5
常世の駅に気をつけて

#UDCアース

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#UDCアース


0




 ……ねぇ、しってる? 『とこよ駅』の噂。
 電車に乗っていると、知らない間に、見覚えのない駅についてるの。
 眩しい夕焼けが遠くから指していて、すごく綺麗なところなんだって。
 すごく懐かしい気分になって、つい降りたくなるらしいよ。
 でもね、ぜったいに降りちゃだめなの。
 もしも、降りちゃったら──。

 駅から、出られなくなるんだって。



「なぁお前ら、都市伝説に興味はあるか?」
 集められた猟兵達に、拘束具に身を包んだ少年──ユートピア・ディス──彼はそう問いかけた。
「まぁどっちでもいいか。今日も今日とて仕事だよ、し・ご・と。UDCアースで起こってる失踪事件の調査をしてほしーんだわ」
 言いながら、ユートピアは自分の影を伸ばして猟兵達に資料を配っていく。
 資料はとある地方都市、そこの駅のものだった。車両や線路の写真、駅構内の様子、時刻表などが添付されている。
「その地方都市には最近こんな噂が流行ってる。『電車に乗っていると、いつの間にか知らない駅に着いている。もしもその駅に降りてしまったら最後、二度と戻ってこられなくなる』……ハハ。よくある都市伝説、だがそうじゃねー。なにせグリモア猟兵(ボク)が予知したんだ、だったら、そういうことだろ?」
 過去より現在を喰らうもの、オブリビオン。かの世界では「UDC」と称される存在、或いはその信奉者の仕業。
 猟兵たちが資料を捲っていけば、これまで失踪したとされる人物の顔写真がまとめられたページがあった。キャリアウーマン風の女性や、高校生くらいの金髪の男子、その他にも顔に深く皺の刻まれた老婆、小学生くらいの女の子……さまざまである。
「失踪事件が起き始めたのは噂が広まり始めた頃とほぼ同時期だ。老若男女、見境なしだ。住民どもは好き勝手噂してやがるな。『神隠し』だのなんだの、それこそ、さっき言った『駅』の話もそうだ」
 人というものはそういう生き物だ。だからこそ、噂は流布され、それに惹かれるものが現れ、そうして『都市伝説』となっていく。
 ただの地方都市に起きたその『異常』は、急速に、そして着実に、街を暗澹たる空気で満たしていっただろう。
「端的に言うとよ」
 ユートピアはその場にいる猟兵全員を見渡す。
「お前らには、件の駅に囚われている一般人の奴らを、誘拐されている街の住民を、救出してほしいわけ」
 『噂』を調査し、『駅』に赴き、『民間人』を救出する。
 ユートピアが猟兵たちに掲示した依頼は、そういった内容のものだった。
「もちろん相手としちゃあそんなことされたくねーだろうから? そりゃ敵の一人や二人はいるだろーが、お前らなら大丈夫だ。なにせ猟兵だからな。追いすがってくる過去なんざ、蹴散らしちまえばそれでいい」
 ハハハ、と哄笑をあげて、ユートピアは猟兵たちを送り出した。

「──あぁ、そうだ」
 ふいに、彼は思い出したように言葉を続ける。
「駅の名前は『とこよ駅』だ。覚えとけよ?」


ヒガキ ミョウリ
 駅のシナリオです。
 電車に乗っている時ってよく眠れますよね。そうでもない?
 ですが、眠っているうちに、変なところに迷い込んでしまわないようにお気をつけて。

 今回のシナリオはすこしクトゥルフ感が強いかもしれません。
 ですが内容としては、『あるはずのない駅』の噂を調べ、そこに向かい、人々を救出するといったシンプルなものだと思います。

 みなさんのPCが噂に対してどのように挑むのか楽しみにしております。
 よろしければ、ご参加お願い致します。
51




第1章 冒険 『異界駅への誘い』

POW   :    噂になっている路線の電車に直接乗り込み異界駅に行くまで粘る

SPD   :    噂になっている路線上の駅や車両等を調査し怪しいところが無いか探る

WIZ   :    インターネットで更に詳しい情報を集めたり、電車の利用客や駅員に聞き込みを行う

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

白神・杏華
【WIZ】使用

こ、怖いなぁ……けど失踪した人たちはもっと怖いよね。早く助けてあげないと。
とはいえ、ネット上の情報じゃ限界があるだろうから、実際の駅の近くの人に話を聞きに行くよ。
その時に、行方不明になった人たちの親族や知り合いがいたら優先してそっちの話を聞くよ。
あとこういう噂って、駅に行っちゃった人からの通信があったりする事もあるよね。行方不明者の知り合いの人たちに、失踪する直前にその人たちから何か連絡はなかったか、とかを確認するよ。失踪の詳細な時間とか乗っていた区画がわかるかも。

「行方不明の人は私……がこの情報を共有したみんなが必ず助けてくれますから、あと少しだけ待っててください!」



(こ、怖いなぁ……けど失踪した人たちはもっと怖いよね。早く助けてあげないと。)
 背筋にはしる薄ら寒い空気を弾き飛ばすように、しっかりと背を伸ばしながら白神・杏華(普通の女子高生・f02115)はそう思う。
 話をきくことが得意な杏華はまず、駅の近くの人達をあたることにしたのだった。

 駅の近くを歩いてみれば、ところどころに捜索願いのポスターが貼ってあるのが見えた。一枚や二枚どころではなく、もっと多い数の。
 杏華には彼らの顔に見覚えがあった。行方不明者のリスト、そこに記載されていたからだ。名前、年齢、身長、いずれも出発前に見たものと間違いはない。
 眼の前で進行している事態に、ぞわりと再び心が揺らぐ。
 街を支配している、昏く淀んだ空気に囚われそうになる。
(ッ……。だめ、怖がってなんかいられない……!)
 ふるふると頭を振って、気持ちを入れ替える。
 自分よりも恐ろしい目に合っている人たちのために、歩みを進めていく。

 そうしていると、1人の人物を見かけた。
 今まさに電柱にポスターを貼り終えた様子の、杏華と同じくらいの年齢の女子高校生だ。女子高校生は小さなため息をついて、次の電柱へと行こうとしている。
(もしかして、行方不明になった人の友だちかも)
 そう思った杏華は一言、女子高校生に声をかけた。同じくらいの年齢ということもあってか、杏華が『行方不明になった人たちを探す助けになりたい』といった旨を伝えれば、女子高校生は快く話をしてくれた。

「いなくなったのは一緒に遊びに行った帰り。あの子が電車に乗ったのを見送って、それから。次の日学校に行ったら、先生から『行方不明になった』ってことを伝えられたの」
 少し俯きながら、女子高校生は言う。
「そうなんだ……。その子を見送ったのって、何時頃かな?」
「……たぶん、18頃だったと思う。あんまり遅くなると叱られるから、って言ってたから」
 杏華は女子高校生の言ったことをスマートフォンのメモ帳に打ち込み、話を続ける。
「その後にその子から何か連絡はあった? なんでもいいんだ。どんな些細なことでも」
「連絡……。ぁ、たしか、電話が来たと思う」
「電話?」
「そう。見送ってからしばらく立ってたから、10分後くらいかな。確かにあの子からの電話だったけど、変だったの。電波が悪かったのかな、何を言ってるかわからなくて。そうしてたら、切れちゃった。……やっぱり、あの子、『とこよ駅』に行っちゃったのかな……」
「18時10分ごろに電話……、そっか。教えてくれてありがとう。大丈夫、行方不明の人は必ず助けるから、あと少しだけ待ってて!」
 そうして杏華は女子高校生と別れ、他の猟兵達に情報を共有した。
 

成功 🔵​🔵​🔴​

サリー・オーガスティン
あるはずの無い駅、かぁ…
まぁ電車は、ジェイク(宇宙バイク)みたく、好き勝手な場所に行くわけには、いかないから、ね。

先ずは駅と電車を調べておきたいな。
駅で路線図を[学習力]と[情報収集]でキッチリと頭に叩き込んでおく

出来れば、聞き込みをする仲間と行動を供にし、車庫の電車に怪しいところがないかどうか、とか、線路に怪しい引き込み線とか、車庫とかがないかどうか【ゴッドスピードライド】で線路沿いに吹っ飛ばして、[学習力・第六感・追跡・騎乗・情報収集]駆使して、調査するよ。


上月・衒之丞
「ふぅむ。人の噂はなんとやらと云いなんし。
煙のない所に、とも云いささんすが。
ほんに、噂というんは怖いものでありんすよ。」

【SPD】で調査。
この為りだが、元々は忍者の端くれ。
「昔取った杵柄と申しいす、手を貸しいしょ」

基本は車両の調査。
何かしら、『とこよ駅』とこちらを繋ぐ縁があるはずだ。
それと、降りてはいけないという噂があるという以上、辿りついたが降りなかった者がいるはず。
逆説でいえば、オブリビオンは引き下ろしたかったはずだ。
そういう痕跡があるのではないか、調べるたいのはその2点。
目撃者情報とかは他のものが調べているはずだ。
「さぁて、探し物はありなんす。虱潰しに探しいしょ」



