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秘密のレシピを手に入れよう!

#アルダワ魔法学園

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#アルダワ魔法学園


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「皆、聞いてくれ。大ニュースだ」
 トプン、とまるで酒瓶が揺れるような音を立てて、ブラックタールの女が手を上げた。
 クック・ルウ(たぷたぷ・f04137)は自分の名を告げて挨拶すると、すぐに本題を切り出す。
「アルダワ魔法学園世界。そこの学園迷宮にいるフロワボスが、配下の魔物と共に上の階層を侵攻してくる。放っておけば、学園内部まで攻めてきて、甚大な被害をもたらすだろう。だが、聞いてほしいのはここからだ」

 フロアボスが率いている『書物の魔物』は、知識を集積した本の化物。
 そこに書かれている知識には謎が多く、本によって内容も違うと言われている。
 今回出現する『書物の魔物』には料理のレシピが書かれていると、クックは予知したのだという。
 もしそのレシピを得る事ができれば、書籍に書かれた料理を再現することができるはずだと熱く語った。

「学園迷宮に眠るレシピだ。きっとすごいに違いないぞ。ファンタジックで、キラキラ輝くような料理だきっと。食べてみたい。そう思ったな。わかるぞ」
 クックはトプトプと水音を立てながらはしゃぐように一人頷いている。他の者が口を挟むこともできない勢いで、手に入れたレシピを実践できるように、調理室を借りられるよう学園側との話は付けてあると説明する。
 つまり作れという事かと猟兵の誰かが呟くと、クックは少し考えるように首を傾げた。
「んー……一応調理実習ということになっているので、大変そうなら学生や先生方も手伝ってくれるだろう。たぶん」
 なんとかなる、とクックはサムズアップをしてみせる。
「魔物の群れを倒すのは大変だと思うが、料理のためだ。どうかご武運を」


鍵森
 はじめまして、鍵森と申します。
 OPをお読み頂きありがとうございます。

 第1章は、集団戦。
 大量の『書物の魔物』と戦うと料理のレシピが手に入ります。
 手に入るレシピは、皆様の活躍によって増えたり変わったりするかも知れません。
 第2章は、ボス戦。
 どうやら迷宮内の知識を守る者がいるようです。
 第3章は、日常パートとなります。
 学園内の調理実習室を借りて、レシピに書かれた料理を作ります。
 尚クック・ルウはお呼びがなければ特に出演せず裏でもぐもぐしています。

 戦闘盛り沢山ですが、全体的にゆるい雰囲気になるかと思います。
 迷宮を冒険してお宝をゲットするような、ワクワクするような気持ちになって頂けたら幸いです。
 皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『書物の魔物』

POW   :    魔書の記述
予め【状況に適したページを開き魔力を蓄える】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD   :    ページカッター
レベル分の1秒で【刃に変えた自分のページ】を発射できる。
WIZ   :    ビブリオマジック
レベル×5本の【毒】属性の【インク魔法弾】を放つ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

須賀原・あすむ
ファンタジーな料理のレシピかぁ 面白いおつまみとか肉料理とかのレシピが欲しいな

ドラゴニアンチェインで攻撃し、魔物を鎖でつないでまとめて拘束していきます。拘束が上手くいったら目的のレシピがないか危なくない範囲で魔物のページを漁ります。主に探すのは肉や魚の料理、おつまみのレシピです。
撮れるならページを集めておきます。
一通り漁ったら魔物をまとめて得物の剣で倒します。

「うちのバーに置くメニューのレシピが欲しかったんだよねー 何かいいのあるかな」



それはまるで渡り鳥の群れのように、羽ばたきにも似た紙の捲れる音を立てて迷宮の上階を目指して飛翔する魔書の一群。
 先頭の数冊へ、須賀原・あすむはまずドラゴンオーラを飛ばした。敵に当たったオーラは爆発を起こして、書物の魔物達をオーラの鎖で繋いで捕らえる。
 敵からの攻撃に、書物の群れの動きが乱れ混乱が生まれた。
「今の内に……」
 あすむが一括りに捕らえた数冊の書物の魔物は、まるで紐で括られた新聞紙のごとく互いに折り重なって動きを封じられている。おまけに爆発のダメージによってか、抵抗する動きが小さいのもチャンスだった。
「うちのバーに置くメニューのレシピが欲しかったんだよねー。何かいいのあるかな」
 書物の魔物をドラゴニアン・チェインで捕らえたまま回収すると、他の魔物に狙われないよう物陰へ隠れながら、さっそくページを調べていく。

「これがファンタジーな料理のレシピかぁ。面白いおつまみとか肉料理とかのページはどこかな」
 重なった部分がオーラで引っ付いていたり、少し捲りにくい部分もあるが、ページを選ぶ余裕もあすむにはあった。
 白鳥の溜息大さじ一杯。鈴妖精の呪文。トカゲの欠伸スープ。等々。
 奇妙な材料が書かれたものや、菓子らしき記述は読み飛ばしていく。
 彼女のお目当ては、店で出す事もできそうな酒のつまみに合う料理。それも肉や魚を使ったメニューが望ましいのだ。

「へえ『鶏の火焔竜ソース炒め』に『黒猫女王の魚パイ』か、面白そうだね」
 興味を引くページを見つけて、あすむの顔に笑みが浮かぶ。
 しかしそこで、捕らえた書物の魔物が勝手にページを開く。力を蓄えようとしている動き、そろそろ反撃が始まりそうだ。
「うん、これ以上は危険だ」
 そう判断するが早いか、あすむは目当てのページを切り抜き、残りの書物の魔物を黒剣で一太刀に切り裂いて止めを刺すのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ウォルター・ハイデルベーレ
●POW
レシピと聞いて!!

……っと、倒さなきゃいけないのでありますな。
ふーむ、書物の魔物なら炎が効くでありますが、燃えてしまってはレシピが……うぅむ……
ここは、風で散らすことにしようか。

UC【トリニティ・エンハンス】で、自身のSPDを上げつつ、技能【属性攻撃】で風を纏わせた大斧で攻撃し、ダメージを与えつつページを吹き飛ばすであります。
風が強いと、思い通りのページは開けないだろ?

もしページが切れたとしても、接着して解読できるでありましょう!

さぁ……レシピを寄越しなぁ!!!

(アドリブ、連携歓迎です)


ウレルト・ジュペル
ファンタスティックでキラキラなお料理が食べられるの?
まぁ楽しみね
そういうことなら頑張っちゃうわよ

上の階に行かせないように
上へ向かう通路を塞ぐ位置にいたほうがいいのかしら
バウンドボディで腕を伸ばして向かってくる本を叩き落としていくわね
レシピはおとなしくなってから集めればいいわよね
ああ、でも加減が難しいわ
レシピを見るまでは破かないように気をつけなくちゃ

どんな料理かワクワクするわぁ
キラキラ光ったりパチパチはじけたりするのかしら
楽しそうな名前のレシピを集めてみましょ
レシピを集めたら暴れる本は壊しちゃうわね


桜田・鳥獣戯画
クック・ルゥよ、私も裏でもぐもぐしたいのだが!!
はい。働きます。

…本を傷めつけるのは多少心が痛いな。知識の集積体だ、尊いものには違いない。
でも魔物なので遠慮なく殴る!!

