アースクライシス2019⑳〜セカンド・イヴィル
「……ヒーローズアースでの戦争に影響を及ぼしてきた数々のクローン……奴らを生み出した『研究者』の居場所が、遂に判明した」
グリモア猟兵、クランフタ・イェルドットがそう告げる。ケタケタ笑いながら彼が地図上に印をつけたのは、アメリカ大陸の上――ではなく、青一色に染められたハワイ沖の一点。
クランフタはペンをそこに留めたまま、ジェネシス・エイトの一人『ドクター・アトランティス』の居場所を語った。
「まァ、つまりは海の中。ハワイ沖の海底というワケだ。そこに閉じ籠って遊んでいるだけなら良いのだがねェ……幹部達のクローンよりも更に厄介なものが生まれようとしている」
ハァとため息をつくと、クランフタは小さなモニターを取り出す。ぼうっと光るそれを猟兵が覗きこめば、そこには液体の中で眠る『クライング・ジェネシス』とドクター・アトランティスの姿が映っていた。
『――の完成も近い! これでクライング・ジェネシス様の意志を――』
そう独り喜ぶドクター・アトランティス。だが、猟兵の記憶が正しければクライング・ジェネシスはヒーローズアースに超巨大な立体映像でカタストロフを宣言したばかりだ。それがドクター・アトランティスの居場所で静かに眠っているのはどういうわけだろうか――そんな問いにクランフタが頷き、説明を始める。
「ハワイ沖の海底でドクター・アトランティスが研究を進めていたのがコレだ。奴はクライング・ジェネシスのクローンを作り上げ、この戦争が終結した後も新たな巨悪として暗躍させようとしている。クローン完成までのタイムリミットは……十一月の三十日、といったところか」
――つまり、時間が無い。クランフタは片手にグリモアを浮かべ、早速転送の準備を始めた。
「それではハワイ沖の底へ……あァ、奴の研究施設内は地上と同じく空気のある環境になっているから安心してくれ。という事でハワイ海底の施設内、ドクター・アトランティスのいる地点まで君達を送らせてもらうよ」
クランフタがグリモアを回せば、猟兵の視界はすうと白く染まっていった。
●
猟兵が到着し周りを見れば、そこには謎の機械や遺跡風の建造物が並んでいた。それだけを見ればこの場が海の中であることなど忘れてしまいそうだが、小さく張られた窓からは海底火山のマグマや不気味な深海魚の姿がちらりと覗く。
そしてふと、猟兵は物音と何者かの声に気づく。
「機器に異常なし、バイタルも正常!」
声の聞こえる方向に視線を移せば、そこには転送前に見たクライング・ジェネシスのクローンとドクター・アトランティスの姿。一刻も早く止めなければ――そう猟兵が動き出そうとした、その時。
「後は――計画を邪魔する汝らを始末するのみ!」
ドクター・アトランティスは待ち構えていたようにぐるりと猟兵に向き直ると、真っ先に攻撃を仕掛けてくるのだった。
みかろっと
こんにちは、みかろっとと申します。
今回はハワイの海の底にて、ジェネシス・エイト、『ドクター・アトランティス』との戦闘です。こちらはアースクライシス2019の戦争シナリオで、ボス戦一章で完結です。
ドクター・アトランティスは必ず先制攻撃を仕掛けてきます。それに対しての防御・反撃を考えた上で挑んで頂ければ、プレイングボーナスとなり良い結果が得られるはずです。
皆様のプレイング、心よりお待ちしております。
第1章 ボス戦
『ドクター・アトランティス』
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POW : アトランティス・ケルプ
【槍から放つ生命エネルギーの奔流】が命中した対象を爆破し、更に互いを【敵の生命力を奪う海藻】で繋ぐ。
SPD : アンチイェーガー
自身の身長の2倍の【対猟兵パワードスーツ「アンチイェーガー」】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ : 水没光線
レベル×5本の【超重力】属性の【かつて大陸をも海に沈めた怪光線】を放つ。
イラスト:yuga
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ウィルヘルム・スマラクトヴァルト
クライング・ジェネシスのクローンなど作らせるものですか。
始末されるのは貴様の方だ! ドクター・アトランティス!
