アースクライシス2019⑭〜打ち勝て、骸なる過去
●グリモアベース
「最後の最後の参加になるけど、世界の危機を見逃すわけにはいかないわね」
出遅れたことを若干申し訳なさそうにしつつも、アンノット・リアルハート(忘国虚肯のお姫さま・f00851)は手にしたグリモアを大きく掲げる。
「長い戦いの果てに、ついに敵の総大将クライング・ジェネシスが姿を現しました。戦いの舞台となるのは古代ローマの遺跡、コロッセオです!」
かつて多くの闘士が戦った舞台であるコロッセオ、派手好きなクライング・ジェネシスはこの武力と権力の象徴のような場所で猟兵達と決着をつけようと言うのだろう。世界の命運をかけた戦いも、彼にとってはショーの一つであるのかもしれない。
「とは言え相手の実力は本物よ……場合によっては、今までの敵の中で最も悪辣と言っても過言ではないわ」
クライング・ジェネシスが操るのは過去、骸の海に投棄された全てが彼の武器であり力となっている。そしてその力は主に三種類の形をとって猟兵に襲いかかるだろう。
一つはオブリビオンを胸から召喚し続ける、俺が最強のオブリビオン・フォーミュラだ!
基本的に呼び出されるのは取るに足らないオブリビオンだ……しかし、その数が無限で本体へ攻撃が通用しなくなると話は変わってくる。大量の敵の処理と発生源の封印が大切となるだろう。
次に猟兵の幻影を召喚し戦わせる、貴様らの過去は貴様らを許さねェ!
召喚される幻影の実力は猟兵と全く同じ、それでいて過去の自分そのものであるそれは明確な自我を持つ。拭えない過去、自罰的な傾向を持つ猟兵ほどここ技は深く刺さるだろう。
最後に骸の海から過去を放つ、チャージ中でも少しは使えるんだぜェ!
放たれる過去は猟兵の心に深く刻み込まれたトラウマ……あるいは全てを捨ててでも取り戻したいありし日の思い出かもしれない。また着弾地点に発生する虚無に巻き込まれれば只ではすまない、変化する戦場に対する対応力が必要になる。
「相手はこれらの行動を必ず先制して放ってくる、つまりはいつも通り防御からの反撃が重要ということね」
一通り解説を終えるとアンノットは軽く息を吐き、改めて猟兵達の方を見る。
「クライング・ジェネシスを倒せば最悪の事態は防げる、一気に決着をつけるわよ!」
マウス富士山
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プレイングボーナス……『敵のユーベルコードへの対処法を編みだす』。
(クライング・ジェネシスは必ず先制攻撃してくるので、いかに防御して反撃するかの作戦が重要になります)
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●オープニングをご覧いただきありがとうございます、今回マスターを務めるマウス富士山と申します。
というわけでラスボス戦に緊急参戦、文章は過去の戦争シナリオを参考にさせていただければ幸いです。
今回の目標は『クライング・ジェネシスの撃破』。上記の通り敵のユーベルコードに上手く対応し、反撃を与えるのが重要です。
泣いて笑ってもこれが最終決戦!皆様のプレイングをお待ちしています!
第1章 ボス戦
『クライング・ジェネシス』
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POW : 俺が最強のオブリビオン・フォーミュラだ!
全身を【胸からオブリビオンを繰り出し続ける状態】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD : 貴様らの過去は貴様らを許さねェ!
【骸の海発射装置を用いた『過去』の具現化】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【相手と同じ姿と能力の幻影】で攻撃する。
WIZ : チャージ中でも少しは使えるんだぜェ!
【骸の海発射装置から放つ『過去』】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を丸ごと『漆黒の虚無』に変え】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
イラスト:yuga
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
月宮・ユイ
アドリブ連携歓迎
*器に<誘惑の呪詛>宿す呪:呪詛操るヤドリガミ
(発射装置、一体何処から…)
<オーラ>の<属性:風>付与、風纏い操る(噴射や追い風)
[ステラ:斧槍]<怪力>で<早業>の様扱い【幻影】と打ち合う。
なるほど、過去の私ですね
自我も知恵も知識もある…
…けれど結局の所、心持たず振るわれる戦闘兵器でしかない
使われている貴方”幻影”では
身を削る覚悟、自分では出来ないでしょう?
