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アースクライシス2019⑳〜海底研究所での激闘！

作者：柚葵チハヤ

「皆、良く来てくれた」
　アス・ブリューゲルト（蒼銀の騎士・f13168）はそう言って、グリモアベースに集った猟兵達を出迎える。
「皆の活躍で、ドクター・アトランティスの居場所が分かった。場所はハワイ沖海底の海底火山の火口の下。そこに、ドクター・アトランティスの研究区域があるらしい。しかもそこで、ドクター・アトランティスは、『クライング・ジェネシス』のクローンを産み出す為の研究を行っているようだ」
　真剣な眼差しで、アスは続ける。
「今、ドクター・アトランティスを止めなければ、また新たな火種を残すことになる。それだけはなんとしてでも阻止したい」
　そうなれば、また新たな戦争にもなりかねないのだ。
「戦場となる研究所は、先ほども言ったように、海底火山の火口の近くに存在している。そのマグマを研究のためのエネルギー源にしているようだ。外観はアトランティスの遺跡を模したような形をしているが、幸いなことに施設内部は、空気に満たされているようだ。そこは安心して欲しい。それと、研究の為の機械やらが数多くあるらしい。戦うときは気をつけてくれ」
　どうやら、アトランティスとは違って、研究所の内部は空気があるようだ。
「それと、ドクター・アトランティスも必ず、先制攻撃してくる。そのための対策は怠らないでもらいたい」
　そして、アスは猟兵達を見回した。
「激しい戦いになると思うが、皆、無事に……良い報告を持ってきてくれると期待している。必ず、ヤツを倒してきてくれ」
　そう告げて、アスは出発する猟兵達を見送ったのだった。

第1章 ボス戦 『ドクター・アトランティス』

POW   :    アトランティス・ケルプ 【槍から放つ生命エネルギーの奔流】が命中した対象を爆破し、更に互いを【敵の生命力を奪う海藻】で繋ぐ。 SPD   :    アンチイェーガー 自身の身長の2倍の【対猟兵パワードスーツ「アンチイェーガー」】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。 WIZ   :    水没光線 レベル×5本の【超重力】属性の【かつて大陸をも海に沈めた怪光線】を放つ。 イラスト：yuga 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

　静けさが漂う研究所。奥の方では、マグマからエネルギーを得ているのだろう、重厚な機械音が聞こえてくる。と、コツコツと足音がこちらに近づいてきた。
「ほう……汝が新世代に生まれたという、猟兵とやらか」
　立ちはだかるように現れたのは、かのドクター・アトランティス。
「有能な技術者というのは時に有能な主導者よりも厄介なものだ。色々な意味でね」
　骸骨のマスクをしたスカル・ソロモン（目覚める本能・f04239）がそう告げる。
「なれば、排除せねばならぬな」
「はいそうですかって、従わないがね」
　ドクター・アトランティスはすぐさま、対猟兵パワードスーツ「アンチイェーガー」を召喚し乗り込むと一気にスカルへと迫ってくる。スカルもすかさず、敵に捕捉されないようダッシュで戦場を駆けながら。
「深淵からの声を聞け。其は永久に横たわる死者にあらねど、測り知れざる永劫のもとに死を超ゆるものなり――サラハ・アル・アジフ！」
　スカルは、闇に潜み永久に咆哮するものを発動させ、敵へと強烈な恐怖を与える。
「むっ……」
　一瞬、その手が止まったのを、スカルは見逃さなかった。
「アンチイェーガーがどういう能力を持っているかは分からないが、一つ言えるのは、無人機にするべきだったね。では反撃だ！」
　スカルは膨大な魔力を外装で封印制御した、背骨を模した杖、タクティカル・スパインを使って、敵の足をなぎ払いにより転倒させ、更に杖を変形、鋭く尖らせ、渾身の力でパワードスーツを突き刺す。
「なるほど、これは侮れぬな……」
　バチバチと火花を散らしながら、ドクター・アトランティスは感心するような声を上げたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「僕は僕の役目を果たすだけ。役に立たなければ、僕の居場所は無いから」
　筒石・トオル（多重人格者のマジックナイト・f04677）もまた、この場所へとやってきていた。目指すはドクター・アトランティスの討伐。それともう一人。
「へっ、本当にパワードスーツを使うオブリビオンがいるたぁね。こりゃあアタシも殴りがいがあるってもんさ。とはいえ、ちょっとデカすぎるんで、脱いでもらえないか？」
　そうドクター・アトランティスに発破を掛けるのは、数宮・多喜（撃走サイキックライダー・f03004）。
「やれるものなら、やってみせよ」
　と、超重力を含んだ、かつて大陸をも海に沈めた水没光線を放つ。
「おっと、まずはこれを凌がないと、だね！」
　多喜はすぐさまカブに乗って、敵の攻撃を避けつつ、スマートフォンで敵の……というよりは、パワードスーツの方。片手でハッキングを試みる。
「そんな余裕があるのかね？」
　そんなドクター・アトランティスの言葉に、見切り、第六感、フェイント、オーラ防御で出来るだけ回避と防御能力を上げていったトオルが言い放つ。
「それは、ドクター・アトランティス……あなたもだ」
　黒い瞳がいつの間にか、金色に光り輝き。
「これでも喰らえ！」
　敵の放たれた攻撃を距離を空けることで避けつつ、ブラスターのビームを絶え間なく放つ。お陰で多喜は、その目的を果たすことが出来た。
「来た！　今だよっ！！」
　スマホに表示されたボタンをタップ。そのときだった。
　がくんっと、ドクター・アトランティスの乗るパワードスーツが一時停止。
「こんなもの、すぐに戻せるぞ」
　けれど、ドクター・アトランティスはそれをすぐに再起動させるが。
「アンタが猟兵を相手取るために研究したのは流石さ。けどね……アタシ達もアンタ達【過去に抗う腕】を持ってない訳じゃないんでね！」
　多喜は、三つの思念波を放ち、相手の動きを阻害させようとする。
「ふむ、汝の言う通り、これを脱ぐとしよう」
　その思念波がぶつかる寸前にドクター・アトランティスは、上手く脱出し、パワードスーツが大きく爆発して壊れたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