先制攻撃に対しては、生命エネルギーの奔流、爆破、海藻、
いずれも「第六感」で予知した上で「見切り」、
「残像」を残して回避する。
もし回避しきれない場合は、緑の大盾で「盾受け」。
それでも防ぎきれないなら、「オーラ防御」でダメージを抑え、
「激痛耐性」と「気合い」で持ち堪える。
反撃は、緑の斧槍を「怪力」で「なぎ払い」、【両断の一撃】。
さらに「2回攻撃」で「ランスチャージ」を行い「串刺し」にします。
龍ヶ崎・紅音
アドリブ・絡み歓迎
【POW】
「時間があまりない…!ジェネシスのクローンを作らせないためにも急いで倒さないと…!」
ドクターが放つ、"生命エネルギー"を"黒焔竜剣 壱式"を使って【武器受け】、"生命吸収ダメージ"を【気合い】で耐えながら"黒焔竜剣"に絡まった"海藻"を黒焔で焼き切りながらそれを掴み、【怪力】で思いっきりこちらへ引っ張るよ
こちらの間合いに入ったかつ態勢が崩れているところを【力溜め】した焔【属性攻撃】の【なぎ払い】を叩き込む!!
あとは『黒焔呪縛鎖』でお返しとばかりに拘束して地面に叩き付けてから、ホムラを焔槍形態での【槍投げ】をして【串刺し】にするよ
ドクター・アトランティスは手に槍を携え、ざぶりと流水のような光を放ちながら猟兵へと突進していく。
その背後には完成が近い『クライング・ジェネシス』のクローン。あれが完成してしまえば、ここでドクター・アトランティスを倒すことが出来ても第二の巨悪が活動を開始してしまうのだ。
「始末されるのは貴様の方だ! ドクター・アトランティス!」
ウィルヘルム・スマラクトヴァルトは真っ先に、ドクター・アトランティスを迎え撃つ。一刻も早くこの戦いに勝利し、クローン作製を中止させなければならない――その為にも一挙手一投足に全力を込めて。
一瞬にしてドクター・アトランティスが眼前に迫り、槍を持つ手が素早く後方へ一度引かれる。刺突、もしくは斬撃か。予備動作や微かな首の動きから、ウィルヘルムは攻撃の来る方向を予測した。
「貫――ッ、!?」
ドクター・アトランティスの槍がウィルヘルムの真横を抜ける。動きを読まれたドクター・アトランティスは動揺するものの、すかさず槍を持つ手に力を込めた。
奔流する光がウィルヘルムの身に襲い掛かる。目にも留まらぬ動きで残像を囮に躱すが、光は更に膨れ上がりウィルヘルムを追っていく。
――ドゴン!! と爆炎が上がって。しかし瞬時にウィルヘルムは緑に輝く大盾で防御態勢を取り、衝撃に負けることなくしっかりと立っていた。
そして同時に、周囲を黒煙が包む。
視界の悪い戦場。刻一刻とタイムリミットが迫る中、禍々しい海藻を蠢かせるドクター・アトランティスの後ろに足音が響いた。
