アースクライシス2019⑱〜きれいな地球を守るため
「ふむ。『ラブ・キャナル』ねぇ……」
ネルウェザ・イェルドットは地図を見つめながら呟く。そこに幾つも貼られたメモには、ヒーローズアース現地のヒーロー達から届いた情報が連ねられていた。
グリモアベースに猟兵が到着すると、ネルウェザはその地図をホワイトボードに貼り付けて一礼する。
「やあ、集まってくれて有難う」
ネルウェザは地図を指しながら、今回の任務について語り始める。
ヒーローズアースで続く戦争の中、現地のヒーロー達がジェネシス・エイトの一人『スカムキング』の拠点を突き止めたというのだ。スカムキングは地球外へ逃走する為、スーパープルトンから譲り受けたUFOを改造して準備を整えている。単に宇宙へ飛んでいくのなら有り難い話かもしれないが、どうやらそうも言っていられないらしい。
「元々スーパープルトンのUFOは環境に優しい一人用エコUFOだったんだけど、無理矢理大量の人や物を運べるように改造した結果とんでもない環境破壊を起こしながら飛ぶ最悪な乗り物に変わっている。これが飛び立てば、地球はどれだけ汚染されてしまうことか」
ああ怖い怖い、とわざとらしく大げさに、生身の身体ではない彼女が呑気に笑う。
しかし環境破壊と汚染が現実のものとなれば、生き物がその場に住めなくなるだけでなく、現地の風景も台無しになるだろう。そう言ってネルウェザは地図の中心にぐるぐると赤くペンで印をつけ、更に話を続けた。
「スカムキングの拠点というのが、ニューヨーク州ナイアガラ・フォールズ市……ナイアガラの滝、って言ったら分かりやすいかな? その近くの地『ラブ・キャナル』の地下だ」
ナイアガラの滝といえば、現在豊富な水源と大迫力の景観で人々に恩恵を与えているスポット。投棄された農薬や除草剤などの有害物質で汚染事件『ラブ・キャナル事件』が起きた過去も存在するが、それも人々が法を整え立ち入りを禁じることで今の姿を取り戻している。
そんな『ナイアガラの滝』、もとい『ラブ・キャナル』をスカムキングの逃走によって破壊されてしまわぬよう、逃がすことなく徹底的に倒してしまわなければならないのだ。
「と、言うわけで君達をラブ・キャナル地下へ転送する。拠点に侵入してしまえばスカムキングの方から猟兵を排除しようと出向いてきてくれる筈だよ」
ネルウェザはグリモアを浮かべ、ふわりふわりと光を纏わせる。転送の準備が整えば、彼女は猟兵に向き直ってにやりと笑った。
「……ナイアガラの滝だけじゃない。ヒーローズアースの綺麗な場所も文化も人々も、全部守るために。皆、頼んだよ」
●
ラブ・キャナル地下。ダストブロンクス市街にも似たその地下都市には、軽く息を吸っただけでむせ返りそうなほどの悪臭が漂っていた。これはおそらく、スカムキングが環境汚染のデメリットなど一切考慮せずUFOの大改造を行った結果なのだろう。
いくら猟兵と言えどこれをいつまでも吸い続けるのは好ましくない。そう猟兵が先を急げば、開けた地下道でばったりと『それ』に出くわした。
「おっと、猟兵か……俺は今から宇宙に逃げるんだぜ? ここで戦うより大人しく見逃した方が、お互い無駄に体力を消費することもないんじゃないか?」
猟兵の姿を見るなり、そう交渉するスカムキング。しかしこの汚染された空気とヒーロー達の情報から、目の前の敵を逃がしてはいけない事などとうに分かっている。
それにスカムキングは戦いを避けようという言葉に反し、既に攻撃の準備を整えているようだ。猟兵が少しでも動きを見せれば、強力な先制攻撃が飛んでくるだろう。
これ以上地球を汚染されるのを防ぐため、猟兵はスカムキングへ立ち向かっていくのだった。
みかろっと