本とは言え、紙束の重量は馬鹿にできん。弱肉狂喰を使用し、同じタイミングで戦闘に臨むものが居れば壁となり庇いながら戦おう。
「魔書の記述」が発動し始めた本から攻撃。パワー押しくらいしか作戦がないので生肉食いながら殴る。
ページカッターやビブリオマジックを使われたらがんばって避ける。

レシピは図版の多いものからいただこう! 読解力が低いとか言うな!
折角の魔法学校だ、できれば見たこともないような学食が良いな!!
こう、青い、カレーとか。



「クック・ルゥよ、私も裏でもぐもぐしたいのだが!!」
 桜田・鳥獣戯画(デスメンタル・f09037)の主張には同意するものの、クックは一言エールを送った。がんばれ。
「はい。働きます」鳥獣戯画は、よいお返事をした。
 そんなやりとりの後、迷宮内に到着した鳥獣戯画。
「……本を傷めつけるのは多少心が痛いな。知識の集積体だ、尊いものには違いない」
 その呟きには書物への敬意が滲んでいた。
 でも魔物なので遠慮なく殴る!!と、戦意が鈍ることはないようだ。

 先の攻撃で混乱している様子の魔書の群れが迫ってくると、鳥獣戯画はそれを殴り飛ばした。
 効いてはいる。だが、紙束の重量は馬鹿にできたものではない。故に、鳥獣戯画は用意していた生肉を掴んで食らって取り込んだ。
「貴様は只今より私の肉だ。私以外への供給は禁じられる!!」体の中に肉の重みが加われば、それが守りの一手。
 刃と変じたページを放ち、魔法弾を撃ってくる書物の魔物もいるが、仲間へ当たりそうな攻撃は、鳥獣戯画が壁となって阻む。
「これぐらいなら持ちこたえられるが、とはいえ、力を溜められると厄介だな」
「ならばページを開けぬよう、自分が属性攻撃を使うであります!」
 前へ出たのは、レシピと聞いて駆け付けたウォルター・ハイデルベーレ(歴戦兵・f06795)。言うが早いか彼の立つ周辺に風が巻き起こる。
「風が強いと、思い通りのページは開けないだろ?」
 突風に煽られ、書物の魔物達はページを閉じられたり、別ページを開かされたりと翻弄された。ウォルターは、更に風を纏わせた大斧を振るう。
「さぁ……レシピを寄越しなぁ!!!」
 声を張り上げて放った勇猛な一撃は、右往左往する書物の魔物を次々に叩き切る。
 風は紙吹雪さながらに迷宮に破れたページを吹き飛ばした。

 奮闘する猟兵達の視界の隙を突いて、舞い落ちる紙片をすり抜けるように、上階へと続く廊下へと飛び出す書物の魔物が数冊。
 しかし、廊下を塞ぐようにしてそこを守るのは、ウレルト・ジュペル(砂漠の守護者・f11934)だ。
 ファンタスティックでキラキラなお料理を楽しみにしている彼女は、バウンドボディで伸ばした腕をしならせて一冊一冊残さず書物の魔物を叩き落とす。
「レシピを見るまでは破かないように気をつけなくちゃ。ああ、でも加減が難しいわ」
 なるべく多くのレシピを探せるようにと、注意深く敵を攻撃する。けれど危険の種は潰しておかねばならない。
「なるべく残しておきたいけど、暴れる本は壊しちゃうわね」
 ウレルトは特に活きが良くバタバタ跳ねる書物の魔物をギュッと握って潰し、活動を停止させるのだった。

「このあたりの本はおとなしくなったみたいね」ウレルトが周囲を確認して言った。
 下階から上階へ登ってくる書物の魔物達の動きは途切れたようだ。こちらの様子をうかがっているのかも知れないが、辺りに書物の飛ぶ音は聞こえなくなっていた。

 さて。
 激しい戦闘だからこそ仕方がないのだが、猟兵達の前に広がるのは、紙という紙が散乱し、まるで巨大な本棚がひっくり返ったような光景だ。
 猟兵達は顔を見合わせ、すべき事を悟ると、散らばったレシピを手分けして拾い集めることにした。


 レシピを燃やさぬように書物の魔物に有効であろう炎を禁じ、風の力を使ったウォルター。もしページが切れたとしても、接着して解読できる筈。彼はそこまで考えていた。
 目に止まった紙片を集めていくと、ノート一冊分程の量が手に入った。とはいえ一応内容を確認しておこうかとウォルターは一番上のページに目を通す。

「『虹色リンゴの作り方』?これはゲテモノの予感がするでありますが……」
 訝しがるウォルター。しかし妙に気になる見出しに、ついつい続きを読んでしまう。

 ――七花の精霊から祝福を受けた果実は、食した者に幸運をもたらすと言われています。虹色を宿したリンゴは優しい甘さと口当たりの良さから、お子様や女性にも人気です。下ごしらえができましたら、次のページに書かれた呪文を唱え、七花の精霊に味付けを頼みましょう。
 
「以外にもきちんとした内容でありますな……肝心の続きは、どこでありますかな?」
 集めた紙片をパラパラと捲り、続きを探して内容を流し読みするウォルターの動きが不意に止まる。
「……ほう、このページは家庭料理の極意……あっ、これも気になるところで続きが無いであります!……ん、なるほどこれは面白い」
 本棚の整理をしているとつい目に止まった本の内容を追いかけてしまい手が止まってしまう。そんな現象に陥ってしまったことはないだろうか。
 今読む必要はないと解っているのだ。あとでゆっくり読めば良いと解っているのだが、レシピ達はしばしばウォルターを誘惑するのだった。


「楽しそうな名前のレシピを集めてみましょ」
 ウレルトは書かれた内容に目を通しつつ、物柔らかな所作で落ちた紙片を拾い集めていく。
「この『ポンポン苺タルト』は、キラキラ光ったりパチパチはじけたりするのかしら」
 名前を読んでいるだけでも、見慣れない内容が並んでいて楽しさがある。

 書かれた時代も様々な、骸の海に沈んでいる筈の遺物。
 古びた紙の表面を撫で、よれてしまったページを伸ばして直したりしていると。 

 ひらひら、ぱさり。

 まるでウレルトの元へ吸い寄せられるように、天井から一枚のページが落ちてくる。
 風に飛ばされ引っかかっていたのだろう、手を出して受け止めると、そこには星空を写したようなスープの絵とその作り方が書かれていた。
「『星躔のスープ』ね。どんな料理かワクワクするわぁ」
 牛頭のおばさまは、穏やかに微笑みながら想像を膨らませるのだった。


 鳥獣戯画はなるべく図版の多いレシピを優先して拾っていた。
 みっちりと文字ばかり羅列してあるものを避け、紙束の山を選り分ける。
 さらに鳥獣戯画には、食べたい物があった。

 折角の魔法学校だ、できれば見たこともないような学食が良いな!!
 こう、青い、カレーとか。

 老若男女を虜にするカレーは、そのスパイシーな香りだけでも食欲を刺激する一品だ。
 そんなカレーを持ち帰ることができれば、猟兵の帰りを待っているであろう生徒達も喜ぶかも知れない。
 だが、多種多様な幻想的レシピがあるといえども果たして青いカレーは存在するのだろうか。
「おお!あったぞ『あおぞらカレーの作り方』!ベージまで青いから集めやすいな!!」
 あったようだ。

 青色のページを集めてみると、大きな文字と手描きらしき絵が書かれていて、まるで絵本のようだった。
 子供向けに書かれたようなそのレシピには味についての記述はなく、ただ最後に『栄養たっぷり召し上がれ』と書かれており。ページから仄かにお日様の匂いがしたという。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

アルフレッド・モトロ
【ワンダレイ】の皆にお土産で持って帰るか!腹を空かせた仲間達が俺を待っている!!

UC【航路照らす光明】で辺りを明るくしてレシピを探しやすくするぜ!

魔物っつっても結局紙だろ!?
【野生の勘】で攻撃を避けるかシールド【プロトステガ】の【カウンター】で跳ね返しつつ
【ワンダレイ・アンカー】を最大まで【力溜め】てから振って、風圧で【吹き飛ばし】だ!!
吹き飛んだ書物からゆっくり悠々、レシピを探そう。

たくさん持って帰って【飛空戦艦ワンダレイ】の皆に料理を振る舞いたいんだ!

おっと、尻尾の炎で本を燃やさねえように注意しねえとな!

(アドリブ歓迎です)


ポーチュラカ・ハイデルベーレ
【ワンダレイ】と行動するであります!

アルダワの未知なる料理…!
レシピがあれば艦長どのが作ってくれるのでありますよね?ね?
それにレシピを見ながらであればポーチェの失敗も減るはずであります!

