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あいときぼうのものがたり

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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●ひとり、またひとり
 『あのお方』が来てから、どれだけの日々が過ぎたのだろう。
 毎夜丑三つ時に『あのお方』が上げる不気味な鳴き声は、確実に、無差別に、この町の住人の命を一人、奪っていく。無事朝を迎えることができた者たちも、明日は我が身やも知れぬと恐れおののくしかなかった。
 『あのお方』が何故このようなことをなさるのかは、まったくもって分からない。しかし、この世界では決して珍しいことではないのもまた事実で、動機を理解したところで町の誰もがどうすることもできないことを、無言のうちに察していた。

 ――ああ、今日もまた、夜が来る。
 明日の朝、冷たくなって見つかるのは誰なのだろう――?

●りふじんにいどめ
「どの世界も等しく守らねばならないが、こと此の世界については切実だ。……ダークセイヴァーについての予知だが、頼めるだろうか」
 虹色の星型のグリモアを片手に、ニコ・ベルクシュタイン(虹の未来視・f00324)がいつにも増して深刻な顔をして集まった猟兵たちに向けて語りかけた。集合時間を知らせる懐中時計を握る手には、心なしか力がこもっている。

「強力なオブリビオンが一体、とある町に目を付けた。其奴は『死を司るもの』とされ、町の人々を一晩に一人、其の力で以て戯れに殺し続けている。しかも、犠牲者の魂を集め自身の配下として侍らせて守りを固めているのだから手に負えない。最初は抵抗しようとした町の人々も、今はすっかり諦めきってしまっている。……オブリビオンの支配を、甘んじて受け入れているという訳だ」
 ここまで一気に話すと、ニコは眉間の皺を一層深くしてズレた眼鏡を一度直す。懐中時計を握る手には、相変わらず力がこもっていた。

「俺達猟兵としては、当然此の事態を見過ごす訳には行かない。だが、敵の恐ろしさを骨身に沁みて知っている町の人々は、俺達の介入によって事態が悪化するのではないかと危惧し、逆に『余計な事はしないでくれ』と制止にかかる可能性が、非常に高い」
 そこで、だ。ニコは人差し指をピンと立てて提案をする。
「先ずは皆には、町の人々の中から不安を取り払って貰いたい。正面切って説得したり、武勇を示すのは勿論のこと、何らかの手段で敵に対抗し得る技量を見せるも良し。筋道を立てて勝機が有る事を示したりで人々の心を動かしても良いだろう」

 人々の制止を振り切って強引に元凶を倒しに行っても極論構わないのだろう、しかしそれでは本来の意味で町の人々は救われない。オブリビオンの支配に囚われた心を解放することこそが肝要なのだとニコは言う。
「上手く町の人々を鼓舞して希望を示す事が出来たならば、其の時こそ真に打って出る時と心得て欲しい。道中は配下の死霊に道を阻まれるだろうし、元凶の『死を司るもの』も強敵と予想される。だが、皆ならきっと成し遂げてくれると俺は信じている」
 力強く言うニコは、そこでようやく自身が本体である懐中時計を無意識に握りしめていたことに気付くと、慌ててそそくさと懐にしまい込む。

「……個人的な話で済まないが、俺はめでたしめでたしで終わる物語が好きなのだ。かの世界はあまりにも救いが無く、何をしても焼け石に水なのかも知れない。しかし、其れでも、ひとつくらいはそんな終わり方をする未来を、見せてあげては貰えないだろうか」
 意外と口数が多い男なのだな、とその場にいた猟兵の誰かが思ったとか思わなかったとか、では早速と転送の準備に取りかかるニコは知る由もなかった。


かやぬま
 こんにちは、かやぬまです。今回はダークセイヴァーの世界からお届け致します。

●町について
 人口は約1,000人ほど、しかしオブリビオンの支配とその能力によって毎晩一人ずつ命を奪われており、いずれ人っ子一人いなくなってしまうのを今はただ震えて待つばかりという状況です。
 町長も既に犠牲となっており、町の代表者は年若い村長の息子が代理を務めています。父親を理不尽に殺された怒りと、町の人々を守らねばならない使命との間で揺れる複雑な立場に置かれています。

 説得にさえ成功すれば、後は心置きなく戦うことができます。皆様が紡ぐ「愛と希望の物語」を、楽しみにしております!
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第1章 冒険 『恐怖支配からの解放』

POW   :    熱心に説得する、武勇を示す

SPD   :    敵の偵察を察知して対処する、卓越した技量を示す

WIZ   :    人心を掌握する、勝利への道筋を示す。

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ライエル・シュヴァリエ
理不尽を見ると、その理不尽を砕きたくなるものだ。人々に希望を見せるためにも、まず戦う気になるよう説得しなければな。

町長の息子に会うとしよう。まずは纏め役の者の協力を得なければならないからな。説得の内容としてはこうだ。
「このまま座していても町は滅びるだけ、それは分かっているはずだ」
「町を、人々を守りたいなら結集して戦うしかない。そのためには町長代理であるお前がまず戦う姿勢を見せなければならない」
「理不尽に家族を奪われた怒りと悲しみを奴にぶつける気概があるなら、町人を護りたいなら、立ち上がれ」
「そのためなら俺達も力となろう」(覚醒せし黒剣で力を示し)

さあ、決めるのはお前自身だ。お前は、どうしたい?


ニルズヘッグ・ニヴルヘイム
ふはは、やはり最後は大団円、笑って終わらねば気が済まん。
命がそこにある限り、全ての希望が潰えたわけではないのだからな!

では、村人の心に希望を灯すための、【言いくるめ】といこう。
敵は我々の存在を察知していまい。亡霊どもの数は知れんが、奇襲できればこちらが有利である。
亡霊さえ蹴散らせば後は首魁が一体。囲んで叩くのみだ。
もちろん、貴様らが大まかな数を教えてくれるならば、それに越したことはないがな。
……貴様らとて、一矢報いたい思いがないわけではなかろう?

手遅れになる前に、少しでいい、我々を信じてはくれまいか。
信じてもらえるならば、必ずや悪を滅しよう。
この私こそが、愛と希望をあまねく世界に示す者である!


アルミィ・キングフィッシャー
…ああ、アタシはこの手の事件を「知っている」
あの眼鏡のお人好しみたいに「見た」からな。

顛末かい?
そりゃ「めでたしめでたし」さ。

こっちは一猟兵として気張らせてもらうさ。
そうだな、アタシは勝ち筋をちょいと調べてくる。
…彼奴等は強いが無敵じゃない。現にアタシらの仲間が倒してきている。
信じてみてくれよ。

領主館、或いは根城の近くで隠れて敵の数や行動パターンをチェックしておく。
少数になるタイミングや、向こうから死角になるポイントへ見回りする時間。要するに各個撃破がしやすい機を把握しておく。

あとは相手の強さも調べれればだが…。それは高望みか。

得た情報を元に戦術を立てて、それを分かりやすいように村長へ伝える。


セリオス・アリス
★アドリブ歓迎

1000人に一気に話すのは難しいだろうしな
まずは町長代理を説得する
ぐっと拳を握って物理の姿勢

最初は普通に町の人を説得してくれとお願い
…が、うじうじするようなら胸ぐら掴み

ああもうめんどくせえ
お前は
明日また大切な人が死んでも
自分の命が尽きても
不運だったね、仕方がなかったねと言うのか
お前の言う町の人を"守る"は
今お前が持っている怒りを
殺された奴らの無念を、この町の全員に味合わせる事なのか

そんなクソみたいな人生ならここで終わらせてやる

剣をすぐ横に突き立て
力を示すように剣に青い炎を纏わせる
相手を『鼓舞』するように声に力を込めて
まっすぐ目を見て

生きたければ抗え
声を上げろ
その為の力が――俺達だ



●りょうへいきたりて
 その日、町はちょっとした騒ぎになった。陰鬱な雰囲気が支配して久しかったこの町を、ざわめきが支配していたのだ。
「猟兵が来たって!?」
「ああ、さっき果物屋のトムが町長代理の所に案内したってよ」
「……余計な事をしてくれなきゃいいんだが……」
 町の人々の反応は事前の予知通り、あまり芳しいものではなかった。そんな中を、ライエル・シュヴァリエ(忘却の黒騎士・f11932)をはじめとした四人の猟兵が目指したのは、町長代理を務める前町長の息子――名をジュリアンという――の元であった。千人近い規模の住人を説得して回るのは難しいことと、ジュリアン自身も親を失い敵の親玉には思う所があるだろうと見てのことだった。

「町長の息子に会うとしよう、まずは纏め役の者の協力を得なければならないからな」
 ライエルは思う。理不尽を見ると、その理不尽を砕きたくなるものだ。人々に希望を見せるためにもまずは戦う気になるよう説得しなければと、真っ先に提案をしたのが彼であったのだ。
 そして、それに同調した者の一人がセリオス・アリス(ダンピールのシンフォニア・f09573)だった。やはりまずは町長代理のジュリアンを説得するべきだとしてやって来たのだが、会話も始まる前から拳を固めているのは気が急いている故だろうか。

 そうして町の果物屋に案内を受け、案内された町長宅で果たして猟兵たちが見たものは、目の下に色濃い隈を作った、恐らく実年齢よりも相当老け込んで見える青年の姿であった。彼こそが町長であった父親を『死を司るもの』に殺され、急遽代理として町の長として立つこととなった青年・ジュリアンである。ジュリアンは力ない足取りで猟兵たちを迎え入れると、辛うじて人数分足りた椅子に四人の猟兵を通し、口を開いた。
「……猟兵さん達が何の用だい、というのも野暮か。あらかた『この町を救いに来た』とでも言うんだろう」
「分かっているではないか。そうとも、このまま座していても町は滅びるだけだ」
「頼む、あんたから町の人を説得しちゃくれないか?」
 ライエルとセリオスが早速と口々に促す。しかし、ジュリアンは弱々しく首を振る。
「……『あのお方』はとても強い、配下もたくさんいる。いくら猟兵さんが腕利きでも、こればっかりはどうにもならない。このまま耐えていれば、もしかしたら、いつの日か何かの気まぐれでこの町を去って下さるかも知れない。……どうか、余計なことをして『あのお方』を刺激するのは避けて欲しい。俺には、この町に住まう人々を守る使命が――」

 ジュリアンがそこまで言った時、耐えかねたセリオスがぐいとジュリアンの胸ぐらを掴み上げて言葉をさえぎり、一喝した。
「ああもうめんどくせえ!」
「!?」
 周囲の猟兵たちが仰天して止めに入ろうとするも、それを一瞥して制止すると、セリオスはジュリアンに対して強く訴えた。
「お前は! 明日また大切な人が死んでも! 自分の命が尽きても! 『不運だったね、仕方がなかったね』と言うのか! お前の言う町の人を『守る』は、今お前が持っている怒りを、殺された奴らの無念を、この町の全員に味あわせる事なのか!?」
「……そんな、ことは……!」
 弾かれたように顔を上げたジュリアンの左頬を、まるで星がきらめいたような輝きを伴ってセリオスの剣が掠め、背後の壁に突き立てられた。ともあれば青い炎を纏わせさらに力を示そうと思ったのだが、この距離では危険だと判断し、止めた。

「そこの彼の言う通りだ。町を、人々を守りたいなら結集して戦うしかない。……そのためには町長代理であるお前が、まず戦う姿勢を見せなければならない」
 一歩引いた所から、ライエルが声をかける。
「……」
「理不尽に家族を奪われた怒りと悲しみを奴にぶつける気概があるなら、町人を護りたいなら、立ち上がれ」
「……くそっ……!」
 その胸の内には激しい葛藤があるのだろう、ジュリアンは歯を食いしばりながら、絞り出すように言葉を紡ぐ。

「……理想を語るだけなら簡単だろうさ、だがいくら猟兵さんだからって、策も無しに……」
「敵は我々の存在を察知していまい。亡霊どもの数は知れんが、奇襲できればこちらが有利である。亡霊さえ蹴散らせば後は首魁が一体、囲んで叩くのみだ」
 そこで椅子から立ち上がり、口を開いたのはニルズヘッグ・ニヴルヘイム(世界竜・f01811)。赤を基調とした騎士然とした出で立ちも凛々しい青年だ。
「もちろん、貴様らが大まかな数を教えてくれるならば、それに越したことはないがな」
「おっと、そいつはアタシがちょっくら調べてこようじゃないか。なあに、すぐに戻るさ。それまでそいつの説得を頼むよ」
 さらに椅子から立ち上がる影がひとつ、アルミィ・キングフィッシャー(人間のシーフ・f02059)だった。
(……ああ、アタシはこの手の事件を『知っている』。あの眼鏡のお人好しみたいに『見た』からな)
 そしてアルミィは事の顛末が『めでたしめでたし』で終わることまで見届けた。ならば今回もそうならない道理はない。今回は一人の猟兵として尽力せんとやって来た彼女は、勝ち筋を調べるべく町長宅のドアを開ける。
「……そんな、女性一人で、危険だ」
「ご心配どうも。でもね、彼奴等は強いが無敵じゃない。現にアタシらの仲間が似たような事件を解決してるんだ、信じてみてくれよ」
 じゃあ、と手をひらひらさせながら颯爽と飛び出していったアルミィを呆然と見送るばかりのジュリアンは、いまだ自分の胸ぐらを掴み上げているセリオスと目を合わせた。