「当機は、該当の研究所に到達しました。……接近してくる何者かを確認。恐らくドクター・アトランティスと予測します」
　そう告げるのは、エル・クーゴー（躯体番号L-95・f04770）。
「みたいですね。クライング・ジェネシスのクローン……そんなものは、確かに作らせたくはありませんし、とにかく、倒すとしましょう」
　ウィルヘルム・スマラクトヴァルト（緑の騎士・f15865）は、エルの言葉に頷き、盾を構える。
「猟兵とやらは、尽きぬ事はないのかね！　まあ良い、相手になろう！」
　ドクター・アトランティスはアトランティス・ケルプを発動。槍から放つ生命エネルギーの奔流が命中した対象を爆破し、更に互いを敵の生命力を奪う海藻で繋ぐ技だ。
「空中戦用バーニア展開、空戦機動に移行」
　エルは飛び上がり、推力機構を強力に逆噴射。奔流の圧による負荷を軽減する企図で、自身を奔流と等速で後方に吹き飛ばしていく。
「なかなか激しい攻撃ですね」
　一方、ウィルヘルムも、敵の放つエネルギーの奔流の先を予測、残像を残しつつ避けるものの避けきれないため、盾で爆風を堪える。
　攻撃を乗り越えたエルがすぐさま。
「これより反転攻勢を開始します。ザミエルシステム、起動」
　狩猟の魔眼で、自らを強化した……のだが、今回はいつもの強化とは少し違う様子。
「まだまだゆくぞ、猟兵！」
　再度、アトランティス・ケルプを発動させ、エルを海藻で捕らえた。
「……ん？　これは……！」
　エルが僅かに笑みを浮かべたように見えた。
「当機のウイルス・プログラムが敵機内部へと侵入したのを確認」
「くっ、まさか……！」
「活動を開始します」
　エルの仕掛けたウイルスに怯むドクター・アトランティスへと、緑の斧槍を持ったウィルヘルムが飛び込んでくる。
「私の渾身の一撃、食らうがいい！」
　両断の一撃だ。ウィルヘルムの斧槍が、ドクター・アトランティスの胸を両断するかのように切りつけた。
「我はまだ、やられるわけにはいかぬのだ！」
　まだ繋がっていたエルの生命力を使って、傷を癒すとドクター・アトランティスは、猟兵達を睨むように見据えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

