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ハロウィンの月夜と邪猫の集会

#UDCアース #UNYAの鳴き声

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#UDCアース
#UNYAの鳴き声


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●猫の収穫祭
 都会の喧騒とは程遠い静寂に包まれた郊外の山間部に、ぽつんと人の記憶から忘れ去られた一軒の廃墟がある。数十年前のバブル景気時に金持ち用の貸別荘として作られたが、完成直後にバブルが弾けて運営会社はひっそりと夜逃げをして倒産してしまった。今は所有権が誰にあるのか明確にされないまま、誰にも知られずに朽ち行く運命にある……のだが、目の前の湖畔には何者かによって篝火が焚かれ、天高く延びる炎は満月にまで届く勢いだ。

『にゃーは、ゴミ箱を漁って丸々太ったネズミを持ってきたにゃー』
『にゃはは! にゃーは、餌に夢中になっていた鳩を捕まえてきたにゃー』
『にゅふふふふ……にゃーは、近所のお魚屋さんから秋刀魚を盗んできたにゃー』
 現代を生きる化け猫達が自分達が持ってきた収穫物を自慢しあい、祭壇と思わしき櫓に供物であるそれらをどんどん積み上げていく。

『去年のUNYA様降臨の儀式は失敗したにゃ! にゃけど、今度は失敗しないにゃ。にゃぜなら……にゃー達にはUNYA様へ直に仕えていた大神官様が付いているのにゃ』
『今度は失敗しないにゃ、寧ろどう失敗しろと言うんだにゃ?』
『街は今頃ハロウィンで浮かれているにゃ。今度こそはUNYA様を復活させ、邪猫教団の本懐を今ここで果たすのにゃ!』
 にゃーにゃーと煌々とした灯りに照らされながら賑わう化け猫達を見下ろすように、一匹の白猫が朽ちた別荘の窓からじっと外を見つめていたのであった。


●グリモアベースにて
「楽しいハロウィンの中、わざわざお集まり頂きありがとうございます」
 今日は待ちに待った楽しいハロウィン。魔女の衣装から、恐らく自らも今日のハロウィンを楽しんでいたのであろう秋月・信子(魔弾の射手・f00732)が、集まった猟兵達にぺこりとお辞儀をした。

「実は、今日のハロウィンの夜に邪神の復活を果たそうとする教団の動きを予知しました。突然の予知で時間が残り少ないので、手短にお話します」
 ハロウィンの夜に邪神復活儀式とは。彼女が話すには、元々ハロウィンは10月31日にあたる日を一年の終わりと考えの元、その日は現世と異界の間の門が開いて死者の魂や悪しき精霊等が地上を彷徨う信仰をルーツに持つという。そこへ、邪神UNYAを信仰し復活を果たそうと暗躍する化け猫UDC達が構成する邪猫教団が目を付け、現世と異界の狭間があやふやになるハロウィンの夜に、邪神UNYA復活の儀式を執り行う訳である。勿論、人の生気を集めて邪神UNYAを復活させようとしていた化け猫達だけでは、この方法を思いつかなかっただろう。つまり、お世辞にも賢いとは言えない化け猫達に知恵を授けた存在が居るという事だ。

「猫達にこの方法を授けたのは、遠い昔に邪神UNYAが顕在していた頃、直属の眷属として仕えていたエルダーUDCとも言える存在です。そして、それは邪神UNYA復活の儀式を行おうとしている廃墟を拠点としている事を、僅かながらですが予知できました」
 ということは、そこが化け猫達の邪神教団のアジトであるのも間違いない。儀式を失敗させ、また邪神教団拠点を潰すという一石二鳥の好機でもある。

「そろそろ邪神復活の儀式が執り行われようとする刻限です。悪い猫達を懲らしめて、邪神の復活を阻止してきてください」
 信子は再び深くお辞儀すると、自らの影に宿るグリモアを操ってゲートを作り出す。そして、ゲートから敵の本拠地の中心へと送られ、殴り込みをかける猟兵達を見送るのだった。


ノーマッド
 ドーモ、ノーマッドです。
 気づけば、今年も一ヶ月を残すばかりとなりました。
 寒さもより一層冷え込んで冬の足音が徐々に聞こえ、今年の雪景色は何時見れるのか待ち遠しいです。

●シナリオ解説
 第一章は【集団戦】フラグメントです。
 邪猫教団のアジトで邪神復活の儀式を行っているウェアキャットらとの戦闘です。
 万全に整えられた祭壇やら祭具やらを破壊しつつ、悪い猫ちゃん達へのお仕置きを与えましょう。

 第二章は【ボス】フラグメントです。
 有象無象のウェアキャット達に智慧を授けた邪猫教団大幹部との戦闘となります。

 第二章と第三章については、現時点で開示出来る情報はありません。
 章が進展する毎の情報開示となりますので、ご了承下さい。


 それでは、皆様の熱いプレイングをお待ちしています。
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第1章 集団戦 『ウェアキャット』

POW   :    引っかき
【伸縮自在で鎌の刃のように伸ばす鋭い爪】が命中した対象を切断する。
SPD   :    好奇心は猫を殺す
自身の【好奇心が旺盛過ぎる猫の本能】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
WIZ   :    猫騙し
【かしわ手を打つ動作】から【相手の意識の中に幻影】を放ち、【驚かせたり怯ませる事】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 篝火、邪神への供物が捧げられた祭壇を取り囲みながら、化け猫UDCウェアキャットらが信奉する邪神UNYAへの祈りを捧げている。そして突如、その中心で空間が歪んだことにウェアキャット達は一斉にどよめいた。

『にゃー! にゃー達の祈りが通じて、UNYA様が復活したかにゃ!?』
 目をらんらんに輝かせながら化け猫達はその一点を凝視するが、その期待はすぐに裏切られた。何故ならば、それはゲートから転送された猟兵達以外に他ならないからだった。