「あるはずの無い駅、かぁ。まぁ、電車はジェイクみたく好き勝手な場所に行くわけにはいかないから、ね」
 ヘルメットを被り、自らの愛車──ジェイク──のハンドルを握りながらサリー・オーガスティン(鉄馬の半身・f02199)は呟く。
 いつもであれば自分しか乗らない愛車ではあるが、変形した状態のそれには1人の同乗者がいた。
「さぁて、探し物はありなんす。虱潰しに探しいしょ」
 吹く風に髪をなびかせながら口ずさむのは上月・衒之丞(泡沫の遊女・f11255)だ。その容貌や立ち居振る舞いは完全に女性のそれであり、彼が男だと初見で認識するのは難しいだろう。

 彼らはまず、噂になっている駅の線路と車両を調査するべく、線路沿いを疾走していた。
「おや、あれは?」
 その途中、サリーは視界に気になるものを見つけバイクを停める。線路の途中、利用客たちからは見えないであろう死角の場所に、小さな建造物があったのだ。
「なんざんす?」
 サリーの漏らした言葉を聞いて、衒之丞もそちらへと視線を移す。
「あら、なんであんなところに」
 そこにあったのは、1体の地蔵が祀られた祠だった。
「……もしかして、あれが『縁』でありんすか、ね」
「何かあるかもしれない。行ってみよう」
「ええ。昔取った杵柄と申しいす。手を貸しましょ」
 どんな姿形でも違和感を与えないと言えど、白昼堂々線路に侵入すればまず面倒なことになる。だがそれはあくまでも、『堂々と侵入すれば』だ。
 昔取った杵柄──衒之丞はかつて暗殺稼業で生計を立てていた身だ。それゆえに気配を消す技法は心得ている。それほどまでの技術を持っていれば、誰にも気づかれずに線路に侵入するなど造作もなかった。



 地蔵へと近づけば、それはなんてことはない。平々凡々としたもの。
「これは何だい? 石像、のようだけれど」
 サリーが思案しながら零す。
「地蔵、でありんすな。『子どもの守り神』だと信じられている神様の像でござりんす。『結界の守護神』ともされて、町外れだとか辻だとかに置かれるものでありんすが、どうしてこんなところに……」
「何かあったのかな。子どもに関係する何かが。誤って線路の中に落ちてしまったとか、踏切に飛び出してきて轢かれてしまったとか」
 そして、2人は祠の中をよく見る。
 現代日本では、さらに地方都市ともなれば大して珍しくもないただの地蔵。おかしなものは何もない──そのはずだが。
「! ねぇ、上月さん。こういうものって、普通に供えられているものなのかな?」
 先に見つけたのはサリーだった。
「そうねぇ、少し、不自然でありんすな」
 それはひどく朽ちた捜索願だった。詳細な情報は劣化が激しく読み取ることができない。わかることと言えば、事件が起こったのが十数年前であること、失踪したのが小学生の女の子であること、そして、その女の子が夕方ごろに家を出たまま帰ってこなかったということ程度だ。
 捜索願はもはや女の子の顔もわからないほどに劣化しているものの、その名前だけはまるで目印のように、或いは、象徴のようになによりもしっかりと記されている。

 『ゆかり』。
 それが、かつて捜索されていた少女の名前だ。

「これは……他の皆に伝えたほうがいいね。今回の事件に関係がないわけではなさそうだ」
「そうでありんすね。それじゃあ、次は車両の方を調べたいでありんす。手伝っておくんなんし?」
「あぁ、構わないよ。──けれど、どうしてこれほど劣化したものが、あそこに置いてあったんだろう。もしかして親族が……? 願掛けにしたって、もう少し新しいものを置くんじゃ……?」
「ふぅむ。人の噂はなんとやらと云いなんし。煙のない所に、とも云いささんすが。ほんに、噂というんは怖いものでありんすよ」
 再び気配を消し、その場から離れていく。
 その後、2人は車両を調べたが、特にめぼしいものはなかった。
 だが、線路の途中で見つけた『捜索願のポスター』は大きな収穫となっただろう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ルイーネ・フェアドラク
【L】
アカリと共にインターネットを利用して[情報収集]を
パソコンの扱いは慣れていますよ
こういった作業でしたら、わりと得意なんです

…長丁場になるかもしれませんね
図書館か、喫茶店か、居座れそうな場所で
持参したラップトップをインターネットに繋いで、
オカルト掲示板で該当するネタがないか探してみます

世の中、こういった話がお好きな方が多いですねえ
ガセも多いですが…
干し草の中から針を探すよりはマシだと信じたいですね

アカリ、そちらの収穫はいかがですか?
少し気になるネタがあるので、見ていただきたいんですが

誰も、こんな終わり方では寂しすぎる
連れ戻してあげたいと、思います


皐月・灯
【L】


懐かしくて降りたくなる駅、か。
……はっ、どういう仕掛けか知らねーが、オレにゃ効かねー類だな。
そんな場所、とっくの昔に燃えカスだ。

いいから仕事すんぜ、雇い主サマ。

スマホから、インターネットで検索だ。
噂話は話す場が無きゃ広まらねー。
オカルト掲示板……ってヤツか? そこに絞って調べるぜ。

暇なヤツばっかで呆れるが、こういうときゃ役に立つってな。

「あるはずのない駅」「神隠し」「街の名前」「噂になってる路線」。
この辺のキーワードで、信憑性の高そうな情報を絞り込む。

見せろ。
……ふうん。こっちでリストアップしとく。後でオレのネタと照合だ。

――暴いてやるよ。どうすりゃ『駅』に行けんのかをな。



 ──同時刻、都市某所のインターネットカフェの一部屋にて。
「世の中、こういった話がお好きな方が多いですねえ。ガセも多いですが……。干し草の中から針を探すよりはマシだと信じたいですね」
 錆びた赤毛を揺らし、薄い微笑を浮かべルイーネ・フェアドラク(糺の獣・f01038)は呟く。UDC機関に所属している彼にとって、情報収集作業は得意なものだった。
「いいから仕事すんぜ、雇い主サマ」
 ソファーに身を預ける少年は皐月・灯(灯牙煌々・f00069)。此度の事件を解決するにあたってベルイーネに雇われた、電子の海より躑躅の掟を手繰るもの。

 ベルイーネは持参したノートパソコンをインターネットに繋いで、灯は所持するスマートフォンを使用して真偽入り交じる情報の中から、件の『駅』に連なるものを探し始める。
 『あるはずのない駅』『神隠し』『×町』『××線』……。
 そういったキーワードを検索バーに打ち込み、2人は画面に目をはしらせる。
 ベルイーネはオカルト掲示板に断片的に残されている数多掲載されている情報をピックアップし、丁寧にまとめていく。

 ・『とこよ駅』は18時頃、逢魔が時に繋がるらしい。
 ・『ここではないどこかへ行きたい』といった願望を持っている人ほど強く引かれやすい。
 ・『とこよ駅』に着くとひどく懐かしい気分になって降りて行きたくなる。しかし、降りてしまったら二度と戻ってくることはできない。もしも降りてしまったら最後、駅に囚われてしまう。
 ・『とこよ駅』はこの地方都市でしか噂になっていない。
 ・『とこよ駅』はゆかりちゃんの祟り。××線の途中にあった慰霊の地蔵が、改修工事で移動されたからこんなことが起こってる。
 ・ゆかりちゃんはこの世界に戻ってこようとしてる。だけど死んだままじゃ戻ってこられないから、生きている人と成り代わろうとしてる。

 いずれも根も葉もない噂話だ。だが。
「『ゆかりちゃん』……」
 それは数分前にあった連絡で聞いた名前だった。やはりこの事件に関係しているとみて間違いないだろう。
「アカリ、そちらの収穫はいかがですか? 少し気になるネタがあるので、見ていただきたいんですが」
「見せろ。……ふうん、『ゆかりちゃん』ね。やっぱりか。オレの方でも気になるモンを見つけた」
 言って、灯はスマートフォンの画面をベルイーネに見せる。
 そこには『【未解決事件】×県小1女児失踪事件』と題された記事。それは1980年代にこの町で起こったものだった。曰く、その年の夏に『長瀬ゆかり』という少女が『電車で遊びに行く』といって家を出て、そのまま帰らなかった。警察や地域住民が探し回ったが結局見つからず、やがて月日が流れ時効。線路に慰霊の地蔵が建てられていたが、数ヶ月前に移動されたらしい。
 コメント欄には現在起こっている行方不明事件との関わりがあるのではないか、といったものが多く、ベルイーネの得た情報と一致していた。