《WIZ》
アルフレッド艦長の吹き飛ばしに便乗して、UC【鈴蘭の嵐】で攻撃と目眩ましをするであります!
攻撃を受けそうになったら【オーラ防御】をするか、艦長どののシールドにちゃっかり隠れるであります。

そして、武器【聖者の御旗】による【気絶攻撃】で書物の魔物をはたき落としてやるのでありますよ!!

艦長どのが照らしてくれるそうなので、落ちた書物の魔物からお肉料理とかお菓子とかのレシピを探すであります~


ネージュ・ローラン
【飛行戦艦ワンダレイ】の皆さんと参加します。

レシピの魔物ですか。
料理のレパートリーを増やす為にも頑張りましょう。

力を溜めている仲間を庇うように前に出て、ヴェールを使って舞い、【絶対零度の霊衣】で相手の攻撃を弾きながら少しずつ近付いていきます。

「あまり見ないで下さいね?」
接近したらスカートの下からシークレットダガーを取り出し、魔物の表紙を地面に縫い付けて動きを封じようとします。

うまく封じられたらレシピを探しましょう。
暴れるようなら攻撃を捌きながら【盗み攻撃】でページを切り取ってしまいます。

できれば大人数のパーティー等に使えそうなレシピが良いですね。



 束の間の静けさを破るように、紙が風を打つバサバサと騒がし気な音が遠くから聞こえてくる。
 猟兵達は即座に戦いの体制を取り、各々動き出す。
 見る間に迫ってくる書物の魔物の群れ、半数を失った紙束は最後の猛攻を仕掛けようとしていた。


 そこへ駆け付けたのは、飛空戦艦ワンダレイの乗組員だ。

「レシピの魔物ですか。料理のレパートリーを増やす為にも頑張りましょう」
「アルダワの未知なる料理…!レシピがあれば艦長どのが作ってくれるのでありますよね?ね?」
 ネージュ・ローラン(氷雪の綺羅星・f01285)は微笑み、ポーチュラカ・ハイデルベーレ(六翼の聖獣使・f01720)は期待を込めた目を艦長へ向ける。アルフレッド・モトロ(蒼炎のスティング・レイ・f03702)は任せておけと言うように笑ってみせた。
「ワンダレイの皆にお土産を持って帰るぞ!腹を空かせた仲間達が俺達を待っている!!」

 辺りに響くような大きな声で告げれば、戦いが始まった。

 紙束の群れは、目立つ個体に狙いを定めた。
 動きを合わせてうねるように飛びながら、ワンダレイの三人目掛けて一斉に襲いかかる。
 ベールを翻したネージュ、オーラ防御で身を守るポーチュラカだったが、アルフレッドの左手袋が光り、ビームシールド『プロトステガ』が攻撃を防ぐ。カウンターを繰り出しがら、アルフレッドは戦局を読む。そして。
「少し時間が欲しい。頼めるか、ネージュ」
 信頼が込められたその言葉にただ頷き、シルクのベールを翻してネージュは躍り出る。軽やかに舞うその姿は、まるで雪色の蝶のようであった。
「アナタの技、この舞で凍らせてみせましょう」
 敵へと静かに言い放ち、攻防一体の踊りを踊って、クルリ、クルリ、と体を回しながら絶対零度の霊衣で書物の魔物が放つ攻撃を弾いていく。
 しばらくすると攻撃が通らぬことに苛立ちを感じたか、書物の魔物は距離を取るように後ろへと引いた。
 けれど、こちらの時間稼ぎはもう十分だった。口元に笑みを漂わせて、ネージュは背後に守っていた仲間へと合図を送る。
「さあ、今ですよ」

「魔物っつっても結局紙だろ!?」
「はたき落としてやるのでありますよ!!」
 力を溜めていたアルフレッドが、船の錨ワンダレイ・アンカーを鎖を掴んでぶん回す。
 ポーチュラカは、その攻撃に合わせて己の武器を変じ準備していた鈴蘭の花を一斉に飛ばした。小さく可憐な白き花は、嵐となって乱れ飛び、敵を目眩ましする。
 こうなっては避けようもなく、横殴りに巨大な錨を叩き込まれた書物の魔物達は、あえなく吹っ飛ぶのだった。


 渾身の力を受けて吹っ飛んだ書物の魔物達は、壁に激突し、中にはめり込んでいる本もあった。
 魔物相手にやりすぎではない。ただ、紙は意外と吹っ飛んでしまったのだ。

 聖者の御旗を伸ばして上の方に張り付いた書物の魔物をはたき落とすポーチュラカ。
 落ちてきたレシピを確認しながら、お肉料理やお菓子のレシピを中心に探す。
「レシピを見ながらであればポーチェの失敗も減るはずであります!」
「期待してるぞ、ポーチェ。でもそれはちょっとやめとこうぜ!」
 アルフレッドは苦笑いしながら『ミラクル豪華王宮料理大全』と書かれた本をそっと取り上げる。金色のインクで綴られた文字からして、なんだか材料費が馬鹿にならない感じが、した。
 とはいえ、量は沢山ある方が良い。それも一応持って帰るために集めたレシピの山に積み上げる。
「この『小鬼親方の金貨鶏』、『花綵クッキー』も持って帰るであります!」
「ああ、たくさん持って帰って、飛空戦艦ワンダレイの皆に料理を振る舞ってやろうぜ!」
「できれば大人数のパーティー等に使えそうなレシピが良いですね」と、ネージュも頷く。
 彼等の目的は仲間に料理を持ち帰ること。
 船にいる仲間たちの事を思い浮かべ、レシピを集めていく。

 けれどここは迷宮、油断はできない。まだ動ける書物が残っていたのか、暗がりから飛び出した一冊がネージュに襲いかかる。
「あまり見ないで下さいね?」
 誰にともなく呟く。その美しさに見惚れてしまった者がいたとしても、当然だろう。透けるようなベールを重ねたスカートが波のように揺れた。次の瞬間、ネージュの手には隠し持っていたシークレットダガーが握られ、接敵した書物の魔物を刺し貫く。
「『魔女鍋巨大グラタン』ですか、このままページを切り取っておきましょう」
 ネージュはそのまましっかりレシピを回収した。

 一連の出来事に眉根を寄せたアルフレッドは、迷宮内の薄暗さを払うことを思いつく。
「よし、俺に任せろ!――照らせ、我らが同胞を! WONDER-RAY、それは…「奇跡の光」!!」

 アルフレッドのユーベルコード【航路を照らす光明】が、周辺を眩く照らした。
 その光は迷宮の奥まで照らしだす、だから、彼等は気づいたのだ。

 不気味な影が、すぐそこまで翼の音も立てずに近づいていた事に。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『叡智の守護者』

POW   :    叡智の封印
【翼から放たれた羽】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
SPD   :    叡智の斬撃
【鉈】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
WIZ   :    叡智の風刃
レベル×5本の【風】属性の【羽】を放つ。
👑17
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠マユラ・エリアルです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 光に照らされ巨大に浮かび上がる影を背に、軍服に身を包んだ片翼の梟人が立っていた。
 その気配に彼がオブリビオンの怪物であり、そして予知されていたフロアボスだと猟兵達は悟る

「ホオ。上階への侵攻は阻まれてしまいましたか、やれやれ困ったものだ」

 猟兵達の視線が集まる中、梟は悠然と口を開いた。

「私は叡智の守護者と呼ばれる者。この迷宮を荒らし、知識を持ち出す者を断じて許さぬ者。そして何より君達は私の怒りに触れてしまいました。決して許すことのできない罪です。そう、もう解っていますね」

 叡智の守護者の口調が、徐々に苛立ち気なものへと変わる。理性で押さえつけていた感情が溢れてくるのが伝わってくるような、怒気をはらんだその瞳は猟兵達の握る紙片を見据えている。

 そして大きく一度息を吸い込み、一喝。

「この食いしん坊猟兵共!私の秘蔵レシピコレクションを返し給えーーー!」


 レシピを奪い返そうとする叡智の守護者を倒しましょう。
 先に倒した書物の魔物を統括していた叡智の守護者は、レシピの事は何でも知っています。
 集めたレシピの詳細を尋ねてみると、ポロッと口を滑らせるかもしれません。
須賀原・あすむ
このレシピの守護者ってことはこのレシピの食材とか知ってるかも!これはチャンス!!