《瞬光捕食》武装を呪で染め同化強化、捕食兵装とし圧縮成形
相手が対応し同じ力を使う前に、強化された速度で討ち捕食
即座にジェネシスに突撃
強化に<念動力>や風の後押しで更に加速
全ての勢いをのせ<生命力吸収の呪>込めた渾身の一撃を
●心の在りか
円形闘技場の中心、クライング・ジェネシスはそこに腕を組んで立っている。それは自身の圧倒的な力に小細工などいらないという絶対の自信の表れなのだろう。それを示すように、彼は猟兵の姿を見ても動揺することはなく挑発するような笑い声を上げる。
「ギャハッ!なんだ、随分可愛い子猫が迷い込んで来たな!」
斧槍を構え、身に纏った風を推進力に月宮・ユイ(月城・f02933)はジェネシスへと接敵する。
(発射装置、一体何処から…)
嘲笑は受け流し、敵の全身を即座に観察。それらしいものは手や胸に空いた穴がだが……と、ユイが敵の力の源を探していた時、突如として彼女の前に人影が飛び出してきた。
「ッ!」
風を操作し即座にブレーキをかけたユイは、目の前に現れた影を薙ぎ払うように斧槍を振るう。しかし彼女の獲物は同じ様に振るわれた相手の斧槍と空中で激突し、そのまま鍔迫り合いのような形にもつれ込んだ。
「……なるほど、過去の私ですね」
十字に交差する持ち手の向こうにあるのは見慣れた自分の姿。しかしその相貌に光はなく、まるで生気を感じることができない。姿こそは今のユイと同一だが、その心は兵器だった頃の過去まで引き戻されているのかもしれない。
何時だったか、自らの担い手やその仲間達が殺されていくのをただ見ていた日の事を思い出す。あの時の自分に人の姿があれば、もしかするとこのように見えていたのだろうか。
「今の貴方”幻影”は、心持たず振るわれる戦闘兵器でしかない」
静かに、だがハッキリと宣言したユイは斧槍を弾き全力で震えよう幻影と距離を取る。
手にした斧槍が、獣の顎を思わせる獰猛な姿に変貌する。触れたもの全てを喰らい尽くす捕食兵装となったステラは、それを振るうユイの肉体すらも侵食する。
武装の変化を見て、幻影の動きが僅かに鈍る。その隙を見逃さなかったユイの武器がいとも容易くその身体を捕食した。
そう、いとも容易く、一切の抵抗も感じさせず。その違和感に気が付いた瞬間、ユイの肉体が内側から罅割れた。
心の無い兵器は、より効率的な手段を求める。例えば自らの二つのコアを捕食兵装として同化させ、あえて喰らわせることでウィルスのように相手を内側から喰らい尽くせば、確実なダメージを与えることができるだろう。そこに、自己保存という概念は考慮されない。
「ギャーッハッハ!どうよぉ?俺の能力の味は!?」
膝を付くユイの前に、ジェネシスは下卑た笑い声を上げる。勝利を確信し腹を抱えて笑うジェネシスの頬を、暴風と共に斧槍が掠めた。
「…は?」
勝負の明暗を分けたのが心ならば、限界に近いユイの身体を動かしたのも心のなのだろう。傷口から始まる捕食の激痛に、ジェネシスはなさけない悲鳴を上げた。
苦戦
🔵🔴🔴
プリンセラ・プリンセス
SPD
アドリブ、連携可
メイドのゾーヤの人格にて相手のUCに相対。
この場合幻影となるのはゾーヤ。
だがゾーヤはただのメイドである。戦闘力はない。
そして従人格であるので他の人格に勝手に切り替えることはできない。
ゾーヤも過去に関して思うところがないではないが、それを封じて仕事に徹するのができるメイドというもの。
「では後はお願いいたします」
ベルソナ・チェンジを使用。人格をカルロスに変更。
「んじゃ遠慮なく殴らせてもらうぜ。日頃からいちいち小言言われるのは鬱陶しかったんだよ」
他の人格ならばともかくカルロスに兄妹を殴ることに躊躇いはない。
幻影を殴り飛ばした後はそのままクライング・ジェネシスもボコす。
●二つのペルソナ
「ああクソッ!とんだ奴を掴ませやがって!!」
周囲の肉ごと傷を引き千切り、悪態と共に地面に叩き付ける。予想だにしなかった反撃にクライング・ジェネシスは見るからに不機嫌そうだ。だがそんな彼の機嫌など関係なく、次の猟兵がやって来る。
「なんともまあ、育ちの知れる言動ですね」
プリンセラ・プリンセス(Fly Baby Fly・f01272)……今はその25の人格の一つであるゾーヤがジェネシスの前に出る。その冷静な物言いが癪に障ったのだろうが、あぁ!?と低い声で威嚇しながらジェネシスがゾーヤの方を向いた。
「知れて悪かったなぁ!気に入らねえなら一生鏡と話してろ!」
ジェネシスが腕を振るうと同時に、ゾーヤの目の前に幻影が出現する。だがそれこそが彼女の立てた作戦である。
「では後はお願いします」
その言葉と共にゾーヤの姿が変わる。クラシックなメイド服はレディースを思わせる特攻服に、目付きは鋭く立ち姿もどこか気だるげなものへと。八番目の兄弟、道徳的概念が欠如してると評判のカルロスだ。
「んじゃ遠慮なく殴らせてもらうぜ。日頃からいちいち小言言われるのは鬱陶しかったんだよ」
バキリと指を鳴らすと、カルロスはなんの躊躇もなく目の前の幻影に殴り掛かる。
「あなた様は、カルロス――」
