨーヨーのワイヤーにメガネをくくり付け、ベンチに設置。
メガネを餌にした『眼鏡割るマジロ』釣り、というわけだ。
「対象がメガネ単体なのか、人+メガネなのかはまだ分かりませんけど……」
もし前者ならば、ベンチに置き忘れたメガネなんて恰好の餌だろう。
念動力で角度を変えたり、ふわりと浮かせて目立たせたりしながら、摩那は敵が来るのを待った。
「!?」
不意に、スマートグラスのレンズに警告のアラートが現れる。
と同時に、釣り糸をぐいぐいと引っ張る強い手応えを摩那は感じた。
「かかりましたね!」
ワイヤーをしっかり捕まえ、大きな魚を釣り上げるようにしっかりと踏ん張る。
だが、次の瞬間。
「きゃあ!?」
釣り糸の先の『眼鏡割るマジロ』が、眼鏡から手を離したようだ。
反動で摩那は尻餅をつき、糸の先の眼鏡が手元に戻ってきた。
よく見ると、眼鏡はご丁寧にレンズだけ粉々に割られている。
「なんて器用なことを……」
だが、敵の尻尾は掴めた。
駆け抜ける背中を、『眼鏡割るマジロ』は無防備に晒していたのだ。
「そっちに逃げるなら……ええ、あの人たちなら上手くやってくれるでしょう」
その行き先は偶然にも、仲間が待ち構える東屋付近。
落ち着いた様子で、摩那もそちらへ向かうのだった。
成功
🔵🔵🔴
中村・裕美
「……ついに使わないとなのね」
眼鏡が破壊された時の奥の手……それは『コンタクトレンズ』
別人格のシルヴァーナの方がコンタクト派なので、用意はある。
レギオンで【情報収集】し、いか以下の度合いで敵の潜んでいる地域を絞り込む。仲間と情報を共有したいが
「……」
コンタクトだといつもより目を合わせづらいので、近距離でもメールなどで行う。
土斬・戎兵衛
ありゃりゃ、こうも公園がイカれちゃうとは、滑稽な名でもUDCか
公園で眼鏡を売る露店商の【演技】
お客さんのいない商売っていうのも悲しいけどね
街で眼鏡を買い込んで、それを並べて割るマジロを釣りだそう
度を調整したり、視力を正確に測る技術はないので、お洒落系のだて眼鏡やサングラス、ブルーライトカット眼鏡や花粉眼鏡なんかの度の入ってないのを売るよ
せっかくなんで俺ちゃんのお江戸眼鏡の予備なんかも
眼鏡が狙われたら自分のかけている物より商品を優先してガード
ほら、こっちの仕事が終わったら、人のいる公園で本当に露店商しても良いしね
敵が現れたら【早業】でUCを使って攻撃する
輝くはレンズだけにあらず、硬貨もだ
「こうも公園がイカれちゃうとは、滑稽な名でもUDCか」
東屋のテーブルに眼鏡を並べ終えた土斬・戎兵衛(f12308)は、改めて公園をぐるりと見渡してみた。
花壇の花にベンチ、子供用の遊具。
どこの公園にでもあるようなモノが奇妙に歪み出鱈目に並べられている様は、夢と現の狭間のような不気味さを醸し出していた。
「……ま、気持ちを切り替えて……開店開店っと。眼鏡はいらんかねー。閉店セールでお安くなってますよー」
露天商よろしく、声を張り上げる。
陳列台に見立てたテーブルには、お洒落な伊達眼鏡や機能性PC眼鏡など多種多用な度なし眼鏡が並んでいる。
眼鏡屋を装い『眼鏡割るマジロ』を釣るのが、戎兵衛の作戦であった。
「お客さんのいない商売ってのも悲しいけどね……ん?」
気付けば傍らに、恥ずかしそうに顔を隠す少女がひとり。
眼鏡を割られ渋々コンタクトに換装した中村・裕美(f01705)であった。
「……あ、あの……えぇと……」
髪で顔を隠すように俯き、裕美は手にしたスマートフォンに素早く文字を打ち込む。
「……」
黙って戎兵衛に差し出す画面に並ぶ文字列は。
『接敵を確認。このまま囮作戦を継続しておびき寄せるべし』
「なるほどねぇ……可愛いお嬢ちゃんにゃこっちのお洒落眼鏡はどうだい? 俺ちゃんとお揃いのお江戸眼鏡もあるよ」
迫るUDCに聞かせるように、戎兵衛は軽妙なセールストークを回し始めた。
敢えて『眼鏡』という単語が耳につくように、ひとつひとつの商品の品名を読み上げるように裕美に勧める。
「パソコンのお供にブルーライトカット眼鏡も……」
「……来る……!」
瞬間、戎兵衛の眼鏡に軽い衝撃が走った。
咄嗟に売り物の眼鏡を庇う戎兵衛の目の前に、ぬっと黒い影が現れる。