『うにゃー!? イェーガー、にゃぜここに!!』
 化け猫達は猟兵の突然の襲来に狼狽えたが、爪を剥き出し尻尾を逆立たせながら臨戦態勢で望み、満月の月夜で昂ぶった獣の本能のまま問答無用で襲いかかってきた。
祝聖嬢・ティファーナ
WIZで判定を
*アドリブ歓迎

『フェアリーランド』の壺の中から風/光/闇の精霊と聖霊と月霊を呼んで『クリスタライズ』で姿を隠して『エレメンタル・ピクシィーズ』で属性攻撃を『神罰の聖矢』で聖攻撃を仕掛けます☆
敵の避けれ無い攻撃は『月世界の英霊』で空間飛翔して避けて敵のUCを『月霊覚醒』で封印/弱体化をします♪
敵が増えたり強化したら『叡智富める精霊』+『神聖天罰刺突』で苛烈な猛攻を仕掛けて『聖精月天飛翔』でWIZを強化して『グレムリン・ブラウニー・ルーナ』で小妖精に動き回り逃げ回って貰います☆
合間合間で“七色こんぺいとう”を手渡して配ります♪

「ワーキャットさんたちでも“悪事”と“迷惑”は止めて!☆」



 尻尾を大きく逆立たせながら爪を長く伸ばして臨戦態勢で臨んでいるウェアキャットの群れの前に、一つの小さな小さな壺がことりと転送される。

『ふにゃー! 見るからに怪しい壺だにゃ。おみゃー確かめてこいにゃ!!』
『ふにゃー! 触るととんでもない目に遭うとにゃーの動物的本能が警告してるにゃから、その役目は嫌だにゃ!!』
 目の前の怪しげな壺は一体何なのか確かめる猫、所謂見てこいカルロのカルロを誰がやるかで、ウェアキャットらはにゃーにゃーとお互いに押しつけ合っていた。その喧騒を制するように、一匹のウェアキャットが叫んだ。

『仲間割れはみっともねぇーにゃ! それよりも、あの壺の中から、何かボソボソ聞こえてくるにゃ!!』
 その指摘にハッとして、一斉に壺へ注目して耳を小刻みに動かす化け猫達。気のせいか、壺も小刻みにカタカタ動いている気がする。

「……歌唱う、我らが精霊・聖霊・月霊よ♪ 歌い、踊り、唄い、舞踏れ♪ 素ノ源ヨリ来タレリ…」
 それが猟兵、祝聖嬢・ティファーナ(フェアリーの聖者×精霊術士【聖霊術士】・f02580)の声だと気づいたウェアキャット達の動物的本能がこの壺から離れろと警告したが、どうやらそれは一足遅かったようだ。

「やぁ、こんばんは♪ ボクは祝福と聖音の花と実の音と共に生まれたフェアリィさ☆」

 壺の中から出てきたティファーナの周りには風、水、闇、月霊といった精霊らを従えており、つまりは壺の中のフェアリーランドの中で猫達が怪しんでいる内に戦闘態勢を万全にしていたという訳だ。そして、自己紹介の挨拶と一緒に放たれた四つの精霊を宿した魔法の矢が四方八方に放たれて、壺を取り囲んでいたウェアキャット達を一気に吹き飛ばした。

「ワーキャットさんたちでも“悪事”と“迷惑”は止めて!☆」
 目を回して延びているウェアキャットの顔、頭、体の上に、ティファーナは『七色こんぺいとう』を置きながら飛び回る。月の光がこんぺいとうを透かすと、プリズムのように内部で反射されたり屈折された事によって虹色に輝かせていた。だが、どうやら延びている猫達にとっては、くるくると頭の上で回る星が落ちてきたようでもあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

榊・ポポ
バブル時代の負の遺産かー
無駄に金かけてるから立派なんだよね
もう廃墟だけど!
しょぎょーむじょーだね!

ちわー!榊不動産のポポでーす!営業に来ましたー!
邪神じゃないよ!残念でした!
突然ですが立ち退きしてもらうねオラァ!
避けても無駄だからね!
てか避けない方が身の為!
でも避けちゃうよね!角で殴られると痛いもんね!
避けたらここら一帯をポポちゃんの私有地にすっぞ!
ポポちゃんが好き勝手出来る様にすっぞ!
怯んだ隙にバリバリ君で走り回って轢き逃げアタックだー!(蹂躙)
儀式道具とかはミニポポちゃん達が破壊して回るね!(破壊工作)
珍しそうなものはUDC組織に言い値で売ろうかなー
私有地だし?好きにするって言ったよね?



「ちわー! 榊不動産のポポでーす! 営業に来ましたー! 邪神じゃないよ! 残念でした!」
 続いてゲートから姿を現したしゃべるトンチキカカポの榊・ポポ(デキる事務員(鳥)・f29942)が祭壇の上に降り立つと、尻尾を立てさせながら威嚇するウェアキャット達を挑発するようなカカポダンスを披露しながら周囲を一瞥する。すっかりと緑が生い茂っており、建設資材の搬入に使われていたと思われる道路も、今では物好きな人間でなければ足を踏み入れないまでに荒れ放題であった。しかし、榊不動産のデキる事務員(鳥)であるポポちゃんはすぐさま見抜いた。ここは優良物件であると。

「バブル時代の負の遺産かー。無駄に金かけてるから立派なんだよね」
 バブルが弾ける直前の不動産事情では、会社が倒産して計画倒れとなり建設途中のまま放置されるケースが多い。そのような物は、やれ原因不明の火事で全焼した金持ちの家だの、やれ家主が発狂して一家惨殺しただのと、ネットの掲示板や独り歩きする噂話を聞きつけた廃墟マニアなり若者達の肝試し等で荒らされるケースが多い。