まずは応戦しつつこれだけのレシピを集めたことを褒めて上げます
敵がいい気分になったらレシピの食材を聞いてみます。
「この火焔竜のソースって何でできてるのかな?この料理の一番のポイントそうだけど」
「黒猫女王の魚ってどこでとれるのかな?あと作るところで注意するポイントとかあるかな?」
一通り聞いたらドラゴニアンチェインを撃ち込み拘束していきます。
「このレシピは他のところにも広めさせてもらうよ!アレンジもいるかもだけどね!!」



 (このレシピの守護者って事は、このレシピの食材とか知ってるかも!これはチャンス!!)
 現れた叡智の守護者が、レシピの所有者だと知り、逸早く反応したのは須賀原・あすむ(ファントムブラック・f03833)。
 怒りの声を上げて、風の力を込めた羽を飛ばして猟兵へ攻撃を仕掛けた叡智の守護者へと、ドラゴンオーラを放って攻撃をしのぎながら声の届く距離まで近づいていく。
 叡智の守護者は接近するあすむに気がつくと、後ろ手に持っていた鉈を抜いて迎え撃った。あすむは黒剣で斬打を受けながら、相手に聞こえるようにはっきりした声で言った。
「これだけのレシピを集めるなんて凄いな」
 その瞬間、毒気を抜くような発言に叡智の守護者は、面食らったようにぱちくりと、大きく瞳を瞬かせる。あすむにどのような思惑があっても、コレクションへの賛辞は収集家の心を揺さぶり、興味を引いた。
 だがそれで攻撃が止まるわけではない、フロアボスたる災魔は容赦なく鉈を振るい、少女の命を奪わんとする。鋭い一撃を身を捻って躱し、あすむも臆することなく剣で反撃した。あるいはこれも、戦場での会話なのかもしれない。
「どれも面白そうなレシピばっかりだった。キミはセンスがあるね」
 近くにいた者は、攻撃の合間、叡智の守護者が時折口を開きかけ、あきらかにあすむの言葉に耳を傾けながら、そわ……そわ……と片翼を揺らしていたのを見たかもしれない。
「こんなに沢山のレシピ、見た事がないよ。ずいぶん苦労しないとこの量は集まらないんじゃない」
 手応えを感じたあすむは、更に言葉を重ねる。
「ここにある書物を全部読んだの?まさか内容も覚えていたりする?」
『――当然でしょう。ここにある全てのレシピを把握していますとも』
 叡智の守護者は、思わず声に出してしまったのだろう。得意げに返したその言葉の端々に、誇らしさが浮かぶ。あすむは確信の笑みを浮かべた。今がチャンスだと。
「へえ、本当に全部知っているなら訊きたいな。少しだけでいいから教えてよ、レシピのこと」
『ま……まあ、そうですね。どうせ貴方達はここで死ぬのですから。ここで少し質問に答えたとしても、結末は同じ事。問題はないでしょう……ええ』
 それは猟兵達に向かって、というよりは自分自身に言い聞かせるような言い方だった。
 あすむはその迷いを感じ取り、相手の決心が変わる前に素早く質問する。
「この火焔竜のソースって何でできてるのかな?この料理の一番のポイントそうだけど」
 料理人たる彼女は、店で出す料理を求めていた。味は勿論、材料の把握は重要だろう。
 そうした情報を得るために、わざと叡智の守護者おだてたのには違いないが、訊いた内容は真剣なものだ。
 攻撃の手をわずかに緩め、叡智の守護者は答えた。
『火焔竜のソースは、幾つかの香辛料を使って作ります。これらを手に入れるのは簡単でしょうが、ソースを作る時に使う火に、材料の一部を捧げなさい』
「捧げるって、燃やすってことだよね。そんなことに意味があるの?」
『火に宿る精霊に香辛料の味を覚えさせ、その火でソースを炙るのがコツなのですよ。火焔竜のソースを使った料理は熱を持ち冷めにくく、身体を温めると伝えられています。また独特の辛さがある為、酒が進むでしょう』
「それじゃ黒猫女王の魚ってどこでとれるのかな?あと作るところで注意するポイントとかあるかな?」
『ホォ、黒猫女王の魚パイですね?黒猫女王は、とある国にいたケットシー族の女王だったと云われています。彼女は魚が好物で、ある時自分が食べたことのない魚を見つけてくるように家臣達に命じました。けれども国中の魚を味わい尽くした彼女に出せる魚は見つかりません』
「じゃあ、黒猫女王の魚の正体はめずらしい魚って事?」
『いいえ。料理人は一計を案じ、数種類の魚肉と野菜を混ぜた具を挟んだ魚の形のパイを焼きました。そしてこれが女王さまの所望した魚でございますと言ったのです。パイで出来た魚を黒猫女王はたいそう面白がり。それからその国で黒猫女王の魚といえば、魚のパイの事になりました。注意点というなら猫好みの味付けのため、やや魚臭さがあることでしょうか』
「レシピというより昔話みたいだね。ようは魚のツミレみたいなものを包んだパイってことか。魚臭さは、ちょっと工夫したほうが良さそうかな」
 話は終わりとばかりに、叡智の守護者が鉈を打ち下ろす。しかしあすむは刀身で受け、火花を散らしてそれを弾いた。戦いを止めることなく、されども彼等は言葉を交わしていた。
「このレシピは他のところにも広めさせてもらうよ!アレンジもいるかもだけどね!!」
『ホォ、それは何とも許し難きことです』

大成功 🔵​🔵​🔵​

ポーチュラカ・ハイデルベーレ
引き続き【ワンダレイ】のみんなと一緒であります!
パパ(ウォルター)とも合流?であります?

パパ!?もー!抜け駆けはゆるさないのであります!
それから、そっちのレシピも教えるであります!!

戻ったらネージュどのとクッキーを作って、艦長どのに金貨鶏作ってもらうでありますから、レシピは渡せないのであります!!
とり?鳥………………じゅる。
ハッ……!?あのふくろうどのがおいしそうだとか思っていないでありますよ!?

《SPD》
【ライオンライド】で呼び出したライオンどのにふくろうどの(ボス)をおさえつけてもらい、自分はライオンどのに乗ったまま【聖者の御旗】で殴りまくるであります!


(アドリブ大歓迎です!)


ネージュ・ローラン
【飛空戦艦ワンダレイ】の皆さんと参加します。

ポーチェさんのお父様も来ていたのですね!

ダガーは出してしまいましたし、このまま接近戦、【空中戦】といきましょう。
【スカイステッパー】を駆使して相手の周囲を地上に空中に駆け回り、狙いを絞らせません。
そこからダガーによるヒットアンドアウェイで攻撃していきます。

決定力はありませんが、それはワンダレイの仲間やポーチェさんのお父様、他の猟兵に任せます。

戦いながら叡智の守護者に質問を投げかけてみましょう。
「あなたのイチオシのレシピはどこですか?」


アルフレッド・モトロ
ホーホーうるせえな!…はんっ、丁度いいぜ新レシピだ、焼き鳥にしてやらァ!
レシピを集めるのはこいつを倒してからでも遅くはねえ、覚悟しろ鳥野郎!
文字通り焼き鳥の刑ってワケだ!

親父さん(ウォルター)と合流する!
【ワンダレイ・チェイン】を使って【地形利用】だ。
本棚を蹴り上がって、恐らく飛んでいるであろうボスの近くまで跳ぶ。
【敵を盾にする】の応用で、鎖を巻き付けて、地面に引きずり落とすぜ!

UC【ブレイズフレイム】を使いながら少しずつ【力溜め】。
全開まで炎を纏った【ワンダレイ・アンカー】を【捨て身の一撃】でフルスイング!
ダメ押しに【二回攻撃】でもう一発くれてやる!