自分の状況を上手く呑み込めてないのか幻影のゾーヤが何か口走ろうとするが、全てを言い切る前にカルロスの拳がゾーヤの鳩尾を捕らえる。顔を狙わなかったのは彼なりの良心なのかもしれない。
戦闘能力がなく、人格の変更権を持たないゾーヤを複製させることで幻影を無力化させることがプリンセラ達の立てた作戦だ。だが曲がりなりにも猟兵の肉体を持つゾーヤは幸か不幸か意識を保ち、両足を震わせながらも倒れることはない。
(じゃあ次は顎にするか)
相手の身体に刺さった拳を引くと同時に、逆の拳を相手に向けて放つ。確実に相手の意識を刈り取るコンビネーションパンチ、しかしそれは突如として振り上げられた幻影の腕に受け止められた。
「……おい、一発には一発がケジメだろうなぁ!?」
幻影のゾーヤの姿が、自分達と同じカルロスへと変わる。そのことに驚く暇もなく幻影のカルロスの放った拳が喉に突き刺さった。
クライング・ジェネシスが幻影としたのはゾーヤの姿をとったプリンセラだ。であれば当然そこにはプリンセラの人格も存在する。
そして末姫は自らの家族が一方的に殴られている様子を、黙って何もせず見ていられるような人物なのか。
もしその様な人物であれば、23の兄姉全員から愛されることなどないはずだ。
大気を震わせカルロスとカルロスの拳がぶつかり合う。実力は同じ、拳に熱が籠るのはある意味究極の同族嫌悪が起こっている故か。古代の闘技場を舞台に、王族同士の戦いが幕を開ける。
そしてその裏で――二人の戦いが千日手状態のため、そもそも手を出すことができないという事情はあるが――クライング・ジェネシスはひっそりと影を薄くしていた。
苦戦
🔵🔴🔴
メイスン・ドットハック
【SPD】
過去を思うように投影するとは、これまた厄介じゃのー
じゃけど、自分が相手ということは攻略法もわかるというものじゃのー
自分自身の幻影に対し、空間【ハッキング】を仕掛け、いかに電脳戦を制するかに集中する
ジャミングはもちろん、デコイ爆弾、ホログラム、風景のミラージュを仕掛けまくって、クライング・ジェネシスすら攻撃するのを躊躇する混沌の電脳戦風景をあえて作り出す
先制後にUC「未踏の領域に踏み込みし権能」を発動し、プログラムソフトウェアのリソースと結集して広範囲破壊爆弾を作り、クライング・ジェネシスに発射
幻影が同じ爆弾を作れば上策、二倍の爆破範囲を持って攻撃する
自身は魔術防壁で爆風ガードする
●鏡写しの電脳戦
「と、一人でいるところ邪魔するけえの」
半ば放置されていたクライング・ジェネシスの前に現れると、メイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)はすかさず空間へのハッキングを開始する。
「なんだテメェ!?ピコピコみてぇなことしやがって!」
「……ん?なんじゃ唐突に!?」
迎撃するようにジェネシスもメイスンの幻影を呼び出す。突然ハッキングが始まっている空間に投げ出された幻影のメイスンは始めこそ面を喰らったような表情をしていたが、すぐに電脳ゴーグルを装着するとメイスンのハッキングに対抗し始める。
トロイ、ワーム、バックドアにロジックボム。相手の制御系を破壊しようとする電脳戦、本来コンピューター上でのみ行われる電子の戦いも電脳魔術士同士の戦いとなるとその影響は現実の世界にも及ぶ。
空間は歪み、景色は風景写真を無理矢理コラージュさせたようなツギハギのものとなる。それに加えて相手を直接攻撃するための爆弾とその解除作業、フェイントをかけるためのデコイの応酬が繰り広げられるのだから、もはやコロッセオはバグを引き起こしたゲーム画面のようになっている。
「やめろー!!?景色がグチャグチャで頭がおかしくなる!!」
「「外野は黙っとれ」」
ジェネシスの泣き言を一周し、メイスンは互いに相手のメイスンを見据える。思えば電脳魔術士同士の電脳戦というのはあまり経験がないかもしれない、こちらのあらゆる攻撃ルートを潰され、相手の全ての攻撃ルートを潰す一進一退の攻防はこのままでは膠着したままで埒が明かない。
「電脳領域拡大」
「魔術リソース増大」
「「AI起動確認」」
二人のメイスンが同時に【未踏の領域に踏み込みし権能】を発動し、自らのリソースを増大させる。互いに次の一手が最後の勝負。
本物のメイスンがリソースを結集して作り出したのは自分すらも巻き込むような広範囲破壊爆弾。だが、用意した一手は幻影のメイスンも同じ。コロッセオの中央で起爆した二つの爆弾は天を突く巨大な火柱を立ち上らせる。
「……さすがに、お互いこの程度じゃ決着にはならんのう」
自身の身を守っていた障壁を解き、幻影のメイスンは同じく傷を負っていない本物のメイスンを見る。しかし彼女は少しだけ肩を竦めると、幻影のメイスンのすぐ後ろを指さした。
「あんた、アレを守りながら戦わんとイケんのじゃと」
幻影のメイスンの後ろに居るのは丸腰で爆発の直撃を受けたクライング・ジェネシス。焼け焦げたそれを見ながら幻影のメイスンはそんなこと知らなかったと言わんばかりに目を細めた。
「やり方を変える必要があると……面倒じゃのー」
「こっちの台詞じゃけえ。こっち手の内を全部知ってる相手が全力で防衛に回ったらどう崩せばいいのかわからん」
