アースクライシス2019⑭〜地獄、降臨
●グリモアベースにて
「とうとう、ヒーローズアースのオブリビオンどもの首魁――クライング・ジェネシスが姿を現したぞ」
猟兵たちを待っていたプルート・アイスマインドは、グリモアが映し出す映像から顔を上げながら、その重大な報を告げた。
彼が見る映像は――海岸にそびえ立つ、城のような修道院。
フランス屈指の観光名所『モン・サン・ミシェル』だった。
「クライング・ジェネシスは世界的に有名なこの場所に現れ、おまえたち猟兵が挑んでくるのを待っているようだ。多くの人々におまえたちを撃破するシーンを見せつけて、胸に溜まった鬱憤を晴らそうという心づもりらしいな」
クライング・ジェネシスの原動力――それは何をすれども晴れぬ、超弩級の恨みだ。
人を恨み、社会を恨み、手を差し伸べる者さえ恨み、クライング・ジェネシスは世界を破壊せしめるほどの力を手に入れたのだ。
「奴は『骸の海発射装置』なるものを手中に収め、世界を地獄に変えるためにチャージを行っている。それが完了すれば世界は骸の海に覆われ……破滅に向かうだろう」
チャージが完了されると予測した日は12月1日。
それまでにクライング・ジェネシスを撃破できなければ、ヒーローズアースにカタストロフが引き起こされる。
「それだけは避けなければならん。クライング・ジェネシスはあの世界で戦った何よりも強敵だろうが……行ってくれるな? 猟兵たちよ!」
プルートの問いかけに、猟兵たちが頷く。
向かうはヒーローズアースのフランス――美しき修道院へ。
猟兵たちの転移が、始まった。
●降り立つ巨悪
満ちた潮に囲まれ、橋で繋がれた孤島と化している小山。
見る者を圧倒さえする名所――モン・サン・ミシェルに降り立ったクライング・ジェネシスは、遠くひろがる水平線を見やって大笑いした。
「いいねぇ! こんだけ立派でド派手な建物、この俺が戦ってやるにふさわしい場所だぜぇ!!」
ギャーッハッハッハッ――。
そうひとしきり笑うと、クライング・ジェネシスはようやく別のほうへ目を向けた。
橋だ。
人々が往来する橋を見下ろして、悪は楽しげに嗤った。
「どうせ猟兵どもが来るまでは暇だ! ひとつこいつらをぶっ殺して、少しばかりスッキリさせてもらうとするぜぇ!!」
その身から淀んだ漆黒の気を立ち昇らせるクライング・ジェネシス。
モン・サン・ミシェルの塔にしかと足をつけ、さながら砲台のようにそこに留まると、その胸の大穴から次々とオブリビオンを解き放った。
襲いくるオブリビオンの群れ。
恐怖に竦み、抗する術もなく殺される人々。
逃げ場のない橋の上は、瞬く間に惨状に成り果てた。
「ギャーッハッハッハッ! 最高の光景だぜぇ! ここに猟兵も加わりゃ最高の最高! さぁ早く来やがれクズどもォ!!!」
まるで優美なクラシックでも聴くように、人々の悲鳴を楽しむクライング・ジェネシス。
それを止められる者はいない。
――地獄だろうが踏み越え砕く! 猟兵たち以外には!
星垣えん
なんという清々しい笑い方。
ということで星垣えんでございます。
今回はやってきました首魁『クライング・ジェネシス』をぶっ倒し、その悪しき企みを打ち砕くシナリオです。
本シナリオもやはり、プレイングボーナスを得る特別の方法があります。
今回は『敵のユーベルコードへの対処法を編みだす』ことができれば、戦闘および判定が有利に転びます。
クライング・ジェネシスは皆さんが使用するユーベルコードと同系統のユーベルコード(POWならPOW、SPDならSPD)で先制攻撃してくるので、どう防御して、どう反撃するかを工夫するとイイ感じになるようです。
それでは、皆様からのプレイング、お待ちしております!
第1章 ボス戦
『クライング・ジェネシス』
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POW : 俺が最強のオブリビオン・フォーミュラだ!
全身を【胸からオブリビオンを繰り出し続ける状態】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD : 貴様らの過去は貴様らを許さねェ!
【骸の海発射装置を用いた『過去』の具現化】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【相手と同じ姿と能力の幻影】で攻撃する。
WIZ : チャージ中でも少しは使えるんだぜェ!
【骸の海発射装置から放つ『過去』】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を丸ごと『漆黒の虚無』に変え】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
イラスト:yuga
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ベイカー・ベイカー
※アドリブ連携歓迎
意外に小物臭いキャラでびっくりしたぜ。
敵UCは先制で出てくるオブリビオンたちの攻撃を①【第六感】で避ける②出てきた他のオブリビオンを盾に【盾受け】して防ぐ③炎【属性攻撃】の【範囲攻撃】による【カウンター】で繰り出されるオブリビオンを迎撃する、の3つの方法で対処。
ジェネシス本体に対しては【催眠術】による自己暗示で俺のUCの炎も無敵だと信じて【全力魔法】。敵の無敵という鎧を【鎧無視攻撃】できるほど無敵、無敵なんだ!
更にジェネシスに対して催眠術を交えた【挑発】と【言いくるめ】で今の攻め方で大丈夫なのか不安がらせる。動いて無敵を解除してくれれば儲け物。そのまま骸の海に葬送してやるぜ。
煙晶・リリー
ついに来たわねラスボスっ!!小物臭がすごい!
私の方がどう見てもカッコいいし?
ていうかなんか、おばあちゃんみたいな色のオーラしてるよね?
《七星》を一糸不乱に【二回攻撃】の【乱れ撃ち】
大群だろうと出どころがわかっているなら、
そこを叩きまくればいい
出てくる胸を狙っていく【部位破壊】
水晶の嵐に織り交ぜる【黒い錨】
こちらは【部位破壊】で腕、足を狙っていく
無敵タイムが終わっても動けると思わない方がいいよ?
このまま固めて滅多打ちにしてあげる!