こんにちは、みかろっとと申します。今回スカムキングとの決闘です。こちらはアースクライシス2019の戦争シナリオで、ボス戦一章で完結です。
スカムキングは必ず先制攻撃をしてくるので、それを上手く対処しつつ戦ってください。また、ラブ・キャナル地下はかなり空気が汚染されています。あまり戦闘が長引くと猟兵の身体に影響が出る……かもしれません。
前回まで『速攻戦』としてシナリオを一気に回しておりましたが、今回からはまたいつものペースでリプレイをお返ししていこうと思います。但し時間等の都合で不採用とさせていただく可能性は御座いますので、その点ご了承ください。
皆様のプレイング、心よりお待ちしております。
第1章 ボス戦
『スカムキング』
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POW : キングアンドクイーン
自身の【体重60kg】を代償に、【体内から飛び出した破壊魔術師アシュリー】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【肉弾戦を挑むスカムキングとの連携攻撃】で戦う。
SPD : スーパートニックナイトメア
【アシュリーが禁断の呪文をかけ続ける】事で【近付くだけで敵を侵食する超汚染存在】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : ダスト・テリトリー
自身からレベルm半径内の無機物を【汚染物質】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
イラスト:V-7
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
セルマ・エンフィールド
放置しておくだけで害のある者を倒さない理由はありません。
詠唱と同時に『早業』でデリンジャー二丁を『クイックドロウ』し発砲、アシュリーを狙い牽制してこちらに近づかせないように。
まぁ反応速度の上がったスカムキングに弾かれるでしょうが……狙い通りです。
あらかじめ『武器改造』でデリンジャーから出る弾丸を衝撃で大量の胡椒が飛び散る特製品に変えておきました。これでは禁断の呪文をかけ続けることなどできないでしょう。
禁断の呪文をかけ続けることができなくなればスピードは低下する……この機は逃しません。
もう二丁のデリンジャーを抜き、【絶対零度の射手】を。弾幕による『制圧射撃』で近寄らせず撃ち抜きます。
薄荷・千夜子
とてもじゃないですが放置しておくわけにはいかない存在ですね
宇宙への逃亡など見逃すわけにはいきません
【迷彩】【地形の利用】で距離を取りながら身を潜めて機を伺い
速度を上げるために呪文をかけ続ける必要があるのなら彼女を封じねばなりませんね
【早業】でアシュリー目掛けて【破魔】の力を纏わせた『禽羽双針』を【投擲】
詠唱が必要そうであれば口元を集中的に狙っていきます
接近されれば【ダッシュ】で【残像】とともに【見切り】
一定以上の距離を取れるように注意をしながら
動き回りながらUCを展開して愛刀『夜藤』を複製し一斉投擲
浄化の炎と共に燃え尽きてください!
長居はできぬ場所のようです早急に対処しましょう
ナギ・ヌドゥー
もうすぐカタストロフだろ?そんな時に逃げて何が幹部だ。
まぁ、どの道アンタはここで果てるから関係無いがな!
敵UCを防ぐ為こちらも【ドーピング】で身体能力・反応速度を高める
【第六感・野生の勘】を研ぎ澄まし敵攻撃【見切り】
【殺気】を帯びた【残像】を無数に作る【フェイント】で躱し続ける
躱しきれない攻撃は【オーラ防御・毒耐性】でダメージ軽減
奴が息切れしたら反撃
UC「九忌怨刃」発動
【2回攻撃】が9倍の18回攻撃に!