「……本当に、できるのか……?」
「俺がさっき言ったみたいなクソみたいな人生を送るつもりだったなら、今ここで終わらせてやろうと思っていたが」
 セリオスはジュリアンの目をまっすぐに見つめ返し、言葉に強い「鼓舞」の力を込めて、言った。
「――生きたければ抗え、声を上げろ。その為の力が――俺達だ」
 思えば、されるがままを耐えるだけの長い人生だった。その果てにセリオスがたどり着いた答えこそ『殴れば大体の敵は死ぬ』、いささか強引やも知れないが、猟兵として生きる彼ならばこそのものかも知れない。そしてそれは、今まさに正しく振るわれようとしている。

「……具体的な策と、それを実行できるだけの力を示せれば……町の人々も納得してくれるかも知れないが……げほっ」
 そこでようやくセリオスがジュリアンを解放し、彼が軽くむせたところで、ライエルが入れ替わるように一歩踏み出して自身の得物である――おそらくこれがヤドリガミである彼の本体なのだろう――古びた黒剣を構えると、強く念じながら語りかけた。
「そのためなら俺達も力となろう。――このように」
 【覚醒せし黒剣(ノーネーム・オーバーロード)】、それがライエルの示す力である。黒剣はその封印を解かれ、漆黒のオーラをまとった見事な黒き大剣に変化し、ジュリアンを驚愕させた。
「なっ……これが、猟兵さんの力……!?」
「さあ、決めるのはお前自身だ。……お前は、どうしたい?」
 大剣を油断なく構えつつ問いかけるライエルと、最後のひと押しが欲しい様子のジュリアン。そこへ、斥候として町を出ていたアルミィが早速ひと仕事を終えて町長宅へと戻ってきた。

「おまたせ! 領主の館の近くまでは余裕で行けたよ。敵の数や行動パターンはあらかた読めた、急ぎだったから守りが手薄になるタイミングや強さまでは見られなかったけど、見回りの時死角になりそうな場所はチェックしてきたよ」
 これだけ情報があれば、攻めるのには困らないだろう。帰りを待っていた猟兵三人は満足げにうなづく。
「……貴様らとて、一矢報いたい思いがないわけではなかろう?」
 あとひと押しだ、そう思ってニルズへッグはジュリアンに声をかける。
「……それは、もちろん……」
「手遅れになる前に、少しでいい、我々を信じてはくれまいか。……信じてもらえるならば、必ずや悪を滅しよう」
 強い言葉には意志が宿り、やがて実際に事をなすという。ニルズへッグの言葉には、自然とうなづかされる不思議な力があった。
「――この私こそが、愛と希望をあまねく世界に示す者である!」
「……!」
 そう、誰がなんと言おうと、世界は愛と希望に満ちているのだ。それを体現する者であるニルズへッグの強い宣言に、遂にジュリアンの表情から、迷いが消えた。

「……分かった、もう止めはしない。町の人にも俺から説明をする」
「分かってくれたかい!」
「ああ、あんたも体を張って色々調べてくれてありがとう。……あとは欲を言えば、町の人にもあんたたち猟兵さんの力をだな、こう、分かりやすく見せてやってもらえると、話がより早いと思うんだが……」
「それならば別のあてがある。とりあえず広場かどこかに人を集めてくれれば、あとは彼らが何とかしてくれるだろう」
 喜色満面のアルミィと、別の猟兵たちの援軍の気配を察知していたライエルがジュリアンの言葉に応じる。ひとまず、第一の問題は解決することができた。あとは、町長代理・ジュリアンが町の人々を説得する手助けをするばかりである。
 では早速、と猟兵たちに先んじて自宅を後にしようとするジュリアンの表情は、心なしか最初に出会った時よりも、生気に満ちているように見えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

荒谷・つかさ
正直、言葉を尽くして説得するのは苦手もいいとこなんだけど。
ま、私は私にできることをやるだけね。

言葉での説得は得意な人に任せるわね。
私は私の力を示すだけよ。
枯れ木、大岩、廃墟……適当な壊して良いものに対し、大剣「零式・改二」を使って「怪力」「鎧砕き」技能を乗せた【荒谷流重剣術奥義・稲妻彗星落とし】を叩き込んで見せる。
大地を砕き、地形を変える程のこの力。
彼らに「勇気」を、そして希望を与えられるのならば、何度でも披露して見せるわ。

別に、貴方達に何かしてくれって訳じゃ無いわ。
ただ、私達を信じてくれればそれだけでいい。
何者だろうが打ち砕いて見せるわ。例え死の宿命であろうとね。


ヘスティア・イクテュス
強い力に屈してそれを恐れて諦める…仕方のないことよね…
なら、わたしが、あなた達を助ける。

ノブレス・オブリージュ…力ある者はない者のためによ


ミスティルテインを上空に向かって発砲
注目を集めるわ

彼らの愛する家族、友人の命が奪われるかもしれない恐怖が続く毎日
本当にそれでいいのかと問いかける

それで良いわけないわ…
でも彼らは戦う術がない

だから、彼らの代わりにわたしが戦うこと
わたしを信じてほしいと心から伝えるわ

貴方達の闇、絶望を必ず撃ち抜くと
イクテュスの名に誓って

最後にティターニアで空へ、
ミスティルテインを力溜めし先ほどより強い砲撃を空へ


アドリブ、絡み歓迎


オリヴィア・ローゼンタール
POW
長き圧制に身も心も疲弊し切ってしまっているのですね
彼らの心に叛逆の火を灯しましょう!

鍛え上げた武勇を示す
【トリニティ・エンハンス】【属性攻撃】で聖槍に炎の魔力を纏って攻撃力を増大

取り出だしたるこれなる槍は
数多の吸血鬼やその眷属を斬り裂き、異界の飛龍に悪しき神を穿つ聖なる槍!
善き者を守護し、悪しき者を打ち破る、破邪の炎を纏う槍!
見よ、この輝きを!

【怪力】にて槍を振るう演武を披露しながら、【歌唱】で今までの冒険譚を語る

演武で人目を集めて説得
我々は各地を巡り、いくつもの村々を圧制から解放しました
ここもまた邪悪な圧制に苦しめられていると聞き及び、馳せ参じた次第です
【コミュ力】【鼓舞】【礼儀作法】



●ぶゆうをしめすものたち
 猟兵たちが町長代理のもとを訪れたという情報はまたたく間に町の人々の間を駆け巡った。よもやまさかあの町長代理が若さ故に血気にはやり『あのお方』と戦うと言い出すのではなかろうかと、皆が皆戦々恐々としていた所に、集合を知らせる広場の鐘が鳴り響いたものだから、何ということだという暗澹たる胸中で人々は重い足を引きずり広間へと集まったのであった。

「皆、聞いてくれ。……俺は、このまま座して『あのお方』の支配を受け続けることには、やはり耐えられない。今日集まってくれた猟兵さんたちに『あのお方』を……倒してきてもらおうと思う」
「町長代理!!」
「いくら猟兵さんでも無理だって、みんなで話し合って決めたじゃないか! 申し出があっても断ろうって!!」
 事前の交渉で町長代理・ジュリアンを説得した四人の猟兵はそのまま彼に随伴してきていたのだが、町の人々の説得は確かに力を伴わねば困難であろうと即座に判断した。そこへ、待望の援軍が到着した。はい、ごめんなさいね。通してくださーい。様々な声がする。

「強い力に屈してそれを恐れて諦める……仕方のないことよね……。なら、わたしが、あなた達を助ける」
 ジャッと音を立てて広場に足を踏み入れた三人の猟兵のうち先頭に立っていたのは、ヘスティア・イクテュス(SkyFish団船長(自称)・f04572)だった。
「ノブレス・オブリージュ……『力ある者はない者のために』よ」
 その姿を見た人々は不安げな表情を隠そうともせず、声を上げた。
「何だ、女の子ばかりじゃないか!」
「これで策があるってのか、ジュリアン!?」
 人々が次々に口を開いては不安を吐き出し、ジュリアンが遂に反駁しようとしたその時、それは起こった。

 ――ズ、ドオオオォォォォォォン!!!!!
「!!!??」
 指摘を受けた『女の子』のひとりである荒谷・つかさ(護剣銀風・f02032)が、広間にたまたまあった巨大な岩に、大剣「零式・改二」を軽々と持ち上げるやいなや、必殺の【荒谷流重剣術奥義・稲妻彗星落とし(ライトニング・シューティンスター)】を叩き込むと、地面もろともに木っ端微塵に叩き砕いてみせたのだった。
「……正直、言葉を尽くして説得するのは苦手もいいとこなんだけど」
 だからこうなったのか。恐るべし。あれだけ騒いでいた町の人々もこれには絶句するばかりである。流れ弾で怪我をしている人がいないことを確認すると、つかさは言う。
「別に、貴方達に何かしてくれって訳じゃ無いわ。ただ、私達を信じてくれればそれだけでいい。何者だろうと打ち砕いて見せるわ。――例え死の宿命であろうとね」
「……す、すげえ……」
「あんなバカでかい剣を、片手で……」
 実質、分からされた形となった町の人々は、まさかと残り二人の少女猟兵を見比べる。

(長き圧制に身も心も疲弊し切ってしまっているのですね、彼らの心に叛逆の火を灯しましょう!)
 先に目線を向けられた銀髪金瞳のシスター、オリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)は、強い決意と共に鍛え上げた武勇を示すべく、愛用の聖槍に【トリニティ・エンハンス】で炎の魔力を宿す。それを見て瞠目した人々に、オリヴィアはびしりとポーズを決めて啖呵を切る!
「取り出だしたるこれなる槍は、数多の吸血鬼やその眷属を斬り裂き、異界の飛龍に悪しき神を穿つ聖なる槍! 善き者を守護し、悪しき者を打ち破る、破邪の炎を纏う槍! 見よ、この輝きを!!」
 ぶぉん、ぶぉんと圧倒的な力でもって振るわれる聖槍は美しい炎の軌跡を描き、朗々と語られる冒険譚も相まって人々を徐々に魅了しつつあった。

「……我々は各地を巡り、いくつもの村々を圧制から解放しました。ここもまた邪悪な圧制に苦しめられていると聞き及び、馳せ参じた次第です」
 これにて、と聖槍を収め優雅に一礼するオリヴィアに、広間に集まった町の人々のほとんどが言葉を失っていた。見事、圧巻。それに尽きる。

 負けじとヘスティアがすかさずビームライフル「ミスティルテイン」を上空に向けて発砲し、人々の注目を集めた。ダークセイヴァーの世界からすれば完全なるオーバーテクノロジーであるこの謎めいた武器を使いこなす少女もまた、凄まじい存在と化して人々の目には映っているのだろう。
「貴方達の愛する家族、友人の命が奪われるかもしれない恐怖が続く毎日……本当にそれでいいの?」
「い……いいわけ、ないだろ……!」
「そうでしょう、でも貴方達には戦う術がない」
 なればこそ甘んじて従属を受け入れていたのだろう、そして、だからこそ自分たちがここにいる。
「だから、貴方達の代わりにわたしが戦うわ。貴方達の闇、絶望を必ず撃ち抜くと――イクテュスの名に誓って!」
 どうか、信じて欲しい。その一念で、ヘスティアは妖精の羽を模したジェットパック「ティターニア」で高々と空へ舞い上がり、力を溜めて思いを込めて、再度「ミスティルテイン」で強い砲撃を空へと撃ち放った。

「……すげえ」
「これが、猟兵の力……」
 彼らも知らぬ訳ではなかったのだ。ただ、実際目の当たりにしてみるまで、実感として理解することができなかっただけなのだ。今こうして知らされた猟兵たちの実力に、すっかり言葉を失くした町の人々に、ここぞとばかりに町長代理――ジュリアンが声を張る。
「皆、彼女たちの力だけではない。作戦も用意した。……勝ち目はある、彼らに託してみようじゃないか!」
「……お、おう……そうだな……」
「そういうことなら、ひとつ乗ってみようかしら」
「このままじゃダメだ、本当はみんな、そう思ってたんだ!」

 最初はまばらに、しかし徐々に大きく、人々から賛同の声が上がった。ジュリアンが安堵のため息をついた時、付き従っていたニルズへッグ(f01811)がいい笑顔で声をかけた。
「ふはは、やはり最後は大団円、笑って終わらねば気が済まん。命がそこにある限り、全ての希望が潰えたわけではないのだからな!」
 いや、まだ始まったばかりだがな! ともう一声笑うと、ジュリアンもようやく、実に久方振りの笑顔を見せた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

天星・暁音
相も変わらず、この世界オブリビオンは悪趣味だね。

町の人たちは勿論のこと、囚われた魂たちも解放してあげなきゃ…

町の人たちに俺が出来ることは…精々肉体的な傷を癒やしてあげることと…死して尚、楽にはなれないのだと言うことをキチンと説明してあげるくらいなのだけど…

後は立ち上がるのなら俺が出来る最大限で力を尽くし護ると約束するくらい。

町の人の痛みと恐怖を共に感じても立ち止まって成せること等ないのだから…

武器【共苦】で痛み、悲しむ。心と体で町の人たちに大分心を寄せていますがそれでも進む為に【誘惑・勇気・優しさ】等で言葉を尽くします。


共闘アドリブ可


甲斐・ツカサ
ここのみんなが暗い顔なのは、楽しい事を見つけられないからだよね
だったらオレがそれを見せてやるよ!