「さぁさぁ、どっからでもかかってきやがれ雑魚どもォ! この俺の力で、こいつらと同じくクグッチャグチャに殺してやるぜ!!!」
橋上の人々から昇る悲鳴をかき消すような、悪の大笑。
それをモン・サン・ミシェルの美しき景観の中に見上げながら、小さなクリスタリアンと大きなアリス――煙晶・リリーとベイカー・ベイカーは走っていた。
「ついに来たわねラスボスっ!! 小物臭がすごい!」
「意外に小物臭いキャラでびっくりしたぜ」
そこに関してまったく意見を違えることのない二人。
「私の方がどう見てもカッコいいし? ていうかなんか、おばあちゃんみたいな色のオーラしてるよね?」
「言われてみりゃ、確かにそうかもな……」
クライング・ジェネシスの毒々しさを指差し、揶揄するリリーにベイカーは感心して頷いた。
しかし、そう言われるほうは心穏やかではない。
「貴様ら俺をナメてやがるな……! だがなぁ、これだけは言っておく! 俺が、俺こそが最強のオブリビオン・フォーミュラだ!」
おばあちゃんの胸の大穴が、高速で回転を始める。するとその穴が地獄に直結したかのように続々と異形のオブリビオンたちが湧き、山の上から飛び降りてきた。
「グアア!!」
「おっと、ちょうどいい」
「グエッ!?」
振り下ろされた爪をかわしたベイカーが、獣じみたオブリビオンの首をぶっ叩いて意識を断ち、それを抱え上げる。
「リリー、俺のそばに来な。突っ切るぜ」
「ふふん、いいよ。仲間を信頼して即決できる私」
すすすっ、と傍らにつくリリー。
それを確認すると、ベイカーは抱えたオブリビオンを盾にして、ずいずいと突き進んだ!
前から来る異形の爪を防ぎ、空から降る弾丸を受け止め、強引に敵群を突破してゆく!
「よっし、今だ!」
ジェネシスが登っている塔の直下――射程内まで到達すると、ベイカーは盾を放棄。群がるオブリビオンたちを業火の壁で退けると、その炎を敵の首魁にも届けようと天に手をかざす。
「ちっ、ここまで来やがるとは! だがオブリビオンはいくらでも湧くんだぜぇ!」
胸の大穴から、新たなオブリビオンが顔を出す。
――その瞬間、弾丸じみた不可視の力が、出てきたオブリビオンの頭を吹っ飛ばした。
「なっ!?」
「大群だろうと出どころがわかっているなら、そこを叩きまくればいいよね。それに気づく私、やっぱりカッコいい……」
常人のニヤリを百倍ぐらいにしたニヤリを浮かべるリリー。もはや喋る有頂天。
だがその手に持った水晶は、それに余りある働きをしている。どかどかと連射された力はもれなくジェネシスの胸部を撃ち、オブリビオンが発生する傍から粉砕しているのだ。
しかも、ただ雑魚を蹴散らしているだけではなかった。
「何だ……手が、脚が動かねぇ!!」
「気づくのが遅いね。拘束させてもらったよ」
驚愕するジェネシスに、リリーが指を銃に見立てて、ばぁんと撃つ仕草をする。
胸に撃ちこむ力に紛れさせて、何トンもの重力をこめた煙水晶を四肢にくっつけていたのだ。
ジェネシスはほぼ無敵の状態ではあるが妨害すら無効化するわけではない。ダメージこそ負わないが、重力によってその手足は自由を失っていた。
「さ、私が援護するうちにやっちゃえばいいよ」
「サンキュー。それじゃ一発かましてやるか!」
ふんぞり返るほど胸を張るリリーに笑い返して、ベイカーが再びジェネシスを見上げる。
そして目を閉じた。
創造のための想像。
想像するのは、あらゆるものを灰燼に帰す無敵の炎だ。
「敵の無敵という鎧を無視できるほど無敵、俺の炎は無敵なんだ!」
繰り返した言葉を自己暗示として、ベイカーが全力を注いだ魔法を放つ。巨大な竜巻のような業火の螺旋が撃ちあがり、ジェネシスの体を丸呑みにしてゆく。
「う……おおおお!!!?」
超熱量に飲みこまれたジェネシスの叫びが、モン・サン・ミシェルに響き渡った。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
数宮・多喜
【アドリブ改変大歓迎】
【鴉天女】
うーわ、でっけぇなオイ!?
コイツに徒歩で挑めってのも酷だよな……
こりゃいつもの通り、カブの出番だね。
っとグウェンドリンさん(f00712)か、どうだい?
特等席たぁ言えないが、奴さんの真正面まで超特急さ!
彼女をリアに『騎乗』させ、迫りくるオブリビオンの群れ共を
『操縦』テクを駆使して『見切り』、駆け上る!
「ほぼ」無敵って事は、その状態を維持するための
「核」がどこかにあるって事さ。
アタシが狙うのは、その一点。
攻撃を躱しながら『情報収集』し、
その一点を見極めたなら。
一気に突入!アタシの【魂削る刃】がそいつを削ぎ払う!
アタシの仕事はここまでさ。
後は任せたぜ、グウェンさん!