「悪いが売り物には手出しさせないよ」
眼鏡を手早くしまい込む戎兵衛の顔に、鋭い爪を持つ手が伸びる。
その手を阻むように、黒竜を模したレギオンが割って入った。
「……ローズガーデンに、追い込めば……」
その怪生物を追い立てるように、裕美はレギオンの包囲網を狭める。
戦いやすいフィールドに仲間が罠を仕掛けていることを、既にリサーチしていたのだ。
「任せとけ。輝くはレンズだけにあらず……ってね」
裕美の意図を汲み、戎兵衛も敵の背めがけ小銭を投げつける。
攻撃から逃れるように怪生物が走る方角は――味方が待ち受ける、ローズガーデンの中心。
「……私たちも、追いかけるわよ……」
俯きながら、裕美が不器用に駆け出す。
髪が靡き瞳が露わになる度に、恥ずかしそうに目元を隠しながら。
「……やっぱり、コンタクトは恥ずかしい……」
「伊達でもよけりゃ、一本買ってくかい?」
軽口を叩きながら、戎兵衛も裕美と並走する。
目指すはローズガーデン。いよいよ、最後の戦いが始まるのだ――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『眼鏡割るマジロ』
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POW : 眼鏡割れろ
【眼鏡を割る】時間に応じて、攻撃や推理を含めた「次の行動」の成功率を上昇させる。
SPD : 眼鏡割れろ
予め【眼鏡を割る】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
WIZ : 眼鏡割れろ
【眼鏡を割る】事で【高速戦闘モード】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
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――眼鏡を壊すのは、たのしい。
それが、眼鏡割るマジロの行動動機であった。
決して命は奪わず、ただ眼鏡だけを壊す。
そうすることでより沢山の眼鏡が壊せると、本能的に理解していたのだ。
現に今日は、そこかしこに眼鏡が落ちていた。
あのニンゲンがかけていた眼鏡を割れなかったのは残念だけれど、かなりの収穫だ。
それに、昨日までは何もなかったローズガーデンに、大きな眼鏡があって――。
眼鏡型の植木をくぐってみたところで、眼鏡割るマジロは違和感に気がついた。
――おかしい。いくらなんでも、今日は眼鏡が多すぎる。
彼がそう思った頃には、既に猟兵たちがローズガーデンへ結集し周囲を取り囲んでいたのだった。
●マスターより補足
戦場はある程度開けた平地。
戦いやすいフィールドですが、庭園を彩る薔薇の棘にご注意を。
生垣などの遮蔽物を利用して戦うことも可能です。
※注意!
この章は、前2章に比べて現在かけている眼鏡が割れる確率が非常に高くなっております。
それを踏まえた作戦を立てていただければと思います!
碧海・紗
アンテロさん(f03396)と
どんな凶悪な敵かと思ったら
なんとも可愛らしい…
けれど油断大敵
アンテロさんが奇襲攻撃なら
からくり人形の可惜夜を堂々と歩かせて誘惑を
勿論眼鏡は掛けていますとも。
あら、アンテロさん
せっかくお似合いだったのに…
投げてしまう眼鏡に合掌
勿論眼鏡が破られない対策は
市松を発動させての白と黒を
攻撃を受ける直前に大きくして壁になってもらえたら…
白と黒に対しては
手荒な使い方をしてごめんなさいね?
アドリブ歓迎
アンテロ・ヴィルスカ
碧海君(f04532)と
おや、どんなUDCが出るかと思えば可愛らしいものだな。確かに眼鏡割るマジロと言う名がぴったりだ。
戦いは終始、植木の影に潜みながらの奇襲を
《ランタカルーメ》で離れた場所の木を揺らし、その隙に掛けていた伊達眼鏡を敵の方へ投げる
食いつけば柔らかな腹部を狙い攻撃するよ
こちらの姿を見つけられれば、後は【念動力】で『銀鎖』の精度を増して、碧海君のサポートに回ろう
…さよなら眼鏡、短い間だったが中々いい掛け心地だった。
白と黒のモフモフした壁で君の最期が見えないのが、せめてもの救いか……なんてね?