この十八連斬撃でアシュリーごと身体を斬り開き汚泥をブチまけてやる【部位破壊・傷口をえぐる】
スカムキングは突如、独り言のように口を開く。
「……『アレ』を使うぞ、アシュリー」
その言葉は体内、彼と文字通り一心同体となっている愛人アシュリーへ向けたものだった。仕方ないねと艶めかしい声がヘドロから響けば、その声は複雑で禍々しい呪文を紡ぎ始めていく。
どぷり、どぷりと体表のヘドロが波打つ中、スカムキングはげへりと笑って再び猟兵に声を掛けた。
「なあ猟兵よ。これは俺からの最後の提案だ……戦わず、ここは互いに見逃さねえか?」
だが、猟兵は一歩も後ろになど退かない。
「放置しておくだけで害のある者を倒さない理由はありません」
そう毅然と前を見るセルマ・エンフィールド。そしてその隣、ナギ・ヌドゥーが眉を顰めて続ける。
「もうすぐカタストロフだろ? そんな時に逃げて何が幹部だ」
「……そうか、ならカタストロフの後で、滅茶苦茶になった星でも眺めながら宇宙に行くのも悪くないな!」
スカムキングはごぶりと体中のヘドロを揺らす。退かないのなら潰すのみ、そう猟兵を笑い睨むスカムキングへ、ナギは真っ直ぐに言葉を返した。
「まぁ、どの道アンタはここで果てるから関係無いがな!」
「言ってくれるな、猟兵!」
重そうな巨体は突然俊敏な動きを見せ、思い切り猟兵の方へと駆け出す。彼が一歩踏み出すと同時にその周囲がどろりと溶け、あれに近づくのは危険だと猟兵の本能が告げていた。
「――来ます」
セルマは周囲の猟兵へ警戒を呼びかけ、素早く小銃でデリンジャーを両手に取る。そしてスカムキングの胸部中央――呪文を紡ぎ続けるアシュリーの顔へと弾丸を放った。ダダダッ!! と激しい銃撃が響くが、スカムキングはそれをも上回る速度で思い切り拳を振るう。
「アシュリーを狙おうってか、無駄だぜ!」
呪文の強化故か、まさか素の力か。スカムキングはセルマの弾丸を易々と弾く。
「……狙い通りです」
ばふっ、と。セルマの弾丸は弾かれた瞬間大量の粉末を撒き散らし、スカムキングとアシュリーへ襲い掛かった。
「げほっ、な、何だいこれ!!」
むせ返る胡椒のスパイシーな香り。アシュリーの詠唱は止まり、スカムキングはがくりとその動きを鈍く戻してしまう。セルマはその瞬間、両手の胡椒銃を別のデリンジャーに持ち替えた。
「……この機は逃しません、撃ち抜きます」
ユーベルコードを発動したセルマの銃が、一斉に氷の弾丸を連射する。スカムキングが纏うヘドロはみるみるうちに凍り付き、彼の巨体をその場に固く縛り付けた。
それと同時、ナギは自らの身体にドーピングを施してスカムキングに向かっていく。アシュリーが呪文を発動できず、スカムキングが身を凍り付かせている今が――好機だ。
「くそっ、来るな!!」
スカムキングは大きく腕を振り回し、ナギへヘドロの拳を叩き込もうとする。しかしナギは、呪文の強化を受けていないスカムキングの攻撃など容易く見切り躱していった。
ぞわりとスカムキングの背に悪寒が走る。息も詰まるような殺気を放ちながら、ナギはその姿を一つ二つと増やしていったのだ。
スカムキングはその場を動けぬまま、アシュリーに呪文の再開を必死に呼びかける。当たらない、当たらない。ヘドロがナギの脇腹を掠ろうとも、それが彼の身体に影響を与えることはなかった。
スカムキングはぜえぜえと息を切らし、激しく揺さぶられたアシュリーはさらにげほげほと咳を酷くしていく。スカムキングの腕が一瞬止まったのを狙い、ナギの両目が真紅に輝いた。
「苦悶の闇に堕ちし時、殺戮の宴が始まる」
そう呟き、ナギは鉈を振り回す。只でさえ素早い彼の斬撃はユーベルコードによってその速度を格段に上げ――一瞬にして、スカムキングの身へ十八連撃を叩き込んだ。
アシュリーを巻き込みながらの攻撃は激しく血肉とヘドロを撒き散らす。混じり合う男女の悲鳴が地下都市に響き渡っていった。
悪臭がラブ・キャナルに満ちる中、アシュリーは無理矢理にも喉を開いて呪文を紡ごうとする。肉薄していたナギは咄嗟にスカムキングを蹴って距離をとった。
呪文の一節が素早く口ずさまれる瞬間、身を潜めていた猟兵がスカムキングとアシュリーの死角から狙いを定める。
「――ッ!?」
呪文が止まる。アシュリーの胸には深々と羽のようなものが突き刺さり、彼女の魔力をみるみるうちに崩していった。
更に一本、そしてもう一本。アシュリーの口元を狙うように飛来する羽の針。遂にぐさりとアシュリーの唇と喉を貫けば、最早彼女は呪文どころか声を上げることすらできなくなっていた。
「アシュリー!?」
呻く愛人に声を掛けるスカムキング。攻撃の主、薄荷・千夜子はその隙を狙って物陰から飛び出すと、一気に駆け出し距離を詰め――ユーベルコードを発動した。
「守刀に炎の加護を」
千夜子の手元、短い鞘の中から藤棚の彫金がすうと覗く。炎を纏う刃が抜かれれば、それは瞬時に五十以上に影を増やしスカムキングへと切先を向けた。
「――浄化の炎と共に燃え尽きてください!」
一斉に千夜子の短刀『夜藤』が襲い掛かる。凍り付いた身体はその場を動くこともままならず、痛みに震えるアシュリーと共にスカムキングは炎に呑まれていくのだった。
大成功
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ウィルヘルム・スマラクトヴァルト
逃亡の際に汚染物質を撒かないのであれば
その提案にも乗れたのですがね。
地球を汚染しての逃亡など、許さない!
