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アースクライシス2019⑳〜ラストダンスをもう一度

作者：蒼汁の人

●ストーリー
　ヒーロー達は必死の捜索により、ハワイ沖海底の海底火山の火口の下に、ドクター・アトランティスの研究区域がある事を探りあてました。
　この研究区域で、ドクター・アトランティスは、『クライング・ジェネシス』のクローンを産み出す為の研究を行っているようです。

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「さっきは時間的にこれが最後のアタックになるわね、と言ったけどなんかワンチャンありそうなのでもう一回出動よー」
　アリス・セカンドカラー（不可思議な腐敗の魔少女・f05202）の声がグリモアベースに響き渡る。
「もう聞いてる人もいると思うけど、ドクター・アトランティスをこのまま放置すれば、研究を完成させて、クライング・ジェネシスのクローンを作成しちゃうみたい。アースクライシス2019終了後、クライング・ジェネシスのクローンを首領とする、新たな勢力を結成すべく暗躍を始めちゃうみたいだから今の内にさくっとヤっちゃいましょ」
　こう、こきゃっとね。と、アリス。
「戦場となる場所は海底火山のマグマの中に造られているドクター・アトランティスの研究区域よ。マグマのエネルギーを研究の為のエネルギー源としてるみたいね。SFっぽい謎機械が大量に設置されていてー、施設の中はきちんと空気がある空間になってるからその辺りの装備を気にする必要はないわ。ま、機械に水は御法度よねー、だったら海中に作るなよとは思うけど、その辺は様式美とかロマンとか色々あるんでしょ」
　そんな見も蓋もないことを言いながらアリスは締めに入る。
「それじゃ行ってらっしゃい。皆ならいい戦果を持ち帰ってくれると信じているわ」
　そうして、アリスは猟兵達を戦場に送り出した。

第1章 ボス戦 『ドクター・アトランティス』

POW   :    アトランティス・ケルプ 【槍から放つ生命エネルギーの奔流】が命中した対象を爆破し、更に互いを【敵の生命力を奪う海藻】で繋ぐ。 SPD   :    アンチイェーガー 自身の身長の2倍の【対猟兵パワードスーツ「アンチイェーガー」】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。 WIZ   :    水没光線 レベル×5本の【超重力】属性の【かつて大陸をも海に沈めた怪光線】を放つ。 イラスト：yuga 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

「お邪魔します、強盗に参りましたぁ」
「さて、最後だから手早く処分するわよぉ」
　夢ヶ枝・るこる（豊饒の使徒・夢・f10980）とアララギ・イチイ（ドラゴニアンの少女・f05751）の宣戦布告が戦闘開始の合図になった。ドクター・アトランティスが生命エネルギーの奔流を放つ。
　それに対しるこるは浮遊する八台の移動砲台で研究用設備の根元を撃ち薙ぎ倒すことで盾にした。
「あなた、無茶するわねぇ」
　倒れる設備と反対方向と跳ぶるこると同じ方向に飛び回避行動をとるアララギが呆れたように言った。

「ドクター
　貴方は戦いの先に何を成しますか？」
『決まっておろう！　我は研究を続けそれを披露するのみよ！』
　シホ・エーデルワイス（捧げるもの・f03442）の問いかけに余りにも利己的な答えを返すドクター・アトランティス。そもそも元がヴィランなのだ、その研究もマッドな方向と思われる。
「私は後回しにしていた手紙のお返事を書いて
　クリスマスプレゼント交換会の企画も考えて
　グリモア猟兵さん達にお礼の手紙を書いて……

　だから……世界は滅ぼさせません！」
『出来もせぬことを喚くな！　貴様たち猟兵はここで我に倒されるのだ！』
　シホの決意にドクター・アトランティスは超重力のかつて大陸をも海に沈めた怪光線で応える。
「光線なら光ですから反射できるはず」
　先程るこるに薙ぎ倒された設備に身を隠し盾にしながらシホは素早く施設内を見回し、何処に設置するのが最適かを試算する。その試算を元に反射属性を付与した氷の鏡を精霊弾で生成し設置する。