「もう廃墟だけど! しょぎょーむじょーだね」
 だが、ここは違った。建物は完成済みであり、恐らく早くから化け猫達の根城となっていたのもあって痛みもそんなに酷くはない。寧ろ、最近流行りのポツンと一軒家ブームや不便さを楽しむキャンプブーム、都会の喧騒から離れた隠れ家ブームなりで買い手なり使い道があるのでは? 鳥である故に表情を一つも変えないポポちゃんの頭の中では、時代に合わせた運用プランがポンポンと生まれてはキャッシング音が鳴り響いていた。

『にゃにぶつくさ呟いてるんだにゃー!』
『驚かして落としたら、食い散らかしてやるにゃー!』
 ウェアキャット達が一斉に柏手を打ち鳴らすと、ポポの脳裏に様々なイメージが投影される。だが、ポポはそれを歯牙にも掛けなかった。何故ならば、この土地一帯をポポちゃんの場所にすると今決めたのだから。飛べないオウムの天敵である捕食者の猫だろうが卵を食い荒らすネズミだろうが投影されても、それらは積もり積もった御魂除霊事務所の家賃とリース料返済を賄うであろう札束の山にかき消されたのだから。

「突然ですが立ち退きしてもらうねオラァ!」
 沈黙していたポポちゃんが幻影を完全に一蹴すると、月と篝火で照らされた夜空に無数の契約書が舞い飛ぶ。立ち退きに関する物件差し押さえの契約書だが様々な法律要件が網羅されているのだから、それは舞いながら一つに纏まると鈍器と言っても良い程の分厚さへと変貌する。

「避けても無駄だからね! てか避けない方が身の為! でも避けちゃうよね! 角で殴られると痛いもんね! 避けたらここら一帯をポポちゃんの私有地にすっぞ! ポポちゃんが好き勝手出来る様にすっぞ!」
 ナムアミダブツ! なんたるマッポーな地上げか!?
 凶器めいた差し押さえ契約書がウェアキャット達に襲いかかる。化け猫が怯むと、ポポちゃんが愛車の原付バイク『バリバリ君』で彼女らを追い立てる。その所業はまさに、土地転がしシノギで猛威を奮った地上げヤクザクランの如きである。

「金ピカの祭具もあるね! 珍しそうなものはUDC組織に言い値で売ろうかなー、私有地だし? 好きにするって言ったよね?」
 ポポちゃんが原付バイクで蹂躙する傍ら、ネットワークチューナーを兼ねた量産型半自律式小型カカポロボ『ミニポポちゃん』が、祭壇の櫓や儀式道具の撤去に取り掛かる。信奉する邪神の降臨に不可欠な祭具の略奪を化け猫達は阻止しようとするが、ミニポポちゃんの目から放たれたビームで吹き飛ぶ!
 極悪非道の血も涙もない差し押さえ劇の前に、ウェアキャット達は為すすべもなく方方に散っていくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エダ・サルファー(サポート)
アックス&ウィザーズ出身の聖職者で冒険者です。
義侠心が強く直情的な傾向があります。
一方で、冒険者としての経験から割り切るのも切り替えるのも早いです。
自分の思想や信条、信仰を押し付けることはしません。
他人のそれも基本的に否定はしません。
聖職者っぽいことはたまにします。
難しいことを考えるのが苦手で、大抵のことは力と祈りで解決できると言って憚りません。
とはいえ、必要とあらば多少は頭を使う努力をします。
戦闘スタイルは格闘で、ユーベルコードは状況とノリで指定のものをどれでも使います。
ただ、ここぞでは必殺聖拳突きを使うことが多いです。

以上を基本の傾向として、状況に応じて適当に動かしていただければ幸いです。


中小路・楓椛(サポート)
技能とユーベルコードによる撹乱及び拘束による阻害で支援を主体とする周囲との協調行動を取りつつ、隙あらば戦域からの離脱を試みます。


グァンデ・アォ(サポート)
《アドリブ、連携、苦戦描写、ユーベルコード詠唱変更、その他何でも歓迎です》

「おや? あれは何だろう……ねーねー、そこのオネーさん、これは何なの?」

通常はだいたいイラストの通りのキャラクターです。
好奇心の向くまま、あちこちウロチョロ飛び回っては、なんやかんやで状況を動かします。
念動力でその場にあるものをなんやかんやしたり、ウロチョロ飛び回ってなんやかんやしたり、危険な行為に勇気を出してなんやかんやします。

「サポートAI、『大人の』グァンデです。よろしくお願いします」

マシンヘルムに変形して誰かに装着してもらう(攻性ユニット化)場合に限り、口調と人格が大人のそれになり、装着者の行動をアシストします。



「おや? あれは何だろう……ねーねー、そこのオネーさん、これは何なの?」
 ゲートから転送されてきてみれば、タイヤのような跡だけをのこして伸びていたり逃げ惑うウェアキャット達の様子をグァンデ・アォ(敖 広徳・f10200)がその場に居合わせた中小路・楓椛(流しの家事手伝い狐・f29038)に尋ねる。

「あら、お姉さんだなんてお口がお上手ですこと。申し訳ございませんが、わたしも転送されたばかりなので何がなんか、さぁ…」
 風呂敷包を背負った割烹着姿の妖狐も、この場はなんとも言い難い光景であったのに困惑していた。鳥が乗ったバイクや鳥型のメカが猫達を追い立てながら大暴れしているが、きっとあっちが猟兵でそっちがオブリビオンなのだろう。

「なんにせよ、ぶっ飛ばすのに変わりないよね」
 大抵のことは力と祈りで解決できるが信条なドワーフのクレリック、エダ・サルファー(格闘聖職者・f05398)は指をポキポキと鳴らすと、残っていたウェアキャットらが新たに現れた猟兵達にこれ以上の狼藉を止めるべく立ちはだかる。