「……なるほど。この時行方不明になった『新島ゆかり』。彼女がオブリビオンになっている可能性は高そうですね」
「そうだな。たしか、ボロボロになった捜索願が地蔵に供えられてたんだっけか。 となるともうひとり、関わってるやつがいるんだろうな。アンタが見つけた情報は、後でオレのネタと照合する」
「えぇ。よろしくおねがいします」
 今も駅に囚われてしまっているであろう被害者達を想ってベルイーネは零した。
 そうして2人は調査を続けていく。『駅』へゆくための手段を暴き、囚われてしまった者たちを救い出すために。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ウイシア・ジンジャーエール
本当は今すぐ電車に飛び乗りたい!
けど、まずは情報収集から。

オラトリオの羽と花は隠し、パンツスーツに眼鏡(に見える変装用仮面)。
たしか行方不明の中に小学生くらいの女の子が居たわね。

●WIZ対抗
ユーベルコード【協力者の召喚】で警察官を召喚。
警察官に駅員と対話するよう指示。自身は範囲内で待機しています。
「少女の最終目撃が、この沿線に乗り込んだ所でした。何か覚えていませんか?」
いきなり噂話を出すのは控え、まずは少女個人を探している体で。恐らく覚えていないでしょうが、そこから話を膨らませ「最近、神隠しだの噂話が蔓延して困っていますよ。そちらも大変でしょう」と雑談から何か聞き出せないか試みます。



『……間もなく×番線に電車が参ります。黄色い線の内側までお下がりください』
 閑散とした駅構内に無機質なアナウンスの声が響く。
 この町の駅にいる人物はそこまで多くはない。観光地というわけでもなければ、何か目を引くものがあるというわけではない。
 強いて言うのであれば、多発している連続失踪事件。だが、それに惹かれてやってきたものも、いずれ興味が失せて帰っていく。
 噂とは、事件とは、等しくそういうものだ。時が流れるうちに廃れ、綻び、やがて記憶の墓場に埋葬されていく。過ぎ去った事実として存在するそれらを、現在を生きる人々が想起することはほとんどないのだ。

 ウイシア・ジンジャーエール(探索者・f09322)はパンツスーツに眼鏡というスタイルで構内のベンチに腰掛けていた。種族が持つ特徴の羽根と花冠は隠され、一見すれば仕事帰りのOLのように見えるだろう。
 本当は今すぐ電車に飛び乗りたい! そんなはやる気持ちを抑えながら、耳に掛けたイヤフォンから聞こえてくる会話に耳を澄ませる。
 自らが召喚した警察官(ヘルプ)の懐に忍ばせた通話状態のスマートフォンは、周囲の静けさも相まってか明瞭に声を拾った。それは、ある駅員との会話だった。

「お仕事中すみません。私は××署の××と申します。最近起こっている失踪事件の調査を起こっていまして、ご協力して頂けますでしょうか?」
「あぁ、お疲れ様です。構いませんよ」
「ありがとうございます。それで、お聞きしたいことなのですが──」
 ウイシアが召喚した警察官は、淡々と駅員に話を聞いていく。
「少女の最終目撃が、この沿線に乗り込んだ所でした。何か覚えていませんか?」
「うーん……そうですねぇ。すみません、ちょっと覚えていないです。日に何人も利用客がいますからね、一人を覚えているというのはどうにも……」
「やはり、そうですよね。いえ、ご協力ありがとうございます。最近、神隠しだの噂話が蔓延して困っていますよ。そちらも大変でしょう」
「えぇ、そうなんですよ。例の事件のせいで乗客が減っていましてねぇ……。『18時ごろに電車に乗ると行方不明になる』だなんて噂話もあるみたいで、おかげでその時間の電車はがらがらですよ」
 はぁ、とため息をついて駅員は言う。
「なにはともあれ、はやくどうにかして頂きたいですね。いえ、警察の方がいろいろしてくださってるのは分かっているんですが、どうにも、ねぇ?」
「ははは、勿論です。一日も早く解決できるよう尽力致しますので、ご協力、ありがとうございました」

 そこまで聞いて、ウイシアはイヤフォンを外す。
 その時。
 『どろり』と、どこから纏わりつくような粘性の視線を感じて、ウイシアは周囲を見渡す。
(……何?)
 けれども、大しておかしなものは見当たらない。いるものといえば、売店の店員、歩いていく利用客、駅員、駅員、駅員。
 ──そう、駅員。
 見ているのだ。じっ、と。
 見つめているのだ。じろり、と。
 いつの間にいたのか、改札口の向こう側。そこにいた一人の駅員が、すべての色彩を失ったような澱んだ瞳で、出来損ないの人形のような歪んだ笑みを浮かべて、ウイシア・ジンジャーエールのことを見つめていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

四季乃・瑠璃
【ダブル】で常に分身。本体:瑠璃、分身:緋瑪

瑠璃がスマホからインターネットで「とこよ駅」へ辿り着く条件(噂で何時の電車とか~駅を過ぎた辺りとか)や噂の中心について集中して情報収集。
緋瑪がその間、同じくらいの学生や駅員中心に噂全般について聞き込みを実施(男性で情報を渋る相手には【誘惑】も使用)
瑠璃もスマホでの収集を終えたら緋瑪と合流し、二人掛かりで情報を収集。
得た情報を精査して、条件が揃う様にして電車に乗り、駅に向かう

「こういう噂って、やっぱり学生か実際の駅員さんが詳しそうだよね、瑠璃」
「「とこよ駅」かぁ…。聞いた事ないけど、地元特有の噂なのかな…」



「こういう噂って、やっぱり学生か実際の駅員さんが詳しそうだよね、瑠璃」
「『とこよ駅』かぁ…。聞いた事ないけど、地元特有の噂なのかな…」
 時刻は16時ごろ、すこしずつ夕闇に溶けていく街の中で一人の、否、二人の少女は呟く。
 四季乃・瑠璃(瑠璃色の殺人姫・f09675)。数多の人格を持つ彼女は、自らのユーベルコードの1つであるオルタナティヴ・ダブルによって顕現させた『もうひとりの自分』緋瑪とともに情報収集を始めていた。

 まず、瑠璃が手を付けたのはインターネットからだった。所持するスマートフォンで『とこよ駅』に辿り着く条件や、噂の中心に検索をかけていく。
 曰く、『とこよ駅』は18時~19時までの間に行くことができる。辿り着きたいのであればこの都市の駅の電車に乗るだけでいい。
 曰く、『とこよ駅』は「ここではないどこかへ行きたい」と望んでいる人物ほど強く誘い込む。つまるところ、『とこよ駅』に行きたいのであれば、望むだけでいいのだ。
 曰く、『とこよ駅』の噂は××線の改修工事が終わったあたりから流布されている。改修工事以前はそういった噂は一切なかった。
「ふーん。望むだけでいい、なるほどね……」
 頬杖をついて画面を見つめながら瑠璃はひとりごちる。
 ならば、自分たちはきっと──。
 瑠璃は駅で待つ緋瑪の元へとあるき出した。

 一方その頃、緋瑪は件の駅にて聞き込みを行っていた。
「ねぇねぇキミ! わたし、『とこよ駅』について知りたいんだけど、何か知ってることってない? あったら教えて欲しいかも☆」
 そんな調子で何人かに聞き込みをしていく。途中で話を渋った男子高校生を誘惑した以外は、概ね良好に情報を聞き出すことができた。
『えーっとぉ、なんかぁ、18時くらい? が一番行きやすいんだってぇ』
『友だちの友だちから聞いたんだけどね、行きたいって思うだけで行けちゃうらしいの。だから、こわいよね……』
『っへへ、これは誰にも内緒なんスけどね? な~んか改修工事のあとから広まり始めたらしいんスよ~。噂じゃ、駅員がなんかしてるんじゃないかって!』
『え? うーん、他の町じゃ聞かないなぁ。たぶん、この町だけだと思うよ、この噂』
 噂好きな子どもはどこにでもいる。そんな彼らは根も葉もない噂を面白がって、或いは畏れをなして広めていく。だからこそ、情報を得ることは容易だった。

「ありがとー! じゃあねっ!☆」
「……緋瑪、おまたせ」
 軽く礼を言って緋瑪がその場を去ろうとした時、ちょうど瑠璃が合流する。
 彼女たちはお互いに集めた噂を照らし合わせ、推理し、思考し、やがて二人で顔を合わせて頷いた。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『ゆかりちゃん』

POW   :    「ただいま」「おかあさん、おとうさん」
戦闘用の、自身と同じ強さの【母親の様な物体 】と【父親の様な物体】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
SPD   :    「どうしてそんなへんなかおでわたしをみるの?」
【炎上し始める捜索願いからの飛び火 】が命中した対象を燃やす。放たれた【無慈悲な】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
WIZ   :    「ひどいよ、ひどいよ、ひどいよ」
【嗚咽を零した後、劈く様な叫声 】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 時刻は18時。常世の駅へと連なる切符を得た猟兵たちは、囚われた人々を救うために車両へと乗り込んだ。
『行きたいと望むだけでいい』。
 誰かの頭の中で、その言葉が反響する。
『けれど、降りたら二度と戻れなくなる』。
 或いは、そんな噂に背筋を震わせたものもいたかもしれない。
 電車の中は駅構内と同じように人は少なかった。ひどくがらりとしており、この街へと訪れた猟兵以外の乗客はいないのではないか──そう思わせてしまうほどに。