グウェンドリン・グレンジャー
【アドリブ歓迎】
【鴉天女】
多喜(f03004)と
わー……つよそー……(多喜のカブのリアに正座)
よし、ガンバルゾー
オブリビオンの群れへEbony Featherを投擲したり、Black Tailで打ち付けたりして道を開く
あっち、ちょっと、敵、少ない……かも(【第六感】でサポート)
多喜が、切り開いてくれたチャンス……絶対、逃がさない
奴の、隙、見逃さずに、【空中戦】で一気に接近する
【生命力吸収】【傷口をえぐる】【属性攻撃】を乗せた……Raven's Roar
属性は死属性……
お前の、生命力も、オブリビオンの、生命力も、吸い尽くして、あげる……
遠く、爆炎が立ち昇る。
――が、巨大な炎が消え去ったとき、ジェネシスは依然としてそこに在った。
まるで映画の中のような巨人じみたサイズと禍々しき邪気。
普段使いの宇宙バイク『宇宙カブJD-1725』を駆ってモン・サン・ミシェルに降り立った数宮・多喜は、ジェネシスを見上げて大きな声をあげる。
「うーわ、でっけぇなオイ!?」
「わー……つよそー……」
多喜と一緒に敵の威容を見上げつつ、リア座席で正座(!)しているグウェンドリン・グレンジャーがぼんやり気の抜けた声を出す。
「こりゃ徒歩で挑むのは酷だよな……カブがあってよかった」
「乗せてもらって……よかった」
多喜のお腹に回した腕を、きゅっと締めるグウェンドリン。正座してのその体勢はかなり窮屈に思えたが、この状況下で指摘するのも変な話なので多喜はとりあえず黙っておいた。
何も言わずに、アクセルを噴かす。
「それじゃ超特急! 奴さんの真正面行き、発進だよ!」
「よし、ガンバルゾー」
多喜の意気に応じるかのように増速するカブの上で、片手をぐっと上げるグウェンドリン。
だが当然、二人の行く手には大量のオブリビオンが待ち受けている。さながらゾンビパニックのように蠢く中を宇宙バイクで進むのは自殺行為のようにも見える。
しかし多喜は、ブレーキなどかけやしない。
「グウェンドリンさん! しっかり捕まっといて!」
「うん……援護は任せて……」
ぎゅっと一塊のように身を寄せて、二人はオブリビオンの大群に突っこんだ。
グウェンドリンの腰から翼にも似た刃がひろがる。そこから無数の羽根が礫のように撃ちだされて一箇所を切り開くと、多喜は躊躇なくそこへ車体を滑りこませる。
「アシスト感謝!」
「どういたしまして……あっち、ちょっと、敵、少ない……かも」
「了解!!」
グウェンドリンの直感ナビに従い、再びハンドルを切る多喜。そこにオブリビオンたちが群がってくるも、それもグウェンドリンの黒羽根が蹴散らし、二人を乗せたカブはどんどん敵群の海を渡ってゆく。
そして気づけば――ジェネシスの巨体をすぐ先に捉えていた。
「! 俺の生みだしたオブリビオンたちを突破しやがったってのか!?」
眼下をぶんぶんと走る宇宙バイクを見下ろすジェネシスが、信じられぬと声を上ずらせる。
「だが待て待て。今の俺はほぼ無敵! 近づかれようが何の問題もねぇ!」
「あんた馬鹿か? ほぼ無敵ってことはさぁ……完璧じゃないってことさ!」
大笑しかけたジェネシスへ多喜がにやりと口角を上げ――カブを飛ばした。
地上を走っていたカブが大跳躍を果たし、一気に距離が詰まる。
そして手も届かんばかりに近づいたところで、多喜はサイキックエナジーで淡く輝く手刀をジェネシスの胸に叩きこんだ。
「ぐおおっ!? こいつ……俺のスーパーな穴を!」
「『ほぼ無敵』を維持するための『核』……どうせそこなんだろ!」
「貴様ァァァ!!!」
手刀によって亀裂を刻まれた胸の穴が、回転を止める。オブリビオンの出現が止まると、続いてジェネシスから醸し出されていた無敵の威圧感も鳴りを潜めた。
「アタシの仕事はここまでさ。後は任せたぜ、グウェンさん!」
「うん。切り開いてくれたチャンス……絶対、逃がさない」
前に座る多喜の肩に手をかけて、グウェンドリンがリア座席から跳びあがる。
そうしてジェネシスの至近距離にまで舞い上がると――グウェンドリンは腰に生えた黒翼のブレードをひろげた。羽根が散るさまは、まるで天女だ。
だが振るわれる超高速の斬撃は、天女とは程遠い。
「お前の、生命力も、オブリビオンの、生命力も、吸い尽くして、あげる……」
「ぐおおああああ!? い、痛ええええええええ!!!?」
静かな囁きとともに放たれた一撃が、ジェネシスの巨躯を切り裂いた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
雷陣・通
フォン(f04428)と一緒だ
なあ、フォン……
もし、目の前にいるのがフォンにとって見たくないものや見せたくないものだとしても、心配するな
俺が居るし、俺しかいねえ
確かにさ、俺も知らない事一杯だったし、救えなかった命もある
だからさ、フォンが守りたいもの
俺も守るぜ!
●おびき寄せ、●庇いつつ
●視力で攻撃を●見切り
●鎧無視攻撃と●マヒ攻撃を乗せた●二回攻撃で
二人の幻の動きを止める
そこからはスピード勝負だ
技能は使う頭を捨てろ、何も考えるな
ただ……ただ、打ち込むんだ、この拳を!