『うにゃー!! これ以上好き勝手にさせねーにゃ!!』
 問答無用とパンと柏手を打って幻影で驚かせる猫騙しの後に、爪を伸ばして化け猫が猟兵達に襲いかかる。だが、その幻影を打ち破るようにエダは助走をつけ、脳裏に映し出される竜の幻影ごと飛びかかろうとするウェアキャットに聖職者式ドロップキックをお見舞いする。
 
「こいつでぶっ飛べ!」
 祈りを込めた亜音速のドロップキック。放たれたドロップキックで圧縮された空気の熱による炎がウェアキャットを包むと、楓椛が印を切って念じる。

「彼方の炎を…拝借!」
 炎のドロップキックを食らい燃え盛るウェアキャットの炎を触媒に、霊子をも灼きつくす炎を躍揚力転換術式: こる・ばるぷす(ヒラケシロガネ)をもって作り出した。触媒となった炎でドロップキックを食らったウェアキャットが地面に叩きつけられると同時に、その体は塵となって崩れ去る。そして飛び散った炎が、残った祭殿、祭具、ウェアキャット達に襲いかかり、邪神UNYAを降臨させる物は尽く灼きつくされていく。

「この様子だと、ボクの支援は必要ないみたいだね。でも、これだけは聞くよ。キミの願いは何ですか?」
 二人の活躍ぶりにヒーローマスクとして合体せずとも事は収まると判断したグァンデは、周囲を飛び回りながらウェアキャット達に問いかける。すると、星空に一筋の流れ星が空をかけた。そこから雪のようなモノが降ってきたかと思えば…それは大きい白い袋にひと纏めするよう収められたクリスマスプレゼントの塊であった。どんどんと降ってくるプレゼントの山にウェアキャット達が埋もれながらも、弱々しい声で応えた。

『う、UNYA様…ヘルプミー』
「残念。邪神のプレゼントはないんだ。他に欲しいものは無いかい?」
 未だに止まないプレゼントの霰とその重みに、ウェアキャットは何か言っているようだが、グァンデの耳にはそれが届かない。何時しかプレゼント袋は山と見間違うばかりに積まれていた。

「ところでひとつお尋ねしてみますけど…この辺りで住み込み賄い付きで何か良いお仕事、ありません?」
 寂れた別荘地といえ、都会の喧騒から離れて過ごしにはもっていこいな景勝地であるのには変わりない。であれば、こことは別に観光地があって働き口があるのやも知れない。そう考えた楓椛がエダの関節技や必殺聖拳突きを食らって目を回しているウェアキャットに問いまわるが、答えは一向に帰ってこない。そうして満月の夜に湖畔で催されていた邪神降臨の儀式は猟兵達の手によって完膚なきまでに破壊と阻止されるなか、誰にも知れずに楓椛は立ち去っていったのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『智の化猫大神官『シスターマヤ』』

POW   :    サイコブラスト
見えない【強力で大地をも揺るがす念動力】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。
SPD   :    邪神UNYAの落し子
戦闘用の、自身と同じ強さの【教団内で神獣として崇められ『お猫様』】と【呼ばれる邪神UNYAの上級眷属】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
WIZ   :    智を司る大神官としての叡智
対象のユーベルコードの弱点を指摘し、実際に実証してみせると、【何処からともなくウェアキャットの群れ】が出現してそれを180秒封じる。
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠秋月・信子です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 刻限は既に夜半を回り、いつしか晩秋の満月は空高く天頂近くまで昇っていた。夜半の月光が化け猫UDC達が信奉する邪神降臨の儀式と饗宴を催していた湖畔の集会場を照らせば、倒れた櫓、供物ごと燃え盛る祭壇、死屍累々の山となりのびてしまった化け猫達と見る影もない有様だ。
 ウェアキャット達の計画では、満月が最も高く昇る今に邪神UNYAが降臨していた筈であったが、この様子だと儀式が狂った事による誤召喚は疎か、召喚そのものも望めないだろう。

 ――チリン。

 透き通るような鈴の音色が突如聞こえ、その場に居合わせた者らは音の鳴った場所へと顔を振り向く。そこには一匹の白猫が座っていた。迷い込んだにしては、こんな山奥に汚れ一つもない純白の白猫が居るのは不自然だ。住処になりそうな場所となれば湖畔を見下ろすように建てられた半ば朽ちた別荘ぐらいだが、そこに住んでいる者となれば…。

 ――チリン。

 白猫は意に介さずに歩み寄る。木々の陰に入ると一瞬姿を隠したが。再び現れたのは白猫でなく身なりの良い姿の女性だった。
 その姿をウェアキャット達が見るや否や、みるみると血相を変えて顔を青ざめていく。

『だ、大神官様にゃー!?』
『これには、深ーい訳にゃ…』
『お許しくださいにゃー!』

 女性はひれ伏して許しを請うウェアキャット達の横目にしながら猟兵達の前に出て、軽く会釈をして挨拶をした。

『ご機嫌よう。良い月夜ですわね?』
 思わず拍子抜けしてしまうが、猟兵達は感じ取っていた。彼女か漂う、オブリビオンが放つ独特の禍々しい気配を。

『名を名乗っていませんでしたね。私はシスター・マヤ。この邪猫教団を導く神官を務めております。そこの建物からこの子達と貴方達の戦いを見物をさせて貰いましたが、やはりイェーガー。お強いですわね』
 ですが、と彼女は続ける。

『UNYA様降臨の儀式を台無しにしたとお思いでしょうが、まだ終わっていませんわよ?何故なら、イェーガー。貴方達の血を、魂を供物として捧げれば良いだけなのですから』
 口元をにぃっと歪めて微笑むと、周りの木々がざわめき始める。勿論、風は吹いておらず、にゃおん、にゃおんと森の中から不気味な鳴き声が聞こえてくる。

