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アースクライシス2019⑳〜ボスクローンを阻止し隊３！

作者：葉桜

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　これで何度目か。
　骸の海に沈んでいた『ドクター・アトランティス』は、海底火山へ浮かび上がった。
　溢れるマグマエネルギーは何度目にしても我に活力を与えてくれる。これが我の至高の研究『クライング・ジェネシスクローン計画』を進めてくれる原動力なのだから。
　遺跡風の建物の中でフル稼働する機械達は、今将に計画を完成させようとしている。
　時間はもうない。後はただ、計画の完成と敵の逃亡を待つしかないのか。
　――いや、まだ諦めない者がいる！　集え、強者の猟兵達よ！
　最後まで駆け抜けると決めた強き心を持つ者達が再び集結する。
　今度こそ、悪の野望を沈める為に。

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「もうホントーに時間が無いっす！　ちょっぱやの仕事が必要っすー！」
　急かしてさーせん！　でももう猟兵達に頭を下げてでもお願いするしかない。
　グリモア猟兵の暇島・しいま（もぐもぐライフ・f05777）は、タイムリミットギリギリで予知した依頼を猟兵達へ説明した。

　戦場はハワイ沖海底、アトランティス風の遺跡型の建物にある研究区域だ。中は空気で満たされている為、特別な準備は必要ない。
　ドクター・アトランティスも他のジェネシスエイトと同じく、必ず先制攻撃を行ってくる。猟兵達のユーベルコードの発動は後手に回ってしまう為、他の対策が必要となる。十分に作戦を練ってから挑んで欲しい。

『ボスクローンを阻止し隊』。ハチマキに決意を刻んで、しいまは猟兵達を送り出す。
「戦争が終わったら、めっちゃぐーたらするっすよー！　それまではもうヤケクソの全力疾走っす！　猟兵の先輩方、ガッツで突撃してきてくだせーっ」

第1章 ボス戦 『ドクター・アトランティス』

POW   :    アトランティス・ケルプ 【槍から放つ生命エネルギーの奔流】が命中した対象を爆破し、更に互いを【敵の生命力を奪う海藻】で繋ぐ。 SPD   :    アンチイェーガー 自身の身長の2倍の【対猟兵パワードスーツ「アンチイェーガー」】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。 WIZ   :    水没光線 レベル×5本の【超重力】属性の【かつて大陸をも海に沈めた怪光線】を放つ。 イラスト：yuga 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

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　最初に戦場へと転移されたのは、九十九・静香（怪奇！筋肉令嬢・f22751）だ。今日もそのはち切れんばかりの麗しい筋肉を惜しむ事なく披露して、『ドクター・アトランティス』と対峙する。
「今後のこの世界の為にも貴方を討たせて頂きます」
「我にも維持がある、来い猟兵！　この計画は絶対に完成させるのだ！」
　トライデントが静香を指し、『アトランティス・ケルプ』の奔流が押し寄せる。水の流れを受け止めるのは、車椅子可変車輪槌『断部流（だんべる）』だ。予め対爆破仕様に改造を施されていた断部流はその衝撃を受け止めるが……爆破直後、断部流だけでなく静香の筋肉までもが生命力を奪う海藻に絡めとられてしまう。
「それでは一瞬失礼して」
　するりと、元の小柄な姿に戻った静香は海藻の拘束から速やかにすり抜けたのだ。
「変身した、だと！？」
「今のが元の姿ですわ。でもマッスルな姿の方が魅力的ですわよね」
　フゥウウン！！　再び筋肉を滾らせた静香は、海藻が絡まる断部流を持ち上げて、力いっぱいの怪力でオブリビオンを一本釣りする！
　びたーん！　びったーん！　どんがらがっしゃーん！！
　海藻ごと敵を振り回す『びったんびったん』は、周囲の機械を巻き込み破壊して行く。
「そぉれー！」
　びたん！　機械の破片が体中に刺さっているアトランティスは壁に穴を開ける勢いでめり込んだ。間を置く事無く、静香は断部流から重量級属性可変長槍『刃亜部流（ばーべる）』に持ち替えて槍先に雷を集めると、大腿直筋を隆起させてダッシュする――。
「海洋生物の身体でしたら、雷に弱いのではございませんこと？　その命、捕らえましょう！」
　筋肉脚力ダッシュのサンダーバーベルは、アトランティスを串焼きにしたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