先制攻撃は、アシュリーからの攻撃を緑の大盾で「盾受け」して、
肉弾戦を挑むスカムキングは緑の斧槍のリーチで牽制しつつ、
攻撃は「武器受け」で受け止めます。
この際、「第六感」を働かせて攻撃を予知し、
攻撃の軌道を「見切り」することで、
確実に受け止められるよう努めます。
万一受けきれなかった場合は、「オーラ防御」でダメージを抑え、
「激痛耐性」で堪えます。
先制攻撃をしのいだら、「ハイパー・ガーディアン・モード」発動。
マッハ約4.5で飛翔して、緑の斧槍で「ランスチャージ」。
スカムキングを「串刺し」にします。
ミスツ・シューパリツェ
元ヴィランとしちゃ気が合いそうだが残念だ
転移前に耐火耐熱性機材を触手《機式》で食べて◆火炎耐性を付与
ガソリン等の可燃性液体も取り込む
2体がかりの攻撃には触手《殴式》での牽制や触手盾で凌ぎ
さりげなく可燃液体を霧状にして周囲に撒いとく
十分撒いた所で触手《撃式》の射撃で着火
爆発させて2人纏めて◆吹き飛ばす
オレは耐火触手盾を展開して防ぎこの隙にUC発動
転移してから隠しておいた火炎放射機を取り込み◆炎属性攻撃を触手から◆一斉発射
触手《殴式》を両腕に纏めて大きな腕にし炎を纏ってスカムに一気に近づき◆怪力で殴り会う
スカムを巻き込むこの距離なら女は手を出せねぇ
最後は◆捨て身の一撃の拳でケリ着けるぜスカム!
アシュリーは何とか傷に応急処置を施し、血を流しながらもスカムキングの中から飛び出す。ごぷりと粘つくヘドロを纏いながらゆっくりと立つと、彼女はスカムキングに声を掛けた。
「……ねえ、あんた。あとは逃げるだけなんだろう?」
「あ、ああ……そうだ。なあ猟兵よ、俺達は本当に逃げるだけだ。ここは一つ見逃しちゃくれねえか」
そうにちゃりと笑うスカムキング。対する猟兵、ウィルヘルム・スマラクトヴァルトは首を振り、スカムキングへ近づいた。
「逃亡の際に汚染物質を撒かないのであれば、その提案にも乗れたのですがね」
真っ直ぐに、そして勇敢に前を見て。
「地球を汚染しての逃亡など、許さない!」
「……そうかよ!」
スカムキングは少しだけ身軽になった体でダン! と大きく踏み出す。同時にアシュリーも血塗れの口から破壊魔法を紡ぎ、ウィルヘルム目がけて強力な魔法弾を放った。
ウィルヘルムは緑の大盾でアシュリーの魔法弾を耐える。激しい衝撃が彼の身体を揺らす中、スカムキングがドスドスと足音を鳴らして距離を詰める。斧槍を構えながら二人の攻撃を見切り、自らの勘を頼りながら攻撃の軌道を読み――ウィルヘルムは二人の猛攻を凌ぎ耐えていった。
やがて、スカムキングがこれでもか、と悪臭を放つ拳をブンと大きく振り上げる。
その瞬間、スカムキングの頭上にヴン、と人影が現れた。
スカムキングの拳は突如ぬるりと触手に絡めとられ、ウィルヘルムに向かうことなく後ろへ飛ばされる。ぐるんと巨体が後転し、スカムキングが転がると共にアシュリーも思わず攻撃の手を止めていた。
「元ヴィランとしちゃ気が合いそうだが……残念だ」
触手の主は猟兵、ミスツ・シューパリツェ。少し遅れてこの場に転移してきた彼女は、何か霧のようなものを周囲に巻きながらウィルヘルムの近くへすたんと着地した。
すん、とウィルヘルムが息を吸うと――悪臭とは別に、何やらつんとした匂いが鼻を通り抜ける。
「……ガソリン?」
ミスツは小さく肯定の返事を返すと同時に、それがガソリンであるが故の注意を促す。そして彼女は身から伸びる触手で、もぐもぐと銃火器のようなものを呑み込んでいた。