『UNYA様の落とし子達も喜んでいるご様子です。憎い人間達を八つ裂きにできる事を、生肝を貪れる事を。ああ、猫達に祝福あれ。貴方達もひれ伏し続けていないで、立ち上りなさい。人間達の八つ裂きにするのが、UNYA様のお望みです』
 その言葉に汚名返上のチャンスを与えられたと、ウェアキャット達が爪を伸ばしながら再び威嚇し始めた。どうやらこの邪猫教団を統率する神官を倒さない限り、邪神降臨を防げないようだ。こうして満月の夜の戦いは第二幕を開けるのであった。
リディア・スカーレット(サポート)
 ダンピールのビーストマスター×パラディン、女です。
 普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」
 恋人には「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

静かな場所や花などの自然が大好きです。
人との会話は淡々とこなし、あまり私情を入れない様にしてます。
仲間は大切に思っており、仲間とは協力し合い
依頼の成功を目指します。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


ハルピュイア・フォスター(サポート)
絶望を与えるのがわたしの仕事…。
無表情で口調は事実を淡々と告げます

【暗殺】が得意です
また【迷彩】【目立たない】【闇に紛れる】【地形の利用】など使用して隠密にまた撹乱しながらサポート行動

回避は【残像】で、怪我は厭わず積極的に行動

武器;首にマフラーの様に巻いてある武器『零刀(未完)』は基本は両手ナイフだが鞭や大鎌など状況に合わせて形を変貌させ使用

他猟兵に迷惑をかける行為はしないが、デザート系は別問題…奪います

後はおまかせでよろしくおねがいします


源・ヨーコ(サポート)
『悪い子はお仕置きっすよー!』
人間のブレイズキャリバー × ビーストマスター
年齢 16歳 女
外見 158.4cm 金の瞳 ピンクの髪 色白の肌
特徴 胸が大きい 八重歯 ギャル ハイテンション! 運動が好き
口調 体育会系(自分、~先輩、~っす、~っすよ、~っすね、~っすか?)

悪いヤツは鉄拳制裁!
あまり難しいことは考えず、敵に向かって猪突猛進するタイプ。全ては拳で解決できると信じていて、とりあえず接近して殴るが基本戦術。
硬そうな相手にはカウンターでの一撃必殺を狙い、素早そうな相手には連撃と使い分けぐらいはする。

単独行動を好み、調査などは苦手。
基本は戦闘オンリーな感じですが、よろしくお願いします。



 UDCの化け猫達による邪神教団を統率する智の化猫大神官『シスターマヤ』の登場にウェアキャット達は先程の敗北での失態を返そうと威嚇しながら息巻く中、彼女はそれを制するように前へと歩み出る。

『静まりなさい。貴方達が出る幕じゃないわ』
 仰々しく掌を月に向けて掲げると、再び森が風もなくざわめき立つ。そして月が映る湖面も徐々に波打ち大気をも震わせていく。

「コイツは…とんでもない一撃が来そうっすよ!」
 ただひたすらに拳打を鍛えてはや3年、源・ヨーコ(鉄拳制裁・f13588)はピリピリと空気を震わせながら伝わるそれを前に思わず身構える。だが、その様子は強大な敵を前にして奥していると言うよりも、思わぬ強敵の登場で目を輝かせているようでもあった。
 
「せっかくの静かになった夜がまた騒がしくなったわ…」
「そうね。こうも煩いと、良い月夜も台なしね」
 二人のダンピール、リディア・スカーレット(孤高の獣使い・f24325)とハルピュイア・フォスター(天獄の凶鳥・f01741)は淡々とした口調のまま、 飄々とした佇まいでシスターマヤの挙動の先にあるスーパームーンを眺める。ヴァンパイアの血が流れる二人にとって月夜は格別な物であるのだろう。まずは目の前の化け猫の親玉をどうするか、そう考え時にシスターマヤは手を振り下ろした。

『惨めに無残に、潰れなさい!』
 三人は大地が揺れ大気が破裂する衝撃に見舞われた。空気そのものを圧縮させ、猟兵を圧潰させようとする念動力を放ったと同時に、ハルピュイアが淡々としながらポツリと呟いた。

「希望はない…あるのは絶望だけ…。あなたの前に立ちはだかるのは誰?」
『何を世迷い言……を?』
 彼女の言葉を受けたシスターマヤに取っては、死を間際にした戯言に過ぎなかったであろう。だがそれは、UCを発動させるための詠唱。
 Lost memory(ロストメモリー)……かつての記憶がシスターマヤの脳裏にフラッシュバックしていく。それはかつて仕えていた猫神『UNYA』の記憶、それが封印され今生の別れとなった時の記憶。思わぬ再会と別れというUCが作り出した虚にシスターマヤの集中が途切れると、彼女が放ったサイコブラストによる圧潰が緩まった。

「今ね」
 攻撃が緩んだ隙と見たリディアが瞳を燃えるような真紅の瞳になると、月光に照らされながらその身をヴァンパイアへと変身させた。闇の呪詛が籠められた外套を翻しながら、両手でバスタードソードを軽々と振るいシスターマヤへと斬撃を放つ。

『くっ、小賢しい真似を!』
 ハッと意識を現実に戻し、振りかざされた刃に衝撃波を当て既の所で躱したが、その衝撃を受け流しながらリディアは追撃を行った。先程のような強力な念動力を発揮するには集中させる必要がある。ならば、集中させる機会を与えさせなければ…!
 とは言え、散発的に繰り出される衝撃波の礫もまともに喰らえばタダでは済まされないだろう。しかし、見えない空気の弾をヨーコは感覚を研ぎ澄ましながら、大気の流れを肌で感じつつ踊るように躱した。

「よっ! はっ! ほっ! うんうん、だいぶ分かってきたっすよ!」
 感覚さえ掴めればこっちのものと、ヨーコは拳を握り鉄拳制裁の連撃を繰り出す。接近戦に持ち込まれたシスターマヤは仕切り直そうと衝撃波を全周に向けて放ち、リディアとヨーコを吹き飛ばした。しかし、再び振り下ろされたリディアの斬撃はその直前にシスターマヤの身体を紙一重で斬ってみせ、彼女の腕を伝いながら血が流れ落ちていたのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

榊・ポポ
あ、退去命令に従わない住民発見ー
家主ですかー?
力づくで退去だー!