(アドリブ・絡み歓迎です)


ウォルター・ハイデルベーレ
●WIZ
使用武器:凪の枝(細身の青いルーンソード)
【ワンダレイ】と合流

うるせぇ!誰にも使われねぇレシピなんざレシピが可哀想だ!

っと、待てよ?
もしやお前、レシピの詳細や続きなんかも知ってたりするのか?

ほう……そうかそうか。
では、洗いざらい吐いてもらうであります。
顔が悪役っぽい?恐喝?失敬な。
猟兵として戦っているだけ……って、ポーチェ!?【ワンダレイ】も来ていたのか!

【殺気】を放ち、【先制攻撃】【フェイント】【2回攻撃】を用いたすばやい剣撃で牽制。
【高速詠唱】【全力魔法】を用いてUC【聖槍穿葬】で攻撃。
ボスの攻撃は【見切り】で、なるべく斬り払うであります。

(アドリブ歓迎)


ウレルト・ジュペル
少しくらいおすそ分けしてくれてもいいじゃない

近接で戦う人たちに合わせて前に出るわね
みんなの壁になるつもり
敵の攻撃は「武器受け」を使って受け流したり、避けたりするわ

レシピのお話で気をひけるかしら
他の人への注意が逸れるかもしれないし
けして食い意地がはってるわけじゃないのよ
『ポンポン苺タルト』は作るとき気をつけることはあるかしら?
『星躔のスープ』の隠し味はあるの?

大きい一撃がきそうなら「無敵城塞」で受けるわね
これなら痛くないもの
他の人がターゲットになっている場合は「かばう」で間に入ってから「無敵城塞」を使うわ
わたしを拘束してる間は少し隙ができると思うからそのあいだにズバーンとやっつけちゃってね



『許し難い』、その言葉に大きく反応した男がいた。
「うるせぇ!誰にも使われねぇレシピなんざレシピが可哀想だ!」
 威勢よく啖呵を切ったのはウォルター・ハイデルベーレ(歴戦兵・f06795)だ。
 きっと猟兵達がここで勝てなければ、レシピ達は再び迷宮の底で、誰の目にも留まらぬまま魔物として彷徨い続けるのだろう。
 彼自身、レシピを綴る事を好んでいた。だからこそ、書き手が伝えようとした知識や思いすら、封じようとする災魔への憤りは強く。
 沸き起こる感情を殺気に変えて放てば、叡智の守護者は忌々しげに彼を見た。
「っと、待てよ?もしやお前、このバラバラのレシピの詳細や続きなんかも知ってたりするのか?」
『だとしたら何だというのです』
「ほう……そうかそうか。では、洗いざらい吐いてもらうであります」
『ホホーォ。盗人が生意気な事を仰る』
 ウォルターへと攻撃対象へと移した叡智の守護者が翼を羽撃くと、無数の羽が舞い上がり風の刃を纏っていく、無数の刃となったそれがウォルターを切り裂かんと放たれようとした。
 だが、黄金色の巨体がそれを阻んだ。六の翼を持つ少女を乗せたライオンが、突進して叡智の守護者を地面に押し倒したのである。
 ウォルターの殺気に気を取られていたのか、ライオンに横から飛びかかられた叡智の守護者は床に転がり、巨大な獣の下敷きになった。
「ライオンどの!そのまま押さえつけてしまうであります!」
 ビシッと言いつけて、ポーチュラカ・ハイデルベーレ(六翼の聖獣使・f01720)は、ライオンから翼を広げて飛び降りると、ウォルターへと駆け寄る。
「パパ!」
「ポーチェ!?そうか、ワンダレイも来ていたのか!」
 ウォルターとポーチュラカ、二人は実の親子だった。思わぬ再会に驚く父にポーチュラカは、怒ったような表情を浮かべて詰め寄る。心配させてしまったのだろうかと、ウォルターの頭にそんな考えが過ったが。
「もー!抜け駆けはゆるさないのであります!あとで、そっちのレシピも教えるであります!!」
「抜け駆け……?い、いや、わかったでありますポーチェ。ほら、後でゆっくり読ませてあげるから、な?」
「約束でありますよ!」
 真っ先にレシピの事が一番に出る辺り、親子の似た面が現れている気がしないでもない。
 さきほどは猟兵として戦っている時だけ見せる、恐喝中の悪役を彷彿とさせる言葉や表情を浮かべていたウォルターだが。ぷんぷん。そんな擬音が似合うような娘の可愛い怒り方を前にしては、お父さんは少したじたじになる。
「よお、親父さん。こんなところで会うとは奇遇だな!」
「ポーチェさんのお父様も来ていたのですね!」
 そこへアルフレッド・モトロ(蒼炎のスティング・レイ・f03702)の快活な声が響き、横に並んだネージュ・ローラン(氷雪の綺羅星・f01285)と共に合流した。


『ホギャアア!離しなさいケダモノー!』
 その一方、ライオンの下でもがく叡智の守護者は、前足で抑え込まれたり噛み噛みされたりしながらも奮闘し、翼をばたつかせることで目眩ましを仕掛け、脱出を果たした。
『ハァ、ホォ、酷い目に合いました』
 肩で息をしながらも、体制を整えるために床を蹴って跳躍し、距離をとる。
 けれども降り立った叡智の守護者を待ち構えていたのは、ウレルト・ジュペル(砂漠の守護者・f11934)だった。味方の壁となるつもりでいた彼女は、敵の前に立ち塞がる。
『そこを退きなさい!』
 咄嗟に叡智の守護者は鉈を振るう。相手を跳ね飛ばすような一閃をスルリと流れるような動きで受け流しながら、ウレルトは相手の注意を引くような問いを投げかける。
「ねえ。『ポンポン苺タルト』は作るとき気をつけることはあるかしら?」
『気をつけることですって!それなら、完成した苺タルトが兎のように跳ねますから、ナパージュはしっかり塗りなさい。皿の上でよく跳ねたタルトは、一番おいしいのですよ!』
「『星躔のスープ』の隠し味はあるの?」
『隠し味というより、このスープは珍しい実を使います。藍鉄の実は小石のように硬い実ですが、スープにすると食べられるようになるのです。レシピに書かれた他の材料をひと煮立ちさせたら最後に藍鉄の実を入れ、その実が青く輝くまで茹でなさい!――貴方、絶妙な間とテンポで話しかけるのは止めて頂けますか!』
 そう怒りながらも饒舌になるのは何故なのだろう。
 それは、叡智の守護者が持つレシピへの愛着故なのかもしれない。
 尚更、それを他者と分かち合うことの出来ない災魔へ、ウレルトは静かな眼差しを向ける。
「レシピ、少しくらいおすそ分けしてくれてもいいじゃない」
『……絶対に渡しません!渡しませんよ!食いしん坊さんめ!』
 それは独り占めをするわがままな坊やに言い聞かせるようなやり取りに似ていた。
 けして食い意地がはってるわけじゃないのよ。ウレルトはいたずらっぽく笑ってみせた。

 鉈による攻撃をひたすら受け流し続けていたウレルトは、頃合いを見てその身体を無敵城塞によってほぼ無敵の状態とした。代償として、この力を使う間は動けなくなるが、彼女の影は死角を作り出す。
「あなたのイチオシのレシピはどこですか?」
 叡智の守護者が反応できない素早さで、ウレルトの背後からネージュが飛び出してくる。ダガーで叡智の守護者の肩を鋭く刺し、深追いはせずにそのままウレルトを連れ空中を蹴って後ろへ下がった。