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「……何故こやつらは海底等に研究所を作るのだ……？　否、別に海は克服した故恐ろしく等ないが……」
　決して怖いわけではない。ただ用心深いだけだ。海底の研究区域が崩れないか、些かの不安を抱えつつ、ザッフィーロ・アドラツィオーネ（赦しの指輪・f06826）は海の悪を裁きに訪れたのだった。
「此処は我の住処なり！　対猟兵用のスーツの準備も万全だ！」
　『アンチイェーガー』スーツを身に着けた巨大な『ドクター・アトランティス』は、同じく巨大なトライデントで小さき者を貫こうとする。その第一撃を防ぐ為、ザッフィーロは精神を研ぎ澄ましていた。手袋型のエネルギー盾に光が集中し、トライデントの槍先に的確に当ててガードする。本体のサファイアの指輪を護る為の必需品だ。オブリビオンの攻撃だろうと、そう易々と壊されはしない。
「ふぅ、成功したな。……次はこちらの番だ。この瞳の前に秘される物は何もない。……誤魔化しは聞かんぞ」
　ザッフィーロは『全能の目』でドクター・アトランティスを『見る』。
　『クローン技術を成功させるまで、お前は何体の犠牲を出した？』
　問いと共に広がる茨は人々の罪穢。見逃しはしないと無数の瞳が全てを見通す。
「愚問なり！　研究に犠牲はつきもの、踏み台の数を覚える事など非合理だ！」
　答えを持たぬ者を、罪穢の茨が締め上げて。夕星のメイスが罪人を穿つ。
　このオブリビオンは、赦されてはならない。
　確実にこの悪の命を刈ろうと。猟兵達の猛追は続く。

成功 🔵​🔵​🔴​

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「ぐっ……猟兵よ、ここまで我を追い詰めるとは！　だがまだ我の『アンチイェーガー』スーツは完全には壊されてはいないぞ！」
　風穴を開けられたスーツのまま、『ドクター・アトランティス』はシキ・ジルモント（人狼のガンナー・f09107）に巨大トライデントを振りかざす。
「パワードスーツか……当然攻撃力も増しているだろう。まずは回避だ」
　蒼色の鋭い眼光が槍先の軌道を見切って、シキは跳ぶ。それはただ逃げる為の策ではなく、攻撃に繋げる為の一手だ。狼は獲物によって狩り方を変える。大きな獲物が相手なら、その自分の大きさで視界が遮られる死角を狙うまでだ。
　敵の足元の影に身を潜めたシキは、ハンドガン『シロガネ』でパワードスーツの足関節を狙い撃つ。巨大で重い体を支える脚さえ崩せば、その性能は格段に落ちるだろう。
「生命力を共有するなら、無理に中の本体を叩く必要も無いだろ」
　冷静に判断を下したシキは、既にぐらついている足を折るように蹴り、バランスを崩して倒れようとするスーツの胸元に銃口を向けた。
「全弾くれてやる――」
　『フルバースト・ショット』。シロガネに装填された全ての弾を撃ち切る高速連射が、全弾確実に撃ち込まれていく。
　蜂の巣にされたスーツから、ドクター・アトランティスの本体がゆらりと姿を現す。
　その命狩るまで、あと一撃――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

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「貴方の事は聞いているわ！」
　水元・芙実（スーパーケミカリスト・ヨーコ・f18176）は、既に他の猟兵達により多大なダメージを負っている『ドクター・アトランティス』を、確実に仕留めようと立ち向かう。その前に、科学者見習いとして一言物申したい事があった。
「アトランティスやらムーやら知らないけど、古代の技術のほうが現代より優れてるなんて言わせないわ！」
　わたし達はいつもあなた達を置いていくの。
　たとえ自分たちが置いていかれる側になったとしても。
　わたし達は、今を駆けるしかないのだ。残された僅かな時間でも、その先にある未来に向かって。絶対に止めてみせると、芙実は走る――。

「こうなれば少しでも時間を稼ぐまでよ！　我には無数の我が味方しているのだからな！」
　息も絶え絶えなアトランティスは、がむしゃらな水没光線を芙実に放つ。精度は落ちていそうだが、その脅威は変わらない。芙実は特製ハイドロボムを投げ付けて、光線を乱反射させ分散する。そのうちの幾つかの光線は、尚も芙実を追うが――。
「この私にかかれば作れない物なんて何も無いわ！」
　狐火による『幻炎合成法』、物質を化かす能力により、周囲の機械を高密度で粘度の高い鉄壁へと変化させたのだ。鉄壁が超重力を受けるだけなら潰されてお終いだったかもしれないが、芙実は受け止めたエネルギーを方向転換して、敵へとお返ししてやる。
「自分の力を形を変えて返されるのはどう？」
「我の攻撃を逆に利用しただと！？　おのれ小娘――っ」
　周囲の機械を巻き込んで倒れる超重力の鉄壁は、アトランティスを押し潰して床へと沈む。
「わたし達は時間が惜しいの。未来（あした）に行くために過去（きのう）にはかまっていられないわ！」
　鉄壁と科学者だったものを乗り越えて、芙実は望む未来へと再び駆け出したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2019年11月30日