カカポの天敵の猫がなんぼのもんじゃい!
猫が嫌がるヤーツを呼び出してやるッ!
夢の中から!
スヤァ.....

雑で定評のある男子小学生のクソガキめいた何かが出てくるぞッ
棒切れ片手に家の柵をカンカンしたりつっついたりするぞッ
お猫様丸っこいからサッカーボールやドッジボールにされるかもね♪
夢の中の人物だから変な造詣してるけど!
明らかに人間じゃない造詣のものも出てくるけど!
男子小学生と言い張るッ!
ピンポイントで狙ったものでないからねー
明晰夢じゃないからね!仕方ないね!


祝聖嬢・ティファーナ
WIZで判定
*アドリブ歓迎

『フェアリーランド』の壺の中から風精霊/聖霊/月霊/戦乙女/天使を呼んで“七色金平糖”を配って『エレメンタル・ピクシィーズ』で属性攻撃を『神罰の聖矢』で聖攻撃をし『聖精月天飛翔』でWIZを強化して『月世界の英霊』『で敵の攻撃w空間飛翔して避け敵のUCを『月霊覚醒』で封印/弱体化させます♪
『叡智富める精霊』+『真姿勢天罰』で苛烈な猛攻を仕掛けて『エレメント・セイント・ティファーナ』で更に追撃します☆
猟兵の怪我人に『祝聖嬢なる光輝精』で怪我を治し『シンフォニック・メディカルヒール』で状態異常を癒します♪

祈り/歌唱/オーラ防御/鼓舞/浄化/勇気/属性攻撃/手をつなぐ/第六感



「あ、退去命令に従わない住民発見ー。家主ですかー?」
 差し押さえる物件の下調べとして、シスターマヤと入れ違うように朽ちた屋敷の査定を行っていたポポちゃんがよたよたと歩きながら戻ってくるや否や、くちばしを鳴らしながら邪教の神官に問う。

『…そうよ。この屋敷は我が教団の……ああ、それは!?』
 彼女が驚くのも無理はなく、ポポちゃんのポーチからは月明かりに反射して輝く銀色の物が顔を覗かせている。それはUNYAの姿を象ったと言われる祭具『純銀の招き猫像』で、その額にはデカデカと『差し押さえ』と書かれたシールが貼られていたのだから尚更だ。

「これはポポちゃんの物、あの屋敷もポポちゃんの物。力づくで退去だー!」
 あの様子では恐らく屋敷にも差し押さえシールを貼ってきたのであろう。わなわなと怒りに震えるシスターマヤの様子を察し、邪猫教団の信徒であるウェアキャット達が喚き立てた。

『おみゃーなんて事をしてくれたんだにゃ!? 今度こそ、その羽根をむしりながら頭からバリバリ食ってやるにゃー!!』
 元来生物とは天敵の活動時間帯を避ける生活行動でその衝突を避けている。哺乳類のいない隔離された島で進化したカカポの天敵は、上空から襲いかかる猛禽類だけだった。その攻撃を避けるために彼らは夜間に活動し、危機に直面した際には茂みの中でじっと動かず、その美しい緑色の体を草木に紛らせて敵をやりすごすよう進化を遂げた。
 だが、猫や犬、イタチなど陸生の捕食動物が侵入すれば、このやり方で上手くいくはずがない。加えてカカポの体臭はハチミツやフリージアのような匂いが強く、その肉質は柔らかくたいへん美味であるという。
 故にとある生物学者はこう述べた。飛ぶことができない無防備な鳥は、捕食者である陸生の肉食動物の鼻先で美味しそうな匂いをぷんぷんさせ、その殺戮本能を刺激させるのがカカポである。どれほど残酷な造物主であろうとも、人懐っこくすぎて警戒心ゼロの天敵に襲われるしかない物は作れなかったに違いない、と言わしめさせたまでだ。そして、そんなカカポも一度は生き残りとされた数話を自然保護区に移されたが、地元の野良猫に捕食されて絶滅されかけた。そんなポポちゃんが取った行動とは言うと…。

「カカポの天敵の猫がなんぼのもんじゃい! 猫が嫌がるヤーツを呼び出してやるッ! 夢の中から! スヤァ……」
 啖呵を切ってその場で立ち寝することだった。ぐっすりと寝るご馳走を前に、ウェアキャット達が襲いかかろうとしたが…そうはならなかった。コツンと何かにぶつかれば、その中に見る見ると吸い込まれていく化け猫達。

『ここは、どこだにゃー!?』
 こうしてウェアキャット達は何やら奇妙な世界へと迷い込む。そこはティファーナの壺と繋がっているフェアリーランドで、ウェアキャット達はその空間へと引きずり込まれたのだ。

「さぁ、悪い猫達はボクと精霊達、戦乙女に天使が相手だよ☆」
 その中で既に待ち構えていたティファーナと七色金平糖を配られたその仲間たちが邪猫達を追い立てる。放たれる神罰の聖矢、精霊達の追撃、戦乙女の突撃の数々を前に、ウェアキャットがフェアリーランド中を駆け回って逃げようとする。
 だが、一向に外へ繋がる出口が見つけられないウェアキャット達は、こうして妖精の国の土となる運命であった。

『随分と舐められ物ね…』
 シスターマヤは猟兵の仕掛けた罠に引っかかていくのにため息を付きながら、邪神『UNYA』の眷属たる『お猫様』を召喚する。それらへの贄として、よだれを垂らしながら爆睡するポポちゃんへ放つが、カカポの周囲で何かが動く気配がした。

 ──子供?