 がたん、ごとん。電車が揺れる。
 がたん、ごとん。光が揺れる。
 窓に映る景色は過ぎ去っていき、まばたきをすればそれは軌跡となった。
 空に輝く明かりは徐々に夕刻の暗がりと混じり、奇妙な色彩を現していた。
 時刻は大禍時。彼方の国と此方の国が混じり、濁り、そしてぼやける彼岸の時。

『──次は、とこよ駅。とこよ駅』
 不意に響くアナウンスが、猟兵たちの意識を貫く。
 電車は停止し、扉が開く。
 そこに広がっていたのは、先程までの世界とは打って変わったまばゆい夕日の世界だった。眩しい限りの夕日に照らされた、寂れた駅のホーム。
 昔日という言葉を表すとするならば、まさしくこの景色なのだ。そう錯覚してしまうような奇妙な懐かしさを覚えるかもしれない。

 猟兵たちは確信する。
 自分たちは、件の辿り着いたのだと。
 猟兵たちは理解する。
 自分たちは、異界に足を踏み入れたのだと。
 電車に乗り合わせた全員がホームへと降りた時だった。

「ねぇ」
 あどけない子どもの声が聞こえた。
「ねぇ」
 眼の前に、一人人の少女の姿があった。
「ねぇ」
「ねぇ」
「ねぇ」
「ねぇ」
「ねぇ」
「ねぇ」
 瞬きをすれば次々と増えていく。ランドセルを背負い、汚れた服をまとい、破れた通学帽を被って、その顔を、『捜索願のポスター』で覆われた少女。
「ねぇねぇ」
「ねぇねぇねぇ」
「ねぇねぇねぇねぇ」
「ねぇねぇねぇねぇねぇ」
「ねぇねぇねぇねぇねぇねぇ」
 蛙の合唱のように喧しく、けたたましく、煩わしく、猟兵たちの眼の前に現れた異形の少女達は囁きかける。それは徐々に大きさを増し、頂点に達しようとしたその時。
「からだ、ちょうだい」
 すべての少女がただ一言、全く同時に呟いた刹那──。
 悪意の波が、猟兵達へと殺到する。
ウイシア・ジンジャーエール
集団で現れた少女達に本能的な恐怖を感じる。
オラトリオの羽と花を顕現させ、飛びのくように上空に逃げます。
大幅に距離を取り、武器を握りながら戦場を確認します。

「探索したいの、邪魔しないで!」
不可解な体験をする為に来たのに、いきなり戦闘なんて不躾ね。
さっさと蹴散らしてしまいたい…!

[空中戦]で[全力魔法]の【白木蓮の舞】。
アイテム【花の盾(ビームシールド】で防ぎながら[第六感]で回避。
[呪詛耐性][オーラ防御]、万が一は[激痛耐性]で耐える。

空中戦を活かして、ヒット&アウェイ戦法。

【花の盾】で防御しつつ[第六感]で攻撃の隙を探す。
[早業]で[カウンター]を繰り出し【白木蓮の舞】で攻撃を繰り返す。



「ッ……!」
 突如として集団で出現した異形の少女たちに本能的な忌避感を覚える。自らの存在、その核となるものを蝕まれるような底知れぬ違和。
 このままこうしているのは危険だ。ウイシア・ジンジャーエールは咄嗟に上空へと距離を取った。
 オラトリオとしての翼と花冠が顕現し、周囲に風と花びらが舞う。状況が状況でなければさぞかし幻想的に映えたことだろう。
「どうして?」
 数多の少女たちのうちの一人が囁く。
「どうして? どうして? どうして? どうして?」
 それを皮切りに、幾人かの少女が空へと駆けた彼女へと顔を向ける。
 感じるのは邪悪な視線。帯びるのは怨嗟の熱気。
「どうして、そんなへんなかおでわたしをみるの?」
 同時、少女の顔面に張り付けられた捜索願が発火する。徐々に炎は勢いを増し、そこから上空のウイシアに向けて、都合11つの飛び火の弾丸が襲いかかる。
「探索したいの、邪魔しないで!」
 咄嗟に左手にはめた手袋から障壁を展開する。【花の盾】と銘打たれたそれは、蓮のように幾重にも展開され、無慈悲なる火炎を防いだ。
 だが、彼女たちの攻撃はそれだけでは終わらない。捜索願は炎上し続け、そこからより多量の焔が放たれる。まさしく『飛ぶ鳥を落とす』、その如く。
「くっ……さっさと蹴散らしてしまいたい……!」
 煩わしさを覚えながら自らを追いかける弾丸を回避していく。弾丸を見ずとも直感的に理解できる。どこから来るのか、どう狙われているのか。途中でさばききれないものは花の障壁を展開する。
 そうしていれば焔の弾丸の猛攻が一瞬の停止を見せる。オブリビオンとてエネルギーは無尽蔵ではないだろう。子供の駄々のように激しく能力を使い続けていれば、少しばかりのクールタイムが起こっても仕方がない。
 無論、その隙を見過ごす猟兵ではなく。
「『散って』」
 その言葉こそ、彼女の操る力の起動を示す言霊。
 刹那、ウイシアの手にする樹木のような杖が白木蓮の花びらとなって怪異の少女たちへと向かう。
 様相はまるで竜巻。刃よりも鋭い花びらたちは確かに怪異たちを切り裂いていく。燃え上がる炎すらも飲み込むそれは──『白木蓮の舞』。
 先ほどよりかは怪異たちの数は減ったが、それでも依然として悪意の波は衰えない。ウイシアは小さくため息をついて、ほかの仲間の元へと向かった。

成功 🔵​🔵​🔴​

上月・衒之丞
……ふぅむ。思うたより詰まらんモノでありんすな。
こん童は拐われなんしか、或いは殺されなんしか。
どちらでも変わりありんせん。
可哀想とは思えど。手を抜く理由にもなりんせん。

伸ばした鋼線を自在に操り、駅の構造物を介して罠を張ろう。仲間には近づかないように予め言っておく。
押し寄せて糸に掛かる度に、四肢を、そして首を落としていく。
撃ち漏らしが居たら単分子ワイヤーを伸ばして首を刎ねよう。
近づかれ過ぎたら糸で絡め取って匕首で仕留める。

相手が人型であるなら、殺しに躊躇は不要。
「忍びに感情は必要ありんせん。無明弦月流・文月……一思いに散りなんせ」



「……ふぅむ、思うたよりも詰まらんモノでありんすな」
 駅へと降り立った上月衒之丞は周囲の様子を一瞥してそう吐いた。
 怪異の少女たちは体を求め、ほかの猟兵たちはそれに応戦している。
(こん童は拐われなんしか、それとも殺されなんしか。どちらでも変わりありんせんね)
 まるで指揮をするかのように空中に指を揺らしながらそう思う。
「可哀想とは思えど、手を抜く理由にはなりんせん」
 その時きらり、と。
 衒之丞を中心にして光が奔った。それに気付いた猟兵は何人いただろうか。怪異の少女たちは気付いていない様子で、そのまま身体を求めて衒之丞へと歩み寄っていく。
 無数の少女、対して衒之丞は一人。周囲にほかの猟兵はおらず、その赤い瞳は不敵に少女を見つめている。
 やがて、少女達が衒之丞に触れようとした、瞬間。
「おあいにくさま。あちきの体は、あげられるものではござりんせん」
 淑やかな声色だった。だが、それだけで十分だった。
 ぼとり、と。
 少女たちの指が、腕が、足が、首が、地に落ちた。
 牡丹の花のように次々とひとつ、またひとつ。
 肢体をばらばらにされた少女たちは、その存在を保てなくなったかのように霧散していく。
 それは先ほど仕込んだ鋼線による罠。衒之丞は仲間たちには予め近付かないようにと言っておいたのだ。だから、彼の周りには仲間がいなかった。鋼糸という広範囲を対象にできる武器を扱う以上、そちらのほうが都合がよかったのだ。
「ひどいよ、ひどい、ひどい、ひどいよ」
 少女たちは嘆く。
 劈くような絶叫をあげんとする、だが──。
「主は既に、あちきの手の中にありんすよ」
 彼がくいと指を上げれば、悲鳴をあげる前に少女たちの首が落ちた。
 もはやこの場は冷たき糸の処刑場。首が刎ねられ、身体が解ける。
 衒之丞の内に躊躇はなく、いつしか瞳には冷たい輝きが宿っていた。
「忍びに感情は必要ありんせん。無明弦月流・文月……ひと思いに散りなんせ」
 牡丹は次々落ちていく。容易く、静かに、残酷に。