直後、黒く黒く燃え盛る大剣がドクター・アトランティスの肩を掠める。風圧で煙が晴れれば、そこには大剣使いにしては華奢な少女の姿。そしてその傍らでふわりと浮かぶ白銀の竜の姿があった。
「あのクローンが完成させないためにも、急いで倒さないと……!」
そう再び大剣『黒焔竜剣 壱式』を構える龍ヶ崎・紅音。ドクター・アトランティスは爆炎に蠢く海藻を操り、紅音が動き出す前に一気に駆けだした。
「急いで、とは……随分舐められたものだな!」
ぬるりと海藻が触手のように紅音の元へ伸びる。黒炎纏う大剣を振り回し、紅音は海藻を灼き焦がして――しっかりと掴んだ。
「ぐっ!?」
更にその背後、ウィルヘルムが大楯を斧槍に持ち替えユーベルコードを発動する。ドクター・アトランティスが反撃する一瞬の隙すらも与えぬよう、彼は思い切り力を込めて『両断の一撃』を放った。
「私の渾身の一撃、食らうがいい!」
斬撃を受けたドクター・アトランティスはぐらりと体勢を崩すと、そのまま紅音の方へと勢いよく引き摺られていく。距離を詰めた紅音は黒焔竜剣の炎をゴウと熱く高く上げ、海藻を掴んだまま刃を叩き込んだ。
「――さて、少し動きを封じさせてもらうね」
続きユーベルコードを発動する紅音。ドクター・アトランティスの身体は黒焔の鎖でぐるりと強く縛り上げられ、反撃どころか猟兵の猛攻を防ぐ術すら与えられていなかった。
「行くよ。ホムラ!!」
紅音が浮遊していた白銀の竜に呼びかければ、竜はその姿を煌々と焔を纏う槍に変えていく。紅音は槍を手に取ると、思い切り前方へ投げ放った。
「クローンの完成まで、あと少しだと言うのに――!」
ドクター・アトランティスは鎖を解こうと力を込める。ガシャガシャと煩く金属音が響く中、突如ダン! と力強い足音が響いた。
――ぐさり、と刃が胴を貫く。
紅音のホムラが腹から背に、そしてウィルヘルムの緑の斧槍が背から腹に。
前後から串刺しにされたドクター・アトランティスはぶるりと身を震わせ、自らの肉体を、骨を、関節を無理やりにも捻じ曲げながら必死にもがき叫ぶのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】
ドクターって事は、科学者か。
その割にはやたら実戦派じゃねぇの?
そんなでっかいパワードスーツまで繰り出してさ。
んじゃさ、そのスーツ……アタシにおくれよ?
『ジャンプ』一番距離を置き、奴さんが騎乗していようがいまいが
「アンチイェーガー」『のみを』【縁手繰る掌】で転移させる!
逆にアタシが『騎乗』しようとするけども、
どうせセーフティとか付いてるだろうね。
適当にコンソールの辺りをぶん殴って
電撃の『属性攻撃』をぶち込み、強引に『ハッキング』!
それで『操縦』できりゃ良し、
ダメならスーツを思い切りぶっ壊す!
ドクター、アンタこのスーツと生命力を共有してるんだろー?
どれだけ耐えられるー?