 街に繰り出せばよく見かけるワンパク盛りの小学生と思わしき影法師が、彼女の周囲で動き回る。そして彼らは棒切れを振り回しながら、玉のように丸いお猫様の周囲を取り囲み……。

「なっ!?」
 彼らでサッカーやドッチボールを始めたのだった。何たる不敬、何たる動物虐待か!? お猫様達を蹴って投げながら彼らはシスターマヤの周囲をぐるぐると回り、溶け合い融合していく。

「むにゃむにゃ…あれは男子小学生、これも男子小学生……明晰夢じゃないからね! 仕方ないね!」
 鼻提灯を作りながら、ポポちゃんは寝言を呟く。そして、影法師は一つのモノとなる。ポポちゃん曰く『月に吠える男子小学生』。円錐型の三本足のソレは、頭部から赤い舌のような触手状の物体でシスターマヤの絡み取り、満月と重ねるように高らかに掲げた。

『くっ…この! 離しなさい!』
 彼女は逃れようと藻掻いたが、触手はより締め付けを強め、その根元付近から満月へ吠えるようにバックリと口のようなものを開かせた。中は底しれぬ闇そのもので、シスターマヤは何かを叫んだが、その声はソレの咆哮で掻き消される。そして触手に絡められた彼女は、地の底にまで続く洞窟のような口へと押し込められ……。

「……ポポちゃん、今起きた! よく寝た!」
 鼻提灯が弾けポポちゃんが元気よく起きると、そこにはシスターマヤも『男子小学生』の姿はなく、目の前の湖には煌々と光る満月が映っているだけであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『月光の下で』

POW   :    大地から景色を眺める

SPD   :    舟を漕ぎ湖へ

WIZ   :    樹上から星達へ手を伸ばす

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 かくして猟兵達の活躍によって、ハロウィンの夜に人里離れた山奥の湖畔で執り行われようとされていた邪神召喚の儀式は失敗に終わった。邪神UNYAを信奉するウェアキャット、並びに化け猫UDCを導いていた智の化猫大神官『シスター・マヤ』が骸の海へと還った事で、邪神教団のアジトとなっていた廃墟は家主を失い、いずれ緑に飲み込まれ朽ちていく運命になるだろう。
 猟兵達は全てが終わり帰還の途に付こうとしたが、ふと視線を見上げてみれば、そこには満月を中心として満天の星が広がっていた。邪教団との戦いの最中では気にもしなかっただろうが、月明かりに照らされる小さな湖にも月や星が鏡のように映し出されている。こんな人知れぬ山奥に別荘建設が持ち上がったのも、かつてこの星空と大地が織りなす絶景を見た者が居たからこそだろう。
 だが、今やここは忘れられた地となり、再びその存在は人に知られる事はないかもしれない。せめて、その記憶と思い出だけでも……猟兵達は思い思いに宝石をちりばめたような星空を見上げていた。
祝聖嬢・ティファーナ
※アドリブ歓迎

『フェアリーランド』の壺の中から精霊/聖霊/月霊/戦乙女/天使/死神を出して上げて「いつもホントにありがとうね♪」と言って“七色こんぺいとう”をいつもよりも多めに配って、樹上から「みんなが笑顔で祝福を受けて幸せになりますように☆彡」と祈り/浄化/勇気/優しさ/第六感を込めて歌唱い舞踏します♪

少し気持ちや雰囲気が落ち着いたら、再び『フェアリーランド』の壺の中から他の世界のお菓子や食べ物・飲み物を出して「皆様もよろしければお好きなものをどうぞ☆彡」と両手を広げて伝えます♪

「あ、忘れてた…」と『グレムリン・ブラウニー・ルーナ』から小妖精を出して上げて“七色こんぺいとう”とお菓子を渡す☆



 フェアリーランドに繋がる壺の中から出てきたティファーナの目の前には、フェアリーという小さな種族にとっては果てしなく壮大とも言える夜空に宝石を散りばめたような星空が広がっていた。その美しさに彼女は心を奪われそうになるが、ふとある事を思いついたようだ。

「そうだ♪ 皆にも見せてあげなくちゃ☆」
 そして壺の中を覗き込むと誰かを呼ぶように叫ぶ。顔を上げて暫くすると…この壺に繋がるフェアリーランドに住む、精霊、月霊、戦乙女、天使、死神といった面々が続々と出てきて、ティファーナ同様に星空を眺めた。

「みんな、いつもホントにありがとうね♪」
 日頃の労をねぎらいながら、彼女は彼らの掌にあるものを手渡していく。それは月明かりに照らされて虹色に輝く、小さな小さな砂糖つぶのような妖精サイズの『七色こんぺいとう』。オブリビオンとの戦いにおいて、協力してくれる彼らにお礼として手渡しているお菓子を何時もより多めに渡すと、周囲は喜びの声で溢れた。喜んでくれているのに微笑みながら、ティファーナは満月に昇るように翅を羽ばたかせ湖畔の直ぐ側にある樹の上の枝に降りる。

「みんなが笑顔で祝福を受けて幸せになりますように☆彡」
 そして彼女は祈りと勇気、この忘れられた秘境で渦巻いていた狂気を祓うかのように、夜空を舞いながら唄った。それにつられるように精霊や戦乙女達らも舞い上がり、共に歌を唄い月光と星明かりに照らされる湖面にその姿を映した。共に戦った猟兵への祝福、この地への清めを終えれば、再び壺の前に降り立った。

「ハッピーハロウィン♪ 皆様もよろしければお好きなものをどうぞ☆彡」
 彼女が両手を広げると、次から次へと出てくる様々な世界のお菓子や食べ物、それに飲み物。この場に居合わせる各種族に合った物が出され、同じくフェアリーランドから出てきたハロウィン衣装の妖精たちが給仕し始める。それを見てティファーナは、はっとある事を思い出し、急いでUC『グレムリン・ブラウニー・ルーナ』によって小妖精を召喚した。