そうぼやきながらも、二人のメイスンは電脳魔術を行使するための仮想キーボードを展開する。ここから先は、互いに味方の邪魔をさせないための電脳戦だ。
成功
🔵🔵🔴
リック・ランドルフ
…伝説のヒーロー、ジャスティス・ワンの宿敵っていうからどんな悪かと思ったが…ただの殺人犯、悪党か…なら…何時も通りやるだけだな。
で、過去の俺が相手か…自分で戦わない所がますます小物だな。
…とりあえず俺ならまず軽口を叩きながら相手を見極めてそして相手の隙を見て銃で撃ってくるだろうな。…なら俺はあえて隙を見せて撃たれよう、真っ直ぐと俺は自分に向かっていき、そして俺は俺を…撃つ、相討ち狙いだ。
……無論、撃たれるとは言ったが…ちゃんと対策をするぞ、まず服の中に縄を巻いて攻撃を軽減する(激痛耐性、ロープワーク)その撃たれた際にUCで血糊を瞬時に作って敵を騙す、そして騙した瞬間に撃つ(早業、クイックドロウ
●かつての自分
「伝説のヒーローの宿敵っていうからどんな悪かと思ったが……ただの殺人犯か」
そう挑発するように言いながら、リック・ランドルフ(刑事で猟兵・f00168)はクライング・ジェネシスに向かって真っすぐ歩き始めた。強大な力を持つ自分を『犯罪者』という自らの嫌う人間社会の枠組みに入れられたからか、ジェネシスの纏う気配に憎しみが混じる。
「ただの、だとぉ……?寝言を言うには日が高えぞ!」
激昂の声と共に、ジェネシスの前にリックの幻影が召喚される。目の前でもう一人の自分が作り出される光景を見て、リックは呆れたように息を吐いた。
「自分で戦わない所がますます小物だな」
ある意味では、猟兵になる以前から相手をしたような存在だ。勝手は知っているとでも言うように、リックはジェネシス……そしてその前に立つもう一人の自分に向かっていく。
「……随分と物騒な散歩をしてるな、降りる空港を間違えたか?」
「俺なら知ってるだろう?これくらい日常茶飯事さ」
幻影のリックの軽口に軽く返しつつも、リックは歩みを止めない。その手に銃を握ってはいるが、立ち止まって撃つ銃と歩きながら撃つ銃ではまるで命中精度が違う。幻影のリックが動かず歩み寄るリックを待ち構えているのは確実に弾丸の当たる射程まで相手が来るのを待っているに過ぎない。
その一方で幻影のリックには『自分が何の策もなく隙を曝すはずがない』という考えもある、グリモア猟兵の予知によるサポートを知識として知っているのだから尚更だ。
自分の仕込みは既に完了していると考えて間違いはない、問題はそれが何か見えないことだ。逆に今から自分が銃を撃つ以外の仕込みをしようとすれば、抜き撃ちの速度から考えて一方的に撃たれるのはこちらになる。
一歩、リックの足が砂を踏み締め乾いた音を立てる。
二歩、幻影のリックの指がホルスターの銃に触れる。
三歩、二人のリックが同時に手にした銃を相手に向けた。
幻影のリックが抜いたのは最速で撃てるブラスター、しかし本物のリックが抜いたのは弾速に劣るオートマチック。引き金を引くタイミングは同じでも、幻影の放つ光弾が先にリックの胸を貫く。
一歩遅れて、幻影のリックの身体が弾かれるように後ろに倒れ込む。同時に本物のリックの身体も糸が切れた人形のように崩れ落ちた。
焼けるような肉の臭いと、本物のリックの身体からゆっくりと作られる血溜まり。風の音に包まれたコロッセオに、クライング・ジェネシスの笑い声が響く。
「……現れた過去がお前自身だったら、この程度の嘘は通じなかっただろうな」
自らの笑い声にかき消され、リックの呟きはジェネシスには届かなかった。
焼き切れたロープと血糊袋から煙を上げ、立ち上がると同時にリックはジェネシスに向けて銃弾を放つ。
嘘とハッタリ。かつての自分の代名詞と共に放たれた刑事の弾丸は、正確にジェネシスの胸の穴を撃ち抜いた。
成功
🔵🔵🔴
栗花落・澪
要は、視認させなければいいんでしょ?
【呪詛耐性、激痛耐性のオーラ防御】で万一に備えつつ
★爪紅を敢えて近くに【投擲】
爆破により発生する爆煙で敵の視界を隠す
更に足元に【破魔】の★花園を生成
万一過去の僕の具現化が既にされてたとしても
同じ技を使ってくれるなら好都合
“火種が増える”ってことだからね
翼の【空中戦】で低空飛行しながら花園に向けて
炎の【高速詠唱、属性攻撃】で燃え広げさせ
破魔の乗った煙の規模を大きくしその中を移動
敵の位置は見えなくても【聞き耳】で風の音を聞き分ければいい
ついでに★Candy Popの投擲でわざとあちこちで音を立てる事で撹乱
隙を見せたら【指定UCの全力魔法】で過去の僕ごと攻撃
レン・ランフォード
錬:ただ顕示欲満たしたいだけじゃねこいつ…
蓮:どの道迷惑ですね…絶対に倒して戦争を終わらせましょう!
まず視界を潰します
出現と同時に『煙幕』を焚いて「目潰し」
『実現符』で錬にでてもらい、さらに足音を録音した
『スマホ』複数を投げて錯乱しつつ「忍び足」で死角に回ります
それで俺はわざと奴さんの視界に入るぜ
攻撃は「第六感」と「見切り」つつ「残像」も使って回避
蓮がUCを使って、俺の幻影がでてきたらお仕事終了だ
同じ能力なら分かるだろ?
『実現符』の少な目にした効力が切れれば俺は消える事をな!