大成功 🔵​🔵​🔵​

サリー・オーガスティン
一瞬、この少女達が行方不明者か?と思い、ひやっ、とするも、すぐ操作願いのポスターのことを思い出して、気を取り直す。
(そもそも、もっと行方不明者の年齢の幅は広いわ、男女の見境も無いわ)

ちょっと広範囲に武器を発動させて、活路を開くしか無いか。

【ヴァリアブル・ウェポン】に[2回攻撃、援護射撃、一斉発射、スナイパー、なぎ払い、零距離射撃、誘導弾、だまし討ち]と使える技能全部のせで、広くダメージを与えておきたい。

あわよくば倒したいけど、各個撃破は、仲間にお願いする格好になります。
(宇宙バイクは電車に持ち込めなかったので、その力を振るえないし…)



 目の前にうごめく無数の少女たちに、サリー・オーガスティンは一瞬ではあるが動揺した。
(この子たちが、行方不明になった……?)
 だが、すぐにかぶりを振って気を取り直す。そもそも行方不明者は少女だけではない。老若男女、様々な人物が被害にあっているのだ。
 ほかの仲間たちによって、幾らかその総数は減ってはいるものの、それでも彼女らが自分たちの邪魔となっていることに変わりはない。
(ジェイクを持ち込めなかったのは悲しいけど、でも、だったらこれを使おうかな)
 サリーは懐からアンティークな外見の小ぶりな銃を取り出す。竜騎兵のマスケット銃を模したそれは【Dragoon Musket】と名付けられた熱線銃だ。
「ちょっと広範囲に武器を発動させて、活路を開くしかないか」
 そう零して、少女たちへと銃口を向け、トリガーを引く。
 一閃。放たれた超高熱の光線は幾人かの少女、その頭を貫いた。それによって彼女たちは黒い霧となって消失していく。
 サリーはそのまま二度三度とトリガーを引く。時には接敵し、時には背後から、時には味方を援護しながら、自らの持てる技能をすべて用いて、より多く、より的確に目の前の怪異たちを弱らせるために。
 光線が奔り、残っている少女達には確実にダメージが入っていた。
 あと数撃与えれば倒せる。サリーはそれを直感した。
「みんな! もう少しで全部倒せそうだ!」
 少女たちから放たれる怪火を掻い潜りながら、ほかの仲間へと告げる。
 サリー・オーガスティン。彼の動きによって、確かに少女たちの群れは弱っていた。

 ──夕闇まで、もうまもなく。

成功 🔵​🔵​🔴​

四季乃・瑠璃
瑠璃「成程ね…黒幕かどうかは判らないけど、ゆかりちゃんが現世に還る体が欲しくて起こした感じかな…?」
緋瑪「この数…ゆかりちゃんだけじゃないかも…。他の人知れず死んだ人達…?だとしても、体はあげられないけどね」
瑠璃「なんにせよ完全に眠らせてあげる。これ以上苦しまない様に…。それが、私達にできる唯一の救いだから」

【ダブル】で分身。連携して戦闘。
【範囲攻撃】【2回攻撃】の接触式ジェノサイドボム(以下ボム)で二人がかりで爆弾の雨を降らせるように殲滅。召喚は本体ごと接触式ボムで爆砕。飛び火はボムで迎撃し、【クイックドロウ】K100で額を撃ち抜く。叫声は爆風で吹き飛ばすか、K100で喉を撃ち抜いて潰すよ。



「なるほどね……黒幕かどうかはわからないけど、ゆかりちゃんが現世に還るための体が欲しくて今回の事件を起こしたって感じかな……?」
「この数……ゆかりちゃんだけじゃないかも……。人知れず死んだほかの人達……? だとしても、体はあげられないけどね」
 怪異の少女たちを目前にして、四季乃瑠璃・緋瑪は呟く。
 二人は背中合わせになりながら、近付く少女たちを見据えている。
「なんにせよ、完全に眠らせてあげる。これ以上苦しまないように……。それが、私たちができる唯一の救いだから」
 死してなお動くものを眠らせるためには、もう一度殺すしかない。
 瑠璃のその言葉を合図に、二人は魔力を練り上げ爆弾を具現化する。
 【ジェノサイド・ボム】。接触式、時限式、感知式……多くの種類と仕様を持つことができる殺戮の爆弾だ。いま具現したのは接触式。触れることにより爆発が起こる、集団戦にはうってつけのものだろう。
「いくよ、瑠璃!」
「うん、緋瑪……!」
 二人の少女は怪異たちへと駆ける。
 対して、怪異たちは口を開く。それは悪しき霊を呼び起こす呪詛。猟兵達の言霊を飲み込むべく、再び悪意が渦巻き始める。
「ただいま、ただいま、ただいま、ただいま」
 悪意が形になる。その姿が顕現する。
「おかあさん、おとうさん」
 怪異の少女たちよりかは一回り大きい。父親のような、母親のような『ナニカ』が、自らを焼殺せんと向かってくる猟兵に向けて放たれる──!
「邪魔ぁっ!」
「どいて……っ!」
 しかし、甘い。瑠璃と緋瑪はその隙間を縫って怪異へと肉薄し、その爆弾を接触させる。
 轟ッ!!
 爆音に次いで業火が溢れる。怪異たちが放っていた怪火よりも、絶叫よりも激しく、この駅を満たしていく。それはまるで邪気を払う浄化の炎のように怪異たち、そして召喚された『ナニカ』を焼き払っていった。
 
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

クー・フロスト
▼寡黙の死神

ネクロクラフトに呪詛を込める
傀儡の躯共を呼び出し死兵がカチカチと進める

歩兵は冒険者の弓で先制攻撃を仕掛け
騎兵は駆け少女を串刺しにする

ソウルイータ
スザーン
招来。…雪を降らせる

背後に不気味なシルエットが浮ぶ
黒いフードを被った骸骨が2つの大鎌を寄越す

闇の鼓動が響き
狂った笑い声もするが
その程度の事とクーは不気味な現象を斬り伏せる

▼救ってやらなければな

少女よ、還れなくなったのか?

死神は語りかける

父に会いたいか?母に会いたいか?
悲しいか?辛いか?

ならばこのクー・フロストが
――お前達を救ってやろう

過去に囚われている少女を救ってやらなければ
刈り取らねば
死神は決意を固め
雪の大魔術を発動しUC通り戦う


ガルムゼノン・フェンリル
【心境】
『行きたいと望むだけでいい。けれど、降りたら二度と戻れなくなる』か。
放置するわけにもいかないし、私も一つ、微力ながらお手伝いさせてもらおうか。

【第六感】を頼りに対象を【追跡】→攻撃対象を確認次第【クイックドロウ】と【二回攻撃】で攻撃。武器の弾が切れたら格闘戦を仕掛ける方向で。
トドメにユーべルコードを使う感じで行こうと思う。

【セリフ】
・たくさん同じ姿の子がいるが、これがオブリビオンなのか…
・小さい子を攻撃するのは気が引けるが…悪く思わないでくれ
・悪意の波に飲まれる気はないよ。退いてもらおう
・私に本気を出させたな…!?
・消し炭にしてやる!!(持っているアサルトライフルで掃討。)



「たくさん同じ姿の子どもがいるが、これがすべてオブリビオンなのか……」
 目の前に広がる怪異の少女たちの姿を見て、暗い青の毛皮を持つ人狼──ガルムゼノン・フェンリル(砕月の咆哮・f01970)は呟いた。
 その隣には滑らかな藍色の髪をし、和装に身を包んだ少女──クー・フロスト(《甦生氷姫》武人たる者、常に鍛えよ・f08503)が立つ。
「過去に囚われている少女たち、か。救ってやらねばなるまい」
 死神を称する彼女は、怪異たちへと憐憫の情を抱く。
「小さい子を攻撃するのは気が引けるが……悪く思わないでくれ」
 装備しているアサルトライフルを構えながら、ガルムゼノンも零す。自らも子持ちという境遇上、思うところもあるのだろう。
 『憐み』。しかしそれは怪異たちにとっては格好の餌食だったのだろう。顔に貼り付けた捜索願を炎上させ、二人へと襲い掛かる。