『奥義、紫電』
そして、これは機先を制し、次につなげる一撃
「今だ、フォン!」
後は託す、逃がしはしねえぜ、クライング・ジェネシス
フォンミィ・ナカムラ
通くん(f03680)と
敵の幻影は、UDCアースの正体に気付く前の自分
あたしが猟兵になる前から、出身地のUDCアースでは惨劇が起こってて
知らずに呑気に暮らしてたかもしれない自分がいて
救えなかったもの、気付けなかったものへの後悔や罪悪感はあるけど
「だからこそ、守れるものは守りたいから……!」
幻影の【属性攻撃】と真逆の属性攻撃を【高速詠唱】発動で相殺するよ
通くんが時間を稼いでくれてる間に【オーラ防御】で身を守りながら【高速詠唱】
ちょっとくらいダメージを受けても、しっかり耐えて詠唱を続けるよ
呪文が完成したら【全力魔法】で光【属性攻撃】の『指定UC』発動
「この世界を、壊させはしないよ!」
「このクソ野郎ども、この俺に臆することなく向かってきやがるとはなぁ! だがな……貴様ら自身と戦うことになっても同じでいられるかぁ!?」
胸の大穴の回転を止められたジェネシスだったが、それを再び駆動させることはなかった。
代わりに起動させたものは『骸の海発射装置』。
荒唐無稽なその装置の力を用いて、最強を称するオブリビオン・フォーミュラは次々と猟兵たちの眼前へ『過去』という刺客を生み出し、その行く手を遮る。
「あ……」
フォンミィ・ナカムラもまた、自身の前に現れた過去に足を止める。
UDCアースに生まれた少女が相対したものは――鏡映しのような自分。
十一歳の今よりもほんのちょっと幼い、まだあの世界の裏側を知らない自分だった。
『早く学校に行かなきゃいけないんだから、パパッと済ませちゃうからね!』
ランドセルを背負った幻影は、無邪気に喋りかけてくる。
そんな自分の姿を見るとフォンミィは想像してしまう。
自分が呑気に暮らしていたあのときも、どこかで誰かに惨劇が起こっていたのだと。
友達とお喋りしながら歩いた通学路の裏で、誰かが無惨に死んでいたのかもしれないと。
気づけていたら。
救えていたら。
もっと早く猟兵になれていたら。
そう思うほど、どうしようもない罪悪感が胸を満たしていった。
――だが、俯くフォンミィの手を、隣にいる少年が握ってくれた。
「なあ、フォン……もし、目の前にいるのがフォンにとって見たくないものや見せたくないものだとしても、心配するな。俺が居るし、俺しかいねえ」
そう言って、雷陣・通は如何にも少年らしい、快活な笑みを浮かべる。
「通くん……」
「確かにさ、俺も知らない事一杯だったし、救えなかった命もある。だからさ、フォンが守りたいもの……俺も守るぜ!」
まるで言い捨てるように言葉を残して。
通は前方に駆けだしていた。彼が躍り出る先には当然、フォンミィの幻影が立っていて、さらに同様に現出した自身の幻影も『紫電会』の型で待ち構えている。
『いくぜ!』
「来な。幻に倒せる俺じゃねえ!」
二体の幻影の懐に迫った通が、すんでのところで横へ跳躍。動きに反応した通の幻影は追随して蹴りを放ち、フォンミィの幻影は火球を通へ飛ばしてくる。
だが、横へ跳ぶことで攻撃の方向を統一した分、見切るのは容易い。火球をかわし、蹴りを腕でいなした通の反撃が二体に撃ちこまれ、動きを止めた。
そしてそのまま、ジェネシスへ真正面から突っこんだ。
「俺に直接挑むとは、生意気な小僧だぜ!」
「ここからはスピード勝負だ」
走りながら、心を静める通。
思考を捨てる。すると深海の水のように、精神が静まってゆく。
そうして静謐に包まれた少年の心に浮かぶものは、ひとつ。
拳を、打つ。
『奥義、紫電』
「なっ、み、見え……ぐがあっ!?」
稲妻が奔るかのように――通の小さな拳が、ジェネシスの巨体に無数の痛撃を打ちこむ。ぐらりと揺らぐ敵の横を過ぎながら、通は後ろのフォンミィへ視線を向けた。
「今だ、フォン!」
「うん! 任せて!」
握った精霊杖『ホッピポッラ』をくるくると回転させて、フォンミィが呼応する。
ステッキの先端には、キラキラと極彩色の輝きが灯っている。
魔法の口上を唱えて初めて威力を発揮するユーベルコード――その向上は、通が幻影やジェネシスを引きつけてくれていた間に、すでに完了させていた。
「トゥインクルスター・マジカルシューーーーート!」
撃ちだされる閃光。
ぐるぐると螺旋を描く魔法光の煌めきはジェネシスの分厚い腹部を捉え、しかし止まることなくその巨躯を捕まえたまま突き進んでゆく。
「うおおお!? と、止まらねえぇぇ……!!!」
「この世界を、壊させはしないよ!」
フォンミィの強き言葉とともに、ジェネシスの体が小さき山の斜面に叩きつけられた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ティエル・ティエリエル
SPDで判定
むー、こいつが今回の大ボス?なんだか小物臭い敵だね♪
とは言っても油断はしないよ!華麗にやっつけてみんなの士気をあげるぞー☆
具現化した過去の自分自身と空中戦を繰り広げるよ!
フェイントやカウンターを駆使されるけど、この間練習したばっかりの技だねと全部見切っちゃうよ!
昨日より今日のボクの方が強いのは当たり前だ☆
ふふーん、ボクを倒したかったら明日のボクを呼んでくるんだね♪
なんだかクライングなんとかが騒いでるけど、覚えたばかりのユーベルコードを使って一気に蹴りを付けるよ!
むむむーとレイピアにオーラを集めて身長以上の刃にして、いっくぞー【ハイパーお姫様斬り】だーーー☆
※アドリブや連携も大歓迎
「むー、全然大ボスに見えない小物臭い敵だけど……油断はしないよ!」
ただでさえアレなのに、猟兵にガンガンやられててなおのこと威厳がない。
そんなジェネシスさんを前にして、しかしティエル・ティエリエルは気を引き締めて、風鳴りのレイピアをピッと振りかざした。
「ちっ、どんどん湧いてきやがる……だがいくら湧こうが、その分だけ貴様らを生み出すだけだ!!」
接近するティエルに気づいたジェネシスが、過去の幻影を射出。
瞬く間に、ティエルの前にはもう一人のティエルが生み出されていた。
「むむー、出たなボクー!」
『負けないぞー☆』
「こっちこそー!」
互いにレイピアを構え、空中で交差するティエルたち。
キィン、と細い刀身が打ち合わされ、小さな火花が弾ける。敵も同じ能力を持つだけあり、剣戟は拮抗していた。
だが次第に、ティエルが攻撃を見切りはじめる。
「なーんだ。全部、この間練習したばっかりの技だね!」
「な、何だとぉ!?」
ジェネシスがどでかいリアクション芸で、過去を圧倒するティエルに驚愕する。
「昨日より今日のボクの方が強いのは当たり前だ☆ ボクを倒したかったら明日のボクを呼んでくるんだね♪」
『うわーっ!』
過去の自分を易々と斬り捨てて、ジェネシスにぴゅーっと吶喊するティエル。
むむむー、と難しい顔をしてレイピアにオーラをこめると……自身の身長に三倍するほどのオーラの刃(約60センチ)が刀身から伸びる。
「いっくぞー! ハイパーお姫様斬りだーーー☆」
「があああッ!? 小せぇのにメチャクソ痛えぇぇーー!!」
すれ違い、斬りぬけたティエルの背後で、ジェネシスが無様な叫び声をあげた。
大成功
🔵🔵🔵
フィランサ・ロセウス
『視認している対象の過去を具現化する』という事は、
『対象を視認できなければ効果が及ばない』!