「地球の科学力はご満足頂けましたか？　ご不満でしたら、私が嫌と言うほどご馳走いたしましょう」
　李・蘭玲（老巧なる狂拳・f07136）は、静かに現れ、そっと頭を垂れる。
「満足か……それは我に対する皮肉か！」
　再度、ドクター・アトランティスは、対猟兵パワードスーツ「アンチイェーガー」を召喚。それに乗り込むとすぐさま蘭玲へと接近する。
「仕方ありませんね」
　自身にとって大切なメイドキャップをするりと外し放り投げた。とたんに、そこに居たはずの老メイドが、２０代の若々しい美女へと姿を変えたではないか。
「見惚れてしまっても、よろしくてよ？」
　全盛期の体に戻ったことで、パワードスーツのスピードにも対応。相手が自身より大きいのを逆手にとり、屈んで頭上にやり過ごしたり、股下をスライディングで潜り抜け、相手の攻撃を避けていく。
「それが汝の本来の姿か！？」
「さあ、どうでしょう？　……それにしても、あのパワードスーツ、邪魔ですねぇ」
　避けきるのに実は精一杯ではあるが、このままでは一向に攻撃へと転換できない。
　蘭玲は回避中に八極図……武装から森羅万象の気を取り込み、気を貯めていく。
「何を企んでいる！？」
「何も、ただ……」
　拳、肘、掌底、当て身による打撃で貯めた気を鎧無視の衝撃波として叩きつけたのだ。
「我が身はUDCアースが生んだ、太極……宇宙の真理を目指した者の叡智の結晶ですので」
　そう微笑み、パワードスーツの足を粉砕したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

　激しい戦いの中、新たな猟兵達がこの場に向かっていた。
「ドクター・アトランティス……彼の研究成果が気になるけど……まぁ、調査は全てが終わってになるかしらね？」
「ええ。今回の目的はドクター・アトランティスの打倒ですから」
「今は、戦いに集中して……だね」
　上から順にヘスティア・イクテュス（SkyFish団船長・f04572）、天星・零（零と夢幻の霊園管理人・f02413）、そして、シャオ・フィルナート（悪魔に魅入られし者・f00507）の三人だ。
　と、たどり着いた先では、壊れたパワードスーツを乗り捨てて、ドクター・アトランティスが、また新たなアンチイェーガーを召喚して乗り込むのが見えた。
「あれが対猟兵のユーベルコード。ですが……オブリビオンにはどうでしょうか？　死霊術師が使う霊はオブリビオンですから」
「また猟兵、煩わしい奴等め！」
　ドクター・アトランティスは、水没光線を放ち、猟兵達を追い込む。
「パワードスーツ良いわね……剥ぎ取りたいわ。パワードスーツなら視界は肉眼でより狭そうかしら？」
　ヘスティアはそう言って、スモークミサイルを撒き、目潰しをし。更に彼女達のホログラムを作り、その残像で攻撃の分散と行動の遅延を狙う。ついでにネットワークに繋がってるならと、サポートAI端末のアベルを使って、ハッキングを試みるが、こちらは残念ながら繋がっておらず、不発に終わってしまった。
「ヘスティアさん……本体狙ってよ、船長でしょ」
「ちょっと、無茶言わないでくれるかしら！？」
　シャオは少し棒読み口調でヘスティアに声を掛けつつ、自身の魔力で氷の翼を形成し、盾としながら死星眼を発動。生命力吸収と催眠により敵の脱力、攻撃への迷い等を生じさせ、先制攻撃の命中精度を下げた上で攻撃の軌道を見切り回避する。
「流石はジェネシス・エイト……その力は伊達では無いね」
　零もまた、敵の動きを見切りつつ、星天の書-零-から発せられるオーラ防御と影のように付き従う骸の十の死を使って、敵の攻撃を何とか耐えきる。
「ふふ、少し本気で……全てを上書きしてあげる」
　Over Write（オーバーライト）を発動！　味方が無傷の状態、敵にはパワードスーツが召喚されていない状態へと戻した。
「なっ！？　ま、まさか……！」
　巻き戻された状況に狼狽するドクター・アトランティスに、三人の攻撃が迫る。
　最初に動いたのはヘスティア。
「風向把握……弾道予測……射軸安定……今！」
　長距離砲撃モードのミスティルテインの砲撃とおまけにマイクロミサイルの一斉射撃も乗せて、ドクター・アトランティスへと放った。
「一瞬で終わらせる……」
　次に罪咎の剣に持ち替えたシャオが、封印解除−駿−を使って９回の攻撃全てをドクター・アトランティスへと切りつけた。
　そして、最後に。
「とどめです！」
　十の死のうち感電死で敵に電撃攻撃で痺れさせつつ、圧死で水圧を上げて敵を押し潰していく。
「ぐおおおおおおおっ！！」
　しかし、あれだけの攻撃を食らっても、ドクター・アトランティスは、まだ立ち上がってくる。倒すためには、まだ足りないその一手がどうしても必要だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