アドリブ等、ご自由に
目の前に現れた眼鏡割るマジロは、二人が想像していたよりもだいぶファンシーな姿をしていて。
「おや、どんなUDCが出るかと思えば可愛らしいものだな」
薔薇眼鏡を手に取り首を傾げたり、眼鏡型の植木をくぐるコミカルな動作を見て、アンテロはつい口許に笑みを浮かべてしまう。
「可愛らしくても相手はUDC。油断は禁物よ」
同じく眼鏡割るマジロの挙動に目を細めていた紗は、気持ちを切り替えるようにからくり人形『可惜夜』の糸を繰った。
眼鏡をかけた可惜夜が、まるで事情を知らぬ一般人のような所作で戦場となる広場をふらりと歩む。
その無防備そうな歩みを、何の疑問も抱かぬ様子で眼鏡割るマジロが追った。
『~~♪』
まるで極上の獲物を見つけたように意気揚々と歩む背中は、まるで自分が罠にかけられているとは微塵も気付いていない模様。
『――♪』
追いついた、と言っているような様子で追いつくと、鋭い爪でレンズを一突きし可惜夜の眼鏡を割ってしまったのだった。
「まるで警戒していないんだね。それなら好都合」
眼鏡割るマジロを誘き寄せた先は、アンテロが仕掛けた罠の中。
伸縮自在の銀鎖で木を揺らし、あたかも誰か潜んでいるかのような動きで気を惹く。
誘われた眼鏡割るマジロが木に注意を向けたところへ、アンテロはついさっきまでかけていた伊達眼鏡を放り投げた。
『――!』
いきなり飛んできた伊達眼鏡の不自然さに警戒する様子もなく、眼鏡割るマジロは嬉しそうに食いつき眼鏡を捕まえようと腕を掲げる。
柔らかい腹が、無防備に晒された。
「よし、狙い通りだ」
銀鎖の先が眼鏡割るマジロめがけまっすぐに伸び、腹部めがけて突き刺さる。
『――!?』
銀鎖が深く刺さり、苦悶の声を上げる眼鏡割るマジロ。
さすがに何かがおかしいと気付いた様子で、植木をかき分け攻撃の主を探し始める。
力強く樹を薙ぎ倒した眼鏡割るマジロは、そこにいた紗の顔を見てにんまりと笑みを浮かべた。
『――♪』
このメガネも割ってしまおう。きっと、そう考えているのだろう。
だが、紗の動きの方が一瞬早かった。
「白、黒。壁になりなさい」
二羽の文鳥が召喚され、みるみるうちに大きく膨らんでいく。
巨大化した文鳥は短い翼を広げると、紗の顔の位置までぱたぱたと飛び上がった。
「おっと、鎖から目を離してはいけないよ?」
文鳥に守られた奥を狙おうとする眼鏡割るマジロに、銀鎖が打ち付けられる。
念動力で精度を増した鎖の先が柔らかい腹部を貫き、そのまま動きを阻害するように絡み付いた。
「逃がさないわよ?」
その場を逃れようとする眼鏡割るマジロの行く手を、可惜夜が追い詰める。
逃げることも眼鏡を狙うこともままならなくなった眼鏡割るマジロが、八つ当たりをするように足元の伊達眼鏡を踏み壊した。
「……さよなら眼鏡、短い間だったが中々いい掛け心地だった」
「せっかくお似合いだったのにね……」
冗談めかし言い合いながらも、二人の包囲網は眼鏡割るマジロの逃走を決して許さないのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
レン・デイドリーム
本当に『眼鏡割るマジロ』だ……
人の命を奪うつもりがないのは良いけれど、感染型である以上放置は出来ない
配下みたいな危険なオブリビオンも発生するだろうし
先程に続いて伊達眼鏡は装備したまま
割られても予備のものをつけていくよ
でも割られた時のダメージが怖いから【オーラ防御】はしっかりと
相手は速く動き回れるみたいだし、惹き付けるなら僕自身が囮になるしかないか