消えたと同時に強化された私が背後から「暗殺」を仕掛けます
アレを倒すため、私達は鍛え続けているのですから…勝つのは当然です
ルエリラ・ルエラ
自分自身と言っても過去は過去。今を突き進む私が負ける道理はないね
相手が自分っていう事は射撃戦だね
相手の攻撃は、華麗な『逃げ足』と『第六感』で回避。服に魔力を通して障壁を忘れないよ
逃げ回りつつ周囲に芋煮グレネードをポイポイ投げて、スモークを焚いてコロッセオ内の視界を封じるよ。そうなると敵の私は上空に飛び出すはず
視界を封じても、狼耳デバイスで音を拾われて居場所がバレると思うので、今度はノーマル芋煮グレを上空に投げて、大きな爆発音で聴覚を封じるよ
後は敵の死角から私も『ジャンプ』して相手より上空へ。そこから過去の私とジェネシスの2敵を貫く軌道で【アインス】を放つね
昔の私も凄いけど、今の私はもっと強いよ
●煙の果て
「過去…?オレが過去に負けてるっていうのか!?」
憎悪に満ちた声を上げながら、クライング・ジェネシスは胸に付いた傷を掻き毟るように押さえつける。怒りなのか同様なのか、その指は僅かに震えていた。
(ちょっと訳ありみたいだけど……気を使う必要はないよね)
その様子を見て、ルエリラ・ルエラ(芋煮ハンター・f01185)は転がり込むようにコロッセオの中に入り込む。闘技場の中には遮蔽物となるものは存在しない、侵入してきた猟兵に気づいたジェネシスは即座にユーベルコードを発動しルエリラの幻影を作り出すが……。
「えい」
ポイと。まるでキャッチボールでもするような気軽さでルエリラが何かを投げると、それは空中で炸裂し瞬く間にコロッセオを白い煙で覆い尽くす。相手の視界を潰すスモークグレネード、射手である自分が相手であるならば視界を封じることでその動きを制限することができるというルエリラの策だ。
「むぅ、福島風豚肉醤油……」
その予想は的を射ていたようで、幻影のルエリラは弓こそ構えてはいるものの迂闊に行動をできないでいる。大質量で周囲をまとめて押し潰すという手もあるが、さすがに自身も無事ではすまない。
かと言って無暗に射ても自分の場所を晒すだけ、まずは相手の位置を知ろうと幻影のルエリラが狼耳デバイスを取り出した時、周囲の煙から漂う芋煮の香りに別の匂いが混じった。
「……花?」
漂ってきたのは甘い花の香り、それがもう一人の自分が出せるものではないと気づいた瞬間、コロッセオの地面が燃え上がった。
(要は、視認させなければいいんでしょ?)
煙に紛れるよう炎上する地面ギリギリを飛びながら栗花落・澪(泡沫の花・f03165)はコロッセオの地面に新たに花園を作り、それに再び点火することでコロッセオに広がる煙を更に大きく、濃い物へと変えていく。
クライング・ジェネシスのユーベルコードが視認している対象の幻影を作り出すのなら、相手の視界に影の一つでも写さなければ幻影は作り出されない。
「やめろ、こんな煙まみれの場所じゃオレがお前らを倒すところがわからないだろ!!」
煙の中から響くジェネシスの声を聴いて、密かに溜め息を吐く者達が『一人』。
「ただ顕示欲満たしたいだけじゃねこいつ…」
「どの道迷惑ですね…絶対に倒して戦争を終わらせましょう!」
錬と蓮、多重人格の猟兵レン・ランフォード(近接忍術師・f00762)は煙に紛れてスマートフォンを戦場にばら撒く。そのスピーカーから流れるのは録音された足音、それに加えて澪があちこちに飴玉の入った小瓶である【Candy Pop】を投げてわざと物音を立てるのだから、もはやジェネシス達は猟兵達の精確な人数すら計ることができない。
(僕達も相手の姿は見えないけど、音は使うことができる)
クライング・ジェネシスの声、幻影のルエリラが弓を引き絞る音、炎によって生まれた上昇気流がモノにぶつかって軌道を変える風の音。それらの音を頼りに澪は真っ直ぐ敵へと飛んでいく。
そして闘技場全体を包み込む炎の役目は、単純に煙を上げるためだけのものではない。
「……熱い!!」
耐え切れなくなったように、幻影のルエリラが上空へと飛び出す。猟兵の放つ埒外の炎だ、防御のための障壁は相応の魔力が必要となり長時間展開し続ければ矢に回すための魔力が枯渇する恐れもある。
炎は闘技場全体に広がっているため地上に逃げ場はない、ゆえに唯一の逃げ場である上空には……。
「…やっぱり、いるよね」
自身よりも更に上、太陽を背に本物のルエリラが矢を番える。
放たれた蒼い閃光は幻影の身体を貫通し、煙の中のジェネシスの肩をも貫く。突然の攻撃に驚愕するジェネシスだが、叫び声を上げる暇もなく錬が煙を切り裂いて彼の下へと接敵する。
「なめるな!」
しかし、その姿を捉えるやいなや二人の間に幻影の錬が出現する。幻影の錬が放つ横薙ぎの斬撃を最低限の動きで躱し、返しに本物の錬が放った袈裟切りは苦無で受け止められる。このまま膠着した戦いが始まるかと思えば、そうではない。
「……これ考えたのは誰だ?」
「さあ、俺ならわかるだろ?」
そんな会話を最後に、二人の錬の姿が同時に消滅する。あえて短時間で効果が切れるように調整された霊符、弱体化したものをコピーさせればその脅威は大したものではない。
自身がたばかれたことに気づいた時にはもう遅い、死角から飛び出した蓮の一閃がジェネシスの踵骨腱を切り裂く。膝を付き、もはや動くこともままならなくなった瞬時、澪が射程圏内に入った。
「全ての者に、光あれ!」
放たれる魔を浄化する光がクライング・ジェネシスを照らす。かつてはただの人であったというその身体は、なんの抵抗もなく光に焼かれるのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
宮落・ライア
演出真の姿:和装の刀少女
オブリビオンを出し続ける?
うーんつまり斬り続ければいいのか?