 ネージュが着地した場所には、地獄の炎を燃え上がらせるアルフレッドが立っている。
 さらに少し離れたその横には高速詠唱で魔法を使おうとするウォルターとライオンに跨がり御旗を掲げているポーチュラカの姿があった。
「戻ったらネージュどのとクッキーを作って、艦長どのに金貨鶏作ってもらうであります!!」
 手に入れたレシピを使っての計画を練るポーチュラカの顔には楽しげな笑顔が浮かんでいる。けれども途中でなにかに気がついた彼女は、その瞳を叡智の守護者へと向けた。
 鶏?とり?鳥……鳥だ。あのふくろうどのも鳥……。
「………じゅる。ハッ……!?あのふくろうどのがおいしそうだとか思っていないでありますよ!?」
 一応自分で否定はしているものの、少女の捕食者めいた視線に叡智の守護者はかつて無い恐怖に毛を逆立てた。心なしかライオンも同じ事を考えている気がする。小さく震え首を横に振りながら後ずさり。
『ホォォ!そんな目で私を見るな!近寄るな食いしん坊共!』
 怯える叡智の守護者をアルフレッドは鼻で笑い飛ばした。
「ホーホーうるせえな!……はんっ、丁度いいぜ新レシピだ、焼き鳥にしてやらァ!」
『私がレシピにされるだと!?』
「レシピを集めるのはこいつを倒してからでも遅くはねえ、覚悟しろ鳥野郎!文字通り焼き鳥の刑ってワケだ!」
 アルフレッドは傷跡から吹き出す火を限界までワンダレイ・アンカーに纏わせ、フルスイングで燃える錨を投げ放つ。
 最大限に力を込められたこの攻撃が当たればひとたまりもない事は明白だった。片翼を広げ飛んで避けようとした叡智の守護者だったが、その瞬間、動きを縫い止めるように光り輝く聖なる槍がその身体を貫く。
「とっておきだぜ?」魔法を放ったウォルターは口の端を吊り上げた。
 鉄と火の塊が、為す術もない叡智の守護者を焼き尽くす。

 火に焼けて黒く焦げた一帯を確認していたウレルトとネージュは、倒れている叡智の守護者を見つけた。ネージュはダガーを振り下ろそうとして、それを止める。もうとどめを刺す必要は無かった。
『……先程、訊きましたね。イチオシのレシピはどこかと……全てですよ。私が集めたレシピ、その全てが宝であり自慢でした』
 叡智の守護者は、幽かな声で言い残すとその命を終えた。


 こうして魔法学園に迫っていた危機は退けられ、思い思いに集めたレシピを抱えて猟兵達は、アルダワ魔法学園へと帰還するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『アルダワ的調理実習』

POW   :    レシピなんて見なくても気合いと間隔で料理できるさ!

SPD   :    料理もスピードがいのちだよね!

WIZ   :    料理は科学だ。正確に計量して料理する、

👑11
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 学園の教師や生徒の協力もあって、レシピの解読や材料の準備は順調に行われました。
 必要なものは何でも揃っているでしょう。
 料理が苦手なら、教師や他の生徒の手を借りることもできるでしょう。
 レシピ通り忠実に料理をしてもいいし、自分なりのアレンジを加えたりするのも良い。
 そしてときには味見をしたりするのも大切です。
須賀原・あすむ
POWで判定

まずは黒猫女王のパイを3種作ります。
ひとつはレシピ通り
二つ目はサルサソースとタコ、湯引きした魚を更にチリソースで辛くしたもの。
三つ目は鮭など煮るのにむいた魚を加えたクリームソース

火焔竜ソース作りに必要な火の精霊の扱い方、別世界でも作れるかを教師や生徒に聞きます
「このソースの重要ポイントだよね」



 須賀原・あすむ(ファントムブラック・f03833)の調理がはじまると。
 通りがかった生徒や教師は足を止め、興味深く見守った。
 こころなしか、ケットシー族の者の姿が多いだろうか。

 あすむは焼き加減を見て、オーブンからパイを取り出す。
 まずは黒猫女王のパイを三種類。

 ひとつ目は、レシピ通りに作った。
 細かく刻んだキャベツやニンジンなどを、すり身にした魚と混ぜ合わせ。
 ハンバーグ状にした具をパイ生地に挟んで焼く。
 つみれのふわっと柔らかい食感が楽しめる、栄養と魚の旨味たっぷりのパイ。

 これをベースに、あすむはアレンジを加えた。

 ふたつ目は、湯引きした魚をチリソースで和えた具に、タコのサルサソースをかけたパイ。
 これはまずパイの中から溢れるソースの赤が、食欲をそそった。
 スパイスの効いた香りは、一度嗅げば思わずかぶりつきたくなる。
 具の魚をぶつ切りにして、タコや魚の食感を残したこのパイは、シーフード好きにはたまらないだろう。

 みっつ目は、鮭や鱈を使ったクリームソースのパイ。
 あすむはこのパイに、煮るのに向いていて、クリームにも合う魚をえらんだ。
 とろとろのクリームソースは、チーズとミルクをたっぷり使っていて。
 まろやかな口当たりは、小さな子供にも好まれそうだ。
 シチューポットパイにアレンジしても、おいしいかもしれない。

「うん。焼き時間はいいな。こっちは少し胡椒を足してみようかな。これはパセリが合いそう」
 料理の味をみて、気づいたことをメモしていけば、それはもう彼女のレシピ。

 あすむは次の料理に取り掛かった。
 聞いた通りに火にスパイスを入れて、鍋をかける。
 パチリ! 大きな音を立てて火が爆ぜて。

「火焔竜ソース作りに必要な火の精霊の扱い方って、他の世界でも使える?」

 近くでそれを見ていた教師や生徒達にむかって尋ねると、
 これは興味深い話題が持ち上がったと、学術論に花を咲かせ始めた。

『精霊術が使える世界ならば、使えるはずですよね』
『フウム、しかし異世界の事となると結論を急いでは』
『パイ食べたいにゃあ』
『わたし、参考になりそうな本を持ってきます!』

 ちょっとした議論を交わし、談笑する人々の顔には笑みが浮かんでいる。
 そこはまるで居心地の良い店のような雰囲気。

「このソースの重要ポイントだよね」
 それは、そこにはいない誰かに語りかけるような呟き。
 火焔竜ソースを一匙すくって味をみると、胸の中にじわりと火が点るような、不思議な心地がした。
 赤い火の中に、ほんの一瞬、竜の姿が浮かぶのが見えただろうか。

 あすむは小さく笑い、鍋を振るった。

 おいしい料理とよいマスターがいる店には、自然と人が集まるもの。
 ご相伴に預かった者達は、あすむがバーをやっていると聞けば瞳を輝かせ。
 叶うならば彼女の店を訪ねたいものだと、口々にささやき交わすのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ウレルト・ジュペル
とうとうこの日がやってきたのね!
学園迷宮に眠っていたレシピ、どんな味がするのかしら?

でもわたし料理は苦手なの
クックちゃん得意だったら手伝ってくれない?
レシピはね『星躔のスープ』にしようと思うの
2つ作るのは難しそうだから
『ポンポン苺タルト』のレシピは学園のみんなにお任せするわ


【WIZ】
調理はレシピ通りに

ええと月呑貝と晶鱗魚を煮立たせて
最後に藍鉄の実を入れるんだったわね
出来上がりの目安は青く輝くまでだからもう少し?
どうしよう、味見してみようかしら
クックちゃんも一口お願い
わたしだけじゃ不安だもの

わぁ~深いコクがあって胸に凍みていくような…
なんでかしらとても懐かしい味がするわ
クックちゃんはどお?