向こうが眼鏡を割りに来たら、まずは【衝撃波・呪詛】で迎撃しよう
【学習力】で相手の動きも覚えていくよ
相手に隙が生じたらすかさずUCを
動きさえ止めてしまえば眼鏡は割れないよね
そうしたら再び【衝撃波・呪詛】で攻撃だ
……っていうか他人のもの壊しちゃ駄目だからね
「本当に『眼鏡割るマジロ』だ……」
他の猟兵たちとの戦いぶりを見て、レンは納得したように頷いた。
その挙動を見る限りでは、本当に眼鏡以外に危害を加える気はないらしい。
「人の命を奪うつもりがないのは良いけれど、感染型である以上放置は出来ない」
一見平和そうに見える敵だが、このまま見逃せばきっとまた大量の配下を生み出してしまうのだろう。
伊達眼鏡をくいっと上げ、レンは囮として眼鏡割るマジロの前へ躍り出た。
『――♪』
新たな標的が見つかったとばかりに、眼鏡割るマジロがレンへと接近する。
眼鏡に触れられる前に、レンは呪詛混じりの衝撃波で敵を迎え撃った。
「悪いけど、この眼鏡は割らせないよ」
仰向けにひっくり返った眼鏡割るマジロが、やっとのことで起き上がり再びレンへ向き合う。
しかし時既に遅し。
「シュエ、頼むよ」
レンと共生するUDC『シュエ』が半透明の触手を伸ばし、眼鏡割るマジロに迫っていた。
不意を突かれた眼鏡割るマジロが抵抗する間もなく、触手の枷はその四肢を絡め取ってしまったのだった。
「こうしてしまえば眼鏡は割れないよね」
動きを封じた眼鏡割るマジロめがけ、再び衝撃波を一閃。
「……っていうか他人のもの壊しちゃ駄目だからね」
『――!』
無防備な胴体をエネルギーの塊が襲い、まともに食らった眼鏡割るマジロが悲鳴のような声を上げる。
その悲鳴に込められた感情は――痛みへの恐怖か、はたまた眼鏡を割れなかったことへの後悔か。
大成功
🔵🔵🔵
黒木・摩那
ついに捕まえました、眼鏡割るマジロ。
成敗です。
しかし、眼鏡を割ろうとする執念はすごいですね。
これは油断していると、反撃で眼鏡を壊されてしまいそうです。
ここは反撃を抑えつつ、退治する手段を考えないといけません。
相手の動きに付いていくために、こちらも高速対応していきます。
拳で勝負します。
防御は【第六感】やスマートグラスのセンサー【情報収集】で対応しつつ、
UC【月光幻影】でテレポートして、相手の背後を採ったり、回避します。
キメはサイキックグローブで【衝撃波】付のパンチをお見舞いしましょう。
眼鏡には触らせませんよ。
「しかし、眼鏡を割ろうとする執念はすごいですね」
他の猟兵と眼鏡割るマジロの戦いぶりを見ながら、摩那は思案を巡らせる。
敵は眼鏡を壊すことに全神経を集中させている模様。
油断していては、反撃で眼鏡を壊されてしまうだろう。
「ならば、こちらも本気を出すまでです」
全身にサイキックパワーを漲らせ、強く地を蹴る。
その場から姿が消えた次の瞬間、摩那は眼鏡割るマジロの至近まで瞬間移動していた。
『――♪』
眼鏡を視界に捉え、眼鏡割るマジロは条件反射のように摩那の顔面へ手を伸ばす。
しかし、その動きを読んでいたかのように、摩那は瞬時に姿を消した。
「眼鏡には触らせませんよ」
敵の背後をとり、軽いジャブで牽制。
振り向きざまに眼鏡へ手を伸ばす眼鏡割るマジロの動きをスマートグラスのセンサーで捉え、摩那は姿勢を低く落とした。
『――!?』
眼鏡割るマジロの振りかぶった手が宙を切り、そこに一瞬の隙が生まれる。
そのたった一瞬の隙が、摩那にとって大きなチャンスであった。
「この期に及んで眼鏡しか狙わない、眼鏡の敵……」
サイキックグローブにエネルギーを籠め、拳を強く強く握りしめる。