「あれだけの攻撃を受けてもなお、立ち上がるとは……ジェネシス・エイトとは恐ろしい相手なのですわね」
　ローズ・ベルシュタイン（夕焼けの薔薇騎士・f04715）は静かにそう言うと。
「ですが、ドクター・アトランティスの思惑通りにはさせませんのよ。此処でしっかりと倒して差し上げますわ」
　深紅の長い髪を揺らしながら、自信に溢れた表情で、戦線へと飛び込んでいく。
「まだ倒れるわけにはゆかぬ！　クライング・ジェネシス様の大いなる意志を成し遂げるためにも！」
　そう言って、ドクター・アトランティスは、超重力属性のかつて大陸をも海に沈めた怪光線を無数に放った！
「くっ……！！」
　幾重にも突き刺さってくる光線を見切り、ダッシュやスライディングを駆使して攻撃を掻い潜るが、彼も必死らしくその威力は先ほどよりも高く。ついには足を止め、薔薇の刻印がなされた紅の銃と夕焼け色の刀身のロングソードとで、その攻撃を受け止める。耐えきったローズは高らかに叫ぶ。
「さぁ、数多に咲き誇りなさい！」
　夕暮れ時に薔薇は踊り咲く（ローズ・ワルツ）を発動！　無数の黄昏色の薔薇の花びらがドクター・アトランティスを攻撃し尽くしていく。
「ぐぬぬぬ……まだだ、まだ終わらん！」
「しぶとい方ですわね……」
　肩で息をしながら、ローズは何とかその場で立ち尽くしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

「それでも……立ち塞がるなら斬り捨てるのみです」
　そこに現れたのは、ヒルデガルト・アオスライセン（リベリアス・f15994）。ローズは道を譲るかのように後退していく。
「汝も打ち伏せてくれよう！」
　ドクター・アトランティスは、威力を高めたアトランティス・ケルプを放つ。
「くっ……やりますね」
　槍から放つ生命エネルギーの奔流を避けきったものの、後から出てきた海藻は逃れられず巻き付けられたまま、戦いを続けるヒルデガルト。だが、その顔には何故か余裕が見られる。
「そのままで戦うとは、正気か？　猟兵！」
　ドクター・アトランティスは、なおも攻撃の手を緩めず、今度は水没光線を放っていく。ヒルデガルトはその攻撃をドクター・アトランティスの周りを飛び回りながら避けていく。その距離は徐々に詰められ。
「あともう少し……いえ、今っ！！」
「なん、だと……！？」
　気付いてはいなかった。全てはヒルデガルトの思惑通り。
「貴方は生命力の変移に気を取られていましたが、私は……！！」
　不義不忠の剣を突き刺し、相手の戦意を焼き、そして茫然自失の廃人を振り払う様に蹴飛ばし。

　――ずっとずっとその心を裂きたかった。

　言葉にならなかった、その想い全てを、ドクター・アトランティスに打ち込んだ。
「ぐおおおお、おのれ、おのれ、猟兵らよっ！！」
　そのまま仰向けに倒れ、泡のように消え去った。
　後はただ、静かに機械の振動音が聞こえるのみ。

　こうして、猟兵達の活躍により、ドクター・アトランティスを倒すことに成功した。だが、彼らの戦いはまだ終わらない。
　クライング・ジェネシスを滅ぼす、そのときまで。

大成功 🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2019年11月28日