強力なオブリビオンでも島の全てを一度に見渡す事は不可能
橋の下や建築物は絶好の遮蔽物だわ
服の[迷彩]効果を展開しつつ、フックシューターの[地形を利用]した縦横無尽の移動で接近するわ
途中で見つかりそうなら[残像]で的を絞らせない!
そして明後日の方向に物を投げて音を立てたり、他の猟兵との戦闘で注意が逸れた所を[だまし討ち]
念のためナイフで[目潰し]しときましょうか
それからUCを発動して畳み掛けるわ
過去が許さない?何を言っているの?
それが私なら現在も未来も貴方もぜーんぶ“好き”って言うに決まってるじゃない❤
耳が痛くなるようなジェネシスの大絶叫。
それを遠く聞きながら――フィランサ・ロセウスはオブリビオン蠢く橋の下をてくてくと余裕の面持ちで歩いていた。
「どうやら過去の自分を具現化するには、相手を視認してなきゃいけないみたいね。ということは視認されなければ問題ない!」
と気づいてしまったフィランサ。
彼女はひっそり気配を殺し、物陰に隠れてジェネシスに接近を図っていた。仲間が次々に仕掛けていることもあり、距離はみるみる詰まっている。
ある程度近づいたところで、フィランサはそーっと顔を出し、ジェネシスの様子を探った。
「クソがぁ……! どこだぁ! まだいるんだろうが猟兵! 出てきやがれぇぇ!」
苛立ち、声を荒らげるジェネシス。
どうやら次々と上手を取られたがために、自慢の恨みもばっちり溜まっているらしい。
これは好機、とフィランサは石ころを拾い上げる。
そしてそれを――遠くへぶん投げた。かつん、と乾いた音が鳴る。
「そこかぁぁぁ!!!」
(「単純で助かるわー!」)
即座に音のほうへ振り向いたジェネシスの死角を突き、モン・サン・ミシェルの塔へフックシューターからワイヤーを飛ばすフィランサ。ワイヤーを巻き戻せば体は浮いて、あっという間にジェネシスの背後に回りこむ。
「ねえ、こっちよ」
「なっ、いつの間に俺の後ろ――」
「えいっ」
「眼が! 眼がぁぁぁぁ!!」
ずばっ、とジェネシスの眼のあたりをナイフで斬っとくフィランサ。
敵が簡単に怯んだ隙にユーベルコードを発動。指を鳴らしたフィランサの肉体が、高速戦闘モードへと転じる。
「過去が許さない? 何を言っているの? それが私なら現在も未来も貴方もぜーんぶ“好き”って言うに決まってるじゃない❤」
「や、やめろ貴様! がッ……何回斬りやがるつもりだぁぁ!!」
幾度も幾度も、往復するナイフがジェネシスの体を切り刻む。
その痛みが生む苦しみの声を聴きながら、フィランサは恍惚に顔を綻ばせるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
リヴェンティア・モーヴェマーレ
アドリブ、他の方との絡みOKです
少し…怖いですガ、カタストロフィをおこさせるワケにはいかないですものネ
心してかかりたい気持ち
これは攻撃を受けきるより、かわしきった方が得策でしょうカ…
エレクトロレギオンを一か所に固めて乗り物の様に合体させ、敵からの攻撃を回避
攻撃が当たった時用にオーラ防御で全体的に包んで少しでもダメージの緩和を
漆黒の虚無二なんて負けたくない気持ち!
今度はこちらから攻撃なのデス!
足場だけを残して、エレクトロレギオンを散らばらせ、各方位より狙撃デス!ハッキングで装甲が薄い所を狙い、ダメージを通りやすくする事も忘れずに行いますネ
その体を斬撃の模様で彩られたジェネシスは、怒りに体を震わせる。
「ちくしょう! 貴様らの過去は軟弱すぎて役に立たねえ……! こうなったら直接、貴様らの肉体に過去をぶつけてやるぜぇ!!」
ジェネシスの持つ『骸の海発射装置』が唸り、瘴気じみたものを纏った黒い塊を射出する。
見ただけでは単なる黒い球体だ。
しかし触れてはただでは済まないと、リヴェンティア・モーヴェマーレは察した。
「少し……怖いですガ、カタストロフをおこさせるワケにはいきマセン」
ぎゅっと握った拳を胸に当てながら、大量の小型兵器を召喚するリヴェンティア。
その数およそ三百。
もはや一軍とも見える兵器群をひとつに合体させ、中空を飛ぶ乗り物を作り出すと、リヴェンティアはそれを駆って宙を自在に飛び回る。構成体それぞれの推進力が生む多彩な軌道を捉えきれず、過去球体は彼女の横を過ぎ去っていった。
「こいつ! かわすんじゃねえ! 大人しく当たることもできねえのか!」
「そんな子供なワガママは通じマセンよ! 今度はこちらから攻撃なのデス!」
そう叫んでジェネシスへ吶喊するリヴェンティアの足元で、兵器群が四散する。
だが、攻撃を受けたわけでもない。
速力に耐えきれず瓦解したわけでもない。
小型兵器の群体はリヴェンティアの足場だけを残して、八方に散開したのだ。散開したすべての機体はジェネシスを包囲し、射撃機構の照準でもってその姿を捕捉する。
そして次の瞬間、数え切れぬ無数の銃火が、星々のように煌めいた。
「漆黒の虚無二なんて、負けたくない気持ち!」
「ぐごごごごっ!!?」
殺到する弾雨が、ジェネシスの体を孔だらけに貫いた。
大成功
🔵🔵🔵
ミスト・ペルメオス
【WIZ】
愛機たる機械鎧を駆って参戦。
念動力を最大限に。デバイス等を介し、機体をフルコントロールすると共に周囲の情報収集にも応用。
敵が放つ明らかに異常な攻撃、直撃は勿論のこと周辺への被害拡大も避けたい。
スラスターを駆使して飛翔、時々フェイントも入れた立体的な戦闘機動を取ることで回避を試みる。
最悪の場合は一定レベルまでの機体損傷や自身への負荷も覚悟。
飛び回りながら距離を詰めていき、有効射程内に敵を捉え次第【バラージショット】。
各種射撃武装を駆使して弾幕のように切れ目のない射撃・砲撃を叩き込んでいく。
痛打を与えられれば上々。ダメでも対応を迫ることで隙を作れれば…!