手首を締め付けるウロボロスの腕輪の痛みも気にせず、ただその一発に意識を集中させて。
「成敗です!」
無防備な胴体めがけ、まっすぐに拳を叩き込む。
衝撃波が眼鏡割るマジロを捉え、茨のアーチまでその身体を吹き飛ばした。
眼鏡を守る、その強い気持ちを籠めた一撃は、眼鏡割るマジロに確かなダメージを与えたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
中村・裕美
連携アドリブOK
コンタクトの上に買わせてもらった伊達メガネで
「……やっぱりかけてる方が……落ち着く」
「……眼鏡を割ることが本能と言うのなら……生まれてきた事自体が罪。……その身を以て……贖いなさい」
SPDの攻撃は眼鏡を割るたびに攻撃を見破りやすくなるようなので、相手の行動パターンを戦いながら【見切り】、相手の進路方向や、攻撃を受けて吹き飛ぶであろう先に【罠使い】【ハッキング】でステルスボムを設置。
「……これは眼鏡の分、これは眼鏡の分、これは眼鏡の分、これは眼鏡の分、これは眼鏡の分……」
そう言って【早業】で連続起爆させて吹き飛ばす。
「……恨むなら……己の性(サガ)を……恨みなさい」
伊達眼鏡のレンズ越しに、裕美は眼鏡割るマジロを見た。
「……やっぱりかけてる方が……落ち着く」
裕美にとって、眼鏡はただの視力矯正具ではない。
理不尽なこの世界から心を守るための『防具』なのだ。
「……そんな眼鏡を、割ろうとするなんて……」
許せない。許せない。
邪気なく眼鏡を割ろうとするその仕草が、許せない。
だから。
「……眼鏡を割ることが本能と言うのなら……生まれてきた事自体が罪」
怒りを爆発させるように、裕美は見えない爆弾の起爆装置を作動させた。
「……その身を以て……贖いなさい」
『――!』
爆光に目が眩んだように、眼鏡割るマジロがよたよたと脚をもつれさせる。
光を避けるようにしゃがんだかと思えば、四つ足で裕美のほうへと駆ける。
『――♪』
「きゃっ!?」
獣の動きで眼鏡を狙う一撃を、裕美は咄嗟に避けようとする。
だが、一歩だけ遅かった。
眼鏡割るマジロの爪が器用に眼鏡だけを捉え、レンズに蜘蛛の巣状のひびが走る。
「……っぐ……この……」
ひびで真っ白になった片目を押さえ、裕美は眼鏡割るマジロを睨み付けた。
大切なものを犠牲にしてしまったけれど――これで、敵の行動パターンは見切った。
「……再設置……完了」
虚空に合図を送れば、眼鏡割るマジロの至近で見えない爆弾が爆ぜる。
吹き飛ぶ敵に追い討ちをかけるように、更に爆弾が起動。
「……これは眼鏡の分、これは眼鏡の分、これは眼鏡の分、これは眼鏡の分、これは眼鏡の分……」
眼鏡割るマジロの吹き飛ぶ着地点で、次々と爆弾が起爆する。
上手い具合に逃げたかと思えば、逃げ道にも爆弾がある。
「……恨むなら……己の性(サガ)を……恨みなさい」
割られた眼鏡の仇を討つように、裕美は持てる全ての力で攻撃し続けたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
黒河内・柊夜
眼鏡とはすなわちファッション、そして健康器具……
ハハハハハ!!日常に受け入れられしその輝きを自らの欲望のみで破壊するとは許せぬ所業よな!!
我が魂の同胞ヒイラギの眼鏡を囮にするぞ
放り投げれば敵の気は引ける筈、奴が割ろうとした所をサイキネで眼鏡を遠く天へと飛ばして視線を釣る。
フッ、そしてこちらの眼鏡はひとつでは無い。あやつ何本予備を持てば気が済むのだ
複数の眼鏡をバラバラに跳ねるよう動かしてやるぞ!ハハハ、どれを壊すか惑うがよい!