おっし。
無敵には先になられるからそっちは気にしないで良いとして。
出てくるのは多分集団戦の敵レベルで、先の戦いの大群って訳でも無いのであろ? で出現地点も胸からだけ。
出てくる場所が一地点だけなら出待ちも出来よう
【ダッシュ】【薙ぎ払い・二回攻撃】で初めに出てきたものを早々に片付けてくれよう。攻撃は【見切り】で避けるぞ。
ガンガン近づいて出てくる端から斬れる状態になったら
斬れるタイミングで本体に
【気合い・覚悟・鎧砕き・一閃】で時々攻撃を仕掛けるぞ。
動けないから反撃のしようも無いなー?
浅倉・桜雅
あれが今回の首謀者。
影楼、いえ、こちらの世界ではオブリビオンでしたか、それを生み出す悪。
ここで倒します。
敵がオブリビオンを召喚したのに合わせて、こちらも牛鬼を召喚します。
さあ、牛鬼見なさい。
あれが今回の貴方への捧げもの。無限に生み出される悲しきモノたち。
大好物でしょう?イケニエ(そういうの)。
存分に喰らい、そして私と共に進みなさい。
敵のオブリビオンを生み出している穴に向けて突進します。
オブリビオンを喰らい、押し返しつつ、その穴を塞ぐように。
無限に容量を生み出し続ける穴、塞がれれば辛いのは貴方でしょう。
穴を塞いだまま吹き飛ばします!
正義は勝つんですよ、たとえあくまでも、ね。
火霧・塔子
無能力者から知恵と野心を武器に成り上がるとは、なんたる反骨精神……っ
胸を貸してもらいます!
数には数を! 煽動器で街のダークヒーローさんやヴィジランテさん達に【存在感】ある呼びかけをして【鼓舞】し、UCの加護を与えます!
「あそこに御座すは偉大なる反骨の先人! しかし今や悪しきオブリビオンの王! たとえ秩序を乱しても、新たな世界を築くのが反逆の輝き! 壊すだけでない私たちの反逆で、彼に引導を渡しましょう!!」
皆でオブリビオンをジェネシスさんの下に押し返したら、彼らを薪に、複製器物:火炎瓶と追い重油の【一斉発射】で火の海ならぬ、火の山を築きます!
無敵を解いたら轟火と酸欠で、ゴー・バック・骸の海です!
●押し流される過去
足は削がれ、片腕は上がらず、全身は焼けている。もはや勝負は決しているようにも見えるが、クライング・ジェネシスは負けを認めない。
「まだだ……オレはまだ本気を出しちゃいねえ!!」
慟哭のように叫ぶジェネシスの胸から無数のオブリビオンが溢れ出す、数や姿に法則性はなく滝のように流れ落とすため他のオブリビオンの下敷きとなるオブリビオンまで出ている有り様だ。
「うーん?つまり斬り続ければいいのか?」
首を傾げながらも真の姿となった宮落・ライア(ノゾム者・f05053)は身の丈程の太刀を引き抜くと、一息で敵の集団へと接敵する。
一太刀振るえばその軌道上に居る敵が数体同時に切り裂かれる、返す刀で更に数体。敵の実力は大したことはなく、出現地点も一ヵ所、先の超大群と比べると数も少ない、早々に片付けられる相手である。
雑魚を切り裂き、本命であるクライング・ジェネシスへと確実に接近する。しかし快調に突き進んでいたライアの足が徐々に鈍り始める。敵の強さが変わったわけではない、出てくる敵の量が多くなったわけでもない、しかし一歩進むごとにライアの足は確実に遅くなっていく。
「相手が……重い!?」
クライング・ジェネシスに近づく度に刀に掛かる反動が重くなる。その現象を引き起こしているのは敵の特殊な能力ではなく、近づく度に濃くなる敵の密度だ。
クライング・ジェネシスに近づけば近づくほど、召喚されるオブリビオンは密集し始める。さらに相手はこれを垂れ流すように召喚しているのだ、限界まで接敵すれば召喚されるオブリビオンの雪崩そのものが強力な攻撃へと転じられる。
無限に増加する質量の暴力が、クライング・ジェネシス最大の攻撃だ。
とは言え、無限の質量が一度にやって来るわけではない。敵を減らし続ければオブリビオンの波に呑まれることはないが……。
「これ以上前に進めなーい!!」
「ではその背中、僭越ながら私達が押させていただきましょう!」
ライアの叫びに、甲高いハウリング音混じりの声が答える。同時にどこからかアウトローな恰好をした人々がコロッセオになだれ込みオブリビオンを押し返していく。
「あそこに御座すは偉大なる反骨の先人! しかし今や悪しきオブリビオンの王! たとえ秩序を乱しても、新たな世界を築くのが反逆の輝き! 壊すだけでない私たちの反逆で、彼に引導を渡しましょう!!」
先陣に立つ火霧・塔子(火炎瓶のヤドリガミ・f16991)が握り締めた拳を高々と天に掲げながら敵にぶつかる。ライアがオブリビオンを一手に引き受けている間に周囲に居た人々を扇動しこのコロッセオにかき集めたのだ。