「とうとうこの日がやってきたのね! 学園迷宮に眠っていたレシピ、どんな味がするのかしら?」

 このときを楽しみにしていたウレルト・ジュペル(砂漠の守護者・f11934)はあたりを見回した。
 すでに調理を始めているグループが何組か、殆どはここの生徒達だろう。
 レシピを読んで面白がるように笑っていたり、難しい顔で首をひねる者もいる。

 耳をすませば生地をこねる音、野菜の皮を剥く音、スパイスを挽くガリガリした音が聞こえて。
 まるで祭りのような賑やかさ。
 そんな調理実習室の中に、見覚えのある影を見つけて、ウレルトは手招きをした。

「わたし料理は苦手なの。クックちゃん得意だったら手伝ってくれない?」
「まかせて、ウレルト殿。なんでも手伝うぞ!」
 頼りにされたことが嬉しいらしく、駆け寄ってにょきっと手を上げてやる気を示すクック。
 ウレルトはその様子に、金色の双眸を細めて微笑んだ。

「レシピはね『星躔のスープ』にしようと思うの。2つ作るのは難しそうだから、『ポンポン苺タルト』のレシピは学園のみんなにお任せするわ」

 手に入れたレシピを調理台のテーブルの上に置いて、手順を確認する。
 調味料の分量を計ったり、鍋の火加減をみるのはウレルトが担い、クックは魚をさばくような刃物を使った作業を申し出た。

「ええと月呑貝と晶鱗魚を煮立たせて、最後に藍鉄の実を入れるんだったわね」
「うつくしい魚と貝だ。……でもその実は地味だな?」
「ふふふ」詳しいことは後のお楽しみにと、ウレルトは秘密めいた笑みを浮かべる。

 晶鱗魚は水晶の鱗をとって、透き通った身を丁寧にさばく。
 鍋に白ワインと、砂抜きをした月呑貝を入れて中火で煮込み。
 沸騰してきたらアクをとり、晶鱗魚の切り身をくわえたら。
 最後の仕上げだ。

「出来上がりの目安は青く輝くまでだからもう少し?」
 黒い鉄鍋の中でフツフツと煮立つスープからは、だんだんと美味しそうな匂いがしてくる。
 けれど、藍鉄の実にはなかなか変化がみられず、具材の中に沈んだ小石のようなままだ。
「どうしよう、味見してみようかしら。クックちゃんも一口お願い、わたしだけじゃ不安だもの」
「やった! 味見は得意なんだ」

 匙で鍋からスープを掬ってみようとした、その時。
 あぶくに混じってほたるびのような青白い光が浮かんだ。見間違いかと思うような小さな輝きは、次第に強く青色を増していく。火が通ったのか、誘われるように他の藍鉄の実もぽつぽつと輝きだし、浮かび上がる。
 その様子を、二人はジッと見守った。
 きがつけば鍋の中には星躔の名にふさわしく、星を散りばめた空のようなスープが出来上がっていた。
 殻をひらいた月呑貝は呼応するように白月の色を帯び、火を通した後も透き通ったままの晶鱗魚が輝きに照らされて煌めく、まるで宝石が沈んだ海を星が泳いでいるようだ。
 どちらともなく、感嘆のため息を零し。スープの上澄みを掬って、一口にふくむ。
 ウレルトはゆるゆると笑みを綻ばせた。
「わぁ~深いコクがあって胸に凍みていくような……なんでかしらとても懐かしい味がするわ」
 クックちゃんはどお? 尋ねれば、幸せを噛みしめるような顔で何度も頷くクック。
「キラキラのファンタジック。ああ、すごくおいしい。キラキラだ」

 スープの盛り付けはどうしようか、そんな相談をしていると。
 向こうで大きな声が上がった。騒ぎの出処を探せば、なにかを捕まえようとしている生徒の姿。
『タルトが跳ねた!』
『お皿! はやくお皿にのせて!』
『なんでこんなに跳ねるのよ』
『やっぱり綿雲の砂糖を入れすぎたんだよ!』
 慌ただしげに駆け回る生徒の影から、ポンポン跳ねるタルトが見える。
 あれは『ポンポン苺タルト』にちがいない。
 なぜか、誰かが喚び出したらしきうさぎさんも、一緒にポンポン跳ねている。

 あらあら。
 ウレルトは目を丸くして、生徒達に手を貸そうと調理台へ向かった。
 よく跳ねるタルト程おいしいという言葉が嘘じゃなければ、あのタルトはきっと素晴らしい味がするだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ネージュ・ローラン
【飛空戦艦ワンダレイ】の皆さんと料理です。
【WIZ】で火や水の精霊さんの力を借りて料理します。

ここに来ていない団員の為にも美味しい料理を覚えて帰りますよ!

ポーチェさん大丈夫ですか?火を使うときは呼んでくださいね。
艦長は本当にレシピの内容分かっていますか!?

ですがわたしも『魔女鍋巨大グラタン』を作るのに忙しくて、おそらく全てを見ることはできないでしょう。

あとは、他の猟兵さんが見つけていた青い『あおぞらカレー』も少し気になってしまいますね。


アルフレッド・モトロ
【ワンダレイ】の皆で調理実習開始!

そうだなあ、ポーチェのリクエストにお応えして『小鬼親方の金貨鶏』を作ろう!
えーっとこいつぁどうやって作るんだ?なになに?…うーん分からんぞ!
はっ、こんな時は【野生の勘】だ!
「ふふはは!元野生児を舐めるな!」
と、鶏を捌いて【気合い】と感覚でバリバリ料理を作っていく。ブレイズフレイムでローストしたり。

実は料理は得意なんだ!

あの梟がちょっと気になるなあ。
レシピを集めてたみたいだが、作ったことは無かったのかもしれん。
「影膳みたいなもんだな」と出来た料理を小皿に少しよそって、骸の海に還ったであろう、今は亡き梟の冥福を祈ろう。素晴らしいレシピをありがとう、梟。


ポーチュラカ・ハイデルベーレ
引き続き【ワンダレイ】と一緒であります!

ワンダレイの厨房では、ケーキやカラアゲから火柱を出したり、野菜と間違えてマンドラゴラを使ったり、ミートソースを噴火させたりしたでありますが、今回はレシピがあるであります!
がんばるでありますよー!

《SPD》
やはり手際の良さは大事でありますからね! 【もふもふマーチ】で動物さんを呼び出して、お手伝いしてもらうであります! 『ミラクル豪華王宮料理大全』も気になるでありますが……『花綵クッキー』なら、艦のみんなさんにもおみやげでもってかえれるでありますかね?

他の方のも美味しそうであります……!ひ、ひとくち……!


ウォルター・ハイデルベーレ
WIZ
自分の味っていうのも大事だが、まずはレシピ通りに作れなきゃアレンジのしようもないからな。計量はきっちりと!

ふむ……この『虹色リンゴ』、どのような味か気になるでありますな。
まずは『虹色リンゴ』を作り、それを使った料理を試作してみるでありますかね。

うちのキャラバンは女性が多いから、お菓子が良いでありましょう。
だが、アップルパイはこの前出したし……うーむ。

そういえば、もうすぐチョコを送り合う時期でありましたな。
チョコを作ったことはないが、リンゴ風味というのも……

とりあえず持ち帰ったレシピを探ってみるでありますか。

ポーチェが少し心配だが、仲間が居るなら平気でありましょう。構いすぎは嫌われる……



 うさぎさん、ひつじさん、こぐまさん。それからライオンさん。
 動物たちがいるのは、飛空戦艦ワンダレイの面々が揃う調理台だ。
 
「やはり手際の良さは大事でありますからね!  動物さんたちにも、お手伝いしてもらうであります!」
 ポーチェに喚び出された動物さんたちは、ふわふかもこしながら「ご飯だー」な顔をしている。
 魔法学園の人たちは、その光景を二度見し、立ち止まり、なごんだ。

 火の傍ではネージュ・ローラン(氷雪の綺羅星・f01285)は『魔女鍋巨大グラタン』の鍋を煮込んでいる。
 底の深い鍋にグラタンの材料を入れ、クリームソースと一緒に鍋で焼くこの料理は、とにかく混ぜることが大事らしい。長い木べらを静かにゆっくりと回す。
 自分の作業もこなしつつ、仲間へのフォローも必要ならば手を貸そうと、ネージュはポーチュラカへ声を掛けた。

「私は火や水の精霊さんの力を借りて料理します。ポーチェさん大丈夫ですか?火を使うときは呼んでくださいね」
「ありがとうであります。ネージュどの! でもまずは動物さんたちとがんばってみるでありますよ!」
「そ、そうですか?」
 果たして、動物さんたちは料理の手伝いができるのであろうか。
 周りの心配をよそに、ポーチュラカはレシピをめくる。
「ワンダレイの厨房では、ケーキやカラアゲから火柱を出したり、野菜と間違えてマンドラゴラを使ったり、ミートソースを噴火させたりしたでありますが、今回はレシピがあるであります!」
 なにやら不穏なワードがならんでいるけれど、声は明るく元気いっぱいだ。
「『ミラクル豪華王宮料理大全』も気になるでありますが……『花綵クッキー』なら、艦のみなさんにもおみやげでもってかえれるでありますかね?」
 賛成するように羊さんがメェと鳴いた。