幾つもの冒険記で得た、世界を救う物語を語って聞かせる

それはもっと小さかったオレを冒険に駆り立てた夢と希望の物語
幼心に染み付いた闇の空に星々を瞬かせた物語

同じように闇の空しか知らない人達に同じ星空を見せて上げれるように、星空のように瞳を輝かせて聞かせよう!

電脳ゴーグルの立体映像(ちょっとした魔法みたいなもんさ)も役に立つよね
太陽に照らされて何処までも続く大地だって見せてあげられる

みんなが諦めなければ、いつかこんな世界を取り戻す事が出来る!
そんな希望をみんなに届けてあげられたら良いな!


リーヴァルディ・カーライル
…ん。私もハッピーエンドは好き
物語は何時だって、めでたしめでたしで終わる方が良い

千人規模の集落となると、
いくら持ち運びに使える異空間があるとはいえ、
支援物資で心を掴むのは現実的では無い…

…私は他の猟兵がある程度説得し終わった後、
どこかに病人や怪我人がいないか尋ねてみる
…死んだ人は元に戻せない。
だけど、生きているなら助けられるかもしれないから…

患者に会えたら救助活動で培った観察眼で相手の症状を見切り、
自分なら治せるかもしれないと告げ、相手の意志を問う
相手が頷いてくれたら【限定解放・血の聖杯】を発動
指先から生命の力を溜めた血を一滴、患者に垂らして治癒を行う
…まだ、治療が必要な人がいたら案内して



●あまねくてらせ
 力自慢の猟兵たちによるアピールに町の広場が沸き立つ一方で、もはや広場に足を運ぶことすら叶わぬ人々も少数ながら存在した。ある者は亡者に戦いを挑み深く傷つき、またある者は家族を理不尽に奪われ心底意気消沈してしまっており、こちらはこちらで早急な対処が望まれるところであった。

「相も変わらず、この世界のオブリビオンは悪趣味だね」
 事件を聞きつけて駆けつけた猟兵の一人である天星・暁音(貫く想い・f02508)は、身の丈をゆうに超える愛用の「星杖シュテルシア」を大事そうに抱えながら、肉体的に、あるいは精神的に傷ついた人々を癒すべく町を丁寧に回っていた。
「町の人たちは勿論のこと、囚われた魂たちも解放してあげなきゃ……」
「……あなたも、病人や怪我人を探しているの……?」
 そんな暁音にそっと並び立ったのは、リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)だった。彼女は他の猟兵がある程度説得を終えたところで、もしも傷ついて苦しんでいる人々がいるのならば助けたい、そう思って誰かに声をかけようと思っていたのだった。

(千人規模の集落となると、いくら持ち運びに使える異空間があるとはいえ、支援物資で心を掴むのは現実的ではない……)
 リーヴァルディなりの論理的思考が介在していたのは間違いないが、しかしそれ以上にやはり彼女を突き動かすのは、純粋な「ハッピーエンド」を求める心。
「……物語は何時だって、めでたしめでたしで終わる方が良い」
「そうだね、そのためにも、今傷ついている人たちもきちんと癒やしてあげないと」
 リーヴァルディの言に暁音が応えると、喧騒が続く広場を見やって考える。この状況でなお家にこもっている人こそが、二人が探す「癒やすべき対象」なのではなかろうか。
 一軒一軒、扉を叩いて声をかけて回った結果、幾組かの要治療者を発見するに至った二人は、手分けして治療をしようという結論に至り、一旦別行動を取ることにした。

「……う、うう、あんたたちは……」
「この傷は……亡者たちと戦ったりしたのかな?」
「俺は女房をやられた、黙っちゃいられなかったんだ……だが情けねえ……」
 体のあちらこちらを包帯で手当てされた男と、沈んだ顔で暁音を出迎えた息子とおぼしき少年がこの家の住人らしかった。全てに絶望しきったかのごとき表情の少年は、恐らく暁音とさほど齢も変わるまい。ただでさえ他人の痛みに共感しやすい暁音にとって、その姿は視野に入れただけでも胸が締め付けられる思いにさせられるものだった。

「俺が出来ることは……精々肉体的な傷を癒やしてあげることと……」
 そう言いながら暁音は父親と思しき男に静かに近付くと、片手を父親の体の上にかざし、もう片方の手は自らの聖痕「共苦の痛み」に当てて、そっと目を閉じる。
「……なっ、何だ……痛みが、傷が、消えていく……!?」
「……奥さんを殺されたんだ、辛かったね……。悔しさも、悲しみも、伝わってくる」
 今にも泣きそうな顔で――文字通り我が事のように父子の無念を引き受けながら――暁音は父親の傷を聖痕の力で癒やしながら、言葉を紡ぐ。
「残酷な話だけど、今のままだと死して尚、この町の人たちは楽にはなれない。だから……もしも、もう一度立ち上がってくれるなら、俺が出来る最大限で力を尽くして護ると約束するよ」

 痛い。怖い。この感情を背負わされてもうどれくらいの月日を過ごしてきたのだろう。暁音は強く共感しつつも、だからといってそれに屈して立ち止まっては成せることなど何もないということも同時に理解していた。なればこそ、無理を承知で言葉を尽くし、一人でも多くの人々を心身共に癒やして、そして願わくば自分たち猟兵を信じて欲しいと行動を起こすのだ。
「……猟兵、ってのは本当にすげえんだな、なかなか治らなかった傷がこの通りだ」
 父親が血がにじんでいた腕の包帯を外して見せると、そこにはすっかりふさがった裂傷の痕だけが残っていた。恐らく、他の箇所の傷も同様なのだろう。
「いいさ、町の守りは任せておきな。もう不覚は取らねえ。せめて残ったうちのせがれだけでも、守ってやらねえとな」
「ありがとう、……奥さんのことは残念だったけど、無念は必ず晴らしてみせるから」
 そう言って暁音がふと目を向けた先にいた少年は、わずかながら嬉しそうな顔をしていた。

 一方でリーヴァルディも、在宅中と思われる家々を丹念に訪ねて回っていた。
「……死んだ人は元に戻せない。だけど、生きているなら助けられるかも知れないから……」
「そうねえ……そういうことなら、ここから三軒隣のジェームズさんの具合が心配かしらねえ……。年齢もあって元々病気がちだったけれど、町がこんなになってからますますこじらせちゃったみたいでねえ……」
 恰幅の良い若女将といった風体の女性から気になる話を聞いたリーヴァルディは、早速件のジェームズ氏のもとを訪問する。――ノックをする、反応なし。試しにとドアノブを回すと、あっけなく開いた。恐る恐る隙間から中の様子を窺うと、ベッドに力なく横たわる壮年の男性の姿があった。
(……間に合って良かった、時間の問題だった)
 内心で安堵しつつ、失礼と一声かけて思い切って家の中に踏み込む。ジェームズと呼ばれていた男性は弱々しく首をもたげたが、誰何する気力もないのか、言葉を発することはなかった。

「……気管支の病気が原因で、体のあちこちが機能不全を起こしてる。私になら治せるかも知れないけれど、同意もなく治療行為は施せない。……どうする、助かりたい?」
「……」
 リーヴァルディは待つ。しばしの沈黙ののち、ジェームズがリーヴァルディの瞳を見据えてひとつ、頷いた。それを受けてリーヴァルディは自身の切り札を発動させることを決断する。【限定解放・血の聖杯(リミテッド・ブラッドグラール)】――瞬間的に吸血鬼化し、生命力を凝縮した血液をもたらし治療を行う秘技だ。
「……傷ついた者に救いを……」
 それはリーヴァルディの切なる願いであり、尊い一滴であった。指先から垂らされた血液は、ジェームズのちょうど肺のあたりに落ちて広がり――見る間に死人がごとき顔色だったジェームズのそれを健康そのものの姿にしてみせたのだった。

「あ、ああ、貴女は……」
 声も出せるようになったジェームズが感謝の言葉を伝えようと口を開いたその時、リーヴァルディの異変に気付く。元気になった自分とは対照的に、彼女が妙に疲労を感じさせる様子を見せていたからだ。ユーベルコードの反動だとは分かるまい、リーヴァルディは構わず、わずかによろめきながらも立ち上がると、早速だがと言わんばかりにジェームズに質問をした。
「……まだ、治療が必要な人がいたら、案内して」

●かぜがはこぶみらい
 ひねくれ者は、どんな集団にも一定数は存在する。病などのやむを得ない理由で広場に向かえなかった訳でもなく、ただ町全体を包みつつある盛り上がりに、今なお納得ができない者たち。そんな人々は広間から少し離れたところであからさまに面白くなさそうな顔をしていたものだから、そこを甲斐・ツカサ(宵空翔ける冒険家・f04788)に目ざとく見つけられ、やあやあと陽気に声をかけられてしまったのだった。

「みんながそんな暗い顔なのは、楽しい事を見つけられないからだよね。だったらオレがそれを見せてやるよ!」
「アンタが? 広間でやってたみたいな茶番なら、御免だぜ」
「ぜーんぜん! まあ『聞いて』みなって!」
 なお暗い顔を隠さない町の人に向けてツカサはにぱっと笑みをひとつ、愛用の電脳ゴーグル「Aby-STerra」を起動させて立体映像をその場に展開させる。町の人にとってはちょっとした魔法のようにも見えただろうそれは、暗澹たる空にきらめく無数の星を映し出していた。

「――これは昔々に始まって、そして今日も続いている、明日へと続く夢と希望に満ちた冒険の話さ!」
 【暁運ぶ風の道程(ウィンド・オブ・フューチャー)】と名付けられたそのユーベルコードは、夢と希望にあふれた冒険譚を聞いて共感した者全てを力づける効果を持つ。ツカサが語るは、今よりもっと小さかった時分のツカサを冒険に駆り立てた、まさに夢と希望の物語。幼心に染み付いた、闇の空に星々を瞬かせた物語。闇に輝く星々は、まるで希望の象徴のようで。それが今ツカサの口から朗々と語られ、魔法めいた力で実際に見ることもでき、何より物語を語って聞かせるツカサの瞳こそが、どんな一等星よりも強い輝きをもって人々を見据えるものだから、心がささくれだっていた人々も思わず引き込まれてしまう。

 そこで突然、電脳ゴーグルが映し出す映像が切り替わり、太陽に照らされてどこまでも続く大地がその場の人々の眼前にぶわっと広がった。
「みんなが諦めなければ、いつかこんな世界を取り戻す事が出来る!」
 暗い闇に閉ざされたこの世界で、そんな事が――? いやしかし、たかが子供と侮っていたこの少年は、まるで『自らが成し得てきたような』冒険譚をたった今語って聞かせてきたばかりではないか。
「……諦めなければ、か……」
「そりゃあ、確かに腐っててもしょうがねえことは分かってるけどよ……」
「今、町のあちこちで猟兵のみんなが頑張ってみんなを勇気づけようとしてるんだ。分かってるならさ、みんなでもう一度、頑張ってみようよ!」
 相も変わらず瞳を輝かせて純粋に訴えるツカサの前に、先程までやさぐれていたはずの人々の心は、徐々にではあったがほぐれつつあった。

 ――こうした細やかな配慮が功を奏し、最終的には町の総意として『猟兵を全面的に支援する』という意見の一致を見ることが叶ったことを、ここに書き記しておく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『残影』

POW   :    怨恨の炎
レベル×1個の【復讐に燃える炎の魂】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
SPD   :    同化への意思
【憐憫】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【異形の肉塊】から、高命中力の【絡みつく傷だらけの手】を飛ばす。
WIZ   :    潰えた希望の果て
【悲観に満ちた絶叫】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●えんさにみちたこえ
 『あのお方』は、自らの身を護るために、自ら殺した町の人々の怨念を集めている。
 町長代理・ジュリアンの口から聞かされた衝撃的な内容の話は、協力を取り付けるために行った事前の交渉の場でとある猟兵が実際現場の下見をしたことで、裏が取れていた。
「……ひとつ、質問が。ジュリアン、あなたや町の人々は、亡霊たちが『殺された町の人々である』と、何故……?」
 猟兵のひとりが恐る恐る問うと、ジュリアンはもはや動じぬといった体で返す。
「怪我をした町の人々を見ただろう、彼らは皆、殺された自分の身内と戦ったのだ」

 その言葉を聞いて、猟兵たちはそれぞれが誓いを新たにする。必ずや『死を司るもの』を倒し、この町を救うのだと――!
天星・暁音
本当ならば、優しく弔って上げなきゃならないのだけど…
哀しいけどそんな時間も余裕も今はないよね…
ならせめて…苦しまないように…もう、大切な人を傷つけたり傷つけられたりしないように…この光が貴方達の導きになりますように、精一杯の祈りを込めて…
貴方達の痛みもちゃんと覚えておくし、町の人たちも精一杯護るから、どうか心安らかに旅立てますように…