「……ソウルイーター、スザーン」
 クーがその名前を呼べば、彼女の背後に不気味なシルエットが現れた。襤褸切れのようなローブを纏った骸骨。
 死神。それを形容するならばその言葉が最もふさわしいだろう。彼らは二振りの大鎌をクーに渡し、狂ったような哄笑を上げながら消えていく。
「少女よ、還れなくなったのか?」
 問いかける声に返答はなく、ただただ無意味な怨嗟が響く。
「辛いか? 寂しいか?」
 ああそうだ。だから、わたしの代わりになれ。そう言わんばかりに、怪異たち貼り付けられた捜索願を発火させる。
「ならば、このクー・フロストが、お前達を救ってやろう」
 死は救済。死こそが救済。
 復活した過去の亡霊を救うのならば、最早、その命を終わらせるしかない──。
「踊る、踊るよ、雪の精霊! 雪よ! 雪よ降れ! 降り注げ魔力の雪!」
 それは零度の奇跡を起こすための詠唱。冷たき力を具現する祝詞。
 対して、怪異たちは怪火を集束させる。どうして、どうして、どうしてと囁きあう呪詛は、まもなく極大の炎砲となって解放されようとしていた。
「……天候大魔術──フロストシュネーヴァイス!!」
「どうして、そんなかおでわたしたちをみるの」
 同時、業火が発射され、ものが砕ける音とともに煙が立ち上る。
 やがて煙が晴れた時、そこにクーの姿はなく。
「私は死神だ。お前たちを救う。ゆえに」
 彼女は怪異たちの背後にいた。
「──行くぞォッ!」
 纏うは死神の力。手繰るは氷結の魔導。
 展開した魔法陣から氷の弾丸を放ち怪異をけん制しながら群れを駆け抜け、両手にもつ鎌で一閃。
 救うためにはそれで充分。少女たちは、溶けるように霧散していく。
 夕日の空からは、雪が降っていた。



「さて、と。お嬢さんのほうはなかなか派手にやってるみたいだね」
 ガルムゼノンは弾倉の空になったアサルトライフルを投げ捨て、手に嵌めたガントレットで怪異たちを打ち倒しながらつぶやく。
 ガルムゼノンは元来、格闘家だ。飛び道具よりも自らの肉体のほうが戦いやすいのいだろう。
 事実、銃で戦っていたよりも遥かに早く怪異たちをなぎ倒していた。
 怪火を放たれるよりも、悲鳴を上げられるよりも、正体不明のナニカを呼び出されるよりも速く。
「あぶない、あぶない、あぶない」
 危機感を覚えたのか、怪異たちは囁き合う。
「どうして、そんなかおで」
「おかあさん、おとうさん」
「ひどい、ひどい、ひどい」
 異なる言葉は重なり合い明確な呪詛となり、ガルムゼノンへと向かう。
 それは即ち、すべての攻撃の同時行使。数多の手段が意味をなさないのならば、数多の手段を一度にぶつければいい。
「残念だけど、悪意の波にのまれる気はないよ。……退いてもらおう」
 腰を落とし、拳を握りしめて力を籠める。
「崩月、蒼牙……爆迅衝ッ!!」
 弾丸のごとき勢いで、ガルムゼノンは怪異たちへと突っ込んだ。超高速にして大威力で放たれた拳は、ただの拳であれど甚大なエネルギーを持つ。
 それこそ、膨大な衝撃を起こし、蒼き狼の闘気を帯びる程に。
 ……結果として、勝ったのはガルムゼノンだった。彼の拳は群がる怪異たちをまとめて吹き飛ばし、打ち倒したのだ。



 そうしてすべての怪異の少女たちは撃破された。
 怨念と嫉妬により肉体を得ようとしていた過去の亡霊たちは、ふたたび永い眠りについたのだ。
 だが、依然として行方不明になった民間人たちは見つかっていない。
 気付けば、空の様子は夜へとなっていた。

 ──さて、夕日が沈めば闇がやってくる。さらなる悪意と対面する時がきたのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『膨らむ頭の人間』

POW   :    異形なる影の降臨
自身が戦闘で瀕死になると【おぞましい輪郭の影】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
SPD   :    慈悲深き邪神の御使い
いま戦っている対象に有効な【邪神の落とし子】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ   :    侵食する狂気の炎
対象の攻撃を軽減する【邪なる炎をまとった異形】に変身しつつ、【教典から放つ炎】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 斯くして懐旧の夕焼けは沈み、世界を澱んだ闇が覆う。
 その駅に昔日の想いはとうになく、悲しき少女達の残響も存在しない。
 肌を撫でるような粘り気のある冷たさを持つ風が吹く。
 くらやみの向こうから、コンクリートを踏む音が近付いてくる。
「まさか、ここまでされてしまうとは」
 猟兵達の中には見たことがあるものがいるかもしれない。そこに現れたのは、一人の男性駅員だった。
 虚ろな瞳を携えた、ここではないどこかを見据えるような不安定な表情。まとう空気は不浄、帯びる気配は異常。最早思考するまでもなく理解できる。
 この男は、狂っている。
「あなた達が何者かは知りませんし興味もありませんが、これ以上邪魔をさせるわけにはいきません。それに、ちょうどもう少しだったんですよ。もう少しで、常世の国をつくりだせる」
 男は懐から古びた手帳を取り出すと、そのうちのとあるページを開き、読み上げる。

「縺?≠縲?縺?≠縲?縺壹☆縺ヲ縺?k縺帙?縺舌↓? 鄒、繧後↑縺吶b縺ョ縺溘■縺ョ螂ウ荳サ莠コ繧茨シ」
 それは形容しがたき外界の言の葉。在り得ざる別次元の祈願。
「繧ー繝ォ?昴Ζ縲√ぜ繧ケ繝?ぅ繝ォ繧サ繝?繧ー繝具シ√??繧、繧ッ繝ウ縲√ぜ繧ケ繝?ぅ繝ォ繧サ繝?繧ー繝具シ」
 歪なる音が空気を震わせる、大気を穢し邪気を集わせる。
「繧、繧「縲?繧、繧「縲?繧コ繧ケ繝?ぅ繝ォ繧サ繝?繧ー繝具シ 縺薙%縺ォ蠕。霄ォ縺ョ蜉帙r?」
 それは瘴気となって駅員へとまとわりつき、
「──あぁ、大いなる常世神よ。私の体はあなたのために」
 ぼこり、と。
 その身を異形へと変形させた。
 醜く膨れた頭部に、焦点の合わない瞳。唇は下卑た笑みを浮かべ、そこに理性の存在は微塵も感じられない。肌は汚らわしく青褪め、体躯も一回りほど肥大し、纏っていた服は悪意を持つ触手となった。
 そして、つい数分前まで相手をしていた迷える少女たちを遥かに凌駕する悪意と、害意と、殺意が猟兵たちに押し寄せる。

 それでは諸君、常夜の疫に気をつけて。
ウイシア・ジンジャーエール
何体か邪神に会ってきたけれど、あなたは初めて。
嬉しい。嬉しい。あなたは一体、何を思って顕現しているのか教えてほしい。
知識欲から自然とアドレナリンと共に[オーラ防御][全力魔法][呪詛耐性][激痛耐性]が零れだす。

●WIZ対抗
「散って。アドラムス!」
【天罰(アドラムス】で攻撃。
武器を向けるだけで攻撃対象を固定出来、高い命中力を持つUC。
[空中戦]のまま距離を取り武器を振るって仕掛けます。

炎の軌道を[視力]で捉え、[第六感]で回避し[逃げ足]で距離を取る。
一か所に留まらずヒット&アウェイの要領で狙われにくくします。
逸らしきれない炎は【花の盾(ビームシールド】で防ぎ[早業]で[カウンター]。


上月・衒之丞
主が黒幕でありんすか。
随分と……詰まらんモノを作りなんしな?
無念に果てた童らへのせめてもの手向け。儚く散りなんせ。

貼った陣は解除して、梁に糸を仕込んでおく。
それを隠しながら、手持ちの糸で相手を拘束していく。
如月と文月を絡め、四肢を絡めとりながら少しずつ削っていこう。
「無明弦月流、如月。その力、封じいす」

オブリビオンの行動の理由には興味ありんせん。
ただ……子供は世界の宝でありんす。
それは許されるものではありんせんなぁ。

他者のサポートを続けながら、地道に削り続けよう。
頃合いを見て天井の糸で睦月を放ち、背を向けたまま死角から頭を縫い上げてやろう。
「主はもう、終いでありんす。無明弦月流……睦月」


四季乃・瑠璃
切り札、シスターズを起動して緋瑪が憑依して行動。

御使いは下手に動かれる前に【範囲攻撃】【2回攻撃】【鎧砕き】接触式ジェノサイドボム(以下ボム)で爆砕。
狂気の炎は敵の炎をボムで迎撃しつつ、二人掛かりのボムで押し込んで爆破。怯んだ隙に【クイックドロウ】【2回攻撃】K100で教典を狙い撃ちして破壊し、敵の頭部や脚を攻撃して動きを封じる。

敵を追い込んで行った後、最後の切り札、インフィニティ・ブレイカーを瑠璃と緋瑪の二人で発動。
この駅、空間ごと全てまとめて粉砕してあげるよ!