「艦長はなにを作るんですか?」ネージュは鍋を混ぜながらもう一人の仲間に尋ねた。
「そうだなあ、ポーチェのリクエストにお応えして『小鬼親方の金貨鶏』を作るぜ!」
 アルフレッド・モトロ(蒼炎のスティング・レイ・f03702)は、乗組員の期待に答えようと力強く答え、まずはレシピを読む。しかしすぐに、その眉間にはだんだんと皺がよっていく。
「えーっとこいつぁどうやって作るんだ?なになに?…うーん分からんぞ!」
 アルフレッドは、スッパリあきらめてレシピを机に置き、用意された食材を掴んだ。
「はっ、こんな時は【野生の勘】だ!」
 豪快に、鶏を毟っていく。料理は気合なのだといわんばかりに。
「艦長は本当にレシピの内容分かっていますか!?」
「まあ何とかなんだろ!」
 いろいろ察したネージュは、鍋からはなれて素早く『小鬼親方の金貨鶏』のレシピを片手に掴み、ザッと内容を確認して要点を艦長に伝える。急いでいたので、自然と声は張り上がった。
「艦長! 焼く前に輪切りにしたじゃが芋を鶏の腹に詰めて下さい!」
「おう! こうだな! よし……、次はブレイズフレイムでローストするぞ!」

 艦長のバリバリ調理が進む中、ポーチュラカが困った様子でネージュを呼ぶ。

「ネージュどの。クッキーが変な色になってきたのであります」
「いま行きます」

 火柱が出たり噴火するような事態にはならなかったものの、てんやわんやと慌ただしい調理風景になっただろう。詳しいことは省略するけれど、精霊さんたちは大活躍した。とだけ記させていただく。
 そして、奔走するネージュの鍋は、こぐまさんが代わりに混ぜていたので大丈夫だった。



 ワンダレイの乗組員たちから、離れた調理台では、ウォルター・ハイデルベーレ(歴戦兵・f06795)がレシピを確認し、なるべく正確に再現できるように調理の準備をしている。
 料理に慣れているためか、余念のないテキパキとした動作だ。
「自分の味っていうのも大事だが、まずはレシピ通りに作れなきゃアレンジのしようもないからな。計量はきっちりと!」

 あとでアレンジができるように、余裕を持ってリンゴは多めに用意。
 さまざまな花びらが入ったボウル(花の種類については細かい指定はなかった)に砂糖をまぶし。
 水で洗って皮を剥いたリンゴの果実を、皿の上にずらりとならべる。
 砂糖のかかった花びらを、レシピに書かれた図式に沿って並べていけば、次は呪文だ。

「これを探すのには苦労したでありますが、どれどれ」
 ウォルターは咳払いをすると、バラバラになっていたレシピの続きに書かれた呪文を読み上げる。

 呪文の内容は言葉遊びのような。
 出たら目な言葉の羅列のような。
 それでいて何処か遠い国の言葉のような響きがした。

 ふいに小さくさざめくような笑い声が、風と共にウォルターの耳元をすり抜ける。
 呼び出された七花の精霊がそこにいるのだろう。おぼろげな気配が揺れ。
 みるみる内に、リンゴの色が七色に染まっていく。
 なにか、光のようなものが触れて、色を付けていくようだった。
 
 ウォルターが瞳を瞬くと、並べていた花びらが消えている。
 仕事を終えた七花の精霊が持って行ったようだった。
「うん。すばらしい仕事でありますね」
 ウォルターはリンゴの見た目や味の変化を確認し、手帳を開くと綺麗な文字で詳細を書き綴った。
 そのまま食べると、瑞々しく甘酸っぱいリンゴの味だ。
 しかし、一噛みするごとにその味は変化する。
 七種類の飴を舌の上で転がすような感覚に、不思議と不快感はないが知らずに食べると少し驚きがあるだろうか。
 
 用意は出来た。ウォルターはこれを使った料理を作ろうと考える。
「うちのキャラバンは女性が多いから、お菓子が良いでありましょう。だが、アップルパイはこの前出したし……うーむ」
 仲間達に振る舞えるような、なにか良いアイディアはないものか。
 おりしも世間はバレンタインムードの真っ只中。それならば。
 
「そういえば、もうすぐチョコを送り合う時期でありましたな。チョコを作ったことはないが、リンゴ風味というのも……」
 リンゴのシロップ漬けをチョコレートで包んだもの。リンゴを使ったブラウニー。パンケーキに焼きリンゴとチョコソースをかける。等々。
 使い方は色々ありそうだが、せっかくの機会だ。
「とりあえず持ち帰ったレシピを探ってみるでありますか」
 自分達が持ち帰ったレシピはまだ残っている。その中にリンゴを使ったお菓子はいくつあるだろう。期待に胸が弾む。
 そこへ、のそのそ。と羊さんがやってきて、ウォルターの持つレシピの紙束をじっと見つめる。
「これは食べちゃ駄目でありますよ」
 かわりにとリンゴの皮をもらった羊さんは、嬉しそうにそれを食べる。
 おそらくポーチェの呼び出した羊さんだろう。
 連れて行こうかとも考えたが、しばらくすればポーチェの元へ帰るだろうと思い直す。

 ポーチェが少し心配だが、仲間が居るなら平気でありましょう。

「構いすぎは嫌われる……」
 仲間に囲まれたポーチュラカの様子を遠くから目に留め、ウォルターはひっそり微笑んだ。
 つぶやく声は、あたたかく優しい。



「色が変わったからおどろきましたが、そういうクッキーだったようでありますね!」
「焼くと蓮華の花のような形になりましたね。並べると、花綵に見えます」
 ポーチュラカとネージュは、焼き上がったクッキーをお土産用に取り分け、袋に詰める。

 お土産の分を残しても、仲間だけで食べ切れる量ではなさそうだ。アルフレッドたちは周りにいた者達へ声を掛け、席についた者には誰彼かまわず料理を振る舞った。
「『小鬼親方の金貨鶏』は早い者勝ちだ! 腹に詰めたじゃが芋が金貨みたいになってるのが見どころだぞ」
「『魔女鍋巨大グラタン』も食べてくださいね。おかわりは沢山……このグラタン、具材が鍋の中で大きくなるみたいで、本当にたくさんありますから」
 大盤振る舞いの豪気さに、他の料理を持った者達も集まってくる。
 そうなると宴になるのは時間の問題だった。

 実に多彩な料理の数々。肉料理に魚料理、スープにサラダに甘いスイーツ。

 ネージュが少し気になった『あおぞらカレー』は青い湯気を立て、珍しい料理の中でも異彩を放っていた。
 白いご飯がまるで雲のようにも見える。食べた生徒は『カレーの味です。クセになる感じがします』とのコメントを残したという。
 ポーチュラカの前には、いつのまにか七色リンゴのお菓子が置かれている。
 あとでこのレシピも見せてもらわなくては。とポーチュラカが思ったかは定かではない。

 その様子を眺めていたアルフレッドは、料理を少しずつ乗せた小皿を誰もいないテーブルの隅へ置いた。
「影膳みたいなもんだな」
 少し気になったのだ。あの梟はレシピを集めていたが、それを作ることは出来たのだろうか。
 迷宮の底では自由に材料を集めることもできないだろう。
 仮に料理ができたとしても、共にそれを食せるような仲間はいなかったかもしれない。

 骸の海に還ったであろう、今は亡き梟の冥福を祈ろう。
 素晴らしいレシピをありがとう、梟。

 アルフレッドは胸の中で祈り、空いている席へ腰掛けた。
 さあ、食事を始めよう。



 そうして、秘密のレシピは迷宮の底から外の世界へ飛び立った。
 秘密は秘密でなくなり。
 いつかまた、誰かの手に渡ることができるだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月24日


挿絵イラスト