【覚悟・勇気】で悲しみに立ち向かい。
彼等の痛みを受け止め。
死者達の安息と鎮魂を【祈り】
【全力魔法・範囲攻撃・高速詠唱】で打ち倒します。


ヘスティア・イクテュス
悪趣味ね
お化けとかそういうのは嫌い…でも……………
亡くなった方をそういう風に使うのはもっと嫌いよ【勇気&鼓舞】


ミスティルテインは命中重視
怨念に効果があるか分からないけど心臓とか急所を狙うわ
何度も攻撃して何度も痛い思いをさせたくないの

ティターニアは軽く噴かせて回避の補助に【ダッシュ&見切り】
炎の隙間をよく見て潜り抜けるわ


殺された人達の恨み、悲しみを感じる
貴方達はゆっくりおやすみなさい、わたし達が必ず貴方達の無念、晴らして見せます


終わったら、彼等の死後が今度こそ安らかであるようにお祈りを

アドリブ絡み大歓迎


アルミィ・キングフィッシャー
…そうか。
そうだよな。
(それ以上は何も言わない)

各個撃破できそうなタイミングはもう掴んである。
やることはシンプルだ。…怒りを爆発させるには少しばかり早い。

盗賊の七つ道具から情吸いの小瓶を取り出す。
…相手から感情を盗むためのブツさ。コイツの口に相手の体を付けて合言葉を唱えりゃ一番強い感情を中に閉じ込められる。…こういう相手にはうってつけだ。

思いは力になる。…それはよろしくないのでも同じだ。
そして大体が「よろしくない」方が強くなりがちだ。

さあ、始めようか。この場所から彼奴等を解放するために。
過去に絡め取られた連中を奪い返してやろうぜ。



●それはとむらいのために
「……そうか。そうだよな」
 『死を司るもの』が居を構える館へは、事前に下調べを行ったアルミィ・キングフィッシャー(「ネフライト」・f02059)が先導して猟兵たちを案内したのだが、彼女は出立する前にジュリアンから聞かされた言葉に対してただ一言それだけを返し、後は沈黙を保ったままここまで来たのだった。同行する猟兵たちも、それが意味するものは静かなる怒りであると無言のうちに察し、敢えて声をかけることをせず、かくして猟兵たちは静寂を保ったまま館の近くに到着した。

『オオォ……』
『……ォオオオォォ……』
 地の底から響くかのような声がする。もはや人の言葉は交わせないようだ。『死を司るもの』により殺められた人々の成れの果てが、ここにはいた。

「アタシの下調べじゃあ、この辺りの茂みから張り込んでりゃ見回りの数も手薄で各個撃破も容易い。逃して援軍でも呼ばれちゃ厄介だからね、速攻で行くよ」
 アルミィが簡潔に流れの説明をし、それに頷いたのは天星・暁音(貫く想い・f02508)とヘスティア・イクテュス(SkyFish団船長(自称)・f04572)の二人だった。

「本当ならば、優しく弔って上げなきゃならないのだけど……」
 哀しいけれど、そんな時間も余裕も今はない。ならばせめて苦しまないようにと、もう大切な人を傷つけて傷つけられたりしないようにと、暁音は沈痛な面持ちで茂みから見える死霊たちを見つめる。――明らかに人の形をしているものもいれば、複数の個体が混ざりあってしまった見るもおぞましいものもいた。そして何より恐ろしいことに、時折敵味方の区別さえついていないかのごとく互いを傷つけあう姿さえ見られたのだ。

「……悪趣味ね、お化けとかそういうのは嫌い……でも……」
 ヘスティアが愛銃「ミスティルテイン」をぎゅうとかき抱きながら、しかし力強く前を見据えながら呟く。
「亡くなった方をそういう風に使うのは、もっと嫌いよ」
 勇気をもって立ち向かい、己だけでなく周囲をも鼓舞せんとばかりに発せられた言葉は強く、同道の二人にも改めて同じ決意を抱かせる。

「よし、じゃあそろそろ行くか。まずはアタシからだ!」
 死霊の動きをよく観察していたアルミィがそう言うとおもむろに茂みから飛び出し、徘徊する死霊たちの前に立ちはだかった。数にして三、速攻で充分相手取れる数だ。アルミィの姿を確認した死霊たちは互いに傷つけあうのを止めると、新たな敵性存在を確認したとばかりに向き直り、アルミィに向けて腕を伸ばし襲いかかる!
(やることはシンプルだ。……怒りを爆発させるには少しばかり早い)
 対するアルミィは必殺の【盗賊の七つ道具(ザ・シーフツール)】を発動させ、何やら不思議な形をした小瓶を取り出すと、迫り来る死霊の体に小瓶の口をつけて、言った。
「――いただくよ、そのお宝!」
『オォ……オオォォォ……!?』
 それは、合言葉。『情吸いの小瓶』と呼ばれるマジックアイテムである小瓶は『相手から感情を盗む』効果を持つという。今アルミィは小瓶の中に、死霊の中の一番強い感情――『怨恨』と『絶望』を盗み取り、事実上彼ら彼女らの行動の原点を封じ込めたのだ。
「思いは力になる。……それはよろしくないのでも同じだ。そして大体が『よろしくない』方が強くなりがちだ」
 アルミィは残り二体分の小瓶を掌の中で遊ばせながら、暁音とヘスティアの方を向くと宣言する。
「――さあ、始めようか。この場所から彼奴等を解放するために。過去に絡め取られた連中を奪い返してやろうぜ」

 アルミィの『情吸いの小瓶』の力で、そもそも自分たちを突き動かす情念を奪われた死霊たちはしかし、わずかに残った思念の残滓でもってなお襲いかかってくる。常ならば華麗に宙を舞うヘスティアも、今回は「ティターニア」を主に回避行動のために使用し、飛び交う【怨恨の炎】の中をかい潜って【ミスティルテイン(短距離モード)】を発動すべく死霊の一体に迫る!
「何度も攻撃して……何度も痛い思いをさせたくないの」
 ミスティルテインで今回重視したのは『命中率』。死霊に対しどこまで効果があるかは不明だが、急所と思しき心臓を狙い――さすがに脳天を狙うのはためらわれた――一撃一撃に想いを込めて、撃つ。果たして死霊のうち一体は、ヘスティアの狙い通り心の臓に一撃で派手な風穴を開けられて、声を上げる間もなくその場に崩れ落ち、そのまま霧のようにかき消えていった。
「……貴方達はゆっくりおやすみなさい、わたし達が必ず貴方達の無念、晴らしてみせます」
 近距離から撃ち抜いた死霊の、尽きぬ恨みと悲しみをヘスティアは確かに見て、感じた。なればこそ、誓いを新たにするのであった。

 続いて進み出たのは暁音だった。人一倍他者の痛みに敏感である彼にとって、負の感情そのものである死霊を相手取るというのは、それだけでも苦痛を伴うことであったろう。しかし彼は勇気と覚悟をもってそれに立ち向かう。
「この光が貴方達の導きになるますように、精一杯の祈りを込めて……」
 そして始まる詠唱は、人並み外れた速さで紡がれる。死霊が暁音に向けて、それは単純な攻撃だったのかそれとも無意識に救いを求めてのものだったのか、何かを叫ぼうとしたが、それを許さぬように暁音が詠唱を完成させ、ユーベルコードを発動させた。
「――星の光よ集え。我が意を持ちて流星と成し悪しきを散せ。走れ魔法陣。輝け!【裂光流星(シャイニング・エストレア)】!!」
 暁音を中心に瞬時に展開した魔法陣は天に描かれ、身の丈ほどもある大きな杖「星杖シュテルシア」が指し示した死霊目がけて天の魔法陣からまばゆい星の光の奔流が降り注ぎ――死霊は光の渦に呑まれるかのごとく、消滅した。

「……貴方達の痛みもちゃんと覚えておくし、町の人たちも精一杯護るから、どうか心安らかに旅立てますように……」
 その様子を見届けた暁音はそう言うときゅっと口を結び、アルミィとヘスティアの方を見る。ヘスティアは今度こそ彼らの死後が安らかであるようにと祈り、アルミィは後に続く猟兵たちを誘導し、次のタイミングを伝えるのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

甲斐・ツカサ
殺された上に、亡霊になって町の人達と戦わされるなんて、かわいそうだ。

そう思えば思う程傷だらけの手が絡みつこうとしてくるけど、だからってかわいそうだって思う気持ちを止める事なんて出来ない!

だから、オレに出来るのはかわいそうだって思う気持ちは我慢せず、だけど犠牲者の仲間入りをしないように、絡みつこうとする手を避けるだけ。

こんなに悲しい戦いは、だけどこの世界には幾らでも溢れ返ってるらしい。
だから、オレはそんな絶望の先、希望を見出してひたすら抵抗するのさ!

今回の戦いの場合、そうやって時間を稼いでいれば、他の皆の準備が整うだろうしね。
この亡霊(ひと)達を止めて、解放してあげるのは、みんなに任せた!



●そのれんびんはたれがため
 見回りが手薄になる箇所はあともう二ヶ所ほどあり、残りの猟兵たちはそれぞれ分担してそこから奇襲をかけ、各個撃破で確実に館の周囲の死霊たちの数を減らしていこうという作戦を取った。既に一チームが行動を開始し、複数個体の撃破に成功している。
 そんな中で、どうしても死霊たちと刃を交えるのを是としない猟兵が一人いた。甲斐・ツカサ(宵空翔ける冒険家・f04788)である。彼をひたすらに突き動かすのは憐憫の情であり、どんなに『何が本当の救いになるのか』が頭では分かっていても、彼は彼の心のままに行動することを選んだのだ。

(殺された上に、亡霊になって町の人達と戦わされるなんて、かわいそうだ)
 強い思いと共に、死霊たちの前に躍り出る。そんなツカサ目がけて文字通り『憐憫』の感情を見て取った死霊たちが、まるで救いを求めるかのごとく傷だらけの手をいくつもいくつも伸ばしてくる。それはツカサ自身も覚悟の上だった。しかし――。
「だからって、かわいそうだって思う気持ちを止める事なんて出来ない!」
 なればこそ、自分に出来るのは哀れに思う気持ちは我慢せず、しかしながら被害者の仲間入りをしないように、伸ばされる手を避け続けることだけだった。

 ユーベルコード【絶望の福音】、まるで十秒先の未来を見てきたかのように対象の攻撃を予想し、回避する必殺技だ。ツカサはこれを駆使して、四方八方から伸びてくる傷ついた手を避けて、避けて、避けまくる。
「こんなに悲しい戦いは、だけどこの世界には幾らでも溢れ返ってるらしい。……だから、オレはそんな絶望の先、希望を見出してひたすら抵抗するのさ、……ッ!」
 遂に避けきれなかった手が二、三本ツカサの頬や胴体をかすめて傷をつけ、思わずうめき声を上げさせるに至る。しかしそれでもツカサは耐える、自分がこうして時間を稼いでいれば他の猟兵たちの攻撃の準備も整うだろうと考えてのことだった。

「この亡霊(ひと)たちを止めて、解放してあげるのは、みんなに任せた……!」
『……ォオオオォ、オオォォォ……!』
 耐え抜くか、取り込まれるか。ツカサと死霊たちとの攻防は続く。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

リーヴァルディ・カーライル
…ん。亡霊達の事はよく知っている
彼らを憐れめば取り込まれる事も…よく、知ってる
…それでも、私は……。

事前に防具を改造して可能な限りの呪詛耐性を付与しておく
使う機会がなければ良いけど…うん。やっぱり無理だった

【限定解放・血の教義】を発動
第六感を駆使して暴走するギリギリのラインを見切り、
吸血鬼化して増大した生命力を吸収した魔法陣に力を溜め
広域に魂を鎮める“光の雨”を降らせる2回攻撃を行う

…他の猟兵を巻き込まないように制御する自信はない
…だから巻き込んでも問題ない術を使うだけ

…私は聖者じゃない。祈りに力は無く、あるのは呪われた血の力だけ
これも結局は彼らの奇跡の真似事…
それでも、どうか安らかな眠りを…


オリヴィア・ローゼンタール
POW
なんと邪悪な――!
一刻も早く討ち滅ぼしましょう

【トリニティ・エンハンス】【属性攻撃】【破魔】
槍に聖なる炎の魔力を纏い攻撃力を増大
最前線に駆け込み(【ダッシュ】)、槍を【怪力】で縦横無尽に【なぎ払う】
浄化の炎よ、邪悪の呪縛を焼き払い、憐れな魂を解放せよ――!

憐れと思った感情に反応して手で掴まれそうになったら、
その箇所から炎を噴き出して燃やす(【カウンター】【オーラ防御】)

放たれた炎に対しては、槍を振るい炎の【衝撃波】を起こして相殺する

絶叫に対しては、聖なるオーラを身に纏い(【オーラ防御】)、一番近い見方を【かばう】
気合いと根性で耐える(【激痛耐性】【呪詛耐性】)

アドリブや共闘OK


ニルズヘッグ・ニヴルヘイム
死を司るものなァ。御大層な名だが、やり方はつくづく悪趣味だ。
亡霊になった連中も不本意な死に苦しんだのだろうが……これも貴様らの弔いであり、貴様らの仲間を増やさんための策である。

ここまで来て言葉を違えるわけにはいかん。言った通りに奇襲を仕掛ける。
ふはは、負の感情は等しく私の餌だ。
先に【死者の毒泉】での強化を済ませる。選ぶのは攻撃力である。
貴様らの怨み、私が吸い上げてやろう。
そのあとは、片っ端から炎ごと【串刺し】だ。容赦はせんぞ!