成程、とウィルヘルムはその意味を察すると、よろめくスカムキングに狙いを定めつつユーベルコード『ハイパー・ガーディアン・モード』を発動した。
ウィルヘルムの身体をきらりと緑の光が包み、彼の意志に呼応して力を宿す。緑の斧槍を構えて思い切り前方へ飛び出せば、ウィルヘルムはその足音が届くより速くスカムキングとの距離を詰めた。
「この世界も……そこに住まう人々も……私が護るんだ!」
――ぐさり、とスカムキングの胸が大きく貫かれる。一瞬の出来事にスカムキングもアシュリーも目を丸くする中、ウィルヘルムは突如槍を引き抜き思い切りスカムキングの肩を蹴った。
ヘドロと血肉を散らせて、ギュン! とその場を離れるウィルヘルム。スカムキングはようやく胸の穴に気づき、身体を這いずるような痛みに思わず膝を付く。
そして目の前、触手≪撃式≫を銃火器に変形させたミスツが、ガソリン霧の漂うその場で思い切り射撃を放った。
「……あんた!!!」
アシュリーが咄嗟にスカムキングへ駆け寄る。ヂッ、とミスツの触手が火花を散らせば、ラブ・キャナル地下は一瞬にして恐ろしい程の爆炎に包まれた。
アシュリーとスカムキングは激しい熱に灼かれながら後方へ吹き飛ばされる。対するミスツは予め耐火力を蓄えていた触手で身を包み、そしてユーベルコードを発動していた。
「たんと喰らえ、大喰らいの触手。さて持ち主にゃ悪いが、後で元に戻してやるから、今は使わせてもらうぞ」
かちゃり、とミスツは触手から火炎放射機を突き出す。彼女は爆炎の中で更に炎を纏い、触手《殴式》を両腕にぐるりと巻き付けた。
「――ケリ着けるぜ、スカム!」
炎纏う大腕を構えたミスツは、胸の大穴と熱に呻くスカムキングへ突撃する。重い重い拳を振り抜き、ミスツは捨て身の勢いで一撃を叩き込むのであった。
大成功
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栗花落・澪
【呪詛耐性+毒耐性のオーラ防御】を纏いつつ
【破魔】を乗せた風魔法を★Venti Alaに宿しておく事で
清浄な風で自身を囲んでおく
魔とは違うとしてもこのレベルじゃもう穢れでしょ
だから、あくまで操作が先制になるだけで攻撃には間があるのなら
破魔を乗せた水魔法の【高速詠唱、属性攻撃の範囲攻撃】で
操られてる汚染物質の相殺狙い
都市内なら適当な看板とか盾に出来るものがあれば
隠れる事で攻撃して来る方向を絞れるかも
翼と靴の効果での【空中戦】で物陰に隠れながら縦横無尽に飛行
時折着地し足場に★花園を生成
破魔で足止め
植物は有機物だから操れないよね
お掃除の時間だよ!
【指定UC】を発動
分身達と一斉に破魔の水の【全力魔法】
ナイ・デス
星が汚染されれば、人が死ぬ
私は、少しでも死なせたく、ありません
今に生る人の為、今に生る過去の、スカムキングさん、アシュリーさん
討たせて、もらいます……!
汚染物質【第六感】で【見切り】
【ダッシュジャンプ念動力】で浮遊
宇宙服から光を放って自身【吹き飛ばし空中戦】
縦横無尽に動いて避け
無理なものは黒剣で【かばい】受け流し
受けても【覚悟、激痛耐性】耐えて
【範囲攻撃】『生命力吸収光』で、汚染物質と、スカムキングさん達から、今に生る、在る為の力を【生命力吸収】奪います
光は、鎧などがあっても癒せる。この光も同じ【鎧無視】して、奪う
浄も不浄も、違いなく、私の力に
消えてなくなれ、です!