「無理だろ!?弱いとは言えオブリビオンだぞ!ボク達に任せて下がれ!」
「アンタらばっかりいいカッコさせてたまるかよ……!」
「この世界が駄目になるかならないかなんだ、やってみる価値はありますぜ!」
民衆の身体に炎のようなオーラが纏う、これが塔子のユーベルコード【ライオット!】。反逆の炎を燃やす闘士達はその加護を持って敵を一歩、また一歩と押し返していく。
「見えますか牛鬼、無限に生み出される悲しきモノたち……あれが今回の貴方への捧げもの」
その燃え上がる闘争の少し後ろで、浅倉・桜雅(それはあくまで人助け!・f22468)は召喚した牛鬼にその様子を見せる。
「大好物でしょう?存分に喰らい、そして私と共に進みなさい」
その言葉と共に、桜雅の身体に悪魔が宿る。大量のご馳走を前に、どうやら我慢ができないようだ。
「突入します!危険ですので離れて!」
民衆達に警告すると、桜雅は人々の先頭……つまりは敵の雪崩へと飛び込む。その背中から蜘蛛のような牛鬼の足が現れ、網のようにオブリビオン達を捕らえた。後はこのまま民衆の壁となるようにオブリビオンを喰らえば、というところで塔子が拡声器を掲げる。
「私達に退路は無し! さあ前へ!」
オブリビオンを押す桜雅の背中を民衆が押し、怒涛の勢いで雪崩は押し返されていく。前後から挟まれ潰されるオブリビオンの肉片は牛鬼が喰らい、もっと食わせろと言わんばかりに桜雅に更なる力を与える。
「あの、さすがにこれ以上は……!」
「見えました!ジェネシスさんです!」
桜雅の言葉を遮り、塔子は前方に見えるクライング・ジェネシスを指さす。何か言いたげな表情をする桜雅だったが、千載一遇のチャンスを逃すわけにはいかない。牛鬼と人々の力を背に受けた桜雅は強引な力押しジェネシスに接近すると、溢れ出ようとするオブリビオンごと胸の穴を押さえつけた。
「ここまで近づけたなら、こっちの番だなー?」
見動きんもとれないジェネシスの身体に、ライアが刀を突き立て……塔子がさも当然のように重油をジェネシスの身体にかけ始めた。
「……なにしてるんだ?」
「無能力者から知恵と野心を武器に成り上がるその反骨精神っ……忘れることはないでしょう!」
投げ放たれた火炎瓶を見て。ライアと桜雅が半ば民衆を押し出すようにしながら全力でコロッセオを離脱する。燃えながら吹き出すオブリビオン達とクライング・ジェネシスの姿は、火山の噴火のようだったという。
成功
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数宮・多喜
【アドリブ改変大歓迎】
【N市支部】
さあて正念場、って奴だぁね。
おーおーぽこじゃか繰り出してきやがって壮観だこと。
しかしこりゃまた、法則性もなんも無しにどんどん生み出してるね。
『マヒ攻撃』と電撃の『属性攻撃』を込めた、
『衝撃波』の『範囲攻撃』で有象無象を薙ぎ払いながら、
そう『情報収集』する。
そうなりゃアンタのその姿、弱点は丸わかりさ。
そもそも「動けないまま」、「生み出すオブリビオンを選びきっていない」。
アンタ、その能力を『コントロールし切ってない』ね?
動揺が見えたなら好機!
その鍵穴を【理塞ぐ鍵】でロックアップ!
拘留時間は3分間だ、みんなでサクッと終わらせな!
春日・釉乃
【アドリブ改変大歓迎】
【N支部】
決戦の刻…みんな行くよ!
多喜さん(f03004)の行動を妨害させないためにも早業で盾受けの『シールドスレイヴ』を一斉発射
向ってくる相手を第六感でピンポイントに弾いていくんだから!
自分自身は機械鎧の『鶴姫』のオーラ防御で耐えつつ残像を撒いてやりすごすよ
そしてどうにか作戦が上手く進めば、あとはあたしたちに任せて
そのぽっかりと空いているクライング・ジェネシスの胸部に向かって…咄嗟の一撃でカウンターの鎧無視攻撃の【無限光】のUCを叩き込むよ!
全く身動きのとれない今なら一撃の威力に賭けるのみっ…!!
――オブリビオン・フォーミュラ、骸の海に帰りなさい…この無限光の中で!
高岩・凛
【アドリブ改変大歓迎】
【N市支部】
馬鹿みたいにでけえツラしやがって!その殴りやすそうなツラボコボコにしてやるからそこで待ってろ!
[ケテルドライバー]により選択ICの姿に変身し、クライング・ジェネシスから湧き出てくるオブリビオン共を体から生える棘による「串刺し」、噛み付いて捕食する事による「大食い」で応戦する。
数宮(f03004)のUCでクライング・ジェネシスが拘束された所へ【新生物細胞活性化】により食い散らしたオブリビオンの量によって更に強化された「怪力」で[ケテル細胞]により腕に生成した巨大な刃を叩きつける!