「時間は後少し…倒しきれるかどうか分からないけど……
　海賊として手を掠めそうなお宝、惹かれないわけないわね！
　それじゃあお宝(勝利)を得るため、ラストダンス、一緒に踊ってくださる？」
『よかろう。だが、貴様らが踊るのは死の舞踏よ！』
　ヘスティア・イクテュス（SkyFish団船長・f04572）の言葉にそう答えながらドクター・アトランティスはその身を対猟兵パワードスーツ「アンチイェーガー」を身に纏う。
「何度見てもごついスーツだねぇ……羨ましい。
　こちとら生身だよ？　ちょっとは手加減してくれよ？
　例えばほら、そのスーツの弱点教えてくれるとかさぁ」
『弱点なぞない！　そもそも貴様ら猟兵が生身でも我は油断などせぬ！』
　そのアンチイェーガーを見て数宮・多喜（撃走サイキックライダー・f03004）が上げた言葉をドクター・アトランティスは取り合わない。
「え、ない？　そんな無体な事言うなよー」
　暢気な声を上げながらも多喜は必死に逃げ回る。
「ティターニア、フルドライブ！　空なら回避方向はいくらでも……ね！」
　宙を舞うヘスティアが上から、地を駆ける多喜が下から、互いにフォローし合うように注意を惹きながらドクター・アトランティスの猛攻を凌いでいく。
「あー、これはあれか？　後出しでメタ打つっていう……ずるくね？」
　逃げ回りながらドクター・アトランティスの思考をテレパシーで読み弱点を探っていた多喜が一人ごちる。だが、相手がメタを打ってくるならばこちらもメタを打ち返せばいい。
「そうして作り上げたこの対アトランティス用パワードスーツ、「アンチ・アンチイェーガー」！　どうよ！」
『子供の発想ではないか！』
「ガキの喧嘩だぁ？　勝てばいいんだよ勝てば！」
　多喜がカニングクラフトで造り上げたアンチ・アンチイェーガーでドクター・アトランティスを抑えつける。
「パワードスーツ、防御は上がってるんでしょうけど……動きはどうなのかしら？」
　死角に回り込もうとするヘスティア。その動きは平気で短距離転移すら行う猟兵達に対抗するために改良に改良を重ねたセンサーで捉えられていたが、今は多喜のアンチ・アンチイェーガーに抑え込まれているためにドクター・アトランティスは反応出来ない。
「装甲の硬い機械類の相手は慣れてるのよ！」
　ヘスティアが召喚した円盤型ドローンのグレムリンズがビームチャクラムで装甲の隙間を狙う。ドクター・アトランティスとてそのことは想定済でもちろん対策は施されてはいるが、ヘスティアとて防御を無視する手段は持ち合わせている。あたかも矛盾のごとき概念と概念がぶつかり合う。そして、勝ったのは矛――ヘスティアの防御を無視するという概念であった。
　装甲の隙間をヘスティアが切り裂いたことで出来た隙間に多喜のアンチ・アンチイェーガーが手を捩じ込み装甲を引き剥がす。二人の活躍によりドクター・アトランティス自慢の対猟兵パワードスーツ「アンチイェーガー」は既に原型を止めていない。
「一曲捧げましょう」
　そこに、シホが聖銃二丁を構えて楽器を奏でる様な連射を叩きこむ。反射した水没光線はアンチイェーガーに阻まれ大した効果はなかったが、そのアンチイェーガーも今は攻略され原型を止めていない。水没光線の弾幕も薄まった今が攻め時であった。反射した水没光線で残り僅かなアンチイェーガーの装甲を弾き飛ばし、ありったけの弾丸をドクター・アトランティスに浴びせ続ける。
　先制攻撃を凌ぎきったアララギの身が光の波動へと変化する。仮に生命エネルギーの奔流が直撃し爆破されても光の波動には大した痛手にはならない。ましてや、海藻などすり抜けて繋がることも出来ないであろう。光の波動となったアララギの移動速度は文字通りに光速だ、アンチイェーガーが健在であったならともかくガラクタに成り下がったそれではドクター・アトランティスはアララギの動きを捉えきれない。なんなく背後に回り込んだアララギは二刀流のバトルアックスででドクター・アトランティスを薙ぎ払う。
　薙ぎ払われ吹き飛ばされたその先にブラックホールがあった。もう一度言おう、ブラックホールがあった。
『ふざけるなぁ！　これだから、これだから貴様ら猟兵はぁ！』
　それはるこるがユーベルコードで変身した姿であった。指向性＆範囲制御可能な「ブラックホール」となったるこるはドクター・アトランティス以外に影響を与えない。生命エネルギーの奔流敵の生命力を奪う海藻もドクター・アトランティスの全てを呑み込み喰らっていく。大陸を沈める歩度の超重力を操るドクター・アトランティスではあったが、光さえ逃さない事象の地平面に捕らえられてしまえばもはやどうにもならなかった。
　るこるが元の姿に戻った時、既にドクター・アトランティスの姿はなかった。
「ところで「研究成果」を奪って帰れませんかねぇ？　仮に「クローン」が残っても、対応に役立つと思うのですが」
　……いや、あんた設備をひっくり返して盾にしていただろう。無事なデータ残ってるかなぁ？
　ともあれ、ここでまた一つドクター・アトランティスを攻略した。研究成果を持ち帰れたかどうかはまた別の話である。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2019年12月01日