ま、眠るのならば穏やかに眠っておけ。
こうなった以上、自らの愛した者を手にかけるよりは幸福だろうよ。



●すくいのあらんことを
 先立ってあえて自らの身を危険に晒してまで自分の意志を貫いたツカサ(f04788)の様子を、三人の猟兵が戦闘の準備を整えながら茂みの陰から見守っていた。
「……ん、亡霊達の事はよく知っている。彼らを憐れめば取り込まれる事も……よく、知ってる」
 まさにその危険と隣り合わせになりながらも奮戦するツカサを見つめながら、リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は呟く。何故あんな無謀なことを、と思わなくもない。しかし、だからといって決して否定はすまい。
「……それでも、私は……」
 その後に続く言葉こそ誰にも届かなかったが、このまま彼を捨て置くことはないことを、戦闘の準備を万端にしていつでも仕掛けられるようにしたリーヴァルディは身をもって示していた。

(『死を司るもの』なァ。御大層な名だが、やり方はつくづく悪趣味だ。亡霊になった連中も不本意な死に苦しんだのだろうが……)
 内心で苦虫を噛み潰したような顔をしつつ、ニルズヘッグ・ニヴルヘイム(世界竜・f01811)もまた戦の準備を万端にしていた。ツカサが敵を事実上引きつけている間に奇襲をかける、というシチュエーションはまさに整ったのだから、彼には申し訳ないが有難い話でもある。
「――これも貴様らの弔いであり、貴様らの仲間を増やさんための策である」
 愛用のドラゴンランス「Ormar」を構えると、すぐ隣で今にも飛び出さんと同じく得物を構えた女性――オリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)をちらと見た。オリヴィアの聖槍を握る手は怒りに震え、それを隠そうともしない。
「なんと邪悪な――! 一刻も早く討ち滅ぼしましょう!」
 先陣は自分が切るが良いか、そう言わんばかりのアイコンタクトを受けたニルズヘッグは、自分と同じ金色の瞳に対して無言の是を送ると、オリヴィアがそのしなやかな身体をまるで獣のようにしならせて真っ先に飛び出した!

「【トリニティ・エンハンス】――来たれ、炎よ!」
 すっかり死霊たちに囲まれて絶体絶命一歩手前だったツカサを救い出すべくなかば強引に最前線に駆け込むと、炎の魔力を纏わせ攻撃力を増大させた聖槍でもって持ち前の「怪力」で縦横無尽に死霊たちをなぎ払い、血路が開けたところで片手を聖槍から離しツカサの手を握ると一気に死霊たちの群れの中から引っ張り出し、軽く彼の背中を叩き労をねぎらうと共にもう下がるよう合図し、再び煌々と炎燃えさかる聖槍を構えると死霊たちの群れに突撃を仕掛ける!
「――浄化の炎よ、邪悪の呪縛を焼き払い、憐れな魂を解放せよ――!」
 その様はまさに邪悪を狩るもの、死霊たちが声にならない叫びを上げながら放つ復讐に燃える炎の魂も、聖槍を振るっては炎の衝撃波でたちどころに相殺していく。

「このままではすっかり彼女に出番を取られてしまうな、私もうかうかしてはおれん」
 ニルズヘッグはオリヴィアが獅子奮迅の活躍を見せる中、自らも仕掛けることにした。狙うはオリヴィアに気を取られている死霊たちの隙だ。
(ここまで来て言葉を違えるわけにはいかん。言った通りに奇襲を仕掛ける)
「ふはは、負の感情は等しく私の餌だ。貴様らだけのものではないぞ」
 そう言うとニルズヘッグは恐るべきユーベルコードを発動させる――【死者の毒泉(フヴェルゲルミル)】。その地に宿る死霊の憎悪、怨嗟、絶望を呪詛として纏うこと。これらの三要素によって自身を強化するという、奇しくもこの地でのこの戦いにおいてこと万能といって良い程の能力を発揮する技であった。全てが満たされた状態で存分に強化を施したのは、攻撃力。そうして準備が整ったニルズヘッグは黒い長槍を携えると外套を翻して自らも飛び出し、すっかりオリヴィアに気を取られていた死霊たちのうち一体を背後から深々と貫いて高々と掲げてみせた。
「貴様らの怨み、私が吸い上げてやろう」
 貫かれた死霊が霧散して消滅すると、ニルズヘッグは槍の穂先を死霊たちに向けて宣言する。
「――さあ、片っ端から炎ごと『串刺し』だ。容赦はせんぞ!」

 オリヴィアとニルズヘッグがそれぞれ自身の攻撃力を強化して力強く攻め込む中、リーヴァルディはある種己との危険な賭けに出ていた。制御が困難で暴走のおそれがある必殺の【限定解放・血の教義(リミテッド・ブラッドドグマ)】の発動に備え、可能な限りの見極めを行おうとする。
「……他の猟兵を巻き込まないように制御する自信はない、……だから巻き込んでも問題ない術を使うだけ」
 二人が聞いたらどんな顔をするだろうか、意外と気にしないかも知れない、そんなことを呟きながらリーヴァルディは詠唱を開始した。
「……限定解放。テンカウント。吸血鬼のオドと精霊のマナ」
 リーヴァルディの中に吸血鬼の力が満ちていく。そうして増大した生命力を吸収させた魔法陣に力を溜めると、あたり一帯に魂を鎮める『光の雨』を降らせるべく、声を上げた。
「……それを今、一つに……!」
 中空に浮かぶ魔法陣から降り注ぐ光の雨は、それを浴びた死霊たちに少なくないダメージを与えていく。あちらこちらから、くぐもった悲鳴のようなものが響く。
『……ォァアアアアァ……!!』
『アアオォォォ……!!』
 その様子を見たリーヴァルディは思う。誰にも分かってもらえずとも良いとばかりに。
(……私は聖者じゃない。祈りに力は無く、あるのは呪われた血の力だけ。これも結局は彼らの軌跡の真似事……)

「それでも、どうか安らかな眠りを……」
 祈らずには、いられなかった。そしてその言葉を聞いたか否かはわからぬが、槍を振るっていたニルズヘッグが続ける。
「ま、眠るのならば穏やかに眠っておけ。こうなった以上、自らの愛した者を手にかけるよりは幸福だろうよ」
 時に、死こそが唯一にして最大の救済となる場面というものが、この世の中には残念ながら確かに存在する。――それが、きっと今この時なのだろう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

セリオス・アリス
ヤる前に一つ聞いておく
…死体になっても帰ってきて欲しいか
もう二度と戦わなくてすむように、灰にして眠らせてやりたいか
選べ

選んだ結果で『属性攻撃』の属性を変える
前者なら氷
後者なら炎

「お前らにとっちゃめでたしめでたしにはほど遠いだろうが…これ以上の悲劇を紡ぐことだけは止めてやる」
【青星の盟約】を歌い
※攻撃力重視
来いよと『挑発』しつつ身を屈め『ダッシュ』
靴に風の魔力を送り
旋風による急な方向転換で敵の攻撃を『見切り』距離を詰める
攻撃したばかりで無防備な所に全力の『属性攻撃』をのせた剣を叩き込み
氷づけにするか燃やし尽くす
無駄に苦しまなくて済むように
なるべく一撃で終わらせてやるッ…!

★アドリブ歓迎


荒谷・つかさ
怨念、ね……
自身を殺した者に死後も囚われ、挙げ句家族を傷つけさせられる。
さぞや、無念なことでしょう。
解放してあげるわ。
ちょっと痛いかもしれないけれど、我慢してちょうだいね。

【荒谷流乱闘術奥義・明王乱舞】を発動
零式・改二と風迅刀の二刀流で斬り込む
「怪力」「鎧砕き」技能を十全に活用し、重たい大剣を適切に叩き込んで斬り伏せていく
敵の反撃の炎は風迅刀の「属性攻撃」技能で発生させた風の刃と、刀身に纏う空気を解放しての「吹き飛ばし」で迎撃
それでも間に合わない、或いは他の攻撃が来たなら零式・改二を盾代わりに「武器受け」して被害を軽減する

ゆっくり、眠りなさい。
貴方達の無念は、私達が晴らしてあげるわ。



●とわれしかくご
 時は少しさかのぼる。猟兵たちがいざ館へと向かう直前のこと、広間に集まっていた町の人々の中でも身内に犠牲者がいる者を特に呼び寄せ、セリオス・アリス(ダンピールのシンフォニア・f09573)は問うた。

「ヤる前に一つ聞いておく。……死体になっても帰ってきて欲しいか、もう二度と戦わなくてすむように灰にして眠らせてやりたいか」

 セリオスの言を聞くなり、やおら当事者たちは狼狽する。それはもちろんどんな姿でももう一度会えるのならばという者もいれば、こうなってしまった以上は被害が拡大する前にもきっちり倒してもらうしかないという者もおり、一時場が紛糾する事態となったのだ。慌ててジュリアンが割って入り両者をなだめるが、そんな彼らに向かい、セリオスは問いを止めなかった。
「お前らの答え次第で戦い方を決めるつもりなんでな、……さあ、選べ」

●せめてもの
 時は戻って、死霊の残存勢力最後の一団と思われる複数個体を茂みの陰から確認した荒谷・つかさ(護剣銀風・f02032)は、セリオスと共に掃討戦をしかけるべくそれぞれの得物を手にタイミングを見計らっていた。
「怨念、ね……」
 自身を殺した者に死後も囚われ、挙句家族を傷つけさせられる。想像するだに胸が痛む惨状だ。
「……さぞや、無念なことでしょう。解放してあげるわ」
 ちょっと痛いかも知れないけれど我慢してちょうだいね、と構えられたつかさの「零式・改二」と「風迅刀」の二刀は、後者はともかく前者は当たるとちょっとどころではなく痛そうだなと横目で見ていたセリオスは思ったとか思わなかったとか。ともかく、準備はほぼほぼ整ったと見たセリオスが口を開くと、自己強化を開始した。

「星に願い、鳥は囀る。――さあ歌声に応えろ、力を貸せ! 【青星の盟約(オース・オブ・ディーヴァ)】!!」
 シンフォニアとして生まれながら、その生い立ちのためかそれとも他の要因があるのか、基本的に物理の力で物事を解決しようとする傾向にあるセリオスの、シンフォニアらしさが垣間見える朗々とした歌声が響き、同時に彼自身は根源の魔力で物理攻撃力が強化されていくのを感じる。高める要素も当然、攻撃力だ。

 歌声によってこちらの存在に気づいた死霊たちの前につかさと、やや遅れてセリオスが飛び出していき、いよいよ交戦となる。
 群れなして襲いかかってくる死霊たちに対し、つかさは鋭い眼光で相手を見据えると、これから発動しようとする必殺技に少しでも多くの死霊たちを巻き込めるようにギリギリまで待って、待って……完全に周囲を囲まれたタイミングで、機は熟せりとばかりに手持ちの武器の全てを解き放ち、叫んだ。

「巻き込まれるのが嫌ならば近づかないことだけれど、もう遅いわね。……乱闘術奥義! 明王乱舞、ご覧あれ!!」

 つかさの半径19m範囲内にいた死霊すべてに襲いかかるありとあらゆる武器の群れ。これがつかさ必殺の【荒谷流乱闘術奥義・明王乱舞(ミョウオウ・アサルト)】だ。一撃で消滅していく死霊たちも数多く、威力の凄まじさを物語っていた。
『……オ、ゥオオオオォォ……』
 それは防衛本能なのか、生者への怨みなのか、反撃よろしくつかさに向けて放たれる【怨恨の炎】は、返す刀で発生させた風の刃で迎撃して撃ち落とす。隙が、無い。

「お前らにとっちゃめでたしめでたしにはほど遠いだろうが……」
 つかさへの攻撃でセリオスの側からは完全に無防備になっている残る死霊たちの背後目がけてひとつ身をかがめると、愛用のブーツ「エールスーリエ」に風の魔力を送りこみエネルギーに変換、全力のダッシュで死霊たちが自分に気付く前に一気に距離を詰めると――。
「……これ以上の悲劇を紡ぐことだけは、止めてやる!」
 無駄に苦しまなくて済むように、なるべく一撃で終わらせる。そんなセリオスの思いを乗せた剣は――煌々と燃え上がる炎を纏い、死霊たちのうち一体に叩きつけられる!

『……解放、してあげて下さい』
『もうこれ以上、苦しむことのないように』

 町を出る直前に出された人々の結論がセリオスの脳裏をよぎる。見事一撃で灰と化した死霊を一瞥し、わずかに残った死霊たちもつかさと協力すればそう時間もかからず掃討しきることができるだろう。油断なく武器を構えた二人は、再び得物を振りかざして斬りかかる!