何もかもが混じり合い、最早何の液体かも分からないものをごぱりと吐き出しながら、スカムキングは辛うじて立ち上がる。同じく満身創痍のアシュリーを体内に収め、その男は大きく吠えた。
途端、ラブ・キャナル地下にバラバラと転がる瓦礫や石片がどろりとヘドロに変化する。悪臭放つ無数の塊は、スカムキングがばっと腕を前に向けると同時に蠢き、猟兵へ向かって飛び出した。
栗花落・澪は『Venti Ala』に魔法を宿し、魔を退ける清浄な風を身に纏う。酷く汚れ、そして汚れた目の前の大男を目で捉えながら、澪は更に水の魔法を口ずさんだ。
ヘドロ状の汚染物質は羽虫の大群の如くぶわりと纏まり、澪へ襲い掛かる。
詠唱を終えた澪が思い切り前方へそれを放てば、大きな水流がざぶりとヘドロを飲み込む。濁る水でスカムキングとの間に大きな壁が生まれ、澪はその隙にふわりと真横へ羽搏いた。
「――いない!?」
スカムキングは慌てて辺りを見回す。すると右前方の看板に、白い翼がちらりと覗いたのが見えた。
「そこか!!」
汚染物質を操り、看板へ向けて放つ。
澪は単純な軌道を易々と見切り、素早く水魔法を放った。再び濁流が壁を作る。澪は翼での飛行に加え風纏う靴で機動力を上げて地下都市を自在に飛び回っていく。
スカムキングがチィ、と舌を打って汚染物質を右へ左へ操る中、突如ダン! と別方向から飛び出す影が視界に入った。
「星が汚染されれば、人が死ぬ。私は、少しでも死なせたく、ありません」
汚染物質の間を縫ってスカムキングの眼前に現れたのはナイ・デス。念動力で自身を浮遊させて黒剣を振るえば、スカムキングは思わず汚染物質の動きを乱す。
ひらりと宙を動き回り、ナイはスカムキングの攻撃を躱して隙を狙う。被弾も厭わずその距離を保ち続け、真横に振るわれた拳を黒剣で受け流せば――遂に、スカムキングの動きに大きな隙が生まれた。
「今に生る人の為、今に生る過去の、スカムキングさん、アシュリーさん……討たせて、もらいます……!」
スカムキングと汚染物質の中心でナイが眩い光を放ち、ユーベルコードを発動する。
「――加減は、難しい」
その光は周囲の汚染物質とスカムキング、そしてアシュリーがこの場に存在する為のエネルギーを奪い取る。ぼたぼたと落ちる汚染物質、そしてふっと意識が途切れかけるスカムキング。
ナイは光をさらに強め、彼等の力を根こそぎ吸い込んだ。
「浄も不浄も、違いなく、私の力に――消えてなくなれ、です!」
スカムキングはその場に蹲る。ナイがすとんと降り立つと、ふと周囲に溢れんばかりの花々が咲き乱れているのに気づいた。
ヘドロに塗れるラブ・キャナルの上空から、ふわり、ふわりと白い天使――澪が舞い降りる。
彼は広がる花園に手を翳し、スカムキングを確実に捕らえてユーベルコードを発動した。
「い……いけー、僕の分身! 技名は意地でも言わないぞ!」
なら説明させて頂こう。澪がその場に召喚したのは、彼の小指程度にも満たない小さな小さな天使およそ三百体。極めて小さいつゆりん――もとい澪の可愛い攻撃が、身動きの取れないスカムキングへ一斉に襲い掛かった。
「お掃除の時間だよ!」
澪が全力で水の魔法を放つと同時、わぁぁぁ!! とミニ澪達がスカムキングに飛び掛かる。ダストブロンクスを恐怖で支配した『肥溜めの王』が、小さな天使に囲まれる最期を遂げるなど誰が想像しただろうか。
スカムキングは耳を劈くような悲鳴をラブ・キャナルに轟かせながら、ばたりと倒れその場で息絶えていくのであった。
大成功
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