※他の方との共闘等、歓迎です
黒木・摩那
やっと見つけました、クライング・ジェネシス。
しかし、さすがはフォーミュラーだけあります。
『骸の海発射装置』というとんでもない反則兵器付きとは!
今回はオブリビオンが周囲にたくさんいるようなので、
ヨーヨーのワイヤーを使って、敵を引っ張ったり、こちらから飛び込むことで
【敵を盾にする】して、敵UCを回避します。
反撃はUC【暗黒球雷】で。
『漆黒の虚無』をエネルギー吸収球で吸い上げて、
こちらのサイキックエナジーに変換します。
それをルーンソードに載せて、ジェネシスを【なぎ払い】ます。
戦闘力を高める効果は同じですから、あとは気合勝負です【気合】。
ジェネシスを葬るべく、モン・サン・ミシェルに降り立った黒木・摩那。
しかし、彼女の瞳は少しばかりの驚きで見開かれていた。
「やっと見つけましたが……クライング・ジェネシス、さすがはフォーミュラだけありますね。まさか『骸の海発射装置』というとんでもない反則兵器付きとは!」
「厄介な代物ですね……でも、退いてはいられません!」
摩那の言葉に共感しながらも、機械鎧を駆る少年――ミスト・ペルメオスは愛機『ブラックバード』のスラスターを噴かした。
敵。断てば平和が訪れる敵を前にして、座してはいられない。
念動力を全開。自身よりはるか大きい機械鎧を手足のように操って、ミストは全速でジェネシスに向けて飛行した。
「豪気ですね。では私も仕事を果たしますか」
ミストに続くように、摩那も地上を駆ける。
空から、地から、二方面から迫ってくる猟兵たち――それを見つけるなりジェネシスは鼻を鳴らし、発射装置の矛先を差し向けた。
「ちょこまか動こうが逃がしはしねぇ! 過去に呑まれて消えるがいいぜ!!」
黒球が二発。
虚無の弾丸が撃ちだされ、空中と地上へ、空間を侵しつつ猛然と奔る。
「あの球体……直撃は勿論ですが、地面に当ててはこの地も大変なことになるかもしれない。それなら!」
ミストの駆るブラックバードが、スラスターを噴いて急上昇。機械鎧の重いボディが一気に天空へと飛翔すると、球体は彼の下をすり抜けて彼方へと消えてゆく。
「完全にかわしやがるかよ畜生が! だが空ならかわせても、地上にいる女のほうはかわせねぇだろ!!」
ギャーッハッハッハ、とやかましい大笑いが摩那に降りそそぐ。
同時に放たれた過去も迫っているのだが――摩那は怯みもしなければ速度を落とすこともなかった。
「かわすのは難しいでしょう。ですが周りに盾がいっぱいありますからね」
くすりと笑んだ摩那の手から、超電導ヨーヨー『コメット』が舞い上がる。めいっぱい伸ばされたカーボン製ワイヤーは四方に飛んで――周囲に残存していた無数のオブリビオンたちを絡めとって引き寄せた。
それを前方にぶん投げれば、黒球と激突。
摩那を捉え損ねた過去が、中空に漆黒の虚無をぶちまける。
「オブリビオンどもを盾に……貴様ぁ! 卑怯な真似しやがって!!」
身を乗り出して文句を言うジェネシスが、飛びかからんばかりに脚に力を溜める。
だが、上空から降ってきた火線がジェネシスの動きを牽制した。細く鋭いビームの雨が脚を撃ち、太く強烈なビームが腹や肩を貫いて焼いてゆく。
「ぬがアアッ!? 野郎……上に飛んだ奴かァ!!」
「そのとおり。摩那さんに気を取られすぎたようですね……!」
天上で滞空していたミストが、追撃のビームを降らせる。すでに照準を定めている射撃は一発たりとも逸れることなく、ジェネシスの体に命中した。
「摩那さん、今です!」
「ありがとうございます、ミストさん。おかげで準備完了です」
見下ろしてくるミストに目線で礼を伝えながら、ジェネシスへ向けて跳躍する摩那。
その手には、さながら恒星のごとく光り輝くルーンソード――魔法剣『緋月絢爛』が握られている。あまりに強烈な光にジェネシスの視界が一瞬、真っ白に染まった。
「ぐおおっ!? き、貴様なんだその力はァァ!!?」
「そちらの生み出した漆黒の虚無……すべて私のサイキックエナジーに転換させてもらいました。ご自身の『最強』、存分に味わって下さい」
「な……何だとォォォ!!!!!」
ジェネシスが驚愕を口にした刹那、緋月絢爛が振りぬかれる。
眩い光の剣閃。それが一帯を白光に呑みこむと同時に、ジェネシスの肉体は深々と斬り裂かれていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ルエリラ・ルエラ
過去攻撃!