(ゆっくり、眠りなさい。貴方達の無念は、私達が晴らしてあげるわ)
 つかさは祈るように、最後まで剣を振るい続けるのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『不服従の賢王』

POW   :    贄の叫び
自身が戦闘で瀕死になると【墓場の亡者 】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
SPD   :    闇の嘆き
自身の装備武器を無数の【黒百合 】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ   :    葬られる孤独
【死の恐怖 】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【有象無象の蛇のかたまり】から、高命中力の【恐れを喰らう蛇】を飛ばす。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠揺歌語・なびきです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●したがわずの
 館を守る死霊の群れの掃討に成功した猟兵たちは、勢いもそのままに町の人々が『あのお方』と呼称する『死を司るもの』が棲まう館の内部に突入した。そして、まっとうな人間が住んでいればパーティーのひとつも開きたくなるような大広間に猟兵たちが足を踏み入れた時、遂に彼らは今回の事件の諸悪の根源――『不服従の賢王』たる存在と相対することとなった!

『……実に忌々しき猟兵どもよ。我が領地での数々の狼藉、決して許さぬと知れ』

 賢王のずっしりとした、威厳すら伴う声が響く。何が狼藉だ、それはこちらの台詞だと猟兵たちから抗議の声が上がるも、賢王は難しい顔を崩さず言い放つ。

『我は死を司るもの、其の役割にただ従っているのみよ』
「殺した人々を死霊にして、町の人々と戦わせるなんて……!」
『其れが最も効率の良い護身の術だった故の事』
「こいつッ……!」

 オブリビオンに交渉の余地はない、分かってはいたことだったが、いざ対峙してみるとその残虐性と思考回路のあまりの違いに、目眩さえするような思いの猟兵たちであった。しかし、ここまでたどり着いたからには猟兵たちの全力をもって不服従の賢王を討ち倒すのみである。さあ、あと一息だ――!

 ――これは、明日への希望を奪われた人々の物語。
 抗うことさえ叶わず、ただ俯いて生きるだけの――いや、もはや「生きてさえいない」、「死んでいないだけ」の日々を過ごすより他に術を持たなかった人々の物語。

 ――そして、そんな彼らを救わんと己が持てる知恵と力を集めて立ち向かった、勇敢なる猟兵(イェーガー)たちの物語。
リーヴァルディ・カーライル
…【限定解放・血の教義】の発動を囮にカウンターを狙う
吸血鬼化して増大した魔力を錬成し無視できない存在感を放つ
後は激昂した振りをして、敵の注意を引き付ける

役割にただ従っている?効率が良い護身の術だった?
そんな理由で今まで死を振り撒いて…許さない、お前だけは絶対に!

敵が妨害しようと動いたら第六感を駆使して行動を見切って敵を掴み、
怪力任せに地面に叩き付け、魔力を溜めた生命力を吸収する血杭で
【限定解放・血の聖槍】による2回攻撃を行い傷口を抉る

…そう動くと思っていた。護身なんて思考ができるあなたなら…
必ず、私達の戦いを監視して対策してくると…
…この世界にとって許されないのはあなたの方と知れ、死を司るもの



●ダンピールの黒騎士
 「……役割にただ従っている? 効率が良い護身の術だった?」
 猟兵たちの間から、吐き捨てるような声と共に先んじで歩み出たのはリーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)だった。凄絶な表情で不服従の賢王を見据える彼女の存在感は凄まじいものがあり、これにはさしもの賢王もその良く回る首をリーヴァルディの方に向けざるを得なかった。

「そんな理由で今まで死を振り撒いて……許さない、お前だけは絶対に!」
 彼女の激昂は賢王の注意を引くための偽装ではあったが、その場の誰もがそれを見破れぬほどに、その言葉は迫真をもって突きつけられた。

『互いが互いを許せぬというか、ならば話は早い。我が直々に齎す死を享受せよ、光栄に思うが良い』
 「……限定解放」
 賢王がその禍々しい翼を大きく広げ舞い上がると、鋭い鉤爪でリーヴァルディを一撃のもとに引き裂こうとしたのと、リーヴァルディが吸血鬼と精霊の力を行使する術式の詠唱を始めたのはほぼ同時だった。

 完全に隙だらけのリーヴァルディ目がけて迫り来る賢王の鉤爪。
『小娘が、知っておるぞ。先にも其の術を使っていたな。我に対し斯様な大掛かりな術を使おう等、随分と余裕があるものだな』
 あわや少女の柔肌が無残に引き裂かれるかと思われた刹那、リーヴァルディは閉じていた瞳を見開くとおもむろに賢王の左足首をむんずと掴み――そう、掴んだのだ――力任せに思い切り大広間の床目がけて叩きつけた!

『グアッ……!?』
 馬鹿な、といった様子で首をもたげる賢王が目にしたものは、彼が予想していたものとは全く異なる術式を行使したリーヴァルディの、ヴァンパイアと化した姿だった。
「……連想クイズの問題は最後まで聞くものよ。刺し貫け、【限定解放・血の聖槍(リミテッド・ヴラッドパイル)】!!」
 いまだ床に叩きつけられた衝撃から起き上がりきれずにいる賢王目がけ、自身の一瞬しか保たないヴァンパイア化が解除される余波により生じた圧縮魔力の血杭を放つ。
『オォッ……!! おのれ、小娘……ッ』
「……護身なんて思考ができるあなたなら……必ず、私達の戦いを監視して対策してくると思っていた」
 かつん、かつん。一歩ずつ靴音を響かせながら杭の一撃を受けて身悶える賢王に近づくリーヴァルディは、先に杭が命中した賢王の身体の傷跡を見るや、有り余っていた余波の残りをもう一撃、寸分違わぬ箇所に叩き込んで傷を抉りこむ……!

「……この世界にとって許されないのはあなたの方と知れ、『死を司るもの』」
 どこまでも冷ややかな目線でもって不服従の賢王を見下し、リーヴァルディは冷たく言い放った。
『少し……侮っていたようだな、貴様らは『猟兵』、そこいらの冒険者風情とは違うと心得ねばならぬようだ……』
 対する賢王は身体を抉られながらも立ち上がり、再び羽ばたいてみせた。

成功 🔵​🔵​🔴​

甲斐・ツカサ
そっちが役割に従うって言うなら、オレもオレのキモチに従ってアンタを倒すよ!

バイクで駆け回ってヒット&アウェイ
でも、それは怖いからとかじゃなくて、次への布石さ!

隙を見つけたら、フックを引っ掛け、後は一直線!
加速したバイクを蹴る勢いでバイクから離れ、ワイヤー巻き上げの勢いで更に加速!
捨て身の突撃だ!

と思わせておいて、太陽のように赤いマントを翻して視界を遮る!
そう、マントは気を引く囮さ!
同時にコードを発動、圧縮空気で軌道を変えて、残したマントと真逆、背後から隙をつくよ!

それに反応されても、もう一手!
この一撃はダガーから伸びる光刃でリーチを伸ばしてる!

太陽の赤と、空の蒼
最期に見せるには勿体ないかもね!



●宵空翔ける冒険家
「そっちが役割に従うって言うなら、オレもオレのキモチに従ってアンタを倒すよ!」
 賢王にとっては見慣れない存在であろう宇宙バイク「Ray-GuSTAR(レイガスター)」にまたがり次に進み出たのは甲斐・ツカサ(宵空翔ける冒険家・f04788)だ。

『ほう、貴様は。死霊達に意味も為さぬ憐憫と同情とで自滅しかけた愚かなる小童』
「何とでも言えよ! あんなひどいコトをしたアンタを、オレは絶対許さない!」
 凛とした声音と表情でそう宣言すると、ツカサはバイクを駆って攻め込んでいく。宙を舞う相手を負けじと追い回し、相手が急降下して鉤爪で狙ってくるところを逆に一太刀浴びせては離脱するのを数度繰り返してのせめぎ合いが続き、ある時迫る賢王の鉤爪をツカサがフルスロットルで身を低くしてかい潜った瞬間に、隙を見い出す。

「そらよっ、と!」
『何だ、何の小細工を!?』
 「未知標(みちしるべ)」の名を持つフック付きワイヤーを賢王のマントにすかさず引っかけたツカサは、今が好機とばかりにバイクの進行方向を賢王に向けて急加速。一直線に賢王目がけて突き進むと、車体を蹴る勢いでバイクから離れてワイヤーを巻き上げ、その勢いでさらに加速を高め、捨て身の一撃を――!

 ぶわっ!
 その名は「緋色の外套(マント・オブ・ヒーロー)」、この地ではそうお目にかかれないであろう真っ赤な太陽のような外套をひるがえして、ツカサは賢王の視界を遮る。
『くっ……! 小童め、小癪な……!』
 賢王はかぶせられたマントをはぎ取ることよりも先に、黒百合の花びらを無数に召喚して四方八方からツカサを襲うことに思考を切り替える。だが、一瞬の判断はツカサの方が早かった。
「――過去も未来も、何処にでも。吹き抜ける風を見せてやる! 【悠久の蒼穹呼ぶ風の外套(ファーマメント・マント)】!!」
 ユーベルコードの発動と同時に圧縮空気を一発放ち、反動で自身の動く軌道を変更。賢王の顔に張り付いたマントとは真逆の後背を取る。そこへようやく賢王の【闇の嘆き】が到達するが、ツカサにはさらにもう一手があった。

 「AZ-Light(アズライト)」の名を冠する、ダガーの形状をしたフォースセイバーだ。澄み渡る空の蒼の如き光の刀身は、本体であるダガーよりもはるかにリーチが長く、まさか届くまいと思っていた賢王の背中を、襲い来る黒百合の花びらごとバッサリと斬り裂いた!
『ば、馬鹿な……ッ』
「太陽の赤と、空の蒼。最期に見せるには勿体ないかもね!」
 ようやく赤いマントをはぎ取った賢王の忌々しげな目線の先には、どこまでも爽やかなツカサの笑顔があった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アルミィ・キングフィッシャー
狼藉、ねえ。
アタシは盗賊だからね、相手が嫌がることをやるのが本懐さ。
許さないなら、許さないで構いやしない。
何ならアンタに盗んだものを返してやってもいい。

…あいつらの無念だけどな(中身の入った情吸いの小瓶を叩きつけつつ)。

…それにしても、攻撃を読みにくい。
鳥って事は空を飛ぶだろうから地面に叩き落としてやらないとダメだな。
様子を見てフックつきロープで引きずり落としてやるか。
隙があったら風切羽を狙って攻撃しておくか。
レプリカクラフトの霞網とか罠として使えるかね。

花弁は七つ道具の対象を吸い込む壷で対応したいが、全ては無理かね。ダメージ自体は減らせそうだが。

…年貢の納め時だ、ここで詫びながら朽ち果てな。



●「ネフライト」
「狼藉、ねえ」
 やれやれ、といった体で軽く首を振るのはアルミィ・キングフィッシャー(「ネフライト」・f02059)だった。
「アタシは盗賊だからね、相手が嫌がることをやるのが本懐さ」
『盗賊とな、猟兵は薄汚い輩まで身内に引き入れるのか。節操の無いものよ』
「許さないなら、許さないで構いやしない。何ならアンタに盗んだものを返してやってもいい」
 そう言いながらアルミィは何やら光るものを賢王目がけて叩きつける。とっさに払い落とそうとした賢王の翼に当たって「割れた」それは、先程死霊との戦いでありとあらゆる負の感情を吸い取った「情吸いの小瓶」だった。中身はもやもやとしたどす黒い形を取りながら賢王の周りを漂う。
「……あいつらの無念だけどな」
『愚かな、此の程度で我が何をどう思うかなどと思うたか、輩め』
 心動かされることこそないにせよ、鬱陶しい様子ではある。賢王は自分の周囲を漂う死霊たちの無念の情を、翼を大きく一振りして消し飛ばしてしまった。

『余興は終わりか? ならばそろそろ一人くらいは仕留めておかねばな』
 賢王は眼光鋭くアルミィを睨めつけると、黒百合の花びらをいっせいに飛ばして襲いかかる!
「来たね……!」
 対するアルミィは【盗賊の七つ道具(ザ・シーフツール)】で召喚した壺を構えて、可能な限り黒百合の花びらを吸い込んでいく。しかしさすがに全ては吸い込み切れず、数枚の花びらがアルミィの身体のあちこちを掠めては傷をつけていく。
(さすがに、全部は無理かね)
 苦笑いさえ浮かべつつ、アルミィは収まりつつある黒百合の花びらの嵐の向こうにいる賢王を見やる。

(……それにしても、攻撃を読みにくい)
 先程から自由自在に空を飛ぶ賢王は、思わぬ所から攻撃を仕掛けてくるし、またこちらの攻撃を当てるのも中々に難しい。
「地面に叩き落としてやらないとダメだな」
 後に続く仲間のためにもなるだろう、そう判断したアルミィはとっさの判断でフック付きワイヤーを思い切り伸ばす。
『先程の小童に続いて、輩め、貴様もその小癪な得物を使うか!』
「今流行ってるのさ、知らないのかい?」
 不敵に笑うアルミィはフックが引っかかった手応えを感じると、持てる力のほぼ全てを使って、まるで巨大な魚の一本釣りでもするかのごとくワイヤーを引っ張った。
『う、ぬぬぅ……!?』
「せいりゃあ!!」
 そのまま後方に放り投げるように、遠心力もろともに賢王を床に叩きつけた! それに満足せず飛行能力を奪わんと、賢王の風切羽を狙いダガーを逆手に構えると突進しようとしたが、再び放たれた黒百合の嵐に行く手を阻まれる。