メンカル・プルモーサ
……クライングジェネシスのクローンまで……これは止めないとな……
…まずは箒に乗って機動力を確保…
…アンチイェーガーの攻撃は回避したりオーラ防御の障壁で守ったり…
地形を利用…クローン培養装置を盾にして攻撃を抑制したり…
…幾つか術式で牽制して時間を稼ぎつつ……魔法陣に仕込んだ浸透破壊術式【ベルゼブブ】からハッキング…
…ウィルスを感染させてパワードスーツのセンサを狂わせて…動作を鈍らせる
…そして【我が身転ずる電子の精】で腕を粒子に変えて…パワードスーツに直接干渉…
…信号を遮断したり別場所に繋げたりで致命的な誤作動が出るようにして無力化…最後に全力の電撃術式でトドメと行くよ・
ドクター・アトランティスはどくどくと腹から血を流しながら、突然何かに呼びかけるように大きく声を上げた。
「――アンチイェーガー、来い!」
直後。ズゴン! と巨大な人型の機械兵器が姿を現す。しゅうしゅうと不思議な機動音を上げるそれは、ドクター・アトランティスが猟兵を迎え撃つ為に用意していたパワードスーツだった。
「……ドクター・アトランティスの作品はクローンのみではない! このと一心同体のパワードスーツの攻撃、とくと味わうがいい!」
傷を負いながらも誇らしげにそう宣い、ドクター・アトランティスは高く跳躍してパワードスーツに乗り込む。
数宮・多喜は自分の身の丈の二倍以上はあろうかという兵器を見上げながら、頤に手を当てつつ前に出ていった。
「ドクターって事は、科学者か……その割にはやたら実戦派じゃねぇの? そんなでっかいパワードスーツまで繰り出してさ」
「科学者だからこそ、だ! 研究を成し遂げる為に、有用な過去の研究成果を利用する!」
そう言い返すドクター・アトランティス。そしてガシャリとパワードスーツの操作盤を一気に叩き起動させて――最大出力、猟兵の殲滅を最優先に。
警報に見紛うような真っ赤な画面に頷くと、ドクター・アトランティスはパワードスーツの脚部を動かし始めた。
ギュォン!! と激しい回転音がパワードスーツのあらゆる関節部から鳴り響く。多喜が咄嗟に身を反らせば、パワードスーツはそのまま勢いよく駆け抜けていった。
「こんなスーツに、クライング・ジェネシスのクローンまで……」
これは止めないとな、と静かに意志を固めるメンカル・プルモーサ。全速力で駆けるパワードスーツの向かう先は、箒に跨り浮遊していた彼女の元だった。
するりと滑るように飛び回り、メンカルはパワードスーツの突進を躱していく。猟兵を仕留めんとギュンギュン駆けるその機械兵器は、クライング・ジェネシスのクローン装置だけは死守するもののガシャン、ガシャンと他の装置を次々に壊しながら動き回っていた。
不気味な液体やガラス片、そして何の幼体かも分からない勾玉状の肉片を撒き散らしながら、パワードスーツはメンカルを追っていく。
――ドクター・アトランティスがスーツの『異変』に気づくのは、しばらくしてからのことであった。
研究施設を滅茶苦茶にしながらも、出力を下げることなく襲い掛かるパワードスーツ。ドクター・アトランティスが一切そのレベルを下げていないにも関わらず、突如スーツはがくりと片膝を付いて動きを鈍らせた。
「故障!? いや、そんな筈は!」
慌ててモニターやボタンを確認するドクター・アトランティス。するとスーツの外を映すカメラモニターが、ひとつの魔法陣を映したままぴくりとも動かなくなっていた。
それはメンカルの魔法陣、そしてそこに仕込まれた浸透破壊術式【ベルゼブブ】。カメラがそれを捉えてしまった瞬間から、じわりじわりとシステムが蝕まれていたのだった。
ふわりと箒をパワードスーツの目の前まで動かし、メンカルはすうと片腕を上げ、ユーベルコードを発動する。
「我が体よ、変われ、集え。我は掌握、我は電霊。魔女が望むは電網手繰る陽陰」
そう唱えた彼女の腕は小さな粒となってパワードスーツに向かっていき、それを動かす為のシステムに大きな穴を開けて完全に動きを停止させた。