私の壮絶でシリアスな過去が暴かれる前に倒しちゃおう
今回も最初逃げまくるよ
逃げまくる精神大事。敵に私の『逃げ足』の早さを見せつけてあげよう
ブーツに魔力を込めて『ダッシュ』したり『ジャンプ』したり飛んだり『第六感』で回避専念
当たったら、敵によって楽しみにしてた芋煮会がおでんにされてしまったという不覚を思い出しちゃうから当たるわけにはいかないね
逃げながら、漆黒の虚無にされた地形に立ったジェネシスに向けて、ウエストポーチからメカ・シャーク号を取り出して体当たりさせて立ち位置を変えさせるよ
そしたら私のターン。【フュンフ】で敵の攻撃を無効化しつつ芋煮ハンドグレネードを投げて怯んだとこを撃ち抜くよ
「過去攻撃……私の壮絶でシリアスな過去を暴かれるわけにはいかないね」
ふわり、と宙から舞い降りたエルフの少女――ルエリラ・ルエラはジェネシスの恐るべき力を目の当たりにして、ごくりと喉を鳴らした。
「ほぉう! どうやら相当ハードなトラウマがありやがるようだなァ? ならそいつは暴いてやらねえと失礼ってもんだ!!」
「でも私にその攻撃、当てられるかな?」
「抜かせぇぇ!!」
ジェネシスの咆哮が大気を揺らし、骸の海発射装置が唸る。
生中な妨害では止まらぬだろう勢いで、黒球はルエリラへ飛んでくる。
「ここは私の逃げ足を見せてあげよう」
言下、ルエリラのブーツが彼女の魔力に反応し、大きな翼がひろがる。空を翔けるほどの機動力は彼女の体を軽々と中空を舞い、黒球を飛び越えた。
「チッ! なら当たるまでぇぇ!!」
無数に放たれる過去の弾丸。しかしルエリラは左右へダッシュを繰り返し、そのどれをも回避する。
地面はたちまち漆黒に覆われてゆくが、しかしそれは致し方ない。
「芋煮会がおでんにされてしまったという不覚を思い出すわけにはいかないからね。絶対にかわしてみせるよ」
「何てどうでもいい過去だ貴様ァァァ!!!」
ジェネシスさん、猛る。
仕方ない。もっとシリアスなの期待してたもの、仕方ない。
「芋煮は大事。思い出したら一晩は眠れない」
「ええい、貴様と戦う時間が惜しい! さっさと仕留めてやる!」
どすぅん、と漆黒の虚無に降り立つジェネシスが、みるみる巨大な闘気を纏う。
――だが。
「どーん」
「ぬあああああ!?」
ルエリラが発進させたサメの乗り物『メカ・シャーク号』が体当たり。
ごろーんと虚無の上から放り出されるジェネシス。
「さらにどーん」
「ぬあああああ!?」
ルエリラが放り投げたハンドグレネードが炸裂。
芳醇で奥深い芋煮の香りがジェネシスを包みこむ。
「そしてどーん」
「ぬあああああ!?」
ルエリラが撃ちだした魔法の矢がジェネシスを貫通。
魔力がジェネシスの力を相殺し、生み出した虚無のことごとくを消失させたァ!
大成功
🔵🔵🔵
チトセ・シロガネ
なんとも楽しそうなヤツネ。イイ性根しているヨ。
チャージ中でも撃ち込んでくる弾丸、避けるのはイージーだけど。
……嫌な予感がするネ。
こういう時はムラクモにオーラ防御を纏い武器受け!
その弾丸を無力化させるヨ。
空中浮遊で空中戦を展開、さらに念動力と早業で加速、相手の着弾を防ぎながら接近するヨ。
近づけば近づくほど弾道の予測はイージー。
ボクの第六感からはノーエスケイプネ。
至近距離のタイミングでUC【破邪光芒】を発動、
弾丸を消し飛ばしながら骸の海発射装置に高出力の刃を突き立ててダメージを与えるヨ。
「ぐああ! ちくしょう! あんな奴にやられるとは許せねええ!!」
矢に射抜かれた箇所を押さえ、じたばたと仰向けで暴れるジェネシス。
その未就学児チックな怒りっぷりに、チトセ・シロガネの胸中には愉快な感覚が湧いた。
「なんとも楽しそうなヤツネ。イイ性根しているヨ」
思うまま喚き散らし、心のまますべてを恨む。
そんな自分本位なジェネシスの生き方に頬を綻ばせつつ、チトセはフォースセイバー『ムラクモ』を抜き放った。暗夜の月明かりのような茫洋とした蒼光が、チトセの筋肉が生む陰影を淡く照らし出す。
その美しき輝きを感じ取ったか、ジェネシスが脚を高々と上げ、反動で体を引き起こした。
そして即座に、過去球体を放出する。
「見るからにやべぇ剣だぜ。んなモンは近づかせねぇに限るなァ!!」
「避けるのはイージーだけど……嫌な予感がするネ」
ぐっ、と強く柄を握るチトセ。
するとその手を伝い、ムラクモの刀身にオーラが漲る。
そして、振るう。
オーラでコーティングされた剣は黒き球体を両断し、二つに分かたれた過去は地を削り取りながらチトセの左右を通過してゆく。
「き……斬りやがったァ!!?」
「その程度の速度じゃ、ボクを捉えられないネ」
「面倒くせぇ……なら数で押し切ってやるぜ!!」
過去を連射し、無数の球体でチトセを仕留めにかかるジェネシス。だがチトセは空中へ体を浮かばせ、念動力で動かしてジェネシスへと突っこんでゆく。
加速、加速。
球体を斬り飛ばし、あるいは掻い潜って、チトセはあっという間にジェネシスの眼前に現れた。
「は、速えッ!!?」
「ボクの第六感からはノーエスケイプネ」
空いた掌から鋭い光刃を生み出し、その高エネルギーを骸の海発射装置に突き立てるチトセ。装置に光刃のエネルギーが浸潤し、その恐ろしい機能は段々と出力の低下を始めるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
コルチェ・ウーパニャン
相手の攻撃は、とにかく……初撃は、ピカリブラスターの『早業』と『誘導弾』で、曲げるっ!
そしたらミレナリオ・リフレクションで、過去を……コルチェの楽しい思い出で、相殺っ!
いっぱい思い出そう、
世界中で、世界をまたいでできたお友達のこと、
コルチェに色んなことを教えてくれたひとたち、
クッションでもきゅもきゅ大変な思いをしても、
またにこにこ笑顔で、旅立っていった子のこと……
あなたの過去と、コルチェの過去、
どっちがキラキラか、勝負しよう。
……色んなオブリビオンさんたちを、骸の海へおかえり、してきた……
こんなに黒くて冷たいものだったの?