その隙に剣で攻撃を叩き込むが、アルマジロとは硬そうであるな
甲羅は避けるか、肉との隙間を狙うしかあるまい
……幾つか新たな伊達眼鏡を買っておいてやらねばな
「眼鏡とはすなわちファッション、そして健康器具……」
ヒイラギの眼鏡を(またしても勝手に)掛け、柊夜は呟く。
ファッションであり視力矯正具であり、ときにアイデンティティですらある。
普段は眼鏡をかけない柊夜も、その価値は十分に理解していた。
「ハハハハハ!! 日常に受け入れられしその輝きを自らの欲望のみで破壊するとは許せぬ所業よな!!」
高らかに声を挙げ、柊夜は掛けていた眼鏡を外し放り投げた。
『――!』
まるでそれが本能であるように、眼鏡割るマジロは眼鏡を捕まえようと駆け寄る。
だが、手が届く一瞬前に、眼鏡は天高く飛んでいたのだ。
「フハハ! これぞ堕天使の……えーと、アレである!」
若干語彙が怪しくなりながらも、サイコキネシスの精度は問題なし。
眼鏡割るマジロを惑わすように、柊夜は届きそうで届かない位置に眼鏡を浮かせてみせた。
「そうまでして欲するのか? ならばくれてやろう!」
さらに手持ちの伊達眼鏡を投げ、全てバラバラに動かし眼鏡割るマジロを誘惑。
柊夜の思惑通り、眼鏡割るマジロはたくさんの眼鏡に目移りするようにきょろきょろとし始めた。
『――♪』
どれにしようかな、と迷うように、眼鏡割るマジロは視線を眼鏡に向ける。
その隙をつき、柊夜は剣を片手に駆け寄った。
「我が退魔の祈り、受けるがよい!」
だが眼鏡割るマジロは咄嗟に背を向け、固い背中で刀身を受け止める。
その背中越しに、眼鏡を割る音がパリンと響いた。
「ぐっ……だが、本能には抗えぬのだろう?」
まだ無事なメガネにサイキックエナジーを集中させ、自らの目の前へ集めた。
その軌道を追うように、眼鏡割るマジロは柊夜の側へ柔らかい腹を向けた。
「その本能が、命取りだ」
姿勢を低くし、柊夜は眼鏡割るマジロめがけ突撃する。
その剣先が敵の腹を捉えた瞬間――柊夜の頭上で、眼鏡が割れる音がした。
「……幾つか新たな伊達眼鏡を買っておいてやらねばな」
呟き、次の一撃を繰り出すべく姿勢を整えるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
土斬・戎兵衛
くうっ……、商品は守れたが自前の眼鏡はやられたか
眼鏡が割れたので敵の動きを細部まで見きれなかったり、薔薇の棘に触れてしまったりで苦戦
大きく隙を晒してしまいピンチに陥るーーというところでUC発動
そもそも俺ちゃんの眼は作り物だから、視力くらい自由に上げられる
見えない見えないやってたのは【演技】だったのだ
トドメをさせると油断した敵の攻撃を【視力】で【見切り】、カウンター
反省して眼鏡派に改宗しようと思っても遅い
狙うは相手の眼、眼球を断ち切り視力矯正さえ無意味な無明の世界に誘おう
せめてあの世で眼鏡の良さが分かるように、死体には販売用に持ってきた伊達眼鏡を一つかけさせて、死に顔を飾ってあげようかな?
「くうっ……」
お江戸眼鏡のレンズを押さえ、戎兵衛はふらふらとよろめいた。
売り物の眼鏡は守れたが、自前の眼鏡は片方のレンズが割られてしまった。
いかな凄腕の侍といえど、利き目が使えなければ本領発揮もままならず。
「参ったなぁ、片目じゃまともに戦えないや」
この隙にもう片方のレンズも割ろうと、眼鏡割るマジロが素早く近接する。
ギリギリのところで避けた戎兵衛だが、その背後には茨のアーチ。
「この野郎……!」
薔薇の棘が服に引っ掛かり、大きな隙となる。
逃げ遅れた戎兵衛へ追い討ちをかけるように、眼鏡割るマジロが迫っていた。
鋭い爪が、レンズを狙おうとした瞬間――。
「……なんてね」
素早く爪を回避し、すれ違いざまに湾刀で一閃。
不意を突かれた眼鏡割るマジロが、刀傷を押さえながら後退した。
「そもそも俺ちゃんの眼は作り物だから、視力くらい自由に上げられるんだよね」
戎兵衛の眼は、殺刃人形としての機能をどこまでも追求した特別製の眼球。
人並外れた超視力を瞬時に得ることなど造作もないのだ。
「さて……反省して眼鏡派に改宗しようと思っても遅い」
刀を上段に構え、狙うは相手の眼球。
「無明の世界に誘おう」
横薙ぎの一閃が、眼鏡割るマジロの目元を襲う。
眼球の位置を正確に狙った剣先は、さらにその先――頭蓋すらも切り裂き、眼鏡割るマジロの息の根を止めたのだった。
「……なんで眼鏡を割ろうとしたんだろうな、こいつは」
きっとそれは問いかけても答えの出ない、彼の本能だったのだろう。
UDCとは、得てしてそんな訳の分からないものなのだ。
「せめてあの世で眼鏡の良さを分かってくれよ……っと」
斬り捨てた目元に、眼鏡をひとつ供える。
遺骸はやがて骸の海へと還り、元の姿へ戻った公園にはひとつの伊達眼鏡だけが残ったのだった。
大成功
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