ドクター・アトランティスがスーツの再起動を試みるも、パワードスーツはボタン一つにすら反応しない。既にスーツはドクター・アトランティスの指示に従うことなど出来なくなっていた。
ならば最早これに乗り続ける意味はない。ドクター・アトランティスは固く複雑な蓋のついたボタンを思い切り押す――が、それは虚しく指を沈みこませるだけだった。
「緊急脱出すら動かないだと!?」
「んじゃさ、そのスーツ……アタシにおくれよ?」
ユーベルコードを発動し、多喜が何か企むように笑った。
「捕まえた、そこっ!」
動かなくなったパワードスーツに『縁手繰る掌』を放てば、突如ドクター・アトランティスの姿だけがその場に残され――スーツが消える。
一瞬の出来事に動揺するドクター・アトランティス。しかしすぐに状況を理解すると、周囲をぐるりと見回した。
「……って、動かないのかこれ!」
そう叫ぶのは、奪い取ったパワードスーツに搭乗しようとする多喜。メンカルは既に腕を戻していたが、それでもスーツは電源すらつかなくなっているようだった。
――ならば。
「一心同体、って言ってたよな。ドクター、アンタこのスーツと生命力を共有してるんだろー?」
多喜はパワードスーツに手を添えて、ドクター・アトランティスの方に向き直る。そしてバリ、と小さな稲妻を見せて、多喜は思い切り電撃を纏う拳を振り下ろした。
やめろ、とドクター・アトランティスが焦り手を伸ばす、頭上。
全力の電撃魔術を詠唱し終えていたメンカルが、容赦なくドクター・アトランティスを閃光で包んだ。
「ぃ、ぎぁああああッ!!!」
パワードスーツとリンクした身体は、二つの電撃を同時に叩き込まれて真っ黒に焼き焦がされる。
そして研究施設中に広がる謎の液体や海水を電流が伝ったか、突如ビィィ、と何かの警報音が聞こえてくるのだった。
大成功
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天星・零
【星氷】
戦況を常に見つつ、技能を使い弱点や死角を把握し警戒、対抗策を考え臨機応変に対応
遠距離は十の死とグレイヴ・ロウを戦況に合わせ使用
近接はØで攻撃
防御は星天の書-零-で【オーラ防御】
『対猟兵のUC。ですが…オブリビオン にはどうでしょうか?死霊術師が使う霊はオブリビオン ですから』
先制攻撃は敵の間合いや、癖、弱点などを見極めて避け、武器『十の死』とオーラ防御で対抗
『ふふ…これが僕の本気です』
指定UCを発動し、味方無傷の状態、敵はUC発動前に戻しスーツが召喚されていない状態に
その後、十の死のうち感電死で敵に電撃攻撃で痺れさせつつ凍死で敵周囲の水を凍らせて敵を閉じ込めそのままグレイヴ・ロウで砕く
シャオ・フィルナート
【星氷】
面倒事増やされるのは困るし…
ここで、終わらせてもらうよ……
空気中の水分が利用可能ならそれで
無理なら自身の魔力で★氷の翼を形成
盾としながら★死星眼を発動
【生命力吸収と催眠】により脱力、攻撃への迷い等を生じさせ
先制攻撃の命中精度を少しでも下げ攻撃の軌道を【見切り】回避
【暗殺】の機動力で接近しつつ★氷麗ノ剣を生成
放出する水流で敵の足元を水浸しに
跳躍後翼から放つ氷の【一斉発射、属性攻撃】で足狙い+水分凍結で敵の足と地面を固定
零さん…今だよ、行って…
零さんのUCで状態が元に戻ったところですかさず【指定UC】を発動
速度で翻弄しつつ武器を★罪咎の剣に持ち替え
寿命は無視して…9倍速の攻撃で斬攻撃
煩く鳴り響く警報音。ドクター・アトランティスは一瞬の気絶から目覚めると、すぐさま踵を返し一つの機械に駆け寄っていく。
「急いで電源供給を、いや培養液も足りない!? これではクライング・ジェネシス様は――」
警報音よりもさらに喧しく喚くドクター・アトランティス。クローン装置が使えなくなる一歩手前、といったところだろうか。
猟兵を警戒しつつも急いで装置を復旧させようとするドクター・アトランティスへ、容赦なく向かっていく猟兵の影があった。
「面倒事増やされるのは困るし……ここで、終わらせてもらうよ……」