緋瑪「大方、邪神の生贄でも集めるのに利用してた感じかな?」
瑠璃「残念だけど、貴方はもう終わり…悲劇も噂もお終いにしてあげるよ」



 異形なる神へとその身を明け渡した愚かなる男の前に、まず立ちはだかったのは3人の猟兵だった。
 探索者、泡沫の遊女、瑠璃色の殺人姫。
 彼女らは相対する。純粋なる狂気の集合へと。
 ここに命の取り合いの幕は開けられ、未来を喰らうものと過去を殺すものの戦いが始まった。



「何体か邪神にはあってきたけれど、あなたは初めて」
 自らの内側にあふれる知識欲と喜びを体感しながら、ウイシアは呟く。
 眼の前の彼が何を想って顕現しているのか? 何のためのこの事件を引き起こしたのか? それが知りたい、知りたい、知りたくて堪らない。
 その欲望は脳を活性させ、彼女の身に薄い気迫の膜を張り巡らせる。
 中空に浮いたままの彼女は、膨らんだ男を見据え、己の武器である呪杖を握る。
「主が黒幕でありんすか」
 対して、衒之丞はこれまでと変わらぬ調子で淑やかに、そして艶やかに零す。
「随分と……詰まらんモノを作りなんしな? 無念に果てた童らへのせめてもの手向け。儚く散りなんせ」
 しかしそこに温かみはなく、孕むのは冷徹なる殺意。詰まらん、詰まらん、詰まらん。先の童も、眼の前の彼も、あぁ、なんて、詰まらない。なればこそ、最期は儚く散るが良い。命を手折るものはその指先をゆっくりと動かす。
「大方、邪神の生贄を集めるために利用してた感じかな?」
「残念だけど、あなたはもう終わり。悲劇も噂もお終いにしてあげるよ」
 赤と青の少女たちは毅然と邪悪へと向かう。
 その側には一体の絡繰人形──【憑依型自立人形・シスターズ】──。それは彼女たちの数多ある人格の1つを宿すことで、本体である瑠璃同様の行動を可能とする人形武装だ。
「辣ゥ繧上@縺埼」シ譁吶←繧ゅh 遘√′雋ェ繧阪≧」
 迎えるのはヒトの身を喰らい擬似的に顕現した邪神が一柱。その身は完全ではないにせよ、その力が強大であることに代わりはない。
 奴らにとってヒトの肉など、魂など餌食に過ぎぬのだ。
 目前にある3つの肉塊を喰らうべく、膨れた頭の異形は禍々しき緑焔を纏った。手にした手帳さえも燃え上がり、そこから六脚虫の如き火炎が3人に放たれる!

「知ってる。同じように、さっきも避けたから」
 ウイシアは先程怪異の少女たちからの怪火を避けた要領で回避していく。持ち前の視力と第六感は彼女の逃げるべき先を指し示し、邪神からの焔は彼女の横をすり抜けていく。
「あたりんせん。野暮な術はようざんす」
 対して地上の衒之丞はゆらりゆらりと、焔をすんでのところで避けている。その様は幻か陽炎か、中空にきらりと小さな光を灯し、妖狐は焔を掻い潜る。
「あぁ、もう! この炎邪魔! 瑠璃!」
「うん。わかってる…!!」
 同じように炎を回避していた瑠璃とシスターズに憑依していた緋瑪は途中でしびれを切らしたように、先程つくったものと同じ殺戮の爆弾を形成する。
 そして、二人で一人の殺人姫は駆ける。避けるだけでは倒せない、いつまでも炎をちまちまと飛ばされているのは気に食わない。
 蝿の集団のような業火を爆破し、蛾のような焔を吹き飛ばし、そうして発生源である邪神へと肉薄する。
「この距離なら、絶対に外さないでしょ!」
「いくよ……!」
 咄嗟に懐へと接近された邪神は怯み、反応が遅れた。
「これが神も魔も滅ぼす、私/わたし達の切り札…インフィニティ・ブレイカー!!」
 それこそが大きな勝負の分け目。瑠璃と緋瑪から放たれたのは都合100本の集束魔力砲撃。それは1つに連なり、巨大な槍のごとく土煙をあげて邪神を飲み込んでいく。
「■■■■■■■■■■■■■■■ーーー!!!」
 邪神が咆哮をあげ土煙を吹き飛ばす。それは憤怒か、それとも憎悪か。言語は分からずともその意思が紛れもなく己の体を傷付けた瑠璃と緋瑪へ向いているのは確実だった。
 そして、それによって『隙』が発生したというのも。
「ふたりとも!」
「今のうちに……お願いっ!」

「詠月さん……!」
「えぇ、手助けしなんす」
 二人が視線を交わし、指先に力を込める。
「主の行動の理由には興味ありんせん。ただ……子供は世界の宝でありんす。その行いは、許されるものではありんせんなぁ」 
 目を細め、呪詛を撒く邪神を見つめ言う。再び指揮者のように虚空を手繰れば、今度は天井へと光がたどっていく。
「さぁ、教えて。あなたの理由を」
 ウイシアは【真実の木】を先を邪神へと向ける。杖が鮮やかなオーラをまとい、その周囲の空気が浄化されていく。
「消えて。天罰(アドラムス)!」
「主はもう、終いでありんす。無明弦月流……睦月」
 同時に発生した光の柱と糸の処刑は、邪神に大きな傷を与えるのには十分すぎるほどだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

皐月・灯
【L】

オレ達をとことんまで帰さねーつもりらしいな。
「手強い? 何言ってんだ、ルイーネ」
……ガキどもよりあの風船アタマの方が、よっぽど殴りやすいじゃねーか。

なあ、風船野郎。
もしもてめーが黒幕だってんならよ。
……もう帰れねーガキどもの「それでも帰りたい」って想いを利用するのは、どんな気分だ?

教えてくれよ。
オレの拳にどれだけ魔力を籠めれば、てめーのしたことへの報いになんのかをよ。


《猛ル一角》だ。
【見切り】からの【カウンター】で、ヤツの初撃に合わせ、オレの渾身の一発をブチ込んでやる。

……終わったら、行方不明者を見つけ出して連れ帰るぞ。
こいつらには、本来いるべき場所があるからな。

……誰かとは、違って。


ルイーネ・フェアドラク
【L】
日が落ちれば捜索も困難になります
とはいえ、どうやら自由に探させる気は、ないようですね
新手ですよ、アカリ
先ほどの子どもたちより手強そうですが、準備は?

相対する異形に対しても余裕は崩さぬまま
幼い子どもを相手にするよりは、気が楽ですよ
さて、あれが黒幕というところでしょう
どうやら既に、狂気に犯されていたようです
あれはもう、救いようがない

アカリの戦闘支援を主に
触手を自在に操り、時には生きた盾ともしましょう

質問をします
――行方不明者たちは、どこですか

答えずとも予測の範囲内
あなたがこの事件の首謀者だというなら、
――ここを突破して、目的を果たさせていただきます



 だが、邪神は倒れ伏していない。
 光の消え去ったそこから、昏く昏く、腐敗した視線が鎌首をもたげる。

「やはり、自由に探させる気はないようですね。新手ですよ、アカリ。先程の子どもたちより手強そうですが、準備は?」
 突き刺すような絶望を受けながらも、涼やかな顔で傍らにいる少年に語りかけるのはルイーネ・フェアドラク。
「手強い? 何言ってんだ、ルイーネ」
 語りかけられた皐月灯は吐き捨てるように答える。
「……さっきのガキどもよりも、あの風船アタマの方がよっぽど殴りやすいじゃねーか」
「そうですね。幼い子どもを相手にするよりかは、気が楽です。あれはもう、救いようがない。……さて、来ますよ」
 ルイーネが灯にそう声をかけた、次の瞬間。
「陜輔a縲∵?縺梧?蟄舌h」
 空気を貫いて呪詛が形をなす。それは無数の毒虫。蜂、虻、蝿、蚊……等々。それらは群がり、蠢き、列をなし、やがて一本の黒き剣へと変貌した。それこそが、かの慈悲深き邪神の落とし子。常夜の国へと導く橋渡し。
 それでは、第二ラウンドと洒落込もう。