●涙の創世
ファンタジアという映画にて、巨大な悪魔が燃え上がる炎の中で亡者達を弄ぶ場面が存在する。二度の炎上の影響で赤く焼けたコロッセオの中で、火に巻かれるオブリビオン達を足蹴にしながら、揺らぐ景色の中で佇むクライング・ジェネシスの姿はまさにそれだ。
最も今の彼には映画の悪魔のようなどこか超然とした雰囲気は存在せず、代わりに背負うのは深い憎しみと小物染みたプライド……ある意味では、どこまでも人間らしい感情でジェネシスは戦場に立っていた。
「負けてねえ……オレが認めるまでオレは負けねえ!」
半ば慟哭のような叫びを上げながら、ジェネシスは再び無数のオブリビオンを胸の穴から産み出す。もはや冷静な思考などなく、無限のオブリビオンでこの地を埋め尽くそうというのだろう。
「おーおーぽこじゃか繰り出してきやがって、壮観だこと」
そんな様子を見て、数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)がどこか口笛でも吹くような気軽さでそう言うと、彼女の両手に紫電が帯びる。
「決戦の刻…みんな行くよ!」
「おうさ、馬鹿みたいにでけえツラしやがって!その殴りやすそうなツラボコボコにしてやるからそこで待ってろ!」
同行する春日・釉乃(蒼薔薇のPrince・f00006)の纏う機械鎧から九つの障壁が展開され、腰にベルト型の制御装置を取り付けた高岩・凛(破滅者・f17279)の身体が熱波と共に蜥蜴とも竜ともとれる亜人の姿に変貌する。
各々戦闘の準備を終えた三人は、臆することなくオブリビオンの波へと立ち向かう。
「さあて正念場、って奴だぁね」
そう言いながら多喜が紫電を帯びた両手を地面に叩き付けると、釉乃と凛は素早く空中へと跳び上がる。何人ものオブリビオンが空へ逃げた二人に視線を誘導された瞬間、波紋のように広がった雷電の衝撃波が彼らの身体を貫いだ。
「ARRRGGGHHH!!」
多喜の放った電撃により動きの鈍ったオブリビオンの下に、異形の姿に転じた凛が飛び掛かる。両手に爪のように生えた棘は数体のオブリビオンをまとめて串刺しにし、片方の手が埋まればもう片方の手で再び敵を刺す。そして両の手が封じられれば強靭な顎で目の前のオブリビオンに喰らい付き、噛み千切るようにして相手の身体を引き裂く。
「さて、凛さんが引き付けてる間にっと」
断続的に電流を流しながら、多喜は周囲の様子を観察する。召喚されるオブリビオンは有象無象、集団戦で戦うような群のタイプが主だがその中でも数種類のタイプを無作為に呼び出している……と、そこまで観察したところで突然多喜の視界に影が差した。
それが何か認識する前に、釉乃の放った障壁が多喜の前に滑り込む。バンッという水風船を地面に叩き付けたような音共に、後方から投げ放たれたオブリビオンが障壁に弾かれ宙を舞う。
「多喜さん、大丈夫!?」
こちらが放った雷撃に対抗してきたのだろう、攻撃の届かない後方からオブリビオンがオブリビオンを砲丸のように投げ放つ。一見すると間抜けな光景に見えるかもしれないが、戦車の砲弾の重さはおよそ20kg前後。その二倍以上の重さを持つ人間と同程度の質量を投げ放たれるならばそれは十分兵器となりえる。
おまけに、投げ放たれたオブリビオンは生きている。猟兵達に当たらずその背後に落ちたオブリビオンは、そのまま挟撃の形で戦闘に加わる。
「この……ッ!」
釉乃は可能な限り攻撃を避け、囲まれないよう動き続ける。下手に足を止めれば逃げ場を失い、押しつぶされる危険もある。多喜は釉乃の放った九つの障壁で守られいるが、破られるのも時間の問題だろう。
「……数宮、まだ!?」
敵と相対し続けている凛は両手はおろか全身から生やした棘で全方位の敵に対応してるが、積み上がる屍と押し寄せる敵の波に徐々に呑み込まれつつある。敵との戦闘で徐々に積み重なっていく傷も無視できない。
凛の急かす声、敵が障壁を叩く音、それらの中で多喜は考え込むように一度瞳を閉じ……。
「……わかった」
パンっ、と。軽快な音を立てて多喜は自らの手の平に拳をぶつけた。
「数で押すと言えば聞こえはいいが、本当にあたしらを潰したいんならジェネシス・エイトみたいな強力な奴を呼び出し続ければいい……それをしないッてことはアンタは『生み出すオブリビオンを選びきっていない』、つまりその能力を『コントロールし切ってない』ってことさ!」
多喜の言葉に動けないはずのジェネシスの身体が引き攣ったような気がした。同時に、オブリビオンを生み出す胸の穴に巨大な錠前が被さる。
【理塞ぐ鍵】、その効果は相手のユーベルコードの弱点を指摘することで3分間それを封印することができる。
オブリビオンの召喚が止まり、無敵となった肉体も元に戻る。その姿を見た凛が一際大きな方向を上げる。
「AAAAARRRRRRRGGGHHH!!」
敵を身体に貼り付けたまま、凛の片腕が巨大なブレードに変貌する。オブリビオンの肉を喰らい、強化された彼女の刃はクライング・ジェネシスの全長を越え、その莫大な質量が一息に振り下ろされる。
「おおぉぉ!?」
振り下ろされた刃が叩き付けられ、クライング・ジェネシスの身体が腰までコロッセオの大地に沈み込む。衝撃が地面に流れたゆえにどうにか生き延びたジェネシスだったが、彼の前に赤い光翼が広がった。
「凛さんそのまま……ここで終止符を打つ!」
釉乃の纏った純白の機械鎧の両腕に眩い光が宿る。それはジェネシスが胸に持つ黒い闇と真逆の白き光。
「――オブリビオン・フォーミュラ、骸の海に帰りなさい…この無限光の中で!」
放たれた十字の光がクライング・ジェネシスの胸部を貫通する、勝負はついた。
「オレが!?過去を使えるはずのオレが!!なんで貴様ら如きに、まだヤツとの決着も……!」
十字の光が広がり、ジェネシスの身体を包み込む。彼が呼ぼうとした何者かの名前は、そのまま光に包まれ虚無へと消えていった。後に残されたのは焼けたコロッセオと、吹き抜けるイタリアの乾いた風。
――映画の最後。日の光を浴びた悪魔は何かを求めるように天へ手を伸ばすと、そのまま力尽きたように沈黙してしまう。
ヒーローズアースを恐怖に陥れた悪魔の最期は、誰も予想しなかっただろう静寂に包まれたものだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