シャオ・フィルナートは周囲に広がる培養液から氷の翼を形成する。冷たく輝くその姿に反し、水分を失った培養液は不気味に固まって壁や床にべっとりとこびり付いていた。
その気配に気づいたドクター・アトランティスは、装置を惜しむように少し迷いながらも戦闘の構えを見せる。
「――仕方がない!」
ガシャン!! とドクター・アトランティスのそばにパワードスーツ『アンチイェーガー』が出現する。慣れた動きでそれに乗り込むと、ドクター・アトランティスは乗っ取りを恐れてかシステムによる動作補正を最小限に留めて機体を発進させた。
――だが、その保険が仇となる。
パワードスーツを見つめるシャオの右目が、眩い金色に輝き出す。
それが『システムによる動き』を主としていれば問題なく突進を仕掛けることができただろう。シャオの右目『死星眼』はドクター・アトランティスの身体から力を奪い、そして同時にパワードスーツの動きを鈍らせた。
それでも打撃を、一撃でもと足掻くドクター・アトランティス。腕部を何とか振り上げるその先で、シャオはその手に氷麗ノ剣を携えていた。
剣が振るわれ、水流が鈍いパワードスーツを呑み込む。不思議な薬液、不気味な異臭を巻き込みながら床に水を広げると、シャオは高く跳んで氷の翼を大きく広げた。
一斉に放たれる氷の弾丸。シャオはパワードスーツの足元を狙い撃ち、氷で脚部を床に縛り付ける。
「零さん……今だよ、行って……」
シャオがふわりと着地すると同時、凍り付く床を蹴る天星・零。
「対猟兵のユーベルコード。ですが……オブリビオンにはどうでしょうか? 死霊術師が使う霊はオブリビオンですから」
そう小さく笑う零。ドクター・アトランティスはパワードスーツの可動部、凍っていない腕を零に向ける。キィ、と肘から橙の光が閃くと、零はすかさず地からグレイヴ・ロウを突き出させた。
直後ガゴン! と十字の墓石が何かを受け止める。勢いを失って落下したのは、パワードスーツから切り離された腕だった。
「ふふ……これが僕の本気です」
そのまま零はパワードスーツに向かって突き進む。
するとドクター・アトランティスはあろうことか、自身と繋がっているパワードスーツの脚部を片腕で引き千切って飛び出した。頭と胴体、そして腕一本となった研究者は、零に向かって豪速で突進を仕掛ける。
零は防御の姿勢を取りながら躱す――が、パワードスーツは失った脚部から火を噴いてしつこく零を追う。
幾度目かの突進の後、零は隙を突いてユーベルコードを発動した。
「これが僕の力、全てを上書きしてあげる」
――ひゅっ、と空気が揺れる。
突如、ドクター・アトランティスのパワードスーツが消えた。
「何!?」
また奪われたかと急ぎユーベルコードを解除しようとするドクター・アトランテイス。しかしその力は『発動されていなかった』。
時間の回帰――そうドクター・アトランティスが理解するよりも早く。
「一瞬で終わらせる……」
シャオが再び右目を輝かせ、ドクター・アトランティスに急接近しながら銀のナイフ『罪咎の剣』を手に取る。自らの命が削られることすらも意に介さず、彼は真っ直ぐ敵へと刃を向けた。
その言葉通り、一瞬で。ドクター・アトランティスの傷が広がり、身が切り裂かれていく。シャオの斬撃の直後、更に零が『十の死』で追い打ちをかけた。
バリィ! と激しい閃光。『感電死』に準えたその電撃に続き、零は周囲の水に向けて『凍死』、凍てつくような冷気を放ってドクター・アトランティスの身を氷の中へと閉じ込めた。
悲鳴を上げる暇も――そもそも舌の先すらも動かせないドクター・アトランティス。微かに、ほんの僅かに震える心臓を、零はグレイヴ・ロウの刺突で一気に砕く。
文字通り粉々になり、骸の海へと還っていくドクター・アトランティス。同時にクライング・ジェネシスのクローン装置から光が消え、第二の悪の誕生が阻止されたことを示していた。
大成功
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