「ごめんごめん、お月さまとお星さまが綺麗すぎて忘れちゃった♪ はい、七色こんぺいとうとお菓子。いつもありがとね☆」
 小妖精達がトリック・オア・トリートと菓子を抱えながら騒がしくはしゃぎ回るのを、ティファーナはこんなに喜んでくれているのを嬉しそうに微笑みながら眺め入るのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

榊・ポポ
※業務用アイヒョーンで通話中

あ、シャッチョさん?ポポでーす
いい物件見つかりましてー、はい
バブル時代の負の遺産ですよー
しかも築年数の割に痛んでないんですねー
不法滞在者が管理していたみたいでー
はい、なので全員退去してもらった!
事故物件?うーん、微妙!
事故物件になりかけたけど、事故物件じゃなかった!みたいな!
なので告知義務無しで市場に出せますねー!
......え?面白くないからいらない?
シャッチョさーん、事故物件ばかり取り扱って感覚麻痺してませんー?
久々の良物件ですよー?
事務員なのに営業マンやってるポポちゃんの身にもなってくだちい!



 湖畔ではハロウィンの夜の宴が催されている一方、そこから少し離れた遮るものが少なく電波の通りが良さそうな場所にポポちゃんが居た。手頃で座れそうな所を見つけると、どてんと脚を出すように腰を掛け、肩に掛けていたメッセンジャーバッグに脚を突っ込むとごそごそとあるものを探す。前後に二本ずつ伸びている、カカポならではとも言える形状の四つの趾(あしゆび)が何かをむんずり掴みながら取り出すと、もう片方の脚を器用に使ってボタンを押した。
 電源が入ってポポちゃんの姿をバックライトの灯りで照らしだすそれは、スマートフォンのアイヒョーンと呼ばれている機種だ。背面には『業務用』や『榊不動産』と印刷されラベルシールが貼られており、それとは裏腹にホーム画面は買い切りのゲームアプリやら基本無料系課金ゲームアプリで埋め尽くされている。唯一業務用だと言い表しているかのように残っている最下部にある電話ボタンのショートカットを器用に羽根でタップすると、ポポちゃんは頭をアイフョーンに引き寄せるように身体を丸めた。既に日付を変更している真夜中なだけあって呼び出し音が長く続いたが、電話を送った主が出るとポポちゃんがいつもの調子とは違い畏まった様子で喋りだす。

「あ、シャッチョさん? ポポでーす。いい物件見つかりましてー、はい。バブル時代の負の遺産ですよー」
 どうやら電話越しで話している相手はデキる事務員(鳥)のポポちゃんの勤め先『榊不動産』のようで、先程オブリビオンを倒したことで再び家主を失い、法的にも誰が所有権を持っているのかすらあやふやな仮差押えた廃墟の邸宅について説明を始める。

「バブル時代の負の遺産ですよー。しかも築年数の割に痛んでないんですねー。不法滞在者が管理していたみたいでー……はい、なので全員退去してもらった!」
 こんな山奥であるが長い間化け猫のUDCが根城としていただけあり、捕食者を避けてか人が住まなくなった住居に付き物な住み着いた小動物やネズミなどの糞尿は全く無く、ほぼ人間の姿と言っても差し支えのない大神官が綺麗好きだったのか意外と手入れは行き届いていた。それにこの時代の建造物は今のように建設予算は度外視されていただけあってか、作りは頑丈そのもので痛みと歪みもなかったと、ポポちゃんは直に見て査定した内容をシャッチョさんに偽りなく伝えた。

「事故物件? うーん、微妙! 事故物件になりかけたけど、事故物件じゃなかった! みたいな! なので告知義務無しで市場に出せますねー」
 とは言え、不動産で売りに出す以上はその物件が事故物件であるかという旨を出さなければならない。だが人知れぬ場所のここで起きた出来事は、化け猫UDC達とそれらを退治した猟兵しか知らぬ存ぜぬものである。邪神降臨の儀式が執り行われていたが、それも失敗に終わった今では未遂事件として処理すれば良く、営業用に『かつて猫好きの家主がたくさんの猫達と住んでいた』と嘘偽りなく言葉は言いように宣伝すれば好評価を得られる事は間違いなしであろう。後の事細かい法的処理はUDC組織のツテを頼って職員に個人的な依頼として処理すれば大丈夫だと提案した。が、今回こそは絶対的に盤石だと思われたプランが脆くも崩れ去るのは、デキる事務員(鳥)のポポちゃんであっても予想できただろうか。

「……え? 面白くないからいらない? シャッチョさーん、事故物件ばかり取り扱って感覚麻痺してませんー?」
 並の経営者であれば降って湧いたような渡りに船な話だったのだが、どうやら榊不動産のシャッチョさんにとっては食指が動かなかったようだ。ポポちゃんと同じく猟兵であるシャッチョさんも、榊不動産のもうひとつの顔である『御魂除霊事務所』に舞い込んできた仕事として自らもUDCアース内で起きる事件や邪神騒動には足を運んでおり、その際に得られた現場物件は当然ながら事故物件ばかりであった。そんな榊不動産にとっては今回のケースは垂涎ものなレアケースなのだが、『買い手が付いて売れるかどうか』よりも『買い手が付くか分からないけど曰く付きの方が面白い』からという経営理念の壁が、デキる事務員(鳥)として利益を出したいポポちゃんの前に厚く立ちはだかった。

「久々の良物件ですよー? 事務員なのに営業マンやってるポポちゃんの身にもなってくだちい!」
 労基ガン無視の自発的なサービスみなし残業でこんな夜更けまで働いていると言っても、カカポが夜行性なので何処まで説得力があるものなのか。事務員でありながら営業マンもデキるポポちゃん、家賃を滞納するまでに経営苦でありながらイマイチ乗り気でないシャッチョさん。月明かりの下の中、今年の冬を今まで積み重ねた家賃滞納で追い出されずに無事越せるかどうか、それを左右する攻防はまだまだ続くのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年12月18日


挿絵イラスト