 しかし、あと一歩だ。アルミィは自身の意思を味方に託す。
「翼だ! ヤツを叩き落とすんだよ!」
 そう味方に向けて叫ぶと、賢王に目線を戻してつぶやいた。
(……年貢の納め時だ、ここで詫びながら朽ち果てな)

成功 🔵​🔵​🔴​

ヘスティア・イクテュス
元より許すつもりはなかったけれど…
えぇ町の人の奪われた平穏。ヘスティア・イクテュスが奪い返させて頂くわ

他の猟兵に気を取られてる時に
ティターニアで【ダッシュ】し背後へ

スナイプモードで両翼へのニ連射
おまけに足、胴への攻撃で十字を描く四連射で撃ち貫いて

飛べないようにする、もしくは飛んでるのを叩き落とすわ
【属性攻撃:ビーム&鎧無視&スナイパー】


町の人達が味わった死への恐怖、貴方が死を司るだというならそれも味わいなさい


花びらは【見切って】回避
ダメそうならバリア【オーラ防御】を張って防ぐわ



●SkyFish団船長(自称)
 アルミィの叫びを受けて即座に進み出たのは、ヘスティア・イクテュス(SkyFish団船長(自称)・f04572)だった。彼女もまた、賢王の両翼を狙い飛行能力を喪失させようと考えていた猟兵の一人だったからだ。彼女の武器は遠距離攻撃に長けており、そういった点においてはまさに適任とも言えただろう。

「元より許すつもりはなかったけれど……えぇ、町の人の奪われた平穏、ヘスティア・イクテュスが奪い返させて頂くわ」
 海賊は奪うもの、そう自負する彼女らしい言である。ジェットパック「ティターニア」を展開し自身も宙に舞い上がると、中途半端な姿勢でアルミィ目がけて黒百合の花びらをけしかけていた賢王の背後をあっという間に取る。
『空を飛ぶ猟兵だと!?』
「そうよ、そして貴方はこれから地に墜ちる!」
ぐるりと180度首を回してヘスティアを凝視しながら驚愕する賢王と、その首の回りっぷりに若干仰天しながらもそれをひた隠しにしてビームライフルの照準を定めるヘスティア。

「風向把握……弾道予測……射軸安定……今!」
 【ミスティルテイン(長距離狙撃モード)】は別名「スナイプモード」とも呼称される。その名に違わぬ狙撃の腕で、賢王の両の翼にそれぞれ風穴が空いた!
『何……たる……!!』
「おまけよ、これも喰らっていきなさい!」
 さらに両脚と胴へもついでとばかりに撃ち込んだヘスティアは、遂にバランスを完全に崩して床に落下する賢王の姿を確認したのだった。

『そうか、娘……ならば、此れも、喰らって行け……!』
 落下しながらもなお放たれる賢王の黒百合の花吹雪を、しかしヘスティアは冷静にオーラの防御障壁を展開させ盾にして防ぎ切る。
「町の人達が味わった死への恐怖、貴方が『死を司る』のだというなら、それも味わいなさい」
 上空から賢王を見下ろし、ヘスティアは冷静にそう言い放った。

成功 🔵​🔵​🔴​

天星・暁音
許さぬも何も君に許されなきゃいけない覚え何か微塵もないよ。
そもそも領地だと言うなら領民は大事にするものだよ。
それに効率が良いとか馬鹿じゃないかな?
だから俺達は此処にいるんだしね。
大詰めだからね。此処にまで来て気は抜けない。
彼等の安息を願う為にも…

味方を鼓舞し敵をおびき寄せ誘惑し味方の行動を手助けし全力で回復支援します。

可能であれば戦闘後に魂の安息と鎮魂の舞を捧げます。



●貫く想い
 ヘスティアの狙撃が決定打となり、遂に地を這うこととなった賢王。再び羽ばたこうにも翼には派手な風穴が空き、それは叶わない。
 そんな賢王の前に歩み寄ったのは、天星・暁音(貫く想い・f02508)だった。基本的に癒し手である彼である、まさかと思った猟兵もいただろう。しかし、彼の口を突いて出たのは意外な言葉だった。

「許さぬも何も、君に許されなきゃいけない覚えなんか微塵もないよ」

 優しげな少年から放たれる辛辣な言葉に、誰もが息を呑む。
「そもそも領地だと言うなら領民は大事にするものだよ。それに、効率が良いとか馬鹿じゃないかな? だから俺達は此処にいるんだしね」
 このままの勢いでは、地に伏した賢王の頭あたりを王冠ごと踏みにじるプレイに走ってしまうのでは……? そんな心配をした猟兵もいたとかいなかったとか、ともかく様子を見守っていた皆は、すぐ安堵することとなる。

「いままでの戦闘で怪我をした人はこっちに集まって……今、治すから」
 暁音は振り返ると猟兵たちに声をかける。今までに賢王と刃を交えた者は皆、程度は軽いが傷を負っていたのでいそいそと集合する。
「それじゃあ、治すね。……祈りを此処に、妙なる光よ。命の新星を持ちて、立ち向かう者達に闇祓う祝福の抱擁を……傷ついた翼に再び力を! 【神聖なる祈りの抱擁(ディヴァイン・プリエール・エンブレイス)】!」
 暁音の詠唱と共に放たれた神聖なる光に照らされた猟兵たちが一人、また一人と癒やされていく。ひと段落したところで暁音はかなり疲弊してしまっていたが、本人は一向に気にせず笑顔で皆の回復ぶりに安堵する。

(大詰めだからね、此処にまで来て気は抜けない。彼等の安息を願う為にも……)
 いよいよ攻撃が当てやすくなった賢王を前に、暁音は改めて気を引き締めるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

杜鬼・カイト
兄【杜鬼・クロウと行動】

可愛い妹のオレと一緒に行動できて、兄さまも嬉しいでしょう?
…賢王だかなんだかしらないけど、兄さまの邪魔をするなら容赦しないよ。

兄さまと連携
なぎなたで間合いをとる。
敵の攻撃は【見切り】で回避。
つかず離れずの距離を保って、距離を詰められたらなぎなたで【武器受け】し、【なぎ払い】をして攻撃しつつ離れる。

敵の攻撃からオレのこと兄さまがかばってくれたら嬉しい。
でも、兄さまを傷つけた敵は許したらだめですよね?

狂った笑みをうかべつつ【殺気】を放ち【妖剣解放】
「鳥ごときが兄さまの邪魔をするなッ!!!」
【激痛耐性】で自分が傷ついても構わず敵を攻撃し続け【恐怖を与える】

■アドリブ歓迎


杜鬼・クロウ
アドリブ歓迎

「相容れねェのはハナから分かってらァ、外道が。
ハ、傲岸不遜な態度を取ってられンのも今だけだ。テメェ自身でかかってこいや!」

自称妹(杜鬼・カイト)と行動
前衛
嫌々、連携意識

「…ち、敵より油断ならねェお前に背中預けンのは不安だが…少しは力になンだろ。
そのキメェ格好はいつになったらやめンだよ、クソが(侮蔑)
怖…えげつねェな」

クイっと指で【挑発】する仕草
玄夜叉を構えて【2回攻撃】で斬る
【トリニティ・エンハンス】使用
攻撃力重視
炎の魔力を剣へ宿す
敵の攻撃は剣で【武器受け・カウンター】
間に合わなければ腕で【かばう】
亡者諸共【鎧無視攻撃】で剣で薙ぎ払う

「お前は俺”達”を怒らせた。代償は高くつくぜ」



●風雲児&アイビー
『……我が翼をもいだとて、まだ戦の趨勢が決した訳では無い。調子に乗ってくれるなよ、猟兵』
 その両翼こそ傷つき機動力こそ著しく落ちたものの、まだ多彩な攻撃手段を持つ不服従の賢王は、まさしくその名の通りいまだ屈することなく猟兵たちの前に立ちふさがる。

「相容れねェのはハナから分かってらァ、外道が」
 そんな賢王に対して高い所から声がかけられる。その場の誰もが声の方を見やると、大広間の天井近くに配された大きな窓がいつの間にか開かれ、その窓枠に二人の人影が立っているではないか。
『今更誰何したところで詮無き事か、何れは全員屠ってくれるのだからな』
「ハ、傲岸不遜な態度を取ってられンのも今だけだ。テメェ自身でかかってこいや!」
「……賢王だかなんだかしらないけど、兄さまの邪魔をするなら容赦しないよ」
 いまだその威厳衰えぬ賢王に負けず劣らずの言葉の応酬を見せたのは、杜鬼・クロウ(風雲児・f04599)と杜鬼・カイト(アイビー・f12063)の兄弟……いや、『兄妹』だ。

 二人は窓枠を蹴ってそれぞれ地に足をつけると、クロウは得物の「【黒魔剣】玄夜叉─アスラデウス─」がすぐ届く間合いで、カイトはそれより二、三歩ほど距離を置いた所でなぎなたを構える。
「……ち、敵より油断ならねェお前に背中預けンのは不安だが……少しは力になンだろ」
「ええー、可愛い妹のオレと一緒に行動できて、兄さまも嬉しいでしょう?」
 目線だけを後ろに控えるカイトに向けつつ言葉をかけるクロウに、カイトが心底嬉しそうに返す。
「……そのキメェ格好はいつになったらやめンだよ、クソが」
 カイトの何がクロウの癇に障っているのか。答えは一目瞭然、カイトの服装にあった。カイト――『彼』の性別は間違いなく男なのだが、平然とセーラー服を身にまとっているのだ。他にも色々とクロウからしてみれば言いたいことは多いかも知れないが、ひとまずはそこがアレでソレなのだと把握しておいていただければ大丈夫だろう。

 人差し指を引くようにクイッと動かしクロウが賢王を挑発するも、賢王の厳しい顔は崩れることがない。ならばと「玄夜叉」を構えて【トリニティ・エンハンス】を発動、攻撃力に重きを置いた作戦で炎の魔力を剣へと宿し、賢王目がけて斬りかかる――!
 同時にカイトも動く。近接戦を挑んでいる兄の妨げにならぬよう、かつ自らの間合いを保つ意味合いでも、賢王とはつかず離れずの距離を維持している。
 クロウの連撃が賢王をとらえて傷口を灼く。そこですかさず賢王が驚くべき脚力で跳躍すると、鋭い鉤爪でクロウの腕を狙って襲いかかる。
 それを見たカイトが一瞬目を見開き、直後に誰もがぞわりとするような狂った笑みを浮かべつつ――【妖剣解放】を発動した!
「鳥ごときが……兄さまの邪魔をするなッ!!!」
 妖刀の怨念をまとったカイトの動きは目視でとらえるのが困難なほどに素早く、クロウを巻き込まぬ位置まで瞬時に移動すると、賢王目がけて斬撃による衝撃波を放つ。

『ふ――其れを言うなら猟兵風情が、数にモノを言わせても無駄ぞ』
 すんでの所でクロウの腕をあきらめ、その結果カイトの放った衝撃波も避ける。どこにそんな力が残っていたのか、と周囲の猟兵たちも驚きを隠せない、だいぶ痛めつけたはずだったのに――!