どうしよう……ううん、考えるのはあと!
今は、頑張らなくちゃ……!!
「くっ、装置のパワーが落ちてきてやがる……動くよな? 動くよなァ? あ、出た」
骸の海発射装置を乱暴に振ったり叩いたりしていたジェネシスが、ぽんとどす黒い過去が射出されたのを見て胸をなでおろした。
球体はそのまま、地面へと落下してゆく。
向かう先には――ぴかぴか七色に光るトンデモ銃『ピカリブラスター』を両手で構えるコルチェ・ウーパニャンが立っていた。
「いっけー!」
気合とともにトリガーを引くコルチェ。
銃口――と呼んでいいかもわからない先端――から放たれたものは光の輪の連なり。ぴゅいんぴゅいんと飛んでいったエネルギーが過去の塊と激突すると、球体はコルチェの数メートル前に落ち、墨でもぶちまけたかのように漆黒の染みをひろげる。
見る間に拡大してゆく虚無。
その不気味さと冷たさに、コルチェは目を奪われてしまった。
「……色んなオブリビオンさんたちを、骸の海へおかえり、してきた……でもこんなに黒くて冷たいものだったの?」
彼らの行く先も知らぬまま、みんな還してきてしまった――と落ちこみそうになるのを、コルチェはぶんぶんと頭を振って抑えこむ。
「……ううん、考えるのはあと! 今は、頑張らなくちゃ……!!」
毅然と、ピカリブラスターを虚無に向けるコルチェ。
そしてぎゅっと目を瞑る。思い出す。
自分の中にある思い出を、ぐるぐるぐるぐる全速のスライドショー。
世界を渡ってできた友達。
自分に様々なことを教えてくれた人たち。
クッションに埋もれてひどい目に遭っても、笑って旅立っていった少女。
全部、忘れ得ぬ楽しい過去だ。
「あなたの過去と、コルチェの過去、どっちがキラキラか、勝負しよう」
魔法光ファイバーの髪を煌々と七色に輝かせて、コルチェがトリガーを引く。
すると銃口から、今度は光の輪ではなく、眩い光が大波のように飛び出した。
さながら――光の海。
光は地面にひろがる漆黒を押し流し、葬り去って、さらにぐんぐん。
ジェネシスが持つ骸の海発射装置にも流れこみ、内部を光で満たした。
「……んなッ!? お、俺の装置がァァーー!?」
いくら試みようが、発射装置はうんともすんとも言わない。
光刃でだいぶ損傷してしまった装置は、コルチェの光の波でさらにトドメを刺されていた。
大成功
🔵🔵🔵
黒玻璃・ミコ
※美少女形態
◆行動
際限なくオブリオンを呼び出し続けるとは恐るべき能力
ある意味貴方が負の想念によって得た財産と言っても過言ではないのでしょうね
沸き続けるオブリビオンを一体一体無力化するつもりはありません
念動力で空を駆けてコロッセオの死角も活用し
秀でた感覚で数多の攻撃を交わしましょう
そして体内で精製した催眠効果を及ぼす薬物をモンサンミッシェル上空から散布し
胸から溢れ出るオブリビオン達を無力化し続けますよ
そう、無力化しても身体は残ります
邪魔になったオブリビオンを退けようとしたその時に
余りある負の想念(うらみ)と財産(うばったのうりょく)を
【黒竜の道楽】で喰らい尽くしましょう
◆補足
アドリブ&連携OK
「クッソ! ポンコツが! なら仕方ねえ……直接、この俺の力で世界を地獄に叩き落としてやるまでだぜ!!」
発射装置を放り捨てたジェネシスが、再び胸の大穴を駆動させる。
ひび割れた胸部が無数のスパークを放つ。大穴とてすでに猟兵との戦いで損傷し、十分な状態ではない。だがジェネシスは構わず穴を回転させ、どこかへ繋がったそこから大量のオブリビオンたちを量産しはじめる。
ひらりと白いポニーテールを舞わせて現れた黒玻璃・ミコは、モン・サン・ミシェルから溢れださんばかりのオブリビオンたちを見て舌を巻いた。
「際限なくオブリビオンを呼び出し続けるとは恐るべき能力。ある意味、負の想念によって得た財産と言っても過言ではないのでしょうね」
とても一体一体を相手取れる状況ではない。
そう判断したミコは念動力で自身を浮遊させた。地を離れ上昇した少女が空を旋回するさまは、さながら人の形を得た竜だ。
「グアアア!」
「ヴォオオオオオ!!」
地上が星空のように煌めき、大量の射撃がミコを堕とさんと迫る。
だがミコは昇ってくる攻撃を的確に察知して、右に左にと動きつづける。そうして巧みに攻撃をかわしながら、少女は自己の内で――彼女はブラックタールである――精製した薬液を振りまいた。
するとその薬液に触れたオブリビオンたちが、次々と昏倒する。
「なっ!? どうなってやがる!!」
「特製の催眠薬です。よく効くでしょう?」
狼狽するジェネシスへ、急降下するミコ。
すぐそばに迫った猟兵を退けんと、ジェネシスはさらにオブリビオンを生み出そうとするのだが――。
「……出ねえ! つ、詰まって……!!」
新たなオブリビオンが出てこない。
胸の大穴は、昏睡したオブリビオンたちの体で塞がれていたのだ。
「無力化しても身体は残りますからね。
……では喰らい尽くしましょうか。あなたのすべてを」
「くっ……オオオオオ!!?」
ミコの影から、屠竜の魔女の魔力が迸り、何千という黒き残滓がジェネシスの身体に食いこみ、その内を――『内面』を喰い尽くす。
恨みも。
奪った能力も。
すべてを喰い尽くされ、ジェネシスは無と化した。
巨体がゆっくりと薄まり、真っ白な灰へと変わる。
世界を地獄たらしめんと降臨したクライング・ジェネシスは、そうして猟兵たちの力によって、フランスの海へと消えていったのだった。
大成功
🔵🔵🔵