「なあ、風船野郎。……もう帰れねーガキどもの『それでも帰りたい』って想いを利用するのは、どんな気分だ?」
 距離を詰めてくる黒き蟲の剣を携えた膨れ頭に向けて、灯は言う。
 自分よりも幼く、もうどこにもいけない子どもたちの魂の願いを踏みにじった諸悪の根源は目の前にいる。腹の底で静かに沸騰する感情がある。こいつをこのままにしてはおけない。だから。
「教えてくれよ。オレの拳にどれだけ魔力を籠めれば、てめーのしたことへの報いになんのかをよ」
 膨れ頭との距離が縮まる。
 灯は動かない。瞳に激情の色を浮かべ、相手を見据えたまま。
「譛ス縺。繧」
 怜悧な宣告。ブゥン! と膨れ頭の剣が振るわれる。
 が、それは灯の体を切り裂かない。
 当然だ。なぜなら灯はその攻撃を『見切って』いたのだから。理解していた、読んでいた。激情を抱きながらも激情に呑まれず、冷静にその挙動を分析していた。だからこそ、幻のように膨れ頭の攻撃をいなした。
「ハッ。次はオレの番だな、風船野郎ッ!」
 ニィと嗤い、唇が動く。
「アザレア・プロトコル1番――」
 口ずさむのは電子の法。手繰り寄せる幻釈顕理。
「《猛ル一角(ユニコーン・ドライブ)》!!」
 暗闇に青き光が奔る。闇夜を疾走る流星の如く、貫き駆ける一角獣の如く。その一撃は膨れ頭の腹部を深く刳り、そのまま背後へと吹き飛ばした。叩きつけられたホームの壁が崩れ、ガラガラと音を立てる。
「ルイーネ!」
「相変わらず派手にやりますね。分かっていますよ」
 応じる赤毛の妖狐は余裕を崩さずに、煙の向こうの膨れ頭へと声をかける。
「──行方不明者たちは、どこですか」
 それは質問。共に投げかけるのは蠢く小さな触手の群れ。彼が答えれば触手は消える。だが、答えなければその身は触手により咎められる。
「荳玖ウ、縺ェ?∽ク玖ウ、縺ェ? 蠑√∴繧阪h縲∫復逕滄「ィ諠?′??シ」
 しかし返されたのは回答ではなかった。内容はわからずとも何を言っているかは伝わる。
 侮蔑。汚言。罵詈雑言。
 なれば、その対価は決まっている。
 ──真実には許しを、偽りには断罪を。簡単なルールだ。
「……まぁ、いいでしょう。予測の範囲内です」
 ルイーネは冷たく言い捨てる。
 膨れ頭は触手に苛まれるながら、忌々しげに二人を見つめている。
「いずれにせよ、あなたがこの事件の首謀者だというなら──ここを突破して、目的を果たさせていただきます」
 ばきり、と。膨れ頭の狂信者より、硬いものの折れる音が鳴った。

 ──しかしそれでも、膨れ頭は動く。
 これまでの猟兵達の攻撃によって確実に余力は削っている。間もなく、真の悪は討ち倒されるだろう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ガルムゼノン・フェンリル
【心情】
さて、いよいよ親玉の登場か。乗りかかった船だ、このまま退治までつき合わせてもらうとしようか。

【攻撃】
【気合溜め】をしてから他の猟兵さんが襲われそうな場合はアサルトライフルで【援護射撃】、距離が近くなったら拳銃による【クイックドロウ】を混ぜながら対象に接近、【第六感】と【戦闘知識】を生かしながら拳による【2回攻撃】。場合によっては【カウンター】で相手を翻弄し、ユーベルコードでフィニッシュ!……出来たら良いなぁ

※セリフなど細かいところはステシ参考で。アドリブ大歓迎です!


アレクシア・アークライト
 あいつが目指した常世の国だと、虫はずっと成虫のままなのかしら?
 私達と関係ないところでやってくれるんなら、ちょっと見てみたいかも。

「縺ッ縺倥a縺セ縺励※縲√が繝悶Μ繝薙が繝ウ……と、これで通じるかしら?」
 やっててよかったUDC式。
「旧支配者の眷属さん。今の世界じゃ、どっちが“下賤”で、どっちが“畜生風情”なのかを教えてあげるわ」

・服を焦がさないように遠隔攻撃が基本
・[念動力]で敵の攻撃を妨害、[サイコキネシス]で攻撃
・隙があったら、教典を奪取
・万が一近付いてきたら、逆に距離を詰めて攻撃[グラップル、空中戦、全力の一撃]

「負けを認めるなら、攫った人達をどこにやったのか、教えなさい」



 消え去る間際の焔こそ、苛烈。
 それはたとえ外なる邪神であったとしても同じことであった。
 理解できぬ、理解できぬ、理解できぬ。目前の異生物どもは何故こうも抗う。邪魔だ、邪魔だ、邪魔だ。あぁ、なんと煩わしい──!!
「縺オ縺悶¢繧九↑繧遺?ヲ窶ヲ蜉」遲峨か??シ」
 憎悪に満ちる咆哮を高くあげれば、この世界を形作る何かが軋む音が起きた。無形のだった夜の闇が、言葉なくそこに有るだけのものだった影が盛り上がり、脈打ち、そして1つのおぞましき巨大な像が形成されていく。
「谿コ縺」
 聳え立つは六脚虫の邪霊。群れなすものの女主人を意味する虚像。それは幻影にあって幻影に非ず。高き力を持ち、目前の猟兵達の命を掠めるために呼び出された悪意の化身。そう即ち──『異形なる影の降臨』。
 間もなく穢れた焔は消えようとしている。だが、ただで消えるほど甘くはないのだ。
 最期に現れたるは異星の神の影。常夜を終わらせんとするならば、これを倒すほかにはない。
「さて、いよいよ親玉の登場か。乗りかかった船だ、このまま退治までつき合わせてもらうとしようか」
 おぞましき影と猛り狂う膨れ頭を視界に収め、ガルムゼノン・フェンリルは拳を握りしめ呟く。
「縺ッ縺倥a縺セ縺励※縲√が繝悶Μ繝薙が繝ウ……と、これで通じるかしら?」
 先程から膨れ頭が零していたものと同じ言語を紡ぐ赤髪の少女はアレクシア・アークライト(UDCエージェント・f11308)。念動力を用いて戦う猟兵だ。
 自分の仲間から敵が繰るものと同じ音を聞いたガルムゼノンは一瞬驚いたような顔でアレクシアを見る。
「あぁ、気にしないで。やっててよかったUDC式、よ」
「UDC式? な、なるほど……」
「さて、旧支配者の眷属さん。今の世界じゃ、どっちが“下賤”で、どっちが“畜生風情”なのかを教えてあげるわ」
 その瞳に慈悲はない。彼女は理解していたのだ。先程まで、膨れ頭が言っていた言葉の内容、そのすべてを。
 最後に対峙するは碧き人狼と念動力を統べる少女。
 そうして、戦いは始まった。



 先ず動いたのはガルムゼノンだった。彼はハンドガンでは火力が足りないと即座に判断、拳撃を撃ち込むべく膨れ頭へと一直線に駆け抜ける。
 だが、それを易々と許す膨れ頭ではない。忌々しげに腕を振るえば、召喚されたおぞましき影の足がホームのコンクリートを刳る。喰らえば大きなダメージは免れないだろう。だが、ガルムゼノンには当たらなかった。
 何故? それは不可視の障壁によって阻まれたからだ。ガルムゼノンを守るように、現れたそれは、影の六脚を弾く。
「させないわ。言ったでしょう? 教えてあげるって」
「助かるよ、アレクシアさん!」
「どういたしまして」
 ガルムゼノンは近距離を、アレクシアは遠距離を。二人の得意とする能力の都合上、彼らの相性は良かった。近付けば見えなくなるもの、遠くなればできなくなることを補うことができるからだ。
 そうしてアレクシアの支援を受けつつ、ガルムゼノンは膨れ頭への接敵を果たし、その鍛え抜かれた拳がまず腹へ、続く二撃目は胸へ。苦しげに息を漏らし膨れ頭がよろめく、その隙に。
「それ、いただくわ」
 アレクシアの念動力によって膨れ頭の持つ手帳が奪われた。これでもう、怪火を飛ばすことはできない。
「負けを認めるなら、攫った人達をどこにやったのか、教えなさい」
 その言葉に対しての膨れ頭の返答は影によるなぎ払いだった。ただ一人の少女へ向けて再び六脚が殺到する、だが──
「させないよ。蒼牙……爆迅衝ッ!!!」
 術者である膨れ男へと叩き込まれた、鋭く激しい狼拳の一撃により、それは叶わない。お前の相手はこちらだと、そう言わんかの如く拳は撃ち込まれる。
「……やっぱり、質問は無意味みたいね。なら、消えなさい」
 同時、アレクシアから何かが発射される。それは先程の障壁と同じく不可視の力の弾丸。超濃度まで圧縮されたそれは、神殺の槍の如く、影を、そして膨れ頭を貫き、その命に幕を引いた。



 こうして、猟兵達の活躍によって『とこよ』の事件は解決となる。
 行方不明だった乗客たちはとこよ駅の駅員室から発見された。彼らは自らが異界の駅から開放されたということを知ると、猟兵たちに感謝を述べた。
 『ここではないどこか』へ行こうと望んだものたち、『家に帰りたい』と願ったものたち、そしてそれを利用したものたち。多くの人々の想いが交差し、連鎖し、怪異は生まれ噂は蔓延る。
 彼方の空は明けつつあり、この暗闇の終焉を告げる。
 さて、此度の事件は猟兵達の記憶にどう色を遺すのか──。
 それは、彼らのみぞしる物語。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月21日


挿絵イラスト