『……【闇の嘆き】に呑まれて、二人仲良く散るが良かろう……!』
 今までも猟兵たちを幾度となく苦しめてきた黒百合の花びらが圧倒的な質量をもってカイト目がけて襲いかかる。そこへ腕を交叉させて立ちふさがり彼をかばう者がいた。クロウだ。
「兄さま……!」
「ぐッ……クソ、ボヤッボヤしてンじゃねェ!!」
(思ってた、敵の攻撃からオレのこと兄さまがかばってくれたら嬉しいって)
 カイトはともすれば恍惚とした表情を浮かべそうになるのを必死にこらえつつ、クロウの様子を見る。自身が受けるはずだった攻撃のほとんどを肩代わりしたクロウの傷は浅くなかった。もちろん、カイト自身も多少なりとも傷を受けている。

「……ねえ、兄さま。兄さまを傷つけた敵は許したらだめですよね?」
 その声に振り返ったクロウがカイトの表情を見て発した一言はこれだった。
「怖ッ……えげつねェな」
 つまりはそういうことだった。やれやれといった体でクロウが賢王に言う。
「お前は俺”達”を怒らせた。代償は高くつくぜ」
『……ほう?』
 若干その厳しい顔を訝しげなものにしたように見えた賢王目がけ、狂気を孕んだ笑顔と共になぎなたを振るいカイトが襲いかかったのだ。怪我の痛みをものともせず、なりふり構わぬ攻撃をしかけるカイトの攻撃を驚異の脚力で跳ね回って回避しながら、しかし賢王は戦慄さえ覚えていた。

(……猟兵にも様々な者が居るのだな、今後の為に覚えておくか……)
 賢王に『今後』があればの話ではあるが。

苦戦 🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

荒谷・つかさ
正直な所、あんたがどこまでもオブリビオンでほっとしたわ。
剣の錆にするのに、躊躇いが要らないもの。
……さっきの死霊の群れと違ってね。

ここまで来て出し惜しみはしないわ
今の私の最高の一撃を叩き込んであげる
普段「属性攻撃」技能で風迅刀に纏わせている圧縮空気の刃を、零式・改二に纏わせる
次に「残像」を残す程の速度で一気に踏み込みつつ、「気合い」を込めて【荒谷流重剣術奥義・稲妻彗星落とし】を発動
「怪力」「早業」「鎧砕き」技能を組み合わせ、重たい大剣を正確に、なおかつ躱されないような速度で、防御ごと打ち砕く勢いで一気に振り下ろす

死だろうが何だろうが、我が剣に打ち砕けぬ物なし。
立ち塞がるなら破砕して進むのみよ。



●護剣銀風
 狂ったように、いやまさに狂気の沙汰で振るわれるなぎなたの嵐からようやく解放された不服従の賢王の前に次に立ちはだかったのは、荒谷・つかさ(護剣銀風・f02032)だった。
『……次から次へと……今度は異国の娘か』
「正直な所、あんたがどこまでもオブリビオンでほっとしたわ」
 賢王の不躾な目線もものともせず、つかさは言い返す。
「剣の錆にするのに、躊躇いが要らないもの。……さっきの死霊の群れと違ってね」

 それはつかさの本心であったに違いない、しかし賢王はそれを一笑に付す。
『娘、大言壮語という言葉を知っているか? 我を相手に躊躇がどうのと――』
 そこで賢王は黙々と戦闘準備に入ったつかさに思わず瞠目する。巨大な出刃包丁のような外見をした愛刀「零式・改二」を構えた彼女の姿はまさに鬼気迫るという表現がふさわしかったのだ。つかさは賢王を鋭い眼光で見据えながら宣言する。
「ここまで来て出し惜しみはしないわ、今の私の最高の一撃を叩き込んであげる」
『何……!?』
 言い終わるが早いか、つかさはそれこそ残像を残す程の勢いで一気に賢王の懐に踏み込みつつ、裂帛の気合いを込めて叫んだ!

「重剣術奥義【荒谷流重剣術奥義・稲妻彗星落とし(ライトニング・シューティンスター)】……この剣に、打ち砕けぬもの無し!!」

 単純だが、しかし重い一撃。翼が健在であれば、あるいは避けられたかも知れない。――遂に、賢王に強烈な一撃が入った瞬間であった。ここまでの猟兵たちの攻撃の積み重ねの成果であるともいえよう。防御さえ許されぬ一撃は賢王を床に叩きつけただけではおさまらず、賢王を中心とした床を放射状に激しくひび割れさせていた。

「……死だろうが何だろうが、我が剣に打ち砕けぬ物なし。立ち塞がるなら破砕して進むのみよ」

 巨大な得物を軽々と一振りして刃についた諸々を払い落としたつかさは、振り返ることもなく言い捨てる。とどめとまでは行かなかったが、賢王が再び起き上がるまでには時間を要したという。

成功 🔵​🔵​🔴​

オリヴィア・ローゼンタール
POW
話になりませんね、圧制の怪物
これまでの悪逆非道、贖う時が来たのです

【血統覚醒】で吸血鬼化、戦闘能力を爆発的に増大させる
【属性攻撃】【破魔】で聖槍の破邪の力を強化
破邪の聖槍よ――その権能、ここに示せ

【怪力】にて聖槍を振るい、【衝撃波】を起こして花びらを吹き飛ばして突き進む
散らせなかった分は【気合い】と根性(【オーラ防御】【激痛耐性】【呪詛耐性】)で無視する

怒りも相俟って死の恐怖は覚えない(【勇気】)
私たちこそが貴様の死、邪悪を狩り殺す猟兵と識れ

聖槍を縦横無尽に【なぎ払い】、敵を斬り打ち穿つ
死を司るなどと大言を吐くならば、一度倒したくらいでは蘇るかもしれません
徹底的に粉砕し尽くします



●聖槍のクルースニク
 ことここに至って、遂に賢王は知ることとなる。
 己が、かつてないまでの窮地に立たされていることを。
 そして、猟兵たちの怒りの攻撃は続く。

「――話になりませんね、圧制の怪物。これまでの悪逆非道、贖う時が来たのです」
 しゃらん、と聖槍を構える聖女の姿は、しかし賢王にとっては凄絶なものとして映っただろう。オリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)は賢王を睨めつけていた金色の瞳をすっと閉じると、ひとつ大きく息を吸い、刮目した。

【血統覚醒】――見開かれたオリヴィアの瞳は禍々しいまでの真紅に染まり、それはすなわち彼女がヴァンパイアと化したことを示していた。
『その力は……馬鹿な!』
「破邪の聖槍よ――その権能、ここに示せ」
 戦闘能力が爆発的に増大したことを見て取った賢王が驚愕するのと、オリヴィアが聖槍に破魔の力を宿すのがほぼ同時、次に動いたのは――僅かに賢王が早かった。
『事、此処に至っては、出し惜しみはしていられぬか……!』
「なっ……!?」
 突き出された破邪の聖槍が刺し貫いたのは賢王ではなく、彼が危機に陥った時のみ召喚される『墓場の亡者』。その力の強さは召喚者である賢王とほぼ等しく、一撃では倒れない。

『娘よ、其の力はそう長くは保つまい。時間切れまで、其奴が相手をしてやる』
「おのれ……っ!!」
 驚くべき怪力でもって振り回される聖槍は、一度は貫いた墓場の亡者を槍の穂先から振り抜き、広間の壁に思い切り叩きつけた。二体、三体と召喚される亡者たちを、オリヴィアは決して恐れることなくなぎ払い、斬りつけ、打ち穿つ。
「私たちこそが貴様の死、邪悪を狩り殺す猟兵と識れ!」
『この娘……何が其処までこの娘を駆り立てるのだ……!?』

 賢王とは、名ばかりなのやも知れぬとオリヴィアは思考の端で考える。もしくは、なればこそのオブリビオンなのだろうか、とも思う。彼女を突き動かすものはまさしく義憤であり、それは死をも恐れぬ勇気をもたらしてくれるのだが、どうやらこの敵とは徹底的に理解し合えないらしい。――する気もないが。

「死を司るなどと大言を吐くならば、一度倒したくらいでは蘇るかもしれません」
 爛々と光る真紅の瞳で賢王をとらえ、オリヴィアは言い放った。
「――徹底的に、粉砕し尽くします」

成功 🔵​🔵​🔴​

セリオス・アリス
死を司る…だったか
なら、自分の死期も理解したか?

『挑発』しながら攻撃
墓場の亡者と斬り結ぶ
亡者を賢王から離したら
【青星の盟約】を歌い攻撃力を高め『ジャンプ』で後退
墓場の亡者と少しだけ距離をとる
剣を後ろ手に構え
爪先は賢王に向けて腰を落とし
悪いがお前の悪あがきに付き合ってやるほどお人好しじゃないんでね
「その身に刻め…!」
【蒼牙の刃】で斬撃を飛ばし賢王を直接狙う



●ダンピールのシンフォニア
「――代わるぜお嬢さん、それ以上はヤバいだろ」
 【血統覚醒】によって力を得る代償として、確実に自らの寿命を削っていくオリヴィアを見かねて前に進み出たのは、セリオス・アリス(ダンピールのシンフォニア・f09573)だった。

「死を司る……だったか。なら、自分の死期も理解したか?」
『いいや、未だだ! 我はまだ終わってはおらぬ!』
 二、とひとつ笑むと、セリオスは自分に向けてけしかけられた墓場の亡者と真正面から斬り結ぶ。刹那のつばぜり合いの後、剣を思い切り横に払い亡者を振り払って賢王から引きはがすと、その隙を逃さず大きく息を吸い、朗々と歌を歌い上げる。

「星に願い、鳥は囀る。――さあ歌声に応えろ、力を貸せ!」

 誓いを違えず発動した【青星の盟約(オース・オブ・ディーヴァ)】は、セリオスの攻撃力を強化する。それを確認したセリオスはすかさず後方にジャンプで距離を取ると、ルーンソード「星の瞬き」を後ろ手に構えた。つま先は賢王に向けて腰を落とし――そう、亡者たちには目もくれずに賢王そのものを狙うことをセリオスは選んだのだ。

「悪いが、お前の悪あがきに付き合ってやるほどお人好しじゃないんでね」
 ググッと剣を振るわんとする腕に力を込めて、裂帛の気合いと共に斬撃を放つ!
「その身に刻め……!!」
『亡者よ、其の者を取り押さえよ……!!』
 セリオスが思い切り振るった剣から蒼白い衝撃波が放たれ賢王を斬り裂くのと、残っていた亡者たちがセリオスを押さえ込むのは、前者の方がわずかに早かった。地に伏せられながらも確かな手応えを感じたセリオスは、止めは任せたと言わんばかりに顔だけを上げ、もう一度不敵に笑ってみせた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ニルズヘッグ・ニヴルヘイム
ふはは、やはりオブリビオン、容赦は要らないとみた。ならば話は早い。
今この場で貴様が死ぬか、それとも我々が斃れるか――結末は二つに一つだ!

往くぞ、相棒。【三番目の根】だ。葬った亡霊どもの苦しみ、この私が受け止めてやる。
呪わば呪え。だが呪うべきは世界ではない。死をもたらしたかの怨敵と、貴様らを救えなかった私だ!
強化が済めば、【ドラゴニック・エンド】の出番だな。【串刺し】にして、召喚した蛇竜で焼き払ってくれる。
ふはは、殺戮形態のこいつは痛いぞ。貴様も死を司るものならば、死の痛みは味わっておいた方が、それらしいのではないか?

もう遅いだろうが、貴様も覚悟しておくが良い。殺す者は、必ず殺されるのだ。



●世界竜
 僅かに残った墓場の亡者は、しかし召喚された直後より力を増しているかのように思われた。それは逆に、不服従の賢王がいよいよ命の危機に直面しているということにも他ならない。
 そこで遂にこの戦いに終止符を打つべく、ニルズヘッグ・ニヴルヘイム(世界竜・f01811)が満を持して立ち上がった。
「ふはは、やはりオブリビオン。容赦は要らないとみた、ならば話は早い」
『……りょ、猟兵が……ッ!!』
「今この場で貴様が死ぬか、それとも我々が斃れるか――結末は二つに一つだ!」

 そう高らかに宣言すると、ニルズヘッグは傍らに控える黒い蛇竜に声をかける。
「往くぞ、相棒。【三番目の根(ニヴルヘイム)】だ」
 ニルズへッグが瞳を閉じれば、思い出されるのは最初に町を訪れた時の陰鬱とした空気、父親を殺された町長代理をはじめとした心身共に疲弊し傷ついた人々、館の周りで相手取った元は町の人々だった死霊たち……。それはまさに、明日への希望を奪われた、『救えなかった者の死の記憶』の追体験に他ならなかった。
 それらすべてを胸に刻むことで、蛇竜の封印は解かれ黒い長槍へと姿を変える。ただの槍ではない。常以上に殺傷力を増した「殺戮形態」である。

「葬った亡霊どもの苦しみ、この私が受け止めてやる」
 長槍が振るわれるたび、墓場の亡者が一体、また一体と消えていく。
「呪わば呪え。だが呪うべきは世界ではない、死をもたらしたかの怨敵と――」
 ぶぉん、と槍が振るわれる。亡者の最後の一体が、消えていく。
「――貴様らを救えなかった私だ!」

『お、お、おのれえぇ……!!』
 いよいよ窮地に陥った賢王が、再度亡者を召喚すべく大きく息を吸う。しかし、それがかなうことはなかった。振るった槍の勢いもそのままに、遠心力を使って槍の穂先を半ば強引に賢王に向けたニルズヘッグは、渾身の力で槍を突き出して賢王の胸元を貫いたのだ。
『……か、はッ……』
 槍は蛇竜の姿に戻ると、するりと賢王の身体を血まみれになりながら抜け出して、その口を大きく開くと、賢王目がけて激しい炎の息を吐き出した!

「ふはは、殺戮形態のこいつは痛いぞ。貴様も『死を司るもの』ならば、死の痛みは味わっておいた方が、それらしいのではないか?」
 果たしてニルズへッグの言葉はどこまで聞こえていたのだろう、いつの間にか賢王だったものは灰と化して消えてしまったのだから。ニルズヘッグもそれは承知の上だったのか、焼け跡に背中を向け相棒を呼び寄せると、独りごちるように言った。
「もう遅いだろうが、貴様も覚悟しておくが良い。――殺す者は、必ず殺されるのだ」


――これは、明日への希望を奪われた人々の物語。
 抗うことさえ叶わず、ただ俯いて生きるだけの――いや、もはや「生きてさえいない」、「死んでいないだけ」の日々を過ごすより他に術を持たなかった人々の物語。

 しかし、それも遂に終わる。猟兵たちが町に凱旋して戦果を伝えることによって。
 物語は塗り変えられ、末永く語り継がれることだろう。

――それは、あいときぼうのものがたり。
 どんなにかなしいことがあっても、あきらめなければ、かならずただしいものがかつ、すくいにみちたものがたり。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月18日
宿敵 『不服従の賢王』 を撃破